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【ファンタジー】ドラゴンズリング2【TRPG】


1 :2017/01/01 〜 最終レス :2017/03/10
――それは、やがて伝説となる物語。

「エーテリア」と呼ばれるこの異世界では、古来より魔の力が見出され、人と人ならざる者達が、その覇権をかけて終わらない争いを繰り広げていた。
中央大陸に最大版図を誇るのは、強大な軍事力と最新鋭の技術力を持ったヴィルトリア帝国。
西方大陸とその周辺諸島を領土とし、亜人種も含めた、多様な人々が住まうハイランド連邦共和国。
そして未開の暗黒大陸には、魔族が統治するダーマ魔法王国も君臨し、中央への侵攻を目論んで、虎視眈々とその勢力を拡大し続けている。

大国同士の力は拮抗し、数百年にも及ぶ戦乱の時代は未だ終わる気配を見せなかったが、そんな膠着状態を揺るがす重大な事件が発生する。
それは、神話上で語り継がれていた「古竜(エンシェントドラゴン)」の復活であった。
弱き者たちは目覚めた古竜の襲撃に怯え、また強欲な者たちは、その力を我が物にしようと目論み、世界は再び大きく動き始める。

竜が齎すのは破滅か、救済か――或いは変革≠ゥ。
この物語の結末は、まだ誰にも分かりはしない。


ジャンル:ファンタジー冒険もの
コンセプト:西洋風ファンタジー世界を舞台にした冒険物語
期間(目安):特になし
GM:なし(NPCは基本的に全員で共有とする。必要に応じて専用NPCの作成も可)
決定リール・変換受け:あり
○日ルール:一週間
版権・越境:なし
敵役参加:あり(ただしスレの形式上敵役で継続参加するには工夫が必要)
避難所の有無:なし(規制等の関係で必要な方は言ってもらえれば検討します)

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
スリーサイズ:(大体の体格でも可)
種族:
職業:
性格:
能力:
武器:
防具:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

前スレ 【TRPG】ドラゴンズリング -第一章-
ttp://hayabusa6.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1468391011/l50

2 :
おつ

3 :
ジェンスレ思い出した

4 :
第一話『灼熱の廃都』(1スレ目〜89)

赤い風の吹き荒ぶ、灼熱の聖域――イグニス山脈。
ヴィルトリア帝国南部に連なるその魔境に、ただ一人で歩を進める男が居た。
彼の者の名は、アルバート・ローレンス。帝国が誇りし七人の黒騎士の一角であり、黒竜騎士の称号を持つ男だ。
そんなアルバートは、世界中を震撼させている古竜(エンシェントドラゴン)をも操ることが出来ると言われている竜の指輪の捜索を命じられ、遥々このイグニス山脈にやって来たのであった。

そして、アルバートが山道を歩いていると、彼を獲物と見なしたジオリザードマンたちが現れた。
それらを魔剣レーヴァテインで蹴散らしている最中、自らをハイランド連邦共和国の名門魔術学園であるユグドラシアの導師だと名乗ったエルフ、ティターニアと邂逅する。
ティターニアとの共闘でリザードマンを全滅させたアルバートが、彼女の話を聞いてみれば、どうやら自分と同じような目的でこの場所に来たのだと分かる。
このままティターニアと共に探索を続けるべきか考えていた時、二人の前に現れたのは伝説の古代都市の守護者――スチームゴーレムだった。
古代文明の叡智の結晶である強敵と対峙し、途中で合流したハーフオークのジャンや、アルバートを付け回すコインという犯罪奴隷の協力もあり、一行はゴーレムを撃破することに成功。

一体何故、とうの昔に滅びた古代都市の護り手が、まだ活動を続けているのか。
そんな疑問は、次に取ったアルバートの行動によって、すぐに払拭されることとなる。
周囲の風景に違和感を覚えたアルバートは、魔術効果さえも燃やし尽くすことができるレーヴァテインを振り、辺り一面を覆っていた幻術を見事に焼き払う。
すると、その中から現れたのは真紅に彩られた美しい街並み。かつて栄華を誇った四大都市の一つ、灼熱都市ヴォルカナの遺跡に他ならなかった。
考古学者でもあるティターニアが、浮かれた足取りで街の中を駆け回っていると、次いで現れたのは幻の蛮獣ベヒーモスと、その上に跨った赤い髪の少女だ。
赤髪の少女は、指輪の元までアルバートたちを案内すると言い、途中で強引に割り込んできた格闘士のナウシトエも加えつつ、一行はヴォルカナの神殿へと向かう。

そして、ようやく辿り着いた遺跡の最奥部で始まったのは、ベヒーモスと対峙するという試練だった。
アルバートはその突出した力を以てベヒーモスと拮抗し、ティターニアは空間の属性を塗り替える大魔術の詠唱を開始。
ジャン、コイン、ナウシトエらの時間稼ぎの甲斐もあり、発動したティターニアの魔術によって、灼熱のマグマは一変。
突如として極寒の風が吹き荒れ始めた洞窟内で、ベヒーモスの動きは明らかに精彩を欠き、その隙を狙ってアルバートの剣が敵の右腕を断つ。辛くもこれを討ち倒すことに成功した。

彼らを試練を越えた勇者と認め、赤髪の少女――いや、焔の竜イグニスは、ドラゴンズリングに関わる伝説を語り始める。
だが、遂に差し出された指輪を前にして、暴走とも呼べる行動を取ったのはナウシトエだった。
ナウシトエは素早く奪い去った指輪を飲み込むと、その肉体が竜の魔力によって、化け物じみた姿へと変貌する。
この騒動でアルバートは彼女を帝国の敵と見なし、今にも戦いの火蓋が切って落とされようとした時、またしても事態が急変する。

虚空を斬り裂く氷の槍に貫かれ、あっけなく絶命するイグニス。
そして、空中に開いた黒い穴から現れた、神話の登場人物のように美しい男。
それはかつてのアルバートの親友であり、現在はダーマ魔法王国の宮廷魔術師を務める天才。白魔卿の異名を持つ、ジュリアン・クロウリーだった。

憎むべきジュリアンを前に激昂したアルバートは、地を駆け抜けて斬り掛かるが、しかしその剣は悪魔の騎士(デーモンナイト)によって阻まれる。
ジュリアンの護衛であるその騎士と剣戟を交え、無残にも完敗したアルバートは、胴体に強烈なダメージを負って倒れ伏す。
そして、仲間たちもジュリアンの行使する魔術の前に手も足も出ず、為す術もないまま、ナウシトエが腹に抱えた指輪を奪われてしまった。

ティターニアは最後の精神力を振り絞って転移魔術を発動し、満身創痍のアルバートらを、麓のカバンコウまで送り届ける。
傷付いた一行は体を休めながら、それぞれに思いを馳せ、その上空には町並みを照らす黄金色の満月が浮かんでいた。

5 :
第二話『海精の歌姫』(1スレ目90〜262)

イグニスが遺した言葉を手掛かりに水の指環があると思われるアクア海溝を目指すことにした一行は
海溝に向かう船を手に入れるために自由都市カルディアを訪れた。
街の中を歩いていたところ、物乞いらしき少女が店主に痛めつけられている現場に遭遇。
なんだかんだで少女を助けた一行は、少女から遺跡や指環に関する情報収集を試みる。
情報提供として少女が歌った歌は素晴らしく美しく、歌詞には「ステラマリス」「人魚」という言葉がちりばめられているのであった。

そんな中、街の衛兵が少女を監視していることに気付き警戒していたところ、港で爆発火災が発生。
駆けつけてみると、反帝国レジスタンスの海賊「ハイドラ」による襲撃であった。
帝国騎士であるアルバートを中心とする一行は、必然的に消火・鎮圧に協力することとなる。
火災がほぼ鎮火しひと段落と思ったのも束の間、港に突如巨大な船が現れ、街に砲撃を開始した。
その船を指揮するのは、ハイドラの首領エドガー・オールストン。
エドガーの狙いは、帝国打倒のために、実は特殊なセイレーンである少女の「滅びの歌」を発動させることであった。
ジャン・ティターニア・ナウシトエは港にてエドガーと戦闘を開始。
一方、敵に路地裏に誘導されたアルバートとそれを追いかけていったコインは、路地裏にてハイドラ団員と戦闘を開始する。
エドガーは予想以上に強く、苦戦するジャン達。
追い詰められて絶体絶命のピンチに陥ったところ、津波のようなものが来て、ジャンとティターニアは暫し気を失うのであった。

気が付いてみると、ジャンとティターニアは美しい人魚の姿になった少女に手を引かれて海の中を進んでいた。
(尚、アルバート・コイン・ナウシトエの三人は戦闘の混乱で消息不明になってしまった)
少女の正体は、セイレーンの女王にして海底都市ステラマリスの守護聖獣クイーンネレイド(通称クイーン)であった。
実は津波のようなものは、クイーンによる戦意喪失効果をもつ歌の大魔術であった。
クイーンは、指環の勇者として認めたジャン達を海底都市ステラマリスの水竜アクアのもとへ連れていくという。
記憶を対価に人間に扮して指環の勇者を探しに地上に来ていた彼女は、指環の勇者と出会ったことで全てを思い出したとのことだ。

道中で流されていたドワーフのマジャーリンを仲間に加え、ステラマリスに到着した一行は
指環の祭壇へと導かれ、青髪の少年の姿をした水の竜アクアと相見える。
アクアは一行に水の指環を渡し、近頃何故か風の竜ウェントゥスが襲撃をしかけてくると告白。
噂をすれば早速、ウェントゥス配下と思われる翼竜の一団が攻め込んできた。
迎え撃つ一行だったが、襲撃に便乗して何故かジュリアンまで現れ、一行から指環を奪おうとする。
アクアがジュリアンの足止めをし、クイーンの転移の歌によって危うくカルディアに逃がされた一行。
別れ際にアクアは、次は大地の竜テッラの元へ向かえと言い残した。

カルディアに転送された一行のもとに、黒騎士の一人であり、指環を集める命を受けている黒鳥騎士アルダガが現れる。
アルダガと会話をしていたところ謎の襲撃者達が襲い掛かってきて戦闘となり、マジャーリンが死亡。
怒りのままに襲撃者達を蹴散らすジャンとティターニアだったが、襲撃者達の死体が巨大なアンデッドとなって襲い掛かってきた。
アルダガはそのアンデッドを一撃で倒した後、ジャンが持つ指環の存在に気づき、指環を渡すよう一行に迫る。
ジャン達は協力して指環を集めないかと交渉するも決裂、戦闘となった。
ジャンとティターニアは激しい戦闘の末に辛くもアルダガを撃破。
戦闘不能となったアルダガは、先々での再戦を予告しつつ強制帰還の転移術によって二人の前から消えて行ったのであった。


※現在第三話進行中。参加者は常時募集中なのでお気軽にどうぞ。

6 :
名前:ミライユ・ヴィ・エルジュ
年齢:23
性別:女
身長:167
体重:54
スリーサイズ:90/57/87
種族:人間
職業:ギルドマネージャー
性格:明るいが、冷酷で無慈悲
能力:空間を操作する魔法、格闘術
武器:なし(あらゆるものを武器にする)
防具:シンプルな紋様のローブ、プリーツスカート
所持品:事務用品や連絡用マジックアイテム、護身用のナイフ等
容姿の特徴・風貌:茶色の外ハネショートボブで、明るく笑顔で声も大きく快活そうに見える。
簡単なキャラ解説:ハイランド連邦共和国首府・ソルタレクのギルドマスターの直轄のギルドマネージャー。
ギルドマスターに絶対的な忠誠を近い、その感情は常軌を逸しており、完全に耽溺している。むしろ連邦の総領への忠誠心は無いに等しい。
逆に言えばマスター以外は心の中では虫ケラのように扱っている。
密命でギルドの一員として、他国のほか、国内の元老院、ユグドラシアの動向を調査しており、今回はティターニアの監視を主とする。
また、指名手配中のギルド員の始末、新ギルド員の勧誘など、様々な任務に対応。指環についても調査している。
ミライユ以外にもギルド員はマネージャークラスを含め数人が行動を開始している。
一見快活そうに見え、敬語調で明るく喋る裏で計算する性格のため、相手の警戒を解きやすい。

7 :
>>294【了解です!】

>「……行っちゃったよ」

ラテがギルドの会員証を持ったまま、ブツブツと何やらつぶやきながら何かを考えている。
それをティターニアたちの方に向かいながらミライユは気にしていた。
ラテは確か受け取る際に少し抵抗したはずだ。

もしかしたら、何か勘違いしているのかもしれない。
ミライユとて鬼ではない。素早く戻ると、軽く声をかけた。

「あのう、一つ。ラテさんが所属しているレンジャーズギルド、実は冒険者ギルドの一部なんです!
そういうことですから、もしソレを"失くす"などということがあれば、「組織を抜けた、裏切った」ということになりますので、
くれぐれもご注意を。勿論、持っていて犯罪を犯しても同じです。私、仲間割れって、嫌い、なんですよ〜」

軽い感じで話しかけるも、ミライユのウィンクされたもう片方の目は細くテラの目を見据え、笑ってはいなかった。

あぁ、とふと自分の服装を見ながら思った。ミライユはローブの下にチェイン・メイルを着込んでおり、腹部は特に分厚く防護されている。
これはポイントガードの効果もあるが、身体の線を出さないようにするためでもあった。胸や尻を見せつけるのは目立つだけで不利でしかない。
一方で先ほどのラテという女は元々だろうが、なんと健康的で肉感的か。
あれを女好きの紳士であるマスターが見れば、興味を持たないとも限らない。
ここがアスガルドではなく、そこらの無人の荒野だったのなら……

(私は、女に会員証を渡した後、騙して殺害し、事故に巻き込まれた扱いにしてしまっていたかもしれません……)


大男、ジャンはミライユの全身の装備などを見ると妙に冷静な顔になってティターニアに耳打ちをした。
どうやら、怪しい者だと思われているらしい。やはり彼氏か、部下の線が正しいのだろう。

>「いかにも、我がティターニアだ。しかしよく分かったな。
ソルタレクまで名が知れ渡っているとは光栄というべきか恐れ多いというべきか。
このようなところまで遠路来てもらってかたじけない」

「いえいえ、こちら側が勝手に視察を行っただけですから、私についてはお構いなく。
ギルドでは有名ですよっ! 特にマスターの部屋なんかにはティターニア様の……あっ」

うっかりマスターの部屋の様子を伝えそうになるところだった。

8 :
>「実はこのところ研究のために放浪しておったのだが
最近洞窟から強いモンスターが出てくるようになって被害が出ているということで舞い戻ってきたところなのだ。
同行はやぶさかではないのだが洞窟探索には危険が伴うと思うが……それでも良いのであれば共に行こう」

ミライユの同行をあっさりと承諾するティターニア。これなら目標としては達成だ。

「研究……ですか!? それは、一体、どのような!? あぁっ、そういった内容は後にしましょう!」

一瞬だけミライユの頭で「指環」の存在が首を擡げたが、慌てるのもよくない。

>「ジャン殿もよいな? さっきの戦いぶりを見ておっただろう、きっと頼りになるぞ」

今度はゆっくりと頷く。やはりティターニアには従順であることから並々ならぬ信頼関係であることは確定。

グゥー……

「……はッ!」

腹の音を聴いて、ティターニアとジャンがこちらを見た。
ミライユは空腹には弱い。常に腹ペコなのだ。顔を赤らめながら慌てて宿付きの居酒屋を探す。
既に日も暗い。


「では、早速ですが、腹ごしらえでもしながらゆっくり語らうとしましょう。
今晩に限り、ティターニア様たちの分は、私の方でお出ししますので、お気になさらず」

『フェンリル』と書かれたそこそこ高級なこの宿は、大衆酒場というよりは
レストランのような様相をしていた。ちなみに宿は小ぢんまりしておらず、大部屋ばかりである。

席も思いの他空いている。
「3人ですか? 4人ですか!?」

後ろから様子を見ているラテをけん制しながら、情報交換の邪魔にならないのなら、ラテに参加してもらっても良いつもりだ。
恐らく大した影響力はないだろう。それに今後何らかの因縁を付けて誤Rる機会も出てくる。

大きなテーブルに腰掛けたジャンの隣に慣れ慣れしく座り、そのたくましい右腕を手に取った。
同時に正面に腰掛けるティターニアの反応も伺う。

「すっごい腕……よく鍛えられているし、大体の敵なら一薙ぎですね! ちなみにうちのマスターはここまで太くないですが、
力はもう、すっごいんです! この前の暴動のときもすごい活躍をして、五十人斬り?をやっても、全く動じてませんでした。その晩マスターは……」

と、酒も入りすっかりとミライユはマスターの惚気話に入っていった。
良質なこの地方特有の肉料理が運ばれ、モグモグとそれらを食べながら。

この後取ってある宿は、4人用の大部屋が一つだけだ。


【容量オーバーにより、こちらに書かせていただきました。】

9 :
あ、なんか丁度よく合流出来そうな気がするので
ここらで割り込ませてもらってもいいですか?
投下には3日もかからないと思います

10 :
>9
ではよろしく頼む! ミライユ殿がうまく誘導してくれたな!

