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【もしも】種・種死の世界に○○が来たら13【統合】


1 :2013/12/23 〜 最終レス :2020/04/27
このスレは種系SSスレのうち、まとめサイトのカテゴリで
クロス物とされるスレの統合を目的としています。
種以外とのクロスオーバーを種別問わず投下してください。
種作品内でのIF作品は兄弟スレにお願いします。
過去スレ
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら【統合】
http://mamono.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1196339764/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 2【統合】
http://mamono.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1208353319/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 3【統合】
http://mamono.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1212323601/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 4【統合】
http://mamono.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1218203927/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 5【統合】
http://mamono.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1226476158/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 6【統合】
http://mamono.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1230651332/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 7【統合】
http://hideyoshi.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1233666943/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 8【統合】
http://hideyoshi.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1242394476/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 9【統合】
http://toki.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1254828439/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら10【統合】
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1291395757/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら11【統合】
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1342227660/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら12【統合】
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1347369984/
まとめサイト
ttp://arte.wikiwiki.jp/
兄弟スレ
【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 15
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1386332621/

2 :
「コリントス7番から10番まで発射!
目標、敵モビルスーツ!レーザー誘導!
いいな、間違えてもシャフトや地表に当てるなよ!」
「…えぇぇ…!?」
「てぇ!」
ナタルがCIC電子戦担当のロメロ・パル軍曹に難しい命令を下すと
アークエンジェルの艦尾からミサイルが発射されると、
《シグー》目掛けてミサイルが迫って行く。
「チィッ!」
《シグー》に乗るクルーゼは、ミサイルの雨を迎撃しながら躱すと、
コロニーに次々とミサイルが直撃して行く。
「隊長!!」
オロールはそう叫ぶとフットペダルを一気に踏み、
アークエンジェルの間近まで迫り、
両手に持った大型ミサイルと小型ミサイルを一斉射する。
するとそのミサイルがアークエンジェルの左舷側に命中して行く。
「第4兵装バンクに被弾!隔壁閉鎖!」
チャンドラが被害状況を知らせると、
ナタルはすかさずオロール機への迎撃を指示する。
「主砲発射準備!目標、前方の敵モビルスーツ!」
「了解!てぇ!!」
右舷カタパルト上層部にある砲塔からメガ粒子が放たれ《ジン》を襲う。
うあぁーーーーー!
オロールの機体は上下真っ二つに両断されると
その場で爆散して行く。
「オ、オロォーール!!」
ミゲルはオロール機が落とされ、一瞬の隙を作ってしまう。
その僅かな隙を見逃さなかったのはアポリーだった。
「くらえっ!!」
それまで背中にマウントしたままだった
クレイバズーカを右手に持ち撃ち放つと
砲弾は機体の目の前で散弾して《ジン》に直撃する。

3 :
「なっ!?ぐあぁぁ!!」
ミゲルは突然の衝撃に何が起きたか理解出来なかった。
ミゲルの《ジン》はコックピットをガードした左腕と右腕は激しく損傷し、
メインカメラは潰れ完全に戦闘能力を失う。
「く…そぉ!!腕とメインカメラをやられたか!」
「ミゲルーー!!」
「待って!アスラン!!」
アスランが大破したミゲルを見て、
そちらへ向かおうとするとキラが彼を呼び止める。
アスランは《イージス》の動きを再び止めて《ストライク》を見る。
と、その時だった。
コックピットにアラート音が鳴ると、
母艦であるヴェサリウスから通信が入ってくる。
「こちらヴェサリウス!こちらヴェサリウス!
ヘリオポリスより出現した戦艦より奇襲を受けている!
奪取したモビルスーツを乗せたガモフは中破!
直掩機2機が撃沈!!本艦はこれと交戦中!!
ただちに撤退されたし、ただちに撤退されたし!」
《アーガマ》のブリッジ内ではクルー達の声が響き渡る。
「ローラシア級に直撃弾!直掩機共に沈黙しました!」
シーサーの報告を聞いたレコアは思わず、ブライトの顔を見た。
ブライトは無言で頷くとレコアは確信した。
行けるーーー!レコアとブライトだけでなく、
ブリッジにいた全員がそう感じていた。
「見事に奴らの横っ面を叩く事が出来たな。」
「はい。
ミサイル発射管次弾装填準備!!
主砲照準合わせ!目標はナスカ級よ!!」
「了解!!」
《アーガマ》のザフト艦への強襲作戦は成功した。
そしてクルーゼとアスランはこの通信を聞いて驚愕していた。

4 :
「まさか単艦相手でこちらに被害を出るとは…。」
エゥーゴの戦艦がヘリオポリスにいる事は予想できた。
その為の直掩機も付けていたが、突破されるとは予想しておらず
完全にクルーゼの読みが外れた形となった。
「隊長!!」
「アスラン、撤退だ。
ミゲルを急いで回収しろ。」
アスランは「了解!」というと、ミゲルをすぐに回収して、
戦場の大地を去って行く。
(キラ……なんでお前が…!)
アスランの心の中はキラの事で頭が混乱していた。

「待て!逃がすか!」
そう叫びカミーユは撤退する{シグー》を追おうとするが
「よせ、深追いはするな!」とロベルトに留められる。

やがてコロニー表層部に開いた穴からクルーゼ達は撤退して行き、
キラのもとを離れて行く《イージス》の背中を見るキラは、
ひたすらアスランの名を叫び続けていた。

5 :
終わりです。
前スレ書き込みできなくなっちゃいました…
なので頭から読むには前スレ>>572からになります
お手数おかけ致しますorz

6 :
>>5
すみません>>572じゃなくて
前スレ>>595 第8話_「決着の時」でした。
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら12【統合】
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/shar/1347369984/l50

7 :
乙です!
安定のアポリーさん。

8 :
>>7
どうもです〜。
アポリー中尉は好きなキャラなんすよ。
ロベルト中尉も好きだし…
この先どう扱うか…ですが物語に花を添える
キャラとしては重要なキャラという
位置付けにしてます。

9 :
どんな世界にも現れそうな桂木桂
...あっ、今のレスは忘れてくれ

10 :
劇場版Zまで長らく苗字が不明だったアポリーさん。

11 :
>>9
オーガスの特異点の男ってやつですねw
>>10
ファを庇って死ぬなんて漢の中の漢です!
なのに不遇な時代を過ごしてきたモンです…

12 :
923です。
ちょっと忙しいですが
ひっそりと投下を致します。

13 :
サイド7(グリーンオアシス)宙域
ルナツーを出発して
退屈なティターンズの先遣隊として哨戒任務を始めてから4日間ーーー。
彼女はようやく働けると心躍らせていた。
しかし、ひとたびブリッジ上がるなり、
キャプテンシートに座る禿げ散らかした頭のちょび髭の男
艦長チャン・ヤー少佐の言葉によって、
彼女の心躍る気持ちに歯止めがかかる。
「なぜわからないのです?」
「いや、ミノフスキー粒子が濃くなっていてな。」
サラミス改級軽巡洋艦《ボスニア》
ルナツー艦隊所属の正規軍艦艇だが、
ティターンズと共生関係にあるルナツー艦隊は
《ガンダムMk-U》を強奪したエゥーゴの捜索をしていた。
そして3時間前に艦隊規模でのエゥーゴとザフトの戦闘の光を
僅かながら光学カメラが捉えていた。
また、彼らは戦闘を行っていたのが
エゥーゴやザフトだという事に気づいていた。

14 :
ルナツーを管理棟とするサイド7は本サイドの宙域に進入したならば、
ティターンズやルナツーの仕掛けたカメラで分かるようになっていた。
その為、サイド7から出ていないエゥーゴを確認したティターンズは
血眼になってエゥーゴを探し続けていた。
「だが間違いなく《アレキサンドリア》の追っていた部隊なんだろう?」
モビルスーツ隊隊長のライラ・ミラ・ライラ大尉がモニターを見ながら憮然(ぶぜん)とした態度で
「そうなんだがな。
いかんせんヘリオポリスというのが気がかりだ。」
と、ライラの問いに歯切れが悪く、典型的な職業軍人的なつまらぬ受け答えが返ってくる。
そんな艦長に呆れ顔のライラは腕を組んで
「あれこれと考える暇があったらとにかく行って、
確かめてみるのが良いんじゃないのかい?」
と、言って苛々(いらいら)としたした表情でチャン・ヤー少佐を一瞥(いちべつ)する。
「分かっている!ライラ・ミラ・ライラ…!その言葉遣いなんとかならんのか?」
彼女のチャン・ヤー少佐に対する物言いや態度は今になって始まった話ではないが、
ライラはチャン・ヤーのような慎重過ぎる姿勢が気に食わない所があるようで、
チャン・ヤー自身も時折ライラに対して皮肉っぽく指摘をするような事があり、
あまり良好な上官と部下という関係ではない事はブリッジにいる人間の誰しもが分かっていた。

15 :
「…ふん…じゃあ、向こうに行ってみれば私の欲求不満が解消されるってのかい?」
ライラは悪びれる様子もなくそう言うと、チャン・ヤーは諦め顔で
「おそらくな。一応ティターンズにも報告はしたが
あそこには間違いなくエゥーゴかザフトがいるはずだ。」
とライラに言うと、彼女は「楽しみにしてるよ。」と言ってブリッジを後にした。

《ボスニア》より2時間ほど離れた距離の宙域を突き進む4隻の艦隊。
ティターンズの旗艦アレキサンドリア級重巡洋艦、
《アレキサンドリア》の司令室に座るティターンズ艦隊司令バスク・オム大佐に
哨戒任務にあたっていた《ボスニア》の掴んだ情報が入った。
「ヘリオポリスだと?」
「は。エゥーゴとザフトはサイド7を離脱した形跡がありません。
となれば戦闘行為も奴らで間違いないそうです。」
バスク・オム大佐の腹心であり
アレキサンドリア艦長兼作戦参謀という肩書きを持つ
ジャマイカン・ダニンカン少佐がバスクのもとに直接報告に来ていた。
「エゥーゴならば《ガンダムMk-U》ををなんとしてでも奪い返せ。」
「閣下、それについては私のほうから良い秘策があります。」
ジャマイカンは何か企みのある表情で言うと、バスクはその策を聞いたーーー。
《アレキサンドリア》艦内の一室には
カミーユの母親であるヒルダ・ビダンと
同僚の男性が不安な表情を浮かべて話をしていた。
「カミーユが《ガンダムMk-U》を盗んでエゥーゴに逃げ込んだなんて…」
「ヒルダさん。顔を上げて下さい。」
「でも…なぜ私なんかをここに乗せたのかしら…」
「分かりません…でもこれは普通じゃありませんよ。」

