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獣人総合スレ 11もふもふ
- 1 :2012/11/09 〜 最終レス :2020/04/29
- 獣人ものの一次創作からアニメ、ゲーム等の二次創作までなんでもどうぞ。
ケモキャラ主体のSSや絵、造形物ならなんでもありありです。
なんでもかんでもごった煮なスレ!自重せずどんどん自分の創作物を投下していきましょう!
ただし耳尻尾オンリーは禁止の方向で。
エロはエロの聖地エロパロ板で思う存分に。
荒らしには反応せず相手せず、完全無視が一番安全です。
獣人スレwiki(自由に編集可能)http://www19.atwiki.jp/jujin
あぷろだ http://ux.getuploader.com/sousaku_2/
避難所 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1237288452/
【過去スレ】
1:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1220293834/
2:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1224335168/
3:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1227489989/
4:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1231750837/
5:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1236878746/
6:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1243614579/
7:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1250254058/
8:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1263143962/
9:http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1277458036/
10:http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1281087600/
- 2 :
- >>1もふ
- 3 :
- スレも立たせて頂きましたし、一番槍イキます!
- 4 :
- コレッタが飛ばした紙飛行機が学園から飛び出してしまった。
風に乗って、学園の東に並ぶ古い民家立ち並ぶ天秤町へと向かっていったところまで見たとコレッタは言う。グラウンドから山を臨む
コレッタの眼には濁りおろか、ウソをつくことさえ知らない清らかさが誰の眼にも見えた。だから、教師の泊瀬谷はコレッタに
尻尾を引っ張られたつもりで、放課後を費やしてでも紙飛行機さがしに付き合うことにした。
もちろん、紙飛行機の一つや二つ諦めたら?と泊瀬谷は慰めたが、ぶんぶんと首を横に振って悲しそうな顔を見せるだけだった。
コレッタのクラスメイトが横切って先に帰宅するなか、泊瀬谷とコレッタは紙飛行機の向かった民家が立ち並ぶ路地と坂の町に向かう。
「ホントにこっちに飛んでいったのかな?」
「ウソじゃないニャ!コレッタ、見たもんニャ!」
「そっか。じゃあ、頑張って探すぞー!」
母親と言うには若すぎて、姉と言うには歳が離れすぎる。泊瀬谷は少々戸惑いながらもコレッタを先導した。
「こっちが近道ニャ」
赤いランドセルを揺らしながらコレッタは泊瀬谷を追い越して先頭を切り、坂の町・天秤町へと迷い込んでいった。
のんびりとした私鉄の線路を越えるペンキの剥がれた歩道橋を渡り、その先に続く迷路のような町へと二人は吸い込まれていった。
急斜面に犇めき合うように立ち並ぶ家屋。手を伸ばせば届く屋根。子ネコ一人がやっとすれ違うことができるぐらいの狭窄した路地。
いつの間にか他人の家に上がり込んでしまうかもしれない軒先を掠めながら、泊瀬谷とコレッタは紙飛行機を探す。
見つかる確率などゼロに等しいかもしれないが、ゼロではないから望みを捨てられない。突如現れる石段を下ると、
コレッタは両足揃えて飛び降りた。ふわりと短いスカートが翻り、健康的な白い脚がきらりと石畳に花咲く。
「どうしても見つけなきゃいけないの?」
一段一段足元を用心しながら泊瀬谷はブラウン色のブーツを鳴らした。すっかり秋めいてきたから、秋色の装いで登校してきたが、
コレッタに巻き込まれてこんなに歩くとは思わなかったから、肌寒いはずなのに少し暑い。気が付くとコレッタは登りに変わった
海臨む石段を疲れることなく駆け登っていた。紙飛行機追いかけて、迷宮のような石段を上って泊瀬谷は息を切らす。
昼間は海風がすすすと町を撫でる。陸へとよじ登る風がコレッタのスカートを翻していた。
「海風だね」
「うみかぜ?」
コレッタはスカートを抑えながら泊瀬谷の顔を伺った。穏やかなお天気から授かった、ちょっとした悪戯。
ぷいと悪戯をかわすようにコレッタは石段交わる小さな十字路を通り抜ける。
だんだんと手がかりの無い探し物は人を意気地なしにしてしまう。
海からの風が迷路に迷い込み、子ネコのように素早く通り過ぎていった。
- 5 :
- 「コレッタちゃん、待ってよお。どうしてもなの?きっと、誰かに拾われてるよ」
「ニャ!!」
尻尾を膨らませたコレッタは踵を返し、両手でバランスを取りながら石段を下りる泊瀬谷を見上げていた。
言葉は少なかったが、小さな白いネコが伝えようとせんとすることは泊瀬谷に届いていたのであろう、それ以上泊瀬谷は口を
挟むことはしなかった。泊瀬谷だって、教師の端くれ。生徒の考えていることぐらい心得ている……つもり。
ようやく泊瀬谷がコレッタに追い付くと、泊瀬谷は斜面からの下界の景色と、風が髪をかき上げるさりげない快感を覚えた。
「先生ニャ!」
コレッタはいきなり担いでいたランドセルを泊瀬谷に渡し、目の位置からは下に見える瓦屋根をじっと見つめ、低いブロック塀に登る。
腰ぐらいの高さで海側の路地を縁取るブロック塀。急斜面の路地ゆえの作りだが、その代わり山側には石垣のような壁がそびえる。
急斜面に建ち並ぶため、子ネコのコレッタでも頑張れば屋根を飛び越せるというダンジョン。ネコの額の路地はネコに優しい造りだ。
屋根越しに麓に沿って走る私鉄電車ががたごとと音を遠くから響かせて、道と商店街を挟んだ先には静かな海が狭くも広がっていた。
青い空を背景にコレッタを足止めした白い塊がふわりと舞った。
「ちがったニャ……。見まちがえニャ。コンビ二の袋だったニャ」
「そうなんだ。紙飛行機じゃなかったね」
「コレッタの紙ひこうきはテストの紙ニャね。折り曲げて作ったニャよ」
「そうなんだ。お母さんに見せちゃ怒られるかなあ?って」
寂しげな表情を浮かべコレッタは淡いピンクで染まったカーディガンの裾を伸ばしていた。ゆっくりとコレッタの尻尾がうな垂れて、
