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【理想のヒモ生活】 渡辺恒彦 総合スレ その10


1 :2019/11/10 〜 最終レス :2020/02/19
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次スレは>>980を踏んだ人が宣言して立ててください。
無理な場合は代理を指名してください。
・次スレ作成時>>1の文頭1〜3行目に
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・書籍版のネタバレ解禁は公式発売日の24時(翌日0時)から。

ここは、渡辺恒彦について語るスレです。
小説家になろうで連載されているネット小説、出版書籍、
などを自由に語ってください。
書籍版との比較などもこちらでどうぞ。
※前スレ

【理想のヒモ生活】 渡辺恒彦 総合スレ その9
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1567953762/
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2 :
>>1
乙!

3 :
 ボス戦そのものは、ミリアが一匹めとボスまでを石化するのは確定で、三匹めを、俺が倒すのが先かミリアが自力で石化させるのが先かの競争、という感じの進行か。

 最後の一匹には、状態異常耐性ダウンはかけない。

 かけてしまえばミリアがあっさりと三タテを喰らわせることは確実だ。



 状態異常耐性ダウンをかける一匹めなど、石化は異様に早い。

 うまくいけば最初の一振りで石化とか。

 石化にならなくても麻痺してしまうことも多く、麻痺してしまえば魔物からの攻撃を気にすることなく剣を振り回せばいいので、石化は時間の問題となる。

 俺の雷魔法で麻痺することもある。



「ミリアのおかげで戦闘が楽に進みます。もう少し早く動き出してもいいかと思います」



 石化の恩恵を最も受けるのはセリーだ。

 経験値獲得のためにデュランダルは出さないようにしているから、詠唱中断のスキルがついている武器はセリーの槍しかない。

 魔物が魔法やスキルを使ってこようとした場合、セリーが止めなければいけない。

 注意を払う魔物が三匹から素早く二匹に減るのは歓迎だろう。



「では、それでやってみてくれ」



 セリーの提言を受け、戦い方も少しいじった。

 いずれにしても最後が俺とミリアとの競争になるのは変わらない。

 今回は俺の魔法で倒す。

 ルティナが魔法を二回使ったので、そのサポートもあったとはいえ。



「やった、です」



 その次はミリアが三タテだ。

 ルティナのサポートがないとこれか。

 ええい。

 よろしい。ならば競争だ。

4 :
 と思ったら、そこからミリアの快進撃が。

 俺が三タテを喰らってしまった。



「そろそろ日の昇るころですね」



 などと勝手にゲームを設定していたら、時間も早くすぎたようだ。

 ロクサーヌにタイムオーバーを告げられる。

 残念だがここまでのようだ。

 今朝のところは勝ちを譲っておくしかないだろう。





 迷宮から出た後は、朝食を取り、商人ギルドへ赴く。

 ギルドでは芋虫のモンスターカードを買っただけで、すぐ家に帰った。

 金銭的には、もっとあれこれ頼んでもいいのだが。

 迷宮での稼ぎは大きくなってきているので、装備品だろうがモンスターカードだろうがばんばん買いあさっても問題はない。



 心配なのは、相場が崩れることだ。

 出品されるモンスターカードを片っ端から落札していけば、いつかはそうなるだろう。

 かく乱要因になれば誰かから恨みを買う。

 仲買人を介しているとはいえ、不要な軋轢は避けたい。



 俺たちの成長スピードと装備品の強化速度が合わなくなるが、仕方がないだろう。

 こればかりは一朝一夕で解決できる問題ではない。

 普通のパーティーはもっとゆっくりと強くなっていくのだろうし、長い目で見ていこう。



 持ち帰った芋虫のモンスターカードはセリーに融合してもらう。

 セリーはあっさりと身代わりのミサンガを作り出した。

5 :
「できました」

「よし。無事成功だな。ありがとう」

「確実に成功させるという話は本当だったのですか……」



 ルティナも感じ入っている。

 セリーのいいアピールになっただろう。

 別にそんなことをしなくてもルティナがセリーを軽んずることはないだろうが。



 身代わりのミサンガは大切にアイテムボックスへ収め、迷宮に戻った。

 ミリアとの競争再開だ。

 ここからは少し本気を出させてもらおう。



 ボス部屋に入ると、煙が三箇所に集まる。

 そのタイミングでオーバードライブと念じた。

 煙がしっかりとした形に整い、魔物の姿を示す。

 ボスタウルスと、今回はモロクタウルスが二匹だ。



 アクアストームとサンダーストームを念じた。

 ややあって、魔法が発動する。

 発動までには結構な間があった。



 オーバードライブ中だが魔法の発動まで早くはならないようだ。

 俺の動きは早くなっても、発動は別らしい。

 念じることは素早くできたから、いくぶんか早くなっているだろうが。

 動きが早くなっているので、かえって発動までが間延びして感じる。

6 :
その間、ミリアがゆっくりと近づいていっているモロクタウルスに状態異常耐性ダウンをかけた。

 試しに魔法も念じてみたが、こちらは発動しないようだ。

 最初に念じた魔法が発動して少したったころ、オーバードライブの効果が切れる。

 魔物やパーティーメンバーの動きが速くなった。



 オーバードライブ一回につき魔法二発は無理か。

 オーバードライブの効果が切れると、雷光が急速に収まり、霧が晴れていく。

 晴れたところで、またオーバードライブと念じた。

 次の魔法を放つ。



 戦闘中とはいえ俺だけが突出して動いてもしょうがないので、発動までじっと待った。

 オーバードライブが切れて魔法が使えるようになったら、またオーバードライブをかけ、次の魔法を。



「やった、です」



 ボスまであっさりと石化されてしまったが、オーバードライブを繰り返した。

 石化したモロクタウルスが煙になる。

 同時に、石化していない魔物も倒れた。

 今回は俺の先着だ。

7 :
やはりオーバードライブは使える。

 オーバードライブ中の攻撃は威力が上乗せされると感じたが、魔法でもそうなるようだ。

 魔法の攻撃力もしっかり上乗せされている。



 現象としては、戦闘時間が短くなった。

 今までの半分だ。

 つまりオーバードライブで威力が約二倍になるのだろう。



「……戦闘時間がいきなりかなり短くなったようですが」

「ルティナも少しは慣れてきただろう。これからはこれでいこう」



 ボスにアクアボールを撃ち込みながら、セリーの突っ込みにも応じておく。

 まだまだ魔法を使える余裕があるから、オーバードライブは常時使用しても大丈夫だ。

 オーバードライブ一回につき魔法を二発放ち、その威力が二倍になるのだから、オーバードライブ一回で魔法二発分のMPを節約できることになる。



 オーバードライブ一回の消費MPは、魔法二発のMPより少ないか、仮に多いとしても体感できるほどの違いはない。

 少なくともガンマ線バーストやメテオクラッシュの比ではない。

 オーバードライブを常時使用してもMPが問題になることはないだろう。



 問題があるとすれば、寿命か。

 オーバードライブは寿命を削るとか、そういう副作用がありそうな気がする。

 副作用としてはなかったとしても、俺は体感長く生きることになるから、その分客観的な寿命は短くなるのではないだろうか。



 細胞は老化していくだろうし、一生の間に心臓が脈動できる回数には上限があるという。

 オーバードライブ中に鼓動が遅くなったりはしていないと思う。

 それでどのくらい寿命が短くなるか。

8 :
 戦闘時間の半分でオーバードライブを使ったとして、迷宮に入っている時間のうち戦闘時間の占める割合は多くても二十五パーセントくらい

一日八時間迷宮に入ったとするとオーバードライブのパーセンテージはさらにその三分の一、全体では五パーセントに満たない時間だろう。

 俺が今後六十年間迷宮に入り続けるとして、オーバードライブを使っている時間は三年以下ということになる。

 その分だけ寿命が減るとして、短くなるのは三年だ。



 そのくらいなら、まあしょうがないのではないだろうか。

 オーバードライブで寿命が短くなると決まったわけでもなし。

 短くはならないかもしれない。



 仮に現在の寿命が七十七まであるとして、七十七歳まで生きるのも七十四歳まで生きるのもそんなに違わないような気がする。

 七十三歳になったとき後悔するかもしれないが。

 そのときはそのときだ。



「どこまで強くなられるのでしょうか。まだ何か隠していそうです」

「今のところはあまりないな」



 セリーにはそう答えておいた。

 ジョブに英雄と魔法使いをつければ、もう少し戦闘時間は短くなるだろうが。

 魔法使いの魔法もオーバードライブが乗って威力が二倍になるだろうから、結構な違いになるかもしれない。



「さすがご主人様です。この分だとすぐにももっと上の階層へ行けそうです」

「上の階層ですか。いえ、わたくしもついていけるはずです。それよりも、わたくしのために手加減してくれていたようで、申し訳ありません」

9 :
 ルティナが謝ってくる。



「あー、いや。別にそこまでではない。気にするな」



 ルティナが慣れてきたからこのやり方にするというのは、慣れるまでこのやり方にしなかったということだ。

 勘違いさせたかもしれない。



 ボス部屋を出て、また戦闘を繰り返す。

 オーバードライブが使えることが分かったので、ボス部屋への移動途中で出会う魔物に対しても同様の戦い方でいくようにした。

 戦闘時間が短くなって、かなりいい感じだ。

 命の危険どころか攻撃を浴びる可能性が大きく減って、半分ピクニック気分で迷宮を歩ける。



 魔物と直接対峙する前衛陣は、そこまで気楽ではないだろうが。

 短くなったといっても魔物と接触する前に倒せるほどではないし、かといってあわてて魔物のところに駆けつけてもすぐにこともなく終わってしまう。

 少々ストレスの溜まりそうな状況だ。

 まあ危険があるよりはいいだろう。



 それよりも問題点は、石化しにくくなったことか。

 戦闘時間が短くなったので、そのこと自体はしょうがない。

 三匹以上魔物がいるときにミリアが全部を石化させるような時間はなくなった。



 全部の魔物が石化すればデュランダルを出してゆっくりMPを回復できるのだが、それができない。

 オーバードライブを使ってもMP消費に大きな違いがあるのではないが、MP回復には難が残った。

 現状では、ボスが確実に石化したまま残るので、ボスをデュランダルで倒して周

10 :
 ボスは経験値的に大きいだろうから毎回全部デュランダルを出すのはもったいないし、今のようにボス戦メインの戦いをしなくなったときにどうなるかという懸念はある。



 いや。そのときはそのときか。

 ボス戦メインでなくなるということは、戦闘時間も延びて厳しくなってきたということだろうし。

 戦闘時間が延びれば石化は増える。

 あるいは、普通の雑魚戦でも状態異常耐性ダウンを使って、ときどきは全部石化させるように誘導してもいい。



 戦闘時間が短くなったのでボス戦で三匹めを俺が先に倒すかミリアが先に石化させるかの競争はなくなったかといえば、なくなっていない。

 やはり最後はその競争になっている。

 思うに、オーバードライブは状態異常耐性ダウンにも効果が乗るのではないだろうか。

 耐性ダウンなので威力が増すのではなく、下げ幅が増える方向で。



 状態異常耐性ダウンをかける一匹めなどは、ミリアが文字通り一振りか二振りで石化させるようになっていた。

 ボスが石化するのも早い。

 状態異常耐性ダウンの効果が上がっているのでなければありえない確率だ。

 俺の雷魔法で麻痺することも増えたし、間違いないだろう。

11 :
ちなみに、雷魔法の麻痺確率はオーバードライブで増えていないと思う。

 威力は上がっているのでそこまでは贅沢か。



 三匹めは状態異常耐性ダウンをかけないので、ミリアとの競争はトータルではやや俺の方が有利だ。

 今回も、石化したサイクロプスに続き、石化していないモロクタウルスが俺の水魔法で倒れる。

 俺の勝ちだ。

 モロクタウルスが煙となって消え、アイテムが残った。



 あ。

 三角バラだ。

 ボスタウルスはまだザブトンを残さないが、料理人をつけた効果がここで出た。

 今夜の夕食は魚ではなく焼肉に決定だ。



「ここまで楽に戦えるのでしたら、今日明日と二日間も様子を見る必要はないのではないでしょうか。すぐに上の階層へ行っても大丈夫だと思います。わたくしのことなら心配には及びません。戦ってみせます」



