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みんなの創作ノート Part1
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チャイナ・パニック
- 1 :
- 「中国大恐慌」の次スレに当たるスレです。
主人公の名はリー・メイメイ。通称メイ。リー・チンハオとラン・ラーラァの一人娘。18歳。
もう一人の主人公の名はヘイロン。民主化を遂げた中国の初代大統領の非嫡子。25歳。
前スレ「中国大恐慌」
https://mao.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1542744080/
- 2 :
- あ。スレタイに【リレー小説】入れ忘れた!
- 3 :
- あと時代設定は2028年でお願いします。
- 4 :
- その女は27歳になっていた。
地獄の底からようやく生還した悪魔は、獲物を求めて咆哮した。
「リー・チンハオとラン・ラーラァを殺しに戻って来たぞ! リウ・パイロン、貴様も殺してやる!」
- 5 :
- 北京大学に合格したリー・メイメイは祖国中国へ帰って来た。
アメリカの両親の元を離れ、独り暮らしが始まる。
「フン。私は寂しくなどないぞ」
メイはそうひとりごちると、駅から下宿を探して歩き出した。
- 6 :
- 祖国に帰るのは初めてではなかった。両親について何度か帰ったことはあった。しかし一人で中国の町を自由に歩くのは初めてであり、楽しくもあり不安でもあった。
父親のチンハオが英語が不自由なため、中国語は問題なかった。
「お腹空いたな」ときょろきょろ見回す。
アメリカのハンバーガーのチェーン店などもあったが、珍しいものが食べてみたくて小さな屋台のような店へ入って行った。
- 7 :
- 店は混んでいて、普通に相席になった。料理名とどんな料理が出て来るのかが結びつかず、困っていると相席の兄ちゃんが話しかけて来た。
「日本人か?」
そう聞かれて顔を上げるとイケメンだったのでちょっと警戒した。
しかし微弱ながら赤い『気』をユラユラと発しており、格闘技をやっている仲間であることは容易に見てとれた。
「中国人だよ。国籍はアメリカだけどさ。
あ、お兄さん、ちょっと教えて? これどんな料理? 肉肉しいのが食べたいんだけど」
- 8 :
- メイはルーロー飯と鶏肉の炒麺にありつき、ホクホクの笑顔で箸を取った。
「お兄さん、助けて貰ったお礼に一口あげよっか?」
「要らん」
男は無表情にそう言いながら自分の五目炒飯を黙々と食べた。
「お兄さん、格闘技、何やってんの?」
「オリジナルのマーシャルアーツだ」
メイが唐突に聞いたにも関わらず、男は即答した。
「へぇ、また本場だから『アチョー!』とか叫ぶヤツかと思ったよ」
「当ててみせよう」そう言うと男は箸を置いた。「お前は太極拳。違うか?」
「ヒエー。何でわかんの?」
「筋肉の付き方がいかにも太極拳だ。八卦掌かとも思ったが、それにしては足が美しく、長い」
「あ、ありがとう」
足の綺麗さを誉められ、メイは照れてしまった。
- 9 :
- 目の前の男をまじまじと見つめながらメイは箸を口に運んだ。
ごつい体格をしているのに顔は本当に綺麗だ。茶色く染め、横に分けた前髪がキザっぽいとは言えた。
「何を見ている」
「まつ毛長っ! って思って」
沈黙。
「ところでお兄さん、なんであたしのこと日本人って思ったの?」
メイがそう言うと、男は見もせずに答えた。
「メニューがわからなかっただろ。それに、中国人にしては垢抜けている。台湾人のようにのほほんともしていない。香港人にしてはクールでもない」
「ふぅん?」
「そして肌の色が黒い。日本のギャルは肌が黒いと聞くからな」
「そんだけ??」
「まぁ、それに」
男はそう言うと金を置いて立ち上った。
「顔が可愛いからだ」
- 10 :
- メイは店を出ると、ウィンドウに自分の姿を写して見とれた。
そりゃね、あのお母さんの娘だもん、可愛いに決まってるよっ。
168cmの高身長にも恵まれた。おまけに誉めて貰った通りの、ハーフパンツからすらりと伸びた脚線美。
フンフンフンと鼻唄を歌いながら歩き出すと、すぐに足を止めた。
「おぉ、喧嘩の匂いだわ」
そう言うと暗い路地裏に向かって走り出した。
- 11 :
- 「おい、ヘイロン。てめぇ、調子に乗んじゃねーよ」
それぞれに武器を手にした男達が5人、先程メイが飯屋で出会った男1人を取り囲んでいた。
「コケにしやがって。今日こそただじゃ済まさねぇ」
分銅鎖を手にした男はヒュンヒュンと風切り音を鳴らしてそれを振り回している。
「やめておけ」ヘイロンが言った。「くだらん時間を過ごしたくはない」
- 12 :
- 全然リレーしてないから【リレー小説】は必要ナイアガラ
- 13 :
- 「ふざけんな、テメーーっ!」
背の低い男が拳銃を構えた。
ヘイロンは少しも動じることなく、それどころか馬鹿にした目つきでチビを見た。
撃たないことは容易に見て取れた。『気』の流れが後ろ向きだ。
「まぁ待てよ」
背の高いチンピラ風の男がチビの拳銃を下ろさせ、言った。
「簡単に殺しちまっちゃ面白くねェだろ」
そう言うと懐から大きなアーミー・ナイフを取り出す。
「コイツでじっくり楽しませて貰うぜ」