背後にそびえる石垣を尻尾の先でなぞりながら地上の石畳へと降りた。ゆっくりと尻尾が下がるさまは子ネコの思いに似ていた。
コレッタのランドセルを片肩に担いだ泊瀬谷の肩がそう遠くもない小学生の日々を思い出す。こんなにランドセルって重かったかな。
赤く染められた合皮の肩紐が泊瀬谷の肩に食い込んで、ぶらぶら下がる泊瀬谷の頃にはなかった防犯ブザーがゆらゆらと揺れる。
「ひゃく点だったニャよ」
自慢すべきであ百点満点の答案、紙飛行機にするなんてもったいない。
泊瀬谷の肩に食い込むランドセルの肩紐、納得のゆく点数なら軽く、そうでない点数なら重く感じた記憶が甦る。
「テストでひゃく点取ったからうれしかったニャ。みんなにじまんしようと思ったけどニャ、クロの点数はよくなかったニャね。
それでひゃく点のテストの紙でひこうき作って……えっと、えっとニャ」
「そこで、玄子ちゃんを安心させようとしたんだね。『コレッタも点数悪かったニャよ』ってね」
「それ、コレッタが言うニャ!!」
結論を急ぎすぎた泊瀬谷は頬を赤らめた。
「そしたら、クロったら『コレッタの紙ひこうき飛ばすニャよ!』って元気出して、はりきっちゃってニャね。そしてニャ。
『コレッタ、思いっきり外にむけて飛ばすニャ!』って言うニャよ」
「……そうね。玄子ちゃん、コレッタちゃんのテストも良くなかったって思ってるしね」
「それ、コレッタが言うニャってば!!」
#
- 6 :
- 「跳月センセ。幾らなんでも、鬼過ぎっすよ」
「ぼくのが鬼過ぎるなら、帆崎先生のは悪魔ですね。教育者の心に巣食う、探究心ゆえ知恵の実を口にした悪魔の仕業」
三十路を超えた男子二人が古い住宅街見下ろす古寺にたたずんで、お互いを刃のない刀で傷つけ合っていた。
世間的に若くもなく、かと言ってジジイでもない中途半端なお年頃の二人。年寄りのブーたれも分かるし、若者のハナタレも理解できる。
まるでたそがれ時に淀む空気が呼ぶ、凪のような存在であった。
一人は古文担当・ネコの帆崎。プリントを手にしてぐしゃりと握りつぶす。
もう一人は化学担当・ウサギの跳月。プリントを手にして几帳面に折りたたむ。
「『大伴家持が編纂した「万葉集」の中で「読人不知(よみひとしらず)」の歌を三つ挙げ、それぞれ読人の人となりを推して記述せよ』
だなんて、どう答えれば正解なんですか。別に全ての理系人が『○○の気持ちを述べよ』に反感買ってるわけじゃないですから」
「それじゃ『「ウラシマ効果」を用いて「サザエさん時空」を説明せよ』って、分かるわけないじゃないですか!」
暇だから、お互いの担当教科の小テストを作ってみた。帆崎は古文、跳月は化学、それぞれの担当教科で本気の小テストのを作って
高校時代を思い出しながら解答しあったのだが、なんせ生徒無視、授業無視で作成された問題は少々辛口……と言うより大人気ない
内容となり、両者散々な点数と相成った。全力を挙げた大人たちはときにリア厨よりも子供だ。冗談で作った本気のアマガミ。
男子なんて、歳を取っても体はオトナ、心は子供なんだなと、二人して赤点以下の散々たる結果を真摯に受け止める。
「帆崎先生は高校時代、こんな点数取った答案どうしてましたか」
「ぼくはそんな点数取ったことありませんよ。跳月先生こそどうなんですか」
「ありませんね。ぼくだって」
小石を蹴って「跳月先生らしい返事だ」と口にださない独り言を帆崎がこぼす。丸めた0点の答案をお手玉よろしく投げる。
生け垣越しに古い住宅街の屋根がちらちらと見え、急斜面の上に建つ古寺とのコントラストが絶妙に混じり合う。天秤町とはそんな町。
「ぼくですね。化学の教師って職業があってホントよかったなって思うんですけどね」
「なぜに」
「自由に遊ばせてくれますからね。社会が」
「先生は若隠居しているつもりですか」
「闘いなど何も生まない」
境内の土をくたびれたスニーカーで踏み締め歩き、跳月は古寺の山門に寄り掛かる。くたびれたシャツは野郎一人暮らしの勲章。
着るものさえきちんとすればそこそこの面構えなんだが、跳月はとくに面倒を感じていなかった故に残念だ。
「もし中学三年で跳月先生と同じクラスだったら、お互いどう思ってたでしょうね」
「帆崎先生が100点取っても帆崎先生ははしゃがないだろうし、ぼくも何の気を止めないだろうな」
「でしょう」
「お互い様ですな」
- 7 :
- こんな会話を続けていても、枯れていくさまが際立つだけだ。
帆崎と跳月はどうしょうもない会話で時間を潰す。
「この間、芹沢と高坂が話してたんすけど。中等部の男子ですよ。『空から女の子降ってきたらどうする?』って」
「物理的にありえない。まず、無の状態から生態を発生させる理屈から突っ込もうか」
「『危機的状況に居合わせた場合9割の確率でいい関係になるんだぜ!』って高坂が言うんです」
「果たしてその子は地上への自由落下において受ける空気抵抗に耐えうるのか」
「芹沢は『ぼくらに好意を持ってくれてたらいいけど、ドSだったらどうする?』だって、ですよ」
「……ぼくの話、聞いてます?」
「聞いてません」
お互い様の無駄遣い。帆崎はぎゅっと握り締めた自分の答案を再び広げると、ひったくられるように海風にさらわれて空へと
解き放ってしまった。まるで答案が翼を下さいと願っていたように、山側を目指して飛んでいった。
ひらひらと行方を晦ませる紙切れを帆崎は黙って見ているしかなかった。
「海風循環ですね。日中暖められた陸の空気は上昇し、海上の空気が陸へと雪崩れ込む。一方、夜間では海水は保温能力が
あるから海上の空気が暖められて上昇し日中と逆に陸からの空気が流れる。陸風循環だ。そしてその間の無風状態が凪」
「ちょっと、探してきます」
「……ぼくの話、聞いてます?」
帆崎は重い腰を引きずりながら天秤町の古寺をあとにした。
確かならば、上へと飛んでいったはずだ。帆崎は雲のほうを見つめながら細い天秤町の路地を歩く。
石段の多いこの町はネコに向いている。すれ違うにもお互い気にしなければならないほどの手狭さだが、一旦過ぎると忘れてしまう。
気まぐれなネコがこの古い住宅街に向いている理由はそれなのかもしれない。ざわわと木の枝葉は騒ぎ、雲が流れる。
意外にも探し物はすぐに見つかった。いつの間にか古寺より高い場所にいた帆崎、ずっと上を向いていたので首が疲れた。
失った物は意外と足元にあるもんで、やれやれと海を眺めようと目線を下にすると木の枝に引っかかっているのを発見したのだ。
坂の上からの視線なので、木の上に引っかかっていても帆崎の現在地よりも下に見える。取れないところではない。
「ガキの頃以来だな」
革靴を脱いだ帆崎は恐る恐る木の枝に足を掛け、両手で掴み、0点の答案の場所へと歩みを進めた。
ぐらぐら揺れる木の上でも、帆崎はらくらく進む自信があった。みしみし軋む枝に気を使いながら、すいすいと帆崎は進む。
枝葉から覗く海の眺めは地面にいるときよりも美しく見えた。全てを見せない葉のシルエットが見事なまでに邪魔で素晴らしい。
そして風がひんやりと袖を抜ける。しかし、それらを楽しむ間など帆崎に許されるはずが無かった。
- 8 :
- もうすぐ凪の時間がやって来る。ヤツを捕まえるチャンスかもしてないが、か細い枝から逃げることの無い状態はオトナの帆崎が
