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【アニマル系SS】穂乃果「ライオンを手なずけて、海未ちゃんに反抗するよ!!」
- 1 :2020/01/01 〜 最終レス :2020/01/02
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- 2 :
- 穂乃果「みなさんっ!!」
ことほのうみ「あけましておめでとうございます!!」
穂乃果「いやぁ〜〜……」
穂乃果「始まったねぇ!!2020年!!」
穂乃果「オリンピックイヤーだよ!!閏年だよ!!」
穂乃果「もうすぐラブライブフェスも控えてるし、μ'sの新曲も出ちゃうし……」
穂乃果「今年は穂乃果が、再び社会現象に……」ウシシッ
海未「世間話をしてる暇は無いですよ、穂乃果」
ことり「みんなに、このSSの説明をしなきゃ」
穂乃果「あっ、そうだったね」
穂乃果「ゴホンッ……」
- 3 :
- 穂乃果「これからご覧頂くのは、>>1から皆さまへ送る、いわばお年玉ともいえる新作SSです!!」
ことり「でも、不思議だよねぇ」
穂乃果「へ?」
ことり「つい最近、浣腸SSを書いたばかりだというのに、短期間で新作投下だなんて……」
海未「僅か数日間の間で、これだけ長尺なSSが書けるモノなのでしょうか?」
穂乃果「いや、それがねぇ……」両人差し指合わせ
ことうみ「???」
穂乃果「あまり大きな声じゃ、言えないんだけど……」ヒソヒソ
穂乃果「なんかこのSS、書いたのは去年の7月頃らしくて……」ヒソヒソ
海未「7月ってあなた、半年も前じゃないですか!」
海未「要は、一旦ボツにしたSSで、お茶を濁そうという魂胆なのですね?」呆れ顔
穂乃果「うっ……」図星
- 4 :
- ことり「通りで、さっき一足早く読んだときに『ここ最近の文体とは、全然違うなぁ』と思ったよ……」
海未「『それからちん』も不在で、AAがそれほど氾濫してませんし……」
穂乃果「『昔はこういう作風だったんだなぁ……』って、穂乃果も読んでて驚いちゃったよ」
海未「それがどう間違えて、たけし軍団よろしく体を張って笑いを取る芸風になったのでしょうか……」困惑
穂乃果「人生、一寸先はどうなるかわからないよねぇ……」
ことり「平和だったあの頃に、戻りたいよねぇ……」シミジミ
(3人が進行を放棄して、しんみりと懐古を始めてしまったので、そろそろ本編を始めます––––)
- 5 :
- 【アニマル系SS】穂乃果「ライオンを手なずけて、海未ちゃんに反抗するよ!!」
〜校舎・生徒会室〜
(テーブルを激しく叩きながら、穂乃果が激昂している)
穂乃果「もういいよ!!海未ちゃんの分からず屋!!」
穂乃果「いっつもいっつも!!ことりちゃんには甘くて、穂乃果にはガミガミ怒鳴って!!」
穂乃果「そんなに穂乃果が駄目なら、海未ちゃんが生徒会長になればいいじゃん!!」
穂乃果「…………くっ!!(悔し涙)」
拳プルプル……
- 6 :
- 穂乃果「穂乃果……生徒会長なんか、辞めてやる!!」
ダダダッ
海未「まっ……待ちなさい!!穂乃果!!」
ことり「穂乃果ちゃん……!!」
扉ピシャン!!
廊下ダダダダダダッ
穂乃果(悔しい……悔しいよぉ……!!)
穂乃果(どうして、海未ちゃんみたいなスーパーウーマンが、穂乃果の幼なじみなんだよう……)
穂乃果(……グスッ)目ゴシゴシ
穂乃果(穂乃果にも、なにか対抗できる力があれば、海未ちゃんに見下されることも無いのに……)
穂乃果(あぁ……穂乃果にも漫画みたいに、ある日突然すごい力を手に入れる神展開があれば……)
- 7 :
- (穂乃果は1ミリでも遠く海未から逃げんがために、校舎の外へ出た)
(その、数分後––––)
♪ピンポンパンポーーン……
『全校生徒の皆さんに、お知らせします』
『先ほど、上野動物園からライオンが脱走し、秋葉原付近を逃走中との事です』
『校舎に残ってる生徒達は、安全確認が取れるまでは決して校舎の外には出ずに……』
- 8 :
- 〜街中〜
トボトボ……
穂乃果「怒りにまかせて外へ出ちゃったけど……」
穂乃果「カバンを生徒会室に置いてきちゃった……」
穂乃果「こういう所があるから、海未ちゃんに『それ見たことか』と思われるんだ」
穂乃果「……穂乃果のバカ」頭ポカリ
(穂乃果の目の前に広がるアキバの街並みは、人の気配が全く感じられず、さながらゴーストシティーと化している)
穂乃果「変だね……」頭ポリポリ
穂乃果「昼間なのに、誰も外にいないよ」
穂乃果「なんだか、アキバの人達にまで邪険に扱われてる気分だよ」ドンヨリ
- 9 :
- 穂乃果「とは言っても、いまさら生徒会室には戻れないし……」
穂乃果「あ〜〜あっ」シラケ
穂乃果「誰でもいいから、穂乃果と遊んでくれないかなぁ……」
ガルルルルルルル…………
穂乃果「?」
穂乃果「なんだろう……この匂い」
穂乃果「すっごく獣臭い……」
クルッ
- 10 :
- |..._ __ ュ-.ミミミミヽ:、 |
|`ヽ. .。彡三ミミミヾヾヾ`ヽ. |
| ',、 __... イ, ,' '`ミミ三ニミヾヾ.:.:}:.}:ハ |
| ゞ=ァ´,' : : : : :γミミミヽ--:ァr__ ミ-rk'_ |
| /゙:゙: ;.=ミ: : : ;': : :ミ三彡`ム、`:'゙^f、..く |
| γ´> ´_,.。:ゞュ{: : : マ三彡'ノf≠:r:f.r゙:fァ .|
| Y´::/´ ゞ= ' マヘ: : : :マニ彡',リlllll|/L/!′ !
| `¨′ `\: : :ヽ.´´´<:ゝ;,;,;メ、 .|
| \: : :ヽ、 `ー{:: : :ヘ. .!
