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勇者シリーズSS総合スレPart4


1 :2010/08/24 〜 最終レス :2018/10/17
1990年から1997年に渡りテレビ朝日系列で放映され、
全8作でその幕を下ろしたサンライズ製作のロボットアニメシリーズのスレです。
第1作「勇者エクスカイザー」から最終作「勇者王ガオガイガー」までのSS全般、
またはゲームソフト「ブレイブサーガ」関連のSSまで、幅広く受け付けています。
また、「今こそ新しい勇者を!」と主張する真の勇者も大歓迎!
皆さんの参加をお待ちしております。

◆前スレ
勇者シリーズSS総合スレPart3 (サーバー移転時に倉庫入り)
http://yuzuru.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1253680895/
◆関連スレ
ロボット物SS総合スレ 36号機
http://yuzuru.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1280037975/
ロボスレからは、現在進行中のスレオリジナルブレイブサーガに、「瞬転のスプリガン」が参戦しています
◆関連サイト
勇者シリーズSS総合スレまとめwiki
http://www.wikihouse.com/brave2ch/
今までに紹介された作品についてはこちらを参照してください

2 :
祭壇を駆け回る奇矯な叫びが聞こえる。正義の怒りに満ちた不吉な叫びが。
わが教団のサバトの輪には狂信者たちが群れ遊んでいる。
確信的な狂気に満ちた目。穢れた下衆どもの血肉を引き裂くための牙と爪。
暗き地下聖殿での長きにわたる修行により鍛え抜かれた、神の使命を果たすための強靭な肉。
修行に励むわが教団の信者たちは何者かが憑依したかのように踊り狂う。
邪を清める豪華の周りで激しく大地を踏み鳴らす。
陽と陰の交わりをもって真言の理を快楽の中に見出す。
求道の迷いの中から希望の光を見出し、再び起き上がり真理の道を歩み出す。
俗と穢れに惑わされては、同じ修行を行っても同じようには悟れない。
業に染まったその魂はその業ゆえに下劣な野卑な衝動に従って運動する事だろう。
わが教団の信者たちは恐れを知らない。
生贄を見つけてわが教団の神に捧げる。善良を装う市民を襲いカルマを落とすと証して嬲りR。
テロ事件で社会を大きく揺るがせる。正気だったら同じことはできない。
大人になっても興味の及ぶものに無心に向えるだろうか。
わが教団には未来へ向けて無限無窮の可能性がある。
日本の大統領になって世界中の穢れた国々に人類最終戦争を仕掛けるかもしれない。
メディテーションの末に悟りを開き、サティアン気高い教えを説く賢者になるかもしれない。
いつか新たな世界の母として穢れた現世を滅ぼした後、次世代を担う新人類たちを産み育てるかもしれない。
ああわが教団の狂信者たちよ。
願わくば地上に我らの天国が具現化したその暁にも、かつての心を忘れ去ってしまわぬことを。
そして次の子供たちにも慈しみの心を与え、幸福な時を過ごさせんことを。

3 :
>>1
スレたて乙です
ほとんど避難所がメインになっているけど
心情的にはこちらで盛り上がりたいところ

4 :
取り急ぎ、10スレ達成のため書き込み。
勇者スレにこれまで登場したオリジナル勇者作品ご紹介
天空勇者フライトナー
勇者飛翔ファルブレイク
勇者騎士アークレイオン
紅勇者セイエンオー
勇者電光アイバンホーン
それぞれの作品の詳細については、>>1に書かれているまとめwikiを参照の事。

5 :
あと、宣伝になりますが。
自分が書きましたアークレイオンは、別サイトになっております。
ttp://www.wind.sannet.ne.jp/kazmad7/archome.htm
あと、セイエンオーはこちら。
ttp://greatfuldead.dousetsu.com/kurenai.html

6 :
当スレでは現在、スレオリジナル勇者による「オリジナルブレイブサーガ」の企画が進行しております。
>>4の作品の他に、ロボット物SS総合スレより「瞬転のスプリガン」が加わっております。

7 :
スレオリジナル勇者の他に、「勇者指令ダグオン」と「勇者エクスカイザー」の二次創作もありました。
詳細はまとめwikiを参照の事。

8 :
ネタ切れうめ

9 :


10 :
超個人的つぶやき
いままで数多くのオリジナル勇者の企画が書き込まれては消えていきましたが……。
個人的に、「封魔勇者ボーディオン」と、「勇者神拳ウーシューガン」の完成&投稿を、心待ちにしております。
他にもいっぱいあるんですけどね〜。

11 :
重ね重ね乙です
10「スレ」達成できたらいいですねー

12 :
規制解除キター!
スレ建て乙

13 :
俺も解除されたので乙

14 :
上に同じくスレ立て乙

15 :
 

16 :
投下する

17 :


 −4−

「地震!?」
 誰かが叫んだ。
 そのときには既に教室という空間は、半狂乱になって中のすべてを掻き回そうとしてい
た。硝子張りの窓が穏やかならぬ悲鳴を上げ、机と椅子はまるで歯の根が合っていないよ
うにがたがたと震え慄く。
 えーいち朗の通う小学校を突然に襲った“地震”。
 怒号にも近い担任教師の指示に、えーいち朗たちはほとんど反射的に従って、速やかに
学習机の下に飛びこんだ。
 謎のロボットや怪獣による巨大スケールの戦闘が続発しているという最近のこの街の状
況もあり、つい先日に全校を挙げての避難訓練が実施されていたが、この学級に限ってい
えば、それが功を奏したといえるだろう。
 震動が収まるまでに、さほど長い時間は掛からなかった。えーいち朗などは、些か拍子
抜けに感じたほどだ。
 天井は、落ちてこない。
 しかしその学び舎を外から見た者は、雨と塵を吸って変色した白壁に、痛々しい罅割れ
が走ったことを知るだろう。そうなるだけの衝撃があったという事実。
「おっきな地震だったね……」
「うん」
 えーいち朗は隣席の女子のぎこちない笑みに応える。すかさず教師の注意が飛ぶが、既
に教室の緊張感は和らぎつつあった。
 この後は、余震に警戒しつつ、整然と列になって安全な場所に避難することになるのだ
ろう。そんな見通しを立てることも容易い。
(……でも、ほんとに地震?)
 えーいち朗は漠然とした不安を覚えていた。
 むしろ、どうして誰もその可能性に言及しない?
 あるではないか、天災以外にも。
 ああ、そいつらは、忘れぬうちにやって来る!
 下界を震え上がらせる。いわば“悪夢の仕掛け人”。もっとも、ひとであるかは、大い
に疑わしい。
 怪物。
 そう、彼らは、まぎれもない怪物だ。ここではないどこか、今ではないいつかに出現し
たという、人類に逆襲するためにひとりでに動き出した機械仕掛けたちや、闘争本能と破
壊衝動を存在証明とする生体兵器群、あるいは地上に躰を求めた宇宙の虚ろなる騎士たち
と同様に。
 半年もの長きに渡ってそれらを見続けてきたえーいち朗だ。
 異変を探して、机の下から外を覗き見た。どれほどの震度でも、それがただの地震であ
るならば、そうそう空の様相は変わらぬはずだ。
 窓の外、ベランダの向こう側には、さっきまでと変わらぬ、青空が――

18 :
 ――いや。
 青空に浮いて、何か在る!
 あろうことか、それは“人影”だった。
 もはや何者と問うまでもない。
 逆光にいくらか黒ずみながらも、毒々しい紅白の段だら模様は一目瞭然。貌に塗りたく
られたドーランは、陰のために凄惨な蒼白を発していた。巨大生物の臓物のような唇がそ
の中を伸縮する。見てくれだけの涙が、目許に七色の光を添える。
「――ひッ!?」
 えーいち朗の全身の毛穴という毛穴が開いていた。
 悲鳴は消せたか? 分からない。
 ただ、もう声など発せられる気がしなかった。ただ恐ろしかった。恐ろしかった。
 ――ホホホホホホホホホホホホホホーッ!!
 極大の悪意の籠った哄笑が、ひとびとの心胆を寒からしめる。
 えーいち朗はもしやと思っていた。そして、やはりと思った。誰より正しくこの最悪の
事態を予想していた。
 それでも、それがそこにいることに、ぞっとしないわけにはいかなかった。その姿には
今や、誰であろうが戦慄を禁じ得ない。
 出で立ちは“道化師”そのものだ。事実、彼は驚嘆すべき奇術の使い手だ。魔術といっ
ても、あながち、間違いでは。
 激しい踊りの一瞬を切り出したかのような大仰な体勢のまま微動だにせず、気球の緩や
かさで降下していく。道化師に足場など不要。万雷の喝采を浴びるためならば、空さえ飛
んでみせることだろう。
 世界のみんなが覚えている。彼のことを。
 滑稽な愚者の演技で楽しませてもらった記憶? とんでもない!
 摩訶不思議な魔術にびっくりさせられた記憶? とんでもない!
 それは、刻みつけられた恐怖の記憶。脱線したジェットコースターに乗せられているよ
りもスリリングに、命を脅かされたのだから!
(あいつは、ダークラウン!)
 あらゆる次元に通じるという狂宴の遊園地“超次元ワンダランド”、その経営に携わる
大幹部ワンダラーズのひとり。
 今この刻に何をぞ企む? 闇の道化師、ダークラウン!
(早く、早く、ディム郎に知らせないと……)
 ただごとではない。えーいち朗は迷うことなく、机の中に忍ばせていたものを掴んだ。
 その名は“ディムコネクター”。手の平に納まるほどの大きさで、膨らんだ卵型をして
いるそれは、一見してごくありふれた防犯ブザーにしか見えない。しかし、その正体は、
えーいち朗がディムロードから預かった、彼と同じライトグリーンの通信端末だ。
 その性能をもってすれば、あらゆる隔たりを越えて想いは届く。声に出さずとも、強く
念ずるだけでだ。だからダークラウンは気づかない。あるいは気づいていながら、人類何
するものぞと高をくくるか。
(ディム郎っ!)
 えーいち朗は、助けを求めて心の声を張り上げた。いつも危機に際してそうしているよ
うに。その先に自分たちを待ち受ける運命など、知る由もなく――。

19 :