捕まえるにはむしろ危険な状態だ。自然を味方につけられなかったのが運のつきかもしれない。
枝に引っ掛かった帆崎の答案ははらりと風に煽られて、遥かに遠い空へ飲み込まれた。最後の望み破れ、手を伸ばしても未だ届かぬ
ものもあると、三十路にして帆崎は知った。値の付けられないものを手に入れた代償として与えられたのは転落。枝の上でバランスを
崩した帆崎は足を滑らせ、両腕で細い枝葉をなぎながら地面目掛けて体を重力に任せた。探し物は再び高い木の枝にしがみ付いた。
背筋を凍らせ、冷や汗流し、咄嗟に掴んだ枝に身を委ねると、弓のようにしなった枝が帆崎の体を地面との激突を防いでくれた。
帆崎が恐る恐る下を見ると、天秤町を巡る路地の真上に自分の身があることを知り、同時にコレッタの姿を見た。
「帆崎先生ー!」
上から跳月の声。まだまだ生い茂る木の葉が帆崎の姿を阻んだ。地上わずかにコレッタの身の丈程の高さで、両足上げてぶら下がる
帆崎は枝の弾力を利用して地面への軟着陸を試みた。ゆっくりと慎重に体を上下に揺さぶり、足元が地面に近付くタイミングを計る。
梢では同じように木の葉も揺れる。
「なにしてるニャ」
「何してるんですか!」
しまった、南無三。情けないところを見られた。
紙飛行機追いかけて家屋が犇めき合う路地からひょっこり現れたコレッタは木にぶら下がる大の大人を目を丸くして見上げていた。
みしっと木の繊維が裂ける音がしたかと思えば、間を置くことなく一気に帆崎を実らせた枝は折れた。
がさがさと木の葉が擦れる音は石畳に舞い落ちる帆崎を笑っているようにも聞こえた。帆崎が尻餅着いて全身の毛並みを
逆立てさせていると、はらはらと枝の折れた衝撃で木の葉が帆崎とコレッタに舞い降りた。大歓声の中で幕を閉じるステージに
演者を讃え舞い散る紙ふぶきのようにはらはらと。
空からおっさん降ってきた。
退屈ばかりが幅を効かせた日常がほんのちょっぴり変わるかも。
そして、世界を救ってしまうかも。
そんなわけないか。
「……どうしたニャ。あまりわるいことばかりしてると、白先生にいいつけるニャ」
「いつつつつ……。それは勘弁な」
路地狭しと体育座りでさえも幅を取る石畳で帆崎は悶絶で顔を歪めたが、覗き込むコレッタの不思議そうな顔に我を取り戻した。
うろこ雲広がる青空にコレッタの白い毛並みと金色の髪がぽっかりと浮かんだ。穴があったら入りたいとはこのことだ。がむしゃらに
穴掘って我が身を隠してしまいたい。しかし、ぬかったことにネコ耳と尻尾が見えてるよ。掴んでいたのは泊瀬谷だった。
- 9 :
- #
古寺をあとにした跳月は0点の答案を握り締めて、とぼとぼと急な石段を降りていた。やけにきつい坂道は三十路の体には厳しく当たる。
足元を踏みしめながら移り行く風を体全体で感じていると、見たことのある人影が目に入った。オトナと子供の二人の影。
「おや……。泊瀬谷さん」
すれ違うのも窮屈な路地では同僚とは言え、後輩とは言え間近に顔をお互い合わすのは照れくさい。嫌な演出をしてくれると
跳月は心の中で天秤町へ毒づいた。秋色めいたコーディネートの泊瀬谷は教室よりもオトナに見える。もしかして、後ろ手で
コレッタを連れているからかもしれない。ランドセルの肩紐をぎゅっと握り締めたコレッタは泊瀬谷の背中に隠れた。
結局、コレッタの紙飛行機はコレッタの手元には戻ってこなかった。だから、コレッタは言葉少なくなった。
「お寺にでもご用事ですか」
「ご用事ではありませんでした」
「この町は用事でもなければ飲み込まれてしまう」
泊瀬谷は跳月のいきなりの詩人ぶりにきょとんとしたが、全てはこの町のせいだと思えば何もかも合点がゆくことに気付いた。
町は人を彩り、人は町を彩る。何があってもおかしくない町の出来事など、素直に受け止めればよい。泊瀬谷は会釈をして
跳月の側をすり抜けようとした。
そうだ。
「泊瀬谷さん」
跳月はすれ違いざまの泊瀬谷の後ろ尻尾掴むように声をかけた。着いて来たコレッタのランドセルが跳月の脇腹をかする。
「もし、空から……女の子が落ちてきたら。どうします?配点10点」
「え?」
「ぼくからの小テストです」
顎に手を当ててしばらく泊瀬谷は考えた。答えなど分からない。作者の気持ちが分からない。
「あの。空から、帆崎先生じゃだめですか?」
「……あり得ない。泊瀬谷さんも0点ですね」
「ちがうニャ!ひゃく点ニャ!」
ランドセル姿の子ネコは眉を吊り上げて主張した。
#
未だに木の枝に引っかかった答案に見守られながら帆崎は路地の壁に寄りかかり、眼下に広がる民家の屋根と静かな海を眺めていた。
風は気持ちがよいというのに、びりびりと尻の痛みが引かないのがちょっと悔しかった。
おしまい。
やりたい放題で毎度すいません!
新スレでもよろしくお願いします。
投下おわりでございます。
- 10 :
- ttp://dl10.getuploader.com/g/sousaku_2/92/furry521.jpg
- 11 :
- 泊瀬谷センセ、コレッタの答案用紙どこいっちゃったんでしょうねぇ…
(夏の麦わら帽子っぽく)
何気に帆崎先生と跳月先生のダメ大人っぷりが素敵w
>>10
わーい、お嬢様だ!!
- 12 :
- ほんと、ダメかわいい人達w
- 13 :
- ttp://dl10.getuploader.com/g/sousaku_2/99/furry522.jpg
- 14 :
- >>13
N-Oneってそういう意味……誰うま
舌の配置にセンスを感じたり
猫顔はちょっと前のプジョーがやってたけど
犬顔はどこもやってないからいいかもしんない
- 15 :
- モエ「やっば、クリスマス近いのに彼氏いない的ー。クラスの奴ら集めてクリスマス会でもやるかー。いんちょー来る?」
リオ「えっ、ちょっと私は用事があって(冬コミが忙しい)」
モエ「リオも彼氏なんか居ないっしょ。来い来い。決まりね」
リオ「…(冬コミが忙しい)」
モエ「他に寂しい奴は、っと。うーん、ハルカは彼氏持ちだし、ミーコとクーはゲーカッポーだし、ユーリは野郎転がすの上手そうだし、りんごと翔子と番場ちゃんあたりかな、男子はどうしよっかな」
シロ「……」
リオ「ひそひそ(ね、ねぇ、モエ。ババアが仲間になりたそうにこちらを見ている)」
モエ「おーこーとわーりしますー♪ご遠慮しますー♪的なー?アハハー」
シロ「……(残念そうに帰っていく)」
リオ「うわぁ……悲惨……」
モエ「馬鹿と虫と犬上と、ん?犬上呼ぶならハセヤンも必要?教師一人だと浮く?おーい、シロせんせー、しょうがないからクリスマス会来るー?」
シロ「えっ?私も良いのか?そ、そうだな、そういう会には引率が必要だしな!」
リオ「モエ、なんでだろう、私、涙がとまんない」
モエ「えー、なんでー?」
- 16 :
- はせやんとヒカルくんのことを感づいたのか?モエっち
- 17 :
- さるべーじ
- 18 :
- さるべじ?
ttp://dl10.getuploader.com/g/sousaku_2/139/furry523.jpg
- 19 :
- 調理しようぜw
- 20 :
- >>18
言葉通りの意味じゃね〜かww
- 21 :
- クリスマス近いし、投下するか!
