一人暮らしin小さな幸せ
(´-`)｡oO(文法違いですが自己板…in小さな幸せ)
(´-`)｡oO(なうさん麗羅さん踏襲…in…何だろう)
(´-`)｡oO(狐鯖運営博之★奉仕人…感謝何だろう)
(´-`)｡oO(電網空間電話散歩道草…何でだろう…)
(´-`)｡oO(籠城も同情ﾅﾝﾁｬｯﾃ…in小さな幸せ)
相変わらず
顔小さいね
ﾋﾞｮﾙﾝｱﾝﾄﾞﾚｾﾝ
hyde
素晴らしいです
なぅさんも 病院で見てるかな
指のリハビリ どうかな
退院しても
残念だね
薄絵なのは心が強いからかな
私は濃画だと感じた
今は、皮膚に隠された毛細血管の様に、雪に覆われている。動物の痕跡、臭気、そして生命すらも
雪に揉み消されてしまいそうである。山の麓の源流に、冬眠中の亀の如く、手首以外は微動だにせず、
川岸に腹這いになり、川底の砂を凝視している者がいる。基礎代謝が高い為、背中に雪は積らない。
手首から先を器用に操り、光る砂を指で掬い、脇に置いたｽｷｯﾄﾙに光る砂を丁寧に入れる。その動作を
4時間繰り返す。その男の暇潰しの砂金採取である。 気温-15度。501とTｼｬﾂの上に革のﾌﾞﾙｿﾞﾝを
羽織っているだけの軽装だが、採取に没頭しているからか、寒さを感じてない様だ。腹這の姿勢から
仰向けになり、立ち上がるが、雪の上に転がっていたので、衣類は洗濯直後みたいに綺麗だ
水分を満遍なく吸い込んだ衣類は、基礎代謝を上げ、数分で乾燥させる。源流を背に、林道へ向かう
衣類からは蒸気が軽やかに立ち上り、舞い降りた雪を溶かす。腰に巻いたﾌﾞﾙｿﾞﾝを解き水滴を払い
着用し、RH250改のﾁｮｰｸを引く。足首まで雪が降り積もった林道を、押し駆けしながら飛び乗る、
と同時にｸﾗｯﾁﾚﾊﾞｰを離し、野獣の様な甲高い咆哮を吐き散らせ山を下る、獣の感覚を研ぎ澄ます為
前後ﾀｲﾔ空気圧は敢えて高めにしてあり、轍と雪にﾊﾝﾄﾞﾙを取られ転倒しそうになるが足首で修正する
追い立てられている雰囲気を演じて加速させる。獣を操るのを、寧ろ楽しんでいるのだ。
休日だが、身を引き締める為に体を自然に晒す。次の仕事をｽﾏｰﾄに請け負える、訓練も兼ねての
山行を終え、ｶﾞﾚｰｼﾞに向かう、17時には着くだろう。今回は昼駆けなので保安部品は搭載済みだが
幹線道路の監視ｼｽﾃﾑを避け走る。途中、八百屋と肉屋に立ち寄り、糧を積載し、ｶﾞﾚｰｼﾞ手前
50mでｸﾗｯﾁを握り惰性走行させ、静に自宅兼用ｶﾞﾚｰｼﾞに乗り入れ、ｸﾗｯﾁを離しｴﾝｽﾄさせる。
住宅街から少し外れた住まいだが、出来る限り、目立たない様に活動している。RHを降り、
ｶﾞﾚｰｼﾞのｼｬｯﾀｰを上げる、可動部に工業用ｸﾞﾘｰｽを塗りたくってあるので、30dB程。耳障りではない
山に向かう前にｶﾞﾚｰｼﾞ脇に置いていた硬貨を拾い、ｼｬｯﾀｰを下げ閉じる。留守中の不審者の有無を
確認する手段である。尤も、ｱﾅﾛｸﾞ罠なので、不審者がﾌﾟﾛならばﾌﾞｰﾋﾞｰﾄﾗｯﾌﾟとしての用を足さない。
惰性走行中にｱｸｾﾙを煽り、軽くｳｨﾘｰさせ、ﾊﾝﾄﾞﾙを左右に振り、RHの前垢を落とし、着地させ、
矢継ぎ早にﾌﾛﾝﾄﾌﾞﾚｰｷを引き、ｼﾞｬｯｸﾅｲﾌで、
ﾘｱの垢を景気よく落とす。 仕上げに大袈裟なﾘｰﾝｲﾝ･ｱｳﾄで
人馬の埃を振り払う。文字にすると長いが
高々3秒の断捨離をしてあったのと、降雪でRHは洗濯の
必要はない。燃料ｺｯｸをoffにし、ｶﾞｿﾘﾝ携行缶からRHの燃料ﾀﾝｸに補給する。ｷｬﾌﾞを外し灯油缶に入れ
休暇とする
一気に喉に流す。全身の筋肉を解すが神経は鋭敏さを止めたままだ。積載していた糧を
ｶﾞﾚｰｼﾞ棚に置く、凍ったままだが良しとする。数日は最高気温5度未満だろう、外は雪が音を消し
幹線道路の賑かなﾉｲｽﾞが微かに聞き取れる程度だ、といっても、降雪で車両は少ない。勿論、人も。
身を適切にする為、入浴。湯温45度の浴槽内で石鹸を泡立て隈無く洗い上げ浴槽の栓を抜き仕上げに
泡と体臭を湯温50度の少し熱いｼｬﾜｰで削ぎ落とし、冷水ｼｬﾜｰで毛穴を引き締める、また、
ｼｬﾜｰの冷水により浴槽内に黴が繁殖しないﾒﾘｯﾄもある。浴了。 …着用していたｼﾞｰﾝｽﾞ、綿ｼｬﾂ
靴下を洗濯機に投げ込み、洗い済みのｶﾘｶﾘに乾燥させたｼﾞｰﾝｽﾞを穿く。寝室に移り、と言っても
ｶﾞﾚｰｼﾞ内だが、自作簡易ﾍﾞｯﾄﾞに横たわり、近い将来の不可避な闘争の、準備ﾌﾟﾛｯﾄを反芻し、暫し
休暇とする
ﾀﾚﾝﾄ司会者がﾘｽﾅｰからのmailを読み上げる。だが、ﾀﾚﾝﾄは解決案は元より、自身との癒着を、
ひけらかす言動迄する始末だ。mailも暴力団自身の売名投書、差詰ﾀﾚﾝﾄは暴力団員の愛人だろう。
毛布を剥ぎﾍﾞｯﾄﾞから抜け、窓を開ける。太陽の眩しさが待ち遠しいが、雪の眩しさも良いものだ…。
無表情を装うが、こめかみには梅干の様な皺が出る。ﾗｼﾞｵは天気と交通情報に変わっていた。
感情を圧し殺し、脈を正常に戻す。前回の仕事…依頼は速やかに遂行したが、南関東の暴力団、
通称、南団が銀座画廊renoirと、その画廊近くの喫茶re-noirの土地に食指を動かしているのだ
その為、画廊の社長、私は脳内でﾌｪﾘ娘と呼んでいるが、ﾌｪﾘ娘と画廊ｽﾀｯﾌに執拗な嫌がらせをしている
又、喫茶はﾌｪﾘ親が経営しているのだが、店に南団が出入りし、法に触れない程度の行為を働く、
喫茶ｽﾀｯﾌは、店内で卑猥な目付きで舐める様に視姦され、仕事が終り店を出た途端、数mだが
ｽﾄｰｶｰ紛いの事をされている。桜田商事の生安課に相談してはいるが、止む事はない。南団が
執心してる原因は、そのﾋﾞﾙを含めた土地を足掛かりにして、都心中枢部に進出を目論んでいるからだ
何故、その場所を選んだのか。切っ掛けは、亀であるが、何より駅前で幹線道路に沿い、
付近5km四方に対抗組織は零。勿論、風俗店も零である。南団は亀捜索の為に、付近を這う様に
探している内に、画廊と喫茶をﾀｰｹﾞｯﾄにしたのだ。それに当然、南団が調査しただろうが、
他の土地はﾊﾞｯｸに敵対組織が居るので手が出し辛いのも理由だろう。画廊喫茶関係者は憔悴。
慮るが、今は臍を噛み耐える。そして、救い出した亀は冬眠中だが、春には目覚めるだろうか
と、ぼんやり考え窓を閉める。感情と脈は正常値だ。無表情の仮面を覆い、準備をする。
経緯は鵠沼からﾏｲｱﾐ浜にかけての海岸沿い砂浜で、ﾌｪﾘ娘が迷い亀を拾うが、亀には秘密が隠されていた。
その生体を邦彦が摩り替えた。摩り替えた亀はｶﾞﾚｰｼﾞで冬眠中だ。残念だが名無し亀9匹が犠牲になった…。
ざっとこんな感じだ。そして、秘密は秘密のままだ。以前の住まいから離れ、邦彦は神奈川西部の
山裾に亀と越してきた、が亀とは今日で別れる。里子…里亀とでも言うのか、亀は新居に引越す。
身支度を終え、宅を出る。駅まで徒歩だ、用心して最寄り駅を避け、3駅先から乗車する、ﾗｼﾞｵでは
積雪の為、多少の遅延はあるものの、ほぼ定刻通り始発から運行との事、夜を徹しての作業か。
小一時間歩き、駅着。目立たない、灰色の革ﾌﾞﾙｿﾞﾝと、501の邦彦は周辺の景色と同化している
ﾚｲﾝｺｰﾄも着ていたが駅前ｱｰｹｰﾄﾞに入ったところで脱いだ、監視ｶﾒﾗの位置も把握してあるので、
写り込みそうになると、頭と鼻を掻く仕草をしてｶﾒﾗ避けをする。ﾏｽｸと眼鏡で変装すれば
いいのだが、前述の下着もそう、ｱﾚﾙｷﾞｰはないが皮膚との摩擦が苦手なのだ、出来る限り摩擦を消す
そして人との摩擦も…。ﾎｰﾑに上り始発電車着、ﾄﾞｱが閉まる寸前を見計らって乗車。到着直後に
乗らないのは、ﾎｰﾑは人が疎らで目立つ上に、下りﾎｰﾑのﾍﾞﾝﾁで寝たふりをしていたからだ。
右手にｶｯﾌﾟ酒を持つ演出もした。中の液体は飲まずに捨てた。左手には小型ｹｰｽで冬眠中の亀
小一時間揺られ、亀を届ける宅から3駅先のﾎｰﾑを慎重に降りる。滑って転んで大痛県は堪ったもんじゃない
亀が痛い思いをして遺体になったら尚更だ、等と下らない事を考え、上りﾎｰﾑを後にし配達先に向かう
この時間になると出歩く人もいるが、皆一様に足元に釘付けになり、傘を左右に振りながら
覚束無い足取りだ。ﾚｲﾝｺｰﾄ姿の邦彦には目もくれない。亀を里親宅のﾎﾟｰﾁに傅ように置き。去る。
この里親は亀専門店の掲示板の亀好きｺｰﾅｰで、亀飼いたいと書き込みをしていた。その書き込みを
ﾚﾌﾟﾄﾐﾝを買いに来た邦彦が見て、店を介して遣り取りしたのだ、勿論、邦彦は偽名で誠司と
