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巫女「来たれ!異界の勇者よ!」


1 :2012/03/11 〜 最終レス :2018/10/17
 割と魔王・勇者ネタが多いので俺も乗ってみる
上手く書けなかったらスマン。
 目を覚ますと、そこは見覚えのない石の祭壇
の上だった、まるでアニメに出て来るような
いかにも"神官"といったような服を着た少女が
見上げていた。
巫女「よくぞ参られました、異界の勇者よ」
魔王「…………………………。」
巫女「勇者様、今やこの世界は
   大魔王ゾーマの手によって闇に包まれて
   おります……我らにはもはや戦える
   力は無く異界の勇者様だけが頼りで──。」
魔王「…待て。」
 さも当然と言わんばかりに、初対面の相手に
臆面も無く厄介ごとを押し付けようとする
若い巫女の言葉を遮り、おずおずと手を上げる。
魔王「あー……業者間違えているんだが」


2 :
巫女「えっと…?最近の勇者様は
   3メートルぐらいあるんですか?」
 呼びだしたはずの勇者は身長3メートルぐらいの
大男であり、紫の肌に仰々しいツノ、ブーメランパンツに
赤黒いマント、そして首の回りに髑髏の骸骨を繋いだ
数珠を下げていた。
 どうみても勇者には見えない…むしろ魔王のような
いでたちだった
魔王「悪いが、ウチは魔王専門店なんだ
   お宅、召喚呪文間違えたでしょ?」
巫女「そんな!私はちゃんと
   この召喚の書の50ページを読みましたよ!」
魔王「どれ、ちょっとその魔術書見せてもらえる?」
巫女「え……えぇ……」
 魔王は巫女が手にしていた、召喚魔術書を受け取り
その50ページを開いてみる。
魔王「あー…やっぱりなぁ
   ほら、この呪文は英雄じゃなくて、魔王の召喚
   呪文だよ、タイトルの所が虫食い状態だから
   間違えたんだな」
巫女「そんな、ただでさえ大魔王ゾーマが居ると言うのに
   この世界にもう一人魔王を召喚してしまったの!?」


3 :
巫女「最近のLv1勇者様にしては、なんか3メートルもある
   筋肉ダルマだなーとか、頭からゴツイ角が生えているなーとか
   思いましたけど…まさか、魔王だっただなんて」
 頭を抱え込んで蹲る巫女、勇者を召喚するつもりが
自分の凡ミスで魔王を呼びだしたのだから、ショックらしい。
巫女「ともかく、魔王はもう間に合っているんです!
   帰って下さい!」
魔王「ウチとしてもね、大魔王ゾーマさんなんて大口の
   世界に手を出したら、ウチみたいな小口は仕事
   回して貰えなくなっちゃうから、それは良いけどね」
巫女「はい!お疲れ様でした
   さようなら、おかえりはあちらです」
 さっさと行けと言わんばかりに手を振る巫女。
魔王「じゃ、早く帰還魔術唱えてくれよ」
巫女「へ?」
 魔王の言葉に巫女の目が点になる。
巫女「………………あの…自力で帰るんじゃないの?」


4 :

魔王「異世界から自分の世界に帰る方法なんてしらねーから
   ほれ、帰還用の魔術はよ」
巫女「ちょ…ちょっと待ちなさい…」
 召喚魔術書を放り出し、祭壇の横に備え付けてあった
本棚を漁りはじめる巫女。
巫女「えっと…帰還魔術書…帰還魔術書…
   …………………………無い。」
魔王「待て!帰る方法が無いのに
   ヒトを知らない世界に呼んだのか!お前は!」
巫女「…とりあえず、この世界を救ってくれたら
   後はどうにでもなるかなー…なんて」
魔王「魔王業を、なめとんのかお前は!?」
巫女「…うひぇー…ごっ…ごめんなさぁああい!
   と、言うより魔王呼びだすつもりなかったんですぅ」
 〜それから3時間、ペットを拾って予想以上に
大きくなったり、面倒見きれなくなったら捨てる飼い主とか
リサイクル料払いたくないから、家電を不法投棄する連中とか
そんな話を引き合いに、魔王による巫女への説教が休みも無く続いたりし〜
 説教が終わった頃はすでに、巫女は半べそだった。
魔王「……それで、どうオトシマエつけるつもりなんだ」
巫女「とりあえず、魔王から勇者に転職してくれて、
   大魔王ゾーマと戦ってくれたら万々歳です」
魔王「そ・れ・は・お・ま・え・の・都・合・だ・ろ?」
巫女「いだだだだだ………ヤメテ…ヤメテ…
   筋骨隆々のその拳で頭をぐりぐりしない下さい
   頭蓋骨がマジ砕けます」
巫女「とにかく、帰れないものは仕方が無いので
   ウチの国王様に会っていただけると助かります」


5 :
巫女「来たれ!異界の勇者よ!」
//------------------------------------
 ◆◇◆◇◆ アリアハン王国(謁見の間) ◆◇◆◇◆
国王「よくぞ来られた、勇者よ
   突然お呼び立てした非礼をお詫びさせて欲しい、
   しかし、我らは勇者どのに御すがりするしか──!?」
 筋骨隆々のいかにも魔王な男の姿を見て、
言葉半ばに絶句する国王。
国王「さ…最近の勇者様は随分と
   逞しいのですな……。」
巫女「えっと…こちら異世界の魔王さんです」
魔王「どうも、異界の魔王です。
   世界征服プランは松・竹・梅とあるが
   どのプランで行くんだ?」
 パンフレットを取り出し、国王の前に
広げ始める魔王。
国王「どどどどど…どぉいう事だ!巫女!?
   なんで魔王が増えているんじゃ!」
巫女「まぁ、その…
   ちょっとした手違いがありまして」
国王「手違いで魔王増やすなよ!
   どーするんだよ!コレ!」
巫女「とにかく、お帰り頂くまで
   この城に滞在して頂くとかどうでしょう?」
魔王「つまり、このアリアハン城が
   我が魔王城って事でOKか?」
国王「ちょっ!待ってくれ!
   困る!それは非常に困る!
   次の選挙も近いんだ!こんな不祥事が
   明るみに出たら、ワシは破滅じゃ」

6 :
いけね、2行変な行が入った・・・

7 :

魔王「結局、自分の事しか考えないんな
   この上司にしてこの部下ありと言うか」
国王「そうじゃ!!良い事を思いついたぞ!」
 国王は玉座の後ろから宝箱を取り出し、
自らの目の前に置く。
国王『よくぞ参られた、勇者オルテガの息子よ
   そなたの父オルテガは 戦いの末 火山に
   落ちて亡くなったそうじゃな。』
 宝箱からメモや金貨の入った袋を取り出し、
ヤケクソのような口調で叫ぶかのようにそのメモを読み上げる。
国王『よくぞ参られた、勇者オルテガの息子よ
   そなたの父オルテガは 戦いの末 火山に
   落ちて亡くなったそうじゃな。』
魔王「おっさん……?」
 魔王の言葉を無視して、国王はさらに言葉を
紡ぐ。
国王『その父の後を継ぎ旅に出たいというそなたの願い
   しかと聞き届けた!敵は大魔王ゾーマじゃ!
   世界の人々はいまだ大魔王ゾーマの名前すら知らぬ。
   だがこのままではやがて世界は大魔王に滅ぼされよう。』
巫女「………あの…陛下…?まさか…」
国王『大魔王ゾーマを倒してまいれ!
   町の酒場で仲間を見つけ
   これで装備を整えるがよかろう。』
 金貨の入った袋をおしつけて、有無も言わさずに魔王の
背中を押すアリアハン国王。
魔王「なんで俺がそんな事をしなければならないのだ!」
国王『…よ・か・ろ・うっ!!』
 魔王を無視して有無を言わさないような迫力で
ゴリ押ししようとするアリアハン国王。

8 :

 つまるところ…。
魔王「厄介払いという訳か?国王」
 手の中に握らされたヒノキの棒と旅人の服、
そして50ゴールドを見下ろしつつ、魔王は
国王に疑問を投げかける。
国王「何のことですかな、勇者どの!
   我々が召喚したのは紛れも無く、オルテガの息子の
   勇者殿…魔王を呼びだしたなんてあるはずも
   ない訳じゃ」
魔王「…………50ゴールドでごまかせるとでも?」
国王「も…もしかしたら
   ちょーっと変な勇者様を呼び出してしまったかも
   しれませんが、紛れも無くオルテガの息子じゃ!」
国王「ついでに巫女よ、お前も"勇者"殿の
   お供として、大魔王討伐の任を与えよう」
巫女「そ…そんな!国王陛下」
国王「うるさい!うるさい!
   そもそもお前が魔王を呼びだしたりするから
   こんな面倒な事になるんだ!」
 魔王を謁見の間から追い出そうとジタバタする
アリアハン国王の首根っこを掴む魔王。
魔王「まぁ、俺はこんなよく知りもしない世界なんて
   興味ないけどな、元の世界に戻る方法を
   探すため、お前には協力してもらおう」
国王「ひぃ!ワシなんて連れて行ってどうするつもりじゃ!?
   ぼ…暴力反対ーっ!
   巫女!見ていないでこやつを止めろ!」
 アリアハン国王を抱えて意気揚々とアリアハンの城を
出る魔王に、魔王をとめる術を持たないアリアハンの
兵士達……そして、一緒に厄介払いされかかった巫女。
 魔王の行動を止める人はその場に誰も居なかった。


9 :
オルテガんとこの息子は何処に行ったんだ?
支援

10 :
【新ジャンル】「台詞系SS総合スレ」( ^ω^
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1280803360/l50

11 :
>>9
勇者(=オルテガの息子)をよびだすつもりが
間違って魔王呼んでしまったので、魔王を呼んだことを
国民の隠蔽させて、魔王をオルテガの息子と言う事にして
無理矢理旅立たせた感じ。
表現が悪くて済まない。

12 :
>>10
一応、時間を掛けても書くつもり
ではあるんだけど早まったかな。
//----------------------------------
国王「ひぃっ!命ばかりはお助けをっ!」
 城から城下町に出ても抱えた国王が
じたばた喚いている。
魔王「やかましい男だ」
 とりあえず、抱えていた国王を
地面の上に投げ下ろす。
巫女「それで、これからどうするつもりなんですか
   魔王さん」
 巫女は諦めたのか、魔王と行動を共に
するつもりになったらしい。
魔王「そりゃー、家に帰るだけだ
   別に世界を救う義理が有る訳でも無し」
国王「だったら、ワシらは要らんじゃろ!」
魔王「無責任にお前らが、俺を召喚して
   "後知らないね!勝手にしてくれ"なんて
   ふざけた事を言ったのがそもそもの問題だろ?」
魔王「"突然呼び出してごめんね、俺達の為に無償で戦ってくれ
   帰る方法も無いから、勝手にしてね"なんて言われたら
   勇者だとしても普通はキレるか暴れるぞ?」
巫女「まぁ…確かに」
 とか言うのは、呼びだした張本人な訳だが。
国王「ワシらに何をしろというのじゃ
   国王なんて次のレベルまで必要な経験値を告げるか
   セーブするぐらいしか能がないんじゃぞ?」
魔王「お前、仮にも国王なんだから
   まだやれる事があるだろう?」
国王「や…やれるって…何を。」
 魔王の迫力におされながも、嫌な予感がする国王。


13 :

 ◆◇◆◇◆ 武器屋 ◆◇◆◇◆
 店のドアが開くと備え付けられていたドアベルが
子気味の良い音を奏でる。
武器屋「へい!らっしゃい!
    武器屋アリアハン店へようこそ……うわっ!?」
 店に入って来た国王、巫女、そして3メートルを越える
大男(魔王)を目にして、屈強な武器屋の男も驚愕の声を
上げる。
魔王「邪魔をするぞ、店主
   武器を見繕って欲しい」
武器屋「お…お客さんの武器ですかい…!?
    しかしですな、そのガタイに会う武器なんて
    ウチにゃ置いてないですぜ?」
巫女「えっと………。」
 巫女が武器屋に書いてある商品一覧に
軽く目を通す。
巫女「───ヒノキの棒(5ゴールド)
   棍棒(10ゴールド)、
   銅の剣(100ゴールド)…
   だけですか…。」
魔王「一番マシなのは銅の剣か…
   だが、銅の剣って…」
武器屋「仕方が無いんでさぁ…
   鉄なんてバカ高いもの、ウチには入ってこない
   ですから」
 置いてあるその銅の剣も、溶かした銅を型に流し込んだ
だけの、粗末な小ぶりの剣しか無いようだ。
 ── 銅の剣とは
溶かした銅を型に流し込んで鋳造した剣で、
斬るよりも殴って使う武器、なぜか純銅製品──
国王「だ…大魔王ゾーマのせいで
   ウチの国には船がはいってこないんじゃ、
   鉄が無いんじゃから、仕方が無いじゃろう」
巫女「どっちにせよ、この国の周りにでるのは
   スライムぐらいですから、これで充分なんですけどね」

14 :
武器屋「それでー…どうしやす?
   お客さんの場合、ウチの剣なんかよりも
   その拳でブン殴るか、あるいは棍棒で殴った方が
   効果的なんでしょうけど…」
 およそ武器屋の言葉とは思えないセリフである、
どうやら国王も武器屋もやる気が無いようだ。
 さすがは最初の国。
魔王「とりあえず、旅にでるにせよ
   武器は欲しいな、おい…店主
   そこの銅の剣をありったけ溶かして
   一つのデカい剣に固め直してくれ」
武器屋「それはいいですけど、
   銅の剣30本って、3000ゴールドぐらいの
   大金になりやすぜ?」
 店主の言葉に、魔王は国王の首を捕まえて
武器屋の店主の前に放り出す。
魔王「金は全部こいつが払う」
国王「そ…そんな大金あるわけなかろう?
   大体50ゴールドですら厳しいと言うのに」
魔王「嫌なら…内臓でも売るか?
   んー?……ジジイの内臓なんて
   金にならないだろうけど…
   五臓六腑全部売れば、3000ゴールドぐらいは
   なるんじゃねぇのぉ?」
国王「ひぃっ!
   わ…判った、金ならなんとかするから
   顔を近づけないで!怖い!」

15 :

