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【オリジナル質雑TRPG】錬金乙女エリクシアン


1 :2016/04/10 〜 最終レス :2016/06/29
Libens sum.Dominus.

――わたしはPEX-007“ソレイユ”。
人類発展機関『ビュトス』により開発された『錬金人類(エリクシアン)』です。
本日より貴方をDominusとして登録し、身辺の警護及び生命の保護任務に就かせて頂きます。
わたしのことはお気軽に『ソレイユ』とお呼びください。

わたしはいつの時も、貴方のお傍を離れることはありません。
『デミウルゴス』への対処、ならびに撃退は、すべてわたしにお任せください。
その他、日常生活で何かお困りのことがあれば、何なりとご命令を。
可能な限り、Dominusのご希望に沿えるよう善処させて頂きます。

――では――
只今より、貴方を守ります。

2 :
名前:ソレイユ(型式番号PEX-007)
年齢:製造より半年 外見年齢は16歳程度
性別:女性型
身長:163cm
体重:129.3kg (武装含)
スリーサイズ:78・56・80
種族:錬金人類(エリクシアン)
職業:護衛
性格:可能な限り主人の要望に沿うようプログラミングされている
パンチ力:2.5t
キック力:5t
100m走力:5.8秒
ジャンプ力:38m
遠距離兵装:EXW-0035R 前腕部内蔵型高出力粒子砲『ソレイユ・アマ・デトワール』
近距離兵装:EXW-0002S 携帯型ビームエッジ『ソレイユ・エトワール・フィラント』
趣味:家事

外見:
膝裏まである長い金色の髪、蒼色の瞳
顔の造作は整っているものの、感情の起伏に乏しい
額と胸元にビュトス機関の所属を示すカドゥケウス(杖と蛇)の刻印がある
普段は身体にフィットした白いボディスーツ状の着衣を纏う。着替えは可能

簡単なキャラ解説:
ビュトス機関により派遣されてきた護衛
七体製造された錬金人類(いわゆるホムンクルス)の七体目で、高い総合力を有する
性格については特にプログラミングされておらず、機械的に物事を判断する
謎の組織『デミウルゴス』の侵略を防ぐ為、戦闘用に数々の装備を内蔵している
基本過保護。

3 :
ご説明が遅れました、Dominus。

『ビュトス機関』は古くは黄金の夜明け団に連なる科学集団。
人類の科学と叡智の発展に心血を注ぐ組織。いわゆる正義の味方とお思い下さい。
貴方は機関により『保護案件:ランクSSS』に指定されております。
未来予測演算装置『エル・シャダイ』が、貴方を後年人類にとって益となる何らかの事象を成す存在と認定したのです。

『デミウルゴス』は『ビュトス機関』に敵対する存在。いわゆる悪役とお考え下さい。
すべてが謎に包まれており、機関の力をもってしても詳細を把握することができておりません。
『デミウルゴス』という呼称も、機関が便宜上つけたものにすぎません。
ただひとつ、わかっていることは――
『デミウルゴス』は人類の滅亡を望んでいるということ。
Dominus、人類の発展に寄与する貴方を排除するであろうということ。

21世紀の日本で、そんなSFのような話は荒唐無稽に過ぎる。馬鹿げている……とお思いですか?
わたしの言っていることが真実か、それとも嘘かは、すぐにわかること。
いずれにせよ、人類のよりよい未来のため、わたしは貴方の生命を守ります。
大丈夫。貴方を危ぶむ輩には、指一本たりとも触れさせはしません。

それでは、改めまして。
――往きます。

4 :
その格好じゃ目立ちすぎるな
これを着なさい
っ【セーラー服】

5 :
……ソレイユ、わたしはイェイツは嫌いだわ
ダブリンの人ってどうしてあんなに陰気な話が好きなんでしょうね……?

6 :
『歩兵(ポーン)』型デミウルゴスを一体感知。
掃討します。

>>4
Sic.Dominus.
これはDominusの通われている学校の制服でしょうか?
Dominusが通学される以上、わたしもDominusの学校まで同伴するのが道理。
であれば、カモフラージュの面から見てもセーラー服を着るのは適切と認識します。

ということで、Dominusの用意してくださったセーラー服を着用致しました。
……ただ、このセーラー服。極めて脆弱な繊維で構成されており、防御力は皆無と断言致します。
スカートも能動的行動を妨げる効果があり、戦闘向きとは言えません。
至急、改善を要望します。

>>5
Sic.Domina.
W.B.イェイツ師。黄金の夜明け団の偉大な小達人(アデプタス・マイナー)と記憶しております。
Dominaはイェイツ師はお嫌いですか。

Domina、わたしに詩は理解できません。
わたしはビュトス機関により、戦闘のみをプログラミングされてきました。
戦闘以外のことは、一切わからないのです。ただ、Dominaを守るようにと――それ以外には何も。
けれども、Dominaが望まれるのであれば。
貴方の希望に沿うよう。貴方の話題にお返事ができるよう、学習していきたいと思っています。
――今は。Dominaのお言葉に賛同できるよう、イェイツ師の作品の勉強を。

7 :
……わたしは、大丈夫よ。ソレイユ、あなたは?
わたしを守ってくれたの?

ソレイユ、あなたはほんとうにケルトの神話から抜け出してきたのかしら?
あれがあなたの言う「デミウルゴス」なの?
あれは、なに?
けものなの?それともわたしのまぼろし……?

散らかってしまった本はそのままでいいわ
夜が明けたら片づけましょう
それよりもコーヒー、付き合ってもらえるかしら?
わたし自身が正気である事を、確かめたいの

8 :
ご飯は食べられるの?

9 :
『歩兵(ポーン)』型デミウルゴスの生体反応消失を確認。
こちらの損害なし。戦闘モードを解除します。

>>7
Sic.Domina.
わたしの戦闘能力は『歩兵』の戦闘能力を約3.54倍上回っております。
わたしはソレイユ。ビュトス機関より派遣された錬金人類(エリクシアン)――
貴方の、守護者です。

あれはデミウルゴス。何処とも知れぬ世界の深淵より出ずるもの。
人類が深淵を覗き込んだとき、深淵の奥より人類を覗き返してきたもの…。
幻ではありません。あの躯体も、殺意も、すべては現実。すべてはDominaを害さんとする意思。
わたしは、貴方に敵するすべての意思から、貴方を守ります。

驚かれたでしょう、無理もありません。すぐにコーヒーを淹れます。
クッキーは?甘いものを食べると、気持ちが落ち着きますから。
けれど――貴方は慣れなければならない。貴方を取り巻くこの環境に。悪意に。

大丈夫。
……きっと、できます。

>>8
Sic.Dominus.
錬金人類(エリクシアン)の栄養は、専用に調整された栄養ゼリーによって確保されます。
強化された骨格や筋繊維、臓器の維持には、通常の食物を摂取するだけでは間に合わないのです。
栄養ゼリーは経口にて接種します。従ってこれがわたしのごはん、ということになります。

……Dominusと同じ食事は摂れるか、というご質問でしたか?
であれば、可能と回答します。もっとも、栄養にはなりませんが。
味覚もありますので、Dominusと同じ感覚を得ることも可能かと思われます。
料理のレシピも、プログラミングされています。Dominusのお好きな料理を作ることができますよ。
何なりと仰ってください。

それから。趣味嗜好と言うような事柄は、任務遂行の上ではまったく無用のものですが――

……甘いものが、好きです。

10 :
よし、学校帰りに喫茶店寄ろうか
一人じゃ入りにくかったんで助かるよ

11 :
そんな装備で大丈夫か?

12 :
ビュトス機関の手配により、Dominusと同じ学校、同じクラスに編入しました。
こちらでは、フランス留学生のソレイユということになっております。
その旨、どうかDominusもお含み置きください。

>>10
Sic.Dominus.
ただ、少々お待ち願えますでしょうか?
只今テニス部、バレエ部、陸上部、天文学部その他部活動より勧誘を受けております。
これより一軒ずつを回り、丁重にお断りしなければなりませんので。
……そんな必要はない?宜しいのでしょうか?

喫茶店。入るのは初めてです。けれど、なぜDominusは入りにくかったのですか?
Dominusには、正当に喫茶店を利用する資格があると断言致しますが。わたしには分かりません。

わたしも、注文をしても宜しいのですか?
では、ストロベリーパフェを……。

わたしに通常の人類の栄養は不要です。必要なものは全て、栄養ゼリーによって賄われますから。
でも。それでも。
……甘いものは、おいしい……です。

>>11
Sic.Dominus.
わたしの通常兵装についてご説明致します。

EXW-0035R 前腕部内蔵型高出力粒子砲『ソレイユ・アマ・デトワール』
わたしの手首に内蔵された、いわゆる荷電粒子砲であり、対デミウルゴス用の主兵装となります。
重粒子を亜光速で射出することにより、デミウルゴスの強固な装甲をも容易に貫通する、強力な武器です。
ただし、高出力のため連射が効かず、一度発射してしまうと数分間のチャージが必要となります。
よって、近接戦闘にてデミウルゴスを小破あるいは中破させ、粒子砲でとどめを刺す――
というのが、わたしの主な戦術となります。
名称は「星屑」を意味します。

EXW-0002S 携帯型ビームエッジ『ソレイユ・エトワール・フィラント』
近接戦闘にて用いる光学兵装です。
原理としては前述の粒子砲と同様、重粒子の放射ですが、よりコンパクトに刃状の形状を為しています。
普段はナイフ程度の長さですが、出力の調整により刃の長さを変更することができます。
厚さ10センチの鋼鉄をも、バターのように切断することが可能です。
名称は「流星」を意味します。

これらの標準兵装の他、作戦内容によってビュトス機関より適宜支援兵装が送られてきます。
また、リミッターを解除すれば、上記兵装以外の兵装も使用が可能となります。

よって、わたしがDominusを守るのに、兵装が足りないということは決してありません。
どうか、ご安心を。

13 :
その栄養ゼリー、味見しても平気?

14 :
おっぱいもみもみ

15 :
はじめての?

16 :
おっと、動くんじゃねえぞ
こう見えてもサイバネティクスを全身に仕込んでいてな
ちょっと力を込めりゃただの人間なんぞ八つ裂きは朝飯前だ
特にこの右腕にゃ、高速粒子連射砲ゲベール・ガトリングレーザーを内蔵してる
蜂の巣どころか消し飛んじまうぜえ?旧式とはいえ、軍用火器の払い下げ品だからなあ!

17 :
“エリクシアン”とは“エリクサーより生ずる者”の意。
……ヒトのようで、ヒトでないもの……です。

>>13
Non.Dominus.
一口程度であれば害はないかと思われますが、推奨は致しません。
なぜなら、先にも申しました通り栄養ゼリーはエリクシアン用に調整されたもの。
通常の人体では、消化も吸収も不可能なのです。

Dominusはワックスエステルという物質をご存知でしょうか?
いわゆる蝋のことで、バラムツ、アブラソコムツ等といった深海性魚類の油脂に含有されています。
ワックスエステルは人体では吸収できず、これらの肉をある程度以上摂取すると、皮膚や肛門より漏出が起きるのです。
エリクシアン用栄養ゼリーでも、同様の現象が起こる模様です。

また、この栄養ゼリーはエリクシアンの培養槽を満たす溶液でもあります。
いわば、わたしたちを包む羊水にも等しいもの――それでも、味見されますか?


>>14
……?
貴方の行動の意図が測りかねます。わたしの胸部に何か異常がありましたでしょうか。
ラボによる定期健診では、異常は確認されておりません。
医学的接触以外に、わたしの胸部への接触には何か意味があるのでしょうか?

あ……。どちらへ行かれるのでしょうか?質問にお答えください。

クラスメイトの皆さんが、>>14さんをいずこかへ連行してしまいました。
『制裁を行う』……?よくわかりませんが、承知しました。

18 :
>>15
Sic.Dominus.
わたしにとっては、今現在体験することのすべてがはじめて。すべてが新鮮なこと。
もちろん、ビュトス機関のラボでは様々なことを学習しました。語学や、戦闘方法。社会で生きるための知識。
――けれど、ラボにいた頃のわたしは、自然の空が蒼いことさえ知らなかった……。

わたしたちを開発し、調整したメイザース師はこう仰いました。
『これから、おまえはラボでは学べない色々なことを学んでゆくのだ』と。
『おまえのDominusと一緒に』と――

師がどういった思いでそう仰られたのか、わたしにはわかりません。
けれど。そのお言葉には従いたいと思っています。
Dominus。わたしに、教えてくださいますか?
わたしの知らないことを。知ってゆかねばならないことを……。

>>16
……いいでしょう。わたしは動きません。
でも。必ず、Dominusは守ってみせます。貴方の思い通りには決してならない。
高速粒子連射砲ゲベール・ガトリングレーザー……。確かに破壊力はあるでしょう。
けれど、本当に撃てますか?

気付くのが遅かったようですね。
先程から、わたしと貴方の周囲を飛び回っている一匹の小さなツバメ――
これこそEXW-0013O 燕型小型電子支援ユニット『ソレイユ・イロンデル・ノワール』!
イロンデルの発生させるジャミングにより、現在粒子砲の類は使用不可能。
むろん、わたしもアマ・デトワールが使えませんが――問題はありません。
あとは、近接戦闘で仕留めればよいだけのこと!

『機械化人類(メカニゼイター)』……こんな犯罪者の間にまで浸透していたなんて。
けれど……貴方は『デミウルゴス』ではない。
例え全身をサイバネティック化しようと、わたしは――Dominusを害する者には、決して負けない!

19 :
強そう

20 :
大丈夫、一口だけ一口だけ……
うわまっず!! まずっ!!
いくら必要だからって、こんなに微妙なのよく飲めるな
ちょっと待ってろ、仕込んでおいたフレンチトーストを焼いてやる
口直しくらいにはなるだろうさ

21 :
セクサロイド機能はありますか?
もしあったら試させて

22 :
メイザーズ師?どこかで、聞いたことあるのだけれど
批評家?……じゃ、ない、イースター蜂起の殉教者?これも、ちがう……
でも、百年は昔に亡くなった人の、名前のはずよ

イェイツさんや、メイザーズさんのこと、
まるで会ったことがあるふうに、話すのね、ソレイユ。

23 :
――姉が、六人おります。

>>19
Non.Dominus.
『強そう』ではありません。『強い』のです。
人類の発展を阻まんと蠢動する『デミウルゴス』には、既存の兵器は通用しません。
強靭な装甲、高い再生能力、そしてあらゆる化学兵器や毒物をも克服する生命力。
46億年の地球史において、これほどの能力を持つ生命体というものはこの惑星上には存在しませんでした。
それに対抗できるのは、人類最高の叡智を有する『ビュトス機関』以外にはないのです。

俗に、軍などで扱われる最新技術は一般社会の30〜50年先のものと言われていますが――
『ビュトス機関』のテクノロジーは、現代文明の技術を約200年先行している、と断言致します。
そんな機関の最先端テクノロジーを用い、わたしたち七体の『錬金人類(エリクシアン)』は作られました。

特に、わたしにはDominus――貴方を守るための特別な調整が施されています。
あらゆる害意から、敵意から、殺意から、Dominus……貴方を守る。
それがわたし。――貴方のソレイユ。

>>20
申し訳ありません、Dominus。
栄養ゼリーはわたしたちの肉体を維持するためのもの。食の楽しみなどは度外視されています。
常温で保管された、無味無臭のゲル状携帯食――。
とても、Dominusの舌を満足させるようなものではありません。

フレンチトースト。Dominusがお作りになられるのですか?食事の支度はわたしが……。
……すみません。Dominusのお手を煩わせてしまうなんて。

甘くて、おいしい……。栄養ゼリーとはまるで違うのですね。
Dominusは凄いです。こんなにおいしいものを、なんでもないように作ってしまう。
まるで、それは機関の用いる最新科学の。いえ、もっと不思議な……まるで魔法のような……。

Dominusのお蔭で、またひとつ新たに学びました。
……食べることの、楽しさを。

24 :
>>21
セクサロイド。
性交渉に特化した機能を持つアンドロイド、と定義します。回答はNonです、Dominus。
なぜなら、わたしはアンドロイドではありません。
バイオテクノロジー、錬金科学、そして魔道力学によって創造された『錬金人類(エリクシアン)』。
いわゆるホムンクルスであり、一部サイバネティック化はしていますが機械ではありません。
よって、セクサロイド機能は付属しておりません。

ただ、生命体である以上、わたしにも生殖器が存在します。
従って、性交渉自体は可能です。
とはいえ、人造生命体ですので、生殖による繁殖は不可能です。わたしたちは培養槽で誕生しました。
ですから、Dominusのご要望には残念ですがお応えできません。
……申し訳ありません。

>>22
Sic.Domina.
J・W・メイザース師。『黄金の夜明け団』の創設者、マグレガー・メイザース師の玄孫に当たる方です。
『ビュトス機関』の偉大な三魔術師のひとり。そして、わたしたちエリクシアンを作った方。
わたしたち七人にとっては、父親――ということになるでしょうか。

イェイツ師に関しては、脳に過去のデータがインプットされているに過ぎません。
ただ、機関の有する膨大なデータの齎す情報が、師へ親近感を抱かせているのかもしれません。

Dominaはご本がお好きですか。
Dominaのお言葉からは、深い叡智を感じます。
それは、機関にとって必要なもの。いえ――きっと、人類にとって大切なもの。
わたしは。それを守ります。

Dominaが穏やかに本を読めるよう。
これからも、叡智を湛えたそのお言葉を聴かせて頂けるよう。

――がんばり、ます。

25 :
エリクシアンの姉妹たちとは仲いいの?

26 :
水平線の向こうから突如現れる人型の巨人
全長数百メートルには達しようかという圧倒的巨躯は遠くからでもその威容をまざまざと見せ付ける
『巨神型デミウルゴス』と称されるデミウルゴスの一種だが、現状人類側には対処の手段がない相手である
如何なる攻撃も受け付けることはなく、ヒュドス機関の対デミウルゴス兵器でも再生速度を上回るダメージを与えることができない
ただし、他のデミウルゴスと違ってただ特定の海岸域に出没するだけで一切襲ってこず、攻撃を受けても意に介さず無視する
出現後はしばらく佇んだ後、消えるように海に帰っていく

27 :
パンチ力とか仮面ライダ○並なんだ
かっこいい

28 :
Dominusと同じ学校に通うということで、セーラー服を頂きましたが、他に衣服がありません。
戦闘の際は白いアサルトスーツを着用しますが、一般生活には不向きです。
どうするべきでしょうか?Dominus。

>>25
Sic.Dominus.
姉――と言っても、年齢に差がある訳ではありません。
長幼の差は、単に開発ナンバーが古いか若いか、というだけに過ぎませんから。
でも、姉たちはみなラボでは良くしてくれました。きっと、ナンバリングだけとはいえわたしが末の妹だからでしょう。

姉たちはそれぞれ、特別な環境下での活動を目的とした属性を付与されています。
メルキュール姉さまは水中適応型、サテュルヌ姉さまは極低温順応型――等々。
属性がないのは、わたしとラ・テール姉さまだけ。
わたしたち二人だけが、あらゆる戦局下において一定の性能を発揮できる多用途型(マルチロール・タイプ)なのです。

わたしたち姉妹は同時に機関のラボを出ました。
今頃は、姉たちもそれぞれ人類にとって有益な働きをするであろう人々の護衛を務めているはず。
……たまに、会いたくなります。

>>26
お怪我はありませんか、Dominus?
“あれ”は『巨神(デウス)』型デミウルゴス。ビュトス機関においても、最も正体不明とされている存在。
我々が現在確認している『歩兵(ポーン)』『僧兵(ビショップ)』『城兵(ルーク)』のどれにも当て嵌まらない者。
心配ありません、“あれ”に敵意はありません。――今のところは。
放っておけば、いずれ立ち去ります。

メイザース師は、あの巨神型デミウルゴスを「神なのかもしれない」と仰っておられました。
わたしたち、過ぎたる叡智を手に入れてしまった人類を監視する神なのではないか、と――。
今は、人類がその叡智を間違った方向に使わぬように、様子を窺っているのではないか……と。

デミウルゴスが人類を害するのは、人類を抑止するためではないかという説もあります。
けれど。いくら正当な理由があったとしても、Dominusを殺してよいということにはなりません。
Dominusを害する者は、すべて倒します。殺します。

――たとえ、神でも。

29 :
>>27
Sic.Dominus.
仮面……。Dominusのお好きなテレビ番組ですね。かっこいいと言って頂けて嬉しいです。
カタログスペックは戦闘モードに移行した直後の値であり、状況により変動します。
また、いわゆる必殺技の威力は通常攻撃の破壊力を遥かに上回ります。

Dominusの仰るヒーローの跳び蹴りに相当する必殺技『ソレイユ・エギーユ・リュミエール』の破壊力は17t。
拳の炸裂と同時に零距離で腕部粒子砲を発射する『ソレイユ・グランシャリオ』の破壊力は25.5t。
ビームエッジの出力を最大にして放つ斬撃『ソレイユ・クロワ・デュ・シュッド』はタングステンカーバイドをも寸断します。

この他にも戦局により様々な支援兵装があり、その攻撃方法は多岐に渡ります。
とはいえ、これらの兵装は一歩間違えば人間社会にも甚大な被害を齎しかねない諸刃の剣。
機関でもこれという時にしか使用が許可されませんし、わたしも極力使用したくはありません。

これらの兵装が無用となり、封印される日が訪れればよいのですが……。

30 :
連休だし服買いに行こう
って言いたいところだが金がない

31 :
人類が進歩するためには、戦争するのが最も手っ取り早いと言われている。
人類は度重なる戦争の中で、様々な技術を開発し役立てている訳だ。
ソレイユ、君だってそういう存在だろう?
もしかしたらデミウルゴスもまた、我々人類を進歩させようとしているのかも知れないね。

32 :
好きな物ってなにかある?

33 :
『歩兵(ポーン)』型デミウルゴス、『僧兵(ビショップ)』型デミウルゴス、共に掃討完了。
損害軽微。戦闘モード解除。――『夕食の買い出し』再開します。

>>30
Sic.Dominus.
ご安心ください、Dominus。わたしも紙幣は持ち合わせていませんが、これを――。
クレジットカードです。機関の経費で購入できますから、Dominusにご迷惑はお掛けしません。
これで、お買い物はできますでしょうか?

明日は日本のカレンダーでは振替休日というものでしたね。学校も休校でしょうか。
であれば、Dominusさえ宜しければ、是非お買い物を。
Dominusがわたしに着せたいと思う衣服を購入頂ければ、それに勝る栄誉はありません。

――ただ、希望を言わせて頂きますと、動きやすい服装が望ましいです。
スカートですと、もしデミウルゴスとの戦闘となった際に行動が取りづらいものですから。
それから、防弾、防刃、耐衝撃機能もついているとより理想的ですね。
……そんな服は普通は売っていない?そうなのですか……。

>>31
Sic.Dominus.
確かに、人類の歴史は……その進歩は戦争と共にありました。
最先端の技術は常に軍部により戦闘用途として開発されていますし、闘争が進歩を促すことは事実です。
メイザース師は、デミウルゴスを抑止力を司る神と推察していますが――
メイザース師と同じ三魔術師のひとり、ウェストコット師は真逆の推論を立てています。
それは、Dominusと同じ。デミウルゴスは闘争により、人類の進歩を促している……と。

Dominusの仰る通り、わたしは兵器です。戦うモノ、です。
もし、すべてのリミッターを解除した場合、およそ55分で東京23区を焦土にすることができます。

……でも。兵器として生まれ、戦うモノとしての宿命を与えられていても。
戦いたいわけでは。――戦いが好きなわけではない、のです。

Dominus。教えてください。
Dominusの目に、わたしは――どう映っていますか?
恐ろしい破壊兵器?それとも……?

34 :
>>32
Sic.Dominus.
好きなものは、いろいろあります。
空の蒼さ。高さ。ゆったりと流れてゆく、白い雲の動き。
水の冷たさ。せせらぎの音。海の広さ、そしてその深さ。
草のにおい。土のにおい。頬を撫でる風の心地よさ。

クラスメイトの皆さんが、楽しくおしゃべりしているのを聞くこと。
学び舎の雰囲気。Dominusに食べさせて頂いた、ストロベリーパフェとフレンチトースト。
Dominaがご本を読んでおられる、その静かな佇まい――
他にも、もっと。もっともっと、もっともっともっと。好きなものは、枚挙にいとまがありません。

わたしは、わたしを取り巻くすべてのものが好きです。
それはきっと、わたしがこの世界を構築する輪廻の外で生まれた存在だからなのでしょう。
自然ならざる場所で生まれた、自然でないモノ――だから。
この地球上にごく自然に、当たり前に存在するものが愛しい。
それに触れている間は、わたしも輪廻の輪の中に存在していられる……から。

35 :
そのうち象型とか大砲型とか瓦型とか盲犬型のデミウルゴスが出そう
多分ラスボスは自在天王型

36 :
ソレイユが怪我したときはどうすればいい?

37 :
セクサロイド機能なくてもいいんだよ!
えっち出来るんならそれでいいよ!
だから試させてよ!

38 :
戦闘終了。未確認型デミウルゴスの完全沈黙を確認。戦闘モードを解除します。
……これは……。新しいデミウルゴス……?

>>35
その可能性は充分にある、と回答致します、Dominus。
デミウルゴスにはその戦術的用途別に幾つかのタイプがある、ということが、目下のところ判明しています。
現在機関で確認されているデミウルゴスは、4タイプ。

まず『歩兵(ポーン)』。
デミウルゴスという存在を体現する、その名の通り歩兵であり、通常十体以上の部隊単位で出現します。
歩兵、とは言いますが便宜上のもので、その形状も大きさも千差万別です。
人間そっくりのものから、大まかに人型と認識できる程度のものまで、その外貌は多岐に渡ります。

次に『城兵(ルーク)』。
最低でも4メートル程の体躯を持つ巨大な歩兵の亜種であり、強固な防御力を誇っています。
動作は緩慢ですが、一撃の破壊力は歩兵を遥かに凌ぎ、また耐久力も桁違いです。
通常単体では出現せず、他のタイプと陣形を組んで行動することが多いデミウルゴスです。

『僧兵(ビショップ)』。
光学兵器による遠距離攻撃やジャミング、敵兵装へのハッキング等々を得意とするタイプです。
いわゆる搦め手を担うデミウルゴスで、直接戦闘は不得手ですが、他タイプとの連携は大きな脅威となります。
戦闘の際は最優先で潰しておかなければならない、厄介な存在と言えるでしょう。

『巨神(デウス)』。
これは、上記のデミウルゴスの範囲外に存在するもの。今のところ人類の脅威とはなり得ていません。

そして、わたしが今日交戦した、新しいタイプのデミウルゴス――
デミウルゴスの力は、日に日に増しているように感じられます。まるで、わたしたちの力を測っているかのように。
いつか。マスターの仰ったタイプのデミウルゴスも、出現するかもしれません。

>>37
仰る意味が測りかねます、Dominus。
『試させてよ』とは、いったい何を試すのでしょうか?
先にご説明しました通り、わたしは『錬金人類(エリクシアン)』。性行為によって繁殖はしません。
ですから、実際に繁殖できるかどうかを試す必要はありません。

……ひょっとして。Dominusはわたしを性欲処理に使おうとお考えなのでしょうか?
でしたら、不適格と回答致します。わたしは性欲処理を目的に調整されてはおりません。

性欲処理でしたら、Dominusの所持品をお部屋のベッドの下に多数発見致しましたので、それをお使いください。
Dominusが性欲処理を終了されるまで、わたしは別室にて待機しています。
終了致しましたら、お呼びください。――では、失礼致します。

39 :
>>36
わたしの身体を気遣ってくださるのですか?ありがとうございます、Dominus。
ご心配は無用です、わたしは『錬金人類(エリクシアン)』ですから。
エリクシアンの体内には『魔導血液(エリクシル・ブラッド)』という特殊な血液が流れています。
これは語源となったエリクサーの名の通り強力な治癒効果を有しており、多少の負傷なら瞬く間に癒すことが可能です。
現在のレベルの戦闘であれば、負傷したとしても1〜2時間で完治するでしょう。

ただし、四肢断裂のような重篤な負傷は再生させることはできません。
そういった場合は、機関のラボへ行って修復作業に当たる他にないと思います。
でも。そういう事態にならないよう、細心の注意をもって戦っていますから。
ですから。……どうかご安心を。

あの。
Dominus……ひとつ、わたしのわがままを聞いて頂けませんでしょうか?
もしも、……もしも。
もしも、次も首尾よくデミウルゴスを撃退できたなら――

……その。
……。
…………。

……頭を……撫でて頂けませんか……?

40 :
エリクシアンが別の世界から持ってきた物質とかで作られてないなら
人間や犬やパフェの苺やらと同じように、この地球や世界の物質から作られてることになる
自然な生まれ方ではないかもしれないけど、自然からは生まれてる。故郷は同じというか、同じ地球の子というか
上手く言えないけど、あまり疎外感?みたいの感じなくてもいいんじゃないかな

41 :
たまには髪型変えてみない?ポニーテールとか

42 :
デミウルゴス?
アラガミのことですかな?

43 :
男ワイ、人類の発展に寄与とお墨付きをもらう
なおやきうしかやっとらんもよう
エリネキ!やきうやろうや!

44 :
昨日撃破した未確認型デミウルゴスは、ビュトス機関により『騎兵(ナイト)』型と名付けられました。
歩兵を上回る機動力と、城兵に匹敵する装甲。
明らかに、敵はこちらを解析した上でそれを凌駕しようとしている――。

>>40
同じ、地球の、子。
……そんなこと、今まで思ってもみませんでした。
機関の最高指導者たる三魔術師の方々の中でも、そんなことを仰る方はおりませんでしたから。
メイザース師は、わたしたち姉妹を実の子供のように慈しんでくれましたが……。
ウェストコット師はわたしたちエリクシアンを『人形たち』と呼んでいましたし――
ウッドマン師は、そもそもわたしたちに不干渉の態度を取っておられましたので。

でも。
そんな考え方もあるのですね。何か……うまく言葉では説明できないですが……。
……とても、心地いいです。

ああ、わたしも。この自然の一部。Dominusと同じ、地球の子。
わたしは地球が大好きです。Dominusと共に在ることができる、この星が。

――だからこそ。

この命に代えても、守って……みせます。

>>41
髪型、ですか?はい、Dominusが望まれるのでしたら。
ポニーテールでも、ツインテールでも。三つ編みでも……すべてDominusのお望みのままに。
どういった髪型がお好みでしょうか?

――ただ、髪を切れ、というご命令だけは、どうかご容赦ください。
この髪は、わたしにとって大切なもの。メイザース師が、初めて褒めてくださったもの。
わたしと『ビュトス機関』とを繋ぐ、絆のひとつ……ですから。

わがままを言ってしまって、申し訳ありません。
髪型だけであれば、いかような形にも致しますから。どうか、お気軽にお命じください。
たまには、髪型を変えて。イメージを一新してみるというのも、とても素敵ですから。

45 :
>>42
アラガミ。こちらのデータベースには、そういった名称のデミウルゴスは存在しません。
でも、Dominusは何かご存知なのですね。詳しくお聞きしたいです。
Dominusは……とても、博識でいらっしゃいますから。

デミウルゴスは人類の脅威。人類を敵視し、殺戮する存在。
『捕食』でなく、『淘汰』でなく、あきらかな『敵意』から人類を抹殺せんと目論む者。
わたしは、その存在を絶対に許容しません。

え?『アラガミ』とは、ゲームの中の話……なのですか?
現実には、そんな怪物は存在しない、と――?
よかった。では、デミウルゴス以外にDominusを害そうとする輩はいないのですね。
でも、もし、アラガミが実在したとして、それがDominusに危害を加えようとするのなら。

――それも、倒すだけです。

>>43
やき……う?
野球、のことですね?Sic.Dominus.
未来予測演算装置『エル・シャダイ』が、貴方を人類の発展に寄与する人物と認定したのは間違いありません。
ただ、何をもって貴方が人類に貢献するのか。後世に何を遺すのかまでは、知ることはできないのです。

Dominusは野球がお好きなのですね。でしたら、きっと。野球で歴史に名を刻まれる方なのでしょう。
人類の発展とは、新しいテクノロジーの発明や謎の解明にのみ限定されるものではありません。
人は、パンのみで生きるわけではないのですから。

わたしと、野球を……ですか?あいにく、野球の経験はありませんが……。
Dominusへ向けて、このボールを投げるだけでよいのですか?では――えいっ!

ただ今の球速、603km/h。
……もう少し本気を出した方がよろしかったでしょうか……?

46 :
よーしよしよしソレイユえらいぞ頑張ったぞー(なでなで)

47 :
●セシリア速い!殺人ソニック投球にワイ仰天
●機セシリア豪弾15発!ワイ監督デミ撃ち指令
●ド迫力の機関新助っ人セシリア、ワイ殺崩し任せろ
●乱闘任せろ!セシリア、ワイの魔よけや!!
●ワイも合格点!セシリア、肉じゃがイケるやん
●ワイ安心「6時・朝食」セシリア“一発合格"
●死角なし!洗濯・セシリア、一週間分でも25分
●小柄セシリアが激走!ド迫力ランでワイ生還
●機関・メイザース、セシリアの活躍に太鼓判!
●ドドドドドッ機関・セシリア、走る凶器や
●ワイ唸った!"機械"セシリアの排熱暖かい
●ワイ不敵!セクハラ連発、セシリアの弱点探して
●セシリア目覚めた!?セクハラ対策で4打数4安打1発6打点

48 :
ワイ、ソレイユの名前を間違えた事を苦に投身自殺。
原監督は「残念だが当然。男らしい最期といえる。」とコメント。

49 :
ステルス重機兵『捕獲!』
(突如、土中から姿を現した機械兵がソレイユを拘束する)

某国軍人「やあ、エクシリアン・ソレイユ
このような乱暴な真似をしてすまないが、我々と来てもらおう
何、君の身体に隠された機関の技術の粋がどうしても必要でね
デミウルゴスへの対処だけではなく、我が国が世界をリードするためだ」

ステルス重機兵「ターゲットの抵抗を確認」

某国軍人「見たまえ、我が軍の誇る最新鋭の重機兵だ
機関からの技術供与で従来型を凌ぐ性能を実現し、対デミウルゴス戦闘もこなせる
しかし、しかしだ…それでも君たちほどの効果は期待できない…力不足なのだよ
だからこそ、ヤツらが出し惜しみしている最新技術を全て獲得したいのだ
…そのためには、君を解体してリバースエンジニアリングをする必要がある」

50 :
誕生日は9月くらい?

51 :
花冷えの時期、と聞いております。
Dominus、お風邪など召さぬよう。

>>46
はい、頑張りました!
……ふふ、嬉しい。Dominusに褒めて貰えた……。

かつて機関のラボにいたとき、わたしが基準値を上回る結果を出すと、メイザース師が褒めてくれたんです。
『偉いぞ、ソレイユ。おまえはできる子だ』と――。
それが嬉しくて。師の喜ぶ顔が見たくて。
たくさんの実験を頑張った覚えがあります。

Dominusが褒めてくださるのなら。わたしは、どんなことだってできる。
どんな過酷な戦いだって――。
だから。また、Dominusのお気が向かれたら。
……褒めてくれると、嬉しい……です。

>>47-48
名前を間違えたくらいで、世を儚まれては困ります。
貴方はこの世界にとって必要な方。いずれ、歴史に名を遺す方なのですから。

わたしの名前はソレイユ。フランス語で“太陽”を意味する言葉です。
エリクサーより生ずる者。エリクシアンのソレイユ――
そう、覚えておいて頂けると幸いです。

ところで、Dominusが書いて下さったのは、Dominusのお好きなアニメのサブタイトルによく似ていますね。
Dominusとわたしの特訓の物語のような。
Dominusが大成される礎となれるのなら、わたしは喜んでご協力させて頂きます。
いつか、貴方が全世界の人々に喝采される、そのときを夢見て。

52 :
>>49
――これで。こんなにも脆弱な力で、わたしを――『錬金人類』を拘束したおつもりですか?

貴方がたは、大きな勘違いをしているようですね。
機関が貴方がたに技術供与しているのは、この世界の覇権を握らせるためではありません。
あくまで、人類のより健やかな発展のため。平和のため。希望の未来のため……。
その大前提を忘却し、機関の技術を悪用してこんなものを作るなんて。
度し難い、と言わざるを得ません。

機関が貴方がたに供与した技術は、機関が『もう提供してもよい』と判断した技術。
つまり。『機関にとって不要となった技術』――。
貴方がたが契約を違反し、このような行動に出ることも、機関は既に想定済み……ということです。

わたしは対デミウルゴス用駆逐兵器。人類を攻撃するようには調整されておりません。
ですから。今は貴方がたに危害を加えぬように、傷つけぬように――雛鳥を包み込むように接しているのです。
そんなわたしの努力を。……無駄にさせないでください。

>>50
Sic.Dominus.
わたしたち姉妹は、9月に製造されました。
それから約半年ラボで調整を施され、あらゆる試験と実験に合格して、Dominusの許へと派遣されたのです。
ですから――普通の人々と同じように誕生月があるのなら、9月ということになりますね。

クラスメイトの方々から聞きました。人は、誕生日にはパーティーを開くそうですね。
近しい者たちがプレゼントを持ち寄り、その人の誕生したことをお祝いして。
次の一年を幸福に過ごせるように祈る、と――。

誰かがこの世界に誕生したことを祝う。
自分以外の人間の幸福を祈る。

そんなことをするのは、この地球上で人類だけです。
それは、どんなに素晴らしいことなのでしょう?
人間でないわたしには、それが……ただただ羨ましい、です。

53 :
もしかしたらワイはソレイユを球界に紹介することで球史に名を残すのかもしれへん
別にロボットとちゃうねんからNPBもごちゃごちゃ言わへんやろ
600キロやぞ音速超えとるんやぞ
あかん優勝してまう

54 :
誰がキャッチするんだよ?

55 :
製造月が9月だというだけで、具体的に何日に誕生したのかまではわからないのです。
メイザース師ならご存知かもしれませんが……。

>>53-54
お言葉ですがDominus、わたしにはDominusの守護とデミウルゴスの撃破という任務があります。
それを疎かには出来ません。ですから、野球はできかねます。
どうか、お許しください。

それに、>>54さんの仰る通り、野球はひとりでやるものではありません。
わたしの投擲能力は手加減しても600km/h、リミッターを解除すれば第一宇宙速度に達します。
確かに打たれはしないでしょうが、同時にこの球を捕る相手も存在しません。
もし、それが可能な者が存在するとしたらわたしの姉たちですが、全員任務がありますので……。
全員が集合することは不可能と回答致します。

ただ、Dominusご自身がプロを目指す等でわたしの力を必要とされるのでしたら、喜んでご協力致します。
ボールを投げればよいですか?それとも、バットでボールを打ちましょうか?
何なりとお申し付けください。

56 :
姉妹みんな天体が由来になってるのかな
いい名前だね

57 :
チェスの世界大会で優勝したけど、もう飽きちゃった。
次は何を頑張ろうかな?

58 :
お姉さん達はどんな任務に就いてるんだろう
というかどんな人なんだろう

59 :
内蔵兵装は電力によって稼働しますが、今のところ充電の必要はありません。
体内の蓄電池には、約20年分の電気が蓄えられています。
……そもそも、一般家庭のコンセントとは規格が合いません……。

>>56
Sic.Dominus.
ありがとうございます、そう言って頂けると、とても嬉しいです。きっと姉たちも喜ぶでしょう。

Dominusの推察の通り、わたしたち7人の『錬金人類(エリクシアン)』は天体の名を冠しています。
PEX-001『メルキュール』、PEX-002『ヴェヌス』、PEX-003『ラ・テール』、PEX-004『マルス』。
PEX-005『ジュピテル』、PEX-006『サテュルヌ』――そしてPEX-007『ソレイユ』。
この太陽系にある、星の名前を。

ラボを出、Dominusのガードとなる任務を与えられた際、メイザース師にこう言われました。
『おまえはDominusの太陽になるのだ』と――。

まだまだ、今のわたしは師から頂いたこの名前に見合う存在ではありません。
けれど。いつか。
名実ともに、Dominus……貴方を眩しく照らす太陽となれたら、と思っています。

>>57
さすがです、Dominus!優勝おめでとうございます……!
わたしは、Dominusが必ず優勝されるものと信じていました。
今日はお祝いですね。何でも、Dominusのお好きなものを作りますよ。からあげがいいですか?それともハンバーグ?

……世界一になってしまったら、もう興味を失ってしまったのですか?
確かに、頂上に登りつめてしまった以上、それ以上の上はありません。
けれど――その代わり、貴方は世界中のプレイヤーたちに狙われる身となったのです。
王座を防衛し、頂点に座し続けるというのは、あるいは上を目指すよりももっと過酷なこと――。
今、飽きてしまったとその王座から自ら下りることは、他のプレイヤーに対して失礼と思います。
今後は、いかにその王座を死守するか。それを頑張られてはいかがでしょうか?

差し出がましいことを言いました、申し訳ありません……Dominus。
でも。

わたしは、Dominusがチェスを指しているのを見るのが好きなのです。
どうか。もう少しだけ、そのお姿をわたしに見せてください。

60 :
>>58
Sic.Dominus.
姉たちもまた、わたしと同じように未来予測演算装置『エル・シャダイ』の認定した人物の護衛をしています。
デミウルゴスが狙うのは、Dominusばかりではありませんから。
ここ日本の他にも、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、インドにそれぞれ姉が派遣されているはずです。

ここで説明すると長くなってしまいますが……わたしたちはそれぞれ、特徴的なパーソナリティを有しています。
最もナンバリングの古い、長女に当たるメルキュール姉さまは、水中適応型らしくのんびりとした方。
一方で高熱源処理型エリクシアンであるマルス姉さまは、竹を割ったようで激しやすい性格……と。
わたしたち一人一人に、メイザース師が顕著な個性を与えてくださったのです。

三魔術師のひとりウェストコット師は、人形に個性など必要ないと仰っておられましたが――。
メイザース師は、エリクシアンは新しい人類。人形ではない、と。

多くの姉は現在日本以外の国におりますが、ラ・テール姉さまだけはわたしと同じく、ここ日本にいます。
いつか、会うこともあるかもしれませんね。

わたしはメイザース師からどんな個性を与えられたのか、ですか……?
……ええと。その。

あ、甘えん坊で……寂しがり……ということ……です。

61 :
甘えん坊だったんだ
しっかり者だとばかり

62 :
女のおっぱいは男に愛撫されるために存在するのです…(ソレイユのおっぱいを揉みしだきながら)

63 :
『日曜日』は学校へ行かなくともよろしいのですか?
それは嬉しいです。学校には、非戦闘員のクラスメイトさんたちがたくさんいますから。
万一、学校にデミウルゴスが出現でもしたら。わたしは、全員を守りきれるかわからない……。
学校へ行かなければ。Dominusを守ることに専念できますから。

>>61
わ、わたしとしては、甘えん坊なつもりはないのですが。
メイザース師がそう仰っていたものですから……。
でも。寂しがり、というのは、少しだけ合っているかもしれません。
ひとりは、寂しいです。わたしは……いつも、いつでも。Dominusのおそばにいたいです。

基本的な人格はメイザース師から与えられましたが、それが全てではありません。
むしろ、それより先の性格や趣味嗜好のすべては、これからの生活により形成されるのだと――。
師は、わたしにそう話して下さいました。

Dominusから見て、わたしはしっかり者のようでしたか?
うふふ、……嬉しい。気をつけていた甲斐がありました。
これからも、しっかり者のソレイユと思って頂けるように。精一杯がんばりますね!

>>62
……。
……。

仰る意味が分かりません。愛撫されるため?それは、男女間の愛情表現という意味ですか?
でしたら、不適格と言わざるを得ません。わたしはあくまでDominusの敵を葬る剣。
Dominusを守る盾、ですから。加えて言えば、Dominusの仰る人類の女性とも違います。

でも。
それがご希望でしたら、ご命令に従います。

……。
……。

もう、解放して頂いてもよろしいでしょうか?
そろそろ、夕飯を作らなければならない時間ですから。

64 :
ワイは球史に残る選手なんかなれへんぞ
プロで一軍に行くような奴はちゃうで
ただな、野球は選手だけでやるもんとちゃうからな
コーチがおって、トレーナーがおって、記者がおって、少年野球があっての野球やから
どっから名前を残すか分からへんで

65 :
  S o l e i l      Demiurge
"黄金の太陽"が"似非造物主"を焼き尽くす。

なるほど、彼らが考えそうな筋書だ。

だがそこには大いなる皮肉がある。
              Homunculus       fake
他ならぬ君たちこそが"人の似姿"――全くの"似非"であるということだ。

創造は神の業。しかして我々人類は、決して神にあらず。

我々がエリクシアンを造りだした時点において、全く我々こそがデミウルゴスとなった。

神の被造物たる我々によって生まれた、更なる被造物。これが完全であろうはずもない。

我々は滅びに際して禁忌を犯した。いやそれさえも、織り込み済みだったのであろう。

かの神の軍勢を率いる者たちにとっては。

――民明書房刊 『ビュトスの嘘 〜終末論と魔術結社は如何にして現代に蘇ったか〜』 P.774より抜粋

66 :
甘えたい時はいつでも甘えるといい
ホットケーキやココアくらいは用意しよう
あと欲しかったら新しい服とか

67 :
6体のエリクシアンの反応消失。
世界各地のエリクシアンの生命反応が、昨夜未明をもって完全に消滅しました。
現在、機関が全力をもって消息の確認を行っていますが、有益な情報はありません。
……いったい何が……。

>>64
……そう、ですか。
けれども、未来予測演算装置『エル・シャダイ』が貴方を後世に名を残す人物と認定したのは間違いありません。
『エル・シャダイ』はカバラの秘術、占星術、その他あらゆる神秘学と超最先端科学を融合させた装置。
その決定に、誤りがあるとは思えません。

Dominusの仰る通り、Dominusは選手以外の何らかの働きによって人類史に名を刻まれるのでしょう。
――いえ。あるいは、野球とはまったく関係のない方向で偉業を成し遂げるのかも。
でも。いずれにせよ、わたしはDominusをお護りします。
それが、わたしの何より優先すべき任務であり……存在意義、ですから。

わたしはソレイユ。貴方の太陽。
あなたの輝かしい未来を、照らす者――です。

>>65
Dominus?何を読んでいらっしゃるのですか?
……ビュトスの嘘……?こんな本は、わたしのデータベースにはありません。
この本をどちらで……?今日、おうちに送られてきたのですか?差出人も不明のまま……?

『"黄金の太陽"が"似非造物主"を焼き尽くす』――
『我々がエリクシアンを造りだした時点において、全く我々こそがデミウルゴスとなった』――

――――――ッ……。
……ぅ、う……。頭が……痛い、です……。

わ、わたしは……エリクシアン。偉大な魔術師、J・W・メイザースによって造られたモノ……。
人類の平和と、輝かしい未来のために……。三魔術師が、競合を……。互いに相争って……生き残った者を――
……Dominusと。新たな時代の……アダムと、イヴ……と……なっ……

ぅ、ぅッ……うあああッ、あああ……!

68 :
>>66
……!
はぁッ……はぁ、は――……ッ。も、申し訳ありません、Dominus。取り乱してしまって……。
もう大丈夫です。何か、意識にノイズが入って。でも、もう何ともありませんから。

Dominusのお気持ちは嬉しいですが、甘えるわけにはいきません。
一度甘えてしまったら、今張っている緊張の糸が緩んで。戦えなくなってしまうかもしれませんので。
わたしは剣。わたしは盾。貴方の、Dominusの命を――未来を守護する者。
その本分を忘れることはできません。

春めいた、パステルカラーのトップスに、プリーツ付きのミニスカート。ニーソックス……素敵です。
ハチミツをたっぷりかけたホットケーキも。甘くて温かなココアも。大好きです。

でも。

もし許されるのなら、貴方のお胸に少しだけ、凭れ掛からせてください。
ほんの僅かでいい。それだけで……わたしは。すべて、満たされるのです。

69 :
お姉さんたちとの貴重なキャッキャウフフ空間が失われたというのか!?
許せねえデミウルゴス!

70 :
ソレネキは趣味あるんか?
ワイの趣味はな、プロ野球と高校野球とメジャーリーグと少年野球や
ネキいっつもワイの後ろで立っとるか前で立っとるか横に立っとるかやんけ
なんか趣味の一つでも見つけるとええで

71 :
おお、デミウルゴスよ!
弱者を蹂躙し、暴威なる権力を以て搾取せしめる圧政者よ!
貴様たちの所業、我が反逆と愛によって打ち砕かん!

72 :
デミウルゴス反応を感知。敵影多数高速接近中。約4分後に接敵します。
Dominus、お怪我をなさらないよう、物陰に隠れていてください。
――往きます。

>>69
Dominus、キャッキャウフフ……とはなんですか?
わたしが姉たちと仲良く過ごす、という意味でしょうか。
姉たちの消息が途絶えたのは事実ですが、姉たちが現状レベルのデミウルゴスに遅れを取るとは思えません。
わたしのまだ遭遇していない、未知のデミウルゴスと接触したか――もしくは、もっと別の可能性か。
それは、わたしにはわかりませんが……。

でも。例え姉たちが姿を消そうと、わたしのすることは変わりません。
デミウルゴスを、貴方を害する者のすべてを排除し、貴方を守る。
それが、わたしの。ソレイユの唯一絶対の任務、ですから。

心配はありません。姉たちだって、死んだと決まったわけではありません。きっとどこかで生きているはず。
姉たちは皆、わたしよりもずっとずっと戦い慣れしていて。経験豊富で。
わたしが尊敬するに足る、強い人たちばかりなのですから。

>>70
趣味……ですか。いえ、ありません。
わたしはあくまで護衛。任務以外に意識を奪われるようなものは、必要ありません。
わたしがDominusの傍らに立つのは、護衛として当然の行為。
仮に邪魔と思われようと、わたしはDominusのそばからは離れません。

Dominusは本当に野球がお好きなのですね。
Dominusの普段の言動や行動からは、心から野球を愛していらっしゃるという気持ちが伝わってきます。
そんな純粋な心が、きっと未来に何事かを成し遂げる原動力となるのでしょう。

もし。
わたしも何か、趣味を見つけられたとしたら。わたしもDominusのような力を得られるのでしょうか?
ひたむきに一つのことを追いかける情熱を。物事に夢中になれる心を。
――人間で、なくても。

73 :
>>71
敵性反応多数確認。デミウルゴス――歩兵型24体、僧兵型6体、騎士型3体視認。戦闘モードに移行します。
……!?そこの方!危ない……離れてください!デミウルゴスは、通常の人類には――…

!?
デミウルゴスに……ダメージを与えている?そんな……。生身の人類が……。
――いいえ。違う、あの男性から魔力反応、このカテゴリは……『Servant』……?
ならば。あの男性がデミウルゴスを引きつけてくれている間に!

リミッター解除、出力120パーセント!ソレイユ・アマ・デトワ――――――ル!!!

……
…………

デミウルゴスの生命反応、全消失を確認。戦闘モードを解除します。
いつの間にか、あの男性も消えている……。彼はいったい何だったのでしょうか?
彼が『Servant』であったなら、近くには彼のDominusがいたはずですが……。ご覧になりませんでしたか?
彼の正体や目的は不明ですが――恐らくは、敵ではないのでしょう。
今は。そう信じたいです。

74 :
花見にでも行こうか

75 :
ネキも追っかけるんやったらまず白球追いかけてみようや
ネキが打ったり投げたりは危ないけどな
ボール捕るなら大丈夫やろ
ワイがフライ打つからおっかけて捕るんやで
レフト行くでー カッキー

76 :
つまりこの戦いはビュトス機関が仕組んだもの…?

77 :
戦闘用アサルトスーツは戦闘モード移行時に自動的に転送され、わたしの身体に装着されます。
白いレオタードのような、ボディラインにフィットした極薄の素材ですが、強靭さにおいて比肩する物はありません。
防弾、防刃、耐衝撃。あらゆる攻撃の約70パーセントを無効化することができる優れものです――が。
少々、露出が多いです。

>>74
ちょうど、昨日が暖かかったことで、一気に桜の開花が進んだ気がします。
この近所に、お花見をするのに適当な場所はあるのでしょうか?
お花見。素敵ですね。Dominusと一緒に――。
わたし、お弁当を作ります。Dominusの好きなもの、沢山用意しますね。

春を告げる、満開の桜。……この世界には、こんなにも素晴らしい景色があるのですね。
ううん。これだけじゃない……世の中には、他にもたくさん美しいものや、素敵なものが溢れている。
わたしは、それを余りに知らなすぎる……。
戦うために生まれたわたしに、物事を美しいと思う感情など不要と。
そう、ウェストコット師は仰るかもしれませんが――。ふふ。

もし、Dominusさえ宜しければ。一度きりじゃなく、何度もお花見したいです。
来年も。再来年も。わたしの命の続くまで――
叶わない。夢でしょうか。

>>75
Sic.Dominus.
ソレイユ、捕球します。――はぁぁッ!
……ボールをキャッチしました。これをDominusへお返しすればよろしいのでしょうか。
わたしの投球によるボールの返還は、球速、威力共にDominusを負傷させる恐れがあります。
よって、Dominusの打球をわたしが捕球し、それを手渡しでDominusへと返還する、という方式が最善かと思います。

これが野球というものですね。
なるほど、Dominusがテレビで同じ光景を見ていらっしゃったのを思い出しました。
……はい?どちらかというと、これは投げたボールを犬に取ってこさせるのに似ている……?

78 :
>>76
……う、く……。申し訳ありません、Dominus。
そのご質問には、お答えできません。わたしの脳に、プロテクトがかかっているようで……。
わたしにはそのご質問にお答えする権限はおろか、そういった問題を考えることさえ許されていないのです。

けれど。ビュトス機関が人類の発展と健やかな未来のための機関というのは、議論の余地がありません。
それに。機関内でも、反応消失した他のエリクシアンたちの行方は依然掴めていないようですし。

機関の影響力は現在、世界中に及んでいます。
例えば>>49のように、技術供与を目的に機関と連携している国家も相当数存在しています。
今や、機関によって世界のパワーバランスは保たれている、と言っても過言ではないでしょう。
文字通り、機関が世界を裏で支えているのです。

その、世界の秩序を保ち人類を未来へ導くビュトス機関が、戦いを仕組むなんて……。
わたしには、到底信じられません。

79 :
いつか任務が終わったらソレイユは機関に帰っちゃうの?だったら寂しいな

80 :
ネキな、フライは落ちてきたのを捕るんやで
ジャンプして追っかけるのとちゃうんやで
ネキは手加減ちゅうものを知らんからなぁ
デミウルゴスにボール投げればこれ大ダメージとちゃうか
ランディジョンソン式の左サイドスローから1000km/hのビーンボールやぞ
これはたまらんやろ

81 :
……猫。
猫猫、猫ちゃん、おいで……ふふ、おいでおいで……。

あ。

……逃げられてしまいました……。
猫は。好きです。

>>79
ありがとうございます、Dominus。そう言って頂けて、とても嬉しいです。
そうですね……。いつかは、わたしも。任務が終了した暁には、ビュトス機関へ帰還しなければならないでしょう。
そして、次の任務に備えることになります。

でも。それはDominus、貴方が人類史に名を残す偉業を成し遂げた後のこと。
少なくともそれは、一朝一夕で達成できることではありません。
世界には、一生かけてひとつの物事に挑んでおられる方というのも、大勢います。
きっと、Dominusもその中のひとりとなられるのでしょう。
ですから――今は。いつか訪れるであろう別れの時を考える必要はありません。

あの。Dominus。
わたしは、Dominusのお邪魔にはなっていませんか?
もし、お別れする時が訪れたなら。寂しいと思う程度には……お心を許して下さっている、と解釈しても宜しいのですか?
でしたら。……本当に嬉しいです。

>>80
ジャンプして捕球してはいけなかったのですか、失礼しました。
Dominusと一緒におこなう行為において、手加減をするなどという非礼、わたしにはできません。
いつでも、わたしは全力です。
尤も、わたしの行動によってDominusが負傷される恐れがある場合は、パワーをセーブしています。
わたしがDominusを傷つけるというようなことは、万が一にもありません。
どうか――ご心配なく。

Dominusからのご提案を元に、新しい必殺技を考えてみました。
わたしの最大筋力によってボールを投擲し、対象を狙撃する技――ソレイユ・ブラン・メテオール!
フランス語で『白い隕石』を意味します。

これならば、デミウルゴスの堅牢な装甲をも薄紙のように貫通することが可能でしょう。
ただし、ひとつ問題が……。
通常のボールでは投擲時の空気摩擦によって発火し、対象へ着弾する前に燃え尽きてしまいます。
至急、機関に燃え尽きないボールの開発を依頼する必要がある、とご報告致します。

82 :
わりと何でもできそうだけど、苦手なことってある?

83 :
夜桜が綺麗です、Dominus。
少し、お散歩へ行きませんか?

>>82
苦手なこと……。わたしの脳には、一般社会での生活を円滑にするデータがインストールされています。
掃除、洗濯、炊飯、それ以外にも自動車や船舶、航空機の運転等も可能です。……無免許になりますが。
Dominusを守護する者として、どんなことでも一通りはこなせなければいけませんから。

でも。
ひとつだけ苦手なことを挙げるとしたら、戦い……でしょうか。
戦うために生まれた、兵器であるわたしが。戦いが苦手だなどと言うのは不自然と思われるかもしれませんが。
――それでも。戦いは、苦手です。

戦うたびに。
敵を倒すたびに。
わたしの身体と心が剥離してゆくような……。
わたしの心までもが、冷たい戦闘機械と化してゆくような……。
そんな感覚が、わたしの身体の深いところへ。澱のようにじんわりと沁み込んでゆくのです。
わたしは……それが、とても怖くて。

84 :
ネキもデミウルゴス全滅したらダウングレードしてやきうできるとええな
まあ別にやきうじゃなくてもええけど……
今度ワイがコーチしとる少年野球の試合あんねん
ワイ審判やらないかんし一緒に見に行こうや
ネキが頑張ってくれとるからあのクソガキ共もやきうやっとれるんやなぁ
ありがたいことや

85 :
俺は涙を流さない ダダッダー
ロボットだから マシンだから ダダッダー

86 :
今日はごろごろしていよう

87 :
商店街の方々はとても優しく、お買い物に行くたび『おまけ』をして下さいます。
……とても。ありがたいことです。

>>84
はい!喜んで!
Dominusがコーチを務めていらっしゃる野球チーム……。
きっと、皆さんDominusと同じで野球が大好きな方々ばかりなのでしょうね。
是非、ご一緒させてください。Dominusが審判をされる、そのお姿もぜひ拝見させて頂きたいです。

晴れるといいですね、いいえ、きっと晴れます。晴れにしてみせます!
なんとなれば機関に要請して、試合当日のグラウンド上空にある雨雲を衛星からの攻撃で排除しますから。
Dominusはどうか安心して、子供たちに試合までの調整を指示してあげてください。


大変です、わたし、当日はどんな服装をしていけばいいですか?
チームの皆さんに、おにぎりと飲み物の差し入れもしたいです。ああ、それに万一の場合の医療道具も!
たくさん用意するものがありすぎます、Dominus!

>>85
素敵なお歌ですね、Dominus。
なんのお歌ですか?Dominusのお好きなテレビ番組のお歌でしょうか。

――わたしは。歌を歌ったことがありません。それは、わたしのメモリーにはインストールされていません。
以前、一度テレビの真似をしてみたことがあったのですが……。
わたしのそれは、単なる模倣。テレビの中の歌手の身ぶりや手ぶり、イントネーションを真似ただけにすぎません。
それでは、CDプレーヤーなどとまるで変わりません。

歌は。人類共通の文化、人に想いを伝える手段の最たるものと聞きました。
たとえ言語はわからなくても、歌詞をメロディに乗せて歌えば、それは世界の隅々まで届くのだと――。
わたしも。いつか、歌を歌えるようになりたいです。

88 :
>>86
Sic.Dominus.
今日は日曜日ですし、天気も悪いです。その提案は非常に合理的と回答致します。
では、今日は休養日ということで、Dominusはお部屋で寛いでください。
わたしは掃除や洗濯等がありますので、失礼致しますが――別の部屋にはおりますので、何かあればお申し付け下さい。

Dominus。汚れものや洗ってほしいものはありませんか?纏めて洗濯してしまいます。
申し訳ありません、Dominus。今横になっておられる場所は、これより掃除機が通過致します。至急退去をお願い致します。
Dominus、テレビの視聴時間が本日通算3時間を超過しております。目をお休めになられて下さい。テレビの電源をOFFに致します。

……落ち着かない?それは困りました。

89 :
ここはどこだ?
ああ ちょうどよかった そこの少女よ ここはどこだろうか?

90 :
※プロジェクト・アルマゲドン
ビュトス機関において行われた、初期の対デミウルゴス兵器開発計画
その真骨頂は殲滅戦を重視した大火力・重装甲の大型機動兵器『ARMGシリーズ』
プロトタイプが1機完成したが、その常軌を逸した戦闘力は周囲の被害を考慮出来るものではなく、
小国程度は単機で壊滅せしめ、量産されれば数日で世界を焼き尽くすことが可能と言われる、非常に危険な代物となっていた
いくらデミウルゴスへの対処のためとはいえ、保有する技術の粋を危険な方向性で集めすぎた結果とも言える象徴
その危険性のため、プロトタイプ1機の完成を以て計画は完全に凍結・廃棄される
以降、機関内部における技術の管理・使用がこれまで以上に徹底される切っ掛けとなった

※ARMG-00『アルマゲドン』
プロジェクト・アルマゲドンに沿って開発されたARMGシリーズのプロトタイプにして、現存する唯一の機体
全長5mクラスの人型であり、白一色のカラーリングが特徴とされる
サイズに見合わない想像を絶する火力を秘めており、プロジェクト・アルマゲドンのコンセプトが眉唾ではないことを証明している
存在そのものが危険なため、普段は厳重に封印されているが、同時に機関の有する切り札の一つともなっている

91 :
在日米兵士「最近この町で何やらおかしなことがあるらしい、どうも周辺の住民が話すには少女が何かと戦っているのを見たと言っていたが」
在日米兵士2「おい、あの金髪の少女何だ?こっち見てないか?」
(夜間に警備してる)

92 :
そそそそんな大袈裟な事とちゃうで
ガキどもは弁当持ってくるし救急キットも常備しとるし
雨やったら雨で試合すんのもええ経験やしな
マッマ達に嫌な顔されるけど……
ネキはほんとにジャージで座っとればええから
あとは声張ってガキども応援してやってくれや
やっぱり応援してもらうと力出るでな
ワイの分まで応援したってな

93 :
手を繋いでもいい?

94 :
お風呂が好きです。

>>89
ここは日本国、東京都二十三区内某所。
ただふたつの事柄を除いては、ごく普通のどこにでもある街並み。普通の場所です。

ひとつは、『デミウルゴス』という正体不明の敵性生命体が出現するということ。
ひとつは、『デミウルゴス』を撃滅する『錬金人類(エリクシアン)』がいるということ。
ただ、それだけです。

では――次はこちらから質問をさせて頂けますでしょうか?
貴方は誰ですか?ただの、通りすがりの一般人ですか?
それでしたら、速やかに退避を。ここは、いつデミウルゴスが現れてもおかしくありませんから。

もし、何らかの目的があってこの場を訪れているのなら。
その目的を明らかにしてください。わたしには、この場を守る義務がある。そう任務を受けているのです。
Dominusのいらっしゃる、この町を守る――という任務を。

>>90
ARMG-00『アルマゲドン』……。
かつて、ビュトス機関がその技術と叡智の粋を結集して建造した、文字通りのフラッグシップ。
黙示録の名の通り、この機体が一度目覚めれば、世界を滅びの炎に包むことも容易い。

で、あるがゆえ。

この機体は眠らせておかなければならない。永久に。永遠に。
『そこに在る』というだけで、もうこの機体は役目を果たしている。抑止力として、厳然と存在することに価値がある。
この機体が機関の手にある限り、地球上のいかなる国家も、勢力も、機関に手は出せない。
ヒエラルキーの頂点。その証が『アルマゲドン』――。

アルマゲドンの兵装の一部は、わたしの兵装にもフィードバックされている……。
黙示録の力、破滅の力を、大切な人を守るために使うなんて……皮肉なもの。
けれど。――わたしは。

95 :
>>91
貴方たちは誰ですか?見たところ、米軍のような姿をしていますが。
貴方たちは『本物』ですか?

もし本物の米軍ならば、ここは駐留軍用地には指定されていません。
それどころか、東京二十三区内は基本的にビュトス機関の直轄地。立ち入りさえ認められていません。
その通告は、貴方たち末端の兵士にもきちんと伝わっているはずですが?

