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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part35
- 1 :2014/03/03 〜 最終レス :2015/03/05
- 1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」
現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。
基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!
前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part33
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1360577722/
非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
- 2 :
- Part34が「datが存在しません。削除されたかURL間違ってますよ。」
と表示され消滅してしまっているようなので
Part35を立てました
- 3 :
- 投下します。
- 4 :
- と思いましたが何か落ちてはいなかったようなので
元通りPart34をwikiとリンクさせました
何だったんだ?
お騒がせしてすみません
- 5 :
- 調べたら重ねで35立ててたようなので引き続きここを使って投下するようにしましょうか。
wikiやチャットに書いておきます。
- 6 :
- 了解です、落ちてると思っていたらまだ残っていたのか……
- 7 :
- 投下しまっす ちょっとえちぃです
- 8 :
- 36話 確信がもてるもの
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「アア……ウッ……ウゥ」
とある民家の一室、男女の洗い息遣いが響く。
ベッドの上で、裸になった二人の獣人の少女と少年が身体を交えていた。
ぐったりとした猫の少女、君塚沙也の顔に、狼の少年、ノーチラスは己の白く濁った液を大量に振り掛ける。
「んん……スゴイ量……スゴイニオイ……もう四回目なのに、良く出るねノーチラス君……絶倫だね」
「自分でもちょっと驚いてるよ……」
「私の身体……気持ち良かったでしょ?」
「ああ、凄く良かった……」
「ふふ、嬉しい」
満足そうに感想を述べるノーチラスを見て沙也もまた喜ぶ。
彼女にとって自分の身体で男が悦ぶ事は、自分の存在価値を再認識する事が出来るとても幸福な時だった。
「シャワー浴びてくる」
「ああ」
沙也は汗と体液に塗れた身体を洗いに風呂場へ向かう。
あの部分からノーチラスの精がとろりと、太腿を伝って流れ落ちる様がとても淫靡であった。
「はぁ〜」
沙也が部屋から出た後快楽の余韻に深く息を吐くノーチラス。
以前の殺し合いで寸での所で捨てられずに終わった童貞を捨てる事が出来た。
この殺し合いで出会った、テトに似た容姿の猫族の少女、君塚沙也。
淫らな彼女にリードされ、存分に彼女の身体を味わった。
豊満な胸を揉みしだき、舌を絡ませてキスをし、身体を舐め回し、激しく腰を振り、濃厚な種をたっぷりと注ぎ、振り掛けた。
自分でも信じられないぐらいに乱れた。とても気持ちの良い時を送れたとノーチラスは思う。
(こんな事ばかりしてられないってのは分かってるんだけど……また、ヤりてぇな……)
未だ興奮冷めやらないノーチラスであった。
そしてしばらくして、沙也が帰ってくる。
勿論全裸。ノーチラスは一応汗を拭いて服を着ていた。
「お待たせ」
「お帰り……は、早く服を着てくれ」
「またヤりたくなっちゃう?」
「そうだよ……早く」
「ふふふ、可愛いなぁ」
ニヤけながら沙也は自分の服を着始める。
わざとらしくあの部分や胸、尻を強調しつつ。
ノーチラスは必死に沙也の生着替えから目を逸らし興奮しないように自制した。
「着終わったよ」
「よし」
「ノーチラス君の結構大きかったねぇ……ズル剥けだったし……ヤりたい時はいつでも言ってね」
「……そ、そうだ、沙也、これからどうするかだけど」
沙也の誘惑を振り払う為に真面目な話を振るノーチラス。
- 9 :
- 「流石にずっとここに籠ってアレしてる訳にも行かないだろ?」
「そりゃあね……私も分かってるけど」
「俺は、そうだな……取り敢えずは、殺し合いに乗っていない奴を集めようと思ってる。
そうすればこの首輪を外す方法も見付かるかもしれない。
首輪さえ外せれば、主催者達に反抗するなり逃げるなりも出来るようになる筈だからな」
殺し合いに抗う為の自分の考えをノーチラスは沙也に話した。
「ノーチラス君も結構考えてるのね、ただの変態じゃなかったんだ」
「失礼だな! ……そう思われても仕方無いとは俺も思うけど」
「でも、その考えには賛同するよ。協力する」
ノーチラスの考えに賛同の意を示す沙也。
自分の身体を存分に味わってくれたノーチラスに対し、沙也は好意を抱いていた(但し恋愛感情では無い)。
勿論性的な目的で彼と一緒に居たいと言うのも会ったが、何にせよ彼の力になろうと思っていたのであった。
「ありがとう」
「それじゃ景気付けにもう一発どう?」
「それはやめておく」
「ケチ!」
何かと行為に持っていこうとする沙也に自分の身体が保つのがどうか心配しながらも、
協力者が得られた事をノーチラスは心の中で喜んでいた。
【黎明/F-5住宅地佐々木家】
【君塚沙也@オリキャラ/自由奔放俺オリロワリピーター】
[状態]疲労(中)
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、又兵衛の刀@アニメ/クレヨンしんちゃん
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。生き残りたい。
1:ノーチラス君と行動。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
【ノーチラス@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]疲労(中)
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。
1:沙也と行動。
2:殺し合いに乗っていない参加者、クラスメイトの捜索。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※超能力の制限に関しては今の所不明です。
◆◆◆
- 10 :
- ノーチラスと沙也が乳繰り合っている民家からそう遠くない路上。
「ちと、疲れたな……」
古びた西洋刀を持った学生服姿の少年、油谷眞人が呟く。
古城を後にして東の住宅地へとやって来てしばらく彷徨いていたが、今の所誰も居らず足に疲労が溜まる一方であった。
「適当な家で休むか……」
眞人は適当な民家で休憩を取る事にし、近くに有った「島田」と言う表札の掛かった家へと入って行った。
【黎明/F-5住宅地島田家前】
【油谷眞人@オリキャラ/俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター】
[状態]健康
[装備]古びたショートソード(調達品)
[所持品]基本支給品一式、メリケンサック@現実
[思考・行動]基本:生き残る為に殺し合いに乗る。
1:民家でしばらく休む。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※君塚沙也とノーチラスの居る佐々木家からはそれ程離れていません。
※土井津仁の容姿のみ記憶しました。
- 11 :
- 投下終了です
- 12 :
- 投下&スレ立て乙です
ヤリあってる声が漏れてピンチになりそう(小並感)
- 13 :
- 投下します
- 14 :
- 37話 それぞれの思い出映し出す
「おい、テトのねーちゃん」
「ん……ん」
少年の声と揺り起こされる感覚で、猫獣人の少女テトは目を覚ます。
熟睡していたようで、口からは涎が垂れ落ち、座卓をべっとりと汚してしまっていた。
「ああ、小鉄君……」
「良く寝てたみてぇだな……すげぇ涎垂れてるぞ、拭けよ」
「え? あらら……」
小鉄に指摘されてテトは備え付けの布巾で己の口元と座卓の上を拭く。
「一通りこの旅館の中を見て回ってみたけど、どうやら俺達以外は誰も居ねぇみてぇだ」
「そう……あ、そうだ、小鉄君」
「ん?」
「さっき獣人の事、知らないって言ってたけど……」
テトは気になっていた事を小鉄に尋ねる。
小鉄は獣人の存在を知らないと言っていたが、テトの生きる世界においては獣人は人間にとって最早身近な存在になっており、
少なくとも小鉄のような小学生の年齢で「獣人を知らない」と言うのは考え難かった。
しかし、しばらく小鉄から話を聞いていく内、段々とその理由が分かってくる。
小鉄から聞かされた西暦、歴史、文化――――同じ所も有るが違う所の方が多い。多過ぎる。
それらの事から導き出される答えは。
「……これは……でも、そう考えるしか」
「どうしたんだ?」
「……私と小鉄君……住んでいる『世界』が違うのかも」
「?? どう言う事だ?」
テトが言い出した事が理解出来ず聞き返す小鉄。
「つまり、私の居る世界と小鉄君の居る世界は全く違う異世界だって事……パラレルワールドって言えば良いのかな」
「……」
やはり理解出来ない小鉄。
彼の思考能力ではテトの言いたい事を推し量るのは困難のようだった。
テト自身も荒唐無稽な事を言っているかもしれないと思ったが、小鉄が虚言を吐いているようにも思えず、
それ以外に説明する手立てが見付からなかった。
- 15 :
- 「悪い、俺には難し過ぎて良く分かんねーや」
「無理も無いわ……自分でも訳分からないと思うし……でも、
それ以外に上手く説明出来ないもの」
「まあ、でも、今はそんな事どうでも良いんじゃね?
世界がどうのこうのってよりもさ、この殺し合いで生き残る事を考えた方が良いと思うぜ」
「そうね……」
小鉄の言う通り、彼の世界と自分の世界の違いを追求した所で答えなど出ないであろうし意味も無いだろうから、
殺し合いの中で生き延びる為に思考した方が自分達の為になるだろうとテトは思う。
「俺はこれから友達ののり子達を捜しに行こうと思ってるけど、ねーちゃんはこれからどーすんだ?」
「私は……特に決まってないや。どうしようかなあ」
「ねーちゃんはこの殺し合いに友達は呼ばれてねぇのか?」
「……」
小鉄の問いにテトは少し間を置いてから答えた。
その表情は微かに険しくなっていた。
「クラスメイトは何人か居るけど、特別仲の良い人は居ないから、進んで捜そうとは思ってない」
太田やト子達、自分を辱めた連中や裏切った友は殺してやりたいとは思えど進んで捜し出そうとも思わなかった。
ラトに関しては未だに複雑な想いでどうするか決めかねていたが、結局は捜す気になれない。
その辺りの事情を詳しく説明するのは小学生である小鉄には重過ぎるとテトは思い、簡潔に言うに留めた。
小鉄も特に問い詰めるような事はしなかったが、テトの表情や声の様子から何か事情はあるであろう事は察した。
「そうなのか……けど、ねーちゃん一人だろ?」
「うん」
「じゃあ、俺と一緒に行かねぇか?」
「え?」
急な申し出に少し驚くテト。
小鉄からすれば、テトはこの殺し合いにおいて初めて出会った、
殺し合いに乗っていない(テト本人は一度もそう言っていないが彼女の言動から小鉄はそう判断した)参加者であり、
また、どことなく放っておけない気がしていた、それ故に共に行かないかと提案した。
「良いの?」
「ねーちゃんが良ければ俺は全然構わねぇんだけど……」
「……」
しばしテトは考える。
別段仲間が欲しい訳では無いが、断る理由も無い。
一瞬、仲間に誘う振りをして隙を突いて襲おうとしているのではとも邪推したが、
それならば自分が熟睡している所をわざわざ起こしたりはしないだろう。
- 16 :
- 「……分かった。小鉄君、一緒に行っても良いかな」
「よし決まりだな。宜しくなねーちゃん」
「うん、こちらこそ」
テトは小鉄の言葉を信じ、提案を呑む事にした。
(取り敢えずテトねーちゃんを連れて行くとして……のり子達はどこにいんだろうな)
心の中で小鉄は今どうしているか分からない友達や担任教師の事を思う。
西川のり子、鈴木フグオ、土井津仁、金子翼、春巻龍。
自分と同じくらいタフなのり子、仁はまだ大丈夫だとは思うが、フグオや金子先生、春巻はどうか。
今まで、命の危機に瀕した事は何度か有った、だが結局は生き延び、すぐに元通りの生活に戻った。
だが、今回ばかりは生きて帰れるかどうか分からない。
(畜生……今度ばかりは、今までと違う……早くのり子達を捜さねぇと)
こんな不安は、今まで生きてきて初めてではないか、と、小鉄は思った。
【黎明/E-6温泉旅館客室】
【テト@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:今の所は殺し合う気は無い。
1:小鉄君と行動する。
2:太田達及び貝町ト子は殺してやりたい。ラトは複雑。他のクラスメイトについては保留。
[備考]※本編終了後からの参戦です。
※超能力の制限については今の所不明です。
※参加者のラトが自分が蘇らせたラトでは無い事に直感的に気付いています。
※大沢木小鉄が自分とは別世界の人間だと判断しました。
【大沢木小鉄@漫画/浦安鉄筋家族】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、ローバーR9(6/6)@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター、ローバーR9の弾倉(3)
[思考・行動]基本:殺し合いには乗らない。のり子達を捜す。
1:テトのねーちゃんと行動。
2:俺達、生きて帰れるのか?
