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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part37


1 :2016/01/12 〜 最終レス :2018/10/17
1999年刊行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前に登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などを発表するかは書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・ロワ名を「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part36
http://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1425485657/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html

2 :
Part36が一杯になってしまったので新スレッド立てました
続きをこちらに投下します

3 :
ハレナは、一先ず心を落ち着かせた後、犬の少年の所持品を漁り、ダイナマイト3本と着火用のフリント式ライターを入手し、
その後荷物をまとめ灯台から去って行った。


【盛朋未  死亡】
【久保永悠歩  死亡】
【残り43人】


【明朝/B-7灯台付近】
【ハレナ】
状態:健康
装備:金属バット
持物:基本支給品一式、S&W M10(4/6)、.38SP弾(12)、ダイナマイト(3)、ライター
現状:優勝を狙う。
備考:特に無し。


----
《キャラ紹介》
【久保永悠歩】
読み:くぼなが ゆうほ
年齢:17
性別:男
種族:犬獣人
特徴:クリーム色の毛皮と髪。細身で女性的な身体付き。学校制服のズボンとシャツ、ベスト姿
職業:高校生
備考:変態。同級生の変態仲間であり友人の碑文谷直紀や舩田勝隆らと共に様々な変態行為を働いている。
それ以外は至って善人。両刀使い。成績は碑文谷・舩田より上。

【盛朋未】
読み:もり ともみ
年齢:24
性別:女
種族:人間
特徴:茶色のセミロング。身体付きは悪くも良くも無いと言ったところ。私製の戦闘服姿
職業:傭兵
備考:中学卒業後、経済的理由で高校へ行けず、やむなく裏の傭兵組織に加入し傭兵となった。
意外に戦闘センスが有ったようで、各地を転戦しかなりの戦績を上げている。
性格はかつては引っ込み思案だったが戦闘を経験するにつれ自信が付いたらしく明るくなった。

【ハレナ】
年齢:21
性別:女
種族:半獣人
特徴:黒髪に猫耳と尻尾の付いた巨乳美女。へそ出しのタンクトップのような上着とホットパンツ姿で露出が多い
職業:情報屋
備考:依頼され情報を仕入れそれを売って資金を得ている。変装や色仕掛けを良く使う。
戦闘は苦手だが素早い身のこなしで上手く敵を翻弄する。
人懐っこい風を装っているが本性は酷く利己的保身的。
----

4 :
投下終了です
スレッドの容量確認してから投下するべきだった、すみませんでした

5 :
資格の市場価値が一目で分かる!
安定した仕事を得るには学歴よりも、価値ある資格を取ることが大切です。
また、日本経済が求めている人材も、これで明らか。

■資格の求人市場評価ランキング
http://jobinjapan.jp/license/ranking.html
■すべての資格の平均月給一覧
http://jobinjapan.jp/license/

全資格の平均最低月給197,800円
提供: http://jobinjapan.jp

6 :
投下します

7 :
23話 愚か者の模索

憲兵と言う職に就いている割に臆病でドジを踏む事が多い、黒狐獣人の山津有岐。
直属の上司である松宮深澄や同僚達からは「よくこんな奴が憲兵になれたな」と呆れられ不思議に思われていた。

具体的に彼女がやらかした事を挙げると。
逃亡兵に抵抗され「大人しくして!」と叫びながら殴り殺しかける、
深夜巡回で物盗りの侵入者をお化けと勘違いしてジープでひき殺そうとしてジープを破損させる、
尋問の際に相手に逆に凄まれ「いや怖い」などと叫びながら絞殺しかける、といった物。

ドジを踏むと言うよりは「恐怖で暴走しやすい」と言った方が正しいであろうか。

そんな彼女が上司の松宮と共に殺し合いゲームに巻き込まれてしまった。
スタート地点はC-5エリアの畑地帯に有る民家。

「ハァ、怖いもう」

仏間に座り込み涙目になりながら有岐はぼやく。

「最後の一人になれなきゃ、生きて帰れない……なれたとしても本当に帰して貰えるかどうか……。
でも、状況的に、殺し合わなきゃいけないシステムになっているみたいだし……」

高難易度の試験を突破する必要が有る憲兵と言う職業に就いているだけあり震えながらも状況を分析するだけの頭は有った。

「松宮隊長も居るけど、私の事捜したりなんてしないだろうな。
いつもいつも私、隊の皆に迷惑ばかりかけてるし、ああ、死にたくない。どうすれば……」

頭を抱える有岐。
座卓の上には彼女の支給品である、直刀が置かれている。当たりの部類に入る支給品だ。
これを使って自分はどうするか。

(私、死にたくない……)

色々と思考はしていたが「死にたくない」の一文だけは何度も同じように浮かんでいた。

「……よし」

そしてようやく方針を固める。
ついさっき「優勝した所で、本当に生きて帰れるか不明」と考えたばかりであったが、
結局、有岐は少しでも確実な可能性が有るのならそれに賭ける事にした。
つまり自分が生き延びる事を優先、殺し合いに乗る事を決意してしまったのだ。

「ごめんなさい松宮隊長、私は死にたくないんです……」

直刀を鞘から引き抜き良く研がれた刀身を見詰めながら有岐は呟いた。

8 :
【明朝/C-5畑地帯福原家】
【山津有岐】
状態:健康
装備:直刀
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。
備考:特に無し。


----
《キャラ紹介》
【山津有岐】
読み:やまつ ゆき
年齢:24
性別:女
種族:狐獣人
特徴:黒狐獣人。爆乳。憲兵の制服姿
職業:憲兵
備考:怖がりで、恐怖で暴走しやすい。ドジっ娘と称されるがドジの範疇を超えており器物破損や殺人未遂の常習犯。
とは言え憲兵になるだけ有り戦闘能力と判断力は相応には有る。
上官の松宮深澄からしばしば叱責を受けている。


《支給品紹介》
【直刀】
支給者:山津有岐
分類:刃物
説明:反りの無い真っ直ぐな刀身を持った刀。
----

9 :
投下終了です

10 :
スレ立て乙&お久しぶりです
投下します

11 :
「遠野…嘘だよ…」

坊主頭で老け顔の大学生、MURは唐突な後輩の死に涙を流していた。
野獣の恋人で優しい心の持ち主だった遠野。
そんな遠野が何故死ななければならないのか。いったい遠野がなにをしたというのか。
後輩の理不尽な死にMURは悲しみと怒りを覚える。

「あの変なロン毛絶対に許さないゾ…。AKYS先生直伝の鉄拳をブチ込んでやるぜ!」

遠野の命を奪った主催者打倒を決意したMURはこれからどうするか考える。
まず自分が居るのはどこかの倉庫のようだった。
遠野の死に悲しんでいた為気付かなかったが、深夜の冷気も相まって倉庫内はとても寒い。
何か暖を取るものはないかとデイバッグ内を探ると、何か柔らかい毛布のような感触が手に伝わってくる。
期待を込めて取り出すとそれは…

「ポッチャマ…」

青い鳥のようなキャラクターのパジャマだった。
これ幸いとばかりに早速着てみると、ヌクヌクとした感触が心地良く冷えた体を暖めてくれる。

「いいゾ〜これ(恍惚)」

いわゆるハズレ支給品の部類なのだが、MURにとっては大当たりの物だったようだ。
ご満悦の表情で更にデイバッグを漁ると二つ支給品が出てきた。
一つは余り役に立たないだろうが、もう一つは銀色のリボルバー銃だった。

「本物、か?」

緊張した面持ちで銃を握り締めるMUR。
できれば使いたくない代物だが、迫真空手では太刀打ちできない危険人物が現れた時は使うしかないのだろう。
ふーっと息を吐きズボンのベルトに挟む。
続いて名簿を見ると部活の後輩二人に先生まで呼ばれていると分かった。
三人とも殺し合いなんて絶対にしないに決まってる。

「けど野獣とは早めに会った方が良いかもな」

恋人が見せしめで殺されたのだから、精神的にかなり参ってるだろう。
ならばこんな時こそ先輩である自分が彼の支えになってやらねば、とMURは意気込む
名簿を仕舞い今度は地図を取り出そうとし、

「おにーちゃーん!クルスくーん!どこー!」

突然外から聞こえてきた大声に心臓が跳ね上がりそうになった。
幼い少女の大声に驚いたMURだがハッとこの行為が如何に危険かに気付く。
もしこの悪趣味なゲームに乗った者が聞いたら、大変な事になる。
声の発生源である少女を止める為MURは外へ飛び出す。

12 :
声の持ち主は直ぐに見つかった。
桃色の髪にオレンジの大きなリボンを付けた可愛らしい少女だ。
周囲をキョロキョロと見回しながら、大声で知り合いの名を呼んでいる。

「クルスkモゴモゴモゴ」
「ストップだゾ!そんな大声だすのは危険だゾ」

MURは慌てて少女の口を塞ぐ。
少女は突然口を塞がれた事に抗議しようと後ろを向いた。

「わぁー!ペンギンのおじちゃんだぁ!」
「おじちゃんなのか…(落胆)」

おじちゃん呼ばわりされた事にショックを受けるMURだが、反対に少女はキラキラとした目を向けている。

「お嬢ちゃん名前は?」
「未央はー、未央って名前だよー」
「未央ちゃんか。大きな声を出して誰を探してたんだゾ?」
「お兄ちゃんとクルス君だよ。さっきの変な部屋でみつけたの」
「……未央ちゃんはあの部屋で何があったか見てたのか?」
「んーん。クルス君たちを探してたから分かんない」

無邪気に答える少女を見てMURは、こんな小さな子まで巻き込む主催者に改めて怒りを覚える。

「ねーおじちゃん。ウサちゃん知らない?」
「ウサちゃん?」
「うん、未央のお気に入りのお人形のウサちゃん。探してもどこにもないの」
「そうなのか。ごめんな、持ってないゾ」
「そっか……」

答えを聞いて悲しげに俯く未央。
その姿に心を痛めたMURはあることを提案する。

「あっそうだ。なら俺が一緒に探してあげるゾ」
「ふぇ?いいの?」
「当たり前だルォ?それから未央ちゃんの友だちも一緒に探してあげるゾ」
「わー!ありがとうおじちゃん!」

喜ぶ未央を見て頬を緩ませるMUR。やはり子どもは元気が一番だ。
MURはこのバトルロワイアルの間は自分が未央を守ろうと決意した。
こんな幼い少女を見捨てる程自分は腐ってはいないし、そんな腐った奴なら今頃AKYS先生にブチのめされている。
未央のウサちゃんと知り合いを探しつつ、併行して迫真空手部の皆を探す。
大まかな方針はこんな所だろう。

「早くいこーよおじちゃん!」
「おっそうだな(即決)」
(KMR、AKYS先生。会うのが遅くなるかもしれないけど、無事でいてくれよ)
(野獣。お前には俺達迫真空手部の仲間が付いてる。だから絶対自棄になるんじゃないゾ!)

決意を新たに歩き出すMUR。
だが彼は知らない。
守ると決意した少女は大人など容易く嬲り殺せる怪物、ニードレスであることを。
迫真空手の仲間は二人がゲームに乗り、一人は既にこの世にいないことを。

13 :
【MUR@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康
[装備]:ポッチャマの着ぐるみパジャマ@現実、雑賀孫市のリボルバー(8/8、予備弾×32)@戦国BASARA
[道具]共通支給品一式、不明支給品×1(武器ではない)
[思考]
基本:主催者に怒りの鉄拳をブチ込む
1:未央と行動し守る
2:未央と自分の仲間を探す(できれば野獣優先)
3:未央のウサちゃんを探す
[備考]


【未央@NEEDLESS】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:お兄ちゃん達に会いたい
1:ペンギンのおじちゃんと一緒に行動
2:ウサちゃんとクルス君達を探す
[備考]
※参戦時期はセツナ・梔との決別以降
※殺し合いの場である事を今ひとつ理解していません
※名簿を確認していません

14 :
投下終了です
避難所の方にも作品を投下しました。時系列としては今回のよりも後です


あっそうだ(唐突)名簿に変更を

3/3【でろでろ】
○日野耳雄/○日野留渦/○サイトーさん
3/3【the4400】
○ショーン・ファレル/○マイア・ラトリッジ・スクーリス/○イザベル・タイラー
1/1【マジキチコナンSS】
○阿笠博士

を追加します

15 :
投下します

16 :
夜空に浮かぶ満月を水銀燈はぼうっと眺めていた。
殺し合いの場には似つかわしくない綺麗な満月。
地上で行われている残虐な催しなど気にも留めずに、こちらを見下ろし淡く光を放っている。

(そういえばもうすぐお月見パーティーするんだったわねぇ…)

姉妹と昔から付き合いの少年、それにその親友。
本当なら今頃は、自宅で行う彼らとのちょっとしたイベントを楽しみにしつつ、変わらぬ日常を過ごしていたはず。
それがどうしてこんな事になってしまったのだろう。
脳裏に浮かぶのはさっきの首を吹き飛ばされた死体、ではなくその後の出来事。





61人の参加者が会場へ転送される中、水銀燈だけは飛ばされずあの場に残っていた。
余りの非現実に混乱している時あの男、GOと名乗ったロン毛の青年は言った。

『ごめんごめん。水銀燈さん、だっけ?君にはちょっと話があるから残ってもらったよ』
『ま、詳しい説明は彼がしてくれるから』

言い終わると同時にGOの背後から男が姿を現した。
茶色の背広にメガネを掛けており、某天空の城のアニメに出てくる某大佐にどこか似ていた。

『やぁ、始めまして。ここからはGO様に代わり私が説明させていただきます』

男は無表情で淡々と話す。

『まずはこれを見て欲しいんDA☆』

男は懐から何枚かの写真を取り出し水銀燈に渡す。
困惑しつつそれを受け取り見た水銀燈は、驚愕し目を見開く。
何故ならそこには妹たちの学校や自宅での様子が写っていたからだ。

『専門的なことはともかく、君達の事は全て調べ尽くしてあるんDA☆』
『その気になれば何時でも妹たちを殺せる事が、分かるだろう?』
『っ!あんた…っ!』

水銀燈は怒りを露に掴みかかろうとするが、

『まま、そう焦んないでよ』

GOが手を翳した瞬間、その場で硬直してしまう。
必死に体を動かそうとするも、まるで見えないなにかに拘束されてしまったようにびくともしない。

17 :
『付け加えるとこのゲームには二人、君の妹が参加しているんDA☆』

告げられた一言にに青ざめる水銀燈。

『生き残れるのは一人だけ。どう足掻いても両方を生き残らせる事は不可能なんDA☆』
『けれど慈悲深いGO様が君の為に特別ルールを用意してくれました。かわいそうなお友達の数が君を入れて三人になったら、その時点で脱出させてあげるんDA☆』
『これなら姉妹揃って家に帰れることが、分かるだろう?』

男が言い終わったのを見計らい、次いでGOが口を開く。

『ただし願いを叶えるのは無しだからね。あれは最後の一人になった参加者へのご褒美だからさ』
『もし妹ちゃん達が途中で死んじゃって、生き返らせたいってなったら、その時は最初に言った通り殺し合いに優勝する道を選ぶんだね』
『あ、疑ってる?大丈夫だって安心しろよ〜。俺の力でパパッと蘇らせてやっからさ』

『じゃそろそろいいよな?いこうぜもう、チャチャっと。大丈夫だろもう?よしキマリッ!』

一方的に話を打ち切ると、水銀燈が何か言う前に転送を開始。
しかし、会場へ送られる直前に思いもよらぬ事を言った。

『あっそうだ(唐突)。妹ちゃん達だけじゃなく、やる夫君とやらない夫君も参加してるから』





あれからずっと考えた。
自分はどうすべきなのかを。
誰を守り、誰を切り捨てるのかを。
考えて考えて考え続けて、決断した。

(支給品は説明書通りならどれも強力なもの。これもあいつの慈悲ってわけかしらぁ)

きっとあの二人は自分の選択を認めないだろう。
酷く罵倒され恨まれるかもしれない。

(伊藤誠、あいつまでここに居るのね。もし見つけたら…)

けれど構わない。
それで二人を、妹達を守れるなら自分はどれだけ傷ついてもいい。
手を汚すのは自分一人でいい。

(待ってなさい。お姉ちゃんが絶対助けてあげるから)


【水銀燈@やる夫スレ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:翠星石と雪華綺晶を生き残らせる
1:妹以外の参加者をR
2:やる夫、やらない夫にはできれば会いたくない
3:もし翠星石達が死んだら…?
[備考]
※GOから特別ルールを設けられました
1:残り人数が水銀燈を入れ三人になったら会場から脱出できる。
2:但し願いを叶える権利は得られない。