- 22 :
- 冬の市電の中は暖かくて眠い。
まるで睡魔の館を不意に訪れたようだ。
おまけに雨粒がガラス窓を叩く音が単調過ぎ、さらにはモーターの振動で脚から揺さ振られると、もう睡魔に唆されるしかないよねと、
すんなりと諦めがつく。車内で犬上ヒカルは片手に吊り革、片手に濡れた傘を持ち、雨に曝されてしまった右肩を気にしていた。
乾きはじめたジャケットと、ヒカルの若い男子の匂いが入り混じる。気にはしているつもりはないが、ちょっとは気にしてる。
白いイヌのヒカルはとろとろっと体を吊り革で支えながら、市電を追い抜いてゆく大型バイクを目で羨ましそうに追いかけていた。
鉄(くろがね)が命を宿るとき、誰もが永久の友を持ち、誰もが深い絆を契る。
ヒカルの眼に映ったテールランプが赤く焼きついた。
「……」
季節柄、リア充どもが幅を効かせ、ヒカルの目の前も例外なく仲睦まじく寄り添っていた。隣り合わせは気恥ずかしいから、
背中にそっと居てほしい。やがて市電が止まるとリア充どもが席を立つ。若い娘がオトナ気取りで踏み鳴らすブーツの踵の音で
ぼうっと瞼を重くしていたヒカルはしぶしぶと耳を立てた。
今日一日振り返る。
風紀委員長の因幡が騒いでた。化学の跳月は意地悪だって。口さがないように聞こえるけれど、因幡の目はウソつきかも。
いくら真面目なメガネで隠していても、決して跳月の話を絶やさないし。ただ、疑わしきは罰せず。どう思いますか、先生。
ヒカルも因幡も不安なお年頃だから、オトナに擦り寄りたくもあり、大人を毛嫌いしてしまう。
担任のネコの泊瀬谷が本に没頭するヒカルの側で浮かれていた。「もうすぐ、クリスマスだよね」と。
慌てたヒカルは本を閉じた。内容は長い冬を終えた頃のバイク一人旅、春を探しに行く繊細な文章がかすかに香るとヒカルは言う。
「ぼく、小さい頃、クリスマスの日はなかなか寝なかったんですよ」
「どうして?」
ヒカルは「プレゼントがやって来る瞬間をこの目で見たかったから」と恥ずかしそうに答え、泊瀬谷はその顔を見て
口元を緩ませていた。ヒカルはそんな泊瀬谷にちょっと目を吊り上げた。
「先生っ」
もう一度。
「……先生」
先生、ですか。
犬上ヒカルくん。先生はそこにいません。もしかして、隣り合わせで居られるのもあと僅かかもしれません。
でも、ヒカルくんの勇気でほんのちょっと長く……いや、ずっと居られるかもしれません。
「眠いや」
#
雨上がりの夕方、ヒカルは教習所のコースを見渡せるテラスにて、体を締め付けるプロテクタを気にしていた。
第一段階はなかなか手強い。ゲームなら時間の許す限りやり込めばやり込めるが、バイクの教習はそうはいかない。
ゼッケンは何となく格好悪いと始めは眉をひそめていたが、最近は着けていないと落ち着かない。肘、膝、腕のプロテクタだってそうだ。
形から入るのも悪くない。姫君を迎えに行く甲冑を纏ったナイトのようだと物は考えよう。腕にぶら下げたヘルメットも軽く感じる。
「犬上もこの時間なの?」
- 23 :
- 学校で聞くよりも声の女子度が違う。援軍もついて来ない孤軍奮闘、一人で立ち向かう孤独なジャンヌ・ダルクか。
クラスの委員長こと真面目のまー子がヒカルと同じように教習所からのぶっきらぼうなゼッケンを着けていた。
プロテクタに着させられた女子高生のウサギが耳を垂らして元気なさ気にヒカルの横に並び、ため息をつく。
出席簿を抱えていたならばメガネが光るもの、受講終了のハンコを押してもらう教習所の原簿ならば彼女も気が重い。
「一本橋、苦手だなぁ」
「因幡はちゃんとタンクを脚で挟めてる?」
バイクは体で乗るもの。頭で分かっててもとは100年前から使い古された言い訳。古人は全くいい加減なことを残してくれる。
「学科は得意なのに、実技が追い付かない。わたし、免許取れるかなあ」
ウサギの因幡リオにはコースを走り回るバイクたちが海を跳ね回るイルカに見えてきた。乗ってみたいけど、所詮は憧れ。
自分より腕の立つものを見れば見るほど自信が失せる。牙を抜かれた委員長ほどいじらしくて、手を出したくなる。
ましてやぶかぶかのジャケットにヘルメットを抱えた出で立ちならば。一つ背中のゼッケンの数字を指でなぞってみようか。
「8」なんかなぞり甲斐があるぞ。はたまたヘルメットを奪って被せてみようか。
だが、ヒカルはそんな小さなSっ気に目覚めることなく、大人しくリオの話に真剣な態度にて乗ってきた。
「多分……」
俯いてショートの髪から覗くリオのうなじを見ていたヒカルが口を開き、リオはメガネを指でつまんでかけ直した。
「男子の気持ちが分かれば、直ぐに上手くなるよ」
「何?わかんない!」
「男子だってば」
リオはヒカルの脛を蹴ろうと足を上げたが、遠くで教官が二人を呼ぶ声がしたのでヒカルは命拾いした。
ヒカルの言う「男子の気持ち」をぶつぶつと頭で反芻しながらリオは教官とこれから一時の愛機となるバイクの元へ駆け足で急いだ。
その日の教習を終えたリオは重かった。自分の納得のゆく結果に至らなかったから、学校ではチキンと委員長やってんのに
ここではどうして怒られるんだろうと理由は突けばいくらでもある。学校の制服に着替えスクールバッグと自分用のヘルメットを
両手揃えてぶら下げて玄関先で佇む。
「帰るの?」
言葉を口にせず頷いたリオには男子の気持ちがなかなか分からなかった。
「ぜったい、犬上より早く免許取るんだって頑張ったのに」
- 24 :
- 帰り支度を済ませ、後は帰るだけのヒカルはリオの薄い手の平を見つめていた。きっと誰かにすがりたいだろうが、
扱いに困る委員長だからそっとしておくに限る。ヒカルが夕焼けの街に消えてゆくのをリオは追いかけた。
まだまだ力が無いからか、街の一かけらになるのはどうしてだろう。だから愛機に跨がって抜け出したいと、バイクの免許を取ろうと
思った。出来ることなら誰かと一緒に、背中越しの暖かさで寒さを凌ぎながら。まだまだ殻に閉ざされた孵化する前のバイク乗りの
ひよこたちは私鉄のガード下に身を隠すように佇んでいた。
男子高校生の頭がつきそうなぐらい低く、乗用車がすれすれ通るぐらい狭いガード下はレンガ作りの昭和生まれ。蔦がいやがうえにも
街の歴史を刻む。
「免許取ったらはづきちを見返すんだ。『わたし、はづきちが見たことない景色が見えるんだよ』って」
「いいなあ。それ」
「犬上はどうして免許取るの?」
「泊瀬谷先生に勧められたから」
「それだけ?」
「一緒に誰かと景色を楽しみたいから」
「誰と?」
女の子の勘がピンと冴え、耳を揃えてリオはヒカルの目を睨んだと同時にガードの上を旧式の電車が渡る。
鉄の音ががんがんと響き、ヒカルに思案する間を許した。
「わたし、バイクに乗ってる間、ずっと犬上の言う『男子の気持ち』を考えてた。でも、なかなか分かんなかったから一本橋……」
「……」
「どうして男子は好きな子がいることを隠すの!?」
奥歯を噛み締めたヒカルはこみあがる感情を堪えながら拳を握り締めていた。ガードの上に再び電車が通過することはなかった。
ただ、ヒカルとリオの目の前を通り過ぎたのははづきちの腕に絡み付く泊瀬谷の姿だった。
ヒカルとリオがたそがれているのも気付かずに、小さな十字路を横切る大人たち。
またしてもガードの上には電車は通過しなかった。両手で握ったあごひもはリオの片手から外れ、ゆらりとヘルメットはぶら下がった。
「……予約入れていい?犬上、早く免許取ってよ。わたしが後ろに乗るから」
バイク乗りの背中の広さを味わせてあげるには運転を許されてから一年待つべし。
リオは遠い日を指折り数え、ヒカルは奥歯を噛んで大きく息を吸い込んでいた。
#
目が覚めた。
時計はまだ11時、いつの間にやら夢を見ていたらしい。枕元の靴下は空っぽのまま。
日中の雨はとっくに止んで、代わりに澄んだ夜空には瞬く星が並ぶ。勇者が棍棒を振り上げて空を支配しようが乙女の夢は続く。
布団から跳ね起きた泊瀬谷は星の光で消えてしまった夢を消えた蛍光灯を見上げながら思い出した。
「……ヒカルくん。まだ起きてるのかな」
夢の続きを見たかったような、見たくないような。
夢であってよかったのかな、と。
ヒカルの顔をこのままずっと見たかったな……と。
ヒカルのことばかり考えていたので、昼間のヒカルを思い出した。
クリスマスプレゼントは後に取っておこう。ヒカルといっしょに探しに行きますから。
でも、いっしょに行けるかどうかわかりません。
だって、男子の気持ちが分からないから。
おしまい。
- 25 :
- 投下、おしまい!