[備考]※少なくとも「元祖!」にて金子翼登場後、彼と親しくなった後からの参戦です。
※テトが別世界の人間だと言う事を、余り理解出来ていませんが、何となくは分かったようです。
- 17 :
- 投下終了です。
- 18 :
- 投下します。
- 19 :
- 38話 うさぎは寂しくても死にません
兎の獣人の少女、ソフィアはA-3エリア西南端に存在する古い木造の平屋民家に身を潜めていた。
錆が浮き出たトタン屋根、木枠の戸や窓等、かなり年季の入った家である。
「面白い物何も無いなぁ……」
暇潰しに面白そうな雑誌でも無いかと家の中を漁っていたソフィアだったが、
この家の住人はお年寄りだったようで、有るのは歴史小説やら医学の本やら訳の分からない宗教本ばかり。
ソフィアのような若者が満足するような本は置いていないようだった。
「何もねーよ……もういいや」
諦めて居間の畳の上に寝転がるソフィア。
壁に掛けられた、これまた古そうな木目調の日付と曜日が表示されるタイプの大きな壁時計を見ると、
殺し合いが始まってからおよそ四時間が経とうとしていた。
最初、神社にて野原みさえと交戦し、逃亡して以来ソフィアは誰とも遭遇していない。
彼女自身は特に仲間を集めている訳では無いし、
危険人物と遭遇しないでいるのだから、特に不都合は無いし幸運だろうとソフィアは思う。
完全に発狂していたみさえが今どこでどうしているのかは知らないが、もう二度と会いたくは無かった。
「あんまり進んで動いてもしょうがないわね……。
しばらくこの家に厄介になろうかな」
現在居る家にしばらく身を潜めていようと決め、ソフィアは寝転びながら大きく身体を伸ばした。
【黎明/A-3西南端部新今家】
【ソフィア@オリキャラ/自由奔放俺オリロワリピーター】
[状態]肉体疲労(中)
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、睡眠薬@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ
[思考・行動]基本:自分が生き残る事を優先する。無理な戦いはしない。
1:しばらく民家(新今家)に身を潜める。
2:武器になりそうな物を調達する。
3:野原みさえには二度と会いたくない。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※野原一家の容姿と名前を把握しています。
- 20 :
- 投下終了です。短いです。
- 21 :
- 投下します。ちょっと長くなったので前半後半に分けます。
前半「さよならありがとう、この次に逢う日には」
- 22 :
- 39話 さよならありがとう、この次に逢う日には
森の中を歩き続けている野原しんのすけと北沢樹里。
二人が出会ってから今まで、殺し合いに乗っている者、乗っていない者、
或いは家族、クラスメイト、いずれにも二人は遭遇していない。
「明るくなってきたわね」
樹里が空を見上げて言う。
空は白み、日の出が刻一刻と近付いている事を示す。
「おっ、樹里おねえさん」
「どうしたの? しんのすけ」
「あそこに建物が見えるゾ」
しんのすけが指差す先には確かに建造物が見えた。
木々に隠れたそれは民家のように見える。
「休憩出来そうね……行こう」
「ほっほーい」
長時間、足場の良いとは言えない森の中を歩いてきた二人は疲労していた。
故に民家が有るのなら是非そこで休みたいと思っていた。
しかし、建造物に近付いた二人が目にした物は。
「うおー、ボロボロだゾ」
「うわぁ……これは」
朽ち果てた木造の民家――廃屋であった。
ガラスは所々割れ、庇(ひさし)は腐って落ち掛け、屋根から草まで生えており、
かなり長い事放置されている事を窺わせる。
二人は中を覗いて見るが内部も酷い有様で、黴と埃の臭いが鼻を突き、
畳敷きの床は腐って波打っている上に本や衣類の残骸だらけ、天井から板がカーテンのように垂れ下がり、
箪笥や本棚がひっくり返ってると言う有様。
壁に色褪せボロボロになったカレンダーが掛かっていたが、何と1982年と書かれている。
とても落ち着いて休めそうな状態では無い事はすぐに分かった。
辺りを良く見れば、同じような廃屋が幾つも建ち並んでいた。
傾いた木製の電柱や、草に埋もれた錆だらけの廃車等も確認出来る。
「ここは……廃村ね」
「はいそん?」
「人が住まなくなった村の事よ。
そう言えば森の中に廃村が有るって地図に描いてあったっけ……。
何にしてもこの家はちょっと休めそうに無いね……他にも家が有るし、もうちょっと状態の良い家を探そう、しんのすけ」
「分かったゾ」
二人は休憩が可能な程度に状態の良い廃屋を探し始める。
- 23 :
- ◆◆◆
「ここは……」
倉沢ほのかは廃村へとやって来た。
白んできた空の下、廃屋群がぼんやりと薄暗い視界の中浮かび上がる。
「ここに居るかなぁ」
憎き北沢樹里を捜し出すべく、ほのかは廃村内へと足を進める。
長い間手入れのされていない道は草によって侵食され、消えかかっている有様で、
お世辞にも歩きやすいとは言い難かった。
それでもほのかは何かに取り憑かれたように歩みをやめる事は無い。
一刻も早く、北沢樹里から裕也を取り戻さなくては。
ほのかの頭にはそれしか無かった。
(どこに居るのかなぁ……北沢さん……)
雑草を踏みしめながら、ほのかは北沢樹里の姿を捜し続けていた。
そして。
「……!」
ほのかの足が止まる。
前方、少し離れた所に、二つの人影を発見した。
片方は恐らく小さな子供、もう片方は、まだ遠目で暗くて良く分からないが、自分と同じ制服を着ている風に見えた。
樹里の他にも女子生徒は何人か居る、だから樹里では無いのかもしれないが、接触する価値は有る。
「あれは……誰なのかな」
ほのかは見付けた二人に向かって歩いて行った。
◆◆◆
「どこもかしこもボロ過ぎるんだけど……とても休める状態じゃない」
「オラもう疲れた……」
まともに休めそうな家が見付からず、辟易する樹里としんのすけ。
かと言って外で休むのもかなり無理が有る。
どうしたものかと考える樹里。
「お?」
その時、しんのすけがある物を発見する。
それは、こちらに向かって歩いてくる人影だった。
- 24 :
- 「おねえさん、誰か来るゾ」
「え?」
しんのすけに言われ、樹里が確認する。
まだ距離が離れていて、薄暗い為顔までは良く分からないがどうやら自分と同じ制服の、女子生徒のようだった。
「おねえさんと同じ服着てるゾ」
「……」
その女子生徒が次第に、顔が分かる距離まで近付いてくる。
そして、樹里がその女子生徒の正体に気付くのと同時に、女子生徒から声が発せられた。
「ようやく見付けましたよ、北沢さん」
「……倉沢、さん」
それは因縁深き、倉沢ほのかだった。
「おお! また綺麗なおねえさん!」
しんのすけは樹里に続いて現れた「綺麗なお姉さん」に興奮して目を輝かせたが、
直後に、ほのかから発せられているただならぬ雰囲気を感じ取り我に返る。
ほのかは微笑みを浮かべていたが、樹里にはほのかから自分に向けられる殺意、憎悪がはっきりと読み取れた。
「貴方が生き返っているなんて……あんなに念入りに殺したのに」
「……」
「まあ、私も死んだんですけどね……いや、そんな事はどうだって良いです……。
……裕也君はどこですか? 北沢さん」
「は?」
困惑する樹里。一体何の事か分からなかった。
この殺し合いに、ほのかの捜す「海野裕也」は居ない筈。
そもそも、海野裕也は、ほのかが殺してしまったではないか。
誤殺だったとは言え、それは揺るがない事実だ。
「ちょ、ちょっと何を言っているの? ゆ、裕也はこの殺し合いには居ないじゃない。
それに、裕也は、倉沢さん、貴方が」
「ああ、やっぱり、やっぱり隠すんだ」
「いや、ちょっと」
「分かってましたけどね。分かってましたよ。うふふふふふふふふふふふふふふ」
樹里が反論を試みるもほのかは聞く耳を持たない。
その様子から彼女が正気では無い事は明らかだった。
「お、おねえさん!」
ただならぬ気配に居ても立っても居られなくなったしんのすけが意を決してほのかに話し掛ける。
- 25 :
- 「何ですか?」
「樹里おねえさんは何も隠して無いし嘘なんて吐いてないよ!
オラと樹里のおねえさんはずっと一緒だったけど、ここに来るまで誰とも会ってないゾ!」
「しんのすけ……」
力強い声で、しんのすけは樹里を庇った。
それに対し、ほのかは無表情だったが、やがてしんのすけに向かって口を開く。
「しんのすけ君、でしたね。私は倉沢ほのかと言います。
……貴方は確か、見せしめで殺されたあの赤ちゃんの」
「そうだゾ。ひまのお兄ちゃんだゾ」
「……しんのすけ君。貴方は知らないでしょうけど、貴方と一緒に居るその人はとても酷い人なんですよ」
「え?」
「北沢さんは、私から大切な人――裕也君を奪ったんですよ。
しんのすけ君、貴方の妹と同じぐらい、私にとって大事な人だった、裕也君を、
この女は、寝取って、私から! 奪ったの!!」
突如激高したほのかにビクッと身体を震わせ驚くしんのすけ。
樹里はとてもばつの悪そうな面持ちである。
ほのかの言っている事は事実――――愛餓夫に足を撃たれて陸上選手になる夢を失い、
自暴自棄になり、ほのかの恋人・裕也を誘惑し、行為に及んでしまった。
「裕也君と一緒に島から出る為に、一生懸命頑張ってたのに。
間さん、壱里塚君、久世さん、神崎君、長谷川さん、吉良さん、太田君。
みんなみんな殺して……もうちょっとだったんだよ?
ねえ、裕也君はどこ? 北沢さん、答えて、答えて、答えて、答えて、答えて!」
もはや丁寧口調すらかなぐり捨てたほのかはまくし立てながら装備している56式自動歩槍の銃口を、
樹里としんのすけの方に向ける。
このままではまずいと樹里はどうにか打開策を講じようとする。
だが、自分が蒔いた種とは言えほのかはもうまともに対話出来そうに無い。
その時、しんのすけは樹里もほのかも思いも寄らなかった行動に出た。
「ケツだけ星人!! ぶりぶりー! ぶりぶりー!」
「「は?」」
尻を丸出しにして言葉で説明するのが困難な奇妙な踊り(?)を始めたのだ。
完全に呆気に取られる樹里とほのか。
一瞬、彼の気が狂ってしまったのでは無いかと樹里は思ったが、
目の前のほのかがしんのすけの動きに気を取られて自分から目を逸らしている事に気付き、しんのすけの真意に気付く。
(そう言う事ね! しんのすけ!)
すぐさま樹里は行動を起こす。
- 26 :
- 「うらぁっ!!」
ほのかに向かって突進し、渾身の体当たりをお見舞いした。
不意を突かれたほのかは簡単に突き飛ばされその身体を強く地面に叩き付ける事となった。
その際に持っていた銃も手から離し落としてしまう。
「しんのすけ! 逃げるよ!」
「おお!」
樹里はしんのすけを小脇に抱え、全速力で森に向かって走り出す。
以前の殺し合いでほんの序盤でしか発揮出来なかった、自慢の脚力を思う存分に発揮する。
ほのかは身体の痛みを堪えながら立ち上がり、落とした56式自動歩槍を拾い上げ、
逃げて行く二人に向けて引き金を引いた。
その表情は鬼そのものだった。
ダダダダダダダダダッ!!
発砲炎により辺りが断続的に明るくなり、無数の銃弾が銃口から放たれるが、樹里は止まる事無く森の中へと消えて行った。
「逃げた……! ああ、もう!」
悔しさの余り地団駄を踏むほのか。
追い掛けようとも思ったが、樹里の足の速さは知っていた。
自分では到底追い付けないだろうと、追跡する事は諦める。
「まあ、良いです……逃がしませんよ北沢さん。
必ず、必ず再び捜し出して、次は逃げられないように両足を撃ち抜いてあげます。
絶対、絶対に、裕也君を取り戻してみせますから」
樹里達が走り去った方向を見据えてほのかは自分の決意を述べた。
彼女は、狂った心がそれに拍車を掛けていたのかもしれないが、どこまでも海野裕也一筋で、
彼の事になれば見境が無くなり、周りが見えなくなった。
それ故に、背後から忍び寄る、千切れた電気コードを持った人狼の青年には気付かなかった。
人狼の青年は素早くほのかの細い首に電気コードを巻き付け、思い切り絞め上げた。
突然の事にほのかはパニックに陥り、苦しみながら首に巻き付いたコードをどうにかしようとするが、
大人の男の力で絞め上げられるコードは少女の力では最早どうしようも無く。
涙を流し、泡を吹き、小水を漏らし、激しくのたうち回った末に、ビクビクと身体を痙攣させ、ほのかは死んだ。
しかし彼女にとってはこれで良かったのかもしれない。
愛する裕也の居る世界へと今度こそ旅立てたのだから。
【倉沢ほのか@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル 死亡】
【残り 38人】
◆◆◆
- 27 :
- 人狼の青年、コーディは森の中を歩き、廃村へ辿り着いた。
そして、黒髪の少女が、茶髪の少女と小さな子供の二人と相対している場面に出くわす。
コーディは隠れて三人の様子を窺った。
黒髪の少女は突撃銃を持っており、二人組の方も何の武装を持っているか分からない。
今持っているバール、ステーキナイフ、電気コードで三人一気に殲滅出来ない事は無いかもしれないが、
不確定要素も多く、無理せずにしばらく様子を見る事にしたのだ。
そして突然小さい子供が、尻を丸出しにして奇声を発しながら奇妙な踊り(?)を始めた。
何をしてるんだとコーディは首を傾げたが、程無く茶髪の少女が黒髪の少女を突き飛ばし、子供を脇に抱えて走り出した。
どうやら子供は黒髪の少女の気を引こうとしたらしい。
黒髪の少女は逃げていく二人に向けて発砲したが、仕留め損なったようで、悔しそうに地団駄を踏んでいた。
コーディは今がチャンスだと思った。
一人になった黒髪の少女に背後から忍び寄り、千切れた電気コードでその首を絞めた。
少女は激しく暴れたが、コーディの凶行を阻むには至らず、程無く絶命した。
「結構可愛いな」
今は泡を吹き、涙を流し、顔も鬱血し、失禁までしており無惨な様となってはいたが、
良く良く見れば黒髪の少女はかなりの美少女であった。
ならばR前に身体を愉しんでおけば良かったとコーディは少し残念に思った。
「悪いね、俺も生き残りたいからさ」
コーディは少女が持っていた突撃銃と、デイパックの中に入っていた予備のマガジンを回収した。
強力な武器が手に入り喜ぶコーディ。
「さて、長居は無用だな、ここから離れよう」
先程の銃声を聞き付け人が集まってくるかもしれない。
長い間歩いて疲労も溜まっているので戦闘は避けたかったコーディは、コンパスを取り出し、
東南の方角を目指し、再び森の中へと入って行った。
【早朝/D-1廃村】
【コーディ@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター】
[状態]健康
[装備]56式自動歩槍(12/30)@オリキャラ/俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター
[所持品]基本支給品一式、56式自動歩槍の弾倉(5)、バール(調達品)、ステーキナイフ@自由奔放俺オリロワリピーター、
千切れた電気コード@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター
[思考・行動]基本:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:東南に向かう。どこかで休みたい。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※北沢樹里と野原しんのすけの容姿を大まかに記憶しました。
※千切れた電気コード@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーターは倉沢ほのかの首に巻き付いたままになっています。
【後半へ続く】
- 28 :
- 投下終了です。後半は絶賛執筆中です
- 29 :
- 後半「さよならありがとう、もっといいこになってるから」投下します。
- 30 :
- 39話後編 さよならありがとう、もっといいこになってるから
北沢樹里は、倉沢ほのかに対し、海野裕也を奪った事を詫びたいと言う気持ちが確かに有った、が、
実際に彼女と相対し、その殺意と狂気に触れた結果、謝罪する事は出来なかった。
ただただ、生き残る為にほのかから逃げる事しか出来なかった。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
森の中、廃村から走ってきた樹里は息を切らしながらも立ち止まり、背後を振り返る。
ほのかは追ってきていない。どうやら振り切る事に成功したようだ。
「ハァ、ハァ……やったよ! しんのすけ! 逃げられたみたい」
脇に抱えたしんのすけに嬉しそうに話し掛ける樹里。
「うん、良かったゾ……」
それに返答するしんのすけ。しかしその声色は弱々しかった。
「……しんのすけ? どうかしたの……ッ!?」
明らかに様子のおかしいしんのすけを地面に立たせようとした所、しんのすけは崩れ落ちた。
上着の赤いシャツの胸元に穴が空き、周囲の色が異常に濃くなっている。
それが血液だと言う事に気付くのに、そう時間は掛からなかった。
「ゲホッ、ゴホッ!」
口から大量の血を吐くしんのすけ。
「しんのすけ!? しんのすけ!! ああ、何で!?」
狼狽する樹里。なぜしんのすけがこんな事になっているのか。
傷は背中まで貫通していた。いや、背中から胸に貫通したのだろうか。
先程、逃げる時にほのかによる発砲が有った。
樹里には当たらなかった。だが、脇に抱えていたしんのすけには当たった。
それ以外にこの傷の原因は考えられなかった。
「どうしよう……血を止めなきゃ……でも……!」
とにかく血を止めなければと思ったが、そのような手当が出来る道具等持ち合わせてはいない。
「お、おねえ、さん、オラ、う、撃たれたんだよ、ね?