 ややあって
武器屋「ありがとうございやした〜……」
 武器屋の店主に見送られて、店を出る魔王一向、
店の中にあった全ての銅の剣(一番高い剣)を
全部買ってくれたのだから、上機嫌にもなるようだ。
 魔王の背中には、銅の剣を溶かして固め直した
2メートル半程の、どデカい銅の剣(むしろ、剣の形
をした銅の金棒)が括りつけられていた。
 重さにして、500キロぐらいはあるかもしれない。
国王「……うぅ…ワシの老後の資金が…
   レーベの村あたりに、屋敷を買ってひっそりと
   余生をおくるつもりだったのに」
 対して、金が無くなった国王はひっそりと涙するが、
魔王と巫女は見なかった振りをした。
巫女「後は、薬草と…毒消し草と…
   何かあった時の為にキメラの翼と、聖水……
   …は、要らないとして」
 メモを見ながら買ったものをチェックする巫女、
何のかんの言って、買い物は好きなのかもしれない。
巫女「よし、準備OKですね」
 巫女がアイテムのチェックを終える頃に
丁度街の入り口についた。

16 :

魔王「…では行くか」
巫女「え?」
国王「え?」
 魔王の言った言葉に、驚愕の表情を見せる
巫女と国王。
魔王「ほら、行くぞ!
   夜までに隣の町まで行くんだから」
国王「…って…まさか、ワシらも行くのか?」
魔王「だからそう言っているだろう
   ボケたか?ジジイ?」
巫女「そんな、てっきり準備に
   付き合うだけだと思っていたのに」
国王「む……無理無理無理無理…
   第一ワシが居なくなったら、この国は
   誰が治めるというのじゃ!」
巫女「そそそ…そうですよ
   私も教会から離れちゃったら
   誰が死人を生き返らせるって言うんですか」
魔王「俺が元の世界に帰れれば
   それで終わりだ、後は城でも教会でも
   好きな所に帰れば良いだろう」
国王「そ…そんな勝手な
   ワシらはしがないモブキャラなんじゃぞ!
   モンスターと戦うなんて……」
魔王「でなければ、本気でアリアハン城を
   魔王城に改築するが?」
国王「……せめて、城の兵士を……」
魔王「甘ったれているな、
   この魔王様が直々にヤキを入れてやるから
   感謝するんだな」

17 :

 ◆◇◆◇◆ アリアハン平原 ◆◇◆◇◆
 城から離れた広い平原を歩く三つの影。
その影を遠くから狙う魔物の影。
 ───魔物の群れが現れた───。
 スライムAが現れた。
 スライムBが現れた。
 スライムCが現れた。
 スライムDが現れた。
 おおがらすAが現れた。
 おおがらすBが現れた。
 おおがらすCが現れた。
国王「ひぃっ!!たた…助けてっ!」
 魔物の大群に国王の腰が抜けた、
腰砕けなままオタオタと逃げ出し、魔王の
背後に隠れる国王。
魔王「……………はぁ。」
 溜息をつきながら、魔王は国王の
首根っこを掴んで、魔物の群れの中に
放り込んだ。
 魔物達の攻撃!……国王のHPは1になった。
国王「……死ぬ!……死ぬから…
   やめて!やめてっ!」
 涙ながらに魔物に命乞いをするアリアハン国王、
しかしそれで許してくれる程、魔物は甘くはない。
魔王「巫女」
巫女「ホイミ!」
 巫女はホイミを唱えた……国王のHPは全回復した。
魔王「どうした?
   殺らないとやられるぞ?」
国王「ちくしょぉおおおっ!」
 涙と鼻水で顔をベタベタにしながら、国王は
大からすに向かって、掴みかかった。
 ミス!大からすにダメージが与えられない。
 魔物達の攻撃!……国王のHPは1になった。
国王「ぎゃぁぁぁぁっ!」
アリアハン平原に国王の声がこだまする。
───以降、ループ。

18 :
 魔物に全くダメージを与えられないまま、
時間が経過していった。
 ホイミで何度も体力を回復しては、
タコ殴りにされるアリアハン国王。
 さすがに巫女のMPが尽きたので、
途中から魔王がホイミ係を代った。
国王「せめて、
   武器を!武器をぉおっ!」
 何度目の挑戦か…ボロボロになった国王が
魔王の元に戻ってくる。
魔王「ほれ」
 魔王は道具袋の中から、ヒノキの棒を
取り出し、国王に向かって放り投げた。
 長さ30センチ程度の棒は、乾いた音を立てて
地面を転がる。
 国王はヒノキの棒を装備した
───攻撃力が2上がった。
国王「どちくしょぉおおおっ!」
 ヒノキの棒を手に魔物の群れに突貫する
国王……もはや王の威厳も何もない。
巫女「でも、なんで国王ばかり狙うんですか」
魔王「スライムはともかく、カラスは
   光る物を狙うからな」
 もはや他人事のように国王を見守る、
魔王と巫女。
 魔王はそんな巫女の肩の上に手を置くと
巫女は不思議そうに魔王を見上げる。
 魔王はそんな巫女を見下ろし、優しい笑みを
浮かべた。
魔王「次、お前な」
巫女「いいいいいやぁぁぁぁぁぁ」
 魔王に続いて、巫女の声が夕暮れのアリアハン平原に
響いた。


19 :
>>12
>創作発表板はVIPと違い、放っておいてもスレが落ちません
新ジャンルなど台詞系の単発スレを立てるときは、
そのスレを>>1000か容量いっぱいまで投下する心づもりで
つまり↑なんだけどね
1000まで書くつもりなら何も言うことはない
ただ、ジャンル的にイヤな予感がしたので
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1318176326/l50
↑のスレみたくなったらイヤだな、と思って
リンク先を読まないだろうから、ざっくり説明すると
単発立てる→>>1不在となり放置→荒らしが好き放題し始める→他所のスレに飛び火でとばっちり
という流れ

http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1297414387/l50 (2011/02/11)
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1310980313/l50 (2011/07/18)
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1321555083/l50 (2011/11/18)
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1324706086/l50 (2011/12/24)
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1326551936/l50 (2012/01/14)
この板ざっと見ただけでも、これだけ単発放置スレがあるんだよね(カッコ内は立った日)
これらがみんな総合系スレに投下されていれば、いつでも何かしら作品が投下されるスレとしてROMの人も開くだろうし
↑のスレ見てる人が他の人の作品も見ることで、レス貰える可能性も上がると思うけど

まあいつもの話だけど、
反応欲しかったらVIPでやれば、ってこと
ここは圧倒的に人稲だし

もうこんなやりとりも何度となくしてきて、住人はうんざりしてるんだよね
あなたはこんなこと言われるの初めてだろうけど
ま、でも即死回避してるし、もうどうにもできないことを言ってもしょうがない
思い残しの無いよう、がんばって書ききってください
面白いと思う人が支援レスするでしょう

長文失礼
「大した才能のない」人間のレスでした
まあ読んでないだろうけどw

20 :
>>19
読んだ、初登校な事に甘えるつもりはないが
迂闊だった、自粛する。
時間はかかるかもしれないから、
少しずつ書くつもりだったんだけど、
すまなかった、住人はうんざりか。

21 :
途中でやめて書かないのならウンザリ。書くなら文句はない。

22 :
一応プロット考えてあったから、
200〜300ぐらいで話が落ちるのかなーって
思っても居たけど、1000まで目一杯
行くかと言われると正直微妙かもな。
 ここらで切り上げて、適当な時間を見繕って、
容量一杯までスペースだの"EMPTY"とかって
文字列でも連投すれば良いか?

23 :
それじゃまさに埋め立て荒らしじゃないかw
ちゃんと書ききるなら問題ないどころか大したもんだ。ここは創作者の板。まずは書ききれ。

24 :
OK、了解した
初めて立てたスレで住人にうんざりさせたくはないので
頑張って自分の思う結末まで書いてみる。
〜 色々怒られたので、以下、自己ルール等 〜
1.自分都合で申し訳ないが、執筆できる時間が
  限られるため、平日は夜中にちみっとかけるぐらい、
  一応昼の間に色々考えてはおくので勘弁。
  (更新しない日もあるかもしれない)
2.自分の納得できる結末にする、某ジャ〇プ打ち切り
  エンドは基本やらない方向で(まず無いと思うけど
  1000オーバーしそうになったら打ち切りで)
3.安価は出さない方向で。
4.他者の乱入(無いと思うけど)があった時点で、
  そこでひとまずのEND。(プロットが狂うため)
  打ち切り要請があった場合もそこまでとする。
5.スレageは一日の更新に最初に一度だけ。
6.当然ながらレスには全て目を通す、
  ただ指摘は有り難く頂戴するけど、中傷はスルーかも。
7.この物語はフィクションです。
8.その他、ルール改訂は突っ込みにより変化。
 なんて事を言えるような程、執筆スキルが有る訳でも無いが
こんな感じでしょうかね?


25 :

  雲が秋空を駆けて行く…
 その雲の下を大ガラス達が泣きながら飛んでいく。
  アリアハンとレーベの間にある小高い丘にその身を
 横たえながら魔王は遠目に国王と巫女を見ていた。
 ──平和だ、実に平和だ…魔王が言うのもなんだけど──。
巫女「最後の一頭が右の方に逃げたわよ!」
国王「ぬぉおおおおっ!」
 猛然と土埃を巻き上げながら、アリアハン国王は
獲物を追って走ってゆく。
 追いかけられている獲物は茶色い巨大なアリクイ。
全高は約2メートル程のこの辺りに出現する魔物、オオアリクイだ。
国王「必殺ゥっ!アリアハンキィィィィイイック!!」
 訳が解らない掛け声と共に、走った勢いをそのままに
大仰なモーションで大アリクイに飛び蹴りをかます。
オオアリクイ「ぷぎゃぁぁぁ!?」
 直撃を受けて転倒するオオアリクイに国王はそのまま
馬乗りになる。
国王「アリアハンパンチ!アリアハンチョップ!
   アリアハンヘッドバッド!!」


26 :
 馬乗りになって容赦なく連打攻撃する国王、
もはや画面的には子供の喧嘩のようであった。
 やがて、オオアリクイは観念したのか大人しくなる。
国王「ぬははは…!」
魔王「人間って…追い詰められて吹っ切れると
   強くなるもんだなぁ」
 オオアリクイが おきあがりなかまに
 なりたそうに こちらをm……………。
国王「おのれぃ!まだ生きておったか!」
オオアリクイ「ぴぎゃぁぁぁ!?」
 戦意が無いのは見て取れると言うのに、
国王は再びオオアリクイを襲おうとする。
 慌てて逃げるオオアリクイを再び追い回しはじめる。
 そんな平和な(少なくとも魔王にとっては)秋の日差しの元
昼寝をしようと目を閉じかけたその時─────。

27 :

魔王「なっ!?」
 辺りの空気が凍りついたような感覚が
突然魔王を襲う……、この世界に来る前に何度も何度も
感じていた張り詰めた空気────殺気だ─。
 殺意を向けられた相手は魔王自身…
仮に巫女や国王に向けられたとしても、彼らは
気付きもしなかっただろうが。
魔王「この辺りの…ザコじゃないな…」
 まだ即位したばかりの魔王であり、そんなに力は強くはないが、
仮にも魔族の王である、この辺りのザコが10ダースぐらい
まとめて掛かってきた所で、汗一つかかずに始末できる
だろう。
魔王「…っ!」
 ギン!
 突如死角から放たれた剣を、魔王は抜き放った銅の大剣で
辛うじて受け止める。
 全身を紺のローブで包み込んだ、小柄な人間だった
魔王に比べて軽い剣のくせに魔王の大剣と互角以上に打ち合う。

28 :

魔王「要件も言わずに、いきなり斬りかかってくるのが
   この世界の流儀なのか?」
ローブ人間「……要件は一つだ…お前の命を貰う。」
 剣を合わせたた瞬間に回し蹴りを放つが、ローブ
を纏った人間は身軽に飛び退く。
 声の感じからすると…女…しかも若い女の声だ、
30代……20代……いや、体型も考慮すると
もっと若いかもしれない。
魔王「…いいだろう…
   取れるものなら取ってみろ」
 不意を突いて魔王の重剣が女の剣を打ち上げる、
──これで相手は丸腰───。
とおもった瞬間にローブ女の左手が魔王の胸に当てられた。
魔王「───しまっ!」
ローブ女「イオラ!」
 Booom!
 密着したゼロ距離で放たれたイオラが魔王のその身を
見事に吹き飛ばす…。
 中程度の呪文であるものの、接触状態で放たれれば
たまったものではない…。
 魔王は口の中に溜まった血を吐き捨てて、再び
銅の重剣を構え…女もまた拾い上げた剣を正面に構える。

29 :
 今や互いには無言であり、互いに隙を伺う
もはや余計なお喋りをしている余裕は無い。
 空気が極限まで張りつめたその時…。
オオアリクイ「ぴぎぃいいいっ!」
 魔王とローブ女の間を、先ほどのオオアリクイが
涙ながらに取り過ぎて行く。
国王「まてぇぇぇぇい……って…あれ?」
巫女「……誰?」
 オオアリクイを追って現れた二人が
ローブ女と魔王に気が付いて駆け寄ってくる。
魔王「来るな!」
 魔王が静止すると、二人の足がその場で止まる。
ローブ女「……レーベの村へ行け」
魔王「なんだと?」
ローブ女「レーベの村の住む老人より魔法の玉を手に入れ、
     誘いの洞窟へ向かえ、そこからロマリア帝国へ
     向かえる、この大陸にお前が探すものは無い」
魔王「名も名乗らず、いきなり斬りかかってくる奴の
   言う事を、素直に聞けと言うのか?」
ローブ女「信じるも信じないもお前次第だ…
     ではな……若きエスターク王よ
     ルーラ!!」
魔王「待て!」
 女はセリフを吐き捨てると、ルーラの呪文を発動させて
光の尾を残して空へと消える…。

30 :
個人スレだし、細けぇことは(ry
とにかく、がんばって書いてくださいな
1.の投下のペースは、気にしなくていいと思う(どうせ人稲(ry w)
早さよりも自分の納得の行く質のものを投下したほうが、結果的にレスは貰えるんじゃないかな?
4.についても杞憂かとw
荒らし未満の愉快犯的な「ツマンネ」レスが来るかもだが、気にせず投下続けるほうがいい
つまり6.だね
お節介以上。がんがってくらはい
創発の修羅となれ!!

