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冷製野菜のコンソメゼリー寄せパスタ


1 :2012/09/05 〜 最終レス :2016/02/21
美味しいよ。
是非いらっしゃい!

2 :
んまそうだ。

3 :
具は何を入れるの?まさか、女子二人で食べるのかな?

4 :
ヤングコーンとアスパラって書いてあった。
どうだい?

5 :
まだ見つけられん連中が、、、どんだけばかだよw

6 :
やっぱ、ヤングコーン、レタス。ハム、にんじん、etc 麺は細めんの
アテデンレ。

7 :
まだかよ?

8 :
あてでんれってなんだよ?どうせ書くならアルデンテじゃね?消防以下は来るなよ。

9 :
お店が繁盛してないね。
いっそM&Aって店名にしちゃえば?

10 :
上手いですね〜♪あ、「旨い」って書かなきゃいけないのかしら?
さあ、992まできていますけど、あたしがパート2スレ立てしてもよいですか?

11 :
是非お願いします。

12 :
その頃恭介は
「う〜ん…」
「目、サメタ?」
恭介は目をこすりながら辺りを見回す。
白い壁に囲まれたワンルーム。装飾品の他に衣装棚や壁にかけてある衣装
鏡やポスター…まるで女の子の部屋。化粧の匂いがすこしきつい。
「ほら、これノンデ。ダイジョウブヨ、何も入ってないから。」
恭介は手を後ろに縛られ、口にはさるぐつわをされている。
「騒がない?約束してくれるならホドイタゲル。
まあ、大声出したらひっぱたいてまたしばっちゃうけど。」
取り敢えず、ここは頷いて外してもらうことにした。
「はい。」
屈強の男2人に挟まれ口と手を自由にしてもらった。
ティーポットからウーロン茶が注がれ、彼女はすする。
恭介にも注がれるが手を付けない。
「飲まないの?」
「砂糖が…シュ…シュガー?」
過度の緊張を強いられたせいか、甘いものを欲しくなる。
「エ?…ぷっ!」
彼女は吹き出して、呆れたように棚からシュガーポットを持ってきた。
砂糖を混ぜ恐る恐る口にする。朝から何も口にしていなかったから
やけに美味しく感じる。しみじみと味わっている。
そんな「人質」の姿をメイファンは不思議そうに眺めている。
(ニホンジンはお茶にシュガーを入れるの?)

13 :
再開!
再会!
謝謝!

14 :
美味しそうに飲んでいる恭介を眺めながら、監視役の2人の男に部屋の前で
待機するように命令する。男たちは躊躇するが、彼女は少し睨んで出るよう命令する。
やはり格が違うのか、彼らはすごすごと部屋から出て行った。
「シンパイしないでいい、ココアタシの部屋。」
彼女の部屋は、売春を上がりとするビルの中の一室で、組織が支配している。
彼女は客を取ることからはすでに引退し、今では組織の中堅幹部になっており
大陸から流れてくる女性たちの手配を主に扱っている。
大麻やヘロインはリンクラスの幹部が仕切る仕事になる。
メイファンは福建省の中流商家の3番目の娘として生まれた。
年頃になり、海外を夢見るようになって家を飛び出し、香港へとやってきた。
やって来たもののすぐに先立つものが底を尽き、知人も泊まる場所も無い。
街をブラブラして過ごすものの、お腹も減ってファーストフードの前を行ったり来たり。
そして、そこに声をかけてきたのがリンだった。
「オゴッテアゲヨウカ?」
さすがに長年ここを縄張りとして住んできたリンだけに、化粧も格好も洗練されている。
「住むとこないんでしょ?よかったら…」
1015
こうやって内地からやってきた子たちにやんわりと仕事を斡旋しているのであった。
そう、10年前のリン自身がそうであったように。
決して強用はしないけれど、どうせこの子たちが考えてることはお金を貯めること。
だったら、体を武器にするのが手っ取り早い。出来ない子にはそれなりの仕事を
与える。しかし、その子たちがより違法な行動に走らないよう、しっかり管理するし
薬物に手を出そうものならリンの容赦ないお仕置きが待っている。
リンはみんなを守っているつもりであった。だから、稼いだお金の管理もするし、
内いくらかは実家に仕送りさせている。お金が貯まった後のことの相談にも乗る。
よって、結束の強いファミリーが出来上がる。リンは幹部の愛人になり今の地位
まで上り詰めた。しかし、ここで雇う女の子たちには組織に深入りはさせない。
目処が立てば足を洗わせるのだが、メイファンは違った。
リンを姉のように慕っているし、何より度胸が据わっていて見所がある。
メイファンを慕う部下たちも出来だして、女性ではリンに次ぐ幹部になっていた。
よって、今ではリンがしてきた仕事を彼女に任せるようになった。
リンもいつかは足を洗わせなければいけないと思いながら、仕事がこなせて
間違いが無いので、今はメイファンの好きなようにさせている。
しかし、薬物に関する仕事は絶対させていない。それに首を突っ込むと
本当に抜けられなくなるから。

15 :
やっと始まったか。早く続きを。

16 :
1015ってなんだ?

17 :
番号じゃね?

18 :
そうかも知れませんね。考えたら今年で4年目ですもん。

19 :
地道っつうか、粘るっていうか、要するに暇人なんだろうな。

20 :
暇人しか来ねえよ。

21 :
心の病気なんだろうなあ

22 :
あっちがせっぱつまってっからこっちに引っ越しするか

23 :
ミニスレなくなった!誰かパート2作れ。

24 :
↑ 遅!