名乗っていた。しかも里親は足が不自由なので、
こうして届けに来た。ﾚｲﾝｺｰﾄの帽子を目深に被り、指紋は潰してあるので、邦彦の痕跡は零
靴は2ｻｲｽﾞ大きめを履き、ﾀｵﾙを仕込んだ、足跡も誤魔化す用心だ、そして、降雪で追跡犬も
役に立たない。ｶﾞﾚｰｼﾞに着く迄は南団を警戒しているのだ。南関東の亀飼育関係者に網を
張っているから、邦彦は亀との接点を無にしなければならない。少し遠回りして帰る事とする
左手を見詰め、後顧の憂いはなくなったなと、ぼんやり浮かんだ。頭を依頼事に切り替える。
数日内に南団が銀座で本格的に動き出す事は間違いないだろう、界隈で悪事を繰り返していれば
他の暴力組織も嗅ぎ付ける、暴力団の悪銭に関する嗅覚は、税務署や桜田商事の比じゃない
否が応でも手中にする筈だ。当初、南団の懐柔策は金で解決、執拗く取引を持ち掛けたが、
先祖代々の土地を画廊喫茶が手放さなかった。次に喫茶ｽﾀｯﾌに、南団の愛人を潜り込ませ、
ﾌｪﾘ父を誘惑しようとしたが、ﾌｪﾘ母に見付かってしまった、その後も別の愛人を潜入させたが、
内部崩壊には至らなかったが、経営は右肩下がりになった。潜入ｽﾀｯﾌが料理に意図して、不純物混入、
客に熱い飲物を落とす等、数えきれない、内部からの妨害をしていれば、当然の帰結だ。卑劣。
ｶﾞﾚｰｼﾞから2つ先の駅を降り、銀座を思うと重い足取りになるが、積雪のせいにする。神経を鋭敏にし、
視線だけを立体的に動かすが、敵はいない様だ。宅に近付くにつれ、路上に真新しい足跡が無くなる
玄関脇のﾎﾟｰﾁに置いた闖入者確認硬貨は雪が積らない様に奥にずらしていたが、無事だ。
着。一人暮しin小さな幸せ。
決定的な悪行は未明が相場だ。勿論、非常線が張られる前に逃げ切るだろうが、ひょっとしたら、
検問や幹線道路の監視ｼｽﾃﾑ、地域の防犯ｶﾒﾗを避け、徒歩か2輪かもしれない。色々、考え
銀座周辺の網の目の様な道を南団が逃走するならば、追尾するのに小回りの効くRHが最適と至った
都心の地図を細部まで思い出し巡らせ、完璧に叩き込んだ邦彦は、画廊裏路地のｼﾞｰﾝｽﾞ店の隣にある
ｳｨｰｸﾘｰﾏﾝｼｮﾝ屋上で、静に待機する事に決めた、今夜出発する。その前に食事の準備だ。
ｶﾞﾚｰｼﾞ棚から肉と野菜を出し、ｷｯﾁﾝに入り、ﾌﾗｲﾊﾟﾝを強火で熱しﾊﾞﾀｰをｺﾞﾙﾌﾎﾞｰﾙ大、放る。賑かな音がしたら骨無しﾁｷﾝ500gをぶちこみ、
蓋をし火を止める。前菜は温室育ちのﾄﾏﾄを3個、丁寧に胃に流す。60秒蒸したﾒｲﾝのﾁｷﾝは皿に移さずに
ﾌﾗｲﾊﾟﾝから直接、と言っても、ﾅｲﾌとﾌｫｰｸを使い、忙しく動かし野獣の様に、咀嚼と嚥下を繰り返し
120秒で完食。ﾌﾗｲﾊﾟﾝ内側に、付着した油分を含んだ糧を、ﾊﾞｹﾞｯﾄに塗りたくり、食事を了。
知り合いのﾌﾗﾝｽ人から、油分を洗い落とすのに大量の水を使わず、地球に優しいからと聞いて以来
付着物も食べている。洗い物を手早くして、歯磨きも了。ﾍﾞｯﾄﾞで20時まで眠る予定だ。
これから、数日は仮眠すら出来ないだろう
浴槽の栓を抜く。仕上げに、泡と体臭を湯温50度の少し熱いｼｬﾜｰで削ぎ落とし、冷水ｼｬﾜｰで
毛穴を引き締める。また、ｼｬﾜｰの冷水により浴槽内に黴が繁殖しないﾒﾘｯﾄもある。浴了
着用していたｼﾞｰﾝｽﾞ、綿ｼｬﾂ、靴下を洗濯乾燥機に投げ込み、洗い済みのｼﾞｰﾝｽﾞを穿く。
Tｼｬﾂの上にﾌﾞﾙｿﾞﾝを身に付け、ｶﾞﾚｰｼﾞに向かう。RH改のﾅﾝﾊﾞｰﾌﾟﾚｰﾄはｺﾝﾊﾟｳﾝﾄﾞで薄くしてある
保安部品は極限まで小さく、そして車体はﾈｼﾞ一本に至るまで、軽量化している。邦彦の体重は52
なので総重量は130未満、最高速は180位か…。
雪は降り積もり、幹線道路は未除雪が多い。悪天候でﾊｲｳｪｲは規制されたままだが、非常線を考慮して
当然、任務中はﾊｲｳｪｲは使わない、逃道が少ないからだ。尤も、RHなら高速のﾌｪﾝｽ位は横跳びで
乗り越えられるが…。乾燥が終り、ｶﾘｶﾘに乾いた衣類をﾊﾝｶﾞｰに通し仕舞う。ﾍﾞｯﾄﾞは整えてある。
出発前に、ふと、姉に電話したくなり、世間話をする。姉は体重計が壊れたままなの、仕事が辛い、
彼と諍い中、等と深刻だ。邦彦は真摯に頷き別れを告げる。ｶﾞﾚｰｼﾞに仕掛けを施し、宅に別れを告げ
出発。
駐車場は店の脇を入り、店裏なのでRHは表からは見えない、しかも周りはﾋﾞﾙに囲まれている
好事魔多し、RHに何処からか飛ばされて来て放置されてたｼｬﾂを、それとなくﾊﾝﾄﾞﾙに被せ、
廃自転車を静に凭れ掛け、ﾅﾝﾊﾞｰﾌﾟﾚｰﾄを外す。ｴﾝｼﾞﾝの刻印は無い。隣のｳｨｰｸﾘｰﾏﾝｼｮﾝとは
反対方向に歩を進める。無誰何。亀の配達時の装いだが、注意深く、喫茶re-noir前を通過
臨時休業だ。そして画廊は夜は閉店している、が3階の資料室は、灯りが付いているのが
反対側のﾋﾞﾙの窓に反射しているのが、見て取れる。画廊裏路地に入り人影がないのを確認し
ｼﾞｰﾝｽﾞ店のﾋﾞﾙに隣接している、ｳｨｰｸﾘｰﾏﾝｼｮﾝ屋上で待機する。画廊と喫茶が見渡せる5階建てﾋﾞﾙだ。
ﾋﾞﾙの間は80cm、無ﾁｮｰｸのﾎﾞﾙﾀﾞﾘﾝｸﾞを開始する。落下したらｼﾞｮｰｸにならないので、5分間
慎重を期す。屋上着。雪を握り溶かし、軽く水分補給だ。画廊の出入口を見張る、警備員は
いない。不用心極まりない。画廊内は警報ｼｽﾃﾑ完備だが、警報が作動して警備会社員が辿り着くまで
不測の事態が発生したら、どうするのだ。また画廊外からの攻撃があった場合、通報が遅れる
南団にはﾁｬﾝｽだろう。私情…史上最強の警備員が張り込みしているので、無問題だが
南団も天気図と睨めっこしてる筈だ。人通りが途絶えた銀座だ、雪で桜田商事も通報から
駆け付ける迄、5分はかかる。徒歩でも車両でも逃走が楽だ。だが車両の場合はﾄﾞﾗｲﾊﾞｰのﾃｸが必須だ
明日夜に雪が止めば、警備員も夜間常駐するだろう。いくら何でも、雪で出勤できません、
自宅警備に専念しますじゃ話にならん。内ﾎﾟｹから、砂金入りｳｨｽｷｰのｽｷｯﾄﾙを取り出そうとした、
その時、200m南からﾊﾞｲｸがﾀｲﾔﾁｪｰﾝをして、北方向、つまり画廊ﾋﾞﾙに向かってきた。邦彦の聴覚は
犬並みなので、吹雪きでも聴こえるのだ、勿論、視力は裸眼1･5だ。裸体を見ると5.0に上昇する。
画廊向かいのﾋﾞﾙ前に、新聞配達のｶﾌﾞが止まった。25時…無遅延配達。もしや！だが、
ﾚｲﾝｺｰﾄを着た長身の巨体配達人はﾋﾞﾙ内に入る…、！ﾛｹｯﾄ砲を肩付けして出てきた。邦彦は愕然とした
と、ほぼ同時に、配達人は幹線道路に跳び出て、RPG7を画廊3階に向け立射した。発射音と
飛翔中は間抜けだが、着弾した瞬間、静寂を叩き壊し、耳をつんざく様な轟音がした
北風5mでは
外れると思ったが…残念だが外れなかった、ﾌﾟﾛの仕事だ。ﾊﾞｯｸﾌﾞﾗｽﾄで背後の雪は溶け、
ﾋﾞﾙの窓ｶﾞﾗｽも粉々で、ﾋﾞﾙ内では粉雪の様に埃が舞い散っているだろう。文字にすると長いが。
邦彦は、配達人が道路に跳び出す寸前に、登ってきたﾋﾞﾙ谷間を降りて、4階付近で、轟音をきいたのだ
雪もｸｯｼｮﾝになる。豹の様に画廊に走る。案の定、画廊ﾋﾞﾙ3階付近が、破壊されている、
まだ細かい破片が宙を舞って、道路のそこかしこに、ｺﾝｸﾘｰﾄ片も散らかっている。風が味方して、
両隣の立体駐車場に弾が逸れてくれれば…と。感傷に浸っている場合じゃない。配達人は、既に
ｶﾌﾞをﾏｯｸｽﾀｰﾝさせ南に50m逃走している、RPGは路上に放置してある。邦彦は画廊資料室が気になったが
頭を振り払い、Rhを豹の如く取りに向かいながらも、心からﾌｪﾘ娘に哀悼の意を表明した。
放置自転車を倒し、ｸﾗｯﾁを握り押し駆けし、飛び乗る、ｳｨﾘｰしない様に前傾で、2速発進！。
幹線道路に出る手前で、ﾊﾝﾄﾞﾙの布は後方に消える。ｶﾌﾞは200m先を右折している、ﾀｲﾔ跡を追う
追尾開始。勿論、Rhは無灯火だ、右折した先150mで、4WDのAMGに乗り込む配達人がいた
急発進させず、ｽﾑｰｽに加速させ、ｳｨﾝｶｰを出さず幹線道路を左折した。その頃、遠くから
けたたましいｻｲﾚﾝ音が聞こえてきた。今は画廊周辺に、人だかりが出来つつあるだろう。
ｶﾌﾞが駐輪場に放置されていたのが、ﾁﾗっと見えた。邦彦もAMGの音が遠ざかるのを気にしながら
ｳｨﾝｶｰを出さず左折、AMGはかなり速度を上げていた、Rhを6速に突っ込み120で後を追う