な、何だか……変な、感じ、だゾ」
「喋っちゃ駄目!」
しんのすけが言葉を発する事を制止する樹里。
だが、しんのすけは無視して続けた。
「オラの……ケツだけ星人、おねえさんの役に、立って……良かった、ゾ。
おねえさん……怪我は、無い?」
「大丈夫だよ! 私はどこも怪我してないよ! アンタのお陰だよ、しんのすけ!」
「……オラ……死ぬんだね?」
「……っ」
- 31 :
- そんな事無い、と樹里は言いたかった。
だが、しんのすけの様子を見れば、医療に関して素人の樹里でももう長く無い事は明白であった。
「……オラ、ひ、ひまを殺した、あの、おにいさん達を、許せないゾ……。
だから、父ちゃんや、母ちゃんや、シロをさ、捜し、て、あの、おにいさん達、を……やっつけ、て、
一緒に、お家に帰って……ひまの分まで、生きようって、お、思ったん、だけ……ど、も、もう、駄目、みた、い」
「そんな……そんな……」
「おねえ、さん……お願いが、有るんだゾ」
「……何?」
溢れ出そうになる涙を堪えて樹里は、遺言になるであろうしんのすけの言葉に耳を傾けた。
「オラの、家族に、会ったら……一緒に帰れなくて、ゴメンって……。
でも、ずっと、悲しまない、で……頑張って、生きて帰ってって……。
今まで、一杯、一杯、イタズラしたりして、ゴメンって……次は、きっと、いいこにうまれるからって」
しんのすけの目から大粒の涙が溢れる。
死ぬ事への恐怖、無念、寂しさも勿論有ったが、それよりも、
大好きな家族を悲しませる結果となった事への罪の意識の方が強かった。
それが、大粒の涙となって現れたのだ。
「分かったよ」
樹里はもう、それだけ言うのが精一杯だった。
「……ありがとう……おねえ……さん……」
安心したのか、しんのすけは死の苦しみが襲う中、微笑みながらお礼を言った。
程無く、しんのすけは目を閉じ、やがて、息が絶えた。
「……しんのすけ」
樹里はしばらく呆然としていたが、やがて、声を殺して泣き始めた。
ませてはいたが、その明るく朗らかな、そして、妹の死を乗り越え家族と共に生き残ろうとした強い心に、
一度死を迎えて気分が沈んでいた樹里は救われていた部分が有った。
時間にしてみれば、五時間程にも満たない、短い時間ではあったが、確かに彼は「仲間」だった。
以前の殺し合いでは一度も手に入れられなかったもの。
失っていた大切な何かを、しんのすけは思い出させてくれたのだ。
静かな森の中に、くぐもった少女の嗚咽が響いていた。
……
……
- 32 :
- 父ちゃん、母ちゃん、シロ、ごめんなさい。
オラは、ひまの居る天国へ行きます。
みんなを捜して、一緒に帰ろうと思っていたけど、もう、それも出来なくなっちゃった。
オラの最期の言葉、樹里のおねえさんにみんなに伝えて貰うように頼んだゾ。
樹里おねえさんなら、きっと約束を守ってくれる。
鉄砲を持った怖いおねえさんから逃げる時、オラを脇に抱えてくれた、優しいおねえさんなんだゾ。
みんな、オラは死んじゃうけど、いつまでも泣いてちゃ駄目だゾ。
泣いてたって、オラも、ひまも帰って来ないんだから。
だから、頑張って、お家に帰る方法を探してね。
みんな、色々イタズラして困らせたりしてごめんね。
それで、こんな事言うのも、何だけど。
オラは、楽しかったゾ。
父ちゃんと母ちゃんの子供に生まれて、シロに出会えて、ひまのお兄ちゃんになれて。
本当に、本当に楽しかったゾ。
また、生まれ変わっても、オラは、
父ちゃんと、母ちゃんと、シロと、ひまわりと、一緒に、なりたい。
また、みんなで、いっぱい、いっぱい、たのしく、すごして――――。
【野原しんのすけ@アニメ/クレヨンしんちゃん 死亡】
【残り 37人】
【北沢樹里@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]疲労(中)、深い悲しみ
[装備]出刃包丁@現実
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:殺し合いには乗らない。
2:しんのすけ……。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※野原一家の詳しい特徴をしんのすけから聞きました。
- 33 :
- 投下終了です。
- 34 :
- 投下します。
- 35 :
- 40話 回答しない問題みたい
D-4エリア市街地。
明るくなってきた街中を、遠野、稲葉憲悦の二人は歩いていた。
「先輩達見付からないなぁ……今どこで何してるんだろう」
ひで以外のクラスメイト、特に野獣先輩こと田所やKMR、MUR達と未だ再会出来ない事を遠野はぼやく。
その今の所唯一再会したクラスメイトであるひでは殺し合いに乗っていて、憲悦共々殺されそうになった。
殺し合いが始まり大分時間が経つが、果たして野獣先輩達はまだ生きているのだろうか。
遠野の不安は募る一方であった。
「遠野、そろそろどこかで休もうぜ。ずっと歩いてきて疲れちまったよ」
そんな遠野をよそに、憲悦は休憩しようと言い出す。
知人の心配する遠野の心情は勿論憲悦も察してはいたが、所詮は他人事。
そこまで気遣える程彼は繊細では無かった。
「そうですね……後二時間程すれば放送も有りますし……どこかで休みましょう」
本心ではまだ捜索を続けたかった遠野だったが、同行者である憲悦の意見を無碍にも出来ない。
また、放送の時刻も近付いて来ている。放送を聞くのなら外より中の方が比較的落ち着いて聞けるだろう。
そう考え、遠野は憲悦の言う通り、適当な家で休息を取る事にした。
「ん?」
「どうしたんですか?」
「足音だな、近くに誰か居るぜ」
憲悦の言に遠野が耳を澄ませると確かに足音が聞こえた。
すぐ目の前に十字路が有り、足音は遠野達から見て左手側の道から聞こえる。
つまり真っ直ぐ行けば足音の主と鉢合わせになる。
問題は足音の主が殺し合いに乗っているかどうかだが。
「どうする? 遠野」
「……接触してみましょう」
遠野は足音の主とのコンタクトを試みる事にした。
もしかしたらクラスメイトかもしれないし、もし向こうが乗っていなかったとすれば逃げ出すといらぬ誤解を招きかねない。
「乗ってたらどうすんだよ」
「逃げましょう」
「……」
遠野の決断に不安を覚えつつも、憲悦は遠野に従う事にした。
思い切って、足音の聞こえる道路へ身を乗り出した。
乗り出すと同時に、遠野は持っていたモーゼルKar98kを構える。
- 36 :
- 「!」
足音の主――セーラー服姿の黄金色の毛皮を持った狐獣人の少女は、突然出てきた遠野と憲悦の二人に驚いた表情を見せる。
その表情を確認した遠野は銃口を地面に逸らし、少女に向かって話し掛けた。
「……驚かせてすみません、僕達は、殺し合いには乗っていません」
「ほ、本当?」
「本当です。警戒の為に銃を向けてしまいましたが……すみません」
「……私も乗ってない」
狐少女――フラウも遠野と同じように戦意を否定した。
「それは良かった」
「おいおい遠野、あっさり信じちまって大丈夫かよ」
「乗っているなら問答無用で襲い掛かってくるでしょう」
疑念の晴れない憲悦を説得する遠野。
無論これだけで安心材料になるかと言えば厳しいのは彼も分かってはいたが、かと言って、
確実に殺し合う気が無い証拠を見せろと言った所でそれはまず不可能であろう。
憲悦はまだ腑に落ちない様子だったが疑ってばかりいても仕方無いと思い、一先ずフラウを信じる事にしたが、やや高圧的な態度を取った。
「あの……」
「おい姉ちゃん、取り敢えず信じてやるけど変な真似すんなよ? 俺ら一度殺されそうになってるからな」
「稲葉さん……すみません、あの、僕は遠野って言います。こちらが同行して貰っている稲葉さん」
「おう」
「私はフラウ……」
取り敢えず殺し合いに乗っていない事は信じて貰えたようだ、とフラウは安堵する。
彼女にとって遠野と憲悦はこの殺し合いで二番目に遭遇した参加者であった。
一番目は警察署で出会った春巻龍である。
そう言えば今頃春巻はどうしているだろうと、フラウは少し思った。
「適当な家で休もうと思ってたんだが、お前も来るか? フラウ」
「良いの?」
「良いだろ? 遠野」
「フラウさんが良ければ……」
「それじゃ私も一緒に行くよ。色々、話したい事も有るし」
折角出会った殺し合いに乗っていない参加者、情報交換をした方が得策だろうとフラウは判断する。
先程憲悦が言っていた「殺されかけた」と言う話も気になった。
フラウ自身はまだ危険な目には遭っていないが、殺されかけたと言う証言はやはり殺し合いは進行しているのだと言う事をフラウに再認させる。
(そう言えば前の時も、ケトルの時まで、誰かと交戦したりはしなかったなぁ)
- 37 :
- 「それじゃそこの家に入りましょう。フラウさん……フラウさん?」
「え? あ、ごめんなさい……今行く」
遠野、憲悦、フラウの三人は「天川」と言う表札の掛かった民家へと入った。
【早朝/D-4市街地天川家】
【遠野@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]疲労(中)
[装備]モーゼルKar98k(5/5)@現実
[所持品]基本支給品一式、7.92mmモーゼル弾(10)
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。
1:先輩やクラスメイトを探す。
2:稲葉さんと行動する。フラウちゃんと情報交換する。
[備考]※動画本編、バスで眠らされた直後からの参戦です。
※野原一家の容姿と名前を把握しています。
※ひでを危険人物と認定しました。
※稲葉憲悦が「リピーター」である事を知りました。
【稲葉憲悦@オリキャラ/自由奔放俺オリロワリピーター】
[状態]疲労(中)
[装備]自動車用緊急脱出ハンマー@現実
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:積極的に殺し合う気は無い。寛子を探す。
1:遠野と行動する。民家で休む。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※野原一家の容姿と名前を把握しています。
※ひでを危険人物と認定しました。
【フラウ@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]筋肉のデザートイーグル(7/7)@アニメ/クレヨンしんちゃん
[所持品]基本支給品一式、デザートイーグルの弾倉(3)
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。
1:遠野君、稲葉さんと情報交換する。
2:ゲームに乗っていない、かつ能動的に反抗する意思の有る参加者を探す。
3:クラスメイトについては保留する。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
- 38 :
- 投下終了です。
- 39 :
- 投下します。
- 40 :
- 41話 BAD COMMUNICATION
柏木寛子と西川のり子の二人は、D-3エリア南端部に存在する、D-4エリア市街地へと続く橋を渡っていた。
病院にて触手獣人少年による襲撃を受け、同行者だったレナモンが命懸けで二人を逃がした。
レナモンの安否を気にしつつも、彼女の意思を無駄にしない為に寛子とのり子は前に進む。
「街中なら、隠れられそうな場所も多いでしょ」
「せやな。もうウチ足疲れてもうたわ……早く隠れられる場所探そ、寛子ねーちゃん」
「そうね」
二人は市街地へと足を踏み入れる。
幾つか車が路肩に停められ、店舗はシャッターが閉じられている所も有れば開店時同様の状態で放置されている所も有った。
とても静かな、不気味な表通りを寛子とのり子は歩いて行く。
その二人を、路地の物陰から窺う男が居た。
図書館にてクラスメイトとその同行者を殺害しようとしたが、返り討ちに遭い殺し損ねた、ひでである。
襲った二人を取り逃がした後、しばらく図書館内を彷徨いていたひでだったが、
図書館にはもう誰も居らず、また他に人が来る気配も無かった為、図書館を後にし市街地へと向かった。
そして今に至る。
(よーし、今度はあの人達だ……)
装備しているFN P90を携え、ひでは路地裏を飛び出し、足音を立てないようにして二人に背後から近付く。
路肩に幾つも停められた自動車に隠れながら、少しずつ、確実に銃弾が当てられる距離まで接近する。
この時、寛子の少し前方をのり子が歩くような形になっていた。
そして、ひでが適度な距離まで近付き、いよいよ二人に向けて銃口を向ける。
後は引き金を引くだけだ。ひではそう思った。
殺人への抵抗感など最早全く沸き起こらなくなっていた。
「あっ、そうや寛子ねーちゃ……」
のり子が何らかの話を振ろうと寛子の方に振り向いた。
その時、表情が凍り付いた。
寛子の背後に、車の陰から銃と思しき物を構える男の姿が見えたのだ。
「のり子?」
のり子の異変に気付いた寛子が声を掛けた。
直後、のり子は寛子の身体を押し退けた。そして手に持っていた自分の支給品である手斧をその男に向かって投げ付けた。
それと同時に、男――ひでが引き金を引いた。
どうして自分がこんな行動を取ったのか、のり子は自分自身でも分からなかった。
考えるよりも先に身体が動いていたのだ。
その気になれば、寛子を見捨てて自分だけ逃げる事だって出来た筈、だがその気にならなかったからこの行動を取った。
元々縁もゆかりも無い他人だったにも関わらず殺し合いと言う状況下で一緒に行動してくれたと言う事実が、
自分だけ逃げると言う選択肢を咄嗟の判断でのり子に取らせなかったのかもしれない。
- 41 :
- 結果、放たれた銃弾の雨に、のり子は晒された。
胸と首と頬と左目の辺りに穴が空き、肉片と鮮血がアスファルトに飛び散り、のり子の意識は消えた。
一方のひでも無傷では済まなかった。
のり子が投げ付けた手斧が彼の額に当たる。
「あ゛っ!!」
その衝撃で後ろに倒れるひで。銃撃も弾が切れた事により中断される。
手斧は刺さりはしなかったものの、額が割れドクドクと血が溢れ出す。当然激しい痛みも伴った。
「……のり、子」
のり子に命を救われる結果となった寛子はしばし状況が飲み込めず呆然としていたが、やがて状況を把握すると、
持っていたTNOKの拳銃(通称)を、のり子を撃った男の方に向けて構えた。
「よくものり子を!!」
怒声を発し、寛子は引き金を何度も引いた。
ダァン! ダァン! ダァン! ダァン! ダァン! ダァン!
「痛い!!」
一発がひでの右肩に命中し、悲鳴を上げるひで。
逆に言えばシリンダーに装填されていた六発全て撃ったのに一発しか当たらなかった。
痛みに喚き散らしながら、ひでは路地裏に逃げ込んで行ってしまった。
寛子はひでを追撃しようとして、思い止まる。
のり子をこのままにしてはおけなかった。
寛子は仰向けにアスファルトの上に横たわったのり子の元へ近付く。
「……っ」
ついさっきまで明るい関西弁で喋っていた少女は、今や左目の部分にぞっとするような穴の空いた、
物言わぬ屍と化し、アスファルトの上に赤黒い水溜りを作っていた。
開いたままの残った右目は虚空を見詰めている。
のり子は自分を助けてくれたのだ、元々は赤の他人に過ぎない、少しの間行動を共にしただけの自分を。
あの襲撃者に先に気付いたのはのり子だったのだから、のり子だけ逃げる事だって出来ただろう。
だがそれをせず、のり子は捨て身で自分を助けてくれた。
(私が、先にあいつに気付いていれば、もしかしたら)
自分が先にあの男に気付いていれば、のり子も死なずに済んだかもしれないと、寛子は悔やむ。
その場合自分が殺されていたかもしれなかったが。
何にせよ、のり子は死んだ。
いくら後悔した所で、どうにもならない事は寛子にも分かっていた。
- 42 :
- 【西川のり子@漫画/浦安鉄筋家族 死亡】
【残り 36人】
【早朝/D-4市街地】
【柏木寛子@オリキャラ/自由奔放俺オリロワリピーター】
[状態]疲労(中)、悲しみ
[装備]TNOKの拳銃(0/6)@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ
[所持品]基本支給品一式、.38SP弾(12)
[思考・行動]基本:殺し合いをするつもりは無い。憲悦とは会いたくない。
1:のり子……。
2:どこか隠れられそうな場所を探す。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※小崎史哉の外見のみ記憶し、彼を危険人物と判断しました。
※ひでの外見は余り把握出来てません。
◆◆◆
「ねぇもうほんと痛い……」
裏路地に逃げ込んだひでは、額と右肩の傷の痛みに苦しんでいた。
無視できない量の血液が傷口から流れ落ち、ひでの衣服や地面を汚す。
手当てが必要な事はひでにも分かった。
「ふざけんなよぉ……どこかで手当てしなくちゃ……」
悪態をつきながら、ひでは手当て出来る場所と道具を探し始めた。
【早朝/D-4市街地】
【ひで@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]後頭部に打撲、背中に軽い打撲、額に傷(出血多し)、右肩に盲管銃創(出血多し)
[装備]FN P90(0/50)@現実
[所持品]基本支給品一式、FN P90の弾倉(5)
[思考・行動]基本:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:クラスメイトと会っても容赦しない。葛城蓮(虐待おじさん)に対しては特に。
2:傷の手当てをする。
[備考]※動画本編、バスの中で眠らされた直後からの参戦です。
※稲葉憲悦、柏木寛子の容姿のみ記憶しました。
《支給品紹介》
【手斧@現実】
小型の斧。片手で扱えるサイズ。「ちょうな」とも。
- 43 :
- 投下終了です。
- 44 :
- 投下します。
- 45 :
- 42話 Exists onry sever lonesome and cruel reality
土井津仁はF-4エリアに存在する警察署を訪れた。
このバトルロワイアルの会場内で唯一確認出来る法執行機関だが、今はその役割は失って久しい。
それなりに大きく目立つ施設なので、内部に誰か居る可能性は高かった。
「行くか」
仁は警察署の玄関を潜って中に入った。
当然かもしれないが、今署内に警官の姿は無い。
今の所は他の参加者の姿も見当たらない。
調達した鉄パイプを右手に持っているが、もし通常の警察署で同じ格好をしていれば、
間違い無く御用となるだろうと仁は思った。
「誰か居るかな」
警察署内の探索を仁は始めた。
◆◆◆
「があああああああああ……があああああああああ……」
宿直室、春巻龍は敷いた布団の上でいびきをかいて寝ていた。
大口を開けて涎を垂らし鼻提灯まで膨らませているその様は殺し合いの下に居ると言う緊張感は微塵も感じられない。
布団の周囲には空になった食物の包装や容器、飲み物のペットボトルや缶、漫画本に雑誌、携帯ゲーム機等が散乱している。
フラウと別れてから、春巻は警察署に籠っていた。
同じく殺し合いに呼ばれている教え子達は放置して自分の身の安全を優先したのである。
これだけ聞けば教師失格の人間の屑がこの野郎……と言う風になるのだが、
「教え子達はタフだから大丈夫だろう」と言うある種の信頼を寄せての行動だったので、
一概にそうは言えない訳無いだろいい加減にしろ!