 ルティナが進言してくる。

 確かに、状況的にはそのとおりなんだろう。

 ただ、調子に乗ってほいほい上がっていくのも怖い。

 ここでロクサーヌに相談などしたら、上に行くと主張するに決まっているし。

12 :
「うーん。どうしようか」



 回答保留のまま、ボスをデュランダルで始末した。

 ボスが倒れ、煙になる。

 煙が消え、肉が残った。



 あら。

 ザブトンだ。

 三角バラに続いて、ザブトンが残った。

 今回のボス戦はついている。



「ご主人様と私たちなら上の階層に行って何の問題もないと思います」



 そんなことよりロクサーヌよ、ちょいと聞いてくれよ。

 まあ俺のようなド素人は、ザブトンでも食ってなさいってこった。



「お。これはザブトンが残ったな」

「あ。すごいです」



 話をそらす。

 ザブトンは、鑑定がなくてもアイテムボックスにロースと一緒には入らないからそれで分かる。



「上の階層か。さすがに今からでは調子に乗りすぎだろうが、今日一日この階層で戦ってみて明日からならいいだろう。それでどうだ」

「はい。それでいいと思います。さすがご主人様です」

「……やはり、食い道楽」

13 :
 迷宮での戦闘を終える。

 今日の仕事はここまでだ。

 この後は買い物をして家に帰り、家に帰って夕食をすませたらさらにその後は……分かるな。

 ぐひひひ。



 ちなみに帝都の服屋にはまだ行かない。

 行けばロクサーヌたちも手ぶらで帰すわけにはいかないし、連日はやめておいた方がいい。

 帝都の服屋だから買うのはネグリジェのキャミソールでいいが。



 ルティナの寝間着は、伯爵のところから着てきた服で間に合っているみたいだ。

 しばらくはいいだろう。

 それに、ルティナはまだまだ味わい始めたばかり。

 変化をつけるのは味に飽きてからでいい。



 ルティナは俺から逃げられはしない。

 楽しみは追々でいい。

 ゆっくり、じっくり味わえばいいだろう。

 時間はたっぷりとある。



「ザブトンも出たことだし、今日の夕食はシンプルに肉を焼こう」



 五人を前に宣言した。

 ザブトン、ロース、三角バラの食べ比べだ。

 もうルティナに食い道楽と思われてもいい。

 どうせルティナは俺からは逃げられない。

14 :
 俺という触手に捕まっている。

 飛騨山中に篭ること十余年、あみ出したるこの技。

 もがけばもがくほど身体に食い込んでいくわ。



 この世界には醤油もウスターソースもないし俺では複雑なソースは作れないが、塩とコショウは魔物がドロップするため自由に使える。

 シンプルにステーキでいいだろう。



「はい。楽しみです」

「結構量はあると思うので、後は野菜スープでも作ってくれ」

「分かりました」



 スープだけ頼んで、買い物に出かける。

 パンに野菜、卵を購入して家に帰った。

 夏の暑さは峠を越えたと思う。

 多分一番暑い時期は過ぎたのではないか。



「今日は肉ばかりだし、明日の夕食には白身でも揚げよう」



 だからといって急に涼しくなるわけもないが、油で揚げる料理を再開してもいいころあいだ。



「おお。はい、です」

「ミリアとベスタはこの卵でマヨネーズを作ってくれ」

「まよねーず、です」

「はい。できると思います」



 ミリアとベスタに卵とオリーブオイルを渡した。

 一人でマヨネーズを作るのは大変だが、二人がかりなら大丈夫だろう。

15 :
「まよ、まよね、ですか?」

「マヨネーズという調味料ですね。まったりとした美味しいソースです」

「わたくしは聞いたことはありませんが、そういうソースがあるのですか」

「ねっとりとしていますがそこまでしつこくなく、豊かな味わいで魚や野菜を引き立たせます」



 セリーとルティナが会話している。

 マヨネーズはブラヒム語に変換されない。

 似たような調味料はないのだろう。



「それは楽しみです。食い道楽というのも悪くないかもしれません」



 いいところに気がついた。

 ルティナよ、そのとおりだ。



「肉も焼いといてくれ」

「分かりました」



 ザブトン、ロース、三角バラを出してロクサーヌとセリーに託す。



「俺は風呂を入れてくる。ルティナも一緒に来てくれるか」

「はい。わたくしも手伝います」

「頼む」



 ルティナと二人で風呂場に向かった。



「本当に毎日お入れになるのですね」

「夏の間は汗もかくしな」

16 :
「本当に毎日お入れになるのですね」

「夏の間は汗もかくしな」



 ルティナに手伝ってもらえるようになって楽になったし、夏が終わっても風呂は毎日入れていい。

 どのみち風呂を入れなかったとしても五人の身体は毎日俺が磨き上げるが。



「大きな湯船に寝転がるのも気持ちいいものですね。まさに栄華の極みです。わたくしにふさわしい。わたくしもお風呂が大好きになりました。ありがとうございます」



 ルティナは風呂も好きになってくれたらしい。

 いい傾向だ。

 好きになった理由はともかく。



「気に入ってくれて、なによりだ」

「ミチオ様と一緒なのが少し恥ずかしいですが、侍女と一緒に入ると思えば」



 俺は侍女扱いか。

 もっと素直になれ。

 そんなことを言っても下の口は喜んでおるわ。



 ルティナと一緒に風呂を入れる。

 オーバードライブは使わない。

 戦闘と違って時間が問題になることはないし、ゆっくり入れればいいだろう。



 威力が二倍になっても水の量が二倍になるとは限らないし。

 バーンウォールの火力は上がるだろうが。

 ゆっくり入れたおかげか、ルティナは今日は最後まで手伝った。

 MPも増えているのだろう。

17 :
「よし。ここまでにするか」

「気分が悪くなったりはしていないな」

「大丈夫です。昨日よりも風呂を入れるのが早かったのでしょうか。ミチオ様は戦闘時間も短縮させましたし」



 ルティナは少し不思議がっている。

 最後まで手伝えたのは、魔法使いのレベルアップのおかげだと思う。

 俺の勇者のレベルアップも効いているはずだ。



「魔法を使うのに慣れたのだろう」

「確かにそれはあるでしょう。さすがはわたくし。いえ、しかし」



 素直に喜んでおけばいいものを。

 それ以上は突っ込むことなく、キッチンに行った。



「まよねーず、です」

「よし。じゃあ明日まで置いておこう」



 キッチンに戻ると、ミリアがマヨネーズを渡してくる。

 ベスタと二人できっちり作ったようだ。



「こちらの方も進んでいます」



 肉はロクサーヌが焼いていた。

 うまそうな匂いが漂ってくる。



「あー。これがザブトンか」



 焼く前の肉を見ると、種類によって結構色が違った。

 色が違うというか、サシが入っている。

 アイテムとしての見た目はロースとザブトンとであまり違いはないが、切り口

18 :
 ロクサーヌはサシを知らないらしい。

 知らなければ気味が悪いのだろうか。

 綺麗な霜降りだと思うけどね。



「そうなのですか?」

「へえ。そういうものなんですか」



 セリーですら知らなかったようだ。

 大丈夫だろうか。

 この世界だとサシが入っている方が味が落ちるとか?

 ザブトンの方がレアドロップなのだからそれはないか。



「ザブトンは領民からの献上品で何度かいただいたことがあります。確かに美味しい食材でした」



 ルティナもうまいと言うのだからうまいだろう。

 献上品というのは、どうか知らないが。

 収奪品の間違いでは。



「ロクサーヌ、肉汁をもらえるか」

「はい」

「ベスタはこの野菜をみじん切りにしてくれ。ルティナは、氷を砕くのを頼む」



 キッチンでは、俺はソースを作った。

 普段なら牛肉は塩コショウで焼くだけで十分だが、今回はザブトン、ロース、三角バラの食べ比べなので量が多い。

 シンプルに焼いただけでは物足りない部分も出てくるだろう。



 焼いて出た肉汁にワインときざんだ野菜を入れて煮込めば、簡単なソースの出来上がりだ。

 ドミグラスソースのようなものは作り方も知らないし無理だが、味の目先を変えるくらいならこれで十分だろう。

 別皿に用意して、好みでかければいい。

19 :
 ロクサーヌはサシを知らないらしい。

 知らなければ気味が悪いのだろうか。

 綺麗な霜降りだと思うけどね。



「そうなのですか?」

「へえ。そういうものなんですか」



 セリーですら知らなかったようだ。

 大丈夫だろうか。

 この世界だとサシが入っている方が味が落ちるとか?

 ザブトンの方がレアドロップなのだからそれはないか。



「ザブトンは領民からの献上品で何度かいただいたことがあります。確かに美味しい食材でした」



 ルティナもうまいと言うのだからうまいだろう。

 献上品というのは、どうか知らないが。

 収奪品の間違いでは。



「ロクサーヌ、肉汁をもらえるか」

「はい」

「ベスタはこの野菜をみじん切りにしてくれ。ルティナは、氷を砕くのを頼む」



 キッチンでは、俺はソースを作った。

 普段なら牛肉は塩コショウで焼くだけで十分だが、今回はザブトン、ロース、三角バラの食べ比べなので量が多い。

 シンプルに焼いただけでは物足りない部分も出てくるだろう。



 焼いて出た肉汁にワインときざんだ野菜を入れて煮込めば、簡単なソースの出来上がりだ。

 ドミグラスソースのようなものは作り方も知らないし無理だが、味の目先を変えるくらいならこれで十分だろう。

 別皿に用意して、好みでかければいい。

20 :
 デザートを作れなかったので、氷も出してせめて飲み物を冷やしておく。

 肉を焼くだけなので、夕食はすぐに完成した。

 時間をかけると先に焼いたものが冷めてしまう。



 本当は鉄板でも用意して焼きながら食べるのがいいのだろうが。

 ただ、俺が焼いてロクサーヌたちに食べさせるのも変な気がする。

 誰かが焼いて他のみんなが食うというのもかわいそうだし。

 まあてんぷらは俺が揚げたから、駄目ということもないか。



 食卓に運んで肉を食べる。

 肉はどれも旨かった。



「ロースでも十分に美味しいですね」



 ただし、食べ比べとしては微妙か。

 ロクサーヌの言うとおり、ロースでも十分うまいから。

 単に肉をいろいろたくさん食べた、という感じになってしまった。



 ロースと比べると、ザブトンは柔らかく、一段上の味だ。

 三角バラは、柔らかくはないが濃厚な肉の味がする。

 かといってロースが不味いわけでもなく。

 ロースはロースで十分いける。



「確かに味が違うのは分かりますが、どれも美味しいです」



 セリーも同意見のようだ。



「おいしい、です」

「こんなにいろいろたくさん食べれるのはすごいと思います」

「ソースをかけると食感が変わりますね。しゃきしゃきとした野菜の歯ごたえが素晴らしいです。わたくしはこのソースがすごいと思います。こういうのは食べたことがありません」

21 :
ルティナは、ソースを気に入ってくれたらしい。

 気に入ったならばお礼が必要だ。

 もちろんお礼はお風呂でたっぷりと。



「よし。では片づけたら風呂に入るか」



 風呂場に行き、順番にもみしだいた。

 ルティナのお礼も、思う存分いただく。

 二日めということもあり、昨日より遠慮なくいただいた。

 ルティナの胸は、白くてもちもちしている感じがたまらなくいい。



 大きさは、もちろんベスタが一番でもみ応えもすごいが。

 いや。大きさの比較はタブーだ。

 誰かの目が光ってにらみつけてきたような気がする。



「次はご主人様の体を洗わせていただきますね」



 ここはロクサーヌの提案に甘えておこう。

 五人に体を洗ってもらった。

 ロクサーヌやミリアが泡立てた石鹸のついた胸をこすりつけてくる。



 ベスタの大きな肉塊がマッサージするように背中をこすり上げた。

 これはたまらん。

 比較しないからセリーも来なさい。



 ルティナも、昨日よりやや積極的に洗ってくれた。

 いい傾向だ。

 なめらかなもちもちの肌で洗われる。

 心も体も洗われた。

22 :
 その後、湯船でゆったりと至福のひと時を過ごす。

 湯船はいい塩梅に狭い。

 俺にとって至福のときだ。

 ルティナにとっては雌伏のときかもしれないが、気持ちよさそうに寝転がっていたし、問題ないだろう。



「風呂から上がったら、今日は着替える前に全員でキッチンに行く」

「分かりました」



 宣言して風呂から上がり、キッチンに移動した。

 俺は男らしく体を拭いただけで全裸。

 ロクサーヌたちは体を拭いたタオル代わりの布を巻いている。

 そのくらいはまあしょうがないだろう。



「ではこれより、我が一族に伝わる伝統の作法を教える」

「一族の伝統ですか。ありがとうございます」



 ロクサーヌに礼を言われるほどのものではないが。



「まずは足の間隔をやや広めに開けてしっかりと立つ。片手でカップを持ち、持っていない方の手は腰に当てる
。ひじは必ず横に伸ばすこと。ひじを上げてカップを口に持っていき、顔を斜め上に向けてそのまま一気に飲み干すべし。これが、風呂上りに飲み物を飲むときの作法である」

23 :
 口で説明した後、実際に氷で冷やした酪を飲んだ。

 酪はボスタウルスのドロップなので今日一日で結構手に入れている。

 あまり飲むようなことはしないと言っていたが、うちでならいいだろう。

 食い道楽なのだ。



 さっぱりとした酸味のある濃厚なミルクが喉を降りていく。

 酪はヨーグルトとバターミルクの中間にあるような飲み物か。

 牛乳より濃厚だがべったりはしておらず、コクがあってうまい。



 しかも、風呂上りに冷たい飲み物は格別だ。

 これが酪か。

 お風呂で火照った熱い肉体に冷たい酪がしみこんだ。



「私たちもよろしいのでしょうか」

「当然だ。いってみろ」



 酪は、ドロップアイテムのオリーブオイルと同様、透明な薄い膜に入っている。

 刺激を与えると簡単に一部が破けて、カップに注げる。

 ロクサーヌたちもカップに用意し、酪を飲んだ。



 仁王立ちになって腰に手を当てている姿が素晴らしい。

 胸を誇らしげに突き出している。

 布を巻いているのが残念だ。

 正面からもみしだきたい。

24 :
「はー。冷たくて美味しいです」



 はー、ではなく、カァーなら百点だったぞ、ロクサーヌ。

 この飲み方はもう少し親父臭さがほしい。



「冷たいのど越しが最高です。一気に飲めてしまいますね」



 セリーももっと胸を張れ。



「つめたい、です」

「確かに、すごいと思います」



 大柄なベスタなら親父臭くなるかと期待したが、反応はかわいらしかった。

 こちらの勝手な期待か。

 大柄なだけに、ごくごくと飲み干す感じじゃなく、軽く二、三口で飲んでしまったし。



「火照った体が冷えて、いい感じで眠れそうです」



 ルティナよ、もちろんそんなわけにはいかない。

 この後には軽い運動が待っている。

 軽いといっても俺はルティナたちの五倍だ。

25 :
【アニメ】京アニ制作の短編アニメ「バジャのスタジオ」TV初オンエア、「ツルネ」再放送も
http://egg.2ch.sc/test/read.cgi/moeplus/1572577011/

25なまえないよぉ〜2019/11/03(日) 15:37:53.00ID:DCCe5rky
バジャは朝ドラ終わりの結構良い時間帯に放送するんだな
スタッフ全員のエンドロールと「僕等は皆んな生きている」が流れるのはトラウマになりそうだからカットするかもな

38なまえないよぉ〜2019/11/04(月) 11:12:20.41ID:LnSJF/as>>42
特に追悼文は無し

42なまえないよぉ〜2019/11/04(月) 13:16:23.51ID:47mI6VSO>>45
>>38
ご冥福をお祈りしますとか出なかったの?

45なまえないよぉ〜2019/11/04(月) 19:02:57.63ID:LnSJF/as
>>42
なんも無し
ニュース全く見ない奴は一挙再放送の番宣としか感じなさそう

26 :
>>750
放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:37.16ID:QQlLqivm
この歌は…

898公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:37.64ID:Km4qLfIt
つらいな この歌

907公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:40.69ID:8Wc9+SSo
生きているから死んでない

908公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:40.74ID:UcCtvRZh
この歌流すんか

909公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:41.24ID:2S4/QGmO
みんな死んだけどなー

910公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:44.48ID:Ni9eseyT
生きていないのに。。。

912公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:45.50ID:Zhnpss8Q
全員死んでるんだろ

913公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:44.72ID:OFioCVjJ
この歌はきついわ

916公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:49.06ID:J0Y84pot
なんて歌流すんだよ

919公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:33:50.50ID:fzmPyPMC
朝からこれを見せられてどうしろと

978公共放送名無しさん2019/11/04(月) 08:34:23.28ID:zcoU/jwt
ぼくらはみんな生きている…

27 :
白シャツ

京アニ放火の男「パクりやがって!」恨みつらみ怒り
[2019年7月19日13時55分]

火災で煙を上げるアニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオ=18日午前11時36分、京都市伏見区(共同通信社ヘリから)
京都市伏見区のアニメ製作会社「京都アニメーション」のスタジオの放火火災で、火を付けたとみられる男が警察に取り押さえられたときの様子について、現場近くに住む女性(61)が18日、日刊スポーツの取材に応じ、生々しく語った。

午前10時35分ごろ、女性の自宅の呼び鈴が鳴った。外に出てみると、玄関左の道路脇に大柄な男が倒れていた。あおむけで、膝を曲げた状態で横たわっていた。白いTシャツに青いジーンズ姿の素足。足は血だらけだった。
ジーンズの両膝の下が燃えていたため、女性は火災の被害者だと思い、ホースで水をかけて消火した。女性が「大丈夫ですか?」と声をかけたが、返事はなく、男は苦しそうな表情を見せたという。
両腕はやけどで皮膚がめくれ、髪はチリチリに焼けていた。

間もなくして、数人の警察官が到着。男を取り囲み、「なんでこんなことをしたのか」「どこから(現場の)建物に入ったのか」などと質問を始め、男を連れて行った。
内容はよく聞き取れなかったが、男は強い口調で、なにかに対する恨みつらみのようなことを話していたという。ただ女性がはっきりと聞き取ることができた言葉があった。

「パクりやがって!」

男は体全体に怒りをにじませながら、吐き捨てるように言ったという。
めくれたTシャツのおなかの部分には赤い絵柄の入れ墨があった。男が倒れていたあたりには血の足跡が残っていたという。

女性は「男の顔は緑の怪物の映画に出てくる主人公みたいな顔色だった。血の気がなかったからなのか、すごい顔をしていた」と声を震わせた。【松浦隆司】
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201907180000937.html 

28 :
なつぞらで戸田恵子演じる歌手「煙カスミ」  

甘栗@miso_amaguri
昭和とはいえ児童向け作品で、スポンサーや局がよく「煙カスミ」の芸名をそのまま通してくれたなあ

#なちゅぞら

甘栗@miso_amaguri
9月13日
その他
京アニの犯人は、こんな小さなファンと作り手とのささやかで微笑ましい交流の可能性までも徹底的に破壊しつくしたんだな……

#なちゅぞら
205:名無しさん@おーぷん:19/10/05(土)07:06:32 ID:zX.i9.L1 ×

穂高渓太郎 @hotakaktarosss
9月14日
煙カスミなんて、ギャグかコントのネーミング。あゆ朱美にすればよかったのにね。当時、アニメやドラマのクレジットはレタリングだったんじゃないかなあ。活字使ってたのかなあ?#なつぞら #なちゅぞら

879可愛い奥様2019/09/18(水) 09:26:34.29ID:vDRw29zN0
ゆう @MiyukiYou00
週刊ガソリンが炎上気味だが、あの事件の次の日に「抹殺」という言葉をそのまま放送した犬HKのモラルの低さを忘れない。
音と字幕を消すだけでええやん。じいさんならむしろ黙って殴った方がさまになるし。#なつぞら
3:52 - 2019年8月31日

29 :
383 名無しさん@1周年 sage ▼ 2019/08/16(金) 19:26:50.34 ID:L9dfK49F0 [1回目]
NHKは朝ドラで関西ってセリフと螺旋階段出したんでしょ?