18 :
「説明お疲れ様。悪いね、突然押し付けちゃって」
「いえ、GO様のお役に立てて光栄です」

労わりの言葉を掛けるGOへ恭しく頭を下げる某大佐似の男。
現在彼らが居るのはあの薄暗い会議室のような部屋ではない。
窓の一切ない空間。そこに無数のモニターが存在している。
モニターの画面に映る殺し合いの様子を、GOは楽しげに眺めていた。

「おう、何勝手なことしてんだよ」

と、背後からの声に神は振り向く。
そこに居たのは黒いスーツを着たヤクザ風の男だった。

「あんなルール用意するなんて聞いてねぇぞ。どういうつもりだ?あく説明しろよ(せっかち)」
「ごめんごめん。でも別にいーじゃん。彼女、ゲームに乗ってくれたみたいだしさ」

気楽に言うGOを睨み付けるヤクザ風の男。
だがこの神が勝手な行動をするのは今に始まったことではない。
ため息を吐くと背を向け、そのまま話す。

「…次からは俺に一言声かけてからにしろよ」

それだけを言い男は部屋を後にする。
その姿を見送ったGOは再びモニターを眺め楽しげに笑う。

「TNOK君ももっと気楽に楽しめば良いのに。ねぇ、馴レーション君?」
「GO様の仰る通りDEATH!」

そう、殺し合いはまだまだ序盤に過ぎない。
62人の参加者がどんな結末を迎えるか。
それは神にも分からない。


※主催者側に馴レーション@チャージマン研!とTNOK@真夏の夜の淫夢が居ます。

19 :
投下終了です
GO is GOD

20 :
投下乙です、そしてお久しぶりです
淫夢のキャラが居ると脳内でBB劇場のように再生される

>めぐり合うM/生の裏技
ポッチャマの服着た男が女の子の口を押さえる、これは傍から見たら通報案件ですね…
MUR頑張って欲しい
>(二つ目)
水銀燈はジョーカー?と思ったけどちょっと違う感じですかね
TNOKは多分原作のような末路になると思った(こなみ)

自分もかなり久しぶりに投下します、最近色々あって…(自分語り)

21 :
24話 無為はあらゆる不道徳の母

支給されたライフルで一人の人間男性を射殺した後、修二は男の死体に近付き彼の荷物を漁った。
そして出てきたのは無骨な印象の手袋。説明書には「パワーグローブ」と有り、装備した者の力を上げると記載されていた。
「RPGのアイテムみたいだ」と半信半疑ながらも修二は手袋を装備してみる。ややサイズが大きかったがそこまで気になる程では無い。
別段何も変化は無いように思えたが、試しに近くのブロック塀に向かってパンチを繰り出してみた。

バキッ

「うわっ!?」

ブロック塀は大きく陥没し、ひび割れが広がった。
修二は男性としては余り力が無い方であり、グローブの力である事は疑いようも無い。
グローブ無しで同じ事をすれば間違い無く大怪我をする所である。

「マジか、凄いなコレ」

グローブの力を実感した修二はこのまま身に着けておく事にした。

その後、市街地を歩く内、病院らしき建物が見えた。
南市街地において一番高い建物のようで、屋上からの見晴らしは良さそうである。

(屋上から狙撃するのもアリか? あそこに行ってみようか……)

修二は病院を目指し歩みを進めた。

◆◆◆

島の南の市街地に有る病院。鉄筋コンクリートの五階建てで、南の市街地において一番大きな建物である。

「〈現実な気がしないんだけどなぁ……〉」

4階の病室の窓から外を眺めながらロシア語でぼやくのは、銀髪に犬の耳と尻尾を持つ女性、マリア・アルノーリドヴナ・ベーラヤ。
このバトルロワイアルに参加させられているトロフィム・クルトィフとウラジーミル・コスイギン同様、ロシアから日本への観光旅行途中に、
拉致され殺し合いをさせられる事になった一人である。
ゲームが始まった後も実感が湧かず、スタート地点の病院の中をうろうろと徘徊し、現在に至るのであるが、
時折どこかから聞こえてくる銃声や悲鳴らしき物、首にはめられた首輪の感触、デイパックの中に入っていた重々しく、物々しいメイスが、
殺し合いが現実の物であるとマリアに突き付ける。

「〈これからどうしようかしら〉」

受け入れたくない現実とどうにか向き合いながら、彼女なりにこれからの事を考える。
知り合いらしい知り合いは、高校の時の同級生であったウラジーミル・イリイチ・コスイギンが居るには居るのだが、
ほとんど会話した事も無い為、向こうは自分の事など恐らく覚えていないだろう。

「〈殺し合い乗っちゃおうかなぁ……〉」

ろくに知人も居ないのであれば自分が生き延びる事を最優先させようと、マリアは殺し合いに乗る事にした。
ただ、打撃武器で積極的に他者に襲いかかって、確実に全てを仕留められる程の実力は無かった為、
他にも有効な武器――例えば銃――等が欲しかった。

◆◆◆

22 :
一頻り森の中で木を切りまくり憂さ晴らしをした後、南の市街地へとやって来た青髪の半竜人少女、レカ。

「誰も居ない……上から様子見てみようか」

高所から街の様子を見ようと翼を羽ばたかせて近くの鉄筋コンクリートの古いビルの屋上へ一気に飛び上がる。
辺りを見回すと、海や古い町並みの他、一際目立つ白い建物が見えた。
どうやら病院のようだった。

「あそこに行ってみよう」

レカは次の行き先を病院に定めた。

「あら」

道路に下りようとした時に、レカは人影を発見した。
どうやら鹿獣人の男らしい。病院の方に向かって歩いて行っているようだ。

(あいつも病院に? あ、良い武器持ってるじゃない。殺して奪っちゃおう)

鹿の男が持っているライフルに目を付けたレカは音も無く飛び立った。

◆◆◆

辺りを警戒しながら目的地である病院を目指し歩いていた修二。
警戒こそしていたが、背後から音も無く滑空してくる半竜人の少女には気付く事は出来なかった。
ヒュッと風を切るような音を聞いた直後、修二は左肩に衝撃と焼けるような激痛を感じ、アスファルトの上に転がった。

「いっ……ぎゃあああああ!?」

血を撒き散らしのたうち回る修二。
何が起きたのか全く分からなかったが、凄まじい痛み、アスファルトと自分の身体を染める血、ほとんど動かせない左肩が、
自分の身に重大な事が起きたと言う事を修二に示していた。

「何だ、何が、い、いっだ」
「一気にRつもりだったのに外しちゃった」
「だ、誰だ」

目の前に降り立った半竜人の少女に修二が誰何する。
彼女の右手には血の付着した日本刀が握られていた。

「私の名前なんて、今から死ぬ人に教えても意味無いでしょ?」
「くそっ……!」

このままではまずいと、修二は何とか動く右手を先程落としてしまったライフルに伸ばす。
しかし、すぐに半竜少女がライフルを踏み付けてそれを阻んだ。尤も、手が届いたとしても構える事すら出来なかっただろう。

「悪あがきしなーい。そんな死に体でライフル使える訳無いでしょうが」
「やめろ……!」
「ちゃっちゃと死んじゃってね」

修二の身体に、思い切り日本刀が突き立てられた。
声にならない呻き声を発した後、血を吐いて修二は動かなくなった。

◆◆◆

23 :
刀身に付いた男の血を彼の衣服で拭き取った後、レカは彼の所持品を漁りライフルの予備弾を手に入れる。

「さて、本体も頂くとしますかね」

そして路上に落ちていたライフル本体に手を伸ばそうとしたその時。
レカの足を何者かの手が掴む。

「え?」
「こ、の、野郎」
「!?」

鹿の男が怒りの形相で睨みながらレカの足を掴んでいた。

「まだ、生きて、ぎゃああぁああ!?」

男は凄まじい力でレカの足首を締め上げた。
折れると思ったレカは急いで振り払おうとした。

「いたたた、やめ、放しなさいよ! 死に損ない、うわあ!!」

足を思い切り引っ張られてアスファルト上に引き倒されるレカ。
肌の露出の多い格好の彼女は固い路面に強か身体を打ち付け傷だらけになる。
だがそんな事に構っては居られぬ程、事態は逼迫していた。

「殺してやる!」

鹿の男はレカに馬乗りになると、その顔面を何度も何度も殴り付けた。

「がっ、あ! や、め」

何度も何度も襲い掛かる衝撃、激痛に、レカの意識は段々と遠のいていく。
ああ自分は死ぬのか、こんな細身の男のどこにこんな力が有るのか、色々な考えがレカの脳裏に渦巻いていたが、
今現在の状況を打破出来る考えは何も浮かんではこなかった。
男の力は彼のはめたグローブによる物だとは彼女には思いもよらなかったし考え付いたとしてもどうにもならなかったであろう。

レカの動きが完全に止まった後も男はしばらく彼女を殴り続けた。

◆◆◆

「ハァ、ハァ、ハァ、ゲホッ! ゴホッ!」

顔が滅茶苦茶になった半竜少女の上で修二は吐血する。
日本刀で受けた傷は今まで感じた事の無い激痛であり意識が揺らいだ。
内臓にも傷付いたのか喉の奥から鉄錆の味のする液体が込み上げる。

24 :
「いっでぇ……! 畜生……!」

なまじ獣人であるが故に普通の人間なら死んでいるであろうダメージでも修二はまだその命を繋ぐ。
半竜少女の身体の上から退き、奪われた銃弾を取り返し、落ちていたライフルも拾う。
それにしても痛くて苦しい。このような状態でライフルなど扱えるのか不安にも思う。

「本当に病院、行かなきゃいけないようになった……はは……」

ぼんやりとする意識の中、冗談めいた事を修二は呟く。
ふらつきながら、元々目指していた病院に向け再び歩みを進める。

◆◆◆

「う、うう」

顔の痛みに耐えながら身体を起こすレカ。

「良かった生きてる、セーフ……顔痛い……どうなってんのかな……顔、見たくないけど……」

自分の顔面が今どのような事になっているのか、確認するのは非常に怖かったものの、結局好奇心の方が勝り、
近くの店の中に入って壁に掛けられていた姿見に、レカは自分の顔を映し込む。

「うわ」

思わず声を発するレカ。
彼女の整っていた顔は腫れ上がって血塗れになっていた。
レカ自身はそこまで自分の美貌に気を使う性質では無かったもののそれでもショックを受ける酷い有様である。

「自分の顔ながら酷……女の子の顔殴るなんてあの鹿サイテー!
いたたたた……次会ったら絶対殺してやる! ……取り敢えず顔、洗お……」

鹿の男への憎悪を口にしつつ、レカは一先ず顔を洗いに向かう。

◆◆◆

「〈何か争う声が聞こえたような〉」

病室の開け放たれた窓から風に乗って微かに聞こえてきた男女の争うような声に反応するマリア。
それは普通の人間であれば絶対に聞こえないであろう本当に微かな物だったが半獣人であり、
普通の人間より聴覚に優れるマリアには聞き取れた。

「〈小さかったけど聞こえるレベルって事は、結構近く? 嫌だな……〉」

殺し合いに乗る事を決めたとは言え、今はまだ平穏で居たかった。
強者が近くに居ない事をマリアは祈る。

手負いかつ銃を持った一人の男が、現在病院に近付いてきている事にマリアはまだ気付く由は無い。

25 :
【明朝/F-6病院】
【マリア・ベーラヤ】
状態:健康
装備:メイス
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り、優勝を目指す。但し身の安全を優先し無茶はしない。良い武器が欲しい。ウラジーミルについては放置。
備考:特に無し。

【明朝/F-6病院周辺】
【緒方修二】
状態:左肩に裂傷、上半身胸部付近に貫通刺創(共に出血多し)
装備:パワーグローブ、レミントンM700(3/4)
持物:基本支給品一式、7.62mm×51mm弾(12)
現状:殺し合いに乗り、優勝を目指す。病院を目指す。傷の手当てがしたい。
備考:レカ(名前未確認)は死んだと思っている。

【明朝/F-6病院周辺】
【レカ】
状態:顔面打撲、右足首に痛み
装備:日本刀
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り、優勝を目指す。顔の手当をした後病院へ。
備考:緒方修二の容姿のみ記憶。修二からは離れた所に居る。

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《キャラ紹介》
【マリア・ベーラヤ】
年齢:20代前半〜半ば位
性別:女
種族:犬系半獣人
特徴:銀髪に犬耳と尻尾。美人。私服姿
職業:不明(無職では無いらしいが)
備考:フルネームはマリア・アルノーリドヴナ・ベーラヤ。ロシアより日本へ観光途中に今回のロワに巻き込まれる。
同人誌を買い漁ったり食べ歩きをしていたらしい。善人でも悪人でも無い。

《支給品紹介》
【パワーグローブ】
支給者:黛康裕
分類:補助
説明:装備すると力が上がる特殊な手袋。クロノ*リガーの「パワー手袋」が元ネタ。

【メイス】
支給者:マリア・ベーラヤ
分類:鈍器
説明:金属製の棍棒。重量が有り威力が高い。
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26 :
投下終了です。

もっとはっちゃけたいなぁ俺もなぁ

27 :
投下乙です

レカは前回に続きやられてばっかりじゃないか(呆れ)
何とか生き延びた修二も、この重症じゃヤバいぞ
そして自ロワへの感想ありがとナス!

28 :
感想どうもです

投下します

29 :
25話 色々やっちゃうきつねくん

狐獣人の美しい顔立ちと身体を持った青年、隠塚英紀。
彼は淫乱な娼夫である。男相手に尻を振るのが彼の仕事。殺し合いに巻き込まれても相変わらず彼の脳内は桃色。

「殺し合いなんてしたくない……そんなものより、僕はオ*ニーしてる方が好き……あふぅ」

民家の一室で寝そべりながら己を扱く英紀。
彼の周りには既に丸まったティッシュが幾つも転がっていた。

「あー、またいく、いっちゃう、あ、ああ〜」

大げさに声を上げながら何回目か分からない絶頂に達する英紀。

「はぁ、はぁ、気持ち良い〜……何か死と隣り合わせってだけで、いつもより感じちゃう」

いつ死ぬか分からないと言う状況は彼の性感を増大させる要因となったようだ。

「あのー」
「ハッ」

不意に声を掛けられ少し驚きつつ声の方向に顔を向ける英紀。そこにはいつの間に家に入ってきたのか、
人間と獣人の少女がやや引き気味の表情を浮かべ英紀を見ていた。

「いつの間に、君達……僕の恥ずかしい姿見てた?」
「まぁ見てたけど」
「取り敢えず大声出すのは危ないわよ」

やんわりと咎める二人――大木弓那とコンゼノア。
二人はD-6エリアの森から現在のC-6エリア畑地帯へと移動し、何やら青年の喘ぎが聞こえる民家へと入った結果、
全裸で自慰をする狐の青年を発見したのだ。

「ごめんね、女の子に男の裸を見せちゃって、でも服無いんだ、勘弁してね……」
「まあ裸そのものは平気だけど」
「わたしも」
「そうなの?」
「取り敢えず白いの拭いて」

弓那がぶっきらぼうに英紀に言う。
彼の腹から胸にかけて、発射されたばかりの白く濁った液が飛び散っていた。
恥じらいながらティッシュで身体を拭く狐の青年の傍で小声で協議する弓那とコンゼノア。

「弓那、こいつ大丈夫? 放っておいた方が」
「まあ、害は……どうなんだろ」
「殺し合いの最中に大声出してオナ*ーしてるなんて頭がおかしいと思うんだけど」
「もうちょっと様子見してみよう」
「聞こえてるよ……」

小声だったが距離がいかんせん近い為英紀に聞こえてしまっていた。

「頭おかしいのは否定しないけど……僕は君達に変な事しようなんて思ってないよ。安心して」
「そんな格好で言われても、説得力無いんだけど」
「まあまあコンゼノア。私は大木弓那。こっちは今言ったけどコンゼノアって言うの。貴方は?」
「僕は隠塚英紀……娼夫をやっている……あふぅん」
「何もしてないのにやらしい声出すのは何だか殺意が沸くからやめて。それはともかく、殺し合いには乗ってないのかな? 隠塚さん」
「うん」
「なら仲間にならない?」
「ええ!? 本気なの?」

こんな淫乱変態を仲間に加える気かと抗議するコンゼノア。

30 :
「悪い奴では無さそうだし同志は多い方が良いでしょ。あ、エロい方の同志じゃないから勘違いしないでね」
「い、いやその辺は大丈夫だけど」
「僕みたいな淫乱きつねで良ければ……仲間になるよ……」