- 26 :
- めりーくりすます!
http://dl10.getuploader.com/g/sousaku_2/147/%E3%83%8F%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC02.jpg
- 27 :
- きゃわいい
- 28 :
- ネタが無い時は安価に限る
>>30
- 29 :
- ksk
- 30 :
- ぬいぐるみ
- 31 :
- ぬいぐるみか。自キャラじゃ無理だなwww
なんとか考えよう
- 32 :
- 把握。考えてみよう。
- 33 :
- 過去にパペットネタがありましたな
- 34 :
- なんか他の人も混ざってきたwww
- 35 :
- ネオンがぴかぴか、夜行の性がざわざわ。
生徒指導は巡回から。
たまには仕事に精出すか、とばかりに猫の帆崎先生は宵の口を徘徊する。
冬休み明け指導強化月間てなんだよクソ早く帰らせろ寒いよ嫁にごろごろニャーンしたいよ、と言う本音は飲み込んで忘れる。
自前の毛皮と、マフラー、ジャンパー、手袋、帽子。寒さ対策もばっちり。
巡回先はゲーセン、クラブ、飲食店、コンビニ。
其処ここで夜会を開くネコをはじめとした学生達に見つける端から声をかける。
コンビニ前にて生徒を三匹見つける。
中等部の三人組だ。
「おい、中ガキ生はお家でエロ本読んでる時間だろ。カエレ。父ちゃん母ちゃん兄ちゃん姉ちゃんが心配すんぞ」
「うわ、ザッキーが仕事してる!?」
「モエねーも多分どっかで遊んでるよ」
「すみません、俺が稽古だったんで待たせてました。帰ります」
さっさと帰る良い子達を見送り、ザッキーは心中で3匹、と数える。
モンハンでランポスかジャギィを狩ってる気分である。10匹くらいで依頼達成かな。
続いて飲食店。店員に一言いって店内を見回す。
三匹ならぬ三バカ発見。
「おい其処のTHE三名様、帰れ。センター問題でもやってろ来栖。帰ってウマチン擦ってろ馬鹿。ヒーローは日曜朝現れるもんだろ鎌田」
「ザッキー、ちゃんと勉強してたらセンター対策なんていらないぜ?」
「なんで俺だけ名前じゃないんだよ!馬鹿ってヒデェぞ!馬鹿に馬鹿って言った方が馬鹿なんだ!」
「ライダー系、戦隊系は向こう半年録画予約してありますから大丈夫です。寝過ごしても」
「うーん……お前らは俺が持つ内申書コメントと内申点の威力を知っているか?」
「「「帰ります」」」
これで6匹。
- 36 :
- 続いてクラブ。
流石に学生服で来るバカは居ないので顔をよく見る。
うーん、正直制服脱がれるとあんまりよくわからん。
低音がうるさいしタバコ臭いし早く帰るか、と思った矢先に生徒発見。
トカゲとネコがキスしててた。
猛とハルカだった。
「お、おう、早く帰れよお前ら。人前でイチャイチャすんな。先生、声掛けるのためらっちゃったよ」
「ああん、んだテメー……って、ザッキーじゃねーか。何してんだよ、教師がこんなとこ遊びに来んなよ」
「はわ、はわわわ!違うの、違うの先生!」
「慌てるなハルカ、生徒指導の出番で間違いない。猛よう、お前は進学しないかも知んないけど、ハルカは頭良いんだぞ?
ツレの内申書に変なこと書かれたくなかったらさっさと帰れ。お前んちにじゃないぞ?ハルカん家まで送れよ?泊まるなよ?」
「余計なお世話だっつうの、夜遊び教師め」
「コラ、猛!先生に偉そうな口きかないの!ごめんなさい帆崎先生!すぐ帰ります!学校でまた改めて謝ります、ごめんなさい!」
「いいよ、学校で改めて謝りに来られたら話が大きくなるだろ。夜遊びするなよ」
これで八匹。
マジ不良だったからドスジャギィくらいに数えても良いかも知れないな、とか考えつつ、ゲーセンに向かう帆崎先生。
ゲーセンに入るや、プリクラ機のデカイ筐体に隠れるサン先生とモエとリオを見つける。
「君ら隠れて何やってんの?サン先生、巡回終わった?」
「しっ、黙ってザッキー。早く隠れて」
サン先生に言われるまま、ザッキーもプリクラに隠れる。
モエが吹き出しそうな顔をして、ゲーセン奥のUFOキャッチャーを指差す。
白先生が、至極真剣にぬいぐるみを取ろうとチャレンジしていた。
生徒指導の巡回中になんでゲーセンで遊んでんだよ残念過ぎるだろ大人として。
ザッキーは膝から崩れ落ちそうになった。
「なぁ……とりあえず今日は黙って帰らないか。リオ、モエ、お前らの徘徊も不問にすっから、あの残念な人はそっとして置いてくれ」
「大丈夫です。わたし、知ってましたから。白先生が残念なこと」
「ちょーウケるwww」
「えー?!せっかく人の隙見つけたんだから抉ろうよ!突っつこうよー!」
「アンタは教師でしょうが。一緒に遊んでる時点であそこの残念な人と同じレベルだよお馬鹿!」
生徒10匹と教師2匹。
どっと疲れて、帆崎尚武の仕事は終わった。
終わり
- 37 :
- 残念猫なにしてんwww
- 38 :
- 残念は見守るに限るw
- 39 :
- 白い猫はゲーセンに居る。
クレーンゲームに熱中している。
ゲーセン行けば一人くらい生徒がいるだろう、という安易な発想であった。
保健室にぬいぐるみとか置いてあったら癒しになるかもな。
そんなことまで連想し始めのが間違いだった。
わ、シロセンセー、このぬいぐるみどうしたニャー?かわいーニャ!
わたしにもさわらせてほしーニャ!
かしてニャ!こっちにもかしてニャ!
もふっ、モフモフッ、もふもふもふもふっ。
初等部の子らが、もっふもふとベットの上や保健室のあちこちを走る。
キャッキャウフフとぬいぐるみを奪い合いもふモフッっっっ。
そして遊び疲れたコレッタクロミケあたりがぬいぐるみをもふもふと抱いてベットですやすやぁとぐあああタマラン可愛いいぃいいいいひゃああああああん。
白先生は無意識に万券をジャリ銭に交換してしまっていた。
30分後。
「と、取れないっ!」
アームが弱い、取れそうなのに絶妙なバランス配置してあって落ちない、そもそもゲーム経験が浅い。
勝てる要素はひとつもないのだった。
「詐欺だ!取れないように設定してるんだ!」
息巻く素人にカエルの両生類人店員さんが見かねて声をかける。
「猫のお客さん、取り方の見本見せますから、よく見ててください」
やけにタバコくさい店員が手慣れた様子で筐体のカバーを外して弄り、プレイ回数を5回にする。
5回くらいで取れるはずがない!さっきから何回やってると思ってんだ!と白先生は憤慨するけど、カエルの店員さんは5回のうち3回でしっかりゲットして見せてくれた。
こっちに落とそうとすると無理なんですよ、こっちに移動させてこうやってから押し込んで落とす、ネ、簡単でしょ?