舌なめずりをするとチンピラはじりじりと距離を詰めはじめた。
本気で刺しに来るのがわかった。しかしヘイロンはつまらなさそうに目を落とす。構えもせず、突っ立ったままだ。
「ヒャッハー!」
チンピラはそう叫ぶとナイフを大きく振り上げ、そのまま固まった。
ヘイロンの踵と地面の間で潰れる自分の顔が見えた。5人の中で一番強かったお陰で正しく未来を見ることが出来、助かったのだ。
「何してやがるッ!」
ナイフを収めて尻込みするチンピラに業を煮やして、銀縁メガネが分銅鎖を投げる体勢に入った。
するとヘイロンはゆっくりとその分銅鎖の渦へ向かい歩き出す。
「なめんなーーッ!」
銀縁メガネが投げた分銅をギリギリでヘイロンは横へかわすと、すぐに自分から鎖に当たって行った。
すると鎖はぐるぐるとヘイロンに巻きつき、分銅は円を描きながらその顔面に向かって行く。
ヘイロンが小指を目の前に出した。そこに鎖が小さく巻きついた。軌道の変わった分銅は銀縁メガネの顔を直撃した。
「あべぇ!」
「……もう、帰ってもいいか?」
どこまでもなめた態度をとるヘイロンに逆上したチビが再び拳銃を向けた。
「クァーッ! もうこうなったらどうなってもいい! 殺してやるーーッ!」
今度は本気なのがわかった。しかし『気』の流れはその本気を引き止めるように後ろにも激しく動いており、まとまりがなかった。
面倒臭ぇなぁ、どうしようかなぁ、と考えていたヘイロンの顔が突然、恐怖に固まる。
「ヘッヘーッ! 怖いか? 顔色変わったな!?」
調子に乗ってチビが吠える。
しかしヘイロンの視線はチビの後ろにあった。
「何をしてる」
いきなり背後から龍が喋ったような声がして、チビは飛び上がると、恐る恐る振り向いた。
目はその男の腹のベルトを捉えた。視線を上に上げて行く。まさに龍を擬人化したような顔がそこにあった。
「ヒ、ヒイーーッ!? リウ・パイロン大統領!?」
ヘイロンは初めて直接出会うその男の姿を見、身体が硬直してしまった。
傷だらけの顔、ぶ厚い瞼の奥で黄色く光る眼光、筋肉の鎧を着ているようでありながら、鈍重さをまったく感じさせないその体格。
母リーランと自分を捨て、女とカネに溺れた憎むべき父の姿であった。
- 14 :
- あと、2028年の設定はおかしいね。ヘイロン8歳という計算になってしまう。
正しくは2045年だね。それだとメイの年齢が不自然ではあるけど。
- 15 :
- うぅ……。ツッコミありがとうございます。
前スレでもそうだったけど、思いついたら思いついたとこまで連投でバーっと書きます。
後はお好きにどうぞ。
時代設定は2040年とし、ヘイロンの年齢を二十歳に改めます。
計算できない子でごめんなさい……。
- 16 :
- 次の瞬間、拳銃を構えるチビの前からリウ・パイロンの巨体が消えた。嘘のように消え去ってしまった。
「……えっ?」
呆然とするチビの真下から、龍は再び現れ、振り上げるその手が拳銃を奪った。
「こんなものは持ってはいけなーい!」
そう雄叫びを上げながらリウ大統領は片手でバキバキと拳銃を握り潰してしまった。
「ヒャアァァー!!」
五人はバラバラに逃げ出してしまった。
ヘイロンだけ動かなかった。
いや、動けなかったと言ったほうが正しい。
「なっ、何て拳銃の奪い方だ……。あんなに派手に奪わなくても……」
「もっと普通に奪えばよかったとでも言うのかね?」
リウは優しくも厳しい目でヘイロンを睨む。
「それでは悪い子はいつまで経っても悪い子だ。心に消えない傷を残してやらねばならん」
- 17 :
- そう言うとリウはいそいそとズボンを脱ぎ、パンツも下ろした。そして股間に屹立するその逞しい丸太ん棒を見せつけた。
「見よ!これぞ宝刀『マジカル・ステッキ』!」
- 18 :
- ヘイロン「リウ、お前また浮気してたな」
リウ「すぐ言う〜!」
- 19 :
- 「君もコレで教育して欲しいのかい?」
リウはニコニコ笑いながら茂みに隠れて見ていたメイのほうを向いた。
- 20 :
- 「へ、変態だ。お母さんが言ってた通りの変態だ」
メイは震え上がったが、勇気を出して立ち上がると、リウに向かってダッシュした。
長い脚と歩法により約10m先のターゲットへ3歩で到達する。
そこから一気に脚を一直線にし、蹴り上げた。
- 21 :
- リウはバレリーナのように片足をあげ
メイの足にかぶせるように優雅に受け止めた。
もちろん、チンポ丸出しで!
- 22 :
- マジカルステッキが延びてメイの顎にクリーンヒット。
メイはグロッキーになった。
- 23 :
- ヘイロンはメイを連れ逃げ出した
- 24 :
- 「むぅ。しかし……似ていたな」
どちらのことを言っているのかわからないが、リウは二人の背中を見送りぬがら、そう漏らした。
- 25 :
- メイは孤独だった。いつも人との付き合いを避け学生時代は司書めいたことをやっていた。
幼少期のメイは家族と仲間たちに囲まれて幸せに暮らしていた。今の状況にいたるきっかけは10才の時に見た夢だった。
- 26 :
- 夢の中に自分によく似た、しかし女子高生ぐらいの女が出て来て、こう言ったのだ、
- 27 :
- 「うぬはだーせんよごらをあげる」
- 28 :
- メイは貞子の呪いのビデオを見てしまったのだ!
- 29 :
- よく見ると貞子じゃない。誰だコイツ!?