25 :
スレ立てされてる〜!なのに、スレチの方がいらして、入りにくいです。
ミニーリパートンはあたしも知ってるけど、リアルタイムじゃないしなあ。
どうしよう・・
ところで、スレ立てされたのは作者様ですか?
なんにしても、またまどかちゃんやあかねちゃんと会えそうでよかったです♪

26 :
恭介は彼女を前にしてひかるを思い出していた。
泣き黒子と年上であることを除けば、
まるでひかるちゃんとお茶をしてるような気になる。
「オイシイ?」
(何だよ!ふん!)
無視してお茶をすする恭介に顔を近づけ
「ネエ、ソレッテ…甘くない?」
彼女のうなじから甘い匂いがかすかに香った。
「美味しいけど…」ブスッとして他所を向く。
メイファンはタバコに火をつけ、ふ〜っと煙を吐くと窓の外を眺めながら
「アタシも10代の頃はここでお客取ってたんだけど、
ニホンジンに見初められてさ…
ナンドモナンドモ通ってくるの、ケッコンしようって。
で、いろいろ夢を描いたよ、ウブだったから。
 デモ、ソイツ、ニホンに奥さんもコドモもいたのよ。
 ホントは大好きだったんだけど…
       簀巻きにして海に放り込んだワケよ。」
ギョッとする恭介。慌ててお茶を吹き出しそうになる。
(こ、殺したの…?)
「あ、でもダイジョウブ。ホレタ弱みかなあ…
わざと港の漁師達がいるところに落としたから、すぐに助けられてた。
詫びに来たらユルシテあげようと思ってたんだけど
    あたしのショウタイを知ってアイツ日本に逃げ帰ったよ。」
煙を吐き出すと、ため息をついた。
「だから、あたし日本語できるんだ。」
恭介を見てちょっとベロを出した。
(そんなに怖い人に見えないんだけど)
黙ってお茶を飲んでいた恭介が尋ねる。
 「何で僕なんですか?なんで鮎川?一体…」

27 :
もう一杯。

28 :
グルグルグル…
言うのにつられるようにお腹も鳴った。
バツが悪そうにする恭介を見ながら
「オナカヘッタ?」
「別に!」
グルグルグル…
「プッ!あ、あははっ!」
メイファンは吹き出すとベッドの脇にあるモニターのスイッチを入れた。
しかし、そこには子分たちが聞き耳を立てている姿が映し出されている。
(頭悪いんじゃない?こいつら。)
メイファンはそっとドアの方へ歩むと、力任せにいきなりドアを開けたので
二人は思いっきりドアに顔面をぶつける格好になった。
彼女は二人を睨み付けると平手で二人の頭を張り、広東語でまくし立てた。
「この間抜け!!男にゃ飢えちゃいないよ!食事持ってきな!」
男たちは慌てて食事を取りに行った。
(ほんとにもう…)
振り返ると恭介がこちらを見ている。
彼女はハッとなって少し顔を赤らめた。
「あ、あの…」
恭介が声をかけようとしたその瞬間、いきいなり
ストン!!
メイファンの手からナイフが投げられると恭介の顔をかすめ、後ろの柱に突き刺さった。
気弱な彼をひと睨みすると
「舐めたことすると…ワカルヨネ?」
(あわわわ…!やっぱ、怖いひとだ!!)
ちょっと気を許しそうになった恭介は気を引き締め直した。
そして…メイファンも自分にくぎを刺した。
(こいつは商品。商品には手を出さない。)

29 :
住み分け?

30 :
日本では
春日家とあかねの一家は連絡を取り合う。
しかし、じいちゃん家とは連絡が取れなくなった。
もちろんパワーも使えない。
一族で横の連絡が取れるのは春日家とあかね一家だけである。
あかねの両親と隆は車で連絡の絶えた『里』に向かうことにした。
車内では『言い伝え』の真相で両親が言い争っている。
隆はお互いをなだめるばかりなのだが、二人の会話はエスカレートするばかり。
伝承をぼんやりと受け継いでいるだけで、実際どうなるのかは想像できない。
二人はパワーを使わずに穏やかな日々を過ごしてきた。
しかし、子供たちはお構いなしに使っている。
その都度咎めはしているけれど、なかなか言うことを聴かない。
そして、恭介とまどかの一件で時を移る騒動にまで至ったが、そこまでは
いつものこと。ただ、今までと違うのは、『移らなかった』ことである。
2度3度に渡って人々の心に修正が加えられ、時間にも空間にも大きな歪が
出来てしまった。別の時空からまどかがやって来たりもしたが、それも含め
てんやわんやの挙句、一族は何とか修正に成功したかに見えた。
それから約2か月の時が流れ、特に問題を起こすようなパワーを使うことも無く
皆はそれぞれ普通の人間らしい生活を送っていた。
それが、今頃になってパワーの消失。加えて2人の失踪。

31 :
明らかに…やり過ぎたかも知れない。
でも、なぜ今頃になって…?誰も答えを出せない。
こんな時に一番頼りにするじいちゃんたちに連絡が取れないことが、焦りに
拍車をかける。そして…3人を乗せた車も時空の歪に捉えられてしまった。
マンションには妹たちとあかね、そして一弥が集まっている。
「それがね、早川みつるが香港で見かけたって、アバカブに電話してきてさ。」
「二人とも?」
「ううん、まどかちゃんだけらしい。でも、ホントにまどかちゃんかどうかは…」
「恭介兄ちゃん、どこ行っちゃったんだろう?」
一弥が不安げに言うと、くるみが泣き顔で焦り出す。
「ねえ、何で力が使えなくなったの?おじいちゃんたちとも連絡取れなくなったし…」
「やっぱり…あたしのせいだ…」
さすがの一弥もシュンとするあかねを責める気にはなれない。
(それじゃあ…やっぱり、時の神様の『粛清』が…『粛清』が始まったの?)
ついまなみの心を読んでしまい
(そんなあ…)
一弥もべそをかき出した。
「ごめん…全部あたしのせいだ…」
うつむいてしまうあかねを正視出来ずに顔をそむけるまなみの目に
虹色の光が飛び込んできた。
「あれ!ねえ!みんな見て!」
マンションの窓の外には…見たことの無いいろんな時代の様々な景色が
コマ送りのように流れていた。
「なに?これ…」

32 :
悪あがき

33 :
あっちに書いたらこっちも書いてくれると思っていたのだが

34 :
話の展開が見えてこない。どこに持って行くつもりだ?