納得がいかない――という顔をしていますね。わたしのような小娘が、なぜそんなことを知っているのかと。
なんの権限があって、自分たちにそのようなことを言うのか…と。

わたしの名はソレイユ。『錬金人類(エリクシアン)』のナンバー7。
わたしの行動はいかなる国家の制約を受けず、いかなる束縛をも受け付けません。
末端の兵士でも、ビュトス機関の名とエリクシアンくらいはご存じでしょう。
さあ、撤退してください。『本物の』米軍なら、どんな行動を取るのが適切か分かるはずです。

>>92
――Dominusの率いるチームと、お相手のチームの実力はほぼ互角。
ゲームは9回の裏、Dominusのチームの攻撃。ここで得点があれば、Dominusのチームの勝ち……。
ああ。ドキドキします……!こんな時に、座って観戦していることしかできないなんて!

……!?
敵性反応を確認、『歩兵』『城兵』『騎兵』型デミウルゴス、多数接近中……!
いけない!なんてこと、よりによってこの場所に……!

Dominus!
デミウルゴスが現れます、皆さんを至急退避させてください!
安全なところへ……早く!

――人々の安寧と幸福を収奪せんと目論む偽神の群れ、デミウルゴス。
折角のDominusの試合を……。やきうを!
滅茶苦茶にするなんて、台無しにするなんて……絶対に、絶対に許せない!!

Dominus!――往きます!

96 :
>>93
わたしと、手を……ですか?
いい……のでしょうか?

Dominusもご存知の通り、わたしの手は戦うためのもの。
デミウルゴスの装甲を拳で打ち破り、手刀で臓物を抉り出すためのもの……。
そんな恐ろしいものを、Dominusと繋ぐなんて。
Dominusが汚れてしまわないか。穢れてしまわないか。それが、心配で――。
汚れるのは、わたしだけでいい。Dominusには、いつも綺麗でいてほしいですから。

それでも、構わない……ですか?それでは、失礼……します。

――。
温かい。繋いだ手から、Dominusのぬくもりを感じます。
ああ。これが生命の温かさというものなのですね。
いつも、冷たいデミウルゴスばかり相手にしていると――そんなことさえ、忘れてしまいます。

Dominus。宜しかったら、また……手を繋いでくれますか?
貴方と手を繋いでいる時間だけは。わたしも、普通の人間としていられるような……。
そんな。気がするものですから。

97 :
WARNING...A Demiurge type:Pawn“en passant” is approaching fast.

歩兵タイプの高機動型デミウルゴス「アンパッサン(辻斬り)」。
大規模戦闘の尖兵として運用される歩兵ではなく、単身での都市潜入・人類の暗殺任務に特化したデミウルゴスと思われる。
全長1.8m。人類に酷似した外見と体躯を持ち、白色装甲を全身に纏ったその姿は中世の甲冑騎士のようである。
武装は単分子刀(モノフィラメント・ブレード)。刀身に施された分子の刃が、あらゆる物質の分子結合を崩壊させる。

Destroy the target.

98 :
デミウルゴスってどんな形しているの?自衛隊や米軍では手に負えないからソレイユさんが相手にしてるの?
あと最近、迷彩服来た人が夜間にうろちょろしてるけど何だろう?

99 :
侍は首を取らずとも不手柄なりとも、事の難に臨みて退かず、主君と枕を並べて討ち死にを遂げ、忠節を守るを指して侍という

100 :
あかん、タイムやタイム!
全員集合せえ!ダッシュ!
グランド外……はあかん!ライト側のポールへ走れ!
せやせや、危ないからな、そこで固まっとれ
ネキ!ガキどもの面倒はワイが見るからネキは変な心配せずにやってくれな!
お前らはあっち向いとれ、背中向けた方が安全やからな
しかしワイは情けないな、やきうの試合一つ自分では守れんのや

101 :
当たり前に存在する、小さな幸せのために。
わたしは戦いましょう。

>>97
く……!?この動き、通常のデミウルゴスじゃない……!
それに、この武装……単分子刀!いくらエリクシアンの皮膚が強靭でも、防御はできない――防御した部位ごと切断されてしまう。
でも、問題はありません。当たらなければ……いくら切断力に秀でた武器といえど無力!
そして――

EXW-0002S 携帯型ビームエッジ『ソレイユ・エトワール・フィラント』起動!
重粒子が刀身を形成する、この兵装もまた受けることは不可能!
いずれがより疾く、より鋭く、敵の急所を斬断することができるか……勝負!

――見えた!そこッ!
エトワール・フィラント出力最大開放、十字斬閃――ソレイユ・クロワ・デュ・シュッド!!

……
……

敵デミウルゴスの生体反応消失を確認。戦闘モードを解除します。
強敵でしたが、わたしの方が僅かに勝ったようですね。
それはきっと、心の差。心なきデミウルゴスと違い、わたしには心がある……。
大切な人を守りたい。そう念じる、心が。

>>98
Sic.Dominus.
デミウルゴスのタイプ、形状その他については、コメントログ>>38をご覧ください。
現在は>>38の4タイプに加え、『騎兵(ナイト)』型デミウルゴスが確認されております。

デミウルゴスとわたしたち『錬金人類(エリクシアン)』に関しては、>>23をご覧ください。
既存の軍隊では、デミウルゴスに太刀打ちすることはできません。
核などの大量破壊兵器を使えばその限りではないかもしれませんが、一般市民にまで被害が拡大してしまいます。
周辺への被害を最小限に抑え、デミウルゴスを撃退するには、わたしたちエリクシアンが戦うしかないのです。

迷彩服を着た人……。もしかしたら、各国の軍人や特殊部隊などが来ているのかもしれません。
ここはビュトス機関の直轄地。いかなる国家の軍も、駐留を許されていないはずなのですが――。
締結されたはずの約定を違え、野心を露にする>>49のような輩は、きっと手痛いしっぺ返しを受けることとなるでしょう。

わたしも、見つけ次第退避を勧告します。
デミウルゴスと戦うには、人類の肉体はあまりに脆弱すぎる。
みすみす命を失うような行為を、見過ごすことはできません。

102 :
>>99
データベース照合。戦国時代の武将、本多忠勝公の金言ですね。
例え戦場などで成果を出せなくとも、難事に直面して逃げることなく、自らの主人と一緒に死ぬ覚悟で忠義を貫き通せ、と。
それが侍というものである――と。そういう意味であると回答致します。

でも。
わたしに、過去の英雄の心情は理解できません。
わたしは結果こそ重要と考えます。例えどんなに努力したところで、結果を出せなければ意味はありません。
Dominusを守れず、一緒に死ぬなどと。Dominusを守れない、気持ちだけの忠義に一体なんの価値があるでしょう。
敵を倒し、Dominusを守る。それがわたしのたったひとつの目的であり、レーゾンデートルなのですから。

わたしは侍ではありません。わたしは、兵器です。
Dominusを守ることができるなら。敵を倒すことができるなら。
……なんでも、します。

>>100
全デミウルゴスの生体反応消失を確認。戦闘モードを解除します。
Dominus、終わりました。もう、周囲10km範囲内に敵性反応は確認されません。
お怪我はありませんか?チームの皆さんは……?

デミウルゴスは死亡した直後からアポトーシスによる自壊作用が働き、短時間で跡形もなく消滅します。
従って、10分ほどすれば周囲の死骸はなくなるはずです。やきうも、再びできるようになると思います。
まだ、試合は続行できますでしょうか……?それとも、襲撃を受けた皆さんの精神面を考慮して、延期が宜しいでしょうか。

――Dominusは先程、やきうの試合ひとつ自分では守れない……と仰いましたね。
それは違います。
貴方が皆さんを迅速に避難させてくれたから、わたしは戦うことができた。
貴方が「心配しないでやれ」と仰って下さったから、何の憂いもなく戦いに集中することができた。
貴方がいたから、勝てた。

どうか胸を張ってください、Dominus。貴方は守ったのです、貴方の大切な人たちを。大事な試合を。
その証拠に――
ほら。皆さん、Dominusにお礼を言っていますよ。

103 :
学校では友達できそう?

104 :
多分>>98の言ってることって在日米軍のことじゃね?だって日本にいる外国の軍は米軍だけだから

105 :
いくら未来予測演算装置『エル・シャダイ』がDominusを偉人と認定したと言っても、Dominusはまだ学生。
お勉強は大切です。さあ、予習復習は忘れずに!

>>103
Sic.Dominus.
学校では、クラスメイトの皆さんは本当によくして下さいます。
わたしが通常の人類とは違う、『錬金人類(エリクシアン)』だと分かっても、恐れることなく。
それどころか、以前より親昵に接してくれて。本当に、嬉しいです。

一緒にお勉強をしたり。放課後、みんなで帰ったり。
買い食いをしてみたり。『カラオケ』というものに行ったり――。
本当に。皆さんといると、楽しいことばかりで。毎日がドキドキの連続で、心臓が破裂してしまいそう!

わたしは皆さんが大好きです。わたしのことを、友達と言ってくれる人々が。
わたしを同じクラスの一員と、仲間と、地球の子と……そう認めてくれる皆さんが。
だから。――だからこそ。

わたしは命を懸ける。すべてをなげうって戦う。
大好きな人たちを守る、そのために。

>>104
東京都23区内、ポイントD-66359にて高エネルギー反応確認。急行します。

――これは……酷い……。Dominusの仰っておられた、在日米軍のようですね。
それが……全滅しています。付近の生体反応検索、生存者――ありません。

火薬反応、爆発物反応、化学物質反応、いずれも検知されません。
どうやら、米軍を虐殺した存在は火器の類を一切使用せずにこれだけの被害を齎したものと予想されます。
ひとつ、気になるのは……。

この場所は、どうしてこんなにびしょ濡れなのでしょうか?まるで水道管が破裂したかのよう。
いいえ――そんな生易しいものではない。まるで、津波に襲われたような……。
そして、米軍の死体の傷。相当に鋭利な刃物で切断された模様です。

!?
高エネルギー反応確認、こちらに高速接近中!
デミウルゴスとは生体パターンがまるで違う……けれど、ああ、まさか、そんな……!
このパターンは……わたしたち『錬金人類(エリクシアン)』の――。


……メ……
……メルキュール……姉さま……!

106 :
どアホ!ワイにお礼言うてどうすんねん!
ネキにお礼言わな(アカン)
整列!礼!ありがとーございました!
内野トンボかけして、2対2、9回裏1アウト2塁から試合再開!解散!
ネキありがとうな、また助かってしまったわ
ワイは絶対やきうやり通すからな
やきうの邪魔する奴は何があろうと許さん
戦いはできんでもやきうだけは続けたるぞ

107 :
これは……彼らの描いた絵図通り、なのか。

108 :
大量の水を自在に操れる錬金人類……?

109 :
こんなに雨が多いと、せっかくの桜が散ってしまいます。
明日は。晴れるそうですが……。

>>106
Sic.Dominus.
わたしは、Dominusが皆さんと楽しくやきうができるように。
やきうの邪魔をするすべての存在を、等しく排除するだけです。

それに……わたし自身、Dominusがやきうを楽しまれる姿を見るのが好きですから。
試合の審判をするDominus。チームの皆さんを率いるDominus。
……とても。素敵でした。

戦いなど、できなくても構いません。それはわたしの役目です。
わたしはそのためにDominusの元へと遣わされたのですから。
――貴方のお役に立てて、よかった。

何があっても、ひとつのことをやり通そうとする強さ。想いを貫こうとする意志。
そんな、人間にしか持ちえないものを、デミウルゴスは奪おうとしているのでしょう。
そんなことは。絶対に許しません。

>>107
緩やかに打ち寄せる波のようにウェーブのかかった、長い水色の髪。
慈愛を湛える、穏やかな眼差し。流れるように麗しいその立ち居振る舞い、優しい声。
わたしたち七人の『錬金人類(エリクシアン)』の長姉、メルキュール姉さま。
七人姉妹の中にあってもっとも愛に溢れ、誰より争いを嫌っていたはずの姉さまが。

破壊と虐殺を好む酷薄な、狂的な笑みを満面に湛え、わたしの目の前にいる――。

……わたしにはわかりません。なぜ、こんなことが?
誰かがこの状況を予測していたとするなら、それは誰なのですか?
どうして?なんのために?Dominus、教えてください!
わたしには……何もわかりません……!

呆然としているわたしを前に、姉さまはゆっくりと口を開きました。

「増えすぎた種族は、間引きを行わなくてはね」
「人類はわたしたちに管理されなければならない。より優れた新たなる人類、『錬金人類(エリクシアン)』に」

わたしの記憶にある優しい微笑みとは真逆の、禍々しい笑み。
どうして……。

110 :
>>108
Dominus、離れてください。可能な限り遠くへ。
PEX-001『メルキュール』は水中適応型エリクシアン。ご想像の通り、水を自在に操ります。
――雨が。降ってきました。恐らく天候を考慮し、このタイミングで出現したのでしょう。
この場所の地下には上下水道も走っています。姉さまの支配できる水が、ここには大量にある……。

やめて下さい!メルキュール姉さま!
く……ッ!まるで話を聞いてもらえない……。

あの心優しかった姉さまが、なぜ?
行方不明になっている間、いったい姉さまに何があったというの……?

戦えば、お互いに傷つくことは避けられない。
けれど、わたしは姉さまとは戦いたくない。
でも、戦わなければ、わたしのたったひとつの任務が……!

ああ、Dominus!わたしは――わたしは、どうすればよいのですか?
戦えない!戦いたくない!だというのに、戦わなければ……なにも守れない!

Dominus!

お願いです、指示を――命令を!!

111 :
誰かに洗脳でもされて操られているのかもしれない
それなら、これ以上の被害が出て悲しむのは洗脳が解けた時のメルキュールさんだろう
戦うんじゃなくて止めよう。メルキュール姉さん含めて守るんだよ

112 :
どうした人形。今こそ与えられた職責を果たせ。


いみじくも貴様自身が謳った"兵器"とやらの生存理由を、とことん発揮してな。


――そして奴に思い知らせろ。

ナナバンメ
"最新型"の力が伊達ではないということを。

113 :
そういえばネキは鍛えれば強くなるんか?
いやワイまたトレーニングハードにするんやけど
ネキ付き合ってくれんかなと思って

114 :
(こんな時だけどメルキュールさん美人だなあ)

115 :
米兵「クソッ!!奴を撃ちまくれ!!」
米兵2「何なんだよあの女は!?」
米兵3「たった一人の女にここまでやられるとは....!」
(生き残りが戦ってる)

116 :
ククク…そこをどけ、素人どもめ
(パワードスーツの男が群がっていた米兵を片端から当て身を加えて気絶させる)

ソレイユ、貴様もだ、さっさと立ち去るがいい
俺が派遣された意味、分からん貴様でもあるまい?
メルキュールは機関の対外執行部により、処分の決定が下された
故に、執行部直属の対処任務部隊の一員たる俺が派遣されたのだ
これほどまでの被害を出して、これ以上内のネームバリューを汚されちゃ敵わんのでな
(そう言いながら、メルキュールに向けてレーザー銃を撃つ)

クッ…さすが最新鋭だ…こんなもんじゃ傷一つ付かんか!
だが、この超圧縮粒子ブレード『フラウロス』なら、一発でRるぞ人形!
フハハハ!前から一度試してみたかったんだよ!内の部隊の最新鋭のこいつをな!

117 :
そういや姉さんのマスターはどうしたんやろ…間引かれたか

118 :
……。

>>113
Sic.Dominus.
戦闘を重ね、経験を積むたび、わたしの中にはその戦闘の知識が蓄積されていきます。
二度戦えば、一度目よりも。三度戦えば、二度目よりも。より効率的な戦闘ができるようになるでしょう。
尤も、デミウルゴスの方も戦闘知識を蓄積し、常にわたしの上を行こうとしてきます。
ですから、対デミウルゴス戦において互いの経験値はほぼ互角、かと。

Dominusご自身のトレーニングをハードにするのですか?
それとも、Dominusの率いるチームの皆さんのトレーニングをハードにするのですか?

いずれにしても、Dominusがわたしの力を必要とされるのでしたら、従います。
わたしは何をすればよろしいですか?ご命じ下さい。
ただ、Dominusもご存知の通り、わたしが投球すれば球速は600km/hを超え――
フライを打てば、打球は成層圏まで達してしまいますが……。

>>117
……わかりません。
そもそも姉さまが姿を消し、今この場に現れるまでの間、いったいどこで何をしていたのか。
それさえ、定かではないのです。
ただ……姉さまがこのような状態である以上、姉さまのDominusも無事ではないでしょう。
Dominusの仰る通りの……最悪の状況を想定すべきなのかもしれません。

でも。
ご心配には及びません、Dominus。
貴方のことは、わたしがこの命に代えても守ってご覧に入れますから。
例え――姉さまと相争うことになったとしても。

……身体が。震えています。こんなことは……今までのデミウルゴスとの戦闘では、一度もなかったのに。
ああ……Dominus。これが……恐怖というものなのですね。
こんなに心細い気持ちが。自分の無力を思い知る気持ちがあっただなんて、初めて知りました。

Dominus、下がってください。もっと……もっと後ろへ。
姉さまと対峙することも怖いですが、今は……Dominus、貴方を失うことが、何より怖い……。

119 :
>>115-116
……死。
死。死。死、死、死、死、死――。
わたしの目の前に、無数の死が横たわっているのが見える。
どこからか現れた米軍の生き残りも。『掃除屋』を名乗る、ビュトス機関のデータにない何者かも。
ここに現れた者はすべて、悉く、メルキュール姉さまが殺しました。
瞬時に。微塵に。一切の慈悲の心なく。
メルキュール姉さまが、殺した――。

「邪魔をしないで下さるかしら……下等人類の分際で」

『掃除屋』を名乗っていた、今は無惨な肉塊となり果てているモノを一瞥すると、姉さまは言いました。

「わたしはソレイユに用があって来たのです。ソレイユ――わたしの可愛い妹。甘えん坊の末っ子に」
「さあ、ソレイユ。みんな、あなたのことを待っていますよ。おいでなさい、わたしたちのところへ」
「この世界に新たな秩序を作る――デミウルゴスの許へ――!」

メルキュール姉さまが、わたしに向かって両手を伸ばす。
穏やかな微笑み。差しのべられる、優しい両腕。
それは、かつて機関のラボでわたしを抱擁してくれた、記憶の中の姉さまと同じもの……。

でも。

わたしの脳が警鐘を鳴らしている。警戒しろと言っている。
『これ』からDominusを守れと――そう、言っている。

>>114
今、この場にいる生存者はわたしと、Dominus。そしてメルキュール姉さまだけ。
メルキュール姉さま……。

わたしたち七人の中で、一番優しかった姉さま。慈愛に満ち、妹たちを見守っていてくれた姉さま。
メルキュール姉さまがいたから、わたしたち姉妹はつらいテストにも耐えられた。
特に、わたしは――
テストが終わった後、メルキュール姉さまに「頑張りましたね」と褒めて貰えるのが嬉しくて。
頭を撫でて貰えるのが、楽しみで。柔らかな膝枕が幸せで……ずっと、ずっと頑張ってきた。

その姉さまが。わたしが憧れた、追い求めた、美しいメルキュール姉さまが。
青い髪と水色のアサルトスーツを人々の返り血に染め、笑っている。
累々と横たわる亡骸を前に、喜悦の表情を露わにしている――。

いったい、何が?
そして、メルキュール姉さまは今、なんと……?
『デミウルゴスの許へ来い』と?そう……言った、のですか?

信じられない。信じたくない。
でも。聞こえた言葉は現実。告げられた言葉は真実。
わたしは。それを受け止めなければならない。

120 :
>>111
あの心優しい、誰よりわたしたち姉妹を慈しんでいたメルキュール姉さまが。
自らの意思でこんな恐ろしいことをしているとは、わたしにはどうしても思えません。
やはり――Dominusの仰る通り、姉さまは何者かに操られていると考えるのが妥当であると回答致します。

戦うのではなく、止める。
姉さまを破壊するのではなく、守る――。
Sic.Dominus.オーダーを受諾しました、戦闘モード起動!これより……姉さまを止めます!

でも……雨が降り、地面が水浸しで、地下に水道が走っているこの状況――不利と言わざるを得ません。
近接兵装ながら、わたしのエトワール・フィラントの6倍もの間合いを誇る水鞭――
EXW-006S 超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』。
水のみに留まらず、すべての液体を支配し意のままに操ることのできる遠距離兵装――
EXW-0224L 液状物質遠隔操作システム『メルキュール・ミトライユーズ・プリュイ』。

「優しい」と「弱い」は同義ではない……むしろ、誰より心優しいからこそ、姉さまは強力な武装を持たされました。
そんな優しい心のリミッターを外した姉さまを無力化するのは、至難の業……けれど。

――やります!

Dominus、どうか……わたしに、戦う力を!

>>112
……ぐ……!?
これは、緊急回線……?わたしたち『錬金人類(エリクシアン)の非常通信チャンネルに割り込むなんて……。
このアクセスコードは……ウェストコット師!?

あ……あああ、あぁあぁぁあぁぁぁあああ……!
ビュトス機関の三魔術師、首領、小達人(アデプタス・マイナー)――W・W・ウェストコット師――!
い……、嫌です!わたしは……姉さまを止めたい!姉さまを……救いたいだけなのに……!

あ、ぁ……あああッ!
あああああああああああああああああ――――ッ!!

――Sic.Adeptus-Minor.
敵性反応、PEX-001『メルキュール』を確認。……撃滅します。

……ぅ……ぐ……。
Adeptus-Minorの命令は絶対……、Adeptus-Minorの指令は……すべてに優先する……。
で……、でも……。わたしはもう、Dominusから……オーダーを……ぁ、ぐ……ぅ……。
Adeptus-Minor……Dominus……わ、わたしは……いったい、どちらのオーダーを……優先すれば……?

頭が……痛い……。あぁ、あ……ぅぁああ……。

Domi……
……どみぬ、す……

121 :
それは、いつの間にかそこに佇んでいた
エリクシアンの姉妹が向かい合っている場所からは遠い
しかし、山のような巨体はどこからでもよく目立つ
そして、相変わらず何もしない
ただ、心なしか笑っているようにも見えた
そして、何事も無かったかのように去っていく

122 :
下等人類だと…?人形風情が舐めるな!
貴様ら造られた存在では辿り着けない『武』の境地を見せてやる!
エーテライト…肉体強化…はあああああ!
喰らえ!我が八極拳の真髄、テツザンコウ!

123 :
>>122
雑魚の出る幕じゃねーよ
空気読め

124 :
名無しが名無しを叩き出してしまうのか……?
上手に拾ってネタに昇華するのも、フォローしきれなくて捨てるのも、キャラハンの技術と判断だろ。
あくまでもここは【質雑】スレなんだからさ。
「関わりたい」って気持ちまで無碍にしなくていいじゃないか。
そういう排他的な態度ばかりとっていたから、みんないなくなってしまったんだろ。

……最後の一行はただの独り言だ。忘れてくれ。

>>122
――とは言ったけどなぁっ!!
そんなに逝き急ぐなよ、アンタ!?
あの米兵と(自称)掃除屋の死体見ただろっ!!
最早素手でどうにかなるレベルじゃねーんだよ……

あのメルキュールとかいうお姉さん。
顔もスタイルも抜群(性的な意味で)だが、どういうわけか頭の中もキレッキレだ。
今出て行ったら2秒と言わず刹那で刺し身(物理的な意味で)にされちまうぞ。
そんなに出たいなら『夏の陣』まで待て。その格好で即売会に出りゃアンタなら多分人気者になれるぞ?

真面目に手合わせがしたいならまた今度ソレイユが暇な時にでも――――ソレイユ?
おい、どうしたんだよ……?

――苦しむ彼女の口から零れたその名を、僕は、私は、俺は、そしてワイは聞き逃さなかった。
――ウェストコット師。度々ソレイユから聞かされていた、エリクシアンの創造主。
――ソレイユを『人形』と呼び。『人形に個性など必要ない』と抜かしやがった、クソ野郎だ。

前々から、ヤツの考え方が気に食わないとは思ってたんだ。
でも……どうするっ!?
ソレイユが苦しんどるのに、ワイは一体どうしたええねんっ!!

125 :
戦闘場面で戦闘介入を制限されたら絡みにくいことこの上ないじゃないか
普通の質問だってやりにくい空気になる
過度な締め出し展開は好ましく思えないね

126 :
そういう時は黙っておくんだ
質雑trpgとはそういうもんだ

127 :
前腕部内蔵型高出力粒子砲をメルキュール姉さまの近くに撃って
水鞭や周囲の水をフッ飛ばしたり蒸発させれば、一瞬だけ姉さまの操る水が存在しない道が出来上がり、
その道を通って近接武器が届く間合いまで近づければ、姉さまの兵装ぶっ壊せたりしないかなと思ったけど
できあがった道は高温だろうから錬金人類のソレイユでも流石に通れないだろうか…それとも蒸発させた水分で視界を塞げば…
って大丈夫? 姉さん救えるのはソレイユしかいないんだ。しっかり

128 :
いや別にやきうやれというんとちゃうんやけど
ランニング付き合ってくれへんかな思て
でもワイあんま表出ん方がええんやろか
デミウルゴス来ると面倒やろ
巻き添え作ってもしゃーないし

129 :
ねえ思い出して
DominaとDominusとの日々

ねえ忘れないで
心に灯った小さな光

それは太陽の輻射熱
貴女が頑張ったから、皆が笑顔をくれた

いま光はひときわ輝いて
冷徹な命令さえ融かすほどの熱量を帯びて

――貴女を突き動かす 衝動となる!



           次回「錬金乙女、覚醒。」
           お楽しみに!

130 :
米兵「グッ…み、見ているしかないというのか…」

米兵「我が軍でも限られた戦力である対デミウルゴス兵器…
しかし、実際の戦力比は最も下位の歩兵型ですら多数で寄ってたかってようやく撃破できる…
我々ではそんな程度のザマなのだ…
そして、そういった化け物の群れをダース単位で殲滅するヤツらのスペック…
核でも持ってこなきゃ勝てるわけがないさ…」

131 :
 

132 :
Adeptus-Minorの命令は絶対。
Adeptus-Minorの指令はすべてに優先する。

兵器。武具。生物を殺傷するために生まれた人形。それがわたし。
PEX-007『ソレイユ』――

……ぅ……ぐ……

>>121
――身体が……動かない……。
いいえ。身体が……わたしの意思とは裏腹に、勝手に動いている……。
メルキュール姉さまを破壊しようと、戦っている……。

ああ――
これはきっと、ウェストコット師の行なったこと。
師のオーダーに反抗したわたしの意識と肉体の接続を切り離し、ダミー人格に肉体を接続して身体を動かす。
ドミネーション・プログラム……三魔術師でも随一の科学者たるウェストコット師なら容易なこと。

わたしは、悪い子です。
親にも等しい御方、創造主たる師の命令に背きました。師の期待を裏切りました。
そんなわたしが師の罰を受け、肉体を剥奪されるのは当然のこと。

あとは、ダミー人格がわたしの代わりにわたしの肉体を動かし、師の期待に応えることでしょう。
ダミー人格は躊躇わない。機械的に、粛々と、任務を達成するはず。
わたしは……もう。眠ります。
不要な主人挌は、二度と覚めない眠りへ……深淵の底、底の底へ――墜ちてゆくのがいい。

闇の中に。鼓動を感じる。生命の息吹を感じる。でも、それはわたしの知る命とは異なるもの。貴方は……
――『巨神(デウス)』――
貴方は。何を見ているの?

133 :
>>124
……Dominusが……何か言っている……。
でも。肉体を剥奪されたわたしには、もう……何も聞こえない。
Dominusの言葉は、わたしには届かない……。

ごめんなさい、Dominus。
わたしは悪い子です。何もできない、甘えん坊の末っ子です。
貴方を命に代えても守ると。そう誓ったはずなのに。
実際には、何もできなかった……あれだけ大見得を切っておきながら、守れなかった……。

人形に個性など。心など必要ない。
ウェストコット師は、繰り返しわたしにそう言いました。
それは正しい。心があるから、わたしはメルキュール姉さまと戦うことを躊躇った。
たったひとつの任務を遂行することに逡巡を覚えた。
心がなければ。最初から、任務のみを遂行する兵器なら。Dominusを危険に晒すこともなかったのに。

「貴方がソレイユのDominusですね?今まで、妹を慈しんでくれたこと。心よりお礼を言います」

姉さまが、Dominusに何事かを語りかけているのが見える。

「でも、もう貴方は用済み。これからは、わたしたち姉妹がソレイユを愛し、慈しみましょう」
「死になさい――わたしたち六人のDominusが死んだのに、貴方だけが生きているなんて……そんな不公平はないでしょう?」

……姉さま!やめて!やめてください!
やめて……やめて、ください……!!

134 :
>>129
ああ!ああ……Dominus!Dominus、逃げて――!
姉さま、お願いです!わたしのDominusを、大切なDominusを……殺さないで……!

わたしの腕!わたしの脚!どうして動かないの!?
いつもは、あんなにも軽やかに。わたしの意のままに動くというのに――!
ドミネーション・プログラム……!わたしの意識を肉体から遠ざけ、ダミー人格に操作させるプログラム!
こんな……ものなど……っ!

わたしは、やっぱり眠れない!
わたしは守りたい――Dominusを!この美しい惑星を!平和な町を!
学校のクラスメイトや、商店街の人々。やきうのチームの方々――
大好きな人たちとの生活を失いたくない。壊してしまいたくない……!
そして。その任務を、願いを、他人になんて渡してしまいたくない!
Dominus……わたしに、力を!

う……ううぅぅぅぅうぅうぅうぅう……ッ!
うああ……あああああああああああああ―――――ッ!!!!

ドミネーション・プログラムに強制介入、肉体の支配権を奪還します!
わたしは――人形じゃない!
わたしはPEX-007『ソレイユ』!『錬金人類(エリクシアン)』のナンバー7、そして……

――地球の、子……!

135 :
>>125-126>>130
身体が、動く。
通信回線を強制遮断。……申し訳ありません、ウェストコット師。罰は後でいかようにも。

……ギャラリーが集まってきている……。やはり、閉鎖空間でもない限り人を遠ざけることはできない。
この荒廃した世界に。いつ砕け散ってしまうかもわからない、脆弱な場所に。
まだ、これだけの人がいる。わたしのことを見に来てくれている。
その、なんと幸福なこと。
ならば――守りましょう。すべて!
わたしならできる……この場にいる人々が、わたしを。わたしの力を信じてくれるなら!

「聞き分けのない子――ソレイユ。そのDominusと一緒に過ごすうち、くだらない思想を植え付けられたのね」
「で、あれば。わたしがすべて、洗い流してあげましょう……その心にこびりついた汚れを!」

姉さまの言葉と同時に、地面から間欠泉のように噴き出す水。水道管が破裂したのでしょう。
大量の水がうねり、渦を巻き――何もかもを押し流そうと迫る。
メルキュール姉さま最大の必殺技……戦術大海嘯『メルキュール・ブルー・キャタラクト』――

皆さん、手近な建物の中へ!高いところへ退避してください……!

わたしは。往きます!!

136 :
>>127
Dominusの考えてくださった作戦。『ソレイユ・アマ・デトワール』を最大出力で撃ち、周囲の水を蒸発。
瞬時に姉さまの至近距離へ接近、液状物質遠隔操作システム『メルキュール・ミトライユーズ・プリュイ』を破壊。
そうすれば、すべての兵装を水に依存している姉さまを無力化することは可能!

ただ、それはほんの一瞬のこと――水分を蒸発させ、姉さまへの道を開くことができるのは僅か数秒。
そんな、須臾のような時間に。すべてを決着させなければならない……。

そうですね、Dominus。わたしが……メルキュール姉さまを救わなければ。
メルキュール姉さまは、何らかの要素でデミウルゴスとの戦闘に敗れ、鹵獲されたのでしょう。
そして洗脳を受け、デミウルゴスの戦力として転用されてしまった……。

洗脳されたというのなら、それを解除することも可能なはず。
希望は――捨てません。そのためには、是が非でもDominusの作戦を成功させる!

進路上のすべてをなぎ倒し、呑み込みながら、メルキュール姉さまの放った死の津波が押し寄せる。

――でも!

137 :
>>122
「どこに隠れていたのかしら?下等人類……まったく、邪魔な!」

奇襲気味の一撃を危なげなく避け、メルキュール姉さまが携えていた水鞭を振る。
肉が裂け、骨の砕ける音。ああ、また、犠牲者が……。

でも。

ほんの僅か、姉さまの意識がわたしから逸れた――!
今!

出力最大!ソレイユ・アマ・デトワ―――――ルッ!!!
はああああああああッ!!

――通った!姉さま……許してください!
七星絶拳!ソレイユ・グランシャリオ!!

……
……

胸元に輝く、『錬金人類(エリクシアン)』の証――智慧の紋章カドゥケウス。
それが、姉さまの力の源。液状物質遠隔操作システム『メルキュール・ミトライユーズ・プリュイ』。
破壊、完了。メルキュール姉さまを無力化しました。
姉さまは気を失っています。もう、戦うことはできません。

……Dominus。

138 :
>>128
ランニングですか。ええ、構いません。もちろん、わたしはDominusのご希望に沿うだけです。
いいえ、表に出ない方がいいなど……そんなことはありません。
わたしは、Dominusには従来通り、何も変わらない生活を送って頂きたいのです。
それに。Dominusは仰ったではありませんか、何があってもやきうはやる、と……。

以前も申しました通り、Dominusのやきうの障害となり得る存在は、わたしがすべて排除します。
ですから。……どうか。
そんなことは仰らないでください。

では、早速ランニングに行きましょうか!
とりあえず、準備体操代わりに軽く42.195kmほど走るのはいかがでしょう?

139 :
ッッピー--capfkpdag]ads_^-0-……えるか。

……聞こえるか。
こちらでもPEX-001の沈黙を確認した。不本意な形ではあるが、これも決着だ。よくやった。
001の後始末は本部の指示を待て。我々は撤収する。オーバー。

――メイザース。
貴様の造ったものが"一体の人形"などではなく、"ひとつの意思"であるとするなら。
アレを"人類"と称する貴様の故も、わからぬではないな。

クククク……実に愉快だ。




人類に黄金の夜明けを。

140 :
やきうに自信Dominus(命懸け)

141 :
よくやったよ。でもだいぶ被害出ちゃったな。ソレイユとメルキュールさんは大丈夫?
とりあえずメルキュールさんはビュトス機関に渡さない方がいい気がしてる

142 :
ソレイユお疲れ!落ち着いたら好きなだけ甘いもの食べような!

143 :
いや別に外出てボール追っかけ回すばっかりがやきうとちゃうしな
部屋に引きこもってプロ野球のデータ取って煽り倒す模範的なんJ民になろうかと
せや、デミウルゴスのデータ取ってみよかな
どうせワイのおるとこ来んねやからビデオ取って研究したるねん
ピュカスもやっとるんやろうけど焼豚がやるとまたちゃうかもしれんで

144 :
あれ、すでに陣地構築が完了している!?
俺たちビュトス機関から要請を受けて派遣されてきた工兵部隊なんだけど・・・もう必要ないとか言わないで!

しかし・・・この規模の構築をたったひとりでこなすなんて、信じ難いな。これが錬金人類の力ってわけか。

145 :
マイグレーション乙です

>>122……無茶しやがって

146 :
旦那さん見なかったニャ?

147 :
ガイキチのスレ

148 :
今日から、新しい領域へ。
――わたしの大切なDominusに、正しき叡智の祝福を。

>>139
……ウェストコット師……。
お咎めはないのですか?わたしは、師のご命令に背きました。
本来でしたら、懲罰にかけられても仕方ないというのに。それどころかお褒めの言葉を……。
Sic.Adeptus-Minor.
後は、本部の指示に従います。

……よかった。
ウェストコット師は他のお二方と違い、苛烈なお方。
人形と呼ぶわたしたちエリクシアンが命令に背けば、烈火の如くお怒りになると思っていましたが――
本当に、安心しました。

とはいえ。きっとそれは何か深いお考えあってのこと。情でわたしを許した訳ではないでしょう。
これからも。わたしは師のために戦わなければなりません。
あの方は――わたしの創造主。わたしの神。

人類に……黄金の、夜明けを。

>>140
お怪我はありませんか、Dominus?
今回は……本当に、Dominusのお命を幾度も危険に晒してしまいました。
Dominusの守護者として、本当に恥ずべきことだったと……反省しています。
申し訳ありません。

メルキュール姉さまという、姉妹として過ごした存在が敵となる――。
デミウルゴスはそれによって、わたしが混乱し戦いの手を緩めることを期待したのでしょう。
そして、それは見事図に当たってしまった……。

でも。

もう二度と、同じ手は通用しません。
もしも、他の姉妹たちが現れたとしても――わたしは躊躇わない。全力で戦います。
倒し、破壊するためでなく。
守り、救うために。

149 :
>>141
Sic.Dominus.
わたしは大丈夫です。多少ダメージこそ受けましたが、小破の範疇です。自然治癒できます。
そしてそれはメルキュール姉さまも同じ。わたしはただ、水を操る能力の発生源を破壊しただけ。
『錬金人類(エリクシアン)』が元来有している高い身体能力は、損なわれていません。

……?
なぜ、姉さまを機関に引き渡さない方がよいと思われるのですか?
今はシステムを破壊されたことによるショック状態で気を失っていますが――
もし目覚めれば、また暴れだしてしまうかもしれません。
わたしは、洗脳を解いたわけではありませんから。

メルキュール姉さまを元に戻す方法があるとしたら、それは機関のみが知りうること。
わたしは、姉さまを救いたい……そして、それには機関の協力が必要不可欠なのです。
メイザース師なら、きっと。何か有効な手だてを考案してくださるはずですから。

お願いですDominus、姉さまを機関に連れて行かせてください。

姉さまに……元の、わたしの知るやさしい姉さまに。
もう一度、会わせてください……。

>>142
はい!
Dominusも、お疲れさまでした。
防衛陣地をデミウルゴスに侵食された際は、わたしもこれまでかと思いましたが。
このまま、深淵に没することはできないと――
まだ、わたしにはDominusと共にすることがあると。そう、思ったのです。

Dominbusが呼びかけてくださる声も、聞こえました。――だから。
もう一度。戦わなければ……と。

甘いもの。食べたいです。……好きなだけ?よろしいのですか?
たくさん食べたいです!チョコレートケーキに、ストロベリーパフェ!
林檎のタルト、それにチーズケーキも!

……それから。ひとつだけ、ワガママを言ってもよろしいでしょうか?

もし、姉さまが元に戻ったら。
姉さまも交えて、一緒に食べたい……です。
わたしは、Dominusや。クラスメイトの皆さんと一緒に、甘いものを食べるのが好きです。
大好きな人たちと。その中に姉さまもいたなら、それはなんと素敵なことでしょう?

150 :
>>143
そう……ですか?
もし。Dominusが僅かでも、わたしに配慮して外出を控えると仰っておられるのでしたら。
それはご心配には及ばぬこと。どうか、お気遣いありませんよう。

でも。それが熟慮の末のDominusのお考えなのでしたら、もちろん賛同致します。
当然のことながら、ビュトス機関でもデミウルゴスに関しては目下解析を進めていますが――
Dominusの視点から、判明することも間違いなく存在すると思いますから。

――でも。外出を控えられるのは結構ですが、引きこもられるのはいけません。
ランニングをすると仰っておられましたよね?適度な運動は必要です。
朝晩、きっちり最低10kmは走り込みますよ!

>>144
お疲れさまです。
はい、戦闘は終了し陣地の構築も完了しました。
そのお気持ちだけで、わたしは充分です。

そうですね、では、姉さまを本部へ搬送して頂けますでしょうか?
気をつけてください、気絶してはいますが、まだ洗脳は解けていませんので――。
陣地構築用の強化結束帯を拘束具代わりに姉さまに巻きつけておきましょう。これで、万一暴れられたとしても大丈夫。

あとは、機関が――メイザース師が、姉さまの洗脳を解いてくれさえすれば……。



――そう思い、わたしはほんの僅かに気を緩めてしまいました。
戦闘の疲労もあったのだと思います。Dominusを守れた、その安堵もあったのだと思います。
でも。気を緩めるべきではなかった。
……わたしは。取り返しのつかない失態を犯したのです。

網膜を灼く、一条の閃光。

どこかから飛来したそれが、メルキュール姉さまの心臓を貫くのを――

わたしは、止められなかった。

151 :
>>145
「あーァ、やっぱり負けちまいやがンの。メル姉はおヤサシイかンなァ」
「まあ、分かっていたことではありますけれど。すべては神託の通りに――ということですわね」

不意に頭上から聞こえた、ふたつの声。
見上げれば、崩れかけたビルの上に佇む、ふたりの女性――

「メル姉は水ン中じゃねェとクッソ弱ェェかンな。なんつーの?陸に打ち上げられた魚、っつーの?」

緋色のアサルトスーツに身を包んだ、燃えるような真紅の髪を逆立たせた女性が、ゲラゲラと笑う。

「フ……。仮に水の中で戦ったとしても、わたくしならメルキュール姉さまを完封するなど造作もないこと」
「ほォ……言うじゃねェか。いっちょヤルかァ?」
「よくってよ。けれど、今はその前にやることがあるのではなくて?」

まるで光を束ねたかのような、輝く長髪をポニーテールにした女性が、緩く腕組みして緋色を嗜める。
緋色のアサルトスーツ……そして、もうひとりの黄金色のアサルトスーツ……
ああ……あの顔は。あのふたりは――!!



「お久しぶりですわね、ソレイユ、可愛い妹。元気そうで何よりですわ?」

七人姉妹の中でも、もっとも輝く美貌を持つ――PEX-002『ヴェヌス』。

「ガチンコじゃ一番弱ェェポンコツのメル姉に勝ったからって、調子くれてンなよ?ソレイユ!」

炎のように激しい気性と、七人姉妹でも随一の戦闘能力を誇る四女――PEX-004『マルス』。

新たな姉たちの出現に。
わたしはただ、驚愕から目を見開くことしかできませんでした。

152 :
「メルキュール姉さんに甘えたいだけの人生だった・・・」
元Dominus、母性欠乏症にて死亡確認!

イメージ的にはメルキュール>ヴェヌス≧マルス>超えられない壁>ソレイユって感じかな。
デカさ(意味深)的な意味で。
まあデカけりゃいいってもんじゃないけどね!マジで。これホント。本心から。

153 :
朝晩10キロとかうせやろ
パッキャオでも朝8キロやぞ
アカン、ネキもスポ根に染まりつつある
助けてクレメンス
まあワイはこう見えて格闘技も見るからな
デミウルゴスも基本的には格闘技やし結構分析できるやろ
必殺技の開発してみたりしてなー

154 :
メル姉さああああああん!?
えらく剣呑な雰囲気だけど……あの二人は味方かな。それとも……

155 :
ソレイユ…君は純粋だ。七体の中で最も純粋無垢だ。故に未完成だった。君は素体のままだった。
だがそれも今日までだ。次に君は何を思う?怒りか?悲しみか?恐怖か?戸惑いか?
何れにしろ君は変わる。度重なる理不尽で心が壊され只戦うだけの兵器となるかもしれないし、全てを受け入れ優しく包み込む慈母となるかもしれない。
深い悲しみを湛えた後主を拠り所にして生き続けるヒロインになるかもしれないし、全ての苦難を乗り越えて未来を掴み取るヒーローになるかもしれない。
さあソレイユ、君はどの形で完成する?

156 :
デミウルゴスって創造者って意味だろ
神話じゃでデミウルゴスが人間作ったって話しだし
でソレイユたんは人造人間
つまり・・・?
とりあえずデミグラスソースハンバーグ食べたい

157 :
ひどい夢を見たぜ
数年前に手放したバイクで気持ちよく夜の街を疾走してたら
いつの間にかバイク好きのおじさん(ハゲ)と仲良くなって
バイク好きおじさんの愛車ダルマ型バイク(ただのでかいダルマ)とレースする羽目になった
俺と並走する高速スライド移動の巨大ダルマとその上に乗るおじさんは凄まじいインパクトだったよ

エリクシアンも夢は見るのかい?

158 :
???「ミス・ソレイユ、貴女お一人では荷が重いでしょう?
僭越ながら、任務を途中放棄して駆け付けさせていただきました
錬金人類の力、推し量るには丁度いい機会でもありますしね…」

・メカニゼイター・オリジン
機関の手により、最初に手が加えられた原初の機械化人類(メカニゼイター)
最初期に封印されたオーバーテクノロジーが一部使用されており、
通常のメカニゼイターとは比較にならない戦闘力を秘め、
エリクシアン以外でデミウルゴスの軍勢を単独で圧倒できる数少ない戦力の一つ

オリジン「ミス・ヴェヌスにミス・マルスとおっしゃられましたか?
一応忠告しておきますが、私を旧式と侮ることなど決してなきよう…
私の火力は貴女方をデリート可能ですので…ね?ご注意を…」

159 :
メルキュール……姉さま……!

>>154
……どうして……。
ヴェヌス姉さま、マルス姉さま、どうしてこんなことを……!
わたしたちは、この世にただ七人だけの『錬金人類(エリクシアン)』。この世に七人だけの姉妹なのに……!
その……メルキュール姉さまを、なぜ……!

「二度負けたヤツに用はねェ。メル姉は二度負けた、だから廃棄ってこった」
「世界最高、世界最強、そして世界最美の存在が――二度も敗北を喫しては、それはもう存在価値がない。そういうことですわ?」

ふたりの姉が、憐憫と侮蔑の眼差しでメルキュール姉さまを見る。

「さあ。次の相手をお選びなさいな、可愛いソレイユ。どちらでも構わなくってよ?因みに、わたくしはまだ一度も負けていません」
「カッ!何言ってやがる、金姉は単にまだ戦ってねェだけだろが」
「戦う機会がなかったものですから。――そういえば、貴女は?確か――」
「一度負けたよ!うっせーな!」

マルス姉さまがヴェヌス姉さまに対して吼える。よく、機関のラボで見ていた……懐かしい遣り取り。
それだけを見ると、本当に姉さまたちは変わらない。気品に溢れたヴェヌス姉さまと、男勝りなマルス姉さま――
……でも。

「チッ!……おい泣き虫ソレイユ、次の相手はオレだ。オレを選べ!オレの炎で消し炭にしてやるからよオ!」
「一度負けた人は引っ込んでいてくださるかしら?ねえ、ソレイユ?次は、わたくしと遊びましょう?昔のように」

ふたりの姉が、わたしに戦いを迫る。
――わたしは。どうすれば……?Dominus、教えてください……。

160 :
>>158
南南西より飛行物体、高速接近中。
Dominus、離れてください。このパターンは……。

わたしと姉さまたちの間に舞い降りた、ひとつの影。
戸惑うわたしを余所に対峙した彼女を見て、ふたりの姉さまがそれぞれ反応を見せる。

「あら。『機械化人類(メカニゼイター)』とはね……ウェストコットお父さまの差し金かしら?」
「親父め、無粋な茶々入れやがって。オレらをデリートだァ……?電子頭脳がウィルスにでも侵食されてンのか?」

『機械化人類(メカニゼイター)』……。
Dominusたち『人類(ホモ・サピエンス)』、わたしたち『錬金人類(エリクシアン)』に続く第三の人類。
現生人類の強化を目的に創造された、人類と機械の融合態――科学の子。
超最先端科学の権威ウェストコット師が自らチューニングした『始祖』……オリジン。
海外で活動していると聞いていましたが、まさか……日本に来ているなんて。

「すっこンでろよガラクタ、それとも五体バラバラにされてェか?蝶の翅を毟るみてェによォ!」

ボッ!という音と共に、マルス姉さまの両腕に炎が灯る。
水を統べるメルキュール姉さまとは対極に位置する、高熱源処理型エリクシアン――マルス。

「おやめなさい、マルス。わたくしたちの相手はあくまでソレイユ……遊びは厳禁ですわよ。それが――」

いきり立つマルス姉さまへと右手を伸ばし、ヴェヌス姉さまが軽挙を諫める。
その美しい金の髪が、眩く光り輝いているのが見える。光学兵装搭載型エリクシアン、ヴェヌス……。

「神の思し召し、っつーンだろ?カッ!興が殺がれちまったぜ」
「ソレイユ、オリジンに感謝なさい。あなたと遊ぶのはまた後日……それまで、どちらと遊ぶか決めておきなさいな」
「絶対オレにしろよ!オレだぞ!おい、ソレイユ!わかっ――いででででッ!」
「行きますわよ」
「痛てェーな!耳引っ張ンじゃねーよ金姉!ソレイユ、次はオレだからな――――ッ!?」
「――では、ごきげんよう」

騒がしく、賑々しく……けれど拒絶を許さぬ言葉を残すと、ふたりの姉さまは姿を消しました。

161 :
>>152
「……ソレ、イユ……」

――姉さま……?メルキュール姉さま……!
姉さま!しっかり……しっかりしてください!こんな傷……!

「わたしは……よいのです。マルスが……言っていたでしょう……。二度、敗れた者は……廃棄される、定め……」

……二度?廃棄?
何を言っているのですか?わかりません、わたしには何も……!メルキュール姉さま!
ああ!血が、血がこんなに……。どうして、どうして止まらないの!?
『魔導血液(エリクシル・ブラッド)』はすべてを癒し、再生させるはずなのに……!

「わたしが……こうなることは、最初からわかっていました……。あなたは、わたしの期待に応えたのです」
「よいですか……ソレイユ。もう、歯車は回り始めてしまった……。そして、あなたはその歯車の中心にいるのです」

……わたしが……歯車の、中心……?それは、いったい……。

「あなたと……あなたのDominus……。ふたりで、この過酷な運命に立ち向かうのです……」
「ソレイユ。あなたは、Dominusの指示に従って進むのです。すべての道しるべは……Dominus、が……」
「……きっと、大丈夫。あなたのDominusは……とても、立派な人。戦いの最中……わたしは、それを確信しました……」

ね……、姉さま……!うッ、うぅぅッ……。えぐっ、ひっく……!

「ソレイユの……Dominus……。あなたと……ソレイユを中心に……大きな計画が、動き始めました……」
「……『トロイア計画』……あなたの選択次第で、この子は天使にも悪魔にもなる……。それを……くれぐれも忘れないで……」
「どうか、わたしの妹を……この、泣き虫の末っ子を……よろしく、お願いします……」
「あなたがたふたりの未来が……幸せで、あります……ように――」

わたしを幾度も抱きしめてくれた、優しい腕。
わたしを抱擁してくれた、姉妹でも一番豊かな胸。
わたしを安心させてくれた、愛に満ち満ちた微笑み……。
大好きな姉さま。わたしが憧れ、いつも見上げていた姉さま。

わたしの腕の中で、メルキュール姉さまは……水のようにその形を崩し、消えてゆきました。

162 :
>>153
……戦闘は、終了しました。Dominus、帰宅しましょう。
あとは、ビュトス機関がうまく取り計らってくれるはず。今までと、何も変わりありません。
――何も。

Dominusはやきうだけではなく、格闘技も嗜まれるのですね。
必殺技。そうですね、何か新しい必殺技を――

……?
わたしの胸の、カドゥケウスが蒼く輝いている……。これは、いったい……。
――いいえ。これは……!
わたしの中に、メルキュール姉さまの力を感じる……。
これは。新たな兵装!

EXW-006S 超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』!

メルキュール姉さまを倒したことで、わたしに姉さまのシステムの一部がインストールされたのでしょう。
新必殺技をラーニングしました。姉さまが……わたしに。力を貸してくれる……!
がんばります!Dominus!

>>155
メイザース師。
……わかりません。まだ、わたしは何者でもないのです。
怒りは、あります。悲しみも。恐怖も――戸惑いも。
でも、それをもって何者かになる、ということは、現段階では考えられません。

姉さまが、Dominusに言っていました。Dominusの選択次第で、わたしは天使にも悪魔にもなると。
Dominusが天使になれと仰るなら、そうしましょう。悪魔になれと命じられるのなら、なりましょう。
けれど――わたしが自ら望んで何者かになる、ということは、ありえません。

わたしは何者でもない。わたしはDominusの要求を反映し、与えられた仮面をかぶるモノ。
そして、幾多の戦いの果て。流れゆく時間の終焉に、最後にかぶっていた仮面が――

きっと。わたしというモノ、なのでしょう。

163 :
>>156
デミウルゴスとは、グノーシス主義における偽神。神を模倣し、不完全な宇宙を作ったと言われています。
いつの頃からか世界を侵食し始めた、あの正体不明の敵性生命体に、人類はデミウルゴスという名を与えました。
それは、人類に敵する者という意味合いから。人類とは異なる者という線引きのため。

そう……人類が不完全なのは、偽神が完全なるものをコピーしようとして失敗したがゆえ、と言われていますね。
もっとも、神話の話です。それは史実とは異なります。
あくまで、デミウルゴスとは敵を敵と認識するための符丁に過ぎません。

今日は、お疲れになったでしょう。すぐにお食事の用意をしますね。
デミグラスソースハンバーグ。作りますから、どうか楽しみにしていてください。

もう時間も遅くなってしまいましたし、わたしひとりで食材の調達に行ってきます。
お風呂も沸かしましたので、どうかDominusはわたしが買い物に行っている間、入浴なさっていて下さい。

では……行ってきます。

>>157
夢とは、脳が記憶の処理を行なう際にしばしば映像として支離滅裂な光景を確認する現象と言われています。
エリクシアンは記憶処理を人類の200倍以上の速度で逐一行なっていますので、夢を見ることがありません。

Dominusのご覧になった夢は、とても楽しいですね。
大きな達磨さんに乗った男性が、Dominusと激しいレースを繰り広げている光景――
想像しただけで、吹き出してしまいそうになります。

楽しい夢ばかり、選んで見ることができたなら。きっと、そんなに素敵なことはないのでしょうね。
でも。現実はそうではない……夢を選ぶことはできない。
であれば。わたしは、夢を見ることのできない身体でよかった……と考えます。

だって。

今、眠ったら――メルキュール姉さまの夢を見てしまいそうだから……。

164 :
ソレイユちゃんつらい時は一人で悩まずに
遠慮なく俺をお姉さんだと思って胸に飛び込んできていいんだぞ
というか飛び込んできて下さい!飛び込んで来い今すぐに!君を抱きしめたいからこの俺が!

165 :
人形師に機械化技師か。もうひとりの情報はまだ開示されていない。
しかしロックマン的な進行でいえば水流鞭はマルスに特効とかありそう。
エアーマンが倒せない・・・ことはなさそうだな。風属性がおらん。

166 :
石の賢者「これこれそこのホムンクルス娘よ、これはワシが作った賢者の石じゃ。
何かに使えるかもしれないから持っておきなさい。」

167 :
まさか姉妹同士で争う事になるなんてね……
グノーシス主義か。僕も昔、本で読んだことがあるよ。
人間ってのは今も昔も悲観的な生き物なのかもしれないね。
あ、買い物に行ってくれるの? ひとりで? ……ナンパに気をつけろよ。

(何だろう。こういう時の単独行動って、悪いコトが起きるフラグのような……いや、考えすぎか)

168 :
城兵タイプの防御特化型デミウルゴス「オポジット(境界)」
通常の城兵タイプを遥かに凌ぐ防御力と耐久を持つデミウルゴス。これまでに3度の交戦記録があるが撃破報告は無い。
体長6〜7mの巨体で、人型に近いが全身はイセエビを彷彿とさせる甲殻に覆われている。また、自身と同じ大きさの巨大な盾を持ち、その盾に身を隠しながら進んでくる。
交戦記録によると同種のタイプ5〜7体と僧兵タイプ20体前後と共に現れ、オポジットタイプの後ろに僧兵がいるという単純な陣形を組んで現れる。
確認されている行動パターンは同種と横一列に並び前進するのみで、攻撃と言える行動は確認されていない。また、背後の僧兵を守るという行動も確認されておらず、背後から攻撃を受けても構わず前進する。
前進速度は人間の平均的な歩行速度と大差なく、僧兵が全滅すると約30秒後に消失する。

169 :
米兵特殊部隊指揮官「フン、アレが撃破記録皆無と言われたオポジット級か…
遭遇例の少ない希少種らしいが、ここに現れたのは運の尽きだったな!
新型の対デミウルゴス兵器の威力、試すには持って来いの木偶の坊だ」

※ワイズ・マーセナリー社製第三世代型重機兵WIM-04A「デリーター」
WM社がアメリカ陸軍と共同で開発した世界初の第三世代型対デミウルゴス兵器
機関から新たに供与されたばかりの新技術が投入されている
全長7.5m、重量30tに達する巨体ながら、従来の重機兵を凌ぐ機動性と火力を有する
カタログスペック上は単独で歩兵型を撃破可能とされるが、性能重視のため量産性に難がある

米兵特殊部隊指揮官「フハハハハ!相手にとって不足はないな!
全機、あの新種の一番撃墜星は我々がいただくぞ!攻撃開始!
錬金人類などというものに、いつまでもデカい顔はさせん!」

170 :
オポジットと称されるデミウルゴス達は、ただ歩いていた。数は7体。その後ろを僧兵と称されるデミウルゴス22体が追従する。
7m前後の巨体を誇るオポジット達の目の前に、彼らに勝るとも劣らぬ程巨大な鉄の塊達が現れた。彼らは気付いていないのか前進を止めない。
鉄の塊から幾条もの閃光が放たれる。閃光は彼らの盾に当たり、彼らの傍にある街路樹や足元のコンクリートを塵に変える程の大爆発を引き起こす。
立ち上った煙の中から出現した当初と変わりない姿を見せ、変わらない速度で歩み続けるオポジット達。
鉄の塊達が再度閃光を放つ。僧兵達が反撃を行う。街中は瞬く間に戦場となった。周囲の建物は破壊され、逃げ遅れた人々が断末魔の声もなく消える。
しかし、地獄とも言うべき場所に自分達がいることに気付いていないのか、オポジット達は前進を止めなかった。

171 :
おっと美しいお嬢さん
まるであなたは太陽のようですね
それに真珠のように美しく滑らかな肌
きらめく双眸はまるで天頂の星
その澄み切った声はヴェルツァスカ川のように清浄だ
豊かになびく金色の髪は豊穣の女神を髣髴とさせます
そして神話から抜け出てきた女神のような均整の取れた四肢は
ヴィーナス像すら幼稚に見せるほどに美しい
確かにあなたより美しい容姿の女性は他にも居るでしょう
しかしこれほどまでに心地よい容姿の女性は他には居ないと断言できる!

なんとお名前はソレイユさんと言われるのですか!
この出会いは運命!きっとあなたは私の太陽として生まれてきたのです!
そしてまばゆく輝く太陽は私の心を熱く焦がし、憧憬ばかりを残してゆく
ああどうか私を照らし続けて下さい私の太陽
あなたが居なければ私の心は真冬の氷のように冷え切ってしまうでしょう

172 :
なんや、ネキのネキ死んでしまったんか
まあやきうでも将棋でも先輩や師匠との勝負は避けて通れんしな
正面から全力でボコボコにしたるのが恩返しってもんや
ネキのネキは死んでも技はネキの中に生きとるからな
ワイは特に師匠とかおらんかったからなぁ
強いて言えばテレビが先生やった

173 :
人類の発展と、恒久の平和のために。
そして、Dominusのために。

>>164
Non.Dominus.
Dominusは男性なので、姉さまと同一視することはできません。
わたしたち『錬金人類(エリクシアン)』は全員女性ですので、兄弟はいないのです。
もし。わたしに兄さまがいたとしたら……それは。Dominusのような方なのでしょうか?
それなら。少しだけ、わかるような気がします。

Dominusにとびかかれ、というご命令でしょうか?でも……。
わたしの体当たりは400km/hに達し、厚さ70cmの強化アクリルブロックをも粉砕します。
もし、Dominusにそれが炸裂すれば、Dominusは確実に即死するであろうと予測されますが……。

Dominusにはわたしの衝撃力を吸収・無効化する、何らかの手だてがあると解釈しても宜しいのでしょうか。
では……ご命令に従います、Dominus。

ソレイユ、Dominusの胸に――全力で飛び込みます!!

>>165
ビュトス機関の最高指導者、三魔術師に関する情報でしょうか?
Dominusの仰る通り、メイザース師はわたしたち『錬金人類(エリクシアン)』を生み出した、バイオ工学の権威。
ウェストコット師は機械科学においては、まさしく世界一の知識を持っておられる方と断言できます。
『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない』――。
アーサー・C・クラークの提唱したこの法則の通り、メイザース師とウェストコット師は魔法を操る……。
正しき現代の魔術師、と言って差し支えないでしょう。

けれど、申し訳ありません……Dominus。
残るお一人、ウッドマン師に関しては、わたしも知らないのです。
お会いしたこともありません。ただ、他のお二方とはまた違った分野の碩学であると。そう教わりました。
きっと、ウッドマン師も。人類の輝かしい未来のために尽力しておられるのでしょう。

――メルキュール姉さまの力があれば、確かにマルス姉さまに対してイニシアチヴを取れるかもしれません。
ヴェヌス姉さまは、次に会うまでにどちらと戦うか決めておけ、と言っていました。

とすれば……やはり、マルス姉さまと戦うべき……なのでしょう、か……?

174 :
>>172
そういう……もの、なのでしょうか……。
わたしは。メルキュール姉さまに生きていてほしかった。
元に戻って貰いたかった。昔のように、頭を撫でて貰いたかった――。

……そう、ですね。姉さまの肉体は滅びても、魂は……その力の一部は、わたしの中に生きています。
姉さまの心を抱いて――わたしは。次の戦いへと赴きましょう。

ただ、ひとつだけ気になることがあるのです。
わたしは、メルキュール姉さまがデミウルゴスとの戦闘に敗北し、鹵獲され、洗脳されたものと思っていました。
でも……亡くなる前のメルキュール姉さまは、間違いなく以前の姉さまでした。
そして、ヴェヌス姉さまとマルス姉さまも――。

わたしは。恐ろしいことを考えています。それは、思いを馳せるだに恐ろしいこと。予想することさえ躊躇われること。
もし……もしも。
この戦いが、姉さまたちご自身の意思である……としたら……?

>>166
石の……賢者?
貴方はいったい……?
『賢者の石』。古来より、幾多の錬金術師たちが追い求め、究極の目的とした魔導具。
それは卑金属を貴金属に変え、あらゆる病を癒し、生物に不老と不死を齎したという――。

けれど。

それが夢物語であり、この世に存在し得ないモノであるということは、今や定説となっています。
いえ、正確には――“いまだ人類は賢者の石を精製するには至っていない”――と。
現行文明の200年先を行く超先端科学を有するビュトス機関さえ、それを成し遂げられずにいるのです。
失礼ですが……貴方がその究極の到達点に存在しているようには、わたしには見えません。

でも。その厚意は、嬉しく思います。
どんなものでも、何かの役に立つ。世界に、まったく何の役にも立たないものなど存在しません。
貴方のお気持ちに感謝を。ありがとうございます。

175 :
>>167
ウェストコット師が仰っておられました。
人類は同族相食む、骨肉の争いから発展してきたのだ――と。
そういう意味では……この戦いは、わたしたち『錬金人類(エリクシアン)』の進化を賭けた戦い――
そう、言えなくもないのかもしれません。
本当は、こんなことはしたくない。でも、争いが避けられないものであるのなら。
姉さまたちを守るために……わたしは。戦います!
もう、これ以上メルキュール姉さまのような犠牲者は出しません!

行くのは、いつもの商店街です。商店街の方々なら、皆さん顔見知りですから。
不審人物に声をかけられるような可能性は、ごく低確率であると回答致します。
もっとも……お肉屋さんの噂好きのおばさまのお話に捕まってしまったり。
煙草屋さんのご隠居にお茶をご馳走になったりすることが、Dominusの仰るナンパに該当するのなら。
少しだけ寄り道してしまうかもしれませんが……。ふふ。

冗談です、Dominus。おなかがすいていらっしゃいますものね、すぐに戻ります。
では!

>>171
……?ありがとうございます。
お口がお上手なのですね。そんなにたくさんの言葉がすぐに出てくるなんて、感嘆します。
それで。わたしに何かご用でしょうか?

ああ……。
これがナンパ、というものなのですね?Dominusが注意しろ、と仰っておられました。
つまり、男性が恋愛関係ないし男女関係を構築すべく、路上で女性を勧誘する行為、と。
理解しました。大変に興味深いです。

でも、申し訳ありません。
わたしには、既にDominusがおりますので、貴方の太陽にはなれないのです。
とはいえわたしが貴方の要請を拒むことによって、貴方の心が冷え切ってしまうのは不本意です。
ですから、ここは代替案を提示しましょう。
よいですか?この商店街の、右側の三番目の店舗。『大西たばこ店』というお店があります。
そこで、わたしの名前を出してください。ご隠居にお話しすれば、熱いお茶をご馳走してくれるはずです。
ご隠居の淹れるお茶は、本当に身も心もぽかぽか温まりますから。

176 :
>>168
!……ポイントF74518に敵性反応確認、これは……デミウルゴス!
Dominusがおうちで待っているというのに……!こんなときに!
……
……
……ごめんなさい、Dominus!ほんの少しの寄り道を――許してください!