時折、ﾌﾞﾙﾗｲﾃﾞｨﾝｸﾞになるが、足首で微調整する。日頃から訓練しているので、倒れない
倒れたら、道路沿いの車屋から、借りれば良いだけだ。追跡は200m間隔を保ったままだが
いよいよ都県境、多摩川を渡る。検問張るなら、ここしかない。だが、大雪でそれどころではない。
しかも、襲撃から15分しか経っていない。仮に襲撃後、通報されてから、現場へ5分後に到着しても
非常線の準備には、10分以上かかる。思った通り、無検問で丸子橋通過。だが、緊張を一段高める
南団の漁場で本部もある、神奈川県に入る。画廊襲撃が南団の蛮行である、確証を掴む為
追跡が露呈したらまずい。犯人を知っているのは邦彦だけだ。桜田商事はﾌｪﾘ家の訴えを
聞き入れなかった。癒着だ。心の中で中指を突き立てる。AMGが辿り着く場所を確認したら
一度ｶﾞﾚｰｼﾞに戻る予定だ。破壊ﾌﾟﾛｯﾄを練る
曲がりくねりの多い、丘陵地帯を抜けると、南からの雪が激しくなる。数時間後には風が収まる気配
そして、雪も止む。AMGは尾灯を点かない工夫をしてあるが、雪明かりとﾀｲﾔ痕で、どうにか追跡している
太陽が出る前に雪が止めば、放射冷却で路面凍結する。AMGの追尾は難しくなるな…と、その時、
葉山方面に抜ける、1.5車線の山道にAMGの左折痕がある、この道は逗葉新道の北側の未舗装の道で
確か…南団のﾌﾛﾝﾄ企業である、海女牙ccと尼毛射撃場に囲まれている。殆ど、知られていない道だ
南団の広大な私有地みたいなものだ、200m間隔で追尾していたが、念のため300m間隔に延ばす、
勿論ﾍﾙﾒｯﾄはしていないので、視界の範囲は広い。立体的に物事を捉える、敵地に浸入した時の鉄則だ。
左折して2km入って初めて待避所があった、林道ﾏﾆｱなら、ご存じかと思うが、待避所の先には
得てして……。待避所から200m進むと、AMGが停車し、4人降車した、配達人も混じっている。
目の前の3階建てﾋﾞﾙにｷﾋﾞｷﾋﾞ入って行く。邦彦は待避所を発見した時、用心してRhから降りて
追跡してきた。また、Rhは待避所の手前50mの道から外れた杉林に休憩中だ。視力を5.0にし
ﾋﾞﾙと周辺を観察する。Rhに静に戻る。銀座から120分である。邦彦は一度、退却する
待避所手前迄は1.5車線であるが、待避所先は1車線の狭峻区間が100mある事に気付いていた。が、右は
「尼毛射撃倶楽部につき立入厳禁」の看板が立っている。左は「海女牙ccにつき立入ご遠慮下さい」
と看板がある。射場側は、当たり前だが、崖向こうは電流有刺鉄線付きﾌｪﾝｽと防犯ｶﾒﾗ完備だろう
ﾋﾞﾙ奥は、尼毛ccのｺｰｽで雑木林があり、その先は見透しが効く、広い芝生だ…。狭峻区間と
両側の崖を利用する事にする。夜明け前にｶﾞﾚｰｼﾞに着き、情報収集と攻撃の準備をしなければ…。
Rhを始動させ爆走する。南風が緩くなってきた。雪が止む兆しだ。路面凍結し出したら、2輪走行は
難しい。5速100kmで、ひた走る。信号は停電中なので、小一時間でｶﾞﾚｰｼﾞ基地に到着。
Rhの燃料は枯渇寸前だ。
齧りつく。画廊ﾋﾞﾙ内に2人の身元不明の遺体、他に重体2名。右隣の立体駐車場で、イチャついてた
男女が巻き添えで軽傷。犯人は南へ逃走し…、。銀座の詳しいﾆｭｰｽは、明日からだろう。そして
ﾆｭｰｽは大雪で大規模停電と交通ﾊﾟﾆｯｸの話題になる。Rhのﾀｲﾔをｽﾊﾟｲｸﾀｲﾔに交換する、序に、今、
履いてるｺﾝﾊﾞｯﾄﾌﾞｰﾂにもｽﾊﾟｲｸを合計20本叩き込む、ﾀｲﾔとﾌﾞｰﾂの作業中、頭にﾌｪﾘ娘の顔が浮かんだが
南団300人に対する呪詛と交代させる。南団ﾋﾞﾙ攻撃ﾌﾟﾛｯﾄは、基地に戻る間に練り上げた。最初に
ﾋﾞﾙ脇の、暖房用灯油ﾀﾝｸ下に時限式爆破装置を設置、ﾋﾞﾙ裏に回り込み、灯油ﾀﾝｸの対角にも爆破装置
を設置するが、同時に起爆させﾋﾞﾙを全壊させる。ﾋﾞﾙといっても、ｺﾞﾙﾌ場と射場の従業員寮、だが、
本職は暴力団員なので、暴力団組員寮だ。窓の数からみて、100人位は居住してるだろう、次に
待避所近くの崖を爆破して、南団を混乱させる事とする。俺が逃亡する時間稼ぎも兼ねてるが…
肉体と精神を限界まで引き出す、苛酷な訓練を受けさせられた思い出が、希に明晰夢化されるのだ
だが、過酷ではない。今となっては、祖父「伊達邦彦」に感謝している。
私生活のルーチンを手早く済ませる
西○渓谷のトンネル工事発破作業で使われる筈だった物を、工事詰所から借りてきたの物だ
登山リュックに緩衝材と共に慎重に入れる。ビルに着く迄は、震動にも留意しなければ
死は免れまい。出発。
基地から幹線道路に向かう、スパイクが食い付くので路面凍結は無問題だ。幹線道路は
事故で大破した車両が、数台見受けられたが、積雪で撤去は数日後だろう。小一時間で
逗葉新道北側の未舗装道25時着。待避所手前50mの杉林にRhを隠す。爆発物積載で極度の
緊張運転だったから、喉が焼ける様だ。雪で水分補給する。未舗装道2kmにRh以外の人馬の
痕跡は零。邦彦の行動は気付かれていないので、迅速に解体作業に移る。待避所先、左崖の
地面から2mの岩の隙間に爆薬を差し入れる、180分後に起爆タイマーをセット。続いてビルに
靴を脱ぎ滑る様に向かう、凍結している為、足跡もつかないので好都合だ。灯油タンクと
ビル裏にも爆薬物をセットする、170分後に起爆だ。最初にビルとcc出入口を爆破し、混乱させ
崖側に生き残りを誘導させ片付ける作戦だ
静寂が終り、閃光と同時に耳をつんざく凄まじい轟音が四方八方に撒き散らされる。ビル前の
車両15台にも引火し火柱が上がる。ビル周辺の歩哨は慌てふためき、ビル内に居て、偶然生き残った
者達も半死半生でボロ雑巾になりながらも、瓦礫から這い出て来る。数分後、少し落ち着きを
取り戻した歩哨達が、這い出て来た者を引き摺りながら待避所に向かい、怪我人を両崖に
寄り掛からせ、事の次第を携電で連絡しようとした瞬間。塞翁が馬。…時間だ。件の配達人を含め
30数名が崖の崩落に呑み込まれた。3分そばだて邦彦の聴覚を以てしても呻き声は零。
火柱を背に次の昇華を待ちわびる、邦彦であった… 完
画廊ビルの社長は、事件当時不在で、ビル内の被害者4名は、関東北部を拠点とする暴力団
蛇龍の者達だと判明、重体だった2名の内、1人から引続き事情を聴いている。もう1人は死亡。
ラジオコメンテーターは、頻りに治安悪化を訴えているが、机を挟んで、目の前にいる、
季節外れの薄着ジャリタレの胸元を視姦してるんだろう。銀座事件のニュースが終ると、
次に逗葉爆破ニュースが緊急ニュースで、耳に飛び込んできた。現場は混乱しており、死者
重軽傷者多数、ビルは全壊しているので、瓦礫から遺体を運び出すのに、時間を要するとの報道
また、海外の報道機関からもメッセージが届いてきたので、ラジオ司会者が読み上げているが、
銀座事件と絡めて、反社勢力同士の抗争と断定しているようだ。ニュースが一旦終り、話題は
ジャリタレ集団の胸の大きさ競べに変更となる。別荘入口手前2kmでRhがノッキングし出したので
4速に入れ、飛び下り押し走りする、ガス欠でRhを押すよりましだ。登り坂を全速力で駆けるが
苦痛はない、寧ろ楽しんでいる様だ。だが唇に微笑みを浮かべそうになるが、心に拳銃を…
闘いは…
神奈川西部基地には、当分戻らず此処で過す。西部の契約時、不動産会社には出張が多いので
長期留守にする事があると、伝えていたので怪しまれる心配はないだろう。軽く息を弾ませ
別荘着。邦彦作のログハウス風の小洒落た造りだが、雪で外観は覆われている。敷地に人獸が
入った形跡はない。ハウス裏の車両置場兼工作小屋に馬を休ませる。鋭角屋根なので小屋入口には
雪は両側に落ちて殆ど積らない。小屋表の薪5束を右肩に乗せ、10束を両脇で抱え、左手で鍵を開け
ハウスに入る。oh済みの暖炉に、Zippoで着火した古新聞を投げ入れ、消え入りそうな新聞の上に
手で千切った薪のささくれを、そっと置く。数秒待つ…
火を見たまま、手探りでコンバットブーツに仕込んだ、ガーバーナイフを抜き、薪1本を割り箸程に
分割解体する。箸2本入れ1分待つ。経過、本番だ。薪を3本放り込み、爆ぜる音を聞く。
「ゴッ…。ゴッ…。ゴッ…。ゴゥッ…」と蒸気機関車の発進音が室内に木霊する。やがて
「ゴッ…、ゴッーゴゴゴー。」と間断なく
力強く響き渡る、D51たる所以だ。10分暖炉を見つめ
火が安定したので、薪束をぶち込み、邦彦は小屋のRhを労りに行く。自身の休息は後回しだ