| {,、,、}n:ハ ヽ: : :ゝ.___ .|
| マ∨ソ`′ マ: x: xn:}.|
| ` '^ '´' .|
- 11 :
- 穂乃果「…………」
穂乃果「え〜〜っと……」
穂乃果「君は、ひょっとして」
ライオン「ガルルルルルルル…………」
穂乃果「穂乃果とお友達になりたいのかなぁ?」
ライオン「ガオオオゥォォォン!!」
穂乃果「………………!!(顔面蒼白)」
地面にヘタりっ
穂乃果「う……う……」
歯ガチガチ……
穂乃果「(消え入るような声で)海未ちゃん……助けて……!!」
- 12 :
- (この絶体絶命の状況において、穂乃果は無力感に支配されていた)
(目の前のライオンもそうだが、結局は海未に助けを求めなければならない自分自身に……である)
ライオン「ウゥ〜〜〜〜〜〜」
穂乃果「……い、いやぁ!!」
ライオン「……………………」のそりのそり
穂乃果「こ、来ないでよぉ!!」両腕ブンブンッ
ライオン「…………………」シゲシゲ
穂乃果「うっ……………!!」
ライオン「………………」匂いクンクン
穂乃果「…………………!?」
スリスリッ
- 13 :
- 穂乃果「………………えっ!?」
ライオン「クゥ〜〜〜〜〜〜ン」
穂乃果「…………あっ、うっ、えぇっ!?」
穂乃果(ひょっとして、こいつ)
穂乃果(私に懐いて……)
ライオン「………………(尊い物を見つめる目)」
穂乃果「そ、そっか……」
穂乃果「お前、私の味方なんだね……」
穂乃果「はぁ〜〜〜〜〜っ(安堵のため息)」
ライオン「ウォオン?」
穂乃果「もぉ〜〜!!脅かさないでよ!!」
- 14 :
- 穂乃果「大体お前、どこから来たの?」
ライオン「ガウゥアウゥ」
(ライオンは身振り手振りのジェスチャーで、穂乃果に何かを伝えようとしている)
ライオン「ウアァァバウゥ」
穂乃果「『上野の動物園から逃げてきた』?」
穂乃果「え、それってヤバくない?一大事じゃん」
穂乃果「お前みたいのが外に居たら、みんな建物の中に避難して……」
穂乃果「あ……」
穂乃果「だから、誰も外にいないのか……」
- 15 :
- ライオン「ウガァガアグルル」
穂乃果「『下界を満喫してたら、お腹がすいてきた』」
穂乃果「『何か食べ物が欲しい』だって!?」
穂乃果「そんなの知らないよ〜〜!!自給自足してよ!!」
ライオン「クゥ〜〜〜ン……」ジ〜〜〜ッ
穂乃果(うっ……)
穂乃果(子供が母親に、無償の愛を求める時の目だよ……)
穂乃果(やめてよ……そんな目で穂乃果を見つめるのは……)
穂乃果「…………しょうがないなぁ」
穂乃果「ちょっと待っててよ、マックで何か買ってくるから」
ライオン「ウガァグル!」
- 16 :
- 穂乃果「よいしょっと……」
ヘナッ
穂乃果「あれっ……」
穂乃果「どうしよう……腰が抜けて、うまく立ち上がれない……」
ライオン「ウガガァッ」座り込み
穂乃果「えっ?いいの?背中に乗って」
穂乃果「お前、どうして私にそこまで……」
ライドオン
穂乃果「じゃあ、あそこの十字路を右に曲がったところにマックがあるから、お願いね」
ライオン「ガオン!!」
ダダッダダッダダッ
- 17 :
- 穂乃果「うぉおおおおおお!!」
穂乃果「この風を切る感じ、今まで体感したことの無い疾走感……」
穂乃果「穂乃果、なんだか王様になった気分だよ!!ライオンキングだよ!!」
穂乃果「あ〜〜〜〜りけりやぁ〜〜〜〜!!(うろ覚え)」
(無人の秋葉原をライオンに跨って駆け回るという肉体的快感は、日頃の鬱屈から穂乃果を解き放つには十分であった)
- 18 :
- 〜マクドナルド・ビックカメラAKIBA店〜
穂乃果「いいね、お前は外で待ってるんだよ」
ライオン「ガルルゥバウ」
穂乃果「え〜〜っと、チキンクリスプでいいかなぁ……」
マック入店
穂乃果「うわっ……」
穂乃果「店内が人でごった返してる……」
ザワザワザワザワ……
(ったく、こちとら用事があるというのに……)
(早く、とっ捕まえてくれねぇかなぁ〜〜)
穂乃果「みんな……たぶん、あの子から避難してるんだよね」
- 19 :
- 穂乃果「なんだか、居づらいなぁ……」
穂乃果「早く注文を済ませなきゃ」
スタッフ「いらっしゃいませ〜〜!ご注文はお決まりでしょうか?」
穂乃果「あ〜〜、チキンクリスプ10個、お持ち帰りで」
スタッフ「じゅっ、10個ですか!?」
穂乃果「あ、私が全部食べるんじゃないよ?お友達と食べるんだからね!?」
スタッフ「か……かしこまりました」
穂乃果(多分ここにいるみんな、私がμ'sの高坂穂乃果だって気づいてるだろうなぁ)
穂乃果(うわっ、みんなスマホをいじり始めた……)
穂乃果(きっと、穂乃果のことをネットで拡散してるんだね……)
穂乃果(人気スクールアイドルが、チキンクリスプを10個も注文だなんて……)
穂乃果(後で、にこちゃんに怒られるだろうなぁ……)
穂乃果(『それはアイドルとして、絶対やってはいけない事よ!!』って)
- 20 :
- またしまむらが変なss書いてる
- 21 :
- スタッフ「お待たせしました〜、チキンクリスプ10個です」
穂乃果「どうも〜〜(謙虚な声)」
スタッフ「お会計の方は1000円になります」
穂乃果「え〜っと、お財布は……」
穂乃果(…………しまった!!)
穂乃果(財布はカバンの中に入れてあるんだ……)
穂乃果(どうしよう……1円も持ってないよ)
(予期せぬピンチに狼狽していた穂乃果の背後で、これまた予期せぬ珍客が、騒ぎを起こし始めた)
キャアアアアアアアア!!!!
穂乃果「!?」
- 22 :
- に、逃げろぉぉぉぉぉ!!!!
