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【ライダー・戦隊】スーパーヒーロータイム!【メタル】2


1 :2012/06/06 〜 最終レス :2018/12/22
『仮面ライダーフォーゼ』好評放送中。
視聴しながら、「俺だったらこうする!」なんて創作魂に火をつけた人もいるのではないでしょうか。
 SSでもイラストでも!
 オリジナルでも二次創作でも!
 設定妄想だけでも一発ネタでも!
 お前のヒーローが嵐を呼ぶぜ
前スレ
【ライダー・戦隊】スーパーヒーロータイム!【メタル】
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1283681093/l50

2 :
21話@
「『鬼』という言葉自体はそう古いものではない」
 卜部京也はとある喫茶店で、水を啜りながら山下山男へそう切り出す。
 仮面ライダーネメシス第21話「潰されたスラッシュ」
 終戦直後の仮面ライダーによる人鬼虐殺を記した「レイモンドファイル」。
 だがその内容は、何者かに改ざんされた形跡がある。
 京也はファイルの存在に右往左往していた山下山男を呼び、その旨を伝えると同時に「鬼」に関する蘊蓄を披露していた。
「疫病や天変地異といった災厄。古代人はその災厄に原因を求めた」
 求めた、という表現に山下山男が食いつく。
「その災厄を古代人は望んだ、という事か?」
 京也は僅かに苦笑し、
「災厄の原因を究明したかった、という事です。しかし、例えば疫病にしても、当時の人々に病原菌を発見できた筈がない。発見できないのは『いない』と同義だ。災厄の原因は不明。しかし原因、つまり犯人は確実にいる。『いる事を望んだ』わけです」
 コーヒーへ口を移して京也は続ける。
「彼らはここで、悪意を持つ超常的な存在が現れたと解釈する。理解できない力を持つ者なら理解できない災厄をもたらすのも当然だと考える。彼らの中で解答は出た。そこで思考は停止する」
「ああ、その超常的な存在が例えば神の怒り、祟り、呪い、そして…鬼だと」
 頷きつつ京也は、珍しく饒舌な自分を興味深く見ていた。
 レイモンドファイルに誤りがあろうと、自分の家系が鬼と呼ばれる異常者を続けて産み出したのは事実。
 仮面ライダーになる前から京也は「鬼」という文化に興味を持っていたのだ。
 だから京也は、しかし、と付け加える。
「卜部の血筋に凶悪犯が多いのも事実。本人の性格の問題だけとは思えない。何らかの資質…凶暴化する因子が継承されるらしい」
 言って京也は、無意識に額を抑える自分に気付く。
 父親の付けた古傷。
 恐らく、父親もそうだった。
 この因子が発動した人間は正に「鬼」と呼ぶべき者になる。
 どうにも多面的だ。
 災害や疫病の比喩としての「鬼」もあれば、血や暴力を好む実際的な「鬼」もある。
 そして京也や卜部武政は実際的な鬼だ。
 嗜好を考慮すれば、父親もそうなのだろう。
 ちなみに、『鬼』という漢字の語源は中国。
 但し中国の『鬼』は幽霊や妖怪など、霊的な存在の総称であり、日本人の考える鬼とは意味合いが異なる。

3 :
21話A
「『オニ』という発音は『隠』が変化したものだと言われます。姿の見えない存在。また、人から隠しておきたい存在でもあった」
 何処かの暗闇。邪教、ザラキ天宗の本殿。
 彼らは横浜の博物館より、エジプトのミイラを奪取した。
 それを中枢に備えた無機的な機械を眺めつつ、高僧、董仲が過去を振り返る。
「我らが活動を開始したのは戦後間もなく」
 そしてそれ以来、董仲僧正は一切歳を重ねておらず、それは若くして律師の地位に立った玄達も同様だった。
「西洋文化は気に食わんが、我らの不老がこの秘薬により保たれている事は確かだ」
 言って董仲は、エリクサーと称される薬瓶を手に取る。
 フランスの怪人、サンジェルマン伯爵の産物。
 この秘薬にて不老長寿を得、六十数年間を待った甲斐があった。
 妖魔召喚システム。
 これさえあれば妖魔を何処へでも出現させ、自分達の意のままに操る事ができる。
「かつての妖魔一斉召喚は卜部武政に阻止された…だが今度はそうはいかん!」

 六十数年前、東京。
「フルンティングレイ!」
「スラッシュレイ!」
 スラッシュ、フルンティング。
 二匹の鬼が放つ時空衝撃刃が空中で激突する。
 だがスラッシュレイは、圧縮した時空間の密度でフルンティングレイを上回り、あっさりこれを突破してフルンティング本人に炸裂した。
 全身から鮮血を吹き出しつつ、爆発と共に転倒するフルンティング。
 自分の衝撃波が辛うじてスラッシュレイの威力を減衰させていたらしく、致命傷には至らなかった。
 しかし、傷が深い事には変わりなく、ライダーソードを携えるのもやっとの状態。
 その上、スラッシュは素早く間合いを詰めて腕に蹴りを見舞い、ソードを取り落とさせた。
 変身前の紳士然とした御杖喜十郎からは連想できないアクティブな戦闘スタイルだ。
「君の戦闘の核は刀。それを失えば君は無力も同然!」
 持ち主の手から離れたライダーソードは粒子化して分解した。
 勝ち誇るスラッシュ。
 だが、スピードではフルンティングも劣っていなかった。
 フルンティングは「昂鬼」の呪符をベルトに滑らせ、スラッシュの前で跳躍する。
「ライダーキック!」
 スラッシュに油断があった。
 フルンティング程ではないが、人鬼の中では比較的防御力の低いスラッシュ。
 思わぬ反撃に地を這った。

4 :
21話B
 その隙にフルンティングは「鬼刀」の呪符を用い、再び手にライダーソードを発生させた。
 だが、スラッシュレイによる傷は深い。
 スラッシュに刀を振り下ろそうとするも、逆にフルンティングが膝を折ってしまう。
「くそ…ライドリーフ!」
 時空断裂境界から出現した生体サーフボードは、暫しスラッシュの周囲を飛び回りこれを翻弄した後、フルンティングを乗せ何処かへ飛び去った。
「逃げても無駄だ。君の罪は仮面ライダーも把握している」
 誰がトドメを刺すかは重要ではない。
 仮面ライダーがフルンティングを倒すのも良いだろう。
 どちらにせよ、フルンティングという邪魔者が消える結果さえ得られればそれで良い。
 そう考え、スラッシュは御杖喜十郎の姿に戻りほくそ笑む。
「え、ニードルの仲間になるの断ったの?何で?」
 美月屋。茶葉が無いので白湯を武政に持ってくるキヌ。
「ニードル…大石君は悪い奴じゃない。ま正直オレもビビらせすぎたよ」
 しかし、大石はザラキ天宗の援助に尽力する事を喜びと捉えている。
 その彼と協力する訳にはいかない。
 大石は生粋の軍人だったのだろう。
 恐らく、彼自身も軍人である事に誇りを持っていた。
「でも日本は負けた。あんにゃろの信じてた神国の威光は叩き潰されて、奴は寄り掛かる場所を失った」
 これは完全に武政の憶測だ。
 しかし説得力があったのは、武政自身にも少なからず近い意識があるからかも知れない。
「だから協力もできないけど、敵だって断じる事もできないわけ?」
 キヌの問いに黙して頷き、欠けた茶碗の端を少し見て、思い出したように再びキヌを向く。
「あ、あとさ、しばらく夜道は控えてくれんかな」
 レイモンドの述べたバラバラ殺人。
 犯人の目星は付いた。恐らくはフルンティング。
 だが、確証が無い。
「だからオレと斎で交代しながら夜回りするから」
 恐らく、フルンティングの行動範囲はそう広くない。
 これまでの犯行は全て東京で発生している。
 ニードルはともかく、フルンティングは完璧な快楽殺人者。
 滅ぼす事に躊躇は感じない。
「夜遅くなるだろうし、戸締りしてくれて良いから。オレか斎かどっちかが倒すよ」
「そういう事じゃないでしょ?」
 虚を突かれた風の武政。
 キヌは憤りを隠せない。

5 :
21話C
「斎ちゃんがどういう存在なのか聞いちゃいけないって言われた。でも…見た感じ斎ちゃんはあたしより年下っぽいでしょ。そんなコに殺人鬼を調べさせる?そういう感覚がさ」
「良いの。キヌ」
 黙って都市保安団への報告書を書いていた斎が、漸く開口した。
「私は負けないから」
 買い物に行くから、程度の口調で言ってのける斎。
 彼女とキヌを見比べ、気まずそうに笑う武政。
「実利的ね、アンタたちは」
 嘆息し、キヌは帳簿の整理に戻る。
 この得体が知れない二人の身を必死に案じている自分がおかしかった。

 六十数年後。
 このところ見知った患者が多いので、京也は息を吐いた。
「まあ…かすり傷でも油断は良くない。良くないが…」
 凉ちゃんが三段ボックスの角に膝をぶつけたので病院に来た。
 心配だから斎もついてきた。
「これって治る?」
「二週間もすれば痕も残らん」
「先生って年収いくら?」
「君に心配される事じゃない」
「先生って改造人間とかなわけ?」
「ついでのように聞くな」
 診察室の外から会話の様子を伺う斎。
 言うまでもないが、凉ちゃんのかすり傷は名目である。
 実際は京也へ、変身について質問してみたかったからだ。
 しかし、京也自身が必要最低限の事しか話さないタイプなので、いきおい斎にとっては既知の情報しか上らない。
 そもそも斎は、京也の変身自体は彼の祖父が残した念珠によるものだが、それを示唆したのは自分であるという事をまだ凉ちゃんに伝えていなかった。
 聞き耳立てる斎は背後より肩を叩かれ飛び上がる。
 いつの間にやら看護師長、藤堂朝子が立っていた。
「あなたもよくよく暇なコだわね」
「あ、ご、ごめんなさい!凉ちゃんの診察が終わったらすぐ帰りますから!」
 ふくよかな頬を不気味に歪めて朝子が笑う。
 診察室のドアと斎を見比べ、斎に顔を近づける。
「で、どっちが卜部先生を狙ってるの?」
 このオバ…いやババ…女性、直球で聞いてきた。しどろもどろの斎。
「えっとですね、凉ちゃんは、あのただわたしを心配してくれてるだけで、でもわたしも卜部さんが好きとかそうゆう事じゃなく…」
 朝子はますます笑って、背後を通る看護師を振り返る。
「女から積極的にいかないと婚期逃すわよ?ねえ麗ちゃん」
「や、やめて下さい患者さんの前で!」
 王 麗華といったか。
 以前、斎を食堂まで案内した看護師だ。

6 :
21話D
 自分よりやや長身。
 顔つきが幼いので一見自分と同い年程度に見えるが、看護師である以上それは有り得ない。
「こういう綺麗なコでも婚期逃すんだから、早い内が吉よ?」
「まだ大丈夫ですってば!もお」
 先輩の朝子を軽く小突いて笑っているが、どこか常に落ち着きを保っている。
「淑女」とはこういうものだろうかと思った。
「ごめんなさいね、卜部先生って本当に仕事熱心だから、あまりお話できないでしょう?」
 病人でも怪我人でもない自分が本来なら頭を下げるべきなので、斎は先に頭を下げる麗華に戸惑った。
「いえ、あの別にそんな…」
 二人で妖魔に関する云々を話し合っているとも言えないので、続く言葉を失う斎。
「良いコなのにね、斎さん」
 カルテを胸に抱き、麗華は壁へ寄りかかる。
「卜部先生って、人の気持ちを察するのが上手くないのよ。先生自身が感情表現が下手だしね」
 斎はとりあえず頷く。
「多分、あなたにもそうなんじゃないかな。最低限必要な事を伝えて、無駄口は一切叩かない」
「よく…分かりますね」
 京也と会話する度に生じる空虚感はそういう事だったのか。
 斎は内心で膝を打ち、そんな京也が余計に心配になってくる。
「じゃあ卜部さんって病院でも…」
「浮いてるね」
 麗華に代わって朝子が応えた。
「必要事項は一片残さず報告する。無駄な事は一切言わない。ドクター同士の飲み会に参加しないどころか合コンにも行かない、他人に愚痴さえこぼさない」
 不言実行が過ぎて他の医師からは疎まれ、その無機質、機械的な風貌から看護師らからも敬遠されている。
「だからね、病院であの人と仲良しなのはあたしと麗ちゃんぐらいなもんなのよ」
 麗華は京也のストイックな人間性に共感し、彼とはあえて挨拶と仕事以外の話をしない事にしている。
 逆に朝子は年の功を活かし、未だ二十代の京也に母親気取りでしつこくお節介をやく。
 功を奏し、京也はこの二人には比較的好意的だ。
「それに、あたしはあの子と付き合い長いしね」
 自慢げな朝子。
 あの子、とは京也の事か。
 確かに朝子は京也より明らかに年上なのだが。
「あの子が額を切られた時からだから…もう17、8年ぐらいの…」
「朝子さん!」
 麗華にたしなめられ、思わず朝子は口を抑える。
 額の傷については禁句だった。
「ま、まあとにかく先生と仲良くしてあげて頂戴ね。麗ちゃん、103のお婆ちゃんにメルカゾール」

7 :
21話E
 まずい事を言ったという顔で、足早にナースステーションに戻る朝子。
 朝子が京也にお節介をやくのは分かる。
 だが、麗華は何故京也と同調しようと思ったのか。
 廊下を連れだって歩きながら、斎は質問してみた。
「そりゃあ…病院の仲間だもの」
 簡潔な解答。
 だから、麗華自身は京也に特殊な感情を抱いているわけではないのだろう。
 斎はホッとし、ホッとした自分が意外だった。
「じゃあね斎ちゃん。朝子さんも言ってたけど婚期は逃さないようにね」
 二階へ向かう麗華を見送る斎。
 この麗華という女性は、自分よりも遥かに多くの時間を京也と共に過ごしているのだ。
 そう考え、斎は心に前述とは異なる種類の妙な空虚感を抱いた。
 しかし、何故ああも婚期を気にするのか。
 まだ焦る年齢でもなかろうに。
 昼休み。朝子から来客の報を受けた京也は、自室のソファに陣取る御杖峻を見てまたも息を吐いた。
「…ミイラの件か?」
「てんてこ舞いだ。ミイラが盗まれた。エジプト政府が外務省に怒る。外務省は都市保安庁に怒る。そして、都市保安庁はおれに怒る。世界中の怒りを一身に背負った罪深きおれなのさ」
 口上は無視してコップに冷水を注ぐ。コーヒーを作る手間が惜しかった。
 しかし、峻は実際にてんてこ舞いだった。
 それこそ、曾祖父とザラキ天宗との関連性を調査する暇も無い程に。
 妖魔を召喚し思いのままに使役するシステムがテロリストの手へ渡ったのだ。
 この件はアメリカにも報告された。
 つまり、在日米軍が妖魔に対し武力行使する可能性が高まった。
「システムの所在を突き止めなくてはザラキ事件に米軍が干渉する…」
 一人ごちるように日本のイラク化を懸念する京也。
 対して峻は愛車、セカンドローチのキーを突きつける。
「というわけでだ京也。あの斎って女を貸せ。ザラキや妖魔を感知できるんだろう?ならシステムも発見できるかも知れん」
「断る」
 即答した。
 斎が事件の中核であろう存在だからこそ、事件に巻き込みたくない。
 峻は怪訝な顔をする。
 斎の力を行使すれば、事態は有利に動く筈だ。
 いつもは自分以上に機械的な判断をする京也が私情を挟む。
 挟んでいるように見えた。
「…京也、あの斎ってのはてめえの女か?」
「俺の女じゃない。そして、女性を男性の所有物と認識する種類の輩は好かん。帰ってくれるか」

8 :
21話F
 大衆にとり有益な事態は、必ずしも個々人にとっても有益とは限らない。
 京也はそう考えているのだろうし、そんな事は峻も察せる。
 だいいち、京也は一度決断したら曲げない。
 説得は無駄だ。
「分かった。帰ってやるが…京也」
 峻は、ドアノブに手をかけた状態で京也を振り返る。
「てめえは斎を利用したくないと言う。なら、どうすればてめえは満足する?」
 妖魔召喚システムを発見し破壊する上で、最も手っ取り早い手段は斎の超感覚。
 今すべき事はシステムの破壊。
 だから斎を利用する必要がある。
 それも否定できない一面の真実。
 しかし、斎を利用するという過程を嫌って、システムを破壊するチャンスを逃すというなら、京也は。
「理想主義者…或いは偽善者。俺の嫌いな言葉だったが…」
 自嘲したまま、それ以上の言葉を続けない京也。
 峻は冷めた視線を彼に向け、ドアを引く。
 瞬間、外側からドアが押し開けられて、峻は壁とドアの間に押し潰された。
「麗華さん?急患か」
「卜部先生、テレビ!」
 飛び込んできた麗華と共に待合室のTVを見に行く京也。
 ドアに押し潰され紙の如くペラッペラになった峻は別段気にしなくて良い。

 六十数年前。何処かの暗闇。
 御杖喜十郎がニードル=大石と共にそこにいた。
 更に、ザラキの高僧、董仲僧正も現れる。
 董仲に敬礼する大石と、頭を下げる御杖喜十郎。
「申し訳ありません董仲殿!自分は仮面ライダーとの交渉に失敗したであります!」
「私もフルンティングをあと一歩で仕留め損ねた。面目無い」
 董仲は笑って二人の肩を叩く。
「貴方達はよくやってくれました。仮面ライダーが強い事が悪いのです」
 確かに、と大石は思った。
 実力の差だけではない。仮面ライダーは、恐怖を敵に刻み込んで勝利する。
 だからスラッシュと自分で、何としても仮面ライダーを倒さねばならない。
 だが、フルンティングが敵に回ったため、ザラキは戦力を仮面ライダーに集中させられない。
 大石は、自分を脅迫した武政の言を二人に伝えた。
「ライダーエスケープ…敵の体内に瞬間移動し破裂させる戦法。自分がザラキと手を切らねばこの戦法を使う。そう奴は抜かしておりました」
 身を震わせる大石だが、董仲が笑った。
「ならば護衛をつけましょう。黴の卒塔婆!出番だ!」
 黴の卒塔婆と呼ばれた改造兵士が三人の前に姿を現す。

9 :
21話G
 そのモチーフは今一不明瞭だったが、全身に黒いヒダが垂れ下がり、青い斑点が所々に散見する。
 それら全てが黴(カビ)である事にようやく気付き、大石は吐気を催した。
「彼はカビの性質を持つ改造兵士。敵を毒性の胞子で攻撃する他、自分の体をカビの塊へ変質させる事で、体を破壊されても再生できるのです」
 なるほど、ライダーエスケープで破裂してもカビ化し再生する。
 うまく行けば、毒胞子を仮面ライダーへ感染させられる。
「有り難き幸せ!」
 大石は嫌悪感を抑え、この強力な護衛と手を組んだ。
 同じ頃、隅田川の河川敷に座すフルンティング=直江。
 再生能力で辛うじて外傷を塞いでいるが、疲弊そのものは誤魔化せない。
 そこへ自転車をこぎこぎ、一人の男が到着した。
 最初は牛乳配達かとも思ったが。
「君は…仮面ライダー?」
「よう直江くん。手酷くやられたね。…スラッシュか?」 
 頷く直江。川面を見る武政。
「オレの相棒は鼻がきく。特に人鬼の匂いにはね」
 武政は自分を殺しに来たのだ。
 それが分かっていても、直江は立つ事が出来なかった。
「レイモンドから聞いたよ。麻布で八件、麹町で六件のバラバラ遺体。全部おたくだろ?なんであーゆー事するわけ」
 武政も、どうやら自分の行いに憤りを持っている。
 この衰弱した状態ではどの道勝てない。
 それならそれで良いという気が直江にはした。
「理由は二つあるね。一つ。僕は人を斬るのが好きなんだ。二つ目。僕の刀は血を吸えば吸うほど、そしてその血の主が強ければ強いほど、その切れ味を増す」
「なるほど、だから刀を強化して気持ち良く斬るために、オレとかニードルを狙ったわけだ」
 この武政という男は、自分の行動原理をよく理解してくれる。
 嬉しい。
 直江は徐々に高揚してきた。そして、立ち上がった。
「ありがとう仮面ライダー。僕は自分の嗜好を理解してくれる人に出会えて本当に嬉しいよ」
 先程の諦念が消えた。
 自身の理念を語ってみると、人を斬りRあの爽快な感触を思い出した。
 ここで死ぬなんて馬鹿げている。もっと斬りたい。
「変身!」
 人鬼の力。その根元は人の狂気。
 それを表出しエネルギー化した事で、直江は完全にダメージから回復した。
 武政の前に立ちはだかる、全身に蛭を這わせた鬼。
「人を斬るのは楽しいよ?知ってるんじゃないか?」
 痛い所を突かれ、 武政はやや戸惑った。

10 :
21話H
 仮面ライダーへ変身した自分は、確かに戦いを楽しんでいる事がある。
「だから嫌いなんだよな…変身っ!」
 川面に波紋を作る小規模な烈風と共に、武政は戦いを楽しむ姿、仮面ライダーへ切り替わる。
「良いよ…君を斬ったらどれだけ気持ち良いだろう!」
 振り下ろされるライダーソードを、腕の生体カッターで留める仮面ライダー。
「血だ!君やニードル達の血が欲しいんだ!」
 狂気を爆発させ、腕に力を込めるフルンティング。
 仮面ライダーは彼の姿に、自分の邪悪な一面を見た。だからこそ怒る。
「言っちゃダメかも知んないけどさ…それっておたくの気分的な事…なんじゃねーのっ!?」
 自らの醜さを振り払うように、仮面ライダーはフルンティングのみぞおちに怒りの拳をぶつける。

 六十数年後。京南大附属病院。
「先生、急患が激増するかも知れませんよぉ」
 顔をしかめて軽口を叩き、TVを見る朝子。
 だがその口調からは、どちらかと言えばザラキへの怒りが感じられた。
 映っているのはザラキ天宗の若き高僧、玄達。
 全チャンネルで同じ映像。一種のメディアジャックだ。
「日本政府へ告ぐ。直ちに主権を我らザラキ天宗に委譲せよ。要求が飲めぬなら心苦しいが」
 カメラは玄達からその背後の建造物…北川PQC研究所へ切り替わる。
 PQC。光量子触媒発電システム。
 高温プラズマを発生させる程の効率を持つ次世代発電システムである。
「この施設を破壊し、東京をプラズマにて焼き払わせて頂く。我らは人体改造にて難を逃れるが、諸君はそうもいかん」
 施設の上空には翼竜、プテラノドンを彷彿とさせる妖魔が滞空している。
 京也は無言で峻を見る。
 意見を求めていると察し、頷く。
「連中、妖魔を操れるようになったから気が大きくなっていやがる。これだけの盛大なアピールは異例だぜ」
 二人は京也の自室へ戻る。
 京也は一旦「召鬼」を取り出し、少し考えて「鬼空」に変えた。
「最初からウィザードフォームで行く。バイクを飛ばしている暇は無い」
 「ライダーシフト」で直接研究所まで瞬間移動するつもりだ。
 峻は溜め息混じりに苦笑し、「召鬼」と「鬼移」を同時に取り出した。
「ロマンがねえな。変…身!」
 同時に二枚の呪符を読ませ、峻は空間に開いた穴へ飛び込む。
 京也もそれに続いた。
「…変身」
 直接ウィザードフォームへ変身、病院からその姿を消した。

11 :
21話I
 空間に歪みが生じた。
 それを感知した玄達は、翼竜型妖魔にその「歪み」の方向を向かせる。
 鋭い嘴を持つ口より火球を吐く翼竜妖魔。
 だがその火球は、歪みの内より放たれる時空衝撃波に相殺された。
 歪みの中から、ウィザードアローを持った仮面ライダーとスラッシュが出現する。
「さぁて、紅に染ま」
「待て」
 ノリノリで決め台詞を吐こうとしたスラッシュだが、制止する仮面ライダーの手に当たってコケた。
 起き上がって反論を試みるスラッシュだが、その前に地面の異常を察した。
 熱い。翼竜の火球とは別に、地下に高熱を発生させる何かがある
 直後、地面から真っ赤な粘液が噴水の如く立ち上る。高熱の溶岩だ。
 間一髪回避する仮面ライダーとスラッシュだが、周囲の地面そこかしこから次々と溶岩は噴出。
 よくできた事に、玄達には近づかない。
 その上、噴出した溶岩の一部が仮面ライダーを追尾し始めた。
 足下からの溶岩。自分を追って飛ぶ溶岩。
 更に翼竜が、火球で爆撃をかける。
 仮面ライダーとスラッシュは、火炎地獄の真っ只中。
「この溶岩…生きているのか?」
 スラッシュが、自分の肩を踏み台に翼竜へ蹴りかかる。
 それを無視して玄達へ問う仮面ライダー。
「そういう事ですね」
 翼竜と交戦するスラッシュを眺めて玄達は笑う。
「奴は妖魔の一種だ。生きている溶岩です」
 溶岩自体が意思を持って吹き出し、仮面ライダーへ襲い掛かっている。
 上空の翼竜も標的を仮面ライダーに切り替え、火球を吐きつけてくる。
 
 火球は回避したものの、その爆発の余波に転倒する仮面ライダー。
 彼を空中から、地下から一斉に溶岩が包み込む!
「はは!これで仮面ライダーも終わり。さあ御杖様。曾お祖父様のように、貴方も我らザラキ天宗に協力して頂きましょうか」
 爆笑する玄達。
 たとえ仮面ライダーであろうと、全身を寸分の隙間無く高熱の溶岩で焼かれれば助かる筈がない。
 だが、翼竜の火球を回避しながらスラッシュは玄達に嘲笑を返す。元より表情の無い顔だが。
「フッ…バカめ!溶岩程度で死ぬ雑魚なら、おれも楽なんだがなあ?」
 笑みを消す玄達。
 溶岩に包まれた仮面ライダーを見る。
 仮面ライダーの全身を包む溶岩は、黒く変色、凝固していた。
 錫杖で触れてみれば、その錫杖が氷結した。