16 :
ドッキングベイからコロニー内部へと誘導されて来た《アーガマ》と
《アークエンジェル》がようやく合流した。
《アーガマ》から降りたブライト・ノア大佐は
ブレックスやクワトロらに手厚く迎えられていた。
特に、彼を見た周りの反応は凄まじい者があった。
もっとも一番目を輝かせていたのは
ナタル・バジルール中尉だったようだがーーー。
コロニーの外では合流した僚艦、
サラミス改級モンブランが警戒任務にあたっていた。
《アーガマ》のブリーフィングルームに集められたブライト・ノア大佐、
ムゥ・ラ・フラガ大尉、マリュー・ラミアス大尉、
ナタル・バジルール中尉はブレックス以下、
クワトロ、ヘンケンらと、今後について話し合いを行っていた。
一通りに挨拶済ませ、軽くを進めると
ブレックスはブライトへエゥーゴへの参加を打診した。
彼自身も既にそのつもりだったようだ。
「私は構いません。しかし私で本当によろしいのですか?」
とブライトが言うと、すかさずヘンケンが彼に返す。

17 :
「大佐が《アーガマ》を指揮してくれれば、
私は落ち着いてブレックス准将の側にいられます。」
ヘンケンがそう言うとブライトと固い握手を交わした。
その横でクワトロがブライトに対して
「ブライト艦長の存在は我々エゥーゴにとって大きな存在になります。」と言った。
クワトロの言うようにブライト・ノアという存在は
プロパガンダ的な存在にもなり得るような人だ。
彼を盲信的に尊敬するものは多く存在する。
それでも連邦軍内では『ニュータイプ部隊の指揮官』
と危険視され窓際に追いやられた格好ではあった。
しかし彼自身の人気が失われる事はなかった。
クワトロの言葉にブライトはクワトロの顔を真っ直ぐに見て
「買いかぶり過ぎですよ。クワトロ大佐。」
と言うと、クワトロが「大尉だ。ブライトキャプテン…」
とひと言だけ返すとラミアス達が少し不思議そうな顔をしていた。

18 :
ブレックスはその後、
ニューホンコンにいるというブライトの家族の身の安全の保証などを約束すると
ブライトも少し喜んだようだった。
そしてエゥーゴへの参加を承諾したムゥとも話を進めブレックスは
「フラガ大尉、君の家族は大丈夫なのか?」と聞くと、
ムゥは少しぎこちない笑顔で応えた。
「自分の家族は、みな火事で死にました。
人質に取るような者は一人もおりません。ご安心下さい。」
彼はさらりと衝撃的な事を言っていた。
おそらく彼の態度からするにその事実は受け止めていて、
それを引きずるような素ぶりも無かったように見えた。
彼の言葉で周りの空気が固まるとブレックスは
「…そうか……すまん。余計な事を聞いてしまった。」
と、言って頭を下げる。
するとムゥは少し慌てて
「いや、お顔をお上げください閣下。」と言って、その場をやり過ごした。
その後、物資についてや今後の作戦行動について話を進めていった。
その中でブレックスが特に気にかけたのは
《アークエンジェル》の人員の少なさだった。
ブリッジに関しては新機軸の管制システムを用いており、
最小限度の人数でも操艦や戦闘には支障はないらしいが、
問題はブリッジ以外に必要とする深刻な人員不足だった。

19 :
《モンブラン》や《アーガマ》の人員を回せば
なんとかなるという状態でもない深刻な状況だった。
もう一つは機動部隊。
民間人のキラ・ヤマトを戦闘に参加させるには早急に過ぎると判断すると、
新しい隊の編成が必要だった。
「なんとか隊の編成をせねばならんな…。
艦隊の指揮官はブライト大佐で良いとして…」
ブレックスがそう言うとクワトロは即座に応える。
「私の提案とすればフラガ大尉とロベルト中尉には
《アークエンジェル》へ配属が良いかと思いますが?」
「…良いのか?クワトロ大尉。」
ブレックスはクワトロは確認するように言うと、大きく頷いて続ける
「向こうはパイロットも機体もありません。
合流した《モンブラン》を護衛艦として《アークエンジェル》と
同時運用させればジムUは両方の直掩として使えます。
《アークエンジェル》も《アーガマ》同様、
単艦運用型の癖の強い艦ですが仕方ありません。」
と説明すると、ブレックスはそうだな。と言ってクワトロの意見を呑んだ。

20 :
「後は艦長を誰が務めるか…ですな。」
ヘンケンがそう言うと、ナタルが手をあげて立ち上がる。
「僭越ではありますが、自分はラミアス大尉がその任にあると思われます。」
「なぜそう思うのかね?バジルール中尉。」
ナタルの意見に対してブレックスはその理由を求める。
するとナタルは理路整然とした口調でブレックス達に説明する。
「ラミアス大尉は、技術仕官としてこの艦をよくご存知ですし
階級もアークエンジェル隊の生き残りで一番上です。」
なるほど…合理的な意見だ。
と、ナタルの意見を聞いたブレックスはそう感じていた。
ラミアス本人は当惑していたが、むしろ承諾してもらねば困る。
現状のエゥーゴから《アークエンジェル》に回せる人員はいない。
となれば現状は志願した工員と生き残ったメンバーを中心に
今後の艦運用をしてもらう他ないと思った。
「では艦長はラミアス大尉に任せ、
副長はバジルール中尉にしよう。
フラガ大尉は機動部隊の隊長として働いてもらう。」
「…はっ。」
ナタルとムゥは大きな返事を返したが
ラミアス本人は緊張しているようにも見えた。

21 :
そんな彼女にブレックスが最初の仕事を任せようと声をかける。
「ではラミアス艦長。さっそくで悪いが、アークエンジェルへ避難民を受け入れてもらえんか?」
「…避難民…でありますか?」
「アーガマは居住ブロックに空きが足りなくてな…アークエンジェルならば空きに余裕はあるだろう?」
最初の仕事とは、ブライトが《テンプテーション》で移送してきた
グリーンノアの住民と、
先の戦闘で家を失った者達の受け入れだった。ヘリオポリスに残すのも手ではあったが
以前の状態にまで復興するにはあと半年を要するという事だった。
彼らは月のグラナダや地球のオーブを移住先として望んでいた。
ブレックスの頼みを断るわけにもいかず、
ラミアスはブレックスの頼みに応じた。
「では出発は今から4時間後、
《アークエンジェル》の搬入作業は概ね終了しているはずだ。
シェルターに避難している民間人に余計な混乱と詮索はさせん為にも、
《アーガマ》の避難民の《アークエンジェル》への移動は
1時間半ほどで終わらせてくれ。リストはその後でも構わん。」
ブレックスは《リック・ディアス》と必要な部品や資材の搬入は
出発前に無重力ブロックのドッキングベイで行うように指示した。
《アーガマ》がヘリオポリスの民間人の目に触れぬようにする為でもあり、
一刻も早くシェルターの避難民を外に解放させる為でもあった。
ティターンズやルナツーのパトロール隊は
おそらく騒ぎを嗅ぎつけてこちらに向かっている筈と判断し、
それらと会敵するのには1時間ほどの誤差はあるだろうと計算していた。
それまでに全ての作業を急ぎで終わらせるように指示をして、
ブレックスがチラと左手首に巻かれた腕時計を見てブリーフィングが終了となった。

22 :
《アーガマ》から《アークエンジェル》への避難民受け入れ作業が行われていた。
カミーユはグリーンノアからの避難民もいるという話を聞いてその場に来ていた。
「カミーユ!!」
唐突に避難民の人集りの中から
見知った顔の少女が飛び出して来ると
カミーユは心臓がズキンと脈動した気分になって驚く。
「ファ?ファ・ユイリィじゃないか…!どうしてここに?」
「お父さんもお母さんもティターンズに捕まっちゃったの…!」
カミーユがファに聞くと、彼女の口からはとんでもない言葉が発せられた。
捕まった…?ティターンズにか?
カミーユの頭の中に色々な考えが錯綜するが
何も分かるはずがなかった。
カミーユは少し焦り気味の表情で何故?
とファに疑問をぶつけるとすぐに彼女は涙を流しながら
「あなたのお隣だからよ…
私も捕まるんじゃないかって時に、ブライトキャプテンに助けてもらって…」
そう言うと体を震わせカミーユの胸に体を預けて
大粒の涙を流し泣きじゃくっていた。
「そんな……僕を知っているってだけで…。」
カミーユはそう言って強く彼女を抱きしめていた。
他にも感動の対面を果たしたのはカミーユやファだけではなかった。

23 :
ブライトの助けたフレイ・アルスターもその一人だった。
「フレイ!?…フレイじゃないか!」
「…サイ…?サイ!?良かった!」
サイの呼び掛けに気付いたフレイは
サイのもとへ一目散に駆け寄っていくとサイへ体を預けた。
その光景を見ていたキラは心臓が妙にズキンとした感覚を覚えた。
「フレイ、どうしてこんな所に?」
「友達とはぐれたの!そしたら小さな女の子をブライトさんと助けて…!
…それでシャトルに行ったらダメでここに…」
フレイは少し興奮気味にサイへ言っていたが、
話の内容がよく分からないと感じたサイは
「そっか…とにかく無事で良かったよ…後でゆっくり話そう。」
と言って、その場をなんとか落ち着けていた。

24 :
《アーガマ》の艦長室にはブレックス、ヘンケンやブライト、
クワトロがコーヒーを飲みながら資料を手に話をしていると
「失礼します。」と、ドアの向こうからカミーユの声がした。
ブレックスが入れと言うと、ドアがプシュっと音を立てて横に開くと
カミーユが部屋に入ってくる。
「カミーユ君、どうした?」
クワトロがそう聞くと、カミーユはブライトの方へ顔を見て
「ブライト艦長。ファ・ユイリィの事、
あの子を助けて頂いてありがとうございます。」
と、律儀に礼を言って来た。
「礼には及ばないさ。カミーユ・ビダン君だな?
あの時の事は私もよく覚えている。」
ブライトがカミーユににこやかな表情でそう言うと、
カミーユは彼に覚えていてもらって少し嬉しそうな表情を見せる。
「だが君はまだ正式なエゥーゴの一員ではないそうだな?」
「はい。やっぱり民間人からっていうのは難しいみたいですね。」
「だが君が戦うと決めたならば、その意志を曲げるような事はするなよ?」
「はい、ありがとうございます。
ブライト艦長。」
いくつかのやり取りをすると、カミーユは艦長室を後にした。

25 :
彼らはカミーユが出て行ったのを見やると、ブライトが口を開く。
「カミーユ・ビダンか…何故だか危うさを感じるのは私だけですかね?」
ブライトは足を組んで、コーヒーを啜るブレックスに問いかける。
ブレックスは手に持ったコーヒーカップを下皿に置くと、
空調の音だけが静かに聞こえる部屋の中にカチャリと陶器のぶつかる音が小さく響く。
ブレックスは腕を組んで「ホワイトベースにいた時にも同じ気持ちだったかな?」
と言って、背もたれに背中を預けるとブライトに質問を返す。
ブライトは「…そうかも知れません。」とだけ言うと、
ブレックスはブライトやクワトロ達の顔を真剣な眼差しで見ながら
ブレックスが呟くように言った。
「その為には我々がカミーユ・ビダンという
大きな可能性を導かなくてはいけない。」
その言葉にブライトは「こんな悲しい時代でなければ…」
と言って大きく溜息をついた。