31 :
>>30
レスサンクス
とりあえず、人稲でもよいので書いてみるさ
(どうせ自己満足)
でも、今日はとりあえずこの辺で。

32 :
早くも矛盾が出てきたorz
//------------------------------
 ◆◇◆◇◆ レーベの村 ◆◇◆◇◆
 アリアハン大陸の北の静かな村レーベ、
その宿屋の2階に魔王達は部屋を取っていた。
魔王「……………………………。」
 窓際の席に座り、窓から見える海を横目で見たまま
何やら難しい顔で考え込んでいる魔王、
似合わないと言えば似合わない姿に、
巫女は国王に耳打ちする。
巫女「………いったいどうしたのでしょうか」
国王「先ほどの奴にコテンパンにのされて、
   塞ぎこんでいる…って訳でもなさそうだが」
魔王「……………………国王…。」
国王「ひゃい!?」
魔王「この世界で…魔王を倒すぐらいの
   強さを持つ者と聞いて、誰が思い浮かぶ?」
国王「そりゃ、オルテガ殿じゃな、
   あとはその相棒のサイラス殿
   その二人ぐらいじゃないかの?」

33 :

魔王「オルテガと…サイラス…
   その二人…どちらかは女か?」
巫女「いいえ?アリアハンの勇者オルテガ様と
   サマンオサの戦士サイラス様は
   どちらも男性ですよ」
国王「後は…そうじゃの…
   オルテガ殿の遺志を継いで
   魔王"バラモス"退治に旅立った
   オルテガ殿の娘さんじゃの…」
魔王「魔王…バラモス?
   この世界の魔王はゾーマでは
   なかったのか?俺は最初にそう聞いたぞ?」
国王「魔王バラモスはそのオルテガの
   娘さんに倒されたのじゃ
   そののち、大魔王ゾーマが現れおってな」
巫女「え?バラモスって倒されたんですか?
   そもそも大魔王ゾーマってなんです?」
国王「何を言うておる…バラモスは
   二月程前に倒されておろうに
   そののち、大魔王ゾーマを倒す為に
   ギアガの大穴から、勇者殿が旅立ったんじゃろうが」
巫女「ギアガの大穴って…大昔に封印された
   奈落へ続くと言われる穴の事ですか?
   そんなの迷信じゃないですか」

34 :

魔王「ちょっと…待て!」
 ── 何かがおかしい、そもそも俺が
 呼び出されたのは魔王を討伐する"勇者"に
 間違えられてのはずだ、しかもその際には
 『大魔王ゾーマ』を討伐するためと聞いている。
 これは確か、当初巫女と国王が言っていた事だ。
 けど、今は巫女は魔王はゾーマではなく、
 魔王はバラモスだと言っている。
 それに対し、国王は魔王バラモスが倒された後に
 大魔王ゾーマが現れたと言っている。
 となると、この世界には魔王バラモスは存在せず。
 大魔王ゾーマが居ると言う事か?? 
 ──おかしい…つじつまが合わない…──。
  これ以上は分からないだろうと、魔王は質問を
 代える。

35 :

魔王「魔法の玉…誘いの洞窟…と聞いて、
   心当たりはあるか?」
国王「誘いの洞窟は古代文明の『旅の扉』が
   封印されておった場所での、船を使わずして
   瞬時にロマリア国へと転移する事が出来るのじゃ
   その封印を破壊するために…魔法の玉が
   必要なんじゃ」
巫女「あんな洞窟にそんなものが封印されていたのですね」
国王「今やアリアハンには船は一艘も無いからの、
   それが唯一アリアハン大陸から外の大陸に出る
   手段じゃ、勇者殿も旅の扉で旅立ったんじゃ」
魔王「再び封印された事はあるか?」
国王「なんで、そんな面倒な事をするんじゃ?
   別に不便な訳でも無し」
 魔王は再び考え込む…
── 先ほど襲ってきたローブの女は、その勇者の
可能性が高いだろう、魔王バラモスを倒した実力があるんだ
俺と渡り合う事は出来るはず。
 勇者が旅立ったのならば事実なら、誘いの洞窟の封印とやらは
解かれているはず、しかし先ほどの勇者(?)は封印を解くための
魔法の玉が必要だと言ったはず、まずは本当に勇者が誘いの洞窟から
旅だったのかを調べる必要がありそうだ ──。


36 :

 ◆◇◆◇ 誘いの洞窟 ◆◇◆◇
 魔王はロマリアへの道が封印されていると言う
誘いの洞窟の壁に手を当てて埃を払う。
魔王「やはり…
   封印が解かれた形跡は無いか」
巫女「…もう少し、奥に進んでみますか?」
魔王「そう…だな…
   それしかないか……離れて居ろ…」
 魔王は道具袋からレーベの村で受け取った
魔法の玉を取り出し、壁に仕掛ける。
 玉は不気味に点滅を繰り返し…。
 Booomb!
 洞窟の壁一面を綺麗に吹き飛ばす…、
壁の奥にはさらに埃だらけの通路が現れる。
国王「…どう見ても、人が通った形跡は無いのぅ?」
 おかしな話だが、今はそれよりも先に進む事を優先する。
国王はランプを道具袋から取り出し火をつけて進み、
巫女と魔王がそれに続く。
 崩れかかった通路を進んでいくが…。
魔王「おかしい…魔物が出てこない…
   気配はあると言うのに…」
巫女「魔王の気に気圧されているのでしょうか?」
 何をしてくる訳でも無く、ただ遠くから
見ているだけのようでもある。
国王「どちらにせよ、襲ってこないのは
   好都合じゃな、今の内じゃよ」
 通路を進むと、その行き止まりに扉があり
扉を潜り抜けると、
石で出来た大きな祭壇がある部屋に辿り着いた、
祭壇の中央で青い光が渦を巻いている。

37 :
巫女「綺麗…」
国王「これが、旅の扉じゃよ…
   ワシも初めて見るがな」
魔王「…ん?…なんだ?
   この臭いは…」
 魔王が微かな何かの甘い香りに
気が付くと同時に、遠巻きに様子を伺っていた
魔物達の気配が濃くなる。
 気配の数が増大して行き…殺気に染まっていく。
 体長2メートル程の巨大な一本のツノを持った
ウサギ…、アルミラージだ。
 数匹どころの騒ぎじゃない…、数十匹
もしかしたら百単位にも届くぐらいの大群だ。
国王「旅の扉に飛び込むのじゃ!」
巫女「急いで!」
魔王「二人とも…先に行けっ!」
 魔王は国王と巫女に怒鳴り返し、
旅と扉に飛び込んだ二人を見て、
部屋の扉を閉める。
 巫女がすれ違った瞬間…
かすかに甘い香りがしたが、
深くそれに考える暇はなかった。
 物凄い力で扉に体当たりする
アルミラージ達に魔王は扉を抑えながら
旅の扉で空間転移する二人を見送る。

38 :
魔王「……さて………」
 ひとまず、これで足手纏いは
いなくなった、心置きなく本気を出せる。
 息を大きく吸い込んで、扉の前から
一気に飛び退く。
 扉の閊えが無くなり、部屋に
雪崩れ込んで来たアルミラージ達に
向けて、魔王は灼熱の炎を放つ。
 ゴオオオオオオオッ!!
アルミ『キィイ!!』
 地獄の業火のような炎が部屋の中を包み込み、
獣が焼ける嫌な臭いが部屋に立ち込めて行き、
灼熱の炎を吐き続けるとみるみる部屋の温度が
上昇して行く…。
 二人がこの部屋に残っていたら、アルミラージ
共々丸焼きになっていただろう。
 さらにもう一度息を吸い込み、今度は
冷たく輝く息を吐き出す…。
 石釜の中のような温度をしていた部屋が
今度はみるみる氷点下まで下がって行き、
僅かに残っていたアルミラージを一掃した…。
 たった2発のブレスで魔物の群れは
あっさりと全滅していた、これだけの力が無ければ
魔族の王として立つことは許されない。
 アルミラージのさらなる追撃は無いと判断し
魔王は旅の扉──部屋中央の青い渦に飛び込む。
 辺りの景色が激しく歪み…意識がブラックアウトした
次の瞬間に、全く見知らぬ部屋へと転移する…。
 その部屋に足を一歩踏み出した瞬間。
 ビキッ!!!
魔王「……ぐっ!…」
 突如魔王は体の自由が奪われ、祭壇の前に
膝を付く…。
魔王「なん…だ…重い…」
 辺りの空気が固着して飴のようになったかのように
体が重くなり、さらに前進を細い針金で縛られているような
痛みが駆け抜け……力が入らなくなる…。
 そこでようやく、足元には大掛かりな破邪の魔法陣が
描かれているのに魔王は気が付いた…。

39 :
魔王「くそっ…」
 魔法陣から脱出しようと抵抗を試みる魔王、
時間をかければ抜け出せそうではあるが。
巫女「無駄よ、いくら貴方でも簡単には
   抜けられませんよ」
 あがこうとする魔王に見知った声が
掛けられる…。
 姿を現したのは先ほど旅の扉へと飛び込んだ
巫女と国王。
魔王「…なるほど…、さっきの臭い袋は
   俺をハメる伏線だった訳か…
   だが、この程度俺は1分もすれば抜け出せるぞ」
巫女「1分もあれば…充分ですよ」
 巫女は跪いた魔王を抱え込むようにそっと抱きしめ…
そして巫女は魔王の唇に自らの唇を重ね合わせた。
魔王「……っ!?」
 急激な泥のような眠気が魔王を襲いかかり、
そのまま意識が暗転した…。
 ◆◇◆◇ 誘いの祠の外 ◆◇◆◇
 魔王は気が付くと…横に倒れていた、
体を動かそうとするが、指一本動かない、激しい疲労に
包まれて意識を保つのも困難だったが…
なんとか瞼を押し上げる…。
 どうやら…外に連れ出されただしい…。
 二人の人型の姿が見える…一人はアリアハン国王と…
そして3メートルぐらいの身長のツノを生やした
魔族の男……よくよく見覚えのある男だった…。

40 :
魔王(あれは…俺…?)
もう一人の魔王「モシャス!」
 自分に良く似た魔族の男はモシャスを唱えると、
その姿は光に包まれ…、巫女の姿に変身して行く。
巫女「…まさか…ここまで上手くいくとは
   思ってもいなかったわ」
国王「こいつは…どうする?
   始末するか?」
 ────やってみろ…動けないとしても
 この俺がお前達如きに傷付けられるとでも思っているのか──。
巫女「放っておきなさい…
   この男…いや、もう女ね…には何も出来ないわ
   ただの人間と同じよ…」
国王「さすがに…14年間過ごした
   自らの体をRには抵抗がようじゃの?」
 ──女?…自らの体?何を言っている?──。
 声を出そうにも声が出ない…、まるで自分の体では無いみたいに
言う事が聞かない…。

41 :
巫女「未練は無いわ…
   私には今までと同じ姿でありながら、巨大な力
   無限の魔力、それに永遠の命を持つこの体があるから」
 巫女は…魔王が使っていた重剣をやすやすと
片手で持ち上げ、まるで小枝のように振り回す…。
巫女「ギガ・スラッシュ!」
 カッ!!!ズズズズズズズゥン…。
 剣から放たれた赤い閃光が一直線に伸び…
海を薙ぎ払う、爆発と爆風が海水を辺り一帯に巻き上げ
海水の豪雨が辺りの振りそそぐ…。
国王「む…無茶するな!?」
巫女「素晴らしい…素晴らしいわ…
   フフフフフ…ハーハハハハハ…」
 今までに一度も見せた事の無い、巫女の狂気の笑い声だった。
巫女「行くわよ…アリアハン国王
   ……父上の待つ…バラモス城へ…」
 巫女がルーラを唱えると、二人の姿はその場から
掻き消えた…。
魔王「………待て…」
 かすれた声をようやく絞り出す魔王…、
──おかしい…なんか声のトーンが高い────。
 力を振り絞って、立ち上がろうとするが
立ち上がれずに…地面に倒れこむ、倒れこんだ先に
先ほど巫女が作った海水の水たまりがあった…。
魔王「……なっ……」
 その水たまりを覗き込んでいる顔を見て、魔王は
愕然とする…、その顔は先ほど高笑いして去っていた
巫女の顔と全く同じ顔であった。

42 :
序盤のここまでで100ぐらいの予定だったのに
全然消化できていない、1000消化は無理かも。
とりあえず、今日はここまで。

43 :
魔王「………くそったれ…」
 後に残された魔王は拳を握って
地面に叩き付けた、力一杯
拳を叩き付けたつもりだったのに、
鍛えてもいない人間の女の細腕では
土埃一つ巻き上げる事が出来なかった。
魔王「…………なっさねぇ
   最初っからこれが目的だった訳かよ」
 勇者に間違えて異世界から魔王召喚?
何て事は無い、そこそこの力があって、
かつ隙を突けば一瞬でも動きを止められるぐらいの
魔王を異世界から呼び出し、失敗覚悟で
体ごと力を根こそぎ奪い取るつもりだったのだ。
 元々、元の世界に帰すつもりも無い、だから
帰還魔術書なんて最初から用意もしていなかった。
魔王「……本当に…情けねぇ」
 元の世界で従える部下や家族が見たら
指をさして笑われるか、自害を求められるかの
どちらかだろう。
 魔族の王たる者が、人間にまんまと騙されて
体と力を全て奪われ、人間の雌として生き恥を
晒す。
 …失態も良い所…一族全ての恥晒しだ。
 ──────もっとも、
元の世界の連中には、知る所でな無いが。
魔王「………………どうでも…良いか…。」
 元の世界に戻るつもりでもあったが、未練が
あるかと言われれば実は大して未練は無い。
 権力や覇権争いの戦いと策略の日々、魔族の
王となった所で、今度は王族の責務として
魔族の民を率いて行かなければいけない、忙しい
日々。
 体は未だに言う事が聞かず、立つ事すらままならない、
街の外で人間の女が一人で倒れて居れば
その内に魔物達のエサにでもなるだろう。
魔王「…………………………。」
 それでも良いやと、魔王は体の疲労に任せて
目を閉じる、待つまでも無く眠気はすぐに訪れた。