12 :
21話J
 溶岩自体が凍結している。
 それに気づくかどうかの間に凍結した溶岩が吹き飛び、槍を携えた仮面ライダーが姿を見せた。
 自然界のエネルギーを操る形態、ディザスターフォームだ。
「馬鹿な!貴方は溶岩に包まれ焼かれたはず…」
 唇を噛みしめる玄達。
 仮面ライダーは冷静に応じる。
「確かに溶岩は俺を包んだ。だがその瞬間に俺はディザスターフォームとなり、冷気を起こして溶岩を凝固させた。悪いな」
 たじろぐ玄達。即座に翼竜へ指示を出す。
 翼竜の火球を受け、凍結した溶岩が再度帯熱し、仮面ライダーへ飛びかかる。
「ライダーリアトラクト!」
 反重力波動で溶岩を止め、その間に「鬼凩」で風を呼んだ。
「タービュランスダガー!」
 背後の翼竜を真空波の刃が襲う。
 体勢を崩した翼竜の喉元へ、スラッシュの鋭い蹴りが打ち込まれた。
「てめえの相手はおれだ!」
 翼竜をスラッシュへ任せ、仮面ライダーは再び吹雪を起こす。
「ライダーブリザード!超変身!」
 一瞬にして溶岩を凝固させた仮面ライダーは、続いてウィザードフォームへ変身。
 亜空間バリア「ライダーシールド」へ溶岩を封じ込めた。
 翼端の爪や巨大な嘴をスラッシュに突き立てんとし、それが回避されるや火球を吐いて狙撃する翼竜。
 二発はかわした。だがスラッシュの眼前に、三、四発目が迫る。
「ライダーアクセラレート!」
 逃げられない。ならば敵を遅くする。
 スラッシュは超加速状態へ突入し、火球とそれを吐く翼竜を飛び越して両腕を交差する。
「スラッシュレイ!」
 両腕を開いて二発の時空衝撃刃を発射。
 それが突き刺さるのを見届ける前に着地し、敵の胸を目掛けて両腕から執拗に波動を投擲する。
「フ…ゴミクズの手下に成り下がったのがてめえの不幸だ」
 加速状態を終了させ、通常時間に戻ってきたスラッシュ。
 その背後で、ズタズタに切り裂かれた翼竜が爆砕する。
 凝固した溶岩を再び発熱させるだけの熱量を持つ翼竜の体に接触したくなかったので、スラッシュは遠隔からの攻撃で決めたのだ。
 シールドへ封印された溶岩妖魔。
 仮面ライダーの意思を受け、シールドに出入口が発生した。
 そこへ仮面ライダーは専用の弩、ウィザードアローを向ける。
「ライダーサイコブラスト!」
 これは、鬼の心そのものをビームとして敵に叩き込む「精神エネルギー波動」だ。

13 :
21話K
 この直撃を受けた敵は、その精神を破壊される。
 亡霊やモノノケ等の霊的存在、半ば精神生命体といえる妖魔などには痛烈なダメージを与える技である。
 ビームはバリアに形成された出入口を通って溶岩妖魔を直撃。
 また、仮面ライダーの意志を受けて出入口が封じられた。
 精神エネルギー波動に満たされたバリア内部にて、溶岩妖魔はその肝となる精神部分を破壊される。
 主を失った溶岩体は砂へと分解。二度と再構成される事はなかった。
「く…だが妖魔は既に我らの手中にある!」
 そう言い捨て、玄達はまたも何処かへ空間転移した。
 妖魔撃退の報が入り、患者のシェルターへの搬送を試みていた京南大附属病院のスタッフらは一斉に安堵の息を漏らした。
「正義のヒーローが助けてくれたのね。さあお仕事お仕事」
 一瞬にして日常へ回帰する朝子。
 TVに映る仮面ライダーとスラッシュに歓声をあげる患者ら。
 彼らを見ながら斎は、不安感を隠せずにいた。
 これまで都市伝説としてのみ認識されていた仮面ライダーが、これほど公の場に姿を現したのだ。
「卜部さん…これからどうなっちゃうんですか…」
 彼に念珠の使い方を示唆したのは自分だ。
 だから京也に何が起ころうと、それは自分の責任となる。
 鼓動が激しい。胃も痛む。
 そんな斎の変化を真っ先に見つけたのが麗華だった。
「お腹痛むの?ちょっと診てもらいましょうか。無理しないで?」
 完全に単なるストレスなのだが、一応麗華に連れられ内科へ向かった。
 道中で麗華に聞いてみる。
「あの…さっきのテレビで…」
「ああ、仮面ライダーとか言うんだっけ。大丈夫、ちゃんとハードディスクに入ってるわ」
 録画された。
 斎の胃痛はますます激しくなった。
続く
次回、22話「憎悪の策謀家」

14 :
21話、以上です。
無論、私の私物スレというわけでは全然ありません。
ただ前スレで投下を試みた所、容量オーバーになってしまいました。
そのため勝手に次スレ建てさせていただきました。
どうか生温い目でお見守り下さい。

15 :
22話@
「今日は空襲無いよね?」
「無いんだってば。行ってらっしゃい」
 知識としての終戦は理解していても、実感が沸かないらしい。
 未だに航空機の音を聞くと体を震わせている。
 それでも鏑木三次は学校へ、父親は仕事場へ出かけた。
 そうして日本が日常へ回帰する様がキヌには嬉しかったが、非日常の権化が今日は朝食に現れないのが気になった。
「斎ちゃん、卜部さんは?」
「フルンティングを殺しに行った」
 ため息が出た。
 武政も斎も、鬼だの死だのを日常へ招き入れようとする。
「だあもう!」
 斎の制止を振り切り、キヌは武政を探しに、三つ編みに割烹着のまま店を出た。
「戦争は終わったんだから!誰も死ななくて良いんだから!」
 仮面ライダーネメシス第22話「憎悪の策謀家」
 フルンティングは尚もライダーソードを振り下ろし、仮面ライダーは尚も腕のカッターでその攻撃を止める。
 そのまま仮面ライダーはオメガフォームへ変身。
 ソードを止めているカッターを、生体剣バーサークグラムへ変型させ、更にフルンティングの腹へ、生体波動銃バーサークショットを突き付けた。
「居合いは格好良いけどさ」
 言って仮面ライダーは発砲、フルンティングを背後の壁へ叩きつける。
「実際戦ってる時に様式美とか考えないでしょ」
 仮面ライダーは更に、専用の弩、ウィザードアローを右手へ召喚。
 左手から生えたバーサークショットと合わせ、卑劣にも二挺拳銃で狙いを定める。

 六十数年後。
 PQC=光量子触媒発電システムの破壊に伴うプラズマ火球の危機から救われた東京は、いつもと変わらず平穏だった。
 平穏を装おうとしているように見えた。
 山下山男刑事は、昨日の仮面ライダーの勇姿を一切扱わない各報道機関に失望していた。
 まるで、何事も無かったかのように。
 掲載したのはそもそもいかがわしいスポーツ新聞が二社のみ。
 ネットの動画投稿サイトでも、昨日の中継の映像は即刻消される。
「卜部さん、御杖さん…なぜここまで恐れられてるんだ?」
 講義も始まらない午前八時。
 斎は凉ちゃんに電話を掛け、昨日の中継について切り出した。
「凉ちゃんもあの中継見たよね。で、で、凉ちゃんはあの二人の正体知ってるよね!絶対他のみんなに言っちゃダメだよ!約束して!」
 気弱な斎が、こうも命令口調になるとは意外だった。
 断るのも面倒なので、凉ちゃんはその約束を了承する。

16 :
22話A
「分かった…。で、あんた今日サボり?」
「ちょっと御杖さんと約束あるから。じゃね!」
 早口でそう言って、凉ちゃんの返答も聞かずに電話を切った。
 まあ、男との約束で忙しくなるのは良い事だ。
 携帯からネットを見てみれば、大手の掲示板が使用不可となっている。
 仮面ライダーについての書き込みを恐れたのだろう。
「面倒くせぇ」
 凉ちゃんはそう毒づいた。
 日本の偉い人がこれほど恐れる人間の知人になってしまった事が、とんでもなく面倒だった。

 六十数年前。
「ライダーツインショット!」
 殺人を快楽と断じるフルンティングにかける情は無く、仮面ライダーは二挺拳銃から波動の弾丸を乱射する。
「ライダーエペタム!」
 時空衝撃波を纏わせて巨大化した刀でその連弾を防ぐものの、攻撃回数に勝るツインショットには焼け石に水。
 エペタムの力場は突破され、フルンティングの体に時空衝撃波が直撃した。
 だが、仮面ライダーは突然攻撃の手を止めた。
 がっしりした体つきの紳士と、彼に羽交い締めにされたキヌが現れたからだ。
「…キヌちん。六十文字以内にまとめよ。何でここにいるわけ」
「元は人間のあんたらが殺し合ってるのを止めたかったから!ほら二十六文字!」
 紳士は笑み、右腕でキヌの首を絞め左手でフルンティングを指し示す。
「仮面ライダー。その裏切者…フルンティングに早くトドメを刺したまえ。そうすればこのお嬢さんを解放しよう」
 仮面ライダーは嘲笑じみた吐息を漏らし、左手のバーサークショットをフルンティングへ向けたまま、右手に持つウィザードアローを紳士に向けた。
「オレに人質は意味無い」
 ホーミングアローという技がある。
 超感覚で敵を捕捉する「ライダーフィール」の力をウィザードアローへ与え、衝撃波の弾道を曲げて人質を避け、敵のみを射Rる技。
 ここに分身術ライダーイリュージョン、加速能力ライダーアクセラレートを重ねると、六十数年後に京也も使う「イリュージョンアロー・アクセルホーミング」となる。
「まあそれが無くても、オレは時間を止めてその隙にキヌちんを助けられる」
 紳士は無力を悟り、キヌを解放した。
 だがフルンティングは時空衝撃刃、フルンティングレイを放つ。
 仮面ライダーが防御の体勢をとった隙に瞬間移動能力、ライダーシフトを発動し、フルンティングはまたも逃走した。

17 :
22話B
「どうも、御杖喜十郎さん…だね?」
 紳士を睨む仮面ライダー。いや、変身を解いた武政。
「ほう。下調べは済んでいたのか?」
「まあ財界にも顔のきく名士って話だし。…で、おたくもザラキの仲間なのかい?」
 不敵に御杖を睨み付けながら、武政は背後にキヌを庇う。
「そうだな。私が書いた呪符により、彼ら人鬼は変身している。純正な卜部家専用の念珠より、生産性の面では優れているだろう?」
 そう言って微笑む御杖。
 キヌは激昂し、庇う武政の手を払って前に出た。
「何で殺し合うのよ…鬼同士協力できないの!?」
 御杖は尚も笑い、武政は息をつく。
「他人事ならばいかようにも理想論を吐ける。私はザラキに協力する事で、日本の表も裏も支配したい。皆同じさ。力を得れば、まず考えるのは当人の利益」
 このスラッシュは立場、ディグは報酬、ニードルは身を任せるに足る「体制としての」正義が、フルンティングは血が欲しい。
「さて卜部くん。君は人鬼の力を行使して何が欲しいのかね?」
 武政は一度天を仰ぎ、言葉を探す。
 だがすぐに笑みを取り戻した。
「不粋だよ御杖さん。そうゆうモチベーションとか語らずに悪を倒してこそ正義のヒーローって奴でしょう」
 キヌは武政を振り返る。
 右目は笑っていた。左目には憂いが見えた。
 本心からの言葉ではない。
「そうかね?では私は悪の親玉という訳だ」
 また会おう。そう言い残し、御杖喜十郎は悠然と去っていった。
 武政はキヌの肩を二三度叩き、先刻とは異なる笑みを見せた。
「何だな…殺さなくて良いなら、それが一番なんだけどね」
 キヌは少々脱力した。
 考えてみれば、御杖=スラッシュにあの場で殺されてもおかしくなかったのだ。
 御杖が去ってから体に震えが来た。頭を掻く武政。
「慣れねえ事するから…大丈夫、オレいるし」
 手を差し伸べる。
 改造兵士や人鬼、米兵の血が染み込んだ手だ。
 しかし生憎、血が染みていない手は用意が無かった。
「帰ろう。そうだ、おんぶしてやろっか?」
「…首筋刺すわよ」
 弱々しくもやはり強気なキヌ。
 彼女を見て武政は、ようやく含みの無い無邪気な笑みを見せた。

 六十数年後、斎は御杖峻と待ち合わせ、共に京也の病院へ向かっていた。
 斎は峻の要請を受諾した。
 妖魔召喚システムの捜索に協力する決意を固めたのだ。
 そして、その旨を京也に報告するために。

18 :
22話C
「まだ上には伝えちゃいないが、おれが判断したなら、まあ正式に許可されたようなもんだ」
 何しろ峻は、職場たる都市保安庁を脅迫できる。
 そんな手段を選ばない峻が恐ろしかったが、そもそも手段を選んでいる余裕など無い事は、斎も承知していた。
「しかし…19だったな。お前もガキじゃない。なら、お前の判断に京也の許可なんぞ不要だろう?」
 斎を怪訝に見る峻。
 だが、斎は不安なのだ。
 戦う力が無いのに無茶をするな、と以前京也から叱責された。
 京也も自分を心配してくれている。
 そして今後、自分は妖魔に積極的に関与する事になる。
 だから先に話しておくべきだと思った。
 それに、京也は意外に脆い。
「御杖さんなんかに教えたくないですけど…卜部さんは精神安定剤を飲んでます」
 ああ、と峻は、病院の駐輪場でバーサークグラムを突き付けられた件を思い出した。
「親父の件で挑発した時も、相当取り乱していたな。恐らく奴にとり、親父は恐怖の象徴。深い傷痕なんだろうぜ」
 二人は一定の距離感を保ちながら病院へ歩みを進めた。
 そこへ爆音を轟かせ、漆黒のハーレーが停まる。
 メットを外すライダー。
「お早う斎ちゃん。胃腸はもう良いの?」
 王 麗華だった。
 清楚な風貌に似合わぬ大型車。
 病院へ向かって走り去る麗華を見送る二人。
「びっくりです。大人しい人なのに」
「あれは…米国の純正ハーレーだ!おれが国産のケチなアメリカンで我慢しているというのに、日本の公道であの女は堂々と…」
 敗北感にうちひしがれ道路に崩れ落ちる峻を引きずって、斎は病院へ歩く。
「大丈夫ですか?」
「フッ…心配無用。おれは世界児童文学集を読んでも涙を流さないようなクールな男なんだぜ」

 六十数年前、何処かの暗闇。
 董仲僧正は、一人の若い僧を連れ歩いていた。
「大体は飲み込めただろうか?玄達。今日より君は、我がザラキ天宗の律師だ」
 洗礼名を、玄達という男。
 彼の父は、大日本帝国陸軍に所属していた。
 だが25年前、ロシアのニコラエフスクで交戦、虐殺の憂き目にあう。
 ここで玄達はロシアではなく、父をむざむざ死なせた日本を憎んだ。
 日本の国家体系を無茶苦茶に破壊してやりたい。
 その一心で、彼は僅か十歳にして邪教、ザラキ天宗の門を叩いた。
 それから25年、彼はザラキの思想、呪術、人体改造技術等を熱心に学んだ。

19 :
22話D
 玄達のその努力は董仲を始めザラキの高僧らに高く評価され、35歳の若さで「律師」の地位を得た。
「律師である以上、君には相応の待遇を…先ずは個室を与えねばなるまい」
 暗闇にそれだけが明瞭に浮かぶ。
 四方を障子に囲まれた、小さな座敷だった。
 就寝を許され、一人、その座敷に大の字になる玄達。
 唯一気に食わないのは、直属の上司たる董仲であった。
 彼はこの国を愛しているが故に、この国を支配しようと企んでいる。
 しかし、玄達にとってこの国は忌むべき対象だ。
「壊してやろう…こんな国」
 元より玄達には、祖国への愛など無かった。

 そんな六十数年前の事を夢に見ていた玄達。
 少し眠ってしまったらしい。起き上がる。
 自分が律師となり、六十数年が過ぎた。
 その間、自分も含めたザラキの全ての僧侶は、ある秘薬により歳を重ねていない。
 疲れているのだ。そう玄達は思った。
 自らが発案した、妖魔の細胞を移植する改造兵士強化計画。
 また、妖魔召喚システム。
 董仲はこれらの計画に快く賛成したものの、慎重な他の高僧はこぞって玄達を罵った。
 曰く、妖魔は理解し得ぬ存在。それを兵器として操る事が果たして本当にザラキにとって有益なのか。
「我らの側が妖魔に敵視される可能性を考えているのか?」
「妖魔が敵に回ったらどうする?ただでさえ人鬼という敵が在るのに」
 高僧らは、そう玄達を問い詰めた。
「人鬼め…」
 玄達はそう呟き、枕辺に保管してある勾玉を睨んだ。
 それには「凶鬼」と刻まれている。
 かつての協力者、御杖喜十郎の死により、御杖家は完全にザラキ天宗と断絶した。
 あろうことか、喜十郎の残した呪符で曾孫が変身し、卜部の人鬼に協力している。
「最早人鬼には頼れん…」
 憎悪を込めて「凶鬼」を畳へ叩きつけ、妖魔召喚システムの元へ向かう。
 新たな妖魔を操るのだ。
 上層の僧らは、日米間の同盟に亀裂を作りたいと言っていた。
 そうすれば日本は米国の属国から外れ、完全なる主権国家となる。
 そこを突いてザラキ天宗が日本を支配すれば、自分達は独立国家の支配者として君臨し、世界に名乗りをあげられる。
 そうしてゆくゆくは、地球上全ての国家を日本に組み込み、日本の生活様式が標準化され、日本人が地球人類の頂点たる民族となる。
 日本人を救済する。それがザラキの行動理念である。
 だが、玄達の考えは別にあった。

20 :
22話E
 日米同盟に亀裂を作る。
 米国は日本へ宣戦布告する。
 日本の自衛隊で米国の攻撃を防ぎきれる筈が無い。
 こうして日本は破滅する。
「渦牛!横須賀の在日米軍を襲え!」
 壊してやる。こんな国。
 その思想が他の僧との差異であり、六十数年前より続く、玄達の執念だった。
「峻に斎ちゃんが協力する?」
 京也は思わず大声を出した。
 頷く斎と、何故か自慢気に笑う峻。
「こないだの事件で、仮面ライダーは完全に公の存在になっちゃいました…。だから、わたしにできる事があるなら…」
「まあその件は都市保安庁にも伝えてある。じきに協力を要請する正式な文書が来るさ」
 二人を見比べ、京也は一つ息をつく。
「…分かった。峻、一般人である斎ちゃんの安全は確保しろ」
 憮然としながらも頷く京也が意外だった。
 虚を突かれた風の斎。
 峻がここぞと絡んでくる。
「フッ…反対しないのか?この前は随分とムキになっていたようだがなあ?」
「あんたが無理に斎ちゃんを引き入れたなら反対する。だが彼女の判断だ。俺に止める権利は無い」
 京也も理解していた。峻だって疲れているのだ。
 留置場で想定された一つの可能性。
 つまり、峻の職場である都市保安庁に、ザラキ天宗の内通者がいる可能性。
 また、曾祖父がザラキに協力していた件。
 峻も京也同様、神経を確実にすり減らしている。
 斎という藁をも掴みたいのだろう。
 だが、斎の方は落胆していた。
 京也はもう少し反対してくれると思っていた。
 口には出さないが、自分が京也にとって特別な存在ではないと宣告された気がした。
 沈黙する京也と斎。
 そういう空気が気に障ったらしく、突然峻は話題を変えた。
「ところでおい、あの王 麗華とかいう看護婦だが」
「看護師だ」
「看護師だが、彼氏はいるのか?」
 チャンスだ。斎も便乗した。
「教えて下さい!」
「…何だ君ら二人がかりで。いや…知らない」
 途端に大袈裟に顔をしかめる二人。
 同僚なのに何故知らない、と顔に書いてある。
 それを読んでやる京也。
「俺は麗華さんのプライベートになんて興味は無い。大体…麗華さんに交際相手がいたとして、君らに不都合があるのか?」
 そこにドアをノックもせず、藤堂朝子が現れた。
 二人に軽く会釈した後、直ぐに206号室の小田切丈さんのカルテを京也に渡す。
 峻が今度は朝子に絡んだ。

21 :
22話F
「おいババア、王麗華について話聞かせろ」
「尿道にカテーテル入れるよ」
「はい、すいません」
 先刻の斎以上に沈黙する峻。
 代わりに斎が切り出した。
「あの…ご存知か分かりませんけど、麗華さんって彼氏いるんですか?」
 正直なところ、斎は得体が知れず、峻は都市保安庁に勤務するエリートだ。
 だから、その二人がこうも平凡な疑問を抱いているのが、朝子には微笑ましかった。
「ああ、いるみたいよ」
「いるのか…っ!」
「いるんだ〜」
 落胆する峻。安堵する斎。首を傾げる京也。
「どうした、君ら」
「そりゃてめえ、あの女がいい女だからじゃねえかしかもハーレー乗りだからおれと話が合う」
 そういう事か、と京也は露骨に嫌な表情を見せる。
 京也にとって、他人の色恋沙汰とは極めてどうでもいい話題で、どうでもいい話を真剣に考える峻が何処か愚かに見えた。
 愚かと捉えるから、京也はどこでも孤立するのだろうが。
「しかし峻。あんた幾つだっけ?」
「二十四」
 京也より三歳下だ。
 よく毎度毎度ケンカを売れるものだと思う。
「そうか…麗華さん、確か俺より歳上だぞ」
「何」
 愕然とする峻。
「二十…九だったか。朝子さん?」
「さ来月に三十じゃなかったですかね」
 道理で落ち着いている筈だ。歳相応だった。
「で?斎ちゃんは何で麗ちゃんが気になるわけ」
 朝子にもおばはんという自覚はあるので、こういった下世話な話は嫌いではない。
 ニヤニヤと斎を詰問する。
「あの…卜部さんと仲良さそうだったから…」
 どうでもいい話題で盛り上がる三人を冷ややかに見ていた京也は、斎の言葉に虚を突かれた。
「え?斎ちゃん、俺と麗華さんの関係が良好だと、君に不都合でもあるのか?」
 心底不思議そうに問う京也。
 心理学者でもないのだから、斎の心境など京也が知る由も無い。
 だが斎自身は、そんな京也の鈍感さが痛烈に心に刺さった。
「もう良いです…」
 少々声が上ずった。
 ソファーから立ち上がり、早足で病院から退散する斎。
 それを見送り、憐れみを浮かべた目で京也を見る朝子。
「まあ…先生らしさっちゃらしさですけどね」
 そう言ってナースステーションへ帰る。
 京也は言葉にし辛い居心地の悪さを覚えていた。
「…峻。俺の対応に何か問題でもあったのか?」
「分からんのが分からんよ、おれは」

22 :
22話G

 六十数年前。
 美月屋に帰り着くや否や、キヌの胸に斎が飛び込んできた。
「ちょっ…」
「キヌ…心配した…」
 いつもの低い声色。
 だがそれはすなわち、斎の言葉が本心からである事を示していた。
「うん…悪かったよ。悪かったから離れて」
 無言で二三度頷き、引っ込む。
 その姿はキヌの妹にしか見えず、武政は思わず吹き出した。
「なキヌちん。席、ちょっと外してくれんかね。スラッシュとフルンティングの話を斎としたいからさ」
 巻き込まれたキヌは疲れているだろう。
 暗に休息を勧めるが、キヌは台所から白湯を三人分持ってくる。
 武政は苦笑し、椅子を示す。
 卓を三人で囲み、白湯を啜りながら話の取っ掛かりを探す。
 しかしキヌには思い付かず、斎は無言。
 そうこうしている内に武政が口を開いた。
「あの念珠どこ行ったんだろうなあ。『凶鬼』」
 そう呟いて斎を見る武政。
 意を解して頷く斎だが、キヌには意味が分からない。
 苦笑して武政は手を挙げる。
「ごめん。まあ経緯を説明するとだな。キヌちんは、オレが変身した仮面ライダーの姿は見たよね?」
 通常のブレイクフォームは赤い目。
 全力を解放するとオメガフォームという、緑の目と羽根、両手にそれぞれ銃と剣を持つ姿に強化変身する。
「そう。でももう一つの姿がある。灰色の目を持った…オレは『饕餮』って呼んでる」
 饕餮(トウテツ)。
 中国神話にて龍の五番目の子、または炎帝神農の子孫であると語られる者。
 堯帝の時代に暴虐の限りを尽くした「四凶」の一人とされる、貪欲を象徴する怪物でもある。
「支那じゃ魔除けとしても使われる。これはつまり、トウテツがあんまり怖いから並の悪魔は近寄れないからだな」
 理解できるとは思うが、支那とはこの時期の中国の蔑称である。
 で、と武政は掌に三つの念珠を出現させた。
「オレは南洋で部隊が全滅した時、初めて変身した。そん時の姿が灰色の目を持つ『トウテツ』だった」
 武政を支配した狂気が、時空断裂境界からトウテツの力を発動させる念珠「凶鬼」を呼び出したと思われる。
「だから、念珠の中でもその『凶鬼』はヤバいんだ。オレの狂気に敏感に反応するからね」
 鬼の力が命じるままに暴走し、戦友の屍体を食らった武政=トウテツ。
 その暴走を封じたのが、天から舞い降りてきたように現れた斎だった。
「鬼の心を鎮めて」
 そう言って。

