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真姫「いい天気ね」


1 :2019/12/05 〜 最終レス :2019/12/13
このssはSCP財団とのクロスssとなっています。
また、一部死ネタが含まれているため苦手な方はご注意ください。

2 :
SCP財団。
Secure(確保)、Contain(収容)、Protect(保護)の名を冠するこの組織は、世界中に存在する異常性を有したあらゆる存在の確保、収容、保護を目的とし活動している。
この異常性を有した存在は非常に数多く存在しており、人間の科学力や常識では到底説明できない性質を持つものばかりである。

3 :
──あらゆる生命体を憎む不死身の爬虫類
──現実そのものを歪め生き続ける死人
──全ての病気を癒すことができる薬
──座った人をアメリカのある地点へと射出する椅子
──目を離した瞬間恐るべき速度で対象を殺害する彫刻

4 :
このような社会にあってはならない異常な存在を隔離し、封じ込めるのが我ら財団の職務であり、義務である。

─────────────────────────────────────────

5 :
西木野総合病院。
都内某所に存在するこの病院は、地元では有名な大病院…ということになっている。
しかしその実態は、異常存在を収容・研究する財団日本支部のサイト-81■■である。
このサイトの管理者の娘である西木野真姫もまた、財団の研究員の一人として働いていた。

6 :
素晴らしいですね
支援します。

7 :
─────────────────────────────────────────
(T-90)■■/12/05
真姫「ふぅ…この報告書もこれでおしまいね。次の報告書はっと…」
この日はいつも通り自身が書いた報告書の整理をしていた。もうすぐ年末、書類整理は早めにしてないと後々面倒なことになる。
花陽「お疲れ様、真姫ちゃん。お茶淹れてきたよ」
真姫「ありがと、花陽」

8 :
真姫の友人である小泉花陽と、今はこの場にはいないが星空凛も、真姫と同じくこのサイトで働いている。
真姫の実家の真実を知られてしまったきっかけは、自宅にあったある報告書を見られてしまったからなのだが…まさか一緒に働きたいと言い出すとは思わなかった。
一人でこんな危険な仕事をさせてくなかったらしい。……正直に言うと結構嬉しかった。
花陽はともかく凛が合格できるほど財団の採用試験は甘くはないのだが、真姫の父親のコネもあり無事花陽は研究員として、凛はエージェントとしてこのサイトに就職することができた。

9 :
真姫はミーム汚染(簡単に言うと一種の洗脳のようなもの)に関わる研究を、花陽はオブジェクトの異常性を利用する研究…特にいかにおいしいお米を作るかという研究を主にしている。
…地味に花陽の研究が着々と成果を上げているのが恐るべきことだと思わなくもないのだが。

10 :
真姫「それにしても…このご時世になってまで報告書を紙で纏める必要性はあるのかしら?」

一息つきながら机の上に広げられた紙束に目を向ける。これが全部パソコンで処理できていればどれだけ楽になったか。

花陽「日本じゃまだ紙の書類は現役だからしょうがないよね…本部の方だとほとんどデータ化されてるみたいだけど」
真姫「面倒ね…」

指を髪に絡めながらため息をつく。自分がサイト管理者を引き継いだら紙の書類の使用を禁止してやろうか、などと考えていたら、

11 :
──ドタドタドタ
廊下から誰かが走ってくる音が聞こえてきた。凛かな?と思いながら入口の方を向くと、

凛「真姫ちゃん真姫ちゃんまきちゃーーん!!」

やっぱり凛だった。何年たってもあの元気さは相変わらずだ。

12 :
真姫「どうしたの凛、なにかあった?」
凛「えっとね、真姫ちゃん宛てに書類が届いてたからもってきたにゃ!たぶん機動部隊の人達からだと思うけど」
真姫「本当?ありがとう」

凛から封筒を受け取る。差出人は真姫が管轄している機動部隊の隊長だった。さっそく中身を確認してみると…

13 :
一年生三人とも職員とは
音ノ木坂は安泰です

14 :
──────────────────────────────────────

報告書

関東地方でのメディア定期監視にて、千葉県船橋市から発信されているAMラジオ放送”フィフティ・デイズ”から、以下の内容の情報が発信されたことを検知しました。
我々はこれが新たなミーム感染の原因になりえるのではないかと懸念したため、西木野博士による調査を要請します。



「世界は来年の3月5日に滅びを迎える。この滅びを迎える前に自ら命を絶った方が安らかな死が得られるだろう」

──────────────────────────────────────

15 :
凛「これって…」
真姫「…ありきたりな終末論ね。放っておきましょ」
花陽「いいの真姫ちゃん?。この”フィフティ・デイズ”って番組たしか第五協会と関わってるって聞いたことあるけど…」