26 :
少しの沈黙ののちにその沈黙を破ったのはヘンケンだった。
手にしていた資料に再び目を送りながら
「しかし…オーガスタ基地ですか…まさかこんな所にいたとは。」
と言って難しそうな顔をする。
「彼にはその素養があると?」
ブライトの口から唐突に出たその言葉にブレックスらは、クワトロに視線を送る。
クワトロは右手でサングラスを外し、テーブルにそれを置くと
「経歴を見るまでは確証はありませんでしたが…
あの未完成品の絵に書いたような兵器は、
少なくとも相応の適正がなければ動かす事は出来ません。」
と言って、鋭い視線でブレックス達の顔を見やる。
その言葉にブレックスが納得したような顔で
「なるほどな。だから『それ』に理解のある者をそばにつけて、
且つ若者達の近くに置こうと思ったわけか。」
「はい。『彼』と上手く引き合わせる事が出来れば、
みなが宇宙へ上がろうと感じられるのではないかと思います。」
何か嬉しそうに話すクワトロを見るのはブレックスやヘンケンも
初めてな気がしていたがヘンケンが顎の髭をさすりながら
「しかし大尉。初めて会った人間に対して随分と甘い評価じゃないのか?」

27 :
というと、テーブルに置いていた資料を手に取って
「出自を見れば天性のカリスマ性を持っていると考えます。
私の過大評価が間違いなければ天才ですよ彼は。」
クワトロはヘンケンにそう言って応える。
「確かに…オーガスタ基地にいた事を考えれば
一年戦争時に名を上げていなかった理由も頷けるな…」
ブライトも顎に指をやって軽く資料に目を通しながら言った。
「連邦はつくづく利権や保身の為に才能の芽を潰す連中だという事だな。」
ブレックスが呆れた顔でそう言うとその場にいたブライト達はフッと笑っていた。

《アークエンジェル》の居住区用の談話室ではキラを含めた
カトーゼミの面々やフレイ達が話をしていた。
彼らの話題は感動の再開を果たしたカミーユ・ビダンと
ファ・ユイリィの話で持ちきりだった。
彼らにとって何よりの驚きだったのは、
カミーユがキラと同じ民間人で、いきなりモビルスーツに乗り
戦ってみせた事だったらしい。
トールはカミーユをコーディネイターか何かだと思っていたが、
キラがニュータイプらしいと言ったらサイ達は
アングラ物の資料を目にし過ぎだと笑っていた。
キラ自身、戦闘が終わった後にコーディネイターだと
いう事が少し騒ぎになったが今は気にもしていないようだった。
だが、カミーユはコーディネイターでない事は事実で
彼らも不思議がっていた。
そこへ《アークエンジェル》に配属の決まったロベルトが
彼らのもとへやってきた。

28 :
「おう、坊主達!ここにいたか。」
「あ、ロベルト中尉。」
「あの…ヘンケン艦長の怪我の具合どうですか?」
ロベルトが全員の顔を見やると、ミリアリアがヘンケンの怪我を気にしており
「…まだ戦闘は無理だな。」とロベルトがすぐに返すと
ミリアリアは少し俯いた。
ロベルトはそれを見て「だが心配いらん!」と大きな声を張ると、
「その代わりにブライト・ノア大佐が
《アーガマ》の艦長に着任したからな。
まさに鬼に金棒というヤツだ。」
と笑って言ってみせると、
トールはこの人はミリアリアを不安にさせないようにしてる…と気付き。
わざと、茶化してみせる。
「そうだよ!凄ぇよなぁ!
あのブライト・ノアがエゥーゴにいるんだぜ?
俺もエゥーゴに参加しようかなぁ〜♪」
と言うと周りはトールの調子の良さに笑う。
そんなトールの後ろにいるロベルトの鋭い視線が背中に突き刺ると、
殺気を感じたトールが後ろを振り返った。
「そんな理由でエゥーゴに入ろうとするなこのアホたれが!」
ロベルトはトールの耳をつまんで大きな声を上げると
トールは肩を竦めながら
「冗談ですよぉ〜冗談!!」
と叫ぶと、周りのキラやサイ達は
トールの情けない姿を見て更に笑っていた。

29 :
予定の出発時刻があと10分ほどとなっていた。
ヘリオポリスは避難勧告は2時間前に解除されていた。
出港の為《アーガマ》《アークエンジェル》は
ドッキングベイにてその時を待っていた。
《アークエンジェル》のブリッジではクルーが少ない為、
戦闘時以外はムゥはブリッジの手伝いをする事になっていた。
ロベルトもその例外に漏れず、ムゥと持ち回りで手伝う事になった。
ブリッジのモニターには航路図が映し出されている。
事前のブリーフィングでブレックスから知らされた作戦行動に移る事になっていた。
地球への周回軌道まで乗り、
小型ジェット式のカプセルを降下させるというもので、
降下ポイントはティターンズの司令部があるとされているジャブローだった。
ジャブローへ潜入をして内偵をするという危険な任務を、
レコア・ロンド中尉が行うことになっている。
このレコア中尉の単独での任務にラミアスやナタルは少々、
不安気な顔をしている。
それに気付いたムゥが二人に声をかけた。
「なんだ?艦長さんと副長さんともあろう者が神妙な顔しちゃって。」
その言葉に、え?という顔をするラミアスとナタルにムゥは
二人が何が心配なのかを言い当てて見せる。
「同じ女だからってんでレコア中尉の事が心配か?」

30 :
それを聞いたラミアスとナタルは図星だったと言わんばかりの顔をするが、
それに対して先に応えたのはナタルだった。
「い、いえ…女性だからという訳ではありませんが、
ジャブロー基地への侵入を一人でやるというのはどうかと…」
理路整然と答える事の多いナタルは影をひそめて、
歯切れの悪い言葉だった。
「あの中尉さんは諜報活動も担当なんだろう?
ティターンズから《ガンダムMk-U》を奪うって任務も、
事前に潜入していたレコア中尉の働きがあったからこそらしいしな。
心配する事無いと思うぜ?」
「しかし…彼女はまだ23歳という歳頃の女性です。
もし失敗でもして身柄を拘束されでもすれば何をされるか……」
ラミアスは彼の言葉が少し楽観的すぎやしないかと思い、
言いかけた言葉はつい本音を漏らしていた。
しかし軍人である以上は性別関係無く、
与えられた任務をこなすというのが基本であり、
ラミアスは自分の軽率な発言を少し情けないと感じた。
「まぁ、実は俺も同じ気持ちなんだがね。」
と、ムゥはそう答えると
爽やかな表情を少し固くして続けて言う。

31 :
「俺は一年戦争の時、北米の基地に配属したての新米兵士だった。
だがそこで見たのは悲惨なんて言葉で片付けられるモンじゃなかった。
もちろん俺は関与しちゃいないが上官達や研究者が
えげつない事をしてるってのはもっぱらの噂だった。
捕虜になったジオンの女士官は
検査、研究、尋問、拷問と称して……
味わった苦痛と屈辱は相当なもんだったろうな…。」
その言葉にラミアスやナタルだけでなく、
ノイマンらも固唾を呑んで聞いていた。
「でもな、自分が軍人になったってんなら
そういう事も覚悟しなくちゃなんねえ。
認めたくはないが戦争にはつきもんだろ?
そういうのってさ。
だからレコア中尉の任務成功を俺達が信じてやらんとな。」
皆は一様にして下を向いていたが、ラミアスがムゥに問いかける。
「フラガ大尉…?もしかして大尉のいたその基地というのは……」
ムゥはその問いに息を軽く一つ吐くと
「まぁ、俺の経歴でも調べれば簡単に分かる事さ。
この話はもう終わりにしようぜ?」
と言ってその場の重い空気を断ち切った。

全ての作業を終え《アーガマ》を先頭に《アークエンジェル》《モンブラン》がヘリオポリスを発つ。
白き『大天使』は『伝承』の舟らと共に
混沌のの海へと旅立つのであった。
そして無限に広がる星の宇宙で
若き命達は多くの刻の涙を流す事になるーーー

32 :
タイトル忘れてましたね。
第9話_「混沌の海へ」
これにて終了でございます。
オーガスタ基地、ニタ研がありますね。
詳しい方は分かると思いますが、伏線です。
つまらん作品で駄文ですが
序盤のクライマックスに回収しますんでお楽しみに。

33 :
投下乙でありまーす
さて……色々候補はいるが、誰だろう?
種とΖだけじゃないって明言されたから当てはまりそうなのはかなりいるぞ

34 :
GJ!
カミーユは初っ端から危うさ全開だったからなw

35 :
確かコーウェン大佐のGP計画も動いていたな、スパロボの様にデラーズの蜂起もあると言う事
カオスだ

36 :
成る程、スパロボ的な宇宙世紀ものか

37 :
923
少しでも読んで頂けるのは頑張ろうと励みになります。
明日あたり投下致しますのでどうか宜しくお願いします。
ちなみ画像をSS倉庫に添付するのは
どうしたら良いでしょうか?
連邦軍服版ラミアスとかちょいちょい
イラスト描いてますがやり方がいまいち分かりません…

38 :
乙です。いよいよGジェネ的な動きが出てきました。キャリー・ベースやモノアイガンダムズみたいなシナリオが出ても面白そう。
SEED世界の発展水準考えるとプロヴィデンスと向き合う頃にはSガンダムが出ても不思議ではなさそうと思ったんですけど、ガンダム開発計画が遅れているのでアナハイムの技術水準が気になる……。

39 :
>>38
先に言うと
GPシリーズは第2世代のモビルスーツとして
計画しております。
という事で投下しま〜す。

40 :
第10話_「揺れる思い」

ザフト軍の《ヴェサリウス》と《ガモフ》は
ヘリオポリスからほど近い暗礁地帯に
ダミー隕石を展開して身を隠していた。
「まさかこのような事態になろうとは…。
いかがされます?
中立国のコロニーで戦闘行為をしたとなれば評議会も…」
《ヴェサリウス》のブリッジで渋い表情をしながらアデスは悩んでいた。
中立国のコロニーでの破壊工作。
そしてエゥーゴとの戦闘行為による接触。
全てが無承認による作戦行動…
考えれば考えるほど、
胃袋が針金のような物できつく締め付けられる感覚だった。

41 :
「ですが…蓋を開けて見れば、奴らはエゥーゴでした…
これについても評議会の承認無しでは…」
アデスは典型的な型にはめたような軍人気質の男だった。
元々は連邦軍部隊の副官を務めていた男だっただけに、
クルーゼの目に余る行動には少なからず疑問を抱いていた。
少しはこのように自分の意見を言う事はあるにしても
元連邦軍兵でも無いこの男の優秀な頭脳と実力。
何よりも底知れぬ力を肌で感じていたのも事実であり、
上官の命令は絶対だと言うのも分かっていた。
そんな自分の性格も合間って更に自分を悩ませていた。
「スパイの情報ではハルバートン艦隊の新型兵器だった筈だ。
それが間違いだったとは思えん。
ならば直前にエゥーゴへの参加が決まっていたと考えられる。」
「…しかし……」
クルーゼが腕を組んで色々と推測をしてみるが、
アデスにとっては結果が思わしくない事が問題だった。
そんな心配するアデスを黙らせる一言を言い放つ。
「住民のほとんどは避難シェルターに逃げ込んでいる。
さして問題はないさ。
『血のバレンタイン』の悲劇に比べれば。」
「…うっ…」

42 :
アデスの反応を見て、フッと笑うとクルーゼは次の指示を出す。
「合流したとサラミス級と移動している奴らを追う。
予測進路は分かっているか?」
「解析予測コースは…地球周回軌道上と思われます。」
オペレーターからの報告を聞いたクルーゼは組んだ腕をほどくと
顎に指を当てて考える。
「ふむ…何かやろうと言うのかな?エゥーゴ共は。」
「やはり、追われますか?」
考え込むクルーゼにアデスがそう聞くと
「当然だ…今度の戦いはまたとなたいチャンスになる。
必ず良い結果が出ると確信しているさ。
本国も我々を認めざるを得ないほどにな。」
と、答えクルーゼはニヤリと笑ってみせた。

43 :
支援する!