23 :
22話H
「オメガフォームもそうなんだけど、トウテツも時空を歪めるパワーがある。で、斎がトウテツの力を封印した時に『凶鬼』の念珠が時空を超えてどっか行っちゃったんだわ」
 だから、武政の手元には念珠が一つ足りない状況なのだ。
 しかし、「凶鬼」を現時点で何処の誰が持っているか分からない状況にしては、武政は楽観的に見える。
 そう聞いてみると、あっさり理由を答えた。
 武政に兄弟はおらず、卜部の血を引く父はとある村で四十人を虐殺した後、自ら命を絶った。
 また、ある程度他の血筋の鬼とも互換性がある呪符に対して、念珠は卜部家専用のシステムだ。
 つまり、武政が子供を作らない限り、トウテツになり得る者はいない。
「トウテツの破壊力はすげえからなあ…アレがあれば、スラッシュとかも楽に殺れるんだろうけど」
 直前までの呑気な語り口が、突然鋭利なナイフと化した。
 やはり武政は、他の人鬼をRつもりなのだ。
 しかし、スラッシュはザラキの幹部。フルンティング=直江聡は快楽殺人者。
 武政が苛烈になるのも理解できなくはない。
 その直江について、斎が封筒を取り出した。それに目を通す武政。
 直江聡。父親が大手軍需工場の経営者。
「ああ、大和の46cm砲を造ったのがココか」
 ポツダム宣言の三日後、両親が急死。
 残された聡は遺産と特許料を相続、更に工場を丸ごと売り払い、悠々自適。
「なあ斎…両親が急死ってトコ、気にならねえ?」
 無言で頷く。恐らくはそういう事なのだろう。
 親でもR。それが人鬼の狂気だ。
 半ば流れ的に、直江聡に関する書類がキヌにも回る。
 住所を見て驚いた。
「あ…直江ってあの直江さんか!」
 意外な程ご近所だった。
 美月屋からなら歩いても一時間かからない。
 二度程その屋敷を見た事がある。
 洒落た屋敷に独りで住まう美青年の噂。
 しかしその美青年は、血を好む鬼だった。
「卜部さん、斎ちゃん…フルンティングをどうするつもり?」
 武政は白湯を飲み干し、キヌを正面から見据える。
「オレはスラッシュもフルンティングも、両方殺そうと思ってる」
 思わず卓を叩くキヌ。
「そこまで過激になる必要ってあるわけ?直江って奴にあたしが話し合ってくる!」
 ほぼ無言で会議に参加していた斎が、漸く口を開く。
「キヌ、フルンティングは既に身も心も鬼よ。説得に意味は無いわ」
 振り切ってキヌは勝手口の戸を開ける。

24 :
22話I
「止めないで!ムダに殺そうとするあんたらがいるとややこしくなるから!」
 そんな美月屋の様子を、外から進駐軍のレイモンド・マグラーが伺っていた。
 どうやら、斬殺事件の犯人が未確認の生命体である事は確からしい。
 だがレイモンドは、寧ろその情報を提供した斎を疑っていた。
 何故なら彼女には、出生…
「どうしたの?そんな所で」
 背後から声をかけられ警戒する。
 しかし、鏑木三次が学校から帰ってきただけだった。
「夕飯?美月屋で食べるの?」
 苦笑してレイモンドは首を振る。
「すまないが、ディナーは駐屯地でとる。君達をモンスターから守らねばならんからな」
 そう言って、そそくさとジープを走らせる。
 バックミラーの中で徐々に小さくなってゆく美月屋を見る。
「イツキ…君は何者だ」
 梳灘 斎。
 確かに都市保安団に所属し、戸籍も持っている。
 だがレイモンドには何故か、彼女が存在する事自体に、言い表しづらい違和感があった。
 更に記録をあさってみたところ、妙な点を発見した。
 斎には戸籍があるにもかかわらず、出生記録が無かったのだ。
 確かに戦火で記録が焼失しただけなのかも知れない。
「だが、そうではないとしたら?…とっ!」
 思考するレイモンドのジープの前に立ち塞がる男がいた。
 慌ててブレーキを踏む。
 降車するレイモンドだが、先に男が頭を下げたので出鼻を挫かれた。
「突然の無礼をご容赦いただきたい。自分は元大日本帝国海軍軍曹、大石。進駐軍の方、卜部武政をご存知だろうか?」
 日常会話なら支障無くこなせる程度に日本語を学んだレイモンドだが、大石の古風な言い回しには若干戸惑った。
「ああ…タケマサだな?彼はあのホテルにいる」
 美月屋を指す。
 大石はレイモンドに一礼し、美月屋へ向かった。
 仮面ライダー、卜部武政を倒すために。
 そして、美月屋の庭先で遊ぶ三次に目をつけた。
続く
次回、23話「策謀家の誤算」

25 :
22話、以上です

26 :
しかし、ネタのつもりだったけど、こういう風に名前出したりするのは良くないんだろうなあ…
以後こうしたネタはやりません。申し訳ありませんでした。

27 :
23話@
 ニードル=大石は卜部武政を倒すために、鏑木三次に目をつけた。
第23話「策謀家の誤算」

 六十数年後、京也と峻が二人きり。
 極めて気まずい、と峻は思っていたが、京也は気にしない。
 ただ、斎を傷つけたらしい自分の言葉とは、一体どれだったのか。
 先刻の会話を反芻するが、どれを拾っても斎を傷つける言葉にはなりそうもない。
 そして峻を振り返る。
 俺なら、と京也はマグカップ片手に立ち上がる。
「俺ならすぐに上層部へ申請書を出す。峻、俺に自慢してる暇があるなら、早く保安庁へ帰って正規の手続きを踏め」
 斎が明確に都市保安庁へ協力するのは、その手続きを済ませてからだ。
 それが道理というものだが、峻は京也を睨む。
 そこにはいつもの好戦的な風も、人鬼らしい狂気も無い。
「京也。何故そう他人を遠ざけたがる?」
 長い顎を掻きながら言葉を続ける。
「斎はてめえを心配してるぜ。分かってるなら何故、斎の判断に反対しねえ?確かにおれに協力するか否かは個人の自由だ。だが、斎の判断に反対するのも個人の自由じゃねえのか」
「この状況では、彼女があんたに協力するのもやむを得ん。今すべき事は妖魔召喚を止める事だ」
 そして、そう斎が判断したならそれは個人の自由だ。京也が止めるような事では無い。
 だが峻は尚も食い下がる。
「すべき事か…なら、てめえは何が『したい』?それが見えん。てめえは人鬼の力で何を求めてるんだ?」
 だから、と京也は声を荒らげる。
「重要なのは何をすべきかだ。妖魔が人を食らう。人鬼は妖魔を狩れる。ならば狩るべきなんだ。俺の欲求などどうでもいい」
 それが京也のスタンスであり、また人生観だった。
 しかし、元来欲望に忠実な峻は、京也のそんな人となりが理解出来ない。
「納豆サンドイッチだったか?あの女がてめえに差し入れていた…」
 京也自身、自分の物言いがキツく、また他人の気持ちを察するのが苦手な事は自覚していた。
「なら峻。あんたは俺に何を望む?俺は今何をすべきかを考えている。その考え方自体が気に食わないというなら、そう言ってくれ」
 知らず知らず、京也の声が大きくなっていた。廊下にも届くほど。
「斎の心を察せと言ってる。フッ…京也。親父に額を切られた時、人間的な情緒まで同時に切り落とされたか?」
「父の話はするな!」
 遂に峻に殴りかかる京也。
 だがその拳を、横から割り込んだカルテが止めた。

28 :
23話A
「…麗華さん」
 いつの間に入室したのだろう。
「先生。単純な話です。斎ちゃんはいつも先生を心配してる。それを察して欲しい…御杖君、そう言いたいのよね?」
 うん、と素直に応じる峻。
 京也も椅子に腰を下ろす。
「…麗華さん。俺が斎ちゃんに好かれるようなタイプに見えるか?」
「女の子の好みは千差万別ですよ。あ、勿論男性も」
 二人を落ち着かせ、麗華は微笑んでナースステーションへ帰る。
「…京也。健気なガキと包容力のある淑女。どっちにする?」
「女性は選択するものではないだろう…」
 涙をこらえて病院から出る斎。
 だが街で偶然山下山男と出会い、感情のタガが外れてその場で泣き崩れた。
 刑事という立場上、道端で女性に泣かれると物凄く困る山下山男。
 とにかくうどんをおごってやるが、ふと気付くと泣き出しているため、気が抜けない。
「わたしは…卜部さんを心配してました。でも卜部さんにとってわたしは…全然…特別な存在じゃなかった…」
 親とかいう存在は、斎にはいなかった。
 物心ついた時には既に施設で暮らしていた。
 生来の気の弱さから施設でも虐げられ、進学してもそれは変わらなかった。
 寂しい。斎は特別な存在が欲しかった。
 それが凉ちゃんであり、また京也だった。
「多分…わたしは卜部さんに幻想を持ってたんですね…自分に都合の良い人物を作って、それを卜部さんに当てはめてた…」
 そして、その範疇から京也が外れたのが悲しい。
「ダメだ…これってわたしのエゴだ…こんなんで、わたしを好きになってくれる人なんていませんよね…」
 悲しみながらの冷静な自己分析。
 山下山男は肯定も否定もできず、ただカレーうどんを啜った。
 その時、隣の斎の表情が一変した。
 京也の言に従い、峻は都市保安庁へ帰って、斎を協力させるための正式な文書を作るため、役所等から資料を集めていた。
 だが、と眉をひそめる。
 いくら探しても、斎の出生記録が無い。
 無い筈が無いのだが。
「馬鹿な…いや、単なる見落しだ。もう一度調べ直す」
 書類とのにらめっこを再開した峻の耳に、アラーム音が刺さった。
 横須賀に妖魔出現。
「御杖君!出番だ!」
「見りゃ分かるでしょうが課長!デスクワークで手一杯だ。おれから仮面ライダーに出動要請を出します」
 空母を守るため、妖魔へ一斉射撃を加える在日アメリカ兵。

29 :
23話B
 しかし、敵の膠質な皮膚にめり込んだ弾丸は運動エネルギーを奪われ、体内へ到達しない。
 その時。バイクの爆音が響く。
 峻から連絡を受けた仮面ライダーが駆けつけた。
 近場のC-1輸送機にも劣らない巨大な体躯を持つ蛞蝓(ナメクジ)が、口に生える無数の触手を蠢かせてのたうち回っている。
 一見して嫌悪感をもよおす光景だが、仮面ライダーは構わず接近する。
 膠質で半透明の皮膚から、飲み込まれた銃弾が始終こぼれ落ちている。
 その光景に違和感を覚えながらもとりあえずパンチを見舞う。
 だが、拳は皮膚を貫いて、そこで動きが止まった。
 皮膚が二段構成なのだ。
 上部の半透明の皮膚はゼラチン状の半液体であり、敵の打撃を吸収してダメージを軽減させてしまう。
 更にその下部の皮膚は弾力性が強く、ここで運動エネルギーを完全に吸収する。
 だから銃弾も、体内にまでは届かなかった。
 ゼラチン質の皮膚から腕を引き抜く仮面ライダー。
 だがナメクジは体をもたげ、口の触手を長く伸ばして仮面ライダーを襲う。
 この皮膚自体を破るのは容易だ。
 問題は、体内にいかに攻撃を到達させるか。
「いかがでしょうか卜部の鬼!」
 ザラキ天宗の高僧、玄達の誇らしげな声が聞こえた。
 子供じみた物言いの御杖峻とは異なる、真に不快な物言い。
「今回は一匹ですが、我らは既に、複数の妖魔を同時に召喚し得る力を得た。もはや日本政府に勝機は無い」
 玄達の物言いは確かに不快だったが、仮面ライダーは少々思うところがあった。
「成る程…斎ちゃんには、俺の物言いはそう聞こえるわけだ」
 それなら謝りたい。
 珍しく京也は、「何をすべきか」でなく「何をしたいか」を考えた。
 だが、謝り「たい」のであれば、まずはこのナメクジを倒す「べき」だ。
「皮膚を掻き分けて体内へ攻撃を届ける…超変身!」
 「猛鬼」の念珠で右手に剣、左手に銃を持つバーサークフォームへ変身する。
 玄達が錫杖から放つ破壊光線を、生体剣バーサークグラムで払った。
「来い。俺が相手だ」
 仮面ライダーの挑発に乗ったように、アスファルトを剥がしながら突撃を試みるナメクジ。
 口から伸びる触手で仮面ライダーを突き刺そうとするが、それら全てがバーサークグラムに切り落とされ、生体波動銃バーサークショットに撃ち落とされた。

30 :
23話C
 触手を切られたものの、勢いが止まらないナメクジ。
 痛みを無視してそのまま仮面ライダーに突っ込んでゆくが、ゼラチン質の第一皮膚をバーサークグラムに貫かれた。
 仮面ライダーは、額の「第三の眼」で敵の体内を透視する。
 弾力性のある第二皮膚が、剣先を留めている。
 だが、バーサークグラムの本領が発揮された。
 剣が秒間数千万回の超高速微細振動を開始し、第二皮膚へ一気に抉り込んでゆく。
 本来、人鬼の生体強化外骨格は高速振動して、被接触物の分子結合を崩壊させる特徴を持つ。
 その外骨格が発達して作られる剣、バーサークグラムもまた、その性質を持っている。
 第二皮膚を貫通した。
 ナメクジは身の毛のよだつ悲鳴を上げながら、懐に潜り込んだ仮面ライダーへ強酸性の唾液を吐きつける。
 が、仮面ライダーは剣を引き抜き離脱。
 背面へ跳躍し、溶解液から逃れると同時に、傷痕をバーサークショットで狙撃する。
 バーサークショットから放たれるエネルギー、時空衝撃波が体内へ入り込んだ。
 切断されたトカゲの尻尾の如く、身をよじらせるナメクジ。
 時空衝撃波の破壊力で、全身の体表に水ぶくれを思わせる膨らみが幾度となく浮かび、それが破裂している。
 激痛に耐えかね、最後の力を振り絞って海中へ逃げようとするナメクジ。
 あの体液で海水を汚染される訳にはいかない。
「逃がさん。超変身!」
 仮面ライダーは時空間を操るウィザードフォームへ変身。
 細胞から生み出す弩、ウィザードアローへ「鬼幻」「鬼走」「鬼眼」を読み込ませる。
「イリュージョンアロー・アクセルホーミング!」
 発射された波動弾が無数に分裂、超高速でナメクジを追尾し、四方八方からその体へ突き刺さる。
 この攻撃を受けたナメクジは海に逃れる間も無く、体液も含めて素粒子レベルで崩壊した。
「く…だが日本を廃墟にするまでは!」
 自らの行動原理を再確認し、玄達はまたも逃走した。
「フッ…おれがいなくても意外とやるな」
 病院に戻ったところ、峻の出迎えを受けた。
「…斎ちゃんの件だな。もう上層部から許可が出たのか?」
 それなんだが、と峻は京也の部屋のウォーターサーバーを勝手に使う。
「身元がハッキリしない民間人を協力させるわけにはいかん…らしいぜ」
 それはつまり、許可が出なかったという事か。
 しかし、斎はちゃんと戸籍を持っている大学生だ。なのに、だ。

31 :
23話D
「なあ京也。あの女は誰だ?」
 峻はそう問う。
「どういう?」
 古びた書類をテーブルに並べる峻。
 都市保安団と表記がある。
 都市保安団。
 この組織は、戦後すぐに発足した、現在の都市保安庁の前身だ。
 峻が疑問視した点は四つ。一つは
「あの女には確かに戸籍はある。しかし、出生記録が無い」
 その程度か。
 言っては悪いが、産まれてすぐに子を捨てる親など腐る程いる。
 残念な事に。
「それだけなら良い。四歳からは施設で育ったデータもあるしな」
 二つ目。峻は並べた書類を指し示す。
「ソイツは都市保安団発足直後のメンバーをまとめた書類だ。か行のメンバーを見ろ。おかしいと思わんか?」
 確かにおかしい。
 何故、六十数年前の書類に梳灘 斎の名がある。
「同姓同名…じゃないのか」
 京也は、その推論が気休めでしかない事を理解している。
 何故なら、この書類には各メンバーの顔写真も掲載されているからだ。
 その写真は紛れもなく、現在と何ら変わらぬ年齢、容貌の斎であった。
「三つ目。その六十数年前の梳灘 斎も出生記録が無ぇ。そして四つ目。ソイツには死亡記録が無い。失踪届も無い。まだ存命だとしても、戸籍が無い」
 京也は、書類と峻の面相を交互に見る。
 峻は続ける。
「1946年を最後に、『その』斎は存在を完全に消滅させた。まるで、最初からいなかったようにな」
 ザラキ天宗による東京同時爆破テロ。
 その際に京也は斎と出会った。
 その時の、最初の会話を回想していた。
「『武政さん?』『君は誰だ』」
 斎は祖父の名を知っていた。
 戦後間もなくというタイミングも、祖父、武政が戦っていた時期と合致する。
 京也の戸惑いを見透かしたように峻は笑う。
「まあ、全て書類上のミスだろうさ。だが、仮にそうではないとしたら?」
 この二人を仮に同一人物とするなら、斎は終戦直後に出現し、その一年後に存在そのものを消滅させた。
 今から十五年前に四歳まで若返った状態で施設に保護された。
 そして現在に至る。
「フッ…面白いだろうが?あの女…脈絡無く、正にポッとこの世界に出現したってわけだ」

 六十数年前。
 直江家に走っていったキヌを苦笑しつつ案じる武政。
「なあ斎…ヤバいよね」
 人の血を何より好む直江=フルンティングの家に押し入って無事で済む筈が無い。

32 :
23話E
 武政はスカルレイダーによる追跡を考えるが、そこへ三次の父親、鏑木晋也が顔を見せた。
「こちらに三次はお邪魔していませんか?」
 嫌な予感がした。
 そして、キヌの母が持ってきた封書が予感を確信に変えた。
「ニードル…大石君だ。あんにゃろ、オレと戦うために三次を人質にしやがった…」
 直江家。蔦に覆われた、豪奢な西洋風の屋敷。
 中も西洋式の家具が揃っており、また異様に長い廊下の各所に花が飾られている。
 しかし気持ちの良い屋敷かと言えば、少なくともキヌには真逆だった。
 窓ガラスは全て毒々しい配色のステンドグラスに置換され、陽射しを奇怪に変色させている。
 壁に掛けられた絵は…焼け死んでいる女神の傍らに、生後間もない赤子がいる様。
 恐らくモチーフは日本神話。
 イザナミはホノカグツチという火の神を生んだ事で、女陰を焼かれ死亡するのだ。
 そんな気味の悪い内装にも勝る不快感。
「この…臭い…」
 死臭だ。
 空襲の折、飛び込んだ川で鼻腔に染み付いた臭気。
 同じものがこの屋敷には満ちている。
 地下室からだろうか?
 鼻を抑えながら二階へ上がるキヌ。
 机と大量の洋書がある。書斎だろうか。
 何気無く机のメモ書きを覗く。
「そもそも本質的に僕は熱っぽい人間だから林檎は食べられない。なぜなら僕は子供を作ったからだ。子供は可愛い。つまり子供は血なのだ。
私はラジオの音をそれだと認識しておらず、道理で海から這って出てきた。
ああ、あの火は何だ。川が燃えている。川は燃えない。だから君が見ているのは獅子なんだよな。
ただし獅子の餌は用意しないといけない。どうせならより考えられた物がいいかな。
というわけで帽子に水を入れて頭の上で回してみたああああああ
いや失礼。ともかく彼女はトマトだったから牛追い祭を招かないかとリットンに相談していたけどリットンは許さなかった。
何せリットンはクワガタより始末書が好きだから僕が踊るところなんて見たくもなあうるさい!二階からガタガタ音を立てるな!
問題は彼女が心肺停止なので急きょ武蔵に乗せたわけだ。しかし重要な事を忘れていた。私は血液だった。
さあ船に乗ってああだめだネズミがいる!ネズミがいる!ネズミがいる!ネズミがいる!」
 と書いてある。妙に胃が痛くなった。
 自然に手が震え始めた。
 震える手で「ネクロミノン準備稿」と記載されたノートを開いてみる。

33 :
23話F
 翼が生えたタコのようなイラストの下に、呪文が表記されている。
「憤狂い 潜らふ くとりゅう るる家」
 途中で閉じた。
 机上のメモ書きとこのノートの呪文、同じ筆跡だった。
 そしてこの屋敷には、直江聡しかいない。
 ならばこの屋敷の内装を構築したのは…
「見たね?」
 いつの間にか、キヌの背後に男がいた。
 異常に顔色が悪い痩身の青年。
 男は「召鬼」の呪符を持っている。
「君の血が吸いたい…変身」
 歯が噛み合わない程に震え、もはや言葉も失ったキヌへ、刀を携えたフルンティングが迫る。

 六十数年後、何処かの暗闇。
 ザラキ天宗の本殿。
 厳しい面持ちで玄達を迎える董仲僧正。
「玄達…近頃の君は行動が性急に過ぎる!これではせっかく妖魔召喚システムを持ったところで」
「戦力をドブに捨てているも同然…とでも?貴殿方高僧がこれまで呑気に過ぎたのです!申し訳ないが、私は私のやり方で計画を進めさせていただく!」
 未だに何かをほざく愚鈍な高僧、董仲を残し、玄達は自室へ帰る。
 四方を障子に囲まれた、六十数年前と全く変わらぬ座敷。
 次は召喚システムと魔方陣を併用し、大量の妖魔を一気にぶつけてやろう。
「どうせ我々に使役される程度の下等生物だ。文句など誰からも出まい」
 妖魔を完全に捨て駒とする自らのスタイルに酔っていた玄達。
 だがその瞬間、座敷に巨大な「影」が広がった。
 その影から出現する、背の高いボロ布と蒼白の仮面をつけた存在。
「我が同胞を、許し無く使役したはうぬか?」
 人語だ。上級妖魔。そう思った。
「今よりは、我がうぬの体を用いてやろう。悔やむが良い!」
 障子に飛沫が映り、玄達の断末魔が轟いた。
続く
次回、第24話「邪教VS邪神」

34 :
23話、以上です。

35 :
24話@
 何処かの暗闇。
 本来ならその支配者である僧らが今日は逃げ惑っていた。
 一人の僧、玄達が数匹の妖魔を連れて暗闇を闊歩し、その過程で数人の僧が妖魔に食い殺された。
「こんなものは、最早不要だ」
 妖魔を操るには必須の妖魔召喚システムを、玄達は中枢のミイラごと破壊した。
 だがそれでも妖魔は、玄達の配下から抜け出そうとしない。
 玄達は独力で妖魔を操っているのだ。
 或いは、妖魔自身が玄達の配下という立場に甘んじている。
 挙げ句、玄達は切断された僧の首を掲げて見せる。
「各位。今よりザラキ天宗の指揮は私が取らせていただく。異存はありませんな」
 異存あろうと、口に出せる僧はいなかった。
 遂に玄達が妖魔を操り、ザラキ天宗を乗っ取ったのだ。
 唯一人、董仲のみが声をあげる事ができた。
「何故だ玄達…妖魔を操り我らを配下に置くなど…」
 愚鈍な自分を見下げ、冷ややかに笑う玄達。董仲は吠える。
「私には、理解できない!」
「理解できるとでも思っていたのか?」
 董仲は初めて、玄達の目を正面から見た。
 人間の眼球ではない。深緑の小さな無数の眼球の集積体だった。
「ザラキ天を…神を人間程度の理性で解釈することが罪なのだ」
 ネメシス第24話「邪教VS邪神」

 六十数年前。
 鏑木三次はある廃倉庫で眠っていた。
 暑苦しく湿気た場所だ。吐き気がするほどカビ臭い。
 それもその筈で、三次を監視していた人影は、カビの塊のような怪人であった。
 眠る三次へ冷たい視線を向けるもう一つの人影…大石。
「黴の卒塔婆。この少年をRな。少なくとも…奴が現れるまではな」
 同じ頃、直江邸でフルンティングに追い詰められたキヌ。
 今にも裏返りそうな声を、必死に絞り出す。
「何で…人殺しを楽しむのよ!」
 首を傾げるフルンティング。
「お嬢さん、呼吸をする時に理由を考えるのかい?」
 さも当然のように答えるフルンティング。
 鬼の体にまとわりつく蛭が震え、始終ピンク色の舌を伸び縮みさせている。
 人は呼吸をするのが当たり前。同じくフルンティングは、人をRのが当たり前なのだ。
 この期に及んで漸くキヌは、己の軽率さを後悔した。
 人鬼は狂気の具象。武政も斎もこの事を言っていたのか。
 キヌは久々に思った。誰か、助けて。
 突如、フルンティングの視界をネクロミノン準備稿のノートが遮った。
 室内に風が吹いたらしい。