16 :
第五協会……財団が指定する要注意団体の一つであり、いくつかのSCPオブジェクトの生成にも関わっている。
「5」という数字を神聖視しているらしいが、実態の多くは謎に包まれたままだ。
この放送も、第五協会が生み出したオブジェクトが絡んでいるのではないかと花陽は危惧しているみたいだが…

17 :
真姫「本気でその第五協会の連中が世界崩壊を目論んでるなら、なんでわざわざ日本の一都市に過ぎないあの町でしか放送しなかったのよ。日本中に流すのならともかく。それに肝心の内容もなんか回りくどいし」
凛「てことは本当にただの終末論っぽいなにかってことでいいのかな?」
真姫「でしょうね。大方どこぞの新興宗教のプロパガンダか何かでしょう」
花陽「本当にそうならいいんだけど…」

18 :
この件についての話はここで終わりとなった。……この日は。

──────────────────────────────────────

19 :
今日はここまでです
続きは早ければ明日の夕方ごろ書きます
ちなみに地名が船橋なのは特に深い意味はありません

20 :
お疲れ様です
続きを楽しみにしていますよ

21 :
S

22 :
C

23 :
P

24 :


25 :


26 :
すいません完全に保守するの忘れてましたありがとうございます

27 :
期待

28 :
今から今日の分更新していこうと思います

29 :
(T-70)■■/12/25
―今朝のニュースをお送りします。昨日夕方5時頃、千葉県船橋市の民家で男女合わせて17人の遺体が発け―ピッ

―遺体の状態から死因は自殺と判断され―ピッ

―が発見された部屋には複数の宗教的な道具や儀式の跡―ピッ

―専門家は何らかの儀式が行われていた可能せーピッ

ー非常に痛ましい事け―ピッ

──────────────────────────────────────

30 :
おかしい。
明らかに何かがおかしい。

凛「どうしたの真姫ちゃん?さっきからしかめっ面しながらテレビのチャンネル変えてるけど…」

時刻は朝7時。
サイト内の食堂で3人で朝食を食べていたのだが、さっきから真姫がテレビのチャンネルを変えまくっている。

真姫「どのチャンネルにしても同じニュースしか流れてないのよ。変だと思わない?」
花陽「集団自殺のことだよね…あれだけ大勢の人が亡くなったら色んなところでニュースになると思うけど…」
凛「そうにゃそうにゃー」
真姫「確かに私もそう思うけど…」

真姫がチャンネルを変える

真姫「日本のメディアだけならともかく、海外メディアまで取り上げてるのはいくらなんでもおかしいと思わない?」

31 :
どういう仕組みかよくわからないがサイト内にあるテレビは海外のテレビ番組も受信できる。
真姫がチャンネルを変え映し出した海外の報道番組でも、先ほどの事件が大きく取り上げられていた。
この番組だけではない。他にも多くの国際的なメディアがこの事件について報道している。

真姫「こういう風に言いたくはないけれど…日本の民家で17人自殺しただけなのよ?こんな世界的大事件みたいな感じに報道されるのは変よ」

おかしい点はもう1つある、と真姫は付け加える。

真姫「今回自殺した人達、明らかに何かの宗教儀式してた感じだったじゃない。そんな怪しい人達の集団自殺なんてこんな大々的に報道すると思う?」
凛「言われてみれば確かにちょっと変にゃ」
花陽「普通あんまり報道しないよね、そういう事件って」
真姫「でしょ?ほら、やっぱり変なのよ」
花陽「でもどうしてだろう?何か理由でもあるのかな…」
真姫「そこまでは流石にまだ分からないわ。ただ…」

真姫には1つの懸念があった。

32 :
彼らの死因。自殺。
数週間前、凛から受け取った報告書の内容は何であったか。

真姫「…ただの偶然ならいいんだけど」
凛「?」
──────────────────────────────────────

33 :
T-67)■■/12/28

おかしい。
いや、はっきり言ってこれは異常だ。
世界中のメディアがあの事件を”クリスマス・イブの惨事”と掲げて大々的に報道している。
たかだか数十人自殺しただけのあの事件を、だ。

いったい今、世界で何が起こっている?