391 名無しさん@1周年 ▼ New! 2019/08/16(金) 20:50:15.48 ID:o3y2zqB20 [10回目]
>>383
まとめにまでなってる…・・・・・・・
https://www.moeruasia.net/archives/49637025.html

492: 名無しさん@1周年 2019/07/23(火) 20:18:05.62 ID:ilU+PUfN0
>>414
普通さぁ、日本を代表するアニメスタジオで、
これだけの大事件が起こったんだから、
アニメーターが主人公の朝ドラなんだから、
追悼のテロップでも入れるのが普通だと思うんだが、 ずっと入らないんよ。
何もなかったように、 和やかなアニメスタジオの話がずっと続いてる。
見ててつらいと思ってた矢先に 「螺旋階段・ほうか」シーンだもんな。

今日は、それだけでなく
「京都のスタジオ」から来たという 新スタッフ登場のシーンまであったんだぞ!

>>492
週刊少年ガソリン
https://togetter.com/li/1398164

875可愛い奥様2019/09/18(水) 08:58:52.83ID:pDlOXZe/0
時計が10時30分、螺旋階段、ほうか、赤いバッグ、京都のスタジオ、ここまで偶然が
重なることは有り得ないんじゃないですか。
ストーリーの中で登場させる必然性もなかったはず。

30 :
>>581
そーできる用にデニー使用基準変更したからだよ

国の管理下だと許されない「使用法」を緩和して自由にしたのが
デニーだもの

31 :
>>544
文科省内でこれを推進してた連中だな
大臣がこんな事考え付く訳がない、単に文科省の中心グループが
前々から計画してた話
大臣が独断でやるとしたらマキコみたいな認可取り消しとか
短絡的な奴しかやれない、官僚上がりの政治家ならちょっと違うだろうけど

32 :
>>518
立憲「調査しました!作成者は私じゃ有りません」だと
全く無意味

マジで「安倍の退陣」が最優先でその為には犠牲も厭わないなら
先ずは元民主党議員が地方も含め全員政界引退する方が早いんじゃね?

全員引退したら7年後は安倍政権じゃ無いと断言しても良い
7年前に全員が消えてれば今の時点で安倍じゃ無かっただろうな

33 :
>>528
まあ在日ほど韓国朝鮮嫌いは居ないからそれは納得できるな

日本人の嫌韓と違って人生掛けてやってる筋金入りの嫌韓派が
在日だもんな
帰国するより死んだ方がマシとかどれだけ嫌いなんだってレベル

34 :
>>615
そりゃまあ
韓国の危機か自分の危機かって選択だからな

ごめんなさいして無条件でGSOMIA延長すれば即座に文は終わるし
このまま破棄ならその内韓国が終わる

なんか日本から引き出して継続だけが国と文の双方が助かる道だが
在日くらいしか引き出せるモノがない

35 :
>>635
その通りこれは設問がおかしい

冷戦時代、ロシアが韓国を攻撃すればアメリカは介入した
でも大韓航空機が撃墜されてもアメリカは介入していない
そーゆーレベルの話

36 :
本当にパヨクって進歩しねーなー

安倍の倒し方なんて簡単だろ?
在日総帰国で良いんだからさっさと朝鮮人追い出せよ
打倒安倍が最優先と言ってるんだから朝鮮人追い出せば
良いだろ?
なんか在日叩き出すと都合が悪いのか?

トランプは不法移民叩き出すと言って大統領になり
メルケルは移民追い出すと言ってる連中に追い詰められてる
安倍を倒したければ朝鮮人を叩き出せ、親韓な安倍を倒したければ
当然の選択だろ

37 :
>>131
本当にバカだな
戦い方って言ってるのはお前だよ
自民党はこーやった!できっちり次の選挙で勝ったんだから
その戦い方は正解だったって事だよ
それを真似して負け続けてるんならその戦い方は野党に向かない
間違った方法って事だぞ

勝つためにどーするか?
昔民主党が政権盗った時は「自民党とは違うんです!」って言ってたのに
自民党と同じ事してるのに勝てないです!と言ってるのがお前だよ
どれだけバカな事言ってるかわかるか?

38 :
>>714
メルケルだのヒラリーだの左寄りの政治家の倒し方は
世界中で実践されてるのになぜか打倒安倍が最大の目標と公言する
日本の野党は真似しないからな

日本人は嫌韓で安倍は親韓なんだから遠慮なく在日韓国人を叩きだせー
と言うだけで親韓の安倍にダメージ与えられるのになぜか
やらない、打倒安倍が最優先って口だけだよな

39 :
>>714
メルケルだのヒラリーだの左寄りの政治家の倒し方は
世界中で実践されてるのになぜか打倒安倍が最大の目標と公言する
日本の野党は真似しないからな

日本人は嫌韓で安倍は親韓なんだから遠慮なく在日韓国人を叩きだせー
と言うだけで親韓の安倍にダメージ与えられるのになぜか
やらない、打倒安倍が最優先って口だけだよな

40 :
「今日はまず三十階層を突破する。地図は持ったな?」
「はい」

 今日も元気に朝から迷宮に入る。
 迷宮へは皆勤賞だ。
 サボるのも怖いんだよな。

 一流のピアニストは一日ピアノを弾かないと下手になるという。
 迷宮へ入るのも、一日休めば腕が鈍るのではないだろうか。
 技術が落ちたときどうなるか。
 迷宮では、下手をすれば命の危険がある。

 一日くらいで急激に弱くなることはないだろうし、現状では余裕を持って戦えているのだから多少勘が鈍ったくらいですぐピンチにはならないかもしれない。
 客観的に判断すれば確かにそうである。
 そのはずではあるのだが、休むのはやはり怖い。

 自分の命を賭け金にしているのだ。
 リスクがでかい。
 下の階層から入りなおせばいいとしても、判断力が鈍っていて、違和感なく普段どおり戦えていると錯覚する可能性もあるわけだし。
 ゆっくり時間をかけて上がりなおすのは、ロスが大きすぎる。

 それにこの世界では休んだからといってたいした娯楽があるのでもない。
 俺は色魔があるからいいとして、相手をするロクサーヌたちも一日中では大変だろう。
 娯楽といえばその程度だ。

41 :
「今日はまず三十階層を突破する。地図は持ったな?」
「はい」

 今日も元気に朝から迷宮に入る。
 迷宮へは皆勤賞だ。
 サボるのも怖いんだよな。

 一流のピアニストは一日ピアノを弾かないと下手になるという。
 迷宮へ入るのも、一日休めば腕が鈍るのではないだろうか。
 技術が落ちたときどうなるか。
 迷宮では、下手をすれば命の危険がある。

 一日くらいで急激に弱くなることはないだろうし、現状では余裕を持って戦えているのだから多少勘が鈍ったくらいですぐピンチにはならないかもしれない。
 客観的に判断すれば確かにそうである。
 そのはずではあるのだが、休むのはやはり怖い。

 自分の命を賭け金にしているのだ。
 リスクがでかい。
 下の階層から入りなおせばいいとしても、判断力が鈍っていて、違和感なく普段どおり戦えていると錯覚する可能性もあるわけだし。
 ゆっくり時間をかけて上がりなおすのは、ロスが大きすぎる。

 それにこの世界では休んだからといってたいした娯楽があるのでもない。
 俺は色魔があるからいいとして、相手をするロクサーヌたちも一日中では大変だろう。
 娯楽といえばその程度だ。

42 :
 それなら、サボらずに毎日迷宮に入り続けるのがいい。
 多少神経は使っていると思うが、気疲れするほどでもない。
 そして迷宮に入った後は毎日きっちり楽しむ。
 毎日発散すれば翌日に心労が残ることもない。

 それで十分だ。
 ロクサーヌの案内で迷宮を進む。
 なかなかいい感じだろう。
 三十階層のボスは、ハートハーブだった。

 ハート型に曲がった茎を持つ草の魔物だ。
 曲がった茎はちょっと心臓を連想させる。
 心臓のように急所、かどうかは分からなかったが。
 ミリアがすぐに石化させてしまったし。

 ミリアは続けて三匹めも石化させる。
 競争は今日も持続のようだ。
 というか、上の階層に進めば戦闘時間が長くなるのだから、ミリアがどんどんと有利になる。
 俺には勝ち目のない競争だ。

 もっとも、上の階層では石化の通用しない魔物が出てくる可能性もある。
 ミリアの石化をレジストするような相手に俺たちがかなうかどうかはともかく。
 是非ミリアには連勝街道のばく進をお願いしたい。

43 :
「やった、です」

 石化した魔物をゆっくりと片づけていると、ミリアが叫んだ。
 全部石化したので残った魔物はいないはずだが。

「なんだ?」
「魔結晶のようです」

 ボス部屋の隅へ駆け出したミリアに代わってロクサーヌが教えてくれる。
 魚貯金こと魔結晶か。
 ボスを相手に連戦するようになって、魔結晶を拾うことは増えた。

 ボス部屋なら戦う場所はほぼ一定だし、連戦していれば他のパーティーに持っていかれることも少ないのだろう。
 ミリアならまず間違いなく拾えるし。
 拾えるといっても黒魔結晶なので、すごいお宝ではない。

 結晶化促進にボーナスポイントも振ってないから、魔結晶の成長も早くはない。
 別にお金に困っているわけではないから問題はないだろう。
 白金貨一枚も手元にある。
 今持っている黄魔結晶も、そのうち白魔結晶まで成長して白金貨になるはずだ。

 最後に残ったボスを単体魔法で始末し、ミリアから黒魔結晶を受け取る。
 煙となって消えたハートハーブは緑豆を残した。
 これがハートハーブのドロップアイテムか。

 何の変哲もない緑色の種だ。
 草の魔物だから種を残すことは不思議ではない。
 とはいえ鞘には入っておらず、豆一粒である。

44 :
 博徒をはずし、薬草採取士をつける。
 薬草採取士は昨日Lv15まで育てた。
 今のところ片手間であっさり育てられるのは薬草採取士ではLv15までだろうか。

 その上は少し時間がかかる。
 といっても、Lv20まではたいしたことはないと思うが。
 それ以上のレベルがいるなら、少し本腰を入れて育成する必要があるだろう。

 ハーフハーブがドロップする麻黄から生薬を生成するのに薬草採取士のレベルがいくつか必要らしかった。
 思うに、薬草採取士Lv5ではないだろうか。
 普通に考えてそのボスであるハートハーブのドロップから生成するにはもっと高いレベルが必要だ。
 最低でもLv10かLv15が必要だろう。

 Lv15あれば大丈夫だろうか。
 失敗する可能性もある。
 失敗したとき恥をかかないように、何食わぬ顔で生薬生成しなければならない。

 緑豆はロクサーヌが拾ってくれた。
 なんでもない顔をして手のひらで受け取る。
 すぐに生薬生成と念じた。
 緑豆が手のひらを転がる。

 薬の原料アイテムなら、これで生薬に変わるはずだ。
 緑豆が手のひらの中央に落ち着いた。
 そして丸薬に、ならない……だと……。

45 :
「よかったです。さすがに万金丹は作れないようです」
「万金丹ですか?」
「はい。あれは五年や十年の修行では作れるようにならないそうです。知り合いの薬草採取士が薬草採取士になって二十何年目でようやく作れるようになったと喜んでいました」
「どういうことでしょう。誰か薬草採取士のかたがいらっしゃるのでしょうか?」

 セリーと会話してルティナが首をかしげている。
 ルティナには分からないようだ。
 というか、セリーには分かるのね。

 分からないようにやったはずなのに。
 おかしい。
 何故ばれたのか。

 顔色にでも出たか。
 いや。単に俺のやりそうなことだったからか。
 見抜かれている。
 ここはごまかすしかない。

 ルティナが分からないのは、まだルティナの前で生薬生成をしたことがないからだろう。
 さっきの失敗を除いて。
 麻黄は生薬生成せずにすべてアイテムボックスに入れているから、ルティナは俺が薬草採取士のスキルを使えることを知らない。

46 :
「あー。今はちょっと使えないんだ。後でな」

 セリーに向かって告げた。
 隣のルティナにもバッチリ聞こえるように。
 生薬生成はしていない。
 していないんだよ。

「そうなのですか」

 セリーがうなずいた。
 やけに素直だな。
 その素直さに免じて、先ほど主人である俺の謀略を疑った発言は大目に見てやろう。
 疑ったのではなく見抜いたんだけど。

「うむ」
「何か重要な実験をされているのでしょうか?」

 あら。
 まずい方向に。
 重要どころか実験すらしてないです。

「あー。いや。あーまあたいしたことでは」
「そうですか」
「ミチオ様が万金丹を作成されるのですか?」
「あーいや。あーどうだろうな」
「どういうことでしょう?」

47 :
 ルティナの質問に乗じてごまかしたかったが、こっちの質問もやばい。
 万金丹というのが、おそらく緑豆から生薬生成で作られる薬剤なのだろう。
 作るのに結構なレベルが必要のようだ。

 薬草採取士Lv15では作成できない。
 つまり今の俺では作れない。
 ルティナの質問に是と答えるわけにはいかない。
 作れなかったら後でばれる。

 ピンポイントの質問じゃなく、薬草採取士のスキルが使えるか、なら肯定できたのに。
 今日はこのまま薬草採取士をつけてレベルアップさせていくつもりだ。
 昨日と違って料理人がいらないから、それくらいは大丈夫だろう。
 うまくいけば万金丹を作れるようになるかもしれない。

 あるいは、遊び人のスキルに生薬生成を設定するという手もある。
 探索者のアイテムボックスを遊び人のスキルに設定すると、アイテムボックスの容量は遊び人のレベルに従った。
 生薬生成がレベルによって機能拡張するなら、薬草採取士よりもレベルの高い遊び人のスキルに設定してやればいいのだ。

 そんなめんどくさいことをせずとも麻黄から万能丸なら作れる。
 こんなことならめんどくさがらずにルティナの前でやっておけばよかった。
 いまさら遅いが。
 ここはさっさと次の階層に行くべきだろう。

「それより三十一階層へ行くか」
「ええっと。クーラタルの迷宮三十一階層の魔物は、ノンレムゴーレムです。弱点となる魔法属性はありません。魔法使いにとって厄介な相手です。岩でできた魔物のため、
土属性に耐性があり、ときどき土魔法も放ってきます。ただしメインとなる攻撃手段は単純に腕で殴ってくることのようです。かなり強力らしいので注意が必要です」

48 :
 セリーが説明してくれる。
 さすがに次の階層に移動するとなれば、詮索や突っ込みは後回しだ。

「ノンレムゴーレムか。ロクサーヌは戦ったことがあるんだっけ?」
「はい。攻撃は強力らしいですが、モーションも大きいため、よそ見でもしていなければまず当たることはありません」

 ロクサーヌがノンレムゴーレムで狩をしていたという話は前に聞いた。
 だからといってくみしやすい相手かどうかは話半分に聞いた方がいい。
 ロクサーヌだし。
 その他の魔物よりは動きが分かりやすいと期待しよう。

「弱点属性がないのは残念だが、俺は雷魔法もあるし、一緒に出てくる魔物に合わせればいいだろう」
「そうですね」

 使用する魔法についてルティナと確認した。
 遊び人のスキルは雷魔法のままがいいのか。
 ちなみに三十階層では、ハーフハーブの弱点は火属性だが、その他に出てきやすいモロクタウルスもサイクロプスもシザーリザードも火属性に耐性があるため、火魔法は活躍する場面が少ない。
 遊び人のスキルには雷魔法をセットしている。

「少し数は多いようですが、こっちへ行けばすぐにいます」
「ものは試しだ。なにはともあれ戦ってみよう」
「はい」

 三十一階層に上がると、ロクサーヌがすぐに魔物の位置を探し出してくれた。
 ロクサーヌの先導で移動する。
 魔物が現れるとすぐにオーバードライブを念じた。

49 :
 オーバードライブのゆっくりした時間の流れの中で、魔物を観察する。
 魔物は五匹。
 少し多いというかこの階層での最大値だが、それはいい。
 ノンレムゴーレムが四匹にモロクタウルスが一匹だ。

 サンダーストームを二回念じ、ノンレムゴーレムを注視した。
 ノンレムゴーレムは黄褐色の角ばった魔物である。
 両腕と両足がついて二足歩行をするらしい。
 体は多分岩でできているのだろう。

 俺たちのことを認めると、ゆっくりと近づいてくる。
 いや。ゆっくりなのはオーバードライブ中だからか。
 オーバードライブが切れると、モロクタウルスと速度は変わらなかった。

