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ワイが文章をちょっと詳しく評価する![40]


1 :2014/05/25 〜 最終レス :
点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!
ここまでの最高得点79点!(`・ω・´)
前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![39]
http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/

2 :
第二十九回ワイスレ杯
お題 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/671
参加作品
前スレ679 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/679
    680 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/680
    682 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/682
    687 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/687
    688 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/688
    690 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/690
    699 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/699
    700 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/700
    704 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/704
    705 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/705
    720 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/720
    724 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/724
    725 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/725
    727 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/727
    738 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/738
    739 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/739
    740 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/740

3 :
    741 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/741
    742 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/742
    743 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/743
    745 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/745
    749 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/749
    751 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/751
    753 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/753
    755 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/755
    760 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/760
    765 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/765
    768 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/768
    774 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/774
    786 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/786
    787 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/787
    790 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/790
    791 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/791
    795 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/795
    796 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/796
    800 http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1399206929/800

4 :
まだ100近くもあるだろ

5 :
あげ

6 :
せっかくだからワイシリーズ考察でもするか

7 :
まず、出来不出来はともかく、人物名称で損をしているよな。その辺も織り込んでのチャレンジであれば仕方が無いけど
どれだけいい話を書き上げてもこれだけで読み手は白けてしまう
一人称であれば「ワイ」という自称に合った話を。三人称の場合は合わないからやめた方が作者の後のためになるような気がする

8 :
次に、同じ作者が短時間に多投しているっぽいけど、一つ一つの話が単なる思い付きの羅列にしか見えない点
色々と展開を思いつくことから発想力はあると見えるが、それを大事にしていない印象があってもったいない
もうちょい時間をかけて書いてみてはどうだろうか
もっと色々考える点があると思ったけど尽きちゃったのでこの辺で

9 :
「ヒョンヒョロ」と「牛の首」の類似性が指摘されているけど、
それこそ似たような話は「鮫島事件」だってそうだし、
昔話の「ふるやのもり」も似たようなものだしさ。
(「ふるやのもり」はオチが明確だけど)
似たようなアイディアでも、
如何に料理するかが作者の腕であって、
今回の1位は1000字程度の範囲で綺麗にまとめてて、
あれは1位で納得だけどなぁ。

10 :
似たものとして挙げられたものはどれも知らんが、
俺も>>9と似たような感想かな

11 :
そういや今回コテは誰も参加してなかったんかね

12 :
何はともあれ、短時間で33作品を読んで
講評書いて順位付けできるってのも凄いな。
本当にお疲れ様でした。

13 :
イカの人って改行で気づいたのかな?
ワイは文体である程度常連かどうか分かってる気がする

14 :
>>9
似たようなアイディアが通用するレースで良かったな
というのも付け足したいけどな
これで1位をとったことでこの作者が妙な自信でもつけようものなら
ワイの罪は大きいよ

15 :
そんな事を言われても読みやすかったんだからしょうがない

16 :
悪い例えをすれば、二番煎じが駄目なら出版される本の数は劇的に減るだろうなと思うよ
今日仕事の合間に寄った本屋で一押しになっていた「タイムスリップもの」もアウトになるってことだ

17 :
ヒュンヒョロの人って久しぶりの優勝って言ってなかった?
だとしたらすごいな。
いつも入賞してる人とかいるの?
俺毎回ダメなんだけど。

18 :
うん?いつだそれ?
毎回入賞してる人がいたのは見たけど

19 :
今年初の入選だったな
連続で入れるくらい安定して話を作れるようになりたいもので

20 :
結局旧スレ埋めてやんの

21 :
765は女が視線を送るっていう要素がなかったがそこについては何もないんか

22 :
これは前段でヒョンヒロって言う客をおっさんにして、後段で「何ですか」って聞く客を同年代の美人の女性にして、
それでつい見栄をはる、っていう風に逆にしとけばやればもっと良かったんだと思う(お題消化的にも)

23 :
>>18
前の953に久々の優勝と書いとる

24 :
あとは「他では食べたことない」じゃなくて「今まで食べたことない」にするって仕掛けもありかな。

25 :
今回駄目だったのはどれよ

26 :
駄作もりもりで選べない

27 :
>>25
めでたく選外の787のテレパシー……を書いた俺の別作品である740だな
去年11月のスシの話の初投稿以来、こういう路線。
今回いよいよはっきり感じたがワイさんとはセンスが合わないんだと思う

28 :
テレパシーと同年代食いは同じ路線なのか……そうか……

29 :
>>27
あれは投げっぱなしすぎるのがいけなかったんじゃないかな、と思う
「蝶番のきしむ音がずれた」を契機にどんどん不条理になっていくように読めて、最初はおもしろそうな予感がしたんだ
ただ、不条理な展開はしっかりと収束させないと、読者からすればとっちらかった印象しか残らないんだ

30 :
前スレ
>640-646>649-650>655-659
約物がなくても会話文と地の文は明確に分かれていて読み易い!
主人公の位置の美世は容姿が書かれていた!
それ以外の人物の描写はほとんどなく読者の想像に委ねられていた!
鷹山と雛子は物語の端役ではないので、もう少し人物像がわかるように書き足した方がよい!
美世と雛子が身体で触れあった時の謎は回収されていない!
触れてわかることは限られている! 乳房の有無、または股間による性別の判断くらいか!
体裁を整えれば小説の形になる習作であった!(`・ω・´)

31 :
前スレ
>756
>〜歩調を落として声をかけた。
(間違いではないが、少し気になった!
 一般的な使い方では「歩調は緩める」、落とすのは「速度」だと思う!)
>老婦は振り向いて少し驚いたように男を少しだけ見つめてから口元に手をあてて微笑む。
(少しの連続が気になる! 二つ目は省いてもよい!)
>〜一呼吸を置いてから鍵を開けてドアノブに手を引いた。
(手が不要に思える! または「ドアノブに手を掛けた」、「ドアノブを引いた」くらいが適当か!)
老婦は男の何を見て「そういえば、そんな季節だったわ。奥さんも幸せね」と判断したのだろうか!
その物言いは当てずっぽうの類いではなかった! 男は「これくらいしか、してやれることがありませんから」と返している!
鞄の中に入っている小箱を指した会話だと思われる! しかし、目には見えない! 音だけで判断することが可能なのだろうか!
老婦と云う人物の聴力も気になるところ!
丁寧に書いているようでいて抜けている部分が多いと感じた67点!(`・ω・´) 最後の子供の言葉と自分達の境遇を重ね合わせたところはよい!