入口開放型小屋なのだが、入口に薪がうず高く積み上げて有るので、雪は殆ど入らない。が
気温は-20度、今年は寒さが長引きそうだ、薪を例年より充分、用意して良かった等と、ぼんやり
寒空を眺めて思う。ハウスに戻り、10分余りでハウス内は暖まってきた、凍り付いてた窓枠が
時折吹く強風に、エッジ音を放つ。開放棚からウィスキー瓶を手に取り、300cc一気に干す
じわじわと血管にアルコールを行き渡らせ、手足の強張りを解す。クシャクシャになった
echoをポケットから出し、久々に紫煙を燻らせる。携帯ラジオからは画廊と逗葉の詳細が刻々と
流れているが、警察は暴力団同士の抗争と断定…。ラジオからゲストのチンピラダンス集団が
訳知り顔で事件を語り出したので、頭を切り替えラジオを消す。…断定という事は、公安は
動かないだろう。いかな邦彦でも1400人の公安は敵にしたくない。1400の未亡人の涙は
見たくない…という事だが…。女性の職員は20数名なので、1375名前後か…。等と妄想をする
邦彦である
逗葉爆破での、死者、行方不明者は80人。軽傷者35人。不明者の肉片は雪解けと共に、
木の枝から落ちてくるだろう
風呂に放る。4回、往復し風呂に80Lの雪を満たし、炉上の沸騰した大鍋を風呂に鍋ごと落とす
沸騰水は注がず、熱伝導で雪を溶かす。数分経ち、完全に溶け、室温と相まって水温15度。
冷め遣らぬ鍋を暖炉上に置き、素っ裸になる。2分待機して、再び沸騰鍋を風呂に浸す、
邦彦も鍋を抱える様に湯浸る。40度の温めだが快適だ。10分で浴了。風呂内でジーンズ
とシャツの洗濯を済ませ。裸のまま、可動風呂の湯を屋外の浸透枡に流す。洗濯済みの衣類は
雪の上に置き、乾燥させる。その間に檜風呂を雪で洗い、小屋に置く。鉄馬のキャブを
組み付ける。冷気で毛穴も引き締まったので、乾燥衣類を持ちハウスに戻る。洗い済みの
カリカリジーンズを穿き、ラジオから爆破情報を聞くが、フェリ娘の動向が気になる。が、
ラジオからは窺い知れない。だが…西部ガレージに向かうのは数日後にしよう。罠に注意だな
ナイフを刺し、鍋淵に引っ掛け、水滴を落とし、塩を振る。指を汚したくないのでナイフに
挿した肉を、口に運ぶときは上品な動作で食べる。鍋中の玉葱も胃に入れ、立ったままの食了。
鍋底に、少し水分があるだけで、残渣は零。炉から鍋を離し、雪で丁寧に洗い部屋干しする。
残渣に興味を持った熊にうろちょろされては困るので、食物に気を使うのは当然だ。しかも
冬眠出来なかった熊は、唯でさえ冬の食物不足で苛ついている上、冬眠に失敗すると
毎日、
数十分から数時間の仮眠だけとなる。些細な刺激も御法度だ。ラジオからは世間を刺激する
ニュースが流れる…、関東北部を拠点とする暴力団の蛇龍と南団が横浜中華街で銃撃戦を
始めて、宛ら市街戦の様相だと、現地報道者が声を枯らして、リスナーに訴えかけている。
グラミー賞を進呈したい気分だ。
音声が伝えられるが、タレントインタビュワーは、持田似で美人のフェリ娘の嗚咽を必死に
引き出す努力をしている。テレビ向けの視聴率稼ぎなのだろう。被害者が美人だと絵になる。
続いて、桜田商事から捜査情報と、画廊内に潜んで重傷を負った蛇龍の侵入動機が淡々と語られる
画廊内の絵画を盗む事が目的で侵入…。記者会見は数分どころか、数十秒で終る。桜田側に
してみれば、南団と友好的な関係を継続したいところだが、蛇龍が食指を伸ばしていると、
南団銀座進出の壁となる。しかも、一般市民の巻き添えも避けられないだろう。中華街での
散発的な銃撃戦も続いている。桜田が蛇龍を取締らないと報復合戦に歯止めはかかるまい。
市民からの風当たりも強くなるだろう。毒を以て毒を制しても、変わりの暴力団が銀座に群がるだけだ。
桜田にしても、新な反社組織と繋がりを持つより、南団をバックアップするだろう。尤も、南団との癒着は、今に始まった事ではない。アウトローの世界では、周知の事実だ。
反社勢力、蛇龍は赤眉軍を真似て赤く眉を染めている。しかも、赤眉を隠す事なく繁華街で
暴れ狂うので、あっという間に、世間の知る事となった。構成人員は不明だが、拠点は
東京城北地区を含む関東北部。関東南部を猟場とする、南団は300名だが、爆破で半分近く減員
してるだろうが、準構成員が多数いるので、数的にも組織としても、立ち行かなくなる事はない
AMGを使用し、AMGの取扱い販売店は表向きの仕事であり、3店舗ある。店には修理工場も併設
店の場所は港南区、高津区、大磯。中華街に海女牙釣具店、店裏に沖合いで非合法品の
取引に利用するクルーザーがあるが、釣船としても活用している。そして海女牙ccと
尼毛射場。
各店には団員寮があり常時詰めている。建前上の既婚者はいるが、全員ゲイだ。鵠沼本部には
団長の、坊主頭でゲイの首田の邸宅がある。夜毎、イサキごっこに耽っているとの情報。
蛇龍の日本国での目的はマネー、金だけだ。少額、大金は問わず。奪ったら、他国に逃げる
日本国での拠点は不明だが、入国目的は金を基準としている事だけは、確かだ。ラジオから
繁華街の銃撃戦が治まったとの、現場からの報道が流れたが、逗葉爆破の続報は語られなかった
暴力団寮が解体されて、死人が出ても、市民の溜飲が一瞬下がるだけで、心からの安泰を
望んでいる市民は、寧ろ全滅を熱望しているだろう。暴力団同士で潰し合うのが望ましい
聴覚とラジオをオンにしたまま仮眠する
心は冷えきっている。犬歯を舐り口内を潤し、唾液で口腔殺菌する。仮眠中に銀座喫茶オーナーの
暴力団に対する怒りと呪いのインタビューが聴こえてきた。桜田に相談したが一蹴された、
結果こんな事になってしまったのだと。オーナーは涙で声が不協和音となっていたが、
インタビュワーは、他人事の様な声色だ。寒さで頭の中の脚本を棒読みするのに、精一杯なのだろう。
暴力団と桜田商事の癒着を解き明かすマスコミ等、この国にはない。市民も期待はしていない。
ラジオから説教と絶叫が売りのゲイタレが、銀座に画廊を持つ、フェリ娘の暮らし振りにも
事件の原因があった。などと、ふざけた事を抜かしたので、仮眠中に危うくラジオを握り潰しそうになった
…ウィスキーと煙草を持ち、水分補給しに表に出る。裸のまま、雪の上に寝そべり、雪を口に入れ
酒を300cc口に流し込み、冬の夜空を堪能していた時、邦彦の耳がハウス内のラジオにロックオンした
…銀座を警戒していた桜田組と暴力団の怒号が耳に飛び込み、ついで乾いた発砲音と人々の
慌ただしく逃げ惑い、泣き叫ぶ声が聞こえた。直ぐ様、ハウスに入り、ラジオに齧りつき
現場の状況を頭で立体的に組み立てる。微かにだが、邦彦は聞き漏れる、フェリ娘の呻き声を
聞き逃さなかった。銀座に張り付いていた、マスコミがフェリ娘の手当てもせず、血塗れの肉体を
中継している。逃げ惑っていた群衆は遠巻きに見ているが、携帯機器で撮影している者もいる
ややあって、発砲した者を現行犯逮捕しましたとの、焦りを含んだ実況と
、喉がはち切れんばかりの声で、救急車を呼んでくれ、との声が耳に入る。
向かう中、検問は2ヵ所に張られていたが、路面凍結してる上に、時速160kmで通過したので、
追跡は無理だ。当然、尾行車両も零。ガレージシャッターと基地の仕掛けは、動かされた形跡はない。
室内に入り、フェリ娘を傷物にした輩への復讐プロットに没頭する。別荘から基地に向かう途中
桜田の記者会見でフェリ娘は腎臓を撃たれ重体。犯人は蛇龍の者だが、南団を射Rべく発砲したが
弾が逸れ、フェリに当たった。と台本でも読む様な会見に終始した。
プロットは両方殲滅。だが、邦彦が動く迄も無く、両団体は動きだした。
明け方、蛇龍が南団販売店と従業員寮、そして中華街支部を爆襲し、南団員100名を葬る
勿論、南団も散弾銃で応戦し、蛇龍会のチンピラの前頭葉を80解体した。鵠沼本部の首田は
危険を回避する為、一旦、出港し本部は団員に任せ、保身に走る。
反社の潰し合い緊急ニュースを聞き、邦彦は動く。RHを湘南に向け爆走させる。エンジンからは
カリカリと嫌らしい音が立てはじめるが、海岸沿いの国道まで何とか持ち堪える。国道沿いの
外食店脇の防砂林に馬を眠らせ、近くのGS裏にあったFXを借り鵠沼方面に走らせる。2kmで
南団本部手前の交差点に着。機動隊と蛇龍会、そして南団が入り乱れ銃撃戦の最中だ、
蛇龍総動員で南団本部を襲撃しにきたみたいだ、海風で催涙弾が使えないので、機動隊は、
