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ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.8


1 :2014/12/31 〜 最終レス :2018/05/08
◆このスレは何?
ツンデレの妄想でひたすら萌え続ける場です。どんな形でもいいのでアナタのツンデレ妄想を垂れ流してください。
◆前スレ
ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.6
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/honobono/1384561770/
◆過去ログ置き場
http://www.tndr.info/
◆Wiki(過去ログ置き場以前の過去ログ・更新停止中のまとめ等もwiki参照)
http://www45.atwiki.jp/viptndr/pages/1.html
◆ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら 専用掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/computer/21510/
◆うpろだ
http://tunder.ktkr.net/up/
http://www.pic.to/ (携帯用)
◆お題作成機
http://masa.s23.xrea.com/
http://maboshi.yh.land.to/tundere/
◆規制中の人向け、レス代行依頼スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/21510/1275069975/

2 :
◆ツンデレって何?
「普段はツンツン、二人っきりの時は急にしおらしくなってデレデレといちゃつく」ようなタイプのキャラクターのこと。
◆このスレでよく使われる人物設定
男:デフォルトネームは別府タカシ。ツンデレに色々したりされたりする。
アッパー:デフォルトネームは椎水かなみ。感情表現豊かな基本形。
ダウナー:デフォルトネームはちなみ。ローテンションで「……」を多用して喋る。
お嬢:デフォルトネームは神野りな。お嬢様口調。というかお嬢様。
老成:デフォはまつり。「纏」と書く。わしは?じゃのう等、古風かつジジ臭い言い回しをする。
尊大:デフォはみこと。「尊」と書く。自信に満ちあふれたような、偉ぶった言い回しをする。
関西:デフォはいずみ。関西弁で喋る。
ボクっ娘:ボクっ娘ツンデレ。一人称「ボク」。デフォルトネームは決まっていない。
勝気:気の強い男勝りツンデレ。デフォルトネームは決まってい(ry
無表情:無表情ツンデレ。デフォルトネームは決まっ(ry
中華:中華系ツンデレ。「??アル」といった言い回しをする。デフォルトネームは決(ry
幽霊:幽霊ツンデレ。憑依したりする。アッパーだったりダウナーだったりする。デフォルトネームは(ry
山田:クラスメイトとして使われることが多い。いわゆる友人A。なぜかVIPPER口調で描かれがち。
友子:クラスメイトとして使われる事が多い友人B。好奇心が強かったり世話好きだったりいろいろ。
※名前の由来などについてはまとめサイト参照
・上記の名前や設定はあくまでデフォルト。
・投下許可は求めなくていいですが、長編SSについては、投下前に宣言をしていただけると他のSSとのごちゃ混ぜ防止になるのでスレに優しいです。
・書き上がってから一斉投下してね。 書きながら投下はイクナイ。
・感想レスは励みになるので大歓迎。
・投下のタイミングは自分で見計らおう。投下直前にはリロードを心がけよう。
・もしスルーされても泣かないこと。
・投下後に殊更に感想を求めたり、レスが付かないからって自虐したりすると、ツンデレに嫌われます。
・みんなも多少のことは大目に見てスルーしよう

3 :
前スレ間違えました
ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.7
http://kanae.2ch.sc/test/read.cgi/honobono/1397276192/
年末年始の間にスレが埋まりそうだったので立てたのですが、久しぶりすぎてミスった(´・ω・`)スマソ

4 :
オツンデレドライバー

5 :
つ・ツンデレと年越し
つ・ツンデレと年越し蕎麦
つ・ツンデレと初詣
つ・ツンデレと初詣と煩悩

6 :
つ・ツンデレと年越し
つ・ツンデレと年越し蕎麦
つ・ツンデレと初詣
つ・ツンデレと初詣と煩悩
つ・ツンデレと初詣とお神酒

7 :
あけましておめでとうございます。

8 :
かなみさん明けましておめでとう

9 :
お題
・絶対にデレてはいけない高校24時間
・デレるとタカシ直々にお尻を棒で叩かれる罰ゲームがあるようです
・タカシの休む暇が無く、タカシが倒れて途中で終了しました

10 :
年賀状に何を書いたら良いのかわからなくて悩むツンデレさん可愛い

11 :
正月に集まった親戚を見て、自分の厄介な性格は一族特有のモノなんだと確信したツンデレ

12 :
ツンデレと初詣に行って
「ちょっとトイレ行ってくる」といって
こっそり恋愛成就の御守りを買いに行ったら
少し離れた所からツンデレの声が聞こえて
そっちの方を見ると
ツンデレが何かを下さいと巫女さんに言っていて
何を頼んだのだろうと気になり
ついつい見つめていたら
ツンデレと目が合ってしまい気まずい雰囲気

13 :
そこに巫女さんが
「実は恋愛成就を御守りが後一つしかなくて…

「同じタイミングに注文された方と話し合って決め手貰えませんでしょうか…?」
と申し訳無さそうに言うものだから
「こっちは大丈夫なんで、その人に御守りをあげてください」
と言って、ふとツンデレの方を見ると
ツンデレも巫女さんに
「私は大丈夫ですから、その方に御守りをあげてください」
と断っているではないか
(あれっ?もしかしてツンデレが買おうとした御守りって…)
と思ってボケッとツンデレを見ていると
なんやらを察した巫女さんが
「あらあら?もしかしてお知り合いですか?」
と言ったそばから
「それならお二人で話し合って決めましょう!」

14 :
と言い売り場から出てタカシの腕を掴んで
まだ「申し訳有りません」「いえいえ大丈夫ですよ」
とお互いにペコペコしあう2人の元に連れて行き
「さあ!どちらが恋愛成就の御守りを手に入れるか話し合いましょう!」フンス
と大きな声で言うものだから
ツンデレと2人で恥ずかしくて真っ赤になっていたら
また、なんやらを察した巫女さんが
「あらあら?もしかしてもう恋愛成就しちゃいました?」
と聞いてくる物だから
2人してワタワタしてしまい
その状況を周りの人にニヤニヤしながら見られて
死ぬほど恥ずかしい思いを過ごした後
巫女さんの厚意で一つの御守りと
2枚の甘酒無料券を貰い
ツンデレと甘酒を飲みながら帰りました
甘酒のせいか、帰り道は2人とも顔が赤かったです。

15 :
ツンデレと甘酒回し飲みしたい

16 :
おとし玉ちなみんおまえら用
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2882.jpg
俺用
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2883.jpg

17 :


18 :
・大晦日なのにツンデレが風邪を引いて寝込んでしまったら
『ねえ、孝史。前々からそうじゃないかとは思っていたけど、もしかして貴方って、もの
すごくバカなのかしら』
「のっけからバカとはちょっと言葉が過ぎると思うけど、少なくとも学力は静乃さんより
上だと思うよ」
『そっ…… そういう余計なことは言わなくていいわよ!! 私が言いたいのは……もっ
とこう、常識的な面でよ』
「少なくとも、人並みには常識も持ち合わせてると思うけどね。一体何をもって、静乃さ
んは俺のことをバカだと言いたいわけ?」
『だってバカじゃない。バカもバカ。大バカよ。だってあなた……今日が何日だか知って
いるの?』
「12月31日だろ? 大晦日とも言うね」
『そうよ。普通だったら、大晦日の夜ともなれば家族でテレビを見ながらご飯食べたり、
連れ立って初詣に行ったりするものじゃない?』
「普通だったら、という言葉はそういう過ごし方をしない人に失礼だから俺は同意しない
けど、でもそうする家庭が多いのは確かだろうけど」
『貴方の家だって、大晦日くらいおば様がご馳走作って、家族で新年を祝うんでしょう?
お酒もたくさん飲んで』
「まあ、そうだね。兄貴も帰ってくるし、妹が楽しみにしてるよ。口には出さないけど」
『貴方のところの妹も、大概素直じゃないわよね。じゃなくて!! そういう夜に、なん
だって貴方はこんなところにいるのよ!!』
「そりゃ、静乃さんが大晦日にもかかわらず風邪を引いて寝込んだからだろ? で、おじ
さんおばさんは抽選で当たった初日の出ツアーに出かけて、明里姉さんは年越しスキーだっ
て話じゃない。で、静乃さんを一人にさせとくのも心配だからって、おばさんから様子だ
けでも見といてくれって頼まれて来たわけだけど」
『様子見るだけならすぐ帰りなさいよ!! なんだって病人の世話する気満々の準備して
来てるのよ!!』

19 :
「そりゃ、ほっといたら静乃さん。下手したら死んじゃうかもしれないし。美人でクール
で、一見知的に見えて何でも出来そうだけど、家事スキル0。おまけに不器用でうっかり
者の静乃さんだけに、何やらかすか分からないからね」
『貴方ね。幼馴染だからってよくもそこまで人の悪口を並べ立てられるわね? 私の体調
が万全だったら即殺してるわよ』
「悪口じゃなくて事実の羅列だよ。あと静乃さん。高熱で喉も腫れてるのにさっきからしゃ
べりっぱなしで大丈夫なのか? あとで余計に酷くなるんじゃない?」
『貴方がそうやって話しかけてくるから、答えざるをえなくなるんじゃない。心配するん
だったら、むしろ黙ってなさいよ。そうすれば私も静かに出来るから』
「そりゃ、申し訳なかった。確かに静乃さんは俺の顔を見ると口を開いて文句を言わずに
はいられないようだからね。とりあえず喉を潤そうか。何飲む? レモンティーにしよう
か。はちみつ入れて」
『レモンティーって言ったってどうせティーバックのでしょ? 大体うちにちゃんとした
お茶葉なんてないし』
「ただ何飲むか聞いただけで、そこまで文句言わなくたっていいんじゃない? それに、
その言い方じゃ逆に静乃さんが自分の家を卑下してるみたいだよ」
『そこまでは言ってないわよ。あなたの言い方がちょっと得意げに聞こえたからイラッと
来ただけ。それだけよ』
「そういうつもりはなかったけどね。で、どうするの? 文句があるなら他のでもいいけ
ど。なんだったらしょうが湯とかにする?」
『冗談言わないで。貴方がブレンドしたしょうが湯なんて飲める訳ないじゃない。ティー
バックの紅茶でいいわよ』
「了解。じゃあちょっとキッチン借りるから。静乃さん、大人しく寝ているんだよ」
『子供扱いしないでくれる? 貴方、去年私と成人式で顔を合わせたでしょう? もう一
人前の女性なんだから』
「それは失礼。何か病人相手にしてるとついそういう言い方になっちゃうんだよね。それ
じゃ、すぐいれてくるから――と、その前に」
『な……何よ? 人の顔をジロジロ見て。失礼じゃない』
「いや。静乃さん。ちょっと、おでこ出して」