 動けるところを見ると、別に寝ているわけではないようだ。
 顔のようなものはあり、目と鼻と口はある。
 線だけど。
 眠って目をつむっているから目が線なのか、人形だから目が線なのか。

 サンダーストームが発動して雷が当たっても素早く動き出したりはしなかったから、やはり寝ているわけではない。
 逆に三匹も動きが止まってしまった。
 麻痺だ。

 残ったノンレムゴーレム一匹とモロクタウルスが前衛陣に接近する。
 ノンレムゴーレムがゆっくりと腕を後ろに引いた。
 そしてぎりぎりまで引き絞ってから、正面にパンチを突き出す。
 ロクサーヌの言ったとおり確かにモーションは大きいようだ。

50 :
 これならそうそう当たることはないかもしれない。
 二匹以上を相手にするときには注意も分散するから、気をつけなければならないが。
 パンチそのものは、スピードの乗った素早い攻撃だ。

 ロクサーヌが軽く体をひねっただけでこれを苦もなくかわした。
 代わりに催眠のレイピアを叩き込む。
 ノンレムゴーレムの頭がガクリと下がった。

 睡眠だ。
 普段のノンレムゴーレムは寝ているわけではなく、こっちが睡眠状態のようだ。
 ノンレム睡眠になっているのかは知らない。
 レム睡眠かもしれない。

 そもそも、岩でできた人形にそんなものがあるのだろうか。
 眠っているときには目をつぶっていても眼球が動くことがあるらしい。
 眼球が動くのがレム睡眠、眼球が動かないのがノンレム睡眠だ。
 レム睡眠かノンレム睡眠かはラピッド・アイ・ムーブメントの有無で決まる。

 線が引かれただけの目に眼球もくそもないだろう。
 睡眠状態のときにはうつむいているので目は確認できなかった。
 雷魔法で叩き起こせば、目は線だ。

 眠っているかどうかはともかく、ノンレムゴーレムはほどなく片づいた。
 強さとしては、特筆するような点はない。
 三十一階層の魔物なりの強さというところだろうか。

51 :
 弱点がないのは厄介だが、その分雷魔法を使うので石化が出やすいだろう。
 MP回復が楽になる。
 今回は少し足りなかったが。

 ノンレムゴーレムは、煙となって消えると岩を残した。
 これがドロップアイテムらしい。
 そこまででかくはないが、バレーボールくらいはありそうな普通の岩だ。
 鎧も入るくらいだし、アイテムボックスに入れるのに問題はない。

「岩か」
「比較的楽に砕け、砕いてセメントや遮蔽セメントと一緒に使うと建材として一級のものになるそうです」

 セリーの方に目を向けると、すぐに教えてくれる。
 砕いた岩とセメントで作る建材。
 それはただのコンクリートではないだろうか。

 わざわざアイテムの岩を使う必要があるのか。
 かえって高くつく。
 アイテムのセメントと岩がそろって、合せ技で一本なのかもしれないが。

「セリー姉様、そのくらいのことミチオ様なら知らないはずがないと思いますが」

 ルティナがセリーに声をかけた。
 この世界では誰でも知っている事柄のようだ。
 もちろん俺は知らなかったが何か。

52 :
「ミチオ様、わたくしが魔法を使うのは二回ずつでよろしいでしょうか」

 何回か三十階層のボス戦をこなすと、ルティナが聞いてくる。
 答えにくい質問を。
 今現在、ルティナは戦闘の役に立っていない。
 三十階層ではルティナが何度魔法を放っても俺の魔法使用回数が減ることはなかった。

 ぶっちゃけ、戦闘に関してルティナはいらない子なのだ。
 ルティナが使う魔法の数をもっと増やせればいいのだが、詠唱が必要なルティナが何度も魔法を使えるほど戦闘時間は長くないし、戦闘時間がかかるボスはどうせミリアが石化させてしまうからルティナが魔法を放つメリットは大きくない。
 それに、たとえルティナの魔法四発か五発で俺の魔法を一回減らせるとしても、それはルティナの魔法の威力が俺の魔法の四分の一、五分の一以下だと言っているに等しいわけで、あまり回数を使わせるのもはばかられる。

 だからといってルティナに対しおまえは役に立っていないというのはもっとはばかられるわけで、この件はうやむやにしていた。
 それを聞いてくるか。
 まあそうだろうけども。
 二十九階層のボス戦から三十階層のボス戦に戦闘の重心が移ったのだから、確認は必要だ。

 オーバードライブを使う前、二十九階層ではルティナが魔法を二発撃つことで俺の魔法の使用回数を一回減らせていた。
 だからルティナには魔法を二回使わせている。
 使うときには二回か、MPがなければ零回だ。

53 :
 その後、オーバードライブを使うようになって俺の魔法の威力は約二倍になった。
 現状ではルティナの魔法の威力が俺の魔法の威力の四分の一以下なのは疑いない。
 魔法使いと魔道士の違い、レベル差や装備品、ことにひもろぎのイアリングの効果もあるから、そのくらいの違いはあるのだろう。

 ただし、オーバードライブにはいいこともある。
 オーバードライブを使うようになって魔法一発めと二発めの間隔は短くなった。
 サンダーストームを二回使った場合、もはやはた目には完璧に雷魔法を一回使ったように見えるだろう。

 一回使ったか二回使ったかはセリーにも分からないはずだ。
 魔法の使用回数が減ったかどうかは俺の自主申告で決まる。

「そうだな。二回で頼む」

 しょうがない。
 うやむやにごまかした。
 正直に話してボス戦のみで多数使ってもらうという手もあるが、それだとその他の戦いではいらない子だということが分かってしまうし。

 上の階層へ行けば、いろいろと変化も出てくるだろう。
 厳密にいえば、ルティナの魔法によって俺の魔法の使用回数が減るかどうかは、必ずしも直接は魔法の威力と関係ないはずだ。
 仮に三十二階層の魔物が俺の魔法八・一発で倒せるとするなら、ルティナの魔法によって俺の魔法〇・一発分のダメージを与えると、俺は魔法九発ではなく八発で魔物を倒すことができることになる。
 そうなることに期待しよう。

54 :
 ルティナの魔法の使用回数を調整するのはそのときからでいい。
 そこまでは先送りでいい。
 問題の先送りというのは案外正しい解決策でもあるのだ。

 今日のところは波風を立てずにボス戦を繰り返した。

「そろそろ日が昇るころですね」

 早朝の狩を続けていると、ロクサーヌが教えてくれる。
 薬草採取士はどうなったか。
 確認すると、Lv20にまで上がっていた。

 おお。
 見事だ。
 さっきまで薬草採取士Lv19だったが、ぎりぎりでレベルが上がったらしい。

「じゃあ、ここまでにしておくか」

 最後のボス戦を終え、戦闘を切り上げる。
 ハーフハーブのドロップアイテムを生薬生成するのに多分Lv5が必要だった。
 そのボスのドロップの生薬生成に薬草採取士Lv15では成功していない。
 次に可能性があるのはLv20だろう。

 倒したばかりのボスが残したアイテムを受け取る。
 試してみればいい。
 生薬生成と念じた。
 緑豆が手のひらの上を転がり、中央に鎮座まします。

55 :
 止まった緑豆は……ぴくりとも動かなかった。
 変化する兆しも見せない。
 薬草採取士Lv20ではまだ足りないようだ。

 大丈夫。
 大丈夫だ。
 まだあわてるような時間じゃない。
 俺には遊び人のジョブがある。

 緑豆は、なんでもないような顔でアイテムボックスに放り込んだ。
 なんでもない。
 何もしていないんだよ。

「えっと。朝食の後は三十一階層のボス戦でしょうか?」

 なんでもないという顔をしていたはずなのに、ロクサーヌが尋ねてきた。
 今後どうするか考えていると思ったのだろう。
 そっか。
 そっちも考えないといけないのか。

「うーん。まあここで考えてもしょうがない。食事のときにでも話そう。とりあえず買い物に行くか」

 その場は買い物に行くと言ってごまかす。
 冒険者ギルドにワープした。
 移動した後最初にいじるのは、遊び人のスキルだ。
 遊び人のスキルに薬草採取士の生薬生成をセットする。

56 :
 遊び人のスキル設定は、そう頻繁には行えない。
 今の時間だと、これから買い物をして朝食を作って食べて後片づけをして、次に迷宮に入るとき元に戻すのにぎりぎりくらいか。
 商人ギルドへでも行く用事があったら余裕だったのに。
 こういうときには何もないんだよな。

 かといって夕方迷宮を出てからだと、風呂を入れるため遊び人のスキルは中級水魔法をセットするので、生薬生成はセットできない。
 結構使いにくい遊び人のスキル。
 まあ遊び人だしな。
 勤勉に働くようにはできていないのだろう。

 となると今を逃せば生薬生成を設定するのは寝る前になってしまう。
 本当は、こうなると分かっていたら昨夜寝る前にセットできたらよかったんだよな。
 今日はハーフハーブのボスと戦うと分かっていたのに、そこに気づかなかった。

 違うか。
 緑豆を得るためにはボスを倒さないといけない。
 ボス戦を行うときには遊び人のスキルは雷魔法だ。
 やっぱ駄目だ。

「ハートハーブごときでは全然手応えもありませんので、すぐに三十一階層のボス戦に移るのがいいと思います」

 朝食に入ると、すぐにロクサーヌが進言してきた。
 そっちも問題か。
 俺としては別に上の階層に進むかどうかを考えていたわけでもなく、普通に三十階層のボス戦を繰り返すつもりだったのだが。
 いまさらそんなことは考えていないというわけにもいかない。

57 :
「うーん。どうしよっか」
「私も三十一階層に移った方がいいと思います」

 ありゃ。
 ロクサーヌはともかくセリーまで。
 セリーがそういうなら考えるべきか。

「セリーもなのか」
「現状、三十階層ではぬるすぎるでしょう。早く上の階層に行った方がいいです。あまりやわな戦いに慣れてしまっても困ります。ルティナも加入したばかりですし」

 なるほど。
 俺は階層を上がることの危険ばかりを考えていたが、逆に生ぬるい戦いに慣れてしまう危険もあるのか。
 さすがはセリーのいうことだ。
 説得力がある。

「石化する、です」
「上の階層へ行っても大丈夫だと思います」
「わたくしも上へ進むのがよいと考えます」

 全員上へ行けという意見らしい。
 まあオーバードライブで戦闘時間もごっそり短縮されたから、長居してもしょうがないという考えは分かる。
 ここは上に行くべきなのか。

「では三十一階層のボス戦に進んでみるか」
「はい。それがよろしいでしょう。さすがご主人様です」

 ロクサーヌの勧める方にほいほいついていったら、いつか酷い目にあいそうだが。
 まあ今回は他の四人も上に行けという考えだ。
 従っておいてもいいだろう。

 というか、他の四人も全員ロクサーヌに毒されてないか?
 セリーはともかく、ミリアやベスタは何も考えてなさそうだし。

58 :
「ハートハーブは食材を残さないので、ミチオ様にも戦い続ける意味はあまりないでしょう」

 ルティナはルティナはこんなことを言っているし。
 いったい俺のことをどう思っているのかと問い詰めたい。
 問い詰めたいが、きょとんとして食い道楽では、と返されたら困る。

「食事が終わったらな」
「はい」

 ロクサーヌは嬉しそうだ。
 危ないので周囲に変な影響は与えないようにしてほしい。

「奴隷商のところへは行かれないのでしょうか」

 ルティナが訊いてきた。
 あ。そうか。
 公爵から奴隷商人のところへ連れて行けと言われたのだった。
 朝食の後迷宮に行くなら、いつ奴隷商人のところへ行くのかということだろう。

「あー。そういえばそれもあるんだったな」
「はい。早めにしていただけると、わたくしとしても助かります」
「そうなのか?」

 早い方がいいのだろうか。
 普通は後回しにしたいような。
 忘れていた俺が言うことじゃないが。 

59 :
「万が一ということもありますので」

 万が一奴隷から解放されるなら、それはいいことなのでは。
 いや。所有者が死んだとき奴隷も遺言いかんによって追い腹を切らされるのだ。
 そっち方面だろう。

 奴隷なのに所有者の表示がないと殉死と判断されるのかもしれない。
 なにそれ。
 怖すぎる。

「あー。悪かった」
「いえ。あの。分かっていただければ」

 ここは謝るべきだろう。
 公爵も教えといてくれればいいものを。

「ルティナの所有者の設定をまだしてなかったんだ」

 ロクサーヌたちにも説明した。
 いずれ分かってしまうし。
 潔く認めるべきだ。

「所有者の設定をしていないと誰かが書き換えてしまう可能性もありますからね」

 セリーが教えてくれる。
 あら。
 追い腹じゃないのか。

「そうなんだ」
「はい。奴隷になるときには本人の承諾が必要ですが、奴隷になった後、誰が主人になるかは選ぶことができません。最初に所有者を設定すれば、以後所有者の変更には前の主人の承認が必要となります。最初の所有者の設定は早めにやってあげるべきです」

60 :
「奴隷商のところへは行かれないのでしょうか」

 ルティナが訊いてきた。
 あ。そうか。
 公爵から奴隷商人のところへ連れて行けと言われたのだった。
 朝食の後迷宮に行くなら、いつ奴隷商人のところへ行くのかということだろう。

「あー。そういえばそれもあるんだったな」
「はい。早めにしていただけると、わたくしとしても助かります」
「そうなのか?」

 早い方がいいのだろうか。
 普通は後回しにしたいような。
 忘れていた俺が言うことじゃないが。 

「万が一ということもありますので」

 万が一奴隷から解放されるなら、それはいいことなのでは。
 いや。所有者が死んだとき奴隷も遺言いかんによって追い腹を切らされるのだ。
 そっち方面だろう。

 奴隷なのに所有者の表示がないと殉死と判断されるのかもしれない。
 なにそれ。
 怖すぎる。

「あー。悪かった」
「いえ。あの。分かっていただければ」

 ここは謝るべきだろう。
 公爵も教えといてくれればいいものを。

61 :
「ルティナの所有者の設定をまだしてなかったんだ」

 ロクサーヌたちにも説明した。
 いずれ分かってしまうし。
 潔く認めるべきだ。

「所有者の設定をしていないと誰かが書き換えてしまう可能性もありますからね」

 セリーが教えてくれる。
 あら。
 追い腹じゃないのか。

「そうなんだ」
「はい。奴隷になるときには本人の承諾が必要ですが、奴隷になった後、誰が主人になるかは選ぶことができません。最初に所有者を設定すれば、以後所有者の変更には前の主人の承認が必要となります。最初の所有者の設定は早めにやってあげるべきです」

 誰が所有者か最初に設定しておかないと、他の人が勝手に主人に設定できるということか。
 万が一とはそういうことか。

「あ、あくまで万が一のためです」

 ルティナは万が一のときの用心として俺の奴隷になっておきたいと。
 いい傾向だ。
 まあもう抱かれちゃったしね。

62 :
「分かった。左腕を出せ」

 そこまで言うのならやっておくべきだ。
 ルティナに左手を出させると、いぶかしがりながらも伸ばしてきた。
 奴隷商人のジョブをつけ、インテリジェンスカードをオープンさせる。

「え?」

 インテリジェンスカードが出てきたことで、ルティナはさらに驚いていた。
 奴隷商人のインテリジェンスカード操作では、所有者の設定、変更ができるようだ。
 もっとも、誰でもいいというわけではなくて、近くでインテリジェンスカードを出している人を所有者に設定できるらしい。
 俺も自分のインテリジェンスカードを出してルティナの所有者に設定する。

「ほー。できるんだな」

 操作する人とセットする所有者が同じでもいけるようだ。
 そりゃそうか。
 奴隷商人が奴隷を購入したとき、その奴隷の最初の所有者に自分を設定しなければならない。
 でなければせっかく買ったのに他人の奴隷にさせられてしまうかもしれない。