11 :
っと、そう言えばあの女の子は大丈夫かな?
あの歳であんな馬鹿でかい魔物に襲われたんだ。さぞや肝を冷やしただろう。
私があの子だったら多分ちびってたね。

えーと……うん、もうお母さんと会えたみたい。
逃げる時に手を離しちゃったのか、泣きながら謝ってる。
ろくに息も出来ないんじゃないかってくらい泣いてるせいで、逆に女の子が慰めてるよ……。
アンデッド系の魔物が出て来るダンジョンとかでも、自分よりビビってる人がいるとなんか冷静になるって言うよね。
トレジャーハンターは基本ぼっちなのでそういう感覚、私には分かりませんがね!

ま、あの感じなら私が首を突っ込む必要はなさそう。

なんて感じでちょっとした満足感を得て前を向き直すと、ミライユさんが目の前にいた。

って、えぇええええええええええええええええ!?すっごいびっくりしたんだけど!
えっ、なに、この人思い立ったら即行動って感じでちょっと怖いんだけど。
いや私も人の事言えないけどさ、なんて言うか……言葉にしちゃうとちょっと失礼なんだけど、とにかく怖い。

>「あのう、一つ。ラテさんが所属しているレンジャーズギルド、実は冒険者ギルドの一部なんです!

「へ?……あ、はぁ、それはどうも……」

と、思ったら話しかけられた内容はわりと普通だった。
まぁ冒険者同士の互助を旨とするなら、そりゃ提携関係くらい組んでるか。
それをまるでそっちの傘下みたいな言い方してるのは、ちょっとどーかと思いますがね!へんっ!

ん?あれ?もしかしてこれ、私の態度が懐疑心丸出しで気を使わせちゃった感じ?
うーん、だとしたら申し訳ない事しちゃった……

>そういうことですから、もしソレを

12 :
>そういうことですから、もしソレを"失くす"などということがあれば、「組織を抜けた、裏切った」ということになりますので、
 くれぐれもご注意を。勿論、持っていて犯罪を犯しても同じです。私、仲間割れって、嫌い、なんですよ〜」

「……やだなぁ!やっと冒険者になれたのに失くす訳ないじゃないですか!もー!」

……なんて一瞬でも思った私が馬鹿だったね、こりゃ。

レンジャーの訓練を積んだ私の前で、殺気を隠そうともしないのは、見くびられているからかな?
それとも隠そうとして、それでも隠しきれなかった?
さっきは失礼だからって言葉にしなかった事を改めて書き留めておこう。

ミライユさんはまるで、感覚の鋭い獣か魔物のようで、怖いのだ。
私を見下ろす彼女の眼に宿る光を、私は見た事がある。
ダンジョンの奥底で、何度も……アレは知性ある魔物が、矮小な獲物へと向ける殺意の光だ。

あの人は、何故か私を殺そうと思い立って、実際に殺意を抱いて……
多分、周りに人が多すぎるから、やっぱりやめた。
やっぱりやめた、程度の感覚で、人をRか殺さないか決められるんだ。

……いやいやいや!怖すぎるでしょ!ホントなんなの冒険者ギルドって。

まず殆ど初対面の私に殺気を向ける理由が分かんなすぎて怖い。
まさか私が冒険者ギルドに懐疑的な態度を見せたから?
どこの独裁者だよ……絶対ろくでもない組織だよ冒険者ギルド。

そもそも、失くしたら裏切り扱いってのがもうおかしい。
だってそれって冒険者ギルドの刺客に会員証を奪われても『紛失』扱いでしょ?
地獄行きの片道切符かよ。助けてー粛清されるー。

>「いかにも、我がティターニアだ。しかしよく分かったな。
  ソルタレクまで名が知れ渡っているとは光栄というべきか恐れ多いというべきか。
  このようなところまで遠路来てもらってかたじけない」

でも……これでもう、見て見ぬふりは出来ない。
あの人は、いとも簡単に人を殺せる……魔物だ。
目の前で、魔物が人ににじり寄るのを、我が身可愛さで見過ごす訳にはいかない。

それに……冒険者ギルドが魔物をけしかけるほどの二人。
あの二人が何者なのか……私も冒険者なんだ。気にならない訳がない。

さぁて、それじゃあ……レンジャーのスキルを見せてやる。
私は人混みに紛れ込むと、そのまま気配を消し去った。

……とは言っても、気配を消すって具体的に何をしてるの?と思う人もいるだろう。
実は言葉にしちゃうと結構簡単で、これは魔力を纏っているのです。
と言っても魔法使いがよく使ってる硬い壁みたいな感じではなくて、どっちかと言うとこれは布。

さっき魔力の話をしたけど、魔力ってのは別に人体以外にも宿ってるし巡ってる。
自然物に宿る魔力は人によってはマナって呼ぶ事もあるね。私もその方が区別付けやすくて好き。
ともあれ、そのマナの巡りは一定じゃない。
そして一定じゃないって事は、対流が生まれ、模様が生まれ……風景が生まれる。

13 :
察しのいい人はもう分かっただろう。
私達レンジャーは、そのマナの風景に溶け込むように、魔力の迷彩布を被るのだ。
なにしろ空間そのものと同化するから、今の私は例え視界に映っていても、気付けない。
路傍の石ころ同然だ。
この世界の何処かにある和国出身のレンジャー、ニンジャ達はこのスキルが凄い上手で、固有の別スキル扱いまでされてるとか。
あ、勿論足音や呼吸にも気を使ってますよ?そこは基礎中の基礎。

ちなみに一流のアサシンともなると、そこにいると言われてもなお、目を凝らしてやっと見えるくらい。
おっぱい揉まれても反応が一瞬遅れるレベル。あの先輩はいつか絶対ぎゃふんと言わせてやる……。
まぁ流石に私はそこまで上手くは隠れられません。
が、こんだけ人がいれば問題ないね。木が隠れるなら森の中。

さておき私はミライユさんと、彼女に絡まれた二人へと忍び寄る。

>「ジャン殿もよいな? さっきの戦いぶりを……

……うん、二人とも意識はミライユさんに向いてる。
これなら上手くやれる……私は二人の背後に回り込むと、

「どーもこんにちわ!お話中にすみませんが今、洞窟の話をしてましたよね!」

なるべく不意を突くように、大きな声で挨拶をした。

「洞窟って、テッラ洞窟の事ですよね?実は私もあそこに目を付けてるんですよ!
 魔物が急に強くなったって事は、きっと何かあるに違いないって!お二人もそうなんですよね?
 ……あ、すみません、私トレジャーハンターのラテって言います!」

うーん敬語を使うと体がむずむずする……え?なんでそんな脅かすような真似をしたのかって?

「でもちょっと当てが外れちゃいまして……
 オオネズミですらあれだけ凶暴化してるとなると、
 私だけじゃ大して潜れなさそうなんです」

ちっちっち、その脅かすのが大事なのですよ。

「なので……もし良ければ私もそちらのパーティに混ぜてもらえませんか?」

小説とか絵物語を読んでるとよくアサシンっぽい登場人物が

『彼はまだ来ていないのか?』

『……ここにいる』

『なっ……まるで気配を感じなかったぞ……』

みたいなやり取りをしてたりしない?
アレって実は創作の中だけのカッコつけじゃなくて、現役のレンジャーもよくやるんだよね。

理由は主に二つ。
まず遊撃を担当するレンジャー系列の冒険者は、いざって時に切り捨てられやすい。
だから依頼者や同行者を事前に観察して、ヤバそうならそのままさよならする為。
あの有名なアサシン、ミスター13さんはこっちが理由だね。あの人の場合、裏切ったら相手がこの世からさよならするけど。

14 :
もう一つは……実力を知ってもらう為だ。
不意の突けないレンジャーとか、ねえ?
その点ではさっきの私はかなり上手く出来た気がする!
この人達もかなりの手練っぽいけど、最悪でもちょっとビクッとくらいは……したよね?ね?
私みたいな村娘Aはかなり背伸びしないと舐められがちなのです。

「あ、もしお宝があっても、それはそっちの取り分で構いません!
 私一人じゃそもそも深い所まで行けないだろうし、
 強くなった魔物の素材も結構な価値が出そうですしね」
 
これは特に嘘偽りなく本当。
そもそもこの都で上手い事マジックアイテム仕入れて、よそで捌くだけで収支的には問題ないくらい。
なんか冒険者が泊まるには無駄に高級な宿屋で無駄にお高そうな料理を食べたりしない限り、今回の冒険に赤字はないのだ!


【ラテさんがパーティ加入申請を飛ばしました】


あ、結構余白が出来ちゃったからてきとーに落書きしよっと。

ちなみに今回使ったレンジャースキルは実は【スニーク】だけじゃなかったりする。
さっきの私って実力を示しつつも、隙のないアサシンって感じは全然しなかったでしょ?
アレは素が出ている訳ではなく、そういうスキルなのです。

レンジャー系でも特にシーフやエージェント、アサシンなんかが使うスキル【ヒュミント】だ。
意味は人的諜報。騙したり、籠絡したり、魅了したり、とにかく人の心情を利用して利益を得る為のスキルだ。

最近やっと一端の冒険者になれてやる気出してます!ふんす!
って雰囲気は、きっとこの人達の心から庇護欲を引きずり出す!はず!
重ねて申し上げますが素が出てる訳じゃないんだからね!

いやホント、馬鹿な事書いてんなーとか思ってるでしょ?
訓練させられるんですよ、ちゃんと。
先輩に「チワワだ!チワワの気持ちになれ!」って言われながら上目遣いの練習を一時間くらい。
どさくさに紛れて「体も使え!押し付けろ!」とか言われて流石にマスターにセクハラで訴えました。

いつもは物静かで優しいお爺ちゃんって感じのマスターなんだけど、
その時は私の訴えを聞くや否や、思わず震えるほど冷たい声で「けしからん」って言って立ち上がり……
そのまま先輩のもとへ向かうと

「チワワにだって牙はあるからこの子は精々ハムスターじゃろ。丸みもあるし」

とか厳重注意してくれました。ハムスターにだって前歯があるわい!噛み付いたるぞ!
もうやだあのギルド……。

ちなみにこの【ヒュミント】。
達人が使えばお互い武器を構えて相対した状況でも、致命的な油断を誘えるとか。
まさに魔性って奴ですね。

また人によっては【テンプテーション】とか【ハニートラップ】みたいな呼び方もします。
私はそういう露骨な言い方はよくないと思います!

……え?さっきからシーフやらアサシンのスキルばっかだけど、トレジャーハンターのスキルはどうしたって?
この街中で何をしろと。鍵開けか。
勇者じゃあるまいしそんな事したら犯罪ですよ犯罪。

15 :
そんな感じでとりあえずパーティ申請送りました
ふと気づいたけど私も結構怪しい奴だこれ!

16 :
名前:ジャン・ジャック・ジャンソン
年齢:27歳
性別:男
身長:198
体重:99
スリーサイズ:不明
種族:ハーフオーク
職業:冒険者
性格:陽気、もしくは陰気
能力:直感・悪食
武器:良質な量産品の手斧・ナイフ
防具:鉄の胸当て
所持品:ロープ・旅道具一式
容姿の特徴・風貌:薄緑の肌にごつい顔をしていて、口からは牙が小さく覗いている
         笑うと顔が歪み、かなりの不細工に見えてしまう
簡単なキャラ解説:
暗黒大陸の小さな村で生まれ、その村に立ち寄った魔族の冒険者の
生き方に憧れ冒険者を目指し大陸を飛び出た。
それ以降、人間の異なる価値観に戸惑いつつも今ではそれなりに名が売れた冒険者として
日々、未知の風景を求めて探索している。

17 :
>「ソルタレクの冒険者ギルド……か。まあ適当に話を合わせてくれ」

小声で返ってきた返答に、小さく頷いてティターニアの後ろへ一歩下がる。
二人は護衛対象と護衛という関係である以上、ジャンは必要以上に声を出す気にならなかった。

そうして二人の会話を眺めていると、どうやらこのミライユと名乗った女性もこちらに同行してくるようだ。
武器の腕前は問題なく、魔術の扱いにも慣れている。

>「ジャン殿もよいな? さっきの戦いぶりを見ておっただろう、きっと頼りになるぞ」

「ああ、俺としても歓迎だ。魔術も武器も使える奴ってのは貴重だからな」

ゆっくりと頷き、またティターニアの後ろに控える。
仮に指環を狙う刺客だったとしても、同じ冒険者である以上なんらかの取引に応じるだろうとジャンは考えていたのだ。
そして宿でも探そうかと後ろを振り向いた瞬間、目の前の空間からぬるりと少女が現れた。

>「どーもこんにちわ!お話中にすみませんが今、洞窟の話をしてましたよね!」

>「洞窟って、テッラ洞窟の事ですよね?実は私もあそこに目を付けてるんですよ!
 魔物が急に強くなったって事は、きっと何かあるに違いないって!お二人もそうなんですよね?
 ……あ、すみません、私トレジャーハンターのラテって言います!」

>「でもちょっと当てが外れちゃいまして……
 オオネズミですらあれだけ凶暴化してるとなると、
 私だけじゃ大して潜れなさそうなんです」

何もないところから姿を現し、いきなりまくし立ててきたラテと名乗った少女。
見れば先ほどオオネズミを狩っていた冒険者のようだが、レンジャーの技である姿隠しを使いわざわざ背後から来たようだ。
こういった行為を行うレンジャーは少なくない。なぜかというとレンジャーを名乗りマジックアイテムの価値を偽って
仲間からだまし取る者、嘘の偵察で仲間をまとめて殺し、遺留品をかっぱらう者は後を絶たないからだ。

だからこそ、多くのレンジャーは他の冒険者と組むときには、自分がきちんとギルドで学んできたことを
証明するために自分の実力を示す行為を行う。
それは弓の技術や罠外し、簡易な鑑定などがあるが、やはり一番有名なのはこの姿隠しだろう。

ジャンも未熟な姿隠しならば背後に来る前から見抜けるが、ラテの姿隠しは分からなかった。
つまり、ギルドでしっかりと学んできたということだ。

「……見たところ、経験はあるみてえだな。その箱、ミミックだろう?
 単独で狩ったなら大したもんだ」

ラテの装備を上から下まで点検する。動きやすい服装に、魔除けと思われる大量のアクセサリー。
ミミックの箱を担いでいる理由はよく分からないが、たぶん振り回して鈍器にでもするのだろう。
それから盾にできそうな石板に、なんと呼べばいいのか分からない武器のようなもの。これもきっと振り回すんだろうとジャンは思った。

>「なので……もし良ければ私もそちらのパーティに混ぜてもらえませんか?」

>「あ、もしお宝があっても、それはそっちの取り分で構いません!
 私一人じゃそもそも深い所まで行けないだろうし、
 強くなった魔物の素材も結構な価値が出そうですしね」

レンジャーにしてはいい条件……のような気がする。
実際レンジャーだけで魔物を倒せるかというと難しいだろうし、このまま断るのも……悪い気がする。

(なんだこの…この違和感。そういえばレンジャーはまだ何か対人の技があった気がするんだが……
まぁいいか)

持ち前の前向きな姿勢がヒュミントに大きく影響され、結局ジャンは了承した。

18 :
「ティターニア、レンジャーってのは一人いるだけで安定するもんだ。
 魔術に頼った偵察が罠を見抜けずに踏み抜いた、なんて例はたくさんあるんだぜ」

いかに職業としてのレンジャーが有用であるかをティターニアに語っていると、ふと腹の音が鳴った。
昼に屋台でイモガエルのもも肉串を食ったばかりのジャンではなく、ティターニアでもないようだ。
ラテでもなかった。では誰かというと……

>「……はッ!」

分かりやすく顔を赤く染めている。刺客とは思えないほど感情を表に出すミライユに、ジャンはもしかすれば
刺客ではないのでは、と思い始めていた。

>「では、早速ですが、腹ごしらえでもしながらゆっくり語らうとしましょう。
今晩に限り、ティターニア様たちの分は、私の方でお出ししますので、お気になさらず」

そして何事もなかったかのように宿へ案内してくれ、おまけに奢ってくれるという。
普段泊まることのないような高級さを醸し出す宿は明らかに冒険者向きではないようにジャンには思えたが、
きっと首府のギルドの人間はこういった宿に泊まるのが一般的なのだろうと考えることにした。

ジャンはテーブルに座り、持ち慣れない銀のフォークやナイフをどうにか不器用に使いながら運ばれてきた料理を食べる。
正面にラテ、右隣にミライユ、左隣にティターニアという形になったが、護衛としては悪くない位置だ。
ただ、料理はあまり美味しく感じられなかった。

(奢りなのは嬉しいけどよ……そこらへんの屋台で肉串とかミルクパンでも食ってた方が気楽だぜこりゃあ)

客が少ないとはいえ、見た目はオークであるジャンをじろじろと眺める視線を入ったときから感じているのだ。
旅の途中でもこういった視線を感じることはあったが、よりにもよって居住種族が最も多いであろうここでもそうなるとは!