兎にも角にも、春巻は見付けた宿直室を根城にし、
支給品の食糧や宿直室の冷蔵庫や戸棚等から見付けた食品、飲料を飲み食いしたり、
署員の私物と思われる漫画本や雑誌、携帯ゲーム機を発見しては持ち込んで読んだり遊んだりと、
割と悠々自適な時間を過ごしていた。
そしていつしか彼は眠ってしまった。
無人とは言え警察署で自分の家のように寛いだ末に殺し合いの最中に関わらず眠れるのは、
彼が経験してきた数々の遭難で培われた異常な程の適応能力のおかげか。
そんな春巻の居る宿直室を、一人の参加者が訪れる。
◆◆◆
- 46 :
- 42話 Exists onry sever lonesome and cruel reality
土井津仁はF-4エリアに存在する警察署を訪れた。
このバトルロワイアルの会場内で唯一確認出来る法執行機関だが、今はその役割は失って久しい。
それなりに大きく目立つ施設なので、内部に誰か居る可能性は高かった。
「行くか」
仁は警察署の玄関を潜って中に入った。
当然かもしれないが、今署内に警官の姿は無い。
今の所は他の参加者の姿も見当たらない。
調達した鉄パイプを右手に持っているが、もし通常の警察署で同じ格好をしていれば、
間違い無く御用となるだろうと仁は思った。
「誰か居るかな」
警察署内の探索を仁は始めた。
◆◆◆
「があああああああああ……があああああああああ……」
宿直室、春巻龍は敷いた布団の上でいびきをかいて寝ていた。
大口を開けて涎を垂らし鼻提灯まで膨らませているその様は殺し合いの下に居ると言う緊張感は微塵も感じられない。
布団の周囲には空になった食物の包装や容器、飲み物のペットボトルや缶、漫画本に雑誌、携帯ゲーム機等が散乱している。
フラウと別れてから、春巻は警察署に籠っていた。
同じく殺し合いに呼ばれている教え子達は放置して自分の身の安全を優先したのである。
これだけ聞けば教師失格の人間の屑がこの野郎……と言う風になるのだが、
「教え子達はタフだから大丈夫だろう」と言うある種の信頼を寄せての行動だったので、
一概にそうは言えない訳無いだろいい加減にしろ!
兎にも角にも、春巻は見付けた宿直室を根城にし、
支給品の食糧や宿直室の冷蔵庫や戸棚等から見付けた食品、飲料を飲み食いしたり、
署員の私物と思われる漫画本や雑誌、携帯ゲーム機を発見しては持ち込んで読んだり遊んだりと、
割と悠々自適な時間を過ごしていた。
そしていつしか彼は眠ってしまった。
無人とは言え警察署で自分の家のように寛いだ末に殺し合いの最中に関わらず眠れるのは、
彼が経験してきた数々の遭難で培われた異常な程の適応能力のおかげか。
そんな春巻の居る宿直室を、一人の参加者が訪れる。
◆◆◆
- 47 :
- 宿直室から響いてきたいびきに誘われ仁は宿直室の中に足を踏み入れる。
そしていびきの主が自分の良く知る人物であった事に息を呑んだ。
(春巻先生! ……まだ生きていたのか)
仁や、小鉄、のり子、フグオ、金子先生の担任教師、春巻龍。
知人と図らずも再会した仁だったが嬉しさは無い。
自分は殺し合いに乗っている。
例え知人と再会出来ても殺さなければならないのだ。
とは言っても、春巻が相手では、例え殺し合いに乗っていなかったとしても余り喜びはしなかっただろうが。
見れば彼が寝ている布団の周りには食べ物飲み物のゴミやら雑誌やらが散乱し、ここで自由な時を過ごしていた事が窺えた。
仁は春巻が既に死んでいる事も想定していたがどうやらずっとこの場所に留まり生き延びていたらしい。
(いつも通りだなぁ、春巻先生……僕達を捜そうなんて思いもしなかったんだろうな……。
別に全然期待なんてしてなかったけど……)
ぶれない春巻に苦笑いを浮かべる仁。
しかしその笑みもすぐに消え、冷徹な表情へと変わる。
春巻は完全に熟睡している――――今なら容易く始末出来る。
仁は春巻の頭部を見下ろせる位置まで移動し、そこで、春巻の頭部に狙いを定めて鉄パイプを振りかぶった。
このまま鉄パイプを何度も振り下ろせば、簡単に殺せる筈だ。
「ごおおおお……むにゃむにゃ……」
「……」
今まさに命の危機に瀕している事など露知らず、気持ち良さそうに眠っている春巻。
そして、仁は、パイプを振り下ろせずにいた。
(何してるんだ僕……今更迷うなよ)
イベントホールで女子高生を殺した時も、廃城で男子高生を相手に戦った時も、
抵抗なんて無かったのにどうして今更躊躇うのか。
普段煙たがっているとは言え、多くの時を一緒に過ごしてきた事には変わり無い、だからここに来て迷うのか。
(優勝目指すんだろ? 小鉄っちゃん達も、先生も、Rって……決めただろ!)
心の中で自身を叱咤し、迷いを振り払おうとする仁。
しかし、もたついていたせいで仁にとってまずい事が起きてしまう。
「ん……ん?」
「!」
春巻が目を覚ましてしまった。
安眠から目覚めた春巻龍の視界に映った物は、見覚えのある顔。
坊主頭に額に星印の有る、強面の少年。
- 48 :
- 「仁……?」
寝ぼけ眼ながらも、春巻はそれが教え子の一人、土井津仁である事を認識した。
「何やってんだちょ……ん?」
同時に、仁が寝ている自分の頭上で、鉄パイプと思しき物を振りかぶっている事にも気付いた。
それを確認した途端、春巻の眠気が急速に覚めていった。
「うおおあああああああ!!」
次の瞬間、仁が絶叫しながら、鉄パイプを春巻目掛けて振り下ろした。
全力で身体を横に転がせる春巻。
そしてほんの一瞬前まで春巻の頭が有った辺りに鈍い音を立てて食い込む。
「何すんだホイ!? 仁!?」
「死んで、貰います」
息を荒げながら、春巻を睨んで仁が殺意を剥き出す。
その表情には殺意のみならず、どこか辛さが籠っていた。
これ以上は、春巻と会話する訳にはいかない。
これ以上躊躇っていれば、自分は春巻を殺せなくなってしまうだろう。
迷いは捨てろ。心を鬼にしろ。友達だろうが、担任だろうが、殺さなければならないのだ。
仁は必死に自分に言い聞かせていた。
「R!」
そしてなりふり構わず、春巻に向かって鉄パイプを振り回す。
「うわあああぁあああ!!」
悲鳴を上げながら、紙一重で鉄パイプによる殴打を避ける春巻。
しかし、このままでは間違い無く殺されてしまうだろう。
仁は本気で殺しに掛かっている。何とかしなければ。
そうだ、あれが有る――――春巻はゴミの中に手を突っ込み「それ」を取り出した。
「それ」は、春巻の支給品であり、ゴミに埋もれていた為、仁は気付かなかったのだ。
大型自動拳銃、オートマグ。
これを使えば切り抜けられる。殺されずに済む。
だがそれが意味する事に、この時の春巻は考えを巡らせるだけの余裕が無かった。
両手でそれを構え、引き金を引いた。
ドォン!!
狭い部屋の中、爆発音にも似た音が響き、銃など撃った事も無い春巻は余りの反動に引っくり返って壁に頭をぶつけてしまう。
そして、仁は。
- 49 :
- 「あ゛っあ゛っあ゛っあ゛っ」
右手の手首から先が無くなり傷口から噴水のように血液が噴き出し、それを驚愕と苦悶が混ざった表情で仁が見詰めていた。
床に転がった鉄パイプに握られたままの手が殆ど肉塊のようになってこびり付いている。
オートマグの強力な.44AMP弾の弾丸は、子供である仁の右手など簡単に吹き飛ばしてしまったのだ。
「あ゛あ゛あ゛ーーーーーー!!?」
今まで感じた事の無いような激痛に半狂乱になり床に転がってのたうち回る仁。
止めど無く噴き出す血は部屋中を赤く汚していく。
春巻はそれをブルブルと震えながら見守る事しか出来なかった。
「あはっ、あはは」
突如、仁が笑い出す。
明らかに笑える状態でないのに笑い出したと言う事は、彼が壊れてしまった事を意味していた。
「てく、び、手首、無くなっちゃったあははははははははははははっ、
あはははははははははっハハハはははははっあは、あははは、はは、は――――」
狂った笑いを一頻り上げた後、仁は自分の血と春巻の出したゴミですっかり汚くなった布団の上に崩れ落ち、
ピクン、ピクンと何度か痙攣を起こし、そして、動かなくなった。
「あ……あ」
震えたまま呆然としている春巻。
彼が仁を撃った事自体は恐らく正当防衛であろう。
しかし、理由や状況がどうあれ、彼には「教え子を、知人を殺した」「人を殺した」と言う現実が重くのしかかった。
「ヴッ……ア゜エ゛エエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」
漂ってくる濃厚な血臭に、春巻は強烈な吐き気を催し、抑える間も無く嘔吐した。
寝る直前まで飲食していた為に吐瀉物は多く、長く苦しむ事になる。
何度も何度も嘔吐を繰り返し、胃液すらも吐き尽くす。
血の臭いに加え吐瀉物の悪臭まで加わり宿直室は最早その役割をもう二度と果たせないであろうレベルにまで汚濁していた。
「あっ……かっ……あ゛っ……」
ようやく嘔吐を終えた春巻の目には涙が滲んでいた。
幾度もえずいたせいでの涙も勿論有った。
だが、実際は、教え子を殺してしまった事への罪悪感からの涙であった。
- 50 :
- 【土井津仁@漫画/浦安鉄筋家族 死亡】
【残り 35人】
【早朝/F-4警察署一階宿直室】
【春巻龍@漫画/浦安鉄筋家族】
[状態]後頭部に軽いコブ、吐き気、罪悪感、悔恨
[装備]オートマグ(6/7)@現実
[所持品]基本支給品一式(食糧全て消費)、オートマグの弾倉(2)
[思考・行動]基本:自分が生き残る事を優先する。でも一応小鉄達の事も心配ではある。
1:仁……どうして……。
[備考]※少なくとも元祖!にて再び小鉄達の担任となった後からの参戦です。
※フラウのクラスメイトについての情報を得ました。
《支給品紹介》
【オートマグ@現実】
1969年に発表、1970年より発売された世界初のマグナム弾を使用する自動拳銃。
構造や素材、弾薬に問題が有り動作不良が多く商業的には成功しなかったが、
独特の美しいデザインから人気は高い。
本ロワの物は.44AMP弾仕様の最も生産されたモデル。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
投下終了です。何か同じ文2回連投してしまった すみません
- 51 :
- 投下します
- 52 :
- 43話 廃村探検してガチ死体を発見した件
虐待おじさんこと葛城蓮、シルヴィア、ガルルモンの三人は、森を抜けて廃村へと到着した。
辺りはかなり明るくなっており、草木に埋もれた廃屋群の様子がしっかりと見て取れた。
「廃村か……誰か居そうだな。おいガルルモン」
「何? 蓮さん」
「お前、犬なんだから匂い嗅いで誰か居るかとか分からねえのか?」
「いや、俺、警察犬じゃないんだけど……それに俺、モチーフ狼だから」
「できねぇのかよ……(落胆)まあ良いか、休めそうな場所でも探そう」
放送の時刻も迫ってきている為、一先ず休めそうな場所を探し始める三人。
それなりの規模を誇る廃村に先客が居る可能性も否定出来なかった為、警戒しながら廃屋を調べて行く。
しかしどの廃屋も風化が激しく、休めそうな場所は中々見付からない。
「ここは駄目だな、床がもうグチャグチャだ……一体何年放置されりゃこんな風になるんだ?」
「蜘蛛の巣が凄い、埃も……あ、カレンダー……ええ!? 1978年!? 古っ……」
「ああっ、駄目だ! 駄目な床だこれ……抜ける! 抜ける! あっ!!」
廃屋の状態の悪さと格闘する蓮、シルヴィア、ガルルモン。
そのような感じで四、五軒程回るが、やはり休める程に状態の良い物件は見付からない。
更に、途中で三人はある物を発見した。
物と言うよりは、人であった。
シルヴィアと同じ制服を着た人間の少女が横たわっていた。
目は開いたまま動かず、口から血の混ざった泡を吹き、ぴくりとも身動きしない。既に息は無いようであった。
首に紐状の物で圧迫された痕がくっきりと残っていたので、どうやら絞殺されたらしい。
「シルヴィア、お前と同じ制服だけど……」
「ああ、私のクラスメイトの倉沢ほのかだ」
「……そうか」
そしてその少女の死体は、シルヴィアのクラスメイトの一人である倉沢ほのかだった。
シルヴィアは特にほのかと親しかった訳では無かったので、悲しむ事はしなかったが、
仮にもクラスメイトとして存じている人物の死には多少なりとも思う所は有った。
ほのかの持っていたデイパックには基本支給品以外は入っておらず、恐らくほのかを殺害した者が、
奪い去ってしまったのだろうと蓮とシルヴィアは推測する。
「……その子、殺されてからまだそんなに経ってないように見えるけど、
もしかして、その子を殺した奴がまだ近くに居るんじゃないか?」
ガルルモンがそわそわしながら二人に言う。
彼の言う事は一理有ると蓮とシルヴィアは思った。
ほのかはまだ殺されて時間が経っていないのか、それともそれなりに時間が経過しているのかは判断しかねたが、
仮に前者だとしたら、近くにほのかを手に掛けた犯人が潜伏している可能性は十分に有った。
無論後者であり、既にこの廃村には自分達以外誰も居ない可能性も否定出来なかったが、
どちらなのか断定出来ない以上、この廃村は休息場所には適していないのではないか。
「確かにその可能性は有るな……この廃村で休むのは少し危ないか……。
休めそうな家も今の所見付からないしな」
「それじゃ、どうする?」
「南の方に行ってみるか……工場や図書館、そのもっと南には街が有るみたいだからな。
と言ってもその前に森の中で放送聞く事になるだろうが……少なくとも休憩はまだお預けだな」
結局、三人は廃村での休憩を諦め、しばらくは南下する事に決定した。
- 53 :
- 【早朝/D-1廃村】
【シルヴィア@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]デトニクス スコアマスター(7/7)@現実
[所持品]基本支給品一式、スコアマスターの弾倉(3)、自転車のチェーン@オリキャラ/自由奔放俺オリロワリピーター
[思考・行動]基本:蓮(虐待おじさん)と協力して殺し合いを潰す。殺し合いに乗っていない者を集める。
1:蓮(虐待おじさん)、ガルルモンと行動。しばらく南へ向かう。
2:サーシャを捜したい。他のクラスメイトは遭遇次第対応を考える。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※葛城連(虐待おじさん)のクラスメイトの情報を当人から得ました。
※倉沢ほのかの死亡を確認しました。
【虐待おじさん@真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、手榴弾(2)@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]基本:クラスメイト(特にひで、KBTITこと拓也)や殺し合いに乗っていない参加者を集め、殺し合いを潰す。
1:シルヴィア、ガルルモンと行動。しばらく南へ向かう。
2:襲い掛かってくる者には相応の対処をする。
[備考]※動画本編、バスの中で眠らされた直後からの参戦です。
※元動画準拠なので、本名は「葛城蓮」、平野源五郎とは面識が無い設定です。
※シルヴィアのクラスメイトの情報を当人から得ました。
※シルヴィアが一度死んだ事、殺し合いが二回目である事、以前の殺し合いに乗っていた事を知りました。
【ガルルモン@ゲーム/デジタルモンスターシリーズ】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:死にたくない。生き残りたい。
1:生存率を上げる為に二人(虐待おじさん、シルヴィア)についていく。しばらく南へ向かう。
[備考]※アニメのガルルモンとは別人です。性別は♂、性格は小心者です。
- 54 :
- 投下終了です
- 55 :
- 今回、長いので前編・後編分けます。
まず前編投下します。
44話 Paradise is Nowhere(前編)
- 56 :
- 44話 Paradise is Nowhere(前編)
レジャー施設内、金子翼は宿泊施設区画の通路を歩いていた。
それなりに長い間レジャー施設内を探索しているが今の所、人影は見当たらなかった。
もっとも施設は広大であり、全てを回り切れた訳では無かったが。
「……」
とある客室の前で翼は立ち止まる。
微かに中から呻き声のようなものが聞こえたのだ。
翼は手に持ったピッケルの柄を強く握り締め、その客室の扉のノブに手を掛ける。
鍵は掛かっていなかった。
「うう……う」
「え、何これは……(困惑)」
客室へと足を踏み入れた翼は思いも寄らない光景に当惑する。
確かに人は居た。
しかしその人――恐らく中高生ぐらいの少年は、パンツ一丁で椅子に拘束されている上に、
全身にミミズ腫れや赤い蝋燭を垂らされた痕が有り、更に坊主頭でその頭にもまた蝋が垂らされ、
彼の周囲には彼の物と思われる髪の毛が散乱していた。
一体何が有ったのかは分からないが、少年が想像を絶する体験をしていたと言う事だけは翼にも想像出来た。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
余りの惨状に自分が殺し合いに乗っている事も忘れ、翼は椅子に拘束された少年に声を掛ける。
「誰だ……? あの二人じゃない……?」
視線を翼に向け直す少年――壱里塚徳人。
部屋に入ってきた人物が、自分を調教、もとい拷問した二人では無い事を見て取るや否や、必死に助けを乞い始めた。
「頼む助けてくれ! この縄解いてくれよ!!」
彼は(元々は徳人が巴とKBTITを襲ったのが原因だったが)長時間に渡り犬狼獣人少女原小宮巴と、
ゴーグル色黒男KBTITこと拓也による拷問を受けていた。
坊主頭になっているのも、拷問により無理矢理剃髪をさせられた為である。
巴とKBTITの二人は「食事をしに行く」と言い残して現在は不在であり、そこへ翼がやってきた。
最早心も身体も限界に達していた徳人は恥も外聞も無く、老け顔ではあるが自分よりかなり年下であろう子供に、
涙目になりながら救難を妖精したのだ。
今の徳人にとっては、あの二人から逃れるまたと無いチャンスだったのだから、翼が殺し合いに乗っているかどうかなど考えていなかった。
翼もまた、彼の必死な様子に応えて、拘束している縄を解こうと徳人の背後に回った。
だが、そこで彼は思い止まる。
自分の本来の目的を思い出したのだ。
ここでこの男を助ける必要など無いではないか。さっきは思わぬ光景に気を取られていたが、
拘束されていて動けないと言うのなら、好都合だ――――翼はそう思った。
「おい、どうしたんだ? 早くしてくれよ、助けてくれるんだろ?