銃を射ちまくっている。ヘルメットで見えないが、どことなく、嬉しそうに乱射している。
中には、スキップしながら、前進して蛇龍の頭を散弾で穴だらけにしている隊員もいる。
蛇龍の後方からは、南団50名が拳銃を発砲しているが、射ち慣れていないのか、蛇龍には当たらず
弾が高く逸れている。しかし、丁度挟み撃ちにされた蛇龍は、気が狂った様に喚き散らすだけで、
次々に倒され、脈を停止させられる。首田は沖合いに停泊させた、ぷりんす号に逃れている
小高い丘から、湾を見渡すが、海上保安庁の船舶とマスコミの船が、一艘もない。争乱をスクープ
する、ヘリすら飛んでない。波浪警報発令している上、風速35mでは無理なのか。ぷりんす号も
かなり揺れている、首田が美少年に襲い掛かり、腰を振っているのかも知れないが…。
船内に浸入可能だ。首田と警護者は陸の戦いを注視している筈だ。湾を一望していた丘を滑る様に下る
実際、丘全体が吹き付ける強風で雪が凍り付いていたので、レジ袋を、両ブーツに履かせ、
文字通り滑り下り、水上バイクを借りに行く。直ぐにバイクが見付かる、大抵ガソリンは満タン
にしてあるので、ガス欠の心配はない。タンク内を満タンにしておかないと、水がタンク内に
溜まってしまい、始動が悪くなる。最悪、沖でエンストして、海上で途方に暮れるなんて事になる
水上バイク屋の裏壁に特大ウェットスーツが引っ掛けてあったので、それも借り、衣服の上から装着
中に着込んでいる革のブルゾンと、特大ウェットスーツは干渉しない、動き難いと命取りだ。
次いで、バイク修理工場に、一礼して入る。棚の道具箱から、ハンマーと、5寸釘を50本程借り、
ウェットスーツ内のポケットに収納する。勿論、店に向かって囁く様に、お借りします、と。
断りを入れる。係留ロープを外し、始動し時速70kmでぷりんす号に向かう、大波に呑み込まれそうになるが
実際、何度も呑まれたが転倒せず、ぷりんす号の向こう側、左舷に回り込む事に成功する。エンジン停止
遮蔽物がないので、右舷側からは陸地の戦闘状況が粒さに見える事だろう。大揺れのバイクに
跨がったまま、船体に、ハンマーで釘を打ち込む。釘頭2cm残し、ロープを掛け、釘頭をハンマーで
下から叩き、ロープが外れない様にする、ロープの端をバイクのハンドルに、もやい結びする
ぷりんす号の船体に荒波でバイクが打ち付けられて、壊されたらバイク屋に申し訳が立たない。
邦彦自身は、ぷりんす号を借りて陸に戻れば良いのだが。その場合、船内に余計な死者を
増やしてしまう恐れが生じる。そうした事態は、できる限り避けたい。1本目の釘の斜め上1mに、
釘頭2cm残し、2本目の釘を打つ。足場が出来た。そして胸の位置に3本目を打つ。そうやって、
釘打ちしながら、徐々に昇るが、釘を打ち付ける音は船内には届かない、凄まじい強風で
邦彦は振り落とされそうになる位、荒れ海なのだ。打撃音など船内に響かない。因に船外は140dBだ。
甲板に人の気配は零。だが、犬並の嗅覚の邦彦が、海水が凍り付いた下にある、吐瀉物の臭いを
微かに嗅ぎ分けた、船酔いだな。数ヵ所から光が漏れ出ているが、生体の動きがない。
船窓の下壁に、耳を充てる。呻き声だ…イサキごっこか…
南団警護者3人が、床に横向きに寝転がり涎を垂らし喘いでいる。其処彼処に吐瀉物と糞尿を撒き散らせ
地獄絵図の様だ。だが陸の射殺体と比したら、こちらがましだ。虫の息だが、まだ生きている
丁寧にそっと、船内に足を踏入れる、廊下にも、吐瀉物の痕跡と、バケツを引っくり返した様な
水溜まりがある。前後左右に気配りし、船内を立体的に捉え、歩を進める。操舵室からは、酒と
無糖珈琲の香りがする、木製ドアの隙間から覗く。船内ドアが木製の場合、歪んで開閉が困難に
なるのを防ぐ為に、予め開閉にゆとりを持たせてあるのだ。8mm程のドア隙間から、若山富三郎似の船長が
見える、操舵室の窓硝子に反射して、テーブル上の酒瓶が見える。硝子に反射して映り、中の様子が
判然した。若山1人で飲んでいる、かなり酩酊している。若山がトイレに立ったので、邦彦は、
音もなく猫の様に操舵室に入り、トイレから、出てくるのを待つ、出てきたところで首筋に手刀を
叩き込み、気絶させる。操舵室から出て、キッチンに向かう途中に、警備員室があり、ドアの隙間から
覗くが、饐えた臭いと共に、警護1人が船酔いで重病人と化している。静に足を踏入れる、と、
一瞬冷やりとさせられた。監視モニターが、幸い今は一時停止しているが、船内外に5ヶ所設置されている。
釣り船と密輸兼用大型クルーザーだから、当たり前か…。念のため、船揺れで監視モニターの配線が
偶然外れた様に装う、録画チップは抜き取り握り潰す。指紋も潰してあるので、あちこち触れても
ノープロブレム。VIPルームに行く前に潰したチップを海に確実に落とす、強風でチップが舞い戻り
甲板に凍って張り付いたら、笑い事ではない。VIPルームドア横の壁に、左耳を付け、室内の集音をする
美少年と戯れている気配は零だ、ふとノブの左、ドア隙間に視線を移し苦笑いする。鍵が
かかっていない。嗅覚も最大限に活用して、隙間から室内を嗅ぐ。美少年の香りは無いが、
饐えた臭いに混じり酒の臭いが僅にする。呻き声も聴こえる。ドアを静に開け後ろ手で閉じる
奥の寝室から、強い体臭が漂う。ふと、天井の配管に色斑が有る事に気付く。ルクスを極端に
落とした部屋なので、注意深く観察しなければ、解らない。寝室の半開きになっているドアに近付く
片目で覗くが、首田の顔は土気色で足指はバビンスキー現象の様に指が反り返っている。
意識レベルが低下してるのだ。情報屋のＭから見せられた画像とは別人の様に成り果てている。
美少年もいないので、暇潰しに宝探しをする。壁紙をランダムに叩き、次にベッドで瀕死状態の
首田を蹴り退かす。マットを剥ぐるが、欧州児童ポルノの写真は発見出来なかった。残念ではない
尼毛射撃場の従業員で射撃の腕前は確かかも知れないが、船乗りとしては失格だ。海女牙釣具店が
襲撃されて、クルーザーの船員が首田のクルーザーに、乗船出来なかったのは、邦彦にとっては好都合だ。
ゆっくりと宝探しをするが、寝室を丹念に捜索したがラブマシーンしかない。鵠沼本部から
持ち出している物はないのか…。先程気になった配管を指先で叩くと配管内の共鳴に擦れが生じた
背伸びして、管の上に指の背を這わすと、段差がある。配管周辺に仕掛けがないのを確認して、段差部分の
アルミ板を少し押す、引っ張らないのは、往々にしてブービートラップが仕掛けられてる可能性が
あるからだが。軽い音をたてて、板が開く。数秒待つ…、が、ビックリするアクシデントは零だ
配管上部を覗くには椅子が必要だ…が。床に椅子を引き摺った跡がある。確信。部屋隅の椅子を
持ち配管下に移動させる。踏み台代わりして、管内のビロード布袋を取り出す。結び目がなく、
無造作に包まれている袋内の物をウェットスーツの内ポケに入れ、代わりに5寸釘を20本程袋に入れ、
管に戻す。アルミ板を閉じ椅子から降り、椅子を元にあった場所に引き摺らないで移動させる
寝室の首田を見やるが、命は殆ど消えかかっている。蛇龍の襲撃と爆破を知らされ、這う這うの体で
クルーザーに乗り込み、極度のストレスで脳の血管が切れたのだろう。VIPルームを出る。寄り忘れた
キッチンに入り、刃物類の引出しを開ける、船揺れで引出しが簡単に開かない仕組みになっている
真鍮ノブを右に捻るが、罠は仕掛けられていなかった。調理用のナイフはなく、解体用の鉈と
ナイフが入っている。しかも棚奥には、亀の甲羅の小さい破片が、数枚こびり付いている
情報屋のＭから、南団が亀の甲羅内に非合法品を隠して密輸し、国内で売り捌き莫大な収入を得ている
、と聞かされたが、邦彦自身の目で確めたかった。副業が本業を遥かに上回る、売上だろう。
船外に慎重に出る、ヘリと船は見当たらない。釘を打ち付けた足場を降りるが、痕跡を残したくないので
指で釘を引き抜きながら降る。ロープを解き、水上バイクを始動させ、バイクを返却しに戻る。
日の出前には某所に辿り着きたいのだが、2時間はある。バイクとウェットスーツ、その他を返却し
FXまで豹の様に走る。南団と蛇龍、そして機動隊の戦闘で、車両に引火したのか、燃え盛り、
あちこちで火柱があがっているが、沈静化の兆しが見える。弾を使い果たし、手近な棒で戦っているのだろうか、
FXをキックスタートさせ、RHまで戻る途中のGS裏に、借りていたFXを返却。防砂林のRHのクラッチを握り