32 :
SF指向だったら「テレパシーは一般受けしないから反省して、2位のロボットを目指します!」という気にはちょっとなれんだろな
出来というよりノリの問題として。

33 :
>>30
ありがとうございます。
ワイスレ杯お疲れ様でした。
長編続けますね。
以前、題名をグラシア・エル・カサドレスと発言した事がありますが、冠詞を間違えていました。
男性冠詞の『エル』を『ラ』に直しました。グラシア・ラ・カサドレスです。
どうでもいい情報ですが。

34 :
そういえばアロンゾと濁るのはポルトガルとかでスペイン語はアロンソじゃないか

35 :
 テレサはヨーコの言葉ではなく表情や声色で意図を判断しているふしがあった。ヨーコがイラついていると心配そうに見詰め、楽しい気分だと
柔らかい表情をした。どちらにしろヨーコにとってはテレサが精神安定剤だった。
 テレサは歌が好きだった。歌が得意なヨーコは童謡から流行りの歌までいろいろ歌って聞かせたが、特に気に入ったのはスペイン人歌手の歌うマカレナだった。
 ヨーコが歌に会わせて目を見開いたり怒った顔をしたり、割としっかりした眉毛を上下させ、表情を変えながら歌うと助手席のテレサは声を出して笑った。
 また一つテレサの事がわかった。
「おっとと危ない」
 ヨーコは慌ててハンドルを戻した。少しカーブが多い山道。運転しているのは膝の上のテレサだ。運転を始めて30分。だいぶ慣れて来たがS字カーブは
まだ無理だ。今度は深いカーブが来てヨーコが手を添えた。
「あぶない」
 急に聞こえた声にヨーコはギクっとしてテレサを見た。テレサが初めて言葉らしい言葉を発したのだ。そういえば運転を始めてから何度危ないと
言っただろうか。ヨーコは胸が熱くなり、思わずテレサを抱きしめた。テレサの手がハンドルから離れた。
「あぶない」

36 :
>>34
そういうのあるかもしれません。
所詮うわべの知識なのですいません。

37 :
 先ほどは本当に危なかった。思わぬテレサの言葉に、我を忘れて抱きしめてしまったヨーコは気を引き締め直した。テレサを危険に晒さないように。ルート45は
山岳地帯を抜けて農地の中を南下する。5時間ほどでゴメスパラジオに着く予定だ。途中立ち寄ったヒメネスでSIMカードを買って携帯端末で連絡ページをチェックすると
アロンゾとエルナンドのメッセージが溜まっていた。いずれも女の子をどうしたか、女の子をよこせ、金を払ってもいい。何を必死になっているのかはわからないが
ヨーコには応じる気がサラサラ無い。仕事が無いなら連絡を取る必要もない。連絡先が割れているSIMカードはしばらく封印だ。
 ヨーコは少しうとうとし始めたテレサの為になんとなくアメージンググレイスを歌って聞かせた。ぼうっと運転しながら歌っていたが、ヨーコの頭の中では次々と血の華が
咲いていた。倒れていく男達。こちらを向いていた男の顔は大体覚えている。ヨーコはスナイパーとして変わっていた。一般的なスナイパーが石になるのを心がける
のに対して、ヨーコはリラックスするのだ。普通は息を止め、または吐ききった所で静止してトリガーを引く。しかしヨーコはいつの頃からかアメージンググレイスを
歌いながら人を撃った。
 澄んだ声で歌いながら確実にターゲットを仕留める悪魔の所業でヨーコは部隊の中でこう呼ばれた。グラシア・ラ・カサドレス。グレイスの名を冠し、まるで鹿を
撃つように人間を撃つ姿を、ハンターを意味するカサドールとなぞらえたのだ。
 歌いきってヨーコはふと助手席を見た。するとテレサが何か複雑な表情でこちらを見ている。おかしな反応だ。すっかり目が覚めたようだし歌が不味かっただろうかと
ヨーコは少し自信を無くした。

38 :
「まだ見つからんのか」
 殺風景な白い土壁の一室、二つ置かれたデスクの片方の電気スタンドだけがついている。デスクでは若い男がノートパソコンを操作している。
 アロンゾはうろうろと歩きながら口の周りに四角く蓄えた髭が間延びするほど口を空けて怒鳴った。
「そうイラつくな、今特定してる所だ、連絡ページにアクセスがあった」
 インディオの血が濃く、目も口も左右に横広くてガマガエルのようなエルナンドが団子鼻をいじりながらニヤついた。
「セニョール」
 エルナンドの横でノートパソコンを叩いていた男がパソコンをぐるりと回転させてエルナンドに見せた。エルナンドはアロンゾに言った。
「ホセ・マリアノの基地局だ」
「南に向かってるのか、何時間前だ」
「6時間だ」
 アロンゾは太い眉毛を寄せて髭を撫でた。
「ゴメスには誰がいる」
「この手の仕事ができるやつならソロモン」
「あいつはダメだ、仕事が雑すぎてヨーコを怒らせかねない」
「ドゥランゴからだれか向かわせるか?追いつけなきゃメキシコシティあたりで売られちまうかもしれないぜ、心当たりがあるって言ってたからな」
 アロンゾは椅子にドカっと腰掛けて背もたれにどっぷり寄りかかった。
「ふぅー」
 深く溜息をつきながらエルナンドを見詰めた。
 エルナンドは口をへの字に曲げて眉根を上げながら首をかしげた。