- 30 :
- ヘイロンはメイを連れて、走って、走って、毘沙門天を祀る赤い祠のある公園まで来ると、ようやく足を止めた。
荒い息を収める。見るとメイはほとんど息を荒くしていない。
「ちょっとお兄さん」メイが言った。「……手」
「あぁ」とヘイロンがようやく気づく。「もう離してもいいな」
ずっと繋いでいた手を離すと、メイの掌は汗まみれだった。しかし自分の汗じゃない……。
「お兄さん、強いね」掌を見つめたままメイが言う。
「お前の登脚(ドンジャオ)も大したものだ。よくあそこまで脚が上がるな」
「へへ……」メイが得意になる。
「しかし強くはないな」
「あ!?」
「実戦の経験はないだろう。違うか?」
「残念でした〜。アメリカの太極拳の大会じゃ何度も優勝してます〜」
「やはりスポーツか。そんな程度だろうと思った」
「にゃにをぅ!?」
「ルールに守られ、命を懸ける覚悟もない闘いなど、実戦とは呼ばん」
「い……命?」メイがびっくりして笑い出す。「何を言い出したの、この人?」
「格闘術、武術というのは元々人間をRためのものだ。それを忘れたスポーツ格闘技など、平和ボケしたお遊びのようなものだ」
「な、何だよ急に……トゲトゲしちゃって。ムカつくなぁ」
「嫌いなんだよ」
「あなたの好き・嫌いを押しつけられても困ります」丁寧にそう言いながらメイは喧嘩腰だ。
「試してみるか?」ヘイロンが左拳を前に構える。
「おぉ、思い知らせてやんよ」
- 31 :
- そう言っておいてメイは鶴が舞うような構えに入った。しかしそこではっとして動きを止める。
ハオパパから言われていたことを思い出したのだ。
「メイ。武術とは人を殺めるためのものではない。人を生かすためのものなのだ。
また、人を攻めるためのものでもない。人を守るためのものだ。
三つ目に、武術は人前で見せびらかしちゃいかん。いつも自分が座っているために身につけるものなのだ。
1、武術は人を生かすもの。2、武術は人を守るもの。3、武術をひけらかすな。
この三つをよく覚えておきなさい」
- 32 :
- 「はい……パパ」と言うとメイは構えを崩した。
「どうした」ヘイロンが不思議がる。「やらんのか?」
「バカみたいなことはしねーよ」
メイはベロを出した。
「あたしの名前は李 苺妹(リー・メイメイ)。それだけ覚えときな」
「可愛すぎて似合わん名だな」
「うっさい! アンタの名前も一応聞いとくよ」
「黒竜(ヘイロン)だ」
「苗字は?」
- 33 :
- 「李だ。リー・ヘイロン。お前と同じだな」
「うわぁ、やっぱ李って姓、多いんだ!」
さっきまで喧嘩腰だったことなど忘れたかのように屈託なく笑うメイをしばらく眺め、ヘイロンは言った。
「お前、いかにも親に愛されて育ちましたって感じの健康さだな」
「うん! パパもママも大好きだよ」
「いいことだ」
そう言ったヘイロンの顔に陰が差した。
「俺の親父は息子の顔を覚えてすらいない」
- 34 :
- メイが両親の祖国で一人暮らしをすると決めたのは
もう一人の自分が両親や仲間達を傷つけることを防ぐためだ。
もちろん何度か訪れる機会があって自信も中国語に堪能だったからと言うのもある。
- 35 :
- 下宿で初めて寝た夜、メイは久し振りにあの夢を見た。
「お姉ちゃん……お姉ちゃぁぁん……」
自分にそっくりな女の子が泣いている。
しかし自分はたぶんその子の年齢を追い越してしまった。
昔は大人のように見えたのに、今では自分よりも背が低い。
「お姉ちゃん……。私を思い出して……」
自分には姉も妹もいない。
でも、もしかしたらこの子は生き別れの妹?
「あなたは誰?」メイは話しかけてみた。
すると女の子が振り向き、みるみる大きくなると、悪魔の笑いを浮かべてこう言ったのだった。
「私はラン・メイファン! 地獄の底からようやく甦った!」
次の瞬間、胸の上に何かにのしかかられ、メイは叫びながら目を開けた。
- 36 :
- 「ただいまぁ〜ベロ〜」
そう言いながら赤い舌を出して、自分を見つめて悪魔のように笑う女がそこにいた。
確かに夢に出て来る子だ。しかし、その10年後といった感じで、大人の色気がムンムンになっていた。
色黒の肌に長い黒髪、肉食動物のような鋭い瞳、むき出した歯並びの中には明らかに尖った牙が上下に四本生えていた。
全裸なのがちっとも不自然でなく、柔らかそうながら豹のように緊張感のあるプロポーションがまさに肉食動物のようだった。
「だだだだ誰!?」
金縛りに合ったように動かない体でかろうじて口を動かした。
「いやぁ、暗かったよ、狭かったよ、怖かったよ。そんな中で憎しみばかり溜めていました」
「いや、だから、誰!?」
「お前だよ」
「え?」
「私は、お前」
そう言うとメイファンはまたニヤリと笑った。
- 37 :
- リウ大統領がちょっとスケベな感じの寝室で寝そべっていると、3人の女が入って来た。
金髪色白の中国美人が丁寧に挨拶をする。
「陽春でございます。どうか私と……」
丸顔の可愛らしいアイドル系の女性がフレンドリーにピースをする。
「雅雅だよ。私を選んでね!」
黒髪黒肌の地味な女が最後に溜め息をつきながら挨拶した。
「恵妹。……好きにしな」
「断然君だ!」
リウ大統領は恵妹の腕を掴むと、ベッドに押し倒した。
- 38 :
- 大学時代のメイはいわゆる本の虫という奴で一人でいることが多かった。
だが夜になるとヤリマンビッチに大変身。
男はもちろん女だってホイホイ喰っちまう。夜の町を全裸で散歩したこともある。清楚系に見えて頭の中はエロと下ネタだらけの変態だ。
今さっきだってであって間もないヘイロンとベッドインして、朝帰りしてきてまた寝たところだ。
それはもうひとりのメイが下劣だと忌み嫌うものだった。
- 39 :
- だがそんな彼女のお仕事は大統領付の秘書だった。
第一希望は変態が高じて排泄物処理業者になろうとしていたが、
武術家であり変態番付上位者でもある大統領が秘書を募集していることを、変態友達から聞き、秘書になる事を決めたのだ。
- 40 :
- 学生時代の彼女の日常は変態プレイ、太極拳、読書、セックスだった。
- 41 :
- 「ま、ね。アメリカ人だから」メイは言った。「のびのび育てばそうなるでしょ」
- 42 :
- 目に涙を浮かべてメイは続けた。「でもバラさなくてもいいじゃない」
- 43 :
- でも彼女は心のどこかで興奮していた。
