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魔王「お嫁にしてくださいっ!」


1 :2010/12/14 〜 最終レス :2018/10/17
騎士「……はぁ」
魔王「聞いてました? 私の一世一代の大告白!」
騎士「え、ええ。まあ……」
魔王「お答えは!?」
騎士「あの……順当、かどうかはともかくとして、普通魔王の相手は勇者では?」
魔王「そうですね! でも、勇者さんって良い噂聞かないじゃないですか。だから、騎士道精神溢れる高潔なお方にお願いしようと思ったのです!」
騎士「は、はぁ……」
騎士(私は女なんだけどな……)
----------------------------------------
スレの経緯等、説明は>>2

2 :
経緯
魔王「お嫁にしてくださいっ!」(夕鶴クライシスでdatの海に沈没)
http://namidame.2ch.sc/test/read.cgi/mitemite/1249042688/
上記スレが、新ジャンル形式で立つ。

2レスの投下でスレ主がいなくなる。

その後、気まぐれで続けてみたら、そのまま続いちゃって今に至る。
誰だ、発展性が無いとか言った奴!(←お前やー!
しばらくは過去ネタの再掲載で。
そういうわけで、>>1,3は私が書いた物ではありませんが、
元ネタという事でそのまま載っけてます。あしからずご了承ください。
また、過去に他の方もこの二人をネタにしてくれているので、
それについても明記の上再掲載しておきます。
立てとかないと、なんだかんだと言って何時まで経っても再開しそうにないので、
見切り発車ALRIGHT(←どう見てもWrong Wayです。本当にry

3 :
騎士「とにかくですね、結婚なんて、無理です」
魔王「なんで!? どーして!? あ、私が幼児体型だから、それを気遣って?」
騎士「違います!」
魔王「だいじょうぶですよ! ちゃんと、夜の技は幼い頃から仕込んできましたから! 魔王って、代々サキュバス族なんですよー」
騎士「そんなことは聞いてません! それに、よ、夜の技なんて、破廉恥です!」
魔王「あれー。男の人はみんなこの話題に食いつくって話だったのに」
騎士(私は女ですからね!)

4 :
魔王「とにかく、女の子にあんまり恥をかかせないでくださいね!」
騎士「ええっと」
魔王「お返事を聞かせてください!」
騎士「あの、ですね、だから無理なんですよ」
魔王「なんでですか!? 幼児体型もOKなロリコンさんじゃないんですか、騎士さんは!」
騎士「誰がロリコンですか!」
魔王「……じゃあ、やっぱり熟女スキーなんだ……」
騎士「いや、そういうわけでも……」
魔王「まさか……男の方を!?」
騎士「……ま、まあ……どちらかと言うと、男の人の方がいいですけど」
魔王「……好きな人が、ホモでした」
騎士「違います! なんでですか!」
魔王「だって、そちらの気があるって今……頬染めて……」
騎士「それが普通です!」
魔王「……ああ、確かにそうですよね! 騎士さん達の間では流行ってると、聞いた事が」
騎士「そういうわけでもなく!」
魔王「やっぱり好きな人はホモでした」
騎士「あーもう!」
魔王「でも諦めません! この私の幼い身体とアンバランスな手練手管で、
   あなたを虜にしてみませす! とりあえず、地下牢よーい!」
騎士「虜の意味が違うでしょう!? いや合ってますがある意味ではっ!」

5 :
騎士「そもそも、どうしていきなり嫁なんですか」
魔王「可愛いお嫁さんになるのが生まれた時からの夢でした!」
騎士「だったら魔王になんかならずにお嫁さんになれば……」
魔王「……実は、魔王って世襲なんですよねぇ」
騎士「あ……そうなんですか」
魔王「私だってねえ! こんな時代遅れの魔王なんて仕事、やりたか
   なかったですよぉ! わかりますか騎士さん!? いきなり普段
   ろくに家に帰ってこなかった父が帰ってきて『俺もう引退するから、
   明日からお前魔王やってくれ』って言われた私の気持ちが!」
騎士「(……魔王決定のプロセスってそんななんだ……)」
魔王「今お父さんは南国でお母さんとのんびりやってますよ! これが
   飲まずにいられるかってんだちくしょうめい!」
騎士「まあまあ、そう荒れずに……こどもびぃるはカロリー高いですよ」
魔王「ホントですかっ!? いやーん、太っちゃう!」
騎士「(太るとかそういうの気にする歳でもないような……)」
魔王「それにしてもー」
騎士「なんですか?」
魔王「騎士さんがお嫁さんにしてくれたら、速攻で私の夢も叶うんですけどー」
騎士「ぐ」
魔王「魔王にして嫁。なんか新ジャンルですよね!?」
騎士「……いや、なんか割と聞いた事あるような……」
魔王「で、結局嫁にしてくれるんですかくれないんですかはっきりしなさい!」
騎士「(どうして私が怒られなきゃいけないんだろう……)」

6 :
騎士(参ったな……私が女だって事を明かせれば話は早いのだけど……)
魔王「はっきりできない理由が何かあるんですか、騎士さん?」
騎士「いや、まあ……あると言えばあるんですが」
魔王「ホモだから?」
騎士「だからそれは違います!」
魔王「そこだけはキッパリ否定する……怪しい」
騎士「怪しくないです!」
魔王「まさかとは思うんですけど……実は女の方だったり?」
騎士「!」
魔王「まさかそんな漫画みたいな話あるわけないですよねー!」
騎士「そ、そうですよ! そんな事あるわけないじゃないですか!」
魔王「ですよねー」
騎士(思いっきり否定しちゃったぁああ!!??)

7 :
魔王「とにかく、お嫁にしてくれるまで私はここを一歩も動きません!」
騎士「……それじゃあ、私は帰りますので」
魔王「はうっ!? まさかの展開ですよ? 私がここを一歩も動けないと
    知っての狼藉ですかっ!」
騎士「狼藉って……とにかく、魔王さんなら大丈夫ですよ。きっと、私じゃ
    なくてもいい人が現れるでしょうから」
魔王「いーやーでーすー! そんな保証無いじゃないですか!」
騎士「だからって、行きずりの人間相手に……」
魔王「でーもー! ……こういう時はどう言えばいいか……えっと……
    生まれる前から愛してました?」
騎士「疑問系ですか」
魔王「ちちしりふとももー!」
騎士「それは違うでしょうっ!?」
魔王「とにかく、この期を逃がせば私にはもう後が無いんですっ!」
騎士「……後が無い? どういう事ですか?」
魔王「実は……えっと……お約束ですので呆れられないように注意して、
    勢いで押し切りましょう。私不治の病なんですっ! もってあと一ヶ月
    の命なんですよ! かわいそうですよね!?」
騎士「注意書きまで読んでますね、アンチョコの」
魔王「し、しまったぁー!」
騎士「お約束通り呆れました」
魔王「うぅ……こんなんじゃ騎士さんに嫌われちゃうよぉ……」
騎士「嫌いはしませんよ。呆れてはいますが」
魔王「十分ダミッジっ!?」
騎士「何故ネイティブ風発音……とにかく……そこまでお嫁さんにこだわる
    のには、何か理由があるというのは本当のようですね」
魔王「はい! その通り! そこはもうホントにホントのホントですよっ!」
騎士「お力になれるかどうかはわかりませんが……その理由、聞かせてもらえますか?」
魔王「はいっ!」
騎士(どうやって断るかは、その後考える事にしましょう……)

8 :
魔王「私って、魔王じゃないですか」
騎士「そうですね」
魔王「魔王って、最終的には勇者にやられるわけじゃないですか」
騎士「そうですね。もう近くまで来てるとか」
魔王「この場合、勇者さんに良い噂を聞かないわけじゃないですか」
騎士「そ、そうですか?」
魔王「モンスター倒してひぃひぃ言わせて悦に入ってるって専らの評判ですよ!」
騎士「そりゃモンスター倒すのは当たり前でしょう。勇者なんですし」
魔王「ひぃひぃ言わせてるんですよ!?」
騎士「……えっと?」
魔王「スライムもゴーレムも手当たり次第ですよ!?」
騎士「あの……話が見えな」
魔王「ホモの騎士さんよりタチが悪いですよねっ!?」
騎士「だから私はホモではないと言ってるでしょう!?」
魔王「……やっぱりそこだけ即反応。ぁゃιぃ」
騎士「少なくとも私は違うと言っているでしょう!? ……他の騎士仲間が
    どうかまでは知りませんが」
魔王「……騎士団ではホモが流行ってる、と」
騎士「何メモしてるんですか」
魔王「いえ、こう見えても魔王ですから、搦め手もいいかなぁ、って」
騎士「じゃあ、私帰りますので」
魔王「嘘です! 騎士団脅迫して騎士さんの身柄を好き勝手にするとか、
    そんなことこれっぽっちも考えちゃいません! 正々堂々とか好きだからー!」
騎士「再び呆れました」
魔王「ああ、騎士さんに嫌われちゃうよぉ……」
騎士「だから、嫌いはしませんよ。呆れてはいますが」
魔王「十分パレンツォン!?」
騎士「何語ですか」

9 :
騎士「何語ですか」
魔王「とにかく、そんな風に勇者さんに犯られちゃう前に」
騎士「字が違いませんか」
魔王「ささやかな夢を叶えてたいんです……ささやかな、乙女の夢を。
騎士「ふむぅ……」
魔王「それからなら、ぐちゃぐちゃに○○されたり、○まされたり、産まれた
    ○と○○○○されたり、さらに○が産まれてから三代に渡って
    ○○○○されたりするのも諦めがつこうというもの!」
騎士「……何を言っているのかはわかりませんが、とにかく凄い事をされると
    想像してるんだな、というのはわかりました」
魔王「理解したならプリーズビー嫁ミー!」
騎士「……ですから、それは無理なんですよ」
魔王「どうしてですか!」
騎士「だから、それは……えーっと……どう言えばいいのか」
魔王「こちらの理由は話したんですから、今度は騎士さんの理由を聞かせて
    ください! 理由も聞かせてもらえない内にあきらめろって言われても、
    そんなの無理に決まってるじゃないですか!」
騎士「それは、そうですが……」
魔王「さあ、さあ、さあさあさあ!」
騎士(……ど、どうしたらいいんだろう?)