39 :
>>36
スペイン語ではZ音はにごらない。
V音はB音と一緒。
だからたとえば「べねすえら」と発音する

40 :
 ヨーコはいつものようにモーテルでテレサの髪をとかしていたが、ノックの音に手を止めた。ここに自分がいる事は誰も知らない。管理人が今頃用事が
あるというのも変だ。ヨーコはテレサをベッドに座らせると、ベッドのサイドテーブルの上からベレッタを取ってゆっくりとスライドを引きながらドアに向かった。
「誰?」
「連邦警察です」
「警察が何の用?」
「人を探してまして、子供なんですが」
 ヨーコはギクリとした。緊張が走る。
 姿を確認したいが真新しいドアは何故か覗き穴が無い。壊れたドアを何かで代用したような感じだ。嫌な予感はしたが他に空きが無かった。
「ここにはいないよ、他をあたんな」
「そうですか」
 ヨーコが胸を撫で下ろしてドアを背にした時、かすかに金属の機械音がした。
「ちくしょう!」
 ヨーコは血相を変えると跳ねるようにベッドに走り、テレサを突き飛ばしてベッドの奥に落とした。
 ドアの外から3回発砲音がしてドアに穴が空いた。ベッドを転がるようにして奥に隠れたヨーコがベッド越しにドアを5発撃つ。また外から発砲音。賊は射線から
外れた所でドアノブを撃っているようだ。やがて内側のドアノブが少し緩んで傾いた。破壊されたようだがそこで相手の気配が消えた。ヨーコはトランクから大口径の
マグナム銃を取り出してスライドを引くと、両手でしっかり構え、照門を覗かずに首をかしげて勘で3発、ドアの横の壁を撃った。薬莢がヨーコの頬をかすめて後ろへ
飛んでいく。ガサッと物音が聞こえてそれっきり静寂が訪れた。ヨーコは中腰でスタンスを取り、左足を進めては同じ分だけ右足を進める動作で斜めから玄関に近づいた。
 しかしヨーコは玄関に向かう足を途中で止めた。ヨーコの頭の中にホテルの外観が浮かんでくる。ホテルの玄関の植え込みから左に回り、竜舌蘭の向こうに
小窓が見える。窓を覗くには身を低くして竜舌蘭を迂回し、反対側の壁に張り付く。ヨーコは部屋の中央で銃を構えたまますーっと体を90度回転させ、首をかしげて
トリガーを引き絞った。静寂を破る破裂音が響いた。テレサは床にぺたんと座ったまま両耳を押さえている。2発、3発、弾丸が木製の壁を叩く音がして小窓の横に縦一列の
穴があく。

41 :
 薬莢の転がる金属音が収まった。今構えているデザートイーグルの弾は残り1発で、予備のマガジンは無い。ヨーコは再びベレッタを手に取ってマガジンを
交換し、最初のマガジンをジーンズの尻ポケットに挿した。ヨーコは玄関横の穴の空いた壁に張り付いて、ドアノブを素早く回すと同時に強く引いて再び銃を構えながら
様子を伺う。引いた慣性力でドアがすーっと開く。
「う、うう」
 呻き声が聞こえる。
 左足を軸に体を回転するようにステップして外に銃を向ける。玄関横で警官が倒れている。銃を向けたまま周りをきょろきょろと見回しながら、すり足で近寄って近くに
落ちている銃を蹴り飛ばした。ポケットから出したジャックナイフで身を屈めて警官の顎のラインに沿ってさっと切り裂いた。喉元から牛乳をグラスに注ぐような音が
聞こえてくる。
「ちくしょう、ほんとに警官でやんの」
 相手が警官である以上、間違っても生き残ってもらっては困る。
 バターを塗るように制服の胸でぺたぺたとナイフを拭いてポケットに仕舞うとペンライトを取り出し、銃を構え、左手で銃床にペンライトを添える形で建物の左手に回る。
 竜舌蘭の向こう、窓の下に倒れた制服の上半身が見える。ライトで顔を照らすと、木の根が張ったような血痕の間から、空ろな男の目が見える。
「あんな色物のガラクタでも役に立つ事もあるもんだね」
 ヨーコは銃を空に向けて溜息をついた。プレゼントだと言ってにこにこしながら箱を差し出すドゥランゴの長、ドン・セルバンテスの顔が思い浮かぶ。
 しかし同時にアロンゾの顔も浮かび、目を座らせてつぶやいた。
「野郎…」

42 :
 事件の後早々にモーテルを去って翌日、ヨーコはベンツを売っぱらってトヨタのSUVを買った。荷物の積み替えは大変だったが車種が割れている以上仕方が無い。
 ゴトゴトと音のする袋やケースそして木箱を積み替えるのを斜め目線でチラチラと見ていたカーショップオーナーを尻目に、いい買い物をしたとご機嫌で出発した。
 鼻歌混じりに運転するヨーコを見て昨日購入したチャイルドシートの上のテレサも機嫌がいい。汚職警官の一斉射撃からCIAの工作員を守ったのもトヨタだった。
 さすがに防弾機能は無いが少なくとも故障は無いだろう。
 ヨーコは携帯端末で天気をチェックした。乾期だというのに最近は突然の雨が多い。テレサと二人でどこか風景のいい所でランチをしたかったのだ。せっかく走破性
の高い車を手に入れたのだ。どこか草原にでも乗り入れて二人で辛くないランチを食べようと思っていた。ビークルに乗って家族で出かける。望んでも出来ない
事はヨーコの憧れだった。かつて愛した男との間には子供は出来なかった。行楽で幸せそうな家族を見るとパンツァーファウストを打ち込みたい衝動にかられる。
 しかしもうその必要はない。ヨーコはついに家族を手に入れたのだ。しかし今日の天気を見てヨーコは唖然とした。
「なんだこれ」
 昨日の天気予報のグラフィックは太陽を少し雲が隠していた。その通りになったがしかし、今日の天気は真っ赤に焼けた空から火の玉が降り注いでいる。
 大地を炎が覆い、気温は999度。
「舐めてんのか?えーと、今日はマヤ暦の回文の日、大災害で世界は終わるでしょう、ちっ真面目にやれよ」
 ヨーコは別の天気予報を見たが、ここは見事に快晴だった。ヨーコはにっこり笑ってブックマークを変更した。