押し走りし、跳び乗ると同時にクラッチを離し、始動。鵠沼に向かう時の爆走中に、
焼き付き寸前の
カリカリ音が聞こえたので、6速100kmの低速走行で基地に向かう。追い風なので燃料消費も少なくて済む。
文字にすると長いが高々、数時間のセルフミッションである
タイヤのスパイク音も、積雪で中型犬の足音並のdBだ。屋内の人は気にしない程度だ、勿論
嗅覚、聴覚等のあらゆる感覚器官を駆使して、通過した。宅内に20代後半女性1名の生体反応有
そして、100m先で、格好付けてマックスターンはせずに、紳士的にUターンする。再度通過するのだが、通過手前で、邦彦の第六感、赤外線センサーも起動させ、視力も5.0に上昇させる
通過中…。体重計に俯きながら乗り、しかも、右手で口を抑える、姉貴に別れの言葉を呟き、基地に向かう
…明日までには、姉の右手で体重計が握り潰され破壊されているだろう…
ひろゆきすき。
ひろゆきモテモテ^^でやんすね^^
猫の様に出入口や窓を観察するが、人の侵入した形跡と、出入口の硬貨を動かされた形跡は零
尾行車両も当然無い。RHを運び入れ、10分エンジンを冷やし、鉄馬の診察を開始する。
キャブは標高と温度を勘考しているのでベターコンディション、キャブ一式灯油に漬ける。
肝心のカリカリ音の原因なのだが、マフラー側のピストンシリンダーは焼き付きの形跡は無い、
混合比は30:1、爆走したとはいえ焼き付き等は考えられない…と、その時、
後輪フレームに小さな塊を発見し、邦彦の脈が早くなる
いつのまにか、車体にGPS尾行装置を取り付けられた！即座に基地を脱出しようとした瞬間！
邦彦のブルゾン内ポケの携帯が色っぽく揺れる
この基地が発見され、襲撃されるのも、時間の問題だ。塀と岩の間にしゃがみ、視線を辺りに配りながら、
着信5回目で、通話開始。姉の一寸した悪戯で邦彦のRHにGPS発信器を付けたと開口一番、そして
姉の近所5km以内にRHを走らせた形跡を受信したので、電話してみたとの事。その他の会話は
体重計が壊れた、仕事が辛い、七夕に願い事をしなかったetc…発信器を返却しに行く事を告げ通話了
最新型の発信器を外すが、僅な振動で蓄電し稼働するタイプで5mmしかない。ブライス製だろう。
身支度をし、RHを15分で組立、発進。小一時間で姉宅着。屋根付き駐車スペースに静に乗り入れる
勿論、エンジンは姉宅手前50mでストールさせてある。姉の車の趣味は邦彦と異なり、エレガントだ
アストンマーチン・ピンクラゴンダ、紫のトヨタ2000GT、8輪ステルスウニモグ、他多数、マジェスティックな姉だ。
姉の宅、といっても広大な敷地の中心にある白い城からFatboy Slim-Illuminatiが流れている…、
この曲は姉がバンジーダンス時のBGMに欠かせないと、邦彦は執事のヒラリーから報告を受けている。
姉の車達をサラッと評価した後、姉の白城に正門から入らず、天窓から入る事にする。
RHに悪戯されたので、邦彦は悪戯心が芽生えた。ITクラッカー兼ゴリラのブライスは、
トレーラーハウス内で監視モニタに釘付けの筈だ。邦彦の姿は認識しているが、危険人物ではないので
鼻歌混じりで監視しているだろうが、ひと度、不審人物が断りなく、…場合によっては、断りがあっても敷地内の城に近付けば、
マルチリンガルで警告をした後、静音式GAU19を装備した装輪車両により始末される。無論、
敷地内に進入した極低空の玩具飛行物体は、即座に投網が発射され地面に落とされ、処分される。
コンパネとコンパネの接合部に8mmの凹みがあり、その部分にブーツ底のスパイクを引っ掛けて這い登る
3分で鋭角屋根に着、天窓脇のコンクリ屋根に耳を向け城内部を聴診する。
Illuminatiの弾音と微音だがバンジーロープの軋み音が聞き取れる
月明かりを背に天窓を覗くと悟られるので、鋭角屋根を迂回し、もう一方の天窓を片目で覗くが
姉はバンジーダンスというよりバレエをしている様だ。勿論、ブラジル水着では踊らない、
ソフトレザーのツナギを着用している。姉は肌の露出が苦手なのだ。天窓の硝子に顔を張り付け覗くが気付かない、
尤も、ギャラリーが居たら、ツナギより水着が良いに決まっているが。
20秒後に気づき、穏やかな肢体が硬直し、驚愕の表情を邦彦に向け、右手で口を抑えてる。
隠れて口元は読み取れないが、ハーバード訛りで「Oh!MyGod!」と叫んでいるのだろう。
だが驚きは、ほんの一瞬で、また、バレエに没頭する。映画ならば、天窓を叩き壊し室内に舞い降りるのだが。
邦彦は窓を開けて入ろうとするが…外からは開かない。
邦彦は懇願の表情を浮かべ、開けて下さいとジェスチャーするが、姉は薄笑いをしている…
すると、姉がロープの張力を最大限利用して、天窓硝子に張り付いてきた。丁度、邦彦と硝子越しに、
鉢合わせの様な形になる。暫し見詰め合うが、姉が呆れ顔で正面玄関から入りなさい。と…
無駄な事した邦彦であった
ブルゾンの袖口を手袋代わりにして、右手でロープを握り、手の摩擦を減らす。左手で窓を閉め
左手も袖口を手袋代わりにして滑り降り、床から5mほどでロープを離し、着地の瞬間は、
ブルゾン袖口から両手指を出し、手指を大きく広げ、10本の指と四肢を同時に床に着ける。
四肢はサスペンションの役目だ。着地音は20dBだが、フロアに流れるIlluminatiの弾音で略零
曲がRock*feller Skankに変わり、邦彦はバスルームではなく、リビングに入りテーブルに発信器を置き
立ち去る。出入口に向かおうとした所で、天井スピーカーから、久し振りに会ったのだから
ゆっくりしていきなっさっい。と、半ば強引な口調で言われ、渋々リビングに戻る。
懐のダイヤを基地に隠し置いて来なかった事を悔やむ、ブルゾンの内ポケが微妙に膨らんでいるのだが、
姉がブルゾンの膨らみを指摘しない事を祈る。が、咄嗟にブルゾンを脱ぎ、それとなく、
コートハンガーに掛ける。姉の足音が近付く。
邦彦は眉を軽く上げて、気にしないでくれと、表情で応じる。腰掛ける様に促されたので座るが、
暖房効果で喉が渇き声帯が引っ付く。ブルゾンの内ポケが気になるのも、渇きの一因だ。
姉がバーボンロックを作り、邦彦にも飲物を勧める。同じ物を飲む事にする。姉の手元に目をやるが
不信な点はない。御互いの再会にチェリオ。姉が先にグラスに口を付け、喉の動きを確認して、邦彦も口をつける。
互いに無言のまま、飲み干し。二杯目から邦彦は氷無しバーボンコークを作るが、コーラは冷されてない、常温だ。
姉のバーボンロックも作る。作る最中もウィスキー瓶の硝子に背後を映らせ、姉とブルゾンを注視する
酔いが回ってきたのか、姉は話が弾んでくる、内容はいつもと殆ど変わらないが…。
銀座と神奈川事件、特に海岸沿いの戦闘の事に話題が移り、治安悪化著しいと言うので、
邦彦はモナコの定住を進言する。これからは、今以上に治安が乱れるだろう。と、互いに意見が一致する。
破壊された体重計を3器見付け、苦笑いを浮かべる。正面玄関で姉に別れを告げ、夜明け前に基地着。
尾行車と基地侵入者はともに零。ガレージにRHを休ませ。念の為、カローラとアトムを丁寧に調べるが、発信器は付いていない。
姉はバイクだけに、悪戯をしたと言ったが…、パッと見はラットカーだが、内部は極限まで、
邦彦好みに改造してあるので、触れられたくはない。カローラの隠し物入れに、ブルゾン内ポケの袋を納める。
ラジオの、神奈川戦闘地域の実況に耳を傾ける。銀座と逗葉テロの騒ぎどころではないのか、
銀座と逗葉の関連ニュースは一切ない。神奈川戦闘地域のマスコミ各社リポーターが、
張り切って死者と重傷者の数を読み上げ、周辺被害の様相は、嬉しそうに誇張して報道している。
また、船内の首田は検視の結果、病死。従業員数名も船揺れによる打撲骨折と、船酔いで意識不明、重度の脱水症状との報道。
話題が変わり、海外テロのニュースと、国内にもテロリストが入国する恐れもあるので公安と入管が
警戒を強めるだろうと、偉大なコメンテーターが餓鬼でも、解っている事を宣う。ラジオを聴きながら
頭の中で地図を拡げる。銀座を中心として同人円状に10数km東に広域暴力団、東会の支部があり、
20km北には、城北を拠点とする暴力団、北組だ、西は新興チンピラ勢力の城西連合なので、銀座攻略は無理たろう
銀座に興味を持つ組織は、いくつかあるが、東会が先手を打ってくるかも知れない。頭の中のwikiを拡げる。