「ここが、“足らざる世界”の開放点」
 ところで、道化師は、運動場の中央を見ながら口の端を吊り上げていた。零れた独り言
からは、いつものおどけた調子が消えていた。土埃混じりの乾いた風だけがそれを知る。
「ズリグリー! 例のものを」
 ダークラウンの台詞に、再び校舎が揺さぶられる。先ほどのものよりも明らかに強い。
 生じた歪みのために、窓ガラスや蛍光灯が一斉に弾けた。誰もが上の階が落ちてこない
ことを祈りながら、机の下から抜け出せないでいた。
 誰と問うのも詮ないほど多くの者達が、この世の終わりのような悲鳴を上げた。
 果たして、広い校庭に影を落とす巨体。その数、八、九、……いや、もっと多い!
 口ぐちに天上を驚かす咆哮を上げ、白昼に嵐の夜を演出する。
 腐りきった生肉を溶かしこんだゼリーのような、スライム状の巨大生物たちだ。異臭を
訴え、えーいち朗の隣の席の女子が喉だけでえずいた。
 ディムロードも手こずる難敵、ズリグリーの、“軍団”だった。未曾有の数。悪夢のよ
うな光景に、えーいち朗は気を失いそうになる。
 そのうちの一体が、何か奇妙なものをごぽりと吐き出す。全長1メートルていど。平べ
ったい前方後円型の金属塊。まるで巨人の住み家の扉を閉ざす、“鍵”のような。
「ここに取り出しましたるは、ゲートを開く鍵の剣。その名も安易に“キーソード”。種
や仕掛けはなきにしもあらず。定めの座標に刺したなら、あーら不思議と扉が開く!」
 一体のズリグリーが、何やら怪しげな祭祀でも執り行うかのように、キーソードなるそ
れをうやうやしく空に掲げた。
(だめだ、だめだ!)
 えーいち朗の心に焦燥が募っていく。
 子どもにだって分かる。ワンダラーズはこれから、ここで、あの鍵のようなものを使っ
て、何かとんでもないことをしようとしている!
(止めなきゃ!)
 せめて、ディムロードが来るまで時間を稼がなくては!
 少年の使命感が、勇気に引火する。握り締めた手が震えている理由は、もはや恐怖では
なかった。
 心の中だけで担任の先生に謝り、周囲に目くばせでフォローを頼んで、こっそりと机の
下を抜け出した。
 校庭に飛び出した頃には、えーいち朗の息はすっかり上がってしまっていた。声が出な
いのは怖いからじゃないと、これを言い訳にしたい気分だった。
「おや、おや。これは坊ちゃんこんにちは」
 荒い呼吸音に気づいたダークラウンが、地を這う蛆虫を見るような目をえーいち朗に向
けた。
 さらに、ここぞとばかりに視野を広くとり、大声を張り上げる。
「注目注目注目注目ッ! 当園自慢のアトラクション! 題しましては“狂言ヒーロー・
ディムロード”! いつも見に来てくれてるね! 声援感謝さスタッフ一同ッ!」
 どんなときでも、闇の道化は黒い噂の流布を忘れない。
 ときにマスメディアやサクラを利用するその情報工作の効果は絶大で、ディムロードの
必死の戦いもすべて、ひとびとには遊園地側の自作自演ということにされている。

20 :

「狂言だって……?」
 えーいち朗の声は、知らず低いものになっていた。
 汚名を着せられ、石もて追われ、ひとりぼっちで拳を握り締めていた英雄の後ろ姿を、
えーいち朗は忘れない。
 だから、
「それは嘘だっ!!」
 えーいち朗は吼えた。
 少年の澄んだ眸には光があった。ダークラウンに対する恐怖を、より強い感情が凌駕し
たようだった。
「いい加減にしろよっ! ディムロードは正義の味方で、ヒーローで、友達でっ! だか
ら、お前らなんかと、いっしょにするなぁっ!」
 噛みつかんばかりの剣幕に、ダークラウンは仮面のような笑みを向けた。ひとを馬鹿に
しきった表情の中には、しかし微量に“面白くない”とでもいいたげな不快の色が含まれ
ていた。
「坊ちゃん、ことわざをひとつ教えてあげましょう。“信ずるものは足元を掬われる”」
 いつものふざけた口調ではなかった。まるで狂気に侵されたような。
「賢者は立ち去り、覇者は興味すら抱かず、愚者は見ての通り嗤うのみ、残りはみぃんな
恐怖に震える人間ばかり。それが、何とも悲しくも可笑しい、この“足らざる世界”の法
則であるのです」
 えーいち朗には、道化が何を言っているのか、ひとつも分からなかった。
 ただ、“賢者”“覇者”“愚者”という三つのことばだけは、何故だかひどく印象に焼
きついた。
「いっそ、絶望するがよいでしょう。せめてもの気晴らしには、ぜひとも当園をご利用く
ださ――」
『Form Change――DIM−LOAD!』
「い?」
 大いに語るダークラウンのことばは、しかし途中で遮られることになった。
「無事か、少年っ!」
 
 悪意を祓うように、大人びた声が勇壮に響く。
 えーいち朗が一番聞きたかった声。待ち侘びていた仲間が発する優しげ声だ。
「DDアタック……!」
 爆轟の勢いで急接近するDD51ディーゼル機関車の“ばけもの”。タイムラグも最小
限に人型に変形、そのまま必殺技を発動。
 迎撃にずいと進み出たズリグリーのうち一体が砕けて散った。まるでウイルスに侵され
た細胞の末路を見るよう。掌から放出された“次元の歪みの力”の効果。
 明朗快活のライトグリーンを発して、機械仕掛けの巨人、ここに立つ。えーいち朗から
の報に応じて駆けつけた正義のロボット、ディムロードだった。

21 :

「ディム郎っ!」
 喜色を浮かべるえーいち朗と対照的に、ダークラウンが瞼と口元を引き攣らせた。ただ
しそれは、いかにも芝居掛かってわざとらしい。
「またまたお出ましお邪魔虫。今日も今日とてディムロード。およそ半年経ってまだフォ
ルムチェンジじゃ芸がない、イメージチェンジが必要じゃ?」
「DD――」
 最優先で撃破すべきダークラウンは、既に間合いの内。ならば差し当たりズリグリーの
ごときに注意などしていられない。
 チャンスだ。
 そう判断したディムロードは、ダークラウンに向かって爆発的に踏みこみ、――
「むっ!?」
 どうしたことか、そこで急制動を掛けていた。そうせずにはおれなかった。
 寸でのところでディムロードを押し止めた違和感は、捻じ曲がった空間が発する独特の
パターン。だが、そんなことがあり得るのか?
 それはディムロードのものと同じ。
 “次元の歪みの力”――!?
「こちらは手を変え品を変え、新戦力を投入さッ! しくじり?――NOッ! 出し惜し
み?――NOッ! 今度ばかりは本気かも!」
 調子づいたダークラウンの声を、ディムロードは遠くに感じていた。探知と演算を司る
あらゆる装置が、その他の機能に障害を引き起こすほどに警鐘を鳴らす。
 それ以上は一歩たりとも進んではならない、さもなくば死あるのみ。
 冷たく、硬く、鋭い“何か”が、兆しもなくディムロード前方の空間に出現していたか
らだ。

22 :
 敢えて言うなら、それは剣だった。あまりに鋭利な黒の刃。
 心凍てつかせるその切っ先こそが、ディムロードの喉元に突きつけられた必殺の意志!
「さあさ、それではご紹介ッ! ご喝采あれ彼こそが、ワンダラーズの愉快な仲間ッ、警
備はお任せニューカマーッ!」
 正体は、負の漆黒に染まった航空機。
 翼胴一体の形状が特徴的な戦略偵察機SR−71“ブラックバード”に似ている。攻撃
的なフォルムがそれを魔剣の類いに見せ掛ける。
『Transformation――“STRADER”』
 電子音声。馴染み深いものより、重く低い。
 ディムロードの喉を刺す機首の、左半分が視界から消滅。動体視力の限界を越えた神速
のため、消えたように見えたのだ。
 残り半分でディムロードをその場に縫い止めたまま、それは機体のフレームを組み換え
ていた。
 あまりに早すぎたためにプロセスの全貌は不明。ただし、主翼の半ばに挟まれていたエ
ンジンを脚とし、機首を縦に割って巨大な手刀を宿した両腕としたことは確かだった。
 ディムロードが計測した体高は、23メートルを越える。
 流麗な戦略偵察機は、瞬きひとつのうちに二刀流の剣士となっていた。いいや、そんな
まっとうなものか、それは“殺し屋”と言うべき。漆黒の全身から、赤い眼差しから、荒
事を生業とする者特有の殺伐とした空気を噴き上げていた。
「流れの傭兵、“ストレイダー”ッ!! 黒い翼のストレイダーッ!!」
 ダークラウンが、興奮を煽るように叫ぶ。
 語られた情報を解析する暇もなく。
 ディムロードの剛なる右腕がひと太刀に刎ねられ、宙を舞った。

 

23 :

今回はここまで。
超やっつけだけど、許しはこわないよ(キリッ
読みにくいだろうなー話の流れがよく分からんだろうなーと自覚はしている。
しかしもうそんなこといってるバヤイじゃない。
クロス企画でいつまでもこんなとこにいるわけにはいかん。進めなければ終わらん。
よってざらっと流してでもっ!

24 :
>>16-23 お疲れ様です。
さて、せっかくの投下に野暮は言わないとして……。
満を持して、ストレイダーキターっっ!!
SR-71がモチーフと言う事は、エールソニックの拡大版かな?と。
変形パターンが違いますが。
傭兵と言うとボルドルーガというかドレイクルーガーを連想しますが、
そちらはよりいっそうセブンチェンジャー臭が強い気がします。
そして早くも主役勇者の危機っ!!
このまま終わる訳には行かないっ!
力入っちまったよw
なんか、どっかでドレイクルーガーと顔見知り程度になっててもおかしくなさそうですが、
どっちも黒なので、ボルドルーガの方が見分け付いて良いかなあ。

25 :
>野暮
ちょ、そういう中途半端なのヤメてよ!
気になるじゃん!
吐けー! 吐けー!