それに対してメイファンはそれらの行為をハオやリウに通ずる行為だと憎悪していた。
この十数年メイファンにとってはみたくもない悍ましき光景を見せ続けられる拷問と
誰にも気づかれない底なしの孤独に苦しめられた生き地獄だった。
- 44 :
- ハオ「ええっ? 俺、何かしたっけ!?」
- 45 :
- >>38
メイ「っていうかあたし、大学入ったばっかりで、明日初登校なんですけど……。」
- 46 :
- >>39
リウ・パイロン「私が変態番付トップだということをよく知っているね? よきかな、よきかな♪」
- 47 :
- メイファンは冷蔵庫から勝手に缶ビールを2本取り、1本をメイの前に置くと、自分のを開けて一気に飲み干した。
「クァーッ! 10年振りの酒は旨ぇー!」
そしてすぐに立ち上がると、また冷蔵庫を開けた。ビールはもうなかった。
「もうねーの!!?」
まん丸の目で振り返ると、メイの前に置いたまだ開けられていない1本を涎を垂らして見つめる。
「どどどどうぞ」メイが勧める。
「いや、それはお前のだ。飲め」
「ととところで聞くの3べん目ですけど……どなた?」
「私はお前だ。そう言ったろ」
「いいい意味がわかりませんですけど」
「お前の中にずっといたんだよ」メイファンの顔が険しくなった。「誰からも忘れ去られたまま、お前の中で、私のことを思い出しもせず幸せになる奴らのことを見ていたんだ。
お前が私に話しかけ、私が名前を答えれば復活できたんだ。しかしお前、なかなか私に話しかけてくれなかったよなァ?」
- 48 :
- 「ところでそれ、早く飲め」
メイファンは顎でメイの前の缶ビールを指した。
メイは「はい」とも言わずに怯える手で缶を開け、ちびりと飲んだ。
「イッキしろボケ」
メイは泣きそうになりながら天井を向き、味もわからずビールを飲み干した。
「よし、師弟の盃、確かに交わしたぞ」
「はへ?」
「今日からお前は私の弟子だ。覚悟しろ」
そう言うとメイファンはとても楽しそうに笑った。
- 49 :
- ちなみにメイファンが消去されてから22年が経っていたが、
その間メイファンがいた異次元での時間経過は現世界とはずれており、
メイファンにとっては10年しか過ぎていなかった。
それでも10年間何もないところに閉じ込められ、
皆が幸せになるところを一方的に見せつけられ、
自分の声は誰にも届かない人生を送らされたメイファンは、
憎しみと鬱憤の溜まりまくった復讐鬼と化していた。
- 50 :
- そのビールは前の住人が置いていったものだった。
メイは急に襲いかかる腹痛に顔を歪ませ
おなかを抱えてトイレへ向かったもの
- 51 :
- リウ・パイロン大統領は恵妹をベッドに押し倒すと、横から髪を撫でながら囁いた。
「フフ。私がなぜお前を選んだか、わかるかね?」
「マニアだからだろ」恵妹は言った。「一番冴えないのが好きなんだ、このド変態が」
「違うよ」そう言ってリウはぶちゅうと音を立ててキスした。「お前が未完成の魅力に溢れているからだ」
「ただ地味なだけだ、ボケ親父」
「他の二人は既に完成されていた。完成されてしまったものに面白味はない」
リウは恵妹の着物の前を開帳し、地味なAカップの胸をねちっこくこね回しながら、続けた。
「お前はまだこれからどんどん進化して行くのだ。お前には楽しむべき未来がたっぷりある」
そう言うとリウは立ち上がり、いそいそとパンツを脱いだ。
股間から屹立するマジカル・ステッキがその逞しい姿を現し、燦然と輝いた。
「さぁ、恵妹よ。私の色に染まれ」
鋼鉄の固さで誇らしげにまっすぐ天を向くステッキを、目を見開いて凝視しながら、恵妹は感服した。
「本当に53歳なの? 凄い……!」
- 52 :
- しかもリウ・パイロンは男色もイケる真性の変態だ。
また、完成してしまったものを破壊することの喜びも知っていた。
だが、リウは気づいていなかった。
恵妹を選んだのは開発の楽しみだけではなく、
その黒い肌、その乱暴な喋り方が、昔懐かしいあの女に似ていたからだということに。
- 53 :
- 「あったまきた!」
そう言うなり立ち上がると、メイはメイファンに掴みかかろうとした。しかし全裸なので掴むところがない。
『これは不法侵入のこの女を断罪して生かすため、パパとママの大切な自分自信を守るため、見せびらかすわけでもなし……』
「うん! パパの教えに背いてない! 今こそチンハオ流太極拳、使うべき時!」
メイは狭い部屋の中で長い手脚を器用に畳み、蟷螂のような構えをとった。
「きゃあ怖い〜〜。この子、私に歯向かう気〜〜?」
メイファンは缶ビールの底から最後の一滴を諦めると、棒読みでそう言った。
- 54 :
- 「チンハオ流太極拳、カマキリの型!」
メイの身体は微動だにしない。しかし手だけが無数のカマイタチのようにメイファンに襲いかかった。
全攻撃がメイファンにヒットする。メイファンはぱたりと倒れた。
「手は抜いた」攻撃を終え、メイが静かに言う。「アンタが気絶してるうちに警察を呼ぶわ」
メイファンが顔を起こし、欠伸をすると言った。「もう、終わった?」
「な、なんで!?」メイが驚く。
「見えねーのかよ、ヒヨッ子め」
そう言うとメイファンは立ち上がり、素っ裸の自分を堂々と見せた。
「見ろ!」
「み……見ろと言われても……」
あまりに堂々と陰毛の真下から覗くピンク色のハマグリまで見せられてメイは思わず照れた。
しかし気づいた。女の中から真っ黒な『気』が発せられ、全身を鎧のように包んでいた。
「あ……」
「お前も出来るだろ? 出来るはずだぞ。やってみせろ」
メイは構わず無視して警察に電話をかけようとした。
すると目の前の女は舌打ちするなり一瞬で至近距離まで近づいて来た。
「ヒッ!?」
頭突きをされる、そう見えた未来は見事に外れた。女はメイの顎に頭をぶつけると、そのままメイの中へ入って行った。
- 55 :
- すぐさまメイはアメリカへホログラム電話をした。
ちょうど二人とも起きている時間だったが、時差計算などする余裕もなく急いでかけた。
すぐにパパが出た。
「メイ〜〜! さっそくホームシックか?」
部屋の真ん中に浮き上がって登場した髭面にパジャマ姿のハオは大喜びだった。パパのほうが娘シックなのは間違いなかった。
「パパ!」
緊張感のまったくないハオの顔を見て、メイは心からほっとした。
「メイ〜? パパったらあれからずーーーっと心配してるのよ〜?」
ハオの後ろからララが悪戯っぽい笑顔を浮かべて現れた。