ドタドタドタドタ……
のそりのそり……
ライオン「ガォオオオン」
スタッフ「ひぃぃいいいいっ!!!!」
穂乃果「あっ、コラ!!」
穂乃果「ダメだよぉ!!お店の中に入ってきちゃ!!」
スタッフ「あ、あわわわわ……」ガクブル
穂乃果「………………」
(慌てふためくスタッフを目の当たりにした穂乃果の心の中で、天使と悪魔の闘いが始まった)
- 23 :
- 悪魔『何を迷ってるの、リトルデーモンホッノよ』
悪魔『あなたの使い魔をもってすれば、そんな請求を踏み倒すなんて容易いこと……』
天使『ダメだよ穂乃果さん!!悪魔のささやきに乗っちゃ!!』
天使『お金を払わないで商品を持っていくなんて、泥棒と同じずら!!』
天の声『犯罪ですわよ!!』
天使『だいたい、チキンクリスプって何ずら?オラ食べたことないずら!』
悪魔『チキンクリスプってのはね……牛肉の代わりに鶏肉を挟んだハンバーガーよ。天にも昇る味だと言われてるわね』
天使『えっ……』
天使『おいしそうずらぁ〜〜!!オラも食べたいずらぁ〜〜!!』
悪魔『ふふっ、結論が出たわね』
悪魔(まさか階級闘争に敗れ去った者たちの主食だなんて、この子には言えないわね……)
穂乃果「…………」
商品袋つかみっ
- 24 :
- スタッフ「あっ!!お客さん!!代金は!?」
穂乃果「お姉さん……」
穂乃果「この子がさっき言ってた私の『お友達』」
ライオン「ウガァッグルル!」
穂乃果「私の命令一つで、何でも言うことを聞いてくれるんだ」
ライオン「ガゥオオオオォォォン!!!!」
穂乃果「これでも、私からお代を貰おうと思う?」
スタッフ「い……いえ、結構です……」全身金縛り
穂乃果「わかればよろしい」
- 25 :
- (店の外に出た穂乃果とライオンは、1:9の割合でチキンクリスプを分け合い、頬張り始めた)
ライオン「ムシャムシャムシャ……」
ライオン「……………ゲフッ」ペロリッ
穂乃果「すごい……」
穂乃果「9個もあったのが、あっという間に胃袋の中へ……」
穂乃果「穂乃果なんて、まだ食べ切れてないのに……」
ライオン「ウガゥゥゥゥッ……」
穂乃果「お前がいれば、世の中なんだって出来るね」
穂乃果「でも、ウチにはもう雪穂がいるからお前を飼えないし……」
- 26 :
- (慣れない熟考の末に、穂乃果は現状の問題を打開できる一石二鳥の案をひねり出した)
穂乃果「そうだ!!」手のひらポン
穂乃果「学校で飼えばいいんだよ!!」
ライオン「ガゥ?」
穂乃果「お前さえいれば、海未ちゃん……」
穂乃果「いや、絵里ちゃんや真姫ちゃんにだって……」
穂乃果「この学校で、穂乃果に口答えできる人間は誰一人もいなくなるよ!!」
穂乃果「……ウフフフフフッ」
ライオン「?」
穂乃果「ついに……ついに穂乃果が、海未ちゃんの圧政から解放される日が来たんだ!!」
穂乃果「そうと決まったら、生徒会室へ引き返して直談判だよ!!」
ライドオン
- 27 :
- ライオン「ワォン?」
穂乃果「食後の運動だよ!」
穂乃果「音ノ木坂学院まで飛ばしてちょうだい!」
ライオン「ウガァアア!!」
ダダッダダッダダッ……
穂乃果「今日会ったばかりだというのに、こんなに意気投合できるだなんて……」
穂乃果「何だか、お前には初めてあった気がしないよ……」
ライオン「ガゥアオオオオオン!!!!」
(常識・社会のルールを破壊することが、こんなにも痛快で面白かったとは––––)
(知らず知らずのうちに、穂乃果は暗黒面の虜になっていた)
- 28 :
- 〜校舎・生徒会室〜
(穂乃果が投げ出した仕事の尻ぬぐいをしながら、海未は心の底から沸き上がってくる自責の念に懊悩していた)
海未「ことり、もういいですから……」
海未「全部、私がやっておきます」
ことり「海未ちゃん……」
海未「……自業自得ですよね」
海未「これは、私への罰なのです」
海未「融通の利かない性格が、災いしてるんでしょうね」
海未「どうしても穂乃果には、キツく当たってしまう……」
海未「……私なんか、幼なじみ失格ですよね」
- 29 :
- ことり「そんなことはないよ……」
ことり「あの時、穂乃果ちゃんを引き留められなかった私も同罪だよぉ」
ことり「お願いだから、自分一人だけを責めるのはやめてよぉ……」
キャアアアア……
ことり「?」
ことり「ねぇ海未ちゃん、いまの聞こえた?」
海未「え?」
ことり「なんか、遠くから悲鳴みたいなのが……」
ウワアアアアアアアア……
ことうみ「!?」
- 30 :
- 海未「なんですか?今の絶叫は」
ことり「さっきより、大きかったね」
ことり「まるで、こっちに近づいてくるような……」
扉ガララッ
絵里「ちょっと、あなた達!!」
海未「あ、絵里に希!」
海未「何かあったのですか?さっきから……」
希「2人とも、穂乃果ちゃんと仕事してたんとちゃうん!?」
ことり「えっ?」
ことり「ほ、穂乃果ちゃんなら……」
海未「さっき、私と喧嘩して出て行ったきりですが……」
- 31 :
- 絵里「…………はぁ〜〜〜〜」
絵里「あなた達が居ながら、なんで穂乃果を外に出したのよ!!」
ことり「ええっ?」
海未「状況が、いっこうに飲み込めませんが……」
絵里「話は後よ!!」
絵里「早く、校舎の外に出なさい!!」
希「もうすぐこっちに来るで!!」
海未「一体、何を言ってるのですか?」
海未「さっき、外に出るなと校内放送で……」
ガオオオオォォォォオオン!!!!