10 :
騎士(……決めた)
騎士「ええっとですね……魔王さん?」
魔王「ついに決心してくれましたか!」
騎士「違いますよ。あの、こういう事は、私の意志を無視して、貴方が一人で
    決めていい事ではないのではないでしょうか?」
魔王「やっぱり私が嫌いなんですね! わふーん!」
騎士「いえ、ですから嫌いというわけでは……」
魔王「だったら好きなんですね! ヤター!」
騎士「ですから好きというわけでも……」
魔王「生理的に無理とか酷い!」
騎士「……話し、させてもらっていいですか?」
魔王「どうぞどうぞ」
騎士「……えっと、今日私は貴方と会ったばかりで、貴方がどんな人となり
    をしているか、まだほとんど知りません」
魔王「……貴方にだったら、全て知られても構いません……ポッ」
騎士「ポッ、ではなくて! ……勇者さんがここに来るまでの時間、ある程度
    伸ばす事は可能です」
魔王「……そうなんですか?」
騎士「貴方は悪い人……悪い魔王ではなさそうだと、私は思いましたし。
    ですから、その猶予でもって……まずは、友達からという事でいかがです?」
魔王「友達から、ですか」
騎士「ええ。魔王さんの人となりを知って、それで……それから考えます。
    私にはちょっと……って思った時は正直に言いますし」
魔王「……ならないように頑張ります! 私頑張っちゃいますから!」
騎士(……うぅ……最終的には断らざるをえないのは決まってるのに、
    なんだか騙してるようで心が痛むな……)
魔王「じゃあ、住所教えてください住所!」
騎士「はい?」
魔王「まずは友達からって言ったら、やっぱり文通でしょう!」
騎士「あ……そ、そうですね。……では、これを」
魔王「やったぁ! 騎士さんの住所ゲットだぜー! じゅるり」
騎士(最後のじゅるりって、何……?)

11 :

   ――数日後――
 

12 :
騎士(あれから数日……何とか街に帰ってきましたが……)
騎士(どうして私はこれから嘘をつこうとしているんだろう?)
騎士(確かに、あの魔王は……魔王と呼ぶには邪気が無さすぎる。まるで普通の
    ……いや、ちょっと変な女の子で……でも……)
騎士(……考えていても仕方がない、か)
騎士「入ります」
上司「うむ、よく戻った」
騎士「はっ。上司殿におかれましては、お変わりないようで何よりです」
上司「ははっ、一ヶ月程度でそうそう変わってたまるかよ。して、首尾はどうだ?」
騎士「かの城には、既に魔王やその眷属は存在しておりません」
上司「なるほどな……流石に十年前と同じ場所にいる程馬鹿ではないか」
騎士(……実際には馬鹿でしたが。色々な意味で)
上司「勇者殿には私から知らせておこう。ご苦労だったな」
騎士「はっ」
上司「しかし……何ゆえ魔王を倒すのは勇者でなくてはならぬ、などといいう
    取り決めがあるのか。我等騎士団が、何ゆえ勇者殿の露払いのような
    事しか出来ぬのか……お前も思うところがあるのではないか?」
騎士「いえ……私は若輩者ゆえ、命じられたままをこなすのみです」
上司「そうか……下がってよいぞ。しばし休暇を与えよう」
騎士「はっ」
騎士(……どうやら、嘘はばれずに済んだらしいですね)
騎士(でも、やはりわからない。どうして私は嘘をついたんだろう。
    全てばらして、彼女を勇者さんに退治してもらう事だってできるのに)
騎士(……それが忍びないから? ……そう、なんだろうな。まだ、私は
    彼女の事を知らない。彼女が私の事を知らないように)
騎士(知って……それで、私のこの判断が間違っていたと思ったならば……
    その時は……私の手で……)

13 :
騎士「あ、魔王さんから手紙が……」
手紙『でぃあー、親愛なる騎士さま』
騎士「ディアーと親愛なるが被ってますね」
手紙『騎士さんがこの城を去ってから数日になりますが、つい最近、接近
    していた勇者さんが違う地方に方向を変えたそうです。騎士さんが
    何かしてくださったお陰だと思います。魔王、マンモスうれぴー♪』
騎士「……えっと、まあ、凄く嬉しいって事ですよね?」
手紙『これでもうしばらくここで平穏に暮らしていく事ができそうです。
    でも、こうして騎士さんの事を想いながら筆を走らせていると、
    今すぐにでも騎士さんに会いたくてたまらなくなってしまいます』
騎士「う……」
騎士(うぅ……結果的にではあるけど、私はこの子を騙しているんですよね……)
魔王「だから、会いに来ちゃいました。えへ♪」
騎士(次会う時までには、ちゃんと全てを話せるように準備を……)
騎士「へ?」
魔王「やふー」
騎士「はいぃぃぃ!?」
魔王「お久しぶりです! 騎士さんもお元気そうで!」
騎士「え? ええ? えええ!?」
魔王「さぷら〜いず」
騎士「な、なんであなたがここにっ!?」
魔王「来ちゃった?」
騎士「来ちゃった?ではなくてっ!」
魔王「会いたくてたまらなくなって、気づいたらここに。ホントデスヨ?」
騎士「まずは文通からじゃなかったんですか」
魔王「そんな悠長な事してたら、私はともかく騎士さんがよぼよぼの
    おじいさんになっちゃいますから!」
騎士「……それだけですか?」
魔王「一つ屋根の下で既成事実作っちまえばこっちのもんよ……ヘッヘッへ」
騎士「最低ですね」
魔王「そんな心底呆れた顔しないでもっ!」
騎士「まったく……そういえば、魔王なのに、魔王城から離れて大丈夫なんですか?
    というか、離れられるなら勇者さんから逃げればそれでいいんじゃ……」

14 :
魔王「愛する人への想いの力が不可能を可能にしたのです!」
騎士「……」
魔王「思い出は重いで」
騎士「誰かー。私の部屋に不審者がー」
魔王「反省しますー! だから通報は勘弁してくださいー!」
騎士「……ほんっとに……どうしたものですかね」
魔王「愛してくれれば、それで……ポッ」
騎士「しばらくここにいるつもりですか? だったら貴方の事は、私の親戚である
    という事にして構いませんが」
魔王「あれ、スルー? スルーですか?」
騎士「とりあえず、親戚の子がいきなり来た、という名目で空いている部屋を
    一つ確保してもらうようにお願いしておきますね」
魔王「寂しいよぉー。構ってよぉー」
騎士「ええい、すがりつかないっ! ……ホントに、そんなに私に会いたかったんですか?」
魔王「……好きな人に会いたいと思っちゃ、駄目ですか?」
騎士「会いたいと思ったら即行動に移して事前に相談もなく会いに来るのが駄目です。
    反省してください」
魔王「……うぅ……」
騎士「……そこまで、私に会いたいと思ってくれた事は、その……素直に、
    嬉しいと思いますけど」
魔王「ホントですか!?」
騎士「……反省したら、一緒に団長の所に行きましょう。貴方は私の親戚の
    子という事で、ちゃんと口裏を合わせてくださいよ?」
魔王「はーい!」
騎士(……まったく、なんでこうなるんだか)
騎士(でも……呆れはしたけど、不思議と嫌じゃないですね)
騎士(嬉しい? ……そうなんでしょうか)
魔王「騎士お兄ちゃん、早くいこー!」
騎士「……なんですかその呼び方は」
魔王「親戚のお兄ちゃんという設定でしょ?」
騎士「……何か照れますね」
魔王「えへへ……お兄ちゃん、いこ!」
騎士「はいはい」

15 :

第一部・出逢い編 >>1-14
----------------------------------------
ここまで

16 :
乙ですよー!
この作品の復活を待ってましたっ!(少なくとも自分はww)
魔王ちゃんかわいい☆
続きに期待ですー

17 :
復活乙

18 :
魔王「えへへ、上司さんっていい人ですね!」
騎士「……え、ええ。確かに上司殿はいい人ですが……」
騎士(でも、あのニヤニヤとした笑い、絶対誤解されているような……)
魔王「これで晴れて一つ屋根の下ですっ!」
騎士「さて、魔王さんは着の身着のままでここに来てるわけですし、
    生活必需品でも買いにいきましょうか」
魔王「……やっぱりスルーなんですね……でもそこに」
騎士「痺れたり憧れたりは結構ですので」
魔王「いやーん、いけずぅー」
騎士「さ、行きますよ」
魔王「はーい、お兄ちゃん♪」
騎士「……」
魔王「どうしたのお兄ちゃん? 顔真っ赤だけど熱でもあるのお兄ちゃん?
    献身的に看病しようかお兄ちゃん?」
騎士「な、慣れてないのでこそばゆいだけです! 行きますよ!」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
魔王「ふわー。何だか凄い活気ですねー」
騎士「こういう街は初めてですか?」
魔王「そりゃそうですよー。私、あのお城から出た事ありませんし」
騎士「その割には色々余計な知識が豊富なような……」
魔王「城入り娘って言うんですかね?」
騎士「言いませんから」
魔王「うー。騎士さんがつれないー」
親父「ああ、騎士さん、こんにちは」
騎士「ああ、こんにちは親父さん」
親父「どうだい、今なら新鮮な胡瓜が……おや?」
魔王「こんにちはー!」
親父「おやおや、これは可愛らしいお嬢ちゃんだな」
魔王「可愛らしい……聞きましたかお兄ちゃん! 可愛らしいですってよ!?」
騎士「何をそんなに興奮してるんですか……」

19 :
魔王「女の子はお世辞でも可愛いといわれたら嬉しくなるものなのー!」
騎士(うぅ……その気持ちは私には少々わかりかねますね……)
親父「お世辞なもんかい! その証拠に、お嬢ちゃんの可愛らしさに免じて、
    この新鮮なナスを特別にプレゼントしようじゃないか。持ってけドロボー!」
魔王「ありがとー! うれしー!」
騎士(……ドロボーじゃなくて魔王なんですけどね)
親父「ところで騎士さん。この娘はその、いわゆる一つのアレかい?」
騎士「……あれ、とは?」
親父「こんな往来で大きな声で言えるかよ! ……要するにまあ、騎士さんの
    隠し子なんだろ?」
騎士「どうしてそうなるんですかっ!?」
魔王「おじさんの読みは外れー。私はお兄ちゃんの未来のフィアンセなのですー」
親父「おおっ、そういう事かい!」
魔王「騎士おにいちゃんと結ばれたあかつきには、この八百屋の常連客に
    なる所存でありますー。その折にはよろしくー」
親父「おう、こちらこそよろしくな! なんだい、騎士さん、真面目そうな顔
    して、こんなちっちゃい娘をたぶらかしてんじゃねえか! やるねー!
    男冥利に尽きるねー! このこの!」
騎士「……という具合に、この八百屋のおじさんはノリがよくて暴走し気味
    なので、冗談でもあらぬ事を口走らないでくださいね?」
魔王「半分くらい真実だしー」
騎士「全部虚実です! そういう事にしてください!」
親父「へいへい、そういう事にしておくよ。安心しとくれや騎士さん」
騎士「って、親父さんがそういう事にしないでください! だいたい、
    親父さんがそういう事にしておくって、そういう事になった試しが、
    一度だってありますか!? この娘は親戚の子で、わけあって騎士団の
    施設で暮らす事になったので、私が面倒を見ているだけですよ!」
親父「なんだい、そういう事か」
魔王「ごめんなさーい。実はそういう事なのー」
親父「お嬢ちゃんもお茶目な娘だねぇ。よぉし、気に入った! この取れた手の
    牛蒡も持ってけドロボー!」
魔王「やったー! ありがとおじさーん!」
騎士「……ご理解いただけたようで、何よりです」
親父「おうとも。しっかり理解したぜ。しっかりとな……うひひ」
騎士「わかってなぁぁぁああああーいっ!!」