「ラ、ララもだろ!」ハオが顔を赤くしてジタバタした。
「ママ!」
優しいララの顔を見て、メイは既に顔中を濡らして泣いていた。
「大丈夫? そっちは暮らしやすい? 不安とか、ない?」
「あのね、ママ」と言おうとしたメイの口から、自分のものではない声が言葉を遮り、こう言った。
「リー・チンハオ。すぐに北京へ来い。さもなければ娘をR」
- 56 :
- しばし何らかの会話が続いたあとメイファンは電話を切った
メイファンはオナニーを始めた。
- 57 :
- メイファンはオナニーをやり終えると今度は
全裸のまま外へ出かけた。
メイの中に封じ込められていた頃からメイファンの感覚は共有されていた。
性癖もメイと同じだ。
- 58 :
- メイファンにとってメイメイは向き合いたくないし認めたくもない
本当の自分だった。
そしてメイファンは孤独だった幼少期や殺し屋の経験を積む過程で生まれた
メイファンなりに考えるカッコイイ自分だった。
- 59 :
- まだ薄暗い眠っている街を全裸のメイファンは
恥ずかしがることもなく堂々と練り歩く。
通行人なんざ知ったことではない。
- 60 :
- ヘイロンが家へ帰るといつも季節が逆戻りする。
4月の陽射しは急に翳り、冷たいコンクリート壁のボロアパートには2月が染み付いている。
部屋に入ると母が倒れていた。
2m20cmの巨体を真っ直ぐにして床を塞いでいる。
「母さん!?」
すぐに駆け寄り、抱き起こす。
「あァ……。ヘイロン。お帰ァーり」
リーランは力なく言うと、無理やり笑った。
どうしたのかなど聞くまでもない。腹が減っているのだ。
ヘイロンは買って来た五目チャーハンを出すと、リーランは20秒で食べきり、また床に倒れた。
「食パンの耳! 食パンの耳も貰って来たよ!」
45リットルのゴミ袋に一杯のそれを見せたが、リーランは興味を示さなかった。
「うまい棒……うまい棒が死ぬほど食いてェなァ……」
そう言い残すとリーランは気を失った。
「わかった。待ってろよ、母さん。死ぬほどうまい棒、食わせてやるからな」
そう言うとヘイロンは立ち上がり、再び帰って来た玄関のほうを向いた。
「生活保護費も底をついた……。俺のアルバイト代も、もうない」
黒い革手袋をギュッとはめると、黒いマスクを手に持ち、外へ出て行く。
「くそっ。俺達はカネに生かされている奴隷なのか」
4月に冬の風が吹き抜ける中、ヘイロンは明らかな赤い殺気を放ちながら、歩いて行った。
- 61 :
- メイは大学の入学式の間中、周りをきょろきょろと眺めていた。
自分と同じ東洋人の顔が講堂を埋めているのが珍しかったのもある。
しかし、その目は特定の一人を探していた。
周りとは明らかに違うオーラを放つ男なので、いるならばすぐに見つかるはずだった。
『いるような予感、したんだけどな……』
メイはアメリカの学園ヒエラルキーの中で頂点のクイーン・ビーに君臨できる資質は持っていた。
しかしそんなものに興味がなかった上、何よりやはりクイーン・ビーになれるのは白人と暗黙の裡に決まっていた。
中国の大学に進学したのはそんな胸糞悪いヒエラルキーから逃れたいためもあった。
実際、眺め回す限りここにはそんなはっきりした権力を持っていそうな人間は見当たらず、
最底辺のナードに該当しそうなヒョロい黒縁メガネと筋肉質のスポーツマンぽいのが仲良さそうに並んでいたりした。
昨夜はいつの間にか眠っていたので、一連の出来事は夢だと思いたかった。
しかし床にはビールの空き缶が2本転がっており、電話の履歴には夜の22時に国際電話をした跡があった。
- 62 :
- メイは帰宅すると服をだらしなく脱ぎ散らかし、シャワー室に向かった。
- 63 :
- 「あれはやっぱり夢じゃなかったんだ。」
シャワーを浴びるメイは呟いた。
「まあ、何でもいいけど私の変態タイムは邪魔しないでほしいな」
シャワーのノズルを閉める。
- 64 :
- そこへ激しくドアの呼び鈴が鳴った。
嫌がらせのように何度も何度も鳴る。
誰だかわかっていたのでメイはゆっくり慌てずに体を拭くとバスタオルを巻き、出た。
「メイーーー!!!」
パパとママが声を揃えて飛び込んで来た。
「……凄い。ほんとに最短で来たね」
「お前、悪魔に憑かれたって本当かーー!?」
ハオはもうずっと泣いていたようで目も鼻も真っ赤である。
「うん。でもあたしをRってのは嘘だと思うよ」
「私がメイの中に入って追い出してやるわ!」
ララの目が燃えていた。
「入るってどーやって入んのよ……」
ララはうぐぅと言葉を呑み込んだ。
自分が本当は身体を持たない『気』だけのバケモノだということは娘には明かしていなかった。
- 65 :
- 「お集まりの皆さん」
突然、メイの口がそんなことを言い出した。
「御覧ください」
明らかにメイとは違う、大人の女性の声だった。
「それでは、悪魔の登場です」
口の動きと怯えた表情が合わない。
そんなメイの輪郭がぶれたかと思うと、礼儀正しくお辞儀をしながらメイファンが姿を現した。
ハオもララも呆気にとられていた。
メイの身体の中から本当に悪魔が出て来たのだ。しかも全裸で。
悪魔はにっこりと笑うと、いきなりハオの両足首を手刀で薙ぎ斬った。
「わきゃ!?」ハオが泣き声を上げて床に落下する。
そのあとには揃えて脱いだ靴のようにハオの両足が並んでいた。
- 66 :
- メイは何も出来なかった。
大好きなパパが目の前で殺されようとしているのに、体が震え上がってしまい、言うことを聞かなかった。
全米の太極拳大会高校生部門で連続優勝した自信は、何の役にも立たなかった。
メイファンはハオの上にのしかかると腹部に手を刺し込み、内臓を引き抜いた。
嬉しそうな顔で右腕を斬り落とし、左腕も斬り落とそうとしたところでララが悲鳴のような声で叫んだ。
「メイっ!」
思わず手が止まった。
しかし娘の名前を叫んだだけだと気づくと、禍々しい笑いを浮かべ、ハオの大腸を掴んでララの口へ押し込みにかかった。
「メイ! やめなさい!」
今度は明らかだった。ララは自分のことを『メイ』と呼んでいた。
「ララ……?」
今、世界で最も憎い女であり、同時に世界で一番愛する姉だった。
「お……覚えてんのかよ? 私のこと……」
ララは何も言わず、太極拳の構えをとったまま睨みつけている。
足首から先のないハオが素早い動きで左の掌打を放つ。
メイファンの右足にクリーンヒットした。