「ええっと。おできになるのですか?」
「インテリジェンスカードを見てみろ。ちゃんとできてないか」

 ルティナにインテリジェンスカードを確認させる。
 できているはずだ。

「は、はい。できています」
「じゃ成功だ。よかった」
「あの。ミチオ様のインテリジェンスカードを見せていただいてもよろしいですか」

 ルティナは、俺のインテリジェンスカードの閲覧まで要求してきた。
 まだ信用できないのだろうか。

「ほら」

 と左腕をルティナの前に伸ばしてから、後悔する。
 ファーストジョブを遊び人にしていた。
 英雄も魔法使いも探索者もはずしているので、現状遊び人のレベルが一番高いのだ。

63 :
 と左腕をルティナの前に伸ばしてから、後悔する。
 ファーストジョブを遊び人にしていた。
 英雄も魔法使いも探索者もはずしているので、現状遊び人のレベルが一番高いのだ。

 ファーストジョブのレベルはボーナスポイントに直結する。
 そしてファーストジョブが、インテリジェンスカードにジョブとして表示される。
 ルティナに俺のジョブが遊び人だと分かってしまう。

 まあなんとかごまかしようはある。
 あるはずだ。
 まだあわてるような時間では。
 どうしようか。

「お、お若いのですね」

 驚くのはそっちか。
 人間がエルフを見ても年齢はよく分からない。
 その逆に、エルフのルティナが人間族の俺を見ても年齢はよく分からないのだろう。

「そうか?」
「この年齢で三十階層のボスを楽々突破とか。考えられません」
「ご主人様ですから」

 ロクサーヌが胸を張ることなんだろうか。

「ええっと。それとミチオ様のジョブですが」

 やっぱ気づいたか。
 そうなるよな。

「この機会だから、みんなにも俺の秘密の一部を話しておこう」
「秘密ですか?」

 セリーが食いついてきた。

「今現在、俺のジョブは遊び人になっている。実は遊び人のスキルには他のジョブのスキルを設定することができるんだ」
「他のジョブですか」
「奴隷商人のスキルをつければさっきみたいにインテリジェンスカードで所有者の設定ができるし、冒険者のスキルをつければフィールドウォークができるし、
探索者のジョブをつければダンジョンウォークができるし、魔法使いのスキルをつければ魔法を使える。つまりはそういうことだ」

64 :
「そうだったのですか。さすがはご主人様です」

 俺のジョブが遊び人であると明かすと、ロクサーヌが胸を張った。

「遊び人ですか。なるほど。それが能力の一部ですか」

 セリーは遊び人が俺の能力の一部に過ぎないと正確に理解しているようだ。
 魔法を二発放てるのは、遊び人の能力ではないしな。

「すごい、です」
「さすがだと思います」
「食い道楽の遊び人ですか」

 そうじゃねえよ。
 ルティナには突っ込みたかったが、スルーした。

「薬草採取士のスキルをセットすれば、生薬生成もできる。こんな風にな」

 アイテムボックスから麻黄を取り出して、万能丸を生成する。
 ルティナに見せつけた。

「本当です」

 調子に乗って緑豆も取り出す。
 生薬生成と念じると、緑豆は……微動だにしなかった。
 だ、駄目なのか。

「緑豆からの生薬生成はできないみたいだ。セリーの言ったとおり大変なんだろう」

 遊び人でも緑豆を生薬生成することはできなかった。
 まだまだレベルが足りないのか。
 ひょっとしてLv50が必要なのか。
 あるいは遊び人では駄目で、薬草採取士でないといけないのか。

 遊び人と薬草採取士を両方つけているから、ではないと思う。
 ファーストジョブの遊び人の生薬生成が優先されるはずだし。
 オーバードライブに乗せればできるだろうか。
 試しに、薬草採取士をはずしてみる。

 オーバードライブと念じてから、生薬生成を行った。
 駄目だ。
 薬は生成されない。
 緑豆は緑豆のままだった。

「かなり難しいらしいので、しょうがありません」

 セリーの言葉がやけに嬉しそうに聞こえる。
 くそっ。

65 :
まじで一人だけで埋めてまう気かい
どんだけやねん
開き直って荒らしてんなや

66 :
 気を取りなおして、朝食の後はクーラタルの三十一階層に入る。
 遊び人のスキルは、なんとか間に合った。
 雷魔法に戻している。
 そのために朝食をゆっくり食べていたので、落ち込んだと勘違いされたかもしれない。

「ノンレムゴーレムのボスはなんだ?」
「クーラタルの迷宮三十一階層のボスは、レムゴーレムになります。弱点となる魔法属性はありません。ノンレムゴーレム同様土属性に耐性のある岩人形ですが、体の一部が金属でできており、ノンレムゴーレムより攻撃力や耐久性が上がっています」

 待機部屋でセリーに教えてもらう。
 レムゴーレムはボスだけにノンレムゴーレムの強化版というところだろう。
 というか、レムに意味があんのかね。

「レムゴーレムか」
「ボス部屋に出てくるとき、ノンレムゴーレムやレムゴーレムは眠っていることがあるそうです。レムゴーレムが寝ているときにはボスを後回しにする作戦も有効だそうです」

 意味あった。
 睡眠していることもあるのか。
 さすがはレムゴーレムだ。
 レム睡眠かどうかは知らないが。

「全体攻撃魔法を使うから後回しはめんどくさくなるだけだろう。おそらくそこまでの敵でもないだろうし、寝ていようがいまいが一気に片づける。ロクサーヌ、頼むぞ」
「おまかせください」

 ロクサーヌから頼もしい返事がきた。
 ボスの正面はロクサーヌが受け持つ。
 眠っていようが起きていようがロクサーヌにとってたいした差はないだろう。

 違うか。
 結局ボスを倒すときには攻撃して起こすのだから、ロクサーヌの負担は増えない。
 ボスが眠っている間はロクサーヌが他の魔物を相手取るとすれば、むしろ負担は減ることになる。
 ミリアがスタンバイしている状態でスタートしたら石化が少しは早くなるかもしれないから、ボスが眠っていて楽ができるとしたらそれくらいか。

67 :
まあそんなことはどうでもいい。
 初めてのボスであるレムゴーレム戦に向けて気を引き締める。
 しかし、ボス部屋の扉はなかなか開かなかった。

「前のパーティーは時間がかかっているようですね。おそらくパーティーメンバーに魔法使いがいないのでしょう。レムゴーレムは、魔法使いのいないパーティーでも比較的楽に倒せる最後のボスになります」

 セリーが解説してくれる。

「寝ているからか」
「はい。眠っていない魔物から集中攻撃して倒すそうです。もちろん場合によっては出てきた魔物全部が寝ていないこともあるので、三匹を相手にできる実力は必要です。ただ、ボス部屋なら時間をかけても他の魔物の乱入がないので、安全に戦えます」

 ボスを倒すほどの実力があるならもっと上の階層に行けるだろうが、魔法使いのいないパーティーが実力相応の階層でちまちま戦っていたのでは、複数の団体が現れたとき一気に形勢逆転となる。
 そんな危険を冒すなら、レムゴーレムを相手にしていた方がいいということか。

「なるほどね」

 時間も悪かった。
 すでに日は昇ってほとんどの人が活動している時間だ。
 朝食をゆっくり取ったことがあだになった。

 しばし待つ。
 扉が開くまでに次のパーティーまでやってきた。
 鑑定したところ魔法使いがいなかったので、こいつらも時間かかるだろう。

 扉が開いたので中に飛び込む。
 せめて前のパーティーが全滅していないかと思ったが、装備品は残されていなかった。
 時間はかかっても倒せるだけの実力は持っていたようだ。
 煙が集まり、魔物が姿を現す。

 眠っているかどうかなど確認せず、雷魔法を叩き込んだ。
 雷魔法とミリアの石化で戦うのだし、一匹ずつ相手にすることはない。
 全体攻撃魔法でまとめて処理する。

68 :
 現れたのはノンレムゴーレムが二匹とレムゴーレムだ。
 すぐに雷で叩き起こしたので寝ていたかどうかは分からなかった。
 レムゴーレムは、ノンレムゴーレムより一回り大きそうだが、見た目にあまり違いはない。
 いわれてみれば少し大きいかな、という程度だ。

 鑑定がなければ両者の違いをどうやって見分けるのか。
 やはり、レムゴーレムは眠っているときにまぶたがぴくぴくと動くのだろうか。

「やった、です」

 まあ石化してしまえば眼球だって動くはずもなし。
 ボス部屋での戦いはミリアの三タテで幕を閉じた。
 後は魔法とデュランダルで片づけるだけの作業だ。

 三十二階層へ入るのは初めてなので少しMPも回復しておく。
 ノンレムゴーレムを魔法で消した後、ボスだけはデュランダルで倒した。
 レムゴーレムが煙と化す。

「あら。岩か」

 レムゴーレムのドロップは岩だった。
 ノンレムゴーレムと一緒なのか。
 使えない。

「レムゴーレムは、岩とダマスカス鋼を残します。今回は残念でした」

 セリーが拾いながら教えてくれた。
 ダマスカス鋼を残すこともあるのか。
 確かに全部ノンレムゴーレムと一緒ってことはないわな。

「ダマスカス鋼か。残ったらセリーが鍛冶できるか?」
「ダマスカス鋼を加工する前に、硬革と鉄鋼と竜革の経験が必要です」
「結構先は遠いな」
「ええっと。まだまだです」

 ダマスカス鋼が今すぐ必要ということはないか。

「ひょっとして、ダマスカス鋼を求めてレムゴーレムのボスと戦う人が多い、ということは?」
「落とす確率がいいわけでもないので、特別に稼げるということはないでしょう。ダマスカス鋼の加工ができる鍛冶師なら、もっと上の階層で戦えると思いますし」

 そっちもないのか。
 ボスのレムゴーレム戦に人が集まるのは、単純に魔法使いなしでも戦いやすいということが理由らしい。
 さらにいえば、魔法使いがいないので戦闘時間が延びてますます混雑すると。

69 :
 今待機部屋にいるパーティーにも魔法使いはいなかった。
 俺たちの前に戦っていたパーティーも、おそらくはここに戻ってまたボス戦を繰り返すのだろう。
 これからの時間はここのボス部屋がすくことはないか。
 ダマスカス鋼が必要になったら、早朝にでも来るしかない。

「三十二階層の魔物は何だ?」
「クーラタルの迷宮三十二階層の魔物は、ロックバードです。体が岩石でできた鳥で、その岩をこちらに飛ばしてくることもあります。弱点属性はありません。土属性の魔法も使い、土属性には耐性があります」

 弱点属性なしか。
 またしても雷魔法に頼ることになりそうだ。
 まあどの属性を使うかいちいち考えなくていいというメリットはある。

「強そうだな」
「ドライブドラゴンほどではありませんが、弱点属性がないので三十三階層までに出てくる魔物の中では強敵とされています」

 そういえば三十三階層のドライブドラゴンも弱点属性はないから、遊び人のスキルはまだまだ雷魔法だ。

「それなら、今日のところはずっとロックバードを相手にするという手はあるかな。このボス部屋は混むだろうし」

 セリーに同意を求める。
 セリーに話しかけたのに、セリーは何も言わずにロクサーヌを見た。
 やはりロクサーヌの承諾を得なければいけないのか。
 俺もロクサーヌの方を向く。

「ロックバードを倒して、三十二階層のボス戦ですね」

 ロクサーヌを見ると、うなずかれた。
 おまえは何を言っているんだ。

「いや、ボス部屋へ行くのは明日だ。あまり急激に進むのはよくない。ロックバードに慣れる必要もある。俺はおまえたちの誰一人として失いたくないのだ」

70 :
 ここは少々卑怯な手を使って切り抜けよう。
 真っ先にやられるとしたら俺のような気もするが。

「そこまで私たちのことを考えてくださるのですか」

 ロクサーヌは陥落と。

「それでしたら三十二階層でいいでしょう」
「三十二、です」
「それでいいと思います」
「わたくしなら大丈夫ですが、それでもいいでしょう」

 全員の了承も得た。
 このメンバーの中で誰かがやられるとしたら、俺かルティナになるだろう。
 ロクサーヌやベスタがやられるところは想像できない。

 ミリアは、可能性としては考えられるが、硬直のエストックを持っているから石化した魔物の影にでもうまく隠れるはずだ。
 となれば、最初にやられるのは後衛の三人。
 セリーはルティナよりレベルが高いから、俺とルティナのどっちかということになる。

 パーティーメンバーの中から死者が出るような状況を考えるに、俺の回復魔法が間に合っているうちは倒されることはないはずだ。
 一撃死でもない限り。
 俺の回復魔法が間に合わなくなる状況で一番考えられるのはMPの枯渇だから、そのとき俺はデュランダルを出して前線に立っている可能性が高い。
 後衛のルティナより前衛の俺の方が危ないだろう。

 やはりメンバーの中で真っ先にくたばるのは俺か。
 気を引き締めなおして三十二階層へ赴いた。

「では、ロクサーヌ。最初は少なめのところで」
「はい。こちらですね」

71 :
 ロクサーヌの先導で進む。
 出会ったのはロックバード二匹だった。
 ロックバードは、結構大きな鳥だ。

 ハクチョウくらいはあるのではないだろうか。
 ハクチョウといっても直接見たことはあまりないから、自信はないが。
 よく見かけるハトやカラスなんかよりは大きい。

 茶褐色をしているから、名前のとおり岩でできているのだろう。
 セリーの情報に間違いはない。
 頻繁に羽ばたいてはいないが、翼を広げて空中に位置している。
 滑空している感じか。

 サンダーストームの二連打を浴びると、二匹とも墜落した。
 麻痺すると飛べなくなるのは、鳥の魔物でも一緒か。
 まあ当然か。

 あるいは当然ではないのか。
 何が常識なのかよく分からない。
 少なくともそのまま下に落ちたところを見ると滑空ではなかった。

 いずれにしても麻痺している隙に倒したい。
 前衛陣が襲いかかる。
 セリーとルティナも加わった。
 ルティナは、相手が少ないので魔法は使わず、杖で殴っている。

 結局、ロックバード二匹を動き出す前に始末した。
 一匹はミリアが石化させている。
 今回は運がよかったこともあるが、そこまでの難敵でもないようだ。
 ロックバードが煙となって消えた。

 残ったのは、羽だ。
 鑑定すると羽毛と出る。
 これがロックバードのドロップアイテムらしい。

72 :
 ロックバードが残した羽毛をアイテムボックスに入れた。
 羽毛布団か。
 作れるのなら作ってはみたいな。
 柔らかそうだ。

 そのふかふかさわさわぱふぱふの羽毛布団で寝る。
 隣にロクサーヌやベスタをはべらせて。
 布団の柔らかさと、ロクサーヌの肌のなめらかさと背中から尻尾にかけての毛の繊細さと、ベスタの肌の涼しさと。

 最高だ。
 最上だ。
 眠ってなどいられぬ。

 ただし、羽毛は小さい。
 布団を作るのに百や二百では足りないだろう。
 いったいいくつ必要なのか。

 一時間にがんばって五十個集められるとして、一日十時間狩をして五百。
 羽毛布団を作るのに五千個必要と考えれば、十日間三十二階層に居続けなければいけない。
 うむ。それもまたよしか。

 ここのところは一日に一階層ずつ上がっていくという荒行を繰り返している。
 いつか壁にぶち当たるはずだ。
 限界が来たとき、運が悪いと迷宮では死ぬ可能性がある。
 ここらで十日程度ゆっくりするのもいいのではないだろうか。

 あるいは、羽毛布団じゃなくて羽毛枕にするか。
 しかし羽毛枕は好き嫌いが分かれそうな気もする。
 俺が使うとなるとロクサーヌたちには強制ということになるし。
 細長い枕を作れば六人全員で使える。

 何か作るならせっかく得たアイテムの羽毛を売るのは馬鹿らしい。
 早めに決める必要がある。
 ギルドで買うのも馬鹿らしいから、自分たちで狩をするのがいい。
 よし、決めた。