ボブの絵画教室。そんな感じ。
ピタゴラ装置かくやの軌道で落下して行くぬいぐるみを見て、白先生は唖然とした。
名札にスイカと書かれた西瓜みたいな模様のツノガエルに、白先生は三百円手渡す。
「売れ。いや、売ってください」
「ははは、ノーと言える大人を目指していますのでお断りだよお客さん!」
うぐ、と後込む白先生。
いやしかし、攻略法は見せてもらった!解答のあるパズルなどもはや単なる作業だ!
白先生は俄然張り切って更に30分無駄にした。
「取れないって……ほんと、コレ無理」
- 40 :
- ttp://dl10.getuploader.com/g/sousaku_2/221/img054.jpg
- 41 :
- もー!
- 42 :
- 重い一撃を放ちそうだ
- 43 :
- ネコの日!
http://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/250/
- 44 :
- 先生かわいい
- 45 :
- 校門に続く坂道、沢山の人がハレノヒを観覧しにやってくる。
桜の蕾が開く頃、彼ら彼女らに、旅立ちの時が訪れるのだ。
「白先生、今までお世話になりました。中等部に上がっても宜しくね」
卒業証書の入った安っぽいバトンみたいな筒を大事に胸の前に抱き、保健室に入り浸っていた猫の少女が、保健医に挨拶しにきた。
保健医の白先生は、どうしてだか、この時期が慣れない。
別に初等部が中等部になろうが中等部が高等部になろうが、今生の別れになるなんてことはない。
それでもなんだか、なんというか、じんわりと感情が揺らぐのを抑えきれないのだ。
「わざわざ挨拶に来なくても良いんだぞ。どうせ学年が上がっても、私はずっと保健室に居るんだから」
「でもさぁ、白先生、オバサンだから、いつまでも居られないでしょ。あはは」
「オキシドールは年中無休っ」
「や、やぁっ、やめっ、やめて先生っ」
そんなやり取りをしてても。
いつの間に語尾の、ニャ、なおっちゃったんだろうな、とか、綺麗に育ったなぁ、とか、しんみり考えてしまうのだった。
「先生。今まで、本当に、ありがとうございました」
ちっこくて、サラサラの髪で、にゃあにゃあ鳴いてたあのロリッ子が、よく育ったものだ。
「コレッタ、中等部行っても、たまには保健室に寄ってくれよ。コーヒーくらいは出してやるからさ」
「……先生何言ってるんですか?」
「ん?私、変なこと言ったか?」
「やだなぁ、変に決まってますよ。コレッタは私のお母さんの名前ですよ」
「え」
……えっ?
白先生は口先で呆けて、思考でも呆けた。
そして白先生は、保健室の扉から、妙齢の美女に美しく成長したコレッタが、上品なスーツを来て現れたのを口からエクトプラズムを放流しながら見た。
「こんなところに居たのね、懇親会始まっちゃうわよ。あら、白先生。お久しぶりですね」
妙齢のコレッタが上品に微笑みを向けてくる。
白先生が恐る恐る机の上にある鏡を見ると、そこには60間近のオバサンが居てそれこそ老いて定年退職間近の白先生本人でうわああああああああ!
「うわあああああああ!」
白先生は居眠り中身体を預けていた机を蹴り飛ばし椅子から転げ落ちて目を醒ました。
ゆ、夢だったのか。
「さ、桜の季節なんか、大っっ嫌いだぁぁぁぁ!」
うたたねを誘った季節の陽気に憤怒し、白先生は今日も平常運転だった。
終わり
- 46 :
- ニャが治るなんてやだやだー!
- 47 :
- ホワイトデー系女子!
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/269/white_day2013.jpg
- 48 :
- コレッタなんでさめた感じなんだw
- 49 :
- りんごちゃん、葉狐ちゃん、お借りします。
- 50 :
- 街の小さなレストランの一人娘・星野りんごは探し物をしていた。
市場で食材探しか、はたまた古今東西の食が織り成す文化の香りか。いや、彼女はまだまだ女子高生。
世間さまにお邪魔をするにはまだまだ若すぎる。ペンとちょっと青臭い野望を抱くお年頃だ。そんな彼女が探しているのは
他愛もなく、何処にでもあるような一冊のノートだった。にんじんの絵あしらったきれいな色の一冊のノート。
星野りんごはウサギだ。あまりうろちょろしていると不思議の国に迷い込むぞと、お節介しても長い耳は受け入れぬ。
周りがランチタイムを過ごすなか、腹の鳴き声スルーしつつ、星野りんごは血眼でノートの行方を追っていた。
東にサンドイッチ摘む者いれば、西に弁当箱並べる者いる。北に焼きそばパンくわえる者いれば、南には……。
「あった?!」
星野りんごのノートを広げ、コンビニおにぎりかじる子がいた。具なしの塩おにぎり。初等部の娘、キツネの子。
歳の割には豊かな胸を携えて、星野りんごのノートをキラキラした目で眺めていた。そして、目が文字をなぞるたびに塩おにぎりは
己の身をキツネの子に捧げていた。
ぱくっと一口くわえると、白い我が身を削りつつ、あのコの胃の腑に収まって。
ぱくっと一口またくわえ、白い我が身が欠けつつも、あのコの笑顔で嬉し泣き。
ぶっちゃけて言うと……美味しそう。
それ以外の表現、この星に存在するだろうか。
星野りんごははやる気持ち抑えながらキツネの子に声をかけた。
「ちょっと……いいかな?」
「ん?あたいのこと?銭取るでぇ?んっと。一億円や」
「……」
「じょーくや!じょーく!」
関西なまりで返事をしたキツネの子は秋の穂に負けない大きな尻尾を揺らした。
その笑顔と引き換えに、手にしている塩おにぎりはまたひとつ身を削る。おにぎりにとっちゃぁ本望。
「このノートなぁ、このベンチに置きっぱになっとってな、あたいも勝手に人のもんのぞいたらあかんやろう思うたけど……」
「……えっ」
「すまんな」
と、言いつつ悩ましげに小指を立てて、キツネの子はページをめくった。
「せやねん、おいしそうやねん!文字しか書かれとらんさかい、逆にもーそー言うか、白いノートがふれんち料理の
お皿みとう見えてくんねん!文字だけでおかずがもりもりあふれてくんねん!あー!ごはんうまいねん!」
星野りんごにはノートがお皿には見えなかった。ノートはノート。絵に描いた餅。所詮、二次元からは抜け出せない。
だが、キツネの子はそれさえでも舌鼓を打つに値すると頬を緩ませる。途中、キツネの子は何気なく細い脚を組み替えた。
たかがの探し物であたふたしている星野りんごは少しだけ猛省した。まるでスカートをめくられたような気持ちだったのが、
めくられたのは星のような笑顔を隠した前髪だったのだから。ちょっとだけの猛省はやがて大きな過小なる自信となり蕾を綻ばせる。
- 51 :
- 「それ、わたしのノートです!」
残り少なくなったおにぎりをぱくっと口の中に納めたキツネの子はノートを閉じた。
おにぎり。ありがとう。
けっして二度と来ない、今日のお昼のランチタイム。そんな時間を一緒に過ごしてくれた、名も無き塩おにぎり。
そして、主役を食うこと無く、脇役に徹してくれた……文字羅列で綴られた妄想に彩られたおかずたちに敬意。
そして。
ありがとう。
「ほしの……りんごお姉ちゃん!ごちそうさまでした。でんがな、まんがな!」
「わたしのアイデアノート……」
「これならおかずなくてもおにぎり100個はイケるで。ほんま、おいしゅうございます」
誰にも見せることもなく、そんな前提で書いたわけでもない料理の創作ノート。ぎっしりとシャープペンシルの文字で埋められた
レシピは見たままではモノクロだが、噛み締めてみれば食欲をそそる鮮やかなカラーに染まる魔法の言葉だった。召喚獣も勇者も
呼び寄せない魔法陣だが、それ以上の価値、全世界を征服しちゃうかもしれない一品を載せたノートの力をキツネの子は見出だしていた。
「書き溜めてたの。今は作れないけど、いつかきっと作れるようになろうって」