20 :
『おでこって…… な、何で貴方におでこ広げて見せなくちゃいけないのよ。もしかして
孝史。あなたって若い女性のおでこに欲情するとか、変な性癖でもあるの?』
「まさか。そうじゃなくて静乃さん。そのおでこの冷えピタ。朝からずっとつけっぱなし
で一回も取り替えてないでしょ? もう全く効果ないと思うよ」
『……仕方ないでしょ。ダルくて何にもする気力なかったんだから。ちゃんと起きたら貼
り変えようと思ってたわよ』
「なら、今交換しちゃおうか。おばさんが部屋に薬とか必要なものを一式、箱に入れて置
いといてくれてたからね。冷えピタもちゃんとあるし」
『……で、何でおでこ出さなくちゃいけないのよ。まさか、貴方が貼り変えるとか言うん
じゃないでしょうね?』
「しようと思ってたけど。その方が看病してるっぽいし」
『いらないわよ!! それくらい自分で出来るもの。貴方の手を借りる必要なんて一ミリ
グラムもないわ』
「でも、効果の切れた冷えピタをはがすことさえしてなかったじゃない。自分からおでこ
出すのがイヤだったら、ちょっとじっとしてて。とりあえず、古いのはがしちゃうから」
『だから自分でするからって言ってるじゃないの。人の言うこと聞いているわけ?』
「むしろ病人こそ、ちゃんと人の言うことは聞くものだって。はい。動かないで」
『キャッ……!!』
 ペリリリリ。
「おでこ触ってみたけど、まだ熱高いね。もう少し冷やしておかないと。はい。今度は自
分で髪を上げて。両手の方が上手に貼れるから」
『頑として自分の意見を押し通すつもりなのね。いいわ。病人だから素直に従ってあげる
けど、元気になったら覚えてなさいよ』
「うん。元気になったら、ね。じゃ、そのままジッとしてて」
『んっ…………』
 ピタッ…… ゴシゴシ
「はい、おしまい。でも何でそんなにギュッと目をつぶって緊張してるわけ? 何も痛い
こととかするわけじゃないのに」
『うるさいわね。貴方の顔が間近にあると思ったら――っと、その、えーっと……き、気
持ち悪くて我慢してただけよ。緊張してたわけじゃないわ』

21 :
「そりゃ悪かった。ま、近くに寄ったところで害があるわけじゃないしね。むしろ俺の方
が静乃さんから風邪を貰わないよう注意しないと」
『その発言には、優しさが足りないわ。風邪は人にうつすと治りが早いって言うじゃない。
いっそ近くに寄ったんならついでに私の風邪菌を全部持って行くくらいの心意気を見せな
さいよ。ホント、男気がないんだから』
「静乃さんが優しく看病してくれるっていうならそれもありだけどね。でも、静乃さんの
看病だと、三日後には総合病院の看護師さんの看病に変わってそうだけど」
『悪化するって言いたいのね。よく分かったわ。仮に貴方が風邪を引いたら、お返しに私
が傍に付き添ってちゃんと看取ってあげるから。総合病院なんかにお世話にならなくても
いいように』
「それはもしかして、呼ぶのは救急車じゃなくて霊柩車……とか?」
『さあ? ご想像にお任せするわ。そうね。冷えピタの代わりに濡れたタオルでも置いて
あげようかしら。間違って鼻と口を塞いじゃうかもしれないけど』
「そりゃ怖いな。やっぱり今後、風邪は引かないよう注意しよう」
『Rばいいのよ。いっそ。ところで、いつまで病人にペラペラとしゃべらせてるつもり
なのよ。咳が出てないからって喉が腫れてることには変わりないのよ。さっさとドリンク
持ってきなさいよね』
「はいはい。人使いが荒い病人さんだよ。全く」
『……フン。バカ……』

続く
鯖が重くてJaneから書き込めない……

22 :
GJ
しかし鯖重いね
続き気長に待ってます

23 :
ツンデレサークルのタカシはどうなるの?

24 :
「眠い…走るの疲れた…」
『そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!夜更かしばっかりして!
 起こす身にもなりなさい!』
「別に頼んでないだろ、お前だけでも先行けよ」
『あんたと少しでも一緒にいたいのよ』
『(こっちだってやりたくてやってないわよ!)』
「え?」
『へ?』
『何で!何で思ったことが口にでるの!?』
『(違う!今のは空耳よ、寝不足で耳がおかしくなったんじゃない)』
「えーと…」
『ダメダメダメ!このままだとタカシへの気持ちがばれちゃう』
『(違うって言ってるでしょ!!ほら、学校行くわよ!)』
『ばああああああああああああああああああ!!!!』
『(だああああああああああああああああ!)』
「おい、かなみ!おーい!すごい速さで行っちまいやがった。しかし一
 体全体何が起こったんだ。」

25 :
「そんなこんなで、今日一日かなみが口利いてくれなったんだよ。しか
 も目も合わせてくれなかった。ちなみ助けてくれないか」
『ふむ…学校でかなみちゃんの様子がおかしかったのには…そんな話が
 あったのか…わかった原因を調べてみよう…』
〜少女調査中〜
『わかったぞタカシ…科学と魔術の融合によって得た秘技によってな…』
「おぉ!流石ちなみ、スレ内で何かよくわからん事をさせるのに、これ
 ほど都合のいいキャラはいないな」
『ふっふっふ…一応は褒め言葉として受け取ってやるが…メタ発言はその
 辺にしておけ…』
「それで、一体どういうことだってばよ?」
『ふむ…タカシよ…神とは二面性を持つものだという…』
「えーと、何?急にどしたの」
『信じる者には加護を…蔑ろにする者には罰を…それが神…』
「はぁ、まぁ、分かり易いっちゃ分かり易いな」
『タカシにはその罰が下った…つまりは…天罰…』
「天罰って、俺が何したって言うんだよ。罰当たりな事なんてしてないし
 何より影響がでてるのはかなみだぞ。」

26 :
『聞け…どうやら神はタカシ自身の愚かさを自覚させる為に…本人ではな
 く…周りの人間に影響が出るようにしたみたい…』
「傍迷惑な神様だな、なんて名前の神様だよ。直接本人に罰を与えればい
 いのに、酷い神様だな」
『神の名は…真頭詞千霊都留蔕比売(マヅシチチツルペタヒメ)…』
「は?」
『だから…真頭詞千霊都留蔕比売(マヅシチチツルペタヒメ)って名前…』
「はぁ、なんつーか、ファンキーな名前の神様だな。で、そのツルペタ様は
 俺じゃなくて周りに何をしたんだ」
『どうやら真頭詞千霊都留蔕比売は…タカシの所持しているエロゲーに出て
 くるキャラクターが…巨乳ばかりなのに腹を立て…貧乳の良さを知らしめ
 る為に…タカシの周りの貧乳が本音をしゃべる様になったみたい…』
「色々とすごい神様だな。しかし本音か、かなみは俺のことを大事に思って
 てくれてたんだな」
『原因を調べてみれば、ライバルを助けることになるとは。損な役回りだ』
『(わっかたら…少しはかなみちゃんを大事にしろ…)』
「ん?」
『しまった、私も貧乳だった!まずい、本音が!』
『(どうした…変な顔をして…あぁ…いつも通りか…)』

27 :
『あぅああぅあぁぁ、タカシ、好き、かなみちゃんじゃなくて、私を…』
『(すまない…用事を思い出した…私は帰る…)』
「ええ!?あ、ええ!?何、何なの今日は、何なの。ちなみも爆弾発言したと
 思ったら、帰っちゃうし色々ありすぎて訳が分からないよ。」
「しかし、ツルペタ様の天罰が本当なら二人は俺の事が………一回しっかり考
 えないといけないな、本当に。」
「(けどやっぱり、周りじゃなくて本人に下せばいいじゃん、天罰)」

〜おまけ・かなみが走り去ってから、ちなみに調べてもらうまでにあったこと〜
『ちょっと別府さん、あなた椎水さんに何かしましたの?したんでしょう?し
 たに決まっていますわ。正直に白状しなさい』
「いやいや、知らないよ、俺だって知りたいよ。」
『ふん、デリカシーのないあなたのことです、一度自分の胸に聞いてみなさい
 きっと心無い言葉でも言ってしまったのでしょう』
『(チャンス!!!椎水さんには申し訳ありませんが恋とは戦争!この隙に私
 の存在を別府さんの心の深い所にまで刻み付けますわ!ふふふ、人間弱って
 いる時に優しくされれば簡単に堕ちるもの、行くわよ!神野リナ!!)』
お嬢は真頭詞千霊都留蔕比売のサポート対象外でした
〜終われ〜

28 :
お嬢には神からガチの天罰が下るんじゃないかと本気で心配しないでもない

29 :
>>21の続き投下します

30 :
・大晦日なのにツンデレが風邪を引いて寝込んでしまったら 〜その2〜
「静乃さん。そろそろお腹空かない? なんだったらご飯の用意するけど」
『貴方が? 孝史が料理出来るなんて聞いたことないけど、ちゃんと出来るわけ? 食中
毒で死ぬのだけはゴメンよ』
「まさか。静乃さんの手料理じゃあるまいし。といっても、俺が作れる料理なんて炒め物
ばかりでとても病人に食べさせられるものじゃないからね。安心して。おばさんがちゃん
とおじやの準備して行ったから。俺がやるのは具材とご飯を入れて煮込むだけ」
『ちょっと待ちなさいよ。貴方、また余計なことを言ったわね。口は災いの元って言葉、
知ってるわよね。貴方絶対、早死にするわよ。それもロクでもない死に方で』
「ホントだね。確かに、静乃さんが全く料理出来ないなんて情報はいちいち口に出す必要
もなかったか。そのくせ、食べる側となると舌だけは肥えていて一人前のグルメ批評家ば
りにあれこれ注文つけるってことも必要ないよね」
『だったら口に出して言わないでよ!! 二人だけだからまだしも、誰かが聞いていたら
貴方、今頃既に命がないわよ』
「うわ。そりゃ危なかった。俺の将来は2ちゃんねるの既男板にある嫁の飯がマズいスレッ
ドの住人になることが夢なんだから」
『……ちょっと待ちなさい。それって、どういう意味よ?』
「さあ。あくまで夢だしね。さて、と。じゃあ、ご飯用意してくるか。すぐ出来るからちゃ
んと寝て待ってるんだよ」
『はぐらかさないでよ。逃げるなんて卑怯だわ。ちゃんと答えなさい!!』
『……もう…… 絶対、そんな夢叶えさせないわ。ええ。叶えさせないわよ』

31 :
「お待たせ。おじや、出来たよ」
『本当に美味しく出来たんでしょうね? 不味かったらひっくり返すわよ』
「おばさんのメモどおりに作ったから、大丈夫だと思うけど。注意するのも煮込む時間だ
けだし」
『それだけじゃ保証なんて何もないわよ。その時間が問題なの。煮込みすぎて水分が飛ん
で美味しくなくなったり底を焦がしすぎて食べられなくなったりするんだから』
「つまり静乃さんはそれで失敗したと。火の前に立つのに飽きてマンガでも読んでた?
それとも、ちょっと焦がしたほうが美味しいとか余計な情報に影響されて焦がし過ぎちゃっ
たとか?」
『私が失敗したなんて一言も言ってないじゃない。何で貴方は推測でこう勝手に私が失敗
したことにするのよ。貴方の話を鵜呑みにしたら、私ってどれだけダメな人間なのよ』
「静乃さんって、正直だよね」
『は? な……何がよ?』
「もし違っていたら、絶対に否定するものね。違うわよっ!!って。そう言わないってこ
とは経験があるんだろうなって。少なくとも当たらずとも遠からずってところかな?」
『や…… やかましいわね。貴方のそのしれっとした分かってますって顔が本当にムカつ
くのよ…… 私が失敗しようがなんだろうが、貴方には何の関係もないでしょう? 大嫌
いだわ』
「今くらいは感謝されたいものだけどね。ま、それよりもせっかく作ったんだから食べて
よ。まだ熱いうちに」
『……熱いうちって…… それ、私に対するいじわるのつもりで言ってるの?』
「え? いや。そんなことはないけど。何で?」
『だって知ってるでしょ? 私が……その……熱いの、苦手だってこと』
「ああ。それなら大丈夫。土鍋のフタ、開けてみて」
『……本当でしょうね?』
 ホワッ……
「どう? 美味しそうな匂いじゃない?」
『貴方が味付けしたわけじゃないでしょう? 自慢げに言わないでよ』