26 :
いやあ、許しはこわないってゆーからw
ぶっちゃけ文章的な事なんで、言うべきではないと判断した。
でも何も言わないのも気持ち悪いまんまだろうから――。
ダイジェストみたいな文章だなと。

27 :
うむ。そこは我々としても大いに反省する必要があるだろう。
が、次くおりちーが上がるかというとそれは約束できない。

28 :
くおりちーはおれもねー。
それより早く書き上げたいわw
今テコ入れの必要性を痛感しているっ!

29 :
>>23

敵の戦略にはまりながらも孤軍奮闘しているのにさらに腕損失とは
ここからどう巻き返すのか楽しみです

30 :
遅ればせながら投下乙です。
ストレイダーきましたね。
巧みな情報操作を用いるダークラウンとは違う、ストレートな戦士タイプっぽいライバルですね。
しかも、来た瞬間に右腕もっていくとは。
ディム郎のピンチから、どう場面が展開していくか、非常に楽しみです。
次回は、ついにクロスの始まりかな。

31 :
何も考えずにノリで右腕トバしたけどこれからどうしよう・・・
・・・なんて今更言えない俺

32 :
そこでコンテナの出番ですよ(嘘

33 :
浮上

34 :
しかし、ネタなどないのであった。
本当に、一つも、ないのであった。

35 :
もしも各オリ勇者に読者視点でテコ入れするならば?

36 :
てこ入れ……というと……

37 :
ぶっちゃけ改善点?

38 :
言いだしっぺとして書く。
フライトナー:アイをお色気要員にする。もしくは主役にする。
ファルブレイク:立体でストーリーを展開する。
アークレイオン:姫を脱が(ry 暗黒騎士に名前を付ける。
セイエンオー:スーパーロボット物として大幅に路線変更する。
アイバンホーン:第二話を書く。
テコ入れじゃないかも。

39 :
贅沢な話だけど、どの作品も絵が欲しいと思ってしまう。
そういう意味でファルブレイクの立体化は楽しみ。
セイエンオーは最初から番外編みたいなのでやってくれていれば良かった。

40 :
・フライトナー
たまに敵をフォグ・ライン以外に戻してみるというのは? 出ずっぱりだし。
増えゆくロボを整理して欲しいとちょっと思うw
・ファルブレイク
ありがちなところでは、ヒロインやライバルポジションか?
でも現状でもいい気が。
・アークレイオン
確かに暗黒騎士に個性は欲しかった気もするな。味方が丁寧な分物足りないのかも。
ついでに戦闘に迫力があればイケてるんだけど、それは作風なんだろう。
・セイエンオー
今から路線変更されてもそれはそれでツマラン。
主人公機の戦闘の絶対数自体が少ないのは惜しい。日常も含めて味方側をもっと見たい気はする。
基盤がしっかり固まれば作品の変てこな所がもっと際立っていいと思う。

41 :
明日はちょっと暇だどー!
いやーなんか始まりの予感がしますね。ストレイダー。
と思ってたら、いきなり腕飛んだww
途中までえー太とえーいち朗、ごっちゃになってて、あれ?あれれ? ってなってしまったのは秘密。
>>38
どうもです。
しかし、アイにお色気はGTカーでクロカンラリーに出るぐらい無理ががが。嘘、自分の腕不足です……orz
スーパーぺったんこ(A)な茶短髪ボーイッシュ(?)で研究所一のトラブルメーカー。そして自称「カイトくんの恋人で可憐な美少女」である!
でも……主役かぁ、うん…………(言えない……次の話で「アイがExのパイロット」案が既にあって採用するかしないかの狭間だなんて)。
>>40
そこはまぁ、ぶっちゃけると新たに考えるのが面倒なだけだったりしまする。
あ、アエリアだかいう名前の生物学者が居たか……。ちょっと考えておきましょう。

42 :
戦闘に迫力……うーん。
描写に力は入れてるつもりですが、それで迫力は出ないって事よねー。
難しいよねー。
イケてるって言われてみたい。

43 :
米たに監督は「戦いには頓智が必要」って言ってたっけな。
そういう意味では騎士さんは素敵だと思うよ? 俺はね。

44 :
フライトナー合体図
ttp://imepita.jp/20101031/842020
ブラックナイトメア改(仮)
ttp://imepita.jp/20101031/843210
描いたときは出来た!って思ってもいろいろとおかしいのよね、やっぱり。

45 :
おおお格段にうまくなってるw
顔は昔見せてもらったから・・・これでコラージュすれば・・・フフフ・・・
黒悪夢はモロSAMURAI的デコレーションなんだね。

46 :
>>45
ありがとう。
顔も描き直したいんだけどねー、何度やっても上手く行かない……orz
BNは思いつくままに描いたらあんなんなっちゃった。って感じです。
やっぱり角がサムライっぽいのだな。意識して描いてはないんだけど角だな。
まぁこれはそのうちどうにかしましょう。
ではー。

47 :
ん?去年から書き込み無し?

48 :
避難所進行になりかけてるっぽい

49 :
避難所も過疎ってる

50 :
過疎は気にするな。一ヶ月も待てば余裕で返事もある。
BRAVEST2とアレンジCDが発売だってね?
個人的にはBGMが欲しいんだけどな。

51 :
完全に避難所運行になっちゃったようなw

52 :
作者陣の見掛け上の出現率が違うから、連絡はあっちですることにしてるんだ。

53 :
ほしゅ

54 :
あげほしゅ

55 :
グレートメカニックって雑誌で谷田部監督が初期勇者についてちょっと語ってるな

56 :
>>55
それは最新号?

57 :
たぶん。17号?
表紙に書いてたから昨日買った。

58 :
ありがとう。
探してみるわ。
勇者の資料的な物はなかなか出ないからな。

59 :
書き込めるかなっと。
本編進められないから苦し紛れに
http://imepic.jp/20110624/799000
アイのイメージ候補。19歳には見えねぇな。

60 :
お……おお?
イメージとかなり違うなー。もっと安寧を求める女(ナニソレ)かと思っていた。
いわゆる男友達のノリに近いのか。

61 :
投下します。支援はまあ……いいかな。
合計30レスですが、まずは前半の9レスを目安に。
後半は今日中に追って投下します。
※前回までの投下分と〈〉“”の使い分けなど違っているところがありますが、
 こっちに統一しますので、よろしく。

62 :


 −0−

 四ヶ月ほど前になる。
 その日、未開通トンネルの秘密基地にやって来たえーいち朗少年は、どうしてだか、ひ
どく怒ったような顔をしていた。
 国鉄DD−51形ディーゼル機関車の形態で暗闇に巨体を落ち着け、戦いの傷を癒して
いたディムロードは、会って何よりもまず先に、この小さな友人の不機嫌の理由を訊ねざ
る得なかった。
「みんな、ディム郎のこと、悪いロボットだっていうんだもん……」
 少年は手摺に捕まりながら機関車の鼻っ面に昇ってから、憤懣やるかたないといった具
合に、今日あったことを話し始めた。
 ディム郎を悪く言われるのがどうしても許せなくて、クラスメイトと殴り合いのケンカ
をしたこと。ディム郎が正義の味方だとみんなを納得させられなかったこと。暴力を振る
ったことについては謝ったけれど、ディム郎がワンダラーズの仲間だなんて絶対に認めな
かったこと。
「くやしいよ」
 えーいち朗はぐちゃぐちゃになった感情を、そのまんま口から吐き出した。話すうちに
加熱していき、瞼にじわりと涙が浮き、語気はだんだん荒くなる。
「ディム郎はこんなになってまでワンダラーズと戦ってくれているのにだよ?」
 それまで口を挟まず聴いていたディムロードは、そこで少し迷うようにライトを暗くし
てから、努めて穏やかに言葉を紡いだ。
「えーいち朗、ぼくのために怒ってくれたことは、嬉しく思うよ。だが」
「うん」
「ぼくがこうしてワンダラーズと戦うのは、そうしなくてはいけないからではないんだ。
ただ、そうしないではいられないだけだ。ワンダラーズを許せないと思う」
「……あいつらが悪者だから?」
「分からない」
 ディムロードは答えた。
「ぼくは“ロボット”だ。もしかしたらぼくを創った誰かが、最初からそんなふうにぼく
の心を創ったのかもしれないね」
 それは、えーいち朗が予想していた、たとえばケンカをたしなめたり諭したりするよう
なものではなかった。それはもういいのではないかとディムロードは考えていた。

63 :
 えーいち朗には、ディムロードの意図が分かりかねた。それまでの流れから、まったく
脈絡がないように思えてならない。
 だが、ディムロードとの会話に付き合ううちに、この不器用なロボットが、自分自身の
心や行動の値打ちを否定したがっているようなニュアンスを、いくらか言葉の端から感じ
ることはできた。
 そうなるように仕組まれたプログラムを、心と呼べるのか。そのシステムのままに行っ
た英雄的行動に価値はあるのか。
 喋る自動販売機に心などない。何故なら、それ自身の自由意志で喋っているわけではな
い、ただの機械的反応であるから。どんなに丁寧に挨拶をしてみせたって、それはせいぜ
い、自動販売機の向こう側にいる人間のものにすぎない。
 えーいち朗は首を傾げようとして、止める。
(ボクは、そうは思わないけれど)
 だが、少なくとも、ディムロードは、自分だってそういう機械とさして変わらないので
はないかと思っているようだった。どこまでも立派なヒーローとして応援されても、期待
に応えられるかは約束できそうにないと、きっと言いたいのだ。
「…………」
 えーいち朗は、悩めるディムロードに何と答えたものか考えた。
 このライトグリーンの“勇者”について自分がどれだけ感謝していて、それだけでなく
て、ディム郎のことを友だちとして自分がどれだけ大切に想っているかを伝えたかった。
「……人間だって、そうなのかも」
 選びに選んだはずの言葉は、えーいち朗自身、よく分からないものになっていた。きっ
と、ディムロードの一番聞きたかった返答ではなかったのではないかと思う。どうしても
っと綺麗で気の利いたことを口に出来ないのかと、えーいち朗は子ども心に臍を噛む。
 ディムロードは、何も言わなかった。