 狩をして、羽毛布団を作ればいいだろう。
 十日ほど一休みだ。
 それくらいはどってこともない。

73 :
「次は、向こうですね」
「ロクサーヌ、なるべくロックバードの多いところに案内してもらえるか」

 次の相手を見繕うロクサーヌに指示を出す。

「ロックバードですか?」
「せっかくだから、羽毛布団を作ってみようと思う」
「羽毛布団ですか。分かりました」

 ロクサーヌの承認を得た。
 これで安心だ。

「布地を買っていただければ、みんなで作ります。キルト加工が大変ですが、できるでしょう」

 セリーも賛成のようだ。
 なにやら大変っぽいが、作ってくれるらしい。
 これで十日間ほどゆっくりのんびりだ。

「じゃあそれでいいな」
「はい」
「まあその分上の階層へ進むのが少し遅くなるが」
「いいえ。毎日少しずつ三十二階層で戦っていけば、問題はないと思います」

 がーん。
 俺の短慮はセリーによって打ち砕かれた。
 そうか。
 そうだよな。

 何も三十二階層にこもる必要はない。
 アイテムを採りに戻ってくればいいわけだ。
 毎日少しずつ溜めていけばいい。
 さすがセリーは合理的だ。

 これで今までと同じように一日に一階層ずつ上がっていったら、戦えるかどうか確認する時間が短くなるのではないだろうか。
 失敗した。
 羽毛布団なんか提案しなければよかった。
 まあ羽毛布団自体はほしいからいいか。

 気落ちしてロックバードを狩っていく。
 魔物を倒していくと、ルティナが魔法を使ったとき、一回しか撃たなかったのに俺の魔法が一回減った。
 俺が次の二連打を放つ前に、ロックバードが倒れる。

「さっきより早くなったようです」

 セリーがきっちり指摘してきた。

「では、三十二階層では使う魔法は一回でいいですね」

 ルティナも嬉しそうだ。
 おそらく、ロックバードLv32はオーバードライブに乗せた俺の雷魔法十発でわずかに残るくらいのHPがあるのだろう。
 通常なら俺の雷魔法が十一回必要だか、ルティナが魔法を一回使って削れば十発で倒れると。
 俺は魔法を二連打で使っているから、偶数回に減れば見た目で分かる。

74 :
 外からは、六回撃っていたように見えたものが五回で倒れることになる。
 ルティナも、自分が撃った魔法の力がはっきり形になって現れれば満足に違いない。
 役に立っていると俺が言ったところで、実際に戦闘時間が短くならなければうそかもしれないし。
 というか実際うそだったわけで。

「そうだな。ここではそれで頼む」

 三十二階層で、ルティナの魔法一発と俺の雷魔法でどんどんと羽毛を溜めていった。
 いや、魔物を倒していった。
 同じことだが。

 ルティナは、二回めからはほとんどすべての魔物の団体に対して魔法を使っている。
 自分の影響がはっきり形に表れるとやる気も違ってくるのだろう。
 休んだのは魔物が二匹だったときだけだ。

 ロクサーヌが魔物の多いところへ連れて行ってくれるので、二匹ということはあまりない。
 つまり、さっきから魔法は使いっぱなしだ。
 MPは大丈夫なんだろうか。
 やぶ蛇になるのでほってあるが。

「魔物の群れ一つに魔法一回だと、結構撃てるものです。魔法使いは休み休み戦うものだと聞いておりましたが。なりたての場合などは特に」

 気づいてしまったようだ。
 ここは駄目元でもフォローするしかない。

「ル、ルティナが優秀なのかもしれん」
「そうですわね。わたくしですもの」

 ちょろかった。
 ロクサーヌとセリーはなにやらもの言いたげな目をしていたが、視線で黙らせる。
 気合だ。

75 :
 念を込めた俺の目線は二人を止めることもできるらしい。
 俺にも風格が出てきたのだろう。
 これぞ主人の威厳というやつに違いない。
 両手を合わせてお願いのポーズをしていたのがよかったのかもしれないが。

 若干二名については、気づいてもいないようだ。
 まあルティナも魔法使いLv29まで育ってきているしな。
 MPは問題ないだろう。


 結局のところ、ルティナは昼休みまで魔法を使い続けた。
 レベルも二つ上がって魔法使いLv31になっている。
 もはや初心者とはとてもいえない。
 徐々にレベルアップもしにくくなってきている。

 ロクサーヌたちの例では、Lv30を超えるとレベルが上がりにくくなった。
 これからは急激なレベルアップは見込めないだろう。
 戦っている階層が上がってきて得られる経験値は増えているはずだが、パーティーメンバーが増えたのでそれだけ分散されているだろうし。

「今日は三十二階層のボス部屋には行かないんですよね」

 昼過ぎにいったん家に帰って休息すると、ロクサーヌが紙切れをひらひらさせながら聞いてきた。
 持っているのはクーラタル三十一階層の地図だろう。
 片づけに行ったとき、ついでに三十二階層の地図を持ってくるかどうかの確認だ。

「今日はこのまま羽毛を集めよう」
「分かりました」

 おお。
 分かってくれた。
 ロクサーヌなら、よろしい、ならばボス戦だ、と言ってくるかもと心配したのに。
 こんなにうれしいことはない。

76 :
「元々ボス戦でやってきたのですし、ルティナのおかげで三十一階層でも三十二階層でも戦闘時間が変わらないのですから、事実上、ボス戦を行ってもほとんど何の問題もないと思いますが」
 それなのに何故セリーが分かってくれないのか。
 これは困る。
 なんかセリーに言われるとボス戦にいった方がいいような気がしてくるから不思議だ。
「わたくしが役に立つのであればボス戦を行うのもいいでしょう」
「ルティナが役立っているからこそ、その間に羽毛を集めたい。それに、ボス戦はミリア頼みだしな」
「やる、です」
「問題ないと思います」
 余計なことを言ったのでミリアとベスタまでが向こう側に。
 味方がロクサーヌだけとは。
 上に行けば石化が効きにくくなるかもしれない。
 あるいは石化が効かない魔物がいるかもしれない。
 慎重に進めていった方がいいはずだ。
「三十二階層のボス戦は明日な」
 だいたい、三十二階層で戦っているのは三十一階層のボス部屋が混んでいる代替なのだから、今日は三十二階層のボス戦はやらなくていいのだ。
 午後も引き続き羽毛を集めた。

「そろそろ夕方近いですね」
「そうか」
 ロクサーヌの指示で、本日の営業を終了する。
「まだ少し早いですが、帝都に連れて行ってもらえますか。布団用の布地を購入します」
「やっぱりそういうものは帝都か」
「ご主人様が使われるのですから、いい布地にすべきです」

77 :
 そういうものなんだろうか。
 俺としてはどうでもいいが。
「まあ丈夫なもので頼む」
「美しく染色された絹の布地などがよいと思います」
「そうですね。いいものがあればいいのですが」
「絹、です」
 いい布地にするのはセリーやミリアも賛成のようだ。
「綺麗な柄のなんかは布団カバーで使えばいいと思うが」
「布団カバー、ですか?」
 セリーが尋ねてきた。
 こっちでは布団カバーは使わないのだろうか。
 ちなみに、今のところ我が家ではタオルケット代わりの毛布しか使っていない。
「布で袋を作って、布団の上からもう一重かぶせるんだ」
「なるほど。それなら気分によって好きな色を選べますね」
「よごれてもカバーだけ洗えばいいわけですか。カバーだけなら毎日洗えますし」
 洗濯担当のロクサーヌが言ってくるが、毎日は大変だと思うぞ。
「さすがに毎日は大変だろうけどな」
「そうですか? そこまで大きなものにもならないと思いますが」
「結構な大きさになると思うぞ」
 ロクサーヌとは認識の齟齬があるようだ。
「ご主人様が使う布団なので、ご主人様の体の大きさに合わせれば」
「いやいや。布団は全員の体の上に掛けられるくらいのサイズで」
 俺だけが使うから小さいのでいいと思っていたのか。
「えっと。私たちもよろしいのですか」
「いやまあ全員で寝るのだし」

78 :
「ありがとうございます」
 ちゃんと一緒に寝てくれるようだ。
「私も柔らかな高級品だという話しか聞いたことがないので、楽しみです」
 セリーを見ても、うなずいてくれた。
「おふとん、です」
「冬に暖かそうだと思います」
「一つの布団に寝るのは、仕方ありませんわ」
 みんなも大丈夫そうだ。
 ベスタは変温動物の竜人族だから、冬はつらいだろう。
 暖かい羽毛布団があれば安心だ。
「大きいものとなると、羽毛を集めるのも大変ですか」
 セリーが考え込む。
 毎日少しずつ集めればいいと言ったのは、俺用の小さいサイズだと思ったからか。
 大きい布団なら時間がかかる。
 やはりここは十日ほどのんびりと。
「寒くなるまでにはまだ日もあるので大丈夫だと思います」
 今度はベスタがまっとうな意見を。
 羽毛布団は暖かいだけが目的ではないと言いたい。
「ご主人様用のでないならば、わざわざ帝都まで行くこともないですか。布団カバーを別に作ればいいのですし」
 ロクサーヌも意見の変更を考えるが、そこまでしなくていい。
 そんなことを言われると意地でも帝都で買いたくなるだろう。
 これは単に俺の性格がひねくれているだけか。
 悪かったな。
「そう言わずに帝都まで行けばいい」
 帝都の冒険者ギルドにワープした。
 布団カバー用の生地も必要なら、一度に手に入れればいいだろう。
 羽毛を集めるのにまだ日数はかかるとしても。
 一緒に買えば三割引の特典もある。

79 :
「確か店はこっちだったでしょうか」
「そっちで大丈夫だと思います」
 冒険者ギルドの外でロクサーヌとベスタが確認する。
 二人は店を知っているのか。
 休日のとき二人一緒に帝都を散策させたことがあったから、そのときにでも見つけたのだろう。
 二人に連れられて行ったのは、布地が大量に置いてある店だった。
 服屋とかではなくて、布地だけが展示されている。
 あるいはオーダーメイド専門店かもしれない。
「アントナー商会ですか」
 店に入るときにルティナがつぶやいた。
 ルティナも知っている店だったらしい。
「知っているのか、ルティナ」
「帝都のどこにあるかまでは知りませんでしたが、布地では有名なお店です」
「場所は知らないのに知っていたのか」
 名前が有名ということだろうか。
「用があるときは呼び寄せていましたので」
 そういうことね。
 貴族様は外商専門か。
 生地のことなんかはまったく分からないので、ロクサーヌたちが選んだものを渡されたままに購入する。
 もちろん、時間はたっぷりと。
 布団用と布団カバー用らしい。
 結構な量なので、大きさも考えているのだろう。
 家に帰ると、ロクサーヌとベスタが布団を作り始めた。
 といっても縫って袋にするだけだろう。
 俺はその間に風呂を入れる。
 風呂を入れ終わると、売らずにとっておいた羽毛を全部出した。
「じゃあ軸を取り除いて、羽毛を布団に入れるか。みんなも頼む」
 夕食担当のセリーとミリアを除いて、ベスタ、ルティナと三人で羽毛布団を作る。
 ロクサーヌも布団を縫い終えたらキッチンに行ってしまった。
 羽毛は、手で強くしごくと割と簡単に軸からはずれた。
 軸をはずした羽毛はふわふわのさわさわになる。
 これならそう面倒なことはない。
 ただし、数は多い。
 これを毎日やっていかなければならない。
 しばらくは大変だ。

80 :
 次の日は早朝から三十二階層のボスに挑む。
 先頭を進むロクサーヌの足取りが軽い。
「うーん。あっちへ行けば魔物が近いですが、ノンレムゴーレムまでいますし、あんまり数はいませんね。さっさとボス部屋に向かいましょう」
 途中魔物の数が少ない団体には見向きもせず進む。
 ロクサーヌはすぐにパーティーをボス部屋へと案内した。
 一日待たせたせいか、やる気は満々のようだ。
「ロックバードのボスはファイヤーバードです。ロックバード同様に弱点となる属性はありませんが、火魔法を使い、火属性に耐性があります。耐性のある属性が異なるので注意が必要です」
 待機部屋でセリーからブリーフィングを受け、ボス部屋に足を踏み入れる。
 ロックバードのボスは、ロックバードとは耐性が違うらしい。
 珍しいパターンだな。
 大抵は同じことが多いのに。
 ボス部屋に入った。
 中央に煙が集まり、魔物が姿を現す。
 ファイヤーバードは、赤い炎に覆われた鳥だった。
 おお。
 火の鳥だ。
 フェニックスだ。
 紛れもなくファイヤーバードだ。
 燃えている。
 燃え上がっている。
 すべてを焼き尽くす灼熱の炎。
 逃れうるもののない業火による蹂躙。
 このボス部屋はあますところなく焼かれるであろう。
 そしてゴモラもまた。
 ファイヤーバードがその恐ろしげな炎の頭部を振り込む。
 見るものを塩柱に変えてしまいそうな圧倒的な一撃。
 を、ロクサーヌが軽くスウェーして回避した。
 かわしちゃうのね。

81 :
 三十二階層のボスの攻撃でも、やはりロクサーヌには通用しないか。
 次の刺突も首を振って避ける。
 避け幅は、いつもより若干大きいだろうか。
 炎が揺らめいている分を勘案しているのかもしれない。
 いつもより余計にかわしております。
 ロクサーヌが肉体労働担当。
 ギャラは同じでございます。
 などという文句が脳裏をよぎった。
 まあ一つの財布に入るわけだし。
 頭脳労働担当の俺は魔法をぶっ放す。
 ロックバードを一匹石化させてミリアも攻撃に加わった。
 ノルマ分の一回の魔法を撃ち終わったルティナも杖で物理攻撃に参加する。
 どうやら熱くはないらしい。
 まあ水魔法や氷魔法が弱点というわけでもなし。
 あ。麻痺だ。
 ファイヤーバードの動きが止まり、落下した。
 ミリアが攻撃を続行しているから、睡眠や石化ではなく麻痺だろう。
 見た目だけでは、石化と麻痺と睡眠の区別はつきにくい。
 しかも、麻痺しても炎は普通に揺らめいているような気が。
「やった、です」
 今度は石化の合図だ。
 見た目ではやはり分かりにくい。
 炎もゆらゆらとしているような気がする。
 別に触ってみたりするつもりはないので、魔法で片づける。
 ベスタが相手をしていたロックバードは、なんとかミリアが石化させる前に倒した。
 ボス戦ではミリアが大活躍だ。
 逆にいえば、ミリアが活躍できるなら三十二階層のボス戦も安泰だろう。

82 :
 魔物がアイテムを残して消える。
 ロックバードは羽毛を残し、ファイヤーバードも何かのアイテムを残した。
 皮っぽい。
 鑑定してみると、オストリッチと出た。
 オストリッチ……。
 ダチョウかよ。
 火の鳥と聞くと威厳がありそうだが、中の鳥はダチョウかと思うとがっかりだな。
 まあ宙に浮いていただけでもよしとしよう。
 中の鳥などいない。
「これは防具にでもなるのか?」
「オストリッチですね。防具にはなりません。柔らかすぎるようです。丈夫なのでカバンなどに利用されます」
 セリーに聞いてみたが、防具の素材にはならないようだ。
 オストリッチの鎧とかは見たこともないしな。
「軽くて綺麗な模様が入るので、貴族の女性にも人気です。諸侯会議に出席なさるようなときにはオストリッチのブリーフケースなど持っておくとよろしいでしょう」
 ルティナが余計な情報まで伝えてくる。
 諸侯会議を諦めるつもりはないようだ。
 そして、貴族というのはやはりめんどくさいと。
 冒険者用のリュックサックでは馬鹿にされたりするのだろうか。
『リュックサックを背負って諸侯会議に来るなど、どこの田舎貴族だ』
『剣だけは分不相応に立派なものを持っておるではないか。使えもしまいに』
『お。抜くのか、抜けるのか。剣を抜けば領地も爵位も没収、自身は死罪ぞ』
『抜かぬのか。この腰抜けが』
『貴様のような礼儀知らずの田舎貴族など迷宮にこもっておればよい。井戸の中のフナのようにな』
『鮒じゃ、鮒じゃ、鮒貴族じゃ』
 なんか考えただけで腹立つな。
 いかん。落ち着け。
 皇帝やハルツ公爵は迷宮を倒すことを貴族の存在意義としていた。
 迷宮に入る装束を馬鹿にすることはないだろう。
 むしろブランドバックなど文弱と考えるかもしれない。
 貴族なら迷宮に入ってなんぼだ。
 その責務を忘れ華美に走った成れの果てが、セルマー伯というところだろう。
「むしろオリハルコンのアタッシェケースなどあれば、いざというときに盾代わりに使えそうだが」
「オリハルコンは鍛冶師がスキルを使ったりしなければ扱えません。溶かして加工とかはできないようです。オリハルコンのアタッシェケースというのは、防具にも武器にも存在しないと思います」