──────────────────────────────────────

34 :
三人は真姫のオフィスであの事件について話し合っていた。
といっても情報が少なすぎるためあまり進展はしていなかったが。

真姫「…ねぇ凛、この前の報告書を送ってきた機動部隊に連絡してもらえるかしら」
凛「にゃ?この前ってことはよくわからなかった終末論の?何で今更…」
花陽「もしかして、この事件と関係してるの…?」
真姫「まだ分からないわ。ただ、可能性が少しでもあるなら潰していくべきよ」

例の放送とこの事件の共通点は自殺と船橋市で起こった点のみだ。
正直この二つが関係してるとは考えにくい。
だがもし、もしも本当にあの終末論が元凶でその影響が世界中に広まりつつあるというのなら…

世界はどうなってしまうのだろうか。

──────────────────────────────────────

35 :
短いですが今日はここまでです
続きは明日、早ければ深夜に上がるかもしれません

36 :
保守

37 :
果てさて
X DAYに向けて彼女らはどう動くのか……

38 :
今日の分更新していこうと思います
酒飲みながら徹夜で書いた文なんで変なところあるかもしれませんが許して

39 :
(T-66)■■/12/29

────

アンダーソン・クーパー: それで、その予言というのはどの程度信用できるものなんです?

ケリーアン・コンウェイ: ホワイトハウスとしては、これは非常に信頼性のあるものと考えています。信用できる情報源が複数、世界が3月5日に終わりを迎えるかもしれないと語っています。

ニール・ドグラース・タイソン: 全く以て馬鹿げていますな。人々が自殺に走ったのは悲しむべきことですが、何も起きてはいないのです。空には何もなく、地球上にも気候変動や核戦争から生き残らねばならないという我々自身の脅威以上の物は存在しません。
3月5日はそれこそ他の日と同じように進んでいくでしょう。これは2012年のいわゆるマヤの黙示録、或いは90年代に起こったヘヴンズ・ゲートの信者たちによる集団自殺のような事件でしかないのです。

40 :
カレラ大司教: 我々は最近、アステカ司祭の秘密結社が現代社会においてマヤの予言に取り組み続けていたという証拠を明らかにしました。
それらの予言は、終末を来年の3月5日に再計算したという事でした。我々はこれが聖ヨハネの予言と一致しているのではないかと感じているのです。

コンウェイ: そうです、教会も我々の情報ソースの一つでした。テノチティトラン亡命政府の特使も同様でして、貴方も今朝のTwitterでご覧になったように、大統領と連絡を取り合っています。

タイソン: “テノチティトラン亡命政府”などというものはありません、都市伝説です。

カレラ: タイソン博士、貴方はもっとこれらの物事に心を開かれるべきです。

クーパー: さて、お時間はここまでとなりましたが、私個人としては恐ろしいのを認めるのに吝かでないですな。

―ピッ

──────────────────────────────────────

41 :
CNNでの放送を皮切りに、世界中のメディアで終末論が囁かれるようになった。
3月5日に世界が滅びる、という終末論が。
ここまで来たらもう確信するしかなかった。

この騒動にあの放送が関わっているのは間違いない。

──────────────────────────────────────

42 :
真姫「この騒動とあの時の放送は関係がある、これはもう間違いないわ。あの放送に異常なミームがあったと考えるべきね」
花陽「予言の日まで同じだったから、もう疑いようがないよね」
真姫「今のところ広まってるのは終末論のところだけみたいだけど、自殺した方がいいって部分も広まる可能性が高いわ」
花陽「もう広まってるかもしれないけどね…」

例の放送が今起こっている異常の原因と考えるならば、広まると考えられるミームは2つある。
3月5日に世界が滅びるということと、その前に自殺した方がいい、ということだ。
前者は既に拡散されているが、後者がどうなっているのかはまだ分からない。
もし全世界に拡散されているとしたら大惨事になることは簡単に理解できる。

真姫「ただ、そう考えるといくつか疑問があるのよね」
凛「…どうやってミームが広まったか、だよね」

43 :
ミームの汚染経路にはいくつか種類がある。
ミーム汚染の原因となる物品に接触する、ミーム汚染の影響を受けた人と接触する、などだ。
例の放送があの日あの地域でしかされていなかったことは機動部隊によって確認済みだ。
しかし、遠く離れた海外にまでミームの影響が広まっている。
その上、インターネット上にある終末論に関わる情報が、このミームに関係ありそうなものがここ数週間で一気に増加してるのが確認できた。
以上のことを考えると、このミームの感染経路は…

44 :
真姫「…この終末論ついてメディアや口伝えで聞いたりするだけで感染するしうるって考えるべきね」
花陽「ッ!それって…」
凛「凛たちも感染してるかもってこと!?」
真姫「…そうなるわね」

これがその手のミーム汚染の厄介な点である。
対策を打つために情報を集めただけでミーム汚染の影響を受けてしまう。
ミーム汚染による影響は基本的に自覚症状が現れないため、気づかないまま取り返しがつかないことに…なんてことは財団ではよくある話だ。