32 :
「確かにその通りだし、別に自慢げなつもりもなかったけどね。それより、熱さの方はどう?」
『……こういうのって、普通もっとブチュブチュブチュって煮えたぎった音がしてるもの
じゃない? 泡もボコボコ立って』
「さすがにそういうのはお店に行かないと。家じゃ火から上げてすぐだったら多少は沸騰
してるけど、すぐにおさまっちゃうし」
『でも、それにしても煮えたぎり感がないっていうか…… 貴方これ、ちゃんと煮たの?』
「大丈夫だって。火を消した最初はちゃんとボコボコいってたから。静乃さんでも食べや
すいように、少し冷ましてから持ってきたんだよ」
『……それでちょっと時間がかかったのね。一応聞いとくけど、冷ますのってどうやった
の? まさか口でフーフーとかしてないわよね?』
「してないって。基本は置いといただけだよ。最初ちょっと軽くうちわで扇いだけどね」
『……あと、もう一つ確認しておくけど、私にちょうどいい温度って、どうやって調べた
の? まさか味見したりとかしてないでしょうね?』
「してないよ。フタを開けて、手をかざして湯気の温度で確かめただけだから。最初のア
ツアツの状態から判断して、まあこの程度かなって」
『ああ、そう。そうなの。それならいいわ』
「あれ? いいって言うわりには静乃さん。何かちょっと不満そうに見えるんだけど」
『――――っ!? そ、そんなわけないでしょ。気のせいよ気のせい』
 パクッ!!
『~〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっ!!!!!』
「ちょっ…… だ、だめだって。いくら冷ましてあるからっていったって、口で冷ましも
しないでいきなり食べたりしたらそりゃ熱いよ」
『んーっ!! んーっ!! んんーっ!! ハフッ!! ハフハフハフ!!』
「とりあえず冷やさないと。ほら、水飲んで」
 ゴギュ……ゴクッ……ゴキュ……
『ハァッ……ハア…… あっつ…… 口の中火傷したわ……』
「そんないきなり口に入れたら熱いに決まってるって。ただでさえ猫舌なんだから、ちゃ
んと口で拭いて冷まさないと」
『うるさいわね。偉そうに説教しないでよね。そうならそうでこういう時は貴方が――』

33 :
「ん? 俺がなに?」
『……いいわ。別に何でもないわよ。どうせ私が粗忽なんでしょ。それでいいわよ』
「いいわよって言いながら顔は納得してないんだけど。もしかして、俺の冷まし方が足り
なかったからとか? 一応おじやなんだし、口で冷ませて食べる程度の熱さはあった方が
いいかなって思ってそのくらいにしたつもりなんだけど」
『そんなこと言ってないじゃない。いいでしょ? 私が自分のせいにしてるんだから、そ
れ以上詮索しないでよね。フーッ!! フーッ!! ほら、これでいいんでしょう? フン』
「まあそこまで言われたらこれ以上は聞けないけど…… 時々よく分からないな。静乃さんは」

『(全く……こんなバカみたいなこと知られるわけに行かないじゃない。孝史にフーフーし
て冷ましてもらって、ついでにアーンって食べさせてもらうところまでずーっと妄想して
たなんて…… 人の欠点はすぐ気付くクセに、肝心なところは鈍いんだから……)』

あと1回くらい続く

34 :
なんか書いてたら長くなったけど許してね。7レスくらい。

35 :
【ツンデレと遅い初詣に行ったら】
「初詣に行こう」
「1月も半ばを過ぎて何言ってんのこの人!?」
 冒頭からボクっ娘が人のことを馬鹿にした風なので大変不愉快です。ぷんぷん!
「まあ待て、俺の話を聞いてからでも遅くはないだろう」
「うわー……死ぬほど興味ないのに離してくれないパターンだー……」
 ボクっ娘の野郎がうんざりした顔で俺を見やがる。ちくしょう。
「実は今年俺は初詣に行ってないんだ」
「そなんだ。ボクは行ったよ」エッヘン
「ヤだ、圧倒的普通なことなのに堂々と胸を張れるボクっ娘に思わず胸キュン」キュン
「馬鹿にすんなぁ! あと胸キュンとか古いよっ! 古すぎて逆に新鮮だよっ!」
「古すぎて逆に新鮮……? どういうことだ? 古いが新鮮な感覚……? 漬物か何かか?」
「だーっ! もう、いいから初詣の話しろよなぁ! どーせ最後まで話すまでボクを離さないつもりだろ!?」
「漬物の話題を出したら漬物の話がしたくなった」
「初詣の話をするのっ!」
「ボクっ娘はわがままだなあ」
「ボクが!? 明らかにタカシがわがままだろっ! あとボクっ娘ってゆーなっ!」
「まだその設定残ってたのかよ……」
「人の嗜好を設定とな!?」
「まあいいや。えーと、初詣行ってないので行きたいんだ。しかし今更行ったら初詣じゃなくただの詣でと勘違いされて『ヤだ、詣でよ詣で』とロリ巫女さんたちにひそひそと揶揄されないだろうか。
しかしロリ巫女さんに蔑んだ目で見られるのは結構な確率で興奮すると思うので……あっ! いいじゃん!」
「いくないっ!」ガーッ
「わぁ」
「まず! 詣でってなんだよ! 変な言葉作んなよぉ! つぎ! なんで巫女さんがロリって決めつけてんだよ! あと、こんな時期に行っても巫女さんいないよ! あーゆーのは正月だけバイトで学生がやってるの!」
「最後の言葉で勇気がくじけた。もうこの世界に純正な巫女さんはいないのか」
「いるだろーけど、タカシが期待してるよーな巫女さんはいないと思うよ」
「いやいや、梓は勘違いしている。俺が期待している巫女さんなんて、ごくごく普通の巫女さんだぞ」
「……もー既にフラグ臭いけど、いちおー聞いとくよ。どんなの?」

36 :
「丈が非常に短くてチラチラおっぱいが見えそうな装束に身を包んだ小学生と見まごう如き肢体の巫女さん。具体例で言うと咲の薄墨初美。俺にだけお兄ちゃんとなつけば尚Good!」
「思ってた以上にタカシの頭がおかしい!」
「ええっ!? セーブしたのだが……」
「それで!?」
「むぅ……一般人と俺様との溝は深まるばかりだ」
「うう……タカシを侮ってたよ。想像以上に業が深かったよ……。あと何が俺様だよ、ばーか」グリグリ
「ちぃぃ、頭痛がする。偏頭痛に違いない」
「あははっ、ボクが頭ぐりぐりしてるからだよ」グリグリ
「ぐぬぬ。まあ残念ながらロリ巫女は諦めるとして、初詣ぐらいは行っておきたいんだよ。でもひとりで行ったらロリ巫女さんに『今更詣でとかありえないですよー。しかも賽銭が五円とか今時ないですー。ほらほら、いいから有り金置いてってくださいねー?』
とカツアゲに遭う可能性も否めないので、一人より二人の方が安心できるんだ」
「無駄な危機回避能力だね……。しかも、ロリ巫女さんいないっていいながらまた登場してるし……」
「最悪の場合梓をロリ巫女に仕立てあげるから安心しろ」
「人を勝手に巫女にすんなっ! そもそも、ボクはロリじゃないからロリ巫女にはなんないもんっ!」
「…………。いや、大丈夫。なれる!」
「ボクの胸を見て言った!? タカシすっごくしつれーだよっ!」プンプン
「待て、落ち着け梓! 胸と背と顔と精神年齢を見て『いける!』と踏んだんだ!」
「もーっ! もーっ! もーっ!」ポカポカ
「悪化した。解せぬ」ブベラハベラ
「はーっ、はーっ……もー、ボクが相手だから許したげるけど、ふつーの人なら許してないよ? ぜっこーされててもおかしくないよ?」
「普通の人はそもそもロリくないから、ロリ巫女にさせられる恐れがないので大丈夫だ」
「やっと怒りが治まった人を即座に怒らせるかな、ふつー……?」プルプル
「ふむ。……ゴメンネ☆」キャハ
「わっ、世界一キモい!」
 満面の笑みとアイドルを思わせるKawaii所作で謝罪を試みると、なかなかの言葉が返ってきた。だが、そんなものは想定内。
「よし。キモさで怒りの矛先を失わせる俺の優れた技が成功した。ふひゅー」
「なんで全部言っちゃうかなぁ……?」

37 :
「梓の怒りも鎮まったし、改めて。一緒に初詣行きませんか? ひとりじゃ寂しいんです」
「最初っからそーやって素直に誘ったらいーのに……ん、いーよ。ボクもついたったげる」ニコッ
「……ふっ。簡単なもんだ」ニヤッ
「悪い顔した!? また何かたくらんでるだろ!?」
「…………」スタスタスタ
「あっ、こらっ! 何も言わずに行くなよ、ばかっ!」
「……さて!」
「ひゃっ!」ビクッ
「やってきました近所の神社! 神の社とはうまいこと言うね! 近くの犬も俺たちを歓迎しているよ!」ワンワンワン!
「タカシが急におっきな声出したから威嚇してんだよっ! ここに来るまでずーっと黙ってスタスタしてたからボクもびっくりしたよ!」ドキドキ
「吊り橋効果!」ジャーン
「全然違うよっ!」
「難しいな。まあいいや。さて、手水舎で身を清めるか」
「タカシは身だけじゃなく心を清めたほうがいいよ。あっ、でも清めても全身これ邪悪だから消えちゃうね」キシシシ
「なめくじみたいだな。あ、でも全身から粘液出ないんだけど、なめくじとして今後立派にやれるかな?」
「なんでなめくじとしての今後を考えてんだよっ! ちょっとは言い返せっ!」
「なんか怒られた」
 神聖な境内でしばらく探したのだが、それらしきものが見当たらない。代わりと言っては何だが、水道がひとつある。
「まさかとは思うけど……これ?」
 怪訝な様子で梓が水道を指さす。正直別の神社に行きたいが、もうよそに行くの面倒だ。
「しないよりはマシ、かなぁ……。まあいいや。俺は一応やっとくよ」
「あっ、待って待って。ボクもいちおーやるよ」
 両手と口をすすぎ、梓も俺に倣う。……あんま意味ないような気もするが、こういうのは気の持ちようだ。
「ふー……神様ぱわーが注入されたよ!」
「このように、思い込みが強い奴はただの水道でも得体のしれないエネルギーが注入されるので危ないと思われる」
「得体のしれないってなんだよ! 神様ぱわーだよ、神様ぱわー! は〜っ!」
 はーと言いながら梓がこちらに手を差し向けた。おそらく梓の脳内では、手からエネルギー波か何かが出て俺を粉砕していることだろう。
「さらに言うなら、手水舎は身を清めるためにあるもので、別に何かのご利益があるとかはないと思うのだが」