>「すっごい腕……よく鍛えられているし、大体の敵なら一薙ぎですね! ちなみにうちのマスターはここまで太くないですが、
力はもう、すっごいんです! この前の暴動のときもすごい活躍をして、五十人斬り?をやっても、全く動じてませんでした。その晩マスターは……」

居心地の悪さを感じ始めていた頃、ミライユが話しかけてきた。わざわざ右手を手に取って、分かりやすい世辞を飛ばしながら。

「お、おう……そうかい。ところでティターニア、結局洞窟に行くのは明日でいいのか?」

話をティターニアに振りつつ、早くこの料理が終わってくれと願いながらナイフで肉を切り分ける。
結局、ジャンはこの食事で腹が満たされることはなかった。

19 :
(この人用途が分からない他人の装備は全部鈍器扱いしてる・・・?)

20 :
>>19
黙ってろ

21 :
>「いえいえ、こちら側が勝手に視察を行っただけですから、私についてはお構いなく。
ギルドでは有名ですよっ! 特にマスターの部屋なんかにはティターニア様の……あっ」

世の中には部屋中に好きな吟遊詩人の肖像画を貼る人種も存在するがその類だろうか、と思うティターニア。
少し気にはなるも、うっかり口を滑らせたようだったので詮索はしないことにした。

>「ああ、俺としても歓迎だ。魔術も武器も使える奴ってのは貴重だからな」

おおかた意図は伝わったようで、ジャンもミライユの同行を承諾した、その時だった。

>「どーもこんにちわ!お話中にすみませんが今、洞窟の話をしてましたよね!」

「なぬ!?」

突然、目の前に先ほどのリスかハムスターのような雰囲気の少女が現れた。
隠密の魔術でも使ったのか?と一瞬思うが、魔術師といった出で立ちでもない。
ジャンが少女の素性を見極めようとするように、その全身を検める。

>「……見たところ、経験はあるみてえだな。その箱、ミミックだろう?
 単独で狩ったなら大したもんだ」

「すまぬな。別に変な意味で見ているわけではない。見慣れぬアイテムに興味津々といったところだ。
そなた、面白そうなものを色々持っておるではないか」

小柄ながらなかなかに健康的な肢体の少女である。
要らぬ誤解を招かぬように一言言い添えながら自分も改めて少女の出で立ちを見てみれば、
鞄代わりのミミックをはじめとして、全身を大量のマジックアイテムらしき装備品で固めている。
おそらくトレジャーハンターの類、ということは先程突然現れたように思えたのはレンジャーの姿隠しだろう。
その原理は、魔術師のやり方と発動の過程こそ違えど、魔力を纏っているというものらしい。
ティターニアは以前、盗賊少女を魔術師の素質ありとしてスカウトしたことがあるが
この世界における魔術師とシーフ・レンジャー系技能というのは実は素質に共通する部分があるのかもしれない。
実際冒険者にはその二つを兼ね備えた怪盗のようなクラスもあるし
和国のニンジャというのもレンジャー系技能と忍術という独特の術を併せ持つ、それに近いもののようだ。

22 :
閑話休題――ラテと名乗った少女は、自分の目的地もテッラ洞窟だと言って、同行を申し出てきた。
只でさえかなり怪しい人物の同行を承諾した直後であり、ついでではないが心理的ハードルが下がっている。
その上密やかに行使されたヒュミントの効果もあり、ジャンがかなり承諾の方向に傾いている。
増してや――本人に自覚は無いが端から見ていればもうお気づきであろう。
ティターニアは可哀そうな子どもや危なっかしいドジっ娘や健気に頑張る若者には滅法弱い。

「我はティターニア。以後よろしく頼む」

ティターニアはラテの作戦の前にあっさり陥落した。効果はてきめんだ。

>「ティターニア、レンジャーってのは一人いるだけで安定するもんだ。
 魔術に頼った偵察が罠を見抜けずに踏み抜いた、なんて例はたくさんあるんだぜ」

「うむ、高度な魔術罠を見破れる魔術師が超単純な物理罠を見抜けるとは限らぬからな。
頼りにしておるぞ、ラテ殿」

そんなことを話していると――誰かの腹の虫が鳴った。

>「……はッ!」

ミライユが分かりやすく顔を染めている。
涼しい顔をしていれば分からないのに分かりやす過ぎィ!と内心思うティターニア。
先程のマスターの部屋の内情をうっかり言いかけた時の様子といい、自分達が疑い深くなっているだけで
単なる根っから明るいドジっ娘なのだろうか?との考えが鎌首をもたげてくる。
実際にはドジっ娘属性の有無と良からぬことを企んでいるか否かは何の関連性もないのだが、人間(エルフ)心理としてどうしてもイメージに流されてしまうものである。

>「では、早速ですが、腹ごしらえでもしながらゆっくり語らうとしましょう。
今晩に限り、ティターニア様たちの分は、私の方でお出ししますので、お気になさらず」

「それは誠にかたじけない。ではお言葉に甘えてご馳走になるとしよう」

ミライユに導かれるままに高級な宿付きレストランに入っていく一行。
オークはやはり暗黒大陸に多い種族であり、中央大陸程ではないといえこの西方大陸にもそれ程多くは無い。
外見がほぼオークのジャンは多種族が行き交うこの街でも高級宿となると目立つようで、視線を向けられ心なしか居心地が悪そうだ。
ジャンが人間――特に若い女性から見れば親しみやすい外見ではない事実を改めて思い出したティターニアは、二人にそれとなく怖がる必要はない事を伝える。

「このジャン殿は気は優しくて力持ちを地で行くとてもいい奴でな――
我は一応研究費を貰える身ゆえジャン殿には臨時助手ということで護衛をしてもらっておる。
……といっても上司部下といった堅苦しい関係ではない」

そこで少し視線を外し、半分噛みしめるように、半分冗談めかして言う。

「そうだな、英雄譚風に言うなら”仲間”――とでもいうのかな」

>「すっごい腕……よく鍛えられているし、大体の敵なら一薙ぎですね!」

「……」

視線を戻してみると、ミライユが積極的にジャンの腕を取って話しかけていた。
心配は杞憂だったようだ。それを見たティターニアはニヤリと笑ってからかうように言う。

23 :
「ほほう、ミライユ殿はたくましい男性が好みか。
ああ、念のため申し添えると我とジャン殿は別に恋人関係というわけではないゆえ遠慮しなくても良いぞ」

学園のある種のサークルが作る自主制作の薄めの冊子の中ではそのようなジャンルも確立されているが
実際にはそのようなカップルが成立するのは非常に稀と思われる。
ただでさえエルフが他の種族とカップルになるのは珍しいというのもあるが、それに加えて。
これまで旅をしてきてなんとなく分かったのだが、どうやらエルフとオークでは美的感覚が決定的に違うようだ。
エルフが一般的に美しいとされるのは人間から見た時の話であり、そういう美的感覚を持つ人間が比較的多いからに過ぎない。

>「ちなみにうちのマスターはここまで太くないですが、
力はもう、すっごいんです! この前の暴動のときもすごい活躍をして、五十人斬り?をやっても、全く動じてませんでした。その晩マスターは……」

話を聞いていると、どうやらミライユは冒険者ギルドのマスターなる人物に心酔していることが分かってきた。

「ふむ、凄いものだな……一度お目にかかってみたいものだ。
ところで……そろそろ腕を離してやってはくれぬか、そのままでは食べられぬ」

ティターニアはそれなりに様になった手つきで料理を食べながら、ミライユにジャンを解放するようにそれとなく伝える。
ジャンもそろそろ困惑しているようで、ティターニアの方に話を振ってきた。

>「お、おう……そうかい。ところでティターニア、結局洞窟に行くのは明日でいいのか?」

「そうだな、下手に夜に動いても危険であろう。今日はここに泊まって明朝に出発するとしよう」

こうしてなんとも微妙な空気の晩餐会は過ぎてゆく――

*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*

24 :
さて、取ってある部屋は4人部屋であった。
特にミライユには警戒は必要になるが、いい方向に考えれば話すことで人となりを見極める良い機会でもある。
本当なら学園に寄って挨拶がてら報告もしたいところだが、後をつけられでもして今の時点で核心に気付かれてもよろしくない。
いつのも伝書フクロウ便でまあいいか――ということで、そのまま泊まることにした。
とはいえ、寝るにはまだ早い。
皆がひと段落ついた頃、ティターニアは自分のベッドのふちに腰かけ、学者の間で一般的に知られている知識の範囲で話し始めた。
一応ミライユからインタビューを受けるという名目になっているのと、こちらもミライユ達の反応を見るのも兼ねて、だ。

「我の専門は考古学でな、と一言でいってもまあ節操のないもので世界の謎を解き明かす学問、とでも言おうかな。
この世界と魔力や魔術は切り離せぬものであるゆえ魔術学園でも研究対象となっておるわけだ」

「我々の業界で今アツい話題と言ったら当然古竜の復活――
そなた達は竜の指環、というのを聞いたことがあるか?
古竜を倒せるとも伝説によっては自在に操ることが出来るとも言われておる。
まあおとぎ話のようなものだ。冒険者の中にはそれを真に受けて本気で探しておる大馬鹿者もおるらしいが……」

このご時世で竜の指環の話題を避けるのは逆に変であるため、敢えて当たり触りのない範囲で話題に出す。
ティターニアが言う大馬鹿者、というのはもちろん褒め言葉である。

「そういえば……最近中央大陸の沖合で突然島が浮上したらしいな。
あの辺りに沈んだ古代都市があったという伝説はあるのだが果たして関係あるのか無いのか」

「そうそう、古代都市といえば明日行くテッラ洞窟、地底都市への入り口があるとかいう都市伝説が学園生徒達の間でまことしやかに囁かれておるぞ。
といっても普段はしょっちゅう学園の生徒たちが探検にいっておるのだ、もしもそんなものがあったらとっくに見つかっておるだろうがな!」

「学生というのはその手の噂話が好きでの、あの想像力には感心するわ。
例えばダーマの図書館が無限地下ダンジョンになっておるとかな」

「古竜には四星竜という手下がおってそれらを全て倒さぬと親玉にたどり着けぬ、とかな。
自主制作の冊子で”奴は我ら四星竜の中では最弱……!”とか言わせてみたりの」

表向き友好的に腹の内を探り合う緊迫した心理戦でもあるのだが、どこか楽しんでいるようにも見えるティターニア。
一見とりとめのない話に見せかけてかなりギリギリの線を攻めてみたりしつつ、夜は更けていくのであった。

25 :
【一応テンプレ】

名前: ティターニア・グリム・ドリームフォレスト(普段は名字は非公開)
年齢: 少なくとも三ケタ突入 外見は若いが醸し出すオーラから年齢不詳な印象も受ける
性別: 女
身長: 170
体重: 52
スリーサイズ: 全体的に細身(エルフの標準的な体型)
種族: エルフ
職業: 考古学者/魔術師
性格: 学者らしく思慮深くもあるが本質的には大物か馬鹿か紙一重
変人でオタクだがなんだかんだで穏健派で情に流されやすい一面も
能力: 元素魔術(魔術師が使う魔術。魔術(狭義)といったらこれのこと)
武器: 聖杖”エーテルセプター” 魔術書(角で殴ると痛い)
防具: インテリメガネ 魔術師のローブ 魔術書(盾替わりにもなる)
所持品: ペンと紙 その他一般的な冒険者道具等
容姿の特徴・風貌: メガネエルフ。長い金髪とエメラルドグリーンの瞳。
エルフの標準体型だが人間から見れば長身痩躯。もしかしたら黙っていれば美人かもしれない。
簡単なキャラ解説:
ハイランド連邦共和国の名門魔術学園「ユグドラシア」所属の導師で、実はエルフの長の娘。
研究旅行と称して放浪していたところ偶然にも古代の遺跡の発見の現場に立ち会ったことをきっかけに
学園から正式に指環の調査の命を受け、紆余曲折を経てジャンと共に竜の指環を集めるべく旅をしている。


聖杖『エーテルセプター』
エルフが成人(100歳)のときに贈られる、神樹ユグドラシルの枝で出来た杖。
各々の魔力の形質に合わせて作られており、魔術の強化の他
使用者の魔力を注ぎ込んで魔力の武器を形作る事もできる。

魔術書
本来の用途以外に護身用武器防具としての仕様も想定して作られており、紙には強化の付与魔術がかけられている。
持ち運びのために厚さ重さが可変になっており、最大にすると立方体の鈍器と化す。
最初に持っていたものはアルダガ戦にて大破したため、現在のものは最新版である。

26 :
【ついでにラテ殿のも】

名前:ラテ・ハムステル
年齢:18
性別:女
身長:153cm
体重:54kg
スリーサイズ:わりと健康的
種族:人間
職業:トレジャーハンター兼行商人
性格:リアリストになりたいなぁと常日頃から思ってるお人好し
能力:レンジャーの心得スニーク編&サバイバル編・アイテム作成&合成・数奇な運勢
武器:大量の低レア武器・お手製魔力爆弾・未鑑定投射武器【不銘】
防具:帷子・大量の低レア防具・大量の加護アクセサリー・呪われた予言の石版
所持品:冒険者セット・エルダーミミックの死骸・お手製ポーション各種・お手製ドーピング薬・お手製、濃縮!ドーピング薬

容姿の特徴・風貌:赤毛のポニーテール・完全武装した子リスのような少女

簡単なキャラ解説:
共和国のレンジャーズギルドに所属する冒険者です
冒険者ってなんかカッコいい!なりたい!なノリで家を飛び出して早三年
ろくに弓も引けなかった小娘でしたが、やる気だけはあったので去年ついにトレジャーハンターとしての活動を許可されました!
でもお宝なんてそうそう見つからないので
副業として、数だけは集まる低レア武器や手作りアイテムを売り歩く行商人ごっこも最近始めました
ダンジョン内でしんどそうな人を見つけたら色々ちょっとお高めに売りつけては後で心を痛めています

素質的には正直ただの村娘Aと言われへこんだ事もありましたが
幸運にも見つけた幾つかのレア装備やお手製アイテムなどでがんばります

ちなみにトレジャーハンターって要はただの遺跡荒らし、盗掘家ですが
収穫物の何割かをギルドに献上する事でちゃんと社会に貢献しています
シーフとかアサシンとか、レンジャーズギルドにはその手の人材が結構いるようで、私は一応それらの講習も受けています
私掠船みたいなもんですね。低レア武器は献上の対象外なのでちょっと助かっています

テッラ洞窟には最近やたら強くなった魔物が出て来るって噂を聞いてやってきました
ギルドからの依頼じゃないので何か見つけても献上しなくていい!がんばろう!