4人「!!!!!!」
ズザッ…………
- 32 :
- |..._ __ ュ-.ミミミミヽ:、 |
|`ヽ. リ`・ヮ・) .。彡三ミミミヾヾヾ`ヽ. |
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- 33 :
- 海未「………………ほの……か…………?」
ことり「……………………(脳へ伝達中)」
ことり「!!!!!!!!(脳へ到達)」
ことり「ほっ、穂乃果ちゃ……(顔面蒼白)」
穂乃果「海未ちゃ〜〜ん!!ことりちゃ〜〜ん!!」
(混乱の極みにいる幼なじみ2人に向かって、穂乃果は母親にだだをこねる子供の口調で提案し始める)
穂乃果「ねぇねぇ!!この子、学校で飼おうよぉ!!」
ことうみ「!!??」
- 34 :
- 穂乃果「ライオンがいる学校だなんて、入学希望者が殺到すること間違い無しだよ!!」
穂乃果「アルソックなんかよりも、防犯効果がありそうだし!!」
絵里「何考えてるのよ!!そんな事できるわけないでしょ!!」
穂乃果「ちょっと〜〜、今は海未ちゃん達と話してるんだから、外野は黙っててよ!!」
希「が……外野って」
穂乃果「今日から穂乃果が、この学校で一番えらいんだから!!」
穂乃果「このライオンがいる限り、だれも穂乃果に文句は言わせないよ!!」
ライオン「ガゥオオオオオォォン!!!!」
ことり「ひぃぃぃぃっ!!」ガクブル
(ことりは恐怖の余りに、海未の背後に身を隠した)
- 35 :
- 穂乃果「海未ちゃん……穂乃果のリクエスト、聞いてくれるよね?」
穂乃果「だって海未ちゃんさぁ……いま、丸腰だよね?」
穂乃果「弓矢を持ってない海未ちゃんなんて、赤子の手をひねるみたいに楽勝だよ」
海未「…………………ッ」唇噛みしめ
穂乃果「うわっはっはっはっはっは!!!!」
穂乃果「もう海未ちゃんは、穂乃果に絶対服従なんだからね!!」
(さっきまで後悔していた自分が馬鹿だった……幼なじみの暴走を前に、海未は何か対抗手段がないか思案を巡らしていた––––)
(海未の視界に、卓上に備え付けられている文房具類が写り込んだ)
- 36 :
- 海未「…………ことり(小声)」
ことり「?」
海未「あなた、確か普段から裁縫用の針を持ち歩いてましたよね?(小声)」
ことり「…………う、うん」
ことり「今は、カバンの中に」
海未「それ……私に貸してください(小声)」
ことり「????」
ことり「……何に使うの?」
(ダークサイドに酔いしれて有頂天な穂乃果を尻目に、海未は絵里と希に作戦を伝える)
- 37 :
- 海未「絵里、希……(小声)」
のぞえり「?」
海未「私はこれから、大急ぎで武器を拵えます(小声)」
海未「その間、2人で出来るだけ時間を稼いでください(小声)」
絵里「ぶ、武器!?(小声)」
海未「絶対に穂乃果を、生徒会室へ入れないでください(小声)」
希「今はそれに掛けるしかなさそうやね(小声)」
穂乃果「フッフッフッ……(悪役顔)」
- 38 :
- つづく
- 39 :
- 新年から乙ですわ
- 40 :
- チキンクリスプ食べた事無いけどそんなに美味いのか…気になってきた
- 41 :
- ギャグ?
- 42 :
- 穂乃果ちゃんはこりないなぁ
- 43 :
- 年明け初日からとはたまげたなぁ
- 44 :
- 雪穂ペット扱いで草
- 45 :
- セイバーアーサー王穂乃果
- 46 :
- 穂乃果「いやぁ〜〜愉快痛快だったよ〜〜!!」
穂乃果「校門をくぐって、生徒会室に来るまでの間……」
穂乃果「いままで穂乃果を、まるで犬のウンチを見るような目で見ていた子達の、恐れおののく様を見るのがさぁ!!」
穂乃果「途中で真姫ちゃんが、いらぬ正義心をむき出しにして止めに入ったけど……」
絵里「あなた、真姫をどうしたのよ!?」
穂乃果「ん〜〜?ちょっと驚かせてみたんだよ」
穂乃果「真姫ちゃんの耳元に近づいて……」
穂乃果「『がおおおおおおおおん!!!!』って」
穂乃果「そしたら真姫ちゃん、火がついたようにピーピー泣き出しちゃって……」
穂乃果「あげく、みんなが見てる前でオシッコ漏らしちゃったんだよ?あの真姫ちゃんが!!」
希「なんて事をしてくれたんや……」
- 47 :
- 絵里「完全に闇堕ちしたようね……穂乃果」
絵里「コンプレックスに日頃悩まされてた人間が、ある日、絶対的な力を握った途端に独裁者へと豹変する……」
絵里「今のあなたの目は、世界史の教科書で見た独裁者のそれと同じ目をしてるわよ!!」
穂乃果「」カチーン
絵里「その独裁者が、最後どうなったか知ってる?」
絵里「知らないでしょうねぇ!!あなたの事だから!!」
穂乃果「やれ」
絵里「次第に周囲から追い詰められて、最後は自らの手で命を絶ったのよ!!」
絵里「そんな恐怖政治を敷いたら、あなたもきっと近い将来……」
ペロリンッ
絵里「……………………」
ベロリンチョッ
絵里「…………(顔ベチョベチョ)」
- 48 :
- 穂乃果「どう?ロシアンクォーターの味は」
ライオン「グゥオオオオオン」
穂乃果「え?日本人と大して変わらない?」
穂乃果「お前、見かけによらずグルメだなぁ〜〜」
絵里「……………………」
絵里「………モルスァッ」
バタンッ
希「えっ……エリちっ!!!!」
穂乃果「これで、音ノ木石頭トップスリーの2人は片づいた……」
穂乃果「あとは海未ちゃんを屈服させれば、穂乃果の天下が始まるんだ!!(薄ら笑い)」
ことり「う……海未ちゃん!!武器はまだなの!?」
海未「もう少し……もう少し時間が欲しい……!!」
- 49 :
- 〜校庭〜
(海未たちが瀬戸際の闘いを繰り広げているのと同じ頃、ライオンから避難してきた生徒達が、校庭から不安な面持ちで校舎を見守っている)
ザワザワザワ…………
花陽「あ、にこちゃん!!」
にこ「花陽!!」
にこ「それと……」
凛「……………………」
(花陽の隣にいる、顔が真っ赤に腫れ上がった人物が星空凛だと認識するのに、にこは少し時間を要した)
- 50 :
- にこ「凛……」
にこ「どうしたの、その顔」
凛「猫アレルギーの症状で、こんなになっちゃった……」
凛「…………クシュンッ!!」
凛「許すまじ!!高坂穂乃果だにゃー!!」シャー!!