43 :
「おいしい?」
「おいしい」
「おいしい?」
「おいしい」
 また一つワードを喋るようになったテレサに目尻を下げたヨーコが執拗に質問をする。農地と丘陵地帯の間にある草原ではロバが2,3頭いて草を食んでいる。
 ぽつんと生えていた木の近くに車が停めて、木陰に二人で座っている。テレサは女の七つ道具を入れたポシェットを肌身離さずたすき掛けにしている
 邪魔だろうと外してあげてもすぐにまた掛けるのだ。カチャカチャと鳴る軍用の食器に普段狙撃の時等に使っている幌生地の無愛想なシート。
 銃座用の土嚢袋に軽く砂を詰めて重しにした。こんな事に慣れていないヨーコは死ぬほど自分を呪った。何故洒落た木製のテーブルと可愛い花柄のクロスを買わなかったのか。
何故アニメキャラクターの入った皿や、尖っていない小さいフォークを買わなかったのか、身悶えする思いで次回からは失敗しない事を誓う。今は苦肉の策としてそこらじゅうに
ぽつりぽつりと咲いている花を集めてシートの上に
敷き詰めた。面倒くさい注文に渋い顔をする屋台のオヤジに一瞬バッグの中の銃を握り締めたが、ここは大人になって多めに金を払って辛くないタコスとアボカドサラダ、
ポジョと呼ばれるチキンローストを作らせた。ぱくぱくとランチを食べてグアナバナの実の甘いジュースを飲んでおちついたテレサが敷き詰められている花を手に取った。
 不思議そうに花を見るテレサに花の名等を教えてやれればいいのだがヨーコに花の知識はない。ヨーコは鮮やかなオレンジの花を一つ手に取ってテレサの耳の上に挿した。
「これはテレサの花よ」
「テレサの…花」
 舌っ足らずのテレサに思わず笑みがこぼれる。
「そう、テレサの花」
 テレサが耳の上を気にして手で探っていると花がぽろりと落ちた。その花を手に取ってテレサは不思議そうに見詰める。買い物リストに植物図鑑が追加された。

44 :
 車は再びルート45を南下していた。マカレナを歌うヨーコをスティックキャンディーを口に咥えたテレサが笑顔で見ている。トヨタはアメリカから引っ張って
来たのか、メーターがマイル表示だった。50マイルでのんびりと走っていると、ハイウェイとはいえ、時に160kmほども出た車やバイクが左の車線を追い越していく。
急に保守的になったヨーコはそういった車に顔を顰めた。心を煩わせながらバックミラーを見ていると、左車線を走行している黒い高級セダンの助手席の窓から顔を
出して、この車の後続車を覗き込んでいる男がいる。変なやつだと思いながら相変わらずのろのろ運転していると、その車がヨーコの車に並んだ。そしてこちらの車内を
覗き込んで顔色を変えた男が運転手に何か言った。するとその車は突然加速してヨーコの車の前に出た。その後ろから付いて来た同じような車が横に並ぶ。
「ちっ」
 誰かはわからないが見覚えのある顔だった。前の車は減速し、横の車は詰めてきた。ヨーコはテレサのチャイルドシートの状態を確認すると急ブレーキを踏んだ。
 テレサの首ががくんと前に垂れたがすぐにブレーキを離してハンドルを切り、横の車の後輪にこちらの前輪をぶつける。直進しようとする後輪と
斜めに進もうとする前輪が主張し合ってお互いのタイヤが悲鳴を上げる。しかし相手車両はゆっくりと斜めに姿勢を変えてついにはスピンした。バックミラー
を見ると、コンクリートの壁面にかるく車体の前後を当てながら回転している。あまりダメージは期待できない。一気にアクセルを踏み込み、前の車を追い越そうとするが
尻を左右に振りながら妨害してくる。ヨーコはデザートイーグルを取り出し、左手に握って窓から外に出し、車に向けた。リコイルで跳ね上がる事を計算にいれて
銃口を下げる。狙いを定めて一発発射すると、弾はトランクに命中したが、思いのほか銃が跳ね上がって後退したスライドで手首を傷つけた。
「ちっ、やっぱつかえねーな」

45 :
 ヨーコは銃をベレッタに持ち代えると同じように左手で握って15発全弾発射した。銃撃でガラスやボディに穴があき、動揺した車両が無秩序にふらつく。ヨーコは
きちんと作戦を立てていた。相手が動揺した隙に狙い定めて一気に右にハンドルを切り、ハイウェイを降りた。そのまま町にまぎれるつもりだったが。目の前を
旋回しているヘリに何か嫌な予感がする。正面から真っ直ぐ車に向かってきてすれ違うと後ろで旋回している様子がバックミラーに映っている。
「冗談じゃねえよ」
 一般道に下りると町が近い事もあり、トペと呼ばれる結構な段差が道路を横断している。スピードを出して通過すると車によっては破損するほどの車速抑制施設だが
SUVに変えた事が功を奏した。トペで軽くジャンプしながらも車は疾走する。しかし相手はヘリ、すぐに追いついてきて運転席側に並んで飛び始めた。身を乗り出した
ティアドロップのサングラスをかけた男が止まれのサインをしているが、もちろん肛門サインをして歯をむき出した。男はやれやれと首を振ると引っ込んで何かごそごそしている。
そして回転しながら出てきたのはミニガンの銃口だった。
 6本の銃身が回転しながら1秒間に数十発の弾を繰り出すキワモノだ。
「だから冗談はよせよ!」
 もはや銃声とは言いがたい甲虫の羽音のような音をたてて弾が発射された。缶を叩くような音が幻想即興曲の倍のビートで鳴り響き、火花がボンネットを横断していった。
「ちきしょう!マジに空から火の玉が降ってきやがった!」