難色を示していたものの結局コンゼノアは英紀を仲間に加える事を承諾した。

「宜しくね弓那ちゃんにコンゼノアちゃん……お尻を掘られたいよう」
「腰をクネクネさせんな!」
「隠塚さんは何支給されたの?」

いやらしく腰を振る英紀に突っ込むコンゼノアとスルーして支給品について訊く弓那。

「僕の支給品、何だろ」
「え? まだ確認してなかったの? 殺し合い始まってそこそこ経ってるんだけど」
「始まってからずっと*ナニーしてたから……うふふ」
「……」

呆れるコンゼノア。弓那は特に表情は変えず。英紀への対応の仕方を彼女なりに編み出したのだろうか。
そして英紀がデイパックから出した物は。

「これって」
「うわ」
「すごく……おおきいです……」

旧ソ連の開発したロケットランチャーの一種「RPG-7」。
予備のロケット弾も三発入っているが既に本体には一発装填されている。

「こんなのがどうやってデイパックのn」
「それは触れちゃ駄目な奴だからコンゼノア。しかしまあ、大当たりじゃないの」
「でも使いこなせるかなあ」

試しに構える英紀。重量は有るがどうにか構える事は出来そうだった。

「ちょっと、説明書読まないと……」

弓那が忠告しようとしたその時。

カチッ

あろう事か、英紀はうっかり引き金を引いてしまった。

激しいバックブラストが起き、室内は破壊され、発射されたロケット弾は窓を突き破りどこかへと飛んで行った。

「「……」」

少し煤に塗れながら、呆然とする弓那とコンゼノア。
幸い怪我は無かったが一歩間違えればバックブラストで焼死していた所であった。
英紀もまたしばらく呆然としていたが、やがて自分が何をやらかしたのか理解すると二人の方を向いて、

「てへぺろー」

直後に弓那の顔面ストレートとコンゼノアのボディーブローが炸裂する事となった。

31 :
◆◆◆

さあ放たれたロケット弾の行方は。
一つの民家。そしてその民家の中には。

「そろそろここを出ようかなあ……」

黒狐の女憲兵、山津有岐。
身を潜めていた家からそろそろ出発しようか考えていた時だった。

突然の爆発。

民家は大破。

辺りには民家の破片が飛び散り、僅かに火も燻る。

「……」

瓦礫の中、服が部分的に焼け焦げ、破片で裂傷をあちこちに負いながらも辛うじて助かった有岐が立ち上がる。

「……え? え? 何?」

まさか遠くから発射されたロケット弾が着弾したとは知る由も無い有岐は何が起きたか分からず立ち尽くしていた。


【明朝/C-6畑地帯石井家】
【大木弓那】
状態:健康、煤塗れ
装備:特殊警棒
持物:基本支給品一式
現状:殺し合う気は無い。黒牙の捜索。コンゼノア、隠塚さんと行動。隠塚をシメる。
備考:レカの容姿のみ記憶、危険人物と判断。

【コンゼノア】
状態:健康、煤塗れ
装備:IMIミニウージー(32/32)
持物:基本支給品一式、ミニウージーのマガジン(5)
現状:殺し合いはしたくない。死にたくない。弓那、隠塚と行動する。隠塚てめぇ何してんだコラ!!
備考:レカの容姿のみ記憶、危険人物と判断。大木弓那より黒牙の情報を入手。

32 :
【隠塚英紀】
状態:弓那とコンゼノアにシメられている
装備:USSR RPG-7(0/1)
持物:基本支給品一式、85mmロケット弾(3)
現状:殺し合いはしない。男に*されたい。そして弓那ちゃんコンゼノアちゃんすみません許して下さい何でもしますから!
備考:特に無し。

【明朝/C-5畑地帯福原家】
【山津有岐】
状態:身体のあちこちに裂傷と軽い火傷、服が部分的に焦げている
装備:直刀
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。って言うか何が起きたの……?
備考:特に無し。

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《キャラ紹介》
【隠塚英紀】
読み:おんづか ひでのり
年齢:24
性別:男
種族:妖狐獣人
特徴:黄色と白の毛皮。部分的に赤い模様が有る。女性的ないやらしい体付きで美形。全裸
職業:娼夫
備考:捨て子だったのを娼館の主人に拾われ娼夫として育てられた。
とても淫乱で年中発情しているが、思いやりの有る一面も有り存外善良だったりする。
妖狐の獣人で、ある程度妖術的な物が使えるらしいがろくに修行はしていないので使いこなせてはいない。

《支給品紹介》
【USSR RPG-7】
支給者:隠塚英紀
分類:銃火器
説明:旧ソ連が1960年代に開発したロケットランチャーの一種。
「RPG」は「Ruchnoy Protivotankovyi Granatomet」(携帯式対戦車榴弾発射器)の意。
構造が単純で扱いは比較的容易。85mmのロケット弾を用いる。
----

33 :
投下終了です

何か結構筆が乗ったなぁ今回

最初はM202ロケットランチャーの予定だったが(コマンドーやバイオ1、3に出てたアレ)変更した

34 :
投下乙です
支給品の確認より自慰を優先するとかこいつすげぇ変態だぜ?
俺オリロワの黒牙と弓那の最期は切なかったけど、今回はどうなるんだろう

自分も投下します

35 :
「ふざけんなっ!!」

江戸川コナン―――工藤新一は憤怒の形相で、この悪趣味なゲームの主催者へ怒りの言葉を吐いた。
今まで数多くの凶悪な事件を解決してきたが、今回のは特に悪辣で残虐だ。
笑いながらひと一人の命をあっけなく奪い、大勢の人間に殺し合いを強要する。
これほどの異常な事件は、さしものコナンも初めてである。
コナンはキッと空を睨み、今もどこかで自分達を嘲笑っているであろう主催者に向け話す。

「あんたが何を考えて、こんなふざけた真似をしたのかは分からない。
けど俺は人を殺したあんたを、大勢の人の手を血で染めるよう仕向けたあんたを絶対に許さない。
必ずそこに辿りついてやる」

だから待ってやがれ、と啖呵を切る。
必ず殺し合いを止め、お前を捕まえると宣言する。
するとその強い声を聞いたであろう参加者が、手を振りながらコナンの方へやってきた。

「コナン君?コナン君ですか!?」
「ホッホ。無事じゃったか」

聞き覚えのある声に驚き、顔を向けるコナン。
そこにはそばかすの少年と恰幅の良い老人が居た。

「光彦!それに博士も!」

仲間である円谷光彦と阿笠博士。会場に飛ばされて早々仲間と再会できるとは何と運の良い。
コナンが安堵の笑みを浮かべて駆け寄ると、同じく二人も笑顔でいた。
共に仲間と合流できたことに喜び合う三人。

「灰原さんも無事だといいんですが…」
「ああ、状況が状況だ。なるべく急いで見つけないとな」
「ホッホッホ」

この二人以外に連れて来られている仲間の少女。
如何なる時も冷静沈着で、コナン不在の際には少年探偵団を纏めたりと、頼りにしている相棒。
そう簡単に死ぬようなタマではないが、流石にこんな事件に巻き込まれるのは彼女も始めてだろう。
加えて光彦は知らないが、ここには黒の組織の殺し屋、ジンまで居る。
あの危険極まりない男の事だ。ほぼ確実に殺し合いに乗っているだろう。

36 :
「いや〜しかし改めてとんでもない事になったのう!」
「おいおい博士…。笑い事じゃないだろ」
「ホッホ!」

殺し合いの場には似つかわしくない陽気な声で笑う阿笠。
顔を顰め窘めるコナンだが、聞いているのかいないのか阿笠は尚も朗らかに笑う。
その様子に若干の呆れと苛立ちを覚えつつ、再度声を掛けようとした時、光彦がそっと耳打ちしてきた。

「コナン君。実は最初に会った時から、博士の様子が変なんですよ」
「変?」
「はい。今みたいにやけに呑気な感じで…。初めは場を和まそうとしてるじゃないかって思ったんですが、
何ていうか、明るすぎて不自然というか…」

不安気な光彦の言葉に、思わずコナンは阿笠を横目で見る。
相も変わらず笑みを浮かべているその顔は、光彦の話を聞いた後だとどこか不気味に感じる。
工藤新一の頃から阿笠と付き合いのあるコナンだが、そんな彼から見ても今の阿笠は違和感を感じる。
あの笑みはまるで、この残酷な催しを喜んでいるかのような――

「さて、こうして光彦君達と会えたことじゃし、そろそろ始めるかのぉ」

と、唐突に話し自分のデイバッグに手を入れる阿笠。
バッグから出した手には幾つかのスイッチが握られていた。
それは何だとコナンが聞くよりも先に、阿笠が気軽にスイッチを押した。



「できたぞ新一!光彦君の肛門が破裂するスイッチじゃ!」



「は?」とコナンが思ったのも束の間、

「ぎゃあああああああああああああ!!??!?」

背後から絶叫が響いた。
驚いたコナンが振り返ると、ズボンの後ろを真っ赤に染めた光彦がのた打ち回っていた。

「お、おい!どうした光彦!?」
「こ、コナン、君。僕のお尻が。あ、アァァァァ……」

光彦は涙を流し苦痛を訴える。臀部からの出血で染められたズボンはとても痛々しい。
唐突すぎる惨劇に困惑しながらも、コナンは原因を作り出したであろう阿笠を睨む。

37 :
「おい!何のつもりだよ博士!」
「んー?なーにを怒っておるんじゃ新一?」
「当たり前だろ!何で光彦にこんな真似を…っ!」
「ホッホッホッ。今更なに善人ぶっとるんじゃ。光彦君はワシらの玩具でいいんじゃ、上等じゃろう?」

その言葉に愕然とするコナン。
今の阿笠は正気じゃないとかそんなレベルじゃない。
自分の知り合いの姿をした別のナニか。
ドス黒い狂気に支配された、モンスターと話しているような気分にコナンはなった。
だが背後から聞こえる、光彦の呻き声がコナンを正気に戻す。
とにかく今は光彦を連れて逃げることが先決だ。その為にも別のスイッチを押そうとしている博士を何とかしなくては。

「コナン君…」
「大丈夫だ光彦。俺がなんとか博士を「ぼくの…」え?」
「僕の支給品、に…」

光彦は激痛に耐えながらも何かを訴えようとする。
言われるがままに彼のデイバッグを開き、中を探ると見覚えのあるものが出てきた。

「これは…!」

「さーて!では次のスイッチを押してみるかのう!」

再び光彦を傷付けようという阿笠の宣言に、顔を青くする光彦。
それを聞いたコナンは、急いで靴を脱ぎデイバッグから取り出したモノを履き直す。
次いで更にデイバッグからボールのようなものを取り出し、足元に置く。
これで準備はできた。

「ではいくぞい!光彦君nブルギイアアアアアアアアアアア!!!」

スイッチを押す直前、顔面にボールのようなものがブチ当たり、阿笠は大きく吹き飛ばされた。
光彦のデイバッグから取り出した支給品、キック力増強シューズでコナンがボールのようなものを蹴り飛ばしたからだ。
今まで犯人確保の為に用いてきたこの道具を知り合い、しかもトチ狂った製作者本人に使用するとは、コナンも予想できなかったことだが。
何にせよ逃げるなら今の内だ。光彦を背負うとコナンは急いでその場から離れた。

(クソッ。博士、一体どうしちまったんだよ!)

子どもの体になった自分の為に数々の発明品を提供し、助けてくれた信頼できる仲間。
そんな彼が何故あんな凶行に走ってしまったのか、全く分からない。
阿笠ならば、自分達の首に巻きついている爆弾も何とかできるかもしれないと期待していたが、あの調子ではとても無理だろう。
光彦の治療、灰原との合流、ジンや阿笠への対処。更に首輪の解除と主催者の居場所の捜索に、会場から脱出する手段の模索。
すべき事は余りに多く、頭が痛くなる。

「こ、コナンく…」
「どこか傷の手当をできる所まで連れてく。心配すんな光彦」

それでも諦めるつもりなど無い。
自分がここで足を止めれば、今背負っている少年は誰が助けるというのか。
主催者の望むように殺し合いを進めさせてなるものか。

今一度殺し合いを止める決意をし、名探偵は駆け出した。

38 :
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いを止め、主催者を捕まえる
1:光彦を連れてこの場から離れる
2:灰原の捜索
3:ジンと博士を警戒
4:首輪を外す方法を探す
[備考]
※参戦時期は原作85巻、緋色のエピローグ終了後


【円谷光彦@名探偵コナン】
[状態]:肛門破裂、精神疲労(中)、コナンに背負われている
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜1
[思考]
基本:生きて帰りたい
1:お尻が……
2:灰原さんを探す
3:博士…どうして…
[備考]
※参戦時期は原作28巻以降のどこか


【キック力増強シューズ@名探偵コナン】
円谷光彦に支給。
スイッチを入れると電気・磁力によって足のツボを刺激し、筋力を高めることが可能。
主にボール等を蹴り犯人の撃退・確保に使用されている。



「やってくれたの〜新一ィ〜」

傷ついた頬を撫でながら、阿笠は忌々しげに吐き捨てる。
散々自分と共に光彦で遊んでおきながら、急に彼の味方をするとは。
この傷の礼はたっぷりとしてやらねばと、阿笠は歪んだ決意をする。

「それにしても殺し合いとはのぅ。随分面白い事をしよる」

光彦を痛めつけるのも良いが、まだ見ぬ他の誰かを標的にするのも悪くない。
哀やまだ見ぬ美女・美少女を弄ぶのも良い。
おまけに優勝すればどんな願いでも叶えてくれるという。これは乗らない訳にはいかない。

「何を叶えてもらうか今から夢が広がるのう!げひゃひゃひゃひゃひゃ!」

39 :
【阿笠博士@マジキチコナンSS】
[状態]:右頬骨折
[装備]:光彦スイッチ各種@マジキチコナンSS
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:ゲームをたのしみつつ優勝を目指す
1:まだまだ光彦君を虐め足りんのう
2:新一には後でたっぷり礼をしてやるぞい
3:他の参加者を探し遊ぶ
[備考]
※阿笠博士は二人参加していますが、名簿にある阿笠博士の名は一つだけです

※近くにやるオプーナのボンボン@やる夫スレが落ちています


【光彦スイッチ@マジキチコナンSS】
阿笠博士に支給。
「できたぞ新一!光彦君が○○するスイッチじゃ」というシリーズのSSに登場するスイッチ。
酷く突飛だったりマジキチな効果のものばかりだが、唯一共通するのは毎回光彦が悲惨な目に遭うという事である。

【やるオプーナのボンボン@やる夫スレ】
円谷光彦に支給。
やるオプーナの頭部に付いているボンボン。

40 :
投下終了です
光彦スイッチSSは比喩とかじゃなく本当にマジキチなのばっかなので、くれぐれも軽い気持ちで見てはいけない(戒め)

41 :
投下します

42 :
走る走る走るとにかくひたすら走る。
翠星石はやる夫から逃げるため、森の中を一心不乱に駆けていた。
やがて一際大きな木の前まで来ると、体力も限界なのか、根元に座り込んだ。

(もう追ってこねぇですか…?)