にこ「猫キャラが猫アレルギーって……」
にこ「……ところで、真姫はどうしたの?」
花陽「真姫ちゃんなら、お漏らししたパンツを取り替えに家に帰ったよ」
にこ「お漏らし!?」
凛「真姫ちゃん、体を張って穂乃果ちゃんを止めようとしたんだよ……」
凛「だけど、ライオンに至近距離で威嚇されて、恐怖の余りに……」
にこ「穂乃果……」ギリギリッ
にこ「今度会ったら、タダじゃおかないわよ!!」
- 51 :
- 花陽「さっき、学校が警察へ連絡したから、もうじき動物園の人が来ると思うけど……」
花陽「海未ちゃんとことりちゃんが、多分まだ校内に……」
にこ「絵里と希も、まだ校内にいるわ」
花陽「えっ!?」
にこ「どうして穂乃果があんな事をやり始めたのか、問いただしに生徒会室へ行くって……」
凛「じゃあ、その4人は今頃……」
にこ「………………」
花陽「みんな……大丈夫だよねぇ……?」ソワソワ
(4人の安否を祈るにこりんぱなだったが、その願いは崖際にまで追い込まれていた)
- 52 :
- 〜再び、生徒会室〜
希「うぅっ………………」
ドサッ
ことり「希ちゃんっ!!」
希「こ……ことりちゃん」
希「ウチはここまでや……」
穂乃果「意外だったよ……希ちゃん」
穂乃果「まさか絵里ちゃんよりも手こずらせるだなんて」
ライオン「ガゥオオオオオオォン!!!!」
ことり「穂乃果ちゃぁあん……!!(涙目)」
ことり「お願いだから、もうやめてぇ!!(号泣)」
- 53 :
- 穂乃果「…………」
穂乃果「まだだよ、ことりちゃん」
穂乃果「穂乃果が正さなければならない人間が、まだ1人残ってるんだ」
穂乃果「危ないから、ことりちゃんは離れていてね」
ことり「そんなぁ……もう嫌だよぉ……」ポロポロ
穂乃果「…………そこを退いてよ、ことりちゃん」
ことり「ダメだよ!!生徒会室には絶対入れない!!」
穂乃果「ことりちゃんを、穂乃果の敵にしたくないんだよ」
ことり「どうしてもと言うなら、私を倒してからにして!!」
(必死になって、恐怖に耐えながら体を投げ打つことりの姿は、穂乃果の良心へ強いダメージを与えた)
- 54 :
- 穂乃果「………………………」
穂乃果「……うがぁぁぁああああ!!!!」
ことり「!!!!????」
穂乃果「どうして!?ねぇどうして!?」
穂乃果「どうしてみんなして、穂乃果を否定するの!?」
穂乃果「なんで穂乃果のやる事は、みんな裏目に出ちゃうんだよぉぉぉおおお!!!!」
穂乃果「………………くっ」全身プルプル
穂乃果「………ううぅ……ひっく」
穂乃果「うああぁぁぁあああぁん(大号泣)」
ことり「ほ……穂乃果ちゃん……」
穂乃果「嫌いだ……グスッ……嫌いだぁ」
穂乃果「みんなみんな大嫌いだぁ〜〜〜〜〜!!」
ことり「…………………」
- 55 :
- (幼児退行と見まごうが如き穂乃果の豹変ぶりに、ことりは言葉を失い、立ち尽くしている)
穂乃果「もうこうなったら、遠慮はしないよ!!」
穂乃果「おい、お前!!」
穂乃果「目の前にいる奴を、蹴散らせ!!」
ライオン「ガルルルウゥアア!!」
ことり「!!!!」
(その時であった––––)
(いつの世でも、救世主はヒロインがピンチに陥ったときに現れる)
海未「そこまでです!!穂乃果!!」
穂乃果「!!!!」
- 56 :
- ことり「……海未ちゃん!?」
穂乃果「…………海未ちゃん」
穂乃果「何?その手に持ってるのは」
(海未の左手には、生徒会室に常備してあったボールペンと輪ゴムで巧みに作り込まれた、小さな即席の弓が––––)
(そして右手には、ボールペンのペン尻の先に、裁縫用の針を粘着テープで括り付けた、やはり小さな即席の矢が握られている)
穂乃果「そっ……そんなちっちゃな弓矢で、太刀打ちできると思ってるの!?」
穂乃果「ちゃんちゃらおかしいよ!!へそで笑っちゃうよ!!アハハハハハハ!!」
- 57 :
- 海未「論より証拠を見せてあげますよ、穂乃果」
穂乃果「ぐぬぬぬぬぬ………」
穂乃果「この期に及んで……」
穂乃果「海未ちゃん、悪あがきなんかよして、早く穂乃果にひれ伏しなよ!!」
海未「何をビビってるのですか?穂乃果」
(矢を弓に番え終えた海未の顔が、一瞬にして勝負師の顔つきになる)
海未「さぁ!!あなたの大好きなライオンちゃんで、かかってきなさい!!」
穂乃果「よ、よぅし……」
穂乃果「そこまで言うなら、やってやろうじゃん」
(穂乃果は海未から発する底知れぬ威圧を振り払うかのように、最後の命令を下した)
- 58 :
- 穂乃果「行け!!あそこの黒髪ロングの人間を襲え!!」
ライオン「ガアォオオオオオオン!!!!」
ダダッダダッダダッ
ことり「海未ちゃん…………!!」
海未(まだです……)
海未(もっと、ギリギリまで的を引きつけて……)
弓弦ギリリ……
ライオン「ガアウッッッッ!!!!」
海未(…………今です!!)
海未「イミテーション・ラブアローシュート!!」
ビシュウッ!!
- 59 :
- ブスッ!!
ライオン「!!!!!!!!!!!!」
(放たれた正義の矢は、狙い違わずライオンの鼻頭に突き刺さった)
ライオン「ガアアアアアアアア!!!!」
穂乃果「!!!!」
(鼻から脳へ駆け上る痛覚に驚いたライオンは、いななく馬のように前足を宙に振り上げ、2本足で屹立している)
ライオン「アオオオオオオン!!!!」
穂乃果「きゃあああ!!!!」
(この不測の事態にはひとたまりもなく、穂乃果は無様な格好で宙に放り出された)
床にズダァァン!!