   第二話  VS.ストレイダー/九大世界連結


 −1−

 そのとき――

64 :
 ディムロードには、敵が左の剣を振り上げた動作までは察知できていた。
(右の剣をぼくの喉元に突きつけた体勢からではどうしたって剣速は鈍るし、隙も大きく
なる。航空機系のアシの速さもこの距離では活かせないし、駆動出力ならぼくだって引け
は取らない)
 ――断然迎撃あるのみ!
 左の剣を全力で打ち下ろすための予備動作で、ストレイダーの腰部が捩じれる。右肘が
下がっていき、自ずから切っ先がディムロードの首から外れた。
 ストレイダーの体幹の向きが入れ替わろうとする瞬間。
(ここだ……!)
 ディムロードが左爪先から体重を地中に射出し、右足から滑るように大きく一歩を踏み
出す。
 敵の左手側の懐に敢えて飛びこんで、斬撃に速さが乗りきる前に動作を制圧する!
 伸ばしていた右足を地に着け、そこに全身を引き寄せながら右拳でストレイダーの脇腹
を穿つ。
 そういう算段だった。
 だが、ディムロードは失念していた。ストレイダーもまた、特異な機構を機体に幾つも
搭載した規格外のロボットなのだということを。
 戦略偵察機SR−71ブラックバード型の航空機から変形するストレイダーの両脚部は、
二基のターボ・ラムジェットエンジンを搭載する。
 ラバールノズルを足に、垂直尾翼を爪先とし、特徴的なスパイクコーンの突き出したダ
クトを膝に配置していた。
 もっとも、正確にはストレイダーのそれは、大気を食って燃やすジェットエンジンでは
なく、また別の技術であり、作動条件も異なる。
 なればこそ、“こういう技”も可能となる。
 右脚のジェットエンジンに命が吹きこまれ、巨大な推力が発生。足底からの排気が、ア
フターバーナーによって青い炎に変わって糸を引く。
 ストレイダーは全身で離陸しながら側転、ディムロードが警戒の優先度を下げていた右
の剣で、予想だにしない廻刀技を仕掛けたのだ!
 有翼の剣士が生み出した術理のひとつ、魔剣“影犬(かげいぬ)”。
 闇黒に染まった刃が、まったく未知の剣技によって、ライトグリーンの装甲に突き立つ。
『“Shadow−Nail”――charge up』
 数瞬遅れで、ディムロードのセンサが強大な“次元の歪みの力”を感知。
 シャドウネイルと銘づけられた太刀は、エネルギーチャージによりその恐るべき異能を
発動。波紋状に広がる空間の歪みが集束した“次元の衝撃波”とでもいうべき現象が斬撃
に合わさり、強靭なディムロードの右肘から先をも嘘のように斬り飛ばした。
「ディム……郎……?」
「大丈夫だ……っ!」
 友だちの右前腕が重たげに大地に落下する光景を、えーいち朗は呆然と見ていることし
かできなかった。

65 :
 速度の低下を危険と判断したディムロードは、敢えて制動を掛けず、空いたスペースに
機体を捻じこんでいたが、それでも躱しきれていない。ストレイダーの常軌を逸した速さ
が、それを許さなかった。
 右腕切断の重傷を負ったディムロードは止むなくバックステップで元いた地点のそばに
後退。片腕を失ったことで重心が移動、着地の瞬間にバランスを崩して無様によろめく。
 背後のえーいち朗を気にして、充分に距離を開けることができない。ストレイダーが空
中で残心をとり、それ以降に追撃を行わなかったのは、ディムロードにすれば奇跡といっ
てよい幸運だった。
(競り負けた……!)
 改めて対峙するライトグリーンとダークブラック。
 わずか一度の攻防で見せつけられた、歴然たる実力の差。これまで一対一で敗北したこ
とのなかったディムロードの心理的衝撃は、あるいは機体のダメージより大きい。
「馬鹿馬鹿しい遊技場の用心棒と聞き、正直落胆もしたが」
 漆黒の傭兵ストレイダーが、肘の具合を確かめるように、巨大な手刀を旋回させた。元
は空力を最大限に利用する航空機の主翼である黒の刃が、髄も凍てつく風切り音を生ずる。
「僥倖だったな。まさか俺と同じ巨大人型、同じ力とは」
 ストレイダーが訳知り顔でいった言葉について分析する余裕は、今のディムロードには
なかった。
 この半年間えーいち朗の力を借りてまで探してまるで手に入らなかった、アイデンティ
ティの手掛かり。
 “次元の歪みの力”というディムロードとの共通項を持ち、またディムロードについて
の何かを知っているに違いない存在が、すぐ手の届くところにあるというのに。
 ディムロードはそれを優先できない。
 何故なら彼の背後には、そんなものには代えようもない友がおり、また目の前では、絶
対に許すことのできないワンダラーズの作戦が進行していたからだ!
 ストレイダーの庇護下で、ダークラウンとズリグリーは、キーソードの準備を悠々と終
えつつあった。

66 :


 ‐2‐

 ――“泡”――。
 ――“泡”――。
 ――“泡”――。
 一個の世界のかたちを、〈賢者〉の尊称を得たその男はあぶくに喩えて説く。
 そして世界はひとつではなく、渚の漣や川の流れに生まれては消え消えては生まれる泡
沫の無限とそっくり同じに、幾らでも存在するとも。時間の流れ、物理法則、あらゆる概
念すら、すべての世界において同一ではないというのだ。
「“世界たちの世界”は広大だ」
 神ならざる身でありながら、神の視点と、全知全能の権能を有するという〈賢者〉。
 哲学、歴史、社会、自然、技術、産業、芸術、言語、文学――あまたある世界の内在、
そのおよそすべてを自動的・網羅的に記録していくのだ。
 それを可能とするならば、〈賢者〉とは、恐らく人類ではない。
 事実として、今の〈賢者〉は人のかたちをしていなかった。
 二、三の車線を優に跨ぐであろう、有り得ざる超巨大バス車両を改造した、空前絶後の
自動車図書館を思えばよい。その威容はもはや、白亜の歴史的建築物に等しい。
 四階建てからなる載積エリアには、木目の麗しい本棚とそれに収まる雑多な書籍。正確
を期すなら、そういう物に似せて作られた、世界たちの事柄を記録する無限情報サーキッ
トが、整然と満載されている。想像を絶する情報量は、世界内外の変化に伴って今も増え
続けていく。
 〈賢者〉。
 空を渡る“移動図書館”の主、あるいは図書館そのもの。
 誰が呼び始めたか、またの名を、“ビブロカイザー”という。
「一個の世界すら、ただの一節の名によって規定されることはない。シャボンの玉が、さ
まざまに色を変えるように」
 資格ある者に望みの知識を授けるというその巨大は、感情の篭もらぬ声で眼の前の〈来
館者〉に語り掛ける。冷徹な印象が強い。
「だから、『〈足らざる世界〉がどのような世界か』などという問い掛けには、小生の頭
脳をもってしても、安易には答えかねるところがある。もちろん、あそこがお前たちの原
世界と相似であるなどということとは、わざわざ小生の口から言うまでもないとしてだ」
 賢者ビブロカイザーの向かいに立つ人物は、口を利かないことでその先を促した。

67 :
 そこは暗闇だった。〈科学の都市〉世界のどこか、恐らくは前人未到のはずの深海。意
思ある移動図書館の、今回の移動先だった。
 もちろん、まっとうな人類はそこへ通り掛かるどころか、この奇妙な図書館の存在すら
知る由もない。
 だというのに、来館者は決して少なくはなかった。一個の世界に納まらない者たちは、
我先にと居場所を捜し当て、己が資格ある者であるかを試すのだ。
 得難い情報を得るために。
「ただし、あそこには、およそ奇跡というものがない。都合のよい幸運で誰かの命が救わ
れ、手が差し伸べられ、どうにもならないことがどうにかなることはない。何ぴとも、無
慈悲な神が賽で決めるような、自らの運命を覆すことはできない。それは、必ずしも真実
ではないが、取り敢えずは“そういうことになっている”」
 おかしな話だった。
 不可解があった、虚偽があった、齟齬があった、矛盾があった。これが仮にも〈賢者〉
の尊称で呼ばれる者の発する言葉かと〈来館者〉は思った。
 しかし、〈来館者〉はここでは敢えて口を噤んだ。
「さて。『あのディムロードとは、何者か』、お前はこうも問うたが」
 機先を制するように、ビブロカイザーがそれに言及したからだ。
 差し当たって、〈来館者〉の最優先事項がそのことだった。
 〈足らざる世界〉の、ディムロード。
 ライトグリーンのDD51形ディーゼル機関車から変形する、謎の巨大ロボット。次元
の歪みの力で駆動し、貧弱な武装を剛力と体術で補う戦士。
 ビブロカイザーと同じく多世界を巡る危険な集団ワンダラーズに対して孤独な戦いを挑
んだディムロードは、〈来館者〉の綿密な調査を嘲笑うかのように、その正体を未だ明ら
かにしていなかった。
 〈足らざる世界〉に起源を持つ存在なのか、異世界からの来訪者なのかすら、判然とし
ないのだ。
 〈来館者〉は焦っていた。
 計画のためには、可能な限り早くにその正体を知る必要があると、そういう予感めいた
ものがあった。
「手掛かりだけ教えてやろう。“ディムロードとは――”」
 それまで氷の塊を打つようだったビブロカイザーの声に、初めて事態を面白がっている
ような響きが混じった。
「“――可能態である”」
 意地悪な〈賢者〉は、それきり黙りこくり、〈来館者〉に取り合わなかった。
 やがてひとりに戻ったビブロカイザーは、世界群の一部に生じた、ちょっとした異変を
興味深げに確かめる。神の視点で、九つの泡が数珠状に繋がる光景を視るのだ。
「待っているぞ」
 呟く声には、わずか、天体観測をする少年のような無邪気さがあった。

68 :


 −3−

(キーソードを破壊する)
 