27 :
『未鑑定投射武器【不銘】』
町に持ち帰って色々調べても未鑑定なままの武器。弓のような銃のようなパチンコのような?
間近で見ても輪郭がはっきり捉えられない。少なくとも私にはわかんない
でも未鑑定って事はつまり色んな可能性を秘めてるって事で、この武器はなんでも投射出来る
ちょっとお高い鑑定士に頼めばハッキリしそうだけど、鑑定が難しいって事は最悪とんでもなく呪われてるって事
呪われてるかどうかも未確定のままにしときたいからこのままでいーや

『呪われた予言の石版』
宝箱に『此処に古の預言者ナビィの遺した滅びを封じる。無知である事は、未知である事。その未来決して知るべからず』
とか書かれてた。知るべからずなら残さなきゃいいじゃんと思ったんだけど、この石版割れないの。なんで知ってるって?落っことしたから
ともあれこの石版は凄く頑丈なので、私は刻まれた文字に留め具を合成して盾にリメイクしました
ちなみに枕詞の呪われた、は予言ではなく石版の方にかかってるみたいで、実際文字を目にすると胸がモヤモヤする
多分だけど読んだら死んじゃう呪いとか施されてる。知るべからずだし
ちなみに私はなんて書いてあるか解読出来なかったから平気!
トレジャーハンターとして古代言語の勉強もした私が読めないから、多分まだ未発見の文字とかじゃないのこれ

『エルダーミミックの死骸』
幾人もの冒険者を喰らったミミックの死骸。私が倒したんじゃなくて、見つけた時には既に死んでた
すぐ近くに上半身のない骸骨があったから……うぅ、つまりそういう事だったんだろうなぁ
なんとも言えないけど、あの人より先に私が見つけてたら100%死んでただろうから、せめて両手を合わせて、遺骨は持ち帰ってギルドに弔ってもらった
ともあれこの宝箱、死してなお強い魔力を秘めている。具体的には中が超広い。詰め込んだ物の重さも感じない
低レア武器を沢山持ち帰って売るのって、人一人が持ち運べる重量を考えると効率悪いんだけど
私がそれで行商人の真似事が出来てるのはこの箱のおかげ。自分が箱の中に入るのはちょっと怖すぎてした事がない

28 :
(……ん? あれは……)

先ほど別れたはずの1188番のラテ・ハムステルの気配がミライユの横にスライドし、
一瞬でティターニアの正面へと移動する。
ミライユはそれを目線だけで追っていった。

(へぇ……あの女、なかなかの使い手じゃないですか)

>「なので……もし良ければ私もそちらのパーティに混ぜてもらえませんか?」
「あ、もしお宝があっても、それはそっちの取り分で構いません!
 私一人じゃそもそも深い所まで行けないだろうし、
 強くなった魔物の素材も結構な価値が出そうですしね」
 
>「うむ、高度な魔術罠を見破れる魔術師が超単純な物理罠を見抜けるとは限らぬからな。
頼りにしておるぞ、ラテ殿」

上から目線も様になっている。あざといキャラだが、それは他人に言えたことではない。
しかし、ミライユはラテのその姿が気に食わず、思わず唇を軽く噛んでいた。

「あっ、そうだ」

ミライユはそういえば報酬などについてはまだ話していなかった。
天下のソルタレクの冒険者ギルドとて、ただ飯ただ宿を与えるだけの慈善事業ではない。
何よりマスターへの貢納という意味で収益がないのは色々とまずいのだ。

「では、私は報酬の4分の1を頂くということで結構です。お二人が半分で、
残りの4分の1はラテさんの取り分ということで、彼女にお任せします
財宝についてはティターニア様のものということで、邪魔をするつもりはございません!
もっとも、ギルドにとって無関係のものであれば、ですが!」

4分の1とはいえ、時には桁違いの収穫があることを、ミライユは身をもって知っている。
かつてはただの一冒険者だった立場だけに、金銭感覚にはシビアなのだ。
笑顔を崩さないまま、報酬については先におことわりを入れておいた。

――

結局のところラテはティターニアらのパーティーに入ることになった。
いや、むしろミライユの管理するパーティーへの同行を許可された、という感覚なのが彼女の正直な気持ちだ。
ティターニアたちはカネで操っている一人に過ぎない。主導権はこちらにあるのだ。

ラテに至っては「たかがフリーでヒラの冒険者が直轄のマネージャーと同じ立場に立てると思ったつもりか」
とすらミライユは感じていた。
『フェンリル』でも食事代と宿代を払わなくてはならないのは癪だが、一日の辛抱だ。

心理的に緊迫したミライユだったが、美味しそうな名物料理や酒の数々を目にすると途端に表情が明るくなり、
満面の笑顔でそれらにかぶりついていた。フリー時代からミライユは食いしん坊キャラで知られていた。

円形にテーブルでは左側にジャン、正面にティターニア、右側にラテがいる。
これだけ密着していれば相手の様子を観察するのは容易だが、とりあえず絡んだジャンがいまひとつの反応をした。

>「お、おう……そうかい。ところでティターニア、結局洞窟に行くのは明日でいいのか?」

どうやらティターニアの支持待ちらしい。一方、ティターニアは。

29 :
>「このジャン殿は気は優しくて力持ちを地で行くとてもいい奴でな――
我は一応研究費を貰える身ゆえジャン殿には臨時助手ということで護衛をしてもらっておる。
……といっても上司部下といった堅苦しい関係ではない」
「ほほう、ミライユ殿はたくましい男性が好みか。
ああ、念のため申し添えると我とジャン殿は別に恋人関係というわけではないゆえ遠慮しなくても良いぞ」

「勿論、たくましい男性が好みです! ただ、私は、先約がありますので、別にお付き合いしたいとかでは……
お二人ともやっぱり付き合うならたくましい男性が良いですよね、ね!?」

ティターニアとラテの両方の顔を見合わせながら、ジャンに笑顔を返す。
ジャンが食事をしにくそうにしているので、腕から手を離した。

(なるほど、良いことを聞きました。つまり、ティターニアの彼氏でもなければ、
どこかに所属している訳でもない…… ということは、こちら側に入れても問題ないですよね?)

「頼りになる方が助手で、ティターニア様もお喜びでしょう。ジャンさん、ところで、
冒険者ギルドには興味ありませんか? 今なら、私の権限で、仮会員証を発行できますが……!
ギルド正会員になれば、安定した収入も、夢じゃないですよ!」

周囲の客が「うるさいなぁ」という感じの視線をこちらに送ってくる。ついでに言えば、どうやらジャンの緑色の皮膚が
忌み嫌われているらしい。
テーブルを見ると食事や酒が殆ど無くなっていた。
半分近くはミライユ自身が飲み食いしてしまっていた気がするが……

「では、お会計は私のほうで、皆さん、宿が取れていますので、お部屋までどうぞ!」


――


宿は大部屋で、ベッドが横に一列に並んでいた。
配置が四角だったらどうしようと悩んでいたが、運に恵まれたらしい。
宿代を出している以上、ミライユが配置については注文をつける。

「では、男性のジャンさんが一番窓側で、その隣にティターニア様。これならお互い慣れてるし、何も起きません……よね?
その隣に私、そしてその隣のドア側にラテさん、でいかがでしょう?」

ジャンをギルドに勧誘するのは今である必要はない。最も情報を得なくてはならないティターニアをとりあえず、
ジャンの隣に置いて安心させ、話を聞き出す。そして、得体の知れないラテを孤立させ圧迫し観察する。完璧な配置だ。

「綺麗な部屋で良かった〜! これで、安心して、寝れそうです!」

ミライユはベッドに腰掛け、欠伸をすると、ローブと、続いてスカートを突然脱ぎだした。
その下はチェイン・メイルになっており、肩から腰にかけて防護しており、特に腹にはさらにチェインが巻かれている。
これは特に腹を意識して防護するものではなく、身体のラインを隠すのが主目的だ。少しでも注目されるのを避けるために。
そして腹のチェインと全身のメイルを脱ぐと、完全に下着姿になった。
胸は大きく、さらに目立つのは普段は見れないくびれた腰から尻への柔らかいラインだった。
細かい斬り傷や矢傷の痕が残っており、鍛えられた臍周りには痣のようなものも見られる。

30 :
「あぁー、重い重い! こうやって武装を取るとスッキリしますね!」

チラリ、とジャンの方を見て、目を合わせる。折角の機会なのだ。さらにティターニアの方を見て、
右隣のラテにも見せびらかす。スタイルなら勝ってはいるだろう。スタイルなら。

>「我の専門は考古学でな、と一言でいってもまあ節操のないもので世界の謎を解き明かす学問、とでも言おうかな。
この世界と魔力や魔術は切り離せぬものであるゆえ魔術学園でも研究対象となっておるわけだ」

ティターニアが眠るにはまだ早いとばかりに薀蓄を垂れ流しはじめる。
ミライユはそれを聞き流しつつ、下着の上から直接スカートを履き、ローブを着る。こうなると今までのミライユとは印象もだいぶ違う。
外に出ればあっという間に男達に襲われるだろう。

>「我々の業界で今アツい話題と言ったら当然古竜の復活――
そなた達は竜の『指環』、というのを聞いたことがあるか?
古竜を倒せるとも伝説によっては自在に操ることが出来るとも言われておる。
まあおとぎ話のようなものだ。冒険者の中にはそれを……」

(『指環』――!)

思わぬキーワードにグキリ、とローブを着込む体勢で驚いたので、腰を捻ってしまう。
ローブに手をかけたまま、ベッドに倒れこみ、ジタバタするミライユ。

「痛たた、何でもありません、何でもありませんったらー!!」

ジャラジャラジャラ……。

ミライユのローブの懐から、五枚ほどの銀色のプレートが音をたてて宿の床に落ちる。
No.547、No.780、No.1012、No.1017、No.1102
それは男女五枚の名前の刻まれたギルドの正会員証だった。

「うう〜、痛かったぁ……はッ!」

ようやく着替え終わったミライユは、ようやく大事なものを落としたことに気付いた。
他の三人にそれらを見る時間を充分に与えてしまう。恐らく名前も一部見られてしまっただろう。

「あぁ、うっかり落としちゃいました…… これ、ラテさんと同じでまだ正式にお渡ししていない会員証なんです。
あ〜 危ない危ない……これ失くしたら、マスターに怒られちゃいますね」

(……な訳ないでしょう! 余計なもの見られちゃったかなぁ?)

それは今回ソルタレクを出立する際、ついでにマスターに課せられた任務。
――「偽の任務で特に素行の悪い会員五名を"始末"してこい」との内容。

相手は男三人、女二人。ミライユは前もって六人パーティーを組み、その中でも男二人とは特に親しくして、
金を払って自分の傘下に引き込んだ。
そして目標のポイント。ミライユたちはキャンプと偽ってまずは男二人と組んで残りの男を抹殺し、女二人を攻撃した。
ミライユからは「好きにして良い」と言われていた男たちは、それなりの反撃を受けながらも女たちに重傷を負わせ、慰み者にした。
男とミライユが女たちをRと、次は男たち二人をミライユは脅した。最初男たちは抵抗したが、ミライユの強さを前に屈し、最後は「殺し合って生き残った方を助ける」
というミライユの提案に乗り、殺し合いが始まった。それをミライユは唇を吊り上げながら観察し、最後に生き残った男も命乞いをさせた上で殺した――。
以上が事の顛末だった。

一瞬だけ当時の光景が思い起こされたが、五枚の会員証をさっさと懐に回収すると、既に頭の中は指環のことで一杯だった。
「弱いのが悪い」それがミライユの考え方。マスター以外は転がっている石くれに過ぎない。

31 :
「指環……ですか。フリーの頃に聞いたことがあります。ワクワクしますね。
お手伝いします! ご一緒に気合、入れて、探しましょう!」

勿論嘘だ。指環などを見つけたら……

(殺してでも、奪い取らなくてはなりませんね……!)

ミライユの心は先ほどのミスと指環の話で少々、動揺していたが、
止めどなく続けられる薀蓄に、少しずつ心が安らいでいくのだった。

>「そうそう、古代都市といえば明日行くテッラ洞窟、地底都市への入り口があるとかいう都市伝説が学園生徒達の間でまことしやかに囁かれておるぞ。
といっても普段はしょっちゅう学園の生徒たちが探検にいっておるのだ、もしもそんなものがあったらとっくに見つかっておるだろうがな!」

「アハハっ! 確かにそうですね! 修学旅行気分で、探検、楽しみましょう!
私は、ティターニア様の面白いお話をお聞かせ願えれば充分ですから!」

>「学生というのはその手の噂話が好きでの、あの想像力には感心するわ。
例えばダーマの図書館が無限地下ダンジョンになっておるとかな」

「ダーマですか! 私、子供の頃はダーマのファンで、色んな伝説の本を読んでたんですよ!
今思うと、無限地下ダンジョンなんて、魔法の力でいくらでもできるじゃないですか。
しょぼーん。大人になるって、嫌ですね〜!」

気がつくと酒やツマミを片手にニコニコと笑顔を振りまきながらミライユは談笑していた。
ティターニアのベッドの周りにジャンやラテが集まり、ある種寝る前の怪談話のようになっている。

「それじゃ、ティターニア様の次はジャンさん、その次はラテさん、って感じで話していきませんか?
面白くなかったら、罰ゲームってことで!」

ミライユが勝手に提案し、話は勝手に盛り上がり、夜は更けていった。
自分の番になるとマスターの武勇伝や自分がやらかしたドジなどについて語り、場を適度に和ませる。

ティターニアの男性経験についてつついたり、ジャンに抱きついて仮会員証を無理やり懐に入れたり、
ラテをふざけて脱がせようとし、トランジスタグラマーの恐ろしさについて語ったりしながら、
やがてだらしなく自分のベッドで布団もかけずに眠りにつこうとするミライユ。

しかし、彼女の頭の中は、指環への野心とティターニアへの興味で一杯だった。

(ティターニア――この女ならきっと何かを知っています。
必ず、指環を見つけ出させ、マスターへのお土産にしてみせます。
たとえ、誰かに犠牲になってもらおうとも……!)

32 :
【用語のミスがありましたので訂正を。】

>>28 上から目線も様になっている。→上目遣いも様になっている。

33 :
>「ティターニア、レンジャーってのは一人いるだけで安定するもんだ。
 魔術に頼った偵察が罠を見抜けずに踏み抜いた、なんて例はたくさんあるんだぜ」

>「うむ、高度な魔術罠を見破れる魔術師が超単純な物理罠を見抜けるとは限らぬからな。
  頼りにしておるぞ、ラテ殿」

「やった!ありがとうございます!まっかせといて下さい!」

やったー!自分の実力が認められるって嬉しいよね!
いやー洞窟探索に向けて心強い仲間が出来たなぁ。
……い、いや、この二人とミライユさんに近づいた理由も忘れてませんけどね?

別に嬉しくてつい素が出たとかじゃないし。これもヒュミントだし。
ティターニアさんの手を取ってぴょんぴょん飛び跳ねちゃったのもヒュミントの一環だし。
う、嘘じゃないし……。

と、不意にぐうぅ、と異音が聞こえた。
異音っていうか、腹の音だよねこれ。
聞こえたのは……ミライユさんの方からだ。

うわ、めっちゃ顔赤くしてる。かわいい。
本当に……さっき私に殺気を向けた人とは思えない。
これは……ヒュミントなんだろうか。それとも、これがこの人の「素」?