36 :
24話A
 キヌの頭蓋へライダーソードが振り下ろされようというその刹那、風がフルンティングを壁へ叩き付けた。
 無茶苦茶に刀を振り回すフルンティング。
 それをもう一つの刃が止める。
 風が止むと、そこに斎がいた。
「キヌ…手を。逃げる」
 状況が飲み込めぬまま、ともかく斎が差し出した手を握るキヌ。
「直江。あなたを斬っている暇は無い」
 そう言うと、斎は再び風を纏い、キヌと共に直江邸を脱出した。
 獲物を逃がした。窓から外を見下ろしても、二人の姿は無い。
「バカな!…でも、斬り応えはありそうだな…」
 新たな標的が決まった。あの二人をまとめて切り裂いてやる。
「ジャック…僕は君のようになりたい」
 英国の殺人鬼への憧憬。
 美少女が二人だ。状況もよく似ている。
 フルンティングは直江の姿に戻り、またも笑った。
 直江邸より数km程離れた地点に風が吹き、その風が止むと斎とキヌが現れた。
 斎の能力について問う間もなく、脱力してよろめくキヌ。
 すんでで斎が抱き止めた。
「キヌ。理解して」
 キヌの疲弊しきった目を、斎は真っ直ぐ見て言う。
「私は、少し腹が立ったわ」
 子犬の様にうなだれるキヌを連れ、斎は美月屋への帰路についた。
 もう一人、腹を立てている男がいた。大石=ニードルだ。
 約束の時間になっても武政が現れない。
 カビ怪人「黴の卒塔婆」が三次を向く。
「大石。この子供…いっそ殺してしまった方が手っ取り早くはないか?」
「よさんか!殺害するメリットは何だ?取り敢えずこの少年が此方にある限り、卜部武政の行動をある程度は制御できる」
 それに、と大石は身震いを起こす。
 三次を殺害すれば、武政の怒りは頂点に達する。
 ライダーエスケープを始め、どれほど残虐な手段で自分たちを血祭りにあげるか知れない。
「良いか黴の卒塔婆。少年はRな。火に油を注ぐんじゃない」
「オレ火じゃないし!卜部さんだし!」
 嫌に能天気な声が廃倉庫に響いた。
 一旦周囲を見回す大石とカビ怪人。
 三次を振り返ると、既に彼は仮面ライダーの手に確と抱かれていた。
 ライダーシフトで瞬間移動してきたのか。
「でも、おたくのやり口、いい感じに油注いじゃってくれたかな…ライダーシフト!」
 空間に亀裂を発生させ、そこへ三次を投げ入れる仮面ライダー。
「卜部武政…私と戦え!」
 「召鬼」の呪符を構える大石。

37 :
24話B
 だが、仮面ライダーの反応はそれより早かった。
「ライダータービュランス・小!」
 つむじ風が発生し、大石とカビ怪人を撥ね飛ばす。
 小と言うあたり、巨大な敵を吹き飛ばす風量は発生させなかった。
「じゃ!」
 怯む大石らに仮面ライダーは手を振って、空間の亀裂へ飛び込む。
 三次を呆気なく奪還された。
 御杖喜十郎の報告通りだ。彼に人質は無意味。
 端から仮面ライダーの行動を制御する事など不可能だった。
 倉庫から離脱した仮面ライダーは武政の姿に戻り、宵闇の中、三次をおぶって彼の家まで運ぶ。
 道中、三次が目を覚ました。
「お前ね〜。道端で居眠りしてたから、進駐軍にしょっぴかれてたんだよ〜」
 武政の言い分は今一分からないが、小学生になってまでおんぶ、という状況が恥ずかしくもあり、また五体満足な頃の父親を思い出して嬉しくもあった。
 武政の父親も優しかった。
 村で山刀を握るあの瞬間までは。
 変身する暇も無かった。
 切り札を簡単に奪還された大石は、思わず壁に拳を打ち付ける。
 それを見て、カビで構成された怪人の面相が歪む。
 どうやら大石を嘲笑しているらしい。
「何故笑える…?卜部武政を始末せねばザラキに未来は無いのだ!」
 ますますグロテスクに顔を歪めるカビ怪人。
「いや…とっくにお前もザラキの信者だと思ってな」
 敗戦を経験した。
 これまでの常識はことごとくアメリカに破壊された。
 生粋の軍人だった大石には最早、ザラキしかすがれるものが無い。
「黴の卒塔婆。こうなれば此方から卜部のもとへ出向く!貴様の再生能力があればライダーエスケープごとき…」
 あの技をやり過ごせば勝機はある。
 加速も分身も気象操作も、自分の必殺技で何とかする。
 だが、黴の卒塔婆はさほど乗り気でも無いらしかった。
「ニードル。お前はそれで良いかも知れんが、俺はカビの塊だ。奴が火を使えば俺なんぞ一撃だ」
「共同戦線を張るとしよう。とにかく奴にライダーエスケープを使わせる。貴様が再生している隙に私が奴を葬る」
 机上の空論、とカビ怪人は呆れていた。
 怪人は人間の姿へ戻ると、大石へ指を突き付けた。
「危険と判断したら、お前が止めようと俺は逃げるぞ。覚えておけ」
 御国の為に命を賭けてきた大石としてはこの、自身の命を最優先する言葉は受け入れ難かった。
 しかし、この場で互いの関係を破壊する訳にもいかない。やむなく頷いた。

38 :
24話C
 今度は人間の顔で笑う黴の卒塔婆。
「まあ、卜部武政が『凶鬼』の念珠を持っていない事を天に感謝するんだな」
 大石も噂には聞いている。
 卜部家の念珠の中には、森羅万象を操る「鬼神」とは別に、森羅万象を破壊する力を仮面ライダーへ与える「凶鬼」という念珠があると。
 念珠は卜部家専用の呪具だ。
 武政に兄弟はおらず、父親も自殺したため、武政以外に使用者は存在しない。
 そして「凶鬼」は武政の手元に無い。
 だからその力と戦う可能性は無い。
 気休めにもならないが、少しは幸運なのかも知れなかった。
 黴の卒塔婆は倉庫の扉を開け、乾いた風に露骨な嫌悪を見せながら大石を向く。
「律師の玄達という僧を知っているか?彼が『凶鬼』の念珠を持っている」

 六十数年後。
 その玄達は、「凶鬼」を持ってある島へ上陸していた。一人の男を目的に。
 男は、その島で異端だった。
 若い頃に単なる思いつきで人を殺した。
 その罪を隠したまま結婚し、息子をもうけた。
 だが、息子を眺めていると、人を殺した際の「疼き」が再燃した。
 男は息子へ包丁を振り下ろした。
 残念ながら急所を外したが、息子の額には深い傷を刻む事ができた。
 逮捕された男は若い頃の殺人も罪に問われたが、男自身は一切反省を口にしなかった。
 何せ動機は「人を殺したかった」だけなのだから。
 だが、弁護団の組み立てた、無理のあり過ぎる筋書きに沿って裁判に臨んだ事で死刑を免れ、懲役期間は十年そこらまで減らす事ができた。
 しかし、他の囚人を見ていると、当時の「疼き」に幾度も襲われた。
 その疼きに耐えながら年月を過ごした。
 だが弁護団を雇った為に、男は全財産を失ってしまったのだ。
 出所後、妻を訪ねた。
 だが男の顔を見るなり、妻は半狂乱で玄関で傘を振り回し、男を追い払った。
 老齢の母親にはとっくに見放されており、また息子とは連絡さえ取れなかった。
 東京に自分の居場所は無い。
 そう悟った男はこの島へ渡った。
 舟柱島。
 ほぼ漁業のみで生計を立てる寂れた島だった。
 そして貧しい島であるが故、島民同士の結束は強い。
「得体の知れない余所者」である男が入れる居場所も、勿論仕事も無かった。
 かくして男は、島民も近寄らない南東の洞窟に居を構え、釣った魚だけを食して半ば隠者のような生活をしていた。
 この日その洞窟へ、自分より若い男が入ってきた。

39 :
24話D
 一見して坊主だと思った。
 別に剃髪している訳ではないが、黒い僧衣を着ているから坊主なのだろう。
「美しい島だね」
 開口一番、坊主はそう言った。
 男は皮肉げに笑う。
「そうかな。俺は嫌いだね。島の連中は俺の顔を見る度に目を逸らすか内緒話さ。疼きが止まらんよ」
 坊主は懐より、老婆の写真を頂いたポスターを取り出した。
「尋ね人…と書いてある。この島で行方を絶った島民だ」
 男は坊主を睨む。坊主はおよそ人間とは思えない不気味な眼光で微笑む。
 微笑みながら問う。
「君かい?この老婦人を殺害し…そしてその肉を食べたろう」
 男は足下から銛を出す。
「いつも肉はしっかり焼くから安心しろ。で…貴様は何者だ」
 男が島へ来てから、幾人かの島民が行方を絶っている。この老婆だけではない。
 坊主は続いて懐から、数枚の札と勾玉を出す。
「協力してほしい。君の『疼き』こそが必要なんだ」
 男は、吸い寄せられるように札と勾玉を取った。
 坊主は非人間的な眼光を更に強める。
「この『凶鬼』は君にしか使えない。いいね?卜部武蔵」
 東京。
 横須賀を救って二日。
 緊急のオペが入る様子も無く、京也は久々に自宅での仮眠が許された。
 最近は家で寝る事の方が少ない。
 久々にアイスコーヒーのブラック一気飲みでもやってみるか。
 愛車、レイブンにキーを差しつつそんな企画を練りながらも、京也の脳裏には、常に赤毛の少女がちらつく。
 彼女は自分に好意を持っていたのか。
 気付けなかった。
 ―斎の心を察せと言ってる―
 気に食わないが、峻の言い分がどうやら正しいようだ。
 ならば自分は、斎に謝るべきだ。
「また…『べき』か」
 どうしても自分は「〜すべき」という考え方になってしまう。
 何故そんな人格形成がなされたのか、京也には分からない。
 斎が来訪しないし、此方から彼女の携帯にかけるのも憚られる。
 ならばどうすれば良い。また大学に押し掛けるか?
 走行しながらそうこう想考している内、久々の我が家が見えてきた。
 賃貸のマンション。
 ワンルーム。シャワーはあるが風呂は無し。
 とはいえ独身男性には広すぎる。
 しかし、ここが一番安かったのだ。
 出費は倹約す「べき」なのだから。
 二階の自室。上がってみると、妙な気配がした。
 自分の部屋の前に人影が見える。

40 :
24話E
 京也は咄嗟に念珠を握った。
 野獣の如く用心深くなった自分がおかしかった。
 人影が色を取り戻す。
 麗華だった。
 片手にコンビニ袋をぶら下げている。
「夜分すいませ…」
 言い切る前に鍵を開け、麗華を部屋へ引き込み再び鍵を閉める。
「…とにかく座って」
 部屋に唯一のパイプ椅子を示し、京也自身はフローリングの床へ直接座り込む。
 医学書とバイク雑誌。
 麗華はそれだけが乱雑に積まれた殺風景な部屋を眺める。
 部屋の主が湯呑みにコーヒーを入れてきた。
 どうやらそもそも、この部屋は来客を想定していないらしい。
「結構ですよ。私ワイン買ってきましたから。安物ですけど」
 コンビニ袋を示す。
 しかし京也は仏頂面のまま、湯呑みを机へ強く置く。
「俺の部屋の前で待っているというのは…ストーカーまがいだ。やめてもらいたい。それから先に手を洗ってくれ」
 来客を歓迎する風を一切見せず、極めて常識的な事を口にする。
 黙って頷く麗華に小言を続ける。
「第一、無用心だ。この辺りの治安は悪い。このマンションの住人も半分は外国ヤクザだ。知っている筈だが」
 だから家賃が安いのか、と思った。
「ああ、それであんなに強引に引き込んだんですね」
 一見して誤解される構図だったが、麗華の身を守る為にやむを得なかった。
「それで…用件は?」
 麗華はコーヒーを飲み干した後、紙コップにワインを注ぐ。
「先生から、斎ちゃんに謝って貰おうと思って」

「ごめん…悪かった」
 六十数年前、美月屋の卓。
 無事救出されたキヌは、武政と斎に頭を垂れていた。
 武政は立ち上がり、キヌの肩を叩く。
「オレだってねー、怒る時は怒るよー」
「うん…知ってる」
 肩を竦めるキヌに微笑む武政。
 怒る事もある、というだけで、今怒っているという訳ではないらしい。
「その、キヌちんの理想はすげえ有難いんだ。ただ、それを現実にしようってのはちょっとしんどい」
 冷静になれば武政の言い分が正しい。
 話し合いだけで解決するなら、つい数ヶ月前まで続いた戦争など、端から起こらなかったのだ。
「人鬼は人の狂気。そもそも人の善意は意味無い。善意が通じる保証は無いのに、仮に通じるまで待つとする。それまでにどんだけの人間が鬼の犠牲になる?」
 絶対悪。抹Rべき存在。
 少なくともフルンティングはそうだった。

41 :
24話F
「確かにオレはニードル…大石君を脅迫したよ。ザラキと手を切らなきゃ体内から破裂さすぞって」
 武政は一度言葉を切り、自分の額を小突く。
 自分の行動に言い訳するのが嫌いなのだ。
 それでも言い訳しておきたかった。
「でもね、言い訳させて。彼はザラキと手を組んだまま、オレにフルンティングを倒す為に協力しろなんてムチャを言ってきた」
 弱い灯りの灯った、三次の家を遠巻きに見る。
「脅かすしか無かった。善意に訴えてザラキと縁切りさせるのは無理なんだ。そもそも人鬼は狂気。元から相互理解できない絶対悪が実体化したモンだからね」
 口を尖らせたまま頷くキヌ。
 人鬼を改心させる事など不可能。それは理解できた。実感も伴って。
 ただ、もう一つ納得がいかない事がある。
「じゃあさ、卜部さんも斎ちゃんも、何でそこまで割り切れるわけ?だって相手は元々…」
 人間だ。
 武政は一瞬だけ目を泳がせ、そして笑う。
「ほら、人鬼は狂ってるって言ったよね。って事はオレも中々に狂ってるってゆう」
 軽い武政の口調にやはりイラッと来るキヌ。
 それまで無言だった斎が漸く開口した。
「キヌ。私は割り切っている。でも武政さんは割り切れない。分かって…ほしいのだけど」
 武政は笑みを止め、右手の甲を眺める。
 ここから剣が伸びる。にもかかわらず、自分はディグを斬る事ができなかった。
 ―人鬼である俺を見て仲間だと思っちまう事―
 それが武政の弱点だとディグは、立和田は言っていた。
 おかしなものだ。人鬼も改造兵士も元が人間である事に違いは無いのに。
「斎、オレ成長したもん。今度はぜってー仕留める」
 嫌な成長だ。
 そうキヌは思ったし、内心で武政も思っていた。
 その時、宿の戸が開いた。
 もう一人別の若い男を連れ、大石が押し入ってきた。
「卜部武政はいるか!」
 以前の高潔さが感じられない怒鳴り声。
 武政は振り返り、友人と再会したかのように明るく手を振る。
「あけおめ。あ、あけおめじゃねえな。助かったよ」
 どこまでも人を食った風の武政が、本当に気に入らない。
 大石は、怒気を隠さず武政へ詰め寄る。
「助かっただと?何がだ!」
「大石君、約束は守るタイプだからさ。三次は生きてたから。ありがと」
 大石は一つ息をつき、近場の椅子に腰を下ろす。
 眼前の武政の思考は読めない。
 笑顔である上、作った笑顔にも見えなかった。

42 :
24話G
「卜部…なぜ正面から私と戦わん」
「言ってるだろー。おたくがザラキを卒業してくれたら、そもそも戦う必要は無くなるんだって」
 武政は髪を弄りながら、大石の背後にいる男を観察していた。
 外部からは見えないが、武政の額には第三の目が開いている。
 それが男の体を解析する。
「大石君、その…彼。さっき倉庫にいたカビの怪人だよね」
 にわかに緊張する男。
 そして大石は、強張った面で頷く。
「卜部。私と戦え。でなければ、奴が放つ毒の胞子がこの店を汚染するぞ!」
 ああ、と武政は残念そうな表情を作る。
「それ無理。火をつけてからバリアで密閉すれば被害ゼロで倒せる。トリカブト型の奴はその方法で倒したから」
 武政は笑顔を崩さない。
 どんな挑発も意味をなさない。
 何をどうすれば、この男の精神を揺さぶれるのか。
 怒り、恐怖、鬱憤。
 大石は血走った目で武政の笑顔を睨む。
「私はお前と戦わねばならん!しかしお前は、力を誇示するだけで一向にマトモに戦おうとしない!」
 そりゃ、と武政は困った笑顔を浮かべる。
「積極的におたくを殺そうとは思ってないさ。それに、店とか三次とかを人質にすんの止めてもらえんかな?」
 大石は立ち上がり、遂には武政の胸ぐらを掴んだ。
「私は!私は御国のために戦う事が正義だと信じてきた。そして今、私は寄り掛かるべき正義をザラキ天宗に見い出している」
 武政は、大石の腕を振りほどこうともしない。
 ただ吠える大石を見ている。
「全ては私と手を組まん、私と戦おうとしないお前に責任がある!」
 胸を掴まれたまま、武政は目を泳がせる。
「組む気が無いなら私と正々堂々と戦え!私の大和魂は未だ死んではいないのだ!」
「ざけんな」
 漸く武政が口を開いた。
 漸く大石を正面から見た。
 既に笑顔は消えていた。
「ザラキと組んだのは別に良いさ。オレと戦うのも良い。じゃ何で三次をエサにした?」
 大石の目は怒りで血走っていたが、武政の目は、犬や狼の如く光っていた。
「正々堂々?大和魂?笑わせんな。おたくは正義と一番遠いトコにいたんだ」
 そう言って手をやっと振りほどき、一旦深呼吸を挟んだ後、またも笑顔を取り戻す。
「…ごめん、取り乱した。じゃあさ、一緒に直江君の家行こうよ。そこで決着ってどう?」
 武政の提案が孕む意を、斎とキヌは察していた。
 武政は、大石と直江の二人をまとめて葬るつもりだ。

43 :
24話H
 だが、大石にはその意を察する事はできない。
 ただ頷き、カビ怪人の男と共に店の玄関へ出る。
「しかし卜部。お前一人で…か?」
「そいつは危ないギャンブルだね。相棒、同伴出勤をお願い」
 黙して頷き、斎はテーブルの下に隠していた刀を握る。
「ちなみにさキヌちん。直江君の部屋ってどんなだった?」
 武政の質問に、キヌは顔を歪めた。
 思い出すだけで吐き気がする。
 屋敷に染み付いた死臭。毒々しいステンドグラス。そして恐怖の書斎。
「大量の洋書と…よく分かんない帳面があったなあ。『根暗なミカン』とかなんとかいう」
 突然武政が吹き出した。
「ああ、根暗なミカン。それさあ…タコの絵に『フングリー、ムグルナフ、クトルフ、ルル、イエーィ! 』とか書いてなかった?」
「だいたい正解!何で知ってんの?」
 外で待つ大石に軽く頭を下げ、武政は失笑する。
「くく…イタいなあ。自分で書いちゃってんのか直江君」
 店内のキヌへ手を振り、再び大石へ合流する武政。
 斎も一振りの刀を腰に差し、立ち上がる。
「あ、あのさ!」
 何をすれば良いのか。
 自分に何かできる事は無いのか。
 キヌは斎を思わず呼び止めた。
 対して斎は手を挙げ、キヌを制する。
「私も武政さんもキヌを心配している。その気持ちを…考えて」

「斎ちゃんは先生を心配してくれてるんです。その気持ちを、考えてあげて下さい」
 六十数年後。
 そんな事を言う麗華に、京也は辟易していた。
「彼女を理解できなかったのは…俺の落ち度らしい。だから謝るべきなんだろうが…」
「いつもそうですよね。先生、何かにつけて『何々すべき』『しなければならない』って断定的な物言い」
 麗華と峻がダブった。
 多少の付き合いがある人間は、往々にして京也にそんな感想を抱くらしい。
「…俺より患者を観察してくれ」
 自分に観察される程の魅力があるとは思えない。
 ただ、自分の断定的な物言いに関しては、少し思うところもある。
「そうだな…祖父の影響だろうな」
 麗華のワインには目もくれず、京也は自分のコーヒーを継ぎ足す。
「じいさんの言葉だ。二本の道に迷った時は、自分の進みたい方の道は選ぶな。進むべき道を選べ」
 麗華と仕事以外の話をした経験は極めて少なかったが、この日は妙に口がよく動いた。
「欲求が満たされなかった後悔の方が、義務を放棄した後悔よりまだマシだ、と」

44 :
24話I
 祖父の教えを忠実に守った結果、京也は然程物欲を抱かない性質になった。
 バイク程度しか拘りは無い。
 コーヒーにしても、豆やサイフォンに拘っている訳ではない。ブラックなら何でも良い。
 恋愛に関しても興味は薄い。
 高校時代、何としても医学部に入らねばならなかった自分へやたらとアプローチをかけてきた同級生の女子がいた。
「一応、彼女とは付き合った。二ヶ月そこらで振られたが」
 その際京也は「空っぽな人間」と罵られた。
 生真面目で勉強以外に関心は無く、無口で、その割にマナーや一般常識に煩く、女の気持ちを察する事ができない。
「彼女から空っぽって言われたんですね…こたえたでしょ」
「いや、むしろその時は嬉しかったな」
 怪訝な目で見る麗華。
 京也はしばし言葉を探す。
「そうだな…俺は半端な虚無主義者なんだ。虚無主義者になりたいのかも知れない。だが今はまだ、人生に価値が無いと思えるほどの虚無主義者にはなれない。そうなれたら、楽…かも知れん」
 誤解しないでもらいたいんだが、と京也は手を挙げる。
「麗華さん。その…俺はあなたを大事だと思っているよ。無論、斎ちゃんもだ」
 世の全ての女性を敵に回す発言だ。
 しかし、京也に悪意は無い。
「ただ贔屓をしないだけなんですね。どこまでも正義のヒーローなんだから」
 ヒーローになりたいのかも知れない。
 医者はある意味でヒーローだ。
 そして、仮面ライダーとして妖魔を狩る事もまた。
 だが、京也はヒーローという言葉が嫌いだった。
 正義とは極めて一面的な偏った思考だ、と京也は思っている。
 正義という言葉への反論内容が既に古臭い。
「でも先生、最初から正義を行ってるヒーローはいないと思いますけど」
 その通りだ。
 その者の行為を見て第三者が正義か悪かを判断する。
 そして、第三者から正義と判断された者が社会的にヒーローと認知され称えられる。
「成る程…『正義のヒーロー』か否かは第三者が決める事だと」
「少なくとも、仮面ライダーはその行為によって正義のヒーローに『なった』んですね」
 正義のヒーローなどという嘘臭い者は実在するのだ。第三者から見れば。
「…話を戻しましょう先生。斎ちゃんの件ですけど」
 女性の扱いは不得手なのだ。
 京也は窓ガラスを揺らす電車の騒音を聞きながら、ため息をもらす。
 そのマンションよりは幾分か治安の良い町。

45 :
24話J
 斎はバイトを終わらせ、帰路についていた。
 結局、都市保安庁側が許可しなかった為に、斎は妖魔召喚システムの捜索へ参加する事は無かった。
 またここ二日間、京也の病院へ寄る事も無かった。
 正に日常への回帰。
 ただ、ザラキと妖魔の存在を除けば。
「日常かあ…」
 京也は自分の訪問が無くなり、ほっとしているだろうか。
 麗華へ嫉妬したのは事実だが、そもそも自分は京也へ感情を伝えていなかったのだ。
 いつの間にか、自分は京也に理解してもらっていると思っていた。
 京也を非日常へ引き込んだのは自分だ。
 だが今さら、京也に電話をかけたり、ましてや病院を訪問する程の勇気は無い。
「どうしよう…」
 夜道をトボトボと歩く斎。
 その足が止まり、目はあらぬ方を睨んでいた。
「妖魔…!」
 同じ頃、都市保安庁もその情報で緊急態勢に入っていた。
「都内へ妖魔出現。多摩川より上陸したものと思われます!」
 出番だ。
 そう考えていた御杖峻だったが、周囲の喧騒と明らかに様子を異にする事務員の姿が目に入った。
 陸自の緊急配備、情報の遮蔽等忙しい状況にも関わらず、その男は指令室を飛び出した。
「課長…妖魔は仮面ライダーに任せましょう」
 峻は男を追った。
 曾祖父の件と共に峻を悩ませていた、もう一つの問題が解決するかも知れない。
「分かった…分かったから俺も麗華さんも明日早いだろ?」
「いいえ分かってません!そもそも先生の」
 一時間ばかり麗華の小言は続いていた。
 これで明日の業務に差し障りは出ないのだろうか。
 ほとほとうんざりした京也。
 その脳に突き刺さるものがあった。
 それが脳へ波動のように響いてくる。
 五感では知覚できないはずなのに、明らかに京也の脳はその波動を信号として捉えている。
「これは…斎ちゃんの思念…?」
 思念を直接相手に伝達する。
 テレパシーだ。他に形容のしようが無い。
 曰く、妖魔が出現。
「麗華さん、悪いが帰ってくれ。急用ができた」
 様子の変わった京也。
 麗華は荷物をまとめつつ京也に問う。
「斎ちゃんが病院に来た時、たまに『妖魔』や仮面ライダーの名前が聞こえるんですが」
 ヘルメットを抱えたところで、京也は立ち止まる。
 麗華も椅子から立ち上がり、京也を見る。
「そういう事なんですか?先生」
 京也の動悸が高まった。
 麗華から目をそらしつつ応じる。
「今は…うまく説明できん」

46 :
24話K
 麗華は一つ笑い、飲みかけのワインを机へ置きっぱなしにする。
「分かりました。じゃあまた明日」
「ああ…お疲れ様」
 病院での挨拶の癖が出た。
 麗華をマンションのエントランスまで送ると、直ぐ様駐輪場へ駆け出した。
 少し立ち止まり、振り返った。
「麗華さん。今日は…有難う」
続く
次回、第25話「地図から消えた島」

47 :
24話、以上です
やっぱり11レスくらいが限界か

48 :
ああ>>47はID見りゃ分かるが自分でこの板は上げ推奨だったな
深呼吸しろ自分。

49 :
25話@
 妖魔が現れたと聞いた。
 現地へ向かおうとした京也だが少し立ち止まり、振り返った。
「麗華さん。今日は…有難う」
第25話「地図から消えた島」