凛「てことは凛…自殺しちゃうの…?うそ…そんなの…」
花陽「だ、大丈夫だよ凛ちゃん!凛ちゃんは自殺なんかしないよ!」

花陽は一瞬で青ざめてしまった凛を何とかなだめようとする。
凛がこうなってしまうのも無理もない。自分がいきなり自Rる洗脳にかかってると聞かされたらショックを受けるのが普通だ。

45 :
真姫「落ち着いて2人とも。私達みたいな財団職員はみんな抗ミーム剤をを処方してるからそう簡単にミームの影響は受けないわ。自殺したくないって思ってるのがいい証拠でしょ?」
凛「そ、それなら安心…かにゃ…?」
真姫「それに、もしミームの情報を受け取っただけで100%感染するなら今頃世界中で自殺者があふれかえってるわよ。感染率は100%じゃないか、ある程度潜伏期間があると考えるべきね」

それよりも、と強引に話題を変える。この話を続けるのは精神的に良くはなさそうだ。

真姫「もう1つの疑問は、どうしてあの集団自殺の事件をいろんなメディアが報道したのかってことよ」

一連の異常性を知るきっかけになったのは例の集団自殺の報道だ。
しかし、内容そのものは自殺事件を悲観的に報道しているだけであり、終末論について、ましてや自殺した方がいいなんて内容は含まれていなかった。
被害者達がミームの影響を受けていた可能性はある。というより受けていたと考えた方が自然だ。
とすると、世界中のメディアがミーム汚染を受けた被害者を大々的に報道していたことになる。

46 :
花陽「…ミームの影響で自殺した人の情報を積極的に広めようとするミームも存在している…?」
真姫「おそらくそう。多分終末論の内容をより強固にするためにね」

指を髪に絡めながら、少しイラついた口調で真姫は続ける。

真姫「多くの人が自殺した、という情報が悲観的に伝わればそれだけ終末感が強くなる。そうなればミームの影響による自殺者が増える。そしてそのことがまた報道される…。こんな感じに負のスパイラルが完成する」
凛「ッ!それって、放っておくだけでどんどんミームが強くなって拡散してくってこと!?」
花陽「そう、それがこのミームの恐ろしいところだよ。これが人為的に作られたものなら、作った人はかなり頭が切れる人だね…」
真姫「性格が悪いともいえるわね」

ミームの内容を聞いただけで影響を受けるほどの高い感染力に、放っておくだけで勝手にミームの効果が強くなっていく一連のシステム。
はっきり言って今まで見てきたミーム汚染の中でも最悪だ。
元凶となった放送が船橋からしか流されなかった理由が今となっては理解できる。
ある程度の数の人間に感染させさえすれば、あとは勝手に既存のメディアが拡散してくれるからだ。

47 :
もっと早く気付くべきだったか。それとも大きな被害が出る前に気付けたととらえるべきか。
少なくとも報告書を受け取った時点で気付いていれば今のような事態にはなっていなかっただろう。
しかし、現実ではそうはならなかった。そんなifの話を考えてる暇があったら早急に対策を練るべきだ。

真姫「パパに頼んで対策チームを立ち上げるわ。凛、使えそうな機動部隊に声をかけてもらえるかしら。出来るだけ多く、ね」
凛「分かったにゃ!色んな人に頼んでみるね」
真姫「花陽は…財団のデータベースにあるあらゆる情報を使って3月5日にKクラスシナリオが起きる可能性…世界が崩壊する可能性を計算しといてもらえるかしら」
花陽「分かったよ、真姫ちゃん。でもどうして…?」
真姫「…念のためよ」

──────────────────────────────────────

48 :
(T-65)■■/12/30

―本日のニュースをお送りします。
―インドのカリャンコットで、大規模な集団自殺が発生しました。
―被害者の規模は300人以上にのぼると見られています。
―集団自殺が発生した場所には「われらに救いを」「滅びよりも安らかな死を」といったメッセージが大量に残されていました。
―世界中で広まっている終末論の影響を受けていたのではないかと専門家は推察しています。

──────────────────────────────────────

49 :
(T-62)■■/01/02

対策チームの設立を急いでいたら、いつの間にか年をまたいでいた。
こういった研究職に身を置いているとどうしてもこういうのに疎くなってしまうのが困り者だ。
真姫は発足した対策チームの主任研究員に任命された。今回の異常性の第一発見者であり、発生元である場所に一番近いサイトに勤務しているからだそうだ。
…実のところ真姫の父親の力によるものが大きいのだが、真姫はその事実を知らない。