44 :
魔王「…………………………。」
次に目を覚ますと、どこかの建物の中だった
家具や建物から生活臭が感じられる所から
誰かが家として使っている建物らしい。
 魔王が寝かされていたのは手入れの行き届いた
ベッドの上で、寝る前には全身泥だらけだった
自らの体が綺麗に手入れされており、服も着替えさせ
られているのに気が付いた。
魔王「…………ここ…は…?」
 明かりを取る為だろうか、開けっ放しになっていた
窓に近寄ろうとベッド身を起こして立ち上がろうと
した瞬間…。
 スデン…!!
 見事にバランスを崩してすっ転んだ、
どうやら巫女の体と入れ替わったために、手足のバランスや
骨格や体型が全く違うため、体力は回復しているのに
立ち上がって歩く事すらままならないようだ…。
 なるほど、巫女が魔王の体に入れ替わって
すぐにモシャスを使って形を変えたのは、こういう理由が
あったかららしい。
 だが、今の魔王にはそんな芸当は出来るはずも無い、
家具に寄りかかりながらなんとか立ち上がり…ゆっくりと
歩く…。
 窓から飛び込んできた風景は、アリアハン以上に拓けた
街の風景だった…。
 どうやら今居る建物は宿屋の2階ようであり、1階は
酒場になっているようだった。
 宿の先の大通りを進むと大きい城へと通じているようで
どうやら結構大きい国の首都のようだ。
??「……おや、まぁ…!」
 窓から顔を出していると、窓下にある通りで店先を
掃除していたであろう、茶髪の大女が声を掛けて来る、
年は30代ぐらいだろうか?
大女「……オルテガさん!眠り姫さんが起きたよ」
 大女は1階の酒場に向かって声張り上げる、
魔王「…ははは………眠り姫…ねぇ…。」
 どうやら…眠り姫とは自分の事らしい
と魔王は苦笑する…。
 当然ながら、魔王の姿をしていた時と辺りの
人間のリアクションが異なるようだ…、アリアハンでは
道行く人間に目を反られたと言うのに。

45 :
 2階に歩いてくる何者かの足音がする、
躊躇いも無く、部屋の扉が開けられると
先ほどの大女と、40代ぐらいの迫力のある
男──おそらく、彼がオルテガだろう──が
部屋に入ってくる。
オルテガ「………ふむ…
     怪我はもう良いようだな……。」
 オルテガと思わしき男は、魔王を上から下へと
見下ろし、安心したように笑みを浮かべる。
魔王「…ここが何処かだとか、色々聞きたい事も
   あるけど…まずは…
   助けてくれてありがとう……で良いのかな?」
オルテガ「ああ……気にするな…冒険者としては当然の事だ
     俺の名はオルテガ、そしてここは王都ロマリアだ、
     名前を聞いても良いかな?綺麗なお嬢さん」
 そのまま名乗ろうか、少し迷いかけたが
命の恩人であろう男に嘘を言うのは王族のプライドが
許さないため…正直に答える事にした…
 どうせ隠す意味もつもりも無い。
魔王「…………魔王」
大女「魔王?」
オルテガ「そうか…マオか」
 大女が眉を潜めるが、オルテガは"マオ"と言う事で
納得したらしい、大女は小首をかしげるが自分の聞き間違い
と思ったようだ。
 どうやら、このオルテガと言う男は、わざと"マオ"で
通そうとしてくれているようだ。
 人間の姿で魔王も何も無いので、魔王もマオで通す事にした
 ──しかし良くわからないが、人間の世界ではマオは普通の
 女性名なのだろうか?──。
オルテガ「少し、話を聞かせてもらいたいが
     構わないか?」
マオ「もちろん構わな──────…。」
 オルテガの方に歩こうとして、窓から手を離して
歩こうとした瞬間。
 ドタン!
 再び見事にすっ転んだ。
大女「ちょっと…大丈夫かい!」
 慌てて駆け寄って大女に助け起こして貰うと同時に
腹の虫が鳴く、上手く歩けないのは空腹で
力がでないせいもあるらしい。

46 :
大女「わかった…わかった
   なんか作ってきてやるよ!」
マオ「…いや、これ以上借りを作る訳には。」
マギー「3日も寝込んで何を今さらいっているんだい、
   怪我人が要らない気を使うではないよ!
   ちょいと待ってな」
 魔王…マオをベッドに座らせると、大女─マギーと言うらしい─
は豪快に笑いながら部屋を出て階段を下りて行く。
マオ「…それで、聞きたい事ってなんだ?」
オルテガ「食事の後でも構わないのが?魔王よ…」
マオ「…………疑わないんだな」
オルテガ「嘘を言っている目は、本気で言っている目か
   瞬時に見分けぐらいつかないとこの世界は食っていけないんでな」
 どうやら、このオルテガと言うのは相当な人物らしい。
勇者オルテガ…アリアハン王が言っていた名前だったが
まさかこんな直ぐに出会う機会があるとは。
 魔王は巫女やアリアハン国王に騙された事を
正直にオルテガに伝えた──およそとんでもない話ではあるのだが。
オルテガ「…そうか、陛下が…
   それに魔王の力を手にした人間の巫女か、
   気になるな」
 あっさり納得してくれる辺り、嘘を見極める力とやらは本物であるらしい。
マオ「今更、元の世界に戻る事も出来ないし
   生き恥をさらすぐらいだったら、死ぬつもりだったんだけどな」
オルテガ「それは悪い事をしたようだな、
   だが、今はもう止めておけマギーが悲しむ」
 オルテガは髭をこすりながら、考え込み…やがて口を開く。
オルテガ「なら…少し手伝ってもらおうか…」
マオ「俺に"勇者"の真似事をしろとでもいうつもりか?」
オルテガ「そうは言わん……言わんがお前は
   俺に命を助けられた借りがあるはずだ、それに
   俺と行動していれば、その巫女とやらに
   落とし前を付けさせる機会があるかもしれんぞ?」
 なるほど…それは魅力的な提案だ、それに死ぬなんていつでも
どこでも出来るもんだ…それならオルテガに乗ってみるのも
悪くないかもしれない。
マオ「いいぜ?」
 魔王が了承すると、オルテガは満足気に笑みを浮かべた。

47 :
文章力無いなー、俺
見事な厨二病設定、そして読み辛い3流小説
30行ぐらいで投下した方が読みやすいのかもしれないけど
どうせ、人稲だからいいや、
とりあえず、今日はこの辺まで。

48 :
チラッ

49 :
 ロマリアの広場…中央に噴水のある公園の中、
元魔王─マオ─と、オルテガが剣を合わせていた。
 キィン!!
 マオの持った剣がオルテガの持った剣と交差し、
心地良い音を立てる。
 瞬間に、剣が甲高い音を立てて、マオの持った剣が
跳ね上げられる。
 飛び退いて空中から落ちてくる剣を握ろうと、マオが
動こうとする前に、オルテガの剣がマオの首筋に当てられる。
中年「オルテガァ!ちったー手加減してやれよ!
   嬢ちゃんは病み上がりなんだろ?」
オルテガ「馬鹿を言え、病み上がりだからって手加減する
   敵がどこにいやがる」
 もやはロマリア風物詩となった、オルテガとマオの訓練を
見物する客から飛んだ野次にオルテガは応える。
 木の上からつるされていた小さな黒板に、マオの負けスコアが
加算され…スコアは1521戦、1521敗、見事な全敗だった。
オルテガ「マオ、その細腕じゃ正面から力まかせに打ち合った所で
   お前は負けるに決まっているだろう」
マオ「……体力を付けろって事…………ですか?」
 元々、魔王時代は腕力が有り余っていた事もあって
力まかせに剣を振れば、相手の防御を関係無しに吹き飛ばす事が
出来た、しかし今の貧弱な腕ではそうもいかない。
オルテガ「そうは言っていない、むしろ無駄な筋肉を
   付けると言う事は弱点にすらなりかねない」
マオ「力はあればあるほど良い…………んじゃないですか?」
オルテガ「筋肉は重いからな、むしろ素早い動きで
   躊躇わずに的確に相手の急所を狙う、少ない力で
   効果的にダメージを与えるにはここだ…」
 オルテガは自身の喉を指で指す。
マオ「………首?」
オルテガ「その通り、相手が生物である以上、血液は流れて
    呼吸をする必要がある、目潰しと言う手段もあるが、
    目潰ししたとしても、回復呪文で回復する可能性もある
    となると、喉を斬り付け、気管や頸動脈を破壊する
    当然呪文すら唱えられなくなると言う事だ」
 オルテガの講義は続く
オルテガ「どのみち、女の細腕じゃ、やれる事は限りがある
    素早く、効率良く適度に急所を狙う
    理想は全ての攻撃が会心の一撃となる事だな」

50 :
オルテガ「人のサイズを遥かに凌駕したドラゴンやら
    獣やら、真正面に力任せに戦ったとしても
    普通の人間には勝てる訳もない、それは男でも同じだな」
 なるほど…、効率的かつ合理的に弱点を攻撃する
それぐらいの思い切りがなければ戦いで生き残る事は出来ない
という訳か。
 ──魔族…魔物でも同じだが、大概は持って生まれた資質に
依存する、両親が強い種別に生まれた魔物は生まれながらにして
強者だった…無論、個人差や訓練による伸びしろが無いとは言わないが。
 しかし、人間は違う。
 脆弱な種族ながらにして、戦いに限らず色んな事を思いつき、試し
経験を積んで強くなっていく、世界中の全ての人間がこの男と
同じように経験を積んで強くなったら、世界から滅びるのは魔族の
方ではないだろうか?
 魔王が人間の娘、マオになってから半年、一番驚き
また一番の収穫でもあった。
マギー「マオ」
マオ「ありがと、マギー」
 様子を見に来ていたのか、マギーが放り投げたタオルを
マオは受け取り礼を言って、汗を拭く。
マギー「マオも随分強くなったんじゃない?」
マオ「まだまだ、師匠にかすり傷すら付けられないけどね」
 ちなみに師匠とはオルテガの事、最初…半年前は
満足に歩く事も出来なかったが、リハビリと称して
剣の稽古をつけてもらったりもした。
 最初に敗北してから勝てるようになるまで
師匠と呼び、敬語で話すように言われたが、ここまで全敗
未だ、呼び方をオルテガに戻せずにいた。
オルテガ「まだまだだ、
    こんなんじゃ使い物になる以前に外に出たら
    無駄死にだ、今日はここまでだが
    日課に素振りは熟しておけよ、俺は少し出て来る」
マオ「ありがとうございました」
 礼を言うとオルテガは振り向きもせずに、城の方向へと
向かって歩き出す。

51 :
マギー「っかし、マオも変わったわね」
マオ「何が?」
マギー「最初はあんなにトゲトゲだったのに、
    なんつーか、性格が丸くなった?
    今じゃ訓練時に素直に礼を言ったりするし」
マオ「………うっ……」
マギー「まぁ、良い事だよ
    最初の頃のアンタは見てられなかったからね」
 マギーは笑いながら宿に戻っていく。
 自己嫌悪という訳でも無いのだが、最初の頃は
人間如きに良いように負けるのが嫌だったのもあり、
命を半ば投げ出そうと自暴自棄になっていた感じも
確かにあった。
 魔王時代の人間を下に見る意識もあったのだろうが、
次第に人間を認めるにつれて、その辺りの意識も
変わって来たのかもしれない。
マオ「…………しかし。」
 マオはオルテガに言いつけられた通りの型を
意識して剣の素振りをしながら考える。
 ………鍛えるか?普通?元・魔王を。
オルテガが何をしているか知らないが、半年も
ロマリアに滞在して、リハビリ…と言うより訓練に
付き合ってくれている訳で。
 魔族がどうとか、魔王がどうとかも疑わず
それでいて詳しく訪ねてくる様子もない。
 元来、勇者はお人よしだと言うのが通説ではあるが
勇者の父親と呼ばれる人物も大概お人よしなのかも
しれない。
 オルテガに分からない事はマギーが教えてくれたりした、
実生活や常識については非常に助かっている。
 人間の女は髪型や服装を意識し、化粧をしたりとか、
作法とか色々あるらしい。
 その辺りはオルテガは適当で良いだろうと
思っていたようだが、月に一度の所謂"お祭り"を初めて
経験した際、「マタからなんか血ィ出た、病気かもしれない
世話になったな」と言った辺りからマズイと思ったらしく、
その場で即座にマギーに引き渡された。
 宿屋でタダ飯を食らうのも気が引ける(人間に借りを
作りたくないし)故に、宿の仕事や食事の仕事を手伝う内に
マギーとは友人と呼んでも差支えない仲となり、
それもあって色々教えてもらっているのもある。
 以上、大体半年間はそんな感じの人間生活を送っていた。
ますます持って、魔王の意識は薄れて人間じみてきたのかもしれない。

52 :

 ◆◇◆◇ 夜、ロマリアの宿屋 ◆◇◆◇
 宿屋の1Fは酒場であり、夜になると
ロマリアの港などから荒くれ者が酒を
飲みに集まってくる。
 そんな中、ウェイトレスとして切り盛り
しているのがマギー、半年前にマオが来るまでは
一人で酒場を回していたのだから大したものだ。
荒くれ「マオちゃん、生中三つくれ」
マオ「はーい、ただいま
   マギー、生中三つ」
マギー「あいよ、持って行っとくれ」
 昼にはオルテガと訓練、夜には酒場の手伝い
半年もそんな生活をしていれば慣れた者だった。
 見た目は14歳の少女で、顔立ちも整っているからこそ、
酔いの回った荒くれに絡まれた事もあったのだが。
 オルテガに習った通り、頸動脈を斬ろうとした所で
慌てたマギーや居合わせたオルテガに止められ。
酔いが覚めて青ざめた男にマジ謝りされた、なんて事件があって
以来、手を出してくる奴は殆ど居なくなった。
 社交辞令的に口を出してくるのは居るけど、元3メートルの
魔族の男と知ったらどんな顔をするのだろうか。
 扉のドアベルが鳴り、見慣れた姿が酒場に入って来る。
マオ「いらっしゃ………なんだ師匠ですか」
オルテガ「なんだは無いだろう…マギー
   少しマオを借りるぞ」
マギー「ちゃんと後で返してくれよ
   ウチの看板娘、居ると居ないで売り上げ違うんだから」
 看板娘………ねぇ………、
もっとも、半年もそんな生活をしていれば、いちいち落ち込む気も
失せて来るが。
オルテガ「すまんな、すぐ済む」
 オルテガは軽く謝ると、マオを連れて階段へ向かう。
荒くれA「オルテガ!手を出すんじゃねーぞ」
荒くれB「マオちゃんは俺が狙っているんだからよー」
オルテガ「馬鹿言え、娘ぐらいの年の子だろうが」
 声を掛ける荒くれに応えるオルテガ、
巫女の体はどうか知らないが、実際には数千年生きている訳だが。