44 :
「《ストライク》の調整はまだ出来ない?何故だ?」
《アーガマ》のブリッジにいるブレックスが
やや不満そうな表情でモニターに映る
ラミアスからの報告を聞いていた。
どうやら問題はキラ・ヤマトが書き換えてしまった。
という根本的な問題であって今の《ストライク》は
コーディネイターの彼にしか動かせないという
全くの別物の機体になってしまったらしい。
コーディネイターという存在が明らかになって
当時の連邦軍人のコーディネイターらが操縦していた
モビルスーツだけではなく
ボールやセイバーフィッシュなども同様だった。
そのような記録があったのをその場でブレックスは思い出していた。
モニター越しに映るラミアスは気まずそうな表情で
「現状、他のパイロットが操縦してバーニアを噴射しようものならば、
通常の倍以上のGが肉体にのしかかって
場合によっては死亡する可能性もあると…
そのように技術スタッフから報告がありました。」
と言うと、ブリッジにいたブライト達も驚いていた。
すると、ヘンケンがラミアスに一つの疑問を投げかける
「では先の戦闘で見せた《ストライク》の性能は
キラ・ヤマトにしか引き出せない…という事か?」

45 :
すると、ブライトが何か感心したように
「しかし…今の話を聞く限りでは
《ストライク》は実用段階に無かったという事ですね。」
「ああ、それをあんな少年がモビルスーツを撃退する事までやってのけたのだ。
コーディネイターというのは底が知れんよ。」
とブレックスと言葉を交わすとブリッジにいた全員が改めて、
コーディネイターの凄さというモノを感じたのだった。
ーーーーー
ヘリオポリスを出発してから4日が経過していた。
懸念されたティターンズや
ルナツーのパトロール艦とは
まだ遭遇する事もなく
今のところは順調な航海となっていた。
キラ達がいる《アークエンジェル》の
居住ブロックの部屋からは賑やかな声が聞こえていた。
同級生であるフレイもその中におり、
さながら学校の旅行にでも行くかのような賑やかさだった。
その中にはフレイと共に《アーガマ》へ逃げ込んだエルと
その母アンリも一緒にいた。
エルはフレイの膝の上に座り、
フレイと一緒に歌を歌っていた。
ヘリオポリスの一件以来、
エルはかなりフレイに懐いていた。
フレイは兄妹もおらず母も早くに亡くしている。
父親は連邦軍の事務次官という要職に着いているため、
唯一の家族である父親とも中々会えずにいた。
その為、彼女は常に誰かといないと不安になる性格なのか、
常に親友だったジェシカやミーシャと一緒にいた。
しかし、ヘリオポリスの騒乱によって彼女らとは離れ離れとなってしまった。
そんな彼女にとってエルはサイやミリアリアと共に
寂しさを埋めてくれる存在になりつつあった。
フレイもお姉さんになったようなつもりでエルと触れ合っている。

46 :
終始賑やかな声が響く居住ブロックの彼らの部屋に
そこへロベルトが部屋に入ってくる。
先にロベルトへ話しかけたのはサイだった。
「あ、ロベルト中尉。どうしたんですか?」
賑やかな部屋でそう言ったサイの声は半分消されていたが
ロベルトは辛うじてサイの言葉を聞き取る事が出来た。
すると、ロベルトはフレイの隣に座るアンリに声をかける。
「奥さん、すみませんが
この子達と話がありますので、
少しの間だけ外してもらっても良いですか?」
と、言うと歌っていたフレイやエル、ミリアリアも歌をやめ
部屋の中が唐突に静まりかえる。
アンリは少し戸惑っていたようだが「あ…すみません…。
エルちゃん、この人がお姉ちゃん達とお話しするから
ママとお部屋に戻りましょうね。」
そう言って何かを感じ取ったように
フレイの膝の上に座るエルを抱えて
ロベルトに頭を下げ部屋から出て行った。

47 :
部屋の沈黙は破られる事なく、
キラ達は不思議そうな表情でロベルトを見ていた。
向かいの部屋にエルやアンリが
入ったのを確認すると
ロベルトは黙ってドアの横に備え付けられたボタンを押す。
すると開放されていたドアが閉まった。
「ロベルトさん、僕たちに話があるって…何ですか?」
部屋に漂う沈黙の空気を破ったのはキラだった。
ロベルトの表情から少し不穏なものを感じたキラが恐る恐る聞いていた。
するとロベルトの表情は少し柔らかくなり、
ようやくキラ達へ話を始める。
「お前達、みんなと一緒にいて楽しいか?」
キラ達は彼の言葉が威圧的なものではなく
どこか穏和な空気を感じ取れた。
ロベルトの問いかけにサイが答える
「はい。楽しいって言うより、みんなが側にいるから
不安な事も忘れられるかなって思います。」
とロベルトの目を真っ直ぐに見てそう答えた。
その言葉にロベルトは決して柔らかい表情を崩す事もなく
「そうだな…だが、他の人達はどうだろう?」
と言ってキラ達の顔を順番に見やる。
するとその言葉の意味を理解したトールやミリアリアの表情が固まる。
それと同時にロベルトの表情が少し固くなると
「…実はな…避難民の一部からラミアス艦長へ
お前達に関して苦情が来ていてな…。」
ロベルトがそう言うとフレイやサイ達の表情も固まり
部屋の中の空気を押し潰す。

48 :
「お前達が悪いという訳ではないがな。
やはり不安なのかもしれんし
もしかしたら笑顔でいられるお前達が疎ましいのかもしれんぞ?」
ロベルトは少年達にそう言うとサイが
「もしかして…その人達は僕達がうるさく感じてるって事ですか?」
と言って、ロベルトへ質問を返す。
それを聞いたロベルトの口元の濃い髭の片方が上に釣り上がると
「うるさいってのとは違う。」
とロベルトは答え
「ここの避難民はヘリオポリスだけじゃなく、
グリーンノアの民間人もいるのは知っているだろう?」
全員にそう聞くと、皆が頷く。
それに応えるようにロベルトも頷くと、
グリーンノアの人々は自分達が住むコロニーの基地化を
ティターンズに反対して命の危険に晒され、
安住の地としてヘリオポリスへ逃げ込んだ事を話した。
しかしヘリオポリスもあのような状態となり、
自分達にとっては安住の地など何処にもないのではないか?
そういう不安定な精神状態で追い詰められた
人々がいる事をロベルトは彼らに伝える。

49 :
その話を聞いた少年達は少し落ち込んでいた。
するとカズイが俯きながら
「すいませんでした…
他の人達の気持ちを知らないで自分達だけ呑気に…」
と言うと、キラ達は顔を上げてロベルトの顔を見る。
「お前達の笑顔を守るのが俺たち大人の仕事だがな。
中にはこういう状態で子供にあたってしまう人もいる。
だからお前達のその元気を少しでも不安に
なっている人達に元気を分けてあげるとかな。
まあ何か出来る事があるんじゃないか?って事だ。」
ロベルトの表情は既に先ほどの柔らかい表情に戻っていた。
そんなロベルトの問いにキラが
「僕たちに…出来る事……?」
と聞くと、大きく頷くロベルト。
「そうだ。何も戦争に参加しろってんじゃない。
まだ若いんだ。自分達なりにそれをしっかり考えるんだな。」
そう言うと、ロベルトはドアを開けて部屋を後にした。

ロベルトが部屋から出ると、
ムウが壁に寄り掛かって立っていた。
ラミアスが避難民とキラ達の間にあった問題は
航海を始めて2日目に起きた事で、
ストレスの多い艦内生活に慣れていない民間人にとって
素早く対処しなければならない問題だった。

50 :
ラミアスは当初、自分が彼らと話をしようとしていたが
ロベルトは艦長の手を煩(わずら)わせないと言って
自身が名乗り出た格好だった。
二人は無言のまま居住ブロックを抜けて、
無重力ブロックに入ると
リフトグリップに手をやって移動をしながら話を始めた。
「盗み聞きするつもりはなかっあんだが…
ちょいとばかり坊主達が気になってな。
すまなかった。
クワトロ大尉の部下である中尉にこんな事させちまって。」
ムウはそう言うと、ロベルトは少し気が楽になったような表情で
「いえ、戦争を知らないでいる事はこの時代では危険です。
それに自分があいつらにしてやれる事は
戦い以外ではこのくらい事だけです。」
と言ったロベルトに
「充分すぎると思うがね。
クワトロ大尉が羨ましいぜ。
ロベルト中尉みたいな部下に恵まれてな。」
「褒め言葉として受け止めておきますよ。フラガ大尉。」
と言って二人はフッと笑ったのだった。

51 :
支援だ

52 :
ーーーーー
ブリッジに座るブレックスが安堵の表情を浮かべていた。
「そうか、避難民の問題は解決したか。」
そう言ってブレックスが大きく息を吐いて肩を撫で下ろす。
グリーンノアの避難民がたらい回しの状態では
ささいな問題に気を配らねばならい状況だった。
「ロベルト中尉が話をつけたみたいだな?」
ブライトがクワトロに目を送って聞くと、
「私の方からロベルトに対処するように言っておきました。
結果的に避難民を
あちらに押し付けるような形になりましたから
せめてもの償いとしてです。」
とクワトロはその理由をはっきりと示した。
クワトロは冷静にそう言っていたが
ロベルトを信頼しての事で戦争を知っている人間の
言葉を直接少年達に聞かせてやりたかったのが本音だった。
「なんにせよ戦闘になる恐れがあるからな。
不安要素を今の内に取り除いておくのは良い事だ。」
ヘンケンがそう言うと、ブレックスらはコクリと頷いた。
すると索敵センサーの音がブリッジ内に木霊する。
「来たか!?」
ブライトが身を乗り出してセンサー長のシーサーに確認する。