20 :


騎士「……はぁ。やっと帰ってきた」
魔王「お疲れー?」
騎士「結局、あの後街の人達、会う人皆に貴方との事をからかわれて……私はそういう
    人間に見えるのですかね?」
魔王「ぜんぜーん。単に、皆、真面目に反応してくれる騎士お兄ちゃんが面白くてやって
    るだけなんじゃないかなー」
騎士「お兄ちゃんは外でだけにしてください……しかし、そう考えると、余計に疲れが増した気がします」
魔王「おおっと、お客さん! そんなお疲れの貴方に幼女のマッサージはいかがかね!?」
騎士「要りません。疲れは主に精神的なものですから。というか幼女って」
魔王「実年齢はともかく、見た目は幼女ですよ! 今流行りですよ! 多分!」
騎士「どこの流行ですか……そういえば、魔王さんって実際の年齢はおいくつなんですか?」
魔王「108歳ですけど」
騎士「ああ、だからそんなに煩悩にまみれてるんですね」
魔王「物凄く腑に落ちた顔をされたっ! ショックっ!?」
騎士「でも、それはサキュバス年齢ですよね。人間換算だと?」
魔王「八歳でーす。きゃるん♪」
騎士「へえ」
魔王「ああっ、子供らしい可愛い媚に対する反応が薄いっ!」
騎士「……変に媚売らなくても、魔王さんは可愛いと思いますよ?」
魔王「え? 今、私、褒められました? 褒められましたか!?」
騎士「歳相応に。うん、可愛い可愛い」
魔王「勘違いでしたとー!? ええい、頭を撫でないでくださいっ!」
騎士「とにかく、、もう日も落ちるんですから、自分の部屋に帰ってください」
魔王「私……今夜、この部屋から帰りたくないの……」
騎士「じゃあ、私が魔王さんの部屋を使わせてもらいますね。それでは」
魔王「またその展開ですかー! いいじゃないですか添い寝くらいー!」
騎士「それを許可したら、夜中にどんな……その、破廉恥な事を、されるかわかりませんから」
魔王「……上司さんに、騎士お兄ちゃんが一緒に寝てくれないの、って上目遣いで言ってやる」
騎士「うぐっ……」

21 :
魔王「もしくは、寝かせてくれないの、って頬を赤らめて言ってやる」
騎士「うぐぐっ……」
魔王「上司さんって勘違いしてるっぽいしー。二つ目の方がいいかなー」
騎士「……わかりました。この部屋で寝るのは許可します」
魔王「やったー!」
騎士「でも、私は机で寝ますから」
魔王「えー!」
騎士「庶務を片付ける時は、よくこの机でつっぷして寝ていますから、ご心配には
    及びませんよ」
魔王「心配とかじゃなくてー!」
騎士「それがダメだというなら、私は上司殿にありのままを報告しますよ?」
魔王「うにょっ!?」
騎士「……こちらも妥協しているのですから、少しは魔王さんも妥協してください」
魔王「うぅ……わかりましたぁー」
騎士「その代わりと言ってはなんですが、遊んであげますから」
魔王「性的な意味で?」
騎士「カードがいいですか? それとも双六でもしますか?」
魔王「うぇーん、スルー率高すぎですよぉ、騎士さぁーん!」
騎士「スルーされないように発言に留意してください。で、どうします?」
魔王「うぅ……双六しますー」

22 :




魔王「また子供が生まれましたよー! やったー!」
騎士「うぅ……好調ですね、魔王さん。財産もいっぱいで……それにひきかえ」
魔王「開拓地もいいところですよ、きっと!」
騎士「……慰めが痛い」
魔王「でも……子供がたくさんなのはいいですよねー」
騎士「魔王さん、子供が好きなのですか?」
魔王「子供が好きというか、騎士さんとの間にいっぱい子供ができたら幸せだなぁ、って……
    あ……今、お前も子供みたいなもんなのに、とか思いませんでした?」
騎士「いえ、まったく、全然、これっぽちも、一切、思っていませんよ?」
魔王「そこまで徹底的な否定は逆に怪しいんですけど……」
騎士「私は……子供は苦手なんですよね。どう接していいかわからなくて」
魔王「そうなんですか? 今日買い物に行った時には、けっこー子供さんからも慕われて
    いたように見えましたけど」
騎士「慕ってくれるのはありがたいんですけどね。それに笑顔で応えるくらいしかできなくて」
魔王「結構ぶきよーなんですね、騎士さんって」
騎士「……そうですね」
魔王「でも、いい人ですよね、騎士さんって」
騎士「……そうですか?」
魔王「子供ってのは、その人がいい人かどうか、ちゃんとわかるんですよ。あれだけ
    子供から慕われてて、それでいい人じゃないなんてこと、ありえないです!」
騎士「……そういうものなのですかね」
魔王「同じ子供にして騎士さんにゾッコンLOVEな私が言うんだから間違いありません!
    だから子沢山でもだいじょーブイ!」
騎士「ふふ……結局自分が子供なのは認めるんですね」
魔王「はうっ、しまった!? で、でも、頭脳は大人ですよっ!」
騎士「という事は、身体は子供、と」
魔王「わふぅ!? 墓穴が深くなっていくー!」
騎士「まったく……」

23 :

魔王「でも、買い物の時と言えば、この街の人って皆いい人ばかりでしたねー」
騎士「この辺りは、下町ですからね。皆気のいい人ばかりですよ」
魔王「騎士さんも含めて、ですね!」
騎士「……」
魔王「照れなくてもいいじゃないですかぁ」
騎士「だったら照れるような事を言わないでください」
魔王「照れてる騎士さん……かわいい……ポッ」
騎士「はい、そろそろ子供はお眠の時間ですよー。子守唄でも歌いましょうかー?」
魔王「流しながら子供扱いはやめてくださいよー、もぉー。でも子守唄はお願いします」
騎士「要るんですか……ノリで言ってみただけなのに」
魔王「せっかくですしー……まさか、騎士さん音痴だったりとか?」
騎士「いえ……そんな事は……恐らく、無いのではないかなぁ、と」
魔王「なんで自信無さ気なんですか」
騎士「あまり、他人に歌とか聞かせたことないんですよ」
魔王「じゃあ是非聞きたいでーす!」
騎士「下手糞でも笑わないでくれますか?」
魔王「あっはっはっはっは、笑うわけないじゃないですか、あっはっはっは」
騎士「……既に笑ってるじゃないですか、とつっこみを入れるべきなのでしょうか……」

24 :
魔王「じゃあ、お願いします、子守唄。それで今日は勘弁してあげましょう」
騎士「何故上から目線……まあいいです。では、私の故郷のものを……ごほん」
魔王「寝る準備おっけー! かまーん!」
騎士「
“ かわいい我が子よ 眠りなさい しっかりよい夢見るのだよ
  かわいい我が子よ 眠りなさい 明日はきっと晴れるだろう
  夢の中でもたのしい事が 起きたらもっと楽しい事が
  君をきっと待っている きっとぜったい待っている
  かわいい我が子よ 遊びなさい 夢の中で現の中で
  かわいい我が子よ 翔(かけ)りなさい 明日はもっと晴れるだろう”
  夢の中でも楽しい事が 起きたらもっと楽しい事が
  君をずっとまっている ずっといつまでも待っている――”
                                          」
騎士「……とりあえず二番まで。で……ど、どうですか?」
魔王「……くー……すー……」
騎士「あれ……寝てしまったようですね。子守唄としては上々だった、と思っておきましょうか」
魔王「……きしさーん……むにゃ……」
騎士「本当に……この娘は、世界を破滅へと導く魔王なんですかね……」
魔王「……おとうさん……おかあさん……どこ……どこ……?」
騎士「!? ……泣いて、る……?」
魔王「……いかないで……だめ……ん……だめだよぉ……」
騎士「何か、あるんでしょうね、魔王さんにも……でも……」
魔王「んっ……」
騎士「涙は、貴方には似合わないと思いますよ、私は」
魔王「……えへ……ありが……すぅ……くぅ……」
騎士「どういたしまして。……さて、私も眠りますかね」

25 :


魔王「おはようございます……」
騎士「おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」
魔王「……夢、見たような気がします」
騎士「夢?」
魔王「……よく覚えてないんですけどね」
騎士「そうですか」
魔王「でも、なんか騎士さんが出てきたような気がします」
騎士「へえ(……涙拭いてあげたからでしょうかね?)」
魔王「そして襲い来る勇者の群れをちぎっては投げちぎっては投げ!」
騎士「……そんな夢だったんですか?」
魔王「勇者の群れに蹂躙された私を慰めるように、そっとおとがいに手をかけて……」
騎士「さて、それじゃあ顔洗って食堂に来てくださいね。先に行ってますから」
魔王「ああ、私はもう汚れた身……それでも貴方は私を愛してくださるの? わかりました。
    私も生涯をかけて……貴方を愛します……そう誓った二人はそのまま……ああっ!
    だめぇ、そんなっ! ……ってあれ? 騎士さんは?」
魔王「いない。先に食堂行っちゃったんですね。うぅ、またスルーか……寂しい」
魔王「……でも、夢の中では……寂しくなかったんですよ? 貴方が……いてくれて」
魔王「ありがとう……私の……王子様」

26 :



騎士「……はぁ、どうしたものか」
おば「なんだい騎士さん。こんな朝からため息なんかよしておくれよ! 景気が悪いったら
    ありゃしないじゃないか!」
騎士「ああ、おばさん、申し訳有りません」
おば「朝大事なのは、朝ご飯と笑顔。これさね。これがあれば、一日元気にやってけるって
    もんだ。違うかい?」
騎士「そうですね、心がけておきます」
おば「そうそう、その笑顔だ。全く可愛いったらありゃしないねぇ」
騎士「か、可愛いって……」
おば「あんた、自分じゃ気づいてないかもしれないけどね、かなりイケてるんだから。
    まったくそれなのにこんな仕事してて、勿体無いったらありゃしないね」
騎士「そ、そうでしょうか」
おば「あたしが男だったら放っておかないんだけどね」
騎士「……はぁ」
おば「おや、どうしたい? また顔曇っちまったみたいだけど」
騎士「……実は、ですね……おばさんしか知らない、私の正体についてなんですが」
おば「アンタが実は女だ、って奴? どうした、それが誰かにバレでもしたのかい?」
騎士「いえ……バレてないから問題というか、まあ、その……話の流れで、色々と」
おば「ははぁ……あの親戚の子だとかいう娘っ子だね?」
騎士「お見通しですか」
おば「ま、だいたいはわかるさね。あの娘がアンタの事を男だと思ってる、とかかいね?」
騎士「お見通しですね」
おば「あの娘がアンタにほの字なのに、アンタは女だから応えられない、って事だね。
    自分が男だったらどうしたんだろうな、とか思ってんだろ?」
騎士「お見通し過ぎですよ!?」
おば「よくある話じゃないか。ほれ、前アンタにあげた恋愛小説でもあっただろ?」
騎士「ああ……あれはちょっと、その……読んでて頭に入ってこなかったというか」
おば「……読んでない、って言うんじゃないだろうね?」
騎士「あ、えーっと、その……は、はい」
おば「まったくあんたは……心根まで男にならなくてもいいじゃないかね」