 やはり、それしかあり得ない。
 ディムロードは冷静に優先順位を付ける。
「いやはや、長かった……、実に長かったですよ。“他の世界では”混乱と闇に乗じてこ
っそりと仕込みをさせていただけましたのに、ここではいつもいつも、いつもいつも! 
嗅ぎつけたディムロードに邪魔されましたからね。どういう地獄耳してるんだか」
 ダークラウンの声には、既にすべての懸念が払拭されたかのような油断があった。それ
ほどストレイダーの腕を信用しているのかもしれない。
 眼下のスライム状巨大怪獣ズリグリーは、不器用な手でキーソードを振り翳し、おとな
しく来るべき“刻”を待っている。
 キーソード。前方後円のかたちをした、鍵穴のような“鍵”。先ほどから眩暈のするほ
ど強烈な、“次元の歪みの力”のようなものを発していた。ワンダラーズの今回の作戦に
おいて最重要の品であることは疑いようがない。
 破壊できれば、その企みを水泡に帰すことができるかもしれない。ディムロードは拳を
握り締める。
 上空に浮遊しているダークラウンを狙ってもいいが、ダミーを駆使して変幻自在の立ち
回りをする道化師の撃破は、時間を馬鹿食いする。また、あちらから戦闘に参加して来る
ことはまずないだろう。これまでがそうであったし、わざわざストレイダーを雇ったのは
キーソードの運用に集中するためとも考えられる。つまり放置でよい。
 問題は、この土壇場で飛来した、漆黒の兇剣士ストレイダー。次元衝撃波の必殺剣と、
術理の巧緻性。一対一でディムロードを凌ぐ、敵の鬼札。キーソード持ちのズリグリーと
の間に割って入り、通れるものなら通ってみせろと挑発する。
(ストレイダーに関しては、まともに相手をするべきではない。よしんば斃せたとしても
ワンダラーズの企みを阻止できる余力が残るとは思えない)
 幸い、知能も低く鈍足なズリグリーは、個体数が多い分厄介ではあるが、まだそれなり
に対処できそうではある。希望的観測だがキーソードを破壊できればダークラウンともど
も退くかもしれないし、こちらが退いてもよい。これもあるていど無視できる。
(どうにかストレイダーをすり抜けて、一撃をキーソードに叩きこむ!)
 そのためには、まず“意表を突く”必要がある。
 ストレイダーの思いもよらない攻撃で、かつそれに乗じて動けることが望ましい。

69 :
 利用できるものはないか。環境状況を確認。
 運動場、学校の校舎、花壇。
 ストレイダー。その向こうにズリグリー、目標(キーソード)は地上およそ三四メート
ル。空にダークラウン。落ちた右腕。
 ――仕掛ける!
 ああでもないこうでもないと悩む時間が惜しい。
 瞬時に戦術を組み立て、ディムロードが跳躍。
 立ち塞がるストレイダーに渾身の跳び蹴りを浴びせると見せ掛け、
『Form Change――』
「それは読んでいた」
 最接近からDD51形ディーゼル機関車に高速変形し、黒い翼の下を掻い潜る。ディム
ロードの変形機構は、車体を半ばから折り、両端を足先とするため、空振りに終わった蹴
りの慣性を利用できる。
『“Shadow−Nail”――charge up』
 間髪入れずストレイダーは低空飛行で迎撃。交差する直前から、片足のスラスターに点
火。円弧の動きで、地上を這うディムロードを捉える。
 二度目の、魔剣“影犬”。
 だが、ここに来てディムロードは、ストレイダーの予測を上回った。
『――Error』
 システムボイスが告げたのは、“ディムロードの変形の失敗”。ディムロードは鉄道車
輌にならず、またキーソードからはまるで関係ない方向へ仰向けにスライディングしてい
った。さりとて、逃走を図ったわけでもない。
 ディムロードの真の狙いは、斬り飛ばされてグラウンドに転がる、自身の右腕!
 それを滑走しながら脚に挟んで攫う。臀部に重心を移動し、左腕で座標軸を調整。
 ディムロードの両脚は、DD51形ディーゼル機関車の車輌両端部であるが、どちらも
変形時に九〇度回転するため、ロボット形態の基本体勢においては動輪は背面に位置して
いる(ディムロードが内股や外股もできることは言うまでもない)。
 当然、それを戻すと、二本脚の間に車輪が向かい合って並ぶことになる。
 そこで二列の動輪で固定した物体を、ピッチングマシンの原理で投射すれば、銃砲火器
のない機体でありながら強力な遠距離攻撃手段を得られる。
 それこそが、DDアタックに続く、ディムロード第二の必殺技。ディメンジョン・ディ
レールメント・キャノン。すなわち、
「DD、キャノン!」
 ――発射。
 破壊された右腕は、即席の砲身によって、奇しくも“空飛ぶ拳”となった。

70 :
 耳を聾する轟音。金属でできた物体同士を激しく打ち合わせたような種類のものだった。
物が破砕されるときの甲高い悲鳴の他に、物が撓(たわ)んだのであろう鈍い響きがある。
「やったぁ!」
 ズリグリーのずんぐりした腕が、着弾の衝撃で千切れ飛んでいた。えーいち朗は、単純
にその事実を認めて歓声を上げた。
 ただし、当然、ディムロードの狙いはズリグリーではなく、中ったのもズリグリーでは
ない。
 ――ぐわん――
 三者の視界の中、キーソードは大きく揺らいでいた。
 DDキャノンだ。直撃弾だった。
 砲弾の役割を終えた右腕の残骸が、破片をばら撒いて落ちる頃になって、ダークラウン
が両頬を手で押さえて絶叫。見ようによっては滑稽な仕草だったが、当人はいたって深刻
であった。
「な、な、何ということをーッ!?」
「やってくれたな……!」
 まんまと出し抜かれたストレイダーが、怒りをジェットエンジンにくべて離陸。反応し
ようもない速さでディムロードの領空を侵犯。それは、えーいち朗の目には、避けようの
ない“死”そのものにも見えた。
「ディム郎ッ!!」
 歓喜から一転して恐怖の表情となった少年に指摘されるまでもなく、ディムロードも発
射後の報復のことを考えていないではなかった。
 しかし、最初にストレイダーの速さを身をもって味わわされていたディムロードは、つ
いにその対処方法を見つけることができないまま、キーソード破壊を敢行していた。
 DDキャノンは、捨て身の攻撃だったのだ。
 回避は、間に合わない!
『“Dark−Fang”――charge up』
 ディムロードの心臓部が、ストレイダーの突き出した左翼の剣に貫かれた。右のシャド
ウネイルと対になるもう一本の太刀、ダークファングの纏う次元の衝撃波の前に、胸部装
甲が何の役に立つだろう?
 引き抜かれる黒い刀身。
 前のめりにゆっくりと傾いでいくライトグリーンの巨体。
 えーいち朗は、喉を嗄らして、機械仕掛けの友だちの名前を叫んだ。

71 :


 −4−

「フーゥ。一時はどうなることかと思いましたが」
 ダークラウンは、わざとらしく安堵の溜め息を吐いた。
 あれから、ディムロードがキーソードを狙撃してから、およそ数刻という時間が経過し
ていた。太陽が西の地平線に近づいて行き、その光を黄金に変えつつあった。
「キーソードはこれでなかなか頑丈だったようで、どうにか事なきを得たようですね。い
や、これはびっくり僥倖!?」
 結論を言えば、ディムロードの捨て身の攻撃は、ワンダラーズの計画に大きな影響を与
えなかった。〈足らざる世界〉においては、“必ず報われるものなどない”のだ。
 実際には、キーソードの損傷のほどは定かではない。おどけてみせるダークラウンは、
実はキーソードについては、さほど詳しくないのだった。
 ただ、ディムロードの攻撃を食らいながら外装に異状はなく、また出力される“次元の
歪みの力”も規定値を保っていたことから、特に機能に問題はないだろうと大雑把な判断
を下していた。
 
「座標よーし、関係ないけど風向きよーし!」
 調子づいて来たダークラウンがあれこれと奇矯な振る舞いに及んでいるのには構わず、
ストレイダーは両腕の太刀を脚の前で交差させる基本姿勢で事態の推移を見物していた。
ディムロードを戦闘不能とした以上、傭兵としての今回の仕事はほとんど終わったといっ
てよい。
 ワンダラーズは、この後、定刻を待つだけだった。異世界との隔たりが最も薄くなると
いう時間帯にあって、キーソードの機能が最も活性化するとされる時刻だ。
 〈足らざる世界〉の黄昏だ。
 余裕あるワンダラーズの一方で――
「ディム郎っ! ディム郎っ! 目を覚ましてよぉっ!」
 校庭の隅では、えーいち朗少年の悲痛な叫びが続いていた。
 そこに無造作に投棄されていた、見るも無惨なライトグリーンの金属塊が、〈足らざる
世界〉のために戦ったディムロードの、成れの果てだった。
 沈黙、ただ沈黙。
 えーいち朗の頬を伝って、悔し涙が装甲板に落ちる。だからといって何も変わらない。
当たり前だ。〈足らざる世界〉とはそういう世界なのだから。
「ディム郎ーっ!!」
 もう、幾度その名を繰り返したことか。必死の呼び掛けには、鬼気迫るものがあった。
 えーいち朗は後悔していた。
 あの日のことが、これまでのことが、ぐるぐると頭の中を巡って堪らなかった。もっと
ちゃんと仲間を探していれば。もっときちんとクラスメイトを説得できていれば。
 もしかしたら、こんなことにはならなかったのではないか。
 何が、『“勇者”がいたらなぁ』だ。そんなことを言うより前に、ボクにはきっと出来
ることがあった!