そこに鋏が有るから、それで縄切れるだろ?」
翼の様子が変わった事に気付かない徳人は翼が本気で自分を助けてくれると思い込んでいる。
もう少し警戒出来たであろうが、そこまで配慮する余裕などもうこの時の徳人には無かった。
翼は徳人が顎で示した場所を見る。
確かに散髪用と思われる鋏が置かれていた。
恐らくこの鋏と、すぐ傍に置かれているバリカンでこの少年の髪を切ったのだろう。
だがそんな事はどうでも良い――――翼はピッケルを床に置くと、鋏を手に取った。
- 57 :
- 「そうだ、それでこのロープを切ってくれよ……頼む」
「……」
「なあ、聞いてるか? おい……おい?」
翼が返事をしなくなった事に戸惑う徳人。
とても嫌な予感がした。
思えば、この子供に自分は助けを求めたが、この子供は殺し合いに乗っているかどうかなど分からない。
今自分は拘束されていて身動きが取れない。
もし、この子供が殺し合いに乗っていたとすれば?
徳人の顔から血の気が引いた。
そして、次の瞬間には、先程まで逃れようとしていた二人に向かって助けを呼んだ。
「原小宮!! 拓也ぁ!! たす――――」
だが、その大声は翼が徳人の口を左手で塞いだ事により中断される。
そして、徳人の喉に、鋏の刀身が深く突き刺さった。
灼熱にも似た激痛を感じると同時に、呼吸が出来無くなり徳人の口からごぼごぼと血が溢れ出た。
ひゅー、ひゅー、と空気の漏れる音も聞こえた。
消えていく意識の中で徳人が見た物は、惨劇を目の当たりにしても己の義務を果たし続ける照明器具と、
白い歯を剥き出しにして嗤う、中年男性のような顔の子供の表情だった。
【壱里塚徳人@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル 死亡】
【残り 34人】
少年が完全に動かなくなった事を確認すると、翼は鋏を引き抜き床に放り投げた。
背後から刺したおかげで返り血を浴びたのは右手だけで済んだ。
洗面所に向かい、翼は右手に付着した血を洗い流す。
これで、この殺し合いにおいて彼は二回目の殺人を行った。
いや、一回目は相手は犬だったので、厳密に言えば、殺人を行ったのは今回が初めてと言う事になる。
これでいよいよ後戻りは出来ない。
(随分冷静だな僕、人を初めて殺したのに)
自分で疑問に思う程、翼は冷静だった。
冷静では無く、ただ単に感覚が麻痺してしまっているだけなのかもしれない、とも思ったが。
置いたピッケルを拾い再び装備し、少年の物と思われるデイパックが有ったので漁るが、
役に立ちそうな物は何も入っていなかった。
少年をここに拘束して拷問を加えた人物――少年が死の直前に叫んだ二つの名前がそうだろうか――が、
恐らく没収してしまったのだろう。
これ以上部屋には何も無いと判断し、翼は出入口へと向かう。
少年を拷問していた人物は、少年の言によれば食事をしに行ったとの事なのでやがてはここに戻ってくるだろう。
待ち伏せて襲おうとも一瞬考えたがもし相手が銃火器等を装備していたら返り討ちにされる可能性も有る。
少年が叫んだ名前は二つ、と言う事は少なくとも二人は居る。数の上でも不利だ。
ここは早々に撤退すべき――――翼はそう考えた。
◆◆◆
- 58 :
- 「いやぁ、色々有って良かったねタクヤさん。まぁそんなに食べなかったけど」
「まるでバイキングのようになってたな。誰が用意したんだろうな……まあ良いか」
雑談しながら、犬狼少女の原小宮巴と色黒ゴーグル男のKBTITこと拓也は元居た宿泊棟の客室へと向かう。
多目的ホールと思しき広間にバイキング形式の料理が並べられていた為、そこで料理を食べて腹を満たした。
何か細工(毒入り等)が有るのではと最初二人は疑ったが特にそんな事も無かった。
「ああ、あの壱里塚君どうしようかな〜殺しちゃおっか?」
「いやRのは流石に可哀想だろ……散々痛めつけたんだし、椅子に縛り付けたまま放置しといて良いんじゃないか?」
「あらぁ温情的なんだねタクヤさん。そうだねー殺しちゃうとそこで苦痛も終わっちゃうしねー。
動けない状態で放置プレイさせて絶望させるのもアリかなぁ」
部屋に残してきた壱里塚徳人の処遇について二人は話し始める。
そして宿泊棟手前の通路の、幾つかソファーやテーブルが並べられた広くなった部分に差し掛かったその時。
宿泊棟の方から歩いてきた見知らぬ少年と鉢合わせになった。
「ん? あなた誰?」
「……っ!」
「あ、おい! 待てよオイ!」
おっさんのような老け顔の小学生ぐらいと思われるその少年は、二人を見るや否や逃げ出してしまう。
少年を追い掛ける二人だったが、少年の逃げ足は早く、また建物内の通路が入り組んでいた為、見失ってしまった。
「逃げちまったぜオイ……あいつ、何で逃げたんだ? 俺らが殺し合いに乗ってると思ったのか?」
「……多分別の理由じゃないかなぁ。あの子から血の臭いしたよ」
「何?」
「ほんの微かだけどね」
獣人種である巴は少年から発せられた微量の血臭を嗅ぎ取っていた。
「怪我してる風でも無かったし……そう言えばあの子宿泊棟から来たよね」
「……! 壱里塚の奴大丈夫か?」
「行ってみよ」
巴とKBTITは急ぎ徳人の元へと向かった。
しかし部屋に戻った二人が見た物は、椅子に縛られたまま、首から血を流して息絶えた徳人の変わり果てた姿だった。
「やられたね」
「何てこった……」
落胆する二人。
もっとも、巴はこれ以上徳人を痛めつける事が出来なくなった事、
KBTITは死なせるつもりは無かったのに死なせてしまった事に対して、と、二人共理由が異なっていたが。
床に、徳人の散髪に使った鋏が血塗れで転がっていた。恐らくこれが凶器だろう。
- 59 :
- 「やっぱ鍵掛けといた方が良かったね。どうせ逃げられないから大丈夫だと思ってたんだけど、
誰かが侵入する可能性を考えていなかったなぁ」
「死なせる気は無かった、許せ壱里塚……」
KBTITは開いたままの徳人の目をそっと閉じさせてやった。
「やっぱり殺したのは……」
「さっきの子供じゃないかなやっぱり。血の臭いがしたのも説明がつくし。
洗い流したけど完全に臭いまでは消せなかったんだと思う。
逃げたのは……壱里塚君から私達の事でも聞いたのかな?」
状況や、先程の少年の様子、巴が嗅ぎ取った血の臭い等から、二人は先程の逃げた少年が徳人を殺したのだと推測する。
「あんな小さい子供が殺し合いに乗ってんのか……おっさん顔だったけど」
「子供だからって殺し合いに乗らないなんて理屈は通らないよ。
生き残りたい、その為に実力行使するって考えは子供にだって出来るでしょ」
「まぁ、そりゃあな……」
「ともかく、この部屋はもう使えないね」
客室内は徳人の血によって汚れ、濃厚な血の臭いも漂い、とても通常使用出来る状態では無くなっていた。
特殊清掃会社に依頼しなければならないレベルである。
「結構ここで時間潰したし、そろそろ移動しようか……って言っても、放送までの時間考えるとそんな移動出来ないと思うけど」
「そうだな……コイツの死体はどうする?」
「放置で良いんじゃない?」
徳人の死体の扱いについて尋ねるKBTITに現状で放置を提言する巴。
苦楽を共にした仲間ならともかく元はと言えば自分達(特に巴)を襲って、挙句返り討ちされ、
自分達に拷問地獄を味わわされた言ってしまえば愚か者の壱里塚徳人の死体など、
椅子に縛られたまま放っておけば良いんだ上等だろ? と言うのが巴の意見であった。
KBTITもこれに同意したが、せめてもの情けと布団のシーツを徳人の遺体に掛けてやった。
「タクヤさんって楽しそうに拷問する割に結構優しい所有るよね」
「そうか?」
「まあ良いや、行こっか」
巴とKBTITは徳人の遺体の有る客室を後にした。
ほぼ時を同じくして、レジャー施設一階では騒ぎが起きていた。
【後半に続く】
- 60 :
- 前編投下終了です。後編執筆中……
- 61 :
- 後編投下します。
- 62 :
- レジャー施設一階に有るボーリング場。
銀鏖院水晶は、カウンターの陰に隠れていた。
何故隠れているのか、それはひとえに襲撃を受け、追われていた為である。
(何なのよあの犬の化物は……!)
レジャー施設を訪れた水晶は、探索中に巨大な犬に襲われた。
その犬は青と白の毛皮を持ち、背中から赤い二対の触手が生えていた。
獣人が存在する世界に生きる水晶でも見た事の無い動物である。
言葉を発していたので意思疎通は可能のようだったが、こちらの話を聞いてくれそうな雰囲気では無いように見えた。
「どこに居るんだ……出てこいよ!」
その犬――ガオガモンが水晶を追ってボーリング場に入ってくる。
目は充血し涎を垂らすその様は誰が見ても正気とは思えない。
実際彼は既に錯乱しており、目に映る者全てを敵として認識し、排除せんと動いていた。
ボート乗り場で白い狼の男を惨殺した後にレジャー施設を訪れ、しばらく徘徊した後に同じくレジャー施設を訪れた水晶を発見した。
そして襲い掛かり今に至る。
(このままじゃまずい、ハッキリ分かるわね)
何か打開策を講じなければ、確実にあの犬に殺される。
しかし、水晶が今持っている武器は鉄パイプ一本のみ、これだけであの犬を倒せるような実力は水晶には無かった。
まともに向かって行っても勝ち目はゼロに等しい。
(仕方無い、能力を使おう)
水晶は自分の超能力を使う事にした。
彼女は物体を内側から握り潰すサイコキネシスと、透視能力を使う事が出来たが、
身体(胸の事では無い)や技量が未熟であった為、能力を行使すると肉体に相応の負担が掛かった。
それ故、以前の殺し合いでも同様だったが、可能な限り行使するのは避ける方向で動いていた。
しかし今はそうも言っていられない。
水晶はカウンターの向こうを透視し始める。
自分の事を探す巨大な犬の姿がはっきりと確認出来た。
意識を集中させ、額に汗を滲ませながら、犬を倒せそうな手段を探す水晶。
一方のガオガモンは水晶がそのような事をしているとは露知らず涎を垂らしながらその姿を探していた。
「どこだー」
(何か、何か無いの……あっ)
水晶が注目したのは、天井に設置された大型モニター。
ボーリングのスコア等を表示する為の物だ。
かなりの大きさで重量も相当有りそうだがあれがもし頭上に落ちればあの犬も無事では済まないであろう。
(よし)
水晶は更に意識を集中させ、モニターと天井を繋ぐパイプ部分に向けてサイコキネシスを発動させる。
同時に二つの超能力を発動させ、水晶の肉体に掛かる負担は想像を絶する物となっていた。
汗が溢れ、疲労と動機、身体中の痛みが水晶を襲う。
しかし、やめる訳には行かない。
そして、ついにガオガモンの頭上のモニターの取り付け部分が悲鳴を上げ始めた。
- 63 :
- メキッ、バキッ
「ん? 何の音だ?」
頭上から響いた音に、ガオガモンは上を見上げる。
そこには巨大なモニターが存在していた。
バキッ!!
一際大きな音を立てて、モニターがガオガモン目掛けて落下する。
金属の塊と言っても差し支え無い、かなりの重量を誇る大きなモニターは、
容赦無くガオガモンの上半身を押し潰す。
「ガッ! があああぁああっ、ああ」
即死は免れたものの、頭部を含む上半身を圧迫され、呼吸がまともに出来ず苦しみもがくガオガモン。
その隙を突いて、水晶はカウンターの陰から飛び出しガオガモンの脇を駆け抜け逃走する。
「このおおぉお!! 待てえぇええガハッ!」
モニタをどけようと四苦八苦しながら水晶に向かって怒声を放つガオガモン。
(この施設から離れよう……!)