- 60 :
- 穂乃果「〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
ことり「ああっ、穂乃果ちゃん!!」
海未「どうです、穂乃果……」
海未「大小の区別無く、生きものは皆、鼻が急所……」
海未「いくら百獣の王でも、そこを狙われたらひとたまりもないハズです!!」
(うんちくを披露しながら、海未は2発目の矢を弓に番い始める)
海未「さぁ!!降参しなさい!!」
海未「でないと今度は、目を狙いますよ!!」
(事実上の海未の勝利宣言を前に、穂乃果の脳裏で『野望』の二文字が音を立てて瓦解していく)
- 61 :
- 穂乃果(そ……そんな…………)
穂乃果(ライオンをもってしても、海未ちゃんには勝てないだなんて……)
ドタドタドタドタ……
穂乃果「!?」
ことり「え……?」
職員たち「いたぞ!!あそこだ!!」
(生徒会室に向かって、女子校には場違いな格好をした作業着姿の男たちが、麻酔銃を携えてなだれ込んで来た)
海未「あなた達は……」
職員たち「動物園の職員です」
職員たち「逃亡したライオンを捕獲しに来ました」
穂乃果「捕獲…………!?」
- 62 :
- (「ああ、これで全てが終わった……」宴が終わる時が来た事を、穂乃果ははっきり認識した)
ライオン「ウウウウウウウウ…………」
職員たち「よくもここまで暴れ回ってくれたな……」
職員たち「お前はどうして、他の奴とは違ってやんちゃなんだ!!」
(不気味に光る麻酔銃を見て、これから先の自分の運命を察したライオンは、観念したのか、ただ唸っているばかりである)
職員たち「まったく……小さい頃はあんなにおとなしかったのに……」
穂乃果「小さい頃……?」
穂乃果「………………あっ」
- 63 :
- (職員たちの何気ない一言が、穂乃果の記憶の扉をこじ開けた)
穂乃果「お前、ひょっとして……」
(穂乃果の脳裏に、小学校時代の記憶が鮮やかに蘇ってくる––––)
(それは、校外学習にて上野の動物園へ行ったときの情景であった)
––––––––
––––––––––––
––––––––––––––––
- 64 :
- ほのか「えへへ…………」
赤ちゃんライオン「…………」
ことり「ほ……ほのかちゃん、あぶないよぉ」
うみ「そうです……きっと、油断したときにかみついてきますよ!」
ほのか「だいじょうぶだよぉ!!」
ほのか「こいつ、すっごいおとなしいんだから!!」
(穂乃果の両腕には、生後数ヶ月の赤ちゃんライオンがすっぽり収まっている)
ほのか「このままお家に持ってかえって、ペットにしちゃいたいくらいだよ!!」
ことり「え〜〜〜〜っ!?」
うみ「やめてください!!万が一、ほのかが食べられたりしたら……!!」
- 65 :
- 職員「は〜〜い、時間で〜〜す!!」
ほのか「ちぇ〜〜っ」
(後ろ髪を引かれる思いで、穂乃果は赤ちゃんライオンを職員に返した)
ほのか「2人はだっこしないの?」
うみ「え、えんりょします……」
ことり「女の子でそんなことしてるの、ほのかちゃんだけだよぉ〜〜」
(実際、体験コーナーに並んでいるのは男子生徒だけである)
ほのか「あ〜〜あ!!もっとも〜〜っとだっこしていたいのになぁ〜〜」
赤ちゃんライオン「………………」
(幼いライオンの目は、体験コーナーから遠ざかっていく少女の姿を、いつまでも名残惜しそうに捉えていた––––)
- 66 :
- ––––––––––––––––
––––––––––––
––––––––
穂乃果「………………」
穂乃果「そっか……お前」
穂乃果「あの時の……」
麻酔銃ガシャッ
穂乃果「!!」
(職員たちの麻酔銃の銃口が、一斉にライオンに向けられる)
職員たち「打ち方用意!!」
ライオン「……………………」
穂乃果「…………やっ」
職員たち「撃てぇ〜〜〜〜〜〜!!」
穂乃果「やめてぇ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
- 67 :
- ♪世の中はいつも 変わっているから
(穂乃果の静止も虚しく、麻酔銃の雨がライオンに降り注ぐ)
♪頑固者だけが 悲しい思いをする
(全身に銃撃を受けたライオンは、一瞬両目を見開くも、すぐに意識が沈殿していく)
♪変わらないものを 何かにたとえて
(深い眠りに陥ったライオンの廻りを、職員たちが勝ち誇った表情で取り囲む)
♪その度崩れちゃ そいつのせいにする
(職員たちは非常に慣れた手つきで、巨大なネットでライオンを覆い始める)
- 68 :
- ♪シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
(我を失った穂乃果は職員たちを止めようとするも、必死な形相で取り押さえる海未とことりに阻まれる)
♪変わらない夢を 流れに求めて
(さまざまな感情が入り交じる喧噪が、気絶していた絵里と希の目を覚まさせる)
♪時の流れを止めて 変わらない夢を
(ネットで包装されたライオンを、職員たちが生徒会室から引きずり出す)
♪見たがる者たちと 戦うため
(穂乃果の悲痛な叫びが、校舎内を乱反射しながら響き渡る)
- 69 :
- ♪世の中は とても 臆病な猫だから
(校庭で待機していた生徒達の視線が、昇降口から出てきた職員たちに注がれる)
♪他愛のない嘘を いつもついている
(捕獲されたライオンが白昼に晒された瞬間、生徒達からの驚嘆の声が津波のように沸き上がる)
♪包帯のような嘘を 見破ることで