真姫「確保できた機動部隊は3つね」
凛「ごめんね真姫ちゃん…ほんとはもっと呼べたらよかったんだけど…」
真姫「いいえ、これだけいれば十分だわ。ありがとう、凛」

凛の頭をやさしく撫でる。

凛「ほんと?えへへ…」

少し照れ臭そうに凛は微笑む。こういうところは本当に可愛らしい。

50 :
花陽「それで…その機動部隊はどんな任務に就かせるの?」
真姫「1つはミームに感染した人達の特定、残りの部隊はその人達の確保ってところかしらね」

真姫達が対策チームを発足している間に、また大規模な集団自殺が発生してしまった。
最初はインドで、300人以上が。
その後も17カ国で2600人以上の自殺者が発生している。
このまま放っておけば取り返しのつかないところまで行ってしまうだろう。そのためにも、感染した人達の隔離は必要なことだ。

凛「その確保された人達ってどうなるの?」
真姫「記憶処理によってミームが取り除ければそのまま開放するつもりよ」

あえてそうでなかった場合のことを言わなかった。世界には知らなくていいことがたくさんある。
財団は残酷ではないが冷酷なのだ。

51 :
真姫「ところで花陽、例の計算、結果はもう出たかしら?」
花陽「あ、この前のKクラスシナリオのやつだよね。ちょっと待ってて…」

花陽は自分のカバンから書類の束を取り出す。

花陽「途中の計算は量が多いから結果だけ言っちゃうと…0.015%だったよ」

完全に0%でないあたり財団が管理しているオブジェクトの危険性を再確認する。
だが、巷で騒ぎになっているような終末が来ることは有り得ないといっていいだろう。
よってすべきことは1つ。
これ以上のミームの拡散を食い止める。

真姫「このまま何事もなく収束すればいいんだけれど…」

──────────────────────────────────────

52 :
今日はここまで
続きはまた明日

53 :
今日の更新は9時か10時くらいになりそうです

54 :
遅くなりましたが更新していこうと思います

55 :
(T-61)■■/01/03
この日、このミーム汚染に関わる報告書が完成した。

──────────────────────────────────────

56 :
報告書

アイテム番号:SCP-3519

オブジェクトクラス:Keter

特別収容プロトコル:
機動部隊プサイ-10(“マズローの動機付け”)に、SCP-3519に感染した人口の特定任務が割り当てられます。
特定された人口は機動部隊イータ-10(“シー・ノー・イーヴル”)および機動部隊イータ-11(“獰猛な獣たち”)によって確保されます。
前記3つの機動部隊の全てにSCP-3519媒介メディアの確保・抑制任務が割り当てられます。

57 :
説明:
SCP-3519は印刷物・視覚メディア・聴覚メディアにおける複数の媒介物によって拡散するミーム感染です。
このミーム感染は、2019年3月5日に世界の終わりが来るということ、そしてその事象が発生する前に自Rるのが望ましいということへの強い確信から成っています。

SCP-3519は、差し迫った終末に関する信念を報じているのであれば、メディアと口伝えのどちらによっても伝達されます。
感染は、証拠が欠如しているにも拘らず、当該ミームが積極的に受け入れられることを特徴としています。
予測される出来事の具体的詳細は幅広く分かれており、宗教における救世主的な人物の出現、破壊的結果を及ぼす天文学的事象、自然環境の壊滅、技術的特異点、現実不全イベントなどの発生に対する信念が挙げられています。

58 :
特筆すべきことに、これらの出来事はどれ一つとして問題の日時に予想されるKクラスシナリオと関連しておらず、当日のKクラス発生可能性についての財団の評価はSCP-3519の報告後も0.015%という僅かな数値です。

初期感染に続き、影響者たちは恍惚として天啓を受けたと主張する、千年王国説を信じ始める、自殺念慮を見せるといった傾向を示し始めます。
影響者が感染した様々なSCP-3519信念の文脈上では、超越のための前提条件、もしくは終末事象を乗り切るために好ましい手段として自己安楽死が合理化されます。

──────────────────────────────────────

59 :
真姫「取り敢えずこれで一区切りついたってとこかしらね」

対策チームの設立から報告書の作成までぶっ続けで仕事してきた。
収容プロトコルさえ確立してしまえばあとは機動部隊が何とかしてくれる…はずだ。
元凶となった放送をした団体の特定や、ミームそのものへの対抗策の考案など、やらねばいけないことはまだたくさんあるが、ひとまずは小休止といったところか。

花陽「…みんな大丈夫かな…」

μ’sのみんなとは音ノ木坂を卒業しても定期的に連絡を取り合っていた。
ここ数週間は仕事で忙しかったため花陽と凛以外とは誰とも話してなかったが、一度みんなの安否確認をした方がいいだろう。
何かあったらあったで連絡が来るはずなので、無事ではあると思うのだが。
まずは穂乃果と連絡を取ってみようか。

──────────────────────────────────────

60 :
maki:久しぶり穂乃果

maki:元気にしてた?