東会の構成員は凡そ3000、支部は沖縄と広島、北海道以外の44都県にある。本部は江戸川だ。
主な資金源は覚醒剤、精製工場は奥只見だが…例によって、桜田組のOBと懲戒免職になった桜田組員を雇用しているので、
権力者は見てみぬ振りをしている。覚醒剤の売上金を桜田組の上層部に納めている。腐り方は今も昔も代わり映えしない。
画廊ビルの社長フェリ娘に、ビル解体作業を請負いたいとの、やり取りがリポーターを通して実況され、
その過程で、フェリ娘が暴力団の下請けに作業は任せられないと、嗚咽と罵倒まじりで東興業の社員、
と言っても暴力団員だが、テレビカメラに向かって、彼等を非難する様子がラジオを通じ伺えた。
そして、塵芥の自尊心を傷付けられた、東興業のチンピラ数名が、フェリ娘を取り囲み、
掴み掛かかったのが発端で、近隣住民と野次馬が、東興業の連中と乱闘になり、双方に負傷者が出た。
しかも、フェリ娘が乱闘に巻き込まれて、重体との事…。警戒していた桜田組、数十名は、
都合良く裏通りに移動して乱闘現場に居ない。邦彦のこめかみに久し振りに梅干が浮き上がる
…と、その時。漸く到着した救急車の大音量のサイレンに紛れて、乾いた発砲音がラジオスピーカーから聞こえた。
3発だ。一瞬の沈黙を破って、野次馬の逃げ惑う悲鳴と、リポーターと音声マイク、フェリ娘が転倒した。
サイレンの音と現場の騒乱に乗じて、発砲したのだろうか。
テレビリポーターの必死な声がラジオからも聞き取れた。フェリ娘が射たれた。
いや、救い等とは言ってられない、冗談ではない。善良な市民を威嚇どころか、射殺しようとしたではないか。
キッチンに入り、ウィスキー300ccを一息に干し、ビールでチェイサーする。椅子に腰掛け、
ウィスキーとビールを交互に飲み、煙草を吸いながら、体の緊張を解そうとしたが、頭だけは張り詰めたままだ。
…名ばかり司法の法廷で、チンピラが殊勝な演技をして、通り一遍で閉廷。懲役数年で出所だ。
…と吐き捨てる様に言おうとしたが怒りは飲み込み、感情は暫く無くす事にする。
雨後の筍の周辺に群がる笹ダニは、次々に現れて増殖し肥えるばかりだ。
筍は都心のビル群、ダニは反社勢力だが…。下らない事を考えていたら、夜明けになってしまった。
ブラインドの端から、ほんの少し射し込む太陽が眩しいが、構わず目を閉じ頭を休ませる。
チェーン規制されている上に、所々で大雪により、通行止めされている高速道路は使わずに
一般道で神奈川基地からのドライブを楽しむ。勿論、非合法な仕事時は検問を警戒して高速道路を使わない為でもある。
用心してＮシステムは回避し、念のため、フロント硝子上部に雪を張り付けてあり、運転手の顔は解らない。
車内は氷点下であるが、寒さは忘れる事にする。枝折峠入口着、冬季雪積で通行止めの看板と鎖があり、
妨げとなるので、鎖をワイヤーカッターで切断し、車を乗り入れる。切断した鎖を、道端にある通行止めの
立看板裏の針金を使い、簡易結束させ元通りにする。ジープの轍は雪で間も無く消えるので、
車が峠に入ったとは気付かれない。小一時間、峠を登り、車でのラッセルが困難を極めてきたので、停車させる。
リアゲートを開け、ラダーレールをバンパーに引っかけ、軽量化スノーモービルを滑り降ろす。
ジープを木立の間にバックで乗り上げ、フロントを下りに向ける。雪で車が埋もれた場合、
車体下はリアが高いのでバック発進が容易だが、車体が隠れる位の降雪が予想されるので
林道での転回に手こずるより、トルクに任せて発進させた方が楽だ。雪中迷彩ウェアを着用し、身を引き締める。
隠し物入れから、緩衝材で梱包した爆発物一式を取り出し、リュックに移し背負う。モービルをセル始動させる。
野太いエンジン音と低い排気音だが、周囲数十キロに民家は無いので、遠慮しないで走らせる。
覚醒剤工場に行く前に、携帯電話用アンテナ基地に寄り、フェンスをよじ登る。この基地局は
東会専用の局なのだが監視カメラは無い。局は太陽光で稼働しているが、予備としてバッテリーもある。
バッテリーBOXの扉は不用心にも鍵が無く、レバーを捻るだけの簡素な作りだ。こんな山奥なので油断しているのだろう
扉を開けるが、ビックリする仕掛けは…ない。アンテナに延びてる、バッテリーケーブルの一端を外す。
太陽光はないので、30分位は太陽光蓄電システムで携帯電話の通話が可能だが、何れ圏外表示される。
東京ドームを一回り大きくした盆地形状の敷地に、工場と住居があり、電線は無く自家発電だ。
ヘリは留守だが、敷地中心にヘリポートがある。猛吹雪で離発着は無理だろうが、ヘリポートは
融雪剤が散布されてあるのか、その場所だけ雪が降り積もらない。だが、白い迷彩ネットが敷いてある。
工場やアンテナ基地の建造、人員と物資輸送はヘリを利用したのだろう。枝折峠の途中からは獣道だけで、
夏季でも徒歩やトライアルマシンで、ここに辿り着くのは難しい。工場と住居屋根は雪に覆われているが、
屋根と壁に草色のカモフラージュ･ネットを張り巡らし、空からも容易く視認出来ない様に迷彩している。
数百億円を稼ぎ出す施設なのだから、当然の警戒だ。喉が乾いて、口内の皮膚が割れたので、雪の結晶を僅かに舐める。
2mと1mの単管パイプとクランプを拾い、手締め連結し棒高跳び用ポールを作る。積雪を物ともせずに走る…
という訳にはいかないので、雪を固めて助走区間7mを、靴底を使って走路を作る。
電流柵の手前1mをポール支点として、ふわりと軽やかに飛び越える。柵の丁度、真上に跳んでいる最中に、
単管ポールは電流柵の外に、指で軽く押しやる。ポールが電流柵に触れて、背中のバッグに積めた、
ア○ホが誘爆してしまったら、挽き肉になってしまう。敷地内侵入成功。吹雪で身体とポールの着地音は掻き消される。
風下から風上に向かって、敷地内に爆薬を仕掛ける計画であったが、基地が盆地内に収まっており
四方八方から吹雪いているので、風向きを気にするのは止めた。尤も、荒天で番犬は放たれていないが
アンテナ局のバッテリーが切れる迄に、爆発物をセットしなければ、東会の連中に気付かれてしまうのは
時間の問題なので、手早く移動しなければならない
窓の無い建物の壁に耳を充て研ぎ澄ませ、内部を窺う。番犬の唸り声は聞こえない。数歩先の換気口からも
覚醒剤特有の饐えた臭いは漂ってこないが、換気口から僅に灯りが漏れている。場内に入るには
正面出入口か換気口だけだ。3ヶ所の換気口があるので、蜘蛛の巣が張られている、換気頻度が少ない換気口から侵入を試みる
換気扇のアルミ板カバー1枚を、手前に少し折り曲げ、身を乗り出し内部を片目で、そっと見る
数百本のドラム缶が並べてある。その右方に蛸足の様にパイプが四方に伸びて、覚醒剤精製機械と器具に繋がれて、硝子容器に薬を保存しているのが見てとれる
硝子容器に高濃度の、覚醒剤を保管して、出荷間近にドラム缶に移し濃度を薄めて、配達するのだろう
バイヤーに渡れば更に薄まり、エンドユーザーが使用する時には、即死しない程度の薬効なのだ
正面出入口隣に詰所があり、灯油ストーブの炎が、ぼんやり見える、小窓は詰所内部の熱で曇てっいる、警備の者が3名。
全ての換気カバーを手前に折り曲げ、体を場内に滑り込ませる。外壁は雪が2m積もっているので難なく入れるが
内部は床まで高さ4mあるので、慎重に静に降りる。外に出る時は、ドラム缶を利用し飛び上がればいい
氷点下25度でも爆発するア○ホを精製機械に仕掛け、導爆線を持ちドラム缶に静に乗り、外に出る。
親ダイを５分後に起爆させる為にタイマーをセット。工場離脱。背中の爆発物を置いてきたので、
身軽になった分、足取りは軽いが低姿勢で豹の様に素早く、敷地境界のフェンス着。フェンス下の雪を掻く、
柵下の雪は電熱で溶けかけているので、雪掻きは楽だが、棒高跳び用のパイプを電柵に触れない様に引き出すのは苦心する。
助走をつけ、跳び越えるが、フェンス突端でパイプを敷地内に放る。着地し敷地内を見渡すが
警備の連中の慌ただしい動きは零。邦彦の足跡も消えかかっている。スノーモービルに乗り、
雪を蹴散らせバランスを取りながらジープに向かう、横目でアンテナ局を一瞥し過ぎる。局の予備電源の赤ランプは消滅。
と、その時、背後から山を揺るがす程の轟音が聞こえた、同時に、モービルに乗車していても感じる位の振動も体に伝わる
ドラム缶の中にある粉が粉塵爆発したのだ。薬の供給量が減れば、薬価は急上昇してジャンキー共が罪を犯す。