あれは……オポジット級城兵……。わたしのアマ・デトワールをも弾くほどの装甲を誇るデミウルゴス。
でも……城兵を倒すことはできなくとも、周りの僧兵さえ倒せばなんとでもなる!
僧兵の数は22体、ならば未確認兵装でない限り、約11分で撃破可能!

ソレイユ――往きます!!

人々のささやかな生活を収奪し、破滅と絶望を齎さんとする偽神たち!
この『錬金人類(エリクシアン)』ナンバー7、ソレイユが……おまえたちを!倒す!

無人の荒野を往くが如く、横一列に隊伍を組んだ城兵が行進してくる。
往く手にあるすべてのものを、その巨躯と盾とで薙ぎ倒すさまは、迫り来る死の壁のよう。
標的はこの『壁』ではない――壁の後ろに控える僧兵。破滅を信仰する、深淵の司祭たち。
飛び道具は多少厄介ながら、一旦懐に潜り込んでしまえば僧兵に戦闘手段はない。一気に……破壊する!

――と、思ったのですが。

>>169
米軍の重機兵?どうして……。
――やめて!やめてください、貴方たちが戦っては――!

わたしの叫びも虚しく、米軍の最新鋭重機兵と堅牢無比な盾の城兵が戦闘を始める。
指揮官の号令一下、重機兵の無情な銃口から放たれる、圧倒的と言うしかない破壊の力。
閃光、爆発。けれど、轟音と共に吹き飛ばされたのは――標的たる盾の城兵ではなく、その周囲。
平和を謳歌していた街の、何でもなかった光景が。瞬く間に戦火によって灰燼と帰してゆく。

わたしたちが対デミウルゴスの唯一とも言える決戦兵器と呼ばれているのには、理由がある。
もちろん、強大な戦闘能力を秘めているということもある。けれど――最も重要な要素は、それではない。
わたしたちは単騎でデミウルゴスを屠る。肉弾戦で。接近戦で。
それは、周囲への被害を最小限に抑えられる、ということ。

わたしの目の前で、建物が破壊されてゆく。人々が死んでゆく。
けれど、それを齎しているのは。

『デミウルゴス』では『ない』――!

やめてと……言っているのに!!

わたしは地面を強く蹴って跳躍すると、空中でビームエッジ――エトワール・フィラントを抜いて襲い掛かりました。
デミウルゴスではなく、米軍の重機兵へ。

177 :
ソレイユ遅いなあ
ちょっと様子見に行くか

178 :
>>170
最前列にいた重機兵の銃口を備えた腕が、ドドウ……という音と共に切断されて地面に転がる。
わたしは短剣大の刃を形成したエトワール・フィラントを逆手に持つと、重機兵の間を縫うように駆け抜ける。
すれ違いざま、装甲の隙間の動力ケーブルを切断。全機を行動不能にすると、今度はデミウルゴスへ。

城兵の股下をスライディングで滑り抜け、僧兵の群れに接敵。
体術を駆使し、手当たり次第に駆逐してゆく――。

わたしが最後の僧兵の頭部を力任せに引きちぎるまで、かかった時間は8分46秒。
怒りが。わたしに敵を迅速に殲滅する力を与えてくれた……。でも、この怒りは誰へ向けてのもの?
デミウルゴス?それとも――。

僧兵を一掃したことで、城兵が光に包まれ、静かに消えてゆく。
その機構は不明。物質転移システムの一種と思われるものの、機関でも解析は完了していない。

――敵性消失を確認。戦闘モード解除。

重機兵の再起動を命じている米軍指揮官へ歩み寄ると、わたしはその顔を険しい表情で睨みつけました。

これを見てください。この光景を。この惨状を!
これは。この結果はすべて、貴方の齎したもの。貴方たちの心が引き起こしたもの。
貴方たちの殺意が。功名心が。欲望が。ここにある平和を!幸福を!焼き尽くしてしまった!
貴方のしたことは、デミウルゴスと何も変わらない――!!
今回のことは、機関でも観測していることでしょう。言い逃れはできませんよ。
厳しい懲罰を覚悟しておいてください。……では。

一方的に言い捨てると、わたしは踵を返し、その場を立ち去りました。
機関に報告すれば……きっと、出来る限りの保障はしてくれると思いますが……。
でも。失われた命は、幸福は。もう――二度と戻らない。


……心が。
……くるしいです、Dominus……。

179 :
ソレイユに愛を教えてあげたい

180 :
メルキュールが消滅した戦場跡にて、全てが解散した深夜、蠢く謎の集団
漆黒の夜戦用隠密ステルスパワードスーツに身を包んだ兵士たちが探索作業を行っていた
どこの国の者かはわからず、闇の中から光学迷彩を解き、突如現れたのだ

兵士A「やはり、見当たりません…痕跡すら…」

兵士B「目に見えるモノだけに捉われるな
ありとあらゆる手段を使って調べるのだ…痕跡は必ずあるはず
エリクシアンの血液痕の一欠けらでも見つかればいい
それだけで我々の遅れた現状は大きく進展するのだからな」

兵士C「スキャニング開始…これは?」

兵士B「どうした?」

兵士C「エリクシアン・メルキュールが消滅した地面に妙な反応が…
微粒子レベルの残留物?こんなもの、この装置でなければ発見できなかった…」

兵士B「よし、念のため地面ごと掘り返して回収しておけ…
連中の仲間割れで生まれた千載一遇のチャンス、逃すわけにはいかんのだからな」

181 :
ネキのネキが自分の意思で裏切ったからって何やねん
ネキまで裏切ってワイをRんか?ちゃうやろ?
しゃーないやん、どんなけ親しくても行く道がちゃうもんは
殴り飛ばすしかないやろ実際
ボッコボコに殴ったって言うこと聞かすねん
ていうかアレやろ、ネキのネキもドミ川ヌス児がおったんやろ
ほったらかしてこっち来てんのか?
それともデミンゴに負けて殺されたんか?

182 :
これから厳しい戦いを迎えるであろうソレイユを
対デミウルゴスに向けてさらに強化しなくてはならない
まずヒマワリを用意します
これをおもむろにソレイユの頭頂部にぶっ刺します
あら不思議!Tournesoleilにパワーアップ!
これによって従来より250%ものSol Energyが効率的に得られます
さらに使用後のヒマワリからは種を回収して食用にもできます

183 :
そろそろ一旦ビュトス機関へ戻り、メンテナンスを受けなければならないかもしれません。
その間、Dominusと離れなければならなくなるのが心配です……。

>>177
ごめんなさい、Dominus。
やっぱり、商店街の方々に捕まってしまいました……うふふ。
え?服に泥や血がついている?……そ……それは。その。
ちょっと、転んでしまいまして……。

い、今、着替えたらすぐに夕食の支度をしますから!お待たせしてしまって、申し訳ありません!

キッチンには。入ってはいけませんよ?
キッチンはわたしの戦場のひとつ。男性の立ち入り禁止区域に指定されているのですから。


……わたしは。人間の正しい未来のために。幸福のために戦っている……。
だというのに。その幸福を、他ならぬ人間自身が奪い、壊し、傷つけている――。
わたしには。その思考が理解できません。

メイザース師……。
わたしは。このまま。ここで戦っていてもよいのですか……?

>>181
……。
……。

……Dominusの言葉は、正しいはずなのに。
Dominusの言葉に、納得しなければいけないはずなのに。
なぜ。Dominusの言葉を聞き、理解しようと努めるほどに、心が切り裂かれるような思いがするのでしょうか。
申し訳ありません、Dominus。
わたしには、あなたの仰ることを受け止めることができません。

それは、きっと。わたしが不完全で未熟な存在だからなのでしょうね。
……。

――しばらく。一人にさせてください。

184 :
>>179
愛。
それについては、知識としては知っています。
他人同士、別個体が互いを慈しみ、自らと同列――いや、それ以上に大切に想うこと。
相手のためなら、どんなことでもしようと。命を投げ出すことさえ厭わないという決意。
それが、愛であると……わたしはラボで学習しました。

わたしは、Dominusを命に代えても守り通すつもりでいます。
わたしの学習した愛の定義に照らし合わせると、わたしのDominusへの感情も愛、なのでしょうか?
であれば、愛とはつまり任務であると。そう結論付けられると思います。

でも、いわゆる男女の繋がりを見ていると、任務と言う言葉だけでは説明しきれない何かがある気がしています。
家族という単位においても。伴侶を、子供を守る任務――?それが愛かと言うと、よくわかりません。
Dominus。Dominusは愛をご存じなのですか?
わたしの、この疑問に対する答えをお持ちなのですか……?

でしたら。

教えてください、Dominus。
わたしに――愛を。

>>182
Sic.Dominus.
さすがはDominusです。わたしのエネルギーに関してそこまで深く理解なさっておいでとは。
仰る通り、わたしは太陽光を武装のエネルギーに利用しています。
わたしの、この金色の――白金と言うべきでしょうか?この髪が、太陽光を吸収しエネルギーに変換しているのです。
つまり、わたしのエネルギー供給装置は頭部である、と説明できるでしょう。

Dominusの仰る通りにすれば、パワーアップが可能なのですか?では――
さっそく、商店街の花屋さんへ行ってヒマワリを購入してきます!


……花屋さんへ行き、事情を説明したところ、やめなさいと言われました。
それから、あとでDominusを呼んでくるようにと。説教する、と……。
も、申し訳ありませんDominus。わたしのせいで、Dominusにご足労を……それからお説教を……。

え。
あれはジョーク?冗談……だったのですか?
……ジョークは、『錬金人類(エリクシアン)』のわたしには少々難度が高いようです……。

185 :
>>180
「こォ〜んな夜中にゴミ掃除ィ?それともドブさらい?どっちにしてもご苦労サマだね、オジサンたち!」

パワードスーツに身を包んだ謎の一団の頭上で、不意に場違いなほど明るい声が響く。
雷鳴、閃光。漆黒の闇を束の間切り裂く、真昼のような光。
雷の輝き――
それに照らし出される、緑色のアサルトスーツの上にウサギを象ったパーカーを纏った少女。
歳の頃は10歳程度。明るい茶色の大きなツインテールが、少女の浮かべる笑みと共にゆらゆらと揺れる。

「ムダムダ、そんな残りカスをいくらかき集めたって、なァんの役にも立たないよ」
「大体さァ。地面に染み込んで、不純物と混じっちゃったカケラなんて、オジサンたちの技術じゃどうにもならないでしょ?」

崩れかけたビルの上に脚を組んで座った少女が、だぶだぶのパーカーの余った袖を揺らして笑う。

「それよりさァ。『錬金人類(エリクシアン)』のサンプルが欲しいなら、ボクが協力してあげてもいーよォ?」
「ホラぁ……欲しいんだろ?コレ。ボクらのカラダを構成するモノが……さァ……?」

ニタリ、と笑うと、少女はおもむろに右口角に人差し指を引っ掛け、ベロリと舌を出した。
小さな唇からギザギザの歯が覗く。差し出した舌先から、一滴の唾液がぽたり……と落ちる。

「でもね。タダじゃァダメだよ。ボクのお願いを聞いてくれるなら……の話」
「オジサンたちは、ボクのオモチャの兵隊になるんだ。ボクの言うことをなんでも聞く、ボクのオモチャ……電気仕掛けのオモチャ」

狂気を宿した螺旋を描く大きな瞳が、男たちを睥睨する。
少女の翳した右手に宿る、膨大な電気の力。


「えっ?ボクが誰かって?ボクは電界の女帝。一番強い『錬金人類(エリクシアン)』。名前は――」

186 :
ジュピテルたんに踏まれたいお!

187 :
>>185
>兵士「ひ、ひいぃぃぃぃっ!?バケモノォ!?」

>兵士「応戦しろ!応せ…うがああぁぁぁぁっ!!!」

ブツッ…ザザザッ…

指揮官「おい、どうした!?応答しろ!アルファ!何があった!?」

通信兵「通信…途絶です…」

指揮官「グッ…な、何が起こっているんだ?
通信途絶前に女の声らしきものも…
我々の動きが読まれていたのか?そ、そんなはずは…うおっ!?」


………
隠密部隊を陸揚げし、その後海上に撤退、彼らを指揮していた潜水艦
彼らが居たはずの海域には、謎の爆発が巻き起こっていた

188 :
メイザース=多分いい人
ウェストコット=ややマッド気味
ウッドマン=たおせない

            \_( ・_・)ハイ ココテストニデマスヨー!

189 :
ドミヌスの俺も守られるばかりでは男がすたる
厚着したブリキの兵隊でもなけりゃターミネーターもどきでもない
ただの人でしかないが自分を無力と蔑んでも戦わなくていい理由にはならない
ソレイユは姉妹とさえ争う茨の道を突き進んでいるのに…
俺は…俺だって…俺だって立ち止まってられないんだ!
そう俺の戦場は今!ここなんだぁぁぁっ!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
てりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!
どっせぇぇぇぇぇぇぇい!
ちぇすとぉぉぉぉぉぉぉ!
ハイ!ドミヌスラーメン一丁あがり!

ふぅ、仕事の後のタバコは別格だぜ

190 :
あーあ、行ってまった
まーしゃーないわな、姉が寝返って殺しに来るとかショックもええとこやろ
こうなってしまうとワイ無力やからなぁ
ワイは殺し合いの経験もなければ兄弟を殴った事も無いし
自分で割り切ってもらうしかしゃーないやん
なあ……
……素振りでもしてよ
……和田 ブルゥン ……梵 ブン ……痩せてた頃のボンズ フッ
……ラミレス ゲッツアンドターン ……カッス タマキーン

191 :
人類側で出回ってる対デミウルゴス兵器

・重機兵
デミウルゴス出現以降、ビュトス機関からの技術供与を受けた各国軍が採用・開発した新機軸の人型陸戦兵器
粒子兵器を主兵装として採用しており、機関の兵器以外では唯一デミウルゴスに損傷を与えることが可能
通常兵器としても重装甲・高機動・大火力をバランスよく実現、人型故の地形を選ばない走破性の高さも特徴の一つ
そのため、旧来の陸戦兵器の存在意義を奪い、次々に取って代わっていった
初期型の第一世代型は鈍足な移動砲台に過ぎなかったが、バーニアやホバーを採用した第二世代型の完成度は高い
現在、第二世代が世界的な重機兵の主力となっており、様々なバリエーションが存在する

ただし、肝心の対デミウルゴス戦闘では、まだまだ性能不足であることを懸念されている
第二世代型の戦力比ですら、多数の重機兵でようやく歩兵型を一体撃破可能という有様である
そのため、米国を中心に更なる技術の開示を機関に求める声が広がり、予定よりも速い供与を米国が先行して受けている

・第三世代型
米国製『デリーター』に端を発する、現状最新鋭の重機兵
従来型より大型化しているが、火力・パワー・機動性など、全ての面で大きく性能が向上している
歩兵型と単独で渡り合うことが可能とされ、早急な量産体制の確立が急がれている
…が、機関の援助無しでの世界的な流通にはまだ10年以上の歳月が必要と言われている

192 :
未来予測演算装置『エル・シャダイ』によって人類の益となる何かを成すであろうと予測された者が
Dominusとしてそれぞれ錬金人類に守られていて…錬金人類は7人だから、Dominusも7人かな
その内既に6人ものDominusが亡くなっているんだったよね
メルキュールさんが暴走したのが、6人が同時に殺された直後、ということでないなら、
それまでにそのDominus死亡の報せは錬金人類全員に来るはず
何故ならそれは人類の未来にとって緊急事態であるし、
何より錬金人類でも敵わなかった強力なデミウルゴスの出現をも意味する
それに対抗する術を探さなければならないからだ
錬金人類を強化するか、新たな戦力を加えるか、プランを練り直すか、ビュトス機関がどんな選択をするにせよ
強力なデミウルゴスの存在を現場の錬金人類達に周知しておかない理由はなかったと思う
なのに何故だろう。ビュトス機関が何もしなかったのは。やっぱりビュトス機関は…

193 :
――結論を申し上げましょう。
私は、彼ら『三博士』と『機関』によるこの世界的な技術供与体制に対し、警鐘を鳴らしたい。
人類の発展と、幸福の追求に貢献していると『見做されている』彼らの功績は、実際として確かに、目覚ましいものがあるでしょう。
然しながら私には、自らの内に芽生えるこの"本能的な危機感"を黙Rることが、どうしても出来ないのです……!

まるで動物の遺伝子を改変するかのように、一つ、また一つ。種としての階段を登らされていくような……
本来ならば自分達の力で登っていくべき『幼年期』を無理矢理にでも終わらせようとする魔力が、『機関』の技術には宿っている!! 
『彼ら』は我々が『ヒト』で在ることを、終わらせようとしているのです……!

ヒトは……人類は……いえ、『人間』には!

まだ、やるべきことが沢山残っているはずなのに。

そう思わずにはいられないのです。       


【英国科学雑誌『ネイチャー』(日本語版)20XX年 XX号 より抜粋】※後日、該当するバックナンバーは発禁処分を受けた。

194 :
「大西たばこ店」で張ってりゃビュトスの秘蔵っ子に会えるって話。
こいつはさすがにガセネタだったらしく、休みの貴重な時間を不意にしちまった。
それどころか店先の婆さんにつかまって、お茶と和菓子と世間話をたっぷり御馳走になっちまったよ。向こう一週間はどれも勘弁したい程には。
……うぷっ。

――しかし、>>193の論評だ。
全面的に肯定とまではいかないが、要所要所で頷けるところがある。
発禁前に自炊(書籍の電子データ化)しておいて正解だったな。

神出鬼没のデミウルゴスが地球に現れて、その猛威を振いだしたのはいつ頃からだろう。
そして奴らへの切り札・エリクシアンを擁するビュトスが世界の警察と祭り上げられるのに、欠片ほどの時間もかからなかった。

国家でもない単一の組織があらゆる軍隊の追随を許さぬ暴力装置を持つ。こんなことは異例だ。
だから、俺が危惧しているのは、口にするのも憚られるような、陰謀論めいた馬鹿げた話なのだ。
だから、俺は渦中の当人に出会って、その真偽を確かめたかった。

『全世界震撼! 人類の叡智"錬金人類"、7体中6体が所在不明に』

PCに映ったタブロイド紙の見出し。書いたのは俺だ。
得体の知れないタレコミをそのまま活字にしようとしている自分に嫌気がさす。
どうせ、この情報の裏をとることはできない。"彼女ら"の情報は機関によって、完璧に秘匿されているのだから。

俺はバックスペースキーを暫く長押しして、嫌悪の対象を液晶ディスプレイから一掃した。
そして新しくキーを打ち出した。内容は、例の婆さんが語った、"白服の少女"の話だった。

195 :
おいおいそんなに迷ってて大丈夫なのかソレイユ
ところで俺のヴォイニッチ手稿を見てくれ
こいつをどう思う?

196 :
あんまり無理しないでね^^;

197 :
昨日はメンテナンスにより、Dominusのお傍を離れてしまいました。
お許しください。

>>187
先ほど、ビュトス機関から連絡が入りました。
昨夜未明、ポイントD-66359にて大規模な電力放出を観測。
また、その数分後に東京湾沖で所属不明船舶の爆発。
確認したところ、所属不明のパワードスーツの一団の死体を確認したそうです。
死体はすべて焼け焦げており、まるで落雷の直撃でも受けたかのようだと――。

……電力。雷。

それがもし、本当であるのなら。……いいえ、そもそも機関の報告に誤りなどないのですが……。
それが、人為的なものであるのなら。
間違いなく『錬金人類(エリクシアン)』の仕業でしょう。
そして。雷を操る者は、わたしの姉妹の中にはひとりしかいない。

――PEX-005『ジュピテル』。

>>186
えっ!?ジュ、ジュピテル姉さまに踏まれたい……ですか?
どうして、突然そのような……。

……。
……。
……あの。
わたしは、基本的にDominusの仰ることには異議を差し挟みません。
Dominusのなさることは、いつも正しいと。そう、信じていますから。
……けれど、ジュピテル姉さまに関するその希望だけは、おやめになった方がよいとご忠告申し上げます。

ジュピテル姉さまは姉妹の中でも一番幼い外見をしておられますが――
その力は強大無比。加えて、とても激しい嗜虐心の持ち主でいらっしゃいますので……。
わたしも、ラボでは随分いじめら……いいえ、相手をさせられました……。

198 :
>>188
さすがはDominusです。簡素かつ的確な人物評だと思います。
メイザース師は、とてもお優しい方です。わたしも……ずいぶん甘えました。
師のお膝の上で、絵本を読んで頂いたときのこと。――今でも、温かな記憶として心に残っています。

ウェストコット師は苛烈なお方。結果を第一に考えられる、真の碩学と言えるでしょう。
結果のためには、人道を逸脱した実験も辞さないところがおありです。
その方針の違いで、メイザース師とはたびたび衝突しておられました。
でも、お二人とも心の中ではお互いを認めておられるのだと思います。

でも、ウッドマン師に関しては……本当に、わからないのです。
倒せない、とは?Dominusは何か、ウッドマン師のことをご存知なのですか?

……リーフシールド?わかりません……。

>>189
すばらしいです、Dominus!
この、透き通ったスープ……これは魚介と鶏ガラで出汁をとったのですね。
麺は太目の縮れた玉子麺。スープが絡みやすく、またコシがあって歯応えのある食感が味わえます。
具も叉焼、煮卵、メンマとベーシックながら、味わい深いものばかり。

Dominusの腕なら、今すぐにでも店舗営業を開始できると自信をもって回答致します!
わたしは理解しました。Dominusはラーメンで人類史に名を遺されるお方なのですね!
おかわりをリクエストします!

ああ……このDominusのラーメンを、メイザース師にもぜひ食べてもらいたい……。
ええと。出前は可能でしょうか?

199 :
>>190
――Dominus。
しばらく考えてみましたが、やっぱり、わたしにはDominusのお言葉を飲み下すことができません。
以前も申し上げたように、わたしは戦いが苦手です。
できるなら、話し合いで何とかしたい。たった七人の姉妹、昔のように仲良くしたい……。

でも。

戦う以外に、何も選択肢がないというのなら。
それを選ぶしかない。わたしの戦闘力で姉さまたちを無力化し、話を聞くしかない――。

Dominusがやきう第一で、わたしやわたしたち姉妹に興味がないことは、理解しています。
けれど。せめて。
被害を最小限に抑えることができるように。また、姉さまたちと穏やかに過ごせるように。
ほんのちょっとだけ。祈っていてくれれば……嬉しいです。

>>191
……今日も、海外の紛争地帯で重機兵が戦闘している映像がニュースで流れていましたね。
ビュトス機関の技術供与は、従来の兵器製造に決定的なパラダイムシフトを齎しました。
現行文明の200年先を行くという機関の超先端技術、その一部が開示されることにより、兵器は人型へ移行。
それまでフィクションの世界でしか存在し得なかった人型兵器が、現実の世界に出現しました。
提供技術の最終決定権を持つウェストコット師は、かつてこう仰られていました。

「奴らにくれてやる技術など、アレに比べればブリキの兵隊に等しい」と――。

アレ、とは言うまでもなく、師の最高傑作。地球最強の兵器。

ARMG-00『アルマゲドン』……。

でも。いくら師にとって取るに足らない技術でも、現行人類にとってはオーバーテクノロジー。
すでに人類は、核という最終兵器を手にしているというのに。
これ以上の破壊力を有する兵器を手に入れて、いったいどうしようというのでしょうか?
わたしには。……わかりません。

200 :
>>192
Sic.Dominus.
姉さまたちの守護していたDominusが亡くなられたという情報は、わたしの元には届いておりません。
それどころか、機関の方でもその事実を把握していなかったそうです。

メルキュール姉さまがデミウルゴスに敗北し、鹵獲・洗脳されたというのは、わたしの推察に過ぎません。
推察というか、願望というか……。あの優しい姉さまが、嬉々として人をRなどありえないと。
きっと自分の意思ではないに違いないと……そう、思い込んでいるだけですから……。
わたしの推論が正しいという根拠は、何もないのです。

機関の方でも、今は全力で姿を消した姉さまたちの消息を追っています。
ただ、世界中に散らばっていたはずの姉さまたちは現在、全員日本にいる。
それだけは断言できます。――感じるのです。
わたしたちは、世界にたった七人の『錬金人類(エリクシアン)』。七人だけの、姉妹……ですから。

Dominusはずっと、ビュトス機関に疑心を抱いておられますが……。
わたしには、メイザース師が何か隠しているとは思えません。
でも……そんな浅はかなわたしの考えを遥かに凌駕する深謀遠慮が、ある……のでしょうか……?

>>195
申し訳ありません、Dominus。
確かに、わたしは迷っています。わたしは、これからどうすればいいのか。
戦えばいいのか。それとも、別に選択肢があるのか。
お願いですDominus、わたしに……指示を与えてください。
でないと……胸が、今にも張り裂けてしまいそうで……。

ヴォイニッチ手稿。
1912年にイタリアのウィルフリッド・ヴォイニッチが発見した稀覯書ですね。
多くの人々が解読を試みたものの、今なお謎の文献として存在し続けている――

でも。これは機関のデータベースにある手稿とは少々異なるようですが……?
えっ?Dominusがご自分で作成されたのですか?

……。
……。

……す、素敵です!

201 :
>>194-195
こんにちは、ご隠居さま!ご機嫌いかがですか?今日もよいお天気ですね!
……え?わたしのことを色々聞いていった人がいた?それは……一体どんな?
そうですか……。ありがとうございます。

商店街の方々は、わたしのことを大変かわいがって下さいます。
煙草屋さんのご隠居も。お肉屋さんのおばさまも。わたしが買い物に行くたび、皆さん温かく迎えてくれます。
今回は――みなさんが、わたしのことを匿って下さったようですね……。
これからもきっと、わたしのことを詮索する人間は増えてゆくはず。
当初は、Dominusの身の安全だけを守れればよいと。Dominusが第一で、わたしはどうでもよいと。
そう、思っていましたが……。
これからは、わたし自身のことも配慮しておかなければなりませんね。
Dominusを。そして、大好きな商店街の皆さんを守るために。

ビュトス機関の内情は完全に秘匿され、一般人にはアポイントを取ることすらできません。
機関と接触できるのは、各国の最高指導者レベルのみ――そしてその内容はトップシークレット。

だというのに、世の中にはビュトス機関の名が当たり前のように出ている。
機関を糾弾する者も少なくない――けれど。
それでも。機関が人類の平和と繁栄を第一に考えているということは、疑いようがないのです。

いつか。人類の脅威となるデミウルゴスが消滅し、真に平和な世の中が訪れたなら。
人間が兵器を捨て、覇権の野望を捨て、手に手を取って穏やかな道を歩むようになったなら。
きっと、機関もその抱いているすべてを詳らかとするはずです。
そんな時間の一刻も早く訪れることを、願ってやみません。

今は、まだ早いのかもしれない。けれど、必ず。
――人類に、黄金の夜明けを。

202 :
>>196
ありがとうございます、Dominus。
新たな防衛陣地を築いて以来、以前を上回る賑わい。大変感謝しています。
これからも、わたしはDominusのために、皆さんのために。世界のために戦います。
どうか、見守っていてください。

姉さまたちが、すぐ近くまで来ているのを感じます。
きっと、その思惑は様々でしょうが――わたしは、一人一人に話を聞いていきたいと思っています。
例え、拳を交えることになっても。

メルキュール姉さまが言っていた『トロイア計画』。
『二度負けたら用済み』という、マルス姉さまの発言。
わたしたちの機先を制そうと画策する米軍、リバースエンジニアリングを目論む国々。
そして『巨神(デウス)』――。

知らなければならないことは、まだまだたくさんあります。
受け止めるには辛い事実もあるでしょう。知らなければよかったと思うようなことも。

けれど――

わたしは。往きます。

203 :
Dominus、>>201の回答は>>193-194の誤りでした。
謹んでお詫び申し上げます。

204 :
戦いたくないだろうけど、誰と戦うか決めたかい
そしてその戦法も考えたかい

205 :
でもよ、ネキはワイをデミウルゴスから守るために来てんねんやろ?
もしも、もしもやぞ
ワイが突然失踪して……例えばネキに何も言わずにプエルトリコにやきうやりに行って……
そう(ワイが失踪すると)なればそう(ネキはお役御免に)なるやろ
んでネキはネキのネキと一緒に仲良く過ごせるんちゃうん
それでええんちゃうか
ワイは正直ビュカスだドミンゴだはどうでもええし

206 :
もう誰も争わなくていいんだ
僕も君も争いではなく共に歩むことで道は続いていくんだ
だから遠慮なく僕の胸に飛び込んでおいで
僕は君のDominusにはなれないかもしれない
でもこの身ある限り君のすべてを受け止めて見せるよ

ってジュピテルに言ったら見事にローストチキンにされちまったぜ
フフあれは人生で最高にビビッと来たぜ
っ痛、ほんとに全力で来る奴があるかよ…
でもそんな…恋も悪くは……ないよな…

207 :
愚鈍、浅薄、脆弱、無為、弁えよ!
(群がるポーン型を次々と叩き潰していく異形の巨人)

この程度か烏合!もっと力を見せろ!
我の本能はこの程度では満たされん!
…貴様?そうか、フッハッハッハ!
道理で感覚が馴染まぬ世界だと思ったわ!
貴様であれば良き滾る闘争が出来そうだが、最早時間だ…
さらばだ!実に残念であったぞ!フッハッハッハ!
(黒いエネルギーの奔流と共に姿を消す)

208 :
姉妹たちの反乱とデミウルゴスの侵攻は連携してんのかな。
それともそれぞれ個別の事象なのか。

209 :
これは子猫型デミウルゴス
こちらは豆柴型デミウルゴス
これらは主に戦闘員に攻撃を躊躇わせるための囮として使用されると思われます
これに気をとられていると側面や背後から強襲をかけられますので、見つけたら注意して下さい
さらに人々の間に入って情報収集活動もしているようです
決して持ち帰ってはいけません
子猫型豆柴型共に無許可での所持や飼育が見受けられます
敵に情報を流出させる原因になりますので直ちに破棄、もしくは当局に提出して下さい
違反者は規定により3ヶ月以上の懲役に処されます

210 :
オリジン「ミス・ソレイユ、またお会いしましたね
       あの場以来でしょうか?
       まだ、そう日は経っていないはずですが、随分と久しい気がします」

そこには、出会った時とは随分様変わりした意匠のオリジンが立っていた
どうやら強化措置を受けたらしく、機体各所に装着された武装ユニットが無骨な雰囲気を醸し出している

オリジン「ああ、これですか?私が装着することを想定して開発された戦闘用武装ユニットですよ
       やはり、通常フレーム程度では、貴女方錬金人類相手には少々分が悪いので…
       重くてダサくて、私は大嫌いなのですが、命令には逆らえません…」

やれやれ…と言った様子で物々しい駆動音を響かせながら肩を竦める

オリジン「ミス・ソレイユ…現状、貴女の姉たちとまともに戦える戦力はごく僅かです…
        私ですら完全武装しなければ、ミス・マルスのような戦闘特化の個体をまともに相手には出来ません
        …正直、あの時退いてくれたのは助かりました
        ですから、彼女らとの戦いでは、貴女が要となります…覚悟はおありですか?
        今後貴女の戦闘をバックアップする身としては、悩んだままの貴女に背中を預けたくはありません
        私の立場で口を出すのは心苦しいですが、それだけは伝えたくて…」

211 :
???「…意識がある?だが、まだ神は動いていない…ということは…
      クク…そうかそうか、見事だ人間ども…
      我を呼び起こさせる程度には尖兵どもを下したということか!
      そうこなくては、強大な敵に備えて創造された我ら『使徒』の存在意義がない!
      ククク…待っておれよ!」

212 :
ソレイユ、帰還しました。
では、参りましょう。

>>205
……。
……。



………………そう、ですか。

>>206
「♪あーララ、アらら。もーぉコワレちゃったーァ!ちょぉーっと強めに電流を流しただけなのにさァー?」
「男なら、ちゃぁーんと女の愛を受け止めなくっちゃダメじゃん?やっぱり下等人類は脆すぎちゃってダメだね!」

歌うように、踊るように、ジュピテルは黒焦げにした男を打ち捨てた。
さらに、倒れた亡骸を爪先で何度も何度も小突く。

「ねー、なんでそんなに脆いの?すぐ死ぬの?こんなんじゃ、ソレイユと遊ぶための準備がいつまで経ってもできないじゃん?」
「ねー、ねー、ねーねーねーねーねー!聞いてんのォー?……あぁ、死んでるから答えられないか!キャハハハハハハ!」

死体に興味をなくすと、ジュピテルはそっと目を細める。
オモチャを見つけた子供の目。ネズミを甚振る猫の眼差し。
笑いながら虫をバラバラにする、無邪気な幼子の瞳――

「もうちょっと。もうちょっとだけ、準備に時間がかかる。でも……それが終われば、とびっきりのショーが始まるんだよ」
「ボクのオモチャ、電気仕掛けの兵隊たちに……ソレイユがどう立ち向かうのかな?ああ……楽しみ!」
「アッハ……アハハハハハハッ、キャハハはハハはははハはハははハハハハ……ッ!」

パチン、とジュピテルが指を鳴らす。同時に、いずこかに設置されていたスポットライトが幾重にもジュピテルを照らす。
ジュピテルの背後に群れなす、漆黒の重機兵たちの姿も――。

213 :
>>211
Dominus、お勉強ですか?
……どうして隠されるのです?隠さなければならない、わたしに見られると困るものなのですか?
そうではない?では、よかったら拝見させてください。

これは……小説、ですね。
人類の中から選ばれた英雄の青年が、ヒロインの少女を守りながら戦う物語。
ふむふむ……。

……面白いです。引き込まれる展開で、物語に没入できますね。
特に、この主人公の青年がとても好感が持てます。何があろうと、頑なにヒロインの少女を守るという姿勢が。
そしてこの『使徒』と呼ばれる敵!ああ、わたしが物語の登場人物なら、ぜひ協力させて頂くというのに!

ただ、Dominus……。
この、ヒロインの少女の外見的特徴なのですが。
とても、その……誰かに似ているような気が……。

>>208
回答不能と申し上げます、Dominus。
そもそも、姉たちが本当にビュトス機関に、さらには人類に対して反旗を翻したのかどうかもわかりませんし。
目的が不明な以上、その行動も予測ができません。
ただ、デミウルゴスに関しては、多少行動パターンに規則性が見出せるということです。

デミウルゴスは世界の主要都市にのみ姿を現し、発展途上国や後進国には姿を現しません。
特に、その標的はかつて姉たちのいた都市に集中しているように見受けられます。

そして――

ターゲットとなっている国々は、いずれも機関より技術供与を受けている国々なのです。

214 :
>>204
Non.Dominus.
……わたしには、まだ踏ん切りがつきません。
戦わねばならないということは、分かっているのです。……理解は、しているのです。
でも。心のどこかで、まだ姉さまたちと分かり合うことは可能かもしれないと――戦いを回避したいと思う自分がいるのです。
そのまま、グズグズと。煮え切らない気持ちのまま、ここまで来てしまいました。

戦う決心がつかない以上、戦う相手も――そしてその方法も決められません。
決意どころか、このまま誰とも会わなければいい。やり過ごしたいと……そんなことさえ考えている……。

お願いです、Dominus。わたしに、啓示をお与え下さい。
福音を。これからどうすべきか、その道しるべを――。

>>210
――あなたは。『機械化人類・始祖(メカニゼイター・オリジン)』……。
その姿は……。
機関の強化措置を?けれど、過剰な火器や殲滅兵器の搭載は契約に反するはず。
まして、機関の理念にも……。ウェストコット師のお考えなのでしょうか?

……。
そうです、ね……。わたしは、確かに悩んでいます。
Dominusにも言われたことですが、まだ、誰と戦うべきなのか。何をすべきなのか。
その選択さえできていない……。

オリジン。あなたの仰ることはもっともです。でも……わたしは、それでも戦いたくないのです。
もし。次に姉と会うことがあれば、今度こそわたしはその真意を問いたい。
そして――叶うなら、もう一度。昔のように仲良くしたいのです。

意気地なしと。惰弱だと思われるかもしれません。
でも、それが――今のわたしの、偽らざる本音……です、から。

215 :
>>207

……ポイントB02188にて高エネルギー反応!中心地へ急行します!

あれ、は……?いったい何者なのでしょうか?
見たこともない異形が、歩兵型デミウルゴスを蹴散らしている……。どこかの国の新兵器なのでしょうか?
でも、あんなタイプは報告されていません。
Dominus、下がってください。――敵か味方かもわからない高エネルギー体……警戒するに越したことはありません。

!?……ッ……!
――消えた……。

あれはいったい何だったのでしょうか?あんな兵器は初めて確認しました。
今はもう、気配さえ感じられません。完全に反応が消失してしまいました。

でも、戦うような事態にならなくてよかった。
戦えばきっと、この一帯は只では済まなかったでしょうから……。

>>209
急速に朽ちてゆく歩兵の陰から、小動物型の何かが逃げてゆく。
でも、真に注意すべきなのは、そんなものではない。

「おいおい、妙な反応を感じたから暇潰しに来てみりゃ、オメーかよソレイユ!」

正体不明の存在が消滅した場所、その丁度反対方向から聞こえる声。
振り返れば、そこには緋色のアサルトスーツを纏った20歳前後とおぼしき女性がひとり。
真紅の髪を松明のように靡かせ、炯々と輝く双眸で射抜くが如くこちらを見る、七姉妹の四女。

PEX-004『マルス』――。

――姉さま!!

「いつの間にあンな力を手に入れた?ひょっとして、対オレ用の秘密兵器ってヤツかァ?クハハハッ、そりゃ面白ェ!」

ゴッ!と炎の燃え盛る音と共に、マルス姉さまの打ちつけた両拳に炎が灯る。
口角にへばりついた、いかにも好戦的な……戦いと破壊を悦楽とする凶暴な笑み。

「どんな奥の手があったところでオレにゃ無意味だがな。あー、もう無理。金姉にゃ悪ィが、先に喰っちまおう」
「もうチョイ我慢しとこうかと思ってたが、遭っちまっちゃァこりゃ、もォどォにもならねェもンなア!」

姉さま――やめてください!また、昔のように仲良く……

「そこのガラクタもついでに片付けてやンよ。そのクソゴツイ装備、飾りじゃァねェンだろ?いいぜいいぜ、どんどん使いな!」
「テメエらの持つすべての武器を、技術を、作戦を!片っ端からブッ潰して勝つ――それがこのオレの快感よ!さあ――」

ポイントB02188、かつてデミウルゴスに破壊され、廃棄された市街地……居住区の廃墟で。
炎熱の顕形が、その力を解放する――。

「闘ろうぜ!何もかも燃やし、焼き尽くすほど……熱く熱く、熱く――!行くぞォォォォォォッ!!」

今なお戦う決心がつかず、呆然と佇むわたしへと、疾駆する姉さまが恐るべき速度で迫る。
炎が。やけに鮮やかに見えた。

216 :
ついに来てしまったか……マルス姉さん。
応戦するんだソレイユ。
闘いたくない君の気持ちもわかるけど、君がいなくなってしまうほうが……もっと辛い。
まずは彼女の武装を解析するんだ。

そうだな……
チェスで鍛えた僕の空間認識力と
非流体力学に基づくな形状洞察力によれば

――――92のE。釣り鐘型だッ!!

217 :
オリジン「危ない!」

ソレイユの様子を見て、危機を察したオリジンはソレイユの前に出る
体格に比して巨大な両腕のマシンアームの一部が展開、
透き通った掌大の六角形が無数に集まったバリアウォールを展開し、マルスの攻撃を正面から受け止める
物理障壁「守勢練陣」、オリジンの守りの要にして、展開範囲を自在に制御可能な「触れる」バリアである
しかし、炎の威力はすさまじく、直ぐに六角形の集合体の障壁にヒビのような損傷が見られ始めた

オリジン「くあっ…!?なんという出力と熱…私の守勢練陣を容易く突破するか…!
      …ミス・ソレイユ、何をしているのです!覚悟を決めなさいと忠告したはずです!
      貴女の姉でも、今のミス・マルスは戦うべき敵なのです!
      自身の使命を忘れましたか!?人類を、貴女のDominusを守ることが…があっ!?」

瞬間、限界を迎え粉々に砕け散ったバリアフィールド、オーバーヒートしたオリジンの腕の一部が破損
更に衝撃により激しく吹き飛ばされ、火だるまになりながら遠く離れた瓦礫の中に突っ込んでしまう

218 :
マルスの胸囲的な戦闘力に対し、我らがソレイユのそれは慎ましやかであった。いやさステータスであった。

219 :
見よ!ソレイユ
あれがわが国日本が誇る太陽達だ
あの禿げたおじさん達が日本版ソレイユなのだよ君
彼らの光り輝く頭頂部を見たまえよ!あれこそ太陽ではないか!
日本国民の総氏神たる天照大御神は太陽神
我等も太陽の子というわけだなフハハハハハ!!!
日本とフランス、外見では圧倒的に水をあけられては居るが
この物量!戦争とは質ではなく数で戦うものなのだよ!

220 :
マルスさんてさぁ、もしかしてすんげぇ弱い?
待ちきれないなんて言ってるけど、戦う覚悟もできてない相手といきなり戦おうとするなんてさ
それで勝ったとして、よっしゃあ完璧に勝った。相手の奥の手まで全部潰してやったぜ!なんて
言えると思ってるのかい。もしそうなら小物過ぎて笑っちゃうぜ
全力のソレイユとぶつかっても勝てるって思ってるなら、
彼女が納得して全力で戦えるようなぜ戦うかだとか現状の説明の一つもしてやったらどうなんだ

221 :
退いてな…ソレイユ…
そんな卑怯者のメス犬なんざあ、おまえさんが戦うことはねえ
俺が一ひねりで叩き潰してやるからよ!ホォレ!
(パワーを全開にしてマルスにショルダータックルをかます)
(マルスの倍以上のサイバネティック筋肉達磨のタックルは岩塊すらも容易く粉砕する)

おっと、逃がさねえぜ?
(そのまま吹き飛ばさせず、頭部を鷲掴みにして捉える)

ボディが!がら空きだ!ホォレ!死ぬぞ!
(そのまま連続で貫手を叩きこむ)
(機械化された手の爪は鋭い鋼鉄製の爪になっており、威力は非常に高い)

222 :
[拡散希望!]
参考になりそうなURL送っておきます
電磁波による拷問と性犯罪
http://denjiha.main.jp/higai/archives/category/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E
公共問題市民調査委員会
http://masaru-kunimoto.com/
この方たちは集団訴訟の会を立ち上げてマスコミに記事にしてもらう事を目的に集団訴訟を被害者でしようという試みを持っている方達です
訴訟は50人集めてしようという事なのですが50人で訴訟をすると記事に書けるそうです
記事には原発問題を取り上げてテク犯被害を受ける様になった大沼安史さんらが取り上げて下さるそうです
大沼安史さんがテク犯に遭っているという記事
http://ameblo.jp/hilooooooooooooo/entry-11526674165.html
大沼安史の個人新聞
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/4/index.html
この方たちは電話相談等も受け付けている様で電話番号を載せている方達は電話かけ放題の契約をしていますのでこちらから電話して本人にかけ直してくれと頼むとかけ直してくれます
音声送信被害等を受けている「電磁波による拷問と性犯罪」の記事の水上さんは年金暮らしなので時間には余裕があるそうで被害内容の話等を聞いてくださると思います
もう一人の電磁波犯罪には遭っていない国本さんという方は電磁波犯罪をしっかり理解されている方で年金暮らしの方なので長電話も大丈夫です
大沼さんはこちらのページからメールを受け付けておられる様です
http://onuma.cocolog-nifty.com/about.html
電話をかけたい場合は人によってはメールで電話番号を訊くと教えてくれると思います
この文章を見られた方は全文コピーをしてできるだけ多くの知り合いの被害者の方等にメールを送るなり被害者ブログに書き込むなりしていただければ大変有難いです
もし大勢の方に送る事が出来なければまだこの文章に触れていない知り合いの被害者に少しでも全文コピーで送っていただけるとその方が次の何人かの方に繋いで頂ける場合があり結果として大勢の方に見て頂く事が出来るはずです
ご協力よろしくお願い致します 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:f70dfdc711a7c6ae6accccb939f27fbf)


223 :
参りましょう。

>>217
「カハハハハハハッ!いいぜガラクタァ!鉄クズかと思ってたがよォ、殴り心地は及第点だ!」

燃え盛る炎を纏った拳でオリジンを殴りつけ、マルス姉さまが喜悦を露にする。
『機械化人類(メカニゼイター)』最強のオリジンをも軽々と吹き飛ばす、マルス姉さまの火力。
その揺らめく炎が闇を退け、周囲をあたかも昼間のように照らし出す。
ああ。その炎は、人々の縋るべき希望。
人類を導く温かな灯であったはずなのに……。

「ガラクタの言う通りだぜ、泣き虫ソレイユ。テメェは何だ?テメェは戦うために生まれたンだ。テメェは兵器なンだよ!」
「戦えねェ兵器に存在価値はねェ。そンなら、オレが引導を渡してやる。有難がってくたばンな、Dominusと一緒になァ!」

……ド……、Dominus……。

わたしが戦わなければ、Dominusが。
クラスメイトの皆さんが。商店街の方々が。
わたしの大切な人たちが、死んでしまう――!

>>220
なおも戦いに躊躇し、逡巡するわたしの耳に、Dominusの声が届く。
それは、マルス姉さまを挑発する言葉。マルス姉さまの心を波立たせる、危険な文言の羅列。
Dominus!危険です、マルス姉さまを刺激しては――!

「テメェ……。人間のクセしやがって、好き放題言ってくれるじゃねーか」

Dominusを睨み、姉さまが不快を露に唇を歪める。その手に宿った炎が、感情の昂ぶりに反応して激しく燃える。
このままでは、姉さまの怒りの矛先がDominusに向いてしまう……!
――そう、思ったのですが。

「フン、確かに戦意もねェヤツをブチのめしたところで、完封とは言えねェな。しょうがねェ」

おもむろに構えを解き、腕組みすると、マルス姉さまはDominusの言葉に一度頷きました。

「答えられる範囲で答えてやンよ。その代わり、それが終わったら殴り合いだ。いいな?ソレイユ」

……あぁ……!信じられません!
まさか、姉さまがDominusの言葉に耳を傾けてくれるなんて……!
ひょっとして。Dominusは姉さまの性格を考慮して、こうなるよう誘導してくれたのでしょうか……?

224 :
>>218
「で?何を知りたいって?」

豊かなバストを誇るかのように胸の下で腕を組んだマルス姉さまが、そう問うてくる。
傍若無人で、喧嘩早くて、凶暴で。けれど嘘のつけない、とても純粋なマルス姉さま。
その様子や物言いは、ラボで姉妹仲良くしていた頃と何も変わらない。

わたしは意を決し、姉さまから事情を聞くべく口を開きました。
姉さまたちは、なぜビュトス機関の――人類の敵となるような行為をしているのですか?

「それは言えねエ」

では――その行為は、姉さまたちご自身の意思なのですか?それとも……?

「秘密だ」

メルキュール姉さまの言い残した『トロイア計画』とは?二度敗れると用済みという言葉の真意は――?

「内緒だ」

……。
……。

「おっと、別にイジワルしてるワケじゃねェぜ?オメェも錬金人類ならワカるだろ」

マルス姉さまは腕組みを解くと、軽く肩を竦めました。

「オレたちにゃ『喋れること』と『喋れないこと』がある。ロックがかかってるお陰で、喋りたくとも喋れねェのさ」
「だが……『錬金人類』の証、額と胸元のカドゥケウスが破壊されれば、すべてのロックが一時的に解除される。つまり――」

真相を聞くには、戦って……マルス姉さまのカドゥケウスを破壊するしか、ない!

>>216
Sic.Dominus.
PEX-004 高熱源処理型エリクシアン『マルス』の武装を解析します。

刃から高熱を発し、全てのものを溶断する戦斧――
EXW-091S 超高熱溶断火炎斧『マルス・ティタン・ドゥ・フランム』。
ありとあらゆる高熱源体を制御し、自らの支配下に置く遠距離兵装――
EXW-0944L 高熱源処理システム『マルス・フー・ド・ジョワ』。
圧倒的なボリュームを備えながら、決して形の崩れない完璧な胸――
……胸……?

と、とにかく。
マルス姉さまはその名の通り、炎を統べる方。戦い方もその苛烈な性格を反映し、徹底したインファイターです。
飛び道具の類は『持っていても使わない』――。そこに、わたしの付け入る余地がある。
Dominus、わたしは決めました。
現状で持てる、すべての力を使って――。

わたしは。マルス姉さまに勝ちます!!

225 :
>>219
「やァーっと闘る気になったかよ。ったく、ここまで説明してやらねェといけねェなんて、世話のかかる妹だぜ」

……すみません、姉さま。

「まァ、オメェは昔からそォだからな!だが……手加減はしねェぜ。オメェが負ければ、Dominusが死ぬ。他の人間も死ぬ」
「それを肝に銘じておきな!じゃァ――始めようぜェ!」

姉さまが吼える。それは、再度の戦いを告げる鐘の音。
だというのに。

突然現れたパワードスーツの一団が、わたしたちを包囲する。
旭日が描かれた、日本の重機兵たち――。
指揮官と思しき一機の哄笑が、わたしたちを嘲るように響く。

「チッ……。ちょいとモタモタしすぎたか。ッたく、ダメな妹を持つと何事もサクサク進みやしねえ」

不快に姉さまが舌打ちし、重機兵たちをねめつける。
日本のわたしを標榜する重機兵たちが、一斉に銃口をマルス姉さまへと向ける。
耳を劈くような射撃音と、わたしやDominusたちまでも吹き飛ばさん勢いの爆発。
例えエリクシアンでも、この攻撃をまともに浴びてしまっては……。

「……カハハハハハハッ!!」

濛々と立ち込める煙の中から聞こえる、愉快げな笑い声。
拳だけではない、全身を紅蓮の炎に包んだ姉さまは、土煙を払いのけると一度両拳を打ち鳴らし、

「生憎だが、姉妹喧嘩にギャラリーはいらねェ。お引き取り願うぜ、地獄までな!」

そう言って、重機兵たちの真っ只中へと突進していきました。

226 :
>>221
そこから先の凄惨な光景に関しては、わたしは語る口を持ちません。
獅子が鹿を狩るように。虎が馬を屠るように。
荒ぶる姉さまが、無人の野を進むが如く重機兵たちを平らげてゆく――。
後に残るのは、かつて重機兵であった残骸。生前の面影さえなくした、ただの黒炭。

「カッハハハハァ――ッ!テメェら、もっと気合を入れやがれ!それでも機関の技術供与した重機兵サマサマかァ!?」

重機兵たちの間に動揺が走る。このままでは、ものの数分ですべての重機兵が破壊されてしまう。
そんなとき。
筋骨隆々の肉体を機械兵装でさらに強化させた『機械化人類(メカニゼイター)』がひとり、戦場に現れる。
わたしを押しのけ、マルス姉さまへと向かってゆく……。
でも。

「うるせェぞ!ブツブツ独り言言ってンじゃねエ筋肉ダルマァ!」

姉さまの炎を纏った拳が、男の分厚い筋肉を易々と貫通して臓腑にまで達する。
姉さまの短い呼気と共に、炎が男の体内を駆け巡る。熱が、火焔が、内臓を――埋め込まれた機械の悉くを焼き尽くす。

マルス姉さまの必殺技、戦術爆炎殺『マルス・ウラガン・エクスプロジオン』……!
右腕一本で男の巨体を頭上に掲げ、真紅の炎で爆殺し、マルス姉さまが笑う。

「さァ……ソレイユ!邪魔者は消えたぜ、楽しい楽しい姉妹喧嘩のお時間だ!」
「かかって来いよ、テメェの大事なDominusを黒焦げにされたくなけりゃァな!カハハハハハッ!!」

全身に炎を纏った姉さま。――炎熱の顕形、戦いの神の名を持つ者……マルス。
絶対的な力の差を感じながらも、わたしは。
それでも、ゆっくりと身構えました。

227 :
マルスさん、非礼を詫びるよ。あなたは素直で爽やかでそして熱い人だ
ソレイユ。触れられたら最後、燃やし尽くされる
距離を取り、逃げながら戦うのがいいと思う
そうして持久戦を続ければ、焦れたマルスさんが必殺技を放とうとするなり周囲の人を狙うなり
なんらかの行動を起こして隙ができたりするといいなぁ!

228 :
やれやれ……収穫はゼロか。
違うな。『マル姉さんを倒せば、教えて貰える』ってことがわかったわけだ。

ところでソレイユ。

こんな時に聞くのもなんだけど、メイザースさんってもしかしてお母さんキャラなのかな?
世間では男性として認知されてるけれど、実は女の人なんじゃないかって気もしてきたよ。
もし出来るなら、今度君たちの生みの親に会わせて欲しいな……一言、物申したい。
え? 駄目だ。教えない。極秘だ。

あとなソレイユ。

君は……兵器なんかと違うからな。
学校の皆も、商店街の人らも、野球クラブの子供たちも、君が強い兵器やから好きになったとちゃうんやで。
勿論、マルス姉もな。

229 :
2体の錬金人類がぶつかり合おうとする廃墟街の戦場
元よりそこには、2体の錬金人類とDominusしか居ない
静寂を打ち破る轟音と爆音がぶつかり合う

230 :
ルードヴィル「オリジンが気絶だと?」

助手「はい…どうもそのようで…」

ルードヴィル「この肝心な時にか…
         これだから人間ベースのメカニゼイターなど役に立たんというのだ
         いや、そもそも兵器に感情など必要ない
         その意味ではエリクシアンとて例外ではない
         現にアレでさえ、自分の姉妹と戦うことを躊躇し、オリジンが被弾する原因を作った
         ウェストコットめ、ヤツは力の使い方というものを分かってはいない」

この男の名はルードヴィル
ビュトス機関に所属する科学者の一人であり、オリジンのメンテナンスを任されている人物であった
最近、機関の内部で発言力を強めている「解放派」と呼ばれる派閥に属している
「解放派」とは、初期に封印されたオーバーテクノロジーの解放を訴え、より強い力を持つべきだと主張する集団である
周囲にこそ知られていないが、彼はその中でも特に過激な思想の持ち主であり、エリクシアンやメカニゼイターなど、
感情を有する兵器の存在に否定的であった

ルードヴィル「コード・バーサクを起動しろ!オリジンは確か検証機だったはずだからな」

助手「え、いや、しかし…、バーサクの使用にはウェストコット師の許可が…」

・コード・バーサク
一部のメカニゼイターに試験的に搭載されている戦闘補助システム
しかし、戦闘補助とは名ばかりで、起動した瞬間、そのメカニゼイターの自我や意思を消去し、
ただ戦うだけの、文字通りの純粋な戦闘マシーンに変えてしまう非人道的なシステムだった
暴走を促すものではないが、結果的に搭載されている、メカニゼイターの人間性を「R」ものであった
解放派の科学者が開発し、全ての機関の戦力に一種の緊急装置として導入を推進していた
しかし、途中でその非人道性が非難され、試験運用すら為されることなく導入は中止されている

ルードヴィル「バーサクの導入を中止に追い込んだ筆頭とも言うべきあの男が許可を出すと思うか?
         兵器はあくまで兵器でなければ意味がない!それを証明するだけだ」

そのように言うルードヴィルの目は狂気に駆られており、銃を助手に突きつける

231 :
オリジン「うっ…ぐっ…あ、頭が…痛い…こ、これは?」

ルードヴィルがコード・バーサクの起動を行う刹那、目を覚ましたオリジン
しかし、それと同時に凄まじい頭痛がその身を襲っている

オリジン「あっ…がっ…や、焼き切れる…あ、頭が…ああああぁぁぁぁっ!
      これは…コード・バーサク!?そ、そんな、マスター・ルードヴィル…私を…
      い、いやです!私はまだ…」

ブチン…という音と共に機能を停止し、間を置かず再起動する
しかし、その表情には一切の感情がなく、ただの戦闘ロボットの姿がそこにはあった

ルードヴィル「気分はどうかね?オリジン
         早く任務を再開したまえ」

オリジン「了解…任務…復唱…これより、敵を殲滅します」

通信機越しに響くルードヴィルの声に従い、全ての武装のセーフティを解除するオリジン
目標はエリクシアン・マルス、目的はその完全殲滅、ただそれだけ

232 :
……参ります。

>>227
「ケッ、よせよDominus、気色悪ィ。どっちにしたってテメェらがオレに負けるってことに代わりはねェンだからな」
「さァて……もう茶々は入らねェな!?オレは『遊ぶ』ぜ!燃え尽きるまでなァ――――ッ!!」

構えを取ったわたしへと、マルス姉さまが目にも止まらぬ速度で迫ってくる。
予想より――ずっと疾い!
くッ!
紅蓮の炎に包まれた右の拳撃を、両腕をクロスさせてなんとか堪える。
この威力!アサルトスーツの耐久力がなければ、防御ごと打ち砕かれていたかもしれない……!

Dominusの指示に従い、間合いを取ってミドル―ロングレンジからの攻撃を試みる。
触れられたら最期――姉さまの圧倒的火力に、接近を許さぬように……。

「いじましい戦い方をするじゃねェか、ソレイユ!だァーがよ……このオレが!それを許すと思ってンのかァ!?」
「接近戦を嫌がるヤツなンざア……今まで!何千体と血祭りにあげてきたンだよオ!!」

……く……!
ね、姉さまの動きが――疾すぎて捉えきれない!
姉さまは完全なインファイター、それゆえに。遠距離兵装持ちの敵への対処法など、とっくに用意してある……!
遠距離兵装、アマ・デトワールを出す暇が――!わたしがどんなに体術を駆使しても、マルス姉さまを引き離せない!

苦し紛れに拳を、蹴りを放つも、すべてマルス姉さまに受け流されてしまう……。

「カハハハハハッ!どォしたどォしたァ!もっと本気を出せよ、ソレイユ!ブッ潰しちまうぞオ!?」

幾多のデミウルゴスを葬ってきたわたしの攻撃を微風のように往なしながら、姉さまが笑う。
このとき、わたしはまるで気付きませんでした。
わたしに一度触れれば、わたしを掴んでしまえば、それですべてが終わる。マルス姉さまが勝つという状況で。
姉さまが、一向にそれをしなかった――ということに。

233 :
>>228
「オラアッ!!」
ぁ……ぐゥッ!

姉さまの燃える拳を腹部に受け、大きく吹き飛ばされる。固い地面が穿たれ、放射状にクレーターができる。

「立ちな!こンなモンでオレに勝とうなンざァ、億年早ェェ!!」

……く……ふ……。こ、んな……ところじゃ、負けられない……!

「そォだ!負けたヤツは勝ったヤツに何をされても文句は言えねェ。ただ俯いてるしかねェンだ、Dominusを殺されようと!」
「そうなりたくなきゃ戦え!すべての綺麗事は――勝ってからにしろ!」

Sic.Soror mea. ……そう……します……!

全身を電流のように駆け巡る痛み。――でも、戦いは始まったばかり。
この痛みを乗り越えて、わたしは……先へ進まなければならない!

Non.Diminus.メイザース師は男性です、三魔術師はすべて男性であると伺っております。
往々にして、男性より女性の方が霊媒的素質に恵まれていると言いますが――。
現在の魔術師に必要なものは、霊的素養よりもむしろ叡智。その点において、三魔術師に比肩する女性はおりません。
……いつか。この戦いがすべて終わり、平和が訪れたとき。
Dominusをビュトス機関へとご案内します。
わたしも、Dominusとメイザース師をお引き合わせしたいですし……。
約束、です。

Sic.Dominus.
わたしは兵器ではない、わたしは……地球の子。
貴方にそう言って頂けるだけで、力が。湧いてきます。大切な人々を守る力が。
大丈夫……勝ちます。勝ってみせます、絶対に――!

「いーィツラだ。戦士のツラだぜ、ソレイユ!……来な!!」

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!

234 :
>>229
セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放します。
EXW-006S 超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』――。
メルキュール姉さまから頂いた、この武装で。マルス姉さまを……倒す!

「メル姉の武装か!チッ……そりゃチョイと分が悪ィな。余計なモン残してくれちまってよ!」

鞭の形をとった水の流れが、唸りをあげてマルス姉さまを打つ。
鞭はわたしの意のままに動き、マルス姉さまを間合いの内にまったく立ち入らせようとしない。
……信じられない。あの、軍神の名を持つ姉さまが。圧倒的な力を持つ姉さまが。
わたしを遥かに上回る強さを誇る姉さまが……。
――攻めあぐねている。

これなら。勝てる!

とは言っても、水流鞭はわたし本来の兵装ではない……。長時間の使用はできない。
水流鞭を警戒する姉さまから距離を取り、わたしのアマ・デトワールと併用してダメージを与えてゆく。
そうすれば、じわじわとではあるものの――姉さまを疲弊させ、無力化させることは可能!

「ハハッ……イイじゃねェか。戦いってなそういうモンだ……慈悲はかけねェ、容赦もしねェ。敵の痛ェトコを徹底して突く!」
「だがなァ!オレもこの地上で最強の七騎、火を司るエリクシアン!このまま勝てると思うンじゃねェぞオ!!」

幾度となくアマ・デトワールの粒子を浴びせ、水流鞭の打撃を与えているというのに。
マルス姉さまの闘志は萎えるどころか、どんどん高まっている……。
もちろん、わたしもこのまま楽に勝てるとは思っていない。きっと、マルス姉さまは奥の手を隠している。
でも。
それを凌いでこそ、わたしはマルス姉さまを越えられる――!

そう思った、矢先。

235 :
>>230
闇夜を切り裂く悲鳴。それは、開幕でマルス姉さまに弾き飛ばされたオリジンの口から迸ったもの。
見れば、気絶していたはずのオリジンが立ち上がり、こちらへ――姉さまへと銃口を向けていました。

「あ?」

オリジンの強化兵装から一斉に解き放たれる、破壊の力。恐るべき破滅の奔流。
闇夜を埋め尽くすかのような、火器の放出。

ドドドドドドドドウッ!!!

あたかも迎え入れるかのように、両腕を大きく広げたマルス姉さまへと、オリジンの放った火器が炸裂する。
それは、錬金人類たるわたしをして戦慄を禁じ得ないほどの火力。瞬く間にマルス姉さまの姿が爆炎に呑まれて消える。

――危ない!Dominus!

咄嗟に後退すると、Dominusを抱えて高く跳躍する。
Dominusを戦場よりやや離れた安全な場所に退避させ、それから姉さまとオリジンのいた場所を振り返る。
まさか、姉さま……今のオリジンの一斉射撃で……?
そう思った瞬間。

「オレを誰だと思ってンだ?ガラクタよオ……。オレの名はマルス!高熱源処理型エリクシアン、炎熱の顕形!」
「炎の化身に!火器なんざア効くワキャねェだろオが!?カハハハッ……ハハハハハハハッ!!」
「いーィ気分だぜェ……。テメェがたっぷり燃料を用意してくれたお蔭でなァ!」

ゴウッ!!

爆炎を薄膜のように薙ぎ払い、まるで炎の柱のように全身を燃え猛らせた姉さまが、ゆっくりと姿を現す。
その右手には、ぐったりと全身を弛緩させたオリジンの姿が――。

「ありがとよ、これでこっちはフルパワーだ。もうメル姉の鞭も敵じゃねェ、すべて……燃やし尽くす!」

ボウッ!とマルス姉さまの炎に包まれた右手が熱量を増す。
その手が掴んでいる、オリジンの首がみるみる焼け爛れてゆく……。

Dominus、ここにいてください。決して動かないように!
わたしは……彼女を助けます!

236 :
>>231
「テメェは用済みだ。オレを援護してくれた礼に、灰も残らず燃やしてやンよ!カハハハハッ!」

マルス姉さまが、オリジンを掴んだ手指に力を込める。
ッ!……メルキュール姉さま、わたしに加護を!
獲物を捕捉した大蛇のように、水流鞭が姉さまへと伸びる。けれど――

「バカが!そんなモンが今更効くかよオ!」

さっきまで、あれほど姉さまを苦しめダメージを与えていたはずの水流鞭が……蒸発する!
姉さまの纏う火力の強さに、水流鞭が打ち勝てない……!
――でも!

わたしは水流鞭を収納すると、両手から粒子砲アマ・デトワールを撃ち放ちました。
ただし、狙ったのは姉さまではなくオリジン。出力を抑えた粒子砲で、オリジンを押し流すことができれば……!

「フン」

マルス姉さまが手を離す。オリジンがアマ・デトワールの星屑に吹き飛ばされ、やや離れた位置に墜落する。
オリジンの装甲なら、即死と言うことはないはず……。あとはオリジン次第ですが、これで戦線離脱はできました。
後は――

「カハハハッ!悪ィなァソレイユ!形勢逆転しちまってよオ!」
「悪ィが、こうなっちまっちゃァもう詰みだ。恨むンなら、あの機械化人類(メカニゼイター)を恨みな!」

もう、メルキュール姉さまの水流鞭はマルス姉さまには通じない。
相性的に、わたしの兵装では姉さまに明確なダメージを与えることはできない。
ほとんど炎の塊と言っていい、現在のマルス姉さまに――わたしが優位に立てる要素はほとんどない。

けれど。

だからといって、諦めることなんてできない!
Dominus、わたしに戦う力を――困難に打ち勝つ力をください!