46 :
 ヨーコはハンドルを切って後輪を流しながら幹線道路沿いの市街地に入り込んだ。大きく旋回して追いついてきたヘリから
2回目の銃撃。左側の地面で弾ける煙がボンネットに這い上がってきてライトが吹っ飛び、火花を散らす。思わず左にハンドルを切って対向車線に入り、建物の影に入る。
 ヘリの銃座の関係で真上から攻撃する事はできず、左車線に入れは射線から外れる。しかしすぐに対向車が走ってきて右車線に戻るとすぐに銃撃が飛んでくる。
 店舗が次々に壊れて通行人や軒下でベンチに座っている人が赤く弾けるのが横目に映る。この状況でエンジンが止まらないのは奇跡に近い。
 ここまでしてテレサを欲しがる理由がわからない。だが考えている暇はないし興味が無い。ヨーコの戦術は基本的に潜伏と奇襲である。
 相手に襲われていることさえ気付かせずに壊滅に追い込むのは得意だが最初から付け狙われるのは苦手だ。ターゲットになったのはある意味新鮮だったが
ここでも生き残りのセンスは天性の物があった。減速と加速に蛇行を繰り返して的を分散させる。すると相手の人物像が見えてくる。
 無秩序に町を破壊するのもやぶさかではないが、不本意ではあるようだ。そして決して座席を狙わず車の無力化を目指している。相手もまたテレサを傷つけたくないのだ。
 そこにヨーコの勝機がある。しかし今、市街地を抜けて隠れる物が無くなった上に先ほどスピンさせた車が後ろから迫って来た。
 しごく当たり前の事だが連絡を取り合って連携しているのだ。また状況が悪化した。
 ヘリを見上げると変電所に集まっている電線をやり過ごすために少し上昇している。チャンスだ。旗色は悪いが前方にトンネルが見えて何か思いついたヨーコは、テレサの
ベルトを外すと抱き上げて運転席に立たせた。
「テレサ、ドライブよ!」

47 :
 ヨーコはクルーズコントロールを押して尻をずらし、後部座席に移った。荷室に上半身を乗り出し、ギターケースほどの物を取り出す。中から機関部分と銃身に分かれた
ライフルを取り出し、慣れた手つきで組み立てる。そしてケースの中にあったイヤーマフを最小に縮めて後ろからテレサに被せた。そのままドアに手を伸ばして
全ての窓を開けると、スニッカーズが1ダースは入りそうなマガジンを取り出し、ガシャリとセットしてボルトレバーを引いた。そして最後部のシートに銃身を
乗せて身を引き、銃に頬を寄せて後ろの車を見た。運転席に立ったテレサは「あぶない」を連呼しながらふらふらとハンドルを操作している。70マイルで固定された車は
数台の車を縫って抜き去りながらすぐにトンネルに入り、ヘリは離れていった。この至近距離でしかも安定しない状況でスコープは使えない。折りたたまれていた照門と照星を
立てて目をこらす。実戦で使うのは初めてだがヨーコの勘がフル稼働する。ふらふらと揺れる風景。ヨーコはリラックスしてその時を待った。追跡車両と銃口が重なろうとしている。
脱力した体と空ろな目でその瞬間を捉えた。榴弾並みの爆音が鳴り響く。同時にシュモクザメの頭のような銃口から左右に煙が噴出して疾走する車の窓から流れ出した。
ペッパーソースのビン並みの薬莢が排出されて床に転がり、カーペットが溶けて薬莢が少し沈んだ。一方、銃口からマッハ2.5に迫る勢いで飛び出し、ボンネットを貫いた直径12.7mm
のNATO弾は、追跡車両のエンジンをたった一発で沈黙させた。やがて車はボンネットの隙間から煙を上げながら離れていった。テレサと二人して、この車で遊び回ろうと思っていた
ヨーコは穴だらけのボンネットと割れたリアガラスを見て歯を噛み締めた。後ろからハンドルに手を伸ばして支えながら迫り来るトンネルの出口を睨みつけた。
「もう少しだから頑張って、テレサ」

48 :
 ヘリはトンネル出口付近で旋回していた。ほどなくヨーコの車が現れ、タイミングを合わせて追跡の姿勢になったが、ミニガンを構えていた男は目を疑った。
「協力者がいたのか!」
 ヨーコがサンルーフから顔を覗かせていたのだ。銃の二脚をルーフに引っ掛けて銃口を向けている。
「ヤバイ!対物ライフルだ!」
 男の指に力がこもった瞬間、ヨーコのライフルの両サイドから煙が噴出し、ミニガンが爆発するように弾けた。
「ぐああああ」
 顔中に金属片が刺さった男が呻いた。連続して鉄板を叩く音。車上のライフルから汽車の煙突のように煙が噴出して流れている。ヘリは機体を傾けて離脱の姿勢になったが
ヨーコの追撃が容赦なく突き刺さる。やがて白煙を吐き始めたヘリはついに制御を失って回転しながら山肌に激突した。火柱が上がり、その先端をシダの芽のように
黒煙が回転しながら上昇していった。
「なるほど、999度ぐらいはありそうね、ブックマーク戻しとかなくちゃ」

49 :
 ヨーコはテレサの手を握って夢の飛行船だった車を見詰めた。町の手前の道路から少し入った茂みの中。車を手に入れて荷物を取りに戻ってくるまで無事であればいいがと願う。
 穴だらけの車で旅をすれば公安が五月蝿い。何より車種がアロンゾにバレてしまった。3年ほども世話になったドゥランゴの工作部隊。元軍人が多い荒くれ集団の長だったが
これで完全に敵となってしまった。
 自分を気に入ってるドン・セルバンテスに掛け合えば不問にできるかも知れないが、保証の無い掛けはできない。訴追されるか、放免になったとしても個人的な恨みでどさくさ
まぎれに暗殺されるだろう。帰る所は無くなったが後悔は無い。ヨーコはこちらを見上げるテレサを見下ろして微笑んだ。微笑み返したテレサの顔に、今まではいつ死んでもまあ
いいかとさえ思っていたヨーコは急に命が惜しくなっていた。

50 :
 ヨーコ、大丈夫よ、すぐに迎えが来るからね
 誰…
 飴が一つ残ってたわ、ほら開けてあげる
 あなたは誰…
 ほら、口を拭いてあげるからこっちを向きなさい
 私の記憶の中にあるあなたは一体…
 ヨーコ!ヨーコ!
 大きな音がする、耳が痛い
 勘弁してくれ
 くたばれ屑野郎
 ホンジュラス訛り、満足げににやける男、軍人さん
 
 