(表に出てきた絵里と希が、にこりんぱなと合流する)
♪学者は世間を 見たような気になる
(絵里はひどく沈痛な面持ちで、目の前で起こったことを語り始める)
- 70 :
- ♪シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
(衝撃を受ける3人に、希は今日のことで穂乃果を責めないであげて欲しいと、切実な声で説得している)
♪変わらない夢を 流れに求めて
(昇降口に、憔悴しきった穂乃果を連行してきた海未とことりが現れる)
♪時の流れを止めて 変わらない夢を
(トラックにライオンが収容される光景を見た穂乃果は、矢も楯もたまらず校門前へ駆けてゆく)
♪見たがる者たちと 戦う……
(だが穂乃果が駆けつけるのを待たずに、トラックが発進し始める)
♪た〜〜〜〜 め〜〜〜〜
(涙を振りまきながら、遠ざかっていくトラックを追いかける穂乃果だったが––––)
- 71 :
- ♪シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
♪変わらない夢を 流れに求めて
♪時の流れを止めて 変わらない夢を
♪見たがる者たちと 戦うため
♪………………
♪…………
♪……
(やがて、追跡を諦め、地面に崩れ落ちた穂乃果の両目からは、惜別の涙が止めどなく溢れあがり、アスファルトに悲嘆の地図を描いていた)
- 72 :
- 穂乃果「ひっく……ぐすっ……」
海未「穂乃果…………」
ことり「穂乃果ちゃん…………」
(夕日が空を茜色に塗りつぶしていく最中、幼なじみ2人が、傷心状態の穂乃果の元へ駆けつけた)
穂乃果「穂乃果の……穂乃果のライオン……」
ことり「えっ?」
穂乃果「あの子……小学校の時の校外学習で……グスッ」
穂乃果「だっこした赤ちゃんライオンだったんだよぉ〜〜……」
ことり「あの時の……」
海未「だから、穂乃果にだけは懐いたんですね……」
(全てを失い、茫然自失な穂乃果の心に、絶望が無限に広がっていく)
- 73 :
- 穂乃果「もう……穂乃果はおしまいだよ」
穂乃果「いろんな人達に迷惑を掛けちゃった……」
穂乃果「海未ちゃんやことりちゃん、それに絵里ちゃんや希ちゃん……」
穂乃果「あ、真姫ちゃんにもひどい事をしちゃったな……」
穂乃果「穂乃果、もう音ノ木にはいられないよ……」
ことり「そんなぁ……」
海未「………………」
海未(今度もまた、私の負けですね……)
(自暴自棄に駆られた穂乃果の前に、救いの手を差し伸べるべく、少女がしゃがみ込む)
- 74 :
- 海未「穂乃果……」
海未「今日の事は、私にも責任の一端があります」
穂乃果「海未ちゃん……?」
(涙で冷たくなった穂乃果の両手を、海未の温かい手が包み込む)
海未「元はといえば、私が穂乃果をあそこまで叱りつけなければ、こんな事にはならなかったハズです……」
海未「いわば、私は共犯者みたいなものです」
海未「穂乃果ひとりが、気に病む事はないのですよ」
穂乃果「そんな……海未ちゃんは悪くないよ……」
穂乃果「それに穂乃果、海未ちゃんに聞くに堪えない罵詈雑言をぶつけちゃったし……」
(海未は右手の人差し指を穂乃果の唇に軽くタッチして、穂乃果に自己嫌悪させる隙を与えない)
穂乃果「!?」
- 75 :
- 海未「私があんな暴言を、真に受けると思いましたか?」
穂乃果「………………」
海未「それよりも、さっきから胸がズキズキして苦しいんじゃないですか?」
海未「この苦しみから解放される、魔法の合言葉があるんですけど、知ってますか?」
穂乃果「……?」
海未「『ごめんなさい』って……」
穂乃果「!!!!」
(その瞬間、穂乃果の頭は海未の胸の中へ磁石のように吸い込まれ––––)
(その口からはお題目を唱えるように、例の合言葉を嗚咽混じりで呟き続けている)
- 76 :
- ことり「穂乃果ちゃん……」
ことり「明日、みんなに謝ろうね?」
穂乃果「…………」ビクンッ
ことり「穂乃果ちゃん、きっといっぱい怒られると思うけど……」
ことり「私と海未ちゃんが、一緒に付いててあげるから……」
海未「大丈夫ですよ……私たちが半分肩代わりしてあげますから」
穂乃果「……うん」
(穂乃果は、嬉しかった)
(海未が、ことりが、こんな自分を見捨てることなく、側にいてくれることが––––)
(真っ暗に閉ざされたはずの穂乃果の心に、光り輝く2人の幻が、隅々にまで救済の明かりを投げかけていくのを、感じずにはいられない穂乃果であった)
- 77 :
- ツカツカツカ……
????「高坂穂乃果さんですね」
ことり「!!!!????」
海未「あ、あなたは……」
穂乃果「……グスンッ」
穂乃果「……えっ?」
- 78 :
- ,..-──- 、
/. : : : : : : : : : \
/.: : : : : : : : : : : : : : ヽ
,!:: :: : ::,-…-…-ミ: : : :',
{:: : : : :i '⌒' '⌒' i: : : :}
{: : : : : | ェェ ェェ |: : : :}
{ : : : :| ,.、 |:: : :;! ☆
ヾ:: : :i r‐-ニ-┐ | : :ノ .n ,丶
.ゞ-イ!ヽ 二゙ノ イゞ′ パチン l l
_, ‐'" !‐-- <´ ヽ` ー一'´l r'| !
/ ! ヽ ヽ \ !ヽ 、_ ノ ! !
,/ !、 ! | ヽ、 \,! ヽ ヽ_`ヽ./ !