「グアッ!? ハ……ハオのくせに!」
さらにハオは足首のない足で立ち上がると、骨の飛び出した足で突き蹴りを繰り出した。
メイファンがそれを斬り落として避けようとしたところへララの掌打が襲って来る。
メイファンにはその手首を斬り落とすことは簡単だった。
しかし、出来なかった。
ハオは再生する。ハオ自身の超再生能力とララの『白い手』のダブル治療で、いとも容易く再生することだろう。
しかしララは、『白い手』を片方でも斬り落とされれば自身の治癒は困難となり、ハオは自分の傷しか治すことが出来ない。
「メイ」と自分を呼んだ姉を斬ることがどうしても出来なかった。
- 67 :
- ハオの突き蹴りを後ろへ飛んでかわすと、メイファンは窓ガラスを割って逃げ出した。
一糸まとわぬ姿で外灯の下を走って行く姿が遠ざかる。
ララはハオの両足をくっつけ、右腕を押し当て、内臓を押し込むと、怯えて立ち尽くしているメイを抱き締めた。
「だ……誰だったんだ、あれ」ハオが息を荒らげて言った。
「メイよ」ララが答えた。「わからなかった? 私達の……娘よ」
- 68 :
- 「クッ……ソ〜……こんなはずじゃ……」
メイファンは夜の住宅街を全裸で歩きながら、悔しがった。
「娘の前でグチャグチャに斬り刻んで、心に穴が空いた娘を乗っ取るつもりだったのに……」
前から男が歩いて来た。
男は暗闇の先のメイファンの格好に気がつくと、慌てたように距離をとった。
黒い手袋に黒いマスクを帽子のように被った男で、血の匂いがした。
「ははァん?」メイファンが面白がる。「見覚えのある『気』だなァ?」
- 69 :
- ヘイロンは初めて露出狂の女というものを目撃し、ドギマギしていた。
しかし帰り道はこっちだ。どうしてもすれ違わないといけない。
早く通り過ぎて、何も見なかったことにしよう、そう思っていると女が話しかけて来た。
「お前、童貞か?」
「ちちちち違うっ!」思わず返事をしてしまった。
変態女はニヤリと笑うと、いきなり襲いかかって来た。
「キ、キャーーーッ!!」
女みたいな声を上げて逃げ出したヘイロンの背中を掴むと、女は凄まじい力で投げ飛ばした。
空中で鮮やかに回転し、ヘイロンは軽やかに着地するなり言った。
「姐さん、頼むから何か着てくれ」
凄まじい投げだった。常識外れの見た目といい、達人に違いない。服さえ着てくれれば是非手合わせしたいほどだと思った。
「いいね、お前」メイファンは舌なめずりをした。「一番弟子を思い出すわ」
- 70 :
- すると、突然先ほどまで笑みを浮かべていたメイファンの表情が真顔に変わったあと、
顔を苦しそうに歪ませた。
「あぐっ、ううう」
彼女は膝を付き、呻き苦しみ始めた。
額には脂汗が浮かび上がり、呼吸は荒くなる。
体の芯が燃え上がるように熱い。
「…!?、姐さん大丈夫か?」
ヘイロンは苦しむメイファンにかけより背中に手を添えた。
- 71 :
- メイファンはヘイロンを押し倒し言った。
「ああっ、服なんざ着てやるから、とっととやらせろ」
メイファンは彼のズボンのチャックを下ろしズボンをパンツごとずり下ろした。
- 72 :
- ヘイロンはメイファンの腹に突きを入れると言った、
「ヘヘッ、イキのいい女が手に入ったぜ。こいつソープに売ればかなりになるな」
- 73 :
- しかしメイファンは、かまわずヘイロンと下半身を繋げ
真夜中の住宅街の道路で大ハッスルした。
公衆の面前で性的行為に及ぶのはハオの遺伝である。
- 74 :
- こんな状況にもかかわらずメイは興奮していた。通行人のおじさんやおばあちゃんに見られて快感を感じているのだ。
それはメイファンも同じで、同じ体を使っているので仕方がなかった。
- 75 :
- ハオ「違う! あれは性行為じゃない! 愛行為だ!」
- 76 :
- メイファンはメイの身体から出て逃げたので、今、二人は別々の人間だ。
- 77 :
- メイはしょげていた。
パパとママのピンチに自分は何も出来なかった。
『アイツの言う通りだった。私は、弱い……。精神が弱い』
「メイ、大丈夫だ」
あっという間に傷の治ったハオが抱き締める。
「悪魔は出て行った」
「いいえ。また戻って来るわ」
ララが優しい顔を険しくする。
「あれはメイだもの。メイの中にまた戻って来る」
二人は真ん中にメイを抱き締め、メイに頬を擦りつけながら悩んだ。
「パパ、ママ、ごめんなさい」
メイはずっと涙をぽろぽろ零している。
「あたし……何も出来なかった……」
「いいのよ」「気にするな」と頭を二人で撫でながら、微笑んだ。
「ピンちゃんがいればよかったのに……」ララがぽつりと言った。「誰か、頼れる人がいれば……」
「いるじゃん」とハオが反応した。「現大統領に協力をお願いしようよ」
「は!!?」ララが全身の毛を逆立てて牙を剥いた。「ド変態の名前出すんじゃねーぞ糞パパ」
「だって友達じゃん。久しく会ってはないけど……」
「アレをダチとか言うんじゃねー! てめえほぼ会話もしたこともないくせに、この虚言癖!」
「でも……他に誰かいるかい?」
「……あたしは口聞かないからね」
「わかった」ハオは内心ドキドキしながら言った。「俺、電話してみるよ」
- 78 :
- その頃メイファンは、下半身裸のヘイロンを置き去りにして夜の住宅街を走っていた。
「あれは私じゃない、リー・メイメイってやつがわるいんだぁーっ!」
メイファンは自分のしでかした行為に混乱していた。
- 79 :
- 秘書の美鈴(メイリン)は分厚い木の扉をノックすると、大統領執務室へ入った。
リウ・パイロン大統領は机に両拳を乗せ、楽しそうに笑っていた。その横には黒いボンデージ姿の恵妹が立っている。
「本日の予定ですが……」
メイリンが一通り予定を伝え終わると、リウが口を開いた。
「メイリン。紹介しよう、新しい秘書の恵妹(フェイメイ)だ」
メイリンは恵妹のふざけた姿をじっと見つめると、言った。「なんでゴルフボールを咥えているの?」
「ゴルフボールじゃない! これはSMグッズの……」
「で、私はクビってこと?」
「長い間ご苦労だったね。もう、君には飽きたんだ。君は完璧すぎてつまらない……」
「おい、アホ大統領」
「ムッ?」
「てめぇ、この20年、あたしがどんだけ助けて来てやったと思ってんだ?」
「フムムッ?」
「アンタは確かに有能。人間として尊敬すべきところだらけのスーパーマンだわ。でも足りないところはある」