木の後ろに隠れつつ、顔を覗かせ様子を窺う。
暫く経ってもやる夫は現れなかったので、どうやら振り切ったと判断し、大きく息を吐いた。
疲れと恐怖で心臓が未だに、激しくドクドクと鳴っている。

「うぅ…」

膝を抱え涙を流す翠星石。
やる夫は絶対に殺し合いなんかには乗らないと信じていたのに。
結局彼もこの状況では、我が身が一番だったのだろうか。
まさかやらない夫や、姉と妹まで自分だけが助かる為に、殺し合いに乗ってしまっているのではないか。
ショックと恐怖と疑心暗鬼が頭の中でごちゃ混ぜになり、翠星石はおかしくなりそうだった。

「どうしたの?」

突然声を掛けられ、翠星石はきゃっと悲鳴を上げる。
何時の間にか自分の直ぐ傍に黒髪の女が居た。
女は長髪の間から覗く陰鬱な顔で翠星石を見つめ話す。

「ひとりぼっちで、泣いていたの?」
「こ、こっちに来るんじゃねーです!」

翠星石は尻餅を付きながら後ずさる。
突如現れた女は、森の不気味な雰囲気と相まって幽霊のように見えた。
必死で逃れようとするも、女はゆらゆらと揺れながら距離を詰めてくる。

「あなたも一緒ね。市といっしょ。暗闇の底にひとりぼっち」
「お、お前の事なんか翠星石は知らないですよ!」
「みんな市を置いていなくなる。ひとりはいや、ひとりはいやなの」
「な■■■さまも■■■さまも■ん■■君も」
「やっと会えた■■さまも」

43 :
会話が通じていないと翠星石は思った。
女はこちらに近付きながらも、翠星石ではないどこかを見て話している。
翠星石の心には、銃を撃ってきたやる夫とは別種の恐怖が湧いてきた。

「でも大丈夫。またみんなといっしょにいられる」
「だから」
「だから、ね」

女と翠星石の目が合い、

「あなたも市の傍にいてね」

女の後ろで闇が蠢いた。

闇はまるで生き物のようにグネグネと動き形を変える。
目を見開く翠星石の前でソレは巨大な手へとなり、女を守護するように纏わり付いた。
同時に女が不気味で、それでいてどこか蠱惑的な笑みを浮かべる。

「さぁ、市といっしょに……ね?」
「ひっ…」

怯え涙を流す翠星石へ、女と手が近付く。
逃げようにも腰が抜けて立てない。
もういやだ。どうして自分ばっかりこんな怖い目に遭うのだろうか。
誰でもいいから助けに来て。

「すす、翠星石からは、離れるお…!!」

ダァンと銃声がし、女が痛みに呻く。

「うあっ……」
「ひっ!な、なに…?」

突然の銃声と聞き覚えのある声。
翠星石がそちらを向くとそこには、銃を構えた小太りの少年、やる夫が立っていた。
両手で構えた銃からは硝煙が昇っている。
やる夫は女へ銃を向けながら、翠星石に話しかける。

44 :
「だ、大丈夫かお翠星石。今の内にこっちに来るんだお!」

その言葉に安堵しかける翠星石だが、直ぐに思い直しやる夫を涙目で睨む。

「そんな言葉には騙されねーですよ!このお化け女の後で、翠星石もR気でしょう!?」
「なっ、そんな事しないお!やる夫は翠星石を助けに…」
「嘘です!やる夫は自分だけが生き残るために、翠星石を殺そうと思ってやがるです!」

半狂乱になりながらやる夫を拒絶する翠星石。
全ては偶然が引き起こした不幸な事故なのだが、翠星石にはそんな事分からない。
殺し合いという異常環境に加え、幼馴染に殺されかけるという悲劇。更に気が触れたとしか思えない女に襲われた。
これらの出来事は臆病な翠星石の心を蝕むには十分だった。

「だからちげーお!翠星石、頼むからやる夫の話を「いたい…」」

やる夫の言葉を低い声が遮る。
二人の言い争いに比べるとずっと小さい声なのに、不気味な程ハッキリと聞こえた。

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい」

女は壊れたラジオのように、延々と呟きながらやる夫を睨む。
その途端、全身に冷水を掛けられたような震えが走った。

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい」

その声が耳に入り、女の顔が視界に映り、やる夫は我を忘れて叫びたくなるほどの恐怖に襲われた。
それでも、視界の隅に自分と同じく恐怖に包まれている翠星石が見えたお陰で、何とか正気を保てている。

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい」

女が緩慢な動作で腕を上げると、足元から無数の黒い腕が生えた。
腕はやる夫と翠星石の方へゆっくりと伸びてくる。
まずい、早く止めなくては。もう一度銃を撃って止めろ。
頭でそう思っても、恐怖で固まった身体は言う事を聞いてくれない。

「あっ」

そして視界が黒一色に染ま――――



「ちょっと刃ぁ当たんよ〜」



―――らなかった。

45 :



「あなたも市に酷いことするのね…」
「こっちにも事情があるからさ。早く死んでくれよな〜頼むよ〜」

銃声やら言い争う声やらを聞きつけた野獣先輩は、ビーストドーパントの身体能力ですぐさまそちらへ向かった。
全ては遠野を生き返らせる為。その願いを胸に見つけた女を爪で切り裂こうとした。
しかし女は咄嗟に黒い腕を交差させ迫る一撃を防御、野獣の奇襲を防いだのである。

(こいつもドーパントなのか?)

足元や背後で蠢く黒い腕。
あれはガイアメモリの力で生み出しているのかと考える野獣。
だが完全な異形と化した己と違い、向こうは人間としての姿を保っている。

(まぁ、どうでもいいっすけどね〜)

相手が人間だろうが化け物だろうがどうでもいい。
どうせ自分以外は全員Rのだから。
女の近くには高校生くらいの少年と少女が気絶し、倒れていた。
見た所、ガイアメモリのような道具は持っていないようだ。
ならばまずはこの気味の悪い女を始末し、それから少年少女をR。
野獣はそう決めると脚に力を込め、対峙している女へ襲い掛かった。


【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康、ビーストドーパントに変身中
[装備]:ビーストメモリ@仮面ライダーW
[道具]:共通支給品一式×2、不明支給品1〜3(KMR)
[思考]
基本:優勝して遠野を生き返らせる
1:女(お市)を殺し、気絶した二人(やる夫、翠星石)をR
2:皆殺し。MUR達に会っても容赦はしない
[備考]
※参戦時期は遠野と幸せなキスをした直後


【お市@戦国BASARA】
[状態]:疲労(小)、右肩に銃創
[装備]:
[道具]共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:?????
0:?????
[備考]
※戦国BASARA3、お市紫ルート『本能寺の変』開始直後からの参戦

46 :
【入速出やる夫@やる夫スレ】
[状態]:疲労(大)、精神疲労(中)、気絶
[装備]:TNOKの拳銃(4/6)@真夏の夜の淫夢
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いはしない
0気絶中
1:翠星石の誤解をどうにかして解く
2:やらない夫たちを探す
3:伊藤誠には会いたくない
[備考]


【翠星石@やる夫スレ】
[状態]:疲労(大)、精神疲労(大)、錯乱中、気絶
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:死にたくない
0:気絶中
1:やる夫もお化け女(お市)も怖い。誰を信じたらいいか分からない
[備考]

47 :
投下終了です

48 :
板の設定が変わって、二日書き込みがないと落ちるとのこと
ここも気をつけて

49 :
マジですか……
早く書かなきゃ(使命感)

50 :
あげ

51 :
こんばんは
今日からここで非リレーを書かせていただこうと思っています、これからよろしくお願いいたします
目標は毎週更新と、完結する頃には文章力の向上を
OPのみ、投下します

52 :
男と女がいる。
男は緑色のスーツに身を包み、分厚いレンズの眼鏡をかけている。
女は黒のコートを纏い、髪を腰まで垂らしている。
「上手く行くでしょうか」
と男が不安そうに言った。
「何を不安がる?首輪がある、『ジョーカー』がいる、『エンペラー』がある。これだけ準備して、お前はいったい何を不安がるんだ、愛すべき同志よ」
「それでも彼らなら踏破するかもしれない。それだけの逸材を揃えたと自負しています」
「ならば何も問題はない。それだけの難行を突破した猛者ならば」
私の相手に相応しい、と女は獰猛に笑った。
頼もしい、と男も笑った。
「あなたという強力な同志が出来たことは、私の短い人生で一番の幸運なのかもしれません。何しろ、こと他者の殺害において、あなたの右に出る者はいない」
「まあ、だからこそ私はジョーカーとして殺し合いに参加することはできないんだがな。私が参加するということ、それはつまり、参加者の全滅エンドということなのだから」
大言壮語だと誰もが思うだろう。が、二人の間ではそれは今更証明する必要もない常識だった。
「だから弟子にですか」
「まあ、愛すべき弟子ならばそれほどワンサイドゲームにならないだろう。それに私はあくまで殺害者。防衛者ではない。依頼は全て成功してきたが、依頼者を全て守ってきたわけではない。私が参加者に敗北して愛すべき同志が死ぬ可能性も十分にある」
「……手は抜かないでくださいね」
「勿論。十全は尽くすさ」
では、そろそろ始めましょう。と、男は言った。
ああ、はじめようと女は笑った。



『今から君たちに殺し合いをしてもらう』
ああ、またかと女は思った。


「何故、君みたいな小さい子がこんなところにいるんだい?」
部屋の中にはロッカーがいくつかと、シャワー室が二つ。
そして、自分と筋肉質の若い男。
ここは、更衣室だ。

53 :
男子用でも女子用でもないが、自分以外に使っているのはみんな男なので、どちらかというと悪いのは自分なのか。
「そりゃあ私が参加者だからだよ。出るのはお前の後だから、戦うことはないけど」
「僕が言いたいのは」
と、男は続けた。
「何故、君が闘技場に出るんだい?」
「何でだと思う?」
と、私は言い返す。
「……下卑た理由しか思いつかないな」
「それ、本人の前で言う?」
今のは、ちょっと意地が悪すぎたな、と思う。
年齢はともかく、闘士としては自分のほうが先輩なのだから、もっと大人な対応を。
「……すまん、確かに不謹慎だったな」
「……へえ、変わってるね、あんた」
てっきり怒ると思ったのに、まさか謝られるとは。
自分でも生意気だと思う態度に、真摯な対応をするこの男は、何故こんな地下にいるのか。
少し興味が湧いた。
「あんたはさ、なんでこの闘技場に出るわけ。はっきり言って場違いだよ」
「お金さ。僕みたいな若者が普通に働いても絶対に稼げないような、そんな額が必要なんだ」
その言い方は、と私は思う。
「誰かのためなんだね?」
「妹だ。年は、たぶん君とおなじくらい。病気なんだ」
世界には、こんな男もいるのか。
初めて見るタイプだった。
「今日の戦いが終わったら、ちょっと話さない?先輩として色々アドバイスしてあげる」
「君は、僕の後だったね。……もし、君が怪我をしそうになったら、助けに入る」
「私の試合まであんたが立ってたらね」
そこで会話が終わって、男は更衣室を出て、闘技場へと歩いて行った。
「そういえば、名前聞いてなかったな」
優しい男だ、と思う。
でもだからこそ長生きできるタイプではない。
この闘技場で闘わされる相手はそんじょそこらの相手ではない。
元軍人、元極道、元プロレスラー。これに当たれば、まだ幸運だ。彼らは、格闘のプロだが、慣れないうちは、まだ動きに迷いがある。
弱った相手の体をめちゃくちゃにして、相手をR覚悟がない。

54 :
相手が死ぬまで戦いを続行する、闘技場のルールに精神が追いつかない。
「運が悪いと、しょっぱなから人外だからねえ。猪とか、虎とか、熊とか」
奴らは、そういう葛藤がない。野生とは、それだけ恐ろしい。
そういうのと当たって、死んでいく男は何度も見てきた。
同情はするが、助けようとは思わない。
「だって、わたし運営(こっち)側だし」
自分は捨て子で、拾ってくれたのはここの闘技場の経営者で、今よりもっと幼い頃から余興として、闘技場に参加してきた。
5分経った――そろそろ行こう。

歓声が鳴り響いている。
自分へ、ではない。
ちょうど今決定された闘技場の勝者へと、熱気が注がれている。
筋肉質の若い男は、息こそ上がっているが、目だった外傷は無い。
中央には、柔道着を着た大男が大の字で倒れ、はだけた胴着の下に文字通り、大穴が開いていた。
「へえ、やるじゃん」
あれはたぶん、一撃で殺した傷だ。
この男は、最初の『相手をR』というハードルをクリアした。
彼はこちらに気が付き、近づいてくる。
「なんだ、てっきりボクシングジムとか、空手の道場に通っているんだと思ってた。でもあれ、そういうのじゃできる傷じゃないよね」
「僕は、無双八拳流だ」
聞いたことがない流派だ。しかし中国ならともかく、現代日本にこんな暗殺拳まがいのものがあるとは。
「で、あんたはそこの師範代とかそんな感じなわけ」
「いいや、道場には僕より強い者が3人いた。師範代なんて、とてもとても」
「それはまた、面白い話だね」
私は笑う。
闘争心が擽られる。
ああ、この男は良い奴だ。でも、私は良い奴じゃないし、良い奴になろうとも思わない。
「んじゃあ、次は私の番だ。ただの冷やかしじゃないことを示してやる」
「危なくなったら、すぐ助けに入る」
「いや、それ失格だから。あんたそんなことしたらお金貰えないよ」
「君みたいな小さい子が怪我するところを見過ごせるわけないだろ」
「損な生き方だね」

55 :
じゃあかすり傷も負わずに、敵を倒さなければ。
「それに、ここは死ぬまでやるルールだ。私は今から人をRかもしれないんだよ?」
「……それも止める。たとえ君を怪我させてもな」
本当に損な生き方だ。
「あんた名前何て言うの?」
「国枝蓮根」
「蓮根……れんこん?」
「変な名前だと思うかも知れないけれど、本名なんだ。笑いたきゃ笑えばいいさ」
その拗ねたような口調が今までの優等生ぶった態度とのギャップで、ちょっと面白い。
「私の名前はユウキ。苗字はなくて、ただのユウキ」
「色々複雑な事情のようだね」
「それ、本人に直接言う?」
すまない、と蓮根が謝る前に、私は闘技場へと足を踏み入れた。
その瞬間
「―――――――――――――――――――――――――――――――――――ォォオ!」
さっきまでの蓮根に向けられたそれの比ではない、歓声が私に注がれる。
後ろから蓮根の戸惑う声が聞こえて、ますます私の心を喜ばせる。
そうだ、私はすごいんだ、すごいユウキちゃんだ。
と、闘技場の中央に移動した私に、名ばかりの審判が話しかける。
それに適当に対応する。
聞かれることは毎回そう変わんないし。
好きな食べ物、嫌いな食べ物、好きなタイプ、嫌いなタイプ。
一回マジセクハラをかましてきた奴がいたから、ぶっ殺してやったこともあったが、結果的にお客様に受けたので、OKだった。
お客様は大抵金持ちで、血に飢えている。
そうしている間に、私の対戦相手が闘技場に現れる。
「――ライオン、か」
それも大きい、2メートル、いや3メートル。サバンナにはこんなでかいライオンがいるのか、世界は広い。
ライオンはぐるぐる、と喉を震わせた。闘技場の猛獣は、普段から人の肉を喰わせ、人に対する執着を強めている。そのうえ、本番三日前から、エサを抜くので、生まれるのは、空腹で人肉大好きな肉食獣だ。
後ろで駆ける音がする。きっと蓮根が私を守ろうとしているのだ。
落ちつけよ、と思う。
たぶん、蓮根は私の相手は私と同じくらいの年齢の子供で行われるのはキャットファイト紛いの戦い、もしくは大の男に私が一方的にぼこられるリンチ劇、そんなことを想像していたのだろう。

56 :
急がねえとな、とも思う。
蓮根が戦いを邪魔する前に、傷を負わずに、このライオンを殺さねば。
そう、難しい話ではない。
だって私は、こういう猛獣相手に、7年間無敗だったのだから。
私は地を蹴って、ライオンに躍りかかった。
歓声が、更に大きくなる。
私の戦う理由はこれだ。
大勢の観客の前で、自分の最強を示すことが、私にとっては何よりの娯楽だ。
ああ、もっと拍手を、もっと歓声を。
そして称えろ、私の強さを!