35 :
まだかいな

36 :
真鱈しい。

37 :
変な連中

38 :
もうすぐ3か月だが・・・・・???

39 :
その頃香港では
フロア奥の小部屋にまどかは閉じ込められていた。
ソファーベッド以外何もない。外からカギがかけられ、外には見張りの気配が。
どこを見回しても脱出できるようなところはない。
床にはトレイが置かれ、そこにはサンドイッチとパックのジュースが。
今のまどかには空腹感などなく、只々溜息しか出ない。
(何であたしなんだろう?こいつら何者?春日クンは?あかねは気づいてないの?)
どうしてこうなったのか全く解らず、強い焦燥感に襲われる。
ソファーに身を横たえて、今朝からの流れを追ってみる。
自宅前で拉致され、飛行機に乗せられ、今は多分香港に居るのだろう。
自分を襲った連中は、相当の手練れで、自分達とは住む世界の異なる連中。
パスポートも出入国手続きもないままここに居るということは、相手はかなり
大きな組織のよう。チャイニーズに白人も混ざっているし、日本語も流暢。
こんな事件はフィクションのお話のはずと、考えられないといえば考えられない事
なのだが、そういう自分もパワーを持った特別な人たちと現に交流している。
時空を超えた不思議な旅も経験している。

40 :
(どっちかって言えば、あたしの方がもっと考えられない経験してるよ。)
そう思うと、少し気が楽になった。
そのせいか、急に眠気に襲われる。薬でそこに追いやられるのとは違う感覚。
まどかは一日分の疲労と倦怠感に包まれながら眠ってしまった。
(きっと助けてくれるよね?春日クン…)
翌朝
ガチャ!
いきなりドアが開くと、二人の大柄な白人男とリンが入ってきた。
「起きな。」
(…)
まどかはリンを強く睨む。
リンは全く臆することなく、まどかの前まで進むと
「薬は嫌でしょ?」
「ええ!」
「じゃあ、大人しく言うことを聴いて頂戴。」
目で合図をすると、二人の男がまどかの両腕をつかんで部屋から連れ出した。
最初に連れてこられた総ガラス張りのフロアに連れて行かれると、ソファに
座るよう命じられる。そして
「今からある人を紹介するから…後はあんたが自分で答えを出しな。」
向こうの扉が開けられると、一人の白髪の老紳士が現れた。
鼻には酸素チューブを付け、付き人が酸素ボンベを引いていた。
後ろにはアルマーニを着込んだ屈強な白人を従えている。
紳士は少し笑みを浮かべるとこう切り出した。
「スマンが…あんたに頼みが…」

41 :
その頃香港のベイサイドにある高級ホテルにて
ルルルル!
部屋の電話が鳴ると、待機していたマネージャーが飛びつく。
「はい。…はあ。…え?はい。」
早川を手招きして受話器を持たせる瞬間送話口を手で塞ぎ
「みっちゃん、社長から。首を突っ込むなって!」
「何でだよ!あいつの危機を見過ごせるか!」
そう言うと受話器を取り上げ
「おじさん!い、いや、社長!何故ですか?」
「みつる。お前のそこの興業元のバックが絡んでるらしいぞ。」
「お、オレの興業元…バックって…まさか?」
地元事務所もその筋の組織と関係があり、それとなく探ると
それなりの情報が流れてくる。
早川の叔父にあたる社長は甥っ子の身を、そして今後を心配する。
「お前、それ以上首を突っ込むと、この世界で生きていけなくなるぞ。
 ここは警察に任せて、これ以上お前は…な?」
いまだに可愛い甥っ子が「彼女」に入れ込んでいることもよく解っているが
それ以上に彼が大変面倒なことに巻き込まれることを危惧している。
「社長!」
「頼むからわしの言うことを聞いてくれ。とにかく残りのコンサートが終わったら
すぐ帰って来てくれ。そしたら何でも言うこと聞いてやるから。」
一方的に言うと電話が切れた。
「おじさん!」
マネージャーが不安げに口を開いた。
「興業元のバックって…まさか、ここのマフィア?」
「だからどうしたってんだよ!『世界の歌姫』が危ねえんだぞ!こうしてられるか!」

42 :
ホテルの前にはきらびやかな「早川グッズ」を手にファン達が、一目でも早川に
会えないものかと待機している。日本じゃ少し落ち目だが、ここ香港ではいまだに
トップアイドルである。
しかし、ホテル裏口からジーンズに帽子を目深に被りサングラスをかけた男性が
後ろ座席に乗るベンツが出て行くと、あらかじめそれも読んでいたファンや
地元芸能記者、日本からの記者がその後を追いかけ始めた。
しばらくして…
ホテルの荷物の搬入口から一台のバイクが勢いよく飛び出していった。
早川は直接興業元の事務所に向かった。
香港島の摩天楼の一角にある事務所ビルに着くと、
ブウォン!
と一吹かししてエンジンを止める。
スタイルよくマリンブルーのシャツに上下白のスーツを着こなし、どこまでもカッコつけ、
フルフェイスを脱ぎ茶髪の髪をかきあげると、もう街中の視線が集まる。
颯爽と降りると、ビルの一階フロアから興業元事務所にエレベータで上がった。
透明ドアに興業元の事務所名が金で書かれ、その下には英語で書かれている。
自動ドアが開くとまずは受付に行く。
受付嬢は早川に気付くと、もう目がハートになっている。
「ねえ…あ、Mr. HOU Here? ミスター汪 ヒア?」
「Shi. 是…Yes。」
「Thank You.」
にっこり笑みを返す早川に
受付嬢の一人が自分の電話番号を書いて渡そうとするのを、もう一人が止めた。
別の意味で、自分たち社員も商品に手を出してはいけないのであるから。