 六十数年前。
 直江聡は闇市で食料を買いだめした後、自宅への帰路についていた。
 腕に抱えた大量の食料を見てため息をつく。
 屋敷には自分一人しかいない。これを全て、自分で調理しなくてはいけない。
 しかし、前の家政婦は斬り殺した。
 噂が広がっているのか、新聞に求人広告を出しても誰も来ない。
「そろそろ引っ越した方が良いかもなあ…」
 そう呟きながら、香しい死臭の染み付いた玄関を開ける。
 咄嗟に身構えた。屋敷に自分以外の何者かの気配がする。
 野獣のように用心深く、「召鬼」の呪符を片手に書斎へ向かう。
 招かれざる客は、確かにいた。
「お帰り。本勝手に読んでたよ」
 卜部武政が、自分のソファーに悠然と座し、足をテーブルに乗せて自分の買った洋書を読みふけっていた。
「…僕の書斎なんだけどな」
 直江の声に飄々と応じる武政。
「いやぁ、クトルーの本ばっかだな。好きなの?」
 呪符を持ちながら、一応の警戒心を持って直江は応じる。
「うん…好きだよ。この作品群が描く狂気は素晴らしい。異次元に触れたちっぽけな人間の破滅」
「分かる。でもこれ全部集めたわけ?オレも初めて読んだのが何冊かあったんだけど」
 話が合うようだ。向かいのソファーへ腰を下ろす。
「うん。わざわざ米国から取り寄せてね。日本ではまだ出版されていないだろ?」
「金持ちのなせる業だなあ。個人的に前に読んだ事があってさ。そん時も思ったんだけど、全編英語だろ?超読みづらかったわ」
 直江は苦笑し、武政にワインを差し出すが武政は首を横に振る。
「直江君のお家で赤いものとか飲みたくないっつの」
 皮肉げに笑いながら、武政は庭を見る。
 大石、カビ怪人、そして斎は屋敷の庭で待たせている。
 もう少し待たせても良いだろう、と本を一冊手に取る。
 現在は「クトゥルフ」「クトゥルー」と称される作品世界。
 日本で初めてクトゥルー神話が紹介されたのは1948年。この二三年後の事だ。
 少なくともこの時代、日本での知名度は無いと言って良かった。
「日本にも浸透してほしいけど、しばらくは無理だろうなあ」
 ぼやく直江。
 まあ、と武政は本をパラパラと捲る。

50 :
25話A
「『クトゥルー何ぞや!』って言ったら要は海外のパルプホラーだもんねえ」
 武政は勝手に立ち上がり、それらの本を棚へ戻し始める。
 ふと、一冊の本が目に止まった。
『鼠』
 ソファーに戻り、武政は神妙な面持ちで直江を見る。
「あのさ…おたくは人斬るの好きだろ。その後死体をどうすんの?」
 自分のように、死体を食ってしまう訳ではない筈だ。
 遺骸がレイモンドに発見されている。
「それにさ、本読むついでに地下室を覗かせてもらったわけ。何か、ビミョーな破片ばっかり集めてるよね」
 指の一本や耳、眼球の一つ。切除した肺の一部のようなものもあった。
「被害者の数の割には、屋敷に染み付いた死臭が薄いと思ったんだ。あれは死体から切り落として持って帰ったんだよね?」
 直江は事も無げに頷く。
「一人につき一ヶ所。僕が何人斬ったかという証明だね」
 納得した。しかし、地下室とはいえ腐らないのだろうか。
 そう聞いてみるが、採取した後撮影し、詳細もノートへ記載しているので、破片そのものの保管は必須ではないのだという。
「なるほど。別に死体のパーツ繋げてフランケンシュタインを作ろうとかじゃないんだ」
「撤回したまえ!」
 突如激昂した直江に驚く。
「卜部君。君が言いたいのはフランケンシュタインの怪物の事だろう?しかしフランケンシュタインとはあくまでも怪物を作った博士の名だ!勘違いしないでくれ!」
 そうだった。
 病的な愛好家は素人の誤りに敏感なのだ。それに
「そっか、ネク何とかの日本語版を書いちゃうぐらいだもんね」
 クトゥルーの世界観における、キーアイテムの魔導書。
 武政は苦笑いを浮かべて肩をすくめ、話を戻す。
「つまり直江君。おたくは『R事』自体に価値を感じるわけだね」
「そう…そうだな。死体は単なる物体だ。あれを美しいとか美味しそうとか感じる神経が分からないよ」
 直江の神経も相当なものだが、ひとまず落ち着きは取り戻したらしい。
 なるほど、と武政は頷く。
「じゃあカニバリズムではないし」
「勿論、ネクロフィリアでもないよ」
 やけに自慢気な直江。
 武政は天井を仰ぎ見る。
 直江は、ある意味で人鬼の完成形だ。自分がこの男の同類だという事実が忌々しい。
 忌々しいと思っていたが、この部屋に迫ってくる危険を察知した。
「直江くーん。危ないぞー」
 武政の背後。毒々しい色のステンドグラスを割りながら針が飛んでくる。

51 :
25話B
 ソファーへ腰掛けたまま、武政は首へ襲いかかる針を掴み取る。
「大石君か…そろそろ我慢できねーみたいだ」
「良いね。やっと斬り合える!」
 本来、武政は大石と直江、双方を葬りに来たのだ。
 少々話が弾んでしまったが仕方ない。本をしまい、二人は書斎を出る。

 レイブンのキーをしまい、六十数年後、京也は深夜の川岸に降り立った。
 暗闇に浮かぶ海豹、或いはトドに似た妖魔。
 好事家であればネッシー等の姿を妄想する格好の材料になろうが、生憎と京也は現実主義者だった。
 ヒレ状の腕に押し潰された乗用車。
 辛うじて脱出した生き残りを逃がし、トドを観察する。
 目測での体高は約5m。全長は10m近い。
 そのトドが、目から赤い光線を照射する。
 その弾道の正面に立ち、京也は回避する素振りさえ見せない。
「…変身」
 直撃を受け、赤い光線の中に京也が消えた。
 その光線が止む。瞬時に溶解した電柱。アスファルト。
 赤熱化した地に一人屹立する、仮面ライダー・ブレイクフォーム。
「光線というよりは熱線か…」
 トドの目が再び赤く光る。第二射だ。
 仮面ライダーはその瞬発力を活かし、敵の懐へ飛び込んでゆく。
 トドのヒレは怪力を秘め、またその縁は刃となっている。
 仮面ライダーをヒレで挟み切ろうとするトド。
わ腕の生体カッター、ライダーシッケルでそれを封じる。
 しかし、仮面ライダーの頭上から三発目の熱線が襲い来る。
 ヒレをほどき、辛うじてその攻撃を避ける。
「そちらが熱なら…超変身!」
 自然のエネルギーを操るディザスターフォームへ変身すると、手から吹雪を放つライダーブリザードで熱線を相殺。
 続いて、槍を片手に再度走り込む。
 しかし、トドの口から牙が突然抜け落ちた。
 その牙がミサイルの如く仮面ライダーを追尾してくる。
「ライダータービュランス!」
 烈風を巻き起こし牙ミサイルを止めるものの、今度は目からの熱線が唸る。
 ブリザードを起こし再び防御するが、牙が素早く生え替わり、またもミサイルとして打ち出される。
「超変身!」
 時空間を操るウィザードフォームへ変身。
 ミサイルが着弾する寸前に、超加速能力を発揮した。
「ライダーアクセラレート!」
 ヒレ、牙、熱線。
 三つの武器が同時に動きを鈍化した。
 素早く活動できるのは仮面ライダーのみ。
 加速中に、ウィザードアロー両端の刃で斬りかかる。

52 :
25話C
 だが、直後に仮面ライダーは自身の体に硬直感を覚えた。
 見れば、足元から自分の体が凍結し始めている。
 加速する事を予測されていたのだろうか?
 トドの体から目に見えないエネルギーが生じ、それに接触した自分の体が凍結を始めた。
 アクセラレート発動寸前に、この冷凍フィールドを展開されていたようだ。
 接近すればこのフィールドの餌食。自分が良い例だ。
 硬直している間にも、加速可能時間は着々と残り少なくなってゆく。
「ち…ライダーシフト!」
 アクセラレートの効果が切れる寸前に、トドのヒレの範囲外へワープする。
 同時に、銃と剣を併用するバーサークフォームへ変身。
 肉体変化によって凍結を無効化し、尚も自分を追尾するミサイルを、波動銃バーサークショットで撃墜した。
 接近すればヒレ。死角に回れば凍結フィールド。距離を置けば熱線。逃げれば牙ミサイルで追尾。
「俺への対抗か…」
 少々手こずった。これ以上は許さない。
 熱線を跳躍で回避し、「鬼砦」の念珠を取った。
「スカルダイバー!」
 レイブンを生体強化外骨格が覆い、複数の角が互いを向き合った装甲を備えるマシンへ変貌した。
 飛び乗るバーサークフォーム。
 同時に、角から放射された亜空間バリアが車体を覆う。
 熱線をバリアが弾いた。そのまま突撃する。
 冷凍フィールドをも無視してトドへ近接する。
「ゲッタージャッジ!」
 車体より骨の刃を伸ばし、回転と共に切りつけた。
「ゲッターキャノン!」
 一旦離脱し、カウルへ時空波動銃を形成する。
「来い。俺が相手だ」
 仮面ライダーが優位に立っている頃、都市保安庁本部を内包するビルの屋上で、一人の男が法螺貝を覗いていた。
 貝の中には鏡が内蔵されている。
 その鏡へ幾度も呪文を…焦燥しながら…唱える男。
「何故だ!何故ザラキ本殿に…妖魔が!」
 男はザラキ天宗の信者だった。
 都市保安庁へ侵入し、情報をザラキ天宗の司令塔「本殿」へ流すのが使命。
 いわば内通者。
 しかしこの所、ザラキ側からの指令が無い。
 業を煮やし、連絡用の法具「宝鏡」を使用するが、その鏡に映ったのは、妖魔どもに席巻され変わり果てた本殿だった。
 そして律師、玄達の部屋も無人で、彼が隠していた念珠「凶鬼」も姿を消していた。
「まさか…トウテツを解放するのか」
 呆然と呟く内通者。
 彼は背後の殺気に気付けなかった。
「てめえか」

53 :
25話D
 御杖峻=スラッシュが追い付いていた。既に変身している。
 仮面ライダー捕獲の一件以来峻の悩みの種だった、内通者の存在。
 逃す手は無い。
 内通者は僧兵型の戦闘員へ変身するが、スラッシュに歯の立つ筈が無い。
 薙刀から放つ光線も尽くその爪に切り裂かれ、挙げ句に薙刀すら切断された。
「ふん…スラッシュなど、トウテツが解放されれば無力も等しい!今の内に精々…」
「ゴミがくせえ息を吐くな」
 「鬼爪」の呪符を読み、スラッシュは攻撃の切れ味を増幅させるライダーフェザーを発動させた。
「ライダーチョップ!」
 手刀と共に放たれる時空衝撃刃が内通者を寸断した。
 通常攻撃で葬れるレベルの相手だったが、怒りの余り、必殺技で決めた。
 内通者が残した法螺貝を覗く峻。
「トウテツ…と言ってやがったな。フ…ザラキが妖魔に乗っ取られたか」
 念珠が奪われ、トウテツが解放される。
 京也を案じる峻。
 何故なら念珠を使う人鬼は、卜部の血を引く者だけなのだから。
「そうだ。京也…てめえ以外の奴がトウテツなら、そいつはてめえの恐怖の象徴以外にあり得ん」
 その京也、仮面ライダーはシールドに包まれたスカルダイバーを縦横無尽に操り、トドの全ての武器を無力化しながら一方的に攻める。
 ヒレカッターをゲッタージャッジで弾き、目からの熱線を跳ね返しつつ、ゲッターキャノンで喉を狙う。
 この銃はカウルに備わっているため、進行方向上の敵しか攻撃できないようにも思えるが、銃身を伸ばせば自在に湾曲し、別方向の敵も攻撃できる。
 これを生かし、背を見せて離脱しつつの狙撃という高等戦術も見せる。
 トドが大きく仰け反った。
 この隙をつく。
 仮面ライダーは、左手のバーサークショットとカウルのゲッターキャノンを同時に向けた。
 車体と左手の生体銃。周囲に時空の歪みを示す陽炎が見える。
 その陽炎が同時に波動弾となり、妖魔へ迫る。

「ちゃんと止めてくれよ斎ー。大石君の針飛んできたよ」
 六十数年前。庭に出るや斎へ毒づく武政。
「私が許可した。武政さん長いから」
 全く悪びれる様子が無い。
 傍らには今にも武政へ飛びかかりそうな大石と、大石に対して無関心な風のカビ怪人。
 武政の傍らには歓喜に目を輝かせた直江。
「君たちを一気に斬れるチャンスか!これは嬉しい。有り難う卜部君」
「卜部…我が大和魂で、貴様らの汚れた性根を焼き払ってくれる!」

54 :
25話E
 二人の腰には既にオニノミテグラが生じ、目は赤く、手には「召鬼」の呪符。
「変身!」
「変身!」
 ヤマアラシを思わせる人鬼、ニードル。身体中に蛭が貼り付いた人鬼、フルンティング。
 大石が連れていた男も怪人「黴の卒塔婆」の姿を現す。
 対して不敵に笑む武政。
「ふん、鬼の力に心を奪われし哀れな者共め。この卜部武政が正義の刃にて…あっぶね!」
 演説をぶっていた最中、ニードルが体表の針「ライダースパイン」を引き抜き、投げてきた。
 回し蹴りで咄嗟に弾く武政。
「さっさと変身せよ!」
「こうゆうのはとりあえず最後まで聴くのがお約束だろぉ?ったく」
 「召鬼」の念珠を握った右拳を高く掲げ、それをベルトへ接触させながら振り下ろす。
「変身っ!」
 ヤマアラシと蛭へ睨みをきかせる白いカマキリ。
 今度は仕留める、と隣の斎に約束した。
 仮面ライダーの全身の刃が、いつにも増して鋭く見える。
 その鋭利な輝きを奪うべく、ライダーソードを抜いたフルンティングが空中より斬りかかる。
 仮面ライダーは事務的にオメガフォームへ変身、生体剣バーサークグラムでその斬撃を受け止めた。
「君との談義は楽しかったよ卜部君。仲良くなれそうだ」
 刀を全力で押しつけながら吐く台詞ではない。
 だから仮面ライダーは苦笑した。
「友達ならさあ…斬るの止めてくんね?」
「分かってないなあ。君と僕は友達だ。相手が良い人だから、気持ち良く斬れるんだよ」
 こんな輩と談笑できた自分が怖い。
 仮面ライダーは、フルンティングの腹部へ蹴りを打ち込む。
 だが仰け反り後退しつつも、フルンティングは言葉を断たない。
「く…さっきは言葉で君と遊んだのさ卜部君。次は何をして遊ぶか分かるよね?」
「分かる自分が嫌だよ。体を動かして遊ぶんだろ?友達と」
 フルンティングの中に、戦いを楽しむ自分の姿が見えた。
 忌々しかった。
 武政はバーサークグラムを振るうように見せかけ、防御の体勢に入ったフルンティングの懐へ潜る。
 そのまま顔面を掴んで投げ飛ばす。
 背後を襲うニードルの針、ライダースパインを、バーサークグラムで切り弾く。
 ニードルの腕では、密集した針がさながらノコギリの様相を呈している。
 そのノコギリ「スパインソー」とバーサークグラムで切り結ぶ。
 仮面ライダーとニードルが重なった。
 今なら同時に斬り倒せる。

55 :
25話F
 しかし、その首筋に冷たい感触。
「あなたに、刀を振るう資格は無い」
 あの斎とかいう少女が、自分へ無骨な刀を突きつけている。
 咄嗟にライダーソードを振るうが、斎は後方へ跳躍し回避する。
「フルンティングレイ!」
 人鬼を上回る瞬発力を誇る少女に脅威を覚え、振るった刀身から時空衝撃刃を飛ばす。
 空中で体勢を立て直せない斎へ迫る波動。
 だが斎は腰から刀の鞘を取り出し、その鞘で波動を跳ね返した。
 着地した斎はフルンティングと対峙する。
「直江。あなたの相手は私」
 体の正中線上に刀を置く、中段の構えを取るフルンティング。
 腰に戻した鞘へ納刀し、居合いの構えでフルンティングの出方を伺う斎。
 その背後へ骨ばった…というより骨が露出した背中が付く。
 仮面ライダーと斎。
「武政さん。背中は、預かる」
「預けたぜ、斎!」

 ニードルがまたスパインを引き抜いた。
 それに仕方無く続くカビ怪人。
 その手から猛毒を帯びた触手が伸び、鞭のように仮面ライダーを絡め取る。
「よくやった黴の卒塔婆!そのまま奴へ毒胞子を感染させてしまえ」
 喜ぶニードル。だが斎は、相棒の危機に焦った様子を見せない。
 仮面ライダー本人も慌てず騒がず、触手を逆に鷲掴みにする。
「ライダーフレイム!」
 仮面ライダーは炎を操り、掌へそれを蓄積させて触手を焼き払う。
 炎はそのまま触手を伝ってカビ怪人へ迫るが、本格的に引火する寸前で、触手をニードルがスパインソーで切断、カビ怪人を救出する。
 だが安堵の息をつく間もなく、仮面ライダーのバーサークショットがニードルへ撃ち込まれた。
 吹き飛ばされ宙を舞い、地に叩きつけられる。
 痙攣する足を引きずり、仮面ライダーへ怒りの視線を刺す。
「おのれ卜部…我が戦友をよくも!」
「悪い奴が仲良くなったら尚タチ悪いだろ」
 ニードルが見せる仲間への友情。
 だが、それで仮面ライダーの心は動かされない。
 動かされてはならない。何故ならこの場でニードルらを粉砕する『べき』なのだから。
「ライダーアイアンメイデン!」
 ニードルの身体中から一気に針が撃ち出される。
 だが、仮面ライダーの右手にウィザードアローが出現した。
 再び炎を発生させ、アローへ収束する。
「ツインフレイムショット!」
 超高熱火炎弾と時空衝撃波を交互に連射し、針を焼却しながらニードルを吹き飛ばす。
「もう一発いっとくか?」

56 :
25話G
 卑劣な二挺拳銃を見せつける仮面ライダー。
 体の各部に火を残しつつも立ち上がるニードル。
 生え変わったスパインを早くも引き抜き、尚も闘志を燃やす。
 だが、黴の卒塔婆は既に怖じ気づいていた。
 彼の最大の弱点は炎。もう一発食らう訳にはいかない。
「ぐ…まだだ!黴の卒塔婆、力を貸せっ!」
 そう言われても足が前に進まない。
 その時、カビ怪人の背後で空間に亀裂が生じた。
「ライダーシフト!」
 亀裂から出現したのは、ザラキに与する人鬼、スラッシュ。
「おたく!」
 警戒する仮面ライダー。
 意に介す事無く、スラッシュはニードルへ目を向ける。
「御杖殿!自分は未だ戦えます。どうか仮面ライダーの首は自分に取らせて戴きたい!」
 そうか、とスラッシュは頷き、カビ怪人の肩を叩く。
「ではニードルに任せるとしよう。ただ、黴の卒塔婆は撤退させる」
 何だと。スラッシュは何と言った?
 仮面ライダーによるライダーエスケープが発動するまでは、黴の卒塔婆にいてもらわねばならない。
 黴の卒塔婆を撤退させれば、最早ニードルに勝ち目は無い。
 すがるようにカビ怪人を見るニードルだが、怪人の方はカビが固まった顔面をグロテスクに歪めて笑う。
「無理は禁物、とスラッシュも言ってくれてる。俺は先に帰るよ」
 スラッシュが形成した空間亀裂へ飛び込み、撤退するカビ怪人。そしてスラッシュ本人。
「逃がすか!」
 仮面ライダーはその亀裂へバーサークショットを撃ち込むが、スラッシュレイに衝撃波を相殺され、次の瞬間には空間亀裂そのものが封じられていた。
 見捨てられたのだ。ニードルは御杖にも、相棒にも、ザラキにも。
 言葉を失うニードルの背を見て、仮面ライダーは通常形態である筈のブレイクフォームへ戻る。
「貴様…慈悲のつもりか…」
「ニードル…。オレはおたくを哀れだと思うよ」
 大日本帝国の掲げる正義を頑なに信じてきた崇高な軍人。
。だが、正義は鬼畜米英に打ち砕かれた。
 神国の象徴たる御方は、ご自身を人間と規定なさった。
 あまつさえ米英は、自分達のルールを神国日本へ押し付けようとしている。
 彼の正義はことごとく否定された。
 最後に彼がすがりつける正義はザラキの教義だった。
 そして、そのザラキすら彼を裏切る。
「なあ…何でだ?何ででっかい権力を持った者にすがり付かないと、おたくは正義を保てないんだ?」
「黙れっ!」

57 :
25話H
 怒号と共に投擲されたライダースパインを容易く掴み取る仮面ライダー。
「だから、おたくが哀れだと思う。でもな…」
 知らず、手に力が入った。掴んだ針を握り潰す。
 この針のように、真っ直ぐな大和魂を貫き通す人間であって欲しかった。
「三次をエサにした時点で、オレはおたくにかける情なんか綺麗に捨て去った」
 砂と化した針の残骸をニードルの顔面へ投げつける仮面ライダー。
「オレね、お前みたいな奴が世界で二番目に嫌いなんだわ!」
 フルンティングの剣を止めつつ、斎は僅かに頷いた。
 武政は非情になってくれた。ディグの時のような失態はすまい。
「よそ見はやめてくれ!」
 刀を封じられたフルンティングが蹴りを見舞ってきた。合気道の要領で相手をいなす斎。
 よろめきながらフルンティングは、ベルトへ「昂鬼」を読ませる。
「ライダーエペタム!」
 時空衝撃波を帯び、切断の力場を巨大化させた剣が斎へ迫る。
 が、その波動の刃も、斎が持つ刀の鞘に止められた。
 体を回転させ、刀の柄で波動の刃を叩く斎。同時にその波動が逆流する。
 迫り来る自らの必殺技。
「ライダーシフト!」
 火事場の何とやら。
 異常な俊敏性で空間へ亀裂を産み、フルンティングはそこへ飛び込んだ。
 辛うじてエペタムの直撃をやり過ごすフルンティング。
 だが、自分と互角に戦っていた少女の刀が、ライダーソードに匹敵する性能を持っているところまでは考えが及ばなかった。
「逃がさない」
 虚空へ刀を振る斎。
 空間に三度の亀裂が走り、その亀裂はフルンティングを排出した後、通常の空間へ修復された。
 斎はスラッシュやフルンティングのライダーシフト同様、刀で空間へ亀裂を作り、そこからフルンティングを引きずり出したのだ。
「くすんだ刀…」
 フルンティングのライダーソードを見て、斎はそう呟く。
 外骨格の細胞から形成されたライダーソードは刀身が白く、日本刀のような輝きはそもそも皆無。
 だが斎は、より内面的な汚れ…「穢れ」を見抜いていた。
「僕の刀を馬鹿にしないでくれ。これは血を吸えば吸うほど切れ味が増す…」
「そして、怨念も同時に吸ってきたのね」
 斎に見えるのは、その怨念により刀へ染み着いた穢れだ。
「あなたには見えない?」
 対するフルンティングの声音は、明らかに斎を嘲笑するものだった。
「僕に恨まれる筋合いは無いよ」
 眉をひそめる斎。笑う鬼。

58 :
25話I
「明るく陽気に斬ってたんだから、皆もむしろ斬られて感謝した筈さ」
 そう、と斎は何らの感情も見せず、フルンティングの刀を見る。
「あなたに染み着いた怨念を見て」
 斎のその言葉が終わるか終わらないかの内に、フルンティングは足を何者かに掴まれた。
 驚いて足元を見ると、頭蓋を真っ二つに割られた男が自分の足を握りしめている。
 この男は確か、二ヶ月程前に斬り殺した男だ。
 更にその男、右手の薬指が切除されている。
 確かにこの男の薬指は自分が切除し、地下室へしまった。
 周囲を見ればやはり自分に斬られた亡者がそこかしこから現れ、包囲してくる。
 ある者は舌が切除され、ある者は眼球、ある者は脳髄を欠損していた。
 その欠損箇所は全て、直江が「斬った証明」として切除し、地下室へ運んだ箇所であった。
「う…うあああ!」
 フルンティングの声は懺悔でも後悔でも無い。
 よってたかって掴みかかる亡者に対する、純粋な恐怖。
 亡者は口々に怨みや怒りをぶつけ、フルンティングの全身へ絡みつく。
 死者の世界へ引き込もうとしている。
 強烈な怨念の解放により、フルンティングは物理的にも動けなくなった。
 斎は重心を低くし、一旦鞘へ納刀し、直ぐ様フルンティングへ駆け寄る。
「あなたはキヌを襲った。許さない」
 視界を亡者から斎へ移した時は既に遅かった。
 斎の抜刀は、確実にフルンティングを捉えていた。
「そんな…僕は楽しく斬っていたのに…」
 傷口より、フルンティングの体が粒子化を始める。
 ベルトから逆流した力の嵐が主へ負荷をかけ、分解を促進する。
 長くない。
 斎は今度こそ確りと鞘へ納刀し、既に蜃気楼か何かにしか見えないフルンティングへ言い添えた。
「さよなら」
 フルンティングはまだ何かを吠えているようだったが、ベルトから逆流した力が爆発を起こし、粒子化した彼を完全に粉砕した。
 人鬼の死を間近で初めて見た。
 Rばああなる。ニードルは恐怖に支配され、再び「昂鬼」を出した。
 対する仮面ライダーもまた、「昂鬼」の念珠を取り出す。
「ライダーブースト!」
 力を高める仮面ライダーへ迫る無数の針、ライダーアイアンメイデン。
 だが、仮面ライダーは臆せず駆け出した。
「ライダー…パァンチ!」
 全身を包む時空衝撃波を怒りで増幅させ、針を吹き飛ばしつつニードルの胸へ、渾身の拳を叩き込む。
「これが…狙い…か」