53 :
今日もまた、遅筆で少しずつ
とりあえず、今日はここまで。

54 :

マオ「盗賊カンダタ?」
オルテガ「そうだ、シャンパーニ地方に
   潜伏すると言う盗賊カンダタが
   近くにこのロマリアを襲うという
   情報が入ったらしい」
マオ「襲撃?王都をですか?」
オルテガ「ああ、随分思い切ったもんだ
   だが、情報を先に掴んだ以上
   奴らを一網打尽出来るはずだ………が」
 オルテガは浮かない顔をする。
その理由はマオも容易に察する事が出来た。
マオ「その情報の出所…と言う事ですね」
オルテガ「そう…それが問題だ
   城の連中は奴らを上手く出し抜いたと
   思っているようだが、連中に
   踊らされているような気がしてならない」
マオ「わざと嘘の情報をタレコミして警戒させ
   疲労した頃を見計らって、忍び込む」
 常套手段と言えば、常套手段ではあるが。
オルテガ「俺はそう読んでいる
   考え過ぎならそれで良いけどな」
マオ「それで?何をしろと言うのですか?」
オルテガ「それとなく、気を付けてくれればよい
   気を張って疲れたら城の連中と同じだ
   万が一の時は…………これを使え」
 オルテガは手に持って居た包みを解くと、
中から綺麗に装飾された剣が姿を見せる。
オルテガ「誘惑の剣…と言う
   気を付けろよ、魔剣だ」
 マオは剣を手にして、鞘から剣をゆっくりと
引き抜いて、光に翳す…ランプの光を反射して、赤い金属の
刀身が輝いた。
 見た事も無い金属であり、かなりの業物なのは間違いない。
やや小ぶりで重さも程よく、まるでマオの為に打たれたかのように
手に吸い付くようにきっちりと馴染んだ。
マオ「いいんですか?かなりレアな剣だと思うんですが」
オルテガ「それは女にしか扱えない、特殊な魔剣らしくてな
   そいつをずっと身に着けておけ
   一応仕事中もだ、寝る時も一応そばに置いておけ」

55 :
 オルテガの警告からさらに二か月後、
ロマリアの街が寝静まった頃、怪しい影が城の窓から
出入りしていた。
 覆面を被った男とその部下達、盗賊カンダタ一味だった
連れて来ていた馬に城から盗み出したお宝を積み込み。
カンダタ「5分ジャスト!撤収だ!
     そろそろ兵が出るぞ!」
カンダタ子分「あい!親分」
 部下に指示を下すと、馬は物凄い勢いで走り出す。
街の中心街に差し掛かった時に、カンダタはさらに
部下に指示を出す。
カンダタ「火矢を撒け!追撃の手を遅らせるんだ!」
 カンダタの指示に従い、油が染みついた布を先端に
巻き付けた矢に火をつけて、辺りの家にまき散らそうとする。
オルテガ「マオ!今だ!」
マオ「バギマ!!」
 突如襲った豪風が火矢を跳ね飛ばし、巻き込まれた
火矢は海へと落下する。
カンダタ「ちっ!カンの良いのがいやがったか!」
 正面通りに現れた男が部下を次々と切り倒していく、
大柄な屈強な男、オルテガだった。
 カンダタの部下7人に囲まれているものの、互角以上の
戦いを見せている。
カンダタ「こいつはやっべぇ、逃げろ!」
 異様な強さを感じ取り、カンダタは馬に鞭を打ち込み
慌ててロマリアの外に逃げようとする。
 数百メートル走り出した所で、赤い光が辺りを包み
今度は馬が暴れ出す。
カンダタ「な!なんだ!?
     どうしたってぇんだ!」
 馬に振り落とされて、地面に落下する際に受け身を取る
カンダタ、馬はさらに暴れ出し城から盗んだ宝も
地面に落とす。
カンダタ「メ…メダパニか!」
 なかなかの高位の魔法使いが扱う呪文のはずだ、
襲ってきたのは魔法使いだろうと、カンダタは検討を
つける。
カンダタ「上等じゃねぇか!出てきやがれ!」


56 :
 叫ぶが素直に姿を現さない、厄介な相手だ。
次の瞬間、闇から飛び出した影がカンダタを狙って
剣を振るう。
カンダタ「うぉっ!?」
 ギン!
 辛うじて出した鉄の斧が運よく、相手の出して来た
剣を受け止める、迷いも無く急所を狙って繰り出してきた。
 月明かりに照らし出された相手の姿は、黒髪の女だった。
カンダタ「女か…随分とえげつねぇ
    手を使うじゃねぇか!」
マオ「お喋りな奴だ!バギマ!」
 突風がカンダタを襲い、カンダタが足を止めた瞬間に
繰り出された剣を受け止める。
カンダタ「うぉらっ!!」
 受け止めた剣を力で押し返し、壁に叩き付けようとしたが
相手は壁を蹴って、離れた場所に着地する…
不要な体重や筋肉は随分絞り込まれているようだ。
 一撃は重くは無いが、急所を丁寧に狙って来る以上、
油断は出来ない、相手の方が遥かに速い。
 動きはまだどこか素人臭い所があるが、多分に実戦経験を
積んでいるようにも見受けられる。
 付け入る隙はいくらかありそうだが。
カンダタ「…時間切れになっちまうな」
 先ほどの男が部下を叩きのめすか、もしくは兵士連中に
追いつかれたら終わりだ。
カンダタ「悪いが、さっさと決着をつけさせて
     もらうぜ」
マオ「やってみろ!」
 カンダタは呪文を唱えると、女は剣を構えて
打ち込んでくる────かかった!
 呪文詠唱はフェイク…カンダタは懐から白い玉を取り出すと
マオに向かって投げつける。
 白い玉は空中でばらけて…白い糸となり、マオの体を
包み込む。
 糸に絡まれて、先ほどまでの素早さが見る影も無く
衰える。

57 :
マオ「しまった!斑蜘蛛の糸!?」
 油断したつもりではなかったが、名のある盗賊だけあって
騙す手段は相手の方が上だった…。
 正面から打ち合っても勝機は無い、相手の力が上である以上
ガードしても間に合わない…ならば。
 相手に向かって、剣を繰り出す
カンダタ「足を止められたのに、
     突っ込んでくるとは良い度胸だ!」
 カンダタは武器を構えて応戦しようとする、
マオの放った剣をカンダタの斧が止める。
 一瞬動きが止まった所で、左手をカンダタの斧に
当て──────。
マオ「バギマ!!」
 ゼロ距離で放った突風がカンダタの斧を遠くに
弾き飛ばす。
カンダタ「甘ぇっつってんだよ!」
 僅かな隙にカンダタが放った回し蹴りが
マオの胴を見事に捉え、叩き付ける。
 ─────ゴフッ!
 たった一撃で肋骨を数本へし折ったらしい、
そんなに線は太くないように見えたが
随分な怪力の男のようだ…。
 下手したら内臓までやられたかもしれない、
マオは口から血を吐き出す。
カンダタ「Rにゃ惜しい奴だ…
    素直に俺の女になれば生かしてやるぜ?」
マオ「………………。」
 意識を繋ぎ止めて、次の手を模索するマオ、
カンダタからは死角になる位置に手を当てて、ホイミを
唱える。
 相手は勝利を確信している───チャンスだ!
カンダタ「おっと…油断ならねぇ奴だ…
    まだ何かを狙ってやがる」
オルテガ「マオ!無事か!?」
 そこにカンダタ子分を倒したであろう、オルテガが
兵を引き連れて追いついてきた。
カンダタ「ちっ…時間切れか…部下の命は預けておいてやる
     シャンパーニの塔に来い、そこで決着つけてやる」
 カンダタは宝の入った袋を手にすると城門を潜り抜け
手にしたキメラの翼を放り投げ、その姿を消した。

58 :
一日4〜5スレ投下が限度か、
何気に書くのは時間がかかるな
60行いっぱいいっぱい書いて居るからかもしれないが
まだ57・・1000まで遠いや。
ごめん>>19、1000まで埋まらない気がする。
で、とりあえず今日はこの辺まで。

59 :
アレじゃね、名前がたくさんでてきてなぁ・・・。最初の魔王、王、巫女さんだけでよかった気がする。
素人があーだこーだいってごめんなさい

60 :
>>59
指摘サンクス、
オルテガとかカンダタとか、DQ3をやった事も無い人だと
イメージが付かなかったかもしれない。
指摘の通り、魔王、王、巫女だけで、ゾーマを倒しました
めでたしめでたしと言う考えもあったが
着地予定が>>1000だと、話が作れないので再構成した際、
魔王を弱体化させる必要もあった訳で、こんな形に
キャラ説明とか書こうともおもったけど、キャラの生い立ちがどうとか
神話がどうとかダラダラ説明書きするのは見苦しいので
出来るだけ書かないようにしていたら、置いてきぼりになって
しまった感が出たかも、甘えるつもりはないけど
俺もド素人な訳で申し訳ない。
指摘とか貰えたら改善したいと思っているけど、
固有名詞を出した分はもう無理かも。
(機会があれば次回で)

61 :

 ◆◇◆◇ ロマリア城、謁見の間 ◆◇◆◇
ロマリア国王「何と言う事だ!
    オルテガ、お主が居ながらにして
    このワシの大事な金の冠が奪われてしまうとは」
オルテガ「面目次第もございません」
 翌日、オルテガとマオはロマリア城に
呼び出され、先日の盗賊カンダタ撃退の謝礼を貰えるのかと
思っていたのだが、待っていたのは国王のお説教だった。
 ロマリア国王の3時間程の説教を要約すると…。
 1.ロマリア王家に代々伝わる、至宝である金の冠が奪われたのは
   お前達のせいだ。
 2.カンダタを捕まえてくれば、今回の失態は見逃してやる。
 3.それだけではなく、ロマリア王国の王位を譲っても構わない。
 ………………………………………………とのこと、
そもそもカンダタがわざわざ襲撃して来る事を
知って居ながらも、態々城への侵入を許してしまったのは
オルテガ以前にロマリア兵達の大失態な気もするのだが。
 たかが冠一つと国とを比べて、冠の方が大事なのかと
思うに思ったのだが、どうにもこのロマリアの王様は王位に
それほど執着している訳でも無いようである。
 ……魔族の王であった立場として、それもまた
分からなくは無いのだが……。
 外交やら、内政やら、経済やら、法の発令、民衆の生活、
自身が好き勝手に外に出る事もままならない、自分の言葉
一つが国の運命を左右する──ロマリアみたいな大国ならなおさらだ。
 例え、大量の給料が貰えたとしても、こんなキッツイ仕事
誰も好き好んでやりたいとは思わないかもしれない。
 王とはただ、椅子に座って踏ん反り返って居れば良い訳でも無い、
他国は隙あらば、島一つ、小さな岩礁でも奪い取ろうと
手ぐすね引いている訳である。
 どうにも、この王は冠を奪われた責より信頼できる勇者オルテガに
自らの王位を譲って、とっとと隠居生活にでも引っ込んで
やりたいと…そんな感じにも見えたりする。
オルテガ「この私が、責任を持って
   シャンパーニの塔へ向かい、盗賊カンダタより
   金の冠を取り戻してまいりましょう」
ロマリア国王「おおっ!さすがはオルテガどの
   わしの見込んだ通りの方じゃ…」


62 :
 ロマリアからカンダタの住むシャンパーニの塔へ向かうには
一度、北にあるカザーブ村を経由する必要があった。
 カザーブ村に立ち寄り、必要物資を整えて村より
南西のシャンパーニの塔へ向かっていた。
マオ「…………………お人よし」
 マオの抗議にオルテガは頭を抱える。
オルテガ「分かっている…お前の言いたい事は
   よーく分かっている…つもりだ」
マオ「別に何の義理が有る訳でも無し、
   わざわざ盗賊退治…ねぇ……。」
 半年以上の付き合いがあって、心から分かったのは
このオルテガは重度のお人よしなのだ、
 目の前で困っている人間…魔王であっても、放置する事は
出来ない。
 そして、だからこそ色んな人間に好かれているのだ、
老人から子供…果ては動物にまで。
 オルテガが声をかければ、ロマリア中の連中が
無償で手を貸してくれるだろう。
マオ「けどまぁ、こんなお人よしじゃ、
   ロマリア国王なんて務まらないだろうけど」
オルテガ「俺はロマリア王なんてなるつもりはない、
   俺は自由気ままが好きなんだ
   気が進まないならカザーブに残ってても良いんだぞ?」
マオ「カンダタには少し借りがあるから
   丁度良いっちゃ丁度良いんだけどさ」
 ややあって、見上げる程の巨大なレンガ造りの塔
シャンパーニの塔の近くまで接近し、塔の近くの木陰から
建物や入口を観察する。
 塔の形状からして、灯台として使われていたようだが、
魔物が海にまで出現し、さらにカザーブ村からも離れているため、
放置されてしまい、今や盗賊の巣窟になってしまっているよう
だった。
オルテガ「連中……素直に降伏勧告に応じると思うか?」
 オルテガは抱えた得物を地面に下し、塔を見上げる
マオ「無理でしょうね…
   入口にも見張りが居ない辺り、
   せいぜい、罠を張って待ってくれているとは思う」
オルテガ「だろうな…わざわざ自分のアジトを教えて
   ご招待してくれた訳だからな」
マオ「では、手筈通りに行きましょうか」