72 :

「……えーいち……朗か……」
 不意に、名前を呼ばれた気がした。
 えーいち朗は、初め、それを空耳かと思った。
 だが、見ればディムロードの眼は、弱々しくではあったが、確かに光を取り戻していた。 
「ディム郎!? 大丈夫なの!?」
「これくらいでは、まだ、死にはしない。だが、メイン動力炉をやられては。動くだけの
力はもう……」
 それでも奇跡だ。とえーいち朗は呟いた。〈足らざる世界〉に、奇跡はないのに。
「そうだ。世界は、どうなっている……?」
 か細いディムロードの声に、えーいち朗はハッと顔を上げた。
 このライトグリーンの戦士が倒れた今、ワンダラーズの企みを止められる者は、もうい
ないのだ。
 ふたりは揃って夕陽に染まる学舎のほうを向き、そして、“とうにすべてが手遅れとな
っていた”ことを、知った。
「おおっとそろそろ時間かな? ここに、不肖、この闇の道化ダークラウンが、皆様にそ
の刻をお知らせさせていただきましょう!」
 ダークラウンは、キーソードに十本の指を置いていた。
 “どうにもならないことは、どうしようもない”。この〈足らざる世界〉は、そういう
ところ。時計の針が止まらないように、時計の針が戻らないように。
 ――“刻”は、来た。
「今こそ、九大世界の連結を! “超次元ワンダランド”の完成を!」
 喝采がある。誰かの。
 喝采がある。どこからかの。
 ワンダラーズにとっては、待ち望んだ瞬間だ。これまで半年に渡って、ディムロードな
んて得体の知れない輩に阻まれて続けて来たもの。
 それを、ようやく、我が物とすることが出来るのだ。
「さぁって、それではお待ちかね。心の準備はよろしいか?」
 これまでの苦労が報われることを思えば、ダークラウンの声も弾もうというものだ。

73 :
 そこからは、ダークラウンの独壇場だった。
「開っ――」
 そして、ついに、長きに渡るディムロードとえーいち朗の決死の妨害も虚しく、ダーク
ラウンはその毒手をもって、
「――放っ」
 眠れるキーソードを、作動させた。
 初めの異変は、キーソード本体の表層において明らかだった。
 黒ずんだ方形の刀身にびっしりと浮かんでは消える、それは異界の“文字”。人知及ば
ぬ文字らしき何かとは表現できる。
 もしも、ここならぬ〈紅蓮の血闘〉世界に生まれた者がこれを見たなら、かの地の人類
を襲った戦闘狂的生物兵器によって運用される機動兵器群の装甲に刻まれていた謎の文字
との類似性に言及したかもしれない。
 かくて次元がゆがむ、空間がひずむ。
 打ち抜かれた開放点において、前方後円の“鍵”は、そのまま“鍵穴”となる!
 ――とびらが、開く。
 異界に通ずる門だった。
 空間の孔そのものとなったキーソードは、大気に溶けるようにしてすぐに人類に視認で
きなくなった。そう、この門じたいは肉眼で捉えることができない。異界との行き来の方
法を知る者は、ワンダラーズと、それから、あるいは――
 ワンダラーズが前もって同じ仕掛けを施しておいた〈足らざる世界〉を含める九つの世
界において、九本のキーソードが連鎖的に起動、ビーズで作った首飾りのようにそれらす
べてを一個の“環”として繋げる。
 そう、〈足らざる世界〉と、どこか他の世界どころではない。
 “九”つの世界が連結されていた。ワンダラーズが連結してしまった!
「ホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ――ッ!!」
 道化師の哄笑を、ディムロードとえーいち朗はただ聞くしかできない。この〈足らざる
世界〉を守り切れなかった、みじめな敗北者として。
「――〈足らざる世界〉!
 ――〈騒嵐の世界〉!
 ――〈科学の都市〉!
 ――〈高速格闘フィールド〉!
 ――〈紅蓮の血闘〉!
 ――〈鋼の騎士道〉!
 ――〈回転遊戯盤〉!
 ――〈歪みの最大たる次元〉!
 ――〈黄金精神〉!
 以上、九大世界の連結をもってッ! 史上最大ッ! 環状総合遊園地ッ! 我らが楽し
い〈超次元ワンダランド〉、ここにめでたく完全開園だッ! もう退屈とはサヨナラバイ
バイ! スリルとショックとサスペンス、エキサイティングよコンニチハ! これもひと
えにお客様、みんなのご支持のあってこそ!」

74 :

 ディムロードとえーいち朗は、一瞬、ダークラウンが何を言っているのか分からなかっ
た。いつもの調子で声を張った道化の語った内容は、ふたりがこれまで漠然と予想を立て
ていたワンダラーズの当面の行動原理とは、スケールからしてまったく異なっていた。
 〈超次元ワンダランド〉。
 九つの世界からなる遊園地。
「ディム郎、今の……!」
「九つの異世界を繋げるなどと大掛かりな真似をしておいて、それで造ったのが一個の遊
園地だと?」
「そうですよ」
 ダークラウンは機嫌よく囀った。
「私どもの〈超次元ワンダランド〉は、笑いあり涙あり不思議と感動ありの総合アミュー
ズメントパークなのでございまして。お客様が日頃のブルーな心を癒してくださることを、
無上の喜びとさせてもらっておりますれば!」
「対価は何だ……!」
「え・が・お」
 ふざけた口調とは関係なく、ふたりはそれをまったくの嘘だと見抜く。
 もし、純然たる善意からの行いだとすれば、ワンダラーズは理解を隔絶した怪物だとし
か言いようがない。
 そこはもちろん、娯楽の提供を大義に掲げながら(それにしても、どこまで真実か分か
ったものではないが)、何らかの“旨味”があるに決まっている。金銭でなくとも、たと
えば名誉欲的なものや、漫画的にはなるが負の思念そのものを食らう存在であるとか、そ
ういうことも有り得なくはないだろう。
 いずれにしても、怪電波に操られて暴れさせられた人びとの苦しみを、ズリグリーやア
ミューズメントマシーンの破壊活動のために流された涙を、ディムロードの戦いを、えー
いち朗は忘れない。
 だから、断言できる。どれほどの嘘と都合のよい解釈で奉仕者を気取ろうが、
 ――ワンダラーズは、“悪”だ!
 許してはおけない。絶対に。誰かが言った。“自分の考えを押しつける者とは戦わなく
てはならない”。
 言うまでもなく、ディムロードも、えーいち朗と同じ意見だった。
 だが、その“悪”に対して、今のふたりは何も出来ない。ディムロードは重傷を負って
いたし、えーいち朗はあまりに無力だった。

75 :
 それどころか――
「さてさてそれでは。こけら落としに、いっちょう派手に! お邪魔な虫けらディムロー
ド! お払い箱のディムロード! さっくと血祭りに上げちゃって、汚い花火にしましょ
うか!」
 最後の希望であるディムロードをすら、ワンダラーズはこの世から永遠に消し去ろうと
している!
「おれがやらなきゃ誰がやる? 一座の中から『我こそは』ってぇ、手を挙げる奴ぁいね
えのか! 新入りさんのストレイダーに手柄をやってもいいけれど、さんざ同胞潰された
ズリグリーとかどうざんしょ!?」
「GRRRR……!!」
 ダークラウンの口上に乗って、ズリグリーが、“どっと押し寄せてくる”。一体であり
ながら、それほどの迫力があった。
 動けないディムロードを、大質量と、内なる金属のあれこれをもって磨り潰すために。
 このスライム状の巨大怪獣の足は、なめくじのように遅い。だが、それだけにじわじわ
と追い詰められていく恐怖が掻き立てられる。まして、ディムロードは逃げられない!
 不気味なぬめりを帯びて、絶対的な絶望が、近づいて来る。
 ディムロードは“死”を覚悟した。力及ばなかったと自身の命ならまだ諦めもつく。
 だが、せめて。
「えーいち朗、きみだけでも……」
 ――逃げるんだ。早く。
 最悪の状況下、振り返ってそう告げようとしたディムロードは、そこで我が眼を疑うこ
とになった。
 えーいち朗はもう、背後にはいなかった。
 あの小さな体は、ディムロードの前に。
 未熟な両腕を精いっぱいに左右に伸ばして、ディムロードを背中に庇うように、ズリグ
リーに立ちはだかっていた。
「……来るな」
 瞳に浮かぶのは、怯えでもなく、怒りでもない。心は熱く、なのにどこまでも落ち着い
ていた。
 後悔が少年を変えたのだ。その是非はともかく。
 今、出来ることは、何か。えーいち朗は考えて決めたのだ。幼く、無力でも。
「えーいち朗!? きみは一体、何を考えているんだ……! よせ! ……早く、逃げて
くれっ!」
「ごめん」
「きみのその行動には、何の意味もない!」
「分かってる」
 実際、それはまったく、無意味な行為だった。
 ズリグリーを人間ごときが止められるものか。怪獣に人間の声など通じるものか。
 えーいち朗少年がするのは、ただの“無駄死に”だ。ディムロードは焦った。動力炉に
再び火を入れようとする。――不可能。

76 :
 ならば、説得するしかない!
「ぼくがいなくなっても、だとしても、それで希望がなくなるわけじゃない!」
 ワンダラーズの台頭で、今後この〈足らざる世界〉がどうなるかは知れないが、少なく
ともすべての未来がただちに潰えることはないだろうと思えるのに。
 暗黒の時代であっても、人類の科学技術の進歩であるとか、ディムロードと同じような
ロボットの出現であるとか。
 生きてさえいれば、もしかしたら――
「今、ここで死んでは、何もかも終わりなんだぞっ!」
「そうだね」
 えーいち朗は、大人びた顔で微笑んだ。
「何故だ、きみは……」
「こんなことをしてもディム郎は喜ばないって分かってる。お母さんお父さんにだってご
めんなさいって思うよ。それでも」
 ――こうでもしなければ、ボクは、ディム郎に何をしてあげられるっていうんだろう?
 ディムロードはそれを理解できない。
 えーいち朗はただ、報いたかっただけなのだということ。
 このライトグリーンの“勇者”について自分がどれだけ感謝していて、それだけでなく
て、ディム郎のことを友だちとして自分がどれだけ大切に想っているかを伝えたかった。
 〈足らざる世界〉で、たったひとり。
 巨きな怪獣に踏み潰されたって。
 ――“ボクたちはずっと友だちだって”!
「あっち行け、怪物」
 だから、えーいち朗は、ズリグリーに立ち向かう。
 殺意に凝った肉塊は、もう、すぐそこまで――
「ディム郎は、ボクが守る!」
 えーいち朗は、最期まで目を瞑らないことを、決めた。
 誰もそれを勇気とは呼ばないかもしれない。構わなかった。これは子どもの下らない意
地だと分かっていた。ディムロードといっしょに戦う仲間を気取って、子どもが独り善が
りに課したものだ。
 そんなもので、ディムロードを守れるわけがない。自分自身すら、守れはしないのだか
ら。ただ、こんなところで死ななくてもよかったはずの少年が、ひとり余計に死ぬだけだ。
 ズリグリーは足を止めるどころか、えーいち朗など見てもいなかった。“悲劇は避け得
ない”。
 ディムロードとえーいち朗の死をもって、悲しい哉、早くもふたりの物語が幕を閉じる
ときが来た。
 何ぴともそれを覆すことはできない。
 あらゆる奇跡を否定する、この〈足らざる世界〉においては。たとえば、颯爽と登場し
て怪物をやっつけるような、御伽噺の勇者は存在しないのだから。
 受け入れるしかない。
 それが、〈足らざる世界〉に生きる者の、さだめだった。

77 :

 ――けれど、
 けれど、“今は違う”!
 