「趣味でかぁ?」
「お仕事……にしたいの」
レストランの一人娘の星野りんごにとっては料理は頂くものより作るものだった。
だから、レシピを常日頃、忘れるいとまもなく頭の中で巡らせていた。
見るもの、聞くもの、口にするもの、感じるもの何もかもをレシピに捧げる腹積もりでいた。
形になるのは遠い日にかもしれないけれど、それでも塩おにぎりとの相棒に選んでくれたキツネの子に星野りんごは意を決した。
ぜったい……料理の神に愛されるってことを。
「りんごお姉ちゃん。ま、がんばりやー」
ノートを星野りんごに手渡し、すくっとベンチから立ち上がったキツネの子。りんごが思っていたよりか小さな体に口を開いた。
「いつか、りんごお姉ちゃんの料理食べにいくで!おにぎり持ってな」
「え?」
キツネの子はにっと白い歯を見せて付け加えた。
「予約は二葉葉狐(ふたばようこ)でな!」
おしまい。
- 52 :
- おまけ。
http://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/303/ringo_yoko.jpg
投下、おしまい。ですわん。
- 53 :
- おにぎり食べたくなってきた
- 54 :
- 腹が減ったぞどうしてくれる
- 55 :
- ttp://ux.getuploader.com/sousaku_2/download/318/moe_and_servants.jpg
「モエと下僕たち」
モエちゃんとのほほん男子は良いと思います!
- 56 :
- http://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/318/moe_and_servants.jpg
失礼。こちらからどうぞ。
- 57 :
- 白先生「GWかぁ…」
- 58 :
- 方言少女が好きです。
キツネさんも好きです。
おませさんなロリっこも好きです。
葉狐ちゃん、書くしかないね。
- 59 :
- あたい、片思いしとんねん。なんて、ウソやけどな。
やけど、あたいもお年頃やからステキな彼氏の一人は欲しいなぁ思うてな。
どこで売っとるんやろか?日本橋(にっぽんばし)やろか。白先生に聞いたら遠い目をしてため息ついとったで。
「お腹空いたんかぁ?」聞いたら「朝、食パンしか食べてなくてな」やて。なんかすまんけど、白先生がパンくわえて
ばたばた走っとる姿が思い浮かぶわぁ。朝はだんぜんご飯派のあたいからしたら、そら元気出ぇへんわ!白いご飯や!白米や!
白米食べんと元気出えへんわ!あかん。ご飯のことになると必死になんねん。でもなぁ……あたいも女子や。
「彼氏」が無理なら、片思いしたいねん。すっきゃねん言うても、届かへんのや。いつでも恋しとんねんね、女子やから。
両思いのおともだちやなくて、片思いの恋っちゅーんや。めっちゃステキやけどな!
「くわぁ……」
白先生、あくびしおった。白先生の前で「彼氏」やの「恋」やの言うのは気の毒やからお先に失礼したわぁ。
ほら、あたいって空気読めるオトナやし。
さて、家にとっとと帰るで。こんやは『お好み定食』言うとったけん、めっちゃ楽しみやねん。
朝の白先生やないけど、うきうき気分でぱたぱた廊下を走っとったらな……。
あかん!!あたたたた!曲がり角でヒカルくんにブチ当たってもうた!!
ランドセル担いだまますっ飛んだあたいを見たヒカルくん、えろう驚いてはって、普段見せたことない顔しとった。
- 60 :
- (ギャップ萌えちゃうんか?)
いっつも大人しくしとるヒカルくんのテンパった顔なんか、まるで子供や!マンガやこの子!
せやけど……あたい、なんか……「この子、なんとかしてやらなあかんわぁ」思うて。ほら、あたいオトナやし。
それに、これって恋やろか?らぶ・はぷにんぐ、ちゅーやつかいな?
でもな。ヒカルくんみたいな子供はあたいはお断りやねん。オトナの男子ならあたいにピッタリやで!
「大丈夫?」
「ど、どこに目ぇつけとんねん?どついたろか?」
「ごめんなさい……」
……あたいな。転んでもただじゃ起きひんで。学校の廊下には銭が落ちとるぐらい思うてな。
これや!思うたんや。彼氏は売っへんけど、学校中に転がっとるんや。ぐーぜんを装って男子にブチ当たったら、
普段見せない姿を垣間見れるんや。そこにこそ男子の子供っぽさと、オトナの姿が見え隠れしてな。女子のハートがイチコロやで!
せやかて、普通に廊下走っとってもあかんな。なにか「廊下を走るたいぎめいぶん」があらへんかなぁ。
そや!
パンくわえてブチ当たったらえぇんちゃう?ばたばたしとーとから、気ぃ付きませんでした、て。あたい、天才やな。
朝はだんぜんご飯派のあたいやけど、明日はパンやな。こんな切り替えできるあたいってオトナやな。
おしまい。
- 61 :
- おまけ。
「あたい、天才やな」
ttp://download5.getuploader.com/g/sousaku_2/396/yoko_pan.jpg
投下おしまいです。
- 62 :
- おませさんやな
このスレ人残ってるのかな
- 63 :
- おるでー。
ぬこぽ
- 64 :
- にゃ
- 65 :
- むちっとした絵の発っちゃんの絵師さん、最近みないね
- 66 :
- ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/408/furry525.jpg
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/409/furry526.jpg
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/410/furry527.jpg
- 67 :
- いたーw
- 68 :
- CAMERA!CAMERA!CAMERA!
- 69 :
- カメラ女子ぱねぇっす!
- 70 :
- カメラと女子の相性がこんなにいいとは…。
星野りんご・12さい。そして、ロリきょにゅう。
「好きなタイプはジビエ料理が上手い人です」
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/415/ringo.jpg
- 71 :
- でか い
- 72 :
- ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/425/furry528.jpg
- 73 :
- カメラシリーズきたー
- 74 :
- さりげなくムネでホールドしとる
- 75 :
- 一人旅が似合いそう。
- 76 :
- 『あなたが学園もののヒロインなったらこうなるったぁ!』
ttp://shindanmaker.com/351165
結果(5/22)
《名前》白先生
《髪》黒・みつあみ
《目》桜色
《身長》168p
《部活》軽音部
《性格》おっとり
《声》新谷良子
ですって。折角だからこちらに。
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/438/shiro+K-on.jpg
- 77 :
- むりすんなwww
- 78 :
- けも学、映画研究会(創作系)
・ちびっ子元気新入部員、将来の名監督(目標)だ
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/463/furry530.jpg
・背が高いのにちまちまミニチュアコマ撮りアニメが大好きシカオ
・キャメラが古いので別録りが必須なのですマイクマン
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/464/furry531.jpg
・どんな脚本(ほん)でも任せとけ!締め切りは三歩で忘れるゾ!