>「では、早速ですが、腹ごしらえでもしながらゆっくり語らうとしましょう。
  今晩に限り、ティターニア様たちの分は、私の方でお出ししますので、お気になさらず」
 
>「それは誠にかたじけない。ではお言葉に甘えてご馳走になるとしよう」

まぁそんなこんなで宿を取って夕飯を食べに行く事に。
ここアスガルドは大量のマジックアイテムが集まる性質上、冒険者達も集まりやすい。
買い手として、或いは売り手として。

だから懐に優しい感じの宿を探して回る必要もないんだよね。
ほら、ミライユさんも迷いない足取りで『フェンリル』へ……ってちょっと待ったぁー!

ここ超お高い感じなところじゃん!
フェンリルって言ったら「名前の由来は生半可な輩が足を踏み入れると財布の中身を食い尽くされるから」
なんて噂される、清々しいほどお金持ちをターゲットにした高級ホテルですよ!

いやまぁ、ソルタレクのギルドマネージャーともなればお金には困ってないんでしょう。
それにジャンさんとティターニアさんに取材してる立場なんだっけ?
だったらそれなりの宿やご飯を用意しなきゃいけないのも分かる。

しかしこの出費は私に痛恨の一撃!
さっき報酬として収穫の四分の一はもらえるって話になったけど、だからって出費が大きくていい訳じゃないんだよぉ。

なんて私が頭を悩ませてたら、ミライユさんがさらっと四人分の宿代を払ってた。
あれ?もしかして私も「ティターニア様たちの分」に含まれてたり?
……こ、ここは素直に感謝しておこうかな!

>「すっごい腕……よく鍛えられているし、大体の敵なら一薙ぎですね!」

こうしてる分には、感じの良い女の人なのになぁ。
この底抜けの明るさが、かえってあの乾き切った殺気を私の記憶の中で際立てている。

私は冒険者同士で争うのとか、あんま好きじゃないし、出来ればミライユさんとも仲良くしたい。
とは思うんだけど、感覚だけで生きていけるほど私は強くないからなぁ。
ミライユさんは、なんで私を殺そうと思ったんだろう。

34 :
……あ、この猛火牛のフィレ肉のグリルめちゃくちゃおいしい!
猛火牛ってのはその名の通り、とんでもない勢いの炎を吐いたり、炎を纏っての突進をかましてくるモンスター。
その火力の秘密は体中に溜め込んだ燃料……つまり脂なのだ。

だから猛火牛のお肉ってすんごいおいしいの。
口の中でとろけるって表現はこの牛の為にあると言ってもいい。
仕留めた剣を思わず舐めたくなるなんて噂まで聞くけど、これは確かに舐めちゃうかもしれない!

でも猛火牛は戦闘態勢に入ると体内の脂を放火用の臓器や角などに移動させちゃう。
そうなるともうお肉もパサパサ。
まぁそれはそれで戦士系の人達が肉体作りに重宝してるんだけど。

とにかく、猛火牛をおいしいままで仕留めるには熟練の技が必要なのです。
それに加えて調理も単純だけど難しい。
その素晴らしい脂が落ちないよう、それでいて生焼けに感じさせない絶妙な火力と時間感覚が求められるからだ。

っとと、そんな職人芸の結晶を冷ましちゃ罰が当たっちゃう。
ので二口目を……お、おいひい!

>「ほほう、ミライユ殿はたくましい男性が好みか。
  ああ、念のため申し添えると我とジャン殿は別に恋人関係というわけではないゆえ遠慮しなくても良いぞ」

>「勿論、たくましい男性が好みです! ただ、私は、先約がありますので、別にお付き合いしたいとかでは……
  お二人ともやっぱり付き合うならたくましい男性が良いですよね、ね!?」

私が目の前の皿に心を奪われてると、ミライユさんが話を振ってきた。
この人、めいっぱいジャンさんをからかうなぁ……。

「まぁ、弱いよりは強い方がいいですよね。こんな稼業ですし」

まぁ私も乗るけどね!見るからに困っててちょっと面白いし。

「それにジャンさんは心根も優しそうです。強さよりも、私はそっちのが好印象だし大事かなぁ。
 どんなに強くたって、性根がねじ曲がってたらただの超嫌なヤツですもん。
 ……パーティ、入れて下さって本当にありがとうございます。私、明日はばっちし頑張りますから!」

おーっと、ここでラテちゃんのレンジャーズギルドお墨付きスマイルが炸裂ぅー!

そう言えば、よく作り物めいた笑いを指して「目が笑ってない」って表現するよね。
あれってなんでそうなっちゃうか知ってる?
普通、自分が今から騙そうと思ってる相手からは目を離したくないよね。
だから笑ってるのに目だけぱっちりになっちゃうんだってさ。

つまりどういう事かって、私のこのスマイルは完璧って事。
だって騙すつもりなんて別にないんだもん。

なんて話をしてたら、いつの間にかテーブルの上の料理はあらかた無くなっていた。
大皿料理は殆どミライユさんがたいらげてたような……あの細い体のどこにそんな質量を。

>「では、お会計は私のほうで、皆さん、宿が取れていますので、お部屋までどうぞ!」

しかしここの料理のレベルはめちゃくちゃ高かった。
多分お値段もめちゃくちゃ高かったんだろう。
これはお部屋のグレードにもかなり期待が高まっちゃいますよ。

35 :
そんな訳でお部屋へ。なんかもうドアの時点でそこらの安宿とは違う。
蹴れば破れるような薄板じゃなくて、重厚そうな……これはフェアリーズベッドかな。

めちゃくちゃ硬い上に強靭、しかも磨くとすごくきれいな艶が出る木なんだけど、
妖精の寝床って呼ばれるだけあってあんまり背が大きくならないんだよね。
木一本からこのドア一枚削り出してるレベルなんじゃないかな。
このドアのお値段だけで、私が普段泊まるような宿屋なら二週間くらい泊まれちゃうかも。

そんな事を考えてると、ドアの解錠音が聞こえた。
ジャンさんの小脇ごしに、部屋の中を覗き見た感想は……

……めちゃくちゃ広い!それに綺麗だ!いい匂いもする!
照明も天井に散りばめた魔導クリスタルを介した光魔法で目に優しい明るさ!
備え付けのお菓子やお酒もさり気なく高級品だ!これは部屋代とんでもなさそう!

はい、ここまで僅か一秒弱。これがトレジャーハンターのスキル【目利き】です。
洞窟内で披露するタイミングがなかった時の為に使っておきました。

>「では、男性のジャンさんが一番窓側で、その隣にティターニア様。これならお互い慣れてるし、何も起きません……よね?
  その隣に私、そしてその隣のドア側にラテさん、でいかがでしょう?」

「え?あぁ、私は別にどこでもいいですよー」

……っと、なんか素で答えちゃったけど、わざわざ指定してきたって事は何か意味があったのかな。
でもどういう配置になっても、結局事が起こる時は起こるだろうし、逆も然り。
運否天賦でしかない状況で大事なのは、現状のデメリットを理解しつつ、前向きである事なのです。

例えばミライユさんの言った並び順なら、少なくとも私に危険は無さそう。
だって自分からジャンさん達に声をかけていってこの状況を作ったのに、それをぶち壊す意味がないし。
いや、初対面で殺気を向けてくる人に「意味がないから殺されない」はちょっと怖いけど。

>「綺麗な部屋で良かった〜! これで、安心して、寝れそうです!」

まぁ、この並び順にして何か突発的なメリットが生まれればそれでよし、くらいの感覚なのかな。
だからミライユさんもこうして呑気に振る舞ってるんだろう。

……って、うわっ!早速脱いでるしこの人!
一応ジャンさんがいるんだし、一言断った方が良かったんじゃ。
この人の中の公私はどういう形で分離してるのか、私にはよく分かんない……。

>「あぁー、重い重い! こうやって武装を取るとスッキリしますね!」

ていうかこれ見よがしに見せびらかしてるし、これさっきの続きのつもりなのかな?
うーん流石にちょっと趣味が悪い気もする。

けど、細いなぁこの人。
さっきの強さを見てなかったらちょっと健康を心配するレベルで細い。

しかしあれだけ食べてこの細さ……うーん、世の女性は羨んでやまないだろうなぁ。
私?私は食べたら食べただけ太るけど、ちゃんと運動してますから。
ダンジョンでモンスターから逃げたり、断崖絶壁から向こう岸にジャンプしたり、徐々に降りてくる岩の扉の下に滑り込んだり。
ヘマをやらかさなくなったら、今よりもうちょっと太るかもなぁ……。

>「我の専門は考古学でな、と一言でいってもまあ節操のないもので世界の謎を解き明かす学問、とでも言おうかな。
  この世界と魔力や魔術は切り離せぬものであるゆえ魔術学園でも研究対象となっておるわけだ」

まぁそんなこんなで荷物の整理とかお風呂とかを終えた後、
ティターニアさんがインタビューへの応対をしようかと切り出した。

36 :
>「古竜には四星竜という手下がおってそれらを全て倒さぬと親玉にたどり着けぬ、とかな。
  自主制作の冊子で”奴は我ら四星竜の中では最弱……!”とか言わせてみたりの」

そうして語られた古竜と指環の伝説は、私も聞いた事がある。
普通に有名な話ってだけじゃなくて、トレジャーハンターは知っているのです。
それらは決して、根も葉もないおとぎ話なんかじゃないって。

何の理由もなく、きっかけもなく、伝説は生まれたりしない。
作り話だったとしても、何かしらの原型やモチーフが存在する筈。
だから私達はそのおとぎ話を調べて、調べて、調べ上げる。
例えそのおとぎ話が作り話だったとしても……その原点には、もしかしたらお宝が眠っているかもしれないからだ。

……って感じの事を喋りたい!
トレジャーハンターやってる身としてはその話すっごく乗っかりたい!
けど邪魔しちゃ迷惑だろうから大人しくしてます。しょんぼり。

>「痛たた、何でもありません、何でもありませんったらー!!」

うわぁ!びっくりしたぁ!
驚いて振り返ると、ミライユさんがローブを着る途中でベッドに倒れ込み、藻掻いていた。
どうも腰を捻ったみたいなんだけど、自分から取材を申し込んだのにこの人ちょっと自由過ぎる……。

あ、なんかローブから零れた。
あれは……冒険者ギルドの会員証?

>「うう〜、痛かったぁ……はッ!」

ようやく痛みが引いたらしくミライユさんはローブの襟ぐりに頭を通す。
そして……自分が落っことしたものに気づいた。

>「あぁ、うっかり落としちゃいました…… これ、ラテさんと同じでまだ正式にお渡ししていない会員証なんです。
  あ〜 危ない危ない……これ失くしたら、マスターに怒られちゃいますね」

そそくさと会員証を拾い上げつつ、ミライユさんはそう言った。
まぁ……私はもう、今更だから特筆すべき事はない。
あえて言うなら、改めて嫌な現実を目の当たりにさせられて胸がモヤモヤしてます。
うーん……これでジャンさん達が彼女に不信感を抱いてくれればラッキーだけど。

>「指環……ですか。フリーの頃に聞いたことがあります。ワクワクしますね。
  お手伝いします! ご一緒に気合、入れて、探しましょう!」

ミライユさんが話題を指環へと戻す。

ティターニアさんは見た目からは分からないけど、やっぱり人生経験が豊富なんだろう。
私がトレジャーハンターって事を除いても、聞き入りたくなるような話し方が上手い。
そこにミライユさんも加わって、時たま皆に話を振るもんだから、
いつの間にか取材と言うよりただの談話会みたいになっちゃった。

>「それじゃ、ティターニア様の次はジャンさん、その次はラテさん、って感じで話していきませんか?
  面白くなかったら、罰ゲームってことで!」

あ、これまた気分だけで喋ってるやつだ。
私なんとなくだけどこの人の事が分かってきた気がする。
切り替えが早すぎるんだ。そう、色んな事に無頓着過ぎる。
今んとこ例外は、マスターの話をしている時くらい……と。

「えぇー……どんだけジャンさんを困らせたら満足するんですかこの人……。
 まぁ、ご愁傷様です。私先にお話するんで、頑張ってネタ考えといて下さい」

こほん、と咳払いを一つ。

37 :
「……それじゃトレジャーハンターらしく、私も指環のお話を」

ちょっとさっき書いた事の焼き直しになっちゃうんだけどね!許してね!

「知ってましたか?古竜と指環の伝説って、地方によって少しずつ形が違うんですよ。
 例えば帝国の方では、指環は最後火山に投げ入れられ、ベヒモスに委ねられておしまい。
 って話が広く伝わってますが、実はそれ以外にも口承として色んな話が残ってるんです」

昔調べた事を振り返るように冒険の書をぱらぱら捲りつつ、私は喋り出す。

「指環は奪い合いの末、滅びた古代都市と共に海の底に沈んだとか。
 指環を巡る争いに嘆いた大地の神が体を震わせ、それが大地震となって地面を割り、指環を手にした勝者をも飲み込んだとか。
 指環の力は一つの都を滅ぼすどころか、灰燼に還してしまい、その跡地は今では大砂漠になっているとか。
 指環は人の世には過ぎた力だと、時の聖女が神の落とした雷に指環を結んで、天に召し上げられた勇者へ返したとか……
 地獄の大穴に返された、なんてパターンもありますね」

節操ねーなー!って思うじゃん?
でもこれって実は、ちゃんと元を辿っていけば納得のいく理由があるの。

「これらは多分、どれもベヒモスに委ねられたって所から始まってるんです。
 ベヒモスは、神々の時代から今の世に至るまでに、色んな姿を想像され……与えられてきましたからね。
 例えば大地を支える巨大魚バハムートは、元々はベヒモスの名を読み替えたものと言われてます」

つまり大地震がーって説はここから来てる可能性が高いって事。
火山の説はベヒモスが一千の山のある地に住むと言われていたから。
砂漠の説はベヒモスの背中には大きな砂漠があるって話だから。
海底の説はベヒモスが元々は海に住んでたとか、バハムートが魚の姿だから。

地獄の底にって話は……地方によってはベヒモスは悪魔として扱われてるからかな?