43 :
フロアのソファにどかっと腰を下ろし腕時計を見る。
受付では何やら大声でボスに電話をしている。
現地ではとにかく人が話す声が大きい。賑やかというより騒がしい。
そんな雰囲気を横目でちらりと見るとタメ息をつく。
新人賞を取った時にご褒美に貰った数百万はするであろう時計を眺めながら
(アイツ大丈夫かなあ…)
まどかのいろんな表情を思い出している。
待つこと数分、受付嬢がやって来た。
「Please, follow me. ご案内します。」
奥の部屋に案内される。
コンコン。
「Come in.」
ドアを開けると『いかにもその世界のヒト』な汪氏が立ち上がって早川を迎えた。
近づく早川を大袈裟に抱きしめると、ポンポンと背中を叩く。
この人懐っこさがいろんな意味で怖くもある。
「ショーは絶対成功させるから心配は要らないね。」
「は?オレは…」
「大丈夫、大丈夫ですから。」
耳元で囁かれて、早川は慌てて汪氏の体から身を離した。
あらためて言おうと汪氏を見ると、笑顔なのに眼が自分を強く威嚇している。
早川の背筋に今までに感じたことがないような戦慄が走った。

44 :
どっちかって言えば、あたしの方がもっと考えられない経験してるよ。
って、まさしくそうだろ!w

45 :
確かにそうですけどね。でも、大きな気持ちで楽しみましょう。

46 :
(ホ、ホンモノだ…!)
汪氏は自分のデスクの上にあったタバコを取りに戻ると早川に勧める。
「い、いや、オレ吸わないから。」
彼が手で制すと、汪氏はニコリと笑って一本取り出すとライターで火をつけ
深く吸って他所を向いて煙を吐き出し、
「そうね、歌う子は吸わない方がいいよね。」
ちょっと頭を搔く仕草をして笑い出した。
(何だよ!バカにしてんのか?…?…!!)
思わず息を呑んだ。
(タバコの匂いが違う!覚えがある!)
売れ出した頃、入り浸っていた『クラブ』で先輩に勧められたことがあるけれど
利口な早川はそこは頑張って思いとどまり、以降彼らとの間に一線を引いた。
(た、い、ま?真昼間から…!)
商品を薬漬けする手口もある世界。
その最前線に飛び込んだことが、若さとは言え恐ろしい。
(ここは日本じゃねえ!危ねえな…オレ。)
「Sorry!」
少しお辞儀をして言うと部屋を飛び出して行った。
日本の若者がバイクにまたがり去っていくのを窓から確認すると、日本の知人に
電話をかける。
「ああ、社長?今追い返したよ。え?秘密だよ。ワハハハ!」

47 :
汪氏が吸っているのはクセがあるがれっきとした現地のタバコであった。
ただ、その匂い故敬遠されるのだが、汪氏はわざと利用した。
何より、汪氏も巻き込まれるのはゴメンなのである。
地元マフィアとは持ちつ持たれつの関係ではあるが、何事も深入りはしていないし
してはいけない世界なのである。
だから、早川の身を案じて日本から先手を打って連絡があったのも頷けるし、
汪氏自身も関わりたくないのが心情なのである。
早川は情報源を断たれたかに思えたが、実は受付嬢にボスが懇意にしている
『知人』の居場所を訊き出していた。
(やっぱりそこか。まあ、噂では聞いてたけど…)
取り敢えず手がかりを得るためにバイクを走らせた。
そびえ立つタワーの群れ。
どれも見上げると首が痛くなるくらいに高い。
全面ガラス張りで、そこに周りのビルが映る摩天楼。
さらに間を抜けて行くと、自然におおわれる山の中腹に豪邸が点在するのだが
その中でも一際異彩を放っている立派な豪邸が佇む。
塀際の監視カメラがあちらこちらを睨んでいる。
1階は面前に遮る建物がない総ガラス張り。
2階も山の斜面を利用するかのような総ガラス張りになっており、
大仰な玄関には時々「若い衆」の姿が見える。
そして、この2階奥にまどかは囚われていた。

48 :
老紳士が切り出した。
「君のご両親は…なかなか…手ごわくてね。
私たち…とは相いれない人たちが…『うしろ』についている。
  だから、申し訳ないが…直に君に
…来てもらうしかなかったんだよ。」
息が苦しそうに途切れ途切れに語ってくる。
まどかはリンを睨んだが、知らん顔してタバコをくゆらせている。
そんなリンに、タバコを消すようボスが促した。
小声で
「この方は癌なんだよ、胸の。」
耳に入ったのか、紳士は笑って要らぬ気遣いとばかりに
「もう遅いよ。ワシはもう1ヶ月と…持たん…だろう。
だから、最後に…孫の…」
ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!
咳込み出した。
手に持ったハンカチで口を覆いながら、ひとしきり咳込んでいる。
付き人達が抱え背中をさする。
病気でやつれ哀れな状態なのだが、
それを遠巻きに香港マフィアが眺めている。
リンは慌ててタバコをもみ消し、ボスはしかめっ面をそむけている。
老人はスーツ姿のボディーガードに抱えられながら、
ようやく咳が収まると苦々しく口から離したハンカチを眺めている。
嗄れ声で
「あいつは馬鹿な奴だ。最低の孫じゃよ。
…だが、そんな馬鹿の名付け親でもある。
  このまま地獄に召される前に、もう一度あいつに
チャンスをやりたいんじゃ。」
一気にそう言い終わると、両脇を抱えられながらソファに座った。
まどかの両親は日本の警察だけではなく、世界中の政財界が、
さらに言えばその背後の「組織」が後ろ盾になっているだけに手を出せない。
もちろんそんなことは、まどかも両親も知る由はないのだが。

49 :
トウームレーダーのシーン?