51 :
 こちらです、アレハンドロ大佐
 大きな黒い靴、パパ…
 君の名前を教えてくれるかい
 ヨーコ
 
 よろしい
 歌が流れてる、向こうで寝転がったあの人が見ている、あの人は誰…
「ママ」
 ヨーコは汗びっしょりで目を醒ました。ベッドの上ですでに起きてぺたりと座っていたテレサが心配そうに顔をのぞきこんでいる。
「ママ、泣いてる」
 子供の頃よく見た夢を久しぶりに見て、少し動揺したヨーコだが涙を拭って笑顔を作った。夢は内容とは関係の無い正体不明の悲しさに満ちていた。
「大丈夫よ、ほら、おいで」
 納得していないような顔のテレサは渋々ヨーコに身を預けた。ヨーコはテレサを抱きしめて頭に口を埋めた。
「大丈夫、何も心配いらない」
 そう言いながらもヨーコは夢に登場した人々の顔が頭から離れなかった。

52 :
小説千本桜の無自覚なディストピア感
http://lole34.doorblog.jp/archives/38321914.html

53 :
ヨコたん
頸動脈ちょんぱしたら、すげぇ返り血浴びまくるで
ナイフ綺麗にする以前の問題や

54 :
春風とは恐ろしいもので、埃、葉桜、時には瓦と、なんでも飛ばしてしまう事が割にある。
そして畢竟春になれば服は薄くなり肌は露出する。
丈の短いなにそれが現れるのも、ごく自然ななりゆきである。
そうくればなりゆきとしては紙ぺらの如く薄い防御など春風殿にとって見れば
子錦を前にした大横綱のように鎧袖一触、片付けてしまえそうなものだが、
そこが世の不思議なところ。そう簡単には運ばない。
あれまた針金でも詰まっているのですかと聞きたくなるほどに
動かない、動かない。
むむと念じてみるものの、春風は参ったとばかりに吹くのをやめてしまう。
えい、この根性無しめ。役立たず。盆暗かぜ。
怒った春風が目に砂を飛ばしてきた。
なに、その程度で参る私ではない。とはいえ痛い。これでは見えないではないか。
やっとのことで目から砂粒を取り払う。
どうやら針金を折り曲げるのは首尾よくいったが、何分勢いが強すぎた。
女生は手で尻を押さえてしまっている。
まったく春風殿、融通の利かん男である。
あら、あすこにおわす主婦が何やらこちらを指差している。
何ぞ用件でもおありかしらん?
おまわりさん、あの人です。
おやいけない。
春風よ、私を遠くへ吹き散らしておくれ。

お題スレで書いた奴

55 :
 取調室の空気はどろりと濁っていた。呼吸が苦しいのは、きっと、そのせいだ。倦怠感と疲労感が肩に重苦しく圧し掛かっている。
「それで、動機はなんなんだ」
 ショートホープをくわえた刑事がもう何度目かわからない問いを発する。
 くくく、と、僕の口からは笑みが溢れだしてしまう。
「なにがおかしい!」
 怒った刑事がバンと机を叩くと、その上に載っているスタンドライトが倒れた。乳白色の光が、灰皿の底に山積する刑事の苛立ちの抜け殻を、濃く淡く浮かびだした。
「だって刑事さん」
 むりやりに笑いをしまいこんで、僕はいたって真面目な表情をととのえる。
「もう幾度も答えたじゃないですか。昨夜からずっと。僕は彼女自身にお願いされてやったんだ、と言ったはずです」
「てめえ、とんちきなこと抜かすんじゃねえよ。何で彼女自身が自分を殺せだなんて頼まなきゃならねえんだ」
「愛ですよ」
 愛――ああ、なんという甘美な言葉なのだろう。この世にこれ以上美しい言葉を、僕は知らない。そうだ、僕は彼女にお願いされて、懇願されて、哀願されて、やったのだ。刑事は間抜けな顔をしてあんぐりと口を開いている。当然だ。
こんな、蚤の糞ほどの感受性しか持ち合わせていないような輩に、僕の、僕たちの崇高で気高い恋愛が理解できるものか。
「愛だあ!? なんだ、じゃああれか、好き過ぎて殺傷事件を起こしたのか」

56 :
「僕たちは結ばれなければならなかったんです。彼女は僕の運命だった。つまり、僕は彼女の運命だった。わかります? ああ、わからなければ結構。よろしい。最初から期待していませんでした。いいですか、でもこれだけは理解してください。
僕たちは愛し合っていた。恰も磁石が引き合うように、僕たちは惹かれ合ったんです。僕が最初に彼女を見たのはTVでした。その瞬間、僕の体に電流が走った。これはレトリックでもなんでもありません、事実、僕の目には宙に放電する青い光が見えたのです。
天からの啓示でした。彼女は僕のファムファタルだと、神がその御力をもって指し示したのです。それから僕は、何度も何度も、幾度も幾度も、彼女に手紙を送りました。ドルチェのような愛の詩です。発狂しそうになるほど頭を悩ませて書いたのです。
それなのに……それなのにそれなのに! ビッチ、クソビッチ! あいつは返事も寄越しやがらなかった!! はあはあはあ……」
 いけないいけない。乱れる呼吸を、ととのえる。おもわず熱くなってしまった。彼女のことを語ろうとすると、いつもそうなんだ。愛の深さゆえにね。
 僕は刑事にむかって微笑みかけた。見苦しいところをみせた、まあ、はにかみ笑いのようなものである。しかし、刑事はなぜか、ビクッと肩を震わせて、口からショートホープを落とし、痙攣したように、髭だらけの口もとを、ひくひく引き攣らせていた。