「勿論、中には本当にただの作り話もあるでしょうけどね。
 でも……その中の幾つかは、元を辿っていくとたった一つの言葉に収束する。
 そう考えると……古竜と指環の伝説、なんだか信憑性があるように思えてきませんか?」

いやね、実際あり得る話だと思うんですよ私。

「少なくともこの世界は、古い古い神様達が一週間で天と地と命を創り出したって奇跡の上に成り立ってる……なんて話もある訳で」

一週間って。絶対半分くらいノリで創ったでしょ世界。
なんか動物達にやった寿命いらんって返されたから全部エルフと人間にやるわの下りとか。
半々くらいにするつもりがエルフに多くやりすぎたけどめんどいしこれでいいわとか。

いや、大変ありがたいんですけどね。
長いようで、少し短い命を与えられたからこそ、人間は限られた生命の中を走る事が出来た。
だから色んな発見や成功を掴み取って、文明を築いてこれたのだ。
ちょっと話が逸れたけど要するに。

「その奇跡に比べれば、古竜や指環なんて全然あり得る話でしょ」


【ネタの種にでもなればいいなって感じで!】

ちょびっと余白があるし、また落書きしちゃおうっと。
そんなこんなで消灯したんだけど、その時に部屋のあちこちに魔力の糸を張ってたら変な目で見られちゃった。
トレジャーハンターってやっぱりお宝を持ってるってイメージが強いから、寝込みを襲われる事もあるみたいなんだよね。
だからレンジャーズギルドでは、寝る前に何かしらの夜襲対策を徹底するよう教育されるの。

ちなみに糸は切れても特に何も起こりません。
ただ私の指に繋がってるから、切れたら分かるし私が飛び起きるってだけ。
別にミライユさんを警戒してって訳じゃないんだけど、誤解されたらちょっとやだなぁ……すやぁ。

38 :
ジャンにとって人生で最も気まずい晩餐が続く中、ティターニアがジャンのことを話題に出した。
早く食事を終わらせるために黙々とうつむいて食べていたジャンにとっては後ろから味方に斬られたようなもので、
冷や汗がじっとりと背中を伝うのをジャンは感じていた。

>「勿論、たくましい男性が好みです! ただ、私は、先約がありますので、別にお付き合いしたいとかでは……
お二人ともやっぱり付き合うならたくましい男性が良いですよね、ね!?」

>「まぁ、弱いよりは強い方がいいですよね。こんな稼業ですし」

>「それにジャンさんは心根も優しそうです。強さよりも、私はそっちのが好印象だし大事かなぁ。
 どんなに強くたって、性根がねじ曲がってたらただの超嫌なヤツですもん。
 ……パーティ、入れて下さって本当にありがとうございます。私、明日はばっちし頑張りますから!」

他の二人まで話題に乗ってきた。冒険者として10年ほど経験を積んでいるジャンは恋愛経験がないわけではなかったが、
それでも女性からこのような話題を振られるのは、はっきり言って経験がなくジャンは返答を考えるのにかなりの時間がかかる。

(いつも他の奴と組むときは男ばっかりだったからな……人間やエルフの女冒険者は見た目がオークってだけで嫌な目で見てくるしよ……)

雄のオークは性欲が強く、異種族を平気で襲うと他種族からは思われているが、実際は違う。
傭兵や船乗り、大工を営むことが多いオーク族は必然的に肉体労働をする者が多く、そういった仕事の近くには必ず需要に対する供給として
性関係の仕事が存在し、仕事帰りの雄のオークがよくそこに通っているというだけなのだ。
もちろん山賊や野盗に転落してしまったオーク族もいるが、犯罪に身をやつす者はどの種族にもいる。

「二人とも、お世辞だとしても嬉しいけどな。あんまり男を褒めるもんじゃねえぞ。すぐに調子に乗るからな……」

喋り終えたときふと、ジャンは昼に冒険者ギルドで聞いた噂を思い出していた。
男女混合で活動していたパーティーが全滅、理由はおそらく恋愛関係。

(――いや、俺たちもそうなるか、なんて考えすぎだな。「あなたに惚れました!」なんて俺に言ってくる人間の女は
みんな冒険者に見せかけた盗賊だった。やっぱり女はオークの女が一番だ)

>「頼りになる方が助手で、ティターニア様もお喜びでしょう。ジャンさん、ところで、
冒険者ギルドには興味ありませんか? 今なら、私の権限で、仮会員証を発行できますが……!
ギルド正会員になれば、安定した収入も、夢じゃないですよ!」

ジャンの腕から手を離し、ようやく食べることに集中できるとジャンが思った直後に
またミライユが話しかけてきた。今度は冒険者ギルドへの勧誘らしい。

39 :
「……悪いけどよ、俺もう入ってるんだわ」

そう言って腰の布袋の紐をほどき、中から取り出した冒険者ギルドの会員証を見せる。
鉄で作られたそれには短い文章が刻まれていた。

『以下の者を冒険者として認める。ジャン・ジャック・ジャンソン』
『鋼鉄都市スクリロ支部 No.95 鶴嘴の月 銅の日』

ちなみに鋼鉄都市スクリロはハイランド連邦共和国の湾岸部にまたがる細長い都市の名であり、
地下に大量の鉱脈を持つ巨大鉱山でもある。

「だからよ、二重に入るってわけにもいかねえだろう。そこらへんの規則はよく知らないけどよ」

ミライユの勧誘を断っている間、気がつけば食事がようやく終わっていた。会計は言われた通りミライユに任せ、部屋へと向かう。
部屋は普段泊まっている安宿とは違い床はきしむ音がせず、ベッドは白さのあまり輝いて見える。

>「では、男性のジャンさんが一番窓側で、その隣にティターニア様。これならお互い慣れてるし、何も起きません……よね?
その隣に私、そしてその隣のドア側にラテさん、でいかがでしょう?」

あまりの高級さに気後れしていると、ミライユがベッドの配置を指定してきた。食事代や部屋代を出されている以上文句は言えないが、
護衛主であるティターニアと離された位置に置かれるのであれば警戒する必要がある。
だがそうはしないところを見ると、どうやら監視以上の目的はないのかもしれない。

「ああ、それでいいぜ。俺もいざって時には助手としての役目を果たせるってもんだ」

そうしてベッドに腰かけたミライユは、いきなり防具どころか服を脱ぎ始めた。
唐突に起きた目の前の事態にジャンが呆然とベッドに座っているのを見ると、チラリと目線を合わせてくる。

40 :
>「あぁー、重い重い! こうやって武装を取るとスッキリしますね!」

どうやらジャンに見せるつもりだったらしいが、ジャンとしては娼館でたまに見るストリップより色気が感じられなかった。
そういったやり取りを続けているうち、ティターニアがベッドに腰かけて例のミライユからの取材に答え始めた。

>「我の専門は考古学でな、と一言でいってもまあ節操のないもので世界の謎を解き明かす学問、とでも言おうかな。
この世界と魔力や魔術は切り離せぬものであるゆえ魔術学園でも研究対象となっておるわけだ」

>「我々の業界で今アツい話題と言ったら当然古竜の復活――
そなた達は竜の指環、というのを聞いたことがあるか?
古竜を倒せるとも伝説によっては自在に操ることが出来るとも言われておる。
まあおとぎ話のようなものだ。冒険者の中にはそれを真に受けて本気で探しておる大馬鹿者もおるらしいが……」

どうやら探りを入れてみるつもりのようだ。ジャンはこういう腹の探り合いが得意ではないし、好きではなかったので
黙ってベッドの隅に座り、三人の華やかな話し合いを聞いておくことにした。

話し合いの中、いきなり金属音が部屋に響いた。ミライユが何かを落としてしまったらしく、必死にかき集めている。
ジャンの視点から見えたのは冒険者ギルドの会員証、それも正会員証だ。

>「あぁ、うっかり落としちゃいました…… これ、ラテさんと同じでまだ正式にお渡ししていない会員証なんです。
あ〜 危ない危ない……これ失くしたら、マスターに怒られちゃいますね」

(ギルドの会員証ってのは、ティターニアへの取材よりは優先度が低いみてえだな……やっぱり監視に来てるのか?)

>「それじゃ、ティターニア様の次はジャンさん、その次はラテさん、って感じで話していきませんか?
  面白くなかったら、罰ゲームってことで!」

話が進むにつれておかしなことになってきた。そろそろジャンが寝るかと毛布をかぶり始めた頃に
いきなりミライユがまた話題を持ち掛けてきたのだ。

>「えぇー……どんだけジャンさんを困らせたら満足するんですかこの人……。
 まぁ、ご愁傷様です。私先にお話するんで、頑張ってネタ考えといて下さい」

どうやらラテが考える時間をくれるようだ。ジャンはラテの話を聞いている間
何を話そうかとずっと考えていたが、やがて一つの話を思い出した。

「俺の番みてえだな、じゃあ……旅の途中に出会った、喋る竜の話でもするか」

「その竜はダーマ魔法王国のアールバト山脈に巣を構えていてな、通りがかる旅人に昔話を語るのが趣味だった。
 昔話と言ってもそいつは長生きだったみたいでな、数千年前の話を平気でするんだ。まるで昨日の話みたいにな」

「その話の中で一番興味深かったのは、今思えば指環の話だな。なんでも竜の指環ができる瞬間に立ち会ったって言うんだ」

「古竜とその眷属たる全ての生き物が集まり、この世界を作る四つの力との契約が行われた指環。
 力ある者が嵌めれば世界を理解し、世界の王どころか世界そのものになるであろう……なんて言ってたな」

やがて夜が深くなる頃、ジャンはベッドの中で今度は夢を見ることなく、ぐっすりと眠っていた。

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何を思ったかいきなり服を脱ぎ始めるミライユ。
ローブ姿を見る限り自分と大差無い細身だとばかり思っていたが
下に着こんだ鎧や鎖によって凹凸を少なく見せていたようで、グラマラスなメリハリボディが現れる。
ちなみにティターニアは普通に魔術師のローブだけだが、魔術による加護がかかっているので防御力はそこらの鎧には引けを取らない。

>「あぁー、重い重い! こうやって武装を取るとスッキリしますね!」

明らかに見せびらかしているようだが、残念ながらジャンとラテには生暖かくスルーされているようだ。
もしもここが真面目と品行方正を良しとする中央大陸であったら、全くもって正しい反応であろう。
しかしここは西方大陸。多種族が住まい寛容と和とウィットとボケとツッコミを良しとする自由な大陸。
そう言ってしまえば住みやすそうだし実際住みやすいのだが、
人間至上主義の独裁体制、逆に言えば終始偉い人に目を付けられないように大人しくしていればどうにかなる中央大陸とは違った意味で過酷な世界でもある――!
という謎の理論による使命感によるものかは知らないが。

「ふむ、少し触らせてはくれぬか。よいではないかよいではないか、我はそなたのような娘が嫌いではないぞ」

ニヤニヤとした笑みを作りながら構えを取る。哀れミライユはBBAエルフの毒牙にかかってしまうのか!?
しかし実際には指一本触れることはなく手を下ろし、いつもの穏やかな微笑みで諭すように言うのだった。

「――安心せい、冗談だ。
しかし……切り札はいざという時のために取っておいた方がよい。
人は秘められたものに人は心惹かれるものだ、古代の秘宝然り、世界の真実然り、な」

イマイチ分かりにくいが彼女が行ったのは渾身のノリツッコミ―― 一旦乗ると見せかけてツッコむという高度な技法である。
忘れがちだがこれは極限の心理戦、常に相手の上手を行きアドバンテージを取るのだ――!
ティターニアが指環という言葉を口にしたところで、ミライユが腰を捻ってベッドに倒れこむ。

「大丈夫か!?」

>「痛たた、何でもありません、何でもありませんったらー!!」
>「あぁ、うっかり落としちゃいました…… これ、ラテさんと同じでまだ正式にお渡ししていない会員証なんです。
あ〜 危ない危ない……これ失くしたら、マスターに怒られちゃいますね」

それにしては会員証の番号がやけに飛び飛びだった気がするが……。
と疑問を持つも、直接にミライユに殺意を向けられてはいないティターニアは
まさかこのドジっ娘が会員を冷酷無慈悲に抹殺したとまでは考えが至らない。
あんなに料理を美味しそうに食べる様を見せられては猶更だ。

60 :
>「それじゃ、ティターニア様の次はジャンさん、その次はラテさん、って感じで話していきませんか?
  面白くなかったら、罰ゲームってことで!」

こうして、一人ずつ伝承等の話を披露する流れとなる。
トレジャーハンターのラテは、レンジャーとしての腕前だけではなく伝承知識も豊富のようだ。
ベヒモスが登場する一連の神話――そういえば、あのヴォルカナで戦ったベヒモスはどうなったのだろうか、ふと思う。
あの後怒涛の展開で命からがら脱出したような状態のため、それどころではなかったのだ。
ジャンの喋る竜の話も興味深い物であった。

最終的に修学旅行の夜のような雰囲気になってきたところで、ミライユがティターニアの男性経験について切り込んできたりする。
こやつ、侮りがたし――! と思いながらも、謎の修学旅行テンションに後押しされてティターニアは間接的に答えを返す。

「お主、神樹の民にそれを言うか――我らエルフは受肉した精霊。
滅多に死なぬ種族が人間と同じように勝手に増えては人口ならぬエルフ口過多で世界が滅ぶであろう。
子を望む男女二人で神樹ユグドラシルに祈りを捧げ、神樹に認められた場合に限り実が結実し中からエルフが生まれるのだ……って何言わすねん!」

柄でもなく微妙に頬を赤らめ少女のように恥らっているようである。BBAの貫禄が見る影もない。
いつも心の中でツッコミを入れる時に使う西方大陸語も思わずポロリしようものである。
しかし人間から見る限りだと恥じらいポイントが全く意味不明であった。
もしかして、ミライユの仕掛けた罠にはまってすでにペースに乗せられてしまったのか、と思うが時すでに遅し。

さて、この話題が出てしまったからにはハーフエルフ談義は避けては通れまい。
一口にハーフエルフと言っても、神樹から生まれエルフ社会で育てられるエルフ寄りのハーフエルフと
人間社会で生まれ育った人間寄りのハーフエルフの二種類が存在する。
前者は種を超えて神樹の祝福を受けた奇跡の存在としてむしろ普通のエルフ以上に大事に育てられ
後者は……まあ予想が付くとおりエルフの側からすれば余所者扱いである。
ここで当然浮上する疑問が、後者の場合そもそも繁殖方法の違う二つの種族がどうやって子を成すのか、ということだ。
ティターニアの同僚にはそのような分野を研究している者もいるのだが、事例が希少過ぎて協力者が捕まらないため仮説を立てるしかなく
変なダンスを踊ってフュージョンと呪文を唱えながら小指を合わせるとか、カレーをひたすら1か月煮込みまくるだとか、
頭がいい(はずの)学者達が真面目な顔をして珍議論を繰り広げる様は、まさに「笑ってはいけない学会」状態。
とはいっても、人間と本気の恋に落ちた時に肉体が変成する、というのが最有力説なのでご安心あれ――
何にせよとても希少な存在なのでこの旅で出会う可能性はまず無いであろう(※フラグ)

61 :
話を元に戻して、気が付くと、ミライユがふざけてジャンに抱き着いたりラテを脱がせようとしたりの独壇場と化していた――!
もはや何故か男性のジャンまで巻き込んでの女学園の修学旅行状態である。
この状況においても動じないジャンの安定感は半端ない。
もしも女学園出身だとしたら男性の目も気にせずいきなり脱いだのも天然なのか? と混乱してくるティターニア。
今までに出会ったことのない【新ジャンル】暗黒系ドジっ娘に完全に翻弄されているのであった。
騒ぎ疲れてそろそろ眠ろうかという頃、ラテが魔力の糸を部屋に貼っていた。

「なるほど、夜襲対策も万全というわけか。我らも安心で有難いことだ」

どうやら彼女はレンジャーの中でも魔力を積極的に扱う類のレンジャーなのだろう。
もしも怪しい動きをするつもりなら、魔力については専門のティターニアがいる場で、わざわざ自分で魔力を使ったセキュリティを張り巡らすとは考えにくい。
ここまでの過程で、長年の勘によるとラテは少なくとも危険な人物では無いだろうとの感覚は持っていたが、それが確信に近い物へと変わる。
これでミライユも怪しい動きは出来まい、と安心し、眠りについたのであった。

さて、まさかのお泊りイベントで閑話が盛り上がり過ぎてしまったが、そろそろ本筋に戻らねばなるまい。
ジャンとティターニアに暗黒系ドジっ娘ミライユの魔の手が迫る!
小動物系元気っ娘ラテは二人を守ることが出来るのか!? そしてそもそも大地の指環は手に入るのか!?