能力行使による負担で身体の疲労や痛みを感じていたが、それらを我慢し水晶は必死に走る。
あの巨犬が再び行動を始めるまでにそう時間は掛かるまい。
手負いとなった獣は凶暴になると言うが恐らくあの犬もその例に漏れないだろう。
今度向かってこられたらもう立ち向かう術が無い。
無様かもしれないが、建設現場の時のように撤退すべきだと水晶は判断した。
エントランスホールまで戻ってきたその時。
「ん? ねえちょっと……」
「!」
後ろから声を掛けられ、思わず水晶は立ち止まって振り返った。
二階への階段に、自分とは違う学校の制服を着た犬か狼族の獣人の少女と、
ゴーグル或いはサングラスを掛けた、色黒で上半身に比べ下半身が貧弱そうに見える人間の男の姿が見えた。
「……アアアァアアアアアアアアーーー!!!」
ほぼ同時に、空気を揺るがすような咆哮がボーリング場の方から響いてくる。
階段の二人は何事かと驚いている様子だったが、水晶にはその咆哮の主が分かっていた。
あの二人に構っている暇は無い。水晶は踵を返しレジャー施設玄関口へと走った。
「おい!」
男の方が呼び止めようとしたが、水晶は無視してそのまま玄関を潜って走り去った。
◆◆◆
- 64 :
- 「行っちまった……そういや今の何だ? 獣の雄叫びに聞こえたぞ」
「一階の、どこかから聞こえてきたっぽいけど」
巴とKBTITが雄叫びの出処を探ろうとしたその時。
逃げて行った銀髪の少女が出てきた通路から今度は青と白の毛皮を持ち背中から赤い触手の生えた巨躯の犬が飛び出してきた。
頭部から血を流し、とても興奮しているようだった。
モニタをどかし、怒りの雄叫びを上げ、犬――――ガオガモンは逃げて行った少女を始末しようと追撃してきたのだ。
もっとも、モニタが落下したのが少女の超能力による物だとは彼は知らなかったのだが。
「フゥー……フゥー……! どこだ!! 銀髪女!! 出てきやがれ!!」
怒りで完全に忘我状態となり少女の姿を求め怒鳴り散らすガオガモン。
「何だあの犬!? あんなデケェ犬見た事無ぇぜ」
「私も背中から触手の生えた犬は初めて見るなぁ。あっ、さっきの咆哮はあの犬かな?」
「あぁ!? 何だお前ら!」
巴とKBTITに気付き、ガオガモンが二人を睨む。
血塗れで牙を剥き出し眉間に皺を寄せながら睨めつけるその様は正に凶獣。
「お前ら、銀髪の人間の女を見なかったか……?」
「銀髪のぉ? ……さっき玄関から逃げてったあいつの事か?
って言うかお前、頭から血が出てんぞ大丈夫か?」
「クソォ! ……まあいいか……」
ガオガモンは巴とKBTITの方を見ながらニヤリと嗤う。
その表情から、二人は彼の明確な殺意を感じ取り、身構えた。
「いきなりモニターが頭の上に落ちてきて、血がどばどば出て、追い掛けていた女にも逃げられて、
とってもムシャクシャしているんだよ……憂さ晴らしさせてくれよぉ!!」
理不尽な理由を並べた後、ガオガモンは階段の二人に向かって突進した。
巴は持っていたウィンチェスターM1912散弾銃を構え、引き金を引いた。
ダァン!!
「……ウヴウウアアァアアァアアアア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
12ゲージの散弾はガオガモンの右前足を吹き飛ばした。
激痛に悲鳴を上げてのたうち回るガオガモン。
「タクヤさん、アイツは殺しちゃっても良いかな?」
「流石にあんな奴に向かってこられたらキッツイぜ……お前に任せる」
「分 か っ た」
止めを刺すべく巴はフォアエンドを操作し空薬莢を排出、次弾を装填しつつガオガモンへと近付く。
「あっ、ああ……く、来るな……来るなっ」
ダァン!!
「アアアァアアァア!!?」
- 65 :
- 背中の触手の左手側を散弾によって千切り飛ばされる。
最早この時点でガオガモンの戦意は完全に消え失せてしまっていた。
それと同時に狂乱していた精神状態も正常近くまで戻ったが、戻るタイミングが余りにも悪かったとしか言いようが無い。
迫り来る巴に恐怖を感じ、ガクガクと身を震わせ、耳を伏せ、涙を流し、失禁までしていた。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい! ごめんなさい! ごべんなざいぃい!
死にたくなかったんだ! 怖かっただけなんだ! 生き残りたかっただけなんだよぉお!」
「ふーん、で?」
「すみません!! 許して下さい!! 何でもしますからぁっ!!」
「……ん? 今何でもするって言ったよね?」
巴が聞き返す。
その様子に望みが出来たと思ったのかガオガモンが食い下がる。
「する! するよ!! 何でもするよぉ!! だから、だからあっ」
「そっかーじゃあ……死のうか」
ダァン!!
望みなど最初から無かった。
散弾によって上顎から上をミンチにされ、ガオガモンは死んだ。
【ガオガモン@ゲーム/デジタルモンスターシリーズ 死亡】
【残り 33人】
「えげつ無ぇなお前……」
やや引き気味でKBTITが巴に言う。
自分の人の事は余り言えた立場では無いが、
平然と散弾銃で人の(この場合は犬だが)頭を吹き飛ばせる巴を少々畏怖していた。
「まぁそれ程でも……コイツ何か持ってないかな」
ガオガモンの持っていたデイパックを漁る巴。
「おっ、これは良さげなのが」
「何だ?」
「ほら、見なよ見なよ、ほら」
巴がKBTITに見せた物は短機関銃。
予備の弾倉も五個セットでデイパックの中に入っていたようだ。
本体にセロテープで貼り付けられていた説明書によれば「ニューナンブM66短機関銃」と言う名前らしい。
- 66 :
- 「タクヤさんの支給品ってボディーブレードだったよね」
「ああ、役に立たないと思って捨てちまったけど……」
「これ使いなよ。私はショットガンが有るからさ」
「ありがとナス!」
KBTITは巴からニューナンブM66短機関銃と予備弾倉五個を受け取った。
その後、当初の予定通り、玄関を潜ってレジャー施設を後にした。
【早朝/B-3レジャー施設】
【原小宮巴@オリキャラ/俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター】
[状態]健康
[装備]ウィンチェスターM1912(3/6)@オリキャラ/俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター
[所持品]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(12)、警棒@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。
1:KBTIT(拓也)と行動。レジャー施設から移動する。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※KBTITを同じ世界の人間だと思っています。
※金子翼、銀鏖院水晶の外見のみ記憶しました。
【KBTIT@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]健康
[装備]ニューナンブM66短機関銃(30/30)@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター
[所持品]基本支給品一式、ニューナンブM66短機関銃の弾倉(5)
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。
1:巴と行動。レジャー施設から移動する。
2:クラスメイトを探す。
[備考]※動画本編、バスで眠らされた直後からの参戦です。
※動画準拠なので中学生であり、平野源五郎とは面識が無い設定です。
※支給品はボディーブレード@アニメ/クレヨンしんちゃんでしたが放棄しました。
※金子翼、銀鏖院水晶の外見のみ記憶しました。
◆◆◆
金子翼は施設外壁の非常階段を降りて外に出た後、同じく非常階段が設置された岸壁を降りる。
途中、施設の方から獣の咆哮や銃声らしき音が聞こえた。
(中で誰かが戦ってるのかな……あの犬みたいな顔の人やサングラスの色黒のおじさんかな?
まあ、気にする必要は無いかな……)
もしかしたら戦っているのが自分が優勝させようとしている大沢木小鉄である可能性も考えられたが、
あの施設内を一通り回ってみて小鉄の姿は見当たらなかったので恐らくそれは無いだろうと、
翼は自分に言い聞かせる。万一と言う場合も有るがそんな事を考えていてはきりが無い。
やがて翼は市街地へと辿り着き、適当な家に侵入して休息を取り始めた。
サイドボードの上に置かれた時計に目をやれば、第一回目の定刻放送の時間である午前六時が、
かなり近付いてきている事が分かった。
- 67 :
- 「もうすぐ六時……六時になれば放送が有る……小鉄っちゃんは今どうしてるんだろう」
前述したように、翼は小鉄を優勝させ生きて帰らせるべく殺し合いに乗っている。
現在、二人の参加者(内訳は犬一匹、人間一人)の命を奪っているが、
もし、放送で小鉄の名前が呼ばれたら? その時、自分はどうする?
翼は、考えたくはなかったが、考える。
(もし、小鉄っちゃんが死んじゃってたら……そんな簡単に死ぬとは思えないけど……。
その時は……僕も死のう)
翼は本気でそう考えた。
小鉄の事が大好きだった翼は小鉄の為ならどんな努力も惜しまない。
カンニングさせる為に猛勉強をして成績を上げたり、
クリスマスプレゼントとして小鉄が好意を寄せる菊池あかねのハーモニカを盗んだり、
火災の恐ろしさを教える為に図らずもではあるが小鉄の家を燃やしたり。
全て小鉄が好きが故の行動なのだが当の小鉄からは常軌を逸した行動にドン引きされる事も多々有った。
彼にとっては大沢木小鉄と言う人間は、生きる理由そのもの。
だから、小鉄が居なくなるのなら、生きる理由も無くなるのだから、死ぬのも当然の事。
それ以前に優勝させると言う事は自分も死ぬと言う事になるが、
小鉄がRば自分も死ぬと思っているように、小鉄の為なら自害も厭わない。
金子翼とはそう言う人間である。
【早朝/B-2市街地木村家】
【金子翼@漫画/浦安鉄筋家族】
[状態]健康
[装備]ピッケル@現実
[所持品]基本支給品一式、大沢木小鉄のリコーダー@漫画/浦安鉄筋家族
[思考・行動]基本:小鉄っちゃんを優勝させる為に皆殺しにする。自分は自害する。
1:小鉄っちゃんは生きているかな……。
2:小鉄っちゃんには会いたくない。
[備考]※元祖! にて小鉄達と仲良くなった後からの参戦です。
※原小宮巴、KBTITの外見のみ記憶しました。
◆◆◆
- 68 :
- A-3エリアの崖下。銀鏖院水晶は岸壁に背をもたれて乱れた呼吸を整えていた。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
超能力の行使と、散々走ってきた事で、水晶の疲労はかなりの物となっていた。
放送の時刻も迫っている事も有り、どこか休める場所を確保する必要が有るだろう。
ふと前方を見れば小規模の住宅地が有るのが見える。
「あそこで、休もう……」
棒のようになりつつある足に鞭打ちながら、水晶は住宅地を目指す。
【早朝/A-3崖下付近】
【銀鏖院水晶@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]疲労(大)
[装備]鉄パイプ(調達品)
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:優勝し「愚民と自分は違う」事を証明する。
1:住宅地で休める場所を探す。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※野原一家の名前を記憶しています。
※能力には特に制限は無いようです。
※原小宮巴、KBTITの容姿のみ記憶しました。
《支給品紹介》
【ボディーブレード@アニメ/クレヨンしんちゃん】
しなる棒状の筋トレ器具の一種。中央のグリップを握って前後或いは左右に振って使う。
「アッパレ! 戦国大合戦」において野原ひろしがこれを使い敵総大将大蔵井高虎の顔面に強烈な一撃を食らわせた。
【ニューナンブM66短機関銃@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター】
新中央工業(現ミネベア社大森製作所)において試作された短機関銃。
「短機関銃」の名を冠する唯一の国産銃器だが試作のみに留まった。9mmパラベラム弾を使用する。
元ロワにおいて滝口信方に支給されその後久木山忠則に渡るが一度も発砲する事無く役目を終えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
投下終了です。
- 69 :
- 投下します。
- 70 :
- 45話 結末の価値分からないまま
野原みさえはふらふらとしながら、B-2エリアからC-2エリアへ向かう橋を渡っていた。
その精神は相変わらず変調を来したまま。
しかし、当初のように血走った目で泡を吹きながらと言う醜態は無くなり、目は虚ろではあったが、
外見だけならば落ち着いているように見えた。
左肩の傷が痛んだが、行動の妨げになる程では無い。
「……あれは、ガソリンスタンド?」
みさえは前方に小さなガソリンスタンドを発見する。
誰か居るだろうかと、他参加者の姿を求め、みさえはそのガソリンスタンドへと歩いて行った。
第一回目の定時放送の時刻が近付いてきていたが、その為の落ち着いて放送を聞ける場所を確保しようと言う考えには至らないようだ。
「誰か……居る……?」
建物に近付き窓越しに内部を覗き込む。
内部は自販機やテーブル、椅子等が置かれた待合所のようなスペースになっており、奥に事務所へ続くと思われる扉が有った。
カウンターが有るのであそこで車の点検等の会計を行っていたのだろう。
入口の扉の取っ手に手を掛けて引いてみると、扉はすんなりと開いた。
サーベルを片手に、カウンターの裏を覗く、が、そこには誰も居なかった。
奥の扉のノブに手を掛け回す。今度もすんなりと扉は開いた。
こじんまりとした事務室がみさえの視界に映る。
「……?」
事務室に入った途端に、みさえの耳にある音が聞こえる。
それは寝息だった。しかもかなり近い所――――自分の左手側から聞こえた。
顔を左に向けてみる。
「!」
寝息の主にみさえは少し驚いた。
それは灰色の身体を持った、竜人であった。
壁にもたれて座って眠っている彼――――呂車は、実際には竜人では無くガーゴイルの獣人であったのだが、
みさえにそんな違いが分かる筈も無く、分かったとしてもそんな事はどうでも良い事だっただろう。
「寝ているの……?」
今まで何度も家族と共に冒険を繰り広げ、その中で幾多の人外と遭遇してきたみさえにとっては、
呂車の外見は多少驚きはしたものの、それだけであった。
異常を来した精神もそれに拍車を掛けていたのかもしれないが。
- 71 :
- それより、この獣人は寝ていた。
ならば、仕留める絶好のチャンスではないか。
外見を見るに、筋肉質で大柄な体躯を誇っており、まともに戦えば力負けする可能性も有った。
しかし寝込みを襲われればひとたまりもないだろう――――だが。
「ん……」
唐突に呂車は目を覚ました。
「〈いかん、眠ってしまった……〉」
ガソリンスタンドに身を潜めている内にいつの間にか眠ってしまったらしい。
目を擦りアクビをしながら辺りを見回す。
すると、自分の右手側に見知らぬ人間の女性が立っていた。
「〈ん? 何だお前は……〉」
中国語で話しかける呂車。しかし女性の右手に抜き身のサーベルが握られているのを見て表情を一変させる。
「うらあああっ!!」
「!!」
直後、みさえは叫びながらサーベルを呂車に向かって振り下ろした。
間一髪でそれを避ける呂車。
サーベルの刀身は呂車が背をもたれていた壁に当たり、壁に深い傷を作る。
起きてしまったがまだ覚醒しきっていないなら大丈夫だとみさえは思ったが、そう上手く事は運ばなかった。
呂車はみさえの首元を勢いを付けて掴んだ。
かなりの衝撃が有り、みさえはむせながら持っていたサーベルを床に落としてしまった。
「〈何だお前は!? 殺し合いに乗っているのか?
危ない所だった……危うく斬られる所だった……〉」
「うぐ……は、放して……放しなさい……!」
呂車の手から逃れようともがくみさえ。
自分の言っている事が伝わっていないと見た呂車は、一度咳払いをして片言の日本語でみさえに語り掛け始める。
「オマエ、何だ? 殺シ合いに、乗ッテるのか?」
「……私は、私はっ」
もがきながらもみさえは返答した。
「ひまを、生き返らせないといけないのよ……!
優勝すれば、願いを一つだけ叶えてくれる……だから私は優勝して、ひまや、一度死んじゃう事になる、
夫や、しんのすけを一緒にっ、生き返らせて、またみんなで一緒に暮らすのよぉっ!!」
- 72 :
- みさえの表情と声は正に鬼気迫るものであり呂車も気圧された。
しかしだからと言って彼女の主張には同意しかねたが。
そしてこの時点で、呂車はみさえが開催式で見せしめで殺された赤ん坊の母親だと言う事を思い出す。
「……お前ハ馬鹿か?」
「は?」
「あんな口約束が守られると本気デ思ってルのカ? 自分の夫ヤ、息子モ殺スつもりカ?
一度死んンでモ、生き返ラセれば良いとソンナ風ニ思ってルのナラ、自分ヲ恥じロ」
呆れと侮蔑を込めた口調で呂車が言う。
それが癪に触ったのか、逆上したみさえは呂車に向かって怒鳴る。
「うるさい……うるさいうるさいうるさい!!
あんたなんかに何が分かるって言うのよ!! ひまを生き返らせるにはそれしか方法が無いのよ!!