57 :
「最初ですよ、最初はそんな憤りも覚えました。でも違ったんです。それは彼女の愛情表現だったんです。つまりね、刑事さん、わざと無視することによって、僕をはらはらさせるのが彼女の手だったんです。
はは、これには参りました。処女なのにカサノヴァも真っ青な恋愛テクニックだ。僕は彼女からの甘美なシカトを楽しみましたよ、ええとても。ですが、それも飽きました。実際に会いに行きました、CDを買ってね。
僕は、握手するときに、目配せをして、彼女に言いました。『早く結婚しようね』、その途端です。鬼の形相をしたスタッフが僕をはがしたんです。ああ、そのときの彼女の表情ときたら、いまでも僕は忘れられません。
ひどく悲しそうで、まるで、恋人と永遠の別れを覚悟したジュリエットのようだった。僕の心は怒りの、いや、正義の炎に燃えに燃え立ちました。スタッフをぶん殴って彼女を連れ去ろうかとまで思ったんです。
しかしです、そのとき僕の身にふしぎなことが起きました。刑事さんはESPって信じてますか?」
「いーえすぴー? なんだそりゃ、新開発のオービスか?」
 とことん愚鈍な刑事だ。僕は内心で舌打ちしたが、もちろんそんな感情は表に出さない。
「知らない、はいはい、訊いた僕が愚かでした。結構、つまり彼女の心の声が聞こえてきたんです。彼女はこう言っていました。『お願い、私を殺して、あなたと一緒になれないなら死んだほうがいいわ!』。
僕はそのときまで知りませんでした。少しも気づかなかった自分をぶん殴ってやりたい思いでした。彼女は虜囚だったんです。囚われの、高貴な虜囚だったんです。彼女に自由意志なんて欠片もなかった。
事務所に抑えつけられて、奴隷のように働かされる、哀れで、高貴な、囚われの姫君だったんです」
「はなしなげーな、おい」
「は?」
 Rぞ――なんていう野蛮な言葉を、僕は使わないんだ。

58 :
「もはやことは一刻の猶予もなかった。僕は早急に、そして念入りに準備をした。幸い、僕の顔は憶えられていないはずでした。実際、憶えられていませんでした。道具にはのこぎりを選びました。
彼女の首を切り取ろうと思ったからです。どうせ僕も死ぬつもりでしたが、そのときは彼女と一緒がよかった。しかし問題もありました。のこぎりは大きくて、とても隠しては持っていけませんでした。
ですがこの問題は、ワイヤーソーという道具を知ることによって、解決しました。さて、実行の日です。彼女のレーンにはたくさんの人がいました。握手のタイミングにも、スタッフと、その他のメンバーが近くにいるようでした。
実行は困難です。しかし僕の愛の力の前にはどんな困難な壁も砂城に等しくつまり海よりも深い愛が大津波となって僕のワイヤーソーに宿って邪魔者をラブエッジの犠牲としてついに彼女を――」
「やったんだな、はいはい、ご苦労さん。じゃあ、ちょっと調書書くから待ってな」
 話し終えたら、ふと腹が鳴った。いつのまにか昼になっていた。
「刑事さん、かつ丼食うか訊いてくれないんですか?」
「自腹だぞ」
「いや……僕、無職なんで」
 

59 :
アイドルヲタでもそこまでキチガイはおらん

60 :
う〜ん……
ところで今回の優勝は拙者氏だよね

61 :
>>31
ご評価ありがとうございました。
そんな季節の下りは、息があがるほどに急いで帰ってきたのはどうしてか、
という思考のつもりでしたが、まったく書けていないということですね
文章の疵も多く、色々と基礎的な部分が欠けているのだと思い知りました

62 :
謎は謎のままにしておく
でなければリアリティーがでない
説明はするな

63 :
リアリティーなんか糞食らえ。

64 :
だからお前は駄目なんだ。

65 :
>>60
そうですよ。前回の初優勝から苦節一年!ヽ(`Д´)ノ

66 :
ぱくりで優勝して嬉しいのかね

67 :
おめでとう! やっぱり催眠洗脳と薬物投与が効いたねw今年はいまのところあれが一番じゃい

68 :
>>67
あれは去年の劇場公開時に書いたやつです。
またコメディ書きたいけど時間が(;´Д`)

69 :
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5085879.txt
とちゅうの抜き出しなんですけど、思春期の女が恋に落ちるシーンとして上手く書けてますか?
ちなみにカメラ好きのJCという設定です

70 :
なんでも丁寧に書いちゃうと、先が読めてつまらないよ
人間の行動って読めない部分もある
だからリアルなんだよ

71 :
リアルとかどうでもいいけど緩急は必要かもしんないね。場面に合わせた

72 :
酷使したせいで目が痛い!
空腹よりも眠気が勝るので寝ることにする!
未評価のものは早朝に見ることにしよう!(`・ω・´)ノシ 時間が足りなければ、まあ、適宜と云うことで!

73 :


74 :
おやすー

75 :
2本で千円

76 :
>>53マジデスカ
>>54
なんの努力もせずに一気に読めました。
独特の雰囲気とリズム感でサラリと落ちに繋がって
2ちゃん的なお約束もスパイス程度に効いていてかなりよかったです。
イカ臭い僕にはできない文学的な表現力が羨ましいです。

77 :
>>76
サンクス、嬉しい
森見登美彦のそういう感じが好きなんだ

78 :
交通安全の御守りにぴびる幽霊はあまり話題に
なりませんね。
僕的にはかなり刺さりましたが、

79 :
725は最初に読んだときから文体はおもしろいのに、個々の単語選びがなんか変だと思った 頭から拾ってくと、
立ち飲み酒屋(酒屋っていうとその場で飲まない店なんじゃ) 取り寄せています(間違いじゃないのかもしれんが通販みたい) 
果たして(ってついてるから強調される必要のある何かがあるかとおもったら以後の展開に関係ない) 
集中力(気づかないんなら集中力がないんじゃないの?) 
大衆的(大衆のようだ、という意味では無くて、みなに人気があるという意味のはず)
浅ましい〜楽しいですね(浅ましいなら不快なんじゃないの?)
というあたり
視点は面白いが、どこで男が幽霊に気づいてるのかわからない(横からの視線というお題とも関わる)。
黙っててくれ とか 近い とか、誰に言ってるのか。少なくとも前半部分の発話は店主向けなんだが、どっから幽霊向けになるのか、そのきっかけは何か
あるいは最初からわかっててシカトしてんのか。
あと、これだと大将と幽霊の関係が書いてない。大将は幽霊に気づいててもいなくても、どっちの筋でもいけるので、書いた方が面白い。