【>37 うまく拾えるかは分からぬがそういうの好きだ!】

*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*

次の日、一行はテッラ洞窟へと出発した。
アスガルドから洞窟まではそれ程離れてはいないので、程なくして到着する。
普段は開放されている洞窟の入り口も現在は立ち入り禁止となっていて、無鉄砲な学園生徒が入ったりせぬように警備兵が配置されていた。

「ユグドラシア導師、ティターニアだ。近頃強いモンスターが出現するようになったと聞き馳せ参じた」

学園の身分証を見せ、道を開けてもらおうとした時であった。
洞窟の奥の方からドォンと地響きのような音が聞こえてきて、同時に地面が少し揺れる。
「ああ、またですね……」と呟く警備兵。

「初めてではないのか……?」

「はい、少し前から段発的に。次第に感覚が短くなってきているようで……」

「分かった。我々が見て来るゆえそなたらはそこで待っておれ」

「くれぐれもお気をつけて――」

こうして一行は洞窟へと足を踏み入れるのであった。

62 :
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66 :
>『以下の者を冒険者として認める。ジャン・ジャック・ジャンソン』
『鋼鉄都市スクリロ支部 No.95 鶴嘴の月 銅の日』
「だからよ、二重に入るってわけにもいかねえだろう。そこらへんの規則はよく知らないけどよ」

ジャンが共和国側のギルドに入っているという話を聞くと、ミライユは自信満々にさらに前に出る。

「では、尚更じゃないですか! スクリロもソルタレクの管轄ですね。
それは正会員証じゃないんですよ。では、実力が分かり次第、こちらから改めて正会員に加えますね!」

そう言うと、名前の書かれていない銀色の会員証をスカートに仕舞った。

――

ミライユが服を脱いでいると、横にいたティターニアが反応する。

>「ふむ、少し触らせてはくれぬか。よいではないかよいではないか、我はそなたのような娘が嫌いではないぞ」

周囲の反応が予想以上に(特にジャンがドキリともしないので)不満だったのか、一瞬胸をそちらに向けるも、すぐに隠す。

「ダメ、ですっ! これはマスター以外の方には…… それにティターニア様でも魔法の力を使えば……いや、何でも」

そこで言ってはいけない話をしてしまったかのように口を噤み、そのまま着替えを続けるとうっかりと「大事なもの」を落としてしまった。
周囲の注目を引くも、大事にはなっていない。

(会員証については特に疑われてはいないようですね……)

うっかり落としてしまった抹殺の痕は、すぐに回収したため名前までは見られなかった……といいんだが。

>「えぇー……どんだけジャンさんを困らせたら満足するんですかこの人……。
 まぁ、ご愁傷様です。私先にお話するんで、頑張ってネタ考えといて下さい」

「すいません。ジャンさん、弄ると面白いタイプみたいで私、ツボにはまっちゃったみたいです!
じゃあ、面白いお話、期待してますよ!」

適当に流し、ホッと一息をつく。

>「指環は人の世には過ぎた力だと、時の聖女が神の落とした雷に指環を結んで、天に召し上げられた勇者へ返したとか……
 地獄の大穴に返された、なんてパターンもありますね」
>「その竜はダーマ魔法王国のアールバト山脈に巣を構えていてな、通りがかる旅人に昔話を語るのが趣味だった。
 昔話と言ってもそいつは長生きだったみたいでな、数千年前の話を平気でするんだ。まるで昨日の話みたいにな」
「その話の中で一番興味深かったのは、今思えば指環の話だな。なんでも竜の指環ができる瞬間に立ち会ったって言うんだ」

ラテとジャンの話を聞いていると、指環というものが途端に現実味を帯びたものに思えた。
――まるで、強ければ、強ささえあれば、力ずくで奪取することができる、かのような……

(やはり持ち主は竜……の可能性が高いですか。マスターにご報告せず、私一人で奪えるかなぁ……
この三人を利用すれば、あるいは……)

やがてティターニアが柄にもなくノリノリで恋愛経験について語り始めた。
どうやらこのエルフ、話し始めると止まらないようである。
結論からすると「人間世界でのまともな恋愛はしていない」といった感じだ。
それに相槌を適当に打ちながら笑い、眠りにつこうとした。

先ほどからラテの移動するところのそこかしこに魔力の糸が張られている。
消灯が終わってもその仕掛けは残っているようだ。魔術師の一部がよく使う手段で、野営でも使われる手法だ。

ミライユは空間操作をする魔術師でもある。ちょっと驚かせてやろう。
これだけの魔力を動かせばティターニアあたりは気付きそうなものだが、
仕掛けを周到に動かし、調度ラテの前までそれを形象する。

67 :
「ラテさん、ラテさん」

眠りについているのか、その振りをしているのか、彼女にそっと囁きかける。

「上、見てもらえますか?」

ラテは気付いたはずだ。見えない糸が動かされ、何かを込められていることに。そして、ミライユが魔力をラテの指のあたりに収束させると――
ラテの方角から「だけは」そう見えるように、文字が浮かび上がる。

  『ぶっRぞ』

その文字を見ているラテの方を、わあっ、といった感じに軽く叩く。

「わっ! ふふっ、驚いちゃいました? お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした。勿論、これはネタ。冗談です。
私は野営には慣れてますので、三人分の知覚探知は代わりにやっておきます。明日は早いですし、気を張らず寝ていて良いですよ……ぐぅ」

と、言いながらミライユはいびきをかき始めた。
そして夜が明ける。


――

あくる日、四人はアスガルド近くのテッラ洞窟まで来ていた。

「ふわぁぁ、結構寝たのにまだ眠いですぅ、下着は買い込んでおいたので、
今度キャンプがあっても大丈夫ですが。食料はこれで足りますかねぇ」

アスガルドで買った味付きの乾燥パンをボリボリと齧り、ローブの中に着込んだチェインの具合をポンポン叩いて
フィット具合を確かめながら、ミライユは進んだ。

>「ユグドラシア導師、ティターニアだ。近頃強いモンスターが出現するようになったと聞き馳せ参じた」
「くれぐれもお気をつけて――」

(顔パスですか……流石ですね)

洞窟に入る前に念のためにギルドマネージャー級を含む増援を送ることにした。
ミライユの予想では、ここに指環が眠っている可能性が高い。
ティターニアが虚言でミライユを逆に罠に嵌めようとしている線は無いと見た。

ミライユはティターニアたちから比較的大きく間を取り、予め用意してあった小さな"通信石"を取り出すと、
そこに魔法文字による「追記」を行い、洞窟の外へと放った。これはアスガルドの別の宿で待機している仲間へと届けられることとなる。

『――タイザン殿、シュマリ殿、ホロカ殿へ。予定通り発信元の場所への増援をお願いします――
追記:現在ティターニアに張り付いております。目的は指環。情報を持っていそうな方は全て内部にいると見て良いでしょう。
警備の方が数名いらっしゃるようですが、全て殺してしまって構いません。その後は封鎖するのがよろしいかと思われます。』

【洞窟を少し進んだあたりで密かにアスガルド宿泊中のソルタレクギルド員に支援要請を送りました。
適当な場面で乱入させる予定です。】

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71 :
【先に追加キャラのプロフィールから投下しておきます】

名前:タイザン・シモヤマ2世
年齢:51
性別:男
身長:177
体重:68
スリーサイズ:痩せ型に見えるが引き締まっている
種族:人間
職業:ギルドマネージャー/料理人
性格:非常に奇を衒うが中身は常識人
能力:火を操る能力・刀剣術
武器:秘刀「カムイ」
防具:鎖帷子の上に白い独特の模様の衣服と帽子
所持品:食材やレシピ、マジックアイテム等
容姿の特徴・風貌:東国系。髪は黒で長く、頭頂部が禿げている。
簡単なキャラ解説:ハイランド連邦共和国の自治都市インカルシペの出身。
父・タイザンの酒場兼ギルドを引き継ぎ、酒場とギルドのマスターをしていたが、
突如ソルタレクのギルドにより併合され、マネージャーに抜擢される。
本人は旅に出て帰らぬ人となった父が考案した「カレー」を究極のものにすることに余念がない。
マトイという一人娘がいる。インカルシペの仲間たちならず、仲間をとても大切にする性格。

72 :
【所用により夜中から明日の午前まで書き込めません。
この場面は顔見せだけなので、飛ばして次の方に書き込んでいただいて大丈夫です】

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77 :
レンジャー達の朝は早い。
理由は色々あるけど、まぁ単純にパーティを組めば奇襲警戒を任される私達がすやすや寝てたらまずいでしょ。
それに単独行動の時も、場合によっては森や敵地やダンジョンの中で何日も過ごす事になる。

そんな中で一睡もしないのはかえって危ない。
睡眠不足と空腹はどんな英雄にも通じる最強の状態異常ですからね。
かと言ってそんな危険な場所でぐっすりおねんねしてたら、そのまま永眠する羽目になる。

だからレンジャーは睡眠一つにも結構な訓練を積む。
どんな訓練かって、ただの反復練習だけどね。
つまり寝てる時に密かに接近されたり、攻撃されたり。

弱い雷の力を込めた魔法具は、攻撃されても怪我はしないけどめちゃくちゃ痛い。
そんな事を繰り返していれば、その内僅かな気配ですぐに目を覚ませるようになる。
人間の環境適応能力ってすごい。

だから昨夜ミライユさんが私に何かするつもりだったのも、分かっていた。

『うーん……もうおやすみしたでしょ……流石に二人に怒られますよ……むにゃ……』

分かった上で、私はそう返事しておいた。
だってジャンさんティターニアさんの傍で私を殺そうとする事は、まずないと言っていいもん。
あの状況で、私がどんな形であれいなくなったり、死んだりすれば、今後の『仕事』がやりにくくなるでしょ。

昨日、ミライユさんの様子を見ていて分かったのは、彼女は「主導権の取りたがり屋さん」だって事だ。

だから私みたいな、別のギルドに所属している人間にも会員証を押し付けるし、
自分の仕事が絡まない、立場的に強く出ても平気な、つまりこれまた私みたいな相手には脅しをかけてみたりする。

まっ、なんていうか分かりやすいよね。
可哀想だけど、そういうやり方もレンジャーの領分。対策は簡単なのです。

つまり、てきとーにいなして構わなきゃいい。
反応しても疲れるだけだもん、そういうの。

書き方がちょっと刺々しくなっちゃったけど、許して欲しい。
私は誰かと反目したり争ったりするのは好きじゃないけど、
だからと言って私を踏みにじりたいだけの人間にずっと敬意を払えるほど愚かでもない。

……って割り切れればいいんだけどなぁ。

仲良く出来ればそれに越した事はないよなぁ。
うーん……もやもやする。

まぁ、もっと長い時間を共にすれば、まだ見えてなかった一面も見えてくるかもしれないよね。
そうである事を祈ろう。

……それにしてもぶっRぞはちょっとチープ過ぎるのでは。
脅しにしたって、なんかもうちょっとあったと思うんだけど……。

だけど、チープであるって事は、平凡って事。
彼女が平凡な、何かちょっと、ボタンの掛け違いが一つ心の中にあるだけの、どこにでもいるような女の人なら。
それはきっと素晴らしい事だ。……そうである事を、祈ろう。

昨日目にした、ミライユさんの、人らしい側面が……全て偽りだとは、私は思いたくない。

なんて事をベッドの上で丸まりつつ考えていたら、その内ジャンさんとティターニアさんも起きてきた。
そして軽い朝食を取って、私達一行はテッラ洞窟へと出発したのでした。

78 :
>「ユグドラシア導師、ティターニアだ。近頃強いモンスターが出現するようになったと聞き馳せ参じた」

「……ユグドラシア導師!?えっ、嘘、めちゃくちゃ偉い人じゃないですか!」

話の流れからなんかすごい人なんだろうなーとは思ってたけど、これは流石に予想外。
ユグドラシアは説明するまでもないよね。アスガルドの繁栄はあの学園があってこそと言ってもいい。
あらゆる魔法学の最先端を往くあの学園の、導師様って!
という事はもしかして、この洞窟に潜るのもフィールドワークの一環とか?

「という事はもしかして、この洞窟に潜るのもフィールドワークの一環とか!?」

気になったので聞いてみた。だって気になるじゃん。

「専門は……確か考古学でしたよね!それって環境魔法学とか、古代魔法とかについても調べたりするんですか?」

気になる気になる!すごく気になる!
こういう時私はちょっと自制が利かなくなっちゃう。でも気になるものは気になるんだもん。

……あれ?環境魔法学ってご存じない?あー、普通に生活してる分にはあんまり馴染みがないもんね。
まぁ読んで字の如しなんだけどね。環境魔法学ってのは、環境を利用した魔法について調べる学問です。
と言っても、ただ単に植物や鉱物を触媒にした魔法って意味じゃなくて、もっと大きな環境。

例えば大規模な召喚魔法を行う時とかって、人の力だけじゃ到底力不足で、だから星の巡りを利用するの。
星という無数の力の塊が夜空に描く魔法陣を用いて、やっと魔法が行使出来る。
星じゃなくて地脈を利用したり、大昔に生きていた巨大な魔物の亡骸の側で儀式をしたりってパターンもあるね。

まぁそんな感じで、なかなかお目にかかる機会の少ない魔法学なのです。
でも他のどんな学問にも負けず劣らず、すごく偉大な学問なんですよ。

なんでそんなマイナーな魔法学を知ってるのか?
……いや、その、実家が神学者の家系でして。
嘘じゃないよ!ティターニアさん達に聞かれても同じように答えられるし!いやホント。

まぁそれに、夜空に敷かれた魔法陣も、地の底に流れる力の祝詞も、古き偉大な生物の遺骸も、
丸ごと盗み出すには大きすぎるけど、素晴らしいお宝だもん。
トレジャーハンター的には注目度の高い学問なんです。はい、この話はここでおしまい!

と、不意に洞窟の中から轟音……だけじゃない、小さな地震も起きてる。

>「ああ、またですね……」
 「初めてではないのか……?」
 「はい、少し前から段発的に。次第に感覚が短くなってきているようで……」

「……これは、いよいよ怪しいですね。匂いますよ、お宝の匂いがします」

地震や火山の噴火が何故起こるのかは諸説ある。
そしてその中には神や精霊の昂ぶりとか、大きな力が流れすぎて一時的に詰まった地脈が原因とか、
トレジャーハンター的にはピンと来るような説もあるのだ!

しかも地震の頻度が増してきているって事は原因である何かの力も高まり続けているって事。
つまり自然発生的な地震ではない……これは絶対何かあると見たね!

それが昨日、ティターニアさん達が話題に上げた指環なのかは分からないけど。
まーでもあのタイミングで話題にするって事は何かしら意味があるんじゃないかな。
ミライユさんも指環って単語にすごい反応してたし。

「じゃ、先行しますね……って言っても、まぁとりあえずは普通に奥を目指す事になりますけど。
 ……くんくん。うーん、マナの流れはまだ感じ取れないかな」

……え?何を当たり前のように匂いを嗅いでるのかって?

79 :
「もし魔物達を凶暴化させてる魔力の源が、どこかに隠された地下都市にあるなら、
 どこかからその魔力が漏れ出てきていると思うんですよね。あ、進みましょうか」

いやいや、レンジャーたるもの鼻でお宝の匂いくらい嗅ぎ取れなくてどうするの。
これは別に冗談とかじゃなくて、レンジャーズギルドでは六感を鍛える訓練を積まされます。

私の場合は、五感を第六感で補う訓練。
二十四時間ずっと目隠しをさせられて、その状態でギルド内を自由に歩き回れるようになるまで外せないの。
当然そんな事、匂いを嗅ぐとか、音を聞くとか、その程度の工夫では出来る訳がない。

いやマジでしんどかったよ。訓練だから先輩達もわざと体をぶつけたり、急に大声で呼んできたりする。
トイレに行くだけでもビクビクしなきゃいけなかったし、一時は怖すぎてそのままトイレに閉じ籠もったりもした。

でも出来ないままじゃいつまで経っても目隠しは外せない。
そんな生活を延々続けていると、いつの間にか感覚が鋭くなっている事に気付く。
それは見えないものを感じ取る為に、体が第六感を効果的に使う事を試み始めたから。

その第六感ってのが、つまりは魔力を感じ取る感覚なのです。

訓練が色々とスパルタ過ぎない?って思うでしょ。
でもこれくらい頑張らないと、レンジャーになってもすぐ死んじゃうから、仕方ないんだよ。

レンジャーも、ハンターも、シーフも、アサシンも、スパイも、トレジャーハンターも、
およそレンジャーと呼ばれるクラスは、たった一人、ないし極少数で、大きな相手と戦う事になる職業。
だから徹底的に自分を磨き上げる必要があるの。

ギルドでその為の訓練をしてもらえるのは、正式にレンジャーになって暫くしてやっと分かる。
それは後進への大きな愛情なんだよ。

ちなみにこれはあくまで「出来ない人間が出来るようになる為の訓練」ってのが泣ける。
出来る人は生まれつき、体を動かす為に魔力を使うって事が出来るのです。
魔力と体力が結びついてるって言うのかな。優れた戦士や武闘家が技を放つ時、魔力に似た気配を感じるのはその為。
他にも普通に素の身体能力だけで人外じみてる人もいたり……村娘Aには辛い世界だなぁ。

まぁそんな訳で、私はマナの流れだろうと嗅ぎ取る事が出来る。

「あ、ちょっと待って下さいね。もうちょっと匂いを分かりやすくします」

そう言って宝箱をがさごそ……と取り出したのは沢山の『灯火の杖』。
炎の杖じゃなくて?って思うじゃん?
これは込められてる魔法が弱すぎて、炎と言うほどの威力が出せない低レアマジックアイテムなのだ。

でも松明代わりにはなるから回収して売るとそこそこ捌ける。
この手のアイテムは元から篭められていたり、大気中にあるマナを使うから魔力も浪費しないし、洞窟の中でも窒息の恐れがなくて安心。

ここで重要なのは、大気中のマナを使うって事。
この洞窟の中のマナを使って杖に火を灯していけば、大気中のマナ濃度は少しずつだけど薄くなっていく。
そして隠された古代都市があるならそっちとこっちでマのナ濃度差が生まれる。
するとどうなるか。

「……うん、風を感じます。濃いところから薄いところへ流れる、マナの風を」

干しスライムを水に突っ込むとすごい勢いで膨れ上がるじゃん?
理屈的には大体そんな感じ。水があるところから、ないところへ。
後はお化けナメクジに塩をかけるとめっちゃ萎むとか。

80 :
さておき、これでマナ濃度の違う、別の空間の存在があるとはっきりした。
後はマナの風が示す道に沿って進んでいけば……ほーら。

アスガルドで見たオオネズミよりも更にデカいネズミの群れが!
ってなんでやねーん!