53 :
「3時の方向!サラミス級、数は1です!接触は約15分後!!」
シーサーがそう叫ぶとブライトは艦長席の手元にある、
スイッチを押すと艦内にアラートが鳴り響く。
横にいたヘンケンが指をポキポキとならしながら
「よっしゃ!」と言って意気揚々とCIC席に腰を下ろす。
ーーーーー
《ボスニア》はようやく
レーダーでエゥーゴの艦隊を捕捉する事が出来ていた。
ブリッジではチャン・ヤー少佐が、
カタパルトデッキで待機をするライラに指示を出す。
「ライラ、いいな?艦隊を止めて臨検をするんだ。
沈めるのが目的ではないからな。」
と、ライラに何か念を押すような口ぶりでいた。
「わかっています。そんな戦争好きに見えますか?」
ろくな仕事も出来んくせにどの口がそんな事言ってる?
意地の悪い上官にライラは内心そう思っていたが、
冷静に尚且つ、いつもの調子で皮肉っぽく返す。
そんなライラに対して言った言葉に
悪びれる様子もないようだ。
ライラの皮肉っぽい物言いに
「ふん、見えるな。」
と、応えるとモニター越しに映るライラが少し笑いながら
「ふ…ではいつかご期待に応えましょう。」
と返すと、ブリッジオペレーターから発進の合図が出る。

54 :
「リニアカタパルト射出準備OK、ライラ隊発進せよ!」
ブリッジオペレーターの声と共に、
カタパルトにいた誘導員が、緑色に光る発光スティックを大きく振ると、
それが発進の合図となる。
「よし、ライラ・ミラ・ライラ。
《ガルバルディβ》出る!!」
合図を確認すると、やや顎を引き前方を見据えて
操縦桿を強く握り両方のフットペダルをぐっと踏み込む。
すると《ガルバルディβ》バックパックスラスターの
青い炎が噴射すると機体の乗るリニアカタパルトが
前方へ勢いよく滑走する。
体にGがかかると目が少し痛くなるような感覚が襲う。
カタパルトデッキの先端部までカタパルトが
到達して《ガルバルディβ》の足とカタパルトが
離れてその勢いのままスラスターの推進力が合わさり
振り返れば母艦の《ボスニア》が小さくなっていた。
続く3機の《ガルバルディβ》も一気に発進をすると
ライラと編隊を組んで、前方に見える《アーガマ》を目指した。
ーーーーー
《アークエンジェル》のブリッジは
《アーガマ》からの情報によって騒然としていた。
レーダーにはサラミス級が確かに表示されており
かつての友軍との戦いを目前に全員が緊張していた。

55 :
《アークエンジェル》のモビルスーツデッキに
ムウが飛び出してくると、《リック・ディアス》に
乗り込もうとしているロベルトに状況を聞いていた。
「ロベルト中尉、捕捉されたって!?」
「はい、サラミス級が1隻だけですがおそらく哨戒艦です。」
「チッ…て事は後続にティターンズがいる可能性もありか!」
ムウはそう言って舌打ちをしながら、
《メビウス・ゼロ》に乗り込んだ。

艦内にはアラートが鳴り響き居住ブロックにいる
避難民が不安と恐怖の表情を浮かべていた。
その中で、高齢の老人が「もうダメだ!みんな死ぬんだぁ!!」
と言うと、周りの避難民も声を上げて叫び出していた。
その光景はまさに阿鼻叫喚と呼んで良いものだった。
「お姉ちゃん…!みんな死んじゃうの…?」
エルはアンリの腕に抱かれていた。
しかし周りが騒ぎ出した事によって、
エルも恐怖を感じ取り体を震わせてフレイに聞いた。
「え……?…」
フレイも感じていた。
ヘリオポリスでの体験とは比べものにならない程の恐怖を。
彼女を襲う恐れはエルの言葉に励ます事も出来なかった。

56 :
しえんするよ!

57 :
横でその様子を見たキラは意を決したように立ち上がると
避難民の人々の前に出ると大きな声で叫ぶ。
「皆さん落ち着いて下さい!!
絶対助かりますから…!
だから落ち着いて下さい!」
キラはそう叫ぶと避難民達は大人しくなる。
しかしそんなキラに一人の男性が
「何が大丈夫なんだ!?
噂じゃこの戦艦は下っ端の軍人しか
乗ってないっていうじゃないか!」
その言葉にキラは反論出来ずに歯軋りをする。
男の言葉は更に避難民の恐怖を増長させてしまい、
また周りが騒然となる。
そこへトールとサイが一緒に立ち上がると反論する。
「小さな子供が怖がってるんだ!
大人が子供を怖がらせるような事を言わないで下さい!」
「そ、そうですよ!
絶対大丈夫だって信じればきっと助かりますから!」

58 :
そう言うと、避難民達が再び静かになる。
そこへ避難民の一人の男が立ち上がると避難民達に言う。
「皆さん、この子達も怖いんです。しかし我々のような
大人がそんなんでどうするんです。信じましょう。」
男はそう言うと、しばらくの沈黙ののち避難民達は
キラ達に「すまない。」
と、言ってその恐怖が去るのを待つ事にした。
それを見ていたミリアリアが隣に座るフレイに
「サイ…カッコいいじゃん。」
と言うと、フレイもミリアリアの顔を見て
「うん…トールも。」
と言って、彼女達も少し気が楽になったようだった。
そんな中、キラはただ一人立ち尽くして拳を強く握り締めていた。
ーーーーー
「よし、見つけた。
《ボスニア》へ信号弾で知らせろ。」
ライラはそう指示すると、
僚機の《ガルバルディβ》の頭部から信号弾が発射された。」

ライラ隊の放った信号弾が爆ぜると辺り一帯を白い閃光が包み込む。
その閃光は《アーガマ》や
《アークエンジェル》のブリッジにも届く。
《アーガマ》通信長のトーレスはその閃光を確認した。
「見つかりました!信号弾の光です!」
「位置を母艦に知らせたか!」
トーレスの言葉にブライトが反応した。

59 :
「見つけたよ、エゥーゴのコソ泥め!数はやはり3隻か。」
レーダーに映る熱源のサイズは艦艇クラスと見て
間違いないが報告にあった2隻ではなく、
3隻に増えている事が発進前からの疑問だっ。
HUD(ヘッドアップディスプヘイ)に表示されている
艦艇を徐々に拡大して行くと、2隻の白い艦艇に気付く。
「何だあの戦艦は?
ペガサス級が2隻…?違う…あんな戦艦は連邦軍にはない。」
《アーガマ》と《アークエンジェル》をモニターで
確認したライラはもしかして
エゥーゴでは無いのかもしれないと感じていた。
どういうことだ…
臨検する必要はあるな…だが受け入れるか?
そう考えながら《アーガマ》に近付いて行く。
ブリッジにはブライトの声が響く。
「モビルスーツ、発進用意!」
それに続いてCIC席に座るヘンケンが砲雷科に指示を出す。
「対空戦闘用意!」
そう声を上げた瞬間、ブライトが迫り来る機影から
光が点滅しているのを確認すると、手を横にスッと伸ばすと
「待て!発光信号だ!」
そう言うと、全員が戦闘体制に入っていたが手を止める。
センサー長のシーサーか発光信号を解読すると、その内容が分かる。
「停戦信号?」
ブライトが驚き気味に言うと、
ブレックスも怪訝な表情を見せて声を上げる。
「停戦しろだと!?」

60 :
ヘンケンがふと不思議な顔をして
「我々が脅威ではないのか?」
と疑問を抱いて呟くと
「グリプスのバスクの隊でないからな。
こちらを詳しくは知らんのだ。
モビルスーツが来るぞ?」
ブレックスがそう言うと、警戒を促す。
するとシーサーがセンサーに映った機種と数を確認する
「機種判明、ルナツー所属の《ガルバルディβ》4機です。」
「《ガルバルディβ》が4機もか!?」
その報告にブレックスは驚く。
《ガルバルディβ》自体数は少なく、
性能は抜群に高いという訳ではないが
ザフトの《ジン》やティターンズの《ハイザック》よりは
数段上の性能を持つバランスの良い機体だった。
「クワトロ大尉は待機。
アポリー中尉とカミーユは
ティターンズ本隊との戦闘に備えて出撃はするな!
《アークエンジェル》《モンブラン》にも
許可があるまで待機するように通達しろ!
指示があったらいつでも出られるようにしておいてくれ。
サエグサ、減速はするなよ。」
ブライトは各所にテキパキと指示を出すと、
ブリッジの真上をライラの《ガルバルディβ》が
猛スピードで通過する。
「速いな!?」
通り過ぎた《ガルバルディβ》を見たクワトロは
思った以上のスピードを出してくる機体に舌を打つ。
「速度は落とさないな…怪しいな、
戦艦がモビルスーツに勝てると思うなよ。」
ライラは反転をすると、再び《アーガマ》に近付いて行く。

61 :
「また来ます!」
トーレスがそう言うと、ブライトは落ち着いた口調で
「指令があるまでは撃つなよ。」
と、言っていたがクワトロからブリッジに通信が入る。
「キャプテン、出るぞ。」
「もう少し待ってくれ。
なるべくこちらから扇動はしたくない。」
クワトロの言葉に、ブライトはどっしりと構えながら言うと
ライラがオープン回線を寄越して来た。
「聞こえるか、貴艦の所属を明らかにしろ。
当方の命令にこれ以上従わない場合は撃沈をする。」
「我が方はエゥーゴだ。命令は聞けない。」
ライラの要求に対して、ブライトはきっぱりと拒否をする。
「了解した。では貴艦を撃沈をする。」
ライラはその返答に対してそう言うと
右手に持つビームライフルをブリッジに向けると
「好き勝手な事を言う!」
と言って、クワトロが《ガルバルディβ》に向けて
2発、3発とビームピストルを放つ。
「…!!こいつ!?」
ライラはフットペダルを踏み込むと
スラスターを噴射させて火線をスレスレで躱す。

62 :
支援

63 :
支援

64 :
猿さんでした…

撃ち終わりを狙ったライラが反撃とばかりに
ビームライフルを撃ち返す。
「やる…!」
クワトロの言葉通りに、ライラの戦闘能力は高かった。
あとコンマ一秒でも遅ければ
間違いなくコックピットをやられていた。
「そこだ!」
ライラがそう叫ぶと、
左手のシールドから2連装ミサイルを放つ。
「何だと!?」
クワトロが操縦桿を操作して、グリップのボタンを押すと
武器をクレイバズーカに持ち替えて構える。
「えぇい!」 
クレイバズーカから放たれた砲弾がミサイルに向かって行くき
やがてぶつかり合うと大きな火球が起きる。
「よし!後続の《アークエンジェル》と《モンブラン》に
モビルスーツを出させるように打電!!」
ブライトがそう言うと
トーレスが「了解!」と言って通信電文を送る。
展開した《ガルバルディβ》が
先頭を行く《アーガマ》との交戦に入る。
「来るぞ!対空放火!蜂の巣にしてやれ!!
《アークエンジェル》には避難民が乗っているんだ!
被弾させないようにこっちが盾になるつもりでいろ!」
ブライトがブリッジのクルー達へそう檄を飛ばしていると
下から突き上げられる衝撃が襲う!
「くっ!!いきなり当てられたか!弾幕張り続けろ!」
「機関部に被弾!!メインエンジンにトラブル発生!」
トーレスがブライトにそう報告すると、
ブライトは焦りと共にじわりと汗が滲み出てくる。
それに機関を真っ先に狙う辺りは戦いを熟知しているようだ。
そう感じたブライトの拳はギュッと締まる。