78 :
 ふたりは、まだ、死なない。
 何故なら、今の〈足らざる世界〉は、〈超次元ワンダランド〉を構成する、九つの世界
の一。どこまでも無慈悲なこの世界には、八つの異世界が連結されていた。ワンダラーズ
が連結してしまった。
 だから、それがやって来る。前提も、法則も、それはすべてを破壊してしまう!
 ここからひとつだけ隣にある世界、〈黄金精神〉という名のその世界から、“〈足らざ
る世界〉に足らざる者”が来る!
 にわかに。
 空が、
 翳る。
「……なに?」
 闇の道化ともあろう者が、思わず役割を演じることを忘れてしまうほどに、それは劇的
な変化だった。
 白熱の昼から嵐の夜へ!
 輝く雷が、一瞬にして全天を覆った黒雲の腹を食い破り、天界に通ずる階のように落ち
る。稲妻というものを、えーいち朗は生まれて初めて肉眼で見た。音という音が雷鳴に蹴
散らされて消えた。
 瞼を閉じる前、白光に染まった視界に、もうひとつ何か動くものがあると気づく。目映
い閃光に乗じて、えーいち朗の頭上を滑るように伸びていく。穏やかなまでに緩慢に。い
や、見掛けの速さなど当てにならない。“ズリグリーはそれを認識できていない”!
 それは――
(――“右腕”――)
 ――だ。
 機械仕掛けの指、優美にくびれた手首。ケルトの神族の王が損なった我が腕に替えたと
いう、銀の義肢さえ思わせる――。
 伸びてゆく、伸びて。ディムロードに迫るズリグリーに牙を剥く。
 そこでズリグリーがどのような行動を取るかなどということは、まったく考慮すべき事
柄としていない。自然界において圧倒的な捕食者が行ってみせる狩猟のような。
 一撃必殺!
 雷を帯びた右手は、ズリグリーが断末魔を上げるよりも早く、その巨大質量の一切を蒸
発せしめる。生きた細胞を根こそぎ、一個一粒たりとも、逃しはしない!

79 :
 ディムロード、ストレイダー、ダークラウンに、ズリグリー。落雷以前からこの戦場に
ひしめいていた猛者たち、その全員が慄然としていた。
 えーいち朗とディムロードを最大の危機から救い出した何者かは、もちろん、彼らのう
ちの誰でもあり得ない。
 ならば誰だ。電光のごとく。
 お前は誰だ。雲耀のごとく。
 答えられる者など、そこにはなかった。視線を上方に移動させて地上二三メートルにあ
るその貌を確かめた、ただひとりの少年以外には!
 えーいち朗の前に、我が身を盾とするように、雲外鏡の銀色を発する巨大人型の機械仕
掛けが全貌を現す!
『ブレイブチャージは果たされた』
 傲岸不遜の来訪者。
 遠雷を我が声に代えて、物を言う。
『些か反則気味ではあったが。果たされたからには我が力、貸してやろう』
 あくまでも一方的に、えーいち朗とディムロードに語り掛ける。そのステンドグラスの
ような眼は、振り向きもせず。
「ひ、ひとを驚かすのが生き甲斐のワタクシを、まさか驚かすとは……。やってはいけな
いことをやってくれましたね? アナタ――」
「――何者だ? 銀ぴか」
『問われれば、私は』
 ダークラウンが指を突きつけ、ストレイダーが誰何の声を発する。
 答えて影は、
『勇者だ』
 再び、その輝ける掌を、翳した。
 ワンダラーズの誰も知るまいが。〈黄金精神〉世界において、機械仕掛けの怪物たちを
破壊し、救おうとした奇跡の右手だ。
 ワンダラーズの九大世界連結と、えーいち朗の想念により作動したブレイブチャージシ
ステムが、それを召喚した。
 その名も、
「電光の勇者、アイバンホーンだ……!」
 えーいち朗が憧れた、架空の〈勇者〉がそこにいた。

80 :


 −5−

 電光の勇者アイバンホーン。
 人知及ばぬ怪物たちを、存在感だけで圧して立つ。“スーパーロボット”。全身を破魔
の白銀に覆った、それは〈勇者〉を名乗る者。
 身長はストレイダーをわずかに上回る、二三.七メートル。
 胸甲に燦然たる車輪の紋章と、合わせて二輪馬車めいた姿となる剛力の両脚が、“雷”
と親和を持つもうひとつの属性を表していた。
 すなわち、“戦車”。
 ――地表が削がれる音がする。アイバンホーンの頑強な脚部、その両側面にある大口径
車輪が回転している!
 ストレイダーが戦士の本能でいち早く戦闘態勢に立ち返り、雇い主にとてつもない危険
が迫っていると察知した。彼が歴戦の傭兵でもなければ、この場の誰ひとり、攻撃の発生
を読めなかっただろう。ズリグリーの軍団など、雁首揃えて見ているしか出来ない。
 アイバンホーンが疾走り出していた。大車輪のトルクを受け、初動から既に疾風迅雷の
速さ。アイバンホーンは“電光の勇者”であるが故に。
 狙いは、お前だ、ダークラウン!
「――ちょ」
 その身を精巧なダミーとすり替えていてさえ、恐怖を禁じ得なかった。ダークラウンと
もあろう者が! この〈勇者〉だか何だかは、蜘蛛糸より細いダミーとの繋がりを突いて、
破壊の力を本体まで逆流させて来るのではあるまいか!?
『“Dark−Fang”/“Shadow−Nail”――charge up』
 護衛役に回ったストレイダーが、突進するアイバンホーンの前に立って変形、剣の切っ
先でもある機首で刺突を放つ。推力最大。さらに相手の速度をそっくり利用する迎撃の技
だ。名づけて、魔剣“空影(そらかげ)”。
 黒の魔剣士と電光の勇者が、正面から激突!
 莫大な運動エネルギーが釣り合い、二つの生ける鋼がせめぎ合う。ストレイダーの最大
出力は、〈黄金精神〉世界において無敵を誇ったアイバンホーンの超突進力を押し留めた
のだ。
 ストレイダーは会心の手応えを得ていた。黒の剣先は、銀の手甲を砕いてアイバンホー
ンの掌に突き刺さっている。勇者などというからどれほどの強者かと思えば、期待外れも
甚だしい。そんなことすら考えていた。

81 :
 それが過ちだったと思い知る。
 右手に怪我をさせたからどうだというのか。
 銀色の覚悟は、自壊を厭わず、顧みもしない。これを斃そうと願うなら、何よりもまず
頭脳なり心臓なりを破壊せねばならなかったのに!
『〈歪みの最大たる次元〉よりはぐれたストレイダー。次元の歪みの衝撃波を黒い翼に乗
せる、巨大人型の魔剣』
 電光の勇者アイバンホーンのセンサが、ストレイダーのおよそすべてをシステムスキャ
ン、謎めいたその正体を探る。解明は、極めて速やかだった。
『なかなかの力だ。貴様は既に有翼の剣士として完成されつつある』
 尊大な態度は、それなりの損傷を負ってもまるで改まることがなかった。雷声にも、苦
痛のひとかけらさえない。
『だが』
 発声の音階を一段下げて、
『それでも、完全顕現を終えた私を前にしては、貴様に勝機などない』
 アイバンホーンが、攻撃準備。
「……勇者といったか、銀ぴか」
 何だこいつの力は? “次元の歪みの力”を歪ませ返しかねないエネルギーに驚くスト
レイダーに、アイバンホーンは答えない。見下ろす勇者の眼に、傲然たる戦意が装填。
『ファイナルブレイブチャージは果たされていない。貴様のために祈る者はない。ならば
せめて、電光の勇者アイバンホーンの名において――』
 たとえそれが、人類に牙剥くおよそ不死身の怪物機械であろうとも。
 たとえそれが、黒い翼を携えて次元を渡る歴戦の剣士であろうとも。
 敵対する者のことごとく、
「……ッ! 会話をする気が、お前にはないのか!?」
 銀の右手は、打ち砕く!
『――粉砕せよ、ライトニングライトアーム』
 都市をも平らげる電流火花に激烈な電磁気嵐、ストレイダーに拮抗を許していたのが嘘
のような圧倒的な突撃衝力。
 これが電光の勇者アイバンホーンだ! 必殺のライトニングライトアームだ!
 戦いは、その超破壊力をもって完全に決着した。

82 :
 ストレイダーは、活動に支障を来すレベルの損害を被って戦線を離脱。掌から迸ったエ
ネルギーの奔流は、SR−71“ブラックバード”譲りの流線形でやりすごせるようなも
のではない。
「こんな巨大人型が存在するのか? ……存在していいのか!」
 舌打ちを残し、いずれの雪辱を誓いながら、〈足らざる世界〉から全速で退避するしか
なかった。
 ワンダラーズもただでは済まない。
 光の余波だけで、一帯のズリグリーは揃って生命維持が不可能になるまでその質量を減
衰させられ、またダークラウンのダミーは風船となる端から割れては消えていった。
 ――きょ、今日のと――ところは、これにてへッ――閉幕ッ! 勇者電こ――光アイバ
ンホーン――楽しい電飾パレードに――飛び入り参かっ――ご苦労さんッ! ではで――
では皆さん御機嫌ようーッ!
 消滅するバルーンからバルーンに音源を転移させながら、いつもよりキレのない捨て台
詞を吐いて、ダークラウンも撤退する。不信の種など、この勇姿を前にどこまで通じるか。
 最後に、吹き荒ぶ疾風が上空から暗雲を一掃して。
 〈足らざる世界〉に、ようやく平穏が戻った。
 えーいち朗の意識は、そこで一度途切れた。