世界は暗転する。

気が付けば、大広間のような場所にいた。
「……?」
何が起こった、と辺りを見回す。
幾多の人間がそこに居て、私と同じように周囲をうろうろと見渡している。
いや、問題はそれだけじゃない。
首に奇妙な圧迫感を感じる。何だこれは。
「首輪?」
そう口に出した時、心に言いようのない不安と怒りが募った。
「ユウキちゃん!」
と、私に話しかける男がいる。
「蓮根!あんたもここに」
「ああ、これはいったいどうなっているんだ。闘技場の仕掛けか何かかい?」
「いや、私もこんなことは初めてだよ。それに寝ている時ならともかく、私もあんたも起きていて、私はさあ戦おう、と脳内麻薬どばーだったんだ。それが気づいたら、別の場所だなんて」
「……! ユウキちゃん、その首輪は!? いや、僕にもついている!?」
「私にもわかんない。気づいたら付いてた」
ああ、本当にわけがわからない。こんなの、まるで魔法使いの仕業じゃないか。
そう思った時だった。
「諸君、おはよう」
壇上に、眼鏡をかけ、緑色のスーツを着た男が現れた。


57 :
「私の名前は、そうだね。このスーツの色から、『ミスター・グリーン』と呼んでくれ。もちろん本名じゃないよ」
ふざけた男だ、私を拾ったおじさんと雰囲気が似ている。
つまり、不愉快な大人だ。
「今回、諸君に集まってもらったのは他でもない、ちょっと殺し合いをしてくれないかい」
だから、次の言葉もおおよそ予想がついていた。
いいだろう、そんなに見たいのなら、見せてやろう。
私は、さっきの闘技場でのそれのように、地を蹴ろうとして。
「――いい加減にしろ!」
と、蓮根の怒号が、私を揺らした。
「突然拉致して、変な首輪を嵌めて、殺し合いをしろだと!」
そう言って、蓮根は他の参加者を見る。
「ここには、子どももたくさんいるじゃないか。彼らにまで、殺し合いを強要するのか!」
どうやら、さっきまでの色々貯まっていた鬱憤がついに爆発したようだ。
でも、確かに、と私は思う。
何人か、カタギが、一般人が混じっている。殺し合いどころか血が出るまで喧嘩もしたことがないような、そんな奴が何割かいる。
『もちろんだ』
とグリーンは言った。
『例外はない。場所はここではないが、君たちには最後の一人になるまで殺し合ってもらう』
「何のために!」
『君に教えるつもりはない。……ふむ、そうだな。首輪の説明は君で行おう。諸君はもう気づいていると思うが、首に首輪をつけさせてもらった。そして、この首輪には――爆弾が入っている』
驚愕の声が、あちこちで漏れた。
『だから、もし私に逆らうと、こうなる』
蓮根!と私は叫んだ。蓮根はこっちを見て。
ボン
と、小さな音が響いた。
蓮根の首がくるくると宙を舞って。
断面から零れた血液が、私を赤く染めた。
「あ、」
と私は声を出した。
血には、慣れている。人の血も、獣の血も、意外と臭いや味が一緒で。
それは、いい奴も、悪い奴も一緒だった。
【国枝蓮根 死亡】

58 :

大広間にたくさんいた参加者は、皆どこかへと転送されていった。
ただ一人の例外を残して。
「それで、なんで私が残っているの?」
『うむ、それはだね、君は会場に送る前に会わせたい人物がいるんだ』
グリーンの言葉に、銀髪の少女、繭は呆れたように肩をすくめた。
「どうせ、師匠でしょ」
「そうだ、私だ。愛すべき弟子よ」
壇上に、新たな人物が現れた。
黒衣の女。グリーンの協力者。
「これはお前が私を引き継けるかどうかを示す最終試験だ。お前がその決意を示すなら、他の参加者を全て殺し、勝ち抜いて来い」
「……はーい」
やる気なさげな声を一つ残して、繭は会場へと転送された。
そして、男と女が残る。
「気づいていますか?あなたのお弟子さん、あなたのこと大嫌いだと思いますよ。人間って、あそこまで憎悪を込めた目ってできるんですね」
「まだ反抗期なのさ。なんとかこの殺し合いで愛すべき弟子も、一皮むけてほしいものだ」
溜息を吐く女と、それをジト目で見る男。
こうして、バトルロワイアルは幕を開けた。

登場人物紹介
【ミスター・グリーン】
主催者A。運営担当。緑色のスーツに眼鏡をかけた中肉中背の男。結構心配性
【師匠】
主催者B。荒事担当。黒コートにロング。他者の殺害に関しては、人類でトップだと嘯いている。衣笠繭の師匠。
【ユウキ】
参加者。地下闘技場の花形にして、絶対王者。7年間無敗。最強を証明することを何よりの喜びとするポケモンみたいな思考回路。
【国枝蓮根】
見せしめ。無双八拳流の使い手。病気の妹の手術代のために、地下闘技場に参加していた。
【衣笠繭】
ジョーカー。師匠の弟子。世界で一番嫌いな者は師匠。どれほどバトルロワイアルを真剣にやるかは不明。

59 :
投下を終了します
名簿と地図は、ある程度話が進んだら投下しようと思っています
このロワは魂ロワと呼んでいただけると幸いです

60 :
保守をかねて皆様投下乙です
生存報告もかねています
書かなきゃ(使命感)

61 :
投下します

62 :
トリ間違えた、こっちのはず

63 :
私は、たぶん人じゃない。


酒場に少女が一人いる。
白いブラウスと灰色のスカートの、中学生くらいの少女は体をカウンター席に座り、ストローでオレンジジュースを飲んでいた。
(こういうのがあってよかったな)
と、少女は思う。
お酒は嫌いだ、とも思う。
だって酒は理性を溶かして、その人間の本性を晒してしまう。
でも、私の場合は溶かされるのは理性じゃなくて、必死に被っている人間の皮を溶かされてしまう。
それは、このさき人の世界で生きていくうえで致命的だ。
(でも、こんな状況だったら、ニンゲンのふりをしないでもいいのかも。むしろバケモノにでもならないと、やってらんない)
お酒、飲んじゃおうかなあ。
少女が自分の中の酒への好奇心と戦っている時だった。
カランカラン、とドアが音は立てて開き、少女はそちらを振り向いた。
「あれ?先客がいた」
現れたのもやはり少女だった。
緑色のジャージを着て、顔には眼鏡が乗っかっている。体つきは、インドア派な自分よりも更に貧相だった。
「私は神崎ミレイ。あなたは?」
「……諸星沙織」
ミレイは諸星の横に遠慮なく座ると、虚空に向かって、「マスター。この人と同じものを」と言った。
「……奥の冷蔵庫に色々入ってるから自分でとってきなよ」
「わ、わっかりやっしたー」
軽い調子でそう言った後、ミレイはとたとたと走って行った。
そして、すぐにとたとたと足音を立てて帰ってくる。
持ってきたのは、ワインだった。
どくとくとグラスに注ぎ、上品な動作で口に運ぶ。
「まあ、悪くは無いかな」
あれ?何この敗北感?

64 :
自身がグラスに注いだオレンジジュースを見て、沙織は悔しさを感じる。
そして、さも上手そうにワインをラッパ飲みし始めたミレイを見て。
「ふっ」
うわ、むかつく。
怒りを叩きつけたくなるが、それはやってはいけないことだと必死に自制する。
そして、ふと疑問を覚えた。
「ねえ、何であんたそんなのんびりしてるの?」
「というのは?」
「怖くないの?私達、殺し合いやらされてるんだよ?」
ミレイは頬杖をつき、ふふと笑った。
「それはこっちからでも言えるよ。私が入ってきた時、オレンジちゃん、逃げるどころか怯えもしなかったじゃん」
「だってあんた、全然怖くないんだもん。丸腰だし」
ところでオレンジとは私のことだろうか、と沙織は思った。
「それはこっちにも当てはまるわけ。オレンジちゃん、丸腰だし、とろそうだし、女の子だし」
「なるほど」
と、沙織は言った。
そこで会話は途切れ、二人はしばらくの間、お互いのグラスの中身に集中した。
「……言っとくけどさ」
と、最初に言葉を放ったのは沙織だった。
「私、けっこう強いよ」
「はは、女の子の強いほど当てにならないものはないよ」
言ってはいけない、と理性が止めている。
ここで、自分はか弱い存在だと意識させるほうが、この先の人生でも、これからの殺し合いでも、得に決まっている。
でも、舐められぱなっしは腹が立つ。
沙織はカウンターの端を掴み、そのまま捻じり千切った。
ミレイは目を大きく見開いて、それを見る。
そして、へえと可笑しそうに笑った。
「面白いね、それ。もしかしてモンスターズ?」
「何それ?」
「あれ、違うの?そういうのは大抵彼らの得意とするところなのに」
うん、気に入ったとミレイは言った。
「手を組もうよ」
「手?」

65 :
「そう、君を過小評価してたのは謝るよ。足手まといはいらないなあ、とかそんなことも思ってたけど、でも十分に戦力として期待できそうだ」
「手を組もうよ」
と、再びミレイは言った。
そして。
「見れば分かると思うけど、私はあのミスター・グリーンと因縁がある」
「どこが?え、まさかジャージの色が緑だから?」
「これ以上といってない因縁だ。私はあいつを打倒しなければならない」
ぐっ、とミレイは拳を握った。
「でも、一見分からないと思うけど、私は力が無い。暴力を有していない。だから、君の力を借りたい」
どうかな?とミレイは言った。
どうしようかな、と沙織は思った。
怪しい女だ。日常ならなるべく避けたい相手。
が、今は非日常。ならば、この怪しい女について行ったほうがいいのかもしれない。
「いいよ。手を貸してあげる」
「グッド。これからよろしく」
ただ、とミレイは言葉を続けた。
「あくまで私と君は対等。私は君に守ってくれとお願いするし、君に頼まれれば私が他の参加者相手に交渉したり、行動方針を決めたりする。それでいいかい」
「別にいいわよ」
ほぼ同時に、二人のグラスは空になった。
「じゃ、行こうか」
「うん」

登場人物紹介
【諸星沙織】
中学生。力が強いが、普段はそれを隠している。
【神崎ミレイ】
年齢不詳。緑色のジャージを着ている。主催者、ミスター・グリーンと因縁があるらしい。

66 :
投下を終了します
色々知識不足なんで、勉強しながら進めていきます

67 :
投下します

68 :
胸糞悪い。
ミスター・グリーンの非道な行為に当然の怒りを示した、名も知らぬ男は、首と胴体が離れ離れになって死んだ。
人が死ぬところは見たことがある。仲間が殺されるところも。仲間がRところも。
が、あそこまで一方的に、凄惨に殺されるところを見るのは初めてだ。
男が自分たちアウトローとは違う、善良な人間だったらしいことも大きいだろう。
かたき討ちとか、そんな臭いことは考えない。
ただ、俺はあの男にむかついた。ムカついた奴は、仲間に迷惑がかからない範囲で、ぶん殴る。それが、俺、ライオンハート【六の牙・坂東太一】の流儀だ。
今俺はどこかの住宅街を歩いている。当然だが、俺の知らない街だ。
と、足音が聞こえてくる。どうやら、誰か近づいてきているようだ。
こつ、こつ。
ずいぶんと落ち着き払った足音。この状況で、全く臆してねえ。
どうやら、あの十字路の右側の建物から聞こえてくるようだ。もう少ししたら姿が見えるだろう。俺は立ち止まって、現れる者を待ち構えた。
こつ、こつ。
やがて、建物の陰から、足音の主は現れた。
小柄な体躯、整った顔立ち、輝くような金髪。
それは。
「リーダー!?」
俺達ライオンハートのリーダー、レオンだった。

ライオンハートとは、俺が所属する不良集団の名前だ。俺はそこで10人しかいない幹部の一人、【六の牙】として、主に荒事をメインに活動している。
構成員は300人と中々大きな組織だが、この組織の他とは違う大きな特徴の一つとして、リーダーが年端もいかない子供だということだろう。
リーダーの名はレオン。レオン自体が語らないもんで憶測だが、おおよそ12くらいか。
体つきも貧相だし、胸も貧しいしで俺のタイプじゃないこの女が、何故俺達のリーダーをはっているかといえば、その答えはただ一つ。この女が有能だから。
300人を超える組織を纏めるリーダーシップもそうだし、荒事に関しても俺達の中でも誰よりも強い。
そんなレオンと真っ先に合流できたのは、俺にとっても不幸中の幸いだった。
「それで、どうするレオン」
「そりゃあ決まってるしょ。私ら舐めてくれたあのおっさんをぶっ倒す。そんだけ」
さすがリーダー。シンプルでいい。

登場人物紹介
【坂東太一】
不良少年。ライオンハート【六の牙】。

【レオン】
不良少女。ライオンハートリーダー。

69 :
投下を終了します
短い話を短い期間で投下して、だんだんキャラクターのキャラが固まればいいなと思っています

70 :
新ロワ投下乙です
ミスター・グリーンや師匠と関係のある参加者は他にも居るのか
続きが楽しみです

自分も投下します

71 :
面倒な事に巻き込まれたと、事務所のような部屋で枢木スザクは思った。
ルルーシュと共にゼロレクイエム達成の準備を進めている最中、こんな所に拉致されるなど頭を抱えたくなる。
ヴァルトシュタイン卿他ラウンズは撃破したものの、シュナイゼルと黒の騎士団は健在。
そんな状況で自分という貴重な戦力を失えばどうなるか。
ルルーシュやジェレミアを信じていない訳では無いが、間違いなく苦戦は免れないだろう。
一刻も早く脱出し、ルルーシュの元に戻らねばならない。
主催者は優勝すればどんな願いでも叶えると言っていたが、そんな与太話信じられる訳がない。
大方殺し合いを円滑に進める為の甘言だろう。
主催者の戯言を無視し、スザクはデイバッグの中身を確認する。
中身を全て取り出し、その一つである名簿を開く

「味方になりそうな人は来ていない、か」

名簿にあった気になる名は4つ。
まず扇要。シュナイゼルと同盟を結んだ黒の騎士団の幹部で、スザクとは敵対している。
とはいえ彼は同じ騎士団の紅月カレンや藤堂鏡志朗、黎星刻と比べ高い戦闘能力や指揮能力は持っていない、
良くも悪くも平凡な男だ。
警戒はするが対処はそう難しくないだろう。
続いてアーニャ・アールストレイム。ラウンズのNo.6でかつての仲間。
その彼女も今ではジノと共にシュナイゼル側へ付いた。
この場での一時的な共闘に持ち込める可能性もあるが、万一の時には彼女をR事も視野に入れておく。
3人目の人物はゼロ。かつてルルーシュが名乗っていた革命家としての名であり、近い未来自分が新たに名乗る記号。
だがルルーシュは既にゼロを捨て、ブリタニアの新皇帝として堂々と名乗りを上げている。
それにゼロというコードネームはそう珍しいものではないし、偶然同じ名の別人の可能性が高い。
が、ルルーシュ本人だという可能性も僅かだが考えられる。もしそうならば急ぎ合流し、彼の安全確保が最優先となるだろう。
ゼロレクイエムにはルルーシュの存在が必要不可欠なのだから。
そして4人目は――

(ロロ・ヴィ・ブリタニア。ブリタニア姓だがそんな皇族は知らない。何者なんだ?)

おそらくはブリタニア皇族なのだろうが、聞いた事がない。
偶然にもロロ・ランペルージと同じ名だが、彼は既に死亡している。何か関係があるのだろうか。
正体は分からないが、今のスザクの立場を知れば良い顔はしないだろう。
やはり警戒しておく必要がある。

72 :
名簿を閉じルールブックを軽く読むと、それらをバッグに仕舞い、己に支給された武器を見る。
種類の違うオートマチックの拳銃が二挺。
それに予備のマガジンがそれぞれ5つ。
それぞれ動作チェックをしてみるが、問題なく動く。特に細工などはされていないようだ。
片方を装備し、もう片方はデイバッグに入れる。

最後の一つはナイフ。
何の変哲も無いそれをマントの裏に仕舞う。。
これで準備は整った。
まず殺し合いに反対する者を探そうかと考え、今居る建物を後にした。





暫く歩いていると、ふいに嗅ぎ慣れた血のにおいが鼻をついた。
何時でも銃を取り出せるようにしながら、警戒し臭いの元へ近付く。
辿り着いた先は裏路地で、そこに制服を着た少女がへたり込んでいた。
少女の目の前には頭部の無い死体が横たわっており、血溜まりを作っている。

「……ねぇ」

慎重に近付くスザクに気付いたのか、少女が背を向けたまま話しかけた。

「あんたが殺したの?」
「…違う。僕がこの場で会ったのは君が最初だ」
「そう…」

一言呟いたきり少女は黙り込む。
スザクが問いかけようとするがそれを少女が遮る。

「死ぬはず無いって思ってた」
「……」
「いっつも無茶ばっかりして、死にそうな目に何度も遭って、でもまた生きて会えて。
だからこんな意味分かんないとこでも、無事に会えるって思ってた」
「……」
「でも死んだ。魔法少女も関係ないようなのに巻き込まれて、呆気なくさ」

少女がそこまで言った時、爆音のようなものが聞こえた。
思わずそちらをスザクは警戒するが、少女は何も反応しない。

「僕はあの音の方へ行こうと思う。君は…」
「ごめん、今は一人にして」

相変わらず背を向けて言ったその言葉には、どこか拒絶が混じっているように感じられた。
スザクが武器を持っているかと聞くと、片手を億劫に上げる。
そこには銃が握られていた。

「僕は行くよ。君もなるべく急いで離れた方がいい」
「忠告どうも」

73 :
素っ気無い言葉を最後に二人は分かれた。
お互いの名前も知らずに。

スザクが離れていく足音を聞きながら、改めて少女は思う。
どうしてこんな事になってしまったのだろうと。
あの魔法少女達による虐殺を生き延びた先で待っていたのは、理不尽な殺し合いでの呆気ない死。
必死に戦って、その末路がこれか。

「ねぇ、なんでよ、児上ぃ……」

何も考えられない程の絶望の中で、少女はただ涙を流していた。


【鞘野楓@魔法少女・オブ・ジ・エンド】
[状態]:精神疲労(大)、深い悲しみ
[装備]:スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(20/20)@BLACK LAGOON
[道具]:共通支給品一式、予備弾倉×5、不明支給品0〜2
[思考]
基本:どうすればいいか分からない
0:児上……
[備考]
※参戦時期は原作7巻で殿ヶ谷と接触した後。