ほのか:まきちゃんだー!

ほのか:久しぶり!

ほのか:あけましておめでとう!

maki:あけましておめでとう

ほのか:穂乃果は元気だよー

ほのか:まきちゃんこそ元気だった?

maki:私も元気よ

maki:最近仕事で忙しかったけど

ほのか:たいへんだねー

maki:ほかのみんなは?

ほのか:海未ちゃんとことりちゃんはおととい挨拶に来てくれたよ

ほのか:初詣に行ったときに希ちゃんにも会った

ほのか:3人とも元気そうだったよ

maki:絵里とにこちゃんは?

ほのか:直接は会ってないけど

ほのか:ラインで話したときはいつもの感じだったよ

maki:そう

maki:なら良かったわ

61 :
maki:ねぇ穂乃果

maki:例の終末論って信じる?

ほのか:3月5日に世界が滅びるってやつだよね

ほのか:ほのかはちょっと信じられないかな

maki:そうね

maki:私もそう思うわ

ほのか:でもびっくりするよね

ほのか:いきなり世界が終わっちゃうなんてさ

ほのか:でも

ほのか:もしも本当なら

maki:大丈夫よ

maki:そんなことは絶対起こらない

maki:だから穂乃果達にはいつも通り生活してほしい

ほのか:わかった

ほのか:まきちゃんもお仕事がんばってね!

maki:ありがとう

──────────────────────────────────────

62 :
μ’sのみんなの安否確認はできた。SCP-3519の影響もまだ受けてないようで安心した。
みんなに影響が出始める前に早く事態を収束させなければ。

──────────────────────────────────────

63 :
(T-53)■■/01/11

財団が本格的にSCP-3519への対策に乗り出してから、一週間が経過した。
この一週間でかなりの数の感染者を確保してきた。
しかし、それ以上の数の自殺者が出ているのも事実だった。
…正直SCP-3519の感染力を甘く見ていた。
いくら感染者を隔離してもそれを上回る勢いで新たな感染者が増えている。
特別収容プロトコルを見直すべきか。

花陽「真姫ちゃん、ちょっといいかな」

花陽がオフィスに入ってきた。何かの書類を持ってきてくれたようだ。

花陽「これ、ちょっと見てほしいんだけど…」

渡された書類に目を通す。
内容は機動部隊イータ-10の日報だった。

─────────────────────────────────────

64 :
01/03
今日は■■■■人の人間を確保した。
終末論者を収容する任務なんて馬鹿げた任務だ。
まったく、世界が滅ぶわけなんかないというのに。

65 :
01/04
今日は■■■■人の人間を確保した。
連中が唱えている終末論にもいろいろ種類があるらしい。
ノストラダムスが復活するというのを聞いたときは流石に笑ってしまったが。

66 :
01/05
今日は■■■■人の人間を確保した。
なんで連中は3月5日を乗り切ろうとするんじゃなく自殺という手段をとるのだろう。
立ち向かうよりも逃げた方が楽なのか?

67 :
01/06
今日は■■■■■人の人間を確保した
同じチームのやつらともし世界が滅ぶならどんな終わり方をするのか話し合ってみた
トカゲやアベルやらが収容違反すると言ってたやつもいたが、甘いな
俺は隕石の落下だと思う。それもとびきりデカいやつ
これこそ世界の終わりにふさわしい
まあ、ただの妄想に過ぎないがな。

68 :
01/07
今日は■■■■■人の人間を確保した。
仮に隕石が衝突してくると分かったら財団はどう動くのだろう。
破壊できそうならそうすると思うがそうでなかったら…
暴動が起きないように市民に記憶処理したりしてな。

69 :
01/08
今日は■■■■■人の人間を確保した。
もしかしたら俺が考えた通りのことが起きてるのかもしれない。
財団が裏で何考えてるのかなんて分からないからな。