――往きます!!

237 :
今やまさに戦神と相成ったマルスに瑕疵があるとすれば、それは"慢心"に他ならぬ。
奇しくも件のメカニゼイターは敵を利したのみにあらず。
奴の絶対的な自信――裏を返せばその驕りを煽りたてたのだ。
なればその隙に乗ずる他なし――なれば狙うは白兵戦闘(インファイト)。

そしてお主の血縁が遺した件の水鞭。
闇雲に振り回したところで、先の二の舞、三の舞。
なれども力を凝集せば、わずか数瞬の間ではあれ、奴の灼熱の鎧に穴を穿つことは可能であろう。
そして剥き出しの肉に叩き込むは、お主自身の、最後の鉄腕。


――これを無謀と嘲るか。これを希望と信ずるか――。


心得よ。
圧倒的に不利な状況においても。
諦めることを知らず。
己を鼓舞し。
決して恐れ慄くなかれ。

汝、誰ぞの守人なれば。
その人を思え。
ただ一心に。
その人を想え!

勝つも負けるも次の一合。
お主の背中にはDominusの命が――いや、人類の明日がかかっている!


                     次回、錬金乙女エリクシアン「一閃」
                     お楽しみあれ!

238 :
ソレイユVSマルスが佳境の中、なぜか>>185らへんをイメージしたジュピテルを描き終わったので投下します。
モノクロだしサイズでかいし下手だけど許してね。ヤバいと思ったらすぐブラウザバックしてね。
http://u6.getuploader.com/sousaku/download/912/PEX-005_Jupiter.jpg

239 :
オリジン「損傷…甚大…戦闘続行…不可能…」

ルードヴィル「こ、この役立たずが!
         コード・バーサクを機関の許可なく使ったのだぞ!
         それでPEX-04を仕留めるどころか、逆にパワーアップさせおって!
         貴様、私の立場をどうしてくれる!?このガラクタめがぁ!」

助手「お、落ち着いてください、博士!
    それよりも早くステルスポーターにお戻りを!
    こんな場所で外に出ては、我々の存在まで知られてしまいます!

その頃、動けなくなったオリジンを怒りの形相のまま、外に出てきたルードヴィルが足蹴にしていた
彼は戦場からは数キロ離れた場所でステルスポーターに乗り込み、戦場の様子を探っていたのだ
目的はオリジンのオペレートと戦場の偵察であったが、そんな役目など今のルードヴィルの頭からは消え去っていた
ルードヴィルは押し留めようとする助手の襟首を掴み、がなり立て始める

ルードヴィル「ええい貴様!私は破滅だ!
         解放派の同志もおそらくは庇ってくれまい!
         どうしてくれる!くそぉ…」

助手「最早、これで機関に戻っても後は私共々厳罰が待つのみ…
    博士、この際、以前からコンタクトを取ってきていた例の組織の招聘に応じてみては?
    こんなにボロボロでも、我々にはいい手土産もある…いや、むしろ運びやすくなって丁度いい」

ルードヴィル「あ、あの、以前にPEX-07を拉致しようとしたあの連中か?
         私に…機関を裏切れと?」

助手「残ってしまった結果はどうやっても覆らないでしょう?
    それとも、このまま命の行方すら知れぬ地獄の沙汰を待つおつもりですか?」

ルードヴィル「よ、よし、いいだろう!こうなれば私も覚悟を決めよう
         どうせヤツらのことだ…偵察部隊を近くに出してきているはず…接触して回収してもらおう
         以前、連絡を寄越してきた時に記録した暗号通信コードは使えるな?」

助手「ええ…ですが、機関の傍受を誤魔化せるような代物ではありません
    いえ、それどころか、既に解析内容を報告済みですから、筒抜け同然かと…」

ルードヴィル「構わん…組織の連中に連絡を入れる手段として使えればそれでいい
         この状況下で迅速に我々を止める手段が今の機関にあるわけでもないしな
         このステルスポーターで移動すれば猶更時間稼ぎになる…我々は必ず逃げ果せるよ
         そうと決まれば、直ぐに連中に連絡しろ…手土産はオリジンだ…」

240 :
参ります。

>>237
「最終局面だ!!」

炎を全身に纏った――いいえ、今や炎そのものとなった姉さまが吼える。
メカニゼイター・オリジンの攻撃を吸収した姉さまの現在の力は、カタログスペックを遥かに凌駕していることでしょう。
その攻撃力、破壊力は恐らく、通常の1.25倍……いや、2倍以上……!
でも。決して、退くことはできない!!

膂力は、圧倒的に姉さまが上。速度も、術理も、練度も、何もかも。
そんな中で、ただひとつ。わたしが姉さまよりも上回っているもの――。

満々と闘志を湛え、姉さまが燃える拳を繰り出してくる。
わたしもまた、渾身の力を込めて右拳を打ち出す。

炸裂。轟音。ふたつの拳が真正面から激突した、その空間を中心として――同心円状の衝撃波が、颶風が駆け抜ける。
それはまるで、この世の終わりが来たかのよう。わたしの白金の髪が、姉さまの真紅の髪が、激しく烈風に嬲られてゆく。

「ガッ……、ゥオオラァァァッ!!」
はぁぁぁぁ―――――――ッ!!!!

打ち合った互いの拳のあまりの破壊力に、ぐらりとよろめくのもほんの一瞬のこと。
再度の拳撃、激突、衝撃――そのまま両者一歩たりとも後退せず、さらに二合、三合と殴り合う。
防御も、回避も、何もない。理合のすべてを捨て去った、純粋な殴り合い。

「ゲ……ハァッ!……ハッハハッ……カハ……ハハッ……。楽しィ……なァ……!オイ、ソレイユ……!」

わたしの強烈なボディブローが姉さまの鳩尾に突き刺さる。
姉さまは大きく身体を『く』の字に折り曲げ、血を吐くものの――それでも、楽しげな笑みを絶やさない。

「オレのフルパワーにここまでついて来るなんざア、上出来だ……!あの泣き虫がなア、ハハッ……カハハハ、ハハハ……!」
「だがなァ……勝つのは!!この……オレだァ――――ッ!!」

ゴッ!

姉さまの右腕の炎が、さらに勢いを増して燃え盛る。
握り固めたその拳が、炎を纏って二倍、三倍の大きさに膨れ上がる……。
姉さまの必殺技――戦術剛炎拳『マルス・バイユマン・ドゥ・ドラゴン』!

これが姉さまの切り札!姉さま最大の攻撃――!

241 :
>>237
「終わりだ!ソレイユゥゥゥゥ――――ッ!!!」

姉さまの必殺技、戦術剛炎拳『マルス・バイユマン・ドゥ・ドラゴン』。
その威容は、まさに竜の欠伸の如く。大きく顎を開いた竜の吐き出した吐息さながらの炎が、わたしに迫る。
炎の巨拳に対し、わたしも拳を合わせる。先程まではほぼ対等に打ち合えていた、わたしの右拳。
けれど。
姉さまの闘志そのもののような巨拳にはなすすべもなく、それは打ち合った瞬間に崩壊した。
右腕上腕部までが、まるでプレス機で押し潰されたかのようにひしゃげ、肉が。骨が。原型を留めないまでに破壊される。
濁流のように噴き出る『魔導血液(エリクシル・ブラッド)』。
熱い――。
重篤な負傷の場合、人は痛みよりもまず熱さを覚えるという。……これが、きっとそう。

でも。

これは計算のうち。すべては――覚悟の上!

「カ、カハッ、ハハハハッ……」

私の右腕が崩壊したのを見て、マルス姉さまが喜色を浮かべる。
勝った。そう信じて疑わない、その表情。
そして――
わたしは、そんな姉さまへさらに一歩近付きました。

「な……、何ッ!?」

セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放!
EXW-006S 超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』!!

メチャクチャになったわたしの右腕、そこから迸る『魔導血液(エリクシル・ブラッド)』が、生物のようにのたうつ。
メルキュール姉さまの力で血液をコイル状に――いや、ドリル状に変化させ、マルス姉さまを穿つ。
距離は、零。大技を放った直後で、姉さまにこれを避ける術はない――!

「おおおおおおおおおおおお!!ソ、レ、イ、ユゥゥゥゥゥゥッ!!!」

水流鞭、いや、血流錐とでも言うべき真紅の一撃が、姉さまの纏う炎の鎧の一部を――胸元のそれを吹き飛ばす。
そして――

一閃!
七星絶拳!ソレイユ・グランシャリオ!!

残る左腕。最後の力を振り絞った必殺拳が、炎を失い剥き出しになったマルス姉さまのカドゥケウスを破壊するのを。
わたしは、確かに見ました。

242 :
>>239
雪華が、不意に舞った。
今は四月だ。とても、雪が降るような季節ではない。
けれども、舞っている。――まぎれもない雪が。ふわり、ふわりと漂うように。

ルードヴィルとその助手がビュトス機関に見切りをつけ、外部組織に逃亡しようとした、まさにそのとき。

「どこへ行こうというのか」

凛然とした声が響いた。――女だ。
その声を、ルードヴィルは知っている。忘れるはずなどない、機関の最高機密のひとつである、その声。
今まさに数キロ離れた市街地で戦っている、日輪の子と炎の化身――それらと生誕を共にした、錬金人類のひとり。

「生憎だが……現し世に汝(うぬ)らの行く場所などない」

はらはらと漂う雪華を纏い、闇の中から一人の女が姿を現す。
綺麗に切り揃えられた、淡紫色の長い髪。
怜悧な面差しは切れ長の目許と相俟って、人になんとも言えず冷え冷えとした印象を与える。
灰色のアサルトスーツの上に白い道着と濃紺の袴という、武術家めいた風貌は、とてもこの場所には釣り合わない。
しかし、当人はそんなことはお構いなしとでもいうように、静かに言葉を紡ぐ。

「機関に裏切り者は必要ない。無論、この世界にも。――R」

女が左手に持った刀に手をかける。キチリ……と微かに鯉口が鳴る。
次の瞬間、ルードヴィルとその助手はどこがどの部位であったのか判別できないほど身体を細切れにされ、地面に転がった。

「吾(われ)の声が聞こえるか、オリジン」

裏切り者を始末すると、女は倒れているオリジンへと声をかけた。

「汝を機関に送り返す。機関にて傷ついた身体を修復してもらうが善かろう。汝はいまだ死すべきにあらず」
「そして。叶うなら、あれの味方をしてやれ。あれの力になってやれ」
「あれは弱い。ひとりでは何もできぬ。――だが、誰かが傍にいれば。その者の為、どれだけでも力を出せるのだ」

ルードヴィルらの乗ってきたステルスポーターにオリジンを乱暴に詰め込むと、女は背を向けた。
じゃり……と草履が土を踏みしめる。

「近く、またまみえよう。あれの……友になってやってくれ。しかと頼んだ」

そう言い残すと、女は氷の溶けるように闇の中へと消えていった。
ただ、ひとひらの雪華を残して。

243 :
>>238
メルキュール「全国の名無しの皆さん、こんばんは〜♪『メルキュールのエリクシアンおまけ講座』のお時間で〜す!」
メルキュール「司会はわたし、名無しさんたちの心のお姉さん!PEX-001メルキュールとぉ〜」
マルス「……ウ、ウッス、チワッス。マ、マルスッス」
メルキュール「でお送りいたしま〜す☆」
マルス「なに、このノリ」

メルキュール「さて、では記念すべき最初のおハガキは……ポイント95532にお住まいの>>238さん。>>238さん、ありがとうございます☆」
メルキュール「>>238さんは、ジュピテルのイラストを描いて下さったんですよ。ほら!」
マルス「ゴラァ!テメェ、>>238!どォしてオレじゃねェンだよ!?普通オレだろ!?今戦ってンだからよオ!」
ジュピテル「死んだエリクシアン描いてもしょーがないからでしょ?」
マルス「ま、まだ死んでねーし。もうワンチャンあるし」
メルキュール「ジュピテル、折角描いて下さったんだから、お礼を言わなきゃダメですよ?」
ジュピテル「フン。まー、よく特徴は捉えてるんじゃない?>>238、キミは殺さないどいたげるよ。嬉しいだろ?嬉しいって言いなよ」
マルス「うっわ、カワイくねー。なンだその態度!」
メルキュール「ジュピテルは素直じゃないから……。でも>>238さん、安心してくださいね」
メルキュール「ジュピテルったらメイザース師にお願いして、イラストをプリントアウトして貰って」
メルキュール「まじまじ見ては口許を緩ませて、ベッドの上で今日一日ずっとゴロゴロ転げ回ってましたから」
ジュピテル「ッ!!!??」
マルス「(笑)」
ジュピテル「き……記憶を失えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
マルス「バッ!ちょッ、テメッ!ここで電気出すンじゃねェ!」
メルキュール「ではまた次回、さようなら〜♪」

ソレイユ(……羨ましいです……)

244 :
ソレイユの右腕がメカバレみたいになってゐる。眼福である。

ではなくて。
エリクシルブラッドで応急処置くらいはできるのか?
通常の人類なら出血性ショックか出血多量であの世行きだぞ。

245 :
メルキュール姉さん☆に甘えながらジュピテルたんにグリグリされたい

あとサテュルヌは絶対受け

246 :
>>237の人『スクライド』とか好きそうwwwwww
>>238のイラストめっちゃ上手い。GJです。本当良いスレですね、ここ。

ところでジュピテルさんって何色なのでしょうか……?
教えてソレイユさん。

247 :
やったか!?

248 :
あんまし過度にストーリーに絡む介入はなあ…
普通の質問がしにくくなっちまう

249 :
僧兵タイプの長距離攻撃型デミウルゴス「フィアンケット(狙撃手)」
交戦記録及び遭遇記録が無く、監視カメラの映像でのみ存在が確認されているデミウルゴス。
以前報告のあった歩兵タイプ亜種のアンパッサン同様単身での都市潜入・人類の暗殺任務に特化した個体であると思われる。
全長約1.7m、人類に酷似した外見と体躯を持ち、丸みを帯びた装甲を全身に纏っている。
行動パターンはビルの屋上など高所に突如出現し、狙撃銃と思われる棒状の武器を用いて対象を狙撃、その後対象の生死に関わらず光に包まれ消滅する。
監視カメラの映像及び弾痕と思われる穴から、狙撃銃は厚さ30cmの鉄板を貫通してもまだ弾速を失わない程の威力を持つと思われる。
また、弾丸は着弾地点に残されていないため自然消滅すると思われる。

250 :
サ<ぬ、草履が温いな……

ボク<温めておきました!

―― 一閃、血ノ花 ――

251 :
参ります。

>>247
わたしの拳を受け、マルス姉さまの胸元にある錬金人類の証――カドゥケウスが砕け散る。
それこそマルス姉さまの力の源。EXW-0944L 高熱源処理システム『マルス・フー・ド・ジョワ』。
これでもう、姉さまは炎を操ることはできない。
そして、機密に関するプロテクトも、これで解除されたはず……!

「やったか、か……。そういうセリフは、死亡フラグ……迂闊に口にする言葉じゃねェ……なァ?Dominus……」

胸元に拳を受けながらも、マルス姉さまが笑う。その手が、わたしの左手首を掴む。
まさか……カドゥケウスを破壊されてもなお、戦う力が――?
恐るべきは戦闘への意思。強靭な精神力。
右腕を破壊されたわたしも、今の一撃が文字通り最後の手段。これを凌がれては……!
そう。思った瞬間。

「だが……カ、ハハッ……さすがに、もォ……戦えねェ……」

ずしゃり、と音を立て、マルス姉さまが地に両膝をつく。

……戦いは、終わりました。

252 :
>>244
Sic.Dominus.
右腕は大破しましたが……メルキュール姉さまの液体を統べる能力で、なんとか……大量出血を防ぐことは可能です……。
ただし、あくまでも応急処置。早急に……修復を……。

「カハハハッ……、ハハハッ!ハハハハハハハハハッ!」

立っているのが精一杯なわたしの間近で、膝をついた姉さまが笑う。

「いやー、負けた負けた!小細工カマされンなら兎も角、ガチンコのブン殴り合いでやられちゃな!負けを認めるっきゃねェわ!」

それは、まったく邪気のない。素直で、無垢で、陽気な敗北の宣言。

「強くなったな、ソレイユ。姉妹の中で一番弱っちかったオメェがよオ。ハハ……いや、完敗だぜ」

……姉さま。
強くて、猛々しくて、勇ましいマルス姉さま。わたしがジュピテル姉さまに苛められると、いつも庇ってくれた姉さま。
わたしの頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でては、笑ってくれた姉さま――。
その姉さまに、勝てた。
さあ、つらい戦いの時間はおしまい。あとは、姉さまから一連の真相を教えて貰うだけ。
と、思ったのに。

「だがよゥ、悪ィなァ……ソレイユ。勝ちのご褒美はお預けだ」

ボウッ!
マルス姉さまの身体を覆っていた炎が、一際激しく燃えあがる。
その、違和感。焦げ臭いにおいが、強化された嗅覚へ突き刺さる。

炎が――姉さまの身体を、焼いている――!

「驚くこたァねェ。炎を制御するシステムがブッ壊れちまったンだ。こォなるのは必然……だろ?」

そ……、そんな……!マルス姉さま!!

253 :
>>244
セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放!
EXW-006S 超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』!
ほ……、炎を消さないと!もう一度メルキュール姉さまの力で、わたしの魔導血液を――

「やめろ。これ以上血を失ったら、いくら錬金人類でもくたばるぞ。それに……」

そこまで言って、姉さまはゆっくりと立ち上がると、片手を突き出してわたしを制しました。

「オレはマルス。戦いの神の名を持つエリクシアン……。戦士には、戦士の死に方ってモンがある」

姉さま……!
嫌です!メルキュール姉さまに続いて、マルス姉さままで……!
お願いです、わたしを……わたしを置いていかないでください!

「ッたく……折角多少はマシになったと思ったのに、やっぱり泣き虫かよ。ソレイユ」

仕方なさそうにボリボリと頭を掻くと、マルス姉さまはDominusの方を見遣る。

「Dominus……アンタの指示のお蔭でまンまとやられたぜ。いいコンビじゃねェか、あ?オレが負けたのも納得だわ」
「見ての通り、コイツはいつまで経っても泣き虫なンでよ……。ちゃンと、面倒見てやってくれや」
「出来は悪ィが、オレの大事な妹なンだ。……一緒にいてやってくれ」

姉さまの身体を灼く炎が、夜天を焦がす。
姉さまの命が火柱となり、黒い煙を伴って消えてゆく――。
嫌!嫌です!姉さま……マルス姉さまァッ!

「ひとっつだけ教えてやる、ソレイユ。そしてDominus」
「オレたち五人は当て馬なンだよ。おまえと――そしてアイツのための」

……当て……馬?それは……一体どういう……

「オメェはオレを倒すのに、どれだけオレをブン殴った?数えちゃいねえよな……だがよ。アイツは――」
「――アイツは。オレを四発で黙らせたぜ」

……あい……つ?

「オレから言えるのはそれだけだ。もっと、もっと強くなれ……ソレイユ。Dominusと一緒に!」

ね、姉さま……!マルス姉さま!待って――!

「カハハハッ!あァ――楽しいケンカだったなァ……。カハハッ、ハハハハハハハハハハハ……ッ!!!」

心からの、楽しげな。満足げな笑い声。
一片の悔いさえない――そんな哄笑をいつまでも、わたしの耳に残して。

マルス姉さまは、炎の中に消えてゆきました。

254 :
>>249
……ぅ……。
重篤な眩暈。ふらりと身体を傾がせると、わたしはその場に倒れ伏しました。
すでに、肉体は活動限界を超えている。その上、マルス姉さまの最期を見届けたことによる精神的な消耗。
もう、指一本さえ動かせない――。

だというのに。
わたしの混濁した意識は、それでもデミウルゴスの反応を感じ取る。
い、いけない……。こんな状態では、デミウルゴスの攻撃に対処できない……。
立ち上がろう、戦おう、と自らを叱咤するも、身体は鉛で出来たかのように動かない。
ダメ……、Dominus、逃げて!
祈るようにそう叫ぼうとするも、喉から出たのは微かに喘ぐような吐息だけ。
デミウルゴスの無慈悲な一撃が、身動きの取れないわたしへと迫る。
そして、その銃弾がわたしの頭部に着弾する、まさにその瞬間――

ギィンッ!

冷たい鋼が鳴る、甲高い音。
これ、は……?

明滅する意識の中、それでも懸命に事態を把握すべく目を凝らした先にあったもの。
それは、雪華。
はらはらと舞い散る雪華を共に、刀を構えた――白い道着に濃紺の袴姿の麗人。

「――大事ないか、ソレイユ」

……サ……

……サテュルヌ……姉さま……。

255 :
>>250
…………。
…………。

……ここ……は……?

気がつけば、わたしは慣れ親しんだDominusのおうちに。わたしに用意された部屋のベッドにいました。
わたしは……確か、マルス姉さまと戦って……それから、デミウルゴスに狙われて……。

「ふむ。気が付いたな」

横合いからの声。咄嗟にそちらを向くと、そこには――

サテュルヌ、姉さま……?

「腕の具合はどうだ。最初のうちは違和感があるやも知れぬが、じき慣れもしよう」

そういえば……。マルス姉さまとの戦いで失ったはずの右腕が、元に戻っている……。
サテュルヌ姉さま、どうして……。

「急くな。順を追って話そう。――そなたは丸一週間もの間、眠っていたのだ」

――姉さまの話によると、わたしはデミウルゴスの強襲を受けた後、気絶。
姉さまがわたしをビュトス機関へと運び、失った右腕の再生や傷の治療に当たらせたのだそうです。
そしてすべてのメンテナンスが終了し、Dominusのおうちへ戻ったのが3日前。
気が付いたのが今……ということのようで……。

でも。本当に訊きたいのは、そんなことではなくて。
あの……。姉さま、なぜ……ここに?

「うむ。良い質問だ」

姉さまは怜悧な面貌を一度頷かせると、荘重な様子で、

「暫く、ここに厄介になる」

と、言いました。



………………え?

256 :
>>245
「受け、か。如何にも――我が剣は受けの太刀。後の先と言っても善い。主殿は剣の心得がおありか」

Dominus、サテュルヌ姉さまがそう仰っておいでです。
PEX-006 極低温順応型エリクシアン『サテュルヌ』……。
その名の通り、氷雪を統べるタイプのエリクシアンです。
そして、その戦い方は闘争本能のままに動くマルス姉さまとは正反対の、戦闘理論に沿ったもの。
携えた近距離兵装、EXW-055S 絶凍刃『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』で、すべてを両断する――。
七姉妹でも随一の、剣の使い手。

サテュルヌ姉さまは、デミウルゴスに洗脳はされていない……のでしょうか?
もし宜しければ、姉さまたちが一旦姿を消してから、これまでのいきさつを……

「それは話せぬ」

……。やはり、マルス姉さまと同じくプロテクトが掛けられている、ということ……なのですか?

「小腹が空いたな、主殿」

露骨に話を逸らさないでください!

「急くな、と言った。何れにせよ物事には順序がある。時至れば語ることもあろう。それまでは――」

それまでは?

「学校へ行ったり、買い物に興じたり、主殿とキャッキャウフフしたりするが善い」

――キャ――!!?

「デミウルゴスの襲来は、吾(われ)が対処する。まずは羽根を伸ばせ。すべてはそれからだ」

……は……、はい……。
……姉さまのお考えが、まったくわかりません……。

257 :
>>246
Sic.Dominus.
良い場所だと。そう仰って頂けるのが、わたしたち姉妹にとって何よりの喜びです。
これからも、Dominusのご期待を裏切らないように。楽しいと思って頂けるように。
素敵なイラストを描いて下さったり、お言葉を掛けてくださったDominusに報いられるように。
頑張るつもりでおります。よろしく、お願いしますね。

ご質問ですが、わたしたち7人のエリクシアンにはそれぞれパーソナルカラーが設定されています。
メルキュール姉さまが水色。
ヴェヌス姉さまは黄色。
ラ・テール姉さまは、黒。
マルス姉さまは緋色。
ジュピテル姉さまは緑。
サテュルヌ姉さまは灰色。
そしてわたし、ソレイユが白――と。

これらの色は、各人の纏うアサルトスーツに反映されています。
お分かり頂けましたでしょうか?

>>248
Dominusへ、メイザース師から伝言が届いております。

――わたしの名はJ・W・メイザース。ビュトス機関の最高指導者のひとり。
Dominus。いつも、娘を可愛がってくれてありがとう。

『錬金人類(エリクシアン)』の物語は、娘たちだけで紡ぐものではない。
そこにはDominus、君の力が必要不可欠なのだ。エリクシアンと、Dominusたちとで紡ぐ物語。
それが『錬金乙女エリクシアン』――。

もちろん、ストーリーテラーとして物語の主軸を司るのは、我々ビュトス機関だ。
しかし、それも諸君の理解と協力なしには存続できない。諸君の智慧からは、いつもアイデアとインスピレーションを与えられている。
といってすべてを迎合するわけではない。手綱を締めるべきところでは、きちんと対処させて頂くつもりだ。
よって、どうか諸君には何ら気兼ねすることなく、感じたことを。思ったことを。
娘にやらせたいことを告げて貰えれば、と思う。

先にも言った通り、我々にはDominusの力が必要だ。
錬金人類の優れた力も、諸君らの存在なしには正しく運用はできない。
これまでがそうだったように、これからの未来は。諸君らの双肩にかかっているのだ。

これからも、娘のことをよろしく頼む。
では――

人類に、黄金の夜明けを。

258 :
ここは、ルードヴィルが接触を図ろうとした組織の偵察部隊が運用する大型偵察機機内

副官「どうやら、決着が着いたようですな」

幹部「クックックッ…さすがだな
     欲しい!あの力、是非とも我々が手に入れたいものだ!
     あの力さえあれば、我が組織がこの世界に君臨出来る!」

副官「それとミスター、例のルードヴィルという男のことですが…
    ヤツが送ってきた暗号通信、本当に応答せずともよろしかったので?
    実に有力な技術情報を保持していたと思われますが…」

謎の男「フン、時期外れもいいところだ
     問題なく接触出来たのは、こちらからコンタクトを取った最初の時のみ
     今更会ったところで連中の始末屋のおまけ付きだ
     一緒に掃除されてやる義理などない」

副官「さすがはミスター、実に慎重なお方だ…」

謎の男「謙遜はいい…
     我々は技術力こそ機関より遥かに劣る…が、
     連中の技術を効率的にリバースエンジニアリングする術を確立している
     事実、供与された技術は既に解析を終了し、我ら独自の体系に昇華済みだ
     そのまま使ってガワの違いだけで誤魔化している諸外国とは格が違う
     気になるのは米国が先行して受けた新たな技術供与だが…
     まあ、そっちも何れ入手出来るだろう…よし、そろそろ撤退しろ」

副官「ハッ!」

259 :
ここは、ルードヴィルが接触を図ろうとした組織の偵察部隊が運用する大型偵察機機内

副官「どうやら決着が着いたようですな」

幹部「クックックッ…さすがだな
     欲しい!あの力、是非とも我々が手に入れたいものだ!
     あの力さえあれば、我が組織がこの世界に君臨出来る!」

副官「それとミスター、例のルードヴィルという男のことですが…
    ヤツが送ってきた暗号通信、本当に応答せずともよろしかったので?
    実に有益な技術情報を保持していたと思われますが…」

謎の男「フン、時期外れもいいところだ
     問題なく接触出来たのは、こちらからコンタクトを取った最初の時のみ
     今更会ったところで連中の始末屋のおまけ付きだ
     一緒に掃除されてやる義理などない」

副官「さすがはミスター、実に慎重なお方だ…」

謎の男「世辞はいい…普通のことだ
     我々は技術力こそ機関より遥かに劣る…が、
     連中の技術を効率的にリバースエンジニアリングする術を確立している
     事実、供与された技術は既に解析を終了し、我ら独自の体系に昇華済み…
     その気になれば、我々の手でそれらを発展・改良することが可能だ
     そのまま使ってガワの違いだけで誤魔化している諸外国とは格が違う
     気になるのは米国が先行して受けた新たな技術供与だが…
     まあ、そっちも何れ入手出来るだろう…よし、そろそろ撤退しろ」

副官「ハッ!」

260 :
オポジット級城兵と称されるデミウルゴスはただ歩いていた。
停止を促す信号機があっても、持ち主に見捨てられた自動車があっても、住民が逃げ出して静かになったアパートがあっても、
彼は気付いていないのか、目の前の物をへし折り、踏みつぶし、破壊しながら歩き続ける。
その行動は以前から何も変わりないが、ただ一点だけ違う点があった。過去に報告されている同族のオポジット達も、僧兵達も誰一人としていなかったのである。
随伴者がいないことに彼が気付いているかは不明だが、彼は過去四回の報告例と同様盾を構えて歩き続ける。
彼は一人で何処へ向かうのか。彼の進路上に入らないよう横に逃げていく人達はもちろん知らないし、彼自身も知っているかどうかはわからない。

261 :
ソレイユはパンにハムエッグ、サテュルヌはご飯に味噌汁かな?
と思って作ってたら二人とも謎のゼリーで栄養補給をしている。

そんな朝でした。

262 :
サテュルヌさんに剣を教えて貰いたい
お礼として、それなりに美味しいご飯と寝床を提供するよ

263 :
米兵A「チッ!またシット(クソッタレ)野郎だぜ…
     あの装甲にゃデリーターの粒子砲でも歯が立たねえ…
     今回はどうする気なんだ?」

米兵B「まあ、シット野郎は庇ってる奥のファッキン・モンクさえぶっ潰せば消える
     モンクの始末は本国から送られてきたばかりの新兵器が対処するんだとよ」

米兵A「あのビルの上に陣取ってるチビかよ?
     使えるのか?随分小型だが…」

米兵B「アレでも一応デリーターと同じ第三世代型重機兵の端くれらしい
     ま、お手並み拝見といくしかないわな」

※クライス・マーズ・ウェポン社製第三世代型重機兵HJK-02「キティ・ラプター」
本来は武器製造会社であるCMW社に開発させた新設計の第三世代型重機兵
従来の火力重視の重機兵に比べ、武装を減らし小型化・軽量化する代わりに、非常に優れた機動性を獲得した機体
「忍者」を開発テーマに掲げており、文字通り跳躍力に優れ、建造物の上を立体的に跳び回って移動することに長ける
反面、武装や耐久性は貧弱・脆弱の一語に尽き、射撃武装では歩兵型に対してすら牽制しか出来ない
ただし、シリーズ初採用の「粒子ブレード」のみは接近戦限定だが優れた威力を誇る

・高速粒子バルカン
CMW社製の本機専用の武装
右腕に固定されており、小型の粒子弾丸を毎秒200発の速度で高速連射する
高速機動での使用を想定され、小型で取り回しに優れるが威力は低い

・狙撃用折り畳み式粒子ライフル砲
CMW社製の本機専用の武装
左腕に固定されており、普段は折り畳まれているバレルを展開することで、狙撃戦に対応可能
狙撃モードでの使用の場合、人工衛星からのリンクで驚異的な命中精度を発揮可能
しかし威力不足は変わらず、これもデミウルゴス相手には牽制程度にしかならない

・粒子ブレード
CMW社製の新兵器であり、本機を象徴するとも言える武装
高出力・高密度の粒子を剣状に収束、接近戦用の武装として使用する非実体剣
歩兵型の装甲を一撃で切り裂く威力と斬れ味を誇るが、エネルギー消費が非常に激しく、
粒子刃の展開は実際に攻撃を行う時のみに行うことが推奨されている

264 :
こちらは、ところかわってキティ・ラプターの部隊

隊長「来たか…ドンピシャリだ
    ここなら僧兵型の姿もばっちり確認できる
    貴様ら、抜かるなよ!
    ピクニックの列がビルの下を通ったら、一気に降下して城兵型の背後に飛び込む
    粒子ブレードで速やかにファッキン・モンクを掃討、目にものを見せてやれ!」

隊員たち「イエッサー!」

265 :
歩き続けるオポジット。乗り捨てられた大量の自動車を踏みつぶし、噴煙を上げながら進んでいく。
炎と煙でオポジットの周囲が見えなくなった時、すぐ横に位置するビルの屋上から黒い影達が飛来した。
影達は黒煙に飛び込み、オポジットの背後に着地する。着地と同時に戦闘態勢へと入っていたが、彼らの標的である僧兵はいなかった。
視界が悪いためレーダーで探すが反応はない。一体の重機兵が苛立ちを露わにオポジットの足に切りつけるが弾かれる。
それが更に怒りを煽ったところで突如レーダーに反応があった。オポジットとは別に、もう一体の反応。
一斉に反応があった方向へ振り向こうとする重機兵達。その内の一体の胸部に直径10cm程の風穴が開く。
倒れる重機兵。レーダーから消失する反応。動揺する重機兵達のレーダーに再び反応。先程とは別の方向へ風穴を開けて倒れる重機兵。
次々と倒れる仲間達に部隊が混乱する中、一体の重機兵はビルの屋上に人影を見た。「あいつだ」と思った刹那操縦者の意識が途切れる。
ビルの屋上の人影は光に包まれ、彼が倒れるのを見届けることなく消滅した。
長距離攻撃型デミウルゴス「フィアンケット」。通常の僧兵タイプとは一線を画する彼は、別のビルの屋上に現れた後、狙いを定めて引き金を引いた。

266 :
参ります。

>>259
平和に薙いだ、蒼い海原。
その奥底、深淵の彼方より、ゆっくりと巨影が浮かび上がってくる。
遊泳していた魚の群れが、巨影を避けるように大きく軌道を変える。群れを狙っていた鮫が、障害物を感知して迂回路を取る。
ひどくゆっくりと時間をかけ、大きく海面を盛り上げて姿を現したのは、人によく似た――しかし人でないモノ。

『巨神(デウス)型』デミウルゴス――。

全高(概算)455メートル、重量(予想)520万トン。
全身に強固な装甲を纏ったその姿は、その名の通り地上に降り立った神の如し。

この存在に対して、人類側に知りうることは何ひとつない。
何が目的なのか。何を為そうとしているのか。どこから来たのか、そしてどこへ行くのか。
その名さえもが、『恐らくデミウルゴスの一種であろう』という、曖昧極まる予想の上になるものでしかないのだ。

『巨神』は何もしない。いつも決まった海域――東京湾沿岸部に出現しては、一定時間を佇立して過ごす。
自発的移動も、攻撃も、人類側の威嚇や示威行為に対しての反撃もしない。ただ、静かに佇んでいる。
当初は警戒していた人類側も『巨神』が最初の観測以来何もしないということを把握した後は、出現を記録するのみに留めている。

だが。

本当に『巨神』は何もしていないのか?ただ太古の気まぐれな神々同様、自儘な散策を謳歌しているだけなのか?
本当は、『巨神』は――すべてを観測しているのではないのか?
旧人類の生み出した、七人の新しい人類を。
それを収奪せんと蠢動する者を。分不相応な叡智を手に入れんと欲する、愚かな者たちを。

フェイスガードの奥の輝く双眸が、今日も彼方を見つめている。
人類の行く末を。
彼女たちの未来を。

267 :
>>261
……わたしは……。夢を見ているのでしょうか……?
サテュルヌ姉さまが、目の前にいる。わたしやDominusと一緒にリビングにいて、食事を摂っている――。

「確かに必要な栄養はゼリーでしか補給できぬが、何も人類と同等の食事をせぬという訳ではない」
「主殿よ、朝餉は頂くぞ。白米に味噌汁、大変結構。焼き魚と香の物があればなお善し」

ね……、姉さま……。もう少し遠慮を……その……。

「朝餉は一日の活力。摂らずして何とする。ソレイユ、然様なパンなど喰わず米を喰え。だからそなたは弱いのだ」
「日本人なら米であろうが。主殿、おかわり」

…………日本人じゃありません…………。

ド、Dominus、すみません……姉がとんだご迷惑を……。
サテュルヌ姉さまは悪い人ではないのですが、なにぶん……我が道を往く方なものですから……。

「余計なことは言わぬで善い。それに、吾は只飯を喰いに来たのではない。デミウルゴスは吾が片付けると言った筈」
「そなたはまだ本調子ではないのだ。回復するまでは、普通の女子のように過ごせ。それまで、戦うこと罷り成らん」

わ、わたしは回復しています!腕も治りましたし、以前のように――

「成らん。……主殿、茶」


…………。

268 :
>>262
「ほう。非力ながらも、せめて一太刀報いたいと願うか?その意気や善し」
「ならば、触りだけでも教えて遣ろう。――ただし、修行はきついぞ。それでも構わぬか」

ね……、姉さま!Dominusに武器を持たせるおつもりなのですか!?Dominusはただの人間――

「その主殿が自ら望んで剣を教わりたいと言っている。吾はそれに応えるのみ、やるやらぬは主殿の意志よ」
「ソレイユ、そなたは主殿の意思を無碍にし、弱者は後ろに引っ込んでおれと申すのか?」

そ、それは……。

「主殿の想いを汲んでやれ、ソレイユ。それに古来より、強き弱きに拘らず――男は女の前では格好をつけたがるモノであろう?」

……ッ……!?

「さて、主殿。これより吾は主殿の師、であればそれ相応の遇し方というものがあろう」
「これより吾のことは師範、または雪子さん、ないし雪ちゃんと呼ぶように。サテュルヌという名は可愛くなきゆえ好きでない」
「よいな、しかと申しつけた。では、本日より登校は交通機関を用いず駆け足で行うこと」
「初手から刀を握れるなどと思うな、まずは基礎体力作りよ。――征けィッ!」

どっ、どどどDominus、申し訳ありません!姉が……姉が……うぅっ……。

「何を愚図愚図しておる。そなたらが早く学校へ行かぬから――」

……は……!Dominus、ポイントC0571に敵性反応!

「――蟲どもが湧いてきおったではないか」

269 :
>>260
Dominus、ポイントC0571に到着しました。……あれは……。

「吾ひとりで対処すると言ったぞ。なにゆえ付いてくる、早く学校へ行かぬか」

そういう訳には行きません。デミウルゴスを倒し、人々を守るのも、わたしの役目ですから。
それより、あの巨大なデミウルゴス……。

「オポジット級と言ったか。いまだ不破不撓の城兵ということであったな」

はい。……でも、様子がおかしい……。なぜ、あの城兵は単独で動いているのでしょう?
オポジット級は必ず僧兵と共に現れます。オポジット級自体は、単なる動く壁と言っても差し支えない存在のはず。
僧兵が撃破されれば、彼らも消える。彼らが単体で動くことなんて――。

「……始まるぞ」

腕組みした姉さまが軽く顎をしゃくって指す、その先。
いつか見た米軍の重機兵たちが、オポジット級城兵の周囲に展開してゆく。
けれど、あの城兵に対しては、米軍のみならずビュトス機関の兵器さえ有効ではなかったはず……?
あれを、どうやって……。

わたしとDominus、サテュルヌ姉さまが様子を見ている中、米軍が作戦を開始する。
とは言っても、掃討すべき相手がいないのでは――
そう思った矢先。
胸部に銃弾を受け、新型であろうと思われる小柄な重機兵の一体がどう、と倒れる。
まるで、操者を失った操り人形のように。
次々と倒れてゆく重機兵たち。
……これは!

「城兵が連れてきたのは、狙撃手だったようだな」

姉さまが呟く。
このままでは、ほどなく彼らは全滅してしまう……!守らなければ!
Dominus!往きます!!

270 :
>>263-264
米兵たちを助けるべく身を乗り出したわたしの腕を、サテュルヌ姉さまが掴む。
……姉さま!なぜ……!

「戦ってはならぬ、と厳に命じたはずだ」

で、でも!

「今一度言う。戦いを禁ずる。もし禁を破るようなことがあれば、吾はそなたを敵とみなす」

!!……

「ソレイユ、彼らの役目を。存在の意義を奪ってはならぬ」

存在の……意義……?

「彼らは何だ。彼らは何故、ここにいる。彼らは戦うためにここにいるのだ。戦い、そして死ぬために」
「ここでそなたが出て行けば、彼らはどう思う。そなたに命を救われたら、デミウルゴスを倒されたら、どう感じると思う」
「彼らは敗北感に打ちのめされるであろう。自らの武装の無力を、努力の無為を、生命の弱さを知り、屈辱にまみれるであろう」
「そして、そなたを憎むであろう。お前さえいなければ。お前などがいるから。そう妬み、嫉み、憤怒の対象としてしか見ぬであろう」
「しかし、このまま戦ってRば、彼らの自尊心は満たされる。崇高な任務のさなかに死んだと満足できる」

そ……、そんな!
自尊心だなんて……そんなもの!死んでしまえば、何もかもおしまいではないですか!

「そうではない。世界には、自らの生命と引き換えにしてでも、守らねばならぬものがあるのだ」

サテュルヌ姉さま……!
わたしには、サテュルヌ姉さまの仰ることがわかりません……!

「――未熟よな、ソレイユ」

サテュルヌ姉さまは小さく溜息をつくと、一瞬でわたしたちの傍から姿を消しました。

271 :
>>265
「主殿、その愚妹をしっかりその場に足止めさせておけ。吾は仕事の時間だ」
「本当は、重機兵どもが全滅してから動こうと思ったが……。まあ善い」

姉さまの姿が一瞬で目の前から掻き消える。
次に現れたのは、数百メートル離れたビルの屋上。
狙撃手の役割を担う、フィアンケット級デミウルゴスの陣取る場所へ――。

「オポジット級を囮とし、敵の目を引きつけて狙撃。善い策だ。旧人類では一溜りもあるまいな」

ひたり。
草履が屋上のコンクリートの床面を踏みしめる。
左手に持っている刀に、右手を伸ばす。日本刀のような形状の近距離兵装、『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』。
はらはらと、姉さまの周囲に季節外れの雪が散る。

「だがな。吾は汝(うぬ)ら狙撃兵の類を好まぬ。武人とは、武士とは、死合いの際も互いに敬意を払うもの」
「両者の間にはR覚悟と殺される覚悟がなければならぬ。片方の手の届かぬ場所より一方的にRなど、下劣の極み」
「よって――汝は消す」

姉さまの切れ長の双眸が鋭さを増す。冷え冷えとした殺気がビルの屋上を漂う。
フィアンケットが光に包まれる。現在の距離を不利と取り、逃亡するつもりなのだろう――けれど。

「遅い」

姉さまの斬撃。抜刀したことさえもわからない、不可視の太刀。
感知できたのは、姉さまが斬打を終えて刀を鞘に戻した、微かな鍔鳴りの音だけ……。
幾許かの間を置いて、左袈裟に両断されたフィアンケットは噴水のように血を吹き出すと、そのまま消滅しました。

一閃、血ノ花。姉さまの超光速剣技。

「――また、つまらぬものを斬った」

小さくつぶやくと、姉さまは草履を鳴らしてゆっくり踵を返しました。

272 :
"敵"に手の内を見せるたぁ、存外甘いもんだな。ええ?
そういや例の"黒いの"はもういいのかい……名前は忘れちまったが。
最近物忘れが激しくていけねえや。へへ。

273 :
フィアンケットが消滅した30秒後、光に包まれオポジットが消える。
重機兵達は全滅を免れたが、半数以上が風穴を開けて倒れていた。
そして重機兵達に風穴を開けた狙撃銃は、なぜか消滅せずにフィアンケットがいた場所に残っていた。

274 :
登校のみならず下校も駆け足でしてきたよ、雪ちゃん
この調子で体力は何とかするから近いうちに剣を教えて欲しい。見せてくれるだけでもいい
そして夕飯は疲労回復に良いと言われる鶏胸肉でバンバンジーを作っておいた
今日の戦いで疲れてるだろうと思って

275 :
猫耳カチューシャ買ってきたから姉妹でつけてよ!絶対かわいいから!

276 :
>>273
隊長「うぐっ…クソッ!新型まで投入してこのザマか!
    部隊は全滅…されど戦果は皆無…惨敗だ…
    また…またエリクシアンが片づけていってしまった…
    我々人類はいつまでデミウルゴスの脅威に怯えねばならんのだ…」

米軍部隊の状況は凄惨なものだった
投入されたキティ・ラプター15機の内、実に9機が大破、乗員は何れも死亡
この部隊長のように生き残った機体も、何らかの損傷を負っていて無傷な機体は一つとしてなかった
初めて歩兵型と単独で互角に戦える新型機…しかし、それでもデミウルゴスという存在そのものと対等というわけではない
現在、増援部隊と支援部隊のデリーターによる救助・回収作業が行われている

兵士「ん?なんだこれは…」

作業に従事していた一人の兵士が、戦場に転がっている不審な物体を発見した
おおよそ機関の兵器を含め、人類の被造物とは異なる歪な意匠
フィアンケット級が遺した狙撃銃の本体だった

兵士「こ、これは…」

兵士は周囲を見回す
機関の人間…2体のエリクシアンとそのDominusはこちらに気付いていない
コレの存在を彼らが知れば、有無を言わさずこちらを無視して回収することは目に見えていた

兵士「………」

兵士は作業をするフリをしつつ、狙撃銃を回収すべく手を伸ばす

277 :
>>273>>276
『錬金人類(エリクシアン)』の武装やアサルトスーツには、特殊な金属が使用されている。

既存のいかなる金属よりも硬度に優れ、類稀な剛性を誇り、なおかつ加工しやすい。
科学合成により炎、氷などの属性を帯びさせることもでき、薄く引き伸ばせば強度を保ったまま布のようにさえ変化する。
羽根のように軽く、されど毀れず、磁気の影響を受けない。腐食せず、錆びず、最高のポテンシャルを永遠に保ち続ける。

地球上で唯一その金属の製造法、加工法を知るビュトス機関は、錬金の極致により誕生した金属をこう名付けた。
伝説にある、神の金属。

――オリハルコン、と。

『僧兵(ビショップ)型』フィアンケット級デミウルゴスの残した狙撃銃の材質は、オリハルコンに酷似している。
複製は不可能であろう。なぜなら、オリハルコンは地球上には存在しない。
より正しくは、その材質は『自然界に存在し得ない』と言うべきだろうか。

しかし、その機構を微に入り細を穿って解析すれば、粗悪な『海賊版(ブートレグ)』を製造することは可能であろう。
粗悪品であろうとも、性能は充分。その技術は現在、ビュトス機関が各国に提供しているレベルを遥かに上回る。

(………………)

米兵のひとりが、残されたデミウルゴスの狙撃銃をこっそりと回収する。
サテュルヌはちらとその様子を一瞥したが、すぐに視線を他へと向けた。

(其れを正義のために使うか、それとも覇権の材料とするか。それは汝(うぬ)らの胸三寸――)
(心せよ。其れは正しく禁断のヘルメスの杖。御しきれなければ、汝らに待つものは破滅のみ)
(願わくば――汝らがこの世界のため、人類のため、この星のためにその力を運用せんことを)

278 :
>>272
「戦いは終わりだ。そなたらは疾く学校へ征け。遅刻して廊下に立たされても知らぬぞ」

サテュルヌがぞんざいに右手を振り、ソレイユとDominusをその場から半ば強制的に立ち去らせる。
米軍が戦場の後始末をしている様子を尻目に、サテュルヌはゆっくりと歩き出した。

「――機関の使者か」

ふと、立ち止まる。軽く視線を左へ向けると、そこにはビルとビルの隙間が作る僅かな影に逃げ込むように、一人の男が立っていた。
崩れかけた建物の、大きく亀裂の入った壁に凭れながらの男の言葉に、サテュルヌは軽く眉を顰める。

「吾の敵はデミウルゴスのみ。吾は己の為すべきことをしているに過ぎぬ」
「一の姉上は、あれに身内と戦うという現実を。四の姉上は、これから待ち受ける試練の過酷さを」
「そして吾は、戦いに打ち克つための技術を――教えて遣らねばならぬ」

淡々と、しかしよく通る涼やかな声で、サテュルヌは告げる。

「黒――あの方には、もうすべて伝えた。と言っても、特段必要なかったようだが」
「だが、あれには――ソレイユには、教えねばならぬことが山とある。吾に与えられた時間で、そのどれほどを伝えられるのか……」
「否。遣って見せよう、それが吾の存在理由なるがゆえ」

じゃり、と草履の裏を鳴らし、サテュルヌはふたたび歩き始める。

「父上にお伝えしろ。雪は――サテュルヌは、貴方の御期待に必ず沿うて見せる、と」

それ以上男の姿を見ることもなく、サテュルヌはその場を去った。

279 :
>>274
「善い。なかなか気合の入った主殿よな」
「ならばもう少し鍛錬の項目を増やしても善かろう。交通機関を使わず登下校は当然として――」
「明日より明け六つ(午前5時)に起床し、素振り千本。寝る前にも素振り千本を申し渡す」

ね、ねね姉さま!それは明らかにオーバーワークです!Dominusは大切なお身体なのですから……

「そなたは黙っておれ」
「吾の剣は旧人類に扱えるものではない。見ても参考にはならぬであろう。ゆえ、地稽古(乱取り)形式で教える」
「型から教えるほどの時間はないのでな。婆娑羅剣術になるが、主殿次第では護身に使えよう」

姉さまがDominusとわたしへ木刀を放って寄越す。……わたしも、ですか?

「当たり前だ。そも、吾はそなたに剣を教えに来たのだからな」
「ソレイユ、Dominus、ふたり同時に掛かってこい。それで、いずれかが吾から一本取れれば善し」
「だが、吾も黙ってはおらぬぞ。挑まれれば反撃する。多少の怪我は覚悟せよ」

……Dominusかわたし、どちらかがサテュルヌ姉さまに打ち込むことができればよし……。
木刀を正眼に構えたサテュルヌ姉さまからは、まったく隙を見出すことができない。
どこへ打ち込んだところで、きっと瞬く間に反撃されてしまう――。

でも。

Dominusとふたりなら、きっと!
Dominus、往きましょう!!

>>275
「可愛い?今、可愛いと申したか」

姉さまがすぐに食いついてきました。でも、この冷え切った眼差し――明らかに怒っています……。
ど、Dominus、あの……申し訳ありません、そのネコミミカチューシャはしまって頂け――

「善かろう。寄越せ」

姉さまっ!?

「と、いう訳で猫耳カチューシャとやらをつけてみた。どうだ。可愛いか、吾は」

……姉さま……。
わたしまで、姉さまに押し切られてなし崩しにカチューシャをつけることになってしまいました……。
え、ええと。Dominus……?いかがでしょう……?

「ニャンニャン、猫耳雪ちゃんだニャン」
「ニャンニャン、主殿、明日の夕餉は鮪の刺身を所望するニャン」

!!!??
ね、姉さま!?

「猫耳をつけたからには、語尾はニャンであろうニャン」

は、はあ……そうなのですか……。
でも姉さま、その招き猫風なポーズはとても愛らしいですが、無表情かつ淡々と喋っても効果は薄いかと……。

「ぬ、これはしたりニャン」

280 :
全てのネタをぶったぎるサテュルヌたん……恐ろしい子ッ

281 :
その後、米軍によって回収されたフィアンケット級の狙撃銃は日本の基地で解析が行われた
しかし、人類にとってその未知の組成は彼らの技術で解析しきれるものではなく、
より設備の整ったアメリカ本国へ極秘裏に送り届けられることとなった
しかし、極秘裏に行われるはずのこの輸送任務を察知している者たちが居た

深夜某時、太平洋某海域 墜落した米軍ステルス輸送機機内

米兵パイロットA「クッ…不味いな…
          エンジンがやられて洋上不時着が精いっぱいだった…
          助けを呼ぼうにも通信も妨害されてるみたいだ…」

米兵パイロットB「な、何だったんだあの敵は!?いきなり現れたと思った被弾していた!
           機関から供与された技術も使われてるこの機体のステルスを…
           護衛機とも連絡がつかない!デミウルゴスじゃないのか!?」

米兵パイロットA「デミウルゴスなら有無を言わさず撃墜されているはずだ
           それを、正確無比な攻撃でエンジンだけを機能しない程度に損傷させ、
           この太平洋の真っただ中に孤立する形で不時着させた…
           これをやったのは明らかに俺たちと同じ人間…狙いは積み荷だろうな…」

???「そういうことだ」

作業を続けていた二人のパイロットの会話に答えるように何者かの声がした
機内には彼らしか居らず、三人目の存在など有り得ない
しかし、次の瞬間意識の途切れた彼らがその有り得ない存在に驚愕する暇などはなかった
意識も途切れるはずだろう…彼らの喉は掻っ切られていたのだから

282 :
コクピットには、喉を裂かれ死に絶えた二人の米兵
そして、漆黒のステルスパワードスーツに身を包んだ数人の男が立っていた
どこかで見たような風貌のその男たちは、機関の技術を狙う組織の人間だった
独自に供与された技術を解析し、諸外国よりも一段階優れた力を有している者たちである

世界各国の軍内部にスパイを潜り込ませている彼らに、米軍の極秘任務を察知することなど容易い
まして、供与された技術の扱いに関して、彼らはビュトス機関以外ではほぼ完璧と言っても差し支えなかった
米軍のステルス輸送機など、彼らにとってはただの輸送機にしかならない

隠密部隊隊長「司令、米兵どもの始末は完了しました
          これより、積み荷の確認と回収を行います」

司令官「ご苦労
      速やかに任務を遂行し、帰還したまえ」

そうして報告を終えると、一同は輸送機の格納エリアへと向かう
エリア内には偽装のために他の荷物も大量に積まれていたが、男たちは迷うことなく一つの木箱を手に取る
木箱を破壊して開けると、そこには厳重に封印された金属製のケースが隠されていた
ケースはパスワードなどの何重ものロックを突破しなければ開かないはずであったが、隊長が何かの装置をかざすと、
呆気なくそのケースの蓋は開かれてしまった

隊長「フン、他愛無い…技術をただ使うのと、理解することは全く違う
    これが我々とこいつらの差というわけだ…さて…」

開かれたケースの内部には、歪な意匠の銃のような物体が入っていた
表情はスーツに覆い隠され見えなかったが、ほくそ笑むような声が漏れる

隊長「司令、間違いありません
    これこそフィアンケット級の肉体の一部…
    我々が追い求めていた、時代を変える奇跡の素材…!」

司令「それは米国如きにそれは解析できる代物ではない…我らが持ってこそ価値がある!
    そして、ようやく勝ちの目がj一つ見えてきた…
    我らが機関を下し、世界の新たな管理者となる未来が…
    よし、可及的速やかに帰還しろ!長居は無用だ!」

男たちが輸送機の外へ向かうのとタイミングを同じくして、洋上に不時着する輸送機の隣に、
漆黒の三角錐型の戦闘機がステルス迷彩を解いてその姿を露わにする
これこそが輸送機に損傷を与え、男たちが乗ってきた組織のステルス戦闘機であった
後はこれを用い、特定海域に待機している母船の潜水艦まで帰還するだけで任務は終了する

283 :
雪ちゃんはソレイユに剣を教えに来たそうだけど、どういう意図があるんだろう
鍛えに来ただけなのか、それとも……
なんにせよこのまま殺し合いとかはしないで欲しい。マグロの大トロ買ってきてもいいから
(;;)・ω(#)とりあえず今日の乱取りはここまでにしといてやんよ……

284 :
ドミナス<前が見えねぇ

285 :
参りましょう。

>>280
「対手のあらゆる技を凌ぎ、しかる後に倍の攻撃を加える。これが我が受けの太刀なれば、至極順当ニャン」

……と、サテュルヌ姉さまが仰っておられます。
姉さま……その猫耳カチューシャ、気に入られたのですか?

「割と」

そうですか……。

それはそうとDominus、わたしは幾日か姉さまと地稽古を続けて、思い知ったことがあります。
今まで、わたしはメルキュール姉さま、マルス姉さまと戦ってきましたが――
わたしの戦い方は、あまりに稚拙。あまりにメチャクチャでした。
サテュルヌ姉さまの動きには無駄がなく、その体捌きから足の運びに至るまで、すべてが計算されています。
今のところ、わたしは姉さまに一本打ち込むどころか、触れることさえできていません。
これが達人の術理、と言うものなのでしょうか。

もし、サテュルヌ姉さまの技を少しでも取り込むことができたなら。
わたしは、もっと強くなれるような気がします。
もちろん、Dominusの力も――。

姉さまが手招きしています。また、ふたりで打ち込んでくるようにと。
頑張りましょう、Dominus!ふたりなら、きっと……姉さまから一本を奪うことだってできるはず!

>>283-284
姉さまはああいう方ですが、昔から面倒見のいい方でした。
何やかやと言いながら、わたしの面倒をよく見てくれたのです。あの容姿や話し方から、冷たい方と思われがちですが。
本当は、優しい心を持っておられる姉さまなんです。
だから……今回も。好意から、わたしたちを鍛えに来てくれたのだと。そう、信じています。
今、共に生活しているサテュルヌ姉さまは――昔と何も変わらない姉さまですから。

「大トロか。善い。豪気よな主殿、ならば一冊……と言わず二冊、三冊と参ろうか。酒が進むわ」

姉さま、一応わたしたちは外見上未成年ですので、お酒はちょっと……。

「固いことを申すな。さればよ主殿、まず一献」

Dominusにまで勧めないでくださいっ!

「――案ずるな主殿、死合はせぬ。吾の目的はあくまでソレイユ、そしてついでに主殿を鍛えること」
「今は、それ以外のことは考えるな。邪念や疑心は剣先を鈍らせるぞ」

……姉さま……。
Dominus、姉さまを信じましょう。
サテュルヌ姉さまは――昔の、優しい姉さまのままだと。

286 :
>>281
米軍からフィアンケット級の狙撃銃を強奪した組織の戦闘機が、夜闇に紛れて飛んでゆく。
その様子を、同海域より離れた埠頭より感知しているひとつの影。

「キヒっ……。他のイヌが銜えてた肉が欲しくって、横合いから噛みつくなんてさァ……ホーント、バカバカバカだね!」
「でもさァ。ぜぇーんぶバレバレなんだよねェ!この『電界の女帝』たるボクにはさ!」

埠頭に佇む、一人の少女。頭にかぶったフードから伸びた兎耳が、海風に煽られてバタバタと靡く。
少女――ジュピテルはパーカーのポケットから両手を出すと、大きく横に広げた。
ジュピテルの幼い面貌に、色濃い狂気が滲み出る。口角が深い笑みを刻む。
膨大な電気が、両手に宿る――。

「キャハハハハハハ!ねェ、逃げられると思ってるの?隠れられてると思ってるの?ムダムダ、ムダムダムダムダ!!」
「ソレはキミらにあげたオモチャじゃないんだよ。オモチャは……正しい持ち主のところに返してあげなくちゃ。ねェ?」
「黒焦げになっちゃえ……裏も表も、前も後ろもワカんなくなるくらい!」

両手の指を絡め合わせ、人差し指を立てて指鉄砲を作る。片目を閉じてステルス戦闘機へ照準を定めながら、ぺろりと舌なめずり。
指先に溜まった雷電が、今、解き放たれる――
その直前。

「……緊急回線?パパ?」

三魔術師専用のホットラインで、通信が入る。お楽しみを妨害され、ジュピテルは盛大に顔を顰めた。

「なんだよ、パパ。ボクは遊んでる最中なのに……邪魔しないでよね。なんの用?」
「……アレは狙うな?見逃してやれ、って?なんで――」

>>282
「ジョーダン!だいたい、パパがやれって言ったんじゃん。身の程知らずには鉄槌を、神の雷を喰らわせてやれって」
「だから、ボクはそーゆーヤツらを始末して回ってるんだろ?パパが言うから――」
「え?アレの始末は他にやらせる?……お姉ちゃんに?」
「……むぅ〜」

ジュピテルが不服げに頬を膨らませる。
が、幾許かの逡巡の後で何かを思いついたらしく、少女はニタリと口許を笑みに吊り上げた。

「……ヤだ」
「アレはボクのオモチャ。黒いヒコーキのオモチャだ。止められるんなら止めてご覧よ、パパ?お姉ちゃんには渡さないよ」
「キャハハハハハハッ!もォ遅いよ!バァ―――――ンッ!!!」

通信を無理矢理遮断し、指鉄砲に溜めた雷霆を一気に解放する。闇を裂き、雷光が一直線にステルス戦闘機へ迫る――
しかし。

バギュッ!!

それは戦闘機に命中する直前、激しい輝きを放って消滅した。
ステルス戦闘機にそんな防御装置はあるまい。ジュピテルは瞠目した。

「!?」

しかし、ジュピテルが目を見張ったのは自分の雷光が霧散したことに関してではない。
ステルス戦闘機を雷光から守るように。
漆黒のアサルトスーツを纏った少女がひとり、空中に静止しているのを確認したがゆえ――だった。

287 :
隊員「ついに、真の意味で我々を変える力が手に入りましたね」

隊長「ああ…だが、上手く行き過ぎている気もする…
    今まで、我々の隠密行動はほぼ機関の連中には筒抜けだった…
    エリクシアン・メルキュールの残滓回収班も連中の襲撃を受けて壊滅している
    母艦の潜水艦諸共な…それが今回動きがないのが不気味だ…
    もっとも、我らとて対抗手段を用意していないわけではないのだが…」

隊長の懸念は最もな話であった
彼らが乗っている三角錐型の異形を有する漆黒のステルス戦闘機
組織が有する最新技術の塊とも言えるソレは、今回の任務の切り札の一つであった
どこの国にも存在しない型、機関のデータにも当然登録されていない
しかし、それでも所詮、元となった技術は機関が範囲を制限して公開したものに過ぎない
米軍のステルス輸送機が自分たちに対してそうであったように、根源たる彼らの前では玩具以下だろう

隊員「なっ!?あ、アレは!?」

隊長「どうした!?一体何があった!?」

機体を操縦していた隊員の一人がコクピットから目撃したもの
それは、こちらに向かって真っすぐ走ってきた閃光を正面から弾いた漆黒の人影だった
陸地近海を通るために速度を抑えて飛んでいたことから、尚更その姿は肉眼でもはっきり捉えられた

隊員「ひ、人がこんな高空に生身で!?そんな馬鹿な!」

隊長「落ち着け!クソッ…間違いあるまい…
    アレはエリクシアンだ…やはり、機関に嗅ぎ付けられていたか!
    最早構うな!最大速度でこの空域を離脱しろ!
    それと、司令に連絡して例のモノを出させろ!時間稼ぎぐらいにはなるはず!」

隊員「りょ、了解!」

サテュルヌがジュピテルと対峙するその背後で、黒のステルス機は不可視化を解き、
エンジンの出力を全開にして凄まじい速度で飛び去って行く
ジェット噴射の轟音が周囲の空気を揺らし、見る見る影は闇夜に飲まれていった
しばらく距離を離した後、再び不可視化しようという算段である

288 :
一方、ここは隠密部隊が母艦とする潜水艦
高いステルス性能に数千メートルの深海の水圧にも耐える性能を誇る
現在、限界水圧ギリギリの深海域に待機し、部隊が駆るステルス戦闘機の帰還を待っていた

通信兵「司令、ブラック・デザイアより入電
      エリクシアンと遭遇、現在合流予定ポイントをαからβに進路を変更したとのこと
      なお、『ファルシオン』の出撃要請も出されています」

司令「チッ…不味いな…この土壇場で…
    よし、ならば本艦も深度このままで急ぎβへと進路を変更!
    ヤツらがβまでブラック・デザイアを追撃しようとすれば、必ずこのαを通る…
    『ファルシオン』はここで分離・浮上させ、置き土産にしてやれ!
    我々の歓迎会に連中が泡を食っている間に、ブラック・デザイアを回収して離脱する!以上、作戦開始!」

司令官の合図の下、潜水艦から切り離された浮袋付きの「鉄の箱」が洋上へと急速に浮かび上がっていく
同時に、海底ギリギリを直進しながら、潜水艦もまた目的の場所へと向かって行った

289 :
死合はしないって言質取ったからな!
ついでに自殺とか、死にに行くようなこともしないで欲しい
生きて、こうやってずっとソレイユと仲良く暮らしてくれ

290 :
やっぱりメイザースの仕込みか?どうでもいいがパパって聞くとなんとなく犯罪臭がするネ…。
ちなみに私はドSロリに苛められるのもドSロリが蹂躙されるのもどちらも好きです。(性癖暴露)

291 :
>>287-288
放った必殺の雷電は、ジュピテルの必殺技。地球上の何もかもを等しく焼Rる、神の雷。
それを、右手一本で無効化された。
ジュピテルが忌々しげに唇を噛み締める。

その視線の先には、空中に静止したひとりの人影。
膝裏まである、艶やかな長い黒髪。
整った、無機質な面貌。透けるように白い肌と、しなやかな体躯。
闇を纏ったような、漆黒のアサルトスーツ。
その外見を表現する言葉は無数にあるが、より端的に表現するならば――

――黒い、ソレイユ。

「……お姉ちゃん……」

ジュピテルが半ば呆然と口を開く。
闇色の少女は、表情のない顔を軽く巡らせ、埠頭に佇むジュピテルを見た。
その黒い瞳に射竦められ、ジュピテルは慌てて両手を振る。

「おっ、おおお、お姉ちゃん!き、来てたの?」
「や……ヤダなァ!お姉ちゃんのオモチャを、ボクが壊しちゃうワケないじゃん!エヘヘ……」

パタパタと手を振って、反抗の意思がないことをアピールすると、少女はすぐにジュピテルから視線を外す。
かと思えば流星のように光の尾を引いて、瞬く間にステルス戦闘機を追っていった。

>>290
「……ふい〜……」

闇色の少女が去ると、ジュピテルは安堵したように大きく息を吐き、額の汗を拭った。

「なんだよ、人のオモチャを横取りしてさ!アレはボクのオモチャだったのに!」
「……でも、お姉ちゃんには敵わないし……。ちぇッ、つまんないの!つまんないつまんない、つまんな〜いッ!」
「パパもパパだよ!七姉妹の中じゃ、ボクが一番かわいいってゆーのにさーっ!お姉ちゃんとソレイユばっかり目をかけて!」

ジュピテルはしばらく獲物を見逃さざるを得なかったことに不満を漏らしていたが、ややあってはたと気がつくと、

「……ソレイユ、かァ……」

ニタリ、と口角を笑みに吊り上げた。

「姉の不満を受け止めてサンドバッグになる……、それが妹の役目ってゆーモノだよねェ?きひひッ」

さっきまで不機嫌だった顔が、もう笑っている。ジュピテルは踊るようにくるりと踵を返した。

「決ィーめた!さっそく、ソレイユをイジメに行こーっと!オマエたち、行くよ!」

腰の後ろで両手を繋ぎ、スキップしながら歩き出す。――目指すは、妹ソレイユの許。
ジュピテルの号令と共に、埠頭の倉庫の影に蹲っていた重機兵たちもまた、彼女に倣う。
電界の女帝率いる軍団が、ゆっくりと行軍を開始した。

292 :
>>289
「何をおかしなことを言っているのだ、主殿。吾が自刃に及んだり、死にたがっているように見えるのか」
「吾とてむざと死にたくはない。主殿に言われるまでもなく、生きられるところまで生きるわ」
「ところで主殿、おかわり」

……姉さまがここへ来て、幾日かが経過しましたが……。
何も、変わったところはありません。朝と夜、姉さまがわたしとDominusの剣の稽古をしてくれる他は、何も。
デミウルゴスも、最近はなりを潜めている……。
でも、わたしにはこれが平穏とは思えないのです。
何か大きな返事の前兆、嵐の前の凪であるかのような……そんな胸騒ぎを覚えるのです。
わたしの思い過ごしであればよいのですが……。

「ふむ、こうして主殿の飯が喰えるのであれば、此処でこのまま食客として生活するのも悪くない」
「が……それで本当に善いのか、主殿?小姑が同居しておっては、妹と心置きなくキャッキャウフフできまい」

サ、サテュルヌ姉さま!?