59 :
25話J
 仮面ライダーは情をかけてブレイクフォームへ戻ったのではない。最強必殺技を放つために戻ったのだ。
 力を振り絞り仮面ライダーの拳を掴むニードルの手。
 だがその手も粒子化が始まり、砂の如く崩壊して仮面ライダーの拳を掴み損う。
「私は…何を…信じれば良かったのだ…?」
「自分の物差しがあれば、まだマシだったかもね…」
 消滅してゆくニードルから目を背ける仮面ライダー。
 トドメを放った拳に嫌な感触が残っている。
 半透明のニードル。ベルトから逆流する力で分解を加速されながらも、最後の力で立ち上がる。
 そうして両手を掲げた。
「大日本帝国、万歳!」
 そうニードルは叫び、直後に爆発が生じた。
 人鬼の狂気の権化と、正義を探し続けた不運な男。
 二人の命、そしてニードルとフルンティングの血脈はここに絶えた。

 六十数年後、波動弾を連射しつつ、その高い視力でトドの冷凍フィールドを観察する仮面ライダー=京也。
 …破れた。一瞬だけ、表皮が無防備になった。
「超変身!」
 バーサークフォームからブレイクフォームへ戻るや「昂鬼」を発動する。
「ライダーブースト!」
 全身の力を強化し、冷凍フィールドの穴へ突っ込んでゆく。
「ライダーキック!」
 トドの下腹部へ突き刺さる飛び蹴り。
 絶叫と共に冷凍フィールドを消去し、地に沈むトド。
 だがその巨体には、未だ仮面ライダーが騎乗していた。
「ライダーパンチ!」
 喉元へ抉り込む渾身の拳。
 夜の闇の中、妖魔が燃え尽きる爆炎が鮮やかだった。

 六十数年前。
 変身を解き直江邸の庭木にもたれる武政。
「まあ何だ。良い気分じゃないわな」
 舌に残った戦友の死肉の味同様、拳の感触も忘れられるものではないだろう。
 佇む斎へ目を向ける。
 先刻解放した、フルンティングに憑いていた亡者らと対話しているらしい。
 そして、対話は平和的に解決したらしかった。
 武政の第三の眼をもってしても影か煙にしか見えない亡者。
 だが、彼らから感じられた悪意はすっかり消失している。
 斎が浄化したようだ。
 亡者は本来逝くべき場所、天へ上ってゆく。
「ええ。また会いましょう」
 亡者の一人と何らかの約束をし、斎は珍しく笑顔でその者を見送った。
 誰しもいつかはあちらへ上るのだ。
 だから「また会いましょう」なのだろう。
「ま、多少は救われたかな」

60 :
25話K
 空をしばし見上げ、武政と斎は呪われた直江邸を後にした。

 六十数年後。
 講義終了。直接バイトへ向かうため、大学の正門へ急ぐ斎。
 だが正門の向こうに、見慣れたオフロードバイクが覗いた。
 意を決して京也が来たのだ。
 暫しの沈黙。先に京也が開口した。
「この前、君が帰った後…なんだが、峻に殴りかかった。その拳を麗華さんがカルテ一枚で止めたんだ」
 殴りかかった。という事は、またも精神の均衡を欠いたのか。
「だから…あの時、何故麗華さんは俺の拳を止められたのか気になって…」
 鬼に覚醒した京也は、生身でも拘置所の鉄格子を破る程の力を発揮する。
 しかしそれなら、カルテごと麗華を粉砕していてもおかしくはなかった筈だ。
 斎も麗華の名を聞いた途端、複雑そうな顔をする。
「多分…卜部さんの意志より先に、鬼の方が力を封じてくれたみたいです」
「つまり、俺はある程度鬼と共存できているという事か…」
 結論は出た。それ以上の会話の糸口が掴めない。
「う…卜部さん。わたし、これからバイト行かなきゃ駄目なんです。それじゃ…」
 目を伏せたまま京也の脇を通りすぎる斎。
 言葉を選んでいた京也は、ぎこちなく斎を呼び止める。
「なあ斎ちゃん。その…おごってやるから。今度、買い物行かないか?」
 呆気に取られた顔で京也を振り返る。
 京也は意を決して続ける。
「…気付けなくて、悪かった」
 少しの間呆然としていた斎。
 漸く笑顔になり、強く頷いた。
 昨夜の妖魔殲滅よりも疲弊したかも知れない。
 レイブンのアクセルを強く回し、熱を帯びた顔をフルフェイスヘルメットで隠し、京也はさっさと病院へ帰ってしまう。
 その何処か幼さすら感じさせる後ろ姿を見て、斎は朗らかに笑った。
 だが、その夜に起こる災害を、二人はまだ予想もしていなかった。
 舟柱島。
 その夜、島では恒例の収穫祭がとり行われていた。
 本土からの見物客で狭い街道がごった返し、その中を御輿がねり歩く。
 祭の中心地たる神社境内までその御輿を届けるのがメインイベントなのだ。
 その境内では無礼講。
 敷地に入るだけでも酒臭い。
 既に相当な人数が出来上がっている。
 漁業組合の組合長も同様で、また漁業により成り立っているこの島にとって、彼はある意味で絶対者であった。
 そんな彼の肩を叩く者がいる。
 この島の洞窟に住んでいる世捨て人だ。

61 :
25話L
「おう、あんたも洞窟なんかに寝泊まりしないで、漁船にでも乗ってだねえ…」
 一人だけシラフの男は笑った。
 余所者というだけで徹底して疎外し、自分に職の一つも斡旋しなかったのは島民の方だ。
 そのくせ、祭だの酒だのの影響で、簡単に仲間だと勘違いする。
 周囲を見ても、観光客以外の島民は酒の勢いで自分と馴れ馴れしく挨拶する者と、嫌な面持ちでこちらを見て内緒話をする者。両極端だった。
 男は、徹底的にこの島を嫌っていた。
 そして今、男には武器がある。
 息子の額を裂いた包丁など及びもつかぬ。
「触るな」
 六十近い年齢とは思えない腕力で組合長を押し退け、櫓へ叩きつけた。
 にわかに殺伐とする境内。
 そう、男はこの『疼き』にこそ酔う。
 男の目が赤く輝き、骨片を繋いだようなベルトが腰へ出現する。
 男は「召鬼」と記述された呪符をベルトに滑らせる。
 ベルトより生じた嵐の中、拳を握った両腕を眼前で交差させた。
 その腕を開きつつ下ろし、呟く。
「変…身」
 赤い目、額から伸びた一本角。
 意識を取り戻した組合長や酔っ払いらが見たのは、東京をテロから守ったヒーローの姿だった。
 だが、この島で何を?
 周囲のざわめきをよそに、その「仮面ライダー」は、時空断裂境界より念珠「凶鬼」を取り出した。
「全てを破壊するにはコイツを使え…奴はそう言ってたな」
 「凶鬼」をベルトへ滑らせるや、その目が、ベルトのコアが、身体を貫くラインが灰色に染まる。
 生体強化外骨格は鋭角を排して重厚な鎧となり、額の角は途中から枝分かれして、Y字やカブトムシを思わせる形状へ変化する。
 呆然とするギャラリーを尻目に、夜の闇に染まった足元の土を見る仮面ライダー。
 いや、卜部の鬼の一人、トウテツ。
「壊してやろう。こんな島」
 それだけ告げた。
 島民がその意味を理解しない内に、トウテツは地面へ拳を打ち込んだ。
 刹那、トウテツを中心として、境内全体を火球が覆った。
 神社もギャラリーもその火球に飲み込まれ、溶解してゆく。
 民家も道路も次々に爆発する。
 吹き飛んだ瓦礫に押し潰される観光客や御輿。
 打ち込まれた衝撃は、島をプラズマ化して溶解させる。
 島の地下水道、洞窟、そういったものから火炎が噴出し、地は反転して建造物を空中へ吹き飛ばす。
 島のあちこちは爆発し、溶解し、炎上する。
 そして炎の柱が海と天を結んだ。

62 :
25話M
 しばしの地獄。
 トウテツは異形の石舟、ライドリーフへ騎乗し、空中から島の様子を見下ろしていた。
 なぜライドリーフなのかと思われるやも知れない。
 すでに島には、トウテツ一人を支え得るサイズの岩石など残っていなかったからだ。
 島は形そのものをとどめていなかった。
 今の島は、単に海中へ沈む砂の固まり。
 しかし、その砂の量も少ないだろう。
 凄まじい熱量で気化して蒸発した分がいくらかある筈だ。
「くく…これは楽しいな。京也くん、お父さんが今行くよ」
 ライドリーフの進路を東京に向け、トウテツ=卜部武蔵は飛び立った。
 この夜、舟柱島は地図から物理的に消滅した。
続く
次回、第26話「ある新興国の台頭」

63 :
25話、以上です。
ほぼ戦闘シーンだけなので10レスもかからないかなと思っていましたが、予想外に長かったため連投規制対策で少々間を開けさせてもらいました

64 :
ネメシス、これまでの概略
 日本には、「人鬼」と侮蔑される血筋がある。
 その狂気や残忍性は遺伝し、人鬼の血筋にある者は、時折猟奇的な事件を引き起こす。
 邪教、ザラキ天宗は東京の霊的拠点で連続爆破テロを起こし、魔界の扉を開いて妖魔を現世へ出現させた。
 混乱の中で、人鬼の血を引く医師、卜部京也は斎という少女と出会う。
 斎は京也の祖父、卜部武政の名と、武政が京也へ託した「念珠」という法具の存在、使用方法を知っていた。
 彼女の言葉に従い京也は念珠を使用し、心中の鬼を具象化させ鬼の姿へと「変身」した。
 東京を防衛するため、鬼の力で妖魔やザラキ天宗の改造兵士を血祭りに挙げていく京也。
 だが国家は、彼を危険視していた。
 実は六十数年前の終戦直後において、卜部武政は現在の京也と同じく卜部の鬼へ変身していた。
 かつての武政は「仮面ライダー」と呼ばれ、人鬼の血筋をほぼ根絶やしにした最悪の鬼と認識されていた。
 その記録を現代に伝えるのが、かつての進駐軍兵士が書いた「レイモンドファイル」である。
 この記録、そして卜部の鬼の復活を受け、唯一生き延びていた人鬼「御杖」の末裔、御杖峻は、御杖の鬼「スラッシュ」へ変身し京也と対立する。
 だが、戦いの中で峻は京也の人間性を知り、東京を防衛するため次第に共闘するようになった。
 更に、ザラキ天宗の言とレイモンドファイルの記述に矛盾点が発見された。
 峻の曾祖父、御杖喜十郎は、ザラキ天宗に協力していたという。

 六十数年前、卜部武政は、敗戦し廃虚と化した東京を守るため、この時代には既に存在していたザラキ天宗と戦っていた。
 だが、他の人鬼の血筋にある者は、御杖喜十郎の口車やザラキ天宗の教義に乗せられ、悉く武政と敵対していたのだ。

 六十数年後の現代、ザラキ天宗は魔界から妖魔を解放するのみならず、その細胞を改造兵士へ移植する、挙げ句には妖魔そのものを操るなど大規模な破壊活動を続けていた。
 だが、この強硬路線を推進したザラキの高僧、玄達は、その振る舞いが上級妖魔の怒りに触れ、体を乗っ取られてしまう。
 玄達に憑依した上級妖魔は、他の妖魔を操ってザラキ天宗をも乗っ取り、更には封印されてきた人鬼「トウテツ」を現代に復活させた。
 現代の京也や斎、峻。
 過去の武政。
 二つの時代が交錯しながら、このストーリーは進む。

65 :
ネメシス、登場キャラクター
(現代編)
・卜部 京也(ウラベ キョウヤ)
27歳男性。現代編主人公。京南大学附属病院の外科医。
最強最悪の人鬼「卜部」の末裔。
鬼の狂気や衝動が具象化した姿「仮面ライダーネメシス」へ変身する。
冷静、生真面目、無口、無気力、無表情、禁欲的、コミュニケーション力不足。
ただし鬼に心を飲まれた父親に殺されかけた経緯から、トラウマを払拭できない脆い面もある。
また、斬りつけられた傷痕が額に残っている。
人々を防衛する目的を冷徹に遂行する。
・梳灘 斎(クシナダ イツキ)
19歳女性。大学生。本作ヒロイン。
親はおらず施設育ち。
人鬼や念珠の知識、妖魔を感知するなどの超能力を持つ。
ただし、何故そんな力や知識を持っているのかは本人にも分からない。
気弱で内向的が過ぎ、男と長く交際できたためしが無い。
天然の赤髪。
・涼(スズ)ちゃん
山内涼。19歳女性。斎の学友。ガラが悪く誉められないバイトをしている。金に煩い。
ただ心根は優しく、気弱な斎を常に案じている。
・山下 山男(ヤマシタ ヤマオ)
30歳男性。警視庁の刑事。
ザラキや妖魔の事件の中で京也と知り合い、一時は敵視するも和解。
・鏑木 三次(カブラギ サンジ)
70代後半、男性。
現在は喫茶店「モースタン」のマスターだが、京南大附属病院の前院長。
父親に殺されかけた幼い京也を救った人物で、彼が医師を志したきっかけ。
幼少期から卜部武政と交流がある。
・御杖 峻(ミツエ シュン)
24歳男性。都市保安庁(本作の架空省庁)のエージェントで、卜部武政による人鬼虐殺から唯一生き延びた血筋、御杖の末裔。
曾祖父の残した「呪符」を用いて鬼「スラッシュ」へ変身し、国家の安全と自分の出世のために戦う。
直情的、皮肉屋、野心家、尊大、殺人欲も含め欲求に忠実、気に入らない者はゴミクズと切り捨てる正義の味方。
京也とは相棒ではあるが、友情は欠片も無い。
・藤堂 朝子(トウドウ アサコ)
52歳女性。京南大附属の看護師長。
恰幅が良く豪快な性格で、京也の保護者を気取っている風もある。
・王 麗華(オウ レイカ)
29歳女性。京南大附属の看護師。
両親共に在日中国人だが、麗華は生まれも育ちも国籍も日本。
淑女然としているが、他人の気持ちに疎い京也を殴るなど、本質的には強気。また陽気。
交際相手とは微妙な関係で、結婚に踏み切れない。ハーレー愛好家。

66 :
ネメシス、登場キャラクター(過去編)
以下の年齢は全て、1945年当時のものである。
・卜部 武政(ウラベ タケマサ)
23歳男性。過去編主人公。
過去編においては卜部の鬼の末裔。
所謂敗残兵であり、南洋で自分の部隊が皆殺しにされたのがきっかけで「鬼」へ覚醒。
敵部隊を全滅させた後、衝動のままに死んだ仲間の肉を食らった。
斎の導きにより正気を取り戻して帰国。日本を守るため「仮面ライダー」を名乗り、ザラキ天宗や、彼らに利用された他の血筋の人鬼と戦う。
孫とは真逆の軽薄、饒舌、陽気な人物だが、仲間の死肉の味がトラウマとして舌に残っており、ここが精神的な弱点。
また、真に軽薄なのか、演じているだけなのかは不明。現代編では故人。
・美月(ミヅキ) キヌ
20歳女性。武政や斎が下宿している「美月屋」の娘。
良くも悪くも平凡な性格で、義憤にかられやすい。
武政からはからかわれているが、斎にとっては姉のような存在。
・梳灘 斎
20歳前後。何故か現代編と姿が変わっていない。
だが、暴走する武政を抑える、風となって移動する、剣を振るって仮面ライダー以上の戦力を発揮するなど、現代編とは別格の能力を持つ。
また性格も沈着冷静で、物怖じしない。
武政からは相棒と呼ばれるが、一方で武政は斎の正体を薄々感づいている風がある。
斎は斎で、この時代では自分の正体を知っているらしい。
・鏑木 三次
九歳男子。改造兵士となってその力を楽しんでいた母親を巡り、武政と知り合った少年。
・鏑木 晋也(シンヤ)
三十代男性。三次の父親。
激戦地に放り込まれ、全身にハンデを負った。
現在はレイモンドの斡旋してくれた職場で頑張っている。
・レイモンド・マグラー
三十代後半。進駐軍の兵士だが、敗戦国で今日を生き抜く子ども達を不憫に思う優しい男。
武政の正体は知らないが、気が合う。
しかし、レイモンドファイルの執筆者でもある。
・御杖 喜十郎(キジュウロウ)
50代前半、男性。
人鬼の血筋「御杖」の末裔で、自分が開発した「呪符」を念珠の代わりに用いて「スラッシュ」へ変身。
更に、人鬼の血筋の人間へ、自分が書いた呪符を渡して「変身」させ、邪魔な武政の抹殺を図る。
レイモンドファイルでは「魔王、卜部武政に殺害された悲劇の」

67 :
間違って送信ボタンを…。続きです
「レイモンドファイル」においては、「魔王、卜部武政に殺害された悲劇のヒーロー」として表記されている。
 真にレイモンドファイルを書き、後世へデマを伝えたのはどういう誰なのか。
 何の意図があったのことなのか。

68 :
26話@
 京也から謝られるとは。
 斎は彼の照れた口調にむず痒さを感じながらも、悪い気は覚えなかった。
 だがその夜、舟柱島が沈んだ。
 そして、凉ちゃんからの電話が斎の気分をまたも暗転させた。
「イツキ…やばいよ、どうしよ…うっちーがさ…」
「え?内村くんがどうしたの?」
 同じ学部にいる、凉ちゃんのR二号。今、彼は里帰りしているはずだが。そう考えてようやく、斎は事の重大さに思い至った。
「島が沈んだとか言っててさ…うっちーと連絡つかねーの…」
 彼の故郷は、舟柱島だった。
仮面ライダーネメシス第26話「ある新興国の台頭」
「どこまで調べてるんですか?」
 斎は警視庁に直接出向き、山下山男へ直談判を試みた。調査の対象はもちろん、沈没した舟柱島について。
「海上保安庁の管轄なんだ。恐らく海底火山の噴火が原因。悪いが、警視庁としては調査できない」
「でも!」
 食い下がる斎。その強い眼光から目をそらし、山下山男はデスクに肘をつけ頭を掻く。
「正確には、調査を禁じられたんだ。海底火山と答えておけ、そう言われてる」
 都市保安庁からの圧力だろうか。あからさまに落胆した風の斎に山下山男が逆に問う。
「もしかすると、君も僕と同じことを?」
「はい。島を吹き飛ばしたのは人鬼だって思ってます」
 卜部京也、御杖峻。彼らと同種の存在か。
 だが、単なる女子大生である斎がなぜそうも首を突っ込む?そう聞くと、今度は斎が目をそらした。
「卜部さんは念珠で変身できる。その事をわたしは前から知ってたんです」
 つまり京也を変身させ、戦いに導いたのはこの少女。何者なのだ。
「だからといって!君がそこまで必死になることはない」
 再び斎は山下山男を見返す。強い眼光で。
「わたしは卜部さんを助けられるほど強くはないけど…凉ちゃんをシカトできるほどクールでもないんです」
「分かった…君の気持ちはよく」
 東ヨーロッパに、アスガルドという共和制の国家がある。
 2000年代に入って独立した新興国だが、その経済成長は著しいものだった。
 主に、軍需産業において。
 国連に加盟せず、独自に開発した兵器を途上国へ売買し外貨を得ている。
 挙げ句、ICBM(大陸間弾道ミサイル)迎撃用のレーザー砲を搭載した人工衛星を独自に打ち上げ、また自国自体もICBMの実験をしきりに進めている。

69 :
26話A
 噂によれば、PQC−光量子触媒発電システムを弾頭へ積載し、着弾した箇所をプラズマ化して蒸発させる新兵器だとも言われる。
 故に、テロ国家候補として米国や周辺国からは警戒されており、それはアスガルド共和国も把握しているため、防衛のため益々軍事を発展させる。
 冷戦の再来、と一部からは称されていた。
 既に遊び場だと思っているのか。
 自室のソファーに陣取る峻を見て、朝から京也はため息を吐く。しかし、峻の隣に。
「珍しいですね、山下刑事」
「舟柱島の件で忙しいのは分かってる。すぐに済ませるよ」
 だが、隣の峻はマイ水筒から紅茶を飲み、嫌味に笑う。
「朝早くからこの男に引っ張り出された。せっかく警視庁に圧力をかけてやったというのに」
 無視して山下山男は、京也を向く。
「卜部さん、元官房長官の染谷氏を知ってるかな」
 わずかに顔をしかめて京也は頷く。
 以前、ザラキ天宗に狙われたPQC実験施設。西川口に設置された。
 そして、PQCの開発を命じたのが染谷元官房長官だった。
 それは技術立国日本としてのプライドや信頼ではなく、染谷と某国との癒着によるものだった。
 PQCが破壊された後、染谷は国民の反感をかい辞職へ追い込まれた。
「まあ、某国との癒着もウワサされていたからなあ。連中のご機嫌を取っとかないと票が無くなり、与党から野党へ格下げだ」
 よく舌の回る峻。そこまで分かっていれば染谷を起訴できるはずだ、と言う山下山男をあざ笑う。
「都市保安庁も一個の省庁だ。組織を保つために重要なのは一に金、二に立場」
 与党さまから睨まれるわけにはいかないらしい。
 この保守性は峻ではなく、都市保安庁そのものの体質から来るのだろう。
「でだ京也、その染谷だが。この病院にいるよな?」
「…情報が早いな」
 病院関係者全員にとって、突かれたくない点だった。
 確かに染谷はこの病院へ入院している。過激派の攻撃などを考慮し内密にしているが。
「ザラキ天宗の通信機を手に入れたからな。連中、染谷を狙ってるぜ」
 京也は本日二度目のため息を吐き、本日一杯目のコーヒーをすする。
「俺はSPに転職した覚えは無い」
 染谷の身を案じ、山下山男が声をあげるが京也は手で制する。
「峻。俺の力が必要な理由は何だ?要人警護ならあんた一人で十分だろう」
 峻はソファーから身を乗り出す。すでに笑みが消えていた。
「ザラキの組織に異変が起こった」

70 :
26話B
 組織自体が上級の妖魔に乗っ取られた。
 さらに「トウテツ」とかいう存在が解放されたという。
「都市保安庁はその『トウテツ』が舟柱島を破壊したと考えてる。ソイツは念珠で力を解放する。そして念珠は卜部家の人間にしか使えねえ」
 卜部京也。母親は臨マヤ、父親は卜部武蔵。武蔵は初代仮面ライダー、卜部武政の息子。
 つまり、京也以外で卜部の血筋を継承する者は。
「何が…言いたい」
「分かってるだろ」
 山下山男は分かっていない。いつもの落ち着きが薄まった京也に首をかしげながらも、写真を数枚取り出した。
「第八管区の巡視船が海面に浮かぶ石を幾つか採取した」
「海面に石が浮かぶ…?」
 多少落ち着きを取り戻す京也。峻も写真と京也を見比べてうなずく。
「妙だろ?分析すりゃあ軽石よりスカスカだ。岩盤がこんな石質で島を支えられる筈がねえ」
「一時的に分解された岩盤の破片が海水に冷却され、凝固したものがその軽石と思われる」
 つまり、岩盤を変質させる程のエネルギーが発生していたのだ。
「更に、海底へ沈んだ島の破片と呼ぶべき土砂だが。ソイツの質量も少なすぎる」
「恐らく、島の一部はプラズマ化し溶解、そのまま砂へ分解される暇もなく蒸発したんだ」
 峻と山下山男の講義に黙ってうなずく京也。
 ともかく、岩盤をプラズマ化させるほどの破壊力を持つ強敵が現れた。
「しかし峻。なぜ発表しない?」
「してどうなる。悪い鬼が現れて島を爆破しました、ってか?確かに実害は出ている。しかし信用する国民がどれだけいるものかね。何せ七十年近く、この国は戦争と無縁だったんだぜ?」
 確かに、と京也は思う。老齢の患者ほど自分の症状に無自覚。つまり物事に危機感を抱かないのだ。
 戦争経験者ですらそれだ。
 だが、理想に燃える山下山男は峻へ噛みつく。
「しかし、大勢の国民の生命が危険にさらされる!」
「ああ。恐らく東京は消える。それでどうする?地方の人間にとっては他人事だ。逆に都民はこぞって地方へ移ろうとするだろうな。それも一気にな」
 その危険性をようやく山下山男も理解できた。
「それでは…駅も空港も…」
 都民一千万が殺到する。そうすればあらゆる交通手段はパンクする。
「それでもうまく全員が地方へ避難できたとする。だが、トウテツは東京…関東を滅ぼせば、別の地方へ狙いをつけるだろうな」

71 :
26話C
 そして全ての地方、つまり日本列島を沈めたら次は外国だ。
 総じて、一年ももたずに人類は滅亡する。
 大陸も小島も全て沈没し、地球は原初の静寂を取り戻す。
「まあ地球にとってはありがたいかもな。だが、あいにくとおれは人間なんでね。まず人間の立場で考えさせてもらうぜ」
 あくまで皮肉げに笑う峻だが、その目には焦り、そして闘志が浮かんでいた。それを京也も読み取る。
「…内閣は?」
「政府専用機がすでにスタンバイしてる。ジュネーブへ逃げる準備は万全だ。ただ、どこかの庁は残るらしいな…」

 六十数年前、何処かの暗闇。ザラキ天宗、本殿。
 ニードルとフルンティングがそれぞれ占有していた時空断裂境界から呪符を回収し、董仲僧正は、御杖喜十郎へそれを返す。
 ザラキの戦力として最適だったのにもったいない、と愚痴る董仲に、御杖喜十郎は飄然と笑う。
「何、鬼の素養を持つ人間は少なくない」
 御杖は律師、玄達から書類を受け取る。新たな鬼の候補者のデータだ。
 坂巻 信夫。
 彼の親族もまた動機無き殺人に手を染めている。
「問題は…この男自身が力をどのように使うか…だな」