50 :
今死期が近づきずつある老紳士は、ハワイでまどか達を襲った主犯の
祖父であり、元上院議員の中でも大物で知られる人物である。
主犯の両親はひたすら減刑の嘆願書を集めていたが、このままでは孫の
仮釈放を見ることなく天に召されるのは間違いない。
直接動くとバレるどころか、返って孫に迷惑がかかる。
そこで伝手を伝って香港マフィアにまどかと恭介の拉致を
頼んだのであった。
如何に昔の大物であっても、歳老いて死期の近づく彼に
手を貸すものは誰も居ない。
ましてや、一番恥ずべき行為である強姦未遂をした彼の孫のことでは…
死期の近づく者は概ね悟り、潔いものであるが、
彼は最後まで見苦しい悪あがきを選んだ。
今の彼には巨額の財産だけがあり、それを裕福な娘夫婦に譲り渡すより
不出来だが『可愛い孫』のために無駄使いする道を選んだ。
自分の命ごと…
「頼むから、あんたの方から…(訴訟を)示談に…」
ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!
また咳込み出した。
ヒューヒューと高い音と激しい咳が繰り返される度に死臭が漏れてくる。
老紳士の付き人以外、広いフロアにいる誰もが嫌な顔をしている。
ボスが別室に『お連れする』よう促すと手下の物たちが近づくのだが、
アジア人を蔑視しているお付の連中が触るなとばかりに手を広げる。
それまで黙って見ていたサングラスの男が動きかけたが、ボスは制した。
まどかを殴りつけた男である。キレやすく危ない。
手を貸してやったのに、奴らの『金で雇ったチャイニーズ』という体が
火をつける。

51 :
ボスはそのまま別室に移る老紳士を眺めながら、
子分たちにはもう手を貸さないよう指示した。そっとしておけと。
あくまでビジネスなのである。そこには人種も宗教もない、
組織の勢力を拡大するためのマネーが入るかどうかだけが
重要であり、ビジネスが守られるか否かが重要なのであった。
成功させれば評判を崩さず次の依頼が来る。
そうやって、資金を集め、ばらまき、香港の裏世界を
牛耳ってきたのである。
場合によっては同志も裏切る。
政府の手先になることもあるし、弱みも握る。
実にしたたかなのである。
オマエに任せたとばかりにリンを見やるとサングラスの男を連れて
部屋を出て行った。
次のビジネスが待っている。そして、別の愛人も。
まどかは今自分がここに居る理由がやっと理解できた。
(でも…恭介やあかねや…助けてくれるよね?)
リンは壁のエアコンを思いっきり強にするとまたタバコに火をつけた。
部屋にこもった老人の臭いをエアコンの強風とタバコの香りでかき消すよう
何度か大きくタバコを吸って、イライラした気を落ち着ける。
醜い老人の姿がたまらなく嫌だった。
ツカツカとやって来ると、ソファに座るまどかの目線に合わせて顔を近づけ
「もう解ったでしょ?
  あんたが目の前にある示談書にサインをすればいいことよ。
   それだけですべて解決。何にもなしよ。」

52 :
なるほど〜、まさかのハワイ繋がりだったんですね♪

53 :
ここまでされて  
(何にもなし?)
猛烈な怒りがこみあげて
「誰がするもんか!」
すごい形相のまどかが大声で怒鳴った。
リンはうんざりした表情でまどかを見下ろすと
「…だから〜、あの爺さん、全財産使ってあたしたちを雇ったのよ。解らない?
 あんた『達』のこと、いつから見張ってると思ってるの?」
「え?」
まどかはドキッ!とした。
ハワイ以降のいろんなことを知っているのか?リセットは?
瞬時に思いを巡らせる。
「あんたのボクちゃん…カスガクンだったっけ?彼も来てるのよ。
 あんたがサインをしやすいようにね。」
(まさか?恭介が捕まる訳ないじゃない!パワー持ってんだから。)
「でもね、一つ解らないことがあるのよ。あんた、何人姉妹?戸籍じゃ2人よね?」
(何言ってるの?)
「ず〜っと観察してたんだけど、どーも3人いるのよねえ…」
(ということは…『まどかさん』がこっちに来てた頃から…リセット後?気付かなかった。)
「でも、あなたが『鮎川まどか』本人であることは間違いないみたいだし、
あんたが『言っても聞かない』強情な性格も解ってんの、こっちは。」
(そういえば、まどかさんの一件以来パワーを使うの止めてたものね。だからこいつら
 恭介やあかねのパワー知らないんだ。…でも、こんな時こそパワーを…?)
「何考えてんの?あんたが強情張ると、『カスガクン』死ぬよ。」
「え?んな訳ないじゃん!!」
大声で怒鳴り返したその瞬間
バシッ!
いきなり頬を張られた。
まどかの白い頬に真っ赤な手形が付いている。
リンが顔で合図すると、手下が電話を持ってきた。