63 :
 一方その頃。
 ◆◇◆◇ シャンパーニの塔(昼):最上階 ◆◇◆◇
 金の冠を被り、ワインを瓶ごとラッパ飲みしている
斧を持った若い男が居た、先日ロマリア国を襲った男
盗賊カンダタだ。
子分「親分、来ましたぜ!
   この前の女です」
カンダタ「来やがったか!待ちわびたぜ」
 カンダタはワインのボトルを投げ捨てて立ち上がり、
斧を肩に担ぎなおす。
 塔の窓から塔の下を見下ろすと、先日の黒髪の女が
木に隠れながら様子を伺っているようだ。
 どうやらロマリア兵を率いて攻め込んで
来る気などは無いようだ。
カンダタ「良い度胸だぜ、気に入ったぜ
     お嬢ちゃん」
 カンダタは笑みを浮かべて、斧を持つ手に力を入れる、
久しく忘れて居た自分と互角の相手、ロマリアで捕えた
部下を人質にする訳でも無く、白昼堂々と真正面から
攻め込んで来てくれた訳だ。
子分「親分、弓でもくれてやりやすか?
   今ならこちらの方が有利ですぜ」
カンダタ「馬鹿、無粋な真似するんじゃねぇよ
     俺は直接あの女を戦りてぇんだよ」
 あわよくば、無傷であの女を手に入れたい、
俺と互角の力を持つ女なんて、最高だ。
ロマリアで戦って以降、カンダタはそんな風に思っていた。
子分「親分、ああ言うのが好きなんすか?」
カンダタ「あの鍛えられた四肢、
   たまらねぇじゃねぇか、脳髄が蕩けちまうぜ」
子分「随分ご執心っすね」
 早く手に入れたい…だが、焦ってはいけない、逸る気持ちを
抑えて、カンダタは策を考えていた。
 捕える為には、トラップが張り巡らされた塔の中にどうにか
して誘い込まないといけない。
 様子を伺っていると、木陰から出てきた女が塔の最上階に
向かって声を上げる。

64 :
マオ『あー……あー……
   マイテス!マイテース!本日は晴天なり
   本日は晴天なり』
 バギの呪文の応用だろうか、拡声された声が塔の
最上階まで楽々と届く。
 不意打ちをする気も無いらしい、重ね重ね
良い度胸をした奴だ。
マオ『盗賊カンダタに告ぐ!盗賊カンダタに告ぐ!
   ただちに、武装を解除し降伏しなさい』
カンダタ「降伏だと?馬鹿言っているんじゃねぇ!」
 カンダタは塔の下に向かって、声を張り上げる
こちらは呪文による拡声はしていなかったが
塔の下には届いたようだった。
マオ『今なら、貴方達の命だけは保障します
   速やかに武装を解除し、降伏しなさい』
カンダタ「うるせぇ!喰らいやがれ!」
 カンダタは部下から弓を奪い取ると、
弓の先に括りつけられた火薬に火をつけて
塔の下に向けて素早く放つ。
 マオが飛び退くまでも無く矢は外れて地面に刺さるが、
一瞬遅れて、地面に刺さった矢が爆発する。
マオ『降伏の意志は無し…どうあっても
   戦うつもりなんだな?』
 白けさせてくれる、こちらは元々直接対決の
つもりだ。
カンダタ「てめぇら!アイツを塔の中へ追い込め」
子分「へい!親分!」
 子分はカンダタと同様に炸薬が付いた矢を
塔の下に射る、雨のように矢が降り注ぎ
降り注いだ矢が片っ端から炸裂する。
 黒髪の女は踊るかのような素早い動きで矢を
かわして逃げ回る。
子分「あの女!塔の外へ逃げて行きやした!」
カンダタ「ちっ…!」
 塔の中に誘い込む積りが、アテが外れてしまい
カンダタは舌打ちする。

65 :

 ◆◇◆◇ シャンパーニの塔(夜):最上階 ◆◇◆◇
 先日の昼の騒ぎがあってから、丸2日、
再度襲撃して来る様子も無く、カンダタは内心
イライラしていた。
 先日ロマリア城に対して行った、カンダタの方法が
逆にやられている訳だ。
 疲弊した所に襲撃を掛けて来るつもりなのだろう、
疲弊を最小限に抑える為、カンダタは見張りを残して
休んでいた。
子分「親分!てぇへんです!」
 慌てた子分が扉を開けて飛び込んでくると、
子分と共に煙も入り込んでくる。
子分「塔の1Fが燃えています!」
カンダタ「野郎!やりやがったな」
 カンダタは飛び起きて、煙を吸わないように身を
屈める。
 まさか、塔に入らずこんな暴挙に出て来るとは。
塔の1Fや2Fは物置として使っても居た、
石で造られた塔とは言え、火のまわりも早過ぎ。
最上階には火薬もある…。
カンダタ「テメェらは火を消せ!」
子分「無理です!油も撒かれているのか
   火のまわりが早過ぎまさぁ」
 元々、塔に住んでいる訳だから生活に必要な
見ずも備蓄しているが、火を消す程の大量の水が
置いて有る訳でも無い。
 カンダタの決断は早かった。
カンダタ「テメェら外に出るぞ!!」
子分「了解でさ」
 外には確実にあの女が居るだろう、カンダタは
武器を手にして部下と共に塔を飛び降りる。

66 :
一回の投下4000バイト程度だから
大体、400字詰め原稿用紙5枚分。
短いのもあるから、45回ぐらい投下した
と考えて、空白分を考えずに
原稿用紙225枚分。
これ、1000に辿り着く頃には
原稿用紙何枚分ぐらいにはなるんだろ。
本来は全部書いてから通しで読んで
投下すべきなんだろうけど。
とりあえず今日はここまで。

67 :
スゴイ考えてるなぁ、一から読んだけ面白い1000目指して頑張ってください

68 :
>>67
感想サンクス、
まだまだ甘い所があるし、>>1000まで達成できるか
わからないけど、出来る限り頑張ってみるよ。

69 :

 ◆◇◆◇ シャンパーニの塔(夜):塔付近の平原 ◆◇◆◇
 シャンパーニの塔が燃える明かりが、辺りを照らし、
真夜中であるにも関わらず、まるで昼のように明るかった。
 カンダタは煤煙で汚れた覆面を投げ捨てて、斧を構える…
見据えた先には例の黒髪の女が居た。
カンダタ「そういや、まだ名乗っていなかったな
     俺の名はカンダタ、ロマリアの大盗賊だ」
マオ「……………………マオだ。」
 凛とした声でカンダタに応えるマオ、その声には一分の隙も
無いようだ、戦い方はどこか慣れていない感じがしたが、
不思議と戦度胸はあるようだ…。
手下「………………親分〜〜…」
 子分の声に後ろにカンダタは背後に視線を送ると、
そこには屈強な中年の男が居た、以前も一度見た事があるし
ロマリアでは有名な男だ。
カンダタ「アンタは…勇者オルテガか
    勇者にしちゃ、結構エグイ手を使うんだな」
オルテガ「降伏しろ、貴様に勝ち目は無い
    おとなしくその金の冠を返すんだ」
カンダタ「ケッ…アンタもロマリア王国の
    犬って訳かい…このまま無傷で返してやっても良いけど、
    二つ条件がある」
オルテガ「言ってみろ」
カンダタ「………俺の首と財宝はくれてやる…
    だが、部下共は見逃してくれ、先日
    ロマリアで捕えられた連中もだ」
オルテガ「…………………もう一つは?」
カンダタ「そこの女、マオと一騎打ちさせろ
    もちろん、俺の部下には手出しはさせねぇ」
 オルテガがマオに目線を向けると、マオは微かに
頷いた…。
オルテガ「………………良いだろう
    この俺が頼まれたのは"金の冠を取り戻す事"と
    "盗賊カンダタを捕える事"だ、部下どもの命は
    どうでも良い」
カンダタ「オラ行け!お前ら!とっとと逃げろや」
手下「………ひぃ…」
 カンダタの子分達が慌てて逃げ出して行き、オルテガは
得物を収めてその場に座り込む。

70 :
カンダタ「さて…と…」
 カンダタは斧を構えて、戦いの構えを取る、
そんなカンダタにマオは武器を正眼に構えたまま声を投げかける。
マオ「何故、師匠ではなく私と戦う事を選んだ?」
カンダタ「…おめぇさんとは、以前決着を
    付けられなかったからな……それに…」
 カンダタは未だに燃える塔に向かって、僅かに視線を向ける。
カンダタ「…こいつはテメェの仕業なんだろ?
    勇者オルテガがこんなエグイ手を使う訳ねぇよ
    ……………じゃぁ………行くぜっ!」
 カンダタは地を蹴って爆進する、大振りの鉄の斧がマオを襲うが
マオは羽のように身軽に斧を避ける、大振りな攻撃が当たらないのは
百も承知…本命は左手に仕込んだ斑蜘蛛の糸。
 左手の裾から斑蜘蛛の糸を放り投げようとするが。
マオ「バギ!」
 マオの放った真空の刃が斑蜘蛛の糸を弾き飛ばす。
カンダタ「…………同じ手は使えねぇか」
 吐き捨てつつ…マオの攻撃を斧でガードする、正確に的確に
急所を狙って攻撃してくるマオの攻撃もまた同じ事。
カンダタ「正確過ぎて、どこを狙っているかバレバレだぜ!」
マオ「お喋りな奴だ!」
 ギン…!
 鉄の斧と誘惑の剣が激しい火花を上げてぶつかり合う、
カンダタの攻撃は一撃一撃が大きい、だからこそ…丁寧に力の
方向を受け流す─────。
 ───力の大きい相手と戦う時、正面から
 打ち合ってはいけない───。
 マオの頭の中で染みついたオルテガの言葉を繰り返す、
かつて魔王だった自分と互角に戦ったのは、オルテガに戦い方を教えられた
オルテガの娘だった。
カンダタ「野郎!小癪な真似をっ!」
マオ「…………くっ!」
 カンダタの重い攻撃を、必要最小限の力で体力を消耗しないよう
丁寧に攻撃を受け流し続ける。
 ───空振りや受け流しは直撃以上に体力を使う
 体力が無いなら、相手に無駄な体力を使わせればよい───。

71 :
 魔王の力も魔力も今の自分にはもう何も残ってない、
無くなった事に嘆いても何も始まらない!
 しかし…失った代りに手に入れた物は幾つもあるはず、
その一つがこの身軽な体…、身軽さを殺さない為に
防具は最低限の革の鎧しか装備していない…
 身軽さと素早さを重視し、この八か月ずっと訓練してきた。
カンダタ「ゼイ…ゼイ…ゼイ……くそっ!」
 体力が失われてきたカンダタが肩で息をし始める…、
焦りの表情が浮かびあがる、焦りで攻撃の隙が大きくなっていく。
 ───隙を逃すな、己が優位に立ったその瞬間にこそ
 勝者と敗者がひっくり返る可能性がある、仏心なんぞ出すな
 チャンスが出来たらそれは、確実にモノにしろ───。
カンダタ「Rやぁぁぁ…マオォ!」
 カンダタとマオが正面からぶつかり、カンダタが
大きく振り下ろした斧をマオはジャンプして躱す。
 そのまま頭を踏み台にして、カンダタの背面に着地し…
前転して衝撃をR…。
マオ「…セイッ!!」
 マオの誘惑の剣がカンダタの両足のアキレス健を斬り付ける。
カンダタ「グアァァァァァ!」
 ダン…!
 カンダタが倒れ…マオの誘惑の剣がカンダタの首筋に当てられ、
カンダタの瞳から戦意が失われていく。
手下「………お…親分〜……」
オルテガ「………………勝負あったな…」
 傍観していたオルテガが決着を口にする。
カンダタ「ちっくしょおおおおおっ!」
 カンダタは吠えて地面に大の字に寝っころがる。
カンダタ「俺の負けだ、ほら!俺の首が欲しいんだろ
     持っていきやがれ!」
 カンダタは斧を投げ捨てて首を斬れと、差し出すが
オルテガは首を横に振る。
オルテガ「…必要なのはお前の首じゃなくて、お前の身柄と
     金の冠だ、悪いがロマリアまで付き添ってもらうぞ
     安心しろ、部下の身の安全は俺が責任を持って
     掛け合おう」

72 :
やっと、次でカンダタの話が終わる
と、言うよりここまで書いて…まだ>>72
カンダタが終わるぐらいで>>200ぐらいの
予定だったんだけど全然足りない、
それに、もう10日目か…。
いつまでも創作板に個人スレが居座っててスマン
このまま、3か月ぐらい居たら、本当スマン。
とりあえず、今日が始まったばかりだけど今日はここまで。

73 :
>>19
どうやら、風邪を引いたようだ
人稲だけど一応、諦めた訳じゃないよ
今日はおとなしくDQ3でもやって、ロケハン(?)する事にする。

74 :
 ◆◇◆◇ カザーブ村 ◆◇◆◇
 カンダタとの一戦後、カンダタを連れて
カザーブ村まで戻っていた。
 そのカンダタはカザーブ村の酒場で焼酎なんて
飲んでいたりしていた。
カンダタ「なぁ…思うんだけどよ
     俺って拘束とかされなくても良いのか?」
オルテガ「逃げるつもりが無い奴を縛っても拘束しても
     面倒なだけだろう?」
 カンダタにしたら、逃げる隙はいくらでもあるのだが
大人しくロマリアに付いて来るつもりのようだ。
マオ「拘束した人間や、死体を運ぶのは手間がかかるんだ
   あまり面倒を起こすな」
カンダタ「……そりゃぁ、アジトも焼け落ちちまったし
     逃げ出す先もねぇし、部下どもの命が助かるってーんなら
     かまわねーんだけどよ」
カンダタ「どっちにせよ、ロマリアに引き渡されたら
     賊は打ち首なんだ、最後にこうして酒が飲めるのは
     感謝はしているさ」
 手にしたグラスを一気に呷るカンダタ。
オルテガ「随分簡単に自分の命を諦めるんだな」
カンダタ「でねーと、賊なんてしてらんねーよ
     ヒト様のモノを盗むってこたー、それだけの
     リスクもまたあるって訳だ…はっはっはっは」
 まるで他人毎のように笑うカンダタ、ふと気が付くと
遠目に少女がこちらを見ている。
若い女「……………………もしかして…
    お姉ちゃん?」
マオ「へ?」
若い女「やっぱり、お姉ちゃん!」
 茫然とするマオに、少女が飛びついてくる。
若い女「勝手に町を飛び出して、
    探したんだから!ノアニールに帰るよ」
マオ「待てって…」
 一方的に手を掴んで外に出ようとする女を
振り払うマオ。