支給品紹介
【スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル@BLACK LAGOON】
鞘野楓に支給。
ホテル・モスクワの大幹部、バラライカが愛用。
セミ、フルオート両方の射撃が可能な大型軍用ピストル。



少女を裏路地に残したスザクは、爆発があったであろう場所へ歩く。
彼女の事が気にならない訳ではなかったが、今は急ぎ脱出する事が最優先だ。
だから彼女は置いていった。

ふと、もしも昔の自分ならどうしただろうかと思った。
間違ったやり方で得た結果に意味は無いと考えていた、愚直な正義感に燃えていた頃の自分ならば。
あの少女を置いて行きはしなかっただろう。無理やり引き摺ってでも連れて行っただろう。
けれど今ここに居るのはもう昔のスザクではない。
ルルーシュの敵を排除する為の剣、ナイトオブゼロだ。

余計な考えを振り払うように、スザクは足を速めた。

74 :
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康
[装備]:ゼロのハンドガン(予備マガジン×5)@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー、不良少年のナイフ@チャージマン研!
[道具]共通支給品一式、ベレッタM1934(7/7、予備マガジン×5)@名探偵コナン
[思考]
基本:ゼロレクイエムのために急ぎルルーシュの元へ戻る
1:爆発音のした方へ向かう
2:扇、アーニャを警戒
3:名簿のゼロがルルーシュなのかどうか確かめる
4:ロロ・ヴィ・ブリタニアとは誰だ…?
5:少女(鞘野)が少し気がかり
[備考]
※R2第22話にてラウンズ撃破後からの参戦。


支給品紹介
【ゼロのハンドガン@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
枢木スザクに支給。
6話にてゼロが草壁中佐を殺害するのに使った銃。
正式な種類は不明。

【ベレッタM1934@名探偵コナン】
枢木スザクに支給。
黒の組織の構成員、ジンが愛用している拳銃。

【不良少年のナイフ@チャージマン研!】
枢木スザクに支給。
第49話『不良少年の正体は!』に登場した不良(正体はジュラル星人)が所持していたナイフ。

75 :
投下終了です

76 :
投下乙です
そうだよなあ、初期のスザクなら裏路地に女の子一人にしないよなあ
彼が悪夢版とどうかかわるのか期待します

私も投下します

77 :
殺し合いの必勝法とは、何か。
それは徒党を組むことだ。ランダムに武器が配られるこのゲームでは、生存率は運に左右される。ならば、当たり=銃器を引く可能性をあげるには、試行回数を増やすしかない。つまり、仲間を増やせば増やすだけ、銃器が手に入りやすくなるのだ。
もちろんこれは単純化した物言いで、実際そう上手く徒党を組めるはずがない。
が、とりあえずとして、とある中堅マフィアの構成員ケビンは、不良少年青木三平太と徒党を組むことに成功していた。
成功した理由は迅速に動いたからだろう、とケビンは思う。
見たところ青木少年は荒事に慣れてはいるが、ここまで危機的状況に陥ったことはなく、銃も持ったことは今まで無かったようだ。当然不安になる。自分はこの島で死ぬかもしれないと恐怖する。そこに、マフィアを名乗る自分が現れる。
一般人ならともかく、チンピラにとってマフィアは畏怖の対象であると同時に、一種の憧れを感じる職業である。青木少年は、殺し合いの場でのマフィアを名乗る男との出会いに恐怖し、そして僅かな安心を感じた。それをケビンは見逃さなかった。
ケビンは青木少年に素早く、そして分かりやすく自分が青木少年への害意はないこと、ミスター・グリーンに落とし前をつけさせるために行動しようとしていること、武器はバタフライナイフが一つだけだということを説明した。
青木少年は簡単にケビンを信じた。案外根は善良なのかもしれない。とにかく、殺し合いが開始して2時間も経たないうちに、二人はチームを組み、今は喫茶店で情報を交換しあっていた。
「へえ、ケビンさんはアメリカの……。日本には観光ですか?」
「はい、知り合いがいるもので。青木くんは日本のサイタマのほうで活動しているんですか」
窓から見える街並みを見ながら、ケビンは笑みを崩さない。
「ええ、まあ。一応うちのチームは関東最強名乗らせてもらってます」
「頼もしいですね。恥ずかしながら、私は荒事はそこまで得意ではないんです。なので、本職がこんなことを頼むのは情けない話なんですが、もしもの時は、任せますね」
「……うっす」
青木少年は懐に入れた銃に目をやる。
ケビンはあえて銃を青木少年に預けたままにしていた。こうすることで青木少年に「プロに信頼されている」と自信をつけさせ、戦闘時に利用しやすくなるのだ。
また、万が一青木少年が自分を銃で撃とうしても、武器を持った素人など容易く無力化できる自信があった。
また、この拳銃――正式名称S&W M29は通常の拳銃より反動が大きい。ケビンのようなプロならともかく日本のチンピラではまずまともに当てれない。
(現状は順調だな。後は他の参加者の顔ぶれ次第か)

78 :
「で、ケビンさん。最初はどこに行くんですか」
「そうですね。この島の中央のタワーに――」
その時、エンジン音が外から聞こえてきた。
「え、なんでしょう、これ?誰かが車を運転してるってことですか?」
青木少年は不思議そうにケビンを見るが、その時にはすでにケビンは立ち上がり、喫茶店の奥へと逃げ込もうとしていた。
ケビンは気づいたのだ。自分に今から起きる悲劇を。
「ま、待ってくださいよケビンさ」
慌てて青木少年は立ち上がる。
エンジン音は大きくなる。
「なんだってんすか」
悪態をつきながらそっちを見て、少年は絶句した。
喫茶店の窓全体に広がるトラックの前面部。
それが少年が見た最期の光景だった。

衝撃で喫茶店が大きく揺れた。
ケビンの身に、喫茶店に突っ込んだトラックによって生じた壁や窓ガラスの破片が降り注ぎ、着ているスーツをずたずたに切り裂く。
が、ダメージはそれだけで青木少年のように挽肉になることは免れていた。
「くそっ、非常識なマネを……」
ケビンはスーツをはたきながら、トラックを睨み付ける。トラックは車両の半分ほどを喫茶店内部に乗り上げたまま、止まっていた。
運転席には誰もいない。
(下手人はどこだ、くそ。どこに隠れてやがる)
濛々と舞い上がる煙がケビンの視界を阻害し、彼を苛立たせる。
(どうする?ひとまず青木少年から拳銃だけでも回収するか)
そう考え、ケビンは人の形をなんとか保ってるといった状態の青木少年の遺体に近づく。
煙はもうもうと、たちこめている。
(……いや、ちょっと待て。何でこれをやった奴はこの場に現れない。それにこの煙はなんだ。土煙にしては量がおおすぎ――!?)
ケビンが真実に気が付いたのと、トラックのエンジンが文字通り『爆発』したのは、同時のことだった。

炎上する喫茶店を見ながら、少女は溜息をついた。
動きやすそうなパンツルックに頭頂部から伸びる一本のアホ毛、貧相な体つき。
名を、神崎小帯といった。

79 :
(ついにやっちゃったなあ)
でも仕方がない、と小帯は思う。
自分がやらなきゃダメなんだ、とも思う。
小帯にはいくつかの才能がある。
その中で、最も大きいのは「何かを爆発させる」才能だった。
小帯はまず、支給された双眼鏡で喫茶店の窓際の席で談笑する男と少年を発見した。
その後、近場にあったトラックのエンジンをいじり、自分も乗って発進。
喫茶店に突っ込む直前にトラックから飛び降り、そのまま爆発の範囲外まで逃走。
結果として、彼女は参加者二人を葬ることに成功した。
(別に人殺しが好きなわけじゃない)
と、小帯は思う。ただ、彼女には生きていて欲しい二人の参加者がいるのだ。
神崎ミレイ。自分の義姉。三羽椿。自分の友人。
あの最初の大広間で見つけた二人の大切な人。
殺し屋崩れの自分にできた大切な繋がり。
(待っててね、二人とも。私が二人を生き残らせる)
そう硬く決意して、神崎小帯は修羅となった。

【青木三平太 死亡】
【ケビン・ウッテンハイアー 死亡】

【神崎小帯】
状態:健康
装備:無し
道具:不明
思考:1 神崎ミレイと三羽椿の生還。そのために参加者を排除

登場人物紹介
【青木三平太(あおきさんぺいた)】
不良少年。今回のロワではいくつかの組織が出てきますが(またおいおい紹介していきます)、彼はそのどれにも所属していない。アウトロー。誰にも相手にされていないとも言います。
【ケビン・ウッテンハイアー】
とある中堅マフィアの幹部。主な仕事は金銭関係なんで、荒事苦手なのは本当。主催者側に立っていればそこそこ優秀。
【神崎小帯(かんざきこおび)】
殺し屋崩れ。同じ神崎姓のミレイとは姉妹関係ですが、血の繋がりはありません。三羽椿は同じアパートに住み、クリスマスやお正月は一緒に祝う程度の仲です。年齢は不詳。本人も正確にはわかっていません。

80 :
投下を終了します
wiki収録はもう少し話が進んだら一気にやるつもりです

81 :
皆様投下乙です
レス番35〜39
何だこの博士!? と思ったら出典元が違うんすね
本物の博士にあらぬ疑いがかかるのが見える見える……
レス番42〜46
野獣先輩とBASARAお市の対戦なんて誰が思い付いただろうか

>第零話『オープニング』
オリキャラロワ期待です&開催乙です
>第一話『酒場で少女二人』
年齢不詳(少女ではないとは言っていない)
>第二話『ライオンハート』
10人なのに「六の牙」とは
フィクションの不良集団は格好良いけど現実は勘弁

>Knight of Zero
必死に生き残っても呆気無く死ぬのはバトロワでも同じやで

>第三話『喫茶店の変』
しょっぱなから二人脱落、やりますねぇ
そしてそれはもう「才能」とかそういうレベルではないと思う>「何かを爆発させる」

・・・
久々に一話出来たので投下します

82 :
26話 未来は二律背反

島役場の応接室。
金髪の美少女、室川美知は、灰色と白の毛皮の巨躯の雄狼と激しい交わりをし、一段落ついて呼吸を整えていた。
床には脱ぎ捨てられた衣類や、丸められたティッシュ、体液が散乱し、部屋の中にはむせ返るような獣臭が充満している。

「あ〜気持ち良い……最高」
「全部吸い取られそうだぜ……ハッ、ハッ」

美知と狼、ゼユックは役場内にて遭遇し、早々に意気投合、そして親睦を深め合う事となった。

「はぁ、でもこの後どうしようか」
「別にどうも……ここに留まってても良いんじゃねぇか? 美知、知り合いとか居ねえんだろ? なら動く理由も無ぇだろ」
「それもそっか……ちょっとしたらまたヤろ」
「いいぜぇ」

興奮した、いやらしい笑みをゼユックは浮かべ、それに美知も頭を撫でてやって応える。
応接室のテーブル上には、二人のデイパックと、チェーンソー、合口が置かれている。
チェーンソーが美知の支給品、合口がゼユックの支給品である。
二人共、殺し合うつもりは無かったものの、有事の際は自分の身を守る為に相手をR事も辞さぬ程度の覚悟は決めていた。

◆◆◆

役場周辺の通りの一角を歩く、白い牛獣人の青年。
ガーターベルトにブリーフパンツと言う変態そのものの格好だが彼、テオ・オトマイアーの表情は至って真摯に見える。

「ゲームが始まって、二時間位経つのか。今の所誰とも会っていないけど……。
でもなあ……このゲーム、優勝出来て生きて帰れた所で僕は……」

生還出来た時の事を考えるテオの表情は真摯を通り越し暗い。
彼は知人に多額の借金を背負わされる羽目になり、その借金元の非常に危険な金貸し業者に脅され、
借金返済の為ゲイ向けのアダルトビデオに出演する事になったのだが、いつしか彼は娼夫にまで身を堕とし、快楽に溺れてしまっていた。
「仕事」の最中は淫乱そのものながら、「仕事」が終わり素に戻ればそんな自分の痴態を嫌悪し鬱状態になり、しかし、
また「仕事」が始まれば、を繰り返す毎日にテオは嫌気が差していた。
借金は確実に減ってはいたが、完済する前に自分の精神は崩壊してしまうかもしれない。どうしたら良い。逃げたい。
そんな矢先の今回の殺し合い。

「よーし、いい機会だ……」

テオは決心する。

「死のう!」

人生と言う名のリングで戦い続ける自分にタオルを投げてやろうと。

「どんな死に方が一番、苦しくなくて済むかなぁ……」

自殺の方法を考え始めるテオ。

「誰……うわ! 変態!」
「!」

ここに来てテオはようやく他参加者と遭遇する。
いかにも今時の若者と言った風貌の人間の青年。

「変態か、別に良いけど……僕はテオ。貴方は?」
「え? 俺は、千品武紀……あんた、殺し合いには乗ってないのか?」
「僕、自殺しようとしててね」
「えっ」

83 :
武紀の質問には答えず、自分のやろうとしている事を告げるテオ。武紀は驚いた様子だ。

「それでどんな方法が一番楽にRるかなって」
「え、いや、何が有ったか知らないけど、やめた方が良いんじゃね……?」

取り敢えず止める素振りを見せる武紀。
事情は全く知らないし赤の他人であるが故何の義理も無かったが、目の前で自Rると言われ無視は出来ない。

「それでね、千品さん。僕支給品これだったんだけど」
「え?」

しかしテオは武紀の制止の言葉には反応せず、自分の支給品である出刃包丁を武紀に見せる。
先程から一方的な会話しか出来ないのもそうだが、テオの口調や表情がどことなく無機質に思え、
段々と武紀は目の前の白牛青年に対し妙な恐怖を感じ始める。逃げた方が良いかと考えた。

「あ、ああ。悪いけど俺はこれで……」

いよいよ危機感を覚え断りを入れて去ろうとした。

グサリ。

次の瞬間、出刃包丁の刃が武紀の腹に潜り込む。

「あ? ……ああああああああ!?」

焼けるような激痛。武紀の絶叫が木霊する。

「痛い?」
「げあっ……! なに、なに、や、あ゛」
「うん痛そうだね。刃物はやっぱり痛いんだね」

その手を血塗れにして、テオはとても淡々と所見を述べた。
こいつは正気じゃない、と激痛で揺らぐ意識の中、武紀は確信する。確信するのが遅過ぎたと後悔もした。
テオが包丁を武紀の腹から引き抜いた。刺された所を押さえて呻く武紀。

「うぎ、ぎ、い、あんた、いかれてるよ……!」
「そりゃあね。すっかり淫乱にされちゃったからね」
「そういう意味、じゃ」

グサ。

武紀が言い終わらぬ内に、包丁の刃が次に潜ったのは武紀の胸。
肋骨の隙間を通り抜け、心臓へと。
そしてその瞬間、武紀の命も終わった。
どさりと重い音を立てて武紀は路上に崩れ落ち、血溜りを作って二度と動かなくなった。

「心臓なら楽って訳でも無さそう。刃物で自殺はやめといた方が良いかなぁ」

淡々と、余りに淡々と、テオは再び所見を述べた。殺人への抵抗、罪悪感は微塵も感じられず。
武紀が思った通り、テオは最早正気では無かった。
殺し合いに放り込まれ彼自身も無自覚の内にその精神は異常を来し始めていたのだ。
「どのような致死方法が一番楽か」それを突き止める為、他の参加者を犠牲にする。その行為に対し全く疑問も抱かない。
近くの洋品店に侵入し売り物のタオルで自分の手と包丁に付いた血を拭き取る。
その後武紀の所持品を漁る。

「これは……毒?」

手に入れたのは小瓶に入った白い粉末状の薬品。
ラベルに書かれている薬品名は「シアン化カリウム」。よく推理物の小説や漫画等で「青酸カリ」として登場する毒物だ。

84 :
「うーん苦しそう。誰かで試さないと」

さも当たり前のようにシアン化カリウムの効果を試す為の「実験台」をテオは探し始めた。
全ては自分の「楽な自殺」の為に。
そしてその足は島役場の有る方向へと向かっていた。