 六十数年後。同じく何処かの暗闇。
 ザラキ天への貢ぎ物を並べるための供物台へ、玄達が堂々と腰かけている。
 ザラキ天への供物台という性質上、この台もまた神聖なもの。
 それを土足で踏みにじるのはザラキ天そのものへの敵対心か。或いはザラキ天宗の信徒らをあざ笑っているのか。
 どちらにせよ玄達…正確には玄達の体を奪った何者か…の振る舞いは董仲の神経を激しく逆撫でしたが、彼が妖魔を連れている以上、異議を申し立てる事はできなかった。
「董仲僧正。『樽花』を私に貸してもらいたい」
 樽花。ザラキ天宗のイソギンチャク型改造兵士だ。
 京南大学附属病院から染谷前官房長官を誘拐する作戦に、この怪人を従事させる手はずだった。
「何をする気だ?『玄達』」
 玄達の顔をした何者かが笑う。
「あなた方と同じ事だ。改造兵士へ、妖魔の力を移植する」
 それ自体にさして問題は無い。
 ただ、玄達により解放されたトウテツは舟柱島を消滅させた。
「トウテツを野放しにする気か?このままでは奴は日本列島をも破壊するぞ!」
「妖魔の知った事ではない」
 ザラキ天宗は日本を支配したい。
 支配したいのだから、列島を沈められるわけにはいかない。

72 :
26話D
 だが妖魔は、東京が滅びれば呪縛が解け、古の京の如く、再び現世へ大挙して顕現できる。
 だからむしろ、滅んでもらいたい。
 そのためザラキ天宗と妖魔の間では、その目的や利害が必ずしも一致するわけではなかった。
 そしてトウテツを解放したのは玄達を乗っ取った者の意志。だから、
「玄達…『今の』君は妖魔なのかね?」
「黄衣。それでよろしいでしょう?」
 玄達、正確には玄達を乗っ取った「黄衣」は緑色の球が無数に集まった眼球で董仲を見下ろし、ザラキ天に捧げる筈の御酒をおもむろに食らった。
 舟柱島沈没のニュースは、米国にもアスガルド共和国にも届いていた。
 確かに今は、島を沈めた人鬼を倒すべきなのだろう。
 だが、アスガルドは自分達の技術をアピールするため、鬼を撃破する名目で日本を攻撃する可能性がある。
 何せアスガルドは、衛星軌道にレーザー砲を浮かべているのだ。
 米国はアスガルド軍部の高官へ圧力をかけ、踏みとどまらせようと試みた。
 アスガルド側も納得したらしかった。
 表面上は。
 病院では既に京也、峻、山下山男による染谷の護衛プランが立てられていた。
「問題は、染谷氏の執刀医が俺だという事だ」
 執刀医は京也。
 ではオペ室の扉の直前まで都市保安庁の機動隊を配置する。
「外側から来やがった場合に備えて、おれは病院の外周で待ち受けてやる」
 京也はそう言う峻へ頷く。
「分かった。奴らを絶対に病院へ入れるな」
「で?京也。オペの所要時間は」
 京也はメモ帳を取り出す。正直、それほどの大手術とはいかない。
「大雑把に言って、八時間」
「フ…そいつは『うまく進めば』八時間という事か?」
「いや、『手間取っても』八時間あれば済む」
 この自信はどこから来るのか。それとも虚勢か、と峻は考える。
「で?山下山男。てめえはどうする?」
 舟柱島は海上保安庁、染谷の護衛は峻ら都市保安庁の仕事。
 だから警視庁の立ち入る隙は無い。
「だが…だからといって放っておくわけには…」
「早く決めて下さい」
 京也の涼しげな顔に、わずかに苛立ちが浮かんでいる。
「俺達に100%協力するかゼロかです」
「…分かった。患者に扮して病院内部から監視しよう」
 納得し何度かうなずく京也に、峻が絡む。
「フッ…てめえにとって優柔不断な奴は弱い奴で、弱い事は悪い事と同義だからな」
 人は弱くあってはならないのだ。少なくとも京也の中では。

73 :
26話E

 六十数年前、夕刻。美月屋では包丁や竈の軽快な音が響いていた。
「つまりあの御杖って奴が鬼を操ってるわけね?」
「操ってるっつーか、オレが使う念珠と同じ効果の呪符を配ってる。それだけなんだ」
 夕食の時間だ。準備を手伝いながらだべる武政とキヌ。
「鬼の力の使い道自体は本人の意志によりけりって事?」
「そ。奴らは自分の意志で悪い事してたんだ。だから厄介なんだよな」
 拳に、未だニードルを葬った際の感触が染み付いている。対して斎は、武政の傍らで大根をざくざく切っている。
 フルンティングを斬った事について何の感慨も抱いていないようで怖かった。
 そこへ、鏑木晋也が顔を出す。
「おう三次のパパ」
「忙しいところ悪いんだが…卜部さん、一つ頼まれてくれないか?体が不自由なもので俺には無理な仕事なんだ」
「今ですか?お客様のご要望とあらばすぐにでも」
 恨みがましいキヌの視線を背中に浴びながら快諾する。
「で、いかがなさった」
「ウチのカビ落としを手伝ってほしいんだ」
 武政の表情が苦く変わった。ニードルに協力していたカビ怪人の存在を思い出す。
 三次は一時ニードルに拉致された。その際、カビ怪人の毒胞子が三次に付着していた可能性はある。
 仮面ライダーの超感覚で何度観察してもその胞子は発見できなかった。だが、
「見落としがあったか…?」
 武政は急ぎ鏑木家へ向かう。
 カビ怪人の細胞ならば、晋也も三次も命が危うい。
 …本当に単なるカビだった。勢いでそのまま本当にカビ落としを手伝わされる武政。
「てか、三次はどうしたんすか?」
「学校の友達が引っ越すらしくてね、見送りに行ってる」
 このご時世によく引っ越す金が出せたものだ。よほどの富豪なのか。そう聞いてみる。
「いや、単なる鉄屑屋だよ。坂巻…とか言ったかな」
 梁のカビを落としながらその名を右から左へ聞き流す武政。
 その時、風が吹きふすまが揺れた。開けてみれば、斎が立っていた。
「どげんしたと」
「人鬼よ。急いで」
 残りのカビ落としは明日という約束を晋也に取り付け、武政は斎の示す場所へ向かった。

 六十数年後、京也は会議室でホワイトボードを示していた。
「執刀医として頼む。オペの情報はくれぐれも内密に。それからオペ室の周囲を武装した機動隊が取り囲んでいるが、気にしないでもらいたい」

74 :
26話F
 看護師やその他の医師にそう前置きしてから、京也は染谷の手術について段取りを説明し始めた。
 京也のその姿をじっと見る朝子。
 憔悴している様子が見え、同じ感触を麗華も抱いていた。
「先生、何が気になってるんです?」
 ブリーフィングを終え、廊下へ出た京也へ真正面から問う麗華。
 確かに不安材料は多い。未だ政権に影響力を持つ染谷の手術。その染谷を敵視する何者か。
 そして、舟柱島の消滅。
 だが京也は、これまで他人に疲れた顔など見せた事は無い。だから心配だ。
「朝子さんも言っていました。先生が神経を疲弊させる何かに直面してるって」
 京也は白衣のポケットに両手を隠す。手先に痙攣が始まったのを隠すために。
「…そう難しい手術じゃない。心配は要らない」
 それだけ言って早足で麗華の前から離れる。その背に麗華が声をかけた。
「辛いなら、途中で執刀医を交代させる手もありますからね!」
 分かってる。そう言って京也はトイレへ駆け込んだ。
 額の傷がうずき、猛烈な吐き気をもよおしていた。
 島を粉砕した存在。消えた念珠。念珠は卜部の鬼にしか使えない。そして、行方知れずの父。
「頼む…父さん、あんたであってはならないんだ!」
 そして、父を恐れる自分の姿を他人に見せるわけにもいかない。
 弱い事は悪い事なのだから。
 同じころ、病院を訪ねた斎は庭で待機する峻を見かけた。
「卜部さんはオペ中なんですね。山下さんは?」
「病院の中をパトロールだ。まあどんな奴が来ようがおれが八つ裂きにしてやるがな…あっ」
 斎が一般人である事を忘れていた。極秘任務中だったのだ。
 我が意を得たり、とばかりに斎は舟柱島の名を出す。
「友達のセ…彼氏が島と一緒に行方不明になっちゃったんです。多分もう…」
 斎が言わんとする事を峻も理解していた。
 これは人鬼の仕業だ。
「おれが呪符を書ければ、まだ見ぬ血筋の人鬼を量産できるかも知れんが」
 だが峻の曾祖父、喜十郎は、呪符を如何に作ったか一切何も書き残さなかった。
「御杖さんも大変ですね…ザラキや妖魔もそうだし、ひいお祖父ちゃんが…」
「フッ。おれはストレスは溜めんよ。月に二回は風俗行くからな」
 あ、童貞ではなかったのか。意外だった。
 その時、峻の通信機が鳴った。
「山下だ。手術開始された」
「了解。目を離すんじゃねえぞ」

75 :
26話G
 山下山男も、性格に問題のある峻も人の命を守るために懸命なのだ。
 そして京也は医者として、また仮面ライダーとして戦う。
 デートの約束は後回しにしよう。少し残念だが、京也は余りにも多忙だ。そう斎は思った。
続く
次回、27話「凶つ」

76 :
26話、以上です

77 :
ネメシス、登場キャラクター(過去編)書き直す
以下の年齢は全て、1945年当時のものである。
・卜部 武政(ウラベ タケマサ)
23歳男性。過去編主人公。
過去編においては卜部の鬼の末裔。
所謂敗残兵であり、南洋で自分の部隊が皆殺しにされたのがきっかけで「鬼」へ覚醒。
敵部隊を全滅させた後、衝動のままに死んだ仲間の肉を食らった。
斎の導きにより正気を取り戻して帰国。日本を守るため「仮面ライダー」を名乗り、ザラキ天宗や、彼らに利用された他の血筋の人鬼と戦う。
孫とは真逆の軽薄、饒舌、陽気な人物だが、仲間の死肉の味がトラウマとして舌に残っており、ここが精神的な弱点。
また、真に軽薄なのか、演じているのかは不明。現代編では故人。
・美月(ミヅキ) キヌ
20歳女性。武政や斎が下宿している「美月屋」の娘。
良くも悪くも平凡な性格で、義憤にかられやすい。
武政からはからかわれるが、斎にとっては姉のような存在。
・梳灘 斎
20歳前後。何故か現代編と姿が変わっていない。
だが、暴走する武政を抑える、風となって移動する、剣を振るって仮面ライダー以上の戦力を発揮するなど、現代編とは別格の力を見せる。
性格も沈着冷静、物怖じしない。
武政からは相棒と呼ばれるが、一方で武政は斎の正体を感づいている節がある。
またこの時代では、斎本人も自分の正体を知っているらしい。
・鏑木 三次
九歳男子。改造兵士の力を楽しんでいた母親を巡り、武政と知り合った少年。
・鏑木 晋也(シンヤ)
三十代男性。三次の父。激戦地に放り込まれ、全身にハンデを負った。
現在はレイモンドが斡旋した職場で働く。
・レイモンド・マグラー
三十代後半、男性。進駐軍の兵士だが、敗戦国で生き抜く子供達を憐れむ優しい男。
武政の正体を知らないが、妙に気が合う。
だが、武政を最悪の人鬼と規定した「レイモンドファイル」の執筆者でもある。
・御杖 喜十郎(キジュウロウ)
五十代前半、男性。現代編の峻の曾祖父。
戦前の財界人であり、ザラキ天宗の協力者。
人鬼「御杖」の末裔で、卜部の念珠の代用品となる法具「呪符」で「スラッシュ」へ変身する。
また、量産した呪符を人鬼の末裔に配り、邪魔な武政の抹殺を目論む。
レイモンドファイルでは「魔王、卜部武政に殺害された悲劇の英雄」とされている。
真にレイモンドファイルを書き、後世へデマを伝えたのは誰か。何の意図があっての事なのか。

78 :
勝手ながら、ネメシスは終了させていただきます。
前にいきなりリタイア宣言をして、それでも見捨てず読んで下さった方々には本当に申し訳ありません。
やはりこの間のように、勝手にお名前を借用する行為は良くないと思い、正直なところ罪悪感と共に投下していました。
これ以上誰かを傷つける前に、私は筆を折ります。
読んで下さった方々にも、お名前を使ってしまった方々にも本当に申し訳ありません。
自分でもこれほど中途半端な終わりは無いと思うのですが、これ以上投下すれば余計に他人を傷つけると思いますし、私自身もその重みに耐えられません。
ですので、私は創作活動そのものからリタイアさせていただきます。
ネメシスは、打ち切りと致します。
本当にすみません。
ちなみに今後、トウテツはスラッシュの犠牲によってトラウマを払拭した京也に倒され、
斎はそのスラッシュを復活させ、
アスガルド共和国が開発した強化服を装着した刺客が人鬼を倒すため大量に来日し、
その内の一人が京也らの仲間となり、
また装着デバイスを手に入れた麗華が前線に立ち、計四人のチームとなる…という流れでした。
それを書けないのが本当に辛いですが、書くことによる罪悪感もまたキツいのです。
というわけで、私はここから去ります。
読んで下さった方々にも、名前使ってしまった方々にも、本当に申し訳ありませんでした。

79 :
銀河刑事フリード
時は22世紀。重力制御とワープ航法が実用化された時代。環境破壊と地殻変動
により青い地球は失われ、人々は様々な星のスペースコロニーで暮らしていた。
ルナ達がコロニーに帰還してから約4年後・・・。 今までに無い規模の重力嵐から、
突如現れた邪悪な生命体である邪悪皇帝ゴドー (飯塚昭三)率いる宇宙犯罪組織
シャドーがコロニー侵攻を開始した。 デスロイドを使って傘下犯罪組織や犯罪を
行いコロニー破壊計画を企んだ だが、しかし、それをバード星の銀河連邦警察の長官
ギャバン長官は新たなコロニー担当官として派遣された。その名はファーロ。かつて、
宇宙船で衝突し、さまよっていたが、ギャバンによって、救われた。アジャンテ星人と
宇宙刑事の意思を継ぎ、銀河刑事フリードとなり、邪悪皇帝ゴドー率いる宇宙犯罪組織
シャドーに立ち向かう。
メタルヒーロー唯一TVアニメ化作品
アニメーション製作は東映アニメーションとテレコム・アニメーションフィルム
舞台は22世紀のスペースコロニー
メタルヒーローシリーズ初の変形合体巨大ロボット
やられた怪人が小型マシーンによって巨大化する
パタパタ飛行船の冒険のキャラが再登場
無人惑星サヴァイヴの事実上の続編
フリードが乗るメカはアムドライバーのボードバイザーとモトバイザーの流用品
特捜戦隊デカレンジャーの兄弟作品
特撮を使わないメタルヒーロー
グランセイザーのアジャンテ星人フリードのスピンオフ作品
製作局はテレビ東京

80 :
キャスト
フリード/ファーロ 加瀬康之
シンゴ 皆川純子
ルナ 岩居由希子
チャコ 小飯塚貴世江
マック 陶山章央
ユミ 平野綾
タツヒコ 小上弘通
リカコ 増田ゆき
コウタ 黒田弥生
リコ 椿理沙
ナンデースカ教授 西村朋紘
レビンソン警部 大川透
ギャバン長官 東地宏樹
ドギー・クルーガー 稲田徹
コム長官/ナレーション 銀河万丈
ゴドー 飯塚昭三
ブリンドー 森田順平
ジルバ 氷上恭子
ボブ 星野充昭
協力:青二プロダクション
スタッフ
企画 川崎由紀夫 松下洋子 関弘美
プロデューサー 紅谷佳和 小林教子 佐々木礼子 梅澤淳稔 矢田晃一 深田明宏 竹内孝次
原作 八手三郎 作画:大野純二 連載:週刊少年マガジン
シリーズ構成 三条陸 米村正二
脚本 三条陸 米村正二 山田由香 真島浩一 里島美和 福嶋幸典 望月武
音楽 渡辺宙明 山下康介
オープニング 銀河刑事フリード サイキックラバー
エンディング Forever サイキックラバー
製作担当 額賀康彦
美術デザイン 白石誠
色彩設計 山本智子
キャラクターデザイン・総作画監督 滝口 禎一 八崎健二 原案 江口 寿史
デスロイド原案 韮沢靖 篠原保
メカニックデザイン 野中剛 村上克司 友永和秀
デザイン協力 PLEX
アクション・メカ作画監督 馬越嘉彦
シリーズディレクター 長峯達也 矢野雄一郎
製作協力 東映
製作 東映アニメーション テレコム・アニメーションフィルム テレビ東京 ADK 東映エージェンシー

81 :
銀河刑事フリード 全52話
変身ヒーロータイム 第1部として放送 たまごっちの後番組
第1話 誕生!銀河刑事(4/1)
第2話 出動!アジャンテロボ(4/8)
第3話 殺人犯はカエルの王子様!?(4/15)
第4話 死神は黒い猫を持った女(4/22)
第5話 破壊のテロリストはゴリラ!?(4/29)
第6話 強敵!恐怖の化石デスロイド(5/6)
第7話 大活躍!モーターバイク(5/13)
第8話 大爆発!スクールウォーズ(5/20)
第9話 悲しみのデスロイド(5/27)
第10話 恐怖の悪魔鱗(6/3)
第11話 ブリンドー、巨大化する(6/10)
第12話 蟹デスロイドのカニカニ大作戦(6/17)
第13話 対決!機械盗賊団(6/24)
第14話 恐竜大復活!(前編)(7/1)
第15話 恐竜大復活!(後編)(7/8)
第16話 フリード新たなる力(前編)(7/15)
第17話 フリード新たなる力(後編)(7/22)
第18話 暴かれた、フリードの正体(7/29)
第19話 フリードよ!今、立ち上がれ(8/5)
第20話 ファーロと爆弾デスロイド(8/12)
第21話 決戦!フリード VS ジルバ(8/19)
第22話 帰ってきた!英雄(ヒーロー)(8/26)
第23話 2号ロボアジャンテファイター誕生(9/2)
第24話 対決!ハンマー強盗団(9/9)
第25話 敵は忍者デスロイド!?(9/16)
第26話 タコイカスミスミ大決戦(9/23)
第27話 新たな戦士レイナ誕生!(9/30)
第28話 アイドル誘拐事件(10/14)
第29話 ロカA2深夜の一夜(10/21)
第30話 強敵ライアの最後(10/28)
第31話 ダンシング・ザ・忍者(11/4)
第32話 ゲコゲコ!人間が蛙になる(11/11)
第33話 誕生!グレートアジャンテロボ!(11/18)
第34話 強敵ライアの復活!(11/25)
第35話 激震!ジャークロボ!(12/2)
第36話 グレートアジャンテロボ対ジャークロボ(12/9)
第37話 フリード対野球チーム(12/16)
第38話 死の真珠を調査せよ(12/23)
第39話 闘牛・突破大作戦(12/30)
第40話 僕のお家はシャドーの秘密基地(1/1)
第41話 恐怖のカップ麺発売す!(1/6)
第42話 疾走!マラソンバトル(1/13)
第43話 怪人軍団・ロカA2大集合(1/20)
第44話 原爆飛行機の正体を暴け!(1/27)
第45話 スペースコロニー最後の日(2/3)
第46話 人類抹殺計画開始(2/10)
第47話 首領の新たなる正体!(2/17)
第48話 ルナよ(2/24)
第49話 エスコルピオン突入!(3/3)
第50話 三幹部よ永遠に!(3/10)
第51話 最後の戦い!(3/17)
第52話 おれは銀河刑事だ(3/24)

82 :
4月の放送分
第1話 誕生!銀河刑事(4/1)
脚本:三条陸 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:長峯達也 作画監督:上野ケン
翼竜型デスロイドプテラス登場
時は22世紀。ルナ達がコロニーに帰還してから約4年後・・・宇宙犯罪組織シャドー
が襲来。それに立ち向かうのはファーロの事、銀河刑事フリードだった。
第2話 出動!アジャンテロボ(4/8)
脚本:三条陸 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:長峯達也 作画監督:香川久
オハラ財団(アーチボルド・サイモン、アルフレッド・スミス、ジェイソン)、オハラロボ登場
デスロイド・プテラスを倒したフリードの事ファーロは、シンゴの家で居候するこ
とになった。だが、しかし、オハラ財団が営業する謎の塾MRR(マシンロボレスキュー)塾が。
第3話 殺人犯はカエルの王子様!?(4/15)
脚本:山田由香 絵コンテ:友永和秀 演出:小山田桂子 作画監督:稲上晃
蛙型デスロイドデビルフロッグ登場
女子高生が次々と石化する事件が発生。事件を調査するファーロであったが、
大富豪の社長と出会う。その社長はジルバ配下のデスロイド・デビルフロッグであった。
第4話 死神は黒い猫を持った女(4/22)
脚本:真島浩一 絵コンテ:しまづ聡行 演出:富沢信雄 作画監督:馬越嘉彦
猫型デスロイド死神キャット登場
社会人やOLが次々と惨殺される事件が発生。ファーロは猫を持っている占い師
に訪ねるが、その占い師はジルバ配下のデスロイド・死神キャットだった。
第5話 破壊のテロリストはゴリラ!?(4/29)
脚本:里島美和 絵コンテ:増田敏彦 演出:岡崎幸男 作画監督:真庭秀明
ゴリラ型デスロイドボンゴリラ登場
高層ビルが次々と破壊される事件が発生。破壊されたビルの跡形には、巨大な
手をもった大男の情報もあった。大男の正体はボブ配下のデスロイド・ボンゴリラだった。

83 :
5月の放送分
第6話 強敵!恐怖の化石デスロイド(5/6)
脚本:山田由香 絵コンテ:しまづ聡行 演出:徒野将利 作画監督:上野ケン
アンモナイト型デスロイドカセッキー登場
化石から生まれたデスロイド・カセッキーはスペースコロニーに落とし穴を
作り、人々が行方不明になる事件を実行した。事件を調査するファーロであったが。
第7話 大活躍!モーターバイク(5/13)
脚本:米村正二 絵コンテ:友永和秀 演出:長峯達也 作画監督:香川久
コンドル型デスロイドダークコンドル登場
暴走族や不良が次々と殺される事件が発生。それはブリンドー配下のデスロイド・
ダークコンドルは親しい人間を不良共に殺された経験を持つ三人を目を付け、殺人を繰り返していた。
第8話 大爆発!スクールウォーズ(5/20)
脚本:真島浩一 絵コンテ:富沢信雄 演出:辻泰永 作画監督:稲上晃
サイ型デスロイドデビルライノス登場
ボブ配下のデスロイド・デビルライノスはソリア学園を乗っ取り、スペンサー
先生を追い出すが、ソリア学園の子供たちに興味を持ってしまうデビルライノスだが。
第9話 悲しみのデスロイド(5/27)
脚本:福嶋幸典 絵コンテ:水本葉月 演出:小山田桂子 作画監督:馬越嘉彦
ハト型デスロイドマグネピジョン、アヒル型デスロイドダークダック登場
ブリンドー配下のデスロイド・マグネピジョンの破片を持った少女メイベルは
ジルバに目を付けられ、アヒル型デスロイド・ダークダックへと変貌してしまう。

84 :
6月の放送分
第10話 恐怖の悪魔鱗(6/3)
脚本:望月武 絵コンテ:富沢信雄 演出:岡崎幸男 作画監督:真庭秀明
トビウオ型デスロイドウロッコー登場
トラックの運転手が謎の鱗に取り付かれ狂ってしまう他、人々が次々と狂う事件が
発生。その鱗はボブ配下のデスロイド・ウロッコーはクレイジー作戦を行っていた。
第11話 ブリンドー、巨大化する(6/10)
脚本:山田由香 絵コンテ:増田敏彦 演出: 岡崎幸男 作画監督:香川久
ペリカン型デスロイドイージゲン登場
シャドー三幹部ブリンドーは彼の配下のペリカン型デスロイド・イージゲンに
間違って彼を巨大化させてしまい、ロカA2の建物を次々と破壊し、アジャンテロボを陥れてしまう。
第12話 蟹デスロイドのカニカニ大作戦(6/17)
脚本:米村正二 絵コンテ:友永和秀 演出:辻泰永 作画監督:上野ケン
蟹型デスロイドバブルクラブ登場
ボブ配下のデスロイド・バブルクラブは海水浴に来た客を泡に閉じ込めて、誘拐
する事件を実行する。その目的は、デスロイドの製造装置の実験体にすることだった。
第13話 対決!機械盗賊団(6/24)
脚本:真島浩一 絵コンテ:増田敏彦 演出:辻泰永 作画監督:馬越嘉彦
機械盗賊団(ジャバ、ザガリ、その他10名)登場
ネオシティから生き延びた機械盗賊団は宇宙犯罪組織シャドーと結託。現金や宝石
を強奪、そして、彼らの本拠地を作り出すため、人々を拉致し、奴隷にしていた。