65 :
「ラミアス艦長!《アーガマ》より
モビルスーツ発進の許可が出ました!」
オペレーター席に座るチャンドラがラミアスへそう言うと
「分かったわ!!《アーガマ》に張り付いた
モビルスーツの掃討が優先!
バジルール中尉!」
ラミアスはそう指示を送るとCIC席のナタルへ目を配らせる。
ナタルが大きく頷いてカタパルトデッキにいる、
フラガとロベルトへ回線を回す。
「了解です!
フラガ大尉、ロベルト中尉、
聞こえましたね?発進して下さい!」
「了解!ロベルト機、《リック・ディアス》出る!」
「……ムウ・ラ・フラガ、出るぞ!!」
カタパルトデッキに『LANCH』の文字が青く表示されると、
両舷から《メビウス・ゼロ》と
《リック・ディアス》が一気に発進する。
《モンブラン》からもジムUが2機発進して直掩機として、
《モンブラン》と《アークエンジェル》を防衛する。
「迂闊な…!」
ライラは赤い《リック・ディアス》に向け
ビームライフルを2発、4発と撃つがクワトロも
ライラの戦い方に慣れたのか、余裕を持って躱す。
「チッ…あの赤いモビルスーツ…!
……もしやあの赤い彗星?」
《リック・ディアス》の機体の色と相手の
実力を肌で感じ、無意識に出た言葉だった。
クワトロは《アーガマ》に張り付く
《ガルバルディβ》を狙い撃つ。
機体はビームピストルでコックピットごと撃ち抜かれると
核融合路に誘爆して、大きな火球となって消えた。
「えぇい…実戦慣れした部隊だ…!ようやく1機か。」
クワトロは先ほどの《ガルバルディβ》といい
他の機体も戦い方が直線的ではなく、
効率の良い動きで的を絞らせない戦い方をしていた。

66 :
「ラミアス艦長!《アーガマ》より
モビルスーツ発進の許可が出ました!」
オペレーター席に座るチャンドラがラミアスへそう言うと
「分かったわ!!《アーガマ》に張り付いた
モビルスーツの掃討が優先!
バジルール中尉!」
ラミアスはそう指示を送るとCIC席のナタルへ目を配らせる。
ナタルが大きく頷いてカタパルトデッキにいる、
フラガとロベルトへ回線を回す。
「了解です!
フラガ大尉、ロベルト中尉、
聞こえましたね?発進して下さい!」
「了解!ロベルト機、《リック・ディアス》出る!」
「……ムウ・ラ・フラガ、出るぞ!!」
カタパルトデッキに『LANCH』の文字が青く表示されると、
両舷から《メビウス・ゼロ》と
《リック・ディアス》が一気に発進する。
《モンブラン》からもジムUが2機発進して直掩機として、
《モンブラン》と《アークエンジェル》を防衛する。
「迂闊な…!」
ライラは赤い《リック・ディアス》に向け
ビームライフルを2発、4発と撃つがクワトロも
ライラの戦い方に慣れたのか、余裕を持って躱す。
「チッ…あの赤いモビルスーツ…!
……もしやあの赤い彗星?」
《リック・ディアス》の機体の色と相手の
実力を肌で感じ、無意識に出た言葉だった。
クワトロは《アーガマ》に張り付く
《ガルバルディβ》を狙い撃つ。
機体はビームピストルでコックピットごと撃ち抜かれると
核融合路に誘爆して、大きな火球となって消えた。
「えぇい…実戦慣れした部隊だ…!ようやく1機か。」
クワトロは先ほどの《ガルバルディβ》といい
他の機体も戦い方が直線的ではなく、
効率の良い動きで的を絞らせない戦い方をしていた。

67 :
その時、背後からライラが
クワトロの《リック・ディアス》をロックオンする。
「赤いの…撃たせてもらう!!」
ライラがそう言うと彼女の機体のコックピットに
アラートが鳴り響く。
「ロックオンされている…!?」
「クワトロ大尉!援護する!!」
《リック・ディアス》のコックピットのHUDにムウの顔が映ると
背後から
《メビウス・ゼロ》が《ガルバルディβ》へ
リニアガンを1発、2発と発射する。
「っ!敵の援護か!?」
ライラは咄嗟にシールドを構えて、防御態勢に入る。
その時コックピットに強い衝撃が走る。
「ぐ…!?」
《メビウス・ゼロ》のリニアガンがシールドを撃ち抜き
内臓していたミサイルが爆発を起こす。
「ち!迂闊だった……!」
レーダーに映った方へ目をやりモニターを確認すると
ライラの心臓が強く跳ね上がる感覚に陥る。
「あ、あれは…《メビウス・ゼロ》!?そんな馬鹿な…!!」
ライラの頭の中は混乱し始めていた。
《メビウス・ゼロ》を見て、心臓の鼓動が
異常なほど早くっている事はライラは分かっていた。
その時、戦闘宙域を赤く照らす光が広がる。
「ボスニアからの撤退命令!?…チッ…私が動揺するなんて!」
撤退信号に気付いたライラは慌てて、撤退をすると
2機の《ガルバルディβ》もそれに追従して来ていた。
「隊長、お怪我は?」
「問題ない。シールドをやられただけだ…」
『赤い彗星』と『エンデュミオンの鷹』が相手だったと思いたい…
でなければ立場がない。
しかしあれが本当に『エンデュミオンの鷹』なら……なぜだ?
コックピットの中でライラは独り呟いていた。

そんな事を考え込む彼女の心臓の鼓動は
まだ高鳴っていたのだったーーー。

68 :
終わりです!
次回はゆっくりで行きます。
今年も残り数時間ですね。
皆さん良いお年を(`・ω・´)ゞ

69 :
投下おつですー( ´∀`)ノ
ライラはムウに因縁あるんかのう+(0゚・∀・) + ワクテカ +
そして良い御年をー(・∀・)ノ

70 :
来年もSSの投下がたくさんありますように

71 :
GJ!!
ムウの何がなぜだなのか?何かおかしいとこがあったのだろうか。

72 :
新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
新しい書き手も投下を始めて下さり、賑やかになって良かったと思います。
UC世界も好物なので楽しみにしてます。では、のびのびの続きを。
10/32
 伝統的に「相手側に手を出させること」を
戦争の開始要件としている本国の体制を考えると、
理事の言う先制攻撃はなかなかの綱渡りぶりである。
「……理事はその段階に来ていると見ているわけですか」
「さぁ、そこまでは何とも。我々は我々の意思に基づいているだけで、
結果はそれに付随するものです。飽くまで私達は私達です。彼らではない。
立ち位置を踏み違えてはいけませんよ」
「お言葉ですが、その様な勝手な論理で攻撃を正当化しては、
この国の外交がもたないのではと危惧します。確かに私は軍人ですから、
命令とあらば行動するのが原則的立場ですが、私も一人の国民です。
我が国の伝統的な立場を考えても、我々が先制攻撃を仕掛けるというのは、
……世論をどう納得させるのかと」
「……私はあなたのそういう冷静さを買っています。
我が国の組織の中でそうした冷静さを持つ頭脳がいることを心強く思います。
危惧については……私も考えなしに命令を出しているわけではありませんよ。
これでも、……この国を導いてきたという自負がある。
何より私も、愛・国・的、アメリカ国民ですから」
 にっこりと微笑んで話すアズラエルの表情に毒気はなかった。
 その呆気ないほどの穏やかな反応に、ダーレスは逆に不安を感じるのだった。

 センサーがロックオンアラートを鳴らす。
 唐突な事態だが、咄嗟に回避行動をとるイザーク。
 閃光が目前のストライクを縫う様に走り去るのが見えた。
「なに!?」

73 :
11/32
 閃光の出所は、前方右上空から急速に迫る機影。
 スピードはこれまでの連合機の常識を超える。しかも、センサー表示距離からしても
随分と距離があるにもかかわらず、あの精確な射撃だ。
 慌てて後方へ距離を置き、キラービーに持ち変えると照準を絞る。
 目視領域に現れたその機影は、漆黒で塗られた全く見たことのない形状をしたものだ。
 長い砲身を先端に持つ戦闘機……にしては随分と大きい。MAと呼ぶべきだろうか。
 引き金を引くイザーク。
「早い!?!」
 彼が予想した速度より敵機の方が勝っていた。
 キラービーを予想速度より「早め」の予測で連射し当てるつもりでいた彼だが、
敵の機体はさらに速度を上げて、フェアトラウェンの目前を飛び去ったのである。
「…ったく(ひやひやさせてくれるねぇ。あの銃、連射は無しっしょ。)キラ、大丈夫か?」
『ムゥさん!?有難うございます。助かりました』
「いやいや、そんなことは良いさ。それより、あいつを何とかしなくっちゃな」
『はい!』
 フラガは訓練していたとはいえ初飛行での実戦という状況に、内心ドキドキとしていた。
さすがの彼も予想の上を行ったフォールディングの飛行性能に心躍る。
 イザークはストライクの他に現れた新型の登場に、状況の変化を悟る。
 このまま戦えばいくら高性能な機体でも対抗は難しい。
 彼はコンソールのとあるスイッチを押した。すると、機体から勢いよく何かが飛び出した。
 それは夕焼けに染まる空を青白く弾けて輝き散る。
 信号弾が打ち上げられたことで、それを見た周囲も戦闘に変化が訪れることを予感させた。

74 :
12/32
「ここがお前の荷物の場所か」
 アスランはフレイを後ろ手にロープで縛り歩かせ、
彼女の荷物のある場所へと案内させた。
 そこには彼女の機体の姿もあった。
「これを君が乗っていたわけか」
「触らないでよ。あんたがその気なら、こっちも考えるわよ」
「触らない触らない。見るだけで十分だ。
それより、さっきの夕立でずぶ濡れだろう。
着替えは……無いだろうけど、干した方が良い」
 彼はそう話すと、唐突に彼女のロープを解いた。
「え!?」
 何が始まるのかと思って構えていた彼女からすれば、
意味も分からず解放されて困惑した。
 何より彼は自分に着替えろと促した辺り、
これはストリップショーを要求しているのかと、内心ドキドキとしていた。
「……どうした、好きに荷物の整理をしたらいい。
あ、でも、武器を持って構えたなら、僕は君を撃たなきゃいけなくなる。
そんなことはしたくないんだ。協力してくれるよな」
「……そう言って、あんた、生着替えショー……だとか要求しているんでしょう!」
 赤面しながら言い放った彼女に、彼は一瞬目が点になった。
「はぁ!?………っはははははははは、いやぁ、それは考えてもみなかった。
そうだな。そういうのもあるかもな。まったく……君には驚かされる」
「ちょ、え!?」
 アスランの素で笑っている姿に頭を抱えて恥じる彼女。
 彼の方は、あまりの話に殺伐とした緊張感が無さ過ぎて笑うほかなかった。