27 :
騎士「そういうつもりは……無い、とは言えませんが」
おば「ホントにバカ正直だね。だから隠し事してるのが心苦しいんだ?」
騎士「それもありますが……」
おば「それだけじゃない?」
騎士「ええ……昨日一日、その、ですね……楽しかったのですよ」
おば「へえ」
騎士「自分は、流れとはいえ嘘をついていて、彼女の気持ちに応える事ができないのを
    隠しているのに、それなのに……楽しいと思っていいのだろうか、と。そんな事を」
おば「……ほんっとぉぉぉにバカ正直だねぇ……」
騎士「そ、そんなしみじみと仰らないでください……」
おば「ま、そこがアンタのいい所さ。それに……一緒にいて楽しいと思える相手が
    いるってのは、それがどういう関係であれ、いい事なんじゃないかね」
騎士「……私は、嘘をついているのに?」
おば「あの娘だってワケ有りだろう? じゃなきゃ、真面目を絵に描いたようなアンタが、
    上司の奴に嘘ついてまでここに置いておこうとするわけがないじゃないか」
騎士「……本当に、なんでもお見通しなんですね」
おば「あたしも伊達に歳食っちゃいないって事さ。見てきた人間の数だって違うしね」
騎士「でも……いつか、この嘘がばれたら……」
おば「そんなの、なるようにしかならないよ。でも、アンタの誠意はきっと伝わると、
    アタシは思うけどねぇ」
騎士「そうでしょうか……」
おば「アンタは真面目だ。それが悪い方に向かう事もあるけど、いい方に向かう事の方が
    ずっと多いとアタシは思うよ。アタシが見てきたアンタは、そうだった」
騎士「………………」
おば「ま、今が楽しいなら今を楽しみな。ただし、今ついてる以上の嘘は重ねない事だね。
    嘘をついてしまったなら、その嘘は時が来たら誠意を持って自分から明らかにしなきゃ
    いけない……そういうもんだからね」
騎士「誠意……ですか」
おば「アンタの得意技だろう? でも、嘘に嘘を重ねたら、誠意をいくら見せようが相手が
    それを誠意だとは思っちゃくれなくなるからね……そこだけは気をつけな」
騎士「……ありがとうございます、おばさん」
おば「なに、歳食った女だから、こんな事でもなけりゃ若い娘の手助けなんざしてやれないって
    だけの事さ。少しでもアンタの心が楽になったなら、何よりさね。あと大事なのは……」
騎士「朝ご飯と笑顔、ですね」
おば「そうさ、その顔だ。その顔してりゃ、大概の事は何とかなる。あたしが保証してやるよ」

28 :
騎士「あははっ、心強いですね」
おば「……あー、もう、ホントにあんたなんで女なんだい? そんな可愛い顔した男が
    いたら、あたしゃ放っておかないんだけどさぁ」
騎士「あ、え……それは……ごめんなさい」
おば「……っく……くふふ、あはははは! アンタ、ホントにバカ正直で糞真面目だね!」
騎士「え? あ……」
おば「冗談さね。あたしゃ男ならもうちょっと渋いナイスミドルが好みなんだよ」
騎士「……は、はぁ」
おば「でもま……あの娘っ子がアンタにほの字なのも、わかる気がするねぇ……っと」
騎士「あ」
おば「噂をすれば、だ。おはよう、嬢ちゃん!」
魔王「おはよーございまーす!」
おば「元気があっていいねぇ。話は騎士さんから聞いてるよ。あたしゃこの食堂のおばちゃん
    やってるもんだ。皆おばちゃんとかおばさんとか呼ぶから、そう呼んでおくれ」
魔王「初めましてです、おばちゃん! お兄ちゃんがいつもお世話になってます!」
騎士(……本当にいつもお世話になってるんですよね)
おば「礼儀正しいいい子だねぇ。さ、朝ご飯出したげるからしっかりお食べ」
魔王「はい、いただきます!」
おば「朝大事なのは朝ご飯と笑顔! アンタは笑顔はばっちりだから、朝ご飯食べたら
    もう後は無敵さね!」
魔王「はい、無敵です!」
騎士「朝から元気ですねぇ……では、ご飯にしましょうか。おばさん、お願いします」
おば「あいさ!」

29 :

第二部その1 日常編1 >>18-28
------------------------------
ここまで

30 :
乙でっす!
取れた手……なにも当時の誤字をそのまま出さんでもwwww
ホラーになった、とかレスついてたようなww

31 :
おばさんかっこいい

32 :
懐かしのスレが復活してるな
今は前の投下分をもう一度レスしてる感じ?

33 :
ですです
なお、誤字脱字については仕様です(ぉ

34 :
上げ

35 :
魔王「う……」
騎士「う?」
魔王「うみだぁぁああああああ!!!!」
騎士「テンション高いですねー。そんなに喜んでいただけるとは、休みを利用して
   つれてきた甲斐があるというものです」
魔王「何をノホホンとしているんですか騎士さん! 海ですよ海!」
騎士「海は初めてで?」
魔王「はい! 山育ちの引きこもりでしたから!」
騎士「ああ、確かにあの城山の方にありましたし、ずっとそこにいたんでしたっけ」
魔王「海って凄いですねー! 大きいですねー! しょっぱいんですか? ホントに
    しょっぱいんですか? 舐めてみてもいいですか? 駄目でも舐めますけど!」
騎士「お、落ち着いてください、魔王さん」
魔王「ええい、これが落ち着けるかぁ! ヒャッハー!」
騎士「あ、こんな所で脱ぐなんて……」
魔王「無論、下には水着完備です!」
騎士「……あ、なるほど」
魔王「ドキッとしました? ねえドキってしましたか?」
騎士「し、しませんよ……」
魔王「じゃあなんで顔赤いんですかー? うりうり」
騎士「押し付けないで下さい!」
魔王「えへへー、照れてる騎士さんはカワイイですね!」
騎士「照れてませんってば!(……ちょ、ちょっとだけぷにぷにして気持ち
   よかったかも……って私は何を!?)」
魔王「じゃあ、私泳いできますね! 騎士さんは泳がないんですか?」
騎士「……あ、泳げるなら泳ぎたいですけど……」
魔王「あれー、ひょっとして泳げないんですかー、騎士さん?」
騎士「いえ、わ、私自身が泳げるかどうか、という意味では泳げますよ? 泳げますよ?」
魔王「またまたー。騎士さんが泳げなくても私の愛は変わりませんよ!」
騎士「あ、だから一応そうではなくてですね……」
魔王「さあ、私のこっそり城を抜け出し川で鍛えたマーメイドっぷり、ごらんあれ!」
騎士「あ……待っ……行ってしまいましたか……それにしても、川でもマーメイドなんでしょうか?」

36 :
魔王「ひゃっはー! うわー、冷たくて気持ちいいですよぉー! ホントに海の水って
   しょっぱいんで……あいたぁっ!?」
騎士「……もう、ご先祖参りの時期、過ぎてますからねぇ」
魔王「いたたたたたたたたたっ、ほわちゃぁっ!?」
騎士「帰ってきたら、これからはちゃんと人の話を聞くように言っておきますか」
魔王「ななななななな、なんですか騎士さん、あの半透明の物体は!?」
騎士「くらげですよ。もう夏も終わりですからね。この時期になると、海には
   くらげが溢れるんです」
魔王「す、凄い痛かったですよ!? あ、なんか腫れてますし!」
騎士「くらげは人間の身体刺すんですよ。こっち来てください、薬塗りますから」
魔王「そんな魔物がいるなら、早く言ってくださいよぉー」
騎士「言おうとしたらさっさと海に飛び込んでしまったのは誰でしたっけ?」
魔王「……はーい」
騎士「ちゃんと人の話は聞きましょうね」
魔王「わかりましたぁ……あ、そこ、もっと重点的に……あふぅ」
騎士「言ってるそばから……」
魔王「うぅ……薬が身にしみるよぉ」
騎士「私が泳げないと言った意味、わかりましたか?」
魔王「それもわかりましたぁ……あ、でも」
騎士「どうしました?」
魔王「……ちょっと待っててくださいね、騎士さん。話してきますから」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
魔王「騎士さん、話つけてきましたんで入っても大丈夫ですよ!」
騎士「……話をつけてきた……? 誰と?」
魔王「くらげとです!」
騎士「……どうやって?」
魔王「くらげ語でです! 多分!」
騎士「………………?」
魔王「なんでポカンとしてるんですかっ!」
騎士「いえ、その……くらげ語とか、初めて聞きましたし」
魔王「こう見えても私、あらゆる動物語が話せるんです!」

37 :
騎士「へえ。博学なんですね」
魔王「コツはフィーリングです」
騎士「……それ喋れてなくないですか?」
魔王「結果的に通じれば大丈夫!」
騎士「なんと豪気な……」
魔王「えっへん!」
騎士「あまり威張る所じゃないですよ、今」
魔王「えー」
騎士「……で、要するに、海で泳いでもくらげに刺される事は無い、と?」
魔王「その通りです! 話してみたら、意外といいくらげでしたよ?」
騎士(くらげにいいとか悪いとかあるんですね……)
魔王「さあ、騎士さん、一緒にごーつーざしーですよ!」
騎士「わ……私はここで荷物見てますんで、魔王さんどうぞ楽しんできてくださ」
魔王「なんでですかー!? あ、まさか水着持ってきて無いとか?」
騎士「そうです! その通りです! それもあります!」
魔王「……それ、も?」
騎士「はっ」
魔王「正直に答えてください」
騎士「……はい」
魔王「泳げないんですね?」
騎士「……は、はい」
魔王「………………ッ」
騎士「し、仕方がないじゃないですか! 物心ついてから今まで、泳ぎを習った
   経験が無いんですからっ!」
魔王「いやぁ、もう騎士さんかーわーいーいー♪」
騎士「く……屈辱……」
魔王「じゃあ、私がレクチャーしてあげますから行きましょ?」
騎士「あ、それは……その……えーっと……」
魔王「手取り足取りくんずほぐれつ、懇切丁寧に教えてあげますよ?」
騎士「結構です」
魔王「しまった、もういつもの騎士さんに戻ってしまった!?」

38 :
騎士「……いえね、水着を持ってきて無いというのも本当ですから」
魔王「だったらマッパで」
騎士「お断りします」
魔王「ちぃっ……金輪際無いかもしれないチャンスを逸してしまった……
   魔王、一生の不覚……ッ!」
騎士「まあ、楽しんできてください」
魔王「ちぇー。まあ、それはそれとして、海は楽しみますよ! もうこれ以上無いくらい!」
騎士「いってらっしゃい」
魔王「いってきまーす!」
騎士(まあ、一緒に海に入ってしまうと、どうしたってバレちゃいますしね……)
魔王「ひゃっはー! 海すごーい! たのしー!」
騎士(でも……こうやって喜んでもらえるだけで、私も嬉しくなりますね……ふふ)