・選ぶ女優はゴツい娘や太ましい娘ばかりだぞ残念イケメン部長
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/465/furry532.jpg
8m/m映画を創る部なのに、キャメラ三台とも違うフィルムなので、ずいぶんと
コストのかかりそうな部ですこと。
- 79 :
- 締め切りは三歩で忘れるwww
- 80 :
- どこまでも鶏www
- 81 :
- 出ます。ウソです。
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/492/circle_cut_moe_rio.jpg
- 82 :
- 逆転の発想で出すってのはどうだ
- 83 :
- ほう…
- 84 :
- ババァ本は…
- 85 :
- ババァ本が出ると聞いて
- 86 :
- >>85
BBA本できたよー!
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/494/bba_hon_01.jpg
お試し版はこちら。
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/495/bba_hon_trial.jpg
- 87 :
- ババァ何してんだwwwwwwwwwwwwwwww
- 88 :
- BBA ....吹っ切れやがった
- 89 :
- ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/507/furry533.jpg
- 90 :
- これは〆切を忘れるフラグ
- 91 :
- 羊さんが薄い服着て毎日催促すればいいとおもうよ
- 92 :
- そういえば三歩で忘れる設定がw
- 93 :
- >>89
シナリオは多分大丈夫。
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/510/cinema_club+01.jpg
- 94 :
- これは間に合う
- 95 :
- http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4369213.jpg
- 96 :
- ちょww
- 97 :
- おまwwwwwwww
- 98 :
- 規制解除きたので投下します。
夏といえば、コレだよね。
- 99 :
- 姉妹の神様が舞い降りた。
二人の偶然を弄んでくすくす笑う。
「なんでねーちゃん、明日プール行くんだよ!」
「タスクこそどうして被せるの?」
「知らないし!」
夏休みのとある日。タスクは友人たちと、そしてモエも友人たちと同じプールに行く約束をしていた。
それが発覚したのは前日の夜だった。お互い友人との約束なのでこちらのわがままが通らない。
お互い一緒にお風呂にも入ら無くなってしまったお年頃、たまーにモエが女子を忘れて湯上がり姿をタスクに晒す程度はあるもの、
やはりなんだか水着姿は気恥ずかしい。モエはタスクに女子っぽい部分を見せるぐらいならげんこの一発をお見舞いしたいくらいだった。
男子中学生も女子高生もお互いを理解することは粗悪品のジグソーパズルのように合わせるように難しい。
「新しい水着、タスクに見せるのもったいないし!」
「誰得だよ!」
フリルの付いた空色のビキニ。自慢したいのはやまやま、(賛否はあろうが)せくしー姿で身内とともに過ごしたくはないし
モエはとりあえず無防備なタスクの腹をくすぐった。
「そうだ。勝負しよう、明日」
「はぁ?なにで」
「25メートル自由型、どっちが速いか」
「ばかじゃないの?」
提案を一蹴されたタスクは折れずに続けた。
「約束しただろ?またいつか勝負だって。ぼくがボロ負けしたから覚えてるんだけど、まさか忘れたとか?」
「ってか、記憶の片隅にもない。いつ?」
「7年前」
「ばかじゃないの?」
「逃げる気だ」
「新しいビキニのデビューなんだよ?なに?ガール度マジ高い水着でガチ泳ぎさせる気?」
そんな小さい頃の口約束など覚えちゃいない。もっともな話だ。タスクにそんな正論振りかざしても聞き入れる余裕はない。
そして、最後には……特に記さなくてもお分かりだろう。タスクが頭を押さえながら涙目で悔しがっている姿を見れば。
タスクが寝床でじたばたと脚をばたつかせている頃、モエは買ったばかりの水着をベッドの上に並べてたたずんでいた。
出来ればいつか出会うだろう素敵な彼に見せたかった。だけど、今はお生憎さまだから、きっと明日プールで運命の出会いが
訪れるかもと望みを新しい水着に乗せて託そうか。明日は早い。夜更けは速く時が経つ。
当日は突き抜けるぐらい空は青かった。
じりじりと照り付けて来る太陽がプールを促すのでタスクは勢いよく更衣室から飛び出した。
姉とはまだ出会ってはいない。時間差で家を出たので、朝ごはん以来姿を見ない。しばらく姉のことを忘れて友人たちと
クロール勝負でも挑もうかと息巻くが、ちらちらと姉と近い年の娘をみるたびにびくついていた。
「タスク、あっちの岸まで勝負だ!」
「悪いね。アキラとの勝負もらったよ」
プールのふちで拳を突き上げ、早くも勝った気になったタスク。勝てるかどうかは五分五分だけど威勢だけは負ける気はしない。
だが、敵もさるものタスクの勢いを塗りかえるぐらいの気合いでアキラは雄叫びを上げた。
- 100 :
- 「負けたらアイスおごりな」
「マジ?賭けるの?」
「あたりめーだろ?タスク、ビビってる!」
「タスク、勝負だよ」
「び、ビビってなんかねーよ!」
「勝負なさいよ。ヘタレタスク」
背中を足で突き飛ばされた感覚を残しタスクはプールに大の字になって吸い込まれた。そして水しぶき。もがいて、
もがいてあっけに取られた顔をして、体勢を立て直すとアキラの名を呼んだ。しかし、アキラこそあっけに取られた顔をしている不思議。
プールサイドにはタスクを蹴り落とした張本人が腕を腰に当てて太陽を背に立っていた。流れ落ちる水滴を拭い視界が
はっきりしてきたタスクが見たもの。つややかに、はち切れそうに、紺碧なるスクール水着に身を包んだ姉の姿だった。
「……なに、その罰ゲーム」
「アキラくんと勝負しないんだったら、わたしと勝負!あっちの岸まで、負けたらアイス奢り!!」
「冗談は水着と胸のサイズだけにしてくれよ!」
「タスクと……タスクと勝負するから泳ぎやすいヤツ着てきたんだよ?好きで、好きで着てるんじゃないしー、
もっとかわいいヤツ着てきたかったしー、タスクの為に着て……ってか、誤解するんじゃないよ!ばか!!」
目を泳がせてモエはまくし立て、明らかに浮いた自分のスク水姿を弁護していた。
モエの友人たちは華やかな水着姿を披露しているのに、タスクは早くこの場から立ち去りたい一方だ。
「あっ!タスク!逃げるな!リオ!りんごちゃん!追いかけて!」
「無理だし!」
ばしゃばしゃと荒い泳ぎ方で逃走するタスクを捕獲しようとモエは両足で踏み切って勢いよくプールにダイビング。
太陽に重なる姉のスク水姿がシルエットになる奇跡のカット。振り向くとだんだんと姉の顔がはっきりくっきり見えてくる。
「モエ!だ、大丈夫!?」
リオやりんごが声を上げた頃にはモエはタスクを抜き去っていた。
その日も姉弟の神様が舞い降りた。
幼稚なケンカを眺めながら笑っているはずだ。
「わたしの勝ちだよね?」
「勝負なんかどうでもいいって」
「逃げる気だ!タスクは」
「いいよなぁ。りんごさんみたいな姉ちゃん欲しかったな」
同じ格好で畳に大の字になって寝転びながら軽い罵りあいを続けていると、さすがに二人とも体力を無駄に消耗する。
それでもタスクとモエは言葉のアマガミを止めなかった。
「ねーちゃん。また勝負だよ」
「今度は?」
「7年後」
「ばかじゃないの?」
モエの新しい水着が日の目を見るときをタスクちょっと楽しみに待った。
おしまい。
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