75 :
13/32
 その後、フレイは彼に促されるままに荷物の整理をする。
毛布があったので、それで隠しながらタンクトップとパンツ一枚になった。
 彼女に危機意識がなかったわけではない。
だが、状況的にそれを心配してもどうしようもなかった。
何より体の自由は認められたわけだから、何かがあったとしても抵抗はできる。
身の心配より生き残ることに彼女は集中する方向を変えたのだ。
 そんな彼女の緊張感をよそに、アスランの方はマイペースに荷物を開くと、
近場から枝を拾い集めて石を組み、手早く焚火を始めた。
 フレイは彼の手早い作業に内心感心しつつ、洞穴の壁面にもたれかかって見ていた。
 どんなに緊張感が無かろうが、相手との距離は取りたいという意識が強かった。
「そんなに警戒しなくてもいい。助けが来なければ二人だけの無人島だ。
長居はしたくないけど、助けが来るまではお互い様だと思わないか」
「……そうね」
 彼女の表情は険しいままだ。
 彼はその反応に溜息を吐くと続ける
「君はどうして連合軍に。……事情はあるんだろうけど」
「……父の仇(かたき)よ」
「……仇。それはいつ」
「……ヘリオポリスを出て、暗証宙域に来ていた先遣艦隊に、パパの船が来ていたのよ」
「……そうか。君の父さんは軍人なのか」
「違うわ」
「じゃあ、なんで軍艦に」
「……父は外交官よ。たぶん、交渉に来ていたんだと思う。
そうじゃなきゃ、船になんて乗らないもの」
「……そう。で、何を話に来るつもりだったんだ」

76 :
支援

77 :
14/32
「そんなの知らないわ。でも、今ならわかるの。先遣艦隊は記録上攻撃を仕掛けていない。
それどころか、僚艦の記録ではZAFT艦と通信をしていた形跡がある。たぶん、
本当に外交目的で接触を試みていたのよ。にも関わらずZAFTは唐突に攻撃を仕掛けてきた」
「……君の話の通りなら、その部隊を率いていたのは俺だ。俺が命令したんだ」
「!?……それって、本当の話?」
「あぁ。俺が部隊長をしている。全ての命令は俺が出した」
「……そん…な」
 フレイは目前の少年が自分の父を殺した張本人だと知って、強い衝撃を受けた。
 先程まで気さくに接してくれた温和な少年が、まさか自分の仇だとは思いもしなかった。
 彼女の話を聞いて、アスランもまた悩んでいた。
 それは自分が彼女の仇だという事実ではなく、彼女の言う「外交交渉」が気にかかったのだ。
……少なくとも自分には上層部からその様な話はなかった。しかし、彼女の言う通りだとすれば、
あの時の艦隊が確かに無防備に通信チャネルを開いてきたのはわかる。
 一体誰がそのような話を進めたのだろうか。

 イザークの進行弾を確認したモラシムは、作戦を次の段階へ進めた。
 クストーから出撃した彼は、手筈通りに全部隊が行動していることを確認し、
足早に自身の機体へ走った。
「網は張った。あとは追い込むだけだ」
 彼は自身の中に沸き上がる熱いものを感じていた。
 かつてこれほどの期待を掛けられたことは無い。
 コーディネイターとしてはエリートとは言えない自分の立場を、
現在の部隊長までに仕上げたのは実力だと胸を張れることだが、
その実力もこんな末端の戦場の最前線に送り出される程度なのだから、
その評価も知れたものと皮肉も言いたくもなったものだ。
 それが、どうしたことだろう。
 本国のエリートとチームを組み、作戦の采配も自由に計画出来、
最先端の武器を配備されているのだ。これが熱くならないでいられるだろうか。
 
 フェアトラウェンは信号弾を打ち上げた隙にストライクへ迫る。
 気を取られていたキラは咄嗟に対応しようと動くが、反応が追いついてくれない。
「動けーー!!!」
 それは唐突に起こった。
 目前まで迫っていたはずの敵機が、何故か視界から消えたのだ。
「……いやぁ、俺ってやっぱMA乗りなのねぇ」

78 :
15/32
 彼は主武装であるブリッツ・シュトラールの照準を絞り狙撃したのだ。
 フェアトラウェンにはPS装甲があるが、ブリッツ・シュトラールはそれを貫通する。
マルチフェイズビームコーティングを施した弾丸を音速で叩き出すそれは、
衝突すれば強烈な衝撃波を伴って物体を破壊する。
 炸薬等は使用していないが、速度がそれを補う仕組みだ。
どんなに強力な装甲といえども、PS装甲が無効化された状態でこれを受ければ無事とはいかない。
 フェアトラウェンは真横からの強い衝撃と共に右腕をもぎ取られ、
そのまま機体ごと横殴りに突き飛ばされた。
「ったく、空を突っ切る重力が気持ち良いんだからなぁ」
 フォールディングがキラの真上を飛んでいく。
「ありがとうございます!」
『早く立て直せ、腕は吹っ飛ばしたが、まだ行けるだろう。
それにもう一体同じのが来ている。……しかも、こいつは前の白いやつだ』
「…え、なんでわかるんですか」
『そんなのわからないけど、俺の感って、当たるんだよね』
(……しかし、こいつはとんだ化け物だ。
MAとしての性能が突き抜けてる。こう感じるのって、
俺が時代についていけてないってことなのかね。……冗談じゃない)
 フラガは感じていた。
 心の中をざわつかせる存在を。
 
 フェアトラウェンのイザークは憤っていた。
 ストライクより確実に強いはずの自分が新手の連合機にやられたのだ。しかもMAにだ。
 旧世代の遺物とでも言うべきMAごときに腕を持って行かれた。
……それが、腸が煮えくり返るほど認めがたいことだった。

79 :
支援

80 :
16/32
「……黒いやつめ、俺の腕を持っていったこと、後悔させてやる」
 イザークはキラービーを構えて連射する。
 それはフォールディングを狙い撃ちしていた。
「ぐぅ!?」
 フラガは懸命に避けるが、3連射のキラービーのビームを確実に避けることは難しい。
並みのパイロットの射撃ならば躱せるだろうが、
相手はコーディネイターの特別機を任されるエリートだ。
そう易々と温い射撃はしてくれない。3発中1発は確実に当ててきている。
しかも、同じ場所に集中させてのおまけ付きだ。
 いかにカーボンドが反射特性を持つ耐熱防弾装甲だとしても、
そう何度も受ければ耐えることはできない。
 キラがフォールディングへの攻撃を逸らそうと敵機への攻撃を仕掛けるが、
その時通信が入る。
『アークエンジェルから各機へ、本艦は攻撃を受けています。
現在、ジーニーに出撃準備をさせているけど、
トール一人では無理だと思うの。応援をお願いします」
 ミリアリアの声からは、彼女のとても不安な気持ちが伝わってきた。
 恋人が死ぬかもしれない恐怖。
そこには藁をもつかむような願いがこもっていたのだろう。
 実際、ジーニーだけでアークエンジェルを守り抜くのは無理だろう。
 デュエルはオーバーホール中で出られないし、他の機体も使えない。
使えるのはジーニーのみなのだ。
「ムウさん!」

81 :
17/32
「キラ、お前は向こうへ行け!ここは俺一人で行ける!」
「すみません!ムウさん!」
 ストライクが戻る。
 そこにすかさずイザークがストライクを狙い撃ちするが、
フォールディングの牽制射撃を避けて後退する。
 キラはそれを見てそのままアークエンジェルへと向かった。
「さーて、そうは言ったものの、MA対MSじゃキルレシオが違いすぎるんだよねぇ。
誘導弾も無しに戦う戦闘機は玩具同前だ……って自分で言ってりゃ世話無いか。
(目視は相手も同じとはいえ、あっちはMSの姿で高機動ときている。
接近戦を仕掛けられたら一溜りもない。
MS初心者の俺がどこまでベテランくんに太刀打ちできるか。
まったく良い冒険だぜ)」
 フラガは迷っていた。
 ジェインウェイの命令は「MA」での出撃だ。
 確かにその方がずっと生還できるだろう。ただし「逃げ続けていれば」の話だが。
 彼女の話は、まるで自分にエンデュミオンをまた演じろとでも言わんばかりの話だが、
実際その程度の芸当が精一杯だという現実も理解していた。
 しかし、少年達の必死の努力を見ていながら、片や自分は安全策を選ぶという滑稽さ。
これで本当に彼らの上官として、先輩として振る舞えると言えるだろうか。
 戦場は舞台ではないが、上の者としての沽券に係わるというべきか、
彼にもプライドはあるのだ。
「まったく、戦場は死ぬために行く場所じゃないよな。
……生き抜くために戦う場所だ」
 彼の視線はフェアトラウェンへ向けられていた。
 システムコンソールにアクセスし、プログラムを変更する。
 フォールディングは敵機へ向けて直進した。

82 :
18/32
 アークエンジェル艦橋では新たな事態を迎えていた。
「CICより報告、敵ボスゴロフ級を確認。
光学センサー、4時の方向より急速接近する機影探知。
グーン3機と新型です!」
 アーガイルの報告を聞き、ジェインウェイは敵側の行動を把握した。
 相手側は空の陽動を利用して海から挟撃する気だ。
しかも、この攻撃にはもう一手用意されている。
 3次元方向からの挟撃を狙う相手に対して、
通常であればこの状況で単艦対応は危険だ。
 しかし、ここはあくまで「コズミック・イラ」だ。
「我々」の常識に囚われていては戦えない。
 使える駒はストライクとフォールディングにジーニー。
3機中2機は空の攻撃に対応している。
残りの一機で海の敵に対応するしかないが。
「ラミアスさん、私に考えがあるのだけど、聞いてくれるかしら」
「閣下?どうぞ」
「有難う」
 ジェインウェイは彼女に作戦を告げた。
 ラミアスはその内容に思わず顔色を変えたが、
確かにその方法が一番現状ではやり易い話でもあった。
 被害も少なく、相手側も無理を押してくるとは思えない。だが、
一歩間違えればこちらも相応に損失を被る可能性もある。
綱渡りには変わりないのだ。しかし、その綱渡りぶりも慣れとは怖いもので、
ラミアスは半ば当然の様に受け入れていた。
そんなに綱渡りが怖いならば、この先旅など続けられない。
 そう思う程度には彼女も強くなった。