83 :
 言い返そうとしたらセリーに論破されてしまった。
 確かにオリハルコンのアタッシェケースなんかあってもな。
「三十三階層は、ドライブドラゴンか」
 話題を変えよう。
「そうです」
 三十四階層から上の魔物はボスが順次に出てくるのだから、セリーの活躍の場は減る。
 俺を論破することも減るだろう。
 そのまま三十三階層になだれ込んだ。
 ドライブドラゴンとはすでに戦っているし、三十二階層までの魔物をねじり伏せ自力で三十三階層に来たのだから、恐れることはない。
 ドラゴンなど恐るるに足らず。
 と思っていたら、戦闘時間が極度に長くなってしまった。
 倍くらい長くなっている。
 ここまで強くなるのか。
 まあドラゴンと戦ったことがあるとはいっても一階層だし。
 そういえば、ドライブドラゴンは二十三階層から三十三階層までに出てくる魔物の中で極端に強いという話だった。
 ドライブドラゴンは全属性耐性持ちだが、雷魔法を使っているので属性の問題ではないと思う。
 強い。確かに強い。
 ドラゴン、畏るべし。
 その分、三十四階層の魔物が急激に強くなったりしないということだろうから、よしとしておこう。
「さすがにドライブドラゴン相手だと戦闘が長引くな。大丈夫か?」
「ミリアもベスタもよくやってくれるので問題はないと思います」
 確認するとロクサーヌから返事が返ってくる。
 前衛陣は問題なしか。
 というか、ロクサーヌ自身は問題ないことが前提なのね。
「だいじょうぶ、です」
「問題ないと思います」
 大丈夫そうか。
「元々、もっと長い時間戦っていたのですから、このくらいは問題ないでしょう」
 セリーの言うとおり、一番戦闘時間が長かったときよりはこれでも短いんだよな。
 魔道士のジョブを得たり遊び人と魔道士で二発撃ったりオーバードライブでかさ上げしたり装備品やレベルアップなどで強くなったりと、いろいろあった。
 俺たちも強くなったもんだ。

84 :
「これくらいで音を上げるようではご主人様のパーティーメンバーにふさわしくありません。いえ、それ以前に迷宮に入るのにふさわしくありません」
 ロクサーヌにはあまりハードルを上げすぎないようにしてほしいが。
「迷宮での戦いは過酷だと聞いておりましたが、この程度ではまだまだなのでしょうか」
「ご主人様のおかげで戦闘時間が短いのですから、この階層では回避などする前に終わってしまいます」
「ええっと。まあやはり普通はもっと大変だと思います」
 ルティナの疑問にはセリーがフォローした。
 あまりロクサーヌの発言に惑わされないようにしてほしい。
 三十二階層に戻って、ボス戦を繰り返す。
 ファイヤーバードも問題ない。
 なにしろこっちにはミリアの石化があるからな。
 ミリアさまさまだ。
 ドライブドラゴンと比べるとファイヤーバードの方が楽なような気さえしてくる。
 ボスなのに。
 実際には、戦闘時間だけを見ればファイヤーバードの方が長い。
 単体で見れば、ファイヤーバードはドライブドラゴンよりも確かに上だろう。
 ただし、ファイヤーバードは三十二階層のボスなので、一匹しか出てこない。
 お供が二匹ついてくるがそれはものの数ではない。
 ボス一匹なら正面をロクサーヌに任せておけるし、ボスなので接近する途中で全体攻撃魔法を撃たれることもなく、セリーが詠唱中断をいつでも叩き込める。
 加えて一匹しかいなければミリアの石化で即終了する。
 対して、ドライブドラゴンは最大で六匹出てくる可能性がある。
 ファイヤーバード一匹とドライブドラゴン六匹なら、多分ドライブドラゴン六匹の方が手ごわいだろう。
 六匹相手ではさすがに全部ミリア頼みというわけにはいかない。
 三匹は前衛が抑えるとして、四匹以上いればドライブドラゴンの方が上かもしれない。
 もちろん、ボス戦を放棄して三十三階層で戦う、などという選択はしない。
 ドライブドラゴンには全体攻撃魔法を撃たれる恐れもある。
 相当連発されなければ死ぬことはないだろうが、それでも撃たれれば痛い。
 痛みはいかんともしがたいのだ。
「ドライブドラゴン相手にはルティナの魔法四回で俺の魔法を一発減らせるようだな。三十三階層では魔法四回で頼めるか」
「分かりました」
 少し戦ってみてから、ルティナに指示を出した。
 ドライブドラゴン戦は戦闘時間が長引くので、ルティナは今までよりも多く魔法を撃てる。
 四発でも五発でも大丈夫だ。
 その中で、ドライブドラゴンに使う俺の魔法を減らせるのはルティナが四回撃ったときだった。

85 :
「これくらいで音を上げるようではご主人様のパーティーメンバーにふさわしくありません。いえ、それ以前に迷宮に入るのにふさわしくありません」
 ロクサーヌにはあまりハードルを上げすぎないようにしてほしいが。
「迷宮での戦いは過酷だと聞いておりましたが、この程度ではまだまだなのでしょうか」
「ご主人様のおかげで戦闘時間が短いのですから、この階層では回避などする前に終わってしまいます」
「ええっと。まあやはり普通はもっと大変だと思います」
 ルティナの疑問にはセリーがフォローした。
 あまりロクサーヌの発言に惑わされないようにしてほしい。
 三十二階層に戻って、ボス戦を繰り返す。
 ファイヤーバードも問題ない。
 なにしろこっちにはミリアの石化があるからな。
 ミリアさまさまだ。
 ドライブドラゴンと比べるとファイヤーバードの方が楽なような気さえしてくる。
 ボスなのに。
 実際には、戦闘時間だけを見ればファイヤーバードの方が長い。
 単体で見れば、ファイヤーバードはドライブドラゴンよりも確かに上だろう。
 ただし、ファイヤーバードは三十二階層のボスなので、一匹しか出てこない。
 お供が二匹ついてくるがそれはものの数ではない。
 ボス一匹なら正面をロクサーヌに任せておけるし、ボスなので接近する途中で全体攻撃魔法を撃たれることもなく、セリーが詠唱中断をいつでも叩き込める。
 加えて一匹しかいなければミリアの石化で即終了する。
 対して、ドライブドラゴンは最大で六匹出てくる可能性がある。
 ファイヤーバード一匹とドライブドラゴン六匹なら、多分ドライブドラゴン六匹の方が手ごわいだろう。
 六匹相手ではさすがに全部ミリア頼みというわけにはいかない。
 三匹は前衛が抑えるとして、四匹以上いればドライブドラゴンの方が上かもしれない。
 もちろん、ボス戦を放棄して三十三階層で戦う、などという選択はしない。
 ドライブドラゴンには全体攻撃魔法を撃たれる恐れもある。
 相当連発されなければ死ぬことはないだろうが、それでも撃たれれば痛い。
 痛みはいかんともしがたいのだ。
「ドライブドラゴン相手にはルティナの魔法四回で俺の魔法を一発減らせるようだな。三十三階層では魔法四回で頼めるか」
「分かりました」
 少し戦ってみてから、ルティナに指示を出した。
 ドライブドラゴン戦は戦闘時間が長引くので、ルティナは今までよりも多く魔法を撃てる。
 四発でも五発でも大丈夫だ。
 その中で、ドライブドラゴンに使う俺の魔法を減らせるのはルティナが四回撃ったときだった。

86 :
 俺の魔法一回に対しルティナの魔法四回というのはずいぶん差がついてしまっているように見えるが、今回はしょうがない。
 ドライブドラゴンは四属性に対する耐性を持っている。
 四属性しか使えない魔法使いのルティナではダメージを与えにくい。
 一方で雷魔法のダメージは、多分普通に通るのだろう。
 雷魔法は魔道士にならないと使えない。
 だから三十三階層は魔法四回で何の問題もない。
 もっとも、その四回の魔法でロックバードLv33に使う魔法の数もギリギリ減ってしまうのが厄介な問題ではある。
 別に今回は嘘はついていないし、偶数回数から奇数回数への減少だからいいのだが。
 あんまり適当なことばっかりやっていると、いずれどこかでつじつまが合わなくなって気づかれそうだ。
 今回魔法を四回使ってもらうのだし、これを契機に上の階層でも魔法四回くらいまではありということにしておこう。

 その後は三十二階層と三十三階層を行き来しながら狩を行った。
 さすがに魔法四回は負担になるのか、ルティナの支援はときたまだ。
 それはしょうがない。
 いざとなればMP回復薬を使わせることもできるが、そこまでの苦戦でもないし。
 三十三階層ではドライブドラゴン二匹、ロックバード三匹、ノンレムゴーレム一匹の団体とも戦った。
 初めての六匹の魔物の集団だ。
 ここまで出会わなかったから、三十二階層から最大六匹になることがあるとはいえまだまだ割合としては少ないのだろう。
 ドライブドラゴンの数は多くなかったし、六匹でも問題なく打ち負かした。
 ロクサーヌにはロックバードの多いところに案内するよう頼んでいる。
 今回はそれが功を奏した。
 羽毛布団の効用は意外なところで大きいようだ。
「うーん。三十二階層でボス戦を繰り返すよりも、三十三階層を探索した方がいいのかもしれませんね」

87 :
 結局は夕方まで三十三階層でドライブドラゴンを相手にした。
 結構大変だ。
 ドライブドラゴン多数が相手だとどうしても戦闘時間はかかる。
 相手が一、二匹なら、ミリアがすぐに石化して終わらしてくれるのだが。
 昔の感覚を思い出した。
 昔といってもそんなに前の話ではない。
 この世界に来てからのことだ。
 魔道士や遊び人や勇者のジョブを得る前は、戦闘時間も長かった。
 今より長いこともあったんだよなあ。
 よくやれていたものだ。
 あのころに比べれば、現在の戦いはぬるま湯といっていい。
 今は雷魔法があるから魔物が麻痺することも多々あるわけで。
 いや。昔は魔物の数が少なかったか。
 まあ魔物が増えれば一回の雷魔法で麻痺する魔物も増えるから、相対的にはそこまで大変になっていないが。
 昔は魔物が全体攻撃魔法を使ってくることも少なかった。
 ドライブドラゴンLv33ともなれば結構撃ってくるので、そこは大変になっている。
 そうなんだよ。
 大変なんだ。
 今の方が甘ったれているという感覚は間違いだ。
 近ごろの若いやつはなどと言われても昔とは条件が違うのだ。
 全体攻撃魔法は、喰らった場合ロクサーヌか俺がきっちり回復しているので、問題にはなっていない。
 回復が追いつかなかったりMPが足りなくなるほどの攻撃も受けていない。
 少し痛いだけだ。
 それが嫌なわけだが。
 そのくらいはしょうがない。
 迷宮も三十三階層まで進んできたら、楽勝というわけにはいかない。
 命の危険は感じないだけでよしとせねばならないだろう。
 攻撃を浴びる戦いを終えて、娑婆へと引き返す。
 これからは潤いの時間だ。
 その前に帝都の服屋にも行かなければいけない。
 潤いのためにも必要だ。

88 :
「ルティナは帝都にある服屋を知っているか? 冒険者ギルドの通りのすぐ近くにある」
「いいえ。服屋は使ったことがありませんので」
「なら大丈夫そうだな。これから帝都の服屋へ行こう」
「ルティナの服を作るんですね」
 迷宮から出る前にみんなに告げると、ロクサーヌにはあっさりばれてしまった。
 何故分かる。
 いや。まあ分かるか。
 ルティナにメイド服やエプロンを作るのは、着てくれるか不安もあったので先延ばしにしていた。
 着るときはロクサーヌも一緒だから、ルティナがその命令に逆らえるはずもないが。
 かといって嫌なものを無理やりに着せさせるのもどうか。
 メイド服に関しては、元々帝宮の侍女服を模したものらしいし、帝宮の侍女には身元の確かな人がなるだろうから、それほど心配はしていない。
 いくらあの皇帝でもそう変な人は宮廷に入れはしないだろう。
 貴族の次女や三女あたりが帝宮の侍女にいても不思議はない。
 元貴族のルティナならメイド服を受け入れるのではないだろうか。
 問題はエプロンだ。
 食事を作るときにロクサーヌたちのエプロン姿を見ても、ルティナは特に嫌う様子は見せなかった。
 感じとして、エプロンそのものは大丈夫ではないかと思う。
 裸エプロンは別にして。
 問題はそれだ。
 しかしあれはやらせたい。
 やらせてみたい。
 あれが潤いだ。
 あれこそが潤いなのだ。
 潤いのためである。
 毎日毎日僕らは迷宮の中で戦って、嫌になっちゃうよ。
 ベッドの上でおいしくいただかれることは我慢してほしい。

89 :
「まあみんなのおかげで迷宮の攻略も進んでいるからな。その褒賞もかねて、みんなにも服を作ろう」
 どうせだからみんなにも服を作ろう。
 これはエプロンを作るためのごまかしではない。
 と思う。
「また何かお作りになるのですか?」
 というのに、セリーがなにやら疑義を呈してきた。
 セリーの目に俺はどう映っているのか。
 確かに、作れるのならセーラー服でもナース服でも作りたいが。
 しかしそこまでやるのは難しいだろう。
 俺に型紙が作れるわけはないし、そもそもどういう構造になっているか知らない。
 だからセーラー服やナース服については諦めている。
 いや、違う。
 元よりそんな欲望はない。
 少し潤いがほしいだけ。
 俺は一介の趣味人でありたいだけだ。
「あー。今回は別にそういうのではないが。俺が作らせるような服は嫌か?」
「い、いえ」
「もちろん嫌ではありません。えっと。……きっと可愛がってくれますし」
 ロクサーヌがフォローしてくれた。
 ロクサーヌならセーラー服もOKと。
「今回は、迷宮で着る服、とは言わないが、ある程度普段使いできるカジュアルなものを作るつもりだ。あくまで褒賞なので、自分の好みを店に伝えて作ってもらっていい」
「よろしいのですか」
「かまわない」

90 :
 そう変なのでなければ好きに作ってくれればいいだろう。
 ドレスとか作っても着ていくところはないが。
 帝都にあるあそこの服屋は、高級服を扱う店ではあろうが、カジュアルなものも大丈夫だと思う。
 巫女服もどきも作ってたしな。
 なにより、上位貴族ともなれば服屋に行くのではなく、布地屋を呼びつけて自分たちで仕立てる、という話を昨日聞いたばかりだ。
 さすがは貴族。
 直接店に出入りしているような人は、どんなに貫禄があっても上位貴族ではないのだろう。
 それなら、俺のような庶民も気兼ねなく店に行けるというものだ。
「ありがとうございます。ただどういうのを作ればいいか」
「お店の人に言えば、きっと何か提案してくれます」
 考え込むロクサーヌにセリーが教えている。
 なるほど、それもそうだろう。
 店へ行けばどうにかなるはずだ。
「服、です。作る、です」
「あのお店で服を作るなんてすごいと思います」
「諸侯会議のためにも身だしなみを整えるのは当然です」
 諸侯会議はどうでもいいが、ルティナも服を作ることに前向きのようだ。
 服を作るなら、採寸がある。
 そのパーソナルデータを少しだけ流用することは、個人情報保護法のないこの世界では許されるだろう。
 少しだけ。
 少しだけだから。
 先っぽだけだから。
 後は、分かるな。
 大きな気分で帝都に飛ぶ。
 冒険者ギルド前の目抜き通りに面したいつもの服屋。
 まかせておけば仕事も安心だ。