75 :
オルテガ「確かに…マオと瓜二つだが」
 丁度カンダタに関する報告書が書き終わったのか、
書状を書簡に詰めながらオルテガが言う。
オルテガ「実はこいつは記憶喪失でな…
     今は俺達と魔王バラモスを討伐する旅をしている」
マオ「ちょっと!」
カンダタ「俺達って…俺もかよ!?」
 勝手な話を進めるオルテガにマオは抗議の声を上げ、
カンダタは疑問の声を上げる。
マオ(師匠、何を勝手な作り話を言っているんですか!)
オルテガ(元々、巫女の体であって
   記憶が一切無いのは確かだろうが)
 それにしても作り話と言え、元異世界の魔王がこの世界の魔王を
討伐するって話は一体何の冗談なんだか。
 魔王を討伐するかどうかなんて、知った事ではないが
ひとまずこの場は、オルテガの話に乗って置く事にする。
マオ「…………と、とにかく…そういう訳だから
   悪いけど、そのノアニールとやらに帰るつもりは
   ………………………………って…泣くなよっ!」
 マオの言葉半ばに大粒の涙を流す娘、女の涙は武器だと
マギーは言っていたが、まさにその通りだ、今は自分も
女だったりする訳だけど…で話を聞いてみた所。
 双子の姉が居なくなったのは約1年程前の話らしい、
両親が目の前でモンスターに喰われる事件を引き金に
姉が突如ノアニール村から行方をくらませたらしい。
 妹である彼女はその後、親戚の住むカザーブ村へと
引っ越し、1年後の今日、両親の墓参りに行くために
護衛の冒険者を探してこの酒場に来たと言う。
オルテガ「なるほどな…、マオがお前さんの姉かどうかは
    判らないが、これも精霊ルビス様の巡り合わせだろう」
マオ「って…師匠?」
オルテガ「ノアニールならすぐそこだ、
     丁度良いからこの娘さんを送って差し上げろ」

76 :
カンダタ「送って差し上げろは良いんだけどよ」
 カザーブ村からさらに北のノアニールへ向かう途中、
娘と共に付いてきているカンダタが不平の声を漏らす。
カンダタ「なんだって、俺様まで一緒にノアニールに
     行く必要があるんだ?」
マオ「師匠に言えって」
 不満を言おうにも、そのオルテガは金の冠を持って
一人でロマリアへと向かった訳だが。
カンダタ「第一、ロマリアに報告に行くなら
     俺様も一緒に行くべきだろ、金の冠を持って
     逃げや───がったかっ!」
マオ「逃げたら逃げたで貴様は自由の身になれるから
   問題ないだ─────ろっ!!」
 カンダタと二人で街道を塞ぐ巨大なモンスター達を
討伐しながらも言葉を交わす…。
若い女「……………あの…」
カンダタ「オメェは…下がってな!
     それならそれで、俺はカザーブ村で
     のんびりして居たかったんだけどな」
マオ「働かざる者、食うべからずって言葉知らんのか?
   貴様が飲み食いした金は、全部必要経費ってことで
   国民の税金から出るんだぞ!」
 言いながらも、木の幹を蹴って飛び上がり、
ジャンプしながらデスフラッターを斬り落とす。
マオ「これでラスト!
   ……手伝いが居るか?」
カンダタ「馬鹿言え!こっちも終わりだぜっ!」
 カンダタの斧が最後の毒イモムシの頭を粉砕し、
飛び散った毒からマントで身を守る。

77 :
マオ「それで?
   ………どうかしたのか?」
 剣に付着した血を拭い去り、自称妹に向かって
マオは振り向く。
若い女「……………あの…
   いえ…その…お姉ちゃん強いなって…
   昔はずっと村から出た事も無かったのに」
マオ「そりゃぁ…………」
 アンタの姉じゃないからな、と言葉に出しそうなのを
ぐっと堪える。
 アンタの姉(確定ではないけど)は、筋骨隆々の魔族の
男と体を交換しました、なんて言ったらどんな顔をする
のだろうか?
カンダタ「見えたぞ!ノアニールだ
     けど…様子が変だぜ?…」
 平原の先にノアニールの街が見えてくる…
しかし…、今は夕方であるにも関わらず
どの家からも夕餉の煙が立ち上っていない。
 それに…村の入り口に草が生い茂っており
まるで破棄された村のように見える。
若い女「………………!!」
カンダタ「…おい!俺達も追うぞ!」
 ◆◇◆◇ ノアニール ◆◇◆◇
 ノアニール村は無事ではあった、モンスターに襲撃
されたとかではなく、町民も無事に生存していたし
建物が破壊された後も無かった…しかし…。

町民A「…Zzzzzzz……」
町民B「すぴー……」
町民C「…Zzz…Zzz………」

78 :
カンダタ「…なんだこりゃぁ!?
     寝てやがるのか?、しかも立ったまま」
 カンダタが驚きの声を上げる、無理も無い…
町民達は一人残らず眠っていた。
 カンダタが寝ている町民に手を触れようとするが。
マオ「……二人とも…触れるな!
   それと布を口元に当てておけ!」
カンダタ「急にどうしたんでぇ!?」
マオ「最悪、伝染病の危険性もある…
   原因が判らない以上、むやみやたらに
   触れない方が良い」
カンダタ「でっ…伝染病!?」
 命が惜しくは無いとは言っていたカンダタも
流石に病気には掛かりたくは無いらしい。
 驚くついでに町民から慌てて遠ざかる。
若い女「でも、このままにしておくなんて…」
マオ「様子を見る限り…
   随分と長い間放置されているみたいだが」
 しかし、不思議と衰弱している感じも無く
衣服も雨風に晒されて汚れている感じも無い。
 何より、まるで時が止まったかのように立って
寝ているのだ。
マオ「普通…寝る時は横になるはずだ…
   立ったまま寝てても、力が抜けるから
   地面に倒れるはずなんだが」
カンダタ「普通の眠りじゃねーって事か
   それで、どうするんだ?」
マオ「どうもこうも無いだろう、頼まれた事は
   この娘をノアニールに送る事だけだ、
   宿で一休みさせてもらったら、カザーブに帰るさ」
若い女「そんな!酷い!
    ノアニールの皆がこんな目にあっているのよ!
    お姉ちゃん」
 ─────って…言われてもなぁ。
マオ「再三言っているけど、私は姉ではない
   それに…どこで、何をして、どうすれば
   こいつらの目が覚めるんだ?」
若い女「そ…それは…………。」

79 :
カンダタ「ドライだなー…おめぇ
   オルテガのおっさんとえらい違いだ」
マオ「なら、お前がなんとかしてやるんだな」
 吐き捨てて宿へ向かう、この分だと宿屋も
機能しているとは思えないが、勝手に宿代を置いておけば
問題は無いだろう…。
  馬鹿らしい、私は元魔王だ…
 なんだって無償で人助けなんてしてやらなければいけないんだ。
 本当に馬鹿馬鹿しい。
 外は夕暮れ、やがて外は暗くなり、月明かりの元で村人達を
家に運び込む娘とカンダタの二人が見える。
マオ「…触れるなと言ったのに
   ……………………ん?」
 見るとノアニール村の外れの一件の家の一部屋にだけ
明かりが灯っているようだ…。
 村人達を家に運び入れるカンダタ達からは気が付かない角度の
ようだが…。
マオ「まぁ…私には関係ないか…」
 窓を閉めて、ベッドに潜り込み寝ようとするが…。
マオ「……………寝られない…。」
 外で村人達を、運び入れるカンダタ達…
そして、恐らく事情を知っているであろう村はずれの明かり、
自分には微塵も関係ない…翌日になれば、カザーブに
帰る積りだ…。
 しかしだ…、誘いの祠で倒れていた自分を助けてくれて
さらに見返りを要求せず、半年も面倒を見てくれたお節介な
男が居た、あの男なら見返りを要求せずにも手を貸していただろう
外に居るカンダタのように…。
 良いのか?魔王、お前は人如きに借りを作ったままで。
心の中でそんな声が響く…。
マオ「……………くそっ!…わかったよ!」
 マオは誘惑の剣を手に取り、腰のホルダーに固定して
部屋を飛び出す。

80 :
 ◆◇◆◇ ノアニール:外れの家 ◆◇◆◇
 ノアニール郊外の家を訪れてみると一人の
中年の男が住んでいた。
 夜に突然現れたにも関わらず、飲み物まで用意してくれた。
北国であるノアニール地方は夜になると夏でもかなり冷え込む
らしく、暖房も効いていない宿では一晩を過ごすのは厳しい
とのことらしい…。
男 「全ては…この村の男とエルフの娘…
  アンのせいなんですじゃ」
 なんでも…、偶然森に迷い込んだ男が偶然森で出会った
エルフの娘と恋に落ち、駆け落ちしたらしい…、
 その上エルフ達の至宝である確『夢見るルビー』を盗み出したらしく、
怒ったエルフの女王(そのエルフの母親)はこの村を
眠りの呪いで閉ざしたらしい…。
マオ「………なんとも、はた迷惑は話だ。」
 第一…その娘と男が気に入らないなら
なんで、その娘と男だけでは無く村人達に呪いを掛ける?
 ついでに、娘と男も何故にその村の至宝であるルビーを
わざわざ盗み出したんだ?
 尤も、魔物の住処にわざわざ入り込んで剣を振るい、
宝物を盗み、魔物を惨殺して毛皮や武器を剥ぎ取っていく
連中を勇者と崇める者達が人間であるから、そんなもの
かもしれないが。
マオ「けど、それなら話は簡単だ
   村で眠っている娘と男を台車にでも載せて、ルビー共々
   エルフの女王とやらに引き渡せば問題は解決だ。」
男 「その二人は…もう居ないのですじゃ」
 なんでも、駆け落ちした挙句に
半島の先端にある洞窟の地底湖で身投げをしたらしい…。
 本当に…自分勝手な連中だ。
マオはひそかに頭を抱えた。

 ◆◇◆◇ ノアニール:街の出入り口 ◆◇◆◇
カンダタ「一体おめぇ…どこに行くつもりだよ」
 村から出ようとしていたら、カンダタに背後から
声を掛けられる。
マオ「少し出かけて来る…明朝までには戻る
   戻らなかったら先にカザーブ村まで行っていろ」
カンダタ「この村の連中……どうにかするつもりなんだろ?」
マオ「…ちっ…」

81 :
 うるさい奴に捕まったもんだが、わざわざ嘘を教える
理由が有る訳でも無い、村の人間に聞いた話を
完結にカンダタに話す。
カンダタ「……うっ…うっ……いまどき恋に落ちた二人が
     種族を越えた愛を育む為に駆け落ちたぁ…
     泣かせる話じゃねぇか…」
 …………………そして、マジ泣きしていた。
マオ「死ぬぐらいの度胸があるなら、死ぬ気で母親を
   説得しろって話だな」
カンダタ「……うおぉおうぃ……うおぉおうぃ
     誰にも認められず…駆け落ちの果てに
     …地底湖に身を投げちまうなんてぇぇぇぇ」
 カンダタはハンカチを涙で濡らして号泣しているが、
マオの声は冷ややかだった。
マオ「地底湖の死体を引き上げるのって…かなり嫌だな
   水で死体が膨れてブヨブヨになっていそうだ
   『夢見るルビー』とやらを置いて自殺してくれていれば
   良いんだが」
カンダタ「……うおぉおうぃ……うおぉおうぃ
     エルフの女王様も、きっと…人間を誤解しちまって
     呪いを……ブビィイイイイィイイィイ………」
 カンダタが号泣しながら鼻をかむが…。
マオ「まるっきり逆恨みだな…
   よくもまぁそんなもんで女王の職務が務まる物だ」
カンダタ「……おめぇ…なんとも思わねェのか?
   どこまでもクールな奴だな、脳みその代りに
   氷でも入っているんじゃないか?」
マオ「思わない…同情する余地はまるで無いな
   その二人とエルフの女王とやらのせいで、この村は
   面倒な事になっているんだ」
 泣くだけ泣いて、カンダタは落ち着いたらしく。
カンダタ「……それで、話は戻って
   おめぇさんは、その女王を説得するってェ事か?」
マオ「話してはみるつもりだな」
カンダタ「なんのかんの言いながら
   おめぇはあのオルテガの弟子だよ」
マオ「あんな善人でも無いけどな」

82 :
 ◆◇◆◇ ノアニール半島:エルフの村 ◆◇◆◇
マオ「動くな!武器を捨てて!
   両手を頭の上に上げろ」
エルフの娘「ひぃっ!!」
 ノアニール半島の先端近くにある森の中、
エルフ達の村はその森の中にあった。
 村に入るなり、適当なエルフの一人に狙いを付けて
剣を抜きざまに首筋に当てる。
マオ「妙な動きはするなよ…
   抵抗する素振りを見せたり、大声を上げたら
   容赦なくR」
エルフの娘「たっ!助けてっ!」
カンダタ「ちょ!おめぇ!」
 首筋に誘惑の剣を当てたままエルフの娘の体をまさぐり
衣服の下からナイフを取り出す。
マオ「女王の居場所はどこだ?」
エルフの娘「泉の……奥の…建物……。」
マオ「よーし…案内しろ…
   …ただし…ゆっくりとだ…」
カンダタ「交渉じゃなかったのかよ!?」
マオ「これが私の交渉術だが…?」
カンダタ「これは脅迫って言うんだ!」
 カンダタが頭を抱えるが、何か間違った事をしただろうか?
第一、こう言った交渉はむしろ、カンダタのお家芸だとも
思うのだが。

83 :
なんか、回を増すごとに
話がどんどんチープになっていくな、
とりあえず、休日が終わるのでここまで

84 :
エルフの女王「その娘を離しなさい」
 ふと…威厳のある声が響き、
十数人のエルフ達と共に、一人小奇麗な衣服をまとった
エルフが現れる。
 どうやらこいつが女王らしい。
 エルフ達は弓を構えて、マオへと狙いを定める。
マオ「貴様がエルフの女王か」
エルフの女王「もう一度言います、その娘を離しなさい」
マオ「…離してやっても良いが
   ノアニールの村の呪いを解いてもらおう」
エルフの女王「なるほど…
      それでこの村まで来た訳ですか
      ……………断ると言ったら?」
マオ「この集落が今日限りで無くなるかもな
   そちらと同じく、私も手段を選ぶつもりは無い」
カンダタ「なんでこうなるんだよ…」
エルフの女王「魂の中に荒々しい力を
      感じます…本気…なんですね」
マオ「けどまぁ…とりあえずアンタの命は最後にしてやるよ
   死なれて呪いが解けなくなっても困るしな」
エルフの女王「我々は人間如きに屈するつもりはありません」
マオ「10秒待ってやる…そこで気が変わらなかったら
   …一人づつこの集落の人口が減っていと思え」
人間の老人「……待って下され!!」