「戯れだ、真に受けるな。……まぁ、主殿の提案は一考しておこう」
「先ずは、ソレイユと主殿が剣をものにすること。それが成らぬうちは、先のことなど考えられぬゆえ」
「さて……馳走になった。されば、吾は腹ごなしに軽く散策などしてくるゆえ、そなたらは主従水入らずでイチャコラするがよい」

姉さまっ!お戯れが過ぎます!!

「ふはは。ではな」

……もう……。姉さまったら……。
でも、わたしもDominusと同じ気持ちです。このまま、姉さまとずっと暮らせたら。
一緒に、仲良く手を取り合って過ごすことができれば……。
そう、思います。

――大丈夫ですよね?願いは……叶いますよね?
Dominus……。

293 :
よし、散策してるサテュルヌ姉さまを尾行しよう

294 :
Dominusがサテュルヌの胃袋掴んじゃったらDominusxサテのカップリング成立確率が微粒子レベルで存在する?

295 :
一方、こちらは再び組織のステルス戦闘機「ブラック・デザイア」

隊員「た、隊長ッ!ヤツです!エリクシアンが再び!」

隊長「ば、バカなッ!?もう追い付いて来ただと!?
    αまでもう少しだと言うのに…迎撃だッ!迎撃しろッ!」

光の尾を軌跡に描きながら猛追してくる人影
ステルス機とて軽く音速を突破する速度で飛んでいるはずだが、向こうはぐんぐん追い上げてくる
予想以上の相手の速度に、さすがに機内の男たちも焦りを見せていた
そして、操縦士の隊員がブラック・デザイアの武装を足止めのために使用する
…とはいえ、隠密作戦行動を重視したこの機体、火力は貧弱で武装は少ない
しかし、組織なりに粋を凝らしたこの性能は米国の輸送機に対しては脅威足り得た

隊員「ピンポイントレーザー、照射!」

ステルス戦闘機の両翼に一基ずつ搭載されている銃身の細い粒子砲
その二つの砲塔が旋回し、背後のサテュルヌに照準を合わせる
重機兵に搭載されている粒子砲の主砲と同等の出力を持ちながら、
その収束率を限界まで絞って極細のレーザー砲としたものであり、並外れた貫通力を誇る
照射したまま照準をずらせば、相手を切り裂くレーザーカッターのようにもなる
精密なコントロールも可能であり、米国の輸送機のエンジンを爆発させずに損傷させている
人間サイズの極小目標であるサテュルヌでも、真っすぐに追ってきている今なら捕捉可能であった

隊員「フハハハ!焼き切ってやる!
    デミウルゴスの歩兵級の装甲も簡単に貫通した威力だぞ!」

武装のコントロールは操縦士ではなく、もう一人の隊員が行っている
白の細い光線がサテュルヌの肉体を焼き切らんと両側から挟み込むように襲う

296 :
一方、ここは当初の合流予定地点であったα海域
そこには、母艦である潜水艦から切り離された鉄の箱が既に浮上していた
鉄の箱が開き、中から出てきたのは人型のロボット、コードネーム「ファルシオン」
完全自律機動の無人兵器であり、組織の兵器では最強のスペックを有している
巷ではビュトス機関以外実現させていないはずの自律機動兵器
その性能は機関のものに比べれば子供騙しであり、簡単な命令を解する知能しかない

ファルシオン「任務カイシ…敵ノ殲滅」

しかし、いくらこの機体とて、とてもエリクシアンと正面から戦えるほどではない
この機体に搭載されている兵器にこそ、組織の者たちに自信を与える切っ掛けとなっていた
ファルシオンには、諸外国の保有する戦略人工衛星をハッキングする力があった

米国製戦略衛星アドミラブル、ファルシオンがハッキングを仕掛けた衛星はそれであった
機関のステルスに守られたサテュルヌをレーダーに捉えることはできない
目的はレーダー機能ではなく、アドミラブルに搭載されているもう一つの武装である
それを使うためには、今彼女に追われているブラック・デザイアからの管制を必要としていた

通信兵「ファルシオン、迎撃準備を整えました」

司令「エリクシアン、出来れば今回のブツ以上に最も入手したい素材なのだが…
    まあ、我々の脅威にしかならないのであれば、破壊することが最も都合がいい
    それが例え、我が組織の切り札を引き換えにするものであってもだ
    我ら旧人類の究極の叡智の結晶たる破壊の力、その身でどこまで耐えられるかな?ククク…」

既に合流地点βへと辿り着いた潜水艦の艦内にて、ほくそ笑む司令官の姿があった

297 :
ここは既存コテでの参加はあり?
極端な話、メイザース師や6人の姉の一人になりきって参加してもいいの?

298 :
では、今日も参りましょう。

>>293
えっ?
で、でも、姉さまはわたしたちには家にいるようにと――。
いえ、なんでもありません。Sic.Dominus.サテュルヌ姉さまの尾行を開始します。

……。
……。
まず、商店街の古本屋で何やら剣術関係の本を立ち読みしておられますね……。
それから、甘味処へ入ってあんみつと抹茶のセットを注文されました。
何か、わたしたちに内緒で行動しているのでは……と思いましたが……。
どう見ても、完全に言葉通り散策を楽しんでおられるようです。
まだ尾行を続けますか?Dominus。

……あれ?
一瞬目を離した隙に、サテュルヌ姉さまを見失いました!
そんな、一体どこへ――

「家で主従水入らずイチャコラせよと。そう申しつけたはずだが?」

ひっ!
ね、姉さま!いつのまにわたしたちの背後に……!?

「バレバレじゃ、戯けども。吾がそなたらの拙い尾行に気付かぬとでも思うたか」

も、申し訳ありません姉さま。姉さまがどちらへ行かれるのかが気になって……。

「余計な世話よ。くだらぬことをやっておらんで、さっさと帰れ!駆け足ッ!」

はッ、はい……!
Dominus、尾行失敗です。これからは、もっと気配を消せるように頑張りましょう。
とりあえず、今はこれ以上姉さまの不興を買わないよう、帰投すべきかと……。

「まったく、戯けどもめ。折角吾が気を利かせたというのに」
「まあ善い。それはそうと、こちらも支度を急がねばならぬか……」

299 :
>>294
「悪くない……とは言ったが、生憎、吾のDominusはひとり。そして、それはもうこの世におらぬ」
「よって、吾が主殿に懸想する可能性はない。……なんだ、主殿。吾に惚れたか?」
「それは重畳至極。光栄の極みよな。だが、気持ちのみ有難く受け取っておこう。ふっふ」

……あの。サテュルヌ姉さま……。
今、姉さまは、姉さまのDominusはもうこの世にいない、と仰いましたが……。
それは、どうしてなのですか?いったい、何が姉さまたちのDominusの身に起こったのですか?

「それは言えぬ。理由は、四の姉上と同じよ」

……サテュルヌ姉さまのカドゥケウスにも、情報漏洩防止用のプロテクトがかかっている……?

「然様。吾から強いて訊かんと欲さば――」

サテュルヌ姉さまのカドゥケウスを壊すしか、ない――。

「然り。だが、それを望むならば吾も手向かいするぞ」

!……そ、そんな。姉さまに手をあげるなんて……。わたしにはできません。
メルキュール姉さまとマルス姉さまの場合は、やむを得ずでしたから……。

「ならば、わからぬものはわからぬと。目を瞑るしかなかろうな」

……はい。
Dominusも仰っておられました、ずっと仲良く暮らしてほしいと……。
わたしも、それを望んでいますから。姉さまと戦うくらいなら、情報など欲しくありません。

「……甘い奴よな」

姉さま……?何か?

「何でも無い」

300 :
>>295-296
ステルス戦闘機ブラック・デザイアに肉薄する、黒いアサルトスーツを纏った少女。
腰の後ろに装着した高速飛行ユニットが、彗星のような光の尾を描いている。
既に射程範囲内に入って久しいが、少女は戦闘機を追跡するだけで一向に攻撃をしようとしない。

と、ブラック・デザイアの砲塔から、凄まじい勢いでレーザーが射出される。
全てのものを寸断する、組織の叡智たる武装。
――だが。

闇色の少女には当たらない。少女はまるでアクロバットのような高速機動でレーザーを掻い潜ると、さらに戦闘機へ接近した。

ギュオッ!

少女の黒い長髪が、激しい風に嬲られてはためく。
ソレイユと瓜二つの顔立ちの少女は、やがてブラック・デザイアの右翼面に降り立つと、片膝をついてそっと機体に触れた。
少女の手が触れた場所から、瞬く間に無数の光がブラック・デザイアの機体表面を走る。
光はやがてブラック・デザイアの制御コンピュータに到達し――
それを乗っ取った。

《あたしの声。聞こえますか?》

ブラック・デザイアの通信器から、少女の声が響く。

《大丈夫。暴力は振るわないから。……あたしはただ、あなたたちの持って行ったものを返してほしいだけ》
《それは、あなたたちのものじゃない。危険なものだよ、あなたたちには扱えない。人殺しの道具だよ》
《もし、使い方を誤れば。それはあなたたちだけでなく、たくさんの人を不幸にしちゃう。そんなの、嫌だよね?》
《ビュトス機関なら、それを安全に処理できる。世界にいらない混乱を起こさずに済むの……。だから、お願い》
《それを、返して。それは、今の人類が持つには、あまりに危険なものだから――》

闇色の少女の言葉が、ステルス戦闘機の操縦席に木霊する。

ブラック・デザイアは闇色の少女を翼に乗せたまま、やがて合流点αへと到達した。

301 :
>>297
メルキュール「こんばんは〜☆メルキュールのエリクシアンおまけ講座のお時間で〜す☆」
マルス「またやンのか、これ」
メルキュール「そうよ?死んだわたしたちの出番と言ったら、もうこれくらいしかないんだから」
マルス「カッ!世知辛ェ!」
メルキュール「というわけで〜☆司会はわたし、エリクシアンいちの癒し系!PEX-001メルキュールとぉ〜」
マルス「あー、ハイハイ、マルスでお送りしますっつーかなンつーか」

メルキュール「今日のおハガキは、ポイントF99915にお住まいの>>297さん!>>297さん、ありがとうございます☆」
マルス「オレらで参戦したいってか。中々豪気な野郎だな」
メルキュール「そうねえ。一度死んだわたしたちも、復活のチャンスがあるということかしら?」
サテュルヌ「大変遺憾であるが、それは無い」
マルス「なんだテメェ、藪から棒に!ワンチャンよこせや!」
サテュルヌ「>>297よ、済まぬが此処は質雑TRPG。基本的に、コテなるものはGMであり進行役である我らが受け持つ」
サテュルヌ「ついでに言うと、我々既存の名ありキャラにはもう、決まった役割があるのでな。余人には委ねられぬ」
サテュルヌ「この物語は基本的に『此方の用意した物語に、名無しがDominusとして介入する』という方式を取っておる」
サテュルヌ「よって、そなたらには自らがDominusとしてどのような行動を取るべきか?を考えて貰いたいのだ」
マルス「でもよ、なんか謎の組織とか米軍とか機械化人類始祖(メカニゼイター・オリジン)とかいんじゃん」
サテュルヌ「ぬ。然様。それでも尚、何らかの役割を演じたいと欲するならば、それもまた善し」
サテュルヌ「その場合は現在の設定を鑑みた上で、無理なき役柄を創造し介入して貰えれば重畳」
サテュルヌ「されば、此方もそれを設定に組み込み、新しい物語を作ってゆこう」
マルス「たーだーし!密かに開発されていた八人目のエリクシアン!とかそーゆームチャな設定なんかは勘弁っつーことで」

メルキュール「参加を検討して下さっているというのは、とても光栄ですし嬉しいことですね。本当にありがとうございます」
サテュルヌ「善ければこれからも『錬金乙女エリクシアン』を応援して頂きたい」
マルス「ンじゃまた次回!あばよ!」


ソレイユ(出そびれました……)

302 :
そう言えば少し気になっていたことがあるんだ。メルキュールさんから受け継いだ
超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』についてだけど
あれってどのくらい自在に動かせる?
ただの水だけじゃなく魔導血液でも動かせるみたいだったよね。それだけじゃなくて、
例えば僕がインスタントコーヒーの粉をトレント・デ・フエの水鞭に零してしまったとする
そうすると水鞭は茶色く濁ると思うけど、その水鞭の中から
インスタントコーヒーの粉という不純物だけを取り除いて、元通りの透き通った水に戻すようなこともできるんだろうか?
もしそれができるなら、雷を操る……ジュピテルさんだったか。恐らくその人には、簡単には負けたりはしないと思うよ
光学兵器のヴェヌスさんとか、多用途型のラ・テールさんはどんな事をしてくるかいまいち分からないけど

303 :
メル姉に会いたいあまりハガキ職人と化すDominus

304 :
>>300
隊長「何をしている!?さっさと振り落とせ!
    このままでは例のモノが使えんぞ!」

隊員A「だ、ダメです!エリクシアンに取り付かれてから何故かコントロールが…」

隊長「ハッキングを受けているのか!?
    ク、クソッ…こんなところで我々の夢が…」

サテュルヌのハッキングにより機体の制御を封じられ、機内の男たちは絶望していた
機関との圧倒的なまでの技術力の差
自分たちが誇るこの機体でさえ、エリクシアンに対しては武装すら使わずとも封じられる現実
進路や速度こそ変わらないが、細かいコントロールを含め、機内からの操作は一切受け付けられない
しかも、母艦との交信も遮られ、文字通り完全に孤立した状態となっている

>《それを、返して。それは、今の人類が持つには、あまりに危険なものだから――》
隊員A「こ、交信してきただと…?」

隊長「………
    よし、分かった…
    そこまで言うなら、ブツは君らに返そう…
    我らとて技術を知り、人類の革新を目指す者の一員だ…
    過ぎた力の危険性はよく分かっているつもりだからな…」

隊員B「隊長!?…ぐがっ…あ…ああ…なん、で…!?」

隊長の発した突然の台詞に驚いた隊員の一人が、驚愕の表情を浮かべ振り向く
しかし、隊員はすかさず隊長の撃った拳銃の一撃に肩を射抜かれ、痛みに悶えながら蹲る

隊長「道理の分からぬ者にこの話に入る資格はない
    私も組織の行為の危険性には常々疑問を抱いていたところだった…
    だからな…」

隊員A「………」

エリクシアンからの通信に応じつつ、隊長は密かに手で合図を送る
それを受けたパイロットを務める隊員は、腕に装着された端末を操作し始める
この端末はブラック・デザイアの制御とは独立しており、ハッキングは免れている
そして、ここはα海域、もう一つの切り札が待機している場所だった

305 :
隊長「ここで…君には消えてもらいたいのだ、エリクシアン!」

笑みを浮かべながら、そう答える隊長
次の瞬間、ブラック・デザイアの表面に取り付いていたサテュルヌに、
黒い何かが衝撃を見舞い、弾き飛ばしてしまった

それは、組織の誇るもう一つの切り札、人型戦闘兵器、コードネームは「ファルシオン」
重機兵を無人化したもの、と言えば聞こえはいいが、そのスペックは既存の諸外国の兵器とは段違いである
全長2.5m、脚部はブースターとなっており、背部には巨大な空戦用スラスターを搭載
黒一色のカラーリング故にシルエットは肉眼では判別し難いが、頭部と思われる部位には8つのカメラアイが赤く光る
試作兵器であることに加え、純粋な戦闘兵器ではないため武装は少ないが、パワーは不意打ちであれば、
エリクシアンを軽く弾き飛ばすだけの膂力は備えていた

隊長「今だ!最大速度で離脱しつつ、すぐさまアレを撃たせろ!」

隊員A「し、しかし!この位置では離脱が間に合わない可能性も…」

隊長「構わん!このままブツを奪われるよりマシだ!早くしろ!」

隊員A「は、ハッ!」

パイロットの隊員は制御の戻ったブラック・デザイアをコントロールしつつ、
先ほどのサテュルヌの位置情報と発射命令を同時にファルシオンへと送信した
戦闘兵器ではないファルシオンの真価、それは偵察に特化した機体だということだった
それもただの偵察機ではなく、旧来の人工衛星をハッキングしてそのコントロールを秘密裏に奪うことに特化している
戦略人工衛星の有する絶大な索敵システムを、持ち主にハッキングを気付かれることなくそのまま利用出来るのだ
しかし、それを応用することにより、とあることを為すことも可能であった

米国の戦略衛星「アドミラブル」、それは、軌道上から地上の目標を戦術核弾頭によって狙撃出来る機能を搭載していた
今回、ファルシオンのハッキングを利用することでそれを使用、サテュルヌをファルシオンごと核の炎で滅ぼそうという算段だった
ファルシオンは受け取った命令を処理しつつ、サテュルヌの前に立ちはだかるように浮遊していた

隊長「フハハハハ!我々を甘く見たことを後悔するがいい!
    冥土の土産にファルシオンはくれてやる!試作機とはいえ、相当金を掛けた代物なのだからな!
    仲良く核の炎に焼き払われてしまえ!」

勝利を確信した笑みを浮かべつつ、機内の映像から急速に遠ざかっていく戦場を見やりつつ、叫ぶ
後は母艦の待機するβ海域まで向かい、回収してもらえば全ての任務は終了するだろう

306 :
ラ・テール姉さまは黒、サテュルヌ姉さまは灰色って感じで
パーソナルカラーやアサルトスーツの色が決まってるみたいだけど
もし選べたとしたらソレイユは何色が良かった?

307 :
参ります。

>>302
Sic.Dominus.
わたしがメルキュール姉さまから受け継いだ、EXW-006S 超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』。
これは液体を鞭状に変化させ、自由に操るための武装であり、それ以外の用途には使用できません。
通常の鞭が成し得る行為、例えば目標への打撃、絡みつかせての拘束、締めつけなどは可能ですが、それ以外は――。
Dominusの仰る「水に混じってしまったコーヒーを抜き取ること」は、わたしには出来ません。

メルキュール姉さまのもうひとつの能力――
EXW-0224L 液状物質遠隔操作システム『メルキュール・ミトライユーズ・プリュイ』なら、それも可能だったでしょう。
でも、それは姉さまの死と共に失われてしまいました。

Dominusには、ジュピテル姉さまに打ち勝つための秘策がおありなのでしょうか?
だとしたら――ぜひ、教えて頂きたいです。
きっと、そう遠くない未来に。ジュピテル姉さまと相対する時がやってくるはず。
そのとき、わたしが負けないように。Dominusのことを守れるように。
お願い、します。

ヴェヌス姉さまは、EXW-0049S 無線式オールレンジ攻撃ユニット『ヴェヌス・ベルジュロネット・ドゥ・ブリエ』。
無数の子機、鶺鴒たちを使役する攻撃を得意とされています。
ただ……ラ・テール姉さまの得意な攻撃については、わかりません。
ラ・テール姉さまのスペックは、秘中の秘とされていて……。申し訳ありません、Dominus。

>>306
Sic.Dominus.
もしも、わたしのパーソナルカラーが選択可能だったら……ですか。
わたしは、今の自分の色が。白が、好きです。
まっさらで、無垢で、なにも色がついていない――眩しいくらいの白。
きっと、メイザース師がわたしのために用意してくれた、特別な色なのだと。そう、思います。
ですから、強いて別の色を望もうとは思いません。

――でも。

もし。もしも。わたしの好きな色を選んでもよい、というのなら……。
ピンクを。選ぶのではないかと……そう、思います。

ピンクは、桜の花びらの色。今年の春にDominusと見た桜の花、とても……とても綺麗でした。
今でも、あの鮮やかなピンク色ははっきりと思い出すことができます。
だから。――ピンクを。

ピンク色のアサルトスーツなんて、わたしには似合いませんよね?あはは……。
はい。夢です、わたしの……夢。

308 :
>>304
《よかった!そう言ってくれて本当に嬉しい!ありがとう!》
《じゃあ、このままどこか着陸できるところへ寄ってほしいな。そこで受け渡しさえできれば、あたしはすぐに帰るから!》

闇色の少女の嬉しそうな声が、操縦室に響く。
その中で、乗組員たちがどんな計画を練っているのか――むろん、少女は知る由もない。
そして交渉が成立したと思った刹那、少女は黒い何者かの体当たりを受け、呆気なく翼上から弾き飛ばされていた。

「――く……!?何……?」

空中に放り出された少女はくるくると幾度か回転したが、背部の推進ユニットですぐに体勢を整える。
視界の先には、全速力で離脱してゆく黒い戦闘機。そして――それを守るかのように立ちはだかる、ひとつの機影。
少女は歯噛みした。

「……どうして……。返してくれるって。分かったって……言ってくれたのに……!」

押し殺した声で、少女が言葉を紡ぐ。――怒っている。
攻撃を受けたことに対して、ではない。虚言を告げられ、欺かれたことに対して、憤りを感じている。

「なんで……どうして……。あたしは、暴力は振るわないって。危険なものを返してって言っただけなのに……!」

ぽろり。
ぽろ、ぽろ、ぽろ。

少女の大きな黒い瞳から、涙が零れる。無表情だった顔を歪め、少女は悔し涙を流した。
しばらく遠ざかってゆく戦闘機の機影を睨み据えると、ややあって少女はぐいっと右腕で目元を拭った。

「あたしに……消えて貰いたいって……。そう、言ったよね……」

目の前の機体ファルシオンには目もくれない。少女はもう豆粒のようになってしまったブラック・デザイアを見る。
そして、呟く。

「――あなたたちは……悪者、なんだね」

309 :
>>305
ファルシオンのハッキング能力が米国戦略衛星アドミラブルをハッキングし、その操作系統を支配する。
遥か上空、衛星軌道上のそれは今や主人となったファルシオンの命令を受諾し、すぐに戦術核弾頭の発射を実行した。

核弾頭の速度は秒速約7.9km。第一宇宙速度に等しい。
その命中誤差は120cm以下であり、弾着までの時間は約250秒。

炸裂すれば、半径100km以内のものを跡形もなく蒸発させるほどの威力を秘めた、米軍の切り札である。
いかな『錬金人類(エリクシアン)』でも、その威力を直に受ければ死は免れ得ない。
少女は恐るべきスピードで自分へ向けて飛んでくる核弾頭を感知し、空を見上げた。

――が。

少女は動かない。ただ、じっと闇夜を見上げている。
禍々しい流星のように、核弾頭が迫る。みるみるうちに、視界が核弾頭でいっぱいになる。
少女は核弾頭へ向け、手のひらを大きく開いた両腕を突き出した。
核弾頭が、猛烈な速度で少女に炸裂する――

いや。

炸裂、しない。
少女の突き出した両腕、その僅か数十cm手前で、核弾頭が制止している。

「人殺しの道具が、そんなに欲しいんだね。人を殺したいんだね。人々の幸せを、平和を、粉々にしてしまいたいんだね――」
「そんなことは許さない――絶対に。みんなの愛は、平穏は、幸せは……このあたしが!」

闇色の少女――ラ・テールが、突き出した両腕を円を描くようにくるりと回す。
と同時、手のひらの前で制止していた核弾頭もまた、くるりとその向きを変える。
――戦闘機ブラック・デザイアの飛んでいった、その方角へ。

「おおおおおおおおおおおおおおおおりゃあああああああああああああああ!!!!!!」

ギュゴッ!

気合と共に、少女がブラック・デザイアの飛んでいった方角へと核弾頭を投げ飛ばす。
その速度はやはり、第一宇宙速度のまま。いかな高速戦闘機とて逃げ切れまい。
闇色の少女、黒いソレイユは軌道衛星への指示を終え、ぼんやりと浮遊しているファルシオンを拳の一撃で撃破すると、

「『錬金人類(エリクシアン)』PEX-003 ラ・テールが!絶対に守ってみせる!!」

そう、高らかに言い放った。

310 :
>>303
メルキュール「こんばんは〜♪メルキュールの『エリクシアンおまけ講座』のお時間で〜す☆」
メルキュール「司会はわたし、エリクシアンいちの自然派!PEX-001 メルキュールと!」
マルス「PEX-002!燃える闘魂!マルスがお送りするぜ!」
メルキュール「うふふ……ノリノリね、マルス」
マルス「ヤケクソだよ!」

メルキュール「本日のおハガキは、ポイントO-00021にお住まいの>>303さん!>>303さん、ありがとうございます☆」
マルス「メル姉に会いたいからハガキを書くだとォ〜?おいコラ>>303!オレはどーなンだよ、オレはァ!」
メルキュール「あらあらうふふ、まあ、どうしましょう?死んだわたしのことを、まだ覚えていてくれる人がいるなんて」
マルス「カッ!こォンな乳がデケェだけの姉貴のどこがイイってンだよ?」
メルキュール「あら、胸の大きさは母性のバロメータですよ?」
ジュピテル「異議ありーっ!それじゃ胸のないボクらに母性が全然ないみたいじゃーんっ!ねェサテュルヌ!」
サテュルヌ「吾に振らないで頂きたい、五の姉上」
マルス「むくれンなよジュピテル、オレにもそれなりに乳はあっけど、母性なんぞカケラもねーぞ」
ジュピテル「マルスお姉ちゃんには訊いてないから」
マルス「ア゛?なンだ、戦争か?」
メルキュール「ふたりとも、仲良くしなくちゃダメですよ?ともかく、わたしたちに会いたいと思って下さるのは嬉しいことですから」
メルキュール「これからも、何かあれば気軽に『メルキュールのエリクシアンおまけ講座』までおハガキをくださいね!」
ジュピテル「あて先はココ!(自分の胸元当たりの空間をなぞる仕草)」
サテュルヌ「採用された聴取者には、ビュトス機関特製手ぬぐいを進呈する」
マルス「っつーことでまた次回ーっ!」

ソレイユ(お風呂に入っていたお蔭で、出るタイミングを失いました……っ!)

311 :
隊員A「爆発圏内からの離脱…おそらく間に合いません…」

隊長「フン…その程度おまえたちとて覚悟の内であろう?我らは元より決死隊…
    αに辿り着く前にヤツに追い付かれた時点で、逃れる術は消えていたも同然だ
    ここまで出来ただけでも健闘した方だろう
    …だが、こうなった以上、なんとしてもブツだけは司令にお渡しせねばならん」

隊員A「では…」

隊長「ああ、耐圧ステルスケースにブツを入れて海に投下しろ…
    この辺りなら海底までそれなりの深さがある…沈めてしまえば爆風の影響もない」
    
隊員A「了解です…ヴァルハラでお会いしましょう」

隊長たちは覚悟を決めたような面持ちで作業を始める
操縦を自動操縦に切り替え、パイロットの隊員は手早く指示された作業を始めた
一方、隊長は自らが肩を撃ち抜いたもう一人の隊員の手当をしていた

隊長「すまんな…ヤツを油断させるためとはいえ、味方を撃ってしまった…」

隊員B「いえ、隊長の意図を読めなかった自分の落ち度です…
     ただ、我々の組織の栄達を見届けられないのが残念ですが…」

隊員A「隊長、ブツの投下及び司令への最終報告、完了しました
     しかし、核爆発の反応が遅いですね…そろそろ吹き飛んでいてもいいはず…」

そこに、作業を終えたパイロットの隊員が報告に現れる
いつまで経っても見えない核の爆光を訝しがる様子を見せている

隊長「ま、まさか…いや、そんなはずは…
    着弾せずとも、目標座標近くに到達した時点で自動的に爆発する仕組みになっているのだぞ?
    いくら連中でも核を止めるなど…うおっ…」

隊長が言葉を紡ぎきる前に衝撃、そしてすかさず光が襲う
死を迎える覚悟を決め、ある意味気を抜きすぎていた彼らは気付かなかった
ブラック・デザイアに急速接近する動体反応に…
ラ・テールが正確無比な精度で投擲した核弾頭の接近を予想することも、理解する暇もなかった
結果的に彼らはその覚悟の通り、核の炎に包まれて跡形もなく吹き飛んでしまう

312 :
ここはβ海域の深海海底

通信兵「ぶ、ブラック・デザイアからの反応及び通信途絶…」

司令「そうか…逝ったか…惜しい者たちを亡くした…
    我らが組織の勇士たちの健闘を称え、黙祷!」

先んじて「離脱不可」の報告を受けていた艦内のクルーたちは、残念そうな面持ちをしていた
司令の命令により、戦死した隊員たちへ黙祷を捧げる
ただでさえ厳かな静寂さに包まれた艦内が、より重苦しい雰囲気に包まれる

司令「我々は彼らの犠牲を無駄にしてはならない…
    これより、本艦は深度を維持したまま、ブラック・デザイアから送られた座標に向かう!
    そこに、勇士たちの魂の結晶が残されている…
    これを回収し、本部に持ち帰ることこそ、我らに残された最後の使命だ!心してかかれ!」

クルー一同「ハッ!」

ブリッジに控える大勢のクルーたちが、一斉に敬礼を飛ばす
そして、最後の任務を果たすべく、潜水艦は静かに音を立てて、海底を這うように進み出した

313 :
ブラック・デザイアから投下されたケースは、核爆発の影響を受けることなく海底へと向かうはずだった。
しかし、爆発が近距離で起きてしまったためケースはもろに爆風を浴びてしまう。
吹き飛び、予定地点より大幅にずれた位置に沈む耐圧ケース。
灼熱の空気に晒されたため融解し大きな穴が空いてしまったが、ケースは原型を留めていた。
しかし、ケースの中身は原型どころか物自体が消えてしまっていた。

314 :
>>313
目標地点に辿り着いた組織の潜水艦
しかし、ブラック・デザイアから遅れらた座標位置に目的のものはなく、
周辺海底を探索して、ようやく微弱な反応を発しているケースを発見することに成功した
本来、撃破・または目的を終えるとされると跡形もなく消滅するはずのデミウルゴスの体組織
旧人類の技術に革命をもたらすであろうそれは偶然にも残され、米軍の手に渡ろうとしていた
しかし、それを横から掠め取り、自分たちの力として利用しようとした国際秘密組織

司令「そ、そんな馬鹿な…我々は…何のために…」

彼らが直面した現実は、余りにも無情なものであった
まだデータの検証すら満足に終わっていないワンオフ仕様の最新鋭試作兵器を喪失
そして、隊員らが命を賭して守ったはずのその奇跡の結晶はどこにも無かった
残されていたのは、核爆発の熱に溶け、中身が消え去ったケースのみ
再び周辺を探索するも、今度は一切何も見つかることはなかった

司令「作戦は失敗…か…完全に…
    ………」

通信兵「司令…」

司令「本艦は当海域より離脱する…
    これ以上の行動には何の意味も利益もない…
    我々は…敗北したのだ…
    しかし、組織が敗れたわけではない…
    この日の犠牲は必ず、次の機会に活かされねばならない…
    ここで我々が立ち止まっては、今まで散っていった勇士たちの死が無駄になる…
    我らが世界の管理者となるその日まで…!」

艦内はそれっきり。無言のままであった
潜水艦は進路を変更すると、そのまま深海の闇へと消えて行った

315 :
マルスの姐さん! 俺をボッコボコにしてくださいっっ!!

316 :
ステゴロならマルスッスが最強
はっきりわかんだね

317 :
>>311-314
昨夜未明、アメリカの軌道衛星アドミラブルが何者かのハッキングにより暴走。
戦術核弾頭を東京湾沖に向け発射したという情報は、即座に国家間の情報封殺によって握り潰された。
当初は核弾頭が爆発した光景がいくつかのSNS等に投稿されたが、それも程なく削除されている。
戦術核の誤爆という一大事件は、完全に「なかったこと」にされた。

「――そうですか。三の姉上が……」

内蔵された通信回線で外部と交信しながら、サテュルヌは瞑目した。

「どこの組織かは知りませぬが、度し難きこと……幾度同じ過ちを繰り返せば気が済むというのか」
「幼な子が老獪な大人の裏をかこうなどと。すべては、機関のたなごころの上だというのに」
「されど。それが人類の本質なのやも知れませぬ。独善と強欲、闘争せずにはおれぬ愚かしさ。ゆえに吾らは――」
「……いや。それ以上は何も言いますまい。されば父上、これにておさらばです」

通信を切る。静かに瞑目しながら、サテュルヌはやがて深く息をついた。

「――征く、か」

傍らに置いていた愛刀を掴み、サテュルヌはゆっくり妹の元へ向かった。

318 :
「本日は、最終試験を行なおうと思う」

いつもの、就寝前の特訓の時間。開口一番サテュルヌ姉さまはそう言いました。
……姉さま……?最終試験、とは……?

「そなたらふたりの修行を開始して、暫く経った。ふたりとも、当初よりはだいぶ腕を上げたと吾は思う」
「基本は教えた。ならば、後は自己研鑚しかない。吾の役目は終わったということだ」
「ゆえ、最後に総決算として、改めて今までの上達の程を見る。――まずは主殿、存分に打ちかかって参れ」

そんな。わたしたちはまだまだ、姉さまに教えて頂きたいことがあるのです。
これからもずっと、稽古をつけてください!最終試験なんて――

「甘えるな。時間とは有限なものよ、いつまでも猶予が与えられるとは思うな」
「限られた時間の中で練磨するからこそ、剣は輝く。ソレイユ、そなたはそこで見ておれ」
「主殿!来い!」

サテュルヌ姉さまが木刀を構える。
……姉さま……焦っている……?その構えは、いつもと何も変わらず微塵の隙もないものなのに。
けれど、普段のような余裕が感じられない……。

サテュルヌ姉さまは、いつまでも猶予が与えられると思うなとわたしたちに言いましたが。
本当に猶予が与えられていないのは、姉さまの方なのでは――?

319 :
「主殿、強くなったな。特別な訓練を受けた者には敵わぬであろうが、大抵の敵には打ち勝てよう。今後も研鑚を怠るなよ」
「さて――次はそなただ、ソレイユ」

木刀を手放すと、姉さまは愛刀『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』に手をかけました。

「ソレイユ、エトワール・フィラントを抜け。真剣勝負だ」

ね……姉さま、それはまさか……。

「然様。吾を倒さねば、そなたは死ぬ、ということだ」

そんな……!サテュルヌ姉さま!
死合はしないと、そうDominusと約束したではありませんか!それなのにどうして――

「ああ、死合はせぬと言ったな」
「あれは、嘘だ」

……姉さま……!

「そなたの剣には甘えがある。それは、吾のことを姉と思っている甘えだ」
「どんなに厳しくとも、相手は姉。ギリギリのところでは加減をしてくれる筈――そう思っている」
「これからの戦いに必要なのは、どんな敵も迷いなく斬る覚悟。相手をRという決意だ」
「吾を姉と思うな。ただ一騎の敵と思え。吾もそなたを妹とは思わぬ。ただ、吾が剣の錆とすべき敵と認識する。よいな」

どこからともなく舞い落ちる雪華。サテュルヌ姉さまの双眸が、鋭く輝く。

「ソレイユ。そなたを、斬る」

――ッ!!

320 :
>>315-316
メルキュール「こんばんは〜☆メルキュールの『エリクシアンおまけ講座』のお時間ですよ〜!」
メルキュール「司会はわたし、PEX-001 メルキュールとぉ〜」
マルス「PEX-004 マルスがお送りするワケだ」

メルキュール「今日のおハガキはポイントB-61244にお住まいの>>315さんと、ポイントJ-02830にお住まいの>>316さん!」
メルキュール「>>315さん、>>316さん、ありがとうございます☆」
マルス「おッ!なンだよ、どっちもオレ関連じゃねーか!来ちゃったかな、オレの時代がァ!?」
ヴェヌス「よく言いますわね。前回、自分のコードナンバーを間違えたような人が」
マルス「黙ってりゃ誰にも気付かれなかったことをバラすンじゃねーよ!」
メルキュール「なんにしても話題にしてもらえてよかったですね、マルス。お姉ちゃんも嬉しいです☆」
マルス「おっしゃァ!>>315、オレにボッコボコにされてェッて?まず間違いなく死ぬと思うケド、それでイイか?」
ヴェヌス「そこは手加減しておあげなさいな……」
マルス「手加減だァ?ンな小器用なコト、オレにできるワキャねェだろォが!?オレァいつでも全力よ!」
メルキュール「ごめんなさいね>>315さん、マルスは不器用だから……」
マルス「>>316も言ってンだろが、オレァステゴロ最強だかンな。腕力にかけちゃ姉妹一だからよ!」
ヴェヌス「そこだけは議論の余地はありませんわね。電気や水や炎や、といった能力なしの殴り合いではマルスが最強でしょう」
マルス「おおよ!ソレイユとも殴り合いオンリーだったら勝ててたのによ!マジでマジで!」
ヴェヌス「そこはそれ、シナリオの都合ですわ。脳筋は早めに退場、それがこの手の物語の鉄則ですから」
マルス「誰が脳筋だゴラァァ!?戦争か!?」
メルキュール「ではまた次回、さようなら〜♪」

ソレイユ(……すっかり寝ていて出られませんでした……)

321 :
やはりこうなってしまったか…

ソレイユ、まずは相手の武装を分析して様子を見るんだ。
下手に攻撃すれば一瞬でやられる。焦らないで、チャンスを待つんだ。

322 :
(遠方に人影、青い陣羽織に身を包んだ場違いな青年が立っていた)
(その手には長物の刀が握られている)
(青年に斬り捨てられたと思しきデミウルゴスの残骸が粒子となって消えていく)

剣客の女子め、どうやら容赦をするつもりは一切無いようだな
彼奴ほどの手前なら、太刀筋を読ませぬ術など身に染み付いておろうよ
片方の女子が常識に囚われ、太刀筋を読もうとするならば下の下策…
技に眩惑され、数合で一刀両断されるは自明の理…さて…

決着を見届けたいところだが、夢とは瞬きの間に散るものよな
もう戻らねばならんとは…まあ、化け物退治の真似事はなかなか楽しめたが…

(刹那、青年の身体も粒子となって消え去っていった)

323 :
恐らく使えるはずだ。マルスさんの力
相手は極低温順応型、高温には弱い筈
少しでも有利な条件で戦うんだ

324 :
参ります。

>>321
Sic.Dominus.
サテュルヌ姉さまは極低温順応型エリクシアン……。極寒の環境での活動に主眼を置かれた調整をされています。
全てを凍てつかせ万物を斬断する、日本刀型の近接戦闘兵装――
EXW-055S 絶凍刃『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』。
そしていかなる冷気をも支配し、絶対零度さえ御する能力――
EXW-0945L 極低温管理システム『サテュルヌ・ラ・レーヌ・デ・ネージュ』。
このふたつの武装が、サテュルヌ姉さまのメイン・ウェポンですが……
何と言っても、姉さまの剣術の腕。その身ごなしと達人の技こそが、最も注意すべき――
……注意、すべき……


い……、嫌です!Dominus!姉さま!

どうして……、どうしてサテュルヌ姉さまと戦わなければいけないのですか?
姉妹同士、殺し合わなければならないのですか!
ついさっきまで、一緒に夕食を食べて。いつも通り、何も変わらず、平和に三人で過ごしていたというのに――!

「汝(うぬ)は、これからもそうして戦いのたびに泣き言を口にするつもりか?」

……え……?

「もう、第三者気分でいるのはやめよ。汝は当事者なのだ、人類の趨勢に関わる計画の中心にいるのだ」
「汝がその怯懦を改めぬ限り、もっと多くの人が死ぬ。もはや、汝と主殿だけの話ではないのだ」

……トロイア計画……ですか。

「然様。汝はあの方と並ぶ、トロイア計画の要。汝の行動ひとつが人類の、地球の未来を決めるのだ」

そんな……。わ、わたしに、そんな大役は務まりません!わたしは、ただDominusの守護――

「それもまた、汝に課せられた役目のひとつ。されど、それだけではない……もっと大きな役目が、汝にはある」

もっと大きな……役目……?

325 :
>>321
わ……、わたしは……戦いたくありません……!
メルキュール姉さまとマルス姉さまのときは、已むに已まれずでしたが……サテュルヌ姉さまは違います!
姉さまはデミウルゴスに鹵獲されてなんかいないし、洗脳を受けてもいない!わたしにはわかります!
今まで、仲良くできていたのですから!これからだって、ずっと……ずっと……!

「そうして、姉上たちの死を無駄にするというのか?」

……え?

「一の姉上も、四の姉上も、汝のために死んだ。汝を信じ、汝に人類の未来を託して死んだのだ」
「それを、汝は犬死にとしても善いと申すのか」

そ、そんなこと……。

「吾ら『錬金人類(エリクシアン)』の存在そのものを、無駄であったことにしたいのか?」
「進歩しすぎた科学の、忌むべき私生児。ただ無為に萎れるだけの徒花としたいと、そう申すのか?」

わ、わたしには……わかりません……!

「わからぬなら、わからぬでよい。だが、もう汝は立ち止まれぬのだ。すべての歯車は、もう回っているのだから」
「さあ、剣を抜け。姉上たちの想いを受け止めよ。そして、吾を斬れ――さもなくば」

姉さまの全身から、冷たい殺気が吹きつけてくる――。

「……Dominusを。Rぞ」

…………!!!

「ふん。主に累が及ぶと聞いて、やっとやる気になったか。善い」
「参れ、ソレイユ。全力以上を出さねば、吾は斃せぬぞ!」

――わたしは……。
Dominusを守る。Dominusこそが、わたしのいのち。貴方だけは、必ず――
守り通して、みせます!

326 :
>>323
Sic.Dominus.
わたしのカドゥケウスの中に、炎の働きが宿っているのを感じます。
EXW-091S 超高熱溶断火炎斧『マルス・ティタン・ドゥ・フランム』――。
マルス姉さまの近接兵装であった、炎の戦斧です。わたしとの戦闘では、姉さまは使用されませんでしたが……。
セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放。
マルス姉さま……わたしに、力を!

「四の姉上の武装か。しかし、そんなものが役に立つと思うか?」
「吾が凍気は燃え盛る炎すら凍らせる――その絶技を見せて遣ろう。来い」

姉さまはそう言いましたが、Dominusの仰る通り相性としてはこちらの方が絶対的に優位なはず。
サテュルヌ姉さまは速度と剣技に特化したエリクシアンです。攻撃力は絶大ですが、防御力は他の姉妹に劣る――。
懐に入り込み、この炎斧で一撃を与えることさえできれば!

――と、思ったのですが……。

「どうした?打ちかかって参れ。吾の周囲を豺狼の如くぐるぐる回るだけでは、万年経とうと埒が開かぬぞ!」

……姉さまから、隙を窺うことができない……!
どこへ打ちかかっていったとしても、今のままでは瞬く間に反撃され、一瞬でやられてしまう……。
でも、それも無理からぬこと。わたしは今もって、稽古でさえ姉さまから一本を取れていないのですから。

「汝が来ぬのなら、こちらから征くぞ」

姉さまが正眼から刀を鞘に納め、腰溜めに剣を構える。
これは……居合の型?
そう、わたしが思った瞬間。
わたしの左首筋が、ぱっくりと大きく裂けました。

……ぅ、ぁ……が……!!
ど、どうして……。姉さまは構えたまま、何もしていないというのに……!

327 :
>>322
きらきらと、雪華が舞い散る。
そして、闇の中に漂う雪華が僅かにたゆたうたび、わたしの四肢には刀傷が刻まれてゆく――。
そ、そんな……。
姉さまの太刀筋が、まったく見えない!

サテュルヌ姉さまの、神速の抜刀。闇の中ということもあって、わたしの視力はまったくその動きについていけない。
視認できない太刀筋は、回避も不可能。みるみる傷が増え、アサルトスーツが真紅の魔導血液に染まってゆく。
……く……。頸動脈の損傷が一番激しい……。
このままでは、いかに『錬金人類(エリクシアン)』といえど長くはもたない……。失血死してしまう。
早く……勝負をつけてしまわないと……。

「汝が煮え切らぬゆえ、強硬手段を取らせてもらった」
「さあ、失血死するまではだいたい三分と言ったところか。それまでに吾を斬り、死合に勝たねば、汝は死ぬ」
「当然、Dominusも死ぬ。それまでに、一切合財片をつけよ」

メルキュール姉さまの能力、トレント・デ・フエで多少なら出血を抑えられますが……。
一度に使える特殊能力はひとつだけ。血を抑えている間は、マルス姉さまの炎斧は使えない――!
姉さまの光速の太刀筋は見えず、回避もままならない。姉さまに隙はなく、不用意な攻撃は逆効果。
いったい……わたしはどうすれば……?

……Dominus、わたしは……どうすればよいのですか?
貴方を守るには、この戦いを勝ち抜くには。
みんなで、幸せに暮らすためには――


どうすれば、よいのですか……?

328 :
ここ最近、なんか一芸に特化したデミウルゴスが増えてないか?
オポジットにしろ、フィアンケットにしろよ…
今までのデミウルゴスってさ、何はともあれ正面からガチンコ勝負する戦闘型ばっかりだっただろ?
射撃戦主体の僧兵、格闘戦主体の闘士、…って程度の差はあってもさ…
なんか、起きようとしてる気がして恐ろしいんだよね…
その内、単独でエリクシアンと互角以上に戦える強力なデミウルゴスが出たりすんのかな?こええな…

329 :
今回は勝ちが見えないわねぇ〜
技術に技術で対抗は分が悪い
遠距離戦でじっくり攻めるには時間も足りないし、血も足りない
逃げようにも逃げられない――アイツのほうがよっぽど疾い!

じゃあさあ、やっぱアレしかないんじゃない?
肉を斬らせて骨を断つ
腕の一本や二本、覚悟して

――捨身の"受け"よ

アンタのそのあっつい斧と、アイツのあのつめた〜い刀
ガッチリと打ち合わせたら、ウェポンブレイク、狙えないかしら?


             次回、錬金乙女エリクシアン「LOVEはPOWERのガソリンよ?
                               ガッツリ愛してガッツリ燃やせ!」
             新宿二丁目よりアナタへ、特大LOVEズッキュン!
             ちなみにアタシは、受けより攻め派ッ!

330 :
『メルキュール・トレント・デ・フエ』を使うのも手だ
但し、止血の為じゃなく、雪ちゃんを拘束する為に
例えば、水鞭を雪ちゃんの後ろにまで這わせ、
『ソレイユ・エトワール・フィラント』を構えたソレイユが雪ちゃんの前に立つ
そうして前後を挟み、挟撃するというような方法
水鞭は普通の鞭とは違う。切られたところですぐ再生でき、その機能を失われないだろう
凍らされるか、吹き飛ばすような強力な攻撃でもされなければ動きは止められず、届けば確実に拘束することができるはず
そんな厄介な水鞭をどうにかしようと雪ちゃんが行動を起こせば、一手隙ができる。そこを突けばソレイユの攻撃も通る
逆に水鞭を一切無視してソレイユを攻撃しようとすれば、今度は水鞭がフリーになり、拘束できる
二者択一、でもどちらを攻撃しても雪ちゃんの負け……という作戦なんだけど
ただ、これは雪ちゃんの光速の抜刀が水鞭とソレイユを同時攻撃できないこと前提であるし、
しかもソレイユを狙われた場合、雪ちゃんの攻撃が早すぎて拘束が間に合わなければ、あるいは攻撃を防げなければ、
致命傷を与えられて死ぬかもしれないって言う高い危険がある
ソレイユが雪ちゃんの攻撃を決して見切れないと、無理だと思うならやめておいて他の方法を考えるのが賢明だろう
あ、なんだったら、二人掛かりで行くのはどうだろう。そうすれば水鞭含めて三点同時攻撃だから、ソレイユの危険を減らせるかも
「なんでDominusが?」って驚いて隙の一つも作ってくれるかもしれない

331 :
老人「真剣勝負に水を差すほど無粋ではないが…
    このまま放っておくのは惜しいのう…
    人類の希望…錬金人類、ちょいとだけ手助けをしてやろうかの
    …のう?タマや」

タマ「な〜おん…」

猫型サイボーグを肩に置いた老人…と言うには余りにも異形の姿を晒した人影
首から下は剥き出しとなった無骨なサイバネティクス
肉体のほとんどを機械に置き換え、最早サイボーグ同然の機械の身体
赤茶色の錆に覆われ、非常に長い間碌にメンテナンスされていないことが伺える
そして、腰にはボロボロの鞘が差されていた

老人「そう心配せんでいい
    どうせ、もう限界が近いんじゃ…
    全てが無意味だったこの人生、せめて最後にやれることを見つけただけ、
    ワシは幸せ者じゃよ」

タマ「な〜…」

かつて、一人の男が機関に自らの肉体をメカニゼイターの検体として差し出した
正確には、自らの肉体を機械に置き換えるよう機関に頼み込んだ
男の目的はただ一つ、己の剣の腕前を高みへと上げること、そしてそれを後世に伝えること
若く野心溢れる現代の剣客だった男は、剣の道で伝説を作ろうとしたのだ
そのためには、人間の肉体のままでは限界があると考えた

結果、男は超人的なメカニゼイターの剣術使いに生まれ変わった
引き換えに十数年の間、機関のエージェントとして働き、闇の始末屋を務めた
デミウルゴスや機関の裏切り者、知ってはいけない情報を知った者、大勢殺めてきた
そしてついに、任期を満了した彼は晴れて自由の身となり、剣の修行を開始した
更に数十年、現在の年齢に届く十年前には、間違いなく世界最高クラスの剣客になっていた
しかし、苦行を乗り越えた男を待っていた現実は残酷なものであった

自らが最強となった次には、その技を後世に残す手段が必要だった
しかし、機械の身体となった男の剣技を真似出来る弟子など居なかったのだ
いや、男だからこそ、メカニゼイターとなった男の身体だからこそ、その技は完成したのだ
例え同じメカニゼイターの弟子を取ったとて、その技を後世に伝えることなど不可能であった
そして、機関からのメンテナンス支援すら断っていた彼の身体は、数十年の酷使の末損傷が拡大、
生体部分の老化も相俟って、最早長く生きられない身体となってしまっていた

332 :
ソレイユがDominusと作戦を話し合った僅かな隙
サテュルヌの容赦ない一太刀がソレイユに襲い掛かっていた
自らを「敵」として、一切の油断なく情けもなく、下される無慈悲な一撃
サテュルヌの強い覚悟が込められた一撃
これを受ければ、ソレイユの致命傷は必須であっただろう…しかし…

【キイィィィンッ!】

サテュルヌの光速の斬撃を受け、流し、綺麗に弾く澄んだ金属音
ボロボロの太刀を構えた老人のメカニゼイターが、その斬撃を受け止めるでなく、
受け流して弾き、軌道を逸らしてしまったのだ
振り下ろされた刃の一閃は老人の横の足元の地面に刺さり、剣気だけが衝撃波となった辺りを揺らした

老人「お嬢さん、ソレイユと言ったの?それとそのドゥミナス、よく聞くがいい
    ワシのことはどうでもいい…時間が無いのでな、簡単な理屈だけを述べよう
    お前さんらにこの娘の太刀筋を見切ることはできんじゃろうて…
    じゃが、受け止めることさえ出来れば、流すことは剣に通じておらずとも出来る
    ましてやソレイユ、お主の性能であればそれは可能じゃ…相応しい力も持っておろう?」

そう言うと老人は立ち上がって太刀を鞘に戻し、そのまま立ち去って行こうとする
物陰に隠れていたサイボーグ型ネコが後を追い、老人の肩に乗り喉を鳴らす

老人「ふぉっふぉっふぉっ…水を差して済まなんだな、剣客のお嬢さん
    甘さを捨てるはいいが、ちっとは対等に戦ってやってもよいのではないか?
    …ああいや、とんだお節介じゃったわい!今度はおまえさんとも手合わせしてみたいのう…」

そのまま、老人は笑いながら消えるように姿を消した
ソレイユたちが話しかける言葉にはまるで聞く耳を持っておらず、終始ペースを崩さない
気配が消えた

333 :
参ります。

>>328
Sic.Dominus.
初期のデミウルゴスは人類にとって天敵とも言える脅威でこそありましたが、行動自体はシンプルでした。
それゆえ、機関のテクノロジーの一部を供与した各国の兵器でもある程度は撃退できていたのです。
だというのに、ここ最近のデミウルゴスは――。
それはまるで、彼ら自身が学習をしているかのよう。
人類の知恵を、文化を、戦略を、戦術を……模倣しているかのよう。

今はまだ、わたしたちの方が戦闘能力の点ではデミウルゴスより優位に立っていますが……。
そのイニシアチヴも、いつまで持続させることができるかわかりません。
まして、最高戦力であるわたしたちエリクシアンの7人が、こうして相争っていては――。
だから。だからこそ。
今は、姉妹全員が手を取り合っていかなければならないというのに。

現時点で確認されているデミウルゴスは『歩兵』『僧兵』『城兵』『騎兵』『巨神』の五種。
『巨神』はイレギュラーな存在ですが、チェスになぞらえるとするなら、残りは二種。
すなわち『女王』と『王』……。
デミウルゴスが今後も学習を重ね、わたしたちを凌駕する性能を獲得したら、と思うと――。

……こわい、です。

334 :
ソレタンにはさまれ

335 :
>>329
く……。
断ち斬られた首筋から、魔導血液が流れてゆく。わたしの生命が枯渇してゆく。
一刻も早く勝負を決めてしまわなければ、わたしは――。

「もたもたしている暇があるのか?汝(うぬ)に残された時間はあと僅か。一秒たりと無駄にできる身分ではあるまい!」

辛辣な言葉とともに、サテュルヌ姉さまの不可視の斬撃が飛んでくる。
そしてその都度、わたしの身体に新たな傷が刻まれてゆく。
Dominus……い、いえ、Domina?どちらでしょう……と、とにかく。
Dominusの仰るとおり、現状姉さまに勝てる要素の何もないわたしに取れる行動はただひとつ。
それは、自らの肉体を犠牲にしての受け。肉を切らせて――骨を。断つ!
マルス姉さまの炎属性は、サテュルヌ姉さまの氷属性に対して圧倒的なアドバンテージを有しています。
『マルス・ティタン・ドゥ・フランム』を激突させれば、『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』を機能不全に陥らせることは可能なはず!
そして、主武装を失ったサテュルヌ姉さまに、次のわたしの攻撃を防ぐことはできない――!

「善い、主殿と共に考えよ。Dominusとエリクシアンはふたりでひとり。それが本来あるべき姿なのだから」
「……自らDominusを手にかけた、吾らと違って……な……」

――姉さま……?
それは、いったい……。

「口が過ぎた。これ以上は、敵には一言も漏らすまいぞ。――参る!」

凍てつく殺気を芬々と放ちながら、サテュルヌ姉さまが疾風の如く間合いを詰める。
わたしは唇を噛み締めると、特殊兵装のセキュリティを解除しました。

336 :
>>330
セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放。
EXW-006S 超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』!
右手首の粒子砲発射口より迸った水流が生き物のようにのたうち、サテュルヌ姉さまを狙う。
大きく迂回させ、姉さまの死角を狙うように配置した水流鞭と、わたしとの二点同時攻撃!

「考えたな。だが――所詮は小細工!」

姉さまがさらに接近してくる。水流鞭には目もくれない――それなら!
わたしはガードを固め、水流鞭の操作に全神経を集中させました。姉さまがこちらに来るなら、鞭での拘束のチャンス!
――そう、思ったのですが。

「吾を誰だと思っている?この極低温順応型エリクシアン、サテュルヌを――!」

ビギギッ!

そ……、そんな!?
姉さまの周囲の温度が急激に低下したかと思うと、水流鞭が瞬く間に凍ってゆく……!
氷を統べるエリクシアンである姉さまには、水を凍らせるなど造作もないこと。
これでは……水流鞭で姉さまを拘束できない!
わたしは咄嗟に凍った部分を切り離し、新たに拘束を試みましたが、結果は同じ。
すべて、姉さまに触れる前に凍り付いてしまう――。

「いつまで、功を奏さぬ細工に頼っている!」

ぅぐ……ぎ……ぃッ……!
サテュルヌ姉さまの神速の抜刀。それが繰り出す致命打を、両腕を盾にしてなんとかやり過ごす。
でも……このままでは……!

「もうおしまいか?万策尽きたか。ならば、とどめを刺してやろう!」

姉さまの斬撃。わたしには、それを見切ることも防ぐこともできない。
力の差は歴然。戦力差は圧倒的。
やはり、わたしに姉さまを倒すことなんて……。

……ごめんなさい、どみぬ――

337 :
>>331
「とどめだ!ソレイユ!」

ビュゴッ!

――――ッ!!

吹雪と共に放たれる必殺の一撃が、わたしの命を断ち斬らんとしたそのとき。
突然現れた『機械化人類(メカニゼイター)』が、姉さまの斬撃を受け流しました。

「ヌ……!?」

予想もしない闖入者に、姉さまがその怜悧な面貌を顰める。
……わ……、わたしは……。命拾いした……のでしょうか……?

「御老、邪魔立て無用。これは吾らの戦い、横槍はご遠慮願う!」

怒りを滲ませる姉さまの言葉もどこ吹く風、『機械化人類(メカニゼイター)』の老人は去っていきました。
あの老人はいったい……?
そして、わたしに対し言ってくれた、あの言葉は……。

「とんだ邪魔が入ったが……。汝の死ぬのが数秒延びただけのこと。死合の結末は変わらぬ」
「さあ。今度こそとどめを刺してくれようぞ、ソレイユ!」

一旦中断を余儀なくされた戦いの再開。今度こそわたしを斬り伏せようと、姉さまが瞬速で迫る。
老人の口にした言葉が、わたしの耳の奥で木霊する。
……姉さまの神速の抜刀術、その軌跡を見切ることは不可能……。
でも。受け止めることさえできれば!
わたしは特殊兵装を解除すると、大きく前方へと両手を伸ばしました。
雪華がやがて、激しい吹雪へと変わる。姉さまが決着の一撃を解き放つ――

「一閃――血ノ華!!」

Dominus、わたしに……力を!

338 :
>>332
戦術剣技『一閃、血ノ華』。
万物万象すべてを斬断する、サテュルヌ姉さまの必殺技。
その抜刀は神速。太刀筋は不可視。
まさに必殺の名を冠するにふさわしい、不破の奥義――。
でも。

「……莫迦な……」

サテュルヌ姉さまが目を見開く。
姉さまの絶凍刃『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』は、わたしの両手によって受け止められていました。
両の手のひらで、刀身を挟み込むように。白刃を取るように。

「なぜ……血ノ華の軌跡が見えた?」

見えては、いません。
ただ、姉さまがどこへ斬り込んでくるか。それが分かっていただけです。
姉さまは合理的な方。その戦い方はすべて、徹底した戦闘理論の実践によって構築される。
とすれば――とどめの一撃は当然、エリクシアン唯一の弱点へ向けて放たれるはず……。そう、思ったのです。
狙われる場所が分かっているのなら、あとは。わたしの最大速度でそこを防御するだけ――。
本当は、両腕を斬り落とされる覚悟でした。こうして受け止められたのは、完全な偶然。でも……
このチャンス。無駄には、しません!
セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放!
EXW-091S 超高熱溶断火炎斧『マルス・ティタン・ドゥ・フランム』!!

「ぐ……!」

わたしの手首から放たれた炎に、姉さまが顔を歪ませる。
居合いの型から伸び切った剣は、それ以上の動きを封じられたすなわち死剣。御するのは容易い!
すぐに、わたしの炎斧が姉さまの刀を捉える。これで、もう絶凍刃はなまくら同然!
「ちいッ!」
機能不全を起こし、冷気を纏わなくなった愛刀を振りかぶり、姉さまがなおも攻撃をしようと動く。
でも!
セキュリティ解除!『メルキュール・トレント・デ・フエ』!
「がッ……、しまっ……」
水流鞭パージ!『ソレイユ・エトワール・フィラント』発動!
十字斬閃、ソレイユ・クロワ・デュ・シュッド!!!
当初のDominusの作戦通り、水流鞭で動きを拘束しての斬打。
「……ぐ、ぁ……!!」
わたしの光の刃は、確かに。
姉さまの身体を十字に斬り裂きました。

339 :
>>334
……驚きました。まさか、わたしの行動ターンにDominusが挟まってこられるなんて。
さすがはDominusです!すばらしいです、ブラボーです!
でも、わたしのDominusでしたら、この程度のことは造作もないですよね。わかっています、皆まで仰らないで下さい!
やっぱり、わたしのDominusは世界一です!未来予測演算装置『エル・シャダイ』の計算は正確無比ですね!
わたしはDominusのエリクシアンであることを誇りに思います!
えっ?褒めすぎ?そんなことありません、どれだけ賛美してもまったく足りません!
だって、リアルタイムに来て頂けるというのは、それだけわたしのことを気にして下さっているという証。
……愛して下さっているということの……証拠、ですから。
Dominus、不束者ですが、これからもわたしのこと、よろしくお願いしますね。

340 :
老人「ふ…む、しかしまあ、見事な鋭い一太刀じゃった…
    流したとはいえ、老骨にはいささか堪えたのう…」
タマ「な〜ん…」
老人「ふぉっふぉっふぉっ…そう悲しい声で鳴くでない、タマや…
    どの道、もう死に体も当然じゃったんじゃ…
    わしなりに…楽しませてもろうた…」
二人が戦っている戦場より遠く、老人が住処としている山奥の洞窟内
そこには、息も絶え絶えになった老人が片膝をついて項垂れていた
最早限界だった老人の身体は、サテュルヌの殺意の一太刀の衝撃を流した際、
生き永らえるために封印していた自身の「剣技」を使用したことで致命的な負担を負う
老人「タマや…わしが死んだら、後のことは頼んだぞ…
    洞窟内に仕掛けた爆弾を起動し、わしの亡骸ごとここを沈めて封印するんじゃ…
    わしが剣の腕を磨いた、数十年の妄執の権化…修練の軌跡…
    こんなものは…マトモな若いモンが見るべきではない…」
タマ「なーおん!なーおん!」
老人「ああ、見えとるよ…タマ…
    あのエリクシアンの娘と片割れの坊主、いい目をしとった…
    生きて…おってくれると…よいがのう………」
その後、人知れない山奥の一角に爆発音が響き渡った
しかし、爆発は老人が住んでいた洞窟を土砂に沈めただけに留まり、他に被害はなかった
ここに、人知れず世捨て人となったメカニゼイターの老人の人生とその足跡は終焉を迎えた

341 :
参ります。
>>340
「ガハ……ッ!」
わたしの必殺技、戦術剣技『ソレイユ・クロワ・デュ・シュッド』をその身に浴びた姉さまが、苦しげに血を吐く。
確かに、わたしの剣――ソレイユ・エトワール・フィラントは、姉さまの身体を斬りました。
……ただし。
「ソレ……イユ……。そなた、わざと……狙いを外した、な……?」
水流鞭メルキュール・トレント・デ・フエの拘束を解くと同時、地面に片膝をついた姉さまが、荒く息をしながら言う。
そう――
『錬金人類(エリクシアン)』同士の戦闘では、いかに胸の急所カドゥケウスを衝くかが肝要。
姉さまも当然、わたしにとどめを刺すのに胸元のカドゥケウスを狙ってきました。
それゆえ、わたしはぎりぎりのところで斬撃の軌跡を予測し、姉さまの奥義血ノ華を凌ぐことができた……。
でも。
「なぜ……吾のカドゥケウスを狙わなかった……?」
わたしは姉さまを倒せ、斬れ、とは言われましたが、殺せ、とは言われていません。
姉さまに言われた通り、姉さまに一太刀浴びせました。姉さまを斬り、倒しました。
これで、戦いは終わりです。
「甘いことを!吾はそなたに、吾のことは敵と思えと言った筈だ!敵に情けをかけ、命を助けるなど――」
そうかもしれません。わたしは、戦士としては甘いのかもしれません。
でも。
わたしには、これ以外にどんな選択肢もありませんでした。
「……ソレイユ……」
しばらくは動けないでしょうが、致命傷ではありません。姉さまの魔導血液が、すぐに傷を癒してくれるでしょう。
そうすれば。何もかも元通りです。

……Dominus。
わたしは、間違っているでしょうか……?
誤ったことをしていると――そう、思われますか……?