38 :
「うっ……タカシは細かいの! いーの、こーゆーのは気分なの、気分!」
「水道で気分を出せるのもひとつの才能だよな」
「また馬鹿にしたなあ!? もー! タカシなんて嫌い嫌い!」
「いやはや。んじゃそろそろ詣でるか」
「むーっ」
 むーっと言いながらむーっとした顔をした梓が俺についてくる。怒りながらもちょこちょこついてくる梓はかわいいなあ。
「あっ!」
「ん?」
 鳥居を潜る時、梓が急に声をあげた。何ごとかと梓の方を振り返る。
「んふーっ。あのね、タカシ知ってる? ボクは知ってるけどね!」エッヘン
「そうか。梓は全知全能だなあ」クルッ
「待って待って最後まで聞いて!」ギューッ
「めんどくせえなあ……なんだ?」
「あのね? 鳥居は真ん中通っちゃダメなんだよ? なぜなら! そこは神様の通り道だから!」ズビシーッ
「ああ。だから端を通ってる」
「あ……」
 俺が立っている場所は鳥居の右端で、神様(と思われるもの)が歩く通り道は踏んでいない。
「しっ、知ってたんだ。ま、まあ、これくらいの知識、あってふつーだけどねっ!」フンッ
「最近知ったのか……」
「ぐーぐるで知った」
「そうか……」
「お菓子のレシピも教えてくれる。昨日はアップルパイの作り方知った。ぐーぐるはいだい」
「なんか金でももらってんのか。あと口調がおかしい。壊れたか」グニーッ
「あぅーっ! ほっへひっはふはーっ!」(訳:ほっぺひっぱるな)
「ん、大丈夫。よかったよかった」ナデナデ
「うー……タカシってすぐボクをなでるよね。……別にいーケド」
「冬場は寒くてよくくしゃみするからな」
「手についたツバをなすりつけられてる!? もーなでんなっ!」
「わはは。さて、着きましたよ梓さん」
 梓とじゃれてる間に拝殿に着いた。奥行きは木々に邪魔されてよく分からんが、一階建ての極々普通の、いや少々みすぼらしい拝殿だ。年季が入っていると言えば聞こえはいいが、
実際は何の手入れもされないまま長年放置され、全てが薄汚れて見える。少しくらい掃除したらいいと思うが……ま、それは他人だから言えることか。
「わー……ちょっと、その、アレだね」

39 :
「言葉を濁しつつ、梓の表情は明らかに『ドブみたいな臭いがする』と雄弁に語っていた」
「言ってないよっ! ちょっと汚いなーって思っただけだよっ! ……あっ」
「あーあ、言っちゃったー。神様に聞かれたー」
「あっ、あっ、今のナシ! ナシだかんね、神様!」
 拝殿に向かって必死に訴えてる梓。なんというか、もし俺が神様なら許すどころか全身全霊で一生守護する程度には必死さが伝わってくる。
「……ふー。これくらい言えばだいじょぶかな?」
「神様ってくらいだから懐は広いだろ」
「あっ、そだね。あーよかった」ホッ
「ただ、古事記とか読むと良くも悪くも人間臭いから心が狭い神様がいてもおかしくはないな」
「ボクを安心させたいのか不安にさせたいのかどっちなんだよっ!?」
「わはは。大丈夫大丈夫。んーと……あれ? 梓、お前5円玉ある?」ゴソゴソ
 財布を探ったが、残念ながら5円玉が見つからない。……というか、500円玉がひとつしかない。これは、使いたくない……使いたくないんだ!
「はぁ……お参り行くならそれくらい用意しとけよなー。はい、どーせ用意してないと思ってたから、こっちで用意しといたよ」
「おおっ、サンキュ梓。気が利くなあ」
「付き合い長いからねー」
 梓から賽銭を受け取り、賽銭箱に入れる。鈴を鳴らし、……しまった、作法を知らない!
 えーとえーとえーと……そうだ、梓を真似よう! ちらりと横を見る。ばっつり目が合った。
「てめえ! 人の真似をしようだなんていい度胸だ! すなわちグッド度胸!」
「完全完璧にこっちの台詞だよっ! 明らかにボクのマネしよーとしてたろっ! いーからちゃんとした作法教えろっ!」
「ふふん。俺をアカシックレコードか何かと勘違いしているようだが、こちとらただの高校生! 知らないことだって山とあるわ、たわけっ!」
「はぁ……しょーがない。適当にお願いしよ。きちんと心を込めたらちょっとくらいやり方を間違えても神様は聞いてくれるよ。ね?」
「心か。任せろ、得意だ」
「……いちおー言っとくけど、えっちな心を込めたらダメだかんね」
「人間の三大欲求の一つを封印されただと!? くそぅ、もうこうなっては寝ながら大根をかじる夢を願うしか!」
「どんな夢だよっ!」

40 :
「三大欲求とか大上段に構えたために、他の欲求に気をとられた結果です。うーん……よく考えたら願い事考えて来なかった」
「ほらほら、もーお賽銭入れたんだから今更うにゃうにゃ考えても仕方ないよ。目つぶったら何か浮かぶよ。それがタカシのお願いごとだよ」
「そういうもんか……?」
「そーゆーものだよっ。ほらほらっ、早くするのっ」
 梓に促され、手を叩いて目をつむる。俺の願い……?
 うーんうーんうーん。浮かばん。
 仕方ないので薄く目を開けて隣を見る。ちっこいのが一生懸命口元で何かつぶやいてた。ずいぶん一生懸命だな。なんだろ。
 ……うん。特に浮かばないし、これでいいか。
 しばらく願い事をして、目を開ける。ほぼ同じタイミングで梓も目を開けた。
「……ふぅ。お願いごと、できた?」
「たぶん」
「たぶん、って……まあいいや。んじゃ帰ろ?」
「あー、そだな」
 踵を返し、拝殿を後にする。……と思ったが、梓が何か拾っていた。
「あっ、えへへ。せっかく来たんだし、あんまり汚れてるからちょこっとだけお掃除ってね。簡単にね」
「はぁ……お前は、なんつーか」
「え、えへへ」
 困ったように笑う梓の元まで戻り、近くの木切れやお菓子のビニールなんかを拾う。
「わっ、いいよいいよ! ボクが勝手にしてることだからタカシまでやんなくても!」
「俺もお前に触発されて勝手にやってるだけだ。両手で持てる程度しかやらんから気にするな」
「……もー」
 小さく笑う梓と一緒に、数分だけゴミ拾いをする。
「……ん、これくらいでいっかな。じゃ、これ捨てよ?」
「そだな」
 近くのゴミ箱にゴミを捨てる。数分のことだが、結構な量になった。
「はー……いいことすると気持ちいいね!」
「ご利益たんまりだな!」
「うわ、そういう気持ちでしたら逆にご利益なさそうだけどね」
「しまった! 今のはごりやく、ゴリ薬、すなわちゴリラ薬がたんまりという危険ドラッグをしてると間違われても仕方ない酩酊した俺の精神が発した謎台詞なのでなかったことに!」
「あははっ。ほらほら、手洗って帰ろ?」
 ゴリ薬ってなんだろうと思いながら手水舎モドキで手を洗う。ちべたい。
「そーいえばさ、タカシは何をお願いしたの?」

41 :
 梓から借りたハンカチで手を拭いてると、不意にそんなことを聞かれた。
「梓のおっぱいが成長しますようにって」
「ちょー失礼拳!」パンチパンチパンチ
 なぞの拳法が炸裂した。ただ、謎の拳法伝承者はちびっこだったので全く痛くない。
「むー……そりゃ成長してないけどさ。むー」
「冗談だよ。これがちっとも浮かばなかったんで、なんとなく横見たら必死そうな顔した奴がいたんでな。そいつの願い事が叶うような願い事をしたような、してないような」
「えっ? ……ええっ!?」
「そんな嘘をついたような」
「嘘!? えっ、ホントはどーなの? ねー、ねー!」グイグイ
「まあまあ、俺のはどうでもいいじゃあないですか。梓は何をお願いしたんだ?」
「えっ、ボク!? ……えっ、えっと……」チラチラ
「?」
「……ぼ、ボクのことはどーでもいいじゃん。ねー?」
「なんか顔が赤いが、どうかしましたか」
「どっ、どうかしません。……あっ」
「ん?」
「……さっき、タカシはボクのお願いごとが叶うように願ったって言ったよね? え、じゃあ……?」
「加速度的に顔の赤みが増してますが、本当に大丈夫ですか」ナデナデ
「はぅ」
「梓?」ナデナデ
「……はっ! えっ、えへへ、えへへへ。……あっ、あのねっ!」
 何やら意を決した様子で、梓が声を上げた。

42 :
「こ、これからさ。……ぼ、ボクの家に来ない? あのね、アップルパイの作り方知ったから、その。……た、食べてほしいんだ。タカシに」
「ほう、なんたる奉仕精神。将来はナイチンゲールに違いない!」
「そ、そゆんじゃないんだけどね? ……えへへ、でも今はそれでいーや。それで、その。来てくれ……る?」クリッ
 梓は軽く首をかしげた。俺は心を撃ち抜かれた。
「女性の誘いをどうして断れようか!」
「わっ、紳士!」
 ──というのをおどけて誤魔化す。なんたる破壊力だコンチクショウ。
「つーかお菓子大好きだし大喜びで行きます」
「あははっ、そだったね」
「梓の作る菓子はなんでもんまいからな。毎日でも食いたいよ」
「っ!? ……い、いーよ。毎日でも」
「マジかっ!? これは俺が肥え太り将来的に魔女と化した梓に食われるフラグが今立ったか?」
「また適当なこと言ってぇ……」
「ていうかいうかていうかですね、そこまでされるのは気を使うからいいよ。たまに気が向いた時に作ってくれたらそれで十分嬉しいよ」
「別にいいのにぃ……」ムー
「いくねぇ」ナデナデ
「がんこ」ムー
「こっちの台詞だ」ナデナデ
「絶対にタカシががんこだもん。ボクはがんこじゃないもん」ムー
 その後、むーむー鳴る変なのと一緒に帰ってアップルパイをごちそうしてもらいました。
「ねータカシ、おいしー?」
「超おいしい」モグモグ
「えへへ、よかったー♪」ニコニコ
 その頃はもうむーむー鳴らずにニコニコ鳴る生物になってました。たぶん俺は俺でニヤニヤ鳴る奇怪な生物になってたと思う。

43 :
うわああああ可愛いいいいい!!!!