54 :
結局昨夜は食事を拒む恭介を脅しながら粥を食べさせ
そして、聞かれてもない身の上話を語りながら過ごしてしまった。
恭介は自分たちの過ごしている平和な日本とはまるで異なった世界で
世界のどこかを確実に動かしていている組織があることを知った。
同時に、生い立ちや境遇も日本人とはまるで異なることを知り、
自分がエスパーであることを忘れ話に聞き入っていた。
ここら辺が、恭介の何とも間抜けで可愛い点でもあるのだが…
空腹が満たされるとメイファンの一人語りが子守唄のように聞こえてしまい
うつらうつらと眠ってしまう恭介に、
「ねえ、聞いてんの?…ねえ…」
いつのまにかメイファンも眠ってしまった。
ルルルル…ルルルル!
(姉さんからだ!)
慌てて起きた自分が…何も身に着けていないことにギョッとする。
「あれ?あ、あたし…やっちゃった?」

55 :
まどかは殴られるか殴るか極端だな。

56 :
まどかちゃんが荒れないか心配だ〜。

57 :
童貞喪失

58 :
慌ててガウンを羽織ると電話に飛びついた。
「もしもし、あ、姉さん?…え?あ、え〜っと…気失ってる。…随分『いじめた』から。」
メイファンは嘘をついた。下着一枚で眠っている恭介を起こさないよう
無意識に小声になってしまう。
そんな様子にリンは
(メイの奴…手を付けたな?)
少し気を取り直して
「叩き起こしな!『こいつ』言うこと聞かないから。」
メイファンは迷った。そして気を取り直すと
「ちょっと待って、姉さん。」
そう言うと、大声で
「おい!いつまで寝てんだよ!起きな!」
うつらうつら目を覚ます恭介。
メイファンがこっちを見て大声で叫んでいるのだが、
でも、顔は申し訳なさそうにしている。
メイファンは電話口を塞ぐと
「起きて。電話に出て。お願いだから。」
恭介に頼んで受話器を渡した。
ベッドに腰掛けぼーっとしながら、電話に出る。
「はい。なに?何でこんなこと…」
「あんたの声が聞きたいんだって。」
そう言うと、「ほら。」まどかに受話器を持たせた。
「もしもし、春日クン?春日クンなの?」
「鮎川!何で?俺…」
「パワー使って!お願い!!」
「それが効かないんだ!全然!…まどか!」
いきなりメイファンが受話器を取り上げた。
やきもちに似た気分。
「春日クン?恭介!きょう…」

59 :
まどかも受話器を取り上げられた。
上から見下ろしながら睨むリン。
「解った?あんたが返事をしないと、その度に彼の指が折られることになってるの。」
(!!…)
悔しい。悔しくてしょうがない。何で示談なんか!
でも、恭介も捕まっているのが解った。
そしてこいつらは殺しでもなんでも平気でやる連中なのも十分解った。
(パワーが効かないって…どうしよう?どうしたら。)
戸惑っているまどかにイラつくリン。
さっきから老紳士の醜い姿を思い出す度に反吐が出そうであった。
経緯を知っているだけに、お金のためとは言え、こんな仕事はうんざりする。
ましてや、脅している相手は何の非もない少女と少年。
大きくも無ければ手ごわくもない相手に、自分たちの総力を投入している。
「ちんけ」な仕事を押し付けるボス。そして彼は別の愛人の元へ。
こんな仕事に巨額の資金を投じた醜い老人。
お金だけでビジネスを受け、数か月かけて仕組んだ罠。
しかしよく見ると、罠にかかったのは自分に敵意を露わにする『小動物』。
全く大義の立たない仕事だが、これも自分の仕事と割り切ろうとする。
さっさと終わらせたい。
「折りな!」
電話で命令する。
「止めてー!!!止めてー…止めて!!」
ヒステリックに叫ぶまどか。

60 :
なんかあっちにカキコミするの、嫌になっちゃいました。
せっかくまどかちゃんに会えても、グダグダにされるんですもん。

61 :
あっちが落ちたんでね。仕方なくこっちに来た。

62 :
は〜〜〜〜〜・・・・・

63 :
誰かパート3作ってください。

64 :
やっぱ来たか。

65 :
しょうがないな、立てるか

66 :
早く立ててよ

67 :
ばいがんそ?

68 :
バイトくんじゃね?どちらにせよ、早よ建てろや!

69 :
あほか〜、なんでそうイキんねん?

70 :
こっちに書くのよそうぜ。

71 :
だったら早く作ってください。

72 :
スレ汚し

73 :
盆休み前だからか?
やたら元気がいいのだが、やっぱ
休み前はテンション上がるし

74 :
どうせ盆の間は過疎るんやから心配すな。

75 :
あっちに立ててやったからウザオタはもうこっち来んな!
で、作者は頑張ってくれ!

76 :
腹が減ったぜ。お?あっち?

77 :
お盆はバイトがないから辛いす。

78 :
あ、スミマセン。あっちですね。

79 :
7月3日から途絶えてます。

80 :
そろそろ再開されんじゃね?