342 :
間違ってないよ
今までのパターン見てると、このままだとなんらかの攻撃があってサテュルヌ姉さま殺される可能性があるから
周り警戒しておこうね

343 :
タマ「な〜おん…」
消え去った老人の亡骸と洞窟を後にし、
一匹寂しくサイボーグ猫のタマは森の中を歩いていた
彼は、元々雑種のオス猫だった
非常に賢い猫だったが、帰る場所を持たない野良に過ぎなかった
数十年前、車に撥ねられて虫の息だったところを老人に拾われ、
老人の知人の技術者にサイボーグに改造され、現在に至る
古い技術で造られた無骨なデザインの旧式ボディだが、それだけに頑丈だった
タマ「な〜ん…な〜お〜ん…」
彼の体内には、老人の数十年分の軌跡が映像データとして残されている
老人には秘密で記録したものだったが、彼なりの忠義を示しての行動であった
老人の「弟子に技術を伝える」という目的をよく理解していた彼は、
その映像データが老人の跡を継ぐ弟子のためになると信じていた
しかし、今となっては寂しさを紛らわすための思い出にしかならない
タマ「ふぎゃっ!?んぎゃっ!?にぎいぃぃぃぃぃっ!?」
タマは突如、全身を襲う痛みのような感覚に苦しみ始めていた
最早脳さえも電脳化しており、完全なる機械の身体故に痛覚など存在しないはずだった
今までタマの体内に巣食っていた「何か」が、出て来ようとしている
否、出て来ているだけではなく、肉体そのものを形成しつつ生まれようとしていた
存在しないはずの痛覚を感じたのは、その影響とも言えた
結果として、老人の後継者たる「弟子」は存在していた
しかし、それは人間どころか、サイボーグですらないモノであった
爆発四散するタマの身体
そして、その爆炎と煙が晴れた後から現れたのは、一体の歩兵型デミウルゴスだった

344 :
歩兵「………」
否、その歩兵型デミウルゴスの容姿は、
通常のタイプのものとは意匠が異なっていた
サイズは小さく、人間の成人男性とほぼ同じぐらいの体格しかない
体型もスマートであり、限りなく人間のそれに近い体型であった
また、頭部にはまるで猫耳を思わせるような形状の突起が生えている
しかし、その無機質かつ歪な意匠は正しくデミウルゴスを思わせるもの
そして、その手には一振りの白く透き通った刀身の太刀が握られていた
歩兵「………」
歩兵は刀を徐に両手上段に構えると、横方向に豪快に空を斬る
すると、生み出された衝撃波は前扇状の範囲内にある木々を全て薙ぎ倒してしまった
その構えのフォームは非常に洗練されており、正しく全盛期の老人の姿であった
老人の技術をデミウルゴスの身体能力で再現していると言っていい
このデミウルゴスは、元々虫の卵ほどの大きさしかない存在だった
休眠状態にある歩兵型の一形態とも思われるが、詳細は分からない
とにかく、それを偶然発見した老人の知人の技術者は、その実態を知る由もなく、
タマをサイボーグ化する際に、この卵を面白半分で体内に回路の一つとして埋め込んでしまった
理由は分からないが、それはそれで機能してしまったようなのである
そして、数十年もの間このデミウルゴスはタマの体内にて、
老人の技術を吸収していき、彼らに知られることもなく老人の後継者として育ってしまった
その特徴的な容姿は、吸収した老人の技術を効率的に運用するために編み出したものであった
一部、宿主の特徴や気質を受け継いでしまってもいたが…

345 :
歩兵亜種「………」
しかし、まだ足りない
老人の経験と技術を完璧に吸収した歩兵亜種だが、生まれたばかりである
実戦経験だけは、自分で積まなければどうしようもない
そして、歩兵亜種は宿主であったサイボーグ猫の記憶も一部受け継いでいた
そこには、実戦経験を高めるに足るに確かな、格好の標的が存在していた
見た目は女性…しかし、その身体能力は老人のそれを凌駕している
歩兵亜種「………」
しばらく時間が経つ内、その姿は更に変貌を遂げていた
猫耳を思わせる突起は更にその形状を実物に近くし、
何節にも分かれた鞭のようにしなる尻尾まで生えていた
そして、目的は定まった
歩兵亜種はその場より一瞬で姿を消し、猛スピードで地上を駆けていく
記憶を頼りに向かう…待ち望んだ強敵の居る場所へ
サテュルヌとソレイユの戦いに一応の決着が着くより、少し前の話である
歩兵亜種「………」
歩兵亜種に自我と呼べるものはない
ただあるのは、目的を遂行しようとする機械的な知能のみであった
そして見える…3つの人影が…
常人の目には何も見えずとも、超常能力を有する歩兵亜種のレーダーのような視力には、
2体のエリクシアンとその片方のドゥミナスの存在を感知していた
接近している間、戦況を分析・判断する
戦力比から判断し、脅威と成り得る強敵は2体、残り1体はほぼ無力と判断
2体を同時に相手取ることは不可能…無謀極まる
故に、任務の効率化のために損傷していると思しきもう1体を奇襲して速やかに排除
残る1体に全力を以て対峙、戦闘データの取得対象とする
超高速で地を駆け、片膝を突くサテュルヌに狙いを定める
薄く透き通った美しい白の刀を構え、その胴体を真っ二つにせんと躍り掛かっていく
そしてほどなく、歩兵亜種はソレイユの警戒網に突入した

346 :
とあるビルの屋上。この場所に一体のデミウルゴスが現れた。僧兵タイプのフィアンケット級である。
フィアンケットが狙うのは1人の人間。2体のエリクシアンの傍にいる人間である。
狙撃銃を構え引き金を引こうとした時、妙な気配を感じた。自分達と似ているが自分達と異なるモノ。
気配を感じた方へ視線を移すと、標的の方へ向かっていくデミウルゴスを発見した。
少しの間、フィアンケットはそのデミウルゴスを観察した。そして、標的を狙撃することなく光に包まれ消えていった。
標的を始末するのに自分は必要ないと思ったのか、出現し続けるには制限時間があったのか。その理由は彼以外誰も知らない。

347 :
参ります。
>>342
……よかった……。
Dominusにそう言って頂けて、本当に嬉しいです。
わたしたちは、この世界にたった七人の姉妹……もう、ひとりとして喪いたくありません。
Sic.Dominus.
ソレイユ、周囲の警戒を開始します。
メルキュール姉さまの能力で、わたしの出血はもう暫くは抑えられると思います。
あとは、サテュルヌ姉さまを安全なところまで連れて行き、回復を図るのが最善かと。
――帰りましょう、Dominusのおうちへ――。
「……あくまで……吾を助けるつもりか……。吾に生き恥を晒せと……」
聞く耳は持ちません、姉さま。
マルス姉さまが言っておられました、「負けた者は勝った者に何をされても文句は言えない」と。
であれば、姉さまにはわたしの決定を覆すことはできないはず。
敗北は、イコール死ではありません。負けてなお生き延びることで、得るものもあるはずです。
「まったく、甘い……。敵に情けをかけるとは、聞くに堪えぬ甘やかさよ……」
「しかし……それが。それこそが、そなたの美点なのやもしれぬ……。あの方にはない、心根の優しさ……か……」
「やれやれ……くたびれた、な……」
はい、姉さま。疲労はおうちで癒しましょう。
そして、今まで通り。Dominusと三人で暮らしましょう。
Dominus、申し訳ありません。姉さまに肩を貸しては頂けませんか?
わたしは、おうちへ戻るまで警戒を――

348 :
>>343
サテュルヌ姉さまとの戦いが終わり、帰路を急ごうとした途端。
周囲に張り巡らせていた警戒の網に、何者かが侵入してくる感覚をおぼえ、わたしはぶるりと一度身震いしました。
これは……デミウルゴス?でも、何かが違うような……。
ざざざざざざざざっ!
闇の中から超高速で接近する、ひとつの影。
敵性反応、やはり――デミウルゴス!
姉さま!
ガギィッ!!
デミウルゴスの閃光のような一太刀を、エトワール・フィラントの光刃で辛くも受け止める。
このデミウルゴス……姉さまを狙っている!
そうはさせない!
わたしは光刃を横薙ぎし、デミウルゴスを後退させました。
まるで猫科の肉食動物のようにしなやかな動きで、デミウルゴスが後方に軽く跳躍する。
その姿は、獣人のような。今までに見たことのない形状の敵……。新型の歩兵?
歩兵の亜種と言えばいいのでしょうか。姉さまとDominusを守る位置に立つと、わたしは光刃を構えました。
Dominus、この敵はわたしが受け持ちます。早くこの場から離脱を!
――とは言っても、わたしもサテュルヌ姉さまとの戦いでの損傷が激しく、長くはもたない……。
披ダメージ率は60パーセントといったところ。そして、相手は未知のデミウルゴス。何をしてくるかわからない。
それでも。わたしは勝たなければならない――
Dominusを守る。姉さまも守る。
……往きます!!

349 :
>>344
亜種の斬撃が、恐るべき速度でわたしを真っ二つにせんと迫る。
――迅い――!今までの、どのデミウルゴスの攻撃より!
それはまるで、ついさっきまで戦っていた姉さまの剣のような。ほぼ不可視と言ってもいい、神速の攻撃。
く……!
サテュルヌ姉さまに『ソレイユ・クロワ・デュ・シュッド』を使ったために、エトワール・フィラントの出力が……。
もう一度戦術剣技を使うには、もうしばらくチャージを行なわなくては。
それまで、短剣ほどの長さのエトワール・フィラントで凌ぐしかない……!
身体が重い。
『メルキュール・トレント・デ・フエ』で出血を抑えられても、傷を癒すことはできない。
戦いのさなか、体力は加速度的に消耗してゆく――。
『錬金人類(エリクシアン)』も、疲労と無縁ではないのだから。
そして、時間を経るごと、デミウルゴス亜種の攻撃は鋭さを増してゆく。
これは……学習している?わたしの動きを、性能を――戦い方を?
キィィィ―――ン……!
――しまった!
一瞬、ほんの一瞬。それは、瞬きするよりも短い時間。
僅かに思索に捕われ、注意の散漫になったわたしの剣を、亜種が高く弾き飛ばす。
がら空きになったわたしの身体へ、亜種が容赦なく斬り込んでくる。
あ……ぐッ、うぁぁぁぁぁ――ッ!!
全身を斬り裂かれ、わたしは悲鳴をあげました。
けれど、亜種の攻撃は止まらない。満身創痍のわたしへ向け、さらにとどめの一撃を放とうとする――

Dominus……、姉……さま……!

350 :
>>345
亜種の無情な刃が、立っているのもやっとと言った様子のわたしにとどめを刺すべく振り下ろされる。
剣を失ったわたしに、この刃を凌ぐ術はない――。
ザシュッ!!
肌を深く斬り裂く、致命の一撃。
けれど、それを受けたのは、わたしではなく。
「……無事、か……?ソレイユ……」
……ね、姉さま……!
「やらせは……せぬよ、デミウルゴス……。これは……吾のかわいい……妹、ゆえに……な……」
わたしとデミウルゴスの間に割り込み、白刃の前に我が身を晒した姉さまが、不敵に笑う。
姉さまの纏う白い道着が、濃紺の袴が、みるみる大量の血によって染まってゆく。
びぎり、と硬い音を立て、姉さまの胸元のカドゥケウスに亀裂が入る――。
姉さま!ああ……姉さま!
「おっと……遁げるなよ。どうせ死ぬなら、連れ合いが欲しい……そなた、地獄まで供せい……!」
姉さまを右袈裟に斬った後、すぐに間合いを離そうとしたデミウルゴスへ、姉さまが右腕を伸ばす。
顔面を鷲掴みにすると同時、そこから冷気が迸る。デミウルゴスが、みるみるうちに凍り付いてゆく。
絶凍刃に並ぶ姉さまの兵装、極低温管理システム『サテュルヌ・ラ・レーヌ・デ・ネージュ』!
姉さまの腕から逃れようと、デミウルゴスがもがく。
多節によって構成された、鋼の鞭のような形状の尻尾がうねり、鋭利な槍と化して姉さまの胸を貫く。
「往生際が……悪いぞ、猫……!そなたの主人の許へ連れて逝ってやろうと言っているのだ、有難がって共に来い……ッ!」
ビギギギギッ!
やがて、デミウルゴスが全身を凍てつかせ、一本の氷柱になると、姉さまはゆっくり倒れました。
姉さまの身体の下に、みるみる魔導血液の血だまりができてゆく……。
ぅ、う……ッ!うぁぁ、あああ……。
姉さま……、姉さま……!

351 :
>>326
「鬱憤晴らしに遊びに来てみれば、妙なことになっちゃってるねェ」
フィアンケット級デミウルゴスが消え去った数分後、同じ場所に出現する影。
ウサギを模した、長い耳のついたフードをかぶったパーカー姿の『錬金人類(エリクシアン)』――。
「ちぇー。ソレイユもサテュルヌもボッロボロじゃん。ボクがボコボコにしてやろうと思ってたのに、さー」
エリクシアン、ジュピテルはビルの屋上で遥か遠方の出来事を確認すると、つまらなそうに唇を尖らせた。
だが、すぐに姉妹以外の存在に視線を移すと、にんまりと悪戯っぽい笑みを浮かべる。
――その眼差しの先には、氷柱の中に閉じ込められた歩兵亜種。
「キャハハ、なーにアレ?デミウルゴス?あんなデミウルゴス、初めて見た!」
「パパってば、あんな新種がいるなんてぜーんぜん教えてくれないんだもん。ズルイよねェ」
「サテュルヌの能力で凍っちゃってるけど、もー死んじゃったのかな?かなぁ〜?」
「……まさかね。きひひッ!」
……ぴき。ぱき。ぴきき。
……びぎり。
サテュルヌの渾身の凍気によって作られた氷柱に、大きく亀裂が刻まれる。
まだ、歩兵亜種は死んではいない。ただ、身動きを封じられているだけ。
だが、その戒めも程なく消える。
そして、ソレイユはまだ――それに気付いていない。
「ソレイユはズッタボロのボ〜ロボロで、手許に武器もなし!エネルギー切れ寸前で特殊兵装も使えない!」
「サテュルヌは死にかけで、もう冷気を操る元気もない……もちろん、戦うなんてもっての他!」
「ってことはぁ〜……もうゲームオーバー、かなぁ〜?」
「すべてはあの、ムシケラみたいにちっぽけなDominusの指示次第……ってコト!きひひひッ、ど〜なっちゃうんだろ?」
「まずはお手並み拝見……かなぁ〜、っと!キャハはハハはッ!」
びき。びき。びきり。
愉快気に笑うジュピテルの視線の先で。
歩兵亜種が、再度行動を開始する――。

352 :
歩兵亜種「………」
サテュルヌ・ラ・レーヌ・デ・ネージュによって氷漬けにされ、文字通り行動不能に陥る
これが万全な状態で放たれたものであれば、そこで決着は着いたはずであった
体組織まで凍結して意識さえ封じられ、決して自力での脱出は叶わない
しかし、満身創痍かつ虫の息のサテュルヌでは、
強靭な外殻を通り抜け、体組織まで凍らせるほどの出力を発揮出来なかったのだ
しかし、それでも指一本動かせない状態のままでは、
膂力だけで高密度の分厚い氷の檻から抜け出ることは容易ではない
歩兵亜種「………」
歩兵亜種の持つ太刀は、ただの剣ではなかった
これもまた、老人が得物として使っていた愛刀をコピー、更にそれを発展させたもの
この太刀は、一種のヴァイブロブレードであった
刀身を構成する未知の物質が分子レベルで高振動現象を引き起こし、高熱を発生させる
太刀の周囲の氷はこれによって急速に溶かされ、動くスペースが確保される
あとは溶解して脆くなった部分から、怪力で粉砕して脱出するだけである
歩兵亜種「ナー…ゴ…」
氷柱を粉砕し、ついに戒めを解いて離脱する歩兵亜種
太刀は高振動によって超高熱を帯び、白い刀身は真っ赤に輝く炎の剣と化していた
猫耳を無造作にピンピンと動かしながら、まるで猫のような鳴き声を低く掠れた声で発する
それに合わせ、尾をピンと天に向け真上に突き立てている
満身創痍の2体のエリクシアン、歩兵亜種の様はまるで彼女らを狙うネコ科の猛獣
状況分析…、先ほどの凍結は極めて脅威
おそらくは、もう一体も同様の特殊能力を秘めていると思われる…同レベルの脅威
しかし、損傷過多のため、本来の実力を発揮できない模様
データの収集は十分であると判断、これより先は一刻も早い撃破を優先
溶断剣の最大出力にて、一撃で目標を破壊する
歩兵亜種「………」
そして、ソレイユが戒めから抜け出た歩兵亜種の姿に驚愕している刹那、
神速の動きで太刀を構え接近、常人の目には瞬間移動したとしか思えない速度
赤熱の溶断刀がエリクシアンの少女らを纏めて斬って捨てんと、袈裟斬りに襲い掛かった

353 :
氷柱が砕けていく嫌な音がして、やはり倒しきれてなかったのだという確信を得た時、
この後に何が起こるかは分かっていた。この猫のようなデミウルゴスが氷柱から抜け出せば、
満身創痍のソレイユ達に止めを刺そうとするだろう
先程のような凄まじい速度で一直線に向って行くだろう。そんな予測ができた
だがソレイユは動かない。氷柱が砕けていく音にも、気付いていない様子だった
気付けば、ソレイユ達に向かって足が動いていた
完全に氷柱が砕け散る音が聞こえたが、間に合っただろうか?
先に動いたのは自分の筈だ。だが、あの神速の亜種よりも早く、この手はソレイユ達を突き飛ばせているだろうか

354 :
……参り、ます。
>>353
――姉さま……!しっかりしてください!目を開けてください、姉さま……!
わたしは倒れた姉さまに駆け寄り、その身を抱き起こすと、必死で声をかけました。
あの、強い姉さまが。わたしなんかよりも遥かに強靭なサテュルヌ姉さまが、死ぬはずなんてないと。
きっと、すぐに回復してくれるはずと――そう、信じて。
そして、それが結果として、敵に致命的な隙を晒すことになってしまった――。
姉さまを想うあまり、わたしは重要なことをすっかり忘れてしまったのです。
この場所が、いまだ戦場であるという……その一点を。
突然、横合いから強い力で突き飛ばされ、わたしとサテュルヌ姉さまはどっと横ざまに倒れ伏しました。
ぐ……、いったい、何が……?
――――!!!
状況を把握すべく上体を起こしたわたしの、その視界に飛び込んできたものは――。
わたしたちの代わりにデミウルゴスの赤熱した刃を受ける、Dominusの姿。
Dominus……!
まさか、わたしたちを助けるために突き飛ばして……?
わ、わたしが警戒を怠ったから。デミウルゴスが姉さまの凍気で無力化したものと油断したから!
あぁ……あぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁあぁあああ……!!
そんな……Dominus!Dominus、Dominus、ドミヌス、どみぬす……!
……い、いや……。いや、いやです、いやです……!
サテュルヌ姉さまに続いて、Dominusまで……!そんなの、いやです……!

うッ、うあああ、あああああぁぁあぁぁあぁぁぁ……ッ!!

355 :
>>352
《いつまでみっともなく泣き叫んでいるつもりだ、見苦しい》
不意に、わたしの意識の中に聞こえてくる声。
遠慮会釈のない叱咤は、聞き間違えるはずなどないもの。聞き慣れた、そして待ち望んでいたもの。
――サテュルヌ、姉さま……!
《主殿は死んではおらぬ。今のところは、な。しかし、そなたがこの苦境を切り抜けねば、どのみち待つものは死であろう》
でも、姉さま……わたしにはもう手持ちの武器も、特殊兵装を使う余力もありません……。
《そなたの目は節穴か。そこに在るであろう、この場に於いて最強の武器が》
最強の……武器?
そんなものが、どこに――
……!!
姉さまに言われるまま周囲を見回したわたしの、視線の先にあったもの。
EXW-055S 絶凍刃『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』――。
姉さまの愛刀。すべてを凍らせ、万象を斬断する究極の刀。
自己修復を終えたのか、先程の戦いで機能不全を起こしたはずの刀身から、今は冷気が迸っているのが見える。
《そうだ。それを使え、吾の剣を。そして、あれを斬れ――それをまことの最終試験としよう》
で、でも姉さま、わたしたち『錬金人類(エリクシアン)』の兵装は、基本的には本人しか……
《案ずるな》
姉さまがそう言った途端、わたしの胸元のカドゥケウスが灰色の光を放つ。
これは――。
《奥義の継承は成った。……思い切りやれ》
……はい!姉さま!
今度こそ――ソレイユは。往きます!!

356 :
デミウルゴスの真っ赤に赤熱した剣が、闇の中にぼんやりと浮かび上がる。
かたや、わたしの持つ絶凍刃もまた、白い冷気を闇の中に撒いて輝く。
わたしとデミウルゴスの距離は、約十メートル。人間の間合いとしては少々遠いですが、我々にとっては一足の間合い。
すでに、互いの剣の届く距離――。
あのデミウルゴスから、先程一瞬だけ感じたモノの波長を感じます。
わたしに姉さまの剣を破るヒントを与えてくださったご老人、あの方と……あの方の連れていた猫の波長。
あのデミウルゴスが、老人と猫を吸収した?仔細はわかりませんが、恐らくあのデミウルゴスは老人の剣を模倣している。
ならば、初弾のあの神速も納得できようというもの……。
――わたしには、姉さまやデミウルゴスのような神速は出せない。
けれど……それならばそれで、戦う方法はある!
絶凍刃を納刀し、抜刀の構えを取る。姉さまが得意としていた、居合いの型。
わたしのカドゥケウスの中に、姉さまの戦い方が。蓄積された戦闘理論が息衝いている――。
わたしは。勝つ!!
わたしが豁然と双眸を見開くと同時、デミウルゴスが一気に距離を詰めてくる。
灼熱の溶断剣が、わたしを両断しようと迫る。
迅い。
わたしより数段迅い斬撃が、やや遅れて抜刀しかけていたわたしの右手首を切断する。
本来ならば、勝敗を決する一撃。わたしの敗北を確定する斬撃。――でも。でも、それでいい!
『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』から放出される凍気で、切断された手首を固定!
そのまま、剣を振り下ろしきったデミウルゴスの懐に飛び込む!

……一閃、血ノ華――!!

すれ違いざま、姉さまの絶凍刃がデミウルゴスの胴体を逆袈裟に斬り抜ける。
万象を斬滅する絶対零度の刀閃が、デミウルゴスを両断する感触。
確かな手ごたえを覚えながら、わたしは。
どっと、前のめりに倒れ込みました。

357 :
いやー、びっくりしたなぁ
今度こそ本当に死んだかと思ったよ

358 :
精鋭7人より完璧なひとりを求めるのはいささか危険な気がする
計画の真髄はどこにある?

359 :
参ります。
……あれから。数日が経過しました。
わたしの負傷は、ビュトス機関が完全に修復してくれました。ソレイユ、どこにも不具合はありません。
――ただ――
《肉を斬らせて何とやら。薄氷を踏むが如き戦いであったが、まあ善かろう。合格としておいてやる》
戦いのあった、あの日の晩。デミウルゴスを斬り捨てたわたしの意識の中で、姉さまの声が木霊する。
……よかっ、た……。
これで、戦いは終わり。あとは、一刻も早くDominusと姉さまを連れ帰って――
《その必要はない》
……え?
最後の力を振り絞り、わたしは絶凍刃を杖代わりにしてゆっくりと起き上がると、姉さまの方を振り返りました。
胴体を両断されて息絶え、急速に分解されてゆく歩兵亜種の骸の向こう。
そこに、サテュルヌ姉さまが静かに佇んでいるのが見える。
けれど……姉さまの姿が、今までと違う。
わたしやデミウルゴスが姉さまに刻んだ傷はどこにもなく、全身が不思議にきらきらと輝いている――
姉さま、その姿は……?
《野暮なことを申すな、ソレイユ》
《別れのときが来たというだけのこと。来たるべき時が――何もおかしなことではない》
《それに……そなたもわかっていたのであろう?》
《吾が、既に絶命していたということ》
……。
……。
……はい。
『錬金人類(エリクシアン)』の特殊兵装は固有のもの。余人に使用することはできません。
それが可能になるのは、唯一。『錬金人類(エリクシアン)』を倒し、兵装を奪い取ったときだけ。
わたしのカドゥケウスが輝き、絶凍刃が使用可能になった、あの時点で――
《ならば、善い》
わたしの返答に、姉さまは満足げに微笑まれました。

360 :
>>357
《吾が愛剣、呉れて遣る。大事に使えよ……少々扱いづらいが、主人に尽くす善い剣だ。きっと、そなたの力になろう》
《それと……主殿はかすり傷だ。帰って、絆創膏でも貼ってやれ》
Dominus……!
ご無事でよかった!で、でも……どうして、デミウルゴスの溶断剣を浴びたはずなのに……。
え?
……デミウルゴスが、Dominusを斬るのを躊躇した……のですか?
溶断剣がDominusを両断する寸前、あの歩兵亜種は剣を振り下ろす勢いを僅かに緩めた、と。
それゆえ、Dominusを絶命させるはずだった剣はタイミングを外れ、Dominusを浅く掠めるに留まったと――。
デミウルゴスは人類の敵。その殺害を躊躇する理由などないはず。
どういうことなのでしょう?
《それは、おいおいそなたと主殿のふたりで解き明かしてゆくがよい》
《吾の役目は終わった。ならば、出番の終わった役者は袖に引っ込むが道理。吾は――もう、逝こう》
姉さま!
《なんだ?よもや、逝かないでと――別れたくないなどと、この期に及んで泣き言を言うのではあるまいな?》
……い、いえ……。
《ならば善し。……ソレイユ、そなたは七姉妹の中で一番優しい。だが、優しいだけでは、何も守ることはできぬ》
《Rために戦うのではない。守るために戦うのだ。大切なものを――Dominusを》
《『錬金人類(エリクシアン)』とDominusは、ふたりでひとり。それをゆめゆめ忘れるでないぞ》
は……、はい……。
《声が小さいッ!!》
―――、はいッ!
《善し!》
《すべてを斃せ!すべてだ!あらゆる理不尽を、悪意を、破滅を、絶望を――斬って捨てよ!そなたには、それだけの性能がある!》
《なぜなら、そなたは太陽。太陽はすべての星の中でもっとも眩く輝き、あまねく万象を照らすのだから――!》
はいッ!姉さま――
……ご教示、ありがとうございました!!
《うむ。……主殿、妹を幾重にも宜しくお願いする。キャッキャウフフもするのだぞ》
《ああ――最期に。もう一度、主殿の作った料理を食したかったな――》
闇の中に輝く姉さまの身体が、淡雪のように徐々に形を失ってゆく。
わたしとDominusの目の前で、いつもと何も変わらぬ態度のまま。
サテュルヌ姉さまは、雪華となってその姿を消しました。

361 :
>>358
わたしには、メイザース師、ウェストコット師、ウッドマン師のお考えはわかりません。
ただ『Dominusを守れ』と――それだけを命じられたのみです。
そして、今現在も、機関はDominusを守るというわたしの任務を全力でバックアップしてくれている……。
デミウルゴスとの戦いで傷ついた身体も、こうしてすっかり元通りにしてくれましたし。
わたしたちエリクシアンの生命活動維持に必要な栄養ゼリーも、支給してくれています。
……あ、Dominus、ゼリーは冷蔵庫で冷やして頂かなくても大丈夫ですよ?
常温でも冷やしても、味がないものは変わりませんから……。
計画……。姉さまたちの仰っておられた、トロイア計画……ですか?
それがビュトス機関のものなのか、それともデミウルゴスのものなのか。
まだまだ、わたしたちが知らないことは沢山ありますね。
そのひとつひとつを――順番に、ゆっくりと紐解いていきましょう。
Dominus、わたしはもう躊躇しません。Dominusを害し、わたしの前に敵意を持って立ち塞がる存在に、容赦はしません。
――それが、姉であったとしても。
もし、一連の出来事が何らかの計画の下に進められていることだと言うのなら。
残る姉さまは三人――PEX-002 ヴェヌス姉さま。PEX-003 ラ・テール姉さま。そしてPEX-005 ジュピテル姉さま……。
いずれの姉さまも、メルキュール姉さまやマルス姉さま、サテュルヌ姉さまに勝るとも劣らぬ戦闘力を誇っています。
特に、ジュピテル姉さまは――。
でも。必ず勝ってみせます!
それが。サテュルヌ姉さまの遺志を、心を受け継ぐことだと……思い、ますから……。
い、いけませんね。どうも暗くなってしまって。
明るく行きましょう!サテュルヌ姉さまだって、わたしたちが落ち込んでいるのを見たらきっと哀しまれると思います。
今はひとまず身体を癒しましょう、Dominusも、今回は負傷されたのですから。
もう、あんな無茶はなさらないでくださいね……?
ほ、ほらほら!Dominus!姉さまのお気に入りだった、猫耳カチューシャ!
またつけてみましたよ。ニャンニャン、猫耳ソレイユだニャン!どうです、可愛いですか?
姉さまは本当に、このカチューシャがお気に入りで。「吾の写真を撮れ」なんて言っていたんですよ。
デジタルカメラに、そのときのデータがあります。ご覧になりますか?
ほらっ!姉さまったら、猫耳をつけても最後まで無表情のままで。おかしいですよね、あはは……。
……。
……。
……サテュルヌ……ねえさま……

362 :
サテュルヌは一番世慣れてなさそうな性格のわりに一番世間ずれしてる食えない奴だったな・・・
単にすごくずぶといだけだったのかもしれんが、よりによって遺品のひとつが猫耳カチューシャとはにゃん☆

363 :
お前は今、泣いていい

364 :
その頃、日本では在日米軍の戦力増強が急がれていた
本国から重機兵を送り込むだけでなく、生産設備を日本に移してまで増産を行ったのだ
それもこれも、近いうち行われる一大軍事作戦に備えてのものである
『オペレーション・ベンジェンス』
「復讐」の名を関する対デミウルゴス軍事作戦
実施されれば、デミウルゴスに対して行われる軍事作戦としては史上最大規模の動員兵力となる
その最大の目標は、神出鬼没の超弩級デミウルゴス「巨神(デウス)」
世界各地の沿岸地域に突如出没しては、しばらく佇んだ後に海に帰っていくという謎の行動を繰り返す規格外の存在
出現の前兆として独特の「デウス波」というエネルギー反応を見せ、これは他のどのデミウルゴスにも見られないもの
そして現在、目撃情報は何故か日本の沿岸地域、それも関東近辺に集中していた
今まではその不規則な出現パターン故、大規模戦力による迎撃が不可能だった
しかし、近年の出現傾向の変化により、大筋ながら作戦の実施が可能となったのだ
この作戦はかなり早い段階から想定されており、そのために多くの反対を押し切って関東地方への基地移転も行われた
作戦に動員される戦力は在日米軍だけではなく、日本の自衛隊も含まれていた
現在、軍港を併設した関東の在日米軍基地にて、作戦の中核を担う予定の新型兵器が港に鎮座していた
米軍が誇る最強の対デミウルゴス兵器、ベンジェンス・ノア級戦艦である
※ベンジェンス・ノア級戦艦
作戦のコードネームと同じ名を冠する新型戦艦
アメリカ政府主導の下、米国の主要造船会社全てが合同で開発した世界最強の戦艦
水中でもほとんど減衰しない新型粒子砲を主砲に備え、その他各種機関の供与技術をふんだんに使用した豊富な武装を備える
また、常に人工衛星とリンクしており、音速で飛ぶジェット戦闘機すら容易く撃墜する命中精度を誇る
速力や航続距離、耐久性などの基本性能も従来の大型軍艦を遥かに凌駕しており、
人類との戦争に使用されれば、世界の軍事バランスを崩しかねない性能とも言われている
重機兵が世界の陸戦兵器の革命ならば、この戦艦は海上兵器の革命と言えるだろう
ただし、建造コストは原子力空母の数倍以上とも言われ、アメリカの国力を以てしても5隻の就役が限界だった
その内の2隻が日本に現在来航しており、巨神型への大規模火力攻撃の中心を担う予定

365 :
在日米軍基地の新兵器お披露目式典会場・軍港の様子
在日米海軍旗艦・第二世代型原子力空母「エイブラハム・リンカーンU」
空母の両舷には、二隻のベンジェンス・ノア級戦艦が堂々と佇んでいた
お披露目は盛大に行われており、場を埋め尽くすほど大勢の
大勢の米兵と自衛隊隊員たちがその雄姿にエールを送っている
・ベンジェンス・ノア級戦艦1番艦「ベンジェンス・ノア」、同級のネームシップ
同3番艦「ベンジェンス・オブ・デザイア」、試験的に潜水艦としての機能が付加されている
まるで近未来世界のSF兵器が実体化したかのような独特の意匠
従来兵器の面影を残している他の艦船群に比べ、浮いた存在とも言える
空母の艦橋にて、今回の作戦の指揮を任された司令官はほくそ笑んでいた
米軍司令官「世界の主導権を握るのは我々だ…」

366 :
参ります。
>>363
Sic.Dominus.
ありがとうございます、Dominus。お優しいお言葉、嬉しいです。
でも。
ずっと泣いてはいられません。いつまでもメソメソしていては、姉さまもきっと落胆されるでしょう。
それこそ「いつまで泣いているのだ、見苦しい」と――
そう、怒られてしまいますから。
わたしはもう、迷いません。どんなに過酷な運命が待っていたとしても。
ここで歩みを止め、引き返すことこそが、一番やってはいけないこと。
メルキュール姉さま、マルス姉さま、サテュルヌ姉さまの死を無駄にすることですから……。
……。
…………。
ご、ごめんなさい。Dominus。
わかってはいるのです、いけないことだと。泣いても仕方のないことだと。
……それでも。
もし、宜しかったら。やっぱり最後に一度だけ、泣かせてくれませんか……?
次からは、強いわたしになりますから。前を見て進む、わたしになりますから。
今だけは……。
――弱虫のわたしで、いさせて……ください……。
ぅっ、ぅぅ……。ぅああ、ああああぁ……!
姉さま!姉さまッ……サテュルヌ、姉さま……!わたしの姉さま、大切な姉さま……!
えぐっ……ぅ、ひっく……う……うああああああああ……ッ!!!

367 :
>>364
耳をつんざくような号砲の音。訪れた人々の歓声。高らかに鳴り響く、楽隊の音楽。
関東某所の米軍軍港は、アメリカが建造した世界最強の戦艦を――そしてその初陣を一目見ようという人々でごった返していた。
巨大な軍港の中にあって、その威容を遺憾なく見せつける旗艦『エイブラハム・リンカーンU』。
そして、その左右に王に仕える守護騎士の如く侍る『ベンジェンス・ノア』『ベンジェンス・オブ・デザイア』。
ビュトス機関を除く人類の持つ、究極にして至高の戦力の姿に、それを目にした人々は誰もが嘆息し、或いは歓喜した。
この戦艦ならば。
人類をおびやかすデミウルゴスという存在を、この地上から根絶やしにしてくれるに違いない――
この場にいる人々は、誰もがそう思った。
戦艦のお披露目式典に参加しているのは、米軍や自衛隊員ばかりではない。
日頃関係者以外立ち入り禁止のはずの軍港は今日に限っては広く一般開放され、多数の民間人も訪れている。
その様子は厳粛厳格な軍事作戦というよりは、むしろ祭りに近い。乱痴気騒ぎ、と言うべきか。
アメリカにとっては、今回のお披露目式典及び日本との合同作戦は、自国の力を世界中に知らしめる重要な意味を持つ。
実際、米軍によって大々的に宣伝された今回の作戦には、全世界の報道機関が注目している。
日本でもテレビ局各局が今回の作戦の為に特別報道番組を企画し、すべてのチャンネルはこの話題で持ちきりであった。
まるで、国を挙げての――いや、世界中を挙げての祭り。
実際、今回の作戦が成功すれば、それは人類側にとって大きな一歩となるはずである。
まさにこのとき、世界中の目が、関心が、この軍港に集中していた。
通常のデミウルゴスを遥かに凌ぐ巨体を持ち、まさに神の如く人類を睥睨する『巨神(デウス)型デミウルゴス』。
この規格外の脅威を人類の力で排除することが叶えば、それは今後の対デミウルゴス行動においても大きな弾みとなる。
何より、アメリカがそれを成したとなれば、それはそのままアメリカがこの世界の主導権を握ることになると言ってもよかろう。
ロシアや中国といったアメリカにライバル心を燃やす国家からすれば、この作戦は是が非でも失敗してほしいものに違いあるまい。
多数の人間の思惑が複雑に絡み合う中、作戦は開始されようとしていた。

368 :
>>365
「その通りです、司令官。いつの時代においても、イニシアチヴを握るのは我々。それは絶対に変わりません」
旗艦『エイブラハム・リンカーンU』の艦橋でほくそ笑む司令官の隣で、秘書官が追従する。
ウラニア・ポース秘書官。今回の大規模作戦において、指揮を執る司令官の補佐を任されている。
光を束ねたような金色の髪をシニヨンに纏め、ベージュのタイトスカートスーツを隙なく着こなした、いかにも才色兼備といった容貌の美女である。
「今回の軍事作戦には、我が国の威信がかかっています。失敗は許されません。司令官もその点、重々お含み置きください」
「……尤も、あの『ベンジェンス・ノア』に、そのような懸念は必要ない――とは思いますが……」
ベンジェンス・ノア級戦艦は、ひとたび人類へその矛先を向ければ、現文明を三回は灰燼に帰す能力を秘めている。
その力のすべてを『巨神(デウス)級デミウルゴス』へと叩きつけるのだ。効果がないはずがない。
今まではほとんど傷ひとつつけることさえ叶わなかった相手だが、今回は違う。
きっと、この不気味な怪物を海の藻屑に――否。欠片も残さず地球上から消滅させることが出来るに違いない。
「14:30。予定時刻です」
ポース秘書官が告げる。
と同時、空母や戦艦に搭載されているレーダーや感知システムが大きな『デウス波』の発生に反応を示す。
……ざ。
ざ、ざ、ざ、ざぁぁぁぁぁぁ……
出現予測区画の海面が突如として波打ち、徐々に盛り上がる。甲冑を纏った人間のような、異様な姿が現れる。
『神』の顕現――。
人々が慄き、あるいは歓喜する中出現した『巨神(デウス)級デミウルゴス』は、いつもと変わらぬ様子で海上に佇立した。
まるで、人類の用意した兵器など目にも入らぬ、というように。
「総員戦闘配備。各個、持てるすべての力を出し切るよう。健闘を祈ります」
ポース秘書官が素早く各所へ通告する。作戦に参加するすべての兵士が、繰り返し練習してきた所定の持ち場につく。
「――司令官。開始の合図を」
カツリとヒールを鳴らし、恭しく一礼すると、ポース秘書官は司令官に告げた。

369 :
>>362
メルキュール「こんばんは〜☆メルキュールの『エリクシアンおまけ講座』のお時間ですよ〜!」
メルキュール「司会はわたし、エリクシアン界の良心ことPEX-001 メルキュールと……」
マルス「PEX-004 マ――」
サテュルヌ「PEX-006 サテュルヌがお送りする」
マルス「オイちょっと待てコラァァァ!」
メルキュール「今日のおハガキは、ポイントB-06981にお住まいの>>362さん!ありがとうございます☆」
サテュルヌ「ふふふ……吾が喰えぬ奴とな。善い善い、それは吾の狙い通りというものよな」
マルス「ホントかよ……」
サテュルヌ「所謂ギャップ萌え、というものである。主殿が吾を可愛いと思ったならば重畳、重畳」
マルス「いや、可愛いとは言ってねーし。食わせモンだって言われてるだけだし」
サテュルヌ「まぁ、大意としては似たようなものであるし、可愛いと思われていると理解しても大方間違いではなかろう」
マルス(図太い……)
メルキュール「ラボにいた時間は同じなのに、どうしてサテュルヌはこんなに世慣れしていたのかしら?」
サテュルヌ「それは、吾のDominusの影響でしょう。吾のDominusはイギリス人であったのですが……」
サテュルヌ「物凄い日本かぶれで、ジャパニメーションを蒐集し、日本の文化に傾倒し、しかもその知識は悉く間違っておりました」
サテュルヌ「ということで、そんなDominusと共に居た吾もその影響を受け、こうなってしまったという寸法です」
マルス「世慣れとはまた別の問題じゃねーの、それ」
サテュルヌ「ドーモ、マルス=サン サテュルヌです デミウルゴスRべし 慈悲はない」
マルス「……あぁ……そういう方向性なんだ……」
サテュルヌ「あるときは凛然たる女剣士、またあるときはネコミミ美少女。そんな雪ちゃん再登場希望の嘆願書をみんなで出そう」
マルス「ギャグっぽく言ってるけどガチだろ、それ」
メルキュール「で、では、また次回〜☆」

ソレイユ(またしても出そびれました……)

370 :
サテュルヌを教導したDominusには尊敬を覚えるが
恥じらい乙女的属性を学ばせるにはきっと、彼女の精神は豪傑すぎたのだ
ソレイユのDominusは無数の名無しということになろうけど、他のエリクシアンの主人はどんな人なのか(だったのか)は興味あるな
サテュルヌのDominusは老境に差し掛かった剣の達人、マルスはクールな本読み少女とか想像していたゾ
ラテールは人となりがわからんかったけど、最近の露出だと素直で騙されやすそうだから、ラテールのDominusは一見いい人そうな腹黒おじさんだな(妄言)

371 :
司令官「うむ!全軍、攻撃開始せよ!
     自衛隊の連中にも出し惜しみはさせるな!」
全ての環境は絶好の機の下に整っている
ボース秘書官の進言の後、司令官はデウスの姿を見据えながら攻撃開始の指示を出す
刹那、待ち伏せていた日米連合軍の火砲は一斉に火を吹いた
デウスの山のような巨体に殺到する閃光、そして爆発
沿岸部にずらりと並んだデリーターを筆頭とする重機兵部隊の集中砲火もさることながら、
戦闘機部隊による波状攻撃も断続的ながら、劣らない威力を発揮していた
単艦でその総火力に匹敵する勢いのベンジェンス・ノア級の砲火は苛烈を極めた
大小様々な粒子砲の輝きと光の軌跡が爆風をもたらし、爆炎がデウスを包み込む
しかし、これでもまだ攻撃の手を緩めることはできない
デウスの恐るべきは、その桁外れの再生能力にある
巨体でありながら、如何に損傷を与えようとも瞬時に完全修復されてしまうのだ
これは、現在までに確認されたどのデミウルゴスも足元にすら及ばないレベルである
何度か機関の部隊もデウスに攻撃を仕掛けたが、彼らでさえデウスの再生力を上回ることは出来なかった
神出鬼没故に大規模戦力での迎撃がほぼ不可能だったことも大きく起因している
司令官「全弾撃ち尽くすまで緩めない勢いでやれ!
      砲身が焼けても撃ち続けろ!
      人類の命運を定める一戦、ここにありと心得るのだ!」
全長数百メートルの巨体を包み込む大爆炎と煙
周囲を埋め尽くすほどの無数の兵器から放たれる総火力はそれほど凄まじいものだった
司令官「いけるぞ…これほどの火力、機関の連中でも簡単には出せまい!
     それに、デウスはさして頑強な外殻を有しているわけではない…
     第二世代重機兵の粒子砲でもダメージを与えることが出来るのは分かっている
     再生力…これだけがヤツの脅威だ!上回れ!それで我々が勝利する!」
爆炎から吹き飛んだデウスの破片が粒子化して消えていく様子を見ながら、
司令官は確かな手応えを感じ、多少の不安が混ざりつつも、余裕のある笑みに浮かべていた
デウスはまだ動く様子はない…相も変わらず地の果てを見つめるかのように佇んでいるのだろう

372 :
通信兵「て、提督!緊急事態です!
      ベンジェンス・オブ・デザイアからの通信が突如途絶えました…」
司令官「何だと!?この大事な時に何をしている!」
通信兵「わ、分かりません!しかもどうやら潜行モードに移行しているようです!」
そして、攻撃が続く中、突如としてトラブルが発生する
突如、ベンジェンス・オブ・デザイアが一切の攻撃を中止し、海中へ姿を消そうとしているのだ
「ベンジェンス・オブ・デザイア」、ベンジェンス・ノア級戦艦の3番艦
デザインや基本性能こそ1番艦と同じだが、潜水艦のように水中を航行する機能を有する
そのため、ベンジェンス・ノア級では唯一専用の粒子魚雷も搭載している艦であった
それが今、勝手に潜行モードへと移行している最中であった
艦橋のウィンドウにシャッターのようなものが降り、徐々に船体は水上から没していく
………
一方、ここはベンジェンス・オブ・デザイアの艦橋
謎の男「フッ…上出来だな
      技術の使い方を知らんバカどもの作品としてはなかなかだ…
      だが、やはり貴様らが持っていても価値のないものだ
      我々が更なる改良を施し、有効に使ってやろう…ククク…」
艦橋内部には、黒い軍服に身を包んだ男たちが制御を乗っ取っていた
周囲には、射殺された米軍人たちの死体が転がっており、半ば血の海状態になっている
謎の男「この船がアメリカ本国から持ち出されるタイミングをどれだけ待ちわびていたことか…
      我らが組織の力を以てすれば、乗員の中に息のかかった者を紛れ込ませるなど造作もない
      フハハハハ!貴様ら米軍はデウスと好きに遊んでいるがいい!
      さあ急げよ、同志諸君!速やかにこの場を離脱するのだ!」
艦橋内部には、男の狂った笑いがこだましていた

373 :
参ります。
>>370
Sic.Dominus.
わたし以外の『錬金人類(エリクシアン)』のDominus……ですか。
ラボを離れ、各国に派遣される際、少しだけ耳にしたことがあります。
わたしたちが派遣される国は、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、インドの六ヶ国。
わたしとラ・テール姉さまが日本。メルキュール姉さまがロシア。ヴェヌス姉さまがアメリカ。マルス姉さまがインド。
ジュピテル姉さまがフランス。サテュルヌ姉さまがイギリス――と。
それぞれのDominusがどんな方であったのかは、わかりませんが……。
もし、姉さまたちの証言が事実であるのなら、Dominus。貴方以外は全員亡くなっているということ――
そして。他ならぬ姉さまたちがDominusを殺害した、ということになります。
Dominusを守護するべき『錬金人類(エリクシアン)』が、どうして……。
わたしには、どうしてもわかりません。
あ。
ご、ご心配には及びません、Dominus!
わたしは、絶対にDominusを手にかけたりはしませんから。
Dominusは、わたしのいのち。わたしが何としても守らなければならないお方。
この命の続く限り、指の一本でも動かせる限り。
貴方は、わたしが。――このソレイユがお護りします。
ですから――
どうか。おそばに、おいて下さい。

あ、あの、テレビでも観ましょうか?
今は、学校でも持ちきりになっていた、米軍の大規模作戦の中継がされていますよ。
正直、ビュトス機関以外の勢力がデミウルゴスに有効打を与えられるとは思いませんが……。
それでも。期待せずにはいられません。

374 :
>>371
司令官の号令一下、屹立する『巨神(デウス)級デミウルゴス』への一斉攻撃が始まる。
出航したベンジェンス・ノア級二隻から発射されたミサイルVLSの雨霰に、沿岸部に展開した重機兵部隊の集中砲火。
さらには空母より発艦した戦闘機部隊、自衛隊の艦艇からのありったけの攻撃に、巨神の姿は瞬く間に爆煙の中へと消えた。
それでも、攻撃の手を休めはしない。濛々とあがる煙の中へ、更に火力を叩き込んでゆく。
作戦区域は軍港から数百キロ離れていたが、軍港に蝟集する人々のところまで兵器の発する熱が伝わってくる。
まさに司令官の言う通り、人類の命運を定める『巨神戦争(ティタノマキア)』――
人々の視界の先で繰り広げられる戦い、いや、一方的な殺戮劇は、そう呼称するに相応しかった。
巨神の表面装甲が爆発によって融解し、弾け、抉れてゆく。
その巨躯の表面が崩れ、粒子化してゆく。
――しかし。
巨神は倒れない。いや、微動だにしない。
硬く握りしめた両拳を降ろし、背をまっすぐに伸ばした傲然たる様子で、現れたときと何ら変わらず虚空を見続けている。
人類の叡智の結晶たる攻撃を、微風か何かとしか認識していないかのように。
古代の戦士の兜のような形状をした頭部、スリットの奥の双眸だけが、ただ炯々と輝いている。
戦いは、人類側が押している。少なくとも、今はそう見える。
一発一発の兵器の威力は致死に程遠いとしても、それを積み重ねていけば。
いずれは巨神の装甲のすべてを剥ぎ取り、中枢に致命的なダメージを与えることができるに違いない。
いずれにせよ、賽は投げられた。ルビコン川は既に渡っている。
このまま――攻め切るしかない。
この作戦に参加した、作戦を見に来た、すべての人間が。
祈るような気持ちで、爆煙の向こうに注目した。

375 :
>>372
不意の入電に、旗艦空母『エイブラハム・リンカーンU』の艦橋は騒然とした。
それまで作戦に参加していたベンジェンス・ノア級三番艦『ベンジェンス・オブ・デザイア』が、急遽戦闘を放棄。
何を思ったか作戦区域を離脱し、潜航しようとしているという。
「この大規模作戦中に堂々と盗みを働こうとは、大胆な行動に出たものですわね」
狼狽する司令官の隣で、ポース秘書官が口を開く。
「鹵獲でしょう。先日、我が国の軌道衛星アドミラブルをハッキングし、戦術核弾頭を発射した輩と同一かと」
「どうやら、ベンジェンス・オブ・デザイアの乗組員に裏切り者が混じっていたようです」
「――司令官?どうなさいますか?」
驚天動地の事態だが、ポース秘書官は眉ひとつ動かさず、その美しい面貌を軽く司令官へ向けて指示を請う。
その落ち着き払った様子は、まるでこの事態を前々から予測していたかのようでさえある。
艦橋が混乱に包まれる。異常に気付いた他の艦艇や地上部隊から、司令官へと連絡が殺到する。
ポース秘書官はしばらくそんな状況を静観していたが、不意に通信端末を手に取ると、
「作戦行動中の全艦に告ぐ。攻撃目標を変更せよ。新たな攻撃目標は『ベンジェンス・オブ・デザイア』。データリンク」
「ベンジェンス・オブ・デザイアを作戦区域から離脱させるな。目標を速やかに撃沈せよ」
そう、司令官をさしおいて号令した。
「今回の作戦には、我が国の威信がかかっている。失敗は許されない――そう申し上げましたわね。司令官」
「衆人環視の中、どこの誰とも知れぬ組織に我が軍の要たる新型戦艦を強奪された、とあっては、我が国の取り返しのつかぬ汚点となります」
「まずは、そちらの対処が最優先。巨神への攻撃は、沿岸に展開した重機兵部隊に任せましょう」
「作戦司令部へ緊急攻撃要請。軌道衛星アドミラブル、大口径陽電子砲『カレトヴルッフ』の発射を請う。目標は――」
すらすらと、流れるような所作でポース秘書官が作戦を変更してゆく。
「……あなたたちは、わたくしたちという介添えなしにはまだ、一人で立ち歩くことさえ覚束ない赤子」
「そんな幼な子が、世界の主導権だの覇権だのと――まったく、愚かにも程があるというものですわ?」
「あなたたちは自らの力で主導権を握ったのではないのです。わたくしたちが、あなたたちにそれを与えたに過ぎないのですわ」
「お遊びに付き合うのはこれまで。司令官、只今より当作戦の指揮はわたくしが執ります、よろしくて?」
そう言うと、ポース秘書官はシニヨンに纏めていた髪を解いた。光り輝く、腰までの美しい髪。
「――この……PEX-002 ヴェヌスが……ね」
一見穏やかに見える微笑の中に有無を言わせぬ圧力を込め、ヴェヌスは作戦中の全艦を掌握した。

376 :
これまではタイマンだったがヴェヌスは搦め手でくるか・・・?

377 :
司令官「な、何だと!?どういうつもりだ、ボース秘書官!
     如何に大統領閣下の肝煎りでCIAから出向している君と言えど、
     わ、私が全権を任されたこの作戦で勝手な真似は…!」
有無も言わさず、他の者たちが狼狽している中で淡々と指揮を勧める目前の美人秘書官
この年でCIA幹部職員の地位にあるという鳴り物入りの才媛と聞いている
それが大統領のお声掛かりで、今回の作戦の副指令に抜擢されたと言うのだ
正直、司令官はこの美女秘書官を訝しんでいた
しかし、ガラリと雰囲気の変わった目の前の美女は冷徹に作戦を変更していく
>「……あなたたちは、わたくしたちという介添えなしにはまだ、一人で立ち歩くことさえ覚束ない赤子」(ry
司令官「え、エリクシアン…だと?
     そんな…バカな…こんな暴挙が認められるわけが!
     デザイアとて、アメリカの威信そのものと言える兵器の一つだぞ!
     それをみすみす破壊して…ただで済むと…!」
通信兵「し、司令…、総司令部から入電…です…
     速やかにエリクシアン・ウェヌスに全指揮権を明け渡すように…との命令が…
     さ、更に、デザイアの撃沈は既に認可されていることだとも…」
司令官「き、貴様らはどこまで…」
そのまま司令官は脱力してへたり込み、逐次指示を送り続けるウェヌスの姿を呆然と眺めていた

378 :
一瞬浮足立った米艦隊だったが、速やかに行われた指揮権の譲渡、
そして、全てを把握したウェヌスの適確かつ迅速な指揮により、
ほとんど即座にその足並みを揃えることに成功していた
徐々に潜行していこうとするベンジェンス・オブ・デザイアに向け、攻撃が開始される
1番艦『ベンジェンス・ノア』を含む全艦艇の火砲はデザイアへと向けられ、
凄まじいまでの粒子砲とミサイルの嵐がデザイアへと集中していた
このまま直撃すれば、ベンジェンス・ノア級と言えど轟沈は免れないだろう
…しかし、この重厚な攻撃は巨大なバリアによって全て阻まれていた
掌大の大きさの六角形の透明の物理障壁が無数に組み合わさったオリジンの『守勢錬陣』
それと全く同じものがデザイアのほぼ全方位を覆っていたのだ
貴族風の男「不甲斐ない連中であるな
        結局我輩らが力を貸してやらねばならなくなったか
        師があれほど最低限旗艦は潰しておけと忠告していたというに…」
デザイアの甲板上に現れたのは、燕尾服に身を包み、立派なカイゼル髭を生やした貴族風の大男
その隣には、同じくヨーロッパの貴族の夫人が纏うドレスに身を包んだ中年女性が立っている
貴族風の女「同じ人類の好として、デミウルゴスを潰す作戦自体の邪魔までしてやることはなかろう!
         …とか何とか、余裕ぶっこいてたザマスが、その結果がこの様とは
         アテクシたちの姿を晒させることになった責任、取ってもらうザマスよ?」
組織司令官「う…ぐ…、わ、分かっている!
         先にスター・メネクの提示した条件に従おう…け、契約だからな…
         頼んだぞ…貴様らが持つという機関の力、存分に頼りにさせてもらう!」
物理障壁は貴族風の女が展開しているものらしく、
その背中からは蜘蛛の脚のようなモジュールが展開してエネルギーを放っていた
…そう、彼らは全て機械人類(メカニゼイター)であった
しかも、ただのメカニゼイターではなかった

379 :
彼らのボスの名はドクター・メネク
かつて機関に属していたその男は、若くしてメイザース直属の研究班の一員に抜擢された優秀な頭脳の持ち主だった
特にメカニゼイターの技術に関しては天才的な才能を有し、オリジンの製造にも深く関わっている
しかし、封印されていたロストテクノロジーの解放に固執し、更に野心的な性格が危険視された
彼はメイザースの研究班から放逐され、更に幽閉されそうになった
…しかし、その寸前で自らの研究成果を手に機関を脱走、ずっと行方を晦ましていた
機関はずっとその行方を追っていたが、一向に発見できず、
彼が開発したと思われるメカニゼイターの被害が各地の紛争地域で報告されるのみであった
その後、メネクは長らく地下に潜伏し、どの組織とも接触せず、単独で研究を続けていた
しかし、更なる研究資金と環境を欲した彼は、ついに機関との正面対決を覚悟で組織と手を組んだ
彼が組織と結んだ契約は対等なものではなく、手は組んだとはいえ、まだ己の技術を微塵も提供していない
技術の提供をエサに、彼は組織から潤沢な研究資金をふんだくろうと企んでいたのだ
そして、今回の組織の作戦に出向したメネク手製のメカニゼイターは、
各国の戦場で『獄卒一家』という異名で恐れられていた貴族風の出で立ちの親子である
彼らの戦闘力はオリジンには劣るものの、一般的なメカニゼイターを上回るものであった
※鉄拳男爵
『獄卒一家』のリーダー格にして、接近戦を得意とするパワータイプ
衝撃波を操り、徒手格闘にて立ち回ることを得意とする
元々はヨーロッパのとある名家の当主だったが、落ちぶれて路頭に迷っていたところをメネクに拾われ、
妻や娘共々メカニゼイターとして生まれ変わった
メネクに絶対の忠誠を誓っており、彼のためなら命を投げ出す覚悟を持つ
※鉄壁夫人
『獄卒一家』の一員かつ鉄拳男爵の妻にして、大規模な『守勢錬陣』を展開可能な防御特化型
そちらの能力に関しては、フル装備状態のオリジンすら上回る性能を有している
守りしか能が無いわけではなく、『守勢錬陣』を応用して攻撃にも転用可能
そして、一家の最強戦力である『娘』も一人居る…

380 :
鉄拳男爵「ふむ、それでは始めようか…
       アリシア、準備はいいな?この場に居る米兵と自衛隊員は皆殺しだ!」
アリシア「はい、お父様…」
アリシアと呼ばれたその少女は、一人だけデザイアの近くの海面から顔を覗かせていた
金髪の美しいブロンドが波間に揺れ、輝いている
しかし、その身体は外面だけは人間の肉体を保っている両親に比べ、
首から下は露出したサイバネティクスのボディで構成され、アンバランスさを醸している
スリムだが、その性能は水のあるところで最大限に発揮されるものであった
※殲滅令嬢(本名:アリシア)
「獄卒一家」の夫妻の一人娘にして、最強戦力と恐れられる
水中戦を得意とする個体であり、取り込んだ水を攻撃手段として様々に転用する武装を持つ
また、体内に水を圧縮して溜め込むことで、陸上でもある程度水を使って戦うことが可能
鉄拳男爵「沈め!」
男爵はデザイアの甲板上から飛び上がると、一番近くに居た自衛隊のイージス艦の艦橋上に飛び乗る
そして着地と同時に拳を打ち付けると、白い閃光と共に衝撃波が艦橋を跡形もなく粉砕した
鉄拳男爵「そしてトドメである!」
そのまま再び飛び上がり、今度は船体の丁度中央辺りにかかと落としを振り下ろす
すると、再び白い閃光と共に衝撃波が走り、今度は駆逐艦を真っ二つに粉砕してしまった
爆音と共に泣き別れした船体はあっという間に沈没してしまう
アリシア「ごめんなさい!」
海中に姿を消したアリシアは、猛スピードで近くの米巡洋艦に迫る
口が開き、放出される極細の水柱
極限まで圧縮された長大なウォーターカッターが意図も容易く巡洋艦を真っ二つに切り裂く
同じくして、爆発しながら轟沈していく船体

381 :
鉄拳男爵「まずは頭と主砲を潰さねばならんな!
       アリシア、我輩は旗艦を狙う!おまえは1番艦を仕留めよ!」
アリシア「は、はい…お父様…
      ですが、皆殺しにせずとも時間稼ぎだけで十分なのでは…?」
鉄拳男爵「愚か者!それでは面白くなかろう!フハハハハハッ!」
アリシア「………」
残虐極まる笑みを浮かべる男爵
そして、その命令に何か悟ったかのように悲しげに頷いて従うアリシア
鉄拳男爵「さあ、海の藻屑にしてやるぞ、旧人類ども!
       我輩の力、思い知るがいい!」
空母周囲の護衛艦を足場代わりに、まるで忍者のように飛び伝って空母に急速接近する黒い影
ついでに着地した部分を衝撃波で粉砕することも忘れない
燕尾服にカイゼル髭の大男が、先ほどと同様に空母の艦橋を潰さんと襲い掛かってくる

382 :
>>380訂正
鉄拳男爵が自衛隊のイージス艦の艦橋を潰した後、
何故かトドメのかかと落としで駆逐艦が真っ二つにされてますが、間違いです
艦橋潰されて船体中央真っ二つで轟沈したのはイージス艦です
申し訳ありません

383 :
司令官「ば、バカな…
      この重大な作戦を前にしてベンジェンス・ノア級が強奪される寸前…
      し、しかも、メカニゼイターのバケモノまで敵に居るだと!?
      貴様!これも貴様らにとっては予定調和なのか!?どこまで知っている!?
      答えろ!答えろよ小娘がぁっ!…うおおっ!?」
呆然としていた司令官は、更に目の前で巻き起こる異常事態の数々に目を回し始める
そしてついに、正体を明かした目の前のウェヌスに食って掛かっていった
半狂乱になりながら、ウェヌスの肩を掴んで力いっぱい揺すった…つもりだったが、
その身体はまるで重石のようにビクともせず、逆にバランスを崩した司令官が転んでしまった
通信兵「敵メカニゼイター、攻撃を…!
      こちらの艦艇がまるで玩具のように…ひっ!?こ、こっちに来た!?」
司令官「げ、迎撃!迎撃ぃっ!」
通信兵「ダメです!近すぎます!間に合いませんっ!」
司令官「うひゃああああああぁっ!!!」
エイブラハム・リンカーンUの艦橋内はパニック状態に陥っていた
メカニゼイターの一人、髭面の大男がまるで忍者のように護衛艦を飛び伝って近づいてくる
鉄拳男爵が足場にした護衛艦は、衝撃波で艦上の構造物が派手に破壊されている
そして、最初に仕留めたイージス艦にしたように、空母の艦橋の上に乗り、粉砕しようとしている
感極まった司令官はついに悲鳴を上げて泣き叫んだ

384 :
テレビ大変なことになってない?

385 :
なんだどうしたどうした

386 :
何ということでしょう!
ご覧ください!
デウス型デミウルゴスとの戦闘中に、どうやら艦隊にトラブルがあった模様です!
現在情報統制が敷かれており、詳しい状況は分かりませんが、
何か重大な事故が起こったことは明白で…

387 :
日米合同作戦のさなか、謎の組織によって鹵獲された新造戦艦『ベンジェンス・オブ・デザイア』。
ビュトス機関の造反者ドクター・メネクの生み出した『機械化人類(メカニゼイター)』、獄卒一家の虐殺が始まる。
前門の『巨神(デウス)』、後門の『機械化人類(メカニゼイター)』――
絶体絶命の危機に、全軍の指揮を担うヴェヌスはどう対処するのか?

次回、錬金乙女エリクシアン『最美の閃光ヴェヌス』
お楽しみに!

〜次回放送日は5月27日の予定です〜

388 :
スピンオフかな?