44 :
ボクッ娘久々だなwww
ちなみに日本の神様たちは結構しちめんどくさいのでツンデレに通ずるものがあると感じる昨今

45 :
ほの板は6レス以上連投は規制が掛かるけど、IP固定じゃなければ回線切ってつなぎ直せばまた投下できるよという念のための豆知識を一応書いておく

46 :
一から十まで言われないと気付かないボンクラですみません!(脱ぎ脱ぎ)
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2884.jpg

47 :
ほんとはぎゅっとして暖めて欲しいのに…

48 :
もうお正月気分なんて遥か過去の話だけど
>>33の続き投下します

49 :
・大晦日なのにツンデレが風邪を引いて寝込んでしまったら 〜その3〜
「静乃さん。薬はちゃんと飲んだ? 子供の頃のようにごまかして捨てたりしてないよね?」
『いつの話をしているのよ。ちゃんと飲んだわよ。おかげでまだ喉につかえてるような気
がして気分悪いけど』
「それならいいけど。静乃さんって昔から薬、苦手だからね。粉は苦いし、オブラートや
カプセルは飲み込みづらいって」
『薬が好きな人なんていやしないわよ。いたらむしろ危険だわ。そんな人』
「そりゃごもっとも。確かに薬を飲むってことは体調面での見返りを求めるからで、飲む
こと自体好きな人はいないだろうからね。常用してる人でも」
『そうでしょ? だから私は常識人の代表なの。分かった?』
「はいはい。じゃ、後はあったかくして寝るんだよ。何よりも体を休めることが一番なん
だから」
『分かってるわよ。そんなこと。そうやって子ども扱いするの、止めてくれない? 私、
貴方のそういうところが一番嫌いなのよ』
「ゴメン。静乃さんって、見た目と比べて薬が苦手だったり猫舌だったり、子供みたいな
ところが多くてさ。ついそういう言い方になっちゃうんだよな。反省するよ」
『そう言いながら、また同じような扱いするんでしょう? いつも口ばかりなんだから』
「今回はちゃんと有言実行するよ。そういうわけで、俺は食器を片付けたらそのまま帰るから」
『え……?』
「もう9時近いしね。それに、俺がいると静乃さん。ずっとおしゃべりしてて寝ようとし
ないでしょ? それじゃあかえって体調に悪いからね。あとはテレビとか見てないで大人
しく寝てるんだよ」
『だから、またそうやってすぐ子ども扱いする!! 今注意したばかりなのに。貴方って
私の何なわけ? 保護者気取りもいい加減にしなさいよ』
「だって静乃さん。普段こんな時間に寝ないし、寝付けないと飽きてテレビ見たりマンガ
読んだりしちゃうでしょ? 風邪引いてる時はそういうのでも体力使うんだから、無理し
てでも寝ておかないと」
『ちゃんと寝るわよ。私だって正月三が日を丸々寝て潰すつもりなんてないもの。そんな
忠告、必要ないわ』

50 :
「それならそれで問題ないね。むしろ俺がいると邪魔だろうし」
『……え、ええ。そうよ。貴方の存在なんて邪魔よ。邪魔でしかないわ。むしろこの宇宙
から存在ごと消えちゃえばいいのにって思うくらい』
「それはそれでひどい言い草だと思うけど。ご飯の準備だってちゃんとしてあげたのに」
『その程度なら、ここに来た以上当然の義務じゃない。でなきゃとうの昔に叩き出してるわよ』
「病人の言葉とは思えないなあ、それ。じゃ、まあもはや俺は役立たずだろうし、叩き出
されるより前に大人しく帰るとしようかな」
『ちょ、ちょっと待ちなさいよ』
「えっと……なに? やって欲しいことがあるなら、今のうちに言っといてくれると助かるけど」
『…………ちょっと、傍まで来てくれないかしら』
「傍まで? 何で?」
『理由は聞かないで。そこだと、手が届かないのよ』
「……意味が全く分からないけど。とにかく、傍に立てばいいのか?」
『ええ。そうね、その辺でいいわ。そしたら手を出して』
「は? 静乃さんが何したいのか全く分からないけど……こう?」
『それでいいわ。そうしたら、そのまま動かないで』
 ガシッ!!
「し、静乃さ――わわっ!!」
 グイッ!!
 ドサッ!!
「し、静乃さん。何するんだよ。いきなり腕を引っ張り込んで。ちょっと痛いし」
『うるさいわね。静かにしなさい。大声出されると頭に響くのよ。私、病人なんだから余
計な体力使わせないで』
「こんなことしてる方が体力使ってると思うけど…… って、一体なんでこんなことする
んだよ。手首をつかんだと思ったらいきなり引っ張ってさ。こんな風に俺の腕を体で抱え
込んで、どういうつもりなんだよ」
『そうね。嫌がらせ、かしら』
「嫌がらせ? って、何で?」
『だって貴方、この後家に帰ってご飯食べるんでしょ? 家族のみんなと。それでテレビ
見て談笑しながら年越しを迎えるのよね?』

51 :
「うん。まあ俺はまだ飯も食ってないし。多分家族のみんなは食い終わってるとは思うか
ら、食事は一人になると思うけど。まあ、酒くらいは付き合ってくれるかな。うちは家族
みんな飲めるし。あ、妹は高校生だからまだ無理だけど」
『その程度の情報ならいちいち言わなくたって知ってるわよ。そうやって貴方はお正月気
分を満喫するのよね。私が一人で苦しんでる最中に』
「苦しんでるって…… まあ、確かに年越しを風邪引いて迎えるなんてご愁傷様だとは思
うけど、こればかりは仕方ないしね。不運だと思って諦めるしかないと思ってよ。で、こ
れは一体どういうわけで?」
『だから、貴方にもせめてそういう楽しみを味わわせないように、腕をホールドさせても
らったわ。これで貴方は家にも帰れないし、美味しいご飯もお酒も飲めず、年越しもこの
部屋で私と二人、侘しく過ごすことになるのよ』
「それはつまり、翻訳するとこうなるわけ? 風邪引いたまま一人ぼっちで取り残される
のは寂しいから、今晩ここに泊まって行ってくれない?って」
『ひとっこともそんなこと言ってないわ。別に貴方がいなくたって寂しくないし、どうせ
寝るだけなんだから目が覚めたらお正月の朝だもの。そうしたら多分熱も下がってるし』
「ならいいじゃないか。なんだってこんな無理矢理俺を引き止めておこうとしてるんだよ」
『だから言ったじゃない。単なる嫌がらせだって。世間がみんな楽しんでる時に私だけ風
邪で寝込むなんてこんな不条理に腹が立つから、せめて目の前の貴方だけでも巻き添えに
しないと気が済まないのよ』
「素直じゃないな。静乃さんは。甘えた声で、孝史……ここにいて。目が覚めたとき、一
人じゃ寂しいから……って言えば、俺も仕方ないなってなるのに。中身は残念でも静乃さ
んは美人だからね。ちょっと技を使えば、幼馴染の俺だっていいようにできると思うよ。
でもまあ出来ないのが静乃さんか」
『出来ないんじゃなくて、気持ち悪くてしたくないのよ!! 貴方のそのラノベ的な発想
に染まった脳みそを今すぐ火炎放射器で燃してあげたい気分よ』
「で、そんな気持ち悪い男の腕を静乃さんは離さないように力いっぱい抱きしめてると。
その形のいい胸を押し付けて」
『嫌がってる素振りしながらちゃんと意識はしてるのね。この変態』

52 :
「男ってそこらへん、分離して出来てるから。で、静乃さんは嫌じゃないの? パジャマ
みたいな薄着で、俺の腕に胸を押し付けちゃってさ。帰れないから離して欲しいけど、こ
の感触はちょっと捨てがたいものもあるってのも事実なんだけど」
『ここで力を緩めたら、貴方逃げちゃうもの。多少の不快感は我慢するわ。けど、余計な
ことしたら叩くからね』
「やれやれ。どうせ抱きしめられるならもうちょっとロマンチックな展開がいいんだけど
なあ。そんな物騒な言葉を浴びせられるんじゃなくて」
『貴方相手にそんな展開、ありえないわよ。冗談言わないで。想像するだけで鳥肌が立つ
じゃない』
「これだからなあ。いっそ鳥肌が立つなら離して部屋から追い出してくれてもいいのに」
『フン。そんなこと言って、体よく帰ろうとしてるだけでしょ? 貴方一人にお正月気分
を満喫させないわよ。この腕は絶対に離さないんだから』
「絶対に? 何があっても離さないってことでいいのかな?」
『そう言ってるでしょ? 言っとくけど、私は寝てるときは物に抱きつくクセがあるの。
私が寝入ったら腕が抜けるだろうって考えてるかもしれないけど、甘い期待だからね』
「仕方ないな。そういうことなら……よいしょっと」
『ちょっ……!! ちょっと待ちなさいよ。何で貴方がベッドに上ってくるのよ』
「だって寒いし。静乃さんが寝ると思ったから暖房切っちゃったからね。このままじゃ俺、
静乃さんにうつされなくても風邪引いちゃうよ」
『だからって普通、女のベッドに入ってくる? 犯罪者よ貴方。変態だわ』
「でも、静乃さんはどうしても腕を離さないって言うし。それに、このままじゃ静乃さん
だって布団が少しはだけたままだからあったかくならないだろうし。もうちょっと向こう
行ってくれる? このままじゃ上手く入れない」
『入らなくていいわよ!! 嫌だ。体くっつけないで』
「そうそう。ありがとう。これで乗っかれるな……と」
『何考えてるのよ、貴方。こんなことして。おかしいわ』
「いくら俺がのほほんと正月を楽しむのがムカつくにしても、腕を抱きこんで離さない静
乃さんも大概だと思うけどね。それならほら。毒食らわば皿までって言うじゃない」

53 :
『貴方も自分が毒だってことは自覚してるわけね。でも私は皿まで食べるつもりはないわよ』
「よし。でも何か体勢が良くないな。ここで静乃さん。提案があるんだけど」
『何よ? 変な提案だったら容赦なく貴方の腕をへし折るわよ』
「いや。むしろ俺がこれ以上変なことをしないようにするには良いと思うんだけど。とり
あえず聞いてみる?」
『……そうするわ。どんな変な提案であれ、聞かないことには先に話も進まないし』
「それじゃ、言うけど。どうせこんなことになっちゃったんだし、いっそ静乃さんさ。腕
じゃなくて俺の体をホールドするってのは、どう?」
『それって貴方を抱きしめろってこと? 冗談じゃないわよ。何で私がそんなことしなく
ちゃならないのよ』
「何気に今の体勢だとちょっと腕が痛くてね。で、俺が空いてる腕を静乃さんの体に下か
ら回して抱きしめたら楽になるかなって思ったんだけど、それは静乃さんもさすがに本気
で嫌がるかなって思って」
『あ……当たり前じゃない。そんなことしたら貴方の両親に報告するわよ。風邪で弱って
るのをいいことに私のベッドに入り込んで抱きしめたって。そうしたら貴方、家庭で居場
所を失くすわよ』
「それって自分から引き込む原因を作ったことは言わないんだね。まあ、確かに俺がそれ
を主張しても信じてもらえるかは微妙だけど」
『でしょう? だったらバカなことを考えるのは止めなさい』
「いいや。それならそれで、どうせ家で居場所を失くすなら、この機会に静乃さんの体を
存分に堪能するってのもありだと思うけど」
『んなっ――――!!!!』
「という事態になるのは静乃さんも嫌でしょ? だったら、静乃さんが俺を抱きしめちゃ
えば、俺は身動き取れないし、寝るときに何か抱きついたものがあった方が落ち着くなら、
俺を抱きしめておけば変に布団とかを抱きしめて体冷やすこともなくない?」
『なんか上手いこと言って体よく私を丸め込もうとしていない? 正直、すごくだまされ
ている気がするんだけど』
「どのみち静乃さんには選択肢は二つしかないんだよ。俺に抱きしめられるか、自分から
俺を抱きしめるか。あ、あと解放して俺を家に帰すっていう選択肢もあったな」