83 :
19/32
 イザークは突然逃げ回っていたはずの敵機が、
こちら側へ直進してきたのを見て、気でも触れたかと思っていた。
 向かって来るならば攻撃を集中させるだけだが、
相手の装甲はこちらのビームを弾いている。
 パルスビーム化によって省電力性能は上がったが、
威力は良くて通常ビームの半分程度の威力しかない。
相手の装甲が反射するとすれば、実際の被弾面に生じる損傷は遥かに小さいだろう。
であるとすれば、こちら側の攻撃は通常の3倍以上の量で対応しない限り、
相手の装甲を破壊することはできない。
 それでもキラービーの三連射を全弾命中させていれば、
通常ビーム程度の負荷はかけられる。しかし、
その程度でしかないと織り込んでいるからこそ、相手も仕掛けてくるのだろうが。
 イザークはキラービーをやめてラケルタを構える。
「突進するなら貫く!!!」
 そう構えた瞬間、相手はみるみる内に変形し、なんと人型に変わってしまった。
しかも、その人型は変形しざまにビームソードを手に持ち襲いかかってきたのだ。
 咄嗟に構えなおしてソードを受け止めたが、瞬間的に発生したビームの反発力に加えて
相手側のスピードがプラスされ、強く押しつけられる格好となった。
フェアトラウェンはそのまま海面に叩き付けられるように落下する。
 フォールディングに乗るフラガは胸を押さえていた。
 強烈なGがかかる高速飛行に加えて、
変形させてすぐの相手との衝突に体が追い付いていなかった。
 締め付けられるような胸の痛みに、嫌な鈍痛が全身から感じられた。
「(……こりゃ何本かいったかな)
初心者をその気にさせないでほしいねぇ。ったく」
 フェアトラウェンは海中から勢いよく飛び出した。
 そしてラケルタを構えると、お返しとばかりに突進してきた。

84 :
支援

85 :
バケラッター
……いやなんとなく

86 :
フェアトラウェンで唇噛みかけたw

87 :
0===。El
  (・∀・ )
 >┘>┘

88 :
0===。El
  (・∀・ ) 支援てー
 >┘>┘

89 :
むう、モンキィ……

90 :
サルカイジョマダァ? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

91 :
すみません。お猿規制入ってました。
お待たせしましたが、とりあえず20分割目です。
20/32
「頼むから、まだ始まったばかりとか言わないでくれよ」
『そこのパイロット!お前は許さねぇからなぁ!!!』
「っちぃ。弱音は吐かぬが男の子ってねぇ!」
 互いのビームが幾度も交差する。
 上空を二機の機体が激しい衝突音を響かせて死闘を繰り広げる。
 その頃キラはアークエンジェルへ応援に向かっていた。
「アークエンジェルは……下からの攻撃!?前の潜水艦」
 遠方からのミサイル攻撃をアークエンジェルは懸命に迎撃していた。
 幾らハンセンによって迎撃ミサイルの追尾性能も上がっているとはいえ、
量で来られてはどうしようもない。相手側のおびただしい量のミサイル攻撃は、
完全にこちら側の対応能力を読んで用意してきている。
 どうやら相手の指揮官は先日の戦闘から多くを学ぶ、冷静で優秀な指揮官のようだった。
 それに対してジーニーの姿は無い。……と、その時、海中が大きく波立った。
「へへ、なんとか一機やってやったぜ!今畜生!」
 トールはマリンストライカーモジュールを初装備したジーニーに搭乗していた。
 新開発されたマリンストライカーにはトンファーと魚雷が装着され、水中を高速移動できる。
これまでの簡易対応の海中装備と比較すれば、かなり自由に動けるようになった。
 彼は最初は身動きが上手く取れないように装い、相手側の接近を誘い、
油断した相手をトンファーに仕込まれているレーザーで焼き切った。
 先程の爆発は彼の初戦果でもあった。
「やはり脚付きは対応してきたか。
奴らの母艦内に高度な開発能力があることは間違いないわけだ」
※あと3つくらい投下して調整したら、明日以降に残り10行けるかな。

92 :
21/32
 モラシムはゾノの中で敵側の動きを冷静に分析していた。
 思っていたよりもずっと高度な対応能力と言うべきか。
相手側は先日の戦闘後に現在の性能を引き出すほどの開発を行っていたのだ。
こんな非常識な開発力は見たことも聞いたこともない。
 一体あの艦の中はどうなっているのか。
 散会させたグーンの行動はハンスに任せて、
彼は相手の出方を冷静に探りながら指揮をしていた。
 ハンスは先行した不慣れな新米の死に苦笑しつつ、
他の二機には機動性を武器に相手を翻弄するよう指示を与えた。
 こちらと向こうの絶対的な差は行動時間の差だ。
如何に相手側が高度な装備を持っていたとしても、使えるエネルギーには限界がある。
敵のジンもどきの性能は連合の新型と同等程度の性能を誇っているが、
その連合の新型の電力は既にこちらにデータがある。
彼らのOSの省電力性能を加味したとしても、
そう長い時間を海中で戦い抜く様には出来ていないはずだ。
 対してこちらのグーンは海中戦闘をメインに最適化した専用機だ。
今回は増設バッテリーも搭載しているので通常の倍の行動時間がある。
相手の機体にも相応の増設はされていたとしても、持久力は競り勝てる計算だ。
「くそ、ねばっこい攻撃ばっかりで気持ち悪いぞ。
近づいてみたり、遠のいてみたり、やる気ないのかと思えば仕掛けてくるし」
 トールは相手がこちら側の武装に対して警戒していると考えていた。
 先ほどの攻撃は相手が油断したから上手くいったのだろうが、
他の機体はそうもいかないのは相手の動きでわかるというもの。
 ただ、だからと彼らの挑発に乗るわけにもいかない。
 手の内を見せて良いことは無いし、彼にとっての切り札もまた、
伏せたものがあるという状況にあるのだ。
「ジーニー、ドライブコントロール、回避プログラムβ2起動。
コンバットモードをシューティングに変更」
『ドライブコントロール、β2起動。シューティングモード、への、変更を承認。
オートドライブ、に、入ります。パイロットは、任意に、マニュアルモード、へ、復帰できます」

93 :
22/32
 トールは操縦をシステムに任せ、自分は攻撃に集中することにした。
 2発の魚雷を有効に使うためにも、
相手側の行動のタイミングを掴みたかったのだ。
 しかもシステムの方が現状ではずっと上手く操縦出来ている。
下手に自分が動かすより都合がいいのだ。
 この先海戦が幾度続くのかわからないため、
慣れておくことに越したことは無いだろうが、
初戦のラッキーが続くとは限らない。
 生存率が高い方を選ぶのが上策だと思った。
(なんでもこなしちゃうキラと同じには……悔しいけどできねーからな。
俺はナチュラルに選ぶんだ)
 トールは鼻を片手でこすりながら笑みを浮かべた。
 システムの軌道プログラムを読みつつ、相手との間合いを計算する。
 海上では、キラがアークエンジェルへ帰還し、
トールのために装備を換装しようと考えていた。
だが、それはかなわない。
 遠方からの射撃がストライクの進路を塞ぐ。
 驚いて回避行動をとるが、彼が反応するより先に相手の攻撃が入る。
「……頼まれて、嫌だと言わないのが私の主義でね。
困っている同胞を助けるのは美談じゃないか」
 白銀の機体が迫る。
 後方に二機のゲイツの姿もあった。
 フライトモジュールを搭載したゲイツは、
散開するとアークエンジェルへの攻撃を開始する。
それを阻止せんとストライクが向かう動きを見せるが、
白銀の機体はそれを阻み、長い刀の様なものを構えて対峙した。
 歯を噛みしめて対峙する機体を睨む。
 キラは機体情報を見て新型であることは分かっていたが、
それに乗るパイロットについては察しがついていた。

94 :
23/32
「(この感覚……分かる気がする、低軌道の時の)
ぐぅぅ、こんなところで」
 シュベルトゲベールを構え切りかかるストライク。
 白銀の機体……アンファングを駆るクルーゼは、この機体の特徴的武装である、
細長い刀身の日本刀の様な形状をしたソード「マサムネ」を持ち、
その長いリーチでストライクの打ち込みを受け止める。
 ビームコートされたマサムネは、
シュベルトゲベールと比較すればずっと華奢な刀身であるにも関わらず、
ストライクの一撃に折れることなく、逆に切り返しで払いのけるのに耐えた。
それは実際に耐えたといって全く差しさわりない程度には「意外な」固さに見えたのだ。
 しかも、その耐えた刀を振るう側は、力の上でもストライクを上回っている。
アンファングの核動力は単純計算でストライクの5倍のエネルギー供給能力を持ち、
パワーとスピードを兼ね備えている。
 それに加えて試作機の機体を元に強化されたこの機体だけ、
Gシリーズのフェイスをしていないため、
これまでより強くZAFTの雰囲気を受け継いでいる様に感じられた。
「……私が来たからには、
相応の戦果をとらせてもらおうか。キラ・ヤマト君」
「!?なんで僕の名前を」
 キラは唐突に入った相手側からの通信に動揺した。
 彼は自分の名前を知っていた。
彼の声には全く聞き覚えがないのにも関わらずだ。
 考えられるのは、アスランを経由してZAFTに伝わったと考えるべきだが。
「あなたは一体!?」

95 :
24/32
 アンファングのホバースラスターは小刻みに動いてストライクのミスを誘う。
 キラは冷静に相手との力の差を考えて、プログラムを手打ちで対応させ始めた。
しかし、相手はその対応をさせじと踏み込み、ストライクの胴を狙うが、
キラは咄嗟にクルーゼの上方に飛ぶように吹かして上昇し躱す。
だが、返し刀で左足の先を切り離された。
「知れば誰もが君を欲するだろう。いや、君の様になりたいと……ね」
「なんなんですか。僕は僕だ」
「そう、君は君だ。だが、君の存在のために、どれほどの命が犠牲にされたのだろう。
私は君の持つ業を、いわば癒しに来た救世主とでも言わせて貰おうか」
「犠牲!?」
「……知らないか。ならば、その生まれを呪うが良い。
君は、いずれ人類の敵になる」
「冗談じゃない!!」
 キラは覚醒する。
 急激に弾けるように視界がクリアになった彼は、
相手側の機体の動きが緩慢に見えた。
 先程までは絶対的な差として映っていた動きが、
嘘のようにその俊敏さを失っていたのだ。それだけではない。
彼はこの機体がもつ行動の複数の可能性を瞬時に映像として把握していた。
 アンファングはストライクの5倍の出力性能を持っているが、
機動力や戦闘力などの基本的性能はそう大きく変わるものではない。
 もともとゲイツを元にしているこの機体は、
ゲイツの構造性能を大きく超えるものではない。
実際の力の差は倍程度だろうと考えられた。
ゲイツと考えればキラも知らない機体ではない。倍速で動くゲイツならば、
攻撃モーションスピードを逆算して相手との衝突点を計算できた。
「なに!?」
……という辺りで、本日は投下終了にしておきます。次で何とか最後まで行けそうですね。
新スレ立て有り難うございます。沢山の支援も有り難うございました。

96 :
支援

97 :
     \ |同|/       ___
     /ヽ>▽<ヽ      /:《 :\ ひとやすみ
    〔ヨ| ´∀`|〕     (=○===)
     ( づ◎と)     (づ◎と ) ひとやすみ
     と_)_)┳━┳ (_(_丿

98 :

またも続きが気になる展開

99 :
0===。El
  (・∀・ ) 支援よーい
 >┘>┘

100 :
0===。El
  (・∀・ ) ……
 >┘>┘


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