,/ \ ! ̄~l \ |.\ ヽ--、 ノ/ \ ヽ|
/`ー、、 .\,| ヽ \ |:::::|\l, ! \ ,イ| \ " /
/ !、 /――┤ |::::| `′.l__', .,r'{ . ヽ ./
/ .\ \ 厶____| .|::::| !___! |ヽ !=,-イ
.\ _K ,' .!::::| !__! |ヽ , -'".|
./ ! ,/ .|::::| !__! | ,r|
- 79 :
- ドナルド「私、日本マクドナルドから派遣されてきたドナルドです」
ドナルド「あなたが今日、マクドナルド・ビックカメラAKIBA店にて踏み倒したチキンクリスプ10個の代金を、回収しに来ました」
穂乃果「…………ゲッ」
ことり「チ、チキンクリスプ……10個!?」
海未「…………」
穂乃果「わ、忘れてた……」
海未「…………穂乃果」
海未「この方が仰ってることは、事実なのですか?」
- 80 :
- 穂乃果「あ……あのねぇ……海未ちゃん」
穂乃果「あの子が『お腹が空いた』ってせっつくから、仕方なく……」
海未「お腹が空けば、マックでお金を払わなくてもいいのですか?」
穂乃果「うぐっ……」
ことり「穂乃果ちゃん……」
ことり「さっきまでの感動的ムードが、台無しだよぉ……」
海未「穂乃果……」
海未「わかってますよね?」
(さっきまでの聖母のような優しさは、どこへやら––––)
(海未は格闘家よろしく指をポキポキ鳴らしながら、震えおののく穂乃果に向かって––––)
海未「早くこの人に、代金を支払いなさぁぁぁぁい!!!!」
- 81 :
- 穂乃果「わっ、わかってるよ!!」
穂乃果「わかってるけど……」
穂乃果「財布は、生徒会室に置いてきたカバンの中に……」
海未「だったら今すぐ引き返して、取りに行けばいいじゃないですか!!」
穂乃果「で、でも校内には生徒のみんなが……」
穂乃果「穂乃果、いま校内に戻ったら集団リンチに……」
海未「自業自得です!!」
ドナルド「オイッ!!姉ちゃん!!(ドスの効いた声で)」
ドナルド「五反田の場末のソープに沈められたくなかったら、さっさと出すモンを出しやがれ!!!!」
穂乃果「ひっっっっ!!!!」
- 82 :
- (結局、生徒達からの冷たい視線を一身に受けながら、生徒会室に引き返した穂乃果であったが、サイフには750円しか入ってなくて––––)
穂乃果「ことりちゃ〜〜ん!!(涙目)」
穂乃果「不足してる分のお金、貸してよぉぉぉぉ」
海未「貸さなくて良いですよ!!ことり!!」
海未「大体、マックで食い逃げだなんて、開いた口が塞がりませんよ!!」
ことり「えぇ〜〜……」
穂乃果「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」
- 83 :
- (結局、蛇のように付いて離れないドナルドを連れて穂むらに帰った穂乃果は、両親に全てをゲロり、代金を肩代わりして貰うことで事なきを得たのだが––––)
(ドナルドが引き払った後、穂乃果を待ち受けていたのは、般若と化した父と母からの長いお説教と、呆れかえった表情を浮かべる二つ年下の妹・雪穂なのであった––––アーメン)
〜おわり〜
- 84 :
- 何食ってたらこんなん思い付くのさ
チキンクリスプ食うのやめるわ怖いわ
- 85 :
- 年齢がバレるぞ
- 86 :
- いい話だなあ
- 87 :
- 〜某所・スタジオ〜
(コタツに入ってぬくぬくしている2年生トリオ)
穂乃果「……はいっ」
穂乃果「というわけで、新年一発目のSSが終わりました〜〜」
穂乃果「どうだった?2人とも」
海未「相変わらず、酷いオチでしたね」
ことり「今年も私たち、いっぱい酷い目に遭うんだろうなぁ……」憂鬱
海未「取り分け私たちが、被害に遭うのが多いような気がしますが……」
穂乃果「ここ最近、μ’sのSSばっかりだったからねぇ……」
穂乃果「たまには、Aqoursやニジガクの子達のSSを書けばいいのに……」
(3人とも、生放送にも関わらず沈黙してしまう……)
海未「あの……思ったんですが」
穂乃果「何?」
- 88 :
- 海未「もう、本編のSSも終わったというのに……」
海未「なんで、私たちはまだスタジオにいるのでしょうか?」
穂乃果「いいこと聞いてきたね、海未ちゃん」
穂乃果「実はこれから、新春特別企画をやるんだよ」
ことり「特別企画?」キョトン
穂乃果「題して……」
穂乃果「新春特別企画!!スクスタステップアップガチャを回していくよ!!」
- 89 :
- SSのネタのために2万円近く使うのか……
- 90 :
- ことうみ「……は?」
穂乃果「だ〜か〜らぁ〜!!」
穂乃果「今スクスタで、ステップアップガチャやってるでしょ?」
穂乃果「それを今から、読者が見ている前で回していくんだよ!!」
ことり「ほ……」
ことり「本当にやるの?そんな事……」
海未「でしたら、別に新しくスレを立ててからやれば良いじゃないですか」
穂乃果「わざわざ新しくスレを立てるまでもないと思ってね」
穂乃果「ほら、『使わなくなった土地を有効活用しませんか?』って、よくテレビでCMやってるじゃない?」
海未「ソレとコレとは、事情が違うと思うのですが……」
- 91 :
- 穂乃果「……2人とも、食いつきが悪いなぁ〜〜」
穂乃果「既に課金も済ませちゃって、もう後には引けないんだから!!」
海未「……何ですって?」
(と、ここで穂乃果が2人にスマホを見せつける)
- 92 :
- 元日から体張りすぎで草
- 93 :
- https://i.imgur.com/CWYy3sq.jpg
- 94 :
- ヒェ…
- 95 :
- 海未「あっ!!」
ことり「い、いつの間に……」
穂乃果「この軍資金を元に、今からガチャを回すよ!!」
ことり「そ、そういえば穂乃果ちゃん……」
ことり「スタジオに行く前に立ち寄ったコンビニで、何やらカードを買ってたね……」
海未「……ったく」
海未「正月早々から、散財ですか……」呆れ顔
穂乃果「じゃ、まずは小手調べに……」
- 96 :
- 無料分もひたすら貯めてたか
- 97 :
- https://i.imgur.com/kGJbYpx.jpg
穂乃果「この無料10連ガチャから回していくよ!!」
ことり「なんか、凄い生き生きしてるね、穂乃果ちゃん」
海未「着実とソシャゲ中毒患者の道を歩んでますね......」
穂乃果「じゃ、穂乃果がボタンを押すね!!」
穂乃果「............」神妙な顔つき
穂乃果「......え〜〜〜〜いっ!!」
ピロンッ!!
- 98 :
- https://i.imgur.com/VUS679w.jpg
穂乃果「うおおおおおおお!!!!」
ことり「あっ!!!!」
海未「ばっ!!馬鹿なっ!!」
海未「しょっぱなから、花火演出!?」
https://i.imgur.com/L040uNe.jpg
穂乃果「あ......」ガッカリ
ことり「虹がひとつしかないね......」
海未「見なさい!!そんな簡単に2枚抜きできるハズが......」
- 99 :
- https://i.imgur.com/dodGgnm.jpg
穂乃果「お、旧善子ちゃん......」
海未「クリティカルが強い奴ですね」
https://i.imgur.com/epYh3SX.jpg
ことり「結局確変も起こらないで、URは一枚だけだったね」
穂乃果「でもさぁ、無料ガチャでURって凄くない?」
穂乃果「穂乃果、今までそういうのは都市伝説だと思ってたよ」
海未「ホント強運なんですから......あなたという人は」
- 100 :
- 幸先ええな
100〜のスレッドの続きを読む
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