◆◆◆

「いやーん」
「ハッ、ハッ、ハッ」
「さっきヤったばかりなのに、元気ねぇ、もう」

ゼユックは性欲旺盛である。それは美知にも言える事だが。
何度も達した筈だと言うのに、今再び美知に息を荒げ、涎を垂らし尻尾を振りながら迫る。

「お前だって嫌じゃないだろ〜?」
「まあそうなんだけどね〜」

美知も特に嫌がらず、むしろ嬉々としてゼユックを受け入れる。
少女とオス狼の喘ぎ声が響き始める。これで何度目かは当人達にも分からない。


【千品武紀  死亡】
【残り42人】


【明朝/D-5島役場応接室】
【室川美知】
状態:健康、ほぼ全裸
装備:チェーンソー
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いはしないが襲われたら戦う。ゼユックと行動。しばらく島役場に籠る。
備考:衣類は応接室内に脱いだ状態で置かれている。

【ゼユック】
状態:健康
装備:合口
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いはしないが襲われたら戦う。美知と行動。しばらく島役場に籠る。
備考:特に無し。


【明朝/D-5島役場周辺】
【テオ・オトマイアー】
状態:精神に異常
装備:出刃包丁
持物:基本支給品一式、シアン化カリウム
現状:楽な自殺の方法を探す。
備考:「自殺に使える方法」を他人で試そうとする。島役場方面に向かっている。


----

85 :
《キャラ紹介》
【室川美知】
読み:むろかわ みち
年齢:18
性別:女
種族:人間
特徴:金髪ショートヘアの美少女。学校制服のブレザー姿。爆乳
職業:高校生
備考:淫乱である。男でも女でも獣でも何でもござれ。

【ゼユック】
年齢:30代?
性別:♂
種族:魔狼
特徴:濃い灰色と白の狼。筋肉質。黒目に赤い瞳
職業:傭兵
備考:とある傭兵ギルドに所属している。戦闘能力は高い。二足歩行にもなれる。
下品で好事家であるが仲間と思った者の事は大切にする様子。

【テオ・オトマイアー】
年齢:21
性別:男
種族:牛獣人
特徴:白い牛獣人。細身ながら引き締まった肉体。ブリーフにガーターベルト姿
職業:娼夫
備考:元は普通の会社員だったが知人に借金を背負わされその上借りていた業者が悪質な闇金だった為、
借金返済の為にホモ向けAVに主演させられた挙句快楽漬けにされ娼夫に身を堕とした。
娼夫の仕事をしている時は淫乱になるが仕事が終わり素に戻ると気弱な性格になり、自分の現状を嘆いて鬱になる毎日を送っている。

【千品武紀】
読み:ちしな たけのり
年齢:24
性別:男
種族:人間
特徴:金色に染めた髪。少しチャラい印象。私服姿
職業:メンズショップ店員
備考:少しチャラい印象を受けるが特に悪さはしない。
むしろ真面目に働いて真面目に稼いでいる。

《支給品紹介》
【チェーンソー】
支給者:室川美知
分類:その他
説明:多数の小さな刃の付いたチェーンを動力により回転させて対象物を切る動力工具の一種。
某ジェイソンの武器として認識される事が有るがジェイソンさんはチェーンソーは使った事は無い。
【合口】
支給者:ゼユック
分類:刃物
説明:小型の刀。白鞘タイプ。
【出刃包丁】
支給者:テオ・オトマイアー
分類:刃物
説明:和包丁の一種で主に魚を捌くのに使われる。
【シアン化カリウム】
支給者:千品武紀
分類:薬物
説明:良くフィクションで「青酸カリ」で登場する毒物の代名詞とも言える存在。
小さなガラス製の小瓶に入れられている。
----
※行数制限の為支給品紹介欄を詰めています

86 :
投下終了です。
何度も書き直した末にサイコパスっぽいキャラになった>テオ

87 :
こんにちは「ランダム制で2014・15年あたりのアニロワ」というのを投下したいと思います。
100人規模ですが、まあやるだけやってみます。
ランダム制とは参加者が合う人数とか支給品の種類とかを色々とランダムで振り分けました。
ただ最初の段階だけそれという感じです。
数え間違いとかもあってガバガバランダムだったりしますが、そこは許してください。。
よろしくおねがいします。

88 :
あと言い忘れましたので、投下乙です。ついでにOPもこのレスに書きこみます。


 暗転。
 自分の目の前がいきなり黒く染まったら、そう答えるのが普通だろう。
 ましてや「歩いていたら」とか「死んでいたら」とかそういう状態なのに、いきなり目の前の景色が変われば、そう思うほかない。
 ここに集まった100人ほどの人間はその状態にいる。
 ここはどこか、ということはわからない。
 ただわかるのは、地面があることくらいである。

 その中の一人に男がいた。
 ジャン=ピエール・ポルナレフ。特徴的な髪型をした、筋肉質な男である。
 彼は「スタンド」と呼ばれる精神から発生される超能力と、それを支える熱い心があった。
 そんな猛者であっても、この場にいる。何の抵抗も、いやそもそも抵抗すべき対象がいるのかどうかすらわからない状態で、この場に連れてこられている。

(なんだってんだァ……ここは? 俺は確かアヴドゥルとイギーと一緒にDIOの野郎をぶっ倒そうとしてたはずだ。つまり『歩いて』いたッ! 俺は単純に『歩いて』いたはずなんだッ!)

 彼は困惑する。館は確かに暗かったが、こんな場所ではない。
 完全に真っ暗というわけではなく、マジシャンズレッドの炎が照らしていたはずだ。

(スタンド攻撃かッ!?)

 ポルナレフは自身のスタンド、シルバーチャリオッツを出す。
 鎧を纏う戦士の出で立ちをした、その姿が現れる。
 周囲を警戒する。が、一向に攻撃されない。
 もし何らかの方法で自分と仲間を引き離す、あるいは仲間を殺したとしたら、すぐさま攻撃されるはずだ。
 だとするとスタンド能力ではない。異様な状況が続く中、ポルナレフは警戒の手を抜かない。
 何が何やらわからない中、変化は突如として訪れた。

「諸君ら、こっちを見るべぇ〜〜〜」

 間の抜けたような老人の声が響く。
 響く、ということはここは室内なのだ。
 その老人がいる場所は光に照らされ、目にショックを与えるのと同時に、その場所が大体どのようなものかを明らかにする。
 床は灰色のコンクリートであることから、全体図までもは流石に見えないけれども、何らかの建物の中にいることはわかった。
 老人は痩せている。
 錨のような白髪に片眼鏡、威厳を纏うように作られたようなマントを着ていた。
 おそらくこの場に人間を集めた者だろう。
 勝手に連れてこられた者達の前で、その老人は口角を釣り上げていた。奇妙な笑顔である。

 ポルナレフは警戒する。どんな相手かと思えば単なる老人だった。
 ただ、それが恐ろしい。
 単なる老人でしかないような人間が、素手でさえも倒すことができそうな相手が、自分をあっという間にこの場に連れてこられた。
 故にスタンドは出したままである。
 にも関わらず相手はニヤけたままだ。異様な自信家なのだろうか。

「え〜、こんなに人数多かったのかべ? やっていることが派手だべ。まあそんなことはどうでもいいべ。諸君らには今から『殺し合い』をしてもらうべ」

 殺し合い。
 簡単に、その男は語った。
 まるでデパートの迷子を店内でアナウンスするような、何の不可思議さも感じていないような口調である。

89 :
「その『殺し合い』とはどのような意味だ。比喩か、それともそのままの意味か?」

 男の声が聞こえた。その声を知るものは、少なくとも一人いた。 ポルナレフはその男の声と、そして姿を知っている。
 老人を映す光に写るその男を彼は知っている。
「アヴドゥル!」
 褐色の肌をした大男。灼熱のスタンド使い、モハメド・アヴドゥルである。
 おそらく彼もここに一緒に連れてこられたのだろうとポルナレフは思った。
 アヴドゥルも自分を呼ぶ仲間の声をわかったので、その方向に目くばせする。
 仲間の確認ができ、何か返そうとした時、そこに老人の声が入り込んだ。

「そのままの意味だべ。殺し合いの意味は殺し合いだべ」
「なぜそんなことをする必要がある? 貴様の趣味か」
「そんなことを語る必要はないべ。お前らはわからず適当に殺し合っていればいいんだべ」
「そうか……。ただ、必要性もないことに私も付き合う義務はないのでね。今の私にはやるべきことがあるんだ」
「そうかそうか。なら、貴様はどうするべ? 何をするべ?」
「今すぐ消え去ってもらうッ! 魔法使いの赤(マジシャンズレッド)!」

 アヴドゥルは炎を纏った鳥の顔を持つ人型のスタンド、マジシャンズレッドを出す。
 そして躊躇なく火炎を発射させる。
 いくら相手が老人とはいえ、自分をあっという間にこの場に持っていける能力、そして殺し合いをさせるという狂気性を持った人間に、遠慮をする必要などない。

 だが火炎は空中で大きく広がり消滅する。
 簡単にいえば、これはバリア・結界である。
 例えそのようなものを実際に目にしなくても、それは感覚として見てわかるものであった。
 老人を何か見えない壁が守っているのだ。

 アヴドゥルは瞬時にこの老人は生半可な攻撃では倒せないとわかった。
 全力を出さねば、可能性が見えない。
 今までの戦いの経験から、すぐさま己のスタンドのフルパワーを発揮する。

「クロスファイヤーハリケーンスペシャル(C・F・H・S)!」

 十字の炎が連射され、老人の元へ向かう。
 火炎が大きく広がり、同時に大きな爆風が吹き荒れる。
 その衝撃は建物を響かせ、炎は光源をさらに増幅させる。

90 :
 だが、効かない。
 老人はニヤけたままであった。
 余裕満々な笑顔でアヴドゥルを見下す。
 対する炎のスタンド使いは緊迫の汗を流した。

 老人は言う。

「お前がどんな攻撃をしてもダメだべ。大体、こんなことで死ぬようなら殺し合いなどしないべ。そうだべ、お前がここで目立ったのはちょうどいい。わかりやすい説明台になってもらうべ」
「貴様は何を……」

 困惑するアヴドゥルを尻目に、老人は指を弾いた。その音は屋内を包む。

 爆音と共に男の首は飛んだ。

 本当にそのままである。
 さっきまで異次元の能力を扱っていた男はあっという間に、殺されてしまったのだ。
 その死体はバランスを崩し、粘土細工のように床に転がった。

「アヴドゥルーーーーーーゥッ!」

 ポルナレフは叫ぶ。
 自分の仲間の死に、叫んで、その場まで駆けつける。
 彼が見てもアヴドゥルは確実に死んでいることがわかった。
 首から上はなく、その頭が無造作に転がっていた。
 ポルナレフは何も言葉にでなかった。
 簡単に言い表せるようなものではなかったのである。あらゆる感情が彼の元で湧き上がり、交差し、複合する。

「この男の首が吹き飛んだのは首輪だべ。諸君らの首元をすぐに確認するといいべ。その中には爆弾が内臓されていて、わしらの胸先三寸でいつでも『おしおき』できるんだべ」

 ポルナレフも言われてその存在に気付いた。
 自分の首元に、自分の仲間を、友を殺した忌々しい存在がある。
 そして何より許せなかったのは『おしおき』である。
 自分の友を殺したそのやり方を『おしおき』というふざけた表現で、もっといえばそんなゴミのような理由で殺したことを許せなかった。
 ポルナレフは哀しみを怒りに変えて、老人を睨む。

91 :
「てめぇ、この借りは安くつくなんて思ってねえだろうなッ!」
「何も借りた記憶はないべ。なんだべ。お前もその男と同じようにわしに攻撃するべ?」
 ポルナレフは攻撃しない。
 それは冷静な判断である。彼は戦士として冷静な状況判断をしたのである。
 ここで攻撃したとて、アヴドゥルの高火力の攻撃を防いだことを考えると、無謀というものである。
 怒りにまかせて攻撃したとて、返り討ちになるのが関の山だ。
 だがその闘志は燃え尽きていない。
 それは未だにポルナレフの心を燃やし、眼光がそれを老人に伝えている。
「ずいぶん挑戦的な目だべ〜。いいだろう、名前を教えてやるべ。わしの名前はドクロベエ。覚えておくがいいべ、ジャン=ピエール・ポルナレフ」
「ああ、覚えといてやるよ。ついでにてめーの脳みそには俺の名が残らねえように、いずれバラバラにしてやるッ!」
「いい気概だべ! ならば、この殺し合いで生き抜くがいいべ。または対抗するがいいべ、できるものなら!」

 老人、もといヤッター・キングダムの支配者・ドクロベエは前を向く。
 参加者全員を眼前に、その言葉を放った。

「諸君らには今から最後の一人になるまで殺し合ってもらうべ。ただ、モチベーション向上のために生き残ったものには、1つだけ願い事を叶えてやるべ。
 どんなことでもいいべ。不老不死でも、誰かを生き返すことや、大金が欲しいことやエロ本を買ってもらいたいことでもなんでもだべ。
 殺し合いに勤しむなら渡される支給品を活用するべ。
 追加ルールもあるので、6時間ごとに行う放送をよ〜く聞くがいいべ」

 マイペースにルールを解説するドクロベエ。彼は自分が言ったというのにポルナレフには全く関心を向けるそぶりをださなかった。

(おそらくヤツは『絶対に自分は殺されない』と思ってやがる……。絶対的な優位にいるから、余計な心配をする必要がないと思ってやがるんだ……)

 それはわかっている。実際に優位な立場だろう。だが

(そんな余裕ぶっこいた外道野郎に一泡ふかせてやるってのは最高だよなあ……アヴドゥル! 血の泡をカニみてえに浴びせてやる……だから、それまで待ってろよ……)

 復讐を誓う。弔い合戦を彼の心は決めていた。
 しかしその不屈の魂は、暗転と共に沈む。
 参加者は再び意識が飛ぶ。そして次なる場所に移るのだ。
 
 そう、殺し合いの場に。


【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】モハメド・アヴドゥル 死亡確認

 GAME START

92 :
参加者

8/8【ルパン三世】〇ルパン三世/〇次元大介/〇石川五ェ門/〇峰不二子/〇銭形幸一/〇レベッカ・ロッセリーニ/〇ニクス/〇レオナルド・ダヴィンチ/
7/7【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】〇空条承太郎/〇ジャン=ピエール・ポルナレフ/〇ラバーソール/〇偽キャプテン・テニール(偽)/〇マライア/〇テレンス・T・ダービー/〇DIO/
7/7【ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン】〇ニンジャスレイヤー/〇ダークニンジャ/〇ヤモト・コキ/〇ラオモト・カン/〇フォレスト・サワタリ/〇シルバーカラス/〇ミュルミドン/
7/7【ローリング☆ガールズ】〇森友望未/〇小坂結季奈/〇響逢衣/〇御園千綾/〇宇徳真茶未/〇籾山蔵之介/〇石作志麻/
6/6【ヴァルキリードライヴ マーメイド】〇敷島魅零/〇櫻美鳳/〇柊晶/〇シャルロット・シャルゼン/〇時雨霞/〇相良百華(A3)/
6/6【おそ松さん】〇松野おそ松/〇松野カラ松/〇松野チョロ松/〇松野一松/〇松野十四松/〇松野トド松/
6/6【GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり】〇伊丹耀司/〇レレイ・ラ・レレーナ/〇ロゥリィ・マーキュリー/〇ピニャ・コ・ラーダ/〇栗林志乃/〇ゾルザル・エル・カエサル/
6/6【桜Trick】〇高山春香/〇園田優/〇野田コトネ/〇南しずく/〇池野楓/〇飯塚ゆず/
6/6【城下町のダンデライオン】〇櫻田茜/〇櫻田葵/〇櫻田修/〇櫻田奏/〇櫻田輝/〇佐藤花/
6/6【東京喰種】〇金木研/〇霧嶋董香/〇芳村/〇月山習/〇亜門鋼太朗/〇真戸呉緒/
6/6【七つの大罪】〇メリオダス/〇エリザベス・リオネス/〇ホーク/〇ディアンヌ/〇ヘルブラム/〇ビビアン/
6/6【パンチライン】〇伊里達遊太/〇成木野みかたん/〇曳尾谷愛/〇台初明香/〇友田千早/〇ぐり子/
6/6【モンスター娘のいる日常】〇来留主公人/〇ミーア/〇パピ/〇セントレア・シアヌス/〇スー/〇ラクネラ・アラクネラ/
5/5【アイドルマスター シンデレラガールズ】〇島村卯月/〇渋谷凛/〇双葉杏/〇諸星きらり/〇城ヶ崎美嘉/
5/5【アカメが斬る!】〇アカメ/〇レオーネ/〇エスデス/〇セリュー・ユビキタス/〇シュラ/
5/5【アルドノア・ゼロ】〇界塚伊奈帆/〇スレイン・トロイヤード/〇アセイラム・ヴァース・アリューシア/〇網文韻子/〇ザーツバルム/
5/5【寄生獣 セイの格率】〇泉新一/〇加奈/〇田村玲子/〇島田秀雄/〇後藤/
5/5【下ネタという概念が存在しない退屈な世界】〇奥間狸吉/〇華城綾女/〇鬼頭鼓修理/〇アンナ・錦ノ宮/〇《頂の白》/
5/5【Charlotte】〇乙坂有宇/〇友利奈緒/〇高城丈士朗/〇西森柚咲/〇乙坂歩未/
5/5【ハナヤマタ】〇関谷なる/〇ハナ・N・フォンテーンスタンド/〇笹目ヤヤ/〇常盤真智/〇常盤沙里/
5/5【ヘヴィーオブジェクト】〇クウェンサー=バーボタージュ/〇ヘイヴィア=ウィンチェル/〇ミリンダ=ブランティーニ/〇フローレイティア=カピストラーノ/〇プライズウェル=シティ=スリッカー/
5/5【六畳間の侵入者!?】〇里見孝太郎/〇東本願早苗/〇虹野ゆりか/〇笠置静香/〇藍華真希/
4/4【異能バトルは日常系の中で】〇安藤寿来/〇神崎灯代/〇櫛川鳩子/〇高梨彩弓/
4/4【がっこうぐらし!】〇丈槍由紀/〇恵飛須沢胡桃/〇若狭悠里/〇直樹美紀/
4/4【ご注文はうさぎですか?】〇保登心愛/〇香風智乃/〇天々座理世/〇桐間紗路/
4/4【監獄学園】〇藤野清志/〇諸葛岳人/〇白木芽衣子/〇緑川花/
4/4【干物妹! うまるちゃん】〇土間埋/〇土間大平/〇海老名菜々/〇橘・シルフィンフォード/
4/4【落第騎士の英雄譚】〇黒鉄一輝/〇黒鉄珠雫/〇桐原静矢/〇東堂刀華/
3/3【オーバーロード】〇モモンガ/〇クレマンティーヌ/〇シャルティア・ブラッドフォールン/
3/3【SHIROBAKO】〇宮森あおい/〇高梨太郎/〇矢野エリカ/
3/3【夜ノヤッターマン】〇レパード(ドロンジョ)/〇ヴォルトカッツェ(ボヤッキー)/〇エレパントゥス(トンズラー)/
2/2【純潔のマリア】〇マリア/〇ガルファ/