家族が一人でも欠けたらもう野原家じゃ――――ぐえっ!?」
聞くに耐えられなくなり、呂車はみさえを投げ飛ばした。
身体を壁や床に強打したみさえは身体中の痛みと呼吸困難に襲われ苦しむ。
「ゴホッ! ゴホッ、ゲフッ……!」
「〈お前の殺し合いに乗る理由は良く分かった。
だが、俺も易々と殺されてやる訳には行かないんでな。悪いが眠って貰うぞ」
中国語でそう言うなり、呂車はみさえの後頭部付近に手刀を食らわせた。
小さい呻き声を発し、みさえは昏倒し床に伸びてしまった。
「〈サーベルは没収だな〉」
みさえが装備していたサーベルを回収する呂車。
更にみさえのデイパックを調べると拳銃と予備の弾倉が入っていたのでこれも回収した。
(銃を使われないで良かった……だが支給品は一人一種の筈……と言う事は誰かから奪い取ったか? まあ良い……)
何にせよこれでみさえは武装を失う事になるが、殺し合いに乗っている者を無力化するのだから問題無いと彼は理由付けした。
気を失ったみさえを事務室に残し、呂車は自分の荷物を持ってガソリンスタンドを後にした。
放送の時刻が近付いていたが、気絶させたとは言え危険人物と一緒に居る訳には行かない。
始末してしまう事は簡単だったが、呂車はその気にはなれなかった。
よくよく考えれば、野原みさえもこの殺し合いに巻き込まれ、自分の娘を目の前で無残に殺された被害者なのだ。
眼前で愛娘を殺され、そのショックの大きさは想像に難くない。
それで心が壊れ、主催者達の言葉を鵜呑みにして暴走してしまったとしてもおかしくない。
それにこの殺し合いには彼女の息子、夫、飼い犬も一緒に呼ばれていた筈。
みさえをR事は、彼らから母親を、伴侶を、飼い主を奪う事になる。
それを思うと、呂車は彼女に殺されかけたとは言え、その命を奪うのは気が引けたのである。
自分の命が数分先まで有るかどうかも分からない状況下で甘い考えだ、とも思ってはいたが。
- 73 :
- それにまひろが言っていた「死者の蘇生」を完全に否定する事も出来ない。
何故か――――呂車自身が一度死んだ筈なのに生き返っている身だからだ。
少なくとも、この殺し合いを運営する何者かは、死人を蘇らせる事が出来る何らかの力或いは技術を持っている事は確かであろう。
しかし、例えそうだとしても、野原みさえの行動は最善である筈が無い。
ガソリンスタンドから遠ざかりながら呂車は思っていた。
【早朝/C-2ガソリンスタンド事務室】
【野原みさえ@アニメ/クレヨンしんちゃん】
[状態]精神に異常、左肩に擦過銃創、全身にダメージ、気絶
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:優勝してひまわりを生き返らせる。
1:(気絶中)
2:しんのすけ、ひろし、シロはひまわりと一緒に生き返らせる。
[備考]※幾分落ち着いたようですが正常な思考は出来ません。
※ソフィア、呂車の容姿のみ記憶しました。
【早朝/C-2ガソリンスタンド周辺】
【呂車@オリキャラ/俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター】
[状態]健康
[装備]サーベル@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル
[所持品]基本支給品一式、S&W M56オート(11/15)@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル、S&W M56オートの弾倉(3)
[思考・行動]基本:殺し合いを潰す。殺し合いに乗っていない参加者を探す。
1:ガソリンスタンドから離れ、放送を安全に聞ける場所を探す。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※AOKの容姿のみ記憶しました。
※野原一家の事を開催式の時にある程度把握しています。
- 74 :
- 投下終了です。
- 75 :
- 投下します。
- 76 :
- 46話 墓、用意しといたからお前らの為に
A-5エリアに存在する墓場を、野原ひろしとラトの二人は訪れていた。
日本式の墓石のみならず、十字架を模した西洋式の墓石も並んでいる。
良く整備された綺麗な墓地であったが、ひろしはとある墓石に刻まれた名前に驚く。
「おい、何だよこれ……!?」
その墓に刻まれていた名前は「野原ひろし」、彼の名前であった。
隣に並ぶ墓を見ていくと「野原みさえ」「野原しんのすけ」「野原ひまわり」「シロ」と、家族全員の墓が有った。
「野原さん」
「ラト、こいつを見てくれ……俺の墓だ。家族のも有る」
「……他の墓を見てみましたが、どうやらこの墓地には殺し合いの参加者全員の墓石が有るようです。
僕や、僕のクラスメイトの墓石も有りました」
「何!?」
墓場に存在する墓石は全部で53個。
それは、この殺し合いの参加者52人と、見せしめで殺された野原ひまわりの墓であった。
ほぼ間違い無く運営側の連中の仕業だろう。
自分達が催したゲームで死ぬであろう人々の為にわざわざ墓を作るなど悪趣味以外の何物でも無い。
「俺達が殺し合いで死ぬ事を見越して、ご丁寧に墓を用意したってか……ふざけんじゃねぇ!」
ガスッ
憤慨したひろしが自分の墓石に蹴りを入れた。
直後に足の痛みに苦しむ事になったが。
「いててててて!」
「大丈夫ですか? ……気持ちは分かりますが落ち着いて」
「ああ、すまねぇラト……」
ラトの気遣いと足の痛みによって幾分冷静さを取り戻したひろし。
もっとも、ラト自身も表情に出さないだけで憤りを感じていたが。
寛容な彼でも、参加者全員の墓をあらかじめ用意しておく運営側の性質の悪さには嫌悪感を抱かずにはいられなかった。
その後、二人は敷地内に建てられていたプレハブ小屋へと向かう。
扉には「管理小屋」と書かれたプレートが貼られていた。
鍵は掛かっておらず、ひろしとラトは容易に中へと入れた。
置かれていた古い所々破けている革製ソファーに、ひろしは腰掛ける。
ラトは外の様子を窺っていた。
「今、何時だ?」
管理人が使っていたと思われるスチール製の事務机の上に置かれたレトロな目覚まし時計にひろしは目をやる。
第一回目の放送予定時刻である午前六時まで残り一時間を切っていた。
ひろしとラトはこのプレハブ小屋にて放送を聞く事にする。
- 77 :
- 放送では死亡者と禁止エリアが発表される。
果たして今何人の犠牲者が出ているのか、自分の家族は、クラスメイトは生きているのか。
不安に思いながら、ひろしもラトも放送の刻を待つ。
【早朝/A-5墓場管理小屋】
【野原ひろし@アニメ/クレヨンしんちゃん】
[状態]健康
[装備]コンバットナイフ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:家族を探す。殺し合いを潰す。
1:ラトと行動する。墓地管理小屋にて放送を聞く。
[備考]※銀鏖院水晶を危険人物と認定しました。
※ラトのクラスメイトの情報を彼より得ています。
【ラト@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]ワルサーPPK/S(6/7)@現実
[所持品]基本支給品一式、ワルサーPPK/Sの弾倉(3)
[思考・行動]基本:殺し合いを潰す。
1:野原さんと行動。墓地管理小屋にて放送を聞く。
2:クラスメイトも気になる。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※銀鏖院水晶を危険人物と認定しました。
※能力の制限については今の所不明です。
- 78 :
- 投下終了です。
タイトルを 墓、用意しといたからお前らの為に(優しさ) に変更します。
- 79 :
- 投下します。
- 80 :
- 47話 先輩に相談だ
民家の中で息を潜める、野獣先輩こと田所浩二、KMR、太田太郎丸忠信の三人。
リビングにて、自分の支給品であるリボルバー拳銃を右手に持ちながら、カーテンの隙間から外を監視する太田。
その背中を僅かに疑念の籠った目で見るソファーに座ったKMR。
(ちょっと先輩に相談しようかな……)
KMRはソファーから立ち上がり、二階に行っている野獣の元へ向かう。
太田はちらっとKMRの方に目をやったがそれだけですぐに見張りに戻った。
野獣は民家二階の一室に有る本棚を漁っている最中であった。
そこへKMRがやってくる。
「先輩、ちょっと良いですか」
「お? どうしたKMR」
「太田さんの事なんですが……」
「太田がどうかしたのか?」
「これは、僕の勝手な思い込みかもしれませんが……太田さんはどこか信用し切れません」
自分が心配している事を野獣に打ち明けるKMR。
「……太田さんはどこか、僕達に完全に心を許していないような気がするんです。
いざと言う時は例え僕達を犠牲にしてでも自分の命を守ろうとするような……。
さっきも言ったように、僕がそう思っているだけなので……ただの妄想かもしれませんが……」
全て自分の思い過ごし、恐怖からくる猜疑心や被害妄想なのかもしれない。
仲間として同行してくれている太田に対してとても失礼な事を言っていると自覚こそしてはいたが、
KMRはどうしても相談せずには居られなかった。
「うーん……」
野獣は黙ってKMRの言に耳を傾けていた。
KMRの懸念も分からなくは無い。
よくよく考えてみれば、太田とは数時間前に出会ったばかりであり、彼の人柄についてはまだ完全には把握出来てない。
その真意も分からない部分が多く、あくまで見た目から来る雰囲気だが、善人のような感じはしなかった。
ただ、今現在は太田は自分達の仲間として行動し、何の危害も加えてきてはいない。
自分やKMRの不安も所詮は証拠の無い憶測でしか無い以上、太田をどうこうする事訳にもいかない、野獣はそう考えKMRに返答した。
「確かにな、KMR。お前が心配するのも分かる。
太田は何を考えているのか分からない所も有るから、完全に信用するのは危険かもしれない」
「先輩……」
「でも、今の所、敵意を向けられてる訳でも危害を加えられた訳でも無いしな……。
貴重な仲間である事も事実だし、今は様子を見ようと思うんだけど、お前どう?」
「それは、そうですが……」
難色を示したKMRだったが、結局は先に述べたように太田に対する疑念は現時点では自分の憶測でしか無い事を思い出し、
野獣の意見に同意する形に落ち着いた。
「……分かりました。すみません、こんな事を相談して」
「謝る必要なんかねぇよ。状況が状況だし、心配すんのもま、多少はね?」
「はい……」
「そういや太田は今何してんだ?」
「一階で見張りをしていましたけど……」
……
……
- 81 :
- 己の支給品である古いリボルバー拳銃・コルト ポリスポジティブ.32コルトニューポリス弾仕様を右手に持ちながら、
太田太郎丸忠信は見張りをしていた。
尤も、同行している野獣とKMRの為と言うより自分の身の安全の為だったのだが。
今の所、外を歩く者の姿は見当たらなかった。
野獣の後輩と言うKMR。
自分を見る目が明らかに不信を湛えており、余り自分とも喋ろうとしない為、自分に対し疑念を抱いているであろうと太田は思っていた。
先程KMRは二階へと上がって行ったが恐らく野獣の元へ向かったのだろう。
自分の事で相談でもしに行ったのだろうか、野獣に妙な事を吹き込まなければ良いがと、太田は懸念した。
自己の生存率を少しでも上げるには、同行者の存在は重要。
的が複数居ればそれだけ攻撃も分散する事になり、いざと言う時は囮にでも盾にでもすれば良い。
それ故に同行者を失う事になるのは彼としても避けたい所である。
一定の信用を得る為に野獣とKMRに疑念を抱かれないよう振舞ってきたつもりだったが、どうもKMRは勘が鋭いらしかった。
あまり疑心を抱かれるようであればその内、野獣とKMRとは別れなければならなくなる可能性も有るだろうと、太田は思案する。
(そういやもうすぐ放送だな)
太田は壁に掛けられた時計に目をやる。
第一回目の定時放送の時刻が迫っているが、果たして何人の犠牲者が出ているのか。
愛餓夫、吉良邑子、壱里塚徳人、貝町ト子、そしてテト、と、関係の深いクラスメイトも居るが、
あくまで自分が生き残る事を優先する太田は特に気にしていない。
他のクラスメイトも然りである。
いや、強いて言うならテトは気になった。心配しているとかそう言う事では無い、薄汚れた欲望の延長線上であったが。
自身が薬漬けにしているト子に協力させ、餓夫らと共にテトを弄び、嬲った。
その時の興奮と快感は今でも太田の脳裏に焼き付いていて離れない。
出来る事なら、もう一度味わいたいとも思っていた。
彼女にした仕打ちが、彼やクラスメイトが経験した「最初の殺し合い」が起きる要因となり、
彼が一度命を落とす遠因となった事など彼は知る由も無い。
- 82 :
- 【黎明/D-4、E-4境界線付近高田家】
【野獣先輩@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]健康
[装備]竹刀@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:殺し合う気は無い。遠野達や殺し合いに乗っていない参加者を捜す。
1:太田、KMRと行動する。但し信用し過ぎないようにする。
[備考]※動画本編、バスガイドピンキーに気絶させられた直後からの参戦です。
※太田太郎丸忠信から彼のクラスメイトについての情報を大まかに得ています。
※KMRの進言を受け、太田を少々警戒するようになりました。
【太田太郎丸忠信@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]コルト ポリスポジティブ(6/6)@現実
[所持品]基本支給品一式、.32コルトニューポリス弾(12)
[思考・行動]基本:自分が生き残る事を最優先とする。その為には手段は選ばない。
1:野獣、KMRと行動する。いざと言う時は盾に使う。
2:テトはもう一度会ったら……。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※野獣先輩から彼のクラスメイトについての情報を大まかに得ています。
※KMRが自分に不信感を抱いていると薄々察しています。
【KMR@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]健康、太田太郎丸忠信に対するぼんやりとした不信感
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:生き残る。殺し合いはしたくない。
1:野獣先輩、太田さんと行動。でも太田さんはどうも信用出来ない。
2:クラスメイトを捜したい。
[備考]※動画本編、バスの中で眠らされた直後からの参戦です。
※太田太郎丸忠信に対して不信感を抱いてます。
《支給品紹介》
【コルト ポリスポジティブ@現実】
1907年にコルト社が開発した小型ダブルアクションリボルバー拳銃。
法執行機関向けに設計され、1900年初頭に法執行機関市場で大成功を収めた。
本ロワに登場するのは.32コルトニューポリス弾仕様。
- 83 :
- 投下終了です。
- 84 :
- 投下します。
- 85 :
- 48話 聞こえない胸の吐息
炎上する時計塔から退避した、MUR、気絶して彼に背負われた鈴木フグオ、貝町ト子の三人は東へ進んだ。
道中、フグオが目を覚ますが、同行していたアルジャーノンの死を目の当たりにし、すっかり気落ちしてしまった様子だった。
そんなフグオを励ましつつ、MURとト子は歩き続け、やがてC-6エリアのガソリンスタンドへ辿り着いた。
しかし、そこでも血腥い光景が広がっていた。
ガラスが割れた待合室は血で真っ赤に染まり、首を飛ばされた少年の死体が転がっていたのだ。
それを見たフグオは悲鳴を上げ、建物に近付くのを嫌がった。
やむを得ず、MURがフグオと共に残り、ト子が様子を見に行く事になった。
「こいつは……」
転がっていた首を見て、ト子は死体がクラスメイトの鈴木正一郎である事を確認した。
以前の殺し合いでは、一度遭遇した事が有る。
正一郎を利用する形で、ト子は邪魔に思っていた同行者の麻倉美意子を殺害した。
その後、正一郎がどうなったのかは分からないが放送で名前を呼ばれていたので彼も自分と同じく一度死んだのだろう。
そして、この殺し合いでも命を落とした。
「……あの時は利用して済まなかったな、鈴木」
以前の殺し合いでの事を正一郎の亡骸に向かって詫びるト子。
ただ、謝罪と言うより弔いの言葉の代わりのような物だった。
「ん?」
そしてト子はある物を床で見付ける。
時間が経っているのか、乾いて変色していたが、それはどうも精液のようだった。
これを見た瞬間、ト子は鈴木正一郎を殺したのが誰か想像が付いた。
一方、外で待機しているMURとフグオの二人。
ふとMURが時計塔の方に目をやると、遠くからでも燃えているのがはっきり分かり、黒煙が立ち上っていた。
「……」
俯き無言のフグオ。
いきなり殺し合いに巻き込まれ、無理矢理死と隣り合わせになり、赤子の首が爆発する様を見せ付けられ、
同行者が目の前で無残な殺され方で死に――――普段、大好きなお菓子やジュースを口にしたり、
友達と遊んだりして平穏な日々を送っていたフグオにとって、このバトルロワイアルと言うゲームは余りにも過酷な現実であった。
(フグオ君……辛そうだゾ)
何か言葉を掛けてやりたいと思うMURだったが、気の利いた台詞が浮かばない。
MURにはフグオより少し年上ぐらいの妹が居り、可愛がっていた。
それ故に、妹と同年代のフグオが落ち込んでいるのを放っておく事も出来なかった。
- 86 :
- 「MURさん」
「おっ、ト子ちゃん。戻ったか」
そこへ建物内を調べ終えたト子が戻って来る。
「一通り中を見てきた。ついでに首輪を解析する為の工具も調達してきたよ。
……あの死体は私のクラスメイト、鈴木正一郎だな」
「それは本当か?」
「間違い無い……まぁ、仲が良かった訳では無いから悲しくは無いがな。
下手人は……恐らくでは有るが、私達を襲ったケルベロモンだろう」
「どうしてそう思うんだゾ?」
「床に血と一緒に精液が飛び散っていた」
「あっ……(察し)」
時計塔にてMUR達を襲ったケルベロモンは、アルジャーノンを殺害した時に射精をした。
どうやら、殺しで性的快感を得る異常性癖を持っていたようで、
ガソリンスタンドの鈴木正一郎殺害現場にも精液が残存していたと言う事は、
首を飛ばすと言う残虐かつ人間離れした手口も合わせて、彼を殺害したのもケルベロモンであると言う事の証拠になり得る。
同じ性癖を持っている他参加者が居る可能性も微粒子レベルで存在したものの、ほぼ断定して間違いは無いとト子は思っていた。
MURはケルベロモンが射精した時にはまだ気絶していたが、後にト子より話を聞いていた。
「ここはとても休めそうに無い、別の場所を探してみた方が良いと思うんだが……」
「そうだな……フグオ君、もう少し歩く事になるけど、大丈夫か?」
「……大丈夫プリ」
MURの問い掛けに、フグオは力無く答えた。
余り大丈夫そうには見えなかったが、放送の時刻も迫ってきている為、
MURとト子はフグオを連れてガソリンスタンドを後にした。
(フグオ君もこんな殺し合いに巻き込まれなければ、平和な日常を友達や家族と過ごせていただろうに……。
運営の奴らがますます許せなくなってくるゾ)
小学生に命のやり取りを強要するバトルロワイアルの運営に、MURは憤りを感じていた。
- 87 :
- 【早朝/C-6ガソリンスタンド】
【MUR@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]全身にダメージ(行動に支障は無し)
[装備]ハーネルStg44(26/30)@現実
[所持品]基本支給品一式、ハーネルStg44の弾倉(5)、肉切り包丁@現実、ケルベロモンの首輪
[思考・行動]基本:殺し合いには乗らない。クラスメイトと合流したい。
1:ト子ちゃん、フグオ君と行動。
2:休めそうな場所を探す。
[備考]※動画本編、バスの中で眠らされた直後からの参戦です。
※貝町ト子のクラスメイト、鈴木フグオの知人の情報を得ました。
【貝町ト子@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]トンファーバトン@現実
[所持品]基本支給品一式、工具箱(調達品)
[思考・行動]基本:殺し合いはしないが、必要な時は戦うつもりでいる。
1:MURさん、フグオと行動。
2:テトと会ったらどうする……?