取り締まるのは桜田組の仕事であり、俺の知った事ではない。と、吐き捨てる様に言い
雪路を爆走する
時速120以上で、縫う様に林の中を移動しているので舌を噛みそうになる。潤すのに苦労するが
停止して水分補給してしまったら、時間をロスしてしまう
山奥の雪深い木立を左右に小刻みにスムーズに切り抜けるが、内心はダイハードであった
ジープから800m手前の窪みでエンジン停止。窪みから這い上がり、片目だけ出し、ジープ周辺を観察する
敵はいない、視線を上方に移すが樹の上にプレデターもいない。
ジープの車体が、スッポリ埋っているので
車内に敵が潜んでいるかも解らぬ。
風下から近付き、ジープ内と車体下に耳を向けるが、哺乳類の心音と爆発物のタイマー音も聴こえない。
車体下に手を入れ、リアゲート開閉ヒンジを捻る。ゲートを開け、運転席着。
クラッチを踏みエンジンスタート。50cmバックした後、ギアを1速に入れ、林道に勢い良く乗り上げる。
直ぐにバックし、ギアを1速に入れ発進。今度は5mの走路が築けたので、少し速度が上がる
雪に隠れた林道の轍に、タイヤが填まる感触が伝わる。ギアをニュートラルにし、
サイドブレーキは引かず、後部からラダーを蹴り出し、リアゲートから跳び降り、
即座にモービルを取りに戻る、途中、密造工場の方角から吹雪の風に混じり、微かに煙臭がしてきた。可能な限り急がねばならないが、基地に行くルートを考える。
かなり遠回りだが中津川林道を利用する。想像以上、広範囲に爆破したのだから、発覚は意外に早いかもしれない。
県道を避けて林道を走行すれば、桜田の非常検問を回避できる。
スキー先端がラダーに届く寸前に、エンジン停止、同時にブレーキングし惰性でジープに昇る
息つく暇も無く、ラダーを仕舞いゲートを閉じ、ジープを一旦バックさせ2速にチェンジし、林道を下る。
ラッセル走行を数十分。時折、車が転倒しそうになったが、峠の出入口が見えてきた。
人の痕跡は見当たらないので、車を出て簡易結束の鎖をほどく。
万が一、人が居れば気絶させればいい。鎖を結束し直し、峠を後にする。
嫌､間もなく 髪も無く 髪もぅ生えはしない
毛出るマルコメ お前生えたんだ ｱﾃﾞ○ﾝｽ続く この髪を
さあ剃髪だ 今 毛が生える 希望のｶﾂﾗ 両手に掴み
○ンチョに小分けの 髪生やさせて 母さんのいる あの髪○素
張りある髪を めざせ
僅な髪の中に 刻みつけた願い 母さんの面影 消えてゆく
髪noだ髪no海 髪切る物はない そしてマルコメ お前切ったんだ
母さんを訪ね この髪を さあ剃髪だ 今 毛が生える
抜く毛に産毛 朝抜けた髪 膨らむ髪に憧れだいて
髪さんに会える 喜びの毛を はるかにおもい 産毛
はみ出しそうだ とび出しそうだ 利き手で塗るのが すばらしすぎる※
△ニスして欲しい ニスして欲しい ニスして欲しい ニスして欲しい
躯体が棟に 近づくように ニスして 欲しい△
棟棟棟…棟棟棟…もう動けない ニスが来ても
僕はあなたの そばで塗るから 雨が降っても 風が吹いても
僕はあなたを 守って刷毛る
押入れ欲しい 押入れ欲しい 押入れ欲しい 押入れ欲しい
座る床など 塗るのでしょうか 押入れ 欲しい
(※くり返し)(△くり返し)ニスして欲しい ニスして欲しい お家
いつまで書いても変わらないそんなスレあるだろうか
見てきたスレや書いたレスいままで覚えた全部
でたらめだったら面白い そんな気持ちわかるでしょう
※答えはきっとスレの方 固定のずっとスレの方
名無しは底からやってくる 固定のずっとスレの方※
なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せ
なるべくいっぱい集めよう そんな気持ちわかるでしょう
(※くりかえし)
1000レスも埋ったら(藁)をスレに咲かせよう
★ｷｬｯﾌﾟにキスをあげましょう 口腔のずっと奥の方
ため息混じりのレスに ついこのスレのばしたくなる
あのスレこのスレ(あのスレこスレ町)足掻くレス
名無しと固定と(名無しと固定と)ｳｪｲﾃｨﾝｸﾞレス
スレの建つのは これからなのに 無ﾄﾘｯﾌﾟのままで依頼というの
ちょっとちょっと建ってよちょっと
※あわてないで>>1を読め>>3は 女はいつも○ステリー
行かないで>>1を読め>>3は 一人のものにならないで
ｱｯ!?~ｱ~ｯ!?スレが大事スレが大事スレが大事だよ
>>1>>2>>3は >>2>>2>>3は >>1を読め よく読め >>1を読め>>3は※
あのスレこのスレ(あのスレこのスレ)萌えageる
名無しと固定と(名無しと固定と)ハンネ文
ハンネの自演はこれからなのに 名無し等さえも焦らすというの
ちょっとちょっと待ってよちょっと(※くり返し×2)
ですね。。。
除草剤
22口径かな
フェザータッチなので覚醒する事なく「ピアノ線」
を射ち。切断
ヤッパーデブ 私たちこれから食うところ
あなたの言葉が 昼食のように
私のこころにしみている ああ 食べている
むらさきいろした 味噌ダレ餅が
グラタンみたいに見えている ああ 見えてる
その餅なの 餅持ち君たち炙りなさいと
二人をひきさく声がしたのよ熱熱熱
ヤッパーデブ 我慢しないで
ヤッパーデブ 私たちこれから食うところ
ヤッパーデブ 我慢しないで
ヤッパーデブ 私たちこれから食うところ
餡煮ているよと 炎熱汁が
私を○してしまいそう ああ 煮えそうよ
都会の空では 奇跡のような
胃袋ひろがる夏の夜 ああ 夢みたい
その餅なの 餅持ち君たち炙りなさいと
鍋から器に戻されたのよ熱熱熱
ヤッパーデブ 我慢しないで
ヤッパーデブ 私たちこれから食うところ
リーブなスリム21を撒かせても ｶﾂﾗに怯えていたよ
いつも天辺 覆わない毛 お寒い天辺 誰かの為に毛切られるなら
いつも通り 前剃り お寒い剃り 髪もぅ(毛)硬くはない
毛が生えていた 額では抜けない髪のｶﾂﾗを嵌めて
毛が生えてきた この髪で優しさに甘えて痛くなった
毛がちゃんと有るの 髪だけを守れる物が何処かにあるさ
毛がちゃんとあるさ 額でも 昨日抜けた髪を取り戻すよ
髪だけが
過ぎ去りし日々の夢を叫ぶ時
帰らぬ男ﾀﾁ 熱い胸をよぎる
攻めて今日から一人きり 船に乗る
アッー!?日本のどこかに 俺を待ってる男がいる
いい尻 ｳｹﾀﾁ 夕焼けをさがしに
俺の背中で聞いた男を道連れに…
岬のはずれに少年はｲｻｷ釣り
青いすすきの小径を帰るのか
俺は今から 想い出を創るため
砂に枯木で書くつもり“ｲｻｷは？"と
アッー!?日本のどこかに 俺を待ってる男がいる
いい尻 ｳｹﾀﾁ 羊雲をさがしに
乳が教えてくれた男を道連れに…
アッー!?日本のどこかに 俺を待ってる男がいる
いい尻 ｳｹﾀﾁ 幸福をさがしに
子供の頃に釣ったｲｻｷを道連れに…
>>818
井形慶子「イギリス式月収20万円の暮らし方」
に載ってるやつかな
http://wc2014.2ch.sc/test/read.cgi/souji/1401262061/839
http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/intro/1432714218/
ぽん
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/intro/1414416212/
ぽん
http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/intro/1404984024/
ぽん
http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/intro/1365470751/
ぽん
http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/intro/1363130098/
ω-)
http://peace.2ch.sc/test/read.cgi/intro/1368098843/
ｱﾊｱﾊ
「パーティーで途中で居なくなっても誰にも気づかれない。そういう人間さ。」
「居なくなっても誰にも気づかれない。そういう板さ。」
店からｸﾀﾋﾞﾚﾀｵﾙを持参して宅清掃用に2枚持参
使用かな
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