81 :
電話口からも聞こえる。
(そんな…)
メイファンは躊躇う。
暴力にモノを言わせる仕事は山程こなしてきた。どれも法に触れる。
しかし、あまりにも急過ぎる。
いつものリンのやり方ではない。
恭介を見ると慌てて服を着ている。
メイファンは受話器を片手に、もう一方の手にナイフを持ってドアを塞ぐ。
「逃げられないよ、ほら。」
ナイフでモニターの方を差すと、ドアの前には子分が二人映っている。
恭介は服を着終わると諦めたようにどかっとベッドに座った。
その姿を見て
「姉さん…」
そんなことしたくない、祈るような気持ちで受話器を握る手に力が入る。すると
「ちょっと待った。」
リンはまどかを見ると…気丈な彼女がボロボロと溢れるように涙を流している。
悔し涙、悲しむ涙、そして…恭介に酷いことをしないで欲しいという懇願の涙。
「お願い、止めて…サインするから。」
観念するしかなかった。
そんなまどかを「ふふん」とさげすむように笑うとペンを渡した。
「書きな。日本語でいいから。…会いたいかい?」
涙をぬぐいながら頷くまどか。
テーブルの上のナプキンを渡すと、電話先で命令を躊躇するメイファンに
「もういいよ、連れといで。」
そう言って電話を切った。
リンにとっては、大がかりな仕掛けの割につまらない仕事であった。
(こんな小娘相手に…)
もう、悔しいとか、屈辱とかどうでもよくなった。
一刻も早く恭介の無事を確認したい。
恭介と会いたい。
恭介を抱きしめたい。
いきなり
ガッシャーン!!!

82 :
ガラスが派手に割れる音が階下から響いた!
ブウォン!!ブウォン!!ブウォン!!ブウォウォーン!!
ガタガタガタ!!
ブウォン!!ブウォン!!ブウォン!!
派手な音とともに、部下たちが慌てる怒鳴り声が聞える。
パン!パン!!
ドア越しに銃声が聞こえる。
「ここで撃つんじゃないよ!サツに踏み込まれるだろうが!!」
広東語でまくしたてるリン。
ブウォン!!ブウォン!!ブウォン!!ブウォウォーーン!!
バンッ!!
ドアがぶち破られると同時にすごい勢いでバイクが突進してきた!
2階フロアに入るやその場で大きくアクセルターンを繰り返す。
後輪の激しい回転がフロアのマットを激しくこすり、部屋中にもうもうと煙とが立つ。
床の一部が焦げて炎を上げ出した。
「鮎川!!」
(え?早川?)
フルフェイス越しの声で判った。
「鮎川!!乗れ!」
早川は屋敷の前に着いた途端、まどかの叫び声を聴いてしまった。
『音楽家』である早川の耳がまどかの声を聞き逃す訳がない
何の躊躇もなく突撃してきたのであった。
奥から付き人の白人が銃を出して飛び出してきた。
瞬間、まどかは顔面めがけペンを投げつけると、それは奴の右目に深く刺さった。
思わず床に発射される銃発。
騒然とする中、『昔の感』ですかさずナプキンを拳に巻くや
目の前で呆然とするリンの鼻っぱしらを力を込めて思いっきり殴った。
鼻と歯が折れ血を吹き出し昏倒するリンの髪を思いっきり掴んだ。
自らチャイナドレスの裾を思いっきり引き千切ると白く長い脚を出してバイクにまたがり
「GO!!」
ブウォン!!ブウォン!!ブウォン!!ブウォン!!ブウォーン!!!!
ウィリーしそうな勢いでバイクは飛び出して行った。
「ギャー!!」
わしずかみにされた髪を引きずられるリンの悲鳴が響き渡った。

83 :
まだかね?

84 :
まだみたい。

85 :
早くしないと今年が終わるぞ。

86 :
部屋中凄い煙と、そしてあちらこちらに炎が立ち、部下たちは騒然となる。
バイクに引きずられていくリンを部下たちは止められない。
片手でバイクのシートベルトをしっかり握り、もう片方も離さない。
飛びかかってくる子分たちを、いつの間にか手にしていた花瓶を振り回して
寄せ付けない。
バランスを取れずによろけながらも勢い付けて階下へと進み、屋敷を飛び出した。
リンは相当引きずられ、あちこちにぶつけた足は血まみれになっている。
まどかが握る手にも血ノリがべっとり着いている。
引きずられる髪の毛の一部がむしりとられ、そこから出血している。
リンはまどかの手を離そうと掴みかかるが、その度に引きずられ腰から下を
したたか地面にぶつけている。
そんな状況をチラチラとミラーで確認しながら
「もうよせ!離せ!逃げが先だ!!」
「恭介も捕まってんの!!だからこいつが人質…」
「えええ??」
ミラー越しにまどかを見た瞬間!

87 :
キッキーー!!!ドーン!ガッシャーン!!
目の前に飛び出してきた黒塗りのベンツにぶつかった。
ボンネットの上を転げるように向こうに落ちる二人。
老人の死の知らせを受け、ちょうど戻ってくる最中、騒動の連絡が入った。
運転手は車を降りると呻き声を上げているリンに駆け寄る。
後部座席のボスは車から降りることなく、無残な姿のリンを眺めている。
助手席からは黒のサングラスの男が出てきた。

88 :
まどかは起き上がり辺りを見渡すと気を失っている早川の姿が。
脇にヘルメットが転がっている。
気付くと手に鋭い剪刀を持っているサングラス姿の男が。
(こいつだ!)
喉元に突き付けられたひんやりした剪刀の記憶。
飛行機の中でも無抵抗の状態で酷い暴力を振るわれた。
一時期は「荒れていた」まどかだけに、相手のレベルを察知する。
(敵わない…これじゃ大人と子供だ)
たじろぎながらどこか隙が無いか目だけを動かす。
そんなまどかを『気』だけで押さえつけながら、奴がゆっくり歩いてくる。
屋敷の方からも数台の車が向かってくるのが見える。
それに重なるように向かってくる小さな影が…