39 :
魔王「もう食べられない……とでも思ったかぁ……ムニャムニャ」
騎士「……何か楽しい夢でも見てるんですかね?」
魔王「……あ? あれ、騎士さん……ここは?」
騎士「帰り道ですよ。全く、体力全部使ってぶっ倒れるまで遊ぶなんて、
   ほんとに子供ですか」
魔王「あ……あうぅ……怒ってます?」
騎士「……怒ってはいませんよ。それだけ楽しかったという事でしょうしね」
魔王「あは、良かったです! ……さり気にこうしておんぶしてもらって、
   騎士さんと密着できたのもグー」
騎士「さて、目も覚めたようですし降りて歩きますか?」
魔王「えー!?」
騎士「嘘ですよ。疲れたでしょうしね。もう少し寝ててもいいですよ?」
魔王「ここで寝るなんてとんでもない! もっとこう、騎士さんの感触を
    肌で覚えるくらいすりすりと」
騎士「やっぱり降りて歩きたいんですね」
魔王「すりすりしませーん! しませんからー!」
騎士「……はいはい。おろしませんから安心してください」
魔王「ふぃー。一安心」
騎士「しかし、ホントに全力で遊んでましたね」
魔王「はい! 楽しかったですから! ……あ、でも……」
騎士「でも?」
魔王「騎士さんも一緒に泳いでくれたら、もっと楽しかったんですけどねー」
騎士「……すいませんね、泳げなくて」
魔王「あ、あ、でもでも、やっぱり人間何か欠点があった方が可愛いですよ!?」
騎士「すいませんが、それフォローになってないですよ?」
魔王「あうぅ」
騎士「……ふぅ」
魔王「あれ? ため息なんかついて、どうしたんですか? あ、まさか
    私が重いですか? 重かったりしますか!? でも重くても我慢
    してくださいね! 女の子に重いとか言ったら万死に値しますから!
    故に重くてついたため息ならあえてスルーする所存であります!」
騎士「あ、いえ……全然重くないですけど」
魔王「ですよねー! 重いわけないじゃないですかもう! ……でも、という事は、
    ……騎士さんは今日、退屈で詰まらなかった、とか?」

40 :
騎士「いえ、全然。私も魔王さん見てるだけで楽しかったですし」
魔王「見てるだけで楽しい……愛ですね!」
騎士「ただね、その楽しい日々ももうすぐ終わりかと思うと……」
魔王「ああ、いつもの如くスル…………って、はい? 今何と?」
騎士「……休暇、明日で終わりですからね。魔王さんとこうして遊べるのも
   今日までなんですよ」
魔王「あ、ああ、ああああ、なるほど、なるほどなるほどー。そういう事ですか、
   そういう事ですよね、そういう事かー、なんだーもぅー!」
騎士「……?」
魔王「安心してください! 夫の留守を預かるのは妻の務め!」
騎士「いえ、妻じゃないですから、魔王さんは」
魔王「内縁の妻の務め!」
騎士「内縁でもなく」
魔王「親戚の美少女の務め!」
騎士「……まあ、それならいいでしょう」
魔王「やたー! 騎士さんが私を美少女だと認めてくれた!」
騎士「あ……いや、それは……まあ、確かに魔王さんは可愛いですから、そこは
   認めるにやぶさかでは無いというか……」
魔王「それだけで明日からの寂しい毎日に耐えていけそうな気がします!」
騎士「まあ、任務が無い内は、ちゃんと夜には寮に戻ってきますから」
魔王「そうなんですか? じゃあご飯とか作って待ってます!」
騎士「あ、え、うん……じゃあ、楽しみにしておきますね」
魔王「任せてくださいっ!」

41 :
第二部その2 日常編2
〜どきっ! ふたりっきりの海水浴! バタリもあるよ♪(充電切れで落ちるが如き子供的意味で〜
----------------------------------------
ここまで
尚、>>38-39の間で時間が経過してるんですが、
改行挟みそこねてますので、脳内補完してやってください。 

42 :
安価忘れてるし・・・。
>>35-40
グダグダだ・・・○| ̄|_
                   
                        ヽ○ノ   まあいいか!
                         /
                        ノ)
                   

43 :
乙ですよー
やっぱ魔王ちゃんかわええわww
>時間経過
大丈夫だ、文脈的にもまったく違和感ない

44 :
上げ

45 :
??「空気が、僅かに澱んでいる、な」
???「空気ぃ? んなもんよくわかるよな、お前さー」
??「お主にはわからぬのか? ――いるぞ、ここに」
???「ったく、城くんだりまで出かけてやったら留守で、実は目と鼻の先に
    いましたー、とかありえねーし。ホントありえねー」
門衛「お待ちを。どちらから来られましたかな? この書類に来訪の目的と氏名を――」
??「勇者とその連れだ。知らぬわけではあるまい」
???「おうおう、勇者さまのお通りだぜぃー」
門衛「え……勇者……まさか、貴方が!? 確かに凄まじいまでのオーラ!」
??「門衛よ。何を勘違いしておるか知らぬが、私は勇者では無い。連れの武道家だ」
門衛「え」
???「なんでよー、皆毎度毎度ブドっちを勇者だと思うんだろなー?」
門衛「では……まさかとは思うのですが」
武道「お主がそう思うのも無理は無いが、事実というものは受け入れなければならない」
門衛「……本当に、この金髪でピアスしててチャらくてどうしようもなさそうなのが!?」
勇者「ちゅーす! 勇者でーっす! ぶい。ってか酷くね? さりげに俺酷い事言われてね?」
門衛(……こんなのが、魔王を倒し世界を救う、勇者……ッ!?)
武道「……残念ながら、というか、無念だが、というか……そこはお主に任せよう。
   なんにしろそういうわけだ。通してもらうぞ」
門衛「あ、はい……貴方がそう仰るなら……」
勇者「おいブドっちさー、さっさと宿とって今日は寝ようぜー。疲れちったし。
   ひろーこんぱーい」
門衛「……」
武道「……」
門衛「あの……」
武道「言うな。何を言いたいかはわかるが言うな」
門衛「……頑張ってくださいね」
武道「……その言葉が身に染みる……ありがたいものだ」
勇者「何してんだよブドっちー。早くいこーぜー」
武道「では、お主も職務の遂行、しかと果たしてくれ」
門衛「は、はい!」

46 :



騎士「ただいま戻りました、門衛さん」
魔王「たっだいまー!」
門衛「……あ、ああ、お帰りなさい、騎士さん。従妹さんも」
魔王(本当は従妹じゃなくてお嫁さんなのになー)
騎士(……本当は従妹でもお嫁さんでもなくて魔王でしょう)
魔王(いぐざくとりー、ばっと、あんてぃるなう)
門衛「……はぁ」
騎士「何かあったんですか? 呆然とされているようでしたが」
門衛「いえ……人間、受け入れなければならない現実というものがあるのだな、と」
騎士「……なにやら深い話のようですが」
門衛「い、いえ……お気になさらずに。で、ご帰宅ですね?」
騎士「はい」
門衛「一応こちらにお名前を」
魔王「はーい!」
門衛「承りました。ご自宅まで、お気をつけてお帰りください」
騎士「ありがとうございます」
魔王「お仕事頑張ってねー!」
門衛「はい!」
門衛(……はぁ、少し荒んでいた心が癒される……まったく、先ほどの
    勇者の方も、あの娘くらいに純真であってくれたらなぁ……)
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


47 :
魔王「……門衛さん、変ですね?」
騎士「お疲れなのでしょう。人の出入りのチェックは、必要な仕事とは
    いえ、それにかかる労力は並大抵のものではないですからね」
魔王「今度差し入れに果物でも持っていってあげよっと!」
騎士「きっと喜んでくれますよ」
魔王「もちろん、騎士さんにも差し入れ持って行きますから!」
騎士「……あえて聞きますが、一体何を差し入れするつもりですか?」
魔王「もちろん、わ・た・し♪ さあ、召し上がれ! なんなら今すぐでもOK!」
騎士「さて、明日は早起きして魔王さんが起きる前に部屋を出で、どこで
    勤務しているかわからないようにしないと……」
魔王「差し入れさせない気満々ですとー!?」

48 :



魔王「ふぇぇん……まさかホントに行き先教えてくれないとはぁ……とほほ」
おば「おやおや、どうしたい嬢ちゃん?」
魔王「あ、おばさん……あのですね、き……お兄ちゃんが、私に黙って
    いなくなっちゃったんです」
おば「ああ、今日から任務だって言ってたねぇ」
魔王「でも、どこに行くかとか、どういう任務だとか、そういうのも教えて
    くれないんですよ? 朝起きたらもういないですし……」
おば「寂しいのかい?」
魔王「……うん」
おば「ま、あの子もああ見えて騎士団の一員だからね。それも遊撃部隊だ」
魔王「ゆーげき部隊?」
おば「なんでもやるお仕事さね」
魔王「ああ、役所のすぐやる課みたいな」
おば「……微妙に違うかねぇ……まあ、そんな仕事だから、どこで
   何をやるかとか、そういう他人言えないのさ」
魔王「そんな……他人だなんて……この血の繋がりは嘘だというのっ!?」
おば(……嘘だってのは知ってるんだけどねえ。ははは)
おば「別に、嬢ちゃんに意地悪しようと教えなかったわけじゃあるまいさ。
   教えれば嬢ちゃんが危険になったり、そういう任務だってあるさね」
魔王「……危険?」
おば「ああ、別に不安がる必要は無いよ。あの子は騎士団の中でもかなりの
   凄腕だからね。でも、嬢ちゃんはそうじゃないだろう?」
魔王「……お兄ちゃんは、私の為を思って?」
おば「そういう事さね」
魔王「愛、ですか?」
おば「愛、だろうねぇ」
魔王「……ポッ」