3:太田とその取り巻きには会いたくない。他のクラスメイトとも余り会いたくない。
4:休めそうな場所を探す。
5:首輪を解析したい。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※薬物中毒は消えています。
※MURのクラスメイト、鈴木フグオの知人の情報を得ました。
※鈴木フグオのデイパックは当人に返しました。
【鈴木フグオ@漫画/浦安鉄筋家族】
[状態]健康、落ち込んでいる
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:殺し合いなんてしたくない。小鉄っちゃん達に会いたい。
1:MURさん達と行動する。
[備考]※少なくとも金子翼登場から彼と親しくなった後からの参戦です。
※MURのクラスメイト、貝町ト子のクラスメイトの情報を得ました。
- 88 :
- 投下終了です。
- 89 :
- 追記
MURの妹と言うのはニコニコ動画の淫夢関連作品でたまに出てくる
東方のルーミアをMURの妹として登場させる作品が元ネタです
なぜルーミアがMURの妹になっているのかは自分もよく知りません
- 90 :
- 投下します。
- 91 :
- 49話 泣き出した女と戸惑い
大沢木小鉄とテトは、旅館を出立し、雪原地帯を越えて廃墟と化した城へとやって来た。
旅館にて、テトはゴム製の長靴を発見、これを調達した為、今度は足を濡らさずに済んだ。
一方の小鉄は冷たい雪も外気も物ともせず、足が濡れようがお構いなしと言った様子で、とにかく元気だった。
「小鉄君、足大丈夫?」
「ヘーキヘーキ! これぐれえ何ともねぇぜ」
今まで炎上するアパートの中に図らずも突っ込んだり、脳天に鉛筆が刺さって生死の境を彷徨ったり、
極寒の猛吹雪の中図らずも全裸になった上倒壊した家屋の下敷きになったりしても生還してきた小鉄にとって、
単なる雪と寒さなど何ら障害になり得ない。
「頑丈ね、小鉄君……」
「まあなー」
テトは小鉄のタフさを再認識した。
「そろそろ放送も有るし、この城の中で一度休むとしましょう」
「分かったぜ。にしてもでけー城だな〜ボロっちぃけど」
二人は半開きになった正面玄関を潜って廃城の中に足を踏み入れる。
かつては壮麗だったであろうエントランスホールだが、無人となってどれくらいの月日が経過しているのか、
床は埃や天井や壁からの細かい瓦礫、鳥の糞等で酷く汚れ、
侵入者が荒らしたのか椅子やテーブル、蝋燭台等の調度品があちこちに散らばり蜘蛛の巣が張っていた。
窓ガラスもあちこちが割れたり、窓枠ごと消えていたり、植物が侵食したりしている。
「埃と黴と、鳥の糞の臭いが……休めそうな部屋は有るのかしら」
「くっせぇな……でもこれだけ広いと、他に誰か居るんじゃねぇか?」
「そうね、気を付けないと……」
小鉄の懸念通り、城内で他参加者に遭遇する可能性も考慮しつつ、テトと小鉄は休息出来そうな部屋を探し始める。
◆◆◆
サーシャは、学校の廊下に立っていた。
「……あれ? ここは」
周囲を見渡すサーシャ。
見覚えが有った――――紛れも無く、自分が通っている高校だった。
しかし、静かで、人の姿がどこにも無い。
「どうして? 私は……確か」
「サーシャさん」
「!」
背後から声を掛けられ、サーシャは振り返る。
そこには、以前の殺し合いで自分を殺そうとした久世明日美が立っていた。
- 92 :
- 「く、久世さん!?」
サーシャは瞠目する。
殺されそうになったから、だけでは無い。
彼女は以前の殺し合いで、放送で名前を呼ばれていた――――つまり、死んでいる筈。
「……サーシャさん、逃げるなんて酷いじゃない。
私はアナタを救いたかっただけなのに……」
「……」
「あの後、私、アナタを見付けようとして、頑張ったんだけどね」
「……え?」
突如、明日美の身体のあちこちに小さな穴が空いて、そこから真っ赤な液体が止めどなく溢れ始めた。
それは、明日美の足元に流れ落ち、大きく赤い水溜まりを作っていく。
突然の出来事を、サーシャは呆然と眺めていたが、同時に確信する。
やはり、明日美は死んでいるのだと。
「こうして、私は死んじゃったの。
でも、大丈夫だよ? だって、こうして、サーシャさんに会えたんだから。
さあ? サーシャさん? 私と一緒に、あっちの世界に、行こう? 行こう? 行こう? 行こう???」
血塗れの顔に優しい笑みを浮かべながら、両手を翳し、明日美がゆっくりとサーシャに近付いた。
「う、あ、うわあああああああああああ!!!」
サーシャは逃げ出した。
悲鳴を上げて、明日美に背を向けて逃げ出した。
しかし、程無く、誰かとぶつかってその動きは止められる。
「痛いじゃない、サーシャさん」
聞こえた声は、麻倉美意子の物。
サーシャは声の方向に、恐る恐る視線を向ける。
確か、以前の殺し合いの時、自分は麻倉美意子の――――。
「痛いのはもう勘弁だよ……喉、ぐちゃぐちゃになっちゃったんだあああああ」
喉の部分が切り裂かれ、原型を留めぬ程に破壊された、麻倉美意子が立っていた。
無論、生きていられる筈が無い、それ以前にサーシャは以前の殺し合いで彼女の死体を確認している。
「うあ、あああ」
もはや言葉が出なくなるサーシャ。
気付けば、周りには血塗れのクラスメイト達が立っていた。
身体に穴が空いていたり、酷い切り傷が有ったり、身体の一部を欠損していたり、全員、惨い有様になっていた。
「う゛っ……ゴホッ!」
突然、吐き気に襲われ、サーシャは込み上げてきたそれを吐き出す。
それは、血。
自分の手が血に塗れていく。
首や腹の辺りが熱い。
見れば腹が抉れていた。首も、見えないが、きっと同様だろう。
クラスのみんなは笑っていて。
そうだ、自分も、銃弾を受けて、もうこの世に――――。
- 93 :
- ……
……
「……あああぁぁああああぁああああ!!?」
絶叫と共に、サーシャは覚醒した。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
とても息が荒く、身体は汗でびっしょりと濡れていた。
立ち上がって辺りを見回すが、血塗れのクラスメイトはどこにも居ない。
そればかりか、今居るのは学校ですら無く、自分が隠れている廃城のホールであった。
自分の身体も、汗まみれな事以外は、何とも無い。
「……夢……?」
窓からは陽の光が差し込んでおり、どうやら自分はいつの間にか眠ってしまい、そして悪夢を見てしまったらしい。
「……はああぁ……」
あの地獄そのものの光景が夢であった事に一先ず安心するサーシャ。
何故あのような夢を見てしまったのだろうか。
いや、一度殺し合いで壮絶な体験をしてしかも一度Rば、それが悪夢となるのも無理は無いだろうか、と、サーシャは思った。
「今、何時なの?」
夜が明けているのだからかなり長い間眠っていたのだろう。
サーシャは自分のデイパックから基本支給品の時計を取り出して時刻を確認する。
もう既に、第一回目の放送の時間が迫っていた。
「かなり寝てたのね……寝ている間に襲われたりしなくて良かった」
寝込みを襲われ命を落とす危険も有った。
それでいて無事であったのは幸運だったと彼女は思う。
「……あれ?」
しかし、サーシャはすぐに自分が完全に無事な訳では無い事を知る。
股間の辺りに違和感を感じた。
汗で全身濡れていたのでそれだとも思ったが、股間の感触は汗にしては不自然であった。
そして漂ってくるアンモニア臭で、サーシャは確信に至った。
「おしっこ、漏らしちゃった?」
失禁である。
悪夢にうなされ、サーシャは寝ている間に小水を漏らしてしまっていたのだ。
顔を真っ赤にして、自分の痴態にショックを受けるサーシャ。
- 94 :
- 「嘘でしょぉ……やだあぁあ……私もう18なのにおねしょなんて……ううっ……」
情けなさ過ぎて、じわりと涙が浮かび始めた、その時。
「あれ……? サーシャ?」
「!」
聞き覚えの有る声で自分の名前を呼ばれた。
その声の主は、以前の殺し合いにおいて、サーシャが最終的には殺そうとまで考えていた人物の物。
声の方向に顔を向けると、やはり、そこには見知らぬ人間の少年と共に、その灰色の猫族のクラスメイトが居た。
「テト……?」
◆◆◆
城内を見回っている最中、テトと小鉄は女性の悲鳴を聞いた。
間違い無く城のどこかからであった。
落ち着いて休み、及び放送を聞く為、二人は悲鳴の元を確認する事にした。
殺し合いに乗った人物と遭遇した時の事も考え、テトは小鉄から受け取った小型自動拳銃、ローバーR9を、
小鉄はテトから受け取った小刀、ドスを装備している。
「ここかしら……」
そして二人はとあるホールの中に入った。
相変わらず荒れ果てた部屋で、壊れた棚等が放置されていた。
その中に、テトは見覚えの有る姿を発見する。
「あれ……? サーシャ?」
クラスメイトの、紺色のハーフ猫族の少女、サーシャだった。
向こうもこちらに気が付いたようで、驚いた様子で顔をこちらの方に向ける。
「テト……?」
「ねーちゃんのクラスメイトか?」
「そうよ……さっき、悲鳴が聞こえて……貴方?」
「こ、来ないで!」
近寄ろうとしたテトをサーシャが拒んだ。
テトはサーシャが自分を警戒しているのだと最初思ったが、すぐに別の理由だと分かった。
サーシャから、アンモニア臭が漂ってきていた。
「……あれ? 何か、おしっこくさ……」
「やめてぇ! やめてよぉ……」
「……サーシャ、貴方……」
「うっ……うっ……ううぇええん……」
知られたくなかったのだろう、崩れ落ちてサーシャは泣き始めてしまった。
テトと小鉄は困惑気味で、しばらく立ち尽くしていた。
- 95 :
- 【早朝/E-5廃城】
【テト@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、困惑
[装備]ローバーR9(6/6)@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター
[所持品]基本支給品一式、ローバーR9の弾倉(3)
[思考・行動]基本:今の所は殺し合う気は無い。
1:ええ……。
2:小鉄君と行動する。
3:太田達及び貝町ト子は殺してやりたい。ラトは複雑。他のクラスメイトについては保留。
[備考]※本編終了後からの参戦です。
※超能力の制限については今の所不明です。
※参加者のラトが自分が蘇らせたラトでは無い事に直感的に気付いています。
※大沢木小鉄が自分とは別世界の人間だと判断しました。
【大沢木小鉄@漫画/浦安鉄筋家族】
[状態]健康、困惑
[装備]ドス@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:殺し合いには乗らない。のり子達を捜す。
1:ションベン漏らしてるぞこの青い猫のねーちゃん……。
2:テトのねーちゃんと行動。
3:俺達、生きて帰れるのか?
[備考]※少なくとも「元祖!」にて金子翼登場後、彼と親しくなった後からの参戦です。
※テトが別世界の人間だと言う事を、余り理解出来ていませんが、何となくは分かったようです。
【サーシャ@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]身体中汗で濡れている、失禁、恥辱、嗚咽
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:死にたくない。
1:……。
2:クラスメイトの事は気になるが今は保留する。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※油谷眞人の容姿は把握していません。
《支給品紹介》
【ドス@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
小刀。元ロワにおいて倉沢ほのかに支給され海野裕也と北沢樹里の殺害に使われた。
- 96 :
- 投下終了です。
もっと過激なSS作りてぇなどうすっかな〜俺もな〜
- 97 :
- 第一放送投下します。
- 98 :
- 50話 第一放送
午前6時。朝日がバトルロワイアルの会場を照らす。
会場の至る所に設置された特別製のスピーカーから、放送開始を知らせるチャイムが鳴り響き、放送が始まった。
『えー、ン゛ン゛ッ、現在生き残ってる方々、どうも、お久しぶりです。じゅんぺいです。
えー、午前6時となりましたので、第一回放送を開始したいと思います。
まず、禁止エリアから、発表します。
午前7時より、A-6、B-3、C-1、F-5。
繰り返します。午前7時より、A-6、B-3、C-1、F-5の四つのエリアが、禁止エリアとなります。
間違って入ってしまい、首輪が爆発したりしないように、ご注意下さい。
では続いて、現時点での死亡者を発表します。
愛餓夫
AOK
青砥日花里
アルジャーノン
壱里塚徳人
一般通過爺
INUE
ガオガモン
吉良邑子
倉沢ほのか
グリフォモン
ケルベロモン
シロ
鈴木正一郎
土井津仁
西川のり子
野原しんのすけ
フーゴ
レナモン
以上、19人です。
残りは33人となっております。
我々の主が、非常に良いペースだと喜んでおり、ました。
ので、この調子で生き残っている皆様、ン゛ッ、更に奮闘して下さい。
それでは、次の放送は昼の12時になります。
これにて、第一回目の放送を終了致します』
放送終了を知らせるチャイムが鳴り響き、会場は再び静かになった。
【残り 33人】
- 99 :
- 投下終了です。
- 100 :
- 投下します。
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まどかの原作者です。
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