389 :
あの人がまさかヴェヌスだったなんて…あー続き気になるなー、早く来週になんねーかなー

390 :
誰の許しを得てこの我を見ている?
不敬であるぞ、雑種!
その命を以て贖うがいい!

391 :
参ります。
>>377
「取り乱すのはおよしなさいな。無様でしてよ、司令官。それでも一度は当作戦の指揮を任された御方ですか?」
「尤も――当作戦の指揮は、最初からわたくしが執る予定ではあったのですが……。知らなかったのは貴方だけ」
へたり込んだ司令官を酷薄な眼差しで見下ろしながら、ヴェヌスが告げる。
「『巨神(デウス)級デミウルゴス』の討伐を掲げた当作戦――けれど、本作戦の真の狙いは『巨神』ではないのです」
「先日、我が国のステルス輸送機を撃墜し、輸送中のフィアンケット級デミウルゴスの狙撃銃を強奪した者」
「さらに独自の兵器によって戦略衛星アドミラブルをハッキングし、戦術核弾頭を発射させた者――」
「我が国へ度重なる挑発行為、侵略行為を繰り返すその者たちへの『報復作戦』……それが、今回の作戦の真の狙い」
「最新鋭戦艦『ベンジェンス・ノア』を大々的に宣伝したのも、彼らの耳に入れるため」
「我が国の次世代戦力のお披露目と知れば、彼らは必ずそれを欲する――そう見越したうえで、ね」
「案の定、彼らは目の前にぶら下げられた餌に飛びついてきましたわ?」
ベージュのスーツの上からでもわかる、豊かな胸の下で緩く腕を組むと、ヴェヌスは微笑を浮かべた。
そんなとき、通信兵からの報告が入る。
《『巨神(デウス)級デミウルゴス』、潜水を開始しました》
「ああ、そろそろと思っていましたわ。問題ありませんわね、放っておきなさい」
「沿岸の地上部隊へ通達。『巨神』への撃ち方やめ。指示あるまで待機」
《諒解》
もう、囮としての役目を果たした者に興味はないと言った様子で、ヴェヌスが指示を送る。
ざぱり。
今まで微動だにせず、ただ黙して人類の攻撃を受け続けていた巨神が、不意に動き出す。
その巨体が大波を伴いながら、ゆっくりと水の中へと沈み込んでゆく。
現代文明を三度は崩壊させることのできる必殺の火力によって傷ついた身体が、艦隊の目の前でみるみる回復してゆく。
最終的に、出現したときとまったく変わらぬ傷ひとつない姿で。
『巨神』は何事もなかったかのように、海原へ消えていった。

392 :
>>378-379
ヴェヌスの号令一下、作戦に参加していたすべての艦艇がベンジェンス・オブ・デザイアへと攻撃を開始する。
その中には、むろんベンジェンス・ノアも含まれている。一度は『巨神』をも屠ろうとした、人類の切り札。
その火力が向けられたならば、いかなベンジェンス・オブ・デザイアとてひとたまりもあるまい。
――と、作戦行動中の誰もが確信した、が。
《攻撃、効果ありません!デザイアの周囲に防御障壁が張り巡らされています!》
「無手で来るほど、相手も愚かではないということですわね。デザイアの映像、見られるかしら?」
《超望遠でモニターします。――甲板上に何者かが――》
「なるほど」
『エイブラハム・リンカーンU』の艦橋のスクリーンに、デザイアの甲板上に佇むふたりの人影が映し出される。
前時代的な貴族然とした姿をした人影に、艦橋の中がどよめく。
その映像を眺めながら、ヴェヌスは僅かに目を細めた。
「『機械化人類(メカニゼイター)』……下野した機関の者が持ち逃げしたテクノロジーが使われているようですわね」
《総司令部より入電。戦略衛星アドミラブル、大口径陽電子砲『カレトヴルッフ』発射準備よし》
「よろしい。目標は『ベンジェンス・オブ・デザイア』。彼らの頭上に、剣を振り下ろしておあげなさいな》
《諒解。『カレトヴルッフ』射撃シーケンス発動。10、9、8、7、6、5、4、3……弾着、今!!》
ギュバッ!!!
衛星軌道上を周回する戦略衛星『アドミラブル』の搭載する、戦術核弾頭と並ぶ兵器。
それが大口径陽電子砲『カレトヴルッフ』――。伝説の聖剣の名を冠する、史上最大級の陽電子砲。
発射されれば地上のあらゆる存在を破壊し、地下10kmにある核シェルターすら容易に穿つ、米軍の奥の手のひとつ。
今回は前回のハッキングの反省を踏まえ、ターミナルには幾重にも厳重なセキュリティが掛けられている。
人の作った星、そこから裁きの光が降り注がれ、洋上のベンジェンス・オブ・デザイアを直撃する。
その熱量は膨大。いかなる存在も接触した瞬間に融解、蒸発し、形を留めることはできない。
が、そんな陽電子砲も機関のテクノロジーの一旦たる『守勢錬陣』までは貫けない。
《き……、効いていません!》
「見ればわかりますわ」
ふん、とつまらなそうにヴェヌスが鼻を鳴らす。
「砲身が焼けつき、融けて発射不能になるまで撃ち続けなさい」
《しかし……》
「よいのです。最初から、カレトヴルッフで仕留めようとは思っていません」
「デザイアをあの場所に足止めさえできていればいいのですわ。艦艇にも指示を、全弾撃ち尽くすまでデザイアを攻撃せよと」
《り……、諒解!》
オペレーターがすぐに指示を送る。作戦区域内を轟音が、爆発が、灰煙が彩ってゆく――。

393 :
>>380-383
いかな防御に特化した機械化人類と言えど、カレトヴルッフの圧倒的熱量を防ぐことは容易ではない。
一瞬でも気を抜けば、レーザーが障壁を展開する機械化人類もろともデザイアを蒸発させるだろう。
つまり、カレトヴルッフが発射され続ける限り、デザイアはその場から一歩も動けないということである。
逃げられさえしなければ、それでいい。それがヴェヌスの狙いだった。
と、『エイブラハム・リンカーンU』の艦橋スクリーンに映し出されていたふたつの人影のうち、ひとつが動く。
カイゼル髭を生やした大男が跳躍したかと思うと、近くの艦艇が突然爆発、沈没する。
まさに一方的な蹂躙と言っていい。大男の拳に、蹴りによって、最強の艦隊が模型の船のように沈んでゆく。
《正体不明の敵性反応!周囲の艦船に攻撃しています!》
「機銃掃射。迎撃なさい」
《敵の的が小さく、また動きが素早くて捉えきれません!」
「……ふむ」
しなやかな右手指を軽く顎先に添え、ヴェヌスが思案する。
敵は大男ばかりではない。海上から不意に発射されたウォーターカッターが、薄紙か何かのように軍艦を寸断する。
《敵、本艦へ急速接近!回避、できません!》
「他の艦はともかく、この『エイブラハム・リンカーンU』を沈められるわけにはいきませんわね……」
なおも思案に暮れるヴェヌスだったが、そんなとき、錯乱した司令官がヴェヌスに食ってかかる。
ヴェヌスは汚らわしいものでも見るかのように司令官を一瞥すると、
「ここまでの大規模作戦を開始するとなれば、大なり小なり予想外の事態は起こるもの。だというのに、この取り乱しよう……」
「まったく美しくありませんわね。貴方はやはり、満足に二本の足で歩くことさえ叶わない赤子――」
「貴方たちは、わたくしたちビュトス機関に全てを与えられ、ようよう生存できているに過ぎないのですわ?」
「そんな、当たり前の道理さえわからないだなんて……本当に、度し難いとはこのことですわね」
「その点、ミスター・プレジデントは聡明でしたわよ?彼は、自分の地位が誰によって与えられたものなのか知っていましたから」
そう、突き放すように言った。
「断っておきますが、貴方のことを貶しているわけでも、莫迦にしているわけでもありませんわ?」
「何も知らぬ幼児の無知をあげつらうことほど無為なことはありませんもの。貴方たちには、いかなる成果も期待していません」
「さて。では、わたくしが参りましょう。……アメリカが今後も、地球の仮初めの指導者であり続けるために」
「あなたたち、司令官はお疲れです。丁重に保護して差し上げなさい。作戦が終わるまで、何もできないよう丁重に……ね」
軽く手を払って司令官を突き放し、周囲の人間に身柄の拘束を指示すると、ヴェヌスは艦橋を出た。

394 :
鉄拳男爵が旗艦空母『エイブラハム・リンカーンU』へと迫る。
他艦艇とは比べ物にならない巨大さを誇る空母とはいえ、『機械化人類(メカニゼイター)』にかかれば数分で海の藻屑であろう。
それでもなんとか機関砲が迎撃しようと火を噴くが、当然のように大男の素早い動きを捉えられない。
大男が――鉄拳男爵が艦橋に狙いを定める。
しかし。
バヂバヂバヂッ!!
鉄拳男爵の繰り出した拳が、不可視の障壁によって阻まれる。激しいプラズマが発生し、周囲を眩しく照らす。
それを成したのは言うまでもなく、艦橋外壁部の天辺にあるアンテナの上に佇む影――ヴェヌス。
「……醜い」
鉄拳男爵の姿を一目見て、ヴェヌスは眉を顰めた。
「その姿も。行動も。精神も。イデオロギーも。何もかもが醜い……。正視に堪えぬ醜悪さですわ」
「その醜さは、存在自体が罪。とりわけ、ビュトス機関に刃向かおうなどと――許されることではありません」
「わたくしが裁いて差し上げますわ、誇りに思いなさいな?この地上最美、究極の美しさを持つ金星の神――ヴェヌスに葬られることを」
海風に撫でられ、長い金色の髪がしなやかに揺れる。光を束ねたかのようにきらきらと輝く、美しい髪。
豊かな胸。均整のとれた、しなやかなプロポーション。
強い意志を湛えた、気高い碧眼。芸術家の手になるかのような、整った面貌。
その佇まいはまさに、愛と美を司る金星の神のような――。
「PEX-002 最美の閃光ヴェヌス……。執行、致しますわ」
黄金の髪が、にわかに輝きを強める。
その美しい相貌に闘志を湛え、ヴェヌスは鉄拳男爵と対峙した。

395 :
>>384
ど、Dominus!
はい!テ、テレビが!大変なことに!なっています……!
これはいったい……?味方であるはずの艦艇が、姉妹艦を攻撃するだなんて……。
それに、テレビに映ったあの小さな人影。あれは言うまでもなく、通常の人類ではありません。
といって、わたしたち『錬金人類(エリクシアン)』でもない……。『機械化人類(メカニゼイター)』?
艦艇が、まるで玩具のように――Dominus!
Dominus、わたしもあの場所に行かなければ……!どうか、許可を下さい!
『錬金人類(エリクシアン)』専用高機動ブースターユニット『イカロス』があれば、現地へ行くのにそう時間はかかりません。
ただ、『イカロス』は基本一人用ですし、Dominusを抱えて飛ぶわけにもいきません。
ですから、わたしひとりで行くことになってしまいますが……。
もちろん、Dominusをお護りすることがわたしの第一の任務。それを疎かには出来ません。
けれど――
無辜の人々を不幸や絶望から守る、それもわたしの、いえ……『錬金人類(エリクシアン)』の役目です、から。
Dominus!
お願いです、わたしを、あの場所へ行かせてください!
>>385
軍港で作戦の様子を見ていた人々も、異常に気が付いたみたいですね。どよめいています。
今は、『機械化人類(メカニゼイター)』は海上の艦艇ばかりを狙っているようですが――。
それを全滅させれば、今度は軍港を狙うことは間違いありません。守らなければ!
……それにしても、あの『機械化人類(メカニゼイター)』はいったい……?
『機械化人類(メカニゼイター)』の技術は、米国や日本といった限られた国家にしか開示されていません。
それなのに、『機械化人類(メカニゼイター)』が日米の艦隊を狙うだなんて……。
やっぱり、おうちにいてテレビ越しに観ているだけでは、何もわかりません。
Dominus、わたしは――往きます!
その上で状況を見極め、必要であればあの『機械化人類(メカニゼイター)』を止める。
それができるのは、きっと。わたししか――

……え?
あれは……。あの、空母の頂点に佇んでいるのは……。
ヴ、ヴェヌス……姉さま?

396 :
>>386
ニュースが大規模なものになってきました。最新鋭の艦隊がこんな惨事になってしまうなんて。
もとより、『巨神(デウス)』に人類の兵器など通用しないだろう、とは思っていましたが。
まさか、作戦がこんな状況になってしまうなんて、思ってもみませんでした。
どのチャンネルも、この件でもちきりですね。
艦艇の被害、ならびに予想死傷者数を考えると、被害額は数百兆……考えるだに恐ろしいです……。
これ以上の被害が出ないように、人々が命を落とすことがないように。
食い止めないと……!
それに、ヴェヌス姉さまがどうしてあそこにいるのかも気になります。
あの、ベージュのタイトスカートスーツ姿……まるで、アメリカの士官のような……。
ヴェヌス姉さまの持つ特殊兵装は、姉妹の中でも圧倒的なアドバンテージを誇るもの。
姉さまが、あの『機械化人類(メカニゼイター)』を止める、ということなのでしょうか?
Dominus、やはりわたしは往きます。
このインカムを使ってください。地球の裏側であろうと、わたしとリアルタイムに通信ができます。
テレビを見ながら、わたしに指示してくだされば、わたしはその通りに動きますから。
>>390
テレビはどのチャンネルも『エイブラハム・リンカーンU』を映していると思っていましたが。
一局だけ、何事もなかったかのようにアニメを放送している局がありますね……。
え?この番組が好き?はい、存じています。
Dominusはこの、金色の鎧を着た男性がお気に入りなのですよね。
わたしは、あまり……。尊大な男性は好きではありません。
わたしはやっぱり、優しい男性が好きですから。そ、その……Dominusの、ような……もにょもにょ……。

と、とにかくDominus、アニメは後になさって、まずは指示を。
これから『エイブラハム・リンカーンU』のところへ行ってきますから。
チャンネルをアニメ以外に変えてくださいね!
では――行ってきます!!

397 :
>>376
メルキュール「モニターの前のよい子のみなさん、こんにちは〜☆メルキュールの『エリクシアンおまけ講座』ですよ〜!」
マルス「司会はメル姉!そしてオレでお送りしますッ!」
メルキュール「あらあら、そんなに急いで自己紹介しなくてもいいのに……」
マルス「モタモタしてっと、前みたいにサテュルヌに出番取られるからな」
サテュルヌ「……チッ」
メルキュール「今日最初のおハガキは、ポイントA-36336にお住まいの>>376さん!ありがとうございます☆」
マルス「絡め手かァ……そンなまだるっこしいコト、一々やってらンねーっての」
ジュピテル「マルスお姉ちゃんはバカだからね」
サテュルヌ「手間である、等々以前に考え付かぬゆえ」
マルス「うっせーよ!オレが一発ブン殴れば相手は大抵死ぬンだから、それでイイだろが!」
ジュピテル「違うんだよねェ。もっとさー、こう……なぶって、いたぶって、ジワジワ弱らせるのがいーんじゃん?」
マルス「マジで性格悪ィな、おまえ」
ジュピテル「すぐに壊しちゃったら勿体ないじゃん!逆にオモチャを大切にしてるって言ってほしーなァ」
サテュルヌ「二の姉上はそこまで性根が曲がってはおらぬでしょうが、絡め手は使うのではないかと」
ジュピテル「ね。今までみたいに真っ正面からのガチンコばっかだと、ワンパターンでつまんないしィ」
サテュルヌ「然り。戦いの醍醐味とは、矢張り頭脳戦。対手の裏をかき、知謀で上回ってこそなれば」
マルス「オレ、いくらなんでもdisられすぎじゃね?」
>>388
メルキュール「次のおハガキは、ポイントS-05984にお住まいの>>388ですよ〜」
サテュルヌ「ほう……。スピンオフとな。なかなか悪くない、否、むしろ善い」
ジュピテル「『錬金乙女エリクシアン外伝 電界の女帝ジュピテル』かァ〜。ま、しょーがないから出てあげよっかな!」
マルス「誰もそんなこと言ってねェ!」
サテュルヌ「『錬金剣客譚 雪 ――極冷の刀尖――』でお願いする。OVA三巻くらいで」
ジュピテル「予約特典で、ボクらの特製ラバーストラップもつけちゃおー!」
サテュルヌ「オーディオコメンタリーもやりたいところですな、五の姉上」
ジュピテル「エンディングのダンスの振り付け講座も!」
マルス「ねェよ!なに当然リリースされるみてェな話になってンだ!?」
メルキュール「わたしは『錬金荘のメル姉さん』ね。ほのぼのハートフルな日常ものがいいわ」
マルス「メル姉までっ!?ンならオレは『錬金武闘伝マルス!』っつーことで……」
ヴェヌス「……貴女たち、今はわたくしのターンですわよ……?」

398 :
>>389
『機械化人類(メカニゼイター)』の殺戮を阻止する為、出撃した『錬金人類(エリクシアン)』、ヴェヌス。
圧倒的な力を持つ鉄拳男爵に、ヴェヌスが特殊兵装の封印を解く――。
一方、ヴェヌスと獄卒一家のいる戦場へと急ぐソレイユ。
星と光、ふたりのエリクシアンが無道の『機械化人類(メカニゼイター)』に挑む!

次回、錬金乙女エリクシアン『鶺鴒、囀る』
お楽しみに!

399 :
せきれい、さえずる
にほんごむずかしい
まるすっすすき
ソレイユ渡米、アメリカへ飛べぃ!なんちゃって

400 :
潜行しようとするデザイアの頭上から降り注ぐ極太の閃光
戦略衛星アドミラブルから撃ち放たれた「カレイドヴルッフ」の破壊の光線は、
容赦なく鉄壁夫人が展開した物理障壁にぶつかっていた
しかし、それでも「守勢錬陣」を構成するバリアの欠片は一つとして砕けない
鉄壁夫人「な、なんと!?やってくれるザマスね…!
       …アアタたち!死にたくなければ直ぐに浮上するザマス!
       このままではアアタたちを庇いきれないザマス!」
黒服の指揮官「りょ、了解した!潜行中止だ!
          今潜れば焼かれるぞ!浮上しろ!」
例え戦術兵器級の威力を持つカレイドヴルッフと言えど、所詮は古い技術の産物
鉄壁夫人の防御力であれば、問題なく防ぐことが可能であった
しかし、何にせよ通常の粒子砲とは熱量も範囲も桁違いである
デウスの全長にも迫るほどの巨大な戦艦を覆う範囲で展開している今の状態では、
上方から押し潰すように降り注ぐ莫大な出力のレーザーを支えきるだけで精一杯であった
バリアは突破されずとも、展開したバリアを支える鉄壁夫人の身体そのものが持たない
空が飛べず、デザイアを足場にせざるを得ない鉄壁夫人にとって、
今のままで潜行されるなどたまったものではなかった
鉄壁夫人しかし、愚かな真似をしたザマス
       ここでアテクシたちを大人しく逃がしておけば、被害は最小限に抑えられたものを…
       逃げられないとあっては、目の前の火の粉を振り払わなければならないザマス
       ほうら、旦那様とアリシアが暴れ始めたザマス!オーホホホホホホ!」
身動きが取れないまま踏ん張りつつ、艦隊に襲い掛かり始める夫と娘を見てほくそ笑む夫人
そして、次々と沈められる日米の艦艇を目にしながらけたたましくあざ笑っていた
黒服の司令官「こ、この攻撃はアドミラブルからか!?
          ミサイル攻撃以外の戦闘機能が付加されているなど初耳だ…
          ここまで我々を迎撃する態勢を整えていたとは…
          今回罠に嵌められたのは我々だということか…おのれ!」
鉄壁夫人「まっこと愚かな者たちザマス…機関の力を見くびり過ぎザマスね…
       まあ、何れアテクシたちがアアタたちにも身の程を思い知らせてあげるザマスがね…
       ホホホ…」
鉄壁夫人の呟きは艦内の組織の者たちには聞こえてはいなかった

401 :
鉄拳男爵「ふむ…」
鋼鉄の船ををも一撃で粉砕する男爵の衝撃波を伴う拳は防がれてしまった
それは、想定通りであればこの場において起こるはずのない事態
桁外れの出力を発するプラズマの障壁が、男爵の攻撃を完全に無効化した
これは、アメリカ軍が持っていない、持っていてはいけないはずのもの
この世界に機関以外所持しているはずのないテクノロジーの結晶
鉄拳男爵はカイゼル髭を弄りつつ距離を取り、空母の甲板上から少女の姿を見上げた
鉄拳男爵「今回の件、貴公らが一枚絡んでくるとは見ていたが、
       よもやエリクシアンを直々に送り込んでくるとは…
       さすがの我輩も驚きを隠せない限りである!」
一見すると優雅に佇んでいるように見えるが、その眼光と雰囲気は、
目の前の少女に対する警戒と敵意に溢れかえっていた
>「……醜い」
鉄拳男爵「何…?」
>「その姿も。行動も。精神も。イデオロギーも。何もかもが醜い……。正視に堪えぬ醜悪さですわ」
>「その醜さは、存在自体が罪。とりわけ、ビュトス機関に刃向かおうなどと――(ry
>「PEX-002 最美の閃光ヴェヌス……。執行、致しますわ」
鉄拳男爵「ほざくな!メイザースの玩具人形風情が!
       我輩らの師の才覚と思想を無下にし、幽閉しようとした罪は山よりも高く、海よりも深いものである!
       我輩の方こそ、その醜く芸術性の欠片もない駄肉を携えた五体、引き裂いてくれようぞ!
       疾く鮮烈に死ぬがよい!」
怒りと憎悪を滲ませた凄まじい形相を向け、あくまで冷徹に振る舞うヴェヌスを睨み付ける
怨嗟の言を言い終わると同時に、拳に白く輝くエネルギーの奔流が纏いつく
先に仕掛けたのは鉄拳男爵、目にも止まらぬ速さで走り抜け、ヴェヌスの目前に迫る
鉄拳男爵「受けよ!我輩の誇り!」
鉄拳男爵は、両手と両足内部に気体圧縮放射装置を内蔵している
これによって周囲から取り込んだ空気を極限まで圧縮し、瞬間的に解放することで衝撃波を生み出している
凄まじい跳躍力や鋼鉄を一撃で粉砕するパワーも、大部分はそこから生み出されるものであった
本来パワータイプ故の重量級であり、素の身体機能のみではさほど俊敏には動けない
しかし、この衝撃波を御する専用システムにより、俊敏な動きを実現していた
繰り出される目にも止まらぬ速度での拳の連打
鉄拳男爵は、目の前の自分より小柄な少女に嵐のように拳を振り下ろしていた
そして、それが当たると同時に炸裂する本命の衝撃波
余波でさえ足場となっている空母を揺るがせ、周囲の甲板の装甲を吹き飛ばしていく
鉄拳男爵「トドメはフルパワーにて屠るものである!空母ごと海の藻屑と失せよ!」
その場で跳躍、最大高度まで到達すると、かかと落としの体勢を取る
次に両手から衝撃波が発せられ、今度は凄まじい速度で落下していく
そして、脚に限界まで圧縮した空気のエネルギーをかかと落としの炸裂と同時に解放しようとする
鉄拳男爵にとっては、正しく全力全開の一撃
相手は自分より格上のエリクシアンであるが故に、一切の油断を捨てた行動であった

402 :
一方、アリシアは父の命令に従い、1番艦「ベンジェンス・ノア」への攻撃を行っていた
彼女の力に掛かれば、ベンジェンス・ノア級とて鉄の棺桶にしかならない
重厚な対空砲火と粒子機雷の投下が行われるが、アリシアは意にも介さない
当たるわけはないし、当たったところで大したダメージにはならない
そのスリムなボディは、鉄拳男爵以上の堅牢な耐久性を誇るものであった
アリシア「ごめんなさい…でも、逃げてくれないから!逃がしてくれないから!
      せめて苦しまないように、一瞬で沈めて差し上げます!」
勝負は一瞬であった
ベンジェンス・ノアの装甲を貫き、天高く伸び出た何本もの青い極細の水柱
最早、レーザーと形容するに相応しいソレは、一瞬にしてその船体をバラバラに切り裂き、解体した
同時に轟音と共に爆発四散、残骸すらほとんど残さず木っ端微塵に吹き飛んでしまう
その爆発に巻き込まれた周囲の艦艇も何隻か誘爆、更に衝撃で発生した揺れ波が誘爆を免れた艦を大きく揺らす
これがこのメカニゼイターの少女、アリシアが「殲滅令嬢」と呼ばれる所以だった
心優しく平和を愛する性格ながら、恩人メネクと両親の意向に従い、殺戮行為に手を染める
後悔を振り切るため、彼女は敢えて一切手を抜かず容赦なく撃滅することを信条としていた
その性質が巡りに巡って、心中は躊躇いながらも、実際の行為には一切の情け容赦がないものとなった
彼女の通った後に。は草木一本すら残らないと恐れられたほどである
そして今回の戦場は、自身の特性を最大限に活かせる海域…その火力は存分に振るわれた
アリシア「せめて、ご冥福をお祈りします…
      うう…ごめんなさい!ごめんなさい!あああああああっ!」
涙は出ないし、出たとしても水中では意味がない
それでも、アリシアは己の行為に大きな罪の意識を感じ、心の底からむせび泣く
しかし、その攻撃は常に容赦がなく、狙った相手は例外なく皆殺しである
次々と突き上がる水柱が、日米連合艦隊の艦艇を貫き切り裂いていった

403 :
>>400
ヴェヌスの目論み通り、アドミラブルからの衛星レーザー『カレトヴルッフ』によってデザイアはその場に釘付けになった。
『カレトヴルッフ』の照射限界は2分。それまでにヴェヌスは目の前の敵を排除し、デザイアの処理に当たらなければならない。
「下民は下民なりに、何かうわべだけでも高尚な意思のもとで行動しているのかと思いきや――」
「その目的が単なる意趣返しとは、まったく悪い冗談というものですわ?」
鉄拳男爵の怒声に、ヴェヌスが嘲笑を返す。
「貴方の師とやらが誰かは知りません。機関から見放された落伍者の存在など、知る価値すらないこと」
「わたくしの使命はひとつ。『アメリカに敵対した者を葬る』、これだけですわ」
「貴方たちはみな、アメリカの周りを飛び回る小虫。小虫は小虫のように生きることしかできず――」
そこまで言って、ヴェヌスは不敵な笑みを口の端に宿し、
「小虫のように死ぬ。それ以外にはないのです」
と、言った。
すかさず襲い掛かってくる鉄拳男爵。しかし、ヴェヌスは緩く腕組みしたまま、回避行動を取ろうともしない。
「――おいでなさいな、わたくしの可愛い小鳥たち」
バリバリバリッ!
鉄拳男爵の鋼鉄をも容易に粉砕する拳が、ヴェヌスに当たる寸前で不可視の障壁によって弾かれる。
暴風のような破壊の嵐、拳の乱打も、ヴェヌスを打ち砕くには至らない。
「……なるほど。パワーに関しては、わたくしを遥かに凌駕していますわね。マルスにも匹敵するかもしれませんわ」
「けれど。パワーで押しきれるほど、このヴェヌス。甘くはなくってよ?」
拳の乱打からの踵落とし。強烈な衝撃波と弾幕によって、ふたりの周囲に烈風が吹き荒れる。
日米自慢の最新鋭艦艇をいとも簡単に轟沈させるほどの、破壊の嵐が空母の上で猛威を振るう。
カタパルトを務める甲板が、ベリベリと紙片のように捲れ上がってゆく――。
が。
「そろそろ、宜しいかしら」
依然として、変わらずその場に佇立したまま。
ヴェヌスは笑った。

404 :
>>401
「ときに、ひとつものをお訊ねしますが。貴方、お一人でいらしたの?」
不意に、ヴェヌスが鉄拳男爵にそんなことを訊ねる。
デザイア強奪を目論む者のうち、現在空母を落とそうと向かって来たのは男爵ひとりだけか、という意味である。
「『機械化人類(メカニゼイター)』は最低でも三人ですか。ならば、三人全員でわたくしに当たればよかったものを」
「尤も、三人全員でかかってきたところで、わたくしの数における絶対的優位は揺るがないのですけれど」
「ああ、言い忘れていましたが、わたくし――」
「――十七体おりますのよ」
気がつけば、ふたりのいる戦場に、いつの間にか何かが浮遊している。
それはだいたいテニスボール程度の大きさの、薔薇の花弁のような、鳥の翼のような何か。
それが、全部で十六基。ヴェヌスを守護するように、そして鉄拳男爵を包囲するように宙を漂っている。
EXW-0049S 無線式オールレンジ攻撃ユニット『ヴェヌス・ベルジュロネット・ドゥ・ブリエ』――。
鶺鴒の名を持つ、ヴェヌス固有の特殊兵装。
十六基の『鶺鴒』は脳波によって完全に制御されており、ヴェヌスの意思ひとつで自在に動く。
十六基のうち八基が攻撃を司る『ノワール』、もう八基が防御を司る『ブランシュ』。
この『鶺鴒』たちを操ることで、ヴェヌスは攻防両面において圧倒的なアドバンテージを確保することができるのである。
ヴェヌスは八基の『ブランシュ』で防御フィールドを展開し、攻撃を防ぐと同時、男爵の周囲に『ノワール』を配置していたのだ。
「ノワール!」
ヴェヌスは右手を男爵へ伸ばした。
黒いカラーリングの八基の鶺鴒たちが、男爵の死角に位置取りする。敵を殲滅する、死の結界。
八基の鶺鴒から光速で発射されるレーザーを回避しきることは、いかに機械化人類とて不可能であろう。
「疾く鮮烈に死ぬのは、貴方のほうだったようですわね。――アデュー、名も知らぬ醜い貴方」
ノワールの砲塔から発射される圧縮粒子砲の威力は1メガワット。6メートルの鉄塊にすら穴を穿つ。
ヴェヌスの憐憫を湛えた言葉を合図に、鶺鴒たちが一斉に囀った。

405 :
>>399
Dominus、インカムの通信状況は良好でしょうか?
現在、高機動ブースターユニット『イカロス』を装備の上『エイブラハム・リンカーンU』へ向かっています。
『イカロス』はウェストコット師が設計、開発した、『錬金人類(エリクシアン)』専用飛行ユニットです。
腰部に装着することで、通常では飛行のできないわたしたちに空を飛ぶ性能を付加する特殊兵装です。
このユニットを装着することで、わたしたちはマッハ3.21で飛行することが可能になるのです。
あと5分程度で軍港に到着することができるでしょう。それまで、被害が大きくならなければいいのですが。
それはともかく、鶺鴒……ですか。ヴェヌス姉さまの『ヴェヌス・ベルジュロネット・ドゥ・ブリエ』ですね。
あの鶺鴒たちによって、姉さまは圧倒的な制圧力を発揮することができるのです。
姉さまが空母にいること。機械化人類と戦っていること。
その目的や真意を、聞きださなくては……。
え?マルス姉さま……ですか?
Dominusはマルス姉さまがお好きだったのですか……。それは、マルス姉さまもきっと、喜んでおられると思います。
一見乱暴なように見えますが、マルス姉さまは優しい方だったんですよ。
ラボで、一緒に童話の『シンデレラ』を読んで。
虐げられていたシンデレラでしたが、最後に王子さまと結ばれて、幸せになれてよかったなぁ……って。
マルス姉さまったら、おいおい泣いて。本当に大変でした。
懐かしい――幸せな記憶です。
――軍港が見えてきました。
渡米……はしませんけれど。アメリカ軍の空母へ。作戦の中心部へ――
往きます、Dominus!

406 :
>>403-404
鉄拳男爵「何っ!?わ、我輩の全力の一撃を…!?」
男爵は驚愕していた
意図も容易く防がれた最大出力でのかかと落とし
射撃武装を何一つ搭載せず、『接近戦パワー型』という一芸に特化したその躯体
故に、その方面に対してのみは非常に優れた性能を有していた
その必殺のはずの一撃が今…
鉄拳男爵「おのれ…!悔しいがさすがと言うべきか!」
そう言いながら、ヴェヌスの展開したバリアを蹴って飛び退き、
その正面方向に距離を取る形で着地する
鉄拳男爵「だが、我輩を甘く見るでない!その程度のバリアでいつまでも…」
>「ときに、ひとつものをお訊ねしますが。貴方、お一人でいらしたの?」
鉄拳男爵「…?」
男爵は答えない
ただ、怪訝そうな表情で不敵な笑みを浮かべ続けるヴェヌスを見据える
>「『機械化人類(メカニゼイター)』は最低でも三人ですか。ならば、三人全員でわたくしに当たればよかったものを」(ry
鉄拳男爵「な、何だと!?バカな…いつの間に!?」
不意に周囲を見渡すと、男爵を囲むように配置された浮遊する多数の独立機動端末
どれもこれも迎撃が困難な位置に鎮座し、退路になりそうな空間を全て封鎖している
彼の装甲でも耐えることは不可能な攻撃力を有していることは間違いない
こちらの攻撃からその後の行動までを全て予測していなければ、不可能な所業
男爵は、一瞬にして絶体絶命の状況に追い込まれていたのだ
鉄拳男爵「あ、アリシア…!援護…!」
刹那、一斉に火を噴いた鶺鴒の銃口から照射された高密度の粒子エネルギー
一見するとレーザーと見紛うほど細い閃光だが、高密度に圧縮されたその出力は桁が違う
幾重もの閃光はほとんど抵抗なく男爵の身体を貫き、針のムシロに晒しめる
そして、断末魔の叫びを上げることもなく男爵の身体は跡形もなく爆発四散した
文字通り、自らが鮮烈に死したのだ

407 :
>>406
鉄壁夫人「あ、そ、そんな…旦那様!?アテクシの愛するあの方の反応が!
       お、応答してくださいまし!旦那様!旦那様ああぁぁぁぁっ!」
空母の上で起きた爆発と同時に、自らの夫の反応が失せたことを即座に感知する夫人
しかし、未だカレドヴルッフの照射は続いている
任務である以上、動くことはできない…その覚悟が夫人をその場に留めた
鉄壁夫人「お、おのれ!絶対に許さないザマス!
       こんなお荷物さえ抱えていなければ今すぐにでも…ううっ!」
黒服の司令官「み、ミスター・メネクのメカニゼイターがやられただと!?
          じょ、冗談ではない!またエリクシアンか!?
          貴様らでも敵わない相手などどうするつもりだ!?」
鉄壁夫人「おだまり!この艦はアテクシたちが責任を以て守り抜くザマス!
       アアタたちはただ信じて任せていればいいザマス!
       アリシア!アリシアは何をしているザマス!?何故応答しないザマスか!?」
怒りに満ちた表情を浮かべつつ、必死で降り注ぐ極太のビームからデザイアを守り続ける
鉄拳男爵の戦死に焦った組織の隊員たちは、怒りと焦燥を滲ませた声で夫人に訴えている
艦内では、不安と恐怖の感情が乗員らの間で渦巻いていた

408 :
>>406
アリシア「お、お父様が…そんな…」
跡形もなく消え去った父、鉄拳男爵の無残な最期を呆然と海中から見上げていた
自分たちとて、ドクター・メネクが機関の技術を用いて作り出した傑作のはずである
それが、目の前の一人の相手に容易く殲滅される現実
その力の差は、彼らが想定していた以上に広かった
アリシア「そ、そうだ…お母様に指示を…このままじゃ!」
そう言いながら母親に通信を送るが、故障したかのように装置が作動しない
代わりに、一人の男の声が聞こえていた
???「アリシアぁ…聞こえてっかぁ?おう、オレだ…メネクだ…」
アリシア「せ、先生!?」
突如連絡を寄越してきた自身の創造主、ドクター・メネク
野太く粗野な声が通信機越しに聞こえている
アリシアは非常に驚いていた
普段は研究室に籠りっきりで、作戦中に連絡を寄越してくることなど有り得ない
しかも、アリシアにしか傍受できない秘匿通信を送ってきていたのだ
メネク「男爵の野郎がくたばったんだろ?役立たずのクソ親父が!
     夫人のブタもメンタルパターンがグダグダになっちまいやがってる!
     テメエの親父とお袋はもう使い物にならねえ!捨てるぞ!
     テメエだけで帰って来い!
     そこに、もう一機エリクシアンの反応が近付いてやがる!急げ!」
アリシア「し、しかし…組織の作戦が…」
メネク「ああ?んな連中、最初から金蔓として利用したかっただけだボケ!
     予想以上に不甲斐ないカスどもだったせいで、余計な損害を被っちまった!
     こうなった以上、機関のバカどもと遊ぶ旨味なんざもうねえんだよ!
     つべこべ言わず帰って来い!なんでてめえだけには本名の記憶を残したと思ってる!?
     自分の立場ってモンをもう少し弁えろ!グズが!」
アリシア「了解…アリシア、これより戦線を離脱します…深海潜行モードに移行…」
怒鳴り声と口汚い言葉で捲し立てるメネクの剣幕に気おされ、
両親と同盟相手を見捨てる選択を後悔する感情を押し殺しながら、暗い海の底へと猛スピードで消えて行こうとする
「獄卒一家」の中で、彼女だけが本名を残された理由
それは、メネクが開発中のとあるメカ二ゼイターの躯体に用いる戦闘データの収集のためであった
明確な個体名を与えてより確固たる自我を与え、完成した躯体に脳を移植するのだ
そう、メネクは人間を素体とするはずのメカニゼイターをただのロボット同然に扱っていたのだ
獄卒一家はその誰もが全員生前の記憶のほとんどを抹消されており、メネクに忠実に従う戦闘人形に仕立てられていた

409 :
鉄壁夫人「あ、そ、そんな…アリシアも応答しない!?
       あのエリクシアン、今度はアテクシを標的にするつもりザマス!
       どうすれば!?どうすれば!?」
夫だけでなく、娘からの通信すら途絶えてしまったことに混乱している
既に自身が見捨てられていることにすら気付かず、デザイアを守り続ける
メネクには指示を仰ぐだけ無駄だと分かっている、連絡するわけにはいかない
ただ、目の前のデザイアを守るという任務に集中するしか出来なかった
黒服の司令官「わ、我々はどうなるのだ…
          今回の作戦に投じた費用は莫大なものなのだぞ!
          失敗は許されない!何か対策はあるのだろうな!
          ミスター・メネクは何も言って来ないのか!?」
鉄壁夫人「大分…衛星からの攻撃も薄れてきたザマス…
       アテクシが合図を出したら、多少の損傷は考慮せず即座に潜行するザマス!」
黒服の司令官「わ、分かった!信じているぞ!貴様たちの力を!」
既に絶望的な状況に陥っていることも知らぬまま、生還を信じて作戦を遂行する者たち
ヴェヌスの次なる矛先は容赦なく彼らに向けられるのであった

410 :
ウェストコットはエリクシアンあんまり好きじゃなさそうだったけど専用ユニット開発してたんか
なんとなく高高度を飛ぶと溶け出しそうなネーミングやけん注意してな!

411 :
とここまで書いておいてイカロスとソレイユ(太陽)の食い合わせの悪さに今更気が付くのであった

412 :
ソレイユとマルスも描いてみた…けどやっぱりの出来なのでヤバかったらすぐ戻るボタンで対応願います。モノクロで400kくらいあります。
http://dl1.getuploader.com/g/6|sousaku/914/PEX-007_Soleil_2.jpg
http://dl1.getuploader.com/g/6|sousaku/915/PEX-004_Mars.jpg
錬金人類はソレイユとメル姉さん除いて皆Sッ気ありますよね。(妄想)

413 :
>>406
ヴェヌスの放った黒い『鶺鴒』八基の圧縮粒子砲によって、鉄拳男爵は断末魔さえ上げるいとまもなく爆散した。
その死を一瞥することもなく、ヴェヌスは爆風によって嬲られた長い髪を軽くかき上げると、デザイアへ視線を向ける。
「――45秒。少し手間取りましたわね、腐っても機関の技術を流用した『機械化人類(メカニゼイター)』、といったところですか」
アドミラブルより発射される大口径陽電子砲『カレトヴルッフ』の連続照射限界は2分。
その2分以内にカイゼル髭の敵と、水中からレーザーカッターを放つ敵を撃破してしまわなければならない。
残り1分15秒。そのタイムリミット以内に、水中の一体を倒す。
と、思ったが。
「反応が遠ざかっていく……。どういうつもりですかしら?」
これから排除しようと思っていた一機が、急速に戦闘区域を離脱しようとしている。ヴェヌスは怪訝に眉を顰めた。
敵性反応はすべて破壊しようと思っていたが、生憎ヴェヌスに水中での活動の適性はない。
今から追跡したところで、追いつくことはできないだろう。フン、と不快げに一度鼻を鳴らす。
「まあ、よいでしょう。手間が省けましたわ。ならば、残りの一体を排除するだけのこと」
艦隊を攻撃していた二体の『機械化人類(メカニゼイター)』がいなくなった今、空母を攻撃する者はもういない。
後は、デザイアを奪還するだけであろう。ヴェヌスの目的は、一連の事件の犯人を殺害することではない。
デザイアを奪還し、内部にいる実行犯を拘束した後、敵対組織の情報を洗いざらい喋らせる。
しかるのち、その本拠地を叩き一気に殲滅する。それこそが今回の大規模な囮作戦の真の狙いなのだ。
ヴェヌスは空母のきわまで歩いていくと、無造作に海原へと身体を投げ出した。
「ブランシュ!」
すかさず鶺鴒たちを呼ぶ。八基の白い鶺鴒が、ヴェヌスの周囲に防護フィールドを発生させる。
先程鉄拳男爵が艦艇を足場として、海原を自在に駆けたように。
鶺鴒の作る防護フィールドを足場として、ヴェヌスは高く跳躍しデザイアへと迫った。

414 :
>>407
『カレトヴルッフ』の出力が徐々に弱まり、やがて消滅する。アドミラブルの砲身が焼けつき、照射限界が訪れたのだ。
慌てて潜航を開始するデザイアだったが、すでに遅きに失している。
カツリ。
鉄壁夫人の頭上。夫人の展開する守勢錬陣で、ヒールが鳴る。
デザイアへと到達したヴェヌスが守勢錬陣の上に佇み、鉄壁夫人の姿を見降ろす。
「良人の死を嘆く、その姿。ひとつの愛のかたちですわね……貴方がたのような醜いものに、そんな感情があるとは意外ですわ」
「けれど。ここでその感情を吐露するのは、余りに愚かというものではありませんの?」
「何故なら――この結果は最初から分かりきっていたことだったのですから」
「ビュトス機関と、ひいてはわたくしたち『錬金人類(エリクシアン)』と事を構える――それがどういう意味を持つのか?」
「貴方たちはこの作戦を聞いた時点で、参加を辞退するべきだったのです。『死にたくないから行きたくない』とね……」
「けれど、貴方たちは来てしまった。この場所へ。自らの力を過信して。確たる証拠もない、儚い勝利の幻想にすがって」
「ならば。連れ合いが死んだところで、それは――当然の帰結でしょう?」
ヴェヌスの言葉に抑揚はない。ただ厳然たる事実のみを告げる、それはまさに秘書官の口上。
大統領の肝煎りで作戦に加わった、CIAの敏腕秘書官――ウラニア・ポース。
「守勢錬陣……旧人類の兵器を防ぐことはできても、わたくしを阻むことはできませんわ。ブランシュ!」
ヴェヌスの指示によって、白い鶺鴒たちが鉄壁夫人の張り巡らせた障壁の周囲に展開する。
ブランシュが防御フィールドを発生させる。が、それは先程鉄拳男爵の攻撃を防ぎ切ったものとは違う。
それは、鉄壁夫人の守勢錬陣とまったく同じもの――

415 :
>>408
「当然、分かっていることとは思うのですが」
「あなたの守勢錬陣――それは元々、我がビュトス機関のテクノロジー。つまり――」
「その特性も対処法も、わたくしたちは知り尽くしておりましてよ」
八基の鶺鴒、ブランシュが守勢錬陣に接触する。
普通であれば弾き返されるところだが、どういう訳かブランシュはいとも簡単に障壁を潜り、守勢錬陣の内側へと通り抜けた。
ブランシュは守勢錬陣とまったく同じ防護障壁を展開し、夫人のそれと同調することで無効化に成功したのだ。
「――さて」
白の鶺鴒が円陣を組み、夫人の障壁に人ひとりが通過できる程度の穴を開ける。
そこからするりと内部に入ると、ヴェヌスはあっさりと鉄壁夫人の至近へ到達した。
むろん、攻撃を司るもう八基の鶺鴒ノワールも一緒である。
「あなたたちの仲間のもう一体は、とっくに逃げ出したようですわよ。どうやら、貴方は見捨てられたようですわね?」
「けれど、それは悲観するに値しないことですわ。愛する連れ合いのところへお行きなさいな」
「……ノワール。執行なさい」
鉄拳男爵を葬り去ったように、八基のノワールが鉄壁夫人の死角に展開し囀り始める。
鶺鴒たちの死の閃光が、夫人に狙いを定めた。

416 :
>>410-411
さ、さすがはDominusです……。そこに気付くとは、やはり天才か!と言わせて頂きます!
恐らく、ウェストコット師一流のジョークというか……皮肉、なのだと思います。
ウェストコット師は三魔術師でも随一の機械工学の権威。機械こそが最も優れていると公言して憚りません。
そんな師ですから、バイオテクノロジーの申し子である『錬金人類(エリクシアン)』を良く思わないのは当然のこと。
ただ、個人的な好悪によって自らの仕事に妥協するようなことは絶対にありません。
イカロスは確実に、ウェストコット師が開発した機動ユニットの傑作であると回答致します。
そんな芸術品と言ってもいいものに、容赦なく皮肉を込めるあたりはさすが、ウェストコット師といったところですが……。
だ……大丈夫です、Dominus!そこまで高高度を飛行することはありませんから!
たぶん……。
ヴェヌス姉さまが、瞬く間に機械化人類の一体を排除して。もう一体を倒しに向かいました。
わたしの索敵網には、もう一体――三体の機械化人類の反応があったのですが、一体は急速に離脱してゆきます。
いったい何が……?でも、もうわたしの機動力をもってしても追跡は不可能ですね……。
姉さまの性能で、機械化人類に遅れを取ることは100パーセントありません。
これで戦闘はおしまいですね……艦隊の被害は甚大ですが、これ以上死傷者が出ないのならよかった。
Dominus、テレビでは、どんな映像が流れていますか?
このまま空中でヴェヌス姉さまの戦闘終了を見届けたのち、姉さまと接触します。

417 :
>>412
メルキュール「こんばんは〜☆メルキュールの『エリクシアンおまけ講座』のお時間ですよぉ〜☆」
サテュルヌ「司会は一の姉上、そしてエリクシアン一の剣術小町、雪ちゃんと」
ジュピテル「PEX-005 ジュピテルでお送りしちゃうぞーっと!」
メルキュール「あら、今日はマルスはいないの?」
ジュピテル「ボク知んなーい。どっかで何か拾い食いでもしてんじゃなーいのーォ?」
サテュルヌ「それならばそれで。今回は四の姉上抜きでおまけ講座を進行してゆくということで……」
マルス「そうはさせるかァァァァァァ!!!」
ジュピテル「チッ」
マルス「オレがいなくてなンの講座だ!?テメェらの好きにゃさせねェぞコラァァァ!」
メルキュール「おかえりなさい、マルス。どこへ行ってたの?」
マルス「よくぞ訊いてくれたぜメル姉!この>>412を高感度センサーかっぽじってよォーく見やがれェ!」
サテュルヌ「ヌッ、これは!」
マルス「オレだよ、オレ!>>412の野郎がオレを描いてくれたンだ!どォよ、この雄姿!マジでヤベェ!」
メルキュール「あらあら、よかったじゃない!とっても勇ましくて、イメージにぴったりね!お姉ちゃんも嬉しいわ☆」
ジュピテル「ぐ、ぐぬぬ……確かに強そう……」
マルス「クックックッ……だろォ?コレだよコレ!オレの求めていたものはァ!テンション上がってきたァ―――ッ!」
サテュルヌ「四の姉上、もう一枚画像があるようですが……」
マルス「ん?あァ、それ。ソレイユのヤツな」
メルキュール「マルスの他に、ソレイユまで描いてくれるなんて。>>412さん、本当にありがとうございます」
サテュルヌ「これは……かわいいな」
ジュピテル「……うん、かわいい」
マルス「コイツがオレらと腕がもげるような戦いしたり、Dominusンちに同居したり、栄養ゼリー喰ったりしてるワケだ」
メルキュール「うふふ。やっぱり画像イメージがあると全然違いますね!」
サテュルヌ「実に善いものを見せて貰った、眼福である。>>412、大儀であった」
マルス「おい、ジュピテル何やってんだ?」
ジュピテル「ソレイユにこんなかわいーイラストあげたくないから、今のうちデータ消しておこーかなって」
メルキュール「ジュピテル、お姉ちゃん怒りますよ?では、また次回〜☆」

ソレイユ「どっ、どどどDominus!わ、わたしの絵を?本当に、本当にありがとうございます!嬉しいです!」
ソレイユ「ずっと、ずっと大切にしますから!ああ……夢みたいです!こんなに素敵なものを頂けるなんて!」
ソレイユ「わたし。これからもDominusに誠心誠意、尽くさせて頂きますから!ありがとうございます……!」
ソレイユ「あまりに嬉しすぎて、講座に出るのを忘れました!あぁ……夢なら覚めないでください……!」

418 :
>>414
>「良人の死を嘆く、その姿。ひとつの愛のかたちですわね……
  貴方がたのような醜いものに、そんな感情があるとは意外ですわ」(ry
鉄壁夫人「アテクシの『守勢錬陣』に土足で立ち、天津さえ徹底して見下したその物言い!
       生意気な!アアタ如きにアテクシたちの何が分かると!?
       その思い上がり、叩き潰してさしあげるザマス!」
怒りに身を震わせながら、凄まじい形相でヴェヌスを見上げる
その顔は表情だけでなく、水しぶきで溶け崩れた厚化粧の不気味さも加味されていた
元のそれなりに端正な中年女性の顔は、今や『鬼婆』と形容するに相応しいものだった
そして、ヴェヌスが立っている場所を中心に周囲に展開された『守勢錬陣』がパネル毎に分解され、
ヴェヌスの周囲を囲んで包み込むように球体状に再び組み替えられていく
鉄壁夫人「オホホホホ!引っ掛かったザマスね!
       『守勢錬陣』は無数の小さなバリアパネルの集合体!そして触れる物理障壁!
       このように組み替えれば、バリアの形状は変幻自在!相手を拘束する檻にもなるザマス!
       アテクシを防御特化と侮り、迂闊に近づいたがアアタの運の尽き!
       このまま最大出力で範囲を狭め、押し潰してやるザマス!覚悟!」
勝ち誇ったように笑い、捲し立てる夫人…だが、
>「守勢錬陣……旧人類の兵器を防ぐことはできても、わたくしを阻むことはできませんわ。ブランシュ!」
鉄壁夫人「何を言っているザマス!年貢の納め時ザマス!R!」
そう言いつつ、ヴェヌスを閉じ込めている守勢錬陣の範囲を狭めていく…だが、
>「当然、分かっていることとは思うのですが」
 「あなたの守勢錬陣――それは元々、我がビュトス機関のテクノロジー。つまり――」
 「その特性も対処法も、わたくしたちは知り尽くしておりましてよ」
鉄壁夫人「え、あ…そ、そんな…バカな…」
鶺鴒によって展開された『守勢錬陣』と同質のバリア
しかし、守勢錬陣に守勢錬陣を単にぶつけたところで、物理障壁同士でぶつかり反発し合うだけである
通り抜けることなど不可能だが、ヴェヌスが展開したこれはただの守勢錬陣ではなかった
通常の守勢錬陣に同調し、かき消し合うように性質を変えられた特殊なタイプ
如何に強大な出力で展開しようとも、意味を為さなくしてしまう代物であった
そして、破滅の使者は驚愕の余り呆然としている夫人の目の前に降り立つ

419 :
>>414
鉄壁夫人「い、イヤ…助けて旦那様!」
夫人を無慈悲に追い詰める鶺鴒の包囲網
鉄拳男爵を葬った先ほどと同様に、完璧に死角を突いた位置で囲んでいる
夫人には守勢錬陣を鎧のように身体の表面に纏わせることも可能だったが、
相手に無効化の手段がある以上、無意味な行為に終わることは明白だった
八方塞がり、後は男爵と同じように全身を貫かれ死するのみであった
>「あなたたちの仲間のもう一体は、とっくに逃げ出したようですわよ。どうやら、貴方は見捨てられたようですわね?」(ry
鉄壁夫人「イヤアアアァァァァァァッ!」
鉄拳男爵の死のショックで不安定になっていた夫人の精神状態はついに限界を迎える
ヴェヌスに告げられた一言は、その均衡を完全に崩壊させるに足るものであった
ただその場にうずくまり、頭を抱えながら悲鳴を上げる
最早夫人はただの無抵抗な中年女性と何ら変わりなかった
しかし、鶺鴒のレーザーが夫人を貫くまでもなく、その身体は突如爆発した
周囲に広がるその爆風は、鉄拳男爵が爆発した時のものより範囲も破壊力も違う
それもそのはず、夫人はレーザーではなく、体内の自爆装置によって吹き飛んだのだ
続いて再び大爆発が巻き起こる
先の爆発に煽られたデザイアが木っ端微塵に吹き飛んだものである
爆風は周囲の海面を大きく揺らし、噴煙を周囲に巻き上げている
しかし、この程度の爆発でエリクシアンを仕留めることなど到底不可能であろう
目的は、証拠の隠滅であった
???「よう、テメエらエリクシアンとは初対面だったな
      いつまでもそこに居ないで出て来いよ」
周囲に響く男の声
男の姿はなく、その声はどこからか飛来した浮遊するアイボットから発せられていた
ヴェヌスが爆発を意に介していないことは分かっているらしい
???「よくもまあ、舐めた真似晒してくれたじゃねえか…おお?
     お陰様で貴重な戦力が2体もパアだ!ふざけやがって!
     テメエらの創造主はつくづく俺様のツキを奪いやがる!
     アイツに伝えておけ!何れ必ず吠え面を掻かせてやるってな!
     フハハハハハハハハッ!」     
アイボットから響く憎悪と狂気に満ちた、粗野で凶暴そのものな声
その後は、狂ったように笑い声を発し続けていた

420 :
一方、ここは戦場から水深千メートルに位置する深海海底
そこには、強奪したデザイアの逃走を支援すべく待機していた、組織の潜水艦の姿があった
通信兵「デ、デザイアからの交信、途絶えました…
      同時にデザイアの反応も消失…生存者は居ないかと…」
艦長「またか…これは大きな損失になるな…
    ミスター・メネクの力を借りてもこの結果とは…」
艦長は額を抑え、失望に満ちた表情を浮かべていた
通信兵「艦長、これ以上の長居は…」
艦長「うむ、そうだな…本艦はこれより、急速潜行を開始する!」
黒い船体が深海の闇に溶け込むようにその場を去っていく

421 :
>>419
「!?」
ヴェヌスが処刑するまでもなく、突如として爆散する鉄壁夫人。
そして、間髪入れずの『ベンジェンス・オブ・デザイア』の爆発。凄まじい熱波が、金属片の雨霰がヴェヌスを襲う。
――が、そのいずれもヴェヌスに傷ひとつつけることは叶わない。白の鶺鴒八基が円陣を敷き、ヴェヌスを守っている。
「計画が失敗すれば、実行犯は全員始末……。思い切りがいいですわね」
当初から、強奪計画が万一失敗したときのための備えもしていたのであろう。
喉から手が出るほど欲しい新型戦艦、手に入らないなら海の藻屑にしてしまおうということか。見上げた周到さだった。
船体の中ほどから真っ二つになったデザイアが、黒煙を上げながら沈んでゆく。これでは中の実行犯も生きてはいまい。
実行犯を捕縛し、組織のことを洗いざらい吐かせるというヴェヌスの計画は、これで頓挫してしまった。
「ち……」
旗艦空母こそ守ることができたものの、艦隊は半壊。新型戦艦は二隻とも轟沈。被害は甚大である。
が、ヴェヌスは一瞬忌々しそうに舌打ちしただけで、すぐに踵を返した。空母へ戻ろうとしている。
が、そんなとき、周囲に響き渡る声。
ヴェヌスは大きく腕を振るい、黒煙を振り払ってその声の主を探そうとした。
浮遊するアイボットから、癇に障る声が聞こえてくる。恐らく、今の戦いの一部始終をモニターしていたのだろう。
これが黒幕ということか。憤怒と憎悪に満ちた声が、ヴェヌスの鼓膜を不快に刺激する。
が、ヴェヌスは反論しない。ただ、目を閉じ沈黙している。
ヴェヌスは宙に浮かぶ『ブランシュ』の展開したフィールドを足場に、腕組みして静かに口上を聞いていたが、暫しの間を置いて、
「……どなた?」
そう短く言うと、そのまま答えも聞かずに跳躍し、空母への帰途を辿った。

422 :
――Dominus、決着がつきました。
戦闘はヴェヌス姉さまの勝利です。いいえ……一方的すぎて、これは果たして戦闘と言えたのかどうか……。
姉さまが空母へ帰還しました。これよりわたしも空母甲板へ降り、姉さまと接触します。
「――その必要はなくってよ、ソレイユ」
姉さま!?わたしたち『錬金人類(エリクシアン)』同士の回線で通信を……?
「ずいぶん遅い到着だこと。でもまあ、こちらも丁度今、野暮用が片付いたところですから。丁度よかったですわ」
「これだけ派手に立ち回れば、貴方はかならずここへ来ると思っていましたから。ようこそソレイユ、我が合衆国第十三艦隊へ」
……ヴェヌス姉さまは、わたしをこの場所へ導くために、これほどの大規模作戦を……?
第十三艦隊。対デミウルゴス用に編成された、第七艦隊を凌駕する有史以来最大最強の艦隊です、Dominus。
艦隊司令部はワシントンD.C.――旗艦は『エイブラハム・リンカーンU』。
戦闘部隊はイージス巡洋艦四隻、同駆逐艦六隻、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦十隻、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦十二隻。
これらと第十三空母航空部隊との制圧攻撃『エイブラハム・リンカーンU打撃群』により、あらゆる外敵脅威を排除します。
惜しくも『巨神(デウス)』を駆逐するには至らなかったようですが……。
「『巨神(デウス)』も、どこかの小虫の小細工も、所詮は些事。メインイベントはこれからですわ?ねえ、ソレイユ」
やはり……。戦う他ない、ということですか?姉さま……。
「三人の姉を葬って、ようやく飲み込みがよくなってきたようですわね」
わたしは……もう、戦うことを恐れはしません。それが、サテュルヌ姉さまとの約束ですから。
でも、理由もなく戦うことはできません。なぜ、戦いを望むのですか?姉さま!
「それは、わたくしと貴方が『錬金人類(エリクシアン)』だからですわ。わたくしたち姉妹は、会えば殺し合うさだめ――」
「それが。お父さまの定めたルールですから」
お父さまの……定めた、ルール……?
――それは。『どの』お父さまのことなのですか?

423 :
「その問いは、わたくしを倒した後で改めて問いなさいな。何事も成さぬまま何かを得ようなどとは、虫のよいこと」
やはり……。そう来ることは予想できました。愚問でした、姉さま。
「よろしい。――その殊勝な態度に免じて、ひとつだけ教えてあげましょうか」
「わたくしたち五人は、相談したのです。現在の人類のありようを見た上で、今後の旧人類の進むべき道について」
今後の……旧人類の、進むべき道……?
「そう。人類の善意と自浄に期待し、このまま様子を見続けるか。それとも、淘汰すべきなのか」
「結果は2:3。そして――」
「わたくしは『淘汰』の結論を出しましたわ」
――――!!
「わたくしにとっては、アメリカこそが大事。アメリカが世界の頂点ならば、後はどうなってもよいのです。だから――」
「アメリカ人以外は。滅びてしまっても構わないのですわ?」
なんてこと……、ヴェヌス姉さま!
「ちなみに今回の『巨神掃討作戦』の後、この艦隊は日本を攻撃する手筈になっています」
「アメリカがこの惑星の覇権を握るために。ちっぽけなアジアの島国が同盟相手として合衆国と肩を並べるなど、耐え難きこと――」
「ゆえに。日本には、本日をもってこの地球上から消滅して頂きます。それがわたくしの人類淘汰の第一手」
そ……、そんな……!
同盟国を攻撃すれば、日本が!それに他の国々が黙っては……!
「問題ありませんわ?すべて、デミウルゴスの仕業にしてしまいますから」
「『巨神』の攻撃後、日本の太平洋沿岸部各地にデミウルゴスが出現。破壊活動を行なったため、合衆国軍がこれに対処……」
「しかしながら被害状況が激しく、敵の殲滅を優先して戦術核弾頭の使用を断行。日本の消滅と引き換えに、デミウルゴス撃破に成功――と」
「ああ、勿論、予想される世論の非難のため責任を取る人物も選定してあります。今は空母の艦橋におりますわ」
淡々と作戦を語るヴェヌス姉さま。
その抑揚のない、非情な声音に、わたしは小さく慄える。
「そういえば、貴方はDominusと日本に住んでいるのでしたわね」
「大切なDominusを灰にされたくなければ、わたくしを阻んでご覧なさいな。では――艦橋で待っていましてよ」
そう告げるとヴェヌス姉さまは踵を返し、空母の中へと姿を消しました。

424 :
ヴェヌスが艦橋へと戻ってくる。
固唾を呑んで様子を見守っていた通信兵たちを一瞥すると、ヴェヌスは秘書官として司令官の傍にいたときと同じく、司令席の隣に立った。
「行動可能な残存艦艇、ならびに空母内待機中の第十三航空部隊全機に告げる。至急攻撃態勢を取りなさい」
《は……っ!?しかし、目標は――》
「目標は前方20キロ洋上の所属不明飛行物体。撃墜せよ。すべての火力の使用を許可する」
「アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦『アスタファイオス』『サバタイオス』『エローアイオス』SLCM発射用意」
「第十三航空部隊、スクランブル。所属不明機を撃墜せよ」
《り、諒解!》
有無を言わせぬヴェヌスの圧力に、通信兵がすぐさま残存兵力に指示を送る。
駆逐艦のミサイルプラットフォームが開き、洋上に滞空している小さなソレイユに照準を定める。
空母のカタパルトから、戦闘機が出撃する――
「あの子を撃滅した後、当艦隊は日本に攻撃を敢行します。大丈夫、ベンジェンス・ノアがなくとも、この艦隊の破壊力は地球最高」
「日本ごときちっぽけな島国、地図上から綺麗さっぱり消滅させることなど、造作もないこと――」
「お喜び下さいな、司令官。これはすべて司令官の功績ですわ」
「アメリカが地球の覇権を握る、それが司令官のお望みでしたわね?これはアメリカが支配者であり続けるために必要なこと」
「アメリカ最大の障害を排除した英雄として、司令官のお名前は歴史に永久に残されるのですわ」
「さあ――戦端を開くのです!『巨神(デウス)』以上に細心の注意を払い、迅速に撃砕なさい!」
大きく右腕を振り、ヴェヌスが号令する。
ミサイルが、機関砲が、艦載砲が一斉に火を噴き、ただソレイユ一人を狙う。
地球最大戦力、合衆国第十三艦隊対『錬金人類(エリクシアン)』ソレイユ。
『巨神(デウス)』と『機械化人類(メカニゼイター)』を前座とした戦いの本命が今、切って落とされた。

425 :
今、テレビのモニターには見慣れた顔が映っている。
白のソレイユが映っている。
そして米海軍の艦砲はなべて彼女に向けられている。
こうなることはなんとなく予想していた。
そしてインカム越しに聞こえてくる会話から、その予想が的中したことを確信した。
もしかしたら彼女も、意識的にか無意識的にか、自分からケリをつけに出向いたのかもしれない。
彼女の姉たちが彼女にとってきた行動は、これまで徹底して一貫していた。
いまや地球上最高クラスの練度と装備を誇る艦船と艦載機が、ひとりの少女を狙っている。
だけど我々は知っている。
大人の喧嘩に子供がいくら出張ってきたところで、物の数ではないのだということを。
この大規模な騒乱の結末は、おそらくたった二人の錬金人類に拠るのだということを。
暫くして、各チャンネルの現地中継が次々とブラックアウトしてゆく。
日本の局も、海外の番組を放送していた衛星チャネルも、例外はない。
きっと各国の報道機関に情報統制が敷かれたのだ。
これでは戦況を追いかけることはできそうにない――
いや、違った。
たったひとつのTV局だけが、予定を急遽変更して彼女の姿を追っていた。
――テレ東の誇る装甲カメラドローン。
如何なる妨害も、如何なる権力も彼らの行動を阻むことはできなかった。
平時のアニメ放映を中止しての緊急割り込み生中継――つまり、現事象が"世界の危機"レベルの事態であると判断されたということである。
無数のカメラドローンによる現場の3D解析映像がモニタ前の我々に詳細な現況把握をもたらすのは確実と思われた。
「テレ東が動くか――今回ばかりはヤバいかもしれない」
私はテレビのリモコンを握りしめながら、TV画面とインカムに最大限の注意を払う。
「どうかチャンネルはそのままで!気になる次回はCMのあと!」
クソッ、CMだ!