70 :
01/09
今日は■■■■■人の人間を確保した。

71 :
01/10
今日は■■■■■■人の人間を確保した。
案外楽にRる方法って結構あるんだな。

─────────────────────────────────────

72 :
真姫「……」

間違いない。完全にSCP-3519に感染している。
日報を書いた隊員だけが感染しているとは考えにくい。
下手すれば部隊の大半が既に感染している可能性もある。

真姫「…調査隊を派遣して感染者を除隊、隔離させて」
花陽「わ、分かった…」

機動部隊の隊員達にも対ミーム用の処置は一応施していた。
こうなることはある程度は想定はしていたが、早すぎる。
本格的にミームそのものへの対抗策を練る必要が出てきた。

─────────────────────────────────────

73 :
(T-49)■■/01/15

任務にあたっていた全機動部隊のミーム感染のチェックが終わった。
幸いなことにSCP-3519の影響を受けていた隊員はごく少数に留まっていた。
これならまだ作戦を続けられる。そう考えていたが、

真姫「…ん?何かしら」

一通のメールが届いた。
機動部隊イータ-11の司令官からだった。

74 :
─────────────────────────────────────
報告書

我々機動部隊イータ-11並びに機動部隊イータ-10、機動部隊プサイ-10は、SCP-3519の感染者の確保と媒介メディアの監視・抑制を実行してきました。
しかしながら、SCP-3519の感染速度は我々の想像以上に速く、感染者の確保やメディアへの情報操作よる減衰効果が全く見られないのが現状です。
よって我々はSCP-3519の感染の検疫が完全に失敗に終わった、と判断しました。
早急にSCP-3519に対する新たな特別収容プロトコルを考案することを提言します。

─────────────────────────────────────

75 :
真姫「……」

任務に失敗した、そう書かれていた。
正直なところ予想はついていた。
財団がいくら情報操作を行っても、メディアが終末論について話すことはなくならず、
財団がいくら感染者を収容しても、自殺者は増加し続けた。
SCP-3519の感染を食い止める、という試みは失敗に終わった。
残る対抗手段は、感染による影響を打ち消すことのみ。

76 :
真姫「凛。この前頼んでいた研究部隊って用意できてる?」
凛「うん、いつでも準備オーケーだよ」
真姫「じゃあ、今すぐ呼び集めてくれるかしら」

SCP-3519によるミーム汚染は、財団の記憶処理によって取り除くことはできなかった。
よって、対抗策は1から作るしかない。
感染者の確保と情報操作だけで事態を収束できると判断していたため、研究チームは今の今まで編成されていなかった。
真姫の独断で用意だけはしていたが。
SCP-3519の発見の時といい、今回は後手に回ることが多い。

真姫「…早くなんとかしないと」

自殺者の増加は止めることができず、

3月5日は刻一刻と近づいている。

─────────────────────────────────────

77 :
今日はここまで
続きは早ければ明日あげます

78 :
taleっぽい仕様で面白いです。

79 :
すいません更新は明日以降になりそうです

80 :
更新は10時くらいになりそうです

81 :
待ってますよ。

82 :
すいません遅くなりました今から更新していきます

83 :
(T-47)■■/01/17

先日の一件を受けて、SCP-3519の収容プロトコルが改訂された。

84 :
─────────────────────────────────────

特別収容プロトコル:

機動部隊プサイ-10(“マズローの動機付け”)に、SCP-3519感染の拡散マッピング任務が割り当てられます。
機動部隊ウプシロン-4(“糖衣錠”)は、最重要緊急案件として対抗ミーム治療の開発に取り組みます。
対抗策が開発された場合は即時配備し、以下の優先順位で配布を行います。

1:機動部隊ウプシロン-4の隊員
2:重要ミーム学部門の職員
3:O5評議会
4:世界オカルト連合
5:世界保健機関(WHO)
6:残りの重要な財団職員
7:一般人口

─────────────────────────────────────

85 :
真姫「世界オカルト連合、ね」
改定された報告書を眺める。
世界オカルト連合。
国連の下部組織の一つであるが、異常存在の保護を目的とする財団とは異なり、異常存在の破壊を目的とする組織である、
その意見の食い違いから度々財団と衝突してきた、要注意団体の一つだ。
では何故財団の敵ともいえる組織が対抗ミーム治療の優先順位内にいるのか。
答えは単純。
財団はSCP-3519の収容を諦めた。
安全な収容に躍起になり、これ以上の感染を広めるよりは完全に破壊した方がいいという結論に至ったのだ。
この案を提言し、決定させたのも真姫によるものだが、敵対してる組織側に足並みをそろえて協力するというのはあまり気分がいいものではない。

86 :
真姫「ま、そんなこと言ってる暇はないわね」
機動部隊による感染者の確保が打ち切りになった以上、これまで以上の速度で感染が広がる可能性がある。
つまらない組織間の確執に囚われている場合ではない。
SCP-3519の無力化が最優先だ。
そのためにも、対抗ミーム治療の開発を急がなくては。
─────────────────────────────────────