「足りないというか……行き過ぎてるというかなところだよね?」
「そう。そこをこのあたしが押さえて上手くやって来た」
電話が鳴った。
舌打ちをするとメイリンは電話に出る。
「はい。あー、リー・チンハオ? どのリー・チンハオ? リー・チンハオはいっぱいいすぎて……」
「ハハ! リー・チンハオが電話なんかして来たのか!」
「ララの夫のリー・チンハオ? 何それ」
「オリジナルか!」リウの顔つきが真面目になった。「代わろう」
- 80 :
- ヘイロンは放置されながらもほくそえんだ。
「フフ…俺も一応リウ一族、俺のあそこも伝家の宝刀を受け継いでいる」
「悪い子を清く正しい善い子に更正させる名刀、マジカル・ステッキさ!」
「さてあの女、こんなモノを自ら受け入れて、果たして無事でいられるかな?」
- 81 :
- 『もしもし、リー・チンハオか?』
電話の向こうのリウにビビったハオは必要以上に喋りまくった。
「もっ、もしもしリウ大統領であらせられますか? ぼく、あの、昔友達だったリー・チンハオですけど覚えてますか?」
『もちろん覚えているよ』リウは優しい声で言った。『と言うよりいつも見ているし、いつも名前を聞いている』
ハオは意味がわからなかったのでハハハと笑った。
『ところでどうしたんだい? 電話をくれるなんて』
「実は……」
ハオは見たこと体験したことをすべて話した。
中国で一人暮らしをする娘に悪魔が取り憑いたこと、その悪魔に襲われたこと、外へ逃げて行ったこと。
そして悪魔退治のために力を貸して貰えないだろうかとお願いした。
電話の向こうのリウは暫く考えると、いくつか質問をした。
『その悪魔とやらは、ララのように君の娘の中にいたのか?』
「いえ、あれは『気』だけの存在ではないです。実体を持っていました」
『実体があるなら娘さんの身体とかち合うんじゃないのか?』
「ララが言うには、悪魔は娘自身の別の姿だと……。娘が分かれて二人ににったのだと」
『ふぅむ。考えられんな。……善い子と悪い子に分かれたということかい?』
「わかりませんが、悪魔の放つ黒い『気』が娘のと同じものだったと……」
『黒い(気)だと!?』
「えぇ。でもぼくが見たところでは娘のより……まるで闇のように真っ黒で、しかも量が半端なかったですけど」
『そいつは武器を使ったか?』
「いえ。でも素手でぼくの両足と右腕を根本から刃物を使ったみたいに斬り、腹に大穴を空けました」
『……チンハオ』
「はい」
『メイファンという名を君は覚えているか?』
- 82 :
- ララはテーブルに座って電話をするハオから距離を置いて、ベッドでメイを抱き締めていた。
「眠れそう?」
「側にいて……ママ」
ララがメイの額にキスをした時、ハオが言った。
「メイファン?」
ララの身体がぴくりと反応した。
記憶の底からとてもよく知っているが見知らぬ女の子の姿が浮かび上がり、それは急激に成長するとさっきの悪魔の姿と重なった。
「どうしたの、ママ?」
急に頭を押さえて苦しみ出したララを心配し、メイが顔を覗き込む。
大丈夫よ、と笑いかけようとして娘の顔を見て、ララは思わず叫んだ。
さっき記憶の底に見たばかりの見知らぬ女の子とまったく同じ顔がそこにあった。
- 83 :
- 川のほとりにチャイナドレスが無造作に脱ぎ捨てられている。
- 84 :
- 「メイファン? いやまったく知らないです」
『……そうか。やはり君もか』
「その人がどうしたんですか?」
『……チンハオ。全面的に協力しよう』
「本当ですか!? やった!」
『とりあえずそっちへ行くよ。住所をホログラム・マップに出してくれ』
その時、ララが叫び声を上げた。
よほど恐ろしいものを見たようなその声に、ハオは急いで駆け寄り、ララを抱いた。
娘の顔を凝視しながら、まるでヒステリーを発症したように、ララは顔を震わせ、カニのように手をギクシャクと動かし、
嫌悪、溺愛、激しい驚愕、ひどいほどの喜び等、さまざまな感情を顔に浮かべて泣き喚いていた。
- 85 :
- 電話を切ったリウは突然バンザイをした。
「マンセィ!」
「は?」メイリンがアホを見る目で見た。「何、その珍しいテンション」
恵妹がじっとりとした目でただ眺めている。
「遂に……遂にだ!」
リウ・パイロンは現役散打王の頃のように拳を頭の上で打ち鳴らし、喜びのダンスを踊った。
「遂にお前に会える! メイファン!」
- 86 :
- その頃メイファンは独り、橋の下に隠れるようにシクシクと大粒の涙を流して泣いていた。
「違うっ、あんなの私じゃない・・・!」
彼女の脳裏に映るのは売女のように汚らわしくヘイロンの上で腰を振る、鏡に映った自分の姿とその顔だった。
- 87 :
- メイファン「決めた!ハオもララもリウもメイメイもあのガキも目撃者もみんなみんな、私が殺してやるんだ!」
- 88 :
- そんなことを言っといて、いつも土壇場で「いい人」になってしまうメイファンであった。
- 89 :
- 「やぁ! 久しぶり」
そう言ってワンルームの学生アパートにリウ・パイロン中華人民共和国国家主席改め大統領が入って来た。
秘書らしき眼鏡の女性と二人だけだった。
ハオはコーヒーとアメリカのお菓子を出して迎えた。
「ララは?」
「また発狂しまして……」
「あぁ、なるほど」
ララが発狂するのはいつものことなので、ハオもメイも先程のことはそこまで気にしていなかった。
覚えられてるかな? ビクビクしながら顔をなるべく隠すメイを見て、リウは言った。
「ムッ! 君は!」
「ごめんなさい」先手必勝で謝った。
「いや、いいキックだったよ、あれは。そうか、君が……。どうりで似ていると思った」
「お母さんにはそっくりだってよく言われます。色は黒いけど」
「明日から娘を一人で学校へやるのが心配だろう?」リウはハオに言った。
「えぇ。だからぼくがついて行こうかと……」
「君がついて行っては変質者と間違われて通報されるのがオチだろう」
「そうですね、ハハハ」
「メイリンを貸してやろう」
「ハァ?」コーヒーを飲んでいた秘書のメイリンが振り向いた。
「彼女は大変有能だ。私が保証するのだから間違いない。それに……」
リウはコーヒーを飲み干すと、ニヤケ顔で言った。
「その悪魔と非常に相性がいい。天敵だと言ってもいいほどだ」
- 90 :
- 「そしてリー・チンハオ、お願いがある」
リウ大統領はそう言うと頭を下げた。
「その悪魔が現れたら、すぐに私に報せてくれ。米中首脳会談をすっぽかしてでも駆けつける!」