54 :
『その3番目の選択肢は絶対にないわ。1番目も……ないわね。貴方に抱きつかせたら、他
に何されるかも分からないし』
「じゃあ、俺の提案を呑むってことでいいんだね? ほら。やっぱりいい提案だったでしょ?」
『何かおかしいわよ。絶対だまされてる気がするんだけど……でも確かに、貴方をベッド
からたたき出したら帰っちゃうし、かといって自由にさせたら抱きついて変なことをするっ
ていう変態を野放しになんて出来ないもの』
「なら、OKっていうことで。あと一つ確認しておくけど、前から抱きしめるのと後ろから
と、どっちがいい?」
『う……後ろからに決まってるでしょ? 前からなんてそんな……む、無理よ。恥ずかし……
じゃなくて、その……気持ち悪いもの』
「じゃあ、とりあえず。腕を離してくれないかな? このままじゃ、後ろ向けないから」
『……離したら、逃げたりしないでしょうね?』
「大丈夫だって。静乃さんから抱きついてもらえるなんて、そんな好機を逃すわけないじゃん」
『じゃあ……離すわよ』
 パッ!!
「ハァ…… やっと解放された。じゃ、静乃さん。そういうことで」
『ズルい!! ダメ。帰っちゃ!!』
 ギュッ!!
「……随分、情熱的な抱きしめ方するんだね。静乃さんは」
『情熱的だなんて…… そんなんじゃないわよ。だって、貴方が約束破って逃げようとするから』
「本気で逃げるつもりなら、もっと素早く動くって。静乃さんが抱きつきやすく出来るよ
うに、一芝居打っただけだよ」
『なっ……!! か、からかったのね。酷いわ』
「からかったわけじゃないよ。助けたんじゃない。実際、無我夢中にさせなかったらかな
りの勇気が必要だったんじゃない?」
『勇気じゃなくて覚悟よ。貴方を抱きしめるなんて……本当は、したくなんてないもの。
これは貴方を逃がさないようにするために、仕方なくだわ』
「分かってるよ。でも、役得だな。背中にしっかり、静乃さんの柔らかな体の感触が伝わっ
てくるし」
『私は役損よ。こんな硬い抱き枕なんていらないわ』
「嫌だ、損だって言ってるわりには、随分としっかり抱きついてるように感じるんだけど。
足まで絡めちゃってるし」

55 :
『……寝るときはこの姿勢が一番落ち着くのよ。それに、貴方が足で変なことするかもし
れないし。その予防も兼ねてよ』
「足はさすがに無理だって。まあ、静乃さんのしたいようにすればいいよ。俺は胸とか太
ももが堪能出来てるだけで十分得した気分だし」
『そういうこと言わないでよ。意識しちゃうじゃない。この変態』
「今は変態って罵られても全然堪えないな。悪態突かれてもおつりが来るくらいだ」
『……もう付き合ってられないわよ。疲れたし、寝るわ』
「うん。お休み、静乃さん。安心して。この姿勢なら絶対逃げられないから朝までちゃん
といるからね」
『……うる……さい…… そんなの……当然……なんだから……』

『(孝史の体……匂いとかに包まれてると……安心する…… これからも……ずっと……
こうなら……熟睡出来るのに…………)』

終わり

56 :
うっひょぉおおお

57 :
お題
つ・ツンデレあるある
 ・ツンデレのしくじり体験を聞いてみたら

58 :
渡部

59 :
老成さんで前後編ものの前編6レス投下します

季節は冬の始まり頃で

60 :
・デジカメを買った老成さん

「うー…… さむっ。何かここ数日でめっきり冷え込んだよなあ。こんな日に纏の奴、一
体何の用なんだか……」
 ピンポーン……
「あれ? 返事が無いな。呼び付けといて留守とかあり得ないと思うんだが……」
 ピンポピンポーン……
「おかしいな? 部屋間違えてるとか……いや。合ってるよな。もしかして寝てるとか?
アイツ、昼寝好きだし……」
 チャララララッチャッチャチャーン!!
「お? メールだ。……纏から? なになに。玄関は開いてるから勝手に入って来いって……
無用心だなあ。若い娘が。まあいいか。とりあえず入ろう」
 ガチャッ。
「お邪魔しまーす」
『やっと来おったか。遅いぞ。この痴れ者めが』
「一応これでも呼ばれてすぐ来たつもりなんだけど…… しかもこの寒い中を」
『ごちゃごちゃ文句を言うておらぬと、早う部屋に来ぬか。ドアを開け放しておるから、
ちっとも温まらぬではないか』
「へいへい。それじゃあ失礼して――よお、纏。って、何で出迎えにも来ないかと思った
らこれか……」
『何じゃ? 何ぞ文句でもあるのかえ?』
「いや。そのぬくぬくとした姿を見たら、文句言う気も失せるわ。もうこたつ出したのか
よ。ちょっと早くね?」
『何を言うておる。もう12月じゃぞ? 全然早くもなかろうが。それに今日は冷えるから
のう。ちょうど良いこたつ日和じゃと思うての』
「こたつ日和なんて言葉、初めて聞いたぞ。一体どんな日だよ」
『やかましいわ。お主にケチと付けられると腹が立ってしょうがないわ。別に儂自身が勝
手に造語を作ろうが良いではないか』

61 :
「うーん……まあ、言わんとしてる事は分からないでもないけどさ。確かに今日は結構寒
いし、風が強いせいで晴れてる割には空気も冷えている感じだけどさ。でも、家の中にい
ればそこまで寒いってほどじゃないだろ」
『お主みたいな鈍感と一緒にするでない。儂は冷え性じゃからの。こうも寒いと手足がか
じかんでまともに動かんのじゃから、こうして暖めてやらんと何も出来ぬのじゃ』
「そういや、冬場は外出の時もコートに手袋、マフラーに靴下は二重履きの完全防寒体制
だったな。しかも絶対スカートは履かないし」
『下半身を冷やすのが最も良くないのじゃ。DNAに鈍感と刻まれておるお主にはどうせ分
かりようもないじゃろうがな』
「いや。さすがに今日は今年一番の寒波が到来してるだけにかなり寒いぞ。纏の家まで歩
いて来たからかなり体も冷えたしな。まあこたつあるならせっかくだし、暖まらせて貰う
とするか」
『ダメじゃ』
「えー? 何でだよ。こちとら、横暴な我がまま娘の呼び出しに従ってこの寒い中をやっ
て来たんだぜ? 減るもんでもないし、ちょっとくらい暖まらせてくれよ」
『お主が入ると、儂のくつろぐスペースが減るじゃろうが。何もワシはお主をこたつに入
れる為に呼んだ訳じゃないぞ』
「話ならゆっくりこたつに入ってから聞くよ。どうせ温かいお茶の一杯もご馳走してくれ
ないんだろ? だったらせめてこたつくらいいいじゃん」
『ダメじゃと言ったらダメじゃ。お主と来たら一度こたつに入ったら途端に怠け癖が顔を
出してロクに体を動かそうとせぬからのう。儂の頼んだ用事を全部済ませたら、特別に入
れてやっても良いがの。じゃが、今はまだダメじゃ』
「そうは言ってもさ。目の前にご馳走があって、俺の分け前も十分にあるのにお預け食ら
うのって厳しくね? そういうのイジメじゃないかと思うんだけど」
『何を言うておる。儂が悪いみたいな言い方しおって。そもそもお主が先に儂の言葉を馬
鹿にしたではないか。それにお主が入るとそこの隙間から暖かい空気が逃げる。だからダ
メじゃ。どうじゃ。論理的じゃろう』
「じゃあ、用事を済ませたら入れさせてくれるんだな? だったらその用事をサクッと済
ませちまおうぜ」

62 :
『ふむ。やる気があるのは良い事じゃな。もっとも、用を済ませるだけじゃ約束は出来ん
の。ちゃんと儂の役に立ったのなら、褒美にこたつと熱いお茶を馳走してやろう』
「よし。その条件飲んだ。で、用事ってのは一体何なんだ? 寒いから庭の落ち葉掃きで
もやれとか?」
『たわけめが。いくらお主相手とて、他所の人間を家の用事に使うほど横暴ではないわ。
用というのはこれの事じゃ』
 コトッ。
「何これ? デジカメか」
『うむ。ネットで安売りのメールが来ての。前々から欲しい欲しいとは思っておったので、
これは神が与えた機会と思うてついポチッてしもうた』
「纏って、口調や服装の割には電化製品好きなんだよな。もっとも、扱い方はいっつも人
任せだけど」
『やかましい。人を見た目で判断するでないわ。で、お主を呼んだのは他でもない。お主
ならこういうのの扱いも詳しいじゃろう。ちと、儂に手ほどきしてたもれ』
「オマケに説明書はワザと分かりにくく書いてあるとか言って、一向に読もうとしないんだよな」
『あれは不親切に過ぎるからの。メーカーを訴えてやりたいほどじゃ。じゃが、まあこう
して説明書の代わりにお主がおる訳じゃし、特にまあ問題はなかろうて』
「纏に頼りにされるのは嬉しいけどさ。俺がいなくなったらどうするつもりなんだよ。買っ
たはいいが、使えない家電で溢れ返るぞ」
『その時は教えてグーとやらで聞くから良いのじゃ。無駄口叩かんとほれ。とっとと扱い
方を教えてたもれ』
「デジカメねえ…… しかもコンデジじゃなくてしっかりと一眼レフかよ。こういうのは
友子に聞いた方が早くね?」
『アイツはダメじゃ。カメラオタク過ぎて、儂の買ったデジカメにあれこれ文句を付けお
るから喧しくて敵わぬ。前の携帯の時に失敗したからの』
「なるほどねえ。でも、俺もこんなカメラ扱ったことないぞ。ちょっと本体と説明書貸し
てみ? バッテリーは充電してあるんだろうな?」
『そのくらいは最初にやってあるわい。いくら何でもそれくらいは一人で出来る』