91 :
「いらっしゃいませ」
「今日は彼女らにカジュアルウェアを上下一着ずつ作ってやりたい。可能か?」
「もちろんでございます。ありがたく承らせていただきます」
 店に入って男性店員に告げると、満面の笑みで請けてくれた。
「それぞれ好みもあるだろうし、相談に乗ってやってくれないか」
「かしこまりました」
「はい。では皆様こちらへ」
 男性店員が顔を向けると、女性店員がやってきてロクサーヌたちを奥に連れて行く。
「当店で作る普段着は、上下セットですと一番お安いもので四千ナールから。以下、七千ナール、一万ナール、一万三千ナールとなっております」
「へえ」
 そういうシステムになっているのか。
 結構おおざっぱだ。
 生地を選んでそれで作る、ということでもないらしい。
 何がいくらときっちり決まっているのはかえってみみっちいということだろうか。
「高いものは普段着ではありますが絹を使っております。一万を超えるような服は貴族に比肩するほどの大商人のかたなどが特別にあつらえるものです。
当店としては六千ナールのもので十分な品質を提供できると自負しております。普段着ですので数をそろえたいこともありますし」
 ほお。割と良心的だ。
 こういうのは、松竹梅とつけてより高いものに誘導させたりするものだと思うが。
 そこまで販売技術が進んでいないのだろうか。
 あるいは、変に安いものを売って店のブランド価値を下げたくないという考えなのか。
 元々金持ちしか相手にしていないから、安いものは用意もしていないと。
 四千ナールで十分に高いんだろうしな。
 そうだよな。
 高いんだよ。
 四千ナールでも下手をすればクーラタルの洋品店の十倍だ。
 危うくだまされるところだった。

92 :
「ではまあ四千ナールで」
「はい。それでご満足いただけるかと存じます」
 本当に四千ナールのもので十分みたいだ。
 値段が決まると、ロクサーヌたちががやがやと服決めに入った。
 時間がかかりそうだ。
 しかしそれは想定の範囲内。
「ご主人様、時間を使ってしまい申し訳ありません」
「いや、大丈夫だ。ゆっくりやってくれ」
 ロクサーヌが謝ってくるがこちらにもやるべきことがある。
「では、こちらで少し採寸させていただけますか」
「はい」
「今採寸に行った女性だがな、彼女は新加入なので、他のみんなに作った服を持っていない。帝宮の侍女服を模したやつとか」
 ルティナが席を離れた隙にメイド服なども依頼しておく。
 別に目の前で注文しても問題はなさそうな気もするが。
 サ、サプライズプレゼントだ。
 女心の分かる男はこうするのである。
 ロクサーヌがルティナの服を作ると言ったからもう分かっているだろうけど。
 もらって嬉しいかどうかは微妙な服だけど。
 裸エプロン用の絹のエプロンも入っているけど。
「かしこまりました」
 男性店員もルティナが戻ってくる前に受注を完了する。
 しっかりと話の通じるいい店だ。
 商品は全部一括で受け取ることにしておいた。
 エプロンだけ先にもらうのもな。
 ただし、時間がかかったので今日はストッキングの店まで回れそうにない。
 そっちは後日でいいだろう。
 今日のところは、ルティナのネグリジェ用キャミソールドレスを買って帰る。
 ルティナは黄色にするらしい。

93 :
 それもまた潤いだ。
 帰ったら急いで風呂を入れよう。
 風呂へと。そしてベッドへと。
 取るに足らない人生は取るに足らない潤いのためにある。
「魚、です」
 と、その前に夕食か。
 それもまた潤いだろう。
 今日はミリアのリクエストに答えて魚料理だ。
 取るに足らない食材に賭けるのもまた人生とすべきだろう。
「ご主人様、ルーク氏からの伝言が入っています。ハチのモンスターカードを落札したそうです。五千三百ナールですね」
 モンスターカードか。
 さすがにそれは潤いにはならない。
 まあ取りに行くのは明日だ。
 今日はただ潤いのときを過ごそう。
 夕食で潤い、風呂で潤い、その後でも潤った。
 心配しなくても溢れ出るパワーは尽きることがない。
 その上に色魔まであるのだ。
 涸れることはない。

 潤いが満たされ、一夜が明ければ朝から戦いだ。
 まだまだ続く不毛な戦闘。
 しかし悪くない。
 今夜の潤いのための糧となってもらおう。
 今日はいよいよ三十四階層に足を踏み入れる。
 一段階上の厳しい戦いになるだろう。
 昨夜の潤いも、すべてはこれに備えてのものであったのだ。
「では行くか」
 装備を整え、クーラタルの迷宮三十三階層に移動する。
 ロクサーヌの案内でボス部屋まで進んだ。
 三十四階層に行くにはボス部屋を突破しなければならない。

94 :
「では行くか」
 装備を整え、クーラタルの迷宮三十三階層に移動する。
 ロクサーヌの案内でボス部屋まで進んだ。
 三十四階層に行くにはボス部屋を突破しなければならない。
「ドライブドラゴンのボスはランドドラゴンです。空は飛びませんが、ドライブドラゴンより動きがすばやいので注意してください。土魔法で攻撃してきた場合は威力が大きいそうです。ドライブドラゴン同様、全属性に耐性があり、弱点となる属性はありません」
 セリーのブリーフィングを受けてから、ボス部屋に入る。
 ランドドラゴンだけに土属性は威力がでかいのか。
 もっとも、ボス部屋で戦うときは詠唱中断のスキルを持つ槍を構えたセリーが張りつくので、魔法に対して心配することはない。
 動きが速くても、対応するのはロクサーヌだしな。
 ボスは一匹なのでミリアの石化も効果的だ。
 ボス戦で必要以上に恐れることはないだろう。
 ボス部屋の真ん中に煙が集まり、魔物が姿を現した。
 空は飛べないというだけあって低い位置に現れる。
 ランドドラゴンだ。
 どっしりと構えた四足の魔物。
 床にくっついて腹ばいになった胴体。
 横に張り出た四本の足。
「って、トカゲじゃねえか」
 ドラゴンというより、完全にトカゲだった。
 地竜ではなくトカゲ。
 ランドドラゴンというよりはコモドドラゴンだ。
 確かにでかいけど。
 これならドライブドラゴンの方が普通にドラゴンっぽくて怖そうだ。
 もっとも、地球でコモドオオトカゲを見たらきっと恐ろしく感じただろう。
 それを思うと俺も慣れてきたのだろうか。

95 :
 現れたでかいトカゲの正面にロクサーヌが立ちはだかる。
 そして、催眠のレイピアをトカゲの目の前で煽るように動かした。
 煽るようにというか、実際煽っているのだろう。
 ボスを引きつけるのがロクサーヌの役目だ。
 オオトカゲの前だというのに、恐れてもいない。
 むしろ楽しげにレイピアの切っ先を回している。
 ドラゴンではなくトンボでも捕っているかのような気楽さだ。
 さすがはロクサーヌ。
 まあ俺だって恐怖は感じていないくらいだからな。
 こちらの世界に生まれ育ったロクサーヌならこれくらいは当然だろう。
 ミリアもベスタも恐れることなくそれぞれドライブドラゴンの前に立つ。
 俺も冷静に魔物へ雷魔法をお見舞いした。
 オーバードライブをかけて二連打。
 続いてミリアが相手をする方のドライブドラゴンに状態異常耐性ダウンをかける。
 ランドドラゴンは、正面に立つロクサーヌにいきなり接近した。
 かなりの加速で一気に進む。
 あごを開いて恐ろしい歯を見せ、噛みつこうと閉じ合わせる。
 ロクサーヌは上体をひねってあっさりとかわし、魔物の目元にレイピアを突き立てた。
 反撃も恐ろしいほどに冷静だ。
 目に行くとか。
 もっとも、ドラゴンの方にそれほどダメージを受けた感じはない。
 まぶたを閉じて防御したのか、魔物だけに強化されているのか、目は形だけなのか。
 少なくとも弱点ではなさそうだ。
 そもそも魔物なんだし目から視覚情報を得ているかどうかも定かではない。
 それならば耳はどうなのか、ドラゴンなら目の他にピット器官もあるのか。ニートアントは複眼なのか、ノンレムゴーレムの目は見えるのか、などと疑惑が広がってしまう。
 ニードルウッドやハーフハーブに至っては植物系だし。
「確かに、動きは少しすばやいようです」
 ロクサーヌは評価まで恐ろしく冷徹に下している。
 少しなのかよ。
 結構いきなり接近してきたように見えたが。
 動きを見逃すまいとランドドラゴンに注意を向けたが、ボスは直後の雷魔法で麻痺してしまった。
 ベスタの正面のドライブドラゴンと一緒に。
 ミリアの正面のドライブドラゴンだけが動いている。

96 :
 状態異常耐性ダウンが本当に効いているのかどうかが疑問になる結果だな。
 まあ確率的な事象だから、たまにはこういうことも起こるだろう。
 今まではちゃんと先に麻痺することが多かった。
 ドライブドラゴンには状態異常耐性ダウンが効かないということはないはずだ。
「やった、です」
 すぐに石化してしまったし。
 ミリアはその後、ボスももう一匹のドライブドラゴンも立て続けに石化してしまった。
 ボス戦とミリアとの相性は相変わらず素晴らしい。
 こうかはばつぐんだ。
 これならランドドラゴン戦も安泰だろう。
 一応三十四階層の様子も見てみるが、今日は三十三階層でボス戦を繰り返すのがいいかもしれない。
 ドライブドラゴンとコボルトケンプファーは強さがあんまり変わらないらしいし。
 石化して動かなくなった魔物を魔法で安全に倒す。
 セリー、ミリアとルティナは休息。
 ロクサーヌとベスタは、並んで剣を振り、石化したボス相手に試し切りみたいなことを行っている。
「まだまだたいした敵ではなかったですね」
「このくらいなら大丈夫だと思います」
「もっと速く動いてくれると楽しめるのですが」
 俺は何も聞いていない。
 ここでは何もなかったんだ。いいね?
 ランドドラゴンを倒すと、煙の消えた後に赤っぽいドロップアイテムが残った。
 肉か。
 鑑定してみると竜肉と出る。
 ランドドラゴンは食材を残すのか。
「竜の肉か」
「竜肉ですね。そのまま食べられます。ドラゴンの力が籠もっているとされて腐ることがないので、探索者や冒険者でない人でも遠くに出かけるときに持って出たりします。また竜皮と同様、スープに入れると味がアップします」

97 :
 セリーの説明を聞くとまんまビーフジャーキーっぽいな。
 いや、ビーフじゃないか。
 ドラゴンジャーキーだ。
「そのままでいいのか。じゃあちょっと食べてみるか?」
 思わずロクサーヌの方を見てしまった。
 別に狼人族だからといってビーフジャーキーが好物ということはないだろう。
 ないかもしれない。ないよね?
 猫人族のミリアは魚が大好きだが。
 特にロクサーヌが飛びついてくる様子は見られない。
 やっぱりないか。
 少しだけ切り取って、ロクサーヌに回してやる。
 竜肉はジャーキーのように簡単に裂けた。
 本当にドラゴンジャーキーなのね。
 口に入れてみると、味も、まさに乾燥肉だな。
 濃厚な肉の味がして、うまい。
 口当たりよく、最初は歯ごたえがあるが、二、三度噛むとほぐれ、溶けていく。
「こうして魔物を倒してすぐに食べるのもいいですよね」
 ロクサーヌにも気に入ってもらえたようだ。
 全員に回った後、ルティナから受け取り、一口分切り取って再度ロクサーヌに渡した。
 結構癖になる味だ。
 やめられないとまらない。
 そういや、スナック菓子もたまには食べてみたいな。
 懐かしい。
 ポテトチップスやえび煎餅なら工夫と研究でいけそうな気もするが、別にそこまでして食べたいわけでもないんだよな。
 なければないで。
 基本的に、俺にはあんまり日本の食べ物で食べたいと思うものがない。
 高くてうまいものは、思い出して食べたいと思うほどに食べたことがないし、安いものは、そればっかり食べてきたのでもう十分だし。
 キャビアやフォアグラはもちろん、寿司やウナギなんかはほとんど食べたことがないので、そもそも食べたいという感覚がない。
 マツタケとか明太子とか一度は食べてみたかったが。
 うまいのかね。
 桃は何度か食べたことがあり、美味しかったのでまた食べてはみたいが、そこまでこだわるほど何度も食べたことはない。
 メロンなんかは超高級食材過ぎて。

98 :
「ドライブドラゴンをたくさん倒せば、竜革も残ることでしょう。今の私ではまだ竜革の装備品を作成できませんが」
 セリーによればドライブドラゴンは竜革も残すらしい。
 レアドロップが竜革なのか。
 まだ竜革を使った防具は一部しか装備できていない。
 自分たちで調達できる素材が装備に追いついたな。
 ドライブドラゴンが竜革を残すなら、素材を集めておく意味でもボス戦を繰り返さなくてはならない。
 早く教えてくれよ、とは思ったが、セリーとしては自分で扱えないことに忸怩たる思いもあるのだろう。
 ドライブドラゴンは、三十三階層のボスだから、さらに三十三階層上の六十六階層では雑魚敵として大量に出てくる。
 竜革を集めて竜革の装備品を作るような人は、六十六階層で戦えるくらいの力がある人なのかもしれない。
「素材は溜めておけばいい。そのうち使えるようになるだろう」
「はい」
「一応、三十四階層も見てはみよう。そういえばセリー、コボルトケンプファーの弱点属性は何だ?」
 コボルトケンプファーと戦ったときにはまだセリーはいなかったし、デュランダルで倒したから弱点や耐性のある属性を知らない。
 三十四階層からはセリーに頼ることが少なくなると思っていたが、しばらくはそうでもないようだ。
「コボルトケンプファーは四属性全部が弱点です」
 それは単に魔法に弱いだけでは。
 と思ったが、突っ込むことはせず三十四階層へと移動する。
「じゃあ、ロクサーヌ。頼む」
「はい。こっちですね」
 ロクサーヌの案内で三十四階層を進むと、いた。
 コボルトケンプファーだ。
 本当に出てくるんだ。

99 :
 別に信じていないわけではなかったが。
 やっぱり一階層ボスのコボルトケンプファーが三十三階層上となる三十四階層の魔物になるのか。
 一度は戦ったことのある魔物だから、戦いやすいだろう。
 それは今後とも続く。
 ただしLvは34。
 三十四階層だから当然だ。
 バーンストームとサンダーストームの二連撃を放った。
 ドライブドラゴンも出てくるから、遊び人のスキルは変更していない。
 この団体も、コボルトケンプファーとドライブドラゴンが二匹ずつだ。
 あ、なるほど。
 コボルトケンプファーは四属性全部が弱点でも雷魔法に対しては弱くないのか。
 魔法に弱いわけではなく、たまたま四属性が全部弱点だと。
 属性剣のスキルもあるのだから、それを使えば属性が弱点かどうか分かる。
 コボルトケンプファーは別に魔法に弱いわけではないらしい。
 一階層のボスだった魔物はしかし、最初の雷によって二匹とも麻痺してしまった。
 あら。
 残っているドライブドラゴンのために次はサンダーストームを連打してみるが、こちらは一匹だけ麻痺せずに残る。
 やっぱり魔法に弱いだけじゃないのかと。
 コボルトケンプファーは結局、二匹とも麻痺が解けて動き出すことなく倒れた。
 石化したドライブドラゴンより早く煙になってたしな。
 実は魔法に弱いんじゃ。

100 :
「三十四階層でも無事戦えそうだな」
「そうですね。ご主人様と一緒ならまだまだ上の階層に行けそうです」
 ロクサーヌはまだ上へ行く気満々なのか。
 俺なんかはいつとまるかビクビクしているというのに。
 魔物のグループが三十三階層までと三十四階層からでは異なるから、三十四階層というのは一つの試練かと思っていた。
 コボルトケンプファーはそこまでの難敵でもないようだ。
「ドライブドラゴンの方が大変だという人もいますから」
 なるほど、セリーの言うとおりか。
 一階層から十一階層までに出てくる魔物のうちでコボルトは際立って弱かった。
 当然、そのボスのコボルトケンプファーも弱い。
 奴はボスの中でも最弱。
 二十三階層から三十三階層までの魔物グループで最強のドライブドラゴンは、三十四階層から四十四階層までの魔物グループで一番弱いコボルトケンプファーとはいい勝負なのだろう。
 下の階層の魔物ごときに負けるとはボスの面汚しよ。
「やる、です」
「大丈夫だと思います」
「諸侯会議に列するにはこんなところで留まってはいきません」
 クーラタルの三十三階層と三十四階層ではそこまでの違いはなかったのだろう。
 壁があるとすればもう少し上か。
 ただし、こういうのはあまり予想するのもよくない。
 思わぬところで壁が来て対処できなくなったりするからだ。
「三十三階層に戻ろう」
 いずれにしても今日のところは問題ない。
 三十三階層で戦えばい
 明日着る服については明日心配すればいいだろう。
 明日は明日の風が吹く。


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