- 91 :
- その頃メイファンは河川敷で薪をしていた。
肉を焼いているのだ。
- 92 :
- 焼いているのは犬肉だ。
- 93 :
- メイファンは狩った野良犬をBBQしながら考えた。
『今、私は何者でもないな……』
殺し屋だった頃は、習近平による権力の後ろ楯の元、何でも出来た。
通行人の首をいきなりはねるようなことはしなかったが、仕事中ムカついた奴の首を依頼もなくはねても習が揉み消した。
それが今は権力の後ろ楯もなく、依頼をして来るクライアントもいない。
服を買う金もない。
裸でいることに抵抗はまったくなかった。
メイファンには服を着ることの必要性というものがわからなかった。
見られても恥ずかしいわけでもなし、暑さ寒さも『気』の鎧を纏っていれば凌ぐことができる。
ただ、警察のおじさん達が喜んでやって来るのがうざいので服を着る必要があった。
『バイトでもするか……』
メイファンはそう考えながら肉を齧った。
- 94 :
- さっき拾ったチャイナドレスを川の水で洗い、干しておいたのが乾いていた。
「明日はこれを着てバイト探しだな」
そう呟くとメイファンは土の上に『気』の寝袋を敷き、眠りについた。
- 95 :
- 「姐さん、コイツも頼んでいいか?」
「よっしゃ」
「姐さーん! 後でこの鉄骨も運んでくれー!」
「任せろ」
メイファンは男達に混ざって工事現場の力仕事をしていた。もちろんチャイナドレスに土方ヘルメットである。
親方は満足そうな笑顔でメイファンに話しかけた。
「姐さん、初め来た時『飯炊きのバイトは募集してねェ』なんて言っちまってごめんよ」
「いいってことよ」
「まさか男どもの30人分働いてくれるなんてなァ。その細い身体のどっからそんな力が出るんだ?」
「ヘソかな」
メイファンは習近平の元でお金に不自由することはなかった上、元々金に対する執着が希薄だった。
それでも社会勉強のため、さまざまなアルバイトを経験していたので、仕事の要領もすぐ掴み、現場のヒーローとなった。
しかし現場のバイトを選んだのは即日払いでなければ意味がなかったからに過ぎず、
明日は憧れの制服が着れるハンバーガー・ショップの面接に行こうと決めていた。
- 96 :
- 現場仕事で稼いだ金で白いカットソーとピンクのスカートだけ買い、下着はどうせ着けないので買わなかった。
求人情報誌についている履歴書に拾ったボールペンで欄を埋めて行く。
戸籍も国民IDもどうせ消去されているとは思ったが、どうせ調べられることはないだろうと住所もID も書いておいた。
書き終えると買って来た缶ビールを一綴り出し、飲みながら昨日の犬肉の残りを焼いて食った。
春の陽気で早速腐りかけていたが、やはり食べ物は腐りかけが一番旨いなと思った。
- 97 :
- 《超悪質!盗聴盗撮・つきまとい嫌がらせ犯罪首謀者の実名と住所/Rっ!! 悪魔井口・千明っ!!》
【要注意!! 盗聴盗撮・つきまとい嫌がらせ犯罪工作員】
◎井口・千明(東京都葛飾区青戸6−23−16)
※盗聴盗撮・嫌がらせつきまとい犯罪者のリーダー的存在/犯罪組織の一員で様々な犯罪行為に手を染めている
低学歴で醜いほどの学歴コンプレックスの塊/超変態で食糞愛好家である/醜悪で不気味な顔つきが特徴的である
【超悪質!盗聴盗撮・嫌がらせつきまとい犯罪者の実名と住所/井口・千明の子分たち】
@宇野壽倫(東京都葛飾区青戸6−23−21ハイツニュー青戸202)
※色黒で醜く太っている醜悪黒豚宇野壽倫/低学歴で人間性が醜いだけでなく今後の人生でもう二度と女とセックスをすることができないほど容姿が醜悪である
宇野壽倫は過去に生活保護を不正に受給していた犯罪者です/どんどん警察や役所に通報・密告してやってください
A色川高志(東京都葛飾区青戸6−23−21ハイツニュー青戸103)
※色川高志は現在まさに、生活保護を不正に受給している犯罪者です/どんどん警察や役所に通報・密告してやってください
【通報先】
◎葛飾区福祉事務所(西生活課)
〒124−8555
東京都葛飾区立石5−13−1
рO3−3695−1111
B清水(東京都葛飾区青戸6−23−19)
※低学歴脱糞老女:清水婆婆 ☆☆低学歴脱糞老女・清水婆婆は高学歴家系を一方的に憎悪している☆☆
清水婆婆はコンプレックスの塊でとにかく底意地が悪い/醜悪な形相で嫌がらせを楽しんでいるまさに悪魔のような老婆である
C高添・沼田(東京都葛飾区青戸6−26−6)
※犯罪首謀者井口・千明の子分/いつも逆らえずに言いなりになっている金魚のフン/親子孫一族そろって低能
D高橋(東京都葛飾区青戸6−23−23)
E長木義明(東京都葛飾区青戸6−23−20)
F若林豆腐店店主(東京都葛飾区青戸2−9−14)
G肉の津南青戸店店主(東京都葛飾区青戸6−35ー2
- 98 :
- メイファンはムラムラしてきた。
- 99 :
- 「行って来ます」
メイは大学へ行く支度を終え、玄関に立った。
「行ってらっしゃい。気をつけてね」ララが見送る。
「本当に本当に本当に気をつけるんだぞ!?」ハオが心配しすぎて泣いている。
「ご安心ください。私がついておりますので」
リウ大統領の秘書の美鈴(メイリン)が眼鏡を光らせ、メイと並んで出て行った。
大学までは徒歩で10分だ。ただし並みの人間なら15分はかかる。
メイは気を遣って小さい歩幅でゆっくり歩いた。
「お嬢様」美鈴が言った。「普通に歩いて下さってよろしいですよ」
「えー、いいの? かなり速いよ?」
「私もこう見えて歩くのめっちゃ速いですので」
「よ〜し。じゃ、競争だ」
- 100 :
- 「お嬢様」美鈴が言った。「ま……待ってぇ〜……」
「あははっ! だから言ったでしょ〜?」メイが息も切らさずに笑う。
公園のベンチに腰掛けてしばらく美鈴の息が整うのを待った。
メイはリュックからボトルの水を取り出すと、美鈴に飲ませてあげた。
美鈴は白いシルクブラウスにピチピチの黒スカートを穿いている。スカートには両側にジッパーがついていた。
それを両方ともフルオープンすると、美鈴は言った。
「ふぅ……。ではもう一回ね」
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「次は負けませんことよ」
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