63 :
「ならよし。えーっと、まず基本の撮影方法は……これでピントを合わせて。まあ基本的
にはそんなに変わらないな。よし、纏。ちょっとポーズ取ってみろ」
『ちょ……ちょっと待て!! お主、儂を取るのか?』
「試し取りだよ。どうせなら可愛い女の子撮った方が気分も乗るし。はい、チーズ」
『か、可愛いじゃなんて……って、ま、待て!! 待たぬ――』
 カシャッ!!
『かっと言おうとしたのに!! 何故勝手に撮りおるのじゃ!!』
「どれどれ。取った画像の確認は……このボタンか。ちょっと待て。距離を変えて、色々
試してみるから」
『止めよと言うておろうが!! 儂を被写体に使うの禁止じゃ!!』
「といっても纏はこたつから動けないんだろ? どうせ撮られるなら可愛く撮られた方が
いいぜ。まあさっきの慌て顔もなかなかだったけど」
『お主に撮られてると思うとくすぐったいような気分になって不快なのじゃ!! じゃか
らこれ以上は――』
 カシャアッ!!
「今のもなかなかいい表情だったな。だけど次はそろそろ笑顔が欲しいところかも」
『笑えるわけなかろうっ!! このような辱めを受けてどうして笑えるのじゃっ!!』
「自分のカメラで撮られてるだけじゃん。纏って、自分で写真はやりたいのに被写体にな
るのはダメなのか」
『お主は特別じゃ!! もう扱いは分かったろう。早くこっち来て教えぬか!!』
「あと2枚。一枚は笑顔で、もう一枚は憂いを含んだ横顔で。でないとどんどん枚数だけ
が増えてくぞ」
『止めよ!! メモリーがもったいないわ。え……笑顔というのは……これで良いか?』
「お? やっとやる気になったか。でも全然表情が硬いな。もうちょっと柔らかく、穏や
かな感じで」
『言われても分からぬわ。そもそも楽しくも無いのに無理に笑顔を作ることなど出来ぬ』
「何か違うこと想像してみ? カメラを意識しないで、例えばこの間見てた猫の可愛らし
い動画とか」
『ぬ……? あの変なダンスをする猫の事か……ふむ……』
「よし。いい顔になって来た。そのままこっち見て。はい、チーズ」

64 :
 カシャッ!!
「じゃあラスト。今度は机に肘をついて、悩みのあるような顔をして」
『む……まあそれはさして問題なかろうが……(何じゃか、タカシの撮影のモデルにされ
ているようで、恥ずかしいの……)』
「うん、いいぞ。そのままな」
 カシャッ!!
「お疲れ。大体分かったわ」
『全く……お主のせいでどっと疲れが出たわ。説明の前にこっちに来て肩でも揉め。体が
緊張して強張ってしもうた』
「はいはい。全く、人使いの荒いお嬢様で」
『文句を言うでないわ。お主の茶だけ番茶にするぞ』
「むしろこれほど奉仕してるんだから、高級抹茶にしてくれていいと思うんだけどな。あ
と、肩揉みはオプションだからご褒美に膝枕耳掻きとか」
『何で儂がそこまでサービスしてやらねばならぬのじゃ。お主の場合はどうせ邪まな欲望
を満たしたいだけじゃろうからダメじゃ』
「ケチだなあ。たまには俺の奉仕に見返りを与えてくれてもいいのに」
『その程度、そもそも儂に相手をして貰っておるだけでありがたいと思わぬか。全く、無
駄口よりも早う手を動かせ』
「はいはい。それじゃあ始めるぞ」
 グッ……グッ……
『うむ。首筋の上の方から肩甲骨の隙間まで、丁寧にやるのじゃぞ。時間を掛けての』
「纏ってば、肩ガチガチだからな。二十歳になったばかりでこれじゃ先が思い遣られるぞ」
『仕方ないのじゃ。女子ゆえに色々と事情が――って、お主もしや、儂の胸元を見てはお
るまいな?』
「いや。纏はなかなか立派な物をお持ちだし、やっぱりそれも原因なのかなって――いたっ!!」
『スケベたらしい目で見るな。この犯罪者が』
「あいててて……何でそんな分かったようなこと言えるんだよ。後ろに目がついてる訳じゃ
ないだろ」

65 :
『お主のスケベな視線なぞ、気配で感じ取れるわ。儂の体を穢しおって、このふしだら者め』
「むしろ男子としては健康な証なんだけどなぁ……」
『やかましいわ。あと、そこはもうちょっと強く押さぬとツボに届かぬ』
「そんなふしだらな男に体を預けて肩揉みをさせてる纏も、えらく無防備だなあと思う訳
ですが」
『視線はどうしようもないが、もし僅かでも変なところに触ろうとしてみよ。お主の腕の
一本や二本、へし折るのは造作も無いことぞ?』
「大丈夫だよ。纏が例え何の抵抗も出来ないか弱い女子だったとしても、手を出さないだ
けの理性は持ち合わせてるから」
『フン。カッコつけおって。お主の言など信用ならぬわ。あと、例え武道を嗜んでいよう
が、儂はか弱い女子である事には変わりないぞ? 失礼をぬかすな』
「そうでした。ゴメンゴメン」
『(全く…… 儂がこうして無防備にお主に体を預けておる理由くらい考えぬか…… こ
の朴念仁めが……)』


後編に続きます

66 :
老成さんはかわいいなぁ
後編wktk

67 :
老成さんとデジカメの後編行きます

68 :
・デジカメを買った老成さん 〜後編〜

『よし。もう良いぞ。大分凝りは取れた』
「ハァ…… 指が疲れた。こんなの続けてたら腱鞘炎になるぞ」
『情け無い事を言うでないわ。たかが女子一人の肩を揉んだくらいで。しっかりせぬか。
だらしない』
「肩の硬さに男も女もあるかっての。ちょっと待ってろよ。俺も手を揉みほぐさないと、
カメラが上手く扱えないから」
『早くせぬか。時間がもったいない』
「はいはい。じゃあ、カメラ持って。このボタンで電源が入るから、まずは押してみ?」
『ふむ……これか。まあこの程度は儂でも見れば分かるわ。で、撮るのはどうすれば良い
のじゃ? シャッターはこれかえ?』
「ああ。それでいい。半押しすると赤い枠がファインダーの中に見えるだろ? それで自
動的にピントが合うから、赤く光ったらシャッターを押す。とりあえず一枚撮ってみ?」
『ふむ。ならお主、適当にそこらに立て』
「へ? 何で?」
『たわけめが。さっきお主は散々試し撮りの為に儂を被写体にしたであろうが。ならば儂
も、お主を被写体にして撮らねば割りに合わぬ』
「分かったよ。さすがにそろそろこたつに入れるかと思ったのに……」
『甘いわ。儂が納得行くまで操作方法に習熟出来たら、その時は考えぬでもないがの』
「それでやっと考えるってレベルなんだ…… 俺は寒い中、纏のわがままな呼び出しにこ
うして応じてやっているって言うのにさ」
『当たり前じゃ。お主が真っ当な仕事もせぬうちに神聖なこたつの温もりを得ようなぞ百
億年早いわ』
「神聖な……ねえ。ま、いいや。それじゃあさっさと撮って、終わりにしちまおうぜ」
『うぬ。働き次第では、こたつだけではのうて茶も進ぜようぞ。じゃから真面目にやるのじゃぞ』
「オーケー。纏ってお茶の入れ方も上手だからな。よし。じゃ、この辺でいいか」
『別にポーズなど決めんでも良いぞ。普通にしておれ。普通に』
「じゃ、まあ……こんな感じで…… 何かちょっと照れるな」

69 :
『一人前に恥ずかしがるでないわ。よし……ピントは……こうじゃな? おお。画面の中
が光る、光る』
「当たり前の事に感心すんな。さっさと撮れ」
『分かっておるわ!! 儂はデジカメも初めてじゃからの。ちょっと感動しただけじゃ』
 カシャッ!!
「よし。これで撮り方分かったな?」
『まだじゃ。あと2、3枚は撮らせい』
「はあ? もうこれで十分分かったろ? 基本さえ分かってれば、あとは応用だから纏一
人でも分かるって」
『お主がいるうちに十分慣れておきたいのじゃ。ほれ、今度は横向きじゃ。同じ姿勢ばか
りじゃ飽きるでの』
「ちぇっ。何だかんだいってポーズも取らせるんじゃん」
『格好付ける必要は無いと言っておるだけじゃ!! ほれ。はようせい』
「はいはい。じゃ、まあこんな感じで」
『うむ。撮るぞ』
『(タカシが儂のカメラのファインダーの中に……何か、タカシを取り込んだようでドキド
キするのう……)』
「なあ、まだか? 別に困る事なんてないと思うんだけど」
『い、今取るわ!! 急かすでない。このバカ者めが』
 カシャッ!!
「はいはい。じゃあ、次は座ったポーズでも取りますかね」
『うむ。良い心がけじゃ。儂はせっかちじゃからの。サクサクと進めようぞ』
「その割にはグズグズしてなかなか撮らないし……」
『何ぞ言うたかえ? 文句を言うのならこたつも茶も無しじゃぞ』
「何でも無いよ。サクサク進めるんじゃなかったのか?」
『わ、分かっておるわ!!』

70 :
『で? 取り込んだお主を見ようと思ったらどうすれば良いのじゃ』
「ああ。それはこのボタンを押せば……ほら。液晶に画像が出るからさ。で、この矢印の
ボタンで順送りに出来るし。あと、削除はこれでメニューを出して、削除ってやれば――」
『あああああ!! け、消すでない!!』
「へ……? 何、慌ててんだ? 纏」
『た……たわけた事を申すでない!! 別に儂は慌ててなぞおらぬわ。後で自分でやるか
らお主に勝手にやられては困ると思っただけじゃ!!』
「ふうん。つか、何ムキになってんだ? まあいいけど……」
『やかましい!! いちいち儂の態度に構うでないわ。気持ち悪い。順送りは……これじゃな?』
「ああ。そうそう」
『ふむ……』
『(タカシが儂のカメラの中に……)』
『――――っ!?』
「ん? どうした、纏。驚いた顔して」
『な、何でもない。構うなと申したであろうに。儂の言う事を聞いておらぬのか、お主は』
「いや。そんな驚くような写真でもあったかと思って」
『別に驚いてなどおらぬ。お主の勘違いじゃ』
「そうかなあ。いや。まあいいや。そういう事にしとこう」
『(タカシの写真に見惚れておったら、いきなり儂の写真が出てきたから驚いたなど、口が
裂けても言えぬわ。それにしても……タカシから見ると、儂はこうして見えるのか……可
愛く見えておるのかのう……)』
「で、もういいか。一応一通り説明は終わったけど」
『何を言うておる。まだいろいろと残っておるじゃろう。望遠レンズの使い方も学ばねば
ならぬし、動いているものの写真の撮り方じゃとか、背景をぼかしたりとか。こたつと茶
を馳走して欲しくば、まだまだ働いてもらわねばならぬぞ』
「望遠レンズったって……この部屋で使いようがないじゃん。外、出るのか?」
『ふむ。儂はここから動きたくないが……そうじゃな。お主が外に出よ。さすれば、少し
は効果も出よう。走り回るのも、外の方が都合良かろうしの』
「げ。部屋の中だって結構寒いのに、外にまで出るのかよ。勘弁してくれ」

71 :
『ふむ。ならばこたつと茶はいらぬと申すのじゃな? そういや、お主の好きな羊羹も冷
蔵庫に入っておったはずじゃが……それも馳走してやろうかと思ったがのう。やれやれ。
残念な事じゃな』
「ぐっ……分かったよ。やればいいんだろ? やれば。クソ。自分は一歩もこたつから動
かないくせに」
『幸いにして儂の部屋は1階じゃからの。このままでも外を撮るに不便はない。ほれ、さっ
さと表に回らんか。と、その前に使い方を教えてもらわねばの』
「ハァ…… 一体いつになったら温かいこたつに入れるんだよ……」
『(フン…… お主を撮りたい放題撮るために呼んだのじゃからな。そう簡単には解放せぬぞ。フフッ……)』