計163人


みせしめ

【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】●モハメド・アヴドゥル/


主催者
【夜ノヤッターマン】〇ドクロベエ/

93 :
投下終了です。色々と記憶したいのでwikiもついでに作ります。

94 :
投下乙です、目新しいキャラが並んでいて、楽しみです

95 :
テスト

96 :
こんにちは。連投? にはならないんですかね。
投下します。

97 :
 魔法使いは海辺を見る。自分の来ているところはここじゃなかった、ということはすぐわかった。
 状況判断。レレイ・ラ・レレーナはまず己の状況を判断する。
 確かに彼女にとっても「殺し合いに参加させられる」ということは突然の出来事である。
 だが、からといって動転するほど彼女は甘い者ではない。炎竜との戦いなど場数を踏んできた魔法使いである。
 なおかつ彼女は天才と言われる者だ。安直な状況判断などはしない。
 まず必要なことは身の安全を図ることである。
 彼女は殺し合いに参加する気はなかったが、殺されたいわけではない。 
 近くにあった草原に生える岩陰に身を隠し、支給品を確認する。

(しかしこれはどういう構造……?)
 レレイは不思議に思う。彼女がこの場にいた時、近くにバッグについてである。
 彼女はバック自体は知っている。かつて日本に訪れた時、そこの人間が持って歩いていたからだ。
 考えるに中にものをいれて運ぶ、便利のよい籠のような存在。そこまではわかっていた。
(だけどこんなに「物が入る」ことなんてあるのだろうか……?)
 その中には鉈と白い謎の衣装とショベル、そして猫が入っているのだ。
 普通に考えてバッグの中に入る量ではない。仮に入っていたといても、バッグの大きさを考慮すればギチギチになっているはずだ。
 にも関わらず、それぞれが余裕あるような隙間がある。
(いくらなんでも日本の技術力でもここまでできるのか……? そもそもこれはあちらの世界の「物理」を超越しているのでは……)
 レレイは興味津々を形にしたような少女である。この未知の構造をしたバッグも気にならないとなれば嘘になる。

(だが、そんなことをしている暇はない)

 レレイはすぐに切り替え、支給品の詳細を確認する。
 ショベルと鉈は、何の変哲もないものであった。
 武器として使えないことはないが、レレイは白兵戦は不得手である。
 盾や、なんらかの防具があれば、自分の魔法の補助になる。
 彼女の得意とする爆裂魔法はそれなりな威力があるため、本体の防護さえきちんとしていれば、効果的なのである。

(これもまた……もしかして日本以外には実用化されているのか?)
 そんな怪訝な目を向けた先は白い衣服である。
 頭が三角筋、もっというならイカのようになっている。
 両腕の裏に赤が配色がされており、胸の部分には目のような突起物がある。
 おそらく「イカ」を模したものだろう、とレレイは思う。
 興味で日本を調べる時に、そんな生き物を目にしたような記憶があったのだ。
 そんな現実的なものに反して、この服の効果は着ると透明になるという。
 そんな機能があるものは日本でも聞いたことがなかった。本当かと試しに着てみたが、どうやら効果は確かなようだ。
 流石に強い衝撃を受ければ壊れるらしいが、そんな技術を獲得している時点ですごい。
 そして猫。単なる猫である。それ以上でもそれ以下でもなかった。
 先ほどのイカスーツにも説明書がついており、それで透明化の要素を知ったのだが、今回の猫はそれでしかない。
 櫻田家、という「王族」の家で飼われている猫、という説明を見て、レレイは思う。

(櫻田……という名前からしておそらく日本の人間と思われる。だが少なくとも私の知っている日本は『王政』ではなかった。確かに日本には皇族はいるが、それならば説明も皇族になっているはず。仮に大雑把に『王族』としていても、日本のそれには名字がなかったはずだ)

 矛盾が伴う。そもそも地図を見るに、ここに自衛隊駐屯地がある時点でおかしい。
 彼女が知っている限り、こんな土地に自衛隊は駐屯していないはずだ。
 たとえそれを知ってなくても、門がなぜこんなところにあるのか。アルヌスの丘はここではないはずだ。

(となると、意図的にここに門を召喚させた可能性もある。門は異世界を繋ぐ者だから、『櫻田』という王族がある世界と繋げたかもしれない。そうやって参加者を集めて……)

 と思いながらレレイは参加者名簿を見る。
 櫻田と呼ばれる王族であるらしいものは、なんと5名もこの殺し合いに参加させられているらしい。
 とは言ってもこれは憶測にすぎない。レレイがいくら天才と言ってもGATEの向こう側の世界を完璧に把握しているわけではないのだ。
 もしかしたら櫻田という王族が他の世界にいるかもしれないし、自分の知っている皇族の知識が間違っているかもしれない。
 確証を得るにはもっと情報が必要だ。レレイはまだ判断しない。

98 :
(……少なくとも自衛隊の隊員と、そしてロゥリィをここに呼んでいる時点で油断はできない)

 自衛隊。自分の生きる世界においては最強の軍隊。
 ロゥリィ。自分の生きる世界において最強クラスの人物。
 そんな人物をこの殺し合いに参加させている。生半可な実力や組織力がなければ不可能だろう。
 とはいえ、仲間にはしたい者達だ。彼女は参加者名簿を確認すると、とりあえず仲間に合流する方法を考える。
 おそらくこの自衛隊駐屯地、ついでに付近にある門に集まるだろう。
 だとしたら、そこに向かうのが一番確実。とすると、まず現在地を把握する必要がある。

 現状の把握のためには歩く必要がある。ならば今、必要なものは姿を隠すことだろう。
 透メイカーはそれに最も適している。今のところ、敵と交戦する必要もないし、武器も必要ないだろう。
 そう思ってまず鉈を入れ、次にショベルをバッグにしまうと手にとった。
 土を掘る先端が他の者を映した時、レレイの耳に声が入ってきた。

「そこの人ー!」

 呼び止められたようだ。レレイは振り向く。
 敵意はなさそうな声だが、油断せず、防御魔法の展開を考慮する。
 眼前にはツインテールの――おそらく日本の「学生服」を着た少女がいた。

「そのシャベル、私の―!」


 少女の名前は恵飛須沢胡桃。私立巡ヶ丘学院高等学校三年。学園生活部部員。
 男勝りで、性格に合うように運動神経もいい。
 レレイが色々と会話を交わしてわかるのはそのことと、彼女の移動した地理情報から自分のいる場所がC-1だということ、そして胡桃という少女は少し甘い性格なのではないか、ということである。

(おそらく日本に住んでいる「学生」という、言うなれば一般市民なのだろう。しかし、だからといって不用意に人の元へ近づくのは危険。殺し合いという場では迂闊ともとれる)

 もちろん自分はR気はないし、相手もR気がないのはわかっている。
 先ほどの「異世界から集められた」仮説を証明するためにも情報は得たい。
 ただ、これから行動するとなると、かなり厄介になるのでは、と思っただけである。

(ただ、運動神経は恐らくこの少女の方が上。先ほど、こちらへ向かってくる走りをみれば健闘はつく。もし、何らかの状態で魔法が使えなくなれば、心強い味方になるかもしれない)

 もっとも、一番は自衛隊などの戦士であるが、などとレレイは考えていると、胡桃は不思議そうな顔で話しかける。

「何か言いたいこと、ある?」
「あ、いや、別に」

99 :
 言っても仕方のないことだ。
 レレイはまず少女から開口一番にねだられたシャベルを手渡す。 どうせ自分には扱える武器にはできないし、飛ばす武器としてはそこそこの効果があるかもしれないが、せいぜい「そこそこ」止まりだ。
 それより物々交換の材料に使った方がいいと判断したのである。

 そのようにレレイは思っているが、この胡桃という少女は、彼女の思うほど、甘くはない。
 胡桃の支給品の1つに双眼鏡がある。彼女がこの地に着いた時、まずこれで周囲を観察した。
 わかるだろうが、これは警戒のためである。
 その途中で彼女は、青髪の少女、レレイを見つけたのである。
 修道士というか、魔法使いのような格好をしていたのでそこは不思議だが、まず警戒対象として目星をつけた。
 彼女の支給品ももちろん把握できた。そして自分の獲物であるショベルを目にしたのである。
 胡桃からしてみればこのショベルは手に入れたいものであった。
 彼女は映画でいう「ゾンビ」、彼女の世界で言う「かれら」を相手に生き残ってきた者である。
 そんな生死の狭間を行き交っていた彼女であるが、あくまでも敵は「人間ではない」存在である。
 というよりは「人間でない」と思わなければ殺せなかった。
 それはさておき、つまり相手が人間というのは初めてなのだ。
 だからこそ、かつて持っていた武器は持っておきたい。
 シャベルは本来武器として使うものではないが、それでも使い慣れたもの得るというのは、この不可思議な状況下、必要とするものであった。
 幸い、自分の武器に中に銃器があった。
 青い髪の女は何やら透明になれるらしいが、武器はあくまでも近距離用。
 少なくとも逃げる術には活用できるだろう。
 相手は見るところ、自分よりは体格がよくない。チャンスは十分にあるだろう。

(にしても……あたしも少し安直だったかもな)

 胡桃も完全に安全というわけではない。レレイの思ったように「甘い」部分もある。
 その要素の1つは現在、胡桃が見ているものである。
 鉈が浮いているのである。比喩でもなんでもなく、鉈が浮いている。
 それがまたヘリコプターのように動く。
 そのような物理法則を無視したような動きを、レレイは起こしていたのだ。

「それがレレイちゃんの、魔法、ってやつ? こんなの初めて見たよ……」
「あなた達の『日本』でもそれは滅多に見ないということ?」
「滅多に……というよりさっぱりだな……」

 こんなもので攻撃されたら慣れない銃撃などあまり意味がない、と胡桃は心の中で冷や汗をかいた。
 彼女もその類のものがこの世界にないと思っているわけではない。
 会場に集められた時の「アヴドゥル」という男は謎の炎を発射する人型のものを召喚していた。
 だが、胡桃はそれだけでは確信できない。あまりにも非現実的で信じられなかったのだ。
 主催者の使ったマジックや、演出や、そういう類のものと思っていたのである。
 今回の魔法をみてやっと納得できたが、これは迂闊だった。
 たまたま運がよかったからいいものの、これから気を付ける必要はあるだろう。

(あたしも『絶対に』ないとまでは思ってなかったんだけどな)

 胡桃はレレイの持っている杖をみながらそう思う。
 この杖は本来、胡桃の支給品である。ショベルとの物々交換で決めたものだ。
 釣り針のような杖の頂上に丸い球がついている。
 奇怪な形だがこれは単なる変なオブジェではなく、魔法使いにとっては優れものである。
 簡単にいえば「魔力を使う段取りを省略し威力を高める」ものである。
 例えば呪文や詠唱など、そういうものが必要になる魔法を省略し、すぐさま効果を発揮できる、ということだ。
 それプラス威力を高めるおまけつきである。
 元々魔法使いではない胡桃には魔力もごく少ないため、使用にはできないがレレイは天才的な魔法使いである。
 その効果は絶大だろう。レレイにとっては強力な武器となる。

100 :
「さて……ここで聞きたいんだけど、あなたのいる『日本』では死霊、もしくは『ゾンビ』が跋扈しているのか?」
「『ゾンビ』……まあ例えるとすればそんなもんかな。詳しいことはわからないが、多分、壊滅的な状態かな」

 壊滅的、となるとおかしい。レレイは思う。
 彼女も日本全土を渡っていたわけではないが、壊滅的となれば話は別だろう。
 日本には自衛隊と言う相当な戦力があるわけだし、ゾンビの退治など造作もない筈だ。
 そんな軍隊でも太刀打ちできない状態のゾンビの跋扈……となるとレレイの知っている日本とは大きく異なるわけである。
 また「櫻田」という王族を知っているか、と聞いても知らないと答えられた。

(となると、櫻井家がいる世界と胡桃のいる世界は別。もちろん私のいる世界は別……ということになる。もちろん、精神が錯乱している可能性はあるけれども、「門」と存在がある以上、それはそこまで重視できるべきこととは思えない)

 おそらく「櫻田家」の一人と会えば確信が持てるだろう。
 レレイはそう思いながら、胡桃に話しかけた。

「ここからあなたはどこに行くつもり? やはり巡ヶ丘学院高等学校?」
「まあそっちには向かいたいところだが……そもそも私と同行するのか? 魔法なんか使えないし足手まといもいいところだと思うぞ」
「そこまで不要とはいえない。確かにあなたに魔法は使えないが、運動神経は私より優れている。これは憶測だが私に対抗できる魔道士もいるかもしれない。その際に私の魔力が尽きた時、一番頼りになるのはあなた」
「運動神経って……そりゃ戦ったことがあるけど、レレイの言ってた自衛官やら、ロゥリィって人やらに比べたら、格下だぞ」
「たとえそうでも、現時点の私においてはとても必要な存在。もちろん、あなたが嫌というならそれでいい」
「いやいやいや、あたしはむしろ同行を頼みたいよ。その魔法なんてのは大きな武器になるし。逆にレレイは行きたいところってあるの?」
「自衛隊の駐屯地、および門。おそらく仲間もそこに集まると思われる」
「レレイの仲間って強いんだろ? ……もちろん私も自分の友達には会いたいけどさ、私が死んじゃったら元も子もないし」
「その点は大丈夫。そもそも戦闘力・生存能力が共に優れているため、後から合流しても問題はない。距離としても巡ヶ丘学院高等学校が近いため、手っ取り早い」
「そうか……? いやそうしてくれるのはありがたいんだが、どうして」
「西部の都市部は学校が集結している。あなたの在籍していた高校が本来の場所ではなくここに写されているということは、他の高校もそうなっている可能性はある。つまり人が集まりやすいということ。私達の仲間を増やすことはできる」
「脱出する同士ってことか……。でもこの殺し合いにも乗ってる奴はいるかもしれないぞ」
「殺し合いに乗っていても学生か、教師の類。兵士や戦士のような人間に比べたら危険性も戦闘力も弱いだろう。仮に高い者がいても、遮蔽物が多い方が私の魔法や、一般市民のあなたにとっては有利。少なくとも草原という範囲が広い場所よりは生存できる可能性が高い」
「おお……すっごい考察……。なんか全然考えてなくて申し訳ない気分だよ……」


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