49 :
おば「ま、そうそう任務に出ずっぱりって事も無いし、待機任務の時は
   家にも帰ってくるだろうから、その時温かいご飯でも用意してあげな。
   なんなら、おばちゃん秘伝のレシピ、教えてやろうかい?」
魔王「え!? あの美味しいご飯のレシピをですかっ!?」
おば「男を掴むにゃ、まずは胃袋から、ってね」
魔王「ストマッククローですね!」
おば(……まあ、あの子は男じゃないんだけどねえ……でもまあ、
   まだそこら辺は秘密のままのようだし、あたしゃ別に女同士だから
   って駄目だとは思わないから……炊き付けちゃおうかね♪)
魔王「よし、そうと決まれば今日から特訓ですよ! 私は鬼に……
    お料理の鬼になるのです! そして胃袋をがっちり掴む
    鉄の爪を手に入れるのですよ!」
おば「その意気さね! おばちゃんの地獄の特訓についてくるんだよ!」
魔王「はい、師匠!」
   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
騎士「ふぇくちっ!」
上司「……なんだお前、妙に可愛いくしゃみだな。風邪か?」
騎士「いえ、そういうわけでは……あ、でも、何か悪寒がするような気は……」
上司「おいてきたあの娘が、お前の噂でもしてるんじゃないか?」
騎士「何か、無責任に彼女を炊き付けてる人がいるような、そんな気が
   するんですが……」
上司「……妙に具体的だな。でも、炊きつけらてアピールしてもらうまでも
   なく、お前もその気なんじゃないのか?」
騎士「だから! それは誤解だと何度も申し上げさせていただいてるじゃないですかっ!」
上司「はっはっは、照れるな照れるな。まあ、なかなかこういう職場だ、
   困難もあるだろうが、俺は応援しているぞ。基本的にな」
騎士「ああ、もう……」
   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
武道「……む」
勇者「おろ?」
武道「……気のせい、か」
勇者「あんだよー、ブドっち何か感じたのかぁ?」
武道「うむ。そこはかとなく燃える邪悪な気配を感じたような気がしたが……
    はっきりとは確認できなかった」

50 :
勇者「ホントにここにいんのかよー。まおまおはさー?」
武道「……まおまお?」
勇者「おお! 魔王だからまおまお。どだ、イケてね? 俺のセンス光るよなー」
武道「あえてコメントは避けさせてもらう」
勇者「あんだよノリ悪ぃなー」
武道「……なんにしろ、この空気の澱み、これは高位の魔族が付近に
   存在しているという証左だ。それがある以上、魔王であるかどうかは
   ともかく、この街に高位の魔族がいるのは間違いない」
勇者「あー、難しい話はよくわかんねー。いるんだな?」
武道「うむ」
勇者「んじゃ、見つけたら教えてちょんまげ」
武道「……うむ?」
勇者「俺、適当にブラついてるからさ、ブドっちに探すのお任せー、みたいな?
    もう丸二日くらい探して、特に成果無しだしさー」
武道「……飽きたのか」
勇者「ぶっちゃけその通りっ!」
武道「………………」
勇者「あんだよー。何暗い顔してんだよー。そんな顔してたら見つかる
   魔王も見つかんねえぜい?」
武道(……こんな勇者だから見つかる魔王も見つからないのだと、
    私としてはそう思えて仕方が無いのだが……)
勇者「んじゃ、そーゆーことでっ! まおまお見つけたら教えろよなー!」
武道「……わかった。お主の好きにするがよい」
勇者「んじゃ、適当に宿に帰っから、ブドっちも適当に帰れよー」
武道「………………行ったか」
武道「………………はぁ」

51 :
第三部 勇者(?)登場編その1
>>45-50

52 :
この勇者…酷え

53 :
時系列無視時事小ネタ
魔王「メリークリスマス!」
騎士「?」
魔王「……あれ? 騎士さん、今日が何の日かご存知ですかー?」
騎士「ええ、遥か古の時代に、世界を救ったという聖人の誕生日ですが……」
魔王「ですよー。だから、メリークリスマス!」
騎士「……それは何かの呪文なんですか?」
魔王「……まさか、本当にご存知無い?」
騎士「何をですか?」
魔王「今日はクリスマスですよ? どぅーゆーのークリスマス?」
騎士「I don't know」
魔王「な、なんという流暢な西方語……」
騎士「ですから、そのクリスマスというのは、一体何なんですか?」
魔王「……五十年前くらいまでは、この地方でもやってたイベントなのに……
   これがジェネレーションギャップという物なんでしょうか……」
騎士「……何だか申し訳ない気分になりますね……何かのイベントなんですか?」
魔王「はい! 子供達はサンタクロースからプレゼントをもらい、恋人達は熱い夜を過ごす、
   そんな素晴らしいイベントデイです!」
騎士「へえ、そんなイベントが行われてたんですか」
魔王「つまり、頭脳は大人でも身体は子供の私は、騎士さんという恋人と書いてサンタと
   読むお方から、熱い夜というプレゼントをいただけるわけですよ!」
騎士「へえ、それはよかったですね。じゃあこの魔王さん愛用の湯たんぽを」
魔王「わぁい♪ って物理的に熱くしないでくださいっ!」
騎士「……変な事、考えてますよね?」
魔王「ええ、それはもう……じゅるり」
騎士「では、そんな邪な人にはプレゼントは差し上げられないという事で、これはお預けと
   いたしましょうか」
魔王「え? その包み紙は……プレゼントですか!? 私に!? ひゃっはー! 盆と
   正月と夏休みと冬休みと黄金週間がいっぺんに来た気分だぜー! 種籾を寄越せー!」
騎士「後半の意味がわからないんですが……まあ、そうですね」
魔王「でも、クリスマス知らないって騎士さん……」
騎士「ええ、かつてそういうイベントが行われていたという事は、寡聞にして全く知りません
   でしたが……昨日、買い物をしている時に、たまたま見かけましてね」

54 :
魔王がクリスマス祝うってのもまたw

55 :
魔王「愛ですね! 運命ですね! こんな偶然がありえるでしょうかいやない!
騎士「何故反語表現……?」
魔王「な、なんですか!? 中身はなんなんですか!?」
騎士「邪な心の持ち主には、聖人は微笑んでくれませんので、プレゼントも無しです」
魔王「はい、心入れ替えました! 今入れ替えました! ほら、まっさらで純粋な心が、
   この瞳を見れば一目でばっちり把握可能的な!?」
騎士「……ふふふ。冗談ですよ。ほら」
魔王「うわ……あ、あ、ありがとうございますっ!」
騎士「開けてみてください」
魔王「はいっ! ……うわぁあ、これ……首飾り、ですね!? 可愛いです!」
騎士「ええ。魔王さんに似合いそうだな、と思って買ったんですが……ぴったりですね」
魔王「にににに、似合いますかっ?」
騎士「ええ。よく似合ってますよ」
魔王「うわぁい♪ 騎士さんからのぷっれぜんっとげっとだぜぃ♪ あ、でも……」
騎士「どうかしましたか?」
魔王「私の方は……プレゼント、あげられるような物何も持ってなくて……お金もないし……」
騎士「ああ、別にそれは気にしなくても……」
魔王「だから、この幼い肢体を蹂躙できる権利を騎士さんにあげましょう! というより、
   元からそのつもりでしたのでどうぞご遠慮なく!」
騎士「No thank you」
魔王「はうぅ!? 流暢な西方語で断られましたですとぉー!?」
騎士「……私は、いつも魔王さんから貰ってますからね」
魔王「へ? 何か言いましたか?」
騎士「……い、いえ……なんでもないです」
魔王「?」
騎士(この、心やすらぐ日常を貰ってますから……なんて、流石に恥ずかしくて言えませんよ!)
魔王「なんで騎士さん、赤くなってるんですか……?」
騎士「気のせいですよ! ……あ、そろそろ時間ですね」

56 :
魔王「時間?」
騎士「ええ。聖人生誕の記念日ですからね。古の風習のような事はしないですが、
    皆で集まって宴会のような事はするんですよ。そろそろおばさんが食堂で
    食事とか用意してくれてるはずですから、行きましょう」
魔王「パーティーですか? それともパーディーですか!?」
騎士「まあ、パーティーのようなものです……なんでバーディー?」
魔王「ヒャッハー! レッツパーリィィィィィィィィ! 皆にこの首飾り自慢してやんよー!
   ついでにおばちゃんの超絶美味料理をたらふく食い放題だぜー!」
騎士「あ、魔王さん、別に宴会は逃げませんから落ち着いて……って、行っちゃった」
騎士「ふふふ……なんだかんだ言って、花より団子ですね、あの人も」
騎士「………………」
騎士「続けばいいのにな……こんな毎日が、ずっと」

57 :
おまけ:一方そのころ

勇者「へい、彼女! 俺と新しい聖人を生誕させね?」
街娘A「……すいません、急いでいますので」
勇者「あ……行っちまったよ。なんでぇなんでぇ、照れやさんばっかりだな、この街は。ぎゃははは!」
勇者「でも、これイケテルくどき文句だと思うんだけどなー。今日聖人生誕日だし、ナイスだよな?
    ナイスじゃね、俺って! でももしかすっと最先端を歩き過ぎて、誰も付いてこられて
    ねえのかもしれねーなー。もうちょっとランク落とすか……」
勇者「お、新しいカワイコちゃん来たべ……へい彼女! 俺の為に聖人作ってくんね?」
街娘B「……っ」
勇者「あ……なんだよ、おい。何も言わずに行っちまった。ホント照れ屋しかいねえな、この街」
勇者「ま、照れ屋の方が、アレをナニした時燃えるし萌えるからいいんだけどなー! ヒャッヒャッヒャ!」
勇者「さあってとぉ……カワイコちゃんは、どっこでっすかぁ〜?」

武道「………………」
武道「……どうして、アレが勇者なのだろうか」
武道「………………」
武道「……頭痛が、痛い」
                                           小ネタおわり

58 :
ここまで投下です。
魔王さんは、実にジャパニーズなクリスマス観の持ち主のようです(ぉ

59 :
クリスマスでもこの人たちは変わらないなぁww

60 :
修正
× 魔王「パーティーですか? それともパーディーですか!?」
○ 魔王「パーティーですか? それともバーディーですか!?」
アンダーパーにする為には必須です

61 :
ニセ勇者きたww
まおまお言うな、てめーは認めねー(# ^ω^)ピキピキ
前スレはここまでかな?
(※「ニセ勇者」は柴田亜美の4コマ)

そして書き下ろしもキタ━━(゚∀゚)━━!!!!
魔王ちゃんとパーティーしたいぞっ☆
もしくは胃袋をアイアンクローでわしづかみされる、でも良し!