85 :
 10カウントを始めようとした所で、老人に止められる
エルフの村の中にたった一人だけ、人間の老人が居たようだ。
人間の老人「貴方様がどんな方かは存じませんが
      この場は剣を退いてくだされ!」
カンダタ「……オメェは?」
人間の老人「私は…エルフの娘と共に駆け落ちした
      男の父ですじゃ…」
エルフの女王「まだ村に居たのですか…さっさと去りなさい」
人間の老人「この老いぼれの命ならいくらでも差し出します
      ですが、ウチの愚息のせいで人様の命だけは
      取らないでくださいませ」
 マオがエルフの喉元から剣を下げると同時に、
女王も弓を下ろすように合図する…。
マオ「行け」
 先ほど奪ったナイフを差し出すと、エルフの娘は
ナイフを受け取って、慌てて逃げ出す。
 ◆◇◆◇ エルフの村:村はずれ ◆◇◆◇
老人「お許し下され、旅の方」
マオ「許すも何も、許しを乞うのは
   ノアニール村の連中に対してだろう?」
人間の老人「その…通りですじゃ…
   なんとか、ノアニール村を元に戻すため
   こうして単身、エルフ達の村へ参ったのですが」
カンダタ「無茶しやがるぜ、じーさん…
   この辺りは結構狂暴なモンスターが出るぜ?」
老人「ですが…エルフの女王には聞き入れてもらえません
   女王は息子が女王の娘をたぶらかし、夢見るルビーを
   盗ませたものと思い込んでおるのです」

86 :

マオ「その夢見るルビーとは何物なんだ?」
カンダタ「俺は話には聞いた事があるぜ、赤子の頭ぐらいはある
   どでけぇルビーの塊なんだとよ、ただそのルビーは
   エルフどもの呪いがあって、覗き込んだが最後
   体が石みてぇに動かなくなるんだとさ」
マオ「そんなルビーを何故?」
カンダタ「なにはともあれ、価値はあるからな
   売り飛ばして新居でもおっ建てるつもりだったんじゃね?
   夢見るルビーとやらを取り戻せば、ひとまずは
   話を聞いてくれそうな気もするけどな」
マオ「手っ取り早く脅迫した方が早いんだろうけどな」
エルフの女王「貴女が何をしようと…
     我々は人間の脅しに屈するつもりはありません」
 話を聞いていたのか、エルフの女王は供を連れて
湖の畔にやって来る。
マオ「…………………盗み聞きか?」
エルフの女王「いつまでも我々の村から立ち去れない
     貴方達に注意しに来ただけです」
マオ「アンタの娘…アンって言ったか?男と逃げた上で
   地底湖に身投げをしたって話は聞いたか?」
エルフの女王「何を言い出すかと思えば、
     そのような下らない作り話、
     アンはそのような心の弱い子ではありません」
カンダタ「じゃー…証拠を見せれば納得するんだな?
   オメェの娘と男が地底湖でテメェの意志で無理心中したって
   証拠を見つければよ」
カンダタ「そうすりゃぁ…全部テメェの思い込み、
   人間に非は無ぇ以上、ノアニールを戻して
   ちゃんと詫びをいれるんだろうな」
エルフの女王「…………良いでしょう…」

87 :

 ◆◇◆◇ ノアニール西の洞窟 ◆◇◆◇
マオ「せいっ!」
ヴァンパイア「クケェーっ!」
 背中から羽根を生やした男のような魔物、ヴァンパイア達を
切り捨てつつ、マオとカンダタの二人は地底湖へと
歩みを進める。
カンダタ「こいつを見てみろ…
   古い松明だ」
 カンダタが指で示す先には随分古い松明の燃え残りが
地面に捨てられていた。
 どうやら…人が入って来たのは間違い無いようだ。
マオ「…………心中した二人のものか判らないが…先に進んだのか
   にしても、この洞窟は天井や横幅が広いのは有り難いが
   奥行は随分あるな」
カンダタ「狭かったら武器も振るえねぇからな
   おっと…こっちのルートは外れだ、さっきの
   十字路まで戻るぜ?」
 カンダタは書いていた地図に×印を記入すると、
歩いて来た道を引き返す。


88 :
マオ「聞きたかったんだが…なぜ
   お前はこの件に首を突っ込んだ?」
カンダタ「オメェに付いて行けって
   言ったのは、オルテガのおっさんだろうが」
マオ「そうではなくて…ノアニールの一件は
   お前にとってはどうでも良いだろう?」
カンダタ「確かにそーなんだけどよ、
   でも、それを言ったらオメェだってそうじゃねぇか」
 ──────全くだ…。
マオ「わ…私は…そのォ…
   寝付けなかったから、ただの散歩な…だけだ」
カンダタ「じゃー…俺も
   それでいいだろうよ…って…おろ?」
 洞窟を進むと、地底湖の近くに青い栗のような形をした
モンスターが4匹程集まっていた。
マオ「なんだって…こんな奥に
   スライムが?」
カンダタ「さぁなぁ…
   ほーら、どけどけ…踏み潰しちまうぞぉ?」


89 :
 カンダタが足でスライムを小突くと、スライムは
カンダタの足にかみつく。
カンダタ「いでぇっ!せっかく見逃してやろうと思ったのに
   テメェ!何してくれやがる!」
 斧を振るうがスライム達の動きは予想外に機敏であり、
4匹も居るのに、1匹も仕留める事が出来ない…。
マオ「一体…何を遊んでいるんだ?」
カンダタ「…いい加減にしやがれっ!」
 カンダタがようやくスライムの一匹を仕留めるが。
スライム「ピキー!!」
 残ったスライム達が吠えると、スライムの声が洞窟に
こだましてゆき…。
マオ「うわっ!?」
カンダタ「…仲間を呼びやがったのか!?」
 ありとあらゆる所から、スライムの声に応じた
スライムの仲間達が現れる…。


90 :
 この世界では見なかったが、マオには呼び出される前の
世界で、このタイプのスライムを見た事があった。
マオ「まさか…合体スライム!?」
カンダタ「合体スライムって何なんだ?」
 カンダタの声に応じるかのように、
スライム達が一つの箇所に集まり、積み重なっていく。
マオ「逃げろ!」
カンダタ「アイツら…何をしようってんだ?」
マオ「いいから!」
 スライム達に背を向けて、マオは走り出し、
カンダタがそれに続いて走り出す。
 やがて辺り一帯のスライムが全て集まり。
 ボン!
 冠を被った一匹の大きなスライムに変身する。
カンダタ「なんじゃありゃぁ!
     あいつら…合体しやがったぞ!?
     スライムってあんな事が出来んのかよ!」

91 :

マオ「キングスライムだ」
 巨体なスライムはバウンドしながら接近し、逃げる
カンダタを跳ね飛ばす…。
カンダタ「ぐはぁぁぁっ!」
 キングスライムの攻撃に跳ね飛ばされたカンダタに
さらに追撃を掛けようとする、キングスライム。
マオ「カンダタ!!」
 マオが剣を抜き、カンダタとキングスライムの間に
割り込む。
 幸いに洞窟の中は狭く、キングスライムは思った以上に
俊敏に動けないようでもある。
マオ「ハッ!!」
 マオはキングスライムの体当たりを躱して、巨体を深く斬り付けるが…、
キングスライムの体が白い光に包まれたかと思うと、切り口が
一瞬で塞がる。
マオ「…べホイミか」
 スライムの厄介な所は急所が無い所だ、力任せに粉砕出来れば良いが
その力は無い…。
カンダタ「おぅら!ベギラマァ!!!」
マオ「よせ、無駄だ!」
 カンダタの放った閃光呪文が空を切り裂き
キングスライムを両断するかと思われた…。
 しかし、キングスライムの手前で紫色の呪文に
包まれて霧散する。

92 :

カンダタ「呪文が利かねぇ!!」
マオ「走れ!逃げるしかない!
   細い通路に逃げ込めば撒けるかもしれない」
 カンダタを連れてマオは全力で走り抜ける、
背後からは冠を被った巨体スライムが凄い速度で
転がってくる。
カンダタ「避けろ!マオ!」
 カンダタが叫ぶと同時に、横に飛び
巨体スライムの体当たりを躱す…。
キングスライム「ピギー!!」
 巨体が洞窟の壁に激突し、天井から
ぱらぱらと破片が落ちる…。
 飛び退いた際に手放してしまったのか、
誘惑の剣が乾いた音を立てて転がる。
 戦いの音に誘われたのか…さらにモンスターが
通路の奥から出現する。
カンダタ「スライムの次は鉄の化け物が
    でやがった…!」
 青く輝くブルーメタルのボディ、勇者が着込んでいた
ロトの鎧やロトの盾と同じ材質、感情の無い一つ目に
右手に大振りの刀、左手にマウントされたボウガン。
 4足の足…殺人機械の名を冠するモンスター。
マオ「お次は、キラーマシンだと!?
   どうなっているんだ!」

93 :

カンダタ「無茶苦茶強そうだぞ、オイ」
マオ「前門のメカ、後門のキングスライムか」
カンダタ「ああ…俺様もここまでなのね…
    さようなら…俺の愛しい子分達よ…」
マオ「アホ言っていないで、戦えっての」
カンダタ「無茶言うなよ…
    こんな状況で…どーしろっていうのよ」
 キングスライム一匹相手にここまで苦戦している
と言うのに、キラーマシンまで出て来られると
流石に…旗色が悪すぎる。
 しかも…マオに至っては今は武器も持って居ない
丸腰状態なのだ。
マオ「カンダタ!なんでも良い!
   奴らを引き付けろ!」
カンダタ「分かった!おうおうテメェら…
   俺様を見やがれ!」
 カンダタが大声でモンスター達の気を引き、
マオがその間にキングスライムの横をすり抜けて、誘惑の剣に
向かって飛びつく。


94 :

カンダタ「1番、カンダタ…
   とりあえず脱ぎます!」
 カンダタは自らのパンツに手をかける…。
 ───オマエ、パンツ一丁だろうが────。
 と言う、突っ込みをいれようとしたのか、しなかったのか
キラーマシンと、キングスライムはひとまずカンダタに
注目してはいる。
マオ「ハッ!!」
 マオは手にした誘惑の剣を高く掲げると、赤い光がキングスライムを
包み込む。
キングスライム「ピギー!?」
 赤い光…誘惑の剣には呪文…メダパニの効果がある…を
まともに受けたキングスライムは混乱し、キラーマシンに対して
襲いかかる。
カンダタ「おおっとぅ…!?」
 キングスライムとキラーマシンが争いはじめ、
マオやカンダタ達を相手にする余裕が無くなったよう見える。

95 :
 キラーマシンの注意が逸れた隙に、マオはキラーマシンの背後に回り込み、
首の後ろのレバーを回す。
 重い音と共に、背後の装甲板が上下に開き人間が一人ぐらい入れるぐらいの
スペースがそこに現れる。
カンダタ「まさか…乗れるのか!?」
マオ「しばらく、スライムを引き付けていてくれ」
カンダタ「わかった!」
 カンダタにキングスライムを任せてキラーマシンの内部に滑り込み、
キラーマシンを自動操縦から手動操縦に切り替える。
 普通は魔王となるものの魔力で動き戦うはずだが、このキラーマシンには
なぜか主人となる魔王は居ないようだ。
 実際、動力源となる魔王の魔力が無ければ、やがて機内の魔力を使い果たし
勝手に止まるはずである、実際このキラーマシンは魔力が殆ど空だったりも
したのだが。
マオ「随分旧型のキラーマシンだが
   主は…誰なんだろうか?」
 疑問に思う所だが、今はそれどころではない…
人間にされてしまい、魔力も随分弱まったがキラーマシン一体動かすぐらいなら
なんとでもなるだろう。
 操縦桿を握り、魔力を流し込んでキラーマシンを再起動する。

96 :

カンダタ「動きやがった!?」
マオ『よし!なんとかなりそうだ
   下がっていろ!』
 カンダタに下がるように指示し、キングスライムの前に出る。
キングスライム「ピギーっ!」
 キラーマシンを完全に敵とみなしたのか、キングスライムが突撃してくる、
マオはキラーマシンに攻撃を指示し…。
 キングスライムはたったの一撃で真っ二つに両断された。
カンダタ「おめぇ、どこでこんなのの動かし方を…」
マオ『背中に乗れ、このまま突破するぞ…』


97 :
 ◆◇◆◇ ノアニール西の洞窟:奥 ◆◇◆◇
 キラーマシンを入手できたのは幸運だった、
動かす度にMPを消費するものの、キラーマシンの強さは
かなりのもので、敵と言う敵を片っ端から両断して行った。
 さらに、防水も効いているようであり、
水嵩が増した地下水の中も平気で歩いて行けるのだ。
 ややあって、広い部屋に辿り着く…広い湖のある部屋…地底湖だ。
カンダタ「…随分奥まで来たな」
マオ『……ここらが、最奥部か?…』
カンダタ「いくらなんでも、これ以上は素人には
     入り込めないだろうよ、おっと…そこに
     上がれそうだぜ」
 カンダタの指す方向にキラーマシンを上陸させ、
マシンの照明で辺りを照らしたままマシンの外に出る。
マオ「綺麗な所だな…」
カンダタ「マオ!こいつを見てみろ
    遺書だ!」
 カンダタの言う辺りを見てみると、遺書と書かれた
手紙が置いてある、その手紙の重しに使われているのは
赤い巨大な宝石。
カンダタ「すんげー、でっけールビーだ」
マオ「これが、夢見るルビーか」


98 :
執筆速度が鈍ってまいりました
まぁいいや、誰も見ておらんだろう

99 :
見とるわ、たわけ(^_-)
手ぇ抜くんじゃねーぞ?

100 :
OKボス
でもまた、風邪ひいたから、今日は無理ぽ


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