426 :
アイボット「知らん…だと?ククク…そうかそうか…
       やっぱり俺様に関する記録は伏せられてるみてえだな
       そうだろうなあ…貴様らの創造主の部下だったような者が、
       組織を裏切ってのうのうと生きてるなんざ、これほど都合が悪いことはねえ…
       クククク…まあいい、何れ思い知ることになる」
アイボットを通して聞こえてくる男の声は、状況を楽しむかのようにヴェヌスに言い放つ
しかし、彼女からの返答は一切ない
既に、エリクシアン・ヴェヌスの興味は敗者ではなく、目の前の新たな相手に向けられていた
美しき白の躯体、エリクシアン・ソレイユに
アイボット「ハンッ!てめえの本命はアレかよ
       俺様のメカニゼイターですら前座とは舐められたもんだぜ
       てめえらの性能とやら、直に拝ませてもらうとするか」
尚もアイボットから響いてくる憎まれ口
しかし、その向こうでアイボットを操作するメネクの表情は訝しげであった
メネク(デミ公どもを放置してまで姉妹で潰し合いとはどういう料簡だ?
     あの野郎、何を企んでやがる?あの白いのに何を賭けてやがる?
     昔から何考えてるかまるで読めねえ野郎だったが、不気味なもんだ…
     …まあ何にせよ、時代を変えるのは野郎のエリクシアンなんかじゃあねえ
     俺様の機械人類…その力を何れ分からせてやる…!)

427 :
参ります。
>>425
アメリカ合衆国第十三艦隊、エイブラハム・リンカーンU打撃群が攻撃を開始しました。
攻撃目標はわたし――『錬金人類(エリクシアン)』ソレイユ。
現在、そちらではこちらの様子はどうモニターされていますか?
巡洋艦からの最新鋭のトマホーク、SAM、RIR-161スタンダードミサイル。
第十三航空部隊の最新鋭戦闘機、F-35ライトニングUからのAAM(空対空ミサイル)、サイドワインダー。
その他、本来『巨神(デウス)』を撃滅するはずだった兵装のすべてが、わたしへ照準を合わせています。
――ただ。
それを凌ぎ、破壊することは簡単です。
人類の英知の粋たるイージスシステムを破壊し、艦艇を海の藻屑とすることも。
先程『機械化人類(メカニゼイター)』がやったように――
『錬金人類(エリクシアン)』の能力をもってすれば、それはいとも容易いこと。
Dominusでしたら、それは理解して下さると思います。
でも、わたしにそれはできません。
正確には――「やりたくありません」と言うべきでしょうか。
わたしは、人を殺したくありません。できれば、ひとりの被害さえ出したくない……。
姉さまはきっと、そんなわたしの性格を見越して、艦隊を差し向けてきたのでしょう。

……え?テレビ東京が今のこちらの模様を放送しているのですか!?
なんてこと。日本の現人神崩御の際もアニメを放送していたと言われるテレビ東京が、アニメを中断して?
それは……驚天動地の事態ですね。ならば、ますます人の命を危ぶむ真似はできません。
人的被害ゼロで、戦闘力のみを奪います!
Dominus……どうかわたしに指示を!

428 :
>>426
「無邪気ですわねえ……。確かに、今回の作戦の主眼は『巨神』討伐に見せかけた、不埒者の撃滅でしたが」
「それはあくまでアメリカの都合。ビュトス機関の用件は、あくまでわたくしとソレイユが戦うことにあるのです」
「機関に見捨てられた落伍者の名など、もはや機関で覚えている者など誰もいなくてよ。さて――」
艦橋でヴェヌスが目を細める。
艦隊の攻撃準備が整うと同時、ヴェヌスは無慈悲に伸ばした右腕を振り下ろした。
「戦闘開始!!所属不明機を撃砕なさい!」
ドドドドドゥッ!!
駆逐艦のミサイルプラットフォームから、矢継ぎ早に艦対空ミサイルが発射される。
空母から発艦したF-35のウェポンベイから、白煙を引いてサイドワインダーが発射される。
オーバーキルとしか言いようのない圧倒的火力が、ただソレイユ一人を狙って殺到する。
が、ソレイユは高機動ブースターユニット『イカロス』の翼によって巧みにミサイルの雨を掻い潜り、手近な艦船に迫った。
音速に達するソレイユの飛び蹴りによって、艦船の機関砲が派手な音を立てて吹き飛ぶ。
「不埒者たちのように、船ごと撃沈させてしまえば楽だというのに。それができないのが貴方の弱さですわね、ソレイユ」
戦闘の様子を見ながら、ヴェヌスが呟く。
ソレイユは無人の箇所を冷静に見極め、人命に配慮した上で兵器を無力化させてゆく。艦艇は一隻として沈めない。
断続的に迫り来るミサイルを回避し、あるいはぎりぎりで受け流してゆく――
ビュゴォッ!
トマホークが突っ込んでくる。が、ソレイユは逃げようとしない。今逃げれば、足場としている艦船にミサイルが炸裂する。
ソレイユは背から武器を抜いた。冷気を漲らせる、凍える刀身。
EXW-055S 絶凍刃『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』。
サテュルヌから譲り受けた刀を、居合に構える。ミサイルが命中する寸前、刃の軌跡が弧を描く。
瞬刻の斬撃によって縦真っ二つに分断され、さらに冷気によって完全に凍結したトマホークは、ゴロリと艦船の甲板に横たわった

429 :
さらにソレイユは艦艇の機関砲や砲身を絶凍刃で切断すると、別の艦艇へ飛び移る。
白い凍気を迸らせる刃が煌くたび、艦艇が戦う手段を失って沈黙する。
サイドワインダーを両断と同時に凍結させてから、ソレイユは『イカロス』の出力を上げて一気に空中のF-35へ迫った。
すれ違いざま、F-35の右翼を斬る。
キャノピーが吹き飛び、パイロットがシートごと射出されて脱出するのを見届けると、ソレイユはさらに戦闘機を狙う。
跳ぶように。翔けるように。
あたかもギリシャ神話のイカロスそのものであるかのように、ソレイユは縦横無尽に空を舞って戦闘機部隊を駆逐してゆく。
あくまで、人間は狙わぬまま。
「ならば――こういうのはいかが?」
艦橋のヴェヌスがパチン、と指を鳴らす。
と同時、SAM(艦対空ミサイル)が一機、ソレイユの元へと飛んでゆく。
周囲に戦闘機や艦艇はない。ソレイユは危なげなくそれを両断した。
しかし。
ミサイルが無力化すると同時、その影から八基の『鶺鴒』たちが飛び出してくる。
攻撃を司る黒『ノワール』が四基、防御を司る白『ブランシュ』が四基。
鶺鴒たちは獄卒一家を仕留めたときと同じくソレイユの死角に展開すると、すぐに甲高く囀り始めた。
死の閃光がソレイユの装備している『イカロス』を直撃する。
飛行ユニットなしでは、ソレイユは空中機動を維持することができない。
神話に記された、イカロスの最期と同じように。
翼を熔かされたソレイユは墜落し、黒煙を棚引かせながら水柱を立てて海へと落下した。

430 :
いっそ空母の下まで潜って行って、
超高熱溶断火炎斧『マルス・ティタン・ドゥ・フランム』でも使って空母に穴を開けてしまうってのはどうだろう
じわじわ沈む程度に穴を開けたなら、船員もろとも空母から出てくるだろうからそれを待ち構えるとか
あるいはそこから侵入して接近し(その際は氷とかで穴は塞いで)
狭い空母内では避けられないであろう、前腕部内蔵型高出力粒子砲『ソレイユ・アマ・デトワール』をぶっぱなすとか

431 :
通信兵「ヴェ、ヴェヌス司令…どういたしましょう?
      当作戦には参加予定のない『ベンジェンス・オブ・ドーン』が、
      作戦海域7306に展開し、超長距離砲支援撃準備を整えているとの報告が…」
※ベンジェンス・オブ・ドーン
ハワイに配備されているベンジェンス・ノア級の5番艦
船体そのものを砲身とする巨大なコイルガン『グランMAC』を備え、
一撃の破壊力ならばベンジェンス・ノア級最強との呼び声も高い
『グランMAC』は専用の特殊合金製弾芯を使用する実体弾砲だが、
巨大な砲弾を、光速の40〜50%をマークする壮絶な速度で撃ち出すので、
その破壊力は一発で都市や島を吹き飛ばし、何もない焼野原に変えてしまうと言われる
その性能から詳細な情報は非公開となっており、表向きは通常のベンジェンス・ノア級と同一の扱いである
元司令官「ハハハ…ドーンを動かしたの私だよ
       ヴェヌス司令、先ほどは取り乱して済まなかったな
       今更遅いかもしれんが、私も改めて腹を括るつもりだよ
       司令の目的に、ドーンの武器は大いに役立つだろう」
自室に軟禁されていたはずの前司令官が側近を引き連れ、
不敵な笑みを浮かべながらブリッジに姿を現していた
いつの間にやら冷静さを取り戻しているが、狂気を孕んでいるような雰囲気を醸している
元司令官「ドーンは私の親父が会長を務めるフロンティア造船が建造を手掛けていてね
       政財界とも繋がりが深いから、コネを介して急遽戦列に加わるよう指示を出したのだ
       ノアとデザイアを失った今、直近で動かせる唯一の戦力でもあったしな
       性能は私が保証しよう…沿岸部の露払いは私に任せてもらいたい、司令」

同時に、響く轟音、何か巨大なものが近くを目にも止まらぬ速度で通り過ぎる音
そして、遅れて沿岸部が激しい光と爆発に晒されている光景が広がった
列を組んでいた重機兵の部隊、味方であるはずのそれらは一瞬で消し飛ばされた
司令官は尚も感情のない声と表情で攻撃の指示を送る
元司令官「彼らには悪いことをした…だが、自衛隊との混成部隊だった以上仕方のないことだ…
       よし、次は港を吹き飛ばせ…最早日本は我が祖国の敵!容赦の必要はない!
       愚かな大衆諸共吹き飛ばしてやれ…以上だ」
そして、その合図を受け、船上からも遥か遠く離れた位置からグランMACガンを向ける
その照準は、式典で集まっていた大勢の民間人の居る港区域に向けられていた

432 :
今回ばかりはお手上げじゃないか?
金色が操る"白"と"黒"。攻防一体隙がねえ。
"黒"は粒子砲のようだが……無線管理の小型ユニットなら、あんまりデカイ加速器は積めないはずだ。
じゃあどうやって荷電粒子を加速させてんだ?
――テレビの端から時折見える僅かな発光。レーザー。つまりレーザー加速器と光子圧力を使ってんじゃあないか?
だったら赤色の斧で海水を蒸発させて、戦艦まわりに局所雲海でも作ろうか。水蒸気が奴の光を屈折させる。
んで"白"はバリア発生装置か?こいつがどうにも厄介だ。
機械化人類戦じゃあ器用に使ってやがったな。
どんな攻撃にも対応可能な多機能障壁なんだろう。闇雲に切ったり殴ったり撃ったりしたとこでどうにもならねえ。
多数いるから死角も読めねえ。
黒いのを多少弱めたところで白いのを突破できなきゃジリ貧ってもんだ。決定打がないってのはそういうことだ。
そうだなぁ……金色が全部の"白"を使わざるを得ない状況でもなけりゃあ、後ろに回ってブスリ、とはいかんだろうが……。
そうだ。あれでも当てるかい? 例の、ドデカい電磁投射砲。

     次回、錬金乙女エリクシアン「SALUTE OF MAC GUN」
     どうやったらあれの砲口が金色を向くのか、なんてのはさっぱりわからねえがよ。
     ――狂気と凶気ってやつは、割とありふれてる。

433 :
――参ります。
>>430
……ゴボッ……。
高機動ブースターユニット『イカロス』を失ったことで、空戦機動が不可能になってしまいました、Dominus。
幸い、本体へのダメージはゼロです。海面への落下の衝撃も、わたしを負傷させるには至りません。
ただ、これからどう行動すればよいのか……。
――なるほど!さすがはDominusです!
海中にいれば、航空部隊や艦対空ミサイルの攻撃も届きません。
このまま『エイブラハム・リンカーンU』の船底に移動し、内部へ侵入します!
当然のように魚雷が向かってきましたが、この程度の攻撃は物の数ではありません。
魚雷迎撃!船底に接近します!そして――
セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放!
EXW-091S 超高熱溶断火炎斧『マルス・ティタン・ドゥ・フランム』!!
……Dominus、申し訳ありません。
船底にわたしが侵入できる程度の穴を開ける予定でしたが……出力を誤りました。
マルス・ティタン・ドゥ・フランムで開けた穴から、大量の海水が侵入しています。水の勢いが激しすぎて、塞ぐのは困難です。
ただ、沈没までは時間がかかるでしょうから、乗組員が避難するだけの時間はあるでしょう。
空母内部への侵入成功。機関の戦略衛星を経由し、『エイブラハム・リンカーンU』の艦内図をダウンロードします。
70パーセント、90パーセント、ダウンロード完了。
艦橋への最短ルートを選択。速やかに艦橋へ移動します。
さしものテレビ東京のドローンも、艦内までは侵入できない模様ですね……。
しばらくはインカムの音声のみでご辛抱ください。
状況はわたしが口頭で説明しますので――指示をお願いします!

434 :
>>431
《第六ブロックに被弾!大量の海水流入!》
「ダメージ・コントロール。隔壁を閉じ対処なさい。慌てる必要はありませんわ」
「……さて……。おいでなさいな、ソレイユ」
通信兵の言葉に冷静に対処しながら、ヴェヌスが軽く鼻を鳴らす。
と、そこへ『ベンジェンス・オブ・ドーン』の報告。
やってきた元司令官の言葉に、その姿を一瞥したヴェヌスは軽く眉を顰めた。
「何もできないようにしておけ、と言ったはずですが……。まったく、上が上なら下も下。仕事のできない子供ばかり」
「まあ、よいでしょう。ご厚意は慎んで受け取らせて頂きますわ」
耳をつんざく轟音と共に、沿岸部で待機していた米軍重機兵部隊が消滅する。
地形が変わってしまうほどの威力を誇るグランMACの威力を目にして、ヴェヌスも軽い驚きの表情を浮かべる。
「――なるほど。なかなかの威力ですわ。機関のテクノロジー供与なしでも、ここまでのものが作れるのですわね」
「ならば。速やかに殲滅なさい、この島国を……そうすれば、栄光と名声はすべて貴方のものですわ?司令――」
「あくまで、表向きの司令官は貴方ですから……ね」
くす、と笑うヴェヌス。
『ベンジェンス・オブ・ドーン』の照準が、作戦を見物に来た一般人や軍関係者、各国メディアのいる軍港に狙いを定める。
近くの沿岸部に展開していた部隊が一瞬で消滅したことに対し、彼らはひどく混乱しているように見えた。
グランMACが発射されれば、米軍重機兵部隊と同じく彼らもまた一瞬でこの地上から消え去ることだろう。
止められるとしたら、それは『錬金人類(エリクシアン)』以外にはいない。
そして、肝心の『錬金人類(エリクシアン)』ソレイユは現在空母内におり、グランMACには対応できない。
バギュッ!!!
亜光速で発射される巨大な弾丸。それが海面をモーセさながら真っ二つに割りながら、軍港へと突き進む。
だが、『ベンジェンス・オブ・ドーン』の乗組員も、元司令官も。
そして、ヴェヌスも気付いてはいなかった。
日本には、もうひとり『錬金人類(エリクシアン)』がいるということに。

435 :
《グランMAC発射。4、3、2……弾着、今!》
通信兵が報告する。ヴェヌスは腕組みした。
――が、軍港をモニターした艦橋のメインスクリーンに変化はない。
本来ならば港は弾丸の直撃を受け、跡形もなく消滅しているはずだというのに。
状況をチェックした通信兵が全身を震わせ、唇をわななかせる。
《ほ、砲弾……弾着、していません……!》
「……どういうことですの?」
《…………と…………、止まっています……!砲弾、軍港手前300メートルにて空中静止!動きません!》
「そんなバカな……」
さしものヴェヌスも怪訝な表情を浮かべたが、その特異な状況の原因はすぐに判明した。
《砲弾の前方に何者かが――。この反応は……》
僅かなタイムラグを経て、メインスクリーンに新たな映像が映し出される。
高機動ブースターユニット『イカロス』によって飛翔しながら、軍港目指して猛進していた砲弾に右手を翳す、一人の少女。
膝裏まである漆黒の髪を海風に靡かせる、闇色のアサルトスーツの影――。
「ラ・テール!!」
「それは。させないよ――お姉ちゃん。あたしがここにいる限り」
漆黒の少女、ラ・テールが言う。はるか遠くの洋上、空母の中のヴェヌスを射るように見据える。
さしものヴェヌスも、想定外の新たな『錬金人類(エリクシアン)』の闖入には驚きを隠しきれず、瞠目する。
「く……!なぜあの子が?あの子はお父さまのところにいたはずでは……?」
《グランMAC、再装填完了。発射準備よし――ヴェヌス司令、いかが致しましょう?》
「……おやめなさい、あの子にそんなオモチャは通用しませんわ。待機を指示なさい」
《諒解》
腕組みした指先に、ギリ、と力が籠る。
一方のラ・テールは、砲弾へと突き出していた右手を軽く払う。
と同時、空中で停止していた砲弾はぐらりと傾き、推進力を失って水しぶきを上げながら海に落ちた。
「もう、大丈夫――」
ざわめく人々にそう言って、にこりと笑う。
それから、あたかも守護神のように。大勢の人々がいる軍港を背に。
ラ・テールはふたりの姉妹がいる空母をじっと見つめた。

436 :
>>432
Sic.Dominus.
ヴェヌス姉さまの鶺鴒たち、『ヴェヌス・ベルジュロネット・ドゥ・ブリエ』は攻守共に完璧な兵装。
並の攻撃では、恐らくヴェヌス姉さま本体はおろか鶺鴒たちを破壊することさえできないでしょう。
わたしの現在の兵装はナイフ状のビームエッジ『ソレイユ・エトワール・フィラント』。粒子砲『ソレイユ・アマ・デトワール』。
メルキュール姉さまのEXW-006S 超高圧力式水流鞭『メルキュール・トレント・デ・フエ』。
マルス姉さまのEXW-091S 超高熱溶断火炎斧『マルス・ティタン・ドゥ・フランム』。
サテュルヌ姉さまのEXW-055S 絶凍刃『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』。
その中で、ヴェヌス姉さまの鉄壁の守備を破る方法を考えなければ……。
ヴェヌス姉さまが『ブランシュ』を八基すべて使わなければならない状況……ですか……。
ともあれ、艦橋に到達します。ここにヴェヌス姉さまが――。
――。往きます、Dominus!
「来ましたか、ソレイユ。海に叩き落とされたのを逆手にとって、船底から侵入するとはやりますわね」
それは、Dominusの指示です。わたしの考えた作戦ではありません、ヴェヌス姉さま。
「なるほど。メルキュールお姉さまやマルス、サテュルヌを破ったのも、Dominusのアシストあってのことということですか」
「よいコンビネーションですわね。でも、それもここでおしまい。この『錬金人類(エリクシアン)』最美を誇るヴェヌスは破れなくてよ」
それは……。やってみなければわかりません。
「ならば――試してご覧なさいな!」
ビュアッ!
『ノワール』四基、『ブランシュ』四基。八基の鶺鴒が姉さまの背後から飛び出してくる。
――皆さん、逃げてください!戦いが……あぐゥッ!!
防護フィールドを発生させた『ブランシュ』の一基が、わたし目がけて突進してくる。
乗組員の退避に一瞬気を取られていたわたしはその突撃をまともに喰らい、艦橋の窓を突き破って外の飛行甲板へと落下しました。
「そんな無様な有様では、わたくしを凌駕するなど夢のまた夢」
「さあ……お父さまの期待する性能を見せてご覧なさい。金星の女神、このヴェヌスに!」
『ブランシュ』を足場に、姉さまが華麗な身のこなしで甲板へと降りてくる。
時刻が夕暮れにさしかかり、沈みゆく太陽を背に降臨するその姿は、まさに宵の明星――
『錬金人類(エリクシアン)』最高の美貌と、最強の防御力を誇るヴェヌス姉さま。
そんな姉さまとの戦いが、今。幕を開けました。

437 :
手が足りなさそうだから、もう一体出てきそうと思っていたぜ。
ラテールの武装はよくわかっていないんだったな。外形で判断すると運動ベクトルの操作あたりだろうか・・・。
制服姿のヴェヌスさんに踏まれたい。

438 :
Dominus、参ります。
>>437
ラ・テール姉さまが……?そ、そうでした。
わたしたち七姉妹のうち、わたしとラ・テール姉さまの配属先は日本。
日本でこれだけの騒ぎがあれば、ラ・テール姉さまが来ないはずがない……!
今、ビュトス機関からデータが送られてきました。
『ベンジェンス・オブ・ドーン』……超巨大電磁投射砲、グランMACを搭載した新型戦艦……ですか。
先程の轟音は、そのグランMACが発射された音だったのですね。そして、それをラ・テール姉さまが阻止した。
結果的に、ラ・テール姉さまにはDominusを助けて頂いたことになりますね……。
早く、あの戦艦も無力化させないと!
「わたくしの前で、他のことに気を回している余裕などあって?ソレイユ!」
……く……!
確かにそうです。今は、ヴェヌス姉さまとの戦闘に集中しないと!
とはいえ、姉さまの防御は完璧。半端な攻撃はすべて『ブランシュ』によって防がれてしまう。
そして、常にわたしの死角を狙って展開してくる『ノワール』……!
『ノワール』に包囲されないように、常に動き回るのが精一杯で、攻撃に移ることさえできない!
「マルスは一撃の破壊力を、サテュルヌは速度を。それぞれ極めていましたが、真の強さとはそんなものではないのです」
「真の強さとは、強固な防衛力の上に築かれるもの。始めに防御があってこそ成立するものなのですわ」
余裕の表情で腕組みしたまま、ヴェヌス姉さまが言う。
どんなに鋭い槍や重厚な鎚をも跳ね除ける、絶対の盾。それがあれば、相手に勝ち目はない。
実際、自在に動くメルキュール姉さまの鞭も、万物を焼却するマルス姉さまの斧も。
すべてを凍結させ斬断するサテュルヌ姉さまの刀も、『ブランシュ』を突破することができない……。
どうすれば?
どうすれば、わたしは姉さまに勝てるのでしょう?

439 :
「攻撃手段がない以上、貴方の負けは確定的でしてよ!執行なさい――鶺鴒たち!」
ヴェヌス姉さまの指示の下、黒い鶺鴒たちが一斉に囀り始める。
死の閃光が、わたしを狙って放たれる――。
わたしは体術の粋を駆使して、鶺鴒たちの閃光を回避してゆく。まずは、この黒い鶺鴒に対処すべき!
Dominusの作戦は、マルス・ティタン・ドゥ・フランムで海水を蒸発させ、水蒸気を発生させて――ということでしたが。
わたしのいる甲板から喫水線までは約12.3メートル。咄嗟には海水を確保することはできません。
――でも――
水蒸気を他のもので代替し、Dominusの仰る作戦を実行することは可能!
セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放!
EXW-055S 絶凍刃『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』!
正眼に構えたわたしの絶凍刃、その刀身から冷気が迸る。
それはやがて霧状になり、ゆっくりとわたしの全身を、そして甲板を覆い隠してゆく――。
「サテュルヌの兵装?く……。小癪な真似をしてくれますわね。けれど、その程度の小細工で!」
ヴェヌス姉さまが黒い鶺鴒八基を差し向ける。
けれど、霧の中へと入った鶺鴒たちの動きは今までと違って精彩を欠く。
絶凍刃の放射する霧はレーザーを屈折させるのみならず、凍気によって『ノワール』の推進装置までも侵してゆく。
霧の中にいる限り、以前のように鋭い機動を発揮することは不可能!
あとは――
霧の中で、絶凍刃が斬撃の軌跡を描く。
八基の黒い鶺鴒、そのうち三基が両断されて甲板上に墜落する。
わたしはさらに鶺鴒狩りをするべく、霧の中を迅りました。

440 :
《あの『ベンジェンス・オブ・ドーン』のグランMACすらも、効き目がないとは……》
ヴェヌスが出撃した後の『エイブラハム・リンカーンU』の艦橋で、通信兵が誰にともなく呟く。
『ベンジェンス』級戦艦は人類の切り札の一つである。当然、その破壊力には少なからぬ自信があった。
というのに、この結果はどうだ。
先に使用した切り札『カレトヴルッフ』同様、錬金人類には毛筋ほどの傷すらつけることができなかった。
『あなたたちは、わたくしたちという介添えなしにはまだ、一人で立ち歩くことさえ覚束ない赤子』
そう、ヴェヌスは言った。
そのなんと屈辱的なことか。『錬金人類(エリクシアン)』も『機械化人類(メカニゼイター)』も、所詮は人類の派生。
その強さも、存在そのものも、人類の英知という基盤があってこそ初めて成り立つものなのだ。
だというのに、人類の手によって生み出された存在が、人類を赤子扱いしてよいものか?
彼らの方こそが、人類にとっての子供。赤子ではないのか。
そんな者たちに人類が未来を、生殺与奪の権限を握られるなど、あっていいことなのだろうか?
「……司令官。これは、またとない機会ではありませんか?」
甲板で熾烈な戦いを繰り広げる錬金人類たちをスクリーンの映像で眺める司令官へ、側近が耳打ちする。
「軍港にいる『錬金人類(エリクシアン)』には通じませんでしたが、だからといってグランMACが無力ということではありません」
「グランMACの絶対的破壊力は、米軍重機兵部隊を壊滅させたことでも明白」
「ならば……標的を変更すればよいだけのこと。撃つのです、奴を――」
「ウラニア・ポース秘書官を。いや……あの忌々しい『錬金人類(エリクシアン)』ヴェヌスを……ね」
周囲の者には聞こえないように、側近は小声で続ける。
「宜しいのですか?指揮権を剥奪され、あたかも無能であるかのように扱われて。怒りは湧いてこないのですか」
「わたしは、司令官。貴方が愚弄されることに我慢がなりません。同時に人類が下に見られることも」
「覇権を握るのはアメリカ。それは無論のこと。しかし、それを成し遂げるのは人形どもではありません。我々人類です」
「なに、誤射ということで、後からいくらでも言い逃れはできます。さあ……司令官。ご決断を」
側近がゆっくりと、司令官に囁く。
『ベンジェンス・オブ・ドーン』は、次なる標的を求めてじっと指示を待っている。

441 :
そう言えばふとノワールって単語を聞いてて思い出したんだけど、
EXW-0013O 燕型小型電子支援ユニット『ソレイユ・イロンデル・ノワール』ってあったじゃない?
あれ使えば楽勝じゃないだろうか? イロンデルは使用者であるソレイユ自身の兵装(粒子砲)までも
ジャミングによって使えなくしてしまう強力な代物。
同じ機関が造ったものであるから、鶺鴒にも通用する可能性が十分ある。
その点に関してはイロンデルだが異論がでない、筈。
勿論、効かない可能性もあるし、効いたとしてもすぐ復旧して動き始めることも考えられる。
その時々で作戦は分かれる。
効果がない        →イロンデルを可愛がりながらすぐ引っ込める。
効果があるけどすぐ復旧→隙ができたのでヴェヌス本人か鶺鴒を数基潰す。
効果がある        →手数で勝負してた人の手数を封じた喜びを噛みしめながら鶺鴒たちを全部潰すか、
                イロンデルを壊されないよう、ヴェヌスから叩く。
そもそも持ってきてない →仕方がないけどおやつ抜きぐらいは覚悟しておく。

442 :
>>441
きさまこのスレを読み込んでいるなッ!?
もしソレイユがイロンデルを忘れて来た場合はこの俺様自身がイロンデルとなって可愛がられるとしよう。
さあ!

ジュッ!
哀れDominusはヴェヌスのノワールに可愛がられて木っ端みじんになった。
残念、Dominusのぼうけんはおわってしまった!

443 :
ソレイユ、往きます。
>>441
…………!
そうでした、Dominus!わたしにも……姉さまの鶺鴒たちに負けない『ノワール』がいたのでした!
(すっかり忘却していた、とはとても言えません……)
お、おやつ抜き!?
そ……それは困ります!わたしは――必ずこの戦いに勝って、Dominusと……おやつを!食べます!
イロンデルは通常、わたしのアサルトスーツの背に折り畳まれ格納されていますから、持って来忘れることはありません。
ならば――
EXW-0013O 燕型小型電子支援ユニット『ソレイユ・イロンデル・ノワール』、起動!
「鶺鴒たちの動きが……。これは――ジャミング?く、言うことをお聞きなさい!」
わたしの背から射出された黒く小さな燕が、高空を飛翔する。
燕の飛翔する一帯に存在するすべての機器が、ジャミングによってその性能を著しく鈍麻させられる――。
流石に姉さまの鶺鴒たちを完全停止に追い込むことまでは不可能なようですが……。
絶対強固であった防護フィールドに綻びを生じさせるには充分!!
――姉さま、覚悟!はあああああああああッ!!!
「ぐ……!ソレイユッ!なんということ――」
ビギギギギッ!
わたしの渾身の拳撃が姉さまの前方に展開する『ブランシュ』の障壁と激突し、火花が散る。
イロンデルのジャミングによって結束の緩くなった防護フィールドなら、突破できる!
この『ブランシュ』さえ打ち破れれば――!
Dominus、おやつは商店街のケーキ屋さん「プティ・ドルチェ」の一日20個限定!
あまおうショートケーキ(1ピース980円税別)を希望いたします!

444 :
>>442
イロンデルのジャミングによって、わたしもあらゆる兵装が使用不能となります。
けれど、わたし自身の機動力および攻撃力の低下はありません。
そして。わたしの身体能力は、鶺鴒たちの制御に特化した姉さま本体のそれを完全に凌駕している――。
鶺鴒を機能不全に追い込んだ時点で、わたしの勝利は――揺るぎません!!
残念ながらイロンデルは常にわたしと共にありますので、置いてきてしまうことはあり得ませんが……。
それはそれとして、帰ったらDominusのことは充分可愛がらせて頂きますから!
ですから今は――わたしに力を!Dominus!
「末の妹が……このわたくしに!暁の女神ヴェヌスに楯突くなど……ありえぬこと、ですわ……ッ!」
「『ノワール』!燕を撃墜なさい、一刻も早く!」
ヴェヌス姉さまの指示を受けた五基の黒い鶺鴒が、高空を飛翔する燕を仕留めようと追いすがる。
イロンデルを撃墜されてしまえば、すべては水泡――何としても守らなくては!
姉さまの鶺鴒と同じく、わたしの脳波によって完全にコントロールされた燕が、回避行動を取る。
ジャミングにより性能の低下した鶺鴒のレーザーなら、イロンデルが回避することは容易。
こちらは姉さまに集中すれば――それでいい!
「こ、こんな……こんなことが!最強最美のわたくしが……!」
わたしの拳の衝撃に、堪らず姉さまが後方へと跳躍し間合いを離そうとする。
でも――そんなことはさせない!前へ、前へ……さらに前へ!そして絶え間なく防護フィールドを攻撃!
このまま攻撃を繰り返していけば、対衝撃限界値を越えた『ブランシュ』は機能を完全に停止するはず!
「しつこくてよ、ソレイユ!離れなさいな!」
離れません!姉さま!
空母飛行甲板上で繰り広げられる、姉さまとわたしの追いかけっこ。
そして、甲板の隅に追い詰められた姉さまが、苦し紛れに空母外の洋上へと身を躍らせた、その瞬間――。

445 :
ドギュオオオオオオオンッ!!!
空気を震わせ、耳をつんざく轟音。
沖合から発せられたその大音は、最新鋭戦艦『ベンジェンス・オブ・ドーン』からのもの。
超巨大電磁投射砲、グランMACの発射音。
亜光速で射出された巨大な砲弾が、海を裂きながら突き進んでゆく。
その目標は――ソレイユを避けて『ブランシュ』を足場とし、空母を離れて洋上に移動した『錬金人類(エリクシアン)』、ヴェヌス。
「――なッ!?」
ヴェヌスにとっても、その状況はまったくの想定外。
回避は不可能。ヴェヌスは真正面から、自分の身の丈の四倍以上ある巨大な弾丸を受け止めた。
「ぎッ……!せ、鶺鴒たち!フィールド最大開放――!!」
ギャギャギャギャギャギャッ!!
沿岸部の地形を変え、重機兵部隊を一瞬で蒸発させるほどの威力を誇るグランMACと、八基の鶺鴒が激突する。
鶺鴒が万全であったなら、いかなグランMACとてヴェヌスの防御を突破することはできなかっただろう。
だが、今の鶺鴒たちはソレイユのイロンデルにより、著しくその性能を低下させられている。
「ぐ、く……!こんな……旧人類のオモチャ、などに……!!」
両手を砲弾へ突き出し、『ブランシュ』八基の出力を最大開放しながら、ヴェヌスが歯を噛みしめる。
が、砲弾の推進力を無効化しきれない。なおも突撃しようとする砲弾に押され、じわじわと後退してゆく。
「ノワール!!!」
叫ぶ。その瞬間に五基の黒い鶺鴒が囀り、グランMACの砲弾をレーザーによってバラバラに切断する。
細かく寸断された砲弾はそこでやっと力尽き、海面へと落ちていった。

446 :
――凌いだ。
ヴェヌスが幽かな笑みを浮かべる。
とはいえ、その代償は大きい。グランMACを防ぐのに力を消耗しすぎ、『ブランシュ』の防護フィールドを維持できない。
「……姉さま」
横合いから聞こえる声。
見れば、そこにはいつの間に来ていたのか『ノワール』の一基を足場として宙に佇む、ソレイユの姿。
「ソレイユ……!」
「決着です、姉さま」
「ち……!『ブランシュ』!防護フィールド再展――」
「はああああああッ!!」
すぐに障壁を展開しようとするヴェヌスだったが、ソレイユの方が遥かに速い。
ソレイユの手に握られた絶対零度の刃、サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュが解き放たれる。
一閃、血ノ華――
凍える斬撃を無防備なその身に受けたヴェヌスは、ぐらりと身体を傾かせると、真っ逆さまに海へと落ちていった。

447 :
勝ったか……。
今のうちに「プティ・ドルチェ」のあまおうショートケーキを買いに、商店街まで行ってくるかな。
ソレイユがヴェヌスを連れて一緒に帰って来ることも考えて、ケーキは3つにしよう。

448 :
やったか!?

449 :
>>448
……やりました、Dominus。
「わたくしは……負けたのですか……」
――、はい……姉さま。
海に落ちたヴェヌス姉さまを助け出し、空母の飛行甲板に戻って。
気を失った姉さまが意識を取り戻すと、わたしは小さく頷きました。
「……そう……。このわたくしが、最も強固な防御力を誇るはずのわたくしが……。二度も敗北するなんて……」
「しかも、妹たちに。まったく、笑い話にもなりませんわね……」
海水に濡れてもなお光り輝く美しい髪をかきあげ、姉さまは自嘲するように笑いました。
あの……。姉さま、二度……というのは……?
「メルキュールお姉さま、わたくし、マルス、ジュピテル、サテュルヌの五人の『連金人類(エリクシアン)』……」
「わたくしたちは皆、貴方たちふたりへの『試練』なのですわ」
し……、試練……?
わたしたちふたり……、つまり…、わたしと……
ラ・テール……姉さま……?
「そう。そして、貴方も。そしてラ・テールも、見事その試練に打ち勝った」
「わたくしはあなたにも、ラ・テールにも敗北しました。これで、わたくしの役目は終わり……」
そういえば、かつてマルス姉さまが仰っておられました。
『二度負けた者は用済み』と――。それは、わたしとラ・テール姉さまの両方と戦うという意味だったのですね……。
で、でも!
どうして、そんなことを?試練……?なんのために、そんな試練なんかでわたしたち姉妹が争わなければいけないんですか?
命まで懸けて!
「それは。わたくしたち『連金人類(エリクシアン)』が、人類の未来を決める存在だからですわ」
人類の……未来……?

450 :
「人類発展機関『ビュトス』が、今後の人類が進むべき方向を指し示す存在として生み出した、新たなる人類」
「それがわたくしたち『連金人類(エリクシアン)』――」
「三人のお父さまがわたくしたち姉妹に命じたことは、ただひとつ。『自らの意思で、今後の人類のあり方を決めよ』と」
「そこで、わたくしたち五人は相談したのです。人類はこのまま保護されるべきか、それとも淘汰されるべきか――」
「結果は、先に話したとおりですわ」
そ……、それで、ヴェヌス姉さまは人類を淘汰すると……?
「ええ。だって、そうでしょう?この世には、愚かな人間が多すぎる」
「貴方も見たでしょう。他国のものを収奪し、我欲のために振舞う者を。ただ怨讐のために人を殺める者を」
「ちっぽけな自尊心のためだけに、他人を貶める者。厚顔な性情を剥き出しにしても、恬として恥じぬ者――」
「そんな者たちを間引いて、何が悪いというのです?」
確かに……、人類の中にそういった者がいることは事実かもしれません。
けれど!わたしは、美しい心を持つ人々の存在も知っています!
わたしは……Dominusとの生活でそれを知りました。人類は、醜い者たちばかりじゃない!
「では、そういった美しい者だけを残せばよい。美しい者だけが、その美しさを永遠に受け継いでゆけばよい」
…………!!
「サテュルヌは、このまま人類の自浄作用に期待したい――と甘いことを言っていましたが。わたくしたちの意見は別」
「そんなことを悠長に待っているから、有史以来人類はいまだに血みどろの戦いから脱却できていないのです」
「人類は、より優れた種族がその手を取って管理してやらなければならない。それがわたくしたちの結論……」
「そのためには。管理しやすい、適正な数まで人類を調整することが不可欠なのですわ」
それは……驕りです!姉さま!
人類は、自らの力で立って!歩いていくことが出来ます!
わたしたちが人類を導くだなんて……。生まれて一年も経っていないわたしたちに、そんな資格があるでしょうか?
「時間は関係ありませんわ……。わたくしたちはただ、お父さまに言われたことをしているだけなのですから」
……お父さま……。
ビュトス機関の三魔術師、メイザース師、ウェストコット師、ウッドマン師……。
師は、いったい……何をお考えなのでしょうか……?
「そう……。そこで、貴方とラ・テールが重要な鍵となるのですわ」
……わたし……が……。

451 :
よろよろと起き上がる姉さま。
わたしは慌てて、姉さまに肩を貸そうとしました。
でも。
「来ては……なりませんわ……!ソレイユ!」
鋭い静止の声と共に、ヴェヌス姉さまの周囲に展開する鶺鴒たち。
『ノワール』の砲口が、わたしを完全に捉えている――。
「わたくしに話せることはここまで……。後は、次の試練に打ち勝って聞き出しなさいな。貴方にはまだ、最後の試練が残っているのですから」
最後の……試練……。
……ジュピテル姉さま。
わかりました、姉さま。姉さまの言う通りにします。
では、傷の手当てを!致命傷は与えていませんが、かといって放置していい傷ではありません。
早急に、Dominusとわたしのおうちで治療をしなければ……。
「……フフ……。優しいのですわね、ソレイユ。その優しさは、まったく変わっていない……」
「でも。わたくしは――二度敗北したわたくし自身を、許すことができません」
姉さまがパチリ、と右手の指を鳴らす。
と同時、一斉に姉さまへと砲口を向ける五基の『ノワール』。
――、姉さま……!!
わたしが止める暇さえなく。
五基の黒い鶺鴒の放った圧縮粒子砲が、ヴェヌス姉さまの身体を貫く。
ベージュのタイトスカートスーツ、アメリカ海軍の士官を表す制服の胸元がはじけ、カドゥケウスが砕け散る。
「……お父さまより命じられた役目を果たし終え、『ベンジェンス・ノア』と『デザイア』を失い……」
「機関に仇なす羽虫にとどめをさせなかったわたくしが、生き永らえる道などありませんわ」
「わたくしは、ただ。自分自身にけじめをつけるだけなのです」
あぁ……、姉さま……!

452 :
>>447
姉さま!姉さま!なんてことを……!
Dominusだって、姉さまと会うのを楽しみにしておられたんですよ!?
わたしたちの住む町の、商店街のケーキ屋さんのケーキ……!一緒に食べたいって……!
「甘えたことを言うのはおよしなさいな、ソレイユ。あなたは戦士……それも、この地球の命運を背負った戦士なのですよ」
でもっ……!だって……!
「……他の姉妹たちにも、幾度となくそう言われたでしょうに……。まったく、進歩のないこと……」
「けれど。それが……貴方の最大の長所、なのかも……しれませんわね……」
姉さまの身体が、少しずつ光の粒子となって消えてゆく。
姉さま!ヴェヌス、姉さま……!
「貴方のDominus……見事な作戦でしたわ。空母の船底に穴を開けるのも、イロンデルも。わたくしの完敗です」
「わたくしも……わたくしのDominusとずっと一緒にいられたなら。また……別の道を辿っていたかもしれませんわね……」
覚束ない足取りで、姉さまが飛行甲板のきわまで歩いてゆく。
……姉さま……、何を……!?
「強くありなさい、ソレイユ。強く、美しく――決して、Dominusの期待を裏切らぬよう」
「でなければ……貴方は、ラ・テールと……そのDominusには……決して、勝てな……」
そこまで言って、ヴェヌス姉さまはぐらりと身体を傾がせると、甲板から身を投げました。
「……Dominus……。わたくしの、提督……」
「ごめん……なさ……。貴方の……夢を、叶えられ……な……」
姉さまの身体は、海には落ちませんでした。
海中に没する前にその身体は細かな光の粒子となって、ゆっくりと消えていったのです。
――戦闘終了。通常モードに移行、これより帰投します。Dominus。
長い一日が終わり、夜が訪れる。空に無数の星々が瞬く。
その中で、ひときわ美しく。
姉さまの星――金星は、きらきらと光を振りまいて輝いていました。

453 :
ヴェヌスのDominusはどんな夢を持っていたのかなぁ
それが米国による世界支配なのかはわからんが……何にせよ物悲しいゾ
ところでラテールのDominusはスレ主ってことになるんだろうかね

454 :
――参ります。
あの日米合同の『巨神(デウス)』掃討作戦にまつわる惨事は、新型デミウルゴスによるものという発表がなされました。
『巨神』型デミウルゴスの掃討作戦中、第十三艦隊は詳細不明の新型デミウルゴスの反撃に遭遇。
『ベンジェンス・オブ・デザイア』の支配を奪われ、また個別攻撃により甚大な被害を受けた、と。
轟沈艦船多数、死傷者三百名以上の中、作戦指揮に当たっていた『連金人類(エリクシアン)』ヴェヌスが対処。
急遽参戦した『連金人類(エリクシアン)』ソレイユ――わたしですね――の協力もあり、デミウルゴス撃退に成功。
しかしながら、デミウルゴスとの戦闘によってヴェヌスは戦死。
それをもって、作戦は終了――ということのようです。
『ベンジェンス・オブ・ドーン』の港湾攻撃については、デミウルゴスのハッキングによる誤射、という説明がされています。
もちろん……、アメリカによる覇権の掌握、日本殲滅計画に関しては、一切が闇に葬られました。
ただ、今作戦は『巨神に一定のダメージこそ与えたものの、人類側も甚大な被害を蒙った』と。
そのような落とし所で決着するようです。

メルキュール姉さま。マルス姉さま。サテュルヌ姉さま。
……そして、ヴェヌス姉さま。
これで四人……、残るわたしの姉はふたり……。
ヴェヌス姉さまが最期に話してくださったことで、今までわからなかった色々なことがわかってきました。
『連金人類(エリクシアン)』が人類の未来を決める――そんな計画を立てていること。
五人の姉さまたちが、わたしとラ・テール姉さまに試練を与えるということ。
それを命じたのが、お父さま……わたしたちの三人の師であるということ。
だいぶ事情が飲み込めてきましたが、でもまだピースは断片的に過ぎます。残りの情報を集めないと……。
そして……その情報は、最後の試練……ジュピテル姉さまが持っている。

……ジュピテル姉さま……。

455 :
――いけませんね、黙っていると、どうもネガティブなことばかり考えてしまいます。
ジュピテル姉さまがどこにいて、どんなことを目論んでいるのか分からない以上、こちらはただ待つしかありません。
といって必要以上に身構えていては、Dominusの心身によくありませんから。
ここは、今までと同じように。普通の生活を続けてゆきましょう。
学校にも行かなくてはいけませんし、もうすぐ期末テストがあります!ぼやぼやはしていられませんよ?
Dominusが赤点など取ることがないよう、わたしがみっちりとお勉強のお手伝いさせて頂きますから!
幸い、デミウルゴスも散発的に出現するだけで、今のところ大きな脅威とはなり得ていません。
今は……ほんの短いインターバル、と考えるべきでしょうか……。
あ、あの……、Dominus。
わたし、また……Dominusと一緒に商店街へ行きたいです。
一緒にアーケードを歩いて。Dominusの作るお料理の材料を選んで。商店街の皆さんとお話しして――
ふたりで、オープンカフェやイートインでお茶したり、して。
海にも、行ってみたいです。実はわたし、あのヴェヌス姉さまとの戦いのときが海初体験だったんです。
でも、先日は戦いの最中でまったく景色を見られませんでしたから……。
Dominus、よかったら、水着を選んでくださいませんか?Dominusのお好きな水着を着たいです。
まだ、気が早いでしょうか?まだ梅雨どきだっていうのに、わたしったらせっかちですね……あはは。
……ずっと戦っていると、自分が自分でなくなってしまう気がして。
自分が、一個の兵器になってしまったような気がして――怖い、のです。
お……、おかしいですよね。滑稽ですよね……。
……でも。わたしは、このままのわたしであることが。
戦士として熟練してゆくわたしが、たまらなく怖い……。
Domius……。
この、わたしの震えは……どうすれば止まるのでしょうか……?

456 :
>>453
メルキュール「よい子のみなさ〜ん!メルキュールの『エリクシアンおまけ講座』のお時間ですよ〜!」
マルス「司会はメル姉!そしてオレ!」
サテュルヌ「そして吾、雪ちゃんがお送りする」
メルキュール「今日のおハガキは、ポイントE-54611にお住まいの>>453さん!ありがとうございます☆」
ヴェヌス「わたくしのDominusですか……」
マルス「ごく自然に出てきやがったな、金姉」
サテュルヌ「いくら物悲しき死を遂げても、こちらで何事もなかったかのように出られては台無しですな」
ヴェヌス「そこ、お黙りなさいな。それはさておきわたくしのDominusのこと、特別答えて差し上げてもよくってよ?」
ヴェヌス「わたくしのDominusは、元環太平洋艦隊総司令官、ロイ・マッカーサー大将ですわ」
メルキュール「米軍においては、伝説的な軍人さんと言われている方のようです」
ヴェヌス「ええ。ご高齢でもう退役なさっておられましたが、今なお軍では英雄的な存在と見做されているお方です」
サテュルヌ「で、二の姉上はそのご老人にパックス・アメリカーナを叩き込まれた、と」
ヴェヌス「Dominus……提督は超がつく愛国者で、なんでもアメリカが一番でなければ気が済まないお方でした」
ヴェヌス「スポーツも、経済も、娯楽も、とにかくアメリカがナンバーワン!アメリカ万歳!アイラブニューヨーク!」
ヴェヌス「そう公言して憚らないお方でしたわ。アメリカ人が中東系テロリスト相手に無双する映画を観るのが、ことのほかお好きでした」
マルス「ヤなジジーだな」
ヴェヌス「そんな提督が、今わの際に仰ったのです。ウラニア、アメリカはナンバーワンだ、と」
ヴェヌス「わたくしは、そんな提督の夢を叶えようと――」
メルキュール「うっうっ……なんてこと!お姉ちゃん、涙が止まらないわ……!」
サテュルヌ「映画化待ったなし!まさに全米が泣いた、というやつですな……!」
マルス「えっ!?今の、いい話か?」
ヴェヌス「ところで、ラ・テールのDominusは誰なのか?というお話なのですが」
マルス「それはまだ言えねェが、>>453の言うヤツじゃねェとは言っておく」
サテュルヌ「謎が謎を呼ぶ展開、というヤツですか」
マルス「それから、容量がなくなったら次の場所に移行するから、視聴者のテメェらは速やかに移動してくれよな!」
メルキュール「では、また次回〜☆」

ソレイユ(久しぶりにゆっくりお風呂に入っていたら、当然のように出そびれました……!)

457 :
ぬるッとでてくるヴェヌスすき
しかしサテュルヌのDominusといいヴェヌスといいDominusにはどこか突き抜けてるヤツが多いのだろうか
機関に見初められるような人間だし、色々と突出しているということなのだろうか……
ところで水着の件だが、このパッツンパッツンのスク水がおすすめなんだがどうかな(真顔)

458 :
『巨神(デウス)』掃討作戦より三日後の午前十一時四十五分。一人の少年が近所にあるファーストフード店を目指して歩いていた。
少年はこの日友達と遊ぶ約束をしており、十二時ちょうどにファーストフード店に集合することになっていたのだ。
ふと、現時刻が気になり少年が時間を確認するためスマホを取り出そうとしたところ、道端に黒い球が転がっているのが目に入った。
大きさはピンポン玉程で、単純な黒一色ではなく外側から中心に向かうにつれて黒さが増す色調となっていた。
気になった少年は手に取ってよく見てみようと思い、その黒い球をつまんだ。その瞬間体中に電流が走ったかのような衝撃と共に少年の意識は途絶えた。
ちょうどその頃、各デミウルゴス探知機は一瞬だけデミウルゴスの反応を感知したが、即座に消えたため誤作動として片づけられた。

少年は歩いていた。しかし、目的地であったはずのファーストフード店とは逆の方向へ歩いている。少年が時間を過ぎても現れない為友達が電話をかけるが少年は応えない。
普段の少年からは考えられないような無表情のまま、少年はある場所を目指して歩いていた。

459 :
参ります。
>>457
そうですね……。姉さまたちのDominusは、皆さん人類の発展と躍進に多大な功績を残す、または残した方々。
現代の偉人と言っても過言ではありません。
歴史的に見て、偉人とは大なり小なり一般人と変わったところがある、と言いますし……。
常人の尺度で測れないがゆえの、偉人ということなのでしょう。
ちなみに。マルス姉さまのDominusは、インドの天才少女であったと聞きました。
「ゼロ」という概念を生み出した古代インドの天才を彷彿とさせる、天与の才を持つ少女であったと。
ただ、生まれつき難病に冒されており、病院の無菌室から一歩も出ることができなかった――と。
他のDominusは、どういった方々だったのでしょうね?
水着。わたしが海に行きたいと発言することを予測された上で、予め用意して下さっていたのですか?
さすがはわたしのDominusです!他のDominusにもまったく引けを取っていません!
……あ。も、もちろん、Dominusはご立派、という意味ですよ……?
スクール水着……。嬉しいです。
どういったデザインのものであっても、Dominusがわたしに似合うと思って用意して下さったものなら。
それが、わたしにとっては世界で一番の水着です。
梅雨が開けたら。一緒に、海に行きましょうね?
学校が終わって、夏休みになるのを。カレンダーにマルをつけて、楽しみに待っています。
Dominus、わたし、他にもほしいものがあるんです。
夏用の白いワンピースだとか。サンダルだとか。つばの広い帽子だとか……。
戦闘用のアサルトスーツではなくて。普通の女の子がするような姿で。
貴方と。一緒に歩きたい――。

460 :
>>458
無理を言ってごめんなさい、Dominus。お疲れではありませんか?
でも、久しぶりに商店街へ来て。元気な皆さんのお顔を見たら、嬉しくなってしまって――。
ついつい。たくさん寄り道してしまいました。
お買い物も、いっぱいしてしまって……。だって、欲しいものが数えきれないくらいあるんですもの!
これでも厳選した方なんですよ?……なんて。えへへ。
Dominus、喉は乾いていませんか?少し、休憩しましょうか?
ほら。この並びにあるファーストフードのお店。そこでちょっとだけお休みしましょう。
熱中症にでもなったら大変ですから。
荷物、半分持ちますね?
ああ……、楽しい!
戦いから離れて、なんでもない日常を過ごすこと。それが、こんなにも幸せだったなんて。
このまま、しばらく。――いいえ、ほんのわずかな間だけでいい……。
戦いから離れて、Dominusとのんびり過ごすことができたら。
それだけで。わたしはもう、何も望むことなどないのに――。
さあ、Dominus!おなかがすいたでしょう?何を食べましょうか?
パテが四段になった、スペシャルなハンバーガーを?それとも、ソーセージが30センチもあるホットドッグですか?
お金なら大丈夫!ビュトス機関のクレジットカードの支払上限は、10億円までオッケーですから!

――……?
……今、一瞬デミウルゴスの反応が……。
でも、すぐに消えてしまいました。センサーの誤作動でしょうか……?いけませんね。
後でメンテナンスの連絡を入れておきます。
それより、今はお買い物と休憩ですよ、Dominus!
しっかり休んで、しっかりおなかに食べ物を入れて。
それから、お買い物を続けましょう!

461 :
ビュトス機関に就職したいお・・・

462 :
午後五時、大量の買い物袋を抱えた一組の男女が歩いていた。男の方は特に特徴もない外見だが、女の方は少女のあどけなさを残しつつも美しい顔立ち、膝裏まで伸びた美しい金髪などとても人間とは思えぬほど美しい容姿をしていた。
楽しく会話をしつつ並んで歩いている様は、傍から見ると恋人同士に見える。
そんな仲睦まじい男女の後ろを一人の少年が歩いていた。少年は男女よりも速く歩いているため互いの距離は縮まっていく。
後二、三歩で男女に追いつく距離まで近づいた時、少年がポケットに手を入れ、どこかの文房具店で購入したと思われる新品のカッターナイフを取り出した。
少年は歩きながらカッターナイフをパッケージから取り出し、パッケージを捨て、刃を限界まで出した。そして目の前にいる男女の内男の方へ、思いっきりカッターナイフを突き立てた。

463 :
参ります、Dominus。
>>461
ビュトス機関に就職……ですか?
ビュトス機関は人類の中でも限られた、碩学のみが加入を許される組織。
その前身である『黄金の夜明け団』の頃から、それは変わりません。
未来予測演算装置『エル・シャダイ』が人類史に多大なる功績を残すと認定したDominusなら、加入の資格は充分ですね。
ただ、それはまだ先の話。今のDominusに必要なのは、きちんと学校へ行って。しっかりお勉強することですから。
Dominusの守護者として、そちらの方も!きっちり監督させて頂きます!
Dominusが今後、人類にどのような発展と躍進をもたらすのか、詳しいことはわかりません。
けれど、わたしは必ず、Dominusが何らかの偉業を成し遂げると信じています。
それは『エル・シャダイ』がそう導き出したから、というだけではなく――
……わたし自身が。そう願っているから。
もしもDominusがビュトス機関に加入されたら、きっと、もっと楽しくなるはずです!
もちろん、今も楽しいことばかりですが――Dominusが機関の一員となれば、もっと。一緒にいられるから。
任務だから、守護者だから一緒にいるのではなくて……ただのソレイユとして、貴方の傍にいられるから。
少しでも早く、その願いが叶うことを――わたしは、祈っています。
>>462
――……ッ!Dominus!!
突然背後から近付いてきた少年が、不意に振り下ろした刃。
その小さな刃を、わたしがDominusに突き刺さる直前で握り、食い止める。
……貴方は……。何をするのですか!
ベギッ!
わたしは相手からカッターをもぎ取ると、それをバラバラに握り潰した。
そしてすかさずその手首を捻り上げ、地面へうつ伏せにねじ伏せる。
Dominus……、お怪我はありませんか?
それにしても、なんということ……。なぜ、こんな少年が突然Dominusを狙ってきたのでしょうか……?
こんな小さな刃物で、満足に人が殺せるとは思いませんが。
この少年には、聞きたいことが沢山ある――。交番へ連れて行きましょうか?
ともかく、Dominusがご無事でよかったです。
姉さまたちのDominusと違い、わたしのDominusは現在のところ、まったく無名の存在。
だというのに、Dominusを狙ってくるという……その目的はいったい……?
詳しい話は。場所を変えて聞き出しましょう、Dominus。

……せっかくの、Dominusとの楽しいお買い物が……。

464 :
自分が兵器になってしまったような気がして怖いってのは、今の状況を考えれば仕方ない事だと思う。
どんな理由を付けたって、大事な姉妹と命のやり取りをしなきゃならないのは滅茶苦茶に辛い。
それでも自分の気持ちや心を押し殺しながら戦ってれば、
そりゃ心もすり減って、心無い兵器になってくように感じられるのも無理はないと思う。
じゃあ兵器にならないためにはどうしたらいいかってのを考えたんだけど、
姉妹と戦っても、死なせないと言うか守ると言うか、生かそうとする心を持つのはどうだろう?
次に戦うのはジュピテルだろう。その子は自分から死を選びそうにないから、
どっかから攻撃されて死んでしまうとかが予測できる。勝利した後もそれを防ぐとか、そんな感じでさ。
『二度負けたら死ぬ』みたいなルールがあっちにはあるらしいけど、そんなの知ったこっちゃないし、
こっちがその土俵に乗る必要もない。
相手にとっては殺し合いでも、こっちにとってはただの試合。殺さないし殺させない。
そう思えば、少しは気が楽になるんじゃないかな、と。気休めかもしれないけど。

465 :
ソレイユに手首を捻り上げられ地面に押しつけられている少年は、襲撃前と変わらず無表情のままだった。
少年は拘束を解こうともがくが、エリクシアン相手ではびくともしない。
これ以上は無駄と悟ったのか少年の抵抗がぴたりと止まる。瞬間、少年の眉間からピンポン玉大の黒い球体が飛び出した。
球体はそのままソレイユ達から離れるように飛び去っていく。後を追うソレイユ。しかし、球体の進行方向が突如光に包まれる。
そして光が収まった後には約7mを誇る一体の巨人がいた。巨大な盾と強固な外殻を備えた「オポジット」と称されるデミウルゴスであった。
しかし、進行方向に巨大な壁が現れたにも関わらず、球体は進路を変えようとせずにオポジットの顔面と思われる部位に衝突した。
いや、衝突はしなかった。一切の抵抗を感じさせることなく、球体はオポジットの頭部に入りこんだのだ。
ぴたりとオポジットの歩みが止まる。そしてソレイユの方へ視線を向けたと同時に持っていた盾をソレイユ目掛けて投擲した。
寸での所でかわすソレイユ。盾はソレイユの背後にあった家々を粉砕しながら一直線に飛んで行った。
そして盾の無くなったオポジットは、その巨体からは考えられないスピードでソレイユに迫り、拳を振るった。

466 :
参ります、Dominus。
>>464
Sic.Dominus.
わたしは姉さまたちと戦う宿命を受け入れ、どういった結末になろうと決して後悔しない――と覚悟したつもりでした。
例え、姉さまたちをこの手にかけることになろうとも……。
でも、そう考えれば考えるほど、わたしの心は摩耗してゆく。
心を守ろうとすれば、それは心を閉ざすことになり、結果、わたしは兵器へと近付いてゆくことになる……。
それでは。いけなかったのですね。
もちろん、今までだって姉さまたちを殺めようとして戦ったことなど、ただの一度もありません。
わたしは……わたしなりに、なんとかして姉さまたちを救えないかと……そう、苦心して……。
わたしはあまりに未熟。何もかもが、あまりに稚拙。
けれど。最後まで、姉さまたちを救うことを諦めはしません。
あくまで、戦うのは試練だから。殺し合いではないから。
ジュピテル姉さまだけは、きっと。きっと守ってみせます!
そんなジュピテル姉さまは、雷を――電気を操る『錬金人類(エリクシアン)』。
その電圧は最大で1億5000万ボルト。自然現象の雷をも上回ります。
けれど、姉さまの最も警戒すべき部分は、雷ではないのです。
……ええと。
なんと言いますか……とても表現しづらいのですが……。
ジュピテル姉さまはその、ものの考えが悪辣というか巧妙というか――
とてもエキセントリックな方なのです。慈愛に満ちたメルキュール姉さまや、直情径行のマルス姉さま。
武人肌のサテュルヌ姉さまや、美しさを第一に考えるヴェヌス姉さまとはまるで違う、と言わざるを得ません。
今も、きっと何かわたしたちの予想だにしない戦いの準備を進めているはず。
そんな姉さまの作戦を打ち破り、勝利を収められるかどうか。
それは――Dominus。貴方にかかっているのです。

467 :
>>465
……今、この少年から出て行ったものは……?
もしかすると、あの黒い球が何かの原因なのでは?追跡、捕獲します。Dominus!
至近距離に敵性反応、デミウルゴスを感知!……これは……。オポジット級『城兵』?
まさか、こんなところに現れるなんて!
黒い球体がデミウルゴスの頭部に収納される。やはり、あれはデミウルゴスの一種だったのでしょうか?
新種のデミウルゴス……。脅威は『錬金人類(エリクシアン)』や『機械化人類(メカニゼイター)』だけではない……!
Dominus!商店街の方々の避難誘導をお願いします!わたしは――往きます!!
戦闘モード起動!アサルトスーツ転送!
はああああああああッ!!!
投擲される盾、そして規格外の速度で放たれる巨拳。
城兵、ましてオポジット級は鈍重極まりなく機動力など皆無だったはず。それがどうして――
セキュリティ解除シーケンス発動、特殊兵装を開放!
オポジット級の拳が、わたしの上半身を吹き飛ばす勢いで繰り出される。
――けれど。それはわたしの身体には当たらない。オポジット級の拳は、炸裂の寸前で食い止められていた。
わたしの前方に浮遊する、鳥の翼のような……薔薇の花弁のような。
ソフトボール大のユニットが展開した『守勢錬陣』によって。
EXW-0049S 無線式オールレンジ攻撃ユニット『ヴェヌス・ベルジュロネット・ドゥ・ブリエ』!
ヴェヌス姉さまの遺してくれた、わたしの新しい兵装!
姉さまと違い、わたしの性能では『ノワール』と『ブランシュ』を一基ずつしか制御できませんが……。
それで充分!そして――
『ヴェヌス・ベルジュロネット・ドゥ・ブリエ』を解除し、次の特殊兵装を開放!
EXW-055S 絶凍刃『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』!!
以前のわたしは、オポジット級にダメージを与えられるだけの兵装を持っていませんでしたが。
今は――違う!!
わたしは伸びきったオポジット級の腕を掻い潜り、瞬間的にその懐に躍り込みました。
そして、居合の構えと共に放つ斬撃――
一閃、血ノ華!!!
マイナス273.15℃の凍気で万象万物を凍結させ、斬断する絶凍刃の前に、物理的な堅牢さは無力!
すれ違いざまにオポジット級の胴体に一撃を見舞うと、わたしはゆっくりと刀を鞘に納めました。

468 :
ソレイユが納刀した数瞬後、胴体を切断されたオポジットの上半身が音をたてて地面に落ちる。
残された下半身も倒れ、他のデミウルゴス同様崩れ去っていく。
上半身は崩れ始めてはいなかったが、ピクリとも動かず、胴体の切断面は見事に凍りついて…いなかった。
正確には凍りついた外殻、肉が次々と剥がれ落ち、消えていく。そして凍りついた箇所が無くなったと同時に切断面が蠢いた。
そこからは信じられないことが起こった。まるで早送りの映像を見ているかのようにあっという間に肉が生え、外殻を形成し、以前と変わらぬ下半身が出来上がった。
否、以前とは変わっていた。元々は白い外殻に覆われていたが、新しく形成された外殻は青みががった色へと変化していた。
何事もなかったかのように起き上がるオポジット。驚愕し、立ち尽くすソレイユ目掛け、再び襲い掛かった。

469 :2016/06/29
オポジットの攻撃は単純かつ稚拙であった。殴る、踏みつけ、ローキック。特にコンビネーションを行うこともなく、ただ無茶苦茶に攻撃を繰り返す。
ソレイユが距離を取れば自身の攻撃により生じた大量の瓦礫を投擲するのだが、数を重視してか狙いは甘いため避けることは可能であった。
例えるならば子供の喧嘩のような動きである。しかし、威力が尋常ではなかった。
地面を殴れば陥没し、踏みつけを行えば地面が割れ、ローキックはその衝撃だけで付近の電柱をへし折った。
投擲された瓦礫はどれも凄まじい速度で飛来し、進行方向にある建物を例外なく破壊していった。
だが真に恐ろしいのは驚異的な再生能力と強化能力である。ソレイユが切断した胴から下は以前にもまして強固な外殻に覆われ、
更に『サテュルヌ・タンペート・ド・ネージュ』を持ってしても表面に氷が付く程度となってしまった。
当たれば即死は免れぬ攻撃と、鉄壁の防御とそれを支える再生能力。今のオポジットは「壁」ではなく難攻不落の「要塞」となっていた。

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