80 :
常に5位以内をキープしてるやつがいる
そいつのが一番読みやすくて好きだからもっと書いて欲しい

81 :
 仕事帰りに転がり込むようにスタンディングのダーツバーに転がり込んで
ハイネケンのボトルを注文した。賑やかな店内でまるで計ったように人のいない
一角の壁にもたれ掛って一息にビールを飲み干す。
傾いたボトルと首を正面に下ろす時に彼女と目が合った。
マールボロを取り出して火をつける。煙が飾り気のない天井に吸い込まれていき、
その向こうで彼女が笑っていた。僕も笑い返してもう一息タバコ吸い込んでから彼女に話しかけた。
「何か可笑しかったかい?」
「だって、まるで何でもないようにお酒を飲むから」、と俯きながら彼女が笑い声を漏らす。
「何でもない事なのさ、実際」
僕はもう一息だけ煙を吸い込んでから火を消した。
「蛇口を捻る。水が出てくる。コップに注いで飲む。…水の味がする」
彼女の顔が曇るのが見える。
「誰も水の味以外期待しないし、実際水以外の味がすることはない。それだけの事なんだよ」
それだけ言うと僕はダーツバーを後にして六畳間のボロアパートに帰り、また彼女と寝た。
 僕が起き上がりマールボロに火をつけると、彼女も誘われるようにしてセーラムに火をつけた。
少しだけ空いた窓の向こうから、風の音や草の音や汽笛の音や街が眠る音が聞こえた。
高架の上をトラックが通る音が鳴り、部屋が揺れた。そんな音を聞きながら僕らのいる六畳間の中
だけはただ静かだった。
「またそんな風にして抱くのね。水を飲むみたいに」、彼女がぽつりとそう言ったのが聞こえた。
見上げた天井ではトラックの振動で揺れた電燈のヒモがくるくると同じところを回っていた。
そんなことを、繰り返していた。
『水を飲むみたいに、当たり前のようにそこにいてくれないか?』
そんな言葉が浮かんできたが口には出さなかった。小洒落た口説き文句には程遠く思えた。
天井で回るヒモを見つめる僕の耳に彼女が服を着る衣擦れの音が聞こえてやがてドアを閉じる音が聞こえた。
ずっと見つめていたはずの電燈のヒモは、まるでずっとそうだったかの様に中空で静止していた。
やがて朝日が部屋に注ぎ込んで、鳥が鳴き始めた。
車や通学する子供や会社に向かう人々と町が動き出す音がヤケに喧しかった。
僕は冷蔵庫を開けて、飲みなれない缶ビールを飲み干して布団に潜り込んだ。
初めてタバコを吸った時と同じ味がした。

82 :
もう期間は終わってるけど
気が向いたので前回のワイ杯のお題で久々に
書いてみました。気負いなしで書いたのがいいか悪いか。
ワイさん暇なときに感想お願いします。

83 :
改めて見ると「同年代」も書いてない 
明記してないだけだ、お題クリアにはそれでかまわないのだという説にしたがってもよいのだが、
すると「冴えない中年男性」とこの幽霊が同年代なわけで、なんかイメージ落ちる(名前セセラギサララの中年女ですか的な)
落ちないようにしたければ男と昔なじみっぽいことを書くのがいいのかな やっぱり書きたりないことが多いんじゃないかなあ と。

84 :
>>80
そいつ今回も入ってたのか?

85 :
>>84
自薦じゃね?

86 :
>>85
単なる思い込みって可能性もある

87 :
>>86
そう言われると自信なくなってきた
大体順位出たら名乗りでるけど、そいつの場合名乗り出ない

88 :
中編長編の分量でないと上手いも下手もないわ

89 :
>>87
何かしらある判断基準に毎度適合するなら合っているのかもしれないし、
単に似ているだけかもしれない
どっちも可能性でしかない

90 :
上手い下手が出るのが掌編短編
面白い面白くないが分かれるのが中編長編

91 :
)中編長編というのは、たとえば何文字くらいからのものを言うのかな?

92 :
長さでうまいへたとか言っているバカは経験の少ないバカ。
数をこなせばみな同じだということがわかる。

93 :
>>87
だから今回ならどれよ?

94 :
長さは関係ないと言ってる馬鹿は経験のない馬鹿
たった一レスで本当の上手さが測れるか
長い作品ほど計算が必要だというのは直木賞作家の伊藤や辻も幾度となく言ってる
文豪の創作ノートを見たことないのかね

95 :
こんな所で文豪を引き合いに出して
ぐずぐず言ってるような奴に説得力があるとでも……

96 :
読み終わるのが早いから細かいところまで見えるのが掌・短編
長いとめんどいから読後感でしか見ないのが中・長編
読者側の立場としてみると納得だな! 長くてもちゃんと読み込めよ

97 :
>>93
4位と5位
読みやすいから好きだなと思ってたら入賞したし
名乗り出なかったから間違いないと思った
たぶん前回の1位と年末の2位も同じやつだと思う
でも>>89の言うとおり可能性でしかないし、
名乗り出ないっていうことはそいつは純粋に
ワイ杯を楽しんでるだけかもしれないから
これ以上ヤボなことを言うのはやめる
もし本人が見てたらすまん

98 :
言い方はともかく>>94の人は
長編の方が偉い・面白い・難しいとはいってねーからな。
上手さが見て取れるのが長編、計算が必要なのが長編って言ってるだけで。
そりゃすげー面白い短編とそこそこの長編なら>>94もスゲー面白い短編って
いうんじゃないかい?
俺はうまい奴は何書いてもうまいと思う。
村上さんは長編が本質、短編掌編は長編の息継ぎって言ってるけど
短いのもすごい好きだ。ホノルル・ベイとか。

99 :
>>97
毎回上位なんて話よりも、ここがおもしろかったって感想をちょっと細かく書く方が本人は喜ぶと思うぞ

100 :
あと、長編も自主開催って手もあるよね。
ワイ杯とは別に2レス上下とか3レス序破急の
ワイスレ住民賞みたいなの。
投稿で前後するだろうから、アンカーで自作品を括り付けて。
ワイさんに順位付けは強制できないが名前欄に作品名だけは
つけて、通常評価で点数つけてもらったり。頼めば参加作品の点数づけ
だけは参加作品内で比較して加味してくれるくらいはしてくれるんじゃないかな。
折角多少住民同士で顔見知り?のスレだしそのくらいのイベントはあってもワイさんも
怒らないだろ。言いだしっぺなのにやろうとはしないけどさ!


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