89 :
シャーコシャーコシャーコ!
(…?)
「このやろォ〜〜〜〜!!」
気付いて男が振り返ると、いきなりげんこつが飛んできた。
サングラスが割れ、左眉から血が噴き出す。
(ええ?先生?)
ず〜っと屋敷前で張っていた小菅先生が自転車で突進してきた!
ガッシャーン!ズザササー!
男にげんこつをくらわせると、自分も自転車ごともんどりうって投げ飛ばされる。

90 :
男はサングラスを外すとかなぐり捨てて刃向った相手に剪刀を振り上げた!
それを見て失神しそうになる先生に、身を挺するように
とっさに転がっていた早川のヘルメットで応戦するまどか。
ガツン!!
思いっきり振り下ろした剪刀がヘルメットを割るように挟まった。
「鮎川!!スマン!!」
「こっちこそ!!」
まどかは力任せにヘルメットを捻じると、男の手から剪刀が奪われる。
まどかは『ニヤッ』とした。

91 :
本領発揮!面白くなってきた。

92 :
静観ヨロシクお願いします。

93 :
さあ、反撃開始!!
男は血が流れ込む片目を抑えている。その手をさらに血が伝って流れている。
明らかに左目の視界が遮られている。
これで互角。飛びかかるまどかに鋭く蹴りを入れる男。
まどかはかわすと、その足を掴み捻じり上げる。
しかし、ヤツはくるっと一回転してまどかの手をほどくと、拳を打ち込んでくる。
まどかは、男のやられている目の方へ回り死角に入ると、抑えている腕をつかみ
自分も身をひるがえす様に奴の腕を捻じり上げる。
捻じられる腕をほどくように身を翻そうとする男に
(ヨシ!!)

94 :
それこそ、まどかが仕掛けた罠であった。
男が回る瞬間を見計らったように、すかさず真逆に思いっきり翻ったものだから、
男の手首と、肩の関節が外れた。
激怒した男は片腕はだらんとしたまま、もう一方の手で拳をまどかに打ち込んでくる。
今度はまどかが優位に立った。

95 :
リンを残したままいきなり目の前のベンツが発進した。
屋敷から追って向かってきていた車もそれぞれが別方向に逃げ出している。
麓にはおびただしい数の青く光る回転灯が見えている。
小菅の連絡を受けていた地元警察が大挙してパトカーで押し寄せて来ていた。
証拠なしに家宅走査が出来ず、幾度となく煮え湯を飲まされ続けてきたが、
今回の一件で思いっきり踏み込む待ちに待ったチャンス到来。
屋敷には老人の遺体と、銃を持つ連中がいる。ブツもある。
山程の証拠を残したまま、取り敢えずボスは一旦逃げざるを得ないのであった。

96 :
一方、目が覚めた早川と小菅先生は、まるで映画のシーンのように繰り返される
まどかと男の激闘に、ただただ唖然と見入っていた。
濃紺のチャイナドレス姿のまどかと、黒服のカンフー男の激闘が続いた。
まるでアクション映画かCGゲームのような光景が続く。
打ち込まれる拳をかわす隙に男の蹴りがまどかの腹にヒットした。
うずくまるまどかの顔面めがけもう一度蹴りが打ち込まれようとした瞬間、
側に落ちていたヘルメットを投げつけるや、道が坂であることを利用して
片手で宙返りすると男との間に間合いを取った。

97 :
(小娘!何てヤツだ…)
まるで曲芸のようなマネをするまどかに「プロ」が手こずっている。
女相手に銃を使うのはプライドが許さないが
(しょうがねえ。これで脅してここは一旦退散するか。)
ズボンの裾に隠したピストルに手をやろうとした瞬間、目に血が入る。
少し屈んで手を降ろそうとしながら、またすぐに目を押さえようとした
『ほんのわずかな隙』をまどかは見逃さない。体が勝手に反応する。
彼女の長い髪がなびいた瞬間、あっという間に間合いを詰められ、
男が慌てて手を離した、まさにそこをまどかに撃たれた。
バチン!
眼球が弾ける嫌な音がした。
(あわわわ…)
ひるむ男のもう一方の腕を捻じり上げると肩の上に体重をかけて
肩関節を脱臼させ、上半身の機能を麻痺させた上で素早く
後ろから腕を頸に回し、完全に「とどめ」をさそうとしている。
(うわっ!うわっ、うわっ!へし折る気?)
あまりにも壮絶な展開に、早川も先生も腰が抜け声が出ない。
「止めな!」

98 :
一気読み

99 :
年越しですか?

100 :
ゴキッ!
静止が効かなかった…
鈍い嫌な音と共に男の頭が『あらぬ方向』に向いてしまった。
白眼を剥いて崩れ落ちる男の体を突き倒し、声がした方を睨むと
そこには呆然と自分を見ている恭介の姿が…
声の主はメイファンであった。手にはピストルを持っている。
屋敷から連絡を受け、恭介を連れて来たばかりだった。
(?…あたし!!ひかる?何で春日クンと…?)
恭介たちを見た瞬間、まどかに獲り付いていた「鬼神」がスッと離れ
彼女は崩れるように膝をついて倒れた。
鬼神と化した自分を見られた。
(あたし…化け物だ!)
まどかはわなわなと振るえながら恭介から顔を隠した。
(!!)
その倒れた向こうからピストルでまどかを狙っている血だらけのリンの姿が…
その銃口の延長線上に恭介がいることに気づくメイファン。
(危ない!)
メイファンは咄嗟に恭介をかばったが、同時にリンの銃口から弾丸が発射された。
ぼんやりとした視界の中で崩れる落ちるメイファンを見つめながら
(ゴメンな…メイ…)
リンは自分の頭を撃ち抜いて『けじめ』をつけた。
まどかは蘇る光景にわなわなと振るえている。
恭介が抱えているのは…正しく『ひかる』だった。


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