中にはなんか二足歩行になってるのもいるし……これは良くない。
人間の姿に近づいてるって事は、力だけでなく知性をも手に入れようとしているって事。
洞窟を封鎖するのも納得だね。学生さんが食べられでもしたら、色んな意味で厄介だ。

えー、マナの風は確かにこの奥から吹いてきてるんだけど……私一人ならともかく、全員気づかれずに抜けるってのはリスキーかな。

「……始末しちゃいましょう。もしかしたら、何かを守っているのかも」

何らかの要因で知性を得た魔物や獣が、その源を崇め、守ってるってケースはたまにある。
それは別にマジックアイテムとかじゃなくて……この先の空間そのものかもしれない。
ていうかそうだったら嬉しいんだけどなー。

「私が仕掛けますね。仲間を呼ばれても面倒ですし、上手い事全部仕留めてみます。まぁ、ミスったらフォローお願いしますね」

ラテちゃん特製爆弾を使えばこれくらいはイチコロなんだけどね。
流石に洞窟の中でぶっぱなすのはなぁ。そんなリスクを冒すほど状況も差し迫ってないし。

と言う訳で宝箱から取り出しましたるは、ピックを数本と、ヘブンスパイダーの毒を一瓶と、ショートソードと、んふふふー。
そして私は周囲の風景に自分の気配を同化させた。
先端の鋭いピックは獣の分厚い皮を貫いて、塗りつけた毒を体内に届ける。
一応頚椎を狙ってはいるけど、毛皮で手元が狂っても良くないしね。

ちなみにヘブンスパイダーってのは麻痺毒に長けた蜘蛛のモンスター。
噛まれた獲物は痛みすら感じず、全身がリラックスしたように弛緩して死んでいくからヘブンスパイダー。
この毒は濃縮したり効能を強めるよう調合すれば大型のモンスターにも通用するから結構便利。

刺したピックは抜かない。血の臭いが強くなったらバレちゃうからね。
とは言え……抜かなくても、時間の問題ではある。

……気付かれた。私の居場所はまだバレていないけど、仲間を呼ばれたらそれだけで私としては仕事は失敗だ。

「まぁ、もう遅いけどね」

そして私は、分厚い皮の鞘に収めたままのショートソードを【不銘】に番え……後方に向かって射ち放った。
あ、勿論ジャンさん達から狙いは外してありますよ……っと、血の噴き出す音。
既にネズミ達の首に括り付けてあったヘブンスパイダーの糸が、ショートソードに強烈に引っ張られ、首を切断したのだ。

さっきのんふふふーはこの糸をぼかしてたのです。
なんでかって?だってその方がカッコよく決まるし……あと、ほら、ネタバレとかよくないし……。
ちなみにヘブンスパイダーの麻痺毒が優れている理由は、糸が強靭だけど伸縮性がなくて、獲物を捕まえるのに向かないから。
だけどこういう用途には大変便利で、毒も糸も優秀だからと、レンジャーの中には捕まえてきて飼育してる人もいるくらい。
私?実はこの宝箱の中には……ふふふ、なーんて。

81 :
さておきショートソードも回収して、これで道は開けた。

「ちょっと前をお願いします。私は一旦、後ろに警報程度の罠を張っときます。
 血の臭いで何か集まってくるかもしれませんので」

そんな訳で脆い糸と薄い金属板で鳴子を作り……私は首を失ったネズミ達の死体を見る。
そして未だにその断面から溢れる血を、宝箱から取り出したポーション瓶で回収する。
……いや、魔物の血って魔法薬の素材として優秀なんですよ。
こんだけ強化された魔物なら、それはそれは強い効能が期待出来るんです。
私にはそれ以外にも、別の用途があるしね。

でも私みたいな小娘が魔物から血を抜いてると大抵の人は変な目でこっちを見てくるの。
つらい。
だからちょっとこそこそとさせてもらいました。

ともあれ、マナの匂いもかなり濃くなってきてる。

「そろそろ、何かありそうな気がするんですけどね。壁とか床とか、
 古代都市を隠してるなら魔法的な仕掛けがあるのかも……どれどれ」


【てけとーに話を進める下準備だけしときましたので後はよろでーす】



さーて!またもや余白が沢山だ!純度100パーセントの落書きを見せてやる!
……って意気込んだ時に限ってなんだか書く事が思いつかない。

うーん、うーん……あ、じゃあ今回は魔力を使うレンジャーについてでも。
昨日ティターニアさんがなんか珍しそうに見てたし、
もしかしたら以前に身体的素質だけでやってるレンジャーでも見た事あるのかもね。

さっきも書いたけど、素質がある人は生まれつき魔力をまるで体力のように使う事が出来る。
その結果生まれるのは強烈な身体能力。
言い方は悪いけど、生まれつき体の作りが魔物にちょっと似ている、と表現すると分かりやすいかな。

でも私はそんな才能はこれっぽっちもない村娘Aだったので、色々と訓練を積んだのです。

では本題。そもそもレンジャーと魔力、魔法って、そんなにかけ離れたものなのかな?って所から。

例えばアサシン。
その由来は古くに栄え今でも密教としてどこかに残っていると言われる、とある宗教。
そこでは老人が若者を攫い、山中の楽園で秘薬を振る舞い、極楽を味わわせ……目が覚めたら若者は下界にいる。
そして懐には人名と、「楽園に戻りたくば使命を果たせ」と記された紙切れ、それに短剣……

宗教を拠り所にして、人界から離れた地に住まい、極秘の薬物で人を惑わし、操る……これなーんだと言われて。
魔女ですって言われたら、あーって納得しそうじゃない?

それに狩りを司る神様って結構いるんだけど、その中でも超有名な女神アルテミス様。
彼女の従姉妹には魔術を司る女神ヘカテー様がいるのです。解釈によっては同一神と扱われたりもするけど。
まぁつまり狩猟者と魔術師ってかなり属性的に近いところにいるの。

狩人も自分達だけの毒薬を作り出したり、あらゆる自然と命を崇め、その恩恵を求めたりするしね。
トレジャーハンターも、古代の遺跡に挑むなら魔術や呪いへの知識が不可欠だ。

そう、私も色々と勉強してるのです。例えば……レンジャーズギルドでも教えてもらえない、古代魔法とかね。

なんか良さげなタイミングがあったら、ティターニアさんに振ってみたいなぁ。
誰もが忘れた、なのに皆が覚えてる、三つの古代魔法……どう?面白そうでしょ?でしょ!
……あれ?なんか話が脱線してるような気も。まぁいっか!

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83 :
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84 :
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85 :
名前:シュマリ・シズカリ
年齢:17
性別:女
身長:162
体重:53
スリーサイズ:87/61/90
種族:獣人(狐系)
職業:ギルドメンバー・ハイ(上級)
性格:直情型
能力:スピード特化型の爪による攻撃、精霊術
武器:アイアンファング
防具:臍出し型のレザー・アーマー
所持品:マジックアイテム等
容姿の特徴・風貌:髪はボサボサの銀髪。狐耳が出ている。
簡単なキャラ解説:タイザン2世の店の従業員から急遽ギルド員にされた少女。
タイザンの亡き親友、ワッカの娘であり、妹と共にタイザンの元に引き取られた過去がある。
タイザンの事を心から尊敬しており、恋心に近い感情を持っている。それなりにギルドの特殊任務の経験あり。


名前:ホロカ・シズカリ
年齢:15
性別:女
身長:155
体重:46
スリーサイズ:81/59/86
種族:獣人(狐系)
職業:ギルドメンバー・コモン
性格:穏やかな性格であるが真面目で忠実
能力:精霊術を生かした補助系能力が中心
武器:小型のボウガン、ナイフ
防具:民族衣装のローブ
所持品:マジックアイテム等
容姿の特徴・風貌:銀髪の混じる黒髪で直毛
簡単なキャラ解説:姉・シュマリと同じでタイザン2世の店の従業員から急遽ギルド員にされた少女。
ギルド員としての訓練を積んでおり、才能はあるが、破壊を嫌い、人殺しなどの仕事を毛嫌いしている。

86 :
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87 :
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88 :
名前:タイザン・シモヤマ2世
年齢:51
性別:男
身長:177
体重:68
スリーサイズ:痩せ型に見えるが引き締まっている
種族:人間
職業:ギルドマネージャー/料理人
性格:非常に奇を衒うが中身は常識人
能力:火を操る能力・刀剣術
武器:秘刀「カムイ」
防具:鎖帷子の上に白い独特の模様の衣服と帽子
所持品:食材やレシピ、マジックアイテム等
容姿の特徴・風貌:東国系。髪は黒で長く、頭頂部が禿げている。
簡単なキャラ解説:ハイランド連邦共和国の自治都市インカルシペの出身。
父・タイザンの酒場兼ギルドを引き継ぎ、酒場とギルドのマスターをしていたが、
突如ソルタレクのギルドにより併合され、マネージャーに抜擢される。
本人は旅に出て帰らぬ人となった父が考案した「カレー」を究極のものにすることに余念がない。
マトイという一人娘がいる。インカルシペの仲間たちならず、仲間をとても大切にする性格


名前:シュマリ・シズカリ
年齢:17
性別:女
身長:162
体重:53
スリーサイズ:87/61/90
種族:獣人(狐系)
職業:ギルドメンバー・ハイ(上級)
性格:直情型
能力:スピード特化型の爪による攻撃、精霊術
武器:アイアンファング
防具:臍出し型のレザー・アーマー
所持品:マジックアイテム等
容姿の特徴・風貌:髪はボサボサの銀髪。狐耳が出ている。
簡単なキャラ解説:タイザン2世の店の従業員から急遽ギルド員にされた少女。
タイザンの亡き親友、ワッカの娘であり、妹と共にタイザンの元に引き取られた過去がある。
タイザンの事を心から尊敬しており、恋心に近い感情を持っている。それなりにギルドの特殊任務の経験あり。


名前:ホロカ・シズカリ
年齢:15
性別:女
身長:155
体重:46
スリーサイズ:81/59/86
種族:獣人(狐系)
職業:ギルドメンバー・コモン
性格:穏やかな性格であるが真面目で忠実
能力:精霊術を生かした補助系能力が中心
武器:小型のボウガン、ナイフ
防具:民族衣装のローブ
所持品:マジックアイテム等
容姿の特徴・風貌:銀髪の混じる黒髪で直毛
簡単なキャラ解説:姉・シュマリと同じでタイザン2世の店の従業員から急遽ギルド員にされた少女。
ギルド員としての訓練を積んでおり、才能はあるが、破壊を嫌い、人殺しなどの仕事を毛嫌いしている。

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――<アルガルドのとある宿にて>

ミライユから放たれた通信石は光状になり、アスガルドの宿の壁を貫通してタイザンの元へと届いた。
それはタイザンが持つ通信板と呼応し、空中で内容を伝える。

「んー……」

既に義理の娘たち二人――シュマリとホロカが準備を済ませている中、
初老の男、タイザン・シモヤマ2世はその光に反応してベッドから身を起こした。
普段は使わないコック帽を寝ている時だけは被っている。当然寝具代わりに着ているのもマスター(酒場の)の服だ。
いつも「変わっているんだけど常識人」と言われるのは、父の代から一緒らしい。

>『――タイザン殿、シュマリ殿、ホロカ殿へ。予定通り発信元の場所への増援をお願いします――
追記:現在ティターニアに張り付いております。目的は指環。情報を持っていそうな方は全て内部にいると見て良いでしょう。
警備の方が数名いらっしゃるようですが、全て殺してしまって構いません。その後は封鎖するのがよろしいかと思われます。』

「ふむふむ、……ってもうかい? もう少しここでゆっくり食材探ししたかったよー……
困るんだよねー……その『構いません』ってやつがさ。
暗に『殺して』って言ってるようなもんじゃない。僕は殺しとかさ、あんまり好きじゃないんだよ」

(なるほどね、ティターニアと指環はセットって訳ね。ミライユは頭は良いんだけど……
色々余計なことしてないと良いけどなぁ)

鎖帷子を着込んで身支度をしながらもブツブツと文句を言う。

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タイザンは、あまり現状について満足していない。まるでミライユの下請けのような扱い。

それも酒場のマスターとしてギルド支部を仕切っていたら、突然ソルタレク側から合併の話が来た。
彼は料理以外のことはオマケのようなものだと思っている。父は全てを尊敬するほどの人物ではなかったが、
父と同じぐらい料理についてのプライドは高い。よって武器は常に料理用具になるものを持ち歩いている。

それも親友から預かった娘を勝手に配属されてしまった。せめて片方ぐらいは残したかったのだが。
ホロカに残れと言えば、泣いて嫌がるものだから、店は臨時休業で大打撃だ。

大体、タイザンという名前を受け継ぐのも嫌だったのだ。自分には「ナオユキ」という名前がある。
父も元々は「ヤスユキ」という名前だったのが、勝手に「タイザン」を名乗って代々継がせるらしいのだ。困ったものだ。
そして、さらに困ったことがあった。

「なあ、マスター。任務が来たんだろ? 内容をオレたちにも教えてくれよ!」

これだ。元々の肩書きが「マスター」なために「マネージャー」にして「マスター」と呼ばれる。

「あのさ、シュマリ。僕のことをマスターって呼ぶのはやめてくれない? 任務中はせめてね。向こうのマスター怖いのよ。
タイザンとか、マネージャーとか、あるでしょ他に」

「りょーかい、タイザンマスター!」

ホロカが脚をパタパタさせながら答える。二人とも向かいのベッドに並んで腰掛け、
早く行きたいとばかりに張り切っているようだ。シュマリは獲物の爪を磨いている。
タイザンは頭を抱えながら、渋々と立ち上がった。

「……じゃあ、朝ごはんにしようか。二人とも、鍋の用意して。
食材は、昨日の昼から決めてる。調理方法はは僕に任せてもらっていいよ。
食べ終わったら胃を悪くしないように、ゆっくり行こう。徒歩で。地図はあるからね」

各地で集めてきた食材・出汁とアスガルドの食材を合わせた鍋は、予想以上に美味だったようで、
特に食べ盛りの娘二人は迷わずおかわりをした。その間にタイザンは今回の任務について説明をする。

「ってことでさ、ギルドの資料によると入り口を封鎖して念のため一人見張りを置くのがベストみたいだけど、
そこは見張りを片付けてから決めようか。ミライユはああ言ってるけど、逃がしさえしなければ、R必要なんてないからね」

タイザンがコック帽を被っていたことに気付き、慌てて道具入れに畳んで仕舞う。
こんなものが見られてしまったらギルドマネージャーとしての面目がたたない。
その代わりに、下手をすればそれ以上に目立つ禿げ上がった頭頂部が丸出しになったが……

(……やっぱり朝食にカレー用のスパイスは拙かったかな……!?)

このようにゆっくりと朝食を味わった三人は、ミライユの予想よりも遅れて洞窟へと向かっていった。

【以上、支援の三人組登場シーンでした。このキャラたちはタイミングを見ながら
ミライユのターンで出していきますのでよろしく!】

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