62 :
もうちょいありますね。>前スレ
一気に出さないのは、時系列関係有りの続きが出来上がるまでの
時間稼ぎです(ぉぃ

63 :
時系列関係なし小ネタ
魔王「あけましておめでとうございます」
騎士「おめでとうございます」
魔王「旧年中は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます」
騎士「申し上げます」
魔王「本年も、何卒よろしくお願いいたします」
騎士「……」
魔王「あら、どうなさいましたか、騎士さん? しゃなり」
騎士「……何か、今日の魔王さん、凄く……」
魔王「あら? 凄く、なんです? この振袖が凄く可愛らしい、ですか? しゃなり。
   それとも、凄くオトナっぽい、でしょうか? しゃなり。まあ、今日は新しい年の
   祝いですから、私もこれまでの子供っぽい自分とは違う、新しい自分を皆様に
   お見せしなければと思い、こうして着ているものに合わせてしゃなりとした姿を――」
騎士「いえ……凄く、無理があるんですけど」
魔王「なんですとー!?」
騎士「というか、その化粧はなんですか……」
魔王「うふ。私綺麗? 大人メイクですよ?」
騎士「おかめさんみたいですよ」
魔王「なんですとー!?」
騎士「そういうのやめましょうよ。確かに、大人っぽくなりたいと思う魔王さんの気持ちは
   わからないでもないですけど……」
魔王「……騎士さんも、大人っぽくなりたかったんですか?」
騎士「ええ。いつも師匠から子供扱いされてましたから……」
魔王「師匠?」
騎士「私に剣技を教えてくれた方ですよ。今はどこで何をしてるのか」
魔王「今語られる秘密の一端! 騎士さんの隠された真実が今ひとつ明らかに!?」
騎士「今後の伏線とは限りませんけどね」
魔王「ダメですよ! 騎士さんがそんなメタ発言したら! メタ発言は私の専売特許です!」
騎士「……うん、やっぱりですね」
魔王「へ? 何がですかー?」
騎士「やっぱり、しゃなりとした、お淑やかな姿を無理して見せられるより、魔王さんは
   元気いっぱいで騒いでくれてた方がいいですよ」
魔王「はっ!? いつの間にか通常モードに戻ってた!?」

64 :

騎士「だから、無理しなくていいんですよ。そのままの貴方でいてください」
魔王「……このままで、いいんですか?」
騎士「そのままが、いいんですよ」
魔王「でも、このままだと……とある首都の青少年条例に引っかかる可能性が……」
騎士「ああ、引っかかるような事はそもそもしないから大丈夫ですよ」
魔王「メタ発言がばっさりだー!?」
騎士「それはともかく、改めて新年の挨拶をしませんか?」
魔王「そ、そうですね……では、コホン」
騎士「旧年中は格別のご配慮をいただき、ありがとうございました」
魔王「ありがとうございましたー!」
騎士「今年も、まあどうなるかわかりませんが、ぼちぼちやっていきたいと思ってるそうです」
魔王「中の人は気が乗らないと書けないタイプなので、性質が悪いですよねー」
騎士「まあ、そう言ってあげないでください。結構色々忙しいみたいですし」
魔王「今日、メタメタですね」
騎士「……まあ、そう言ってあげないでください」
魔王「はーい」
騎士「とにかく、私と魔王さんも、その周囲の人々も、基本まったりゆるく、時々シリアス
   交えたり交えなかったりしながら、マイペースでやっていく所存です」
魔王「そして今年中には、私と騎士さんが添い遂げる事になりますので、お楽しみに!」
騎士「えー、残念ながら、予定は未定で全て白紙なのですが……」
魔王「今さりげなく否定しましたね!?」
騎士「まあ、とにかく、今年も頑張ります」
魔王「頑張りまーす!」
騎士「……うん、まあ、こんな感じでしょう」
魔王「東方様式ってのも新鮮でいいですねー。騎士さんの袴もカッコいいです♪」
騎士「うーん、何だかスースーして、落ち着かないですけどね……」
魔王「何いつもズボンばっかり履いてる女の子みたいな事言ってるんですか!」
騎士「(皆忘れてるかもしれないですけど、私女なんですよね……)」
魔王「とにかく、後新年にやるべき事と言えばひとつですよ!」
騎士「なんですか?」

65 :

魔王「それはもちろん……ひ・め・は・じ」
騎士「あ、そういえば、上司さんやおばさんへの新年の挨拶まだでしたね」
魔王「……す、スルー初めですか……」
騎士「今年は東方様式という事で、お二人ともお年玉を用意してくれてるそうですよ」
魔王「な、なんですとぉー!? それを早く言ってくださいよー!
騎士「す、すごい食いつきですね……」
魔王「やったー! お年玉貰えるなんて、夢みたいですよー!? 東方様式ばんざーい!」
騎士「まあ、ささやかな物らしいですけど。……ま、行きますか」
魔王「はいっ! ……あ、そうだ」
騎士「なんですか?」
魔王「今年もよろしくお願いしますねっ、騎士さん!」
騎士「ふふっ……こちらこそ、よろしくお願いします」
                                                小ネタ尾張名古屋のマウンテン

66 :
ここまで投下です。

67 :
>>66

今年もよろしくお願いします
>騎士「(皆忘れてるかもしれないですけど、私女なんですよね……)」
忘れるわけ無いじゃないですかーこんなにかわいいのに

68 :
魔王ちゃん&騎士さん、今年もよろしくです
ぼちぼちやってってくだせー
まったり読ませてもらいますー

69 :
上げ

70 :
保守

71 :
age

72 :
時系列関係なし小ネタ
魔王「忘れてたー!?」
騎士「何をですか?」
魔王「昨日は、この地球を取り巻く放射線状の電子と陽子からなる帯状層の日じゃないですか!?」
騎士「ちきゅう……? でんし……ようし……あのー、魔王さん、よくわからないんですが」
魔王「はっ!? しまった! この科学力はまだ人類には過ぎた物でしたか……!」
騎士「……昨日、は……2月14日ですよね。何かありましたっけ?」
魔王「最近なんかはまってる東方情報によると」
騎士「ゆっくりしていくんですか?」
魔王「その東方には詳しくないです……ってメタネタは私の専売特許ですって言ってるのにぃー!」
騎士「……いや、何故か東方と聞くと、ゆっくりしていくというイメージが浮かんで……何故でしょう?」
魔王「詳しくないからよくわかりません! あまり触れすぎるとやばそうですし!」
騎士「はぁ……で、なんでしたっけ?」
魔王「東方情報によりますと、昨日は聖人の日! ということはつまり、性人の日でもあるっ!」
騎士「クリスマスみたいな、ですか? でも、その日に名前を残している聖人が
   いるとは聞いた事が無いですけど……」
魔王「うわぁお、スルーっぷりが半端ないです♪ って、あれ? そうなんですか?」
騎士「ええ。ごく普通の日ですけど」
魔王「……あれれー? 私が聞いたところによると、何か戦場で無理やり兵士同士を
   結婚させて、恐れ慄かれた聖人、バレンタインさんを供養する為に、その日は
   愛する者同士が一緒に過ごすという風習が、東方にはあるらしいんですけど……」
騎士「戦場で兵士同士……それってつまり……?」
魔王「うほっ、いい男……ですね」
騎士「同性同士で結婚、ですか……」
魔王「これが女同士なら、まだ美しいんですけどね。男同士で、しかもむくつけき兵士さん
   同士となると、コア層にしか需要がないですよー」
騎士「何の需要ですか。しかし……女同士でも……美しい、ですかねぇ」
魔王「ただし、美女同士に限る」
騎士(……美女同士……美女……美女かぁ……美女かなぁ、私って……?)
魔王「あれ? 考え込んじゃってどうかしましたか?」
騎士「あ、え、その、あの、なんでもないですよっ!? ただ、心当たりがあったかなぁ、と」
魔王「なるほど、それで考え込んでたんですね。で、どうでしたか?」

73 :
騎士「全然思い当たりませんでした」
魔王「えー? では、その日、愛する男性へ、女性はチョコレートを贈る、というイベントは?」
騎士「聞いたことないです」
魔王「騎士さんがそんなだから、私もうっかり昨日が2月14日だという事を忘れちゃうんじゃ
   ないですかっ! 責任とってくださいっ!」
騎士「逆切れも甚だしいような……でも、まあ、何か私に出来る事があるなら……」
魔王「ホントですか!? じゃあ、責任を取ってわ・た・し・を・た・べ・て♪」
騎士「がじがじ」
魔王「騎士さんがたわしをまるかじりですとー!?」
騎士「あ、いえ、責任をとってたわしを食べろと言われたので、その通りに……」
魔王「しかもマジボケだー!?」
騎士「え? え? 違ったんですか?」
魔王「そんな天然なところも好きです♪」
騎士「は、はぁ……ありがとうございます」
魔王「でまあ、一応これは用意してたんですよ」
騎士「……チョコレート、ですか?」
魔王「はい! 召し上がれ♪」
騎士「じゃあ、せっかくですし、二人で半分こして食べましょう」
魔王「え゙」
騎士「? どうしたんですか?」
魔王「そ、それは、その、やっぱり、私が騎士さんにあげるわけですから、騎士さん一人で
   食べてもらえたら嬉しいなというか、それじゃないと意味がないというか……」
騎士「……なるほど」
魔王「何を納得してるんですかっ!? 誰も何も入れたりとかしてませんよ!?」
騎士「じゃあ、まずは魔王さんから一口どうぞ。私一人では食べきれませんしねー。あっはっは」
魔王「その乾いた笑いが明らかに何かを物語っているわけですがっ!?」
騎士「あれ? 食べられないんですか? おかしいなぁ。別に何も入っていないのに、
   どうして魔王さんは食べられないんだろうかー」
魔王「語尾に(棒)って付くようなセリフ回しですねっ!?」

74 :
騎士「……さあ、どうぞ食べてみてください。私はその後にいただきますので」
魔王「………………ええい、ままよっ! パクッ!」
騎士「あ」
魔王「……なぜ……こう……なっ……た……ばたんきゅ〜」
騎士「……すっかり寝入ってしまいましたね」
魔王「ZZZZzzz……もうたべられませーん……」
騎士「まったく……仕方がないですね、魔王さんも。ねいりを襲う気まんまんじゃないですか」
魔王「そんなつもりはないですよぉ〜……Zzzzz……ただ騎士さんの寝顔を飽きるまで
   観たかっただけでぇ……ZzzzZzzz……」
騎士「器用な寝言ですね……さて、と」
騎士「それじゃあ、私も一眠りするとしましょうか。パクッ」


          ★     そして、夜が明けた!     ★

騎士「うーん……」
魔王「うにゃ〜……」
騎士「……なんとか、目が覚めましたけど……やっぱり目覚めすっきりとはいきませんね」
魔王「……あたま、いたい……なんでぇ……?」
騎士「おはようございます、魔王さん」
魔王「あれ……きし、さん……。あ、そうか、私、自分のチョコ食べて……」
騎士「ぐっすりでしたけど、やっぱり快適な眠りというわけにはいかなかったようですね」
魔王「……どうして、騎士さんも寝てたんですかぁ? 今、起きたばかりですよね?」
騎士「せっかく頂いたチョコレート、食べずに置いておくわけにはいきませんからね」
魔王「え!? じゃあ……あれ、食べてくれたんですか!?」
騎士「美味しかったですよ」
魔王「うぅ……睡眠薬仕込んで、一晩中騎士さんの寝顔やら寝言やら堪能しまくり
   作戦とかもくろんですいませんでしたー!」
騎士「……寝込みを襲う、とかいう発想はなかったんですか?」

75 :
魔王「いや、それはあまりにも不誠実じゃないですか」
騎士「寝言や寝顔を堪能しようとするのは誠実なんでしょうか……?」
魔王「そこは、ほら、ラインですよ、自分ライン」
騎士「……まあ、あまり深く突っ込まないようにしましょう」
魔王「ありがとうございまーす♪ ……でも、ホントに、どうして薬入ってるのわかってたのに……?」
騎士「そりゃまあ……薬も入ってましたけど、それ以上に、魔王さんの気持ちも入ってる
   物だったですから。それを無下には出来ないですし」
魔王「………………う、うぅ……」
騎士「あ、あれ? どうしたんですか?」
魔王「ぎぃ〜しぃ〜ざぁ〜ん! うぇぇぇぇぇえーーーえん!」
騎士「あれ? あれれ? ど、どうして泣くんですか?」
魔王「うれしいからでずよぉ〜! ちゃんと、わだじのきもぢ、うけどってもらえだんでずがらぁ〜」
騎士「……だ、だからって泣かなくても……ほら、泣き止んでください、魔王さん?」
魔王「うぅ……ひっく……優しさが身に染みるぜ……撫で撫では頭に染みるぜ……」
騎士「まったく……こういう所は歳相応ですね」
魔王「むー。子供扱いしないでくださいっ!」
騎士「うん、元気になりましたね。やっぱり、魔王さんはこうじゃないと」
魔王「涙は君には似合わないよ、的な?」
騎士「……ま、まあ、それで間違ってはないですけど」
魔王「えへへー」
騎士「今度からは、こういう時おかしな物は入れないでくださいね?」
魔王「はーい! 今度からは愛だけ入れます!」
騎士「ま、まあ、それも程々にお願いしますね……」
                                               おわり

76 :
ここまで投下です。
※尚作中では、身体に害のない、子どもが使っても安心なスーパー睡眠薬を使用しております。

77 :
乙です!