85 :
7月の放送分
第14話 恐竜大復活!前編(7/1)
脚本:三条陸 真島浩一 絵コンテ:富沢信雄 演出:小山田桂子 作画監督:真庭秀明
アンキロサウルス型デスロイドアンキロス、トリケラトプス型デスロイドトリケラス登場
ブリンドー配下の恐竜兄弟デスロイド・アンキロスとトリケラスは絶滅した恐竜
を甦らせ、スペースコロニーの破壊活動を行う。その計画を止めようとするファーロだが、
第15話 恐竜大復活!後編(7/8)
脚本:三条陸 真島浩一 絵コンテ:友永和秀 演出:小山田桂子 作画監督:真庭秀明
アンキロサウルス型デスロイドアンキロス登場
ブリンドー配下の恐竜デスロイド・兄アンキロス率いる恐竜軍団。ロカA2の破壊
活動を行い、フリードは窮地に追い詰められてしまうが、アニマユニットに新たな奇跡が。
第16話 フリード新たなる力前編(7/15)
脚本:米村正二 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:長峯達也 作画監督:馬越嘉彦
犬&猫型デスロイドドッグキャット登場
ジルバは新しい強敵デスロイド・ドッグキャットを使い、破壊活動を開始した。
フリードは歯が立たずになすすべもなくドッグキャットの爪牙に敗北してしまう。
第17話 フリード新たなる力後編(7/22)
脚本:米村正二 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:長峯達也 作画監督:馬越嘉彦
犬&猫型デスロイドドッグキャット登場
ドッグキャットに敗北したファーロの前に現れた、銀河連邦警察のギャバン長官
と宇宙警察のドギー・クルーガーは彼を特訓するため、地獄の番犬特訓所で特訓する。
第18話 暴かれた、フリードの正体!(7/29)
脚本:三条陸 望月武 絵コンテ:しまづ聡行 演出:富沢信雄 作画監督:滝口禎一
キリン型デスロイド人食いジュラフ登場
女子中学生が次々と溶ける事件が発生。ボブ配下のデスロイド・人食いジュラフの
仕業であった。デスロイドを追跡するフリードの目の前に現れた新たな敵、ライアが現れた。

86 :
8月の放送分
第19話 フリードよ!今、立ち上がれ(8/5)
脚本:三条陸 望月武 絵コンテ:しまづ聡行 演出:富沢信雄 作画監督:滝口禎一
ライオン&鮫&ティラノザウルス型デスロイドライオシャークティラノ3世登場
ライアに正体を見破られ、敗北したフリードの事、ファーロの前に現れた三幹部
配下のデスロイド・ライオシャークティラノ3世がファーロの襲い掛かる。
第20話 ファーロと爆弾デスロイド(8/12)
脚本:福嶋幸典 絵コンテ:増田敏彦 演出:小山田桂子 作画監督:高橋晃
コブラ型デスロイドコブラダイナマイト登場
ジルバ配下のデスロイド・コブラダイナマイトは建物を次々と爆破事件が発生。
宇宙破壊爆弾をそれを見つけ出すゲームのプレイヤーにされたファーロは爆弾の特定場所を急ぐ。
第21話 決戦!フリード VS ジルバ(8/19)
脚本:三条陸 絵コンテ:友永和秀 演出:辻泰永 作画監督:馬越嘉彦
ハリモグラ&リス&マンドリル&象&ワニ型デスロイドエメラルドアニマル登場
シャドー三幹部ジルバは倒された5人のデスロイドの魂を作り上げた合成獣型
デスロイド・エメラルドアニマルが動物園を襲撃し、ファーロに決闘に申し込む。
第22話 帰ってきた!英雄(ヒーロー)(8/26)
脚本:米村正二 絵コンテ: 水本葉月 演出:岡崎幸男 作画監督:真庭秀明
熊型デスロイドヘッドベアー登場
カオルの親友ルイが帰ってきた。だが、しかし、ジルバ配下のデスロイド・
ヘッドベアーはニュー・デカレンジャーを洗脳し、破壊活動を行っていた。

87 :
9月の放送分
第23話 2号ロボアジャンテファイター誕生(9/2)
脚本:米村正二 絵コンテ:友永和秀 演出:辻泰永 作画監督:馬越嘉彦
白熊型デスロイドアイスポーラー、ペンギン型デスロイドアイスペンギン登場
元・アストロノーツ養成学校の生徒で、特キョウ・エリートデカブレイクであるルイは
ファーロと共に新しい新兵器の製作をしていた。一方、その頃、ジルバ配下の二人組のデスロイドが。
第24話 対決!ハンマー強盗団(9/9)
脚本:真島浩一 絵コンテ:しまづ聡行 演出:富沢信雄 作画監督:香川久
象型デスロイドハンマーエレファント登場
シャドー三幹部のボブはブリンドーとジルバに馬鹿にされたため、象型デスロイド
・ハンマーエレファントを使い、空手道の中年生徒共を「ハンマー強盗団」仕立て上げ、強盗を開始した。
第25話 敵は忍者デスロイド!?(9/16)
脚本:福嶋幸典 絵コンテ:友永和秀 演出:徒野将利 作画監督:稲上晃
クマノミ型デスロイド水忍クマノミ登場
大富豪の宝物や宝石店の宝石が次々と盗まれる事件が発生。その仕業はボブ配下の
デスロイド・水忍クマノミであり、ファーロはミルク姫の宝物を盗もうとする水忍クマノミに挑戦する。
第26話 タコイカスミスミ大決戦(9/23)
脚本:里島美和 絵コンテ:友永和秀 演出:小山田桂子 作画監督:上野ケン
タコ型デスロイドタッコンガー、イカ型デスロイドイッカンガー登場
人間がたこ焼き人間にされる事件が発生。怪しいたこ焼き屋に食べに来たファーロは、
屋台にはボブ配下の凸凹デスロイドコンビ・タッコンガーとイッカンガーの仕業であった。
第27話 新たな戦士レイナ誕生!(9/30)
脚本:三条陸 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:長峯達也 作画監督:香川久
ジャッカル型デスロイドMrドール登場
人々がビルごと誘拐される事件が発生。その仕業はジルバ配下のデスロイド・Mrドール
であり、人々をフィギュアにして、ゴドーのコレクションにしようと企み、ファーロもフィギュアにされてしまう

88 :
10月の放送分
第28話 アイドル誘拐事件(10/14)
脚本:真島浩一 絵コンテ:友永和秀 演出:岡崎幸男 作画監督:稲上晃
虎型デスロイドブルータイガー登場
人気アイドルPKBZのメンバーが次々と誘拐される事件が発生。ジルバ配下のデスロイド・
ブルータイガーは彼の者にするため十五東せつなと十八院いつきを誘拐しようとしていた。
第29話 ロカ A 2深夜の一夜(10/21)
脚本:望月武 絵コンテ:富沢信雄 演出:小山田桂子 作画監督:上野ケン
バク型デスロイドデビルティパー登場
人々が夢遊病で物を盗む事件が発生。その事件はボブ配下のデスロイド・
デビルティパーは催眠術を使い、人々の睡眠を吸収していた。
第30話 強敵ライアの最後(10/28)
脚本:三条陸 絵コンテ:しまづ聡行 演出:長峯達也 作画監督:馬越嘉彦
イノシシ型デスロイドポークロー登場
前回でフリードとレイナの二大攻撃にやられ、重症を負ったジョーは少女カレン
に助けられる。しかし、裏切り者のジョーの抹殺にやってきた、ボブ配下の暗殺デスロイドが。

89 :
11月の放送分
第31話 ダンシング・ザ・忍者(11/4)
脚本:真島浩一 絵コンテ:しまづ聡行 演出:辻泰永 作画監督:高橋晃
ヤマアラシ型デスロイドシノビアーチホッグ登場
ファーロの親友ユミは彼のダンスチーム「エンジェル」でやっている。いつも失敗するユミは
ジルバ配下のデスロイド・シノビアーチホッグに利用され、ユミの仲間を拉致し、犯罪兵ガルガーにする計画を開始していた。
第32話 ゲコゲコ!人間が蛙になる(11/11)
脚本:真島浩一 絵コンテ:友永和秀 演出:岡崎幸男 作画監督:稲上晃
蛙型デスロイドゲコラス登場
人間がカエル人間になる事件が発生。その事件は人間をカエル人間に変える恐怖の
薬物を製作しているジルバ配下のデスロイド・ゲコラスだった。
第33話 誕生!グレートアジャンテロボ! (11/18)
脚本:米村正二 絵コンテ:富沢信雄 演出:長峯達也 矢野雄一郎 作画監督:真庭秀明
ワニ型デスロイドドリルクロコダイル登場
アジャンテロボ、ユニットダー、アジャンテファイター、アジャンテクイーンの
合体特訓を開始するシンゴはジルバ配下のデスロイド・ドリルクロコダイルに設計図を奪われてしまう
第34話 強敵ライアの復活!(11/25)
脚本:三条陸 絵コンテ:友永和秀 演出:辻泰永 作画監督:馬越嘉彦
カラス型デスロイドダーククロー登場
ポークローの爪牙で宇宙で死んだはずのジョーの事ライアは宇宙犯罪組織シャドーを
潰すため、ブリンドー配下のデスロイド・ダーククローを唆し、ファーロに挑戦した。

90 :
12月の放送分
第35話 激震!ジャークロボ!(12/2)
脚本:三条陸 絵コンテ:友永和秀 演出:徒野将利 作画監督:上野ケン
狼型デスロイドダークウルフ登場
宇宙犯罪組織シャドーの巨大兵器ジャークロボを奪ったジョーはフリードが戦っている
ジルバ配下のデスロイド・ダークウルフを利用し、制御ユニットを奪う命令を下す。
第36話 グレートアジャンテロボ対ジャークロボ(12/9)
脚本:三条陸 絵コンテ:友永和秀 演出:岡崎幸男 作画監督:滝口禎一
アライグマ型デスロイドデスラクーン登場
宇宙犯罪組織シャドー壊滅を目論むジョーの事ライアの操るジャークロボと
ファーロの事フリードのグレートアジャンテロボが戦いで夢の友情がついに芽生える。
第37話 フリード対野球チーム(12/16)
脚本:真島浩一 絵コンテ:富沢信雄 演出:富沢信雄 作画監督:高橋晃
バク型デスロイドベーブルースティパー登場
弱小野球チーム「ボンクラーズ」の新監督、獏山の正体はボブ配下のデスロイド・
ベーブルースティパーは勝つために手段を選らばず、相手の野球チームを次々と敗れていく。
第38話 死の真珠を調査せよ(12/23)
脚本:山田由香 絵コンテ:増田敏彦 演出:小山田桂子 作画監督:上野ケン
真珠型デスロイドダークシェル登場
大富豪が真珠の首輪を付け、次々と変死する事件が発生。その正体はボブ配下の
女性デスロイド・ダークシェルの身体の部分だったのであった。
第39話 闘牛・突破大作戦(12/30)
脚本:望月武 絵コンテ:しまづ聡行 演出:富沢信雄 作画監督:香川久
猛牛型デスロイドマークカウ登場
ボブ配下のデスロイド・マークカウがフリードを倒すため、巨大兵器「みち
みちおしえてくん」を使って、ファーロを消そうと目論んでいたのであった。

91 :
1月の放送分
第40話 僕のお家はシャドウの秘密基地(1/1)
脚本:真島浩一 絵コンテ:水本葉月 演出:徒野将利 作画監督:稲上晃
ニワトリ型デスロイドマークチキン登場
ファーロの親友マックの弟のいじめっ子、ジャンはブリンドー配下のデスロイド
・マークチキンに家を乗っ取られてしまう。
第41話 恐怖のカップ麺発売す!(1/6)
脚本:望月武 絵コンテ:富沢信雄 演出:岡崎幸男 作画監督:真庭秀明
豚型デスロイドマークピッグ登場
PKBZが大好きなカップ麺オタク、マサヒコは中学時代にルナに片思いしているがブタメン
と名のるカップラーメンの神様と出会う。彼は一緒に「新カップラーメン」を作り出すが、
第42話 疾走!マラソンバトル(1/13)
脚本:真島浩一 絵コンテ:増田敏彦 演出:辻泰永 作画監督:馬越嘉彦
チーター型デスロイドダッシュチーター登場
ファーロが出場するスペースマラソン大会。だが、しかし、ジルバ配下のデスロイド・
ダッシュチーターが勝つために手段を選ばず、選手を次々と負傷させていた。
第43話 怪人軍団・ロカA2大集合(1/20)
脚本:山田由香 絵コンテ:友永和秀 演出:長峯達也 作画監督:馬越嘉彦
鷹型デスロイドメカホーク登場
いじめられっ子のショウタがブリンドー配下のデスロイド・メカホークに目を付けられ、
メカホークの眼光フラッシュでデスロイドを甦らせ、いじめっ子達を襲い、ドギーを襲う。
第44話 原爆飛行機の正体を暴け!(1/27)
脚本:福嶋幸典 絵コンテ:増田敏彦 演出:辻泰永 作画監督:香川久
蜂型デスロイドライドビー登場
各地のスペースコロニーが謎の原爆飛行機による次々と爆破する事件が発生。その調査を
調べるファーロとルナは謎の原爆飛行機と遭遇する。その正体はブリンドー配下のデスロイド・ライドビーが操る巨大兵器だった。

92 :
2月の放送分
第45話 スペースコロニー最後の日(2/3)
脚本:山田由香 絵コンテ:友永和秀 演出:辻泰永 作画監督:上野ケン
鯨型デスロイドホエールン登場
邪悪皇帝ゴドーが、ロカA2にやって来た。その目的は人類抹殺計画。そのコロニー
破壊爆弾を使い、50時間後にコロニーが消滅しようとしていた。
第46話 人類抹殺計画開始!(2/10)
脚本:山田由香 絵コンテ:増田敏彦 演出:辻泰永 作画監督:馬越嘉彦
巨大兵器ブラックホール&ワームホール登場
人類抹殺計画を開始したゴドー率いるデスロイド軍団。その人類抹殺計画を止めようとするフリード、
レイナ、ギャバン、シャリバン、シャイダー、デカレンジャー、デカマスター、ライア、ホエールン、ファーロの友達だった。
第47話 首領の新たなる正体!(2/17)
脚本:山田由香 絵コンテ:水本葉月 演出:矢野雄一郎 作画監督:馬越嘉彦
巨大兵器キングホール登場
人類抹殺計画を阻止されたゴドーの正体はルナの父だった。それは火星で事故のさい、
ルナを命懸けで救い、亡くなっていたが、真のゴドーはマクー、マドー、フーマを作り出した存在でルナの父を憑依していた。
第48話 ルナよ(2/24)
脚本:米村正二 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:辻泰永 作画監督:香川久
シーラカンス型デスロイドシーラガン登場
邪悪皇帝ゴドーの真の目的は銀河連邦警察と宇宙警察の殲滅、そして、宇宙刑事の抹殺
だった。宇宙刑事抹殺を目論むゴドー配下のデスロイド・シーラガンを送り込む。

93 :
3月の放送分
第49話 エスコルピオン突入!(3/3)
脚本:米村正二 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:辻泰永 作画監督:真庭秀明
サンショウオ型デスロイドデスサンショウオ、フクロウ型デスロイドデスオウル、シーラカンス型デスロイドシーラガン登場
宇宙犯罪組織シャドーの巨大要塞、エスコルピオンに突入したフリード達
ホエールンを瀕死の重傷をさせたデスロイド・シーラガンとの対決が始まる。
第50話 三幹部よ永遠に!(3/10)
脚本:米村正二 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:長峯達也 矢野雄一郎 作画監督:香川久
サンショウオ型デスロイドデスサンショウオ、フクロウ型デスロイドデスオウル登場
シャドー三幹部ブリンドー、ジルバ、ボブはゴドー配下のデスロイド・デス
サンショウオとデスオウルがフリード達を襲う。
第51話 最後の戦い!(3/17)
脚本:三条陸 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:長峯達也 矢野雄一郎 作画監督:上野ケン
邪悪皇帝ゴドー(憑依体)登場
邪悪皇帝ゴドーとの最終決戦。ルナの父を救おうとするルナはフリードを
応援するためルナの父を救出したが、真のゴドーがついに、目覚めていた。
第52話 おれは銀河刑事だ!(3/24)
脚本:三条陸 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:長峯達也 矢野雄一郎 作画監督:馬越嘉彦
邪悪皇帝ゴドー(完全体)登場
ゴドーの真の正体は500メートルを超える巨大宇宙怪獣型巨大生命体だった。
フリードの操るグレートアジャンテロボとライアの操るジャークロボの最後の必殺技を放つ。

94 :
銀河刑事フリード
・テレビ東京4月1日から月曜19時から19時30分放送
・勧善懲悪、一話完結
・たよりがいのある、いかにもなヒーロー
・小次郎さんや大五郎さんのようなコメディリリーフ
・子どもがレギュラーで、主人公と交流する
・悪の組織には素面の男性幹部と悪女たち
・敵の戦闘機部隊
・敵の小型マシンが倒された敵が巨大化
・巨大ロボットと巨大化した敵との戦闘
・シリーズ構成は三条陸とシリーズ脚本は米村正二
・音楽は渡辺宙明 そして、レーザーブレードの曲をジャッジメントにアレンジ
・アニメで復活するメタルヒーロー
・無人惑星サヴァイブとパタパタ飛行船の冒険の事実上の続編
・週刊少年マガジンでタイアップ中
・アニメーション製作は東映アニメーションとテレコム・アニメーションフィルム
・メタルヒーロー版ウルトラマン80

95 :
銀河刑事フリード
・テレビ東京4月1日から月曜19時から19時30分放送
・勧善懲悪、一話完結
・たよりがいのある、いかにもなヒーロー
・小次郎さんや大五郎さんのようなコメディリリーフ
・子どもがレギュラーで、主人公と交流する
・悪の組織には素面の男性幹部と悪女たち
・敵の戦闘機部隊
・敵の小型マシンが倒された敵が復活して巨大化する
・巨大ロボットと巨大化した敵との戦闘
・シリーズ構成は三条陸とシリーズ脚本は米村正二
・音楽は渡辺宙明 そして、レーザーブレードの曲をジャッジメントにアレンジ
・アニメで復活するメタルヒーロー
・無人惑星サヴァイヴの事実上の続編
・週刊少年マガジンでタイアップ中
・アニメーション製作は東映アニメーションとテレコム・アニメーションフィルム
・メタルヒーロー版ウルトラマン80

96 :
テレビ東京他全国ネット 4月1日 月曜19時00分〜19時30分
BSジャパン 4月3日 水曜18時〜30分
スポンサー バンダイ 講談社 バンダイナムコゲームス サンスター文具
ニッスイ アキレス 東京ドーム 日本コロムビア 東映ビデオ
映画 プリキュアオールスターズ NewStage2 みんな集まれ☆プリキュアは永遠に不滅です!(1話から4話まで)
超・仮面ライダー電王&W&ウィザード 吸骨鬼ボーン・バンパイヤ(4話から9話まで)
劇場版 銀河刑事フリード サマー・バトル 劇場版 超光騎士シャンゼリオン〜時を越えて…〜(15話から22話まで)
劇場版 仮面ライダーウィザード 電光戦隊ギアレンジャー(15話から22話まで)
パワーパフガールズ2 ブラックウッドチャンネルの野望(15話から22話まで)
映画 フェアリーテイルプリキュア(28話から34話まで)
劇場版 覚悟のススメ〜Ekuzosukaru Zero〜 黒髪健軍地獄街(33話から40話まで)
仮面ライダーホルス×ウィザード MOVIE大戦MAGIC(33話から40話まで)
電光戦隊ギアレンジャーVSゴーバスターズ(41話から49話まで)
映画 プリキュアオールスターズ NewStage3 宇宙はみんなともだち!(48話から52話まで)

97 :
テレビ東京2012年度4月のアニメ
特撮マークは(特)現在放映中マークは(現)アニメ化マークは(ア)再放送マークは(再)
テレビ大阪制作マークは(大)テレビ愛知制作マークは(愛)バラエティマークは(バ)
リメイク化は(リ)
月曜
17時30分:完全勝利ダイテイオー(ア)
18時00分:覚悟のススメ(特)
19時00分:銀河刑事フリード(特)
19時30分:ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大激戦(特)
火曜
17時30分:SKET DANCE(現)
18時00分:超速変形ジャイロゼッター(ア)
水曜
17時30分:ウルトラマン列伝(現)
18時00分:獣旋バトル モンスーノ(ア)
19時00分:イナズマイレブン Go!(現)
19時27分:ダンボール戦機GP(現)
木曜
17時30分:プリキュア列伝(ア)
18時00分:銀魂(現)
19時00分:ポケットモンスター ベストウィッシュ(現)
19時30分:NARUTO -ナルト- 疾風伝(現)
金曜
17時30分:週刊少年マガジンガールズ(バ)
18時00分:サキよみ ジャンBANG!(バ)
土曜
7時00分:タイムボカンシリーズ ヤッターマン(再)
7時30分:遊戯王5D's(再)
8時00分:トランスフォーマー プライム(ア)(現)(愛)
8時30分:おはコロ+(現)
9時00分:鳳神ヤツルギ(特)
9時30分:ウサミミ仮面(特)(大)
10時00分:アイカツ!(ア)
10時30分:FAIRYTAIL(現)
日曜
7時30分:ポケモンスマッシュ(現)
8時30分:ぼくはガリレオ(ア)
9時00分:キム・ポッシブル(ア)(リ)(大)
9時30分:フィニアスとファーブ(ア)(大)
10時00分:月光条例(ア)

98 :
テレビ東京2012年度4月のアニメ
特撮マークは(特)現在放映中マークは(現)アニメ化マークは(ア)再放送マークは(再)
テレビ大阪制作マークは(大)テレビ愛知制作マークは(愛)バラエティマークは(バ)
リメイク化は(リ)
月曜
17時30分:SKET DANCE(現)
18時00分:覚悟のススメ(特)
19時00分:銀河刑事フリード(特)
19時30分:ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大激戦(特)
火曜
17時30分:完全勝利ダイテイオー(ア)
18時00分:超速変形ジャイロゼッター(現)
水曜
17時30分:ウルトラマン列伝(現)
18時00分:獣旋バトル モンスーノ(現)
19時00分:イナズマイレブン Go!(現)
19時27分:ダンボール戦機GP(現)
木曜
17時30分:プリキュア列伝(ア)
18時00分:銀魂(現)
19時00分:ポケットモンスター ベストウィッシュ(現)
19時30分:NARUTO -ナルト- 疾風伝(現)
金曜
17時30分:週刊少年マガジンガールズ(バ)
18時00分:サキよみ ジャンBANG!(バ)
土曜
7時00分:タイムボカンシリーズ ヤッターマン(再)
7時30分:遊戯王5D's(再)
8時00分:トランスフォーマー プライム(ア)(現)(愛)
8時30分:おはコロ+(現)
9時00分:鳳神ヤツルギ(特)
9時30分:ウサミミ仮面(特)(大)
10時00分:アイカツ!(ア)
10時30分:FAIRYTAIL(現)
日曜
7時30分:ポケモンスマッシュ(現)
8時30分:ぼくはガリレオ(ア)
9時00分:キム・ポッシブル(ア)(リ)(大)
9時30分:フィニアスとファーブ(ア)(大)
10時00分:月光条例(ア)
17時30分:遊戯王ZEXAL(現)

99 :
銀河刑事フリード
アジャンテウェポンシリーズ
銀河真空剣コマンダーソード
銀河万能銃ライフライザー
銀河変身電話ブレスアジャンテブレス
銀河分析マシーンブンセーキ
銀河変身!スワットモード
暗黒真空剣ダークコマンダーソード
暗黒万能銃ダークライフライザー
銀河真空剣コマンダーソード レイナVer
電脳巨大砲ズバッズーカ
銀河装着シリーズ
銀河装着01 フリード
銀河装着02 モーターバイク
銀河装着03 スーパーボート
銀河装着04 スワットモード
銀河装着05 スワットサイドカー
銀河装着06 レイナ
銀河装着07 ネオスワットサイドカー
銀河装着08 ライア
バンダイ 銀河合体シリーズ
銀河合体01 DXアジャンテロボ
銀河合体02 ペガサスユニット
銀河合体03 グリフォンユニット
銀河合体04 ドラゴンユニット
銀河合体02・03・04 DXユニットダー
銀河合体05 DXアジャンテファイター
銀河合体06 DXアジャンテクイーン
超銀河合体 DXグレートアジャンテロボ
銀河合体07 DXジャークロボ
ビッグスケール 宇宙超次元戦闘母艦ヘラクレス

100 :
銀河刑事フリード
テレビマガジン
3月号 ギャバンを超えたメタルヒーロー登場!
4月号 新たなメタルヒーロー登場!その名もフリード!!
5月号 フリードよ犯罪組織シャドーを壊滅せよ!
6月号 新兵器モーターバイク登場!
7月号 機械盗賊団を壊滅せよ!
8月号 フリード新たなる力!
9月号 新たな敵ライア登場!
10月号 アジャンテファイター登場!
11月号 フリードの相棒 レイナ出現!
12月号 グレートアジャンテロボ誕生!
1月号 グレートアジャンテロボVSジャークロボ!
2月号 ドギー絶体絶命!再生怪人軍団大あばれ!
3月号 最終決戦始まる!
4月号 さらばフリード そして、新たな21世紀のメタルヒーローへ


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自分の悩みや不幸を創作に生かしたい
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2017東京マラソン 女子第3移動車
NHK「買った土地からゴミが見つかった、撤去費9千万円払え」 [956093179]
最近長身美人とチビ男の組み合わせ多いよね
今日食べたインスタント麺を報告するスレ 64食目
集団的自衛権ない方が戦争になる可能性少なくよね?
元編ヲチスレ
【アリアニコ】1000〜3000円のお勧めワイン part5【おさるさん】
( ^ж^)GAPの値下げは殺人レベル<142人斬り>
【瓶の蓋】在日米軍は絶対必要【核武装阻止】
軍事的に治安系特殊部隊等を考察するスレ 26
☆三脚★三脚★三脚★ vol.17
昭和の老害とんねるず完全終了(笑)
【新潟市女児殺害事件】重要参考人の23歳の男が犯行を認める供述 「死体遺棄・損壊」で逮捕状を請求 まもなく逮捕へ [485983549]
【PSP】UMDなしでXMBからEBOOT起動ブート5【fake_np】
木綿41
【伊藤忠商事プレスリリース】 厚生労働省向けの布製マスクについて
リアルカスタム
【NGT45】NIII元キャプテンが山口真帆を批判か 真偽不明の「インスタスクショ」が拡散
MX・tvk・テレ玉・チバ・群馬・とちぎ実況 ★ 59205
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