 −6−

「まずは、礼をさせてくれ。ありがとう。アイバンホーン」
 電光の勇者を前にして、ディムロードは出来る限り誠実たらんとしていた。もし彼が来
てくれなかったらと思えばゾッとする。
 “アイバンホーン”。
 いつだったか、えーいち朗から概要を聞いたことがある。それは、『勇者電光アイバン
ホーン』という映像作品に登場した、架空のスーパーロボットの名前のはずだった。
 ディムロードの自己修復は、かつてない異様な速さで終わりつつあった。
 飛ばされた右腕が完全に接続。あと数刻もあれば、破損したメイン動力炉も再稼働でき
る見通しが立っていた。キーソードが繋げた異世界の影響か、アイバンホーンが何かした
のか、それは定かではない。

83 :
 えーいち朗は、ディムロードの手摺にしがみついて眠っている。安心した途端に、一日
の疲れが出たのだろう。無理からぬことだった。
 アイバンホーンとディムロード、二つの巨大が向かい合う。
『――ワンダラーズなどという不逞の輩が、九つの世界を連結したようだな』
 アイバンホーンは、感謝の言葉など一顧だにせず、やはり尊大な態度で一方的にディム
ロードに話し掛けた。轟く雷のようでもあり、唸る機械のようでもある。こちらを仲間と
も思っていないような声、そういう印象を、ディムロードは抱いた。
「奴らは九つの世界の至るところで、ふざけた遊戯を始めるつもりだ」
 ディムロードは断定した。
 〈超次元ワンダランド〉。九つの世界からなる、想像を絶するスケールの“遊園地”。
 ディムロードひとりでは、ワンダラーズを止められない。“異世界に行けたとしても”
拡大する戦線には対応できないし、黒い翼のストレイダーがいる。
 力を貸して欲しい。ディムロードが共闘を願おうとしたときだった。
『〈足らざる世界〉の勇者級、後はお前が何とかしろ』
 〈黄金精神〉のアイバンホーンは、ディムロードの想いなどお構いなしに、あろうこと
かそんなことを言い放った。笑えない冗談のような話だった。
 無理難題を吹っ掛けられたディムロードは、見苦しく狼狽こそしなかったが、内心で大
いに困惑した。
「ぼくが……?」
『〈超次元ワンダランド〉の九つの世界を渡り、ワンダラーズの野望を挫くのだ』
 出来るわけがないと思う。
 『何故ぼくが』などという気はない。ワンダラーズを許せないと思う。だが、〈足らざ
る世界〉ひとつ守れなかったという事実が重く圧し掛かる。
 アイバンホーンは、ディムロードの異論を認めなかった。決して早口というわけではな
いのに、強制力をちらつかせながら畳み掛けるように喋り続ける。
『〈超次元ワンダランド〉の全容については、環状線の九つの駅を思えばよい。行き方な
らば、分かってるはずだ』
 そう。
 異世界への移動方法を、ディムロードは知っていた。確かにその知識があり、そのため
の機構が我が身に備わっていると分かる。獲得に纏わるエピソードなど、何ひとつ思い出
せないが。
 変形を告げるシステムボイスと同様に得体の知れない、しかし確実な情報と信頼に足る
機能をディムロードは有している。
 実に不思議なことに、“ディムロードは、キーソードの開いた異世界への扉を通ること
が出来る”!
 これはあるいは、異世界に行くべくして製造者が用意した力なのではないか? そんな
考えまで浮かぶ。

84 :

『ディムロード。お前がもし足らざる何かを得たいのであれば。そこの少年と九つの世界
を渡り、〈勇者〉を探さねばならない』
 アイバンホーンは、迷えるディムロードに、手を伸べるように言った。
「〈勇者〉」
『完全顕現した私にいずれ勝るとも劣らぬ、鋼の英雄格だ』
「えーいち朗と、とはどういう意味だ?」
『いずれ分かる。必ず連れて行くように』
 ディムロードは閉口した。まともな会話にならない。確かストレイダーもそんなことを
叫んでいたが、アイバンホーンは超然としすぎていて、こちらに理解させようという努力
を払わないようなところがある。
「私がいない間、この世界はどうなる?」
『ワンダラーズが根絶やしになるまで、私は顕現し易い状態にある。“戦いは未だ終わっ
ていない”、ブレイブチャージシステムはそう解釈している。お前が一周して帰還するま
で、〈足らざる世界〉は守ってやろう』
「いいのか?」
『電光の勇者アイバンホーンの名において』
 その言葉は、何よりもディムロードを安堵させた。申し出じたいは意外だったが、これ
ほど頼もしい戦力もそうはいない。
 アイバンホーンは強い。
 いるとなれば、ワンダラーズも不用意には手は出せないだろう。ズリグリーなど、ダー
ス単位で蹴散らされるだけだ。
「それから……」
 他に聞いておきたいことはないか。ディムロードはそこまで考えて、自分が既に決断を
終えているのだと気がついた。
 ほどなく機体損傷の完全修復を確認。すべての状況が、自分の出発を促しているかのよ
うだった。
 〈足らざる世界〉のディムロードは、旅の導き手となった電光の〈勇者〉に言った。
「……分かった。行こう、異世界へ!」
 ぼくたちの戦いを、始めるために。

85 :




         創作発表板『勇者シリーズSS総合スレ』より 




 ――ぼくたちの世界は、悪夢を見ていた。
 神々の遊戯場か、悪魔の賭場か。
 謎の娯楽提供者集団ワンダラーズにより、九つの異世界が、〈超次元ワンダランド〉と
して連結された。それは、人類にとって災厄以外の何物でもなかった。
 恐怖と混乱から九つの世界を救うためには、次元を越えて鋼の〈勇者〉を探さなくては
ならない。
 〈足らざる世界〉の巨大人型ディムロードと、友だちのえーいち朗少年の、長い旅が始
まった。



『Feed Back――FALBREAK』
 〈騒嵐の世界〉には、紺碧の空を飛ぶ〈勇者〉がいる。
 さるコンツェルンが私的に保有する戦力であるというそれは、地上の邪悪たちを捉える
鷹の眼、そして正義を体現する爪と嘴を持っている!
「飛べ! 何よりも高く!」
 涙を攫う猛禽のごとく。
『the BRAVE of Flyaway!』

―――――――――――――――――――――――― 勇者飛翔 ファルブレイク ――

86 :


『Feed Back――FLIGHTNER』
 〈科学の都市〉では、人類の叡智が〈勇者〉を造った。銀翼に希望を乗せ、電脳には勇
気を灯して。
 今やそれは探究者たちの城から滑り出し、天空から日夜人びとを見守り続ける。
「フライトナー! 空の敵を叩くぞ!」
「空に我々の、敵などいないさ!」
 大気圏の守護者。
『the BRAVE of Sky!』

――――――――――――――――――――――――― 天空勇者 フライトナー ――


『Feed Back――SPRIGGAN』
 〈高速格闘フィールド〉において、滅びゆく者たちは、ひとりの機械仕掛けに託した。
人類の最大たらんことを!
 極超音速格闘戦を実現したテクノロジーの塊は、拳法家の魂を得て怪物となった。
「我が流派超重延加拳が、決して巨大質量に劣るものではないことを証明しよう」
 眼で見ることなど不可能だ!

―――――――――――――――――――――――――― 瞬転 の スプリガン ――


『Feed Back――SEIENOH』
 〈紅蓮の血闘〉という世界。かつて〈勇者〉であった男は、人類最悪の敵となった。
 暴虐を止められるのは、恐らくひとりの少女だけ。究極の巨大人型兵器と一体となった、
彼女だけ。
「兄さんに会うまで、負けるものですか!」
 掌に、戦神の炎。
『the BRAVE of Crimson!』

―――――――――――――――――――――――――― 紅勇者 セイエンオー ――

87 :


『Feed Back――ARCRAYON』
 〈鋼の騎士道〉世界。そこには、〈勇者〉である前に“姫”を守る白馬の騎士であると
いう男がいる。
 生まれ変わろうと、鍛えた躰が鋼となっても、その願いはただひとつ。
「その剣の重さは、守りたい者の重さに等しい」
 手の中の剣に、今一度誓おう。
『the Knight of BRAVE!』

―――――――――――――――――――――――― 勇者騎士 アークレイオン ――


『Feed Back――BOARDION』
 〈回転遊戯盤〉。盤上の〈勇者〉は変幻自在。
 一〇の一二〇乗通りをも上回る戦場の流れを読みきって、どんな難敵をも必ず突き崩す
だろう。
「お前たちのそれは断じて遊戯などではない。ただの……攻撃だ!」
 対局開始。
『the BRAVE on Board!』
              
――――――――――――――――――――――――― 封魔勇者 ボーディオン ――


『Feed Back――IBANHONE』
 〈黄金精神〉世界からやって来た〈勇者〉は、銀色に輝く手を伸ばす。
 粉砕されざる物を粉砕し、救済されざる者を救済するものだ。
『完全顕現を果たした私を前にしては、貴様に勝機などない』
 電光となって顕現する、それは生ける御伽噺。
『the BRAVE of lightning!』

―――――――――――――――――――――――― 勇者電光 アイバンホーン ―― 

88 :


『Perfect Mode――DIM−LORD』
 それから、〈足らざる世界〉のトンネルから外へと走り出した者がいる。
 すべての〈勇者〉と出逢い、九つの世界を救うのだと。
「ようやく分かった。ぼくたちにはどうやら。それを可能とする、力がある!」
 到達せよ、超次元へ!
『in BRAVE SAGA!』

――――――――――――――――――――――――― 勇者連結 ディムロード ――




            新世紀の勇者たちよ、ここに集え!



          創 発 版  ブ レ イ ブ サ ー ガ




          次回  『第三話 VS.ファルブレイク/ひとは空を飛べない』

89 :
以上投下終了。
もろもろの言い訳は後でする。

90 :
アク規制です。
言い訳は避難所で。

91 :
規制?

92 :
帰省

93 :
過疎ってるので景気づけに、こっちにも告知。
ttp://www.wind.sannet.ne.jp/kazmad7/divhome.htm
アークレイオンではありません
あしからず

94 :
hosyu

95 :
別に話題とかはないんだけどな。
このスレ微妙に雑談しにくいし。

96 :
ほしゅー

97 :
保守るよ

98 :
ほしゅ

99 :
ほす

100 :



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