87 :
(T-45)■■/01/19

機動部隊プサイ-10から1つの報告が届いた。
内容には、心当たりがあった。

自殺者の数が、世界人口の1%を超えた。

88 :
真姫「……」

1%。数にして、7000万人以上。
最初の自殺者が出てからたった一ヶ月でそれだけの数の人が、死んだ。
WHOも調査していたのか国連からも同様の発表があり、メディアもそれを取り上げていた。
しかし、誰もこれを危機的状況であると認識していなかった。

89 :
―ある評論家は言っていた。世界に終わりが近づいていると。
―ある宗教家は言っていた。彼らは救済されたと。
―ある政治家は言っていた。皆も早く彼らに続くべきだと。

明らかに世界が狂っていた。

90 :
凛「穂乃果ちゃん達大丈夫だよね…」
花陽「連絡…つかなくなっちゃったね」

機動部隊が検疫に失敗した辺りから、μ’sのメンバーとは連絡をとろうとしていた。。
しかし、一向に誰からも返事が来ない。
何かあったと考えるのが普通だが、

91 :
真姫「大丈夫よ。みんな簡単に自Rるような人間じゃないってことは2人も知ってるでしょ」

2人に、そして自分自身にもそう言い聞かせる。

凛「でも…」
真姫「本当にみんなを心配するなら治療方法をどうにかする方が先でしょ?」
花陽「…そうだよね、肝心の直す方法がなかったら意味ないもんね」

今すぐにでも直接会いに行って無事を確かめたいのは確かだが、会いに行ったところでどうすることもできないのもまた事実。
本当にみんなのことを心配に思うのなら、みんなを信じ、一刻も早く治療法を確立するべきだ。
時間は、あまり残されていないのだから。

─────────────────────────────────────

92 :
短いですが今日はここまでです
今週中に何とか完結させたいです

93 :
すいません更新は明日になりそうです

94 :
保守

95 :
遅くなりましたが更新していきます

96 :
(T-36)■■/01/28

テレビは相も変わらず終末論の話ばかりしている。
しかし、その内容が最近変化しつつあった。

宗教色が強くなっているのだ。

例を挙げると、3月5日の世界の滅亡は悪魔の復活によるものであり、その前に自Rれば天国に行くことができる、といった感じだ。
こんな風に世界の滅亡と自殺に対する考えがそれぞれの宗教の影響を強く受け始めている。

真姫「ま、だからどうしたって話になるんだけど」

ミームの内容がどう変化しようと、人々が世界の滅亡を信じ、自殺に走ることには変わりはない。

だが、宗教が与える影響は想像以上に大きいということを、のちに思い知ることになる。

─────────────────────────────────────

97 :
(T-35)■■/01/29

真姫「…ッ完成した!」

機動部隊ウプシロン-4から対抗ミーム治療のプロトタイプの完成が報告された。
プロトタイプということもあり効果は気休め程度でしかないらしいが、それでも完成へと一歩進んだのは間違いない。

真姫「これを早くみんなに…」

この治療法を早くμ’sのみんなに施したいところだが、治療の優先順位は収容プロトコルに従うためだいぶ後になってしまう。
処罰を受ける覚悟で隠れて先にみんなに治療することもできなくはないが…

肝心のみんなとの連絡はまだつかない。

─────────────────────────────────────

98 :
(T-34)■■/01/30

世界オカルト連合のエージェントからある報告が届いた。
内容は、想像を絶するものだった。

─────────────────────────────────────

99 :
ローマ教皇フランシスコ氏にSCP-3519の感染の疑いあり。
信徒に対してSCP-3519関連の自殺を容認する教皇特免を発布しようとしたため、現地のエージェントが教皇を拘留、監視している。

─────────────────────────────────────

100 :
真姫「噓でしょ…そんなことしたら…」
凛「そんなにまずいことなの?ローマ教皇は偉い人なのは知ってるけど…」
花陽「凛ちゃん、キリスト教ではね自殺は悪、認められないものとして扱われてるんだよ。それがもし一番偉い人から許可なんか出されたら…」
真姫「すんでのところで思いとどまってた人達が自殺に走る可能性がある」
凛「!」

それがすべてだった。
もしそのまま教皇によって自殺を許す特免なんか発布されていれば、ただでさえ凄まじい速度で増加していた自殺者の数がさらに増加していたことだろう。
真姫をはじめとする財団職員はそっち方向にはほぼノーマークだったため、向こうのエージェントがいなっかったら止められなかった可能性が高い。


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