78 :
乙でーす!
>帯状層
ヴァン・アレン帯だったっけ?ww ようしらんのだけど
>スーパー睡眠薬
すんごく眠くなる花粉症の薬ですねわかります
騎士さんのおちゃめさがアップしてて和んだわw

79 :
むっちゃ続きみたい。

80 :
どうやら、応答がないようだな。ここで決断しないとね。
セーブの番人:「続けますか?」
  ▼
【続ける】 【止める】 【引き渡す】 

81 :
今年いっぱいは待ってもらえんかのぅ

82 :
んじゃ保守しとく。続きを待ってるぜ。

83 :
すまんのぅ・・・。

84 :
なんかネタ投下していい

85 :
どうぞどうぞ。

86 :
保守

87 :
保守

88 :
一ヶ月切った・・・だと・・・

89 :
あと10日……
なんつってw
保守

90 :
がんばー

91 :
おば「さあ、準備はできたかい!?」
魔王「はい、師匠!」
おば「じゃあ、教えた通りにやってみるんだよ!」
魔王「はい、師匠! ええいっ!」
おば「そうさね! 火力は命! 燃え上がる恋の炎のように、徹底的に燃やして燃やして燃やし尽くすんだよ!」
魔王「うぅ……くぅっ!?」
おば「燃やして燃やして燃え尽きたと思ったその先に、それでも残る物があるっ!」
魔王「……!? そ、それは……?」
おば「それが……愛!」
魔王「……愛!」
おば「嬢ちゃんも、掴むんだよ、あの子をつかんで離さない、最強の愛を!」
魔王「! ……私……私、つかんでみせます!」
おば「さあ、最後の仕上げだよ! 秘伝のアレをナニしな!」
魔王「アレをナニして……てやぁああああああああああっ!!」
おば「……! 見えるっ……嬢ちゃんの愛が見えるっ……!」
魔王「き……お兄ちゃんへ……届け、この想いっ! せいっっっっっっ!!!!」
おば「………………」
魔王「………………」
おば「素晴らしい、出来さね」
魔王「師匠……私、やりました!」
おば「これなら、あの子のハートも鷲掴み間違いなしだよ。よくやったね、嬢ちゃん」
魔王「ええ……これなら、きっとお兄ちゃんも喜んでくれると思います♪」
おば「あの子が帰ってきたら、真っ先に食べさせてあげるんだよ……この、杏仁豆腐を」
魔王「はいっ!」

92 :
   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
騎士「なんでやねん!?」
上司「……どうした?」
騎士「あ……いえ、その……何か無性にツッコミを入れたくなりまして」
上司「何にだよ……」
騎士「す、すいません……自分にも、よくわかりません……」
上司「何か調子が悪いようなら休んでてもいいぞ?」
騎士「え、いえ、そういうわけには……」
上司「そうだな。休めばその分帰るのが遅れるもんな……へっへっへ」
騎士「な、なんですかその笑いは?」
上司「べっつにぃ?」
騎士「……しかし、ようやく任務終了ですか」
上司「おう。残務処理が終われば、はれて帰還だ。嬉しいだろ?」
騎士「それは……まあ」
上司「だから休んでられないよな? 一刻も早く帰りたいもんな?」
騎士「何ニヤニヤしてるんですかっ!?」
上司「大事なあの娘が待ってるんだもんなぁ〜♪」
騎士「……何か、性格変わってませんか、上司殿?」
上司「ははっ、俺も年甲斐もなく、長い任務がようやく終わりで、はしゃいでるのかもな」
騎士「そうなんですか?」
上司「そういう事にしとけ」
騎士「はぁ……」
上司「ただな」
騎士「はい?」
上司「少し、気をつけた方がいいかもしれんな」
騎士「……何に、です?」
上司「なんとなくだよ」
騎士「……?」

93 :
上司「もうちょっとだけ、気を抜くな。お前はな」
騎士「私は、ですか?」
上司「そう。俺はもう抜いても大丈夫だが、お前は抜くな。そう俺の勘が言っている」
騎士「無茶苦茶言いますね……」
上司「ま、そう言うな。ちょっとばかし……風が吹きそうな……そんな気がするだけさ。だから、念のため、だ。」
騎士「……そう、ですか」
上司「だからって、ガチガチに緊張するなよー? 適度に力は抜いて、いつも通りに備える。いいか?」
騎士「はい、それは、無論」
上司「よし。じゃあ、あと少し、残務処理頑張ろう」
騎士「はい」
上司(……この感覚……気のせいだったら、いいんだけどな)

94 :
第三部 その2
>>91-93
ここまで過去作。
これで過去作全部転載したかな

95 :
で、こっから時系列関係有りとか言うのも最早どうなんだという感じになってきた本編的な何か

96 :
魔王「騎士さん! クリスマスですよクリスマス!」
騎士「……」
魔王「今年のクリスマスは、これまでの特訓で培った腕によりをかけて、
   盛大なお料理で騎士さんをおもてなしですよー!」
騎士「……」
魔王「そして、食欲が満たされれば次にやってくる欲求はただ一つ!」
騎士「……」
魔王「そう、睡眠欲! ぐっすりお休みバタンキュー! ってんなわけあるかー! そこは性欲が来る
    パターンやないかー!」
騎士「……」
魔王「なんて、一人ボケツッコミまで習得してしまいましたよ! これも……そう……」
騎士「……」
魔王「……騎士さんが、もう…………っ」
騎士「……」
魔王「なんで……なんでですかぁ……どうして……騎士さん……」
騎士「……」
魔王「……騎士さぁん……どうして何も言ってくれないんですか……?」

97 :
おば「そりゃあ、人形だからさね」
魔王「はうっ!?」
おば「部屋から出てこないから何をしてるかと思ったら……何してるんだい」
魔王「……い、いつからそこに」
おば「今年のクリスマスは、ってとこらへんかねぇ」
魔王「騎士さん人形かっこ等身大かっことじを使った悲劇のヒロインごっこをほぼ全てですとっ!?」
おば「……ホントに何してるんだい……」
魔王「過ぎてしまった事はしょうがありません! 私は過去を振り返らずに、今を生きる女!」
おば「あー、はいはい、わかったわかった、見なかった事にしておいてやるさね」
魔王「師匠あざーっす! ところで、どうですか、この人形! 今年のクリスマスは騎士さんがいないので、
   自分へのプレゼントという事で夏くらいからがっつり作って見ました! 完成度すごいですよね!?」
おば「子供が夜中に見たらションベンちびるだろうさねぇ……」
魔王「よし、師匠のお墨付き!」
おば「いやな墨さね……しかし、嬢ちゃん、いつもテンション高めだけど、今日は何かトミに高いね?」
魔王「えへへ……聞いてくれましたか! 聞いてくれましたね! 実は何を隠そう――」
おば「あの子が帰ってくるんだろ?」
魔王「って……知ってるんじゃないですかぁー。師匠も人が悪いですねー」
おば「あたしもさっき聞いた所さね。しかし、やっとこ騎士団の連中も帰ってくるようだね」
魔王「そうです、そうなんです! ようやく騎士さんが帰ってくるんですよぉぉぉぉぉお!!」
おば「長かったねぇ、今回の任務は」
魔王「ですよぉー。何か急に色々あって伸びたとかで。まるで一年くらい騎士さんと逢えてないような気がします」
おば「確か、帰ってくるのは明後日だったかね?」
魔王「クリスマスには一日遅れですけど、最ッ高〜のクリスマスプレゼントですッ♪」
おば「確かに、嬢ちゃんにとってはサンタがトナカイ連れてやってくるようなもんだね」
魔王「そのまま鍋にしていただきます。性的な意味で」
おば「……まあ、そこら辺はあたしはあえてノーコメントって事にするさね」

98 :
魔王「そういうわけで、私今、最高にハイって奴なんですよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
おば「……本当に嬉しそうに笑うねぇ、嬢ちゃんは」
魔王「えへへー。滲み出るうれしさが隠し切れないッ♪ ……あ、そういえば、師匠、何かご用ですか?」
おば「いやね、最高のクリスマスプレゼントの前じゃ霞むかもしれないけど……これさね」
魔王「……? あ、これって」
おば「最近この辺りに出来た温泉遊興施設の招待券さね」
魔王「何か、温かい水の海があるとか言ってたあそこ……ですか?」
おば「嬢ちゃんには、食堂の手伝いとかで世話になったからねぇ。ちょっとしたクリスマスプレゼントさね」
魔王「何か全然手伝いとかした覚えが全くこれっぽっちも無いどころか、むしろ食堂で何かハチャメチャな料理を
    作ってただけのような気がしてならないんですけど、そういう事になってるなら遠慮無くいただきます!
    わーい♪」
おば「あいつに会う前に、しっかり身体を清めておくのもいいさね」
魔王「そうですねー。生まれ変わった私を騎士さんに見せて、惚れ直してもらいますっ!」
おば(一昨日、大きな気が北へ動いた……この街に奴らはもういない……嬢ちゃんにはここの所不自由な
   思いをさせてたからねぇ……出かける時にゃいつもあたしと一緒……少し、羽を伸ばしてきてもらうとするさね)
おば「あたしゃ聖誕祭の準備しなくちゃならないんで一緒にいけないけど、気をつけていくんだよ?」
魔王「はいっ、師匠!」

99 :
とりあえずここまで。
ちなみに、クリスマス期間中に続きは投下できないかもですが、
その場合も作中ではクリスマスです。

100 :
乙でーす! お久しぶりですw
保守ってた甲斐があったー! わくわく☆


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