結局撮影会は二時間近くも続けられたのであった。


終わりです

72 :
今週末はバレンタインデーですよツンデレさん

73 :
バレンタインでさ

俺は例年通りツンデレがチョコ持ってくるの待ってたの

ツンデレは毎年凝ったチョコくれるから期待してるところがあったんだよ

そしたら今年は買った奴じゃなくて手作り渡されてさ

これには流石の俺もびっくりしたの

しかも食べてみたら少し塩味効かして美味しくてさ

やっぱり舌が肥えてる人は料理も上手なんだよ

だけどそんな美味しいのツンデレ全然食べようとしなくてね

俺達の間柄、今更食べたいの我慢することないのにさ

チョコ食べるように促したんだけどツンデレも意地張って固く口むすぶし

でも、無理矢理ねじこんでやれ、って唇に押しつけてたら少しベロ出して舐め始めるの

して少しチョコ離してみたらベロ伸ばしてもっと頂戴言ってさ

伸ばしきって震えてるベロにチョコ置いたらカメレオンみたいに舌引っ込めて幸せそうに食べるの

そんで最後は恒例になった、ツンデレの手から食べさせてもらってさ

ツンデレのチョコ、あましょっぱくて凄く美味しかった、って話

74 :
バレンタインでさ

私は例年通りアイツにチョコ持っていったの

私アイツの驚いた顔が好きで、毎年風変わりなチョコ渡すのね

それで今年は自分で作って用意したの

そしたらアイツ極上のびっくり顔見せてくれてさ

オマエ食べる専門じゃなかったのかよ、って興奮気味にチョコつまみます

ならアイツ美味しい言ってくれて、緊張の糸が切れちゃいます

すればアイツ私の口元にチョコ寄こしてさ、口開けろ、って

あのさ、私も女だから体重とか気になるの、作ってる時つまみ食いしまくったからさ

なのにアイツも意固地だからチョコで唇プニプニしてきてね

今年こそは食べないぞって意気込んでたのに結局口開けちゃってアイツも満足気でさ

このままじゃ残り全部食わされそうだったから先に食べさしたったの

そしたらアイツ私の指ごとチョコくわえやがってさ

一通りモグモグされた後、指引き抜いたらアイツのつばがベットリでね

興味本位でそれ舐め取ってみたら体中に電気走ってさ、ちょっと焦った、って話

75 :
甘すぎるぜ
GJ

76 :
かなみさん、素敵すぎます

GJ

77 :
せっかくのバレンタインデーなのでネタ投下
長いけど分割して投下してると旬を過ぎるので線路で

・バレンタインデーの準備が早すぎるツンデレ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2885.txt

78 :
静乃さんいい子だなぁ……GJ!

79 :
バレンタインデーより一週間遅れでネタ投下です。

・男が他の子からチョコを貰うらしいと聞いて焦るツンデレ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2886.txt

80 :
あと二時間だが今日はニャンニャンの日だぞ
猫耳かなみさん!!

81 :
最近線路が繋がらん……

82 :
テス

83 :
半年以上間を空けてしまったけど、会長さんとデートしてる話の続きを投下しようかと

前回まではこちらで
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2887.txt

84 :
「さて。お待たせしました、会長」
 休憩を終えた私達が、次のコーナー「淡水に棲む生き物たち」の入り口に差し掛かる
と、別府君がやや大仰な態度で出迎えるような仕草をした。何故彼がそういう態度を取
るのかは、無論分かっているが、それが少し気に入らないので私は不機嫌にため息をつ
いてみせる。
『あのね。ずっと私がここばかり楽しみにしていたように言わないでくれる? 確かに
軟体動物とか両生類とか奇妙な昆虫とか好きだけど、そもそも私が望んで水族館に来た
がった訳でも無いし、貴方が勝手に私の好みを推し量ってるだけなんだからね』
 恐らくは一般的な淡水魚とか、ちょっと珍しい色のカエルとかそんな展示が主なのだ
ろう。自分の好みが特殊なのはよく分かっているので、大きな期待はしない方が懸命である。
「いや。でもさ。ここなら会長のお気に召す生き物もいるんじゃないかなって。やっぱ
りこれまでのコーナーだと、そこまで夢中になって見てたのっていなかったからさ」
 別府君がちょっとムキになったように主張するのを聞いていると、何か私は違和感を
感じてしまう。私の好みを汲んでくれるのはありがたいけど、今日のデートは私の為じゃ
ないのにと思ってしまう。だから私は、こう答える。
『そもそも、私がどうかより、貴方自身が楽しめているかどうかが問題でしょう? カ
ラオケ特訓のお礼っていう名目で今日のデートに付き合ってあげているんだから、別府
君が楽しめればいいって、何回も言ってるような気がするけど』
 すると別府君は、何かちょっと言いたそうな顔で私を見たが、それもほんの僅かです
ぐに視線を前に向ける。
「まあいいや。どのみち順路ではあるんだからさ。とりあえず行ってみようぜ。珍しい
生き物とかいれば俺も興味あるからさ」
 そうとまで言われては、私には拒否するだけの理由はなくなってしまった。確かに順
路の通りに行けば次に行くのは川の魚や両生類や昆虫のコーナーである。しかしどうし
ても私は釈然としないものを感じてしまっていた。
――やっぱり……どうしても、私がおもてなしされているようにしか思えないわ。別府
君へのお礼のはずなのに……

85 :
 彼について順路を進みながら私は考えた。そもそも、最初から間違っていたのだ。デー
トがしたいというのなら、私が計画をして彼をエスコートするべきだったのだ。男の子
の気持ちを考えれば、エスコートしたくなるのは当然かもしれないけれど、それでは私
ばかりがいい目を見てしまう。
「会長」
『な、何? 別府君』
 先を歩いていたはずの別府君の声が後ろから聞こえて私は慌てて振り返った。
「どうしたんだよ。この辺はあまり興味ないとか?」
『え……?』
 気がつくと私は、まっすぐに出口の方に向かって歩きかけていた。慌てて彼の方へと
引き返す。
『ちょ、ちょっと他の事を考えていただけよ。そういうわけじゃないわ』
「そっか。ならいいけど」
 しかし、別府君の表情を見ていると、どうも納得の行っていない様子が窺える。どこ
か期待外れのような、そんな雰囲気だ。
『どうかしたの?』
 つい気になって聞いてしまうと、逆に別府君が少し驚いた顔で聞き返す。
「へ……? 何が?」
 私は彼の態度を問い質そうとしかけて、その気持ちを抑えた。多分何が不満なのか聞
いても別府君は答えてくれないだろう。こんな場所で変に気まずい空気になるのは私も
望んではいなかった。
『ごめんなさい。やっぱりいいわ。それより展示を見ましょう』
 私は向きを変えて入口の展示の方へと戻る。別府君は何も言わなかった。恐らく渡し
の態度を何か変に感じはしたのだろうけれど、追求されないのは助かる。ここで何か言
われたら、きっと私も言い返さずにはいられなかっただろうから。
 順路に戻ると、最初の展示はオオサンショウウオだった。黒に近いこげ茶の大きなト
カゲのような両生類だ。水槽の中でジッとして、まるで動く気配を見せていない。のっ
ぺりとした顔には愛嬌すら覚えてしまう。

86 :
「でかいよな、コイツ。こんなの、道端とかで出会ったらマジビビるって」
『静かにして。見てるんだから』
 横でくだらない感想を言う別府君に、一瞥も与えずに注意する。この子はいつ動くん
だろうか? えさはどのようにして食べるんだろうか? 寝るときもこんな感じなのだ
ろうか? 見ていると本当に興味が次から次へと湧いて出て来る。
 その時、オオサンショウウオが僅かに首を巡らせた。何か気になる気配でも感じたの
だろうか? そう思ったとき、横で小さな男の子の声がした。
「あーっ!! 動いたぁ」
 それで我に返った私はいつのまにが自分が水槽の一番前に陣取っているのに気がつい
た。無意識のうちに見やすい場所を選んでいるうちに移動してしまったらしい。別府君
に場所を移動しようと言おうと思って彼の方を向こうとするが、周りのどこにもいない。
一瞬先に行かれたのではないかとあせったが、ほんの少し外れた場所から私を待ってい
るのに気がついた。私は慌てて彼の方に近寄る。
『何よ。見終わったのなら、声を掛けてくれればいいのに』
「いや。何か熱心に見てるみたいだったからさ。楽しんでるのを邪魔しちゃ申し訳ない
し、それに急いで回る必要もないわけだから」
 そう答える彼の表情や口調からは特に不満そうな印象は受けなかった。むしろ何故か
別府君自身が少し嬉しそうにすら見える。完全に忘れ去られていたというのに、それで
いいのだろうか?
『べ、別に少し見入ってはいたけど、そこまで夢中だったわけでもないし…… 声を掛
けられたから邪魔だなんて思ったりしないわよ』
 少し気恥ずかしさもあって言い訳すると、別府君は頷いて先を促した。
「まあ、満足出来たんなら次、行こうか」
 ゆっくりと順路を歩きながら、別府君の気持ちが推し量れずにその横顔を見つめる。
すると、その視線に気付いたのか彼が私の方を向いた。
「うん? どうかした?」
『な、何でもないわよ』

87 :
 咄嗟にそう答えてから、私は思い直した。このどうにも釈然としない気持ちのままで
デートを続けるのなら、いっそ何を思っているのか聞いた方がいいのではないかと。こ
のままだと私はまた、対応を誤ってしまう可能性もある。そう決めると、私はそれとな
く付け足した。
『……ただ、何となく貴方が機嫌良さそうに見えたから。何かあったのかしらってちょっ
と不思議だっただけよ』
 すると別府君は少しキョトンとして自分を指した。
「俺が? 機嫌良さそうだって?」
『ええ。自分で気付いてないの? 別に気持ち悪くニヤニヤ笑ってるとかじゃなけれど、
どことなく雰囲気で』
 無意識にしたって、自分の感情くらいは分かるだろうにと少し呆れたように聞くと、
別府君はちょっと考えてから頷いた。
「ああ。確かに機嫌いいといえばそうなのかも。会長が楽しそうにオオサンショウウオ
見てたからさ」
『ちょっと待って。私がオオサンショウウオ見ていたのと別府君の機嫌とが何の関係が
あるの? 意味が分からないわ?』
 そこまでは何となく想像がついていたが、その理由こそが一番私の知りたいところだっ
た。すると彼は、コクリと頷く。
「そりゃ、会長が喜ぶだろうと思って誘った水族館でさ。中でも一番メインの展示場所
でつまらなさそうにされたらこっちも立つ瀬ないもの。最初何だか乗り気でないっぽい
感じだったし、だから夢中になって見てるなって思ったらこっちもホッとしたというか。うん」
 彼の言ってることは何となく分かる。例えばプレゼントをあげたのに貰った側が嬉し
くなさそうなら、あげた側もがっかりするというのと同じだろう。しかし、理解は出来
ても、私はどうにも納得が行かなかった。
『……何か、根本的に間違っている気がするわ』
「え? 何が間違ってるって?」
 私の呟きを聞き、別府君が不思議そうに問い返してくる。しかし、それに答えたとこ
ろで私の疑問が解決するとは思えなかった。

88 :
『いいわ。何でもない。とにかく別府君からすれば、私は心置きなく楽しんでくれた方
がいいってことよね?』
 結論からすれば、今私が出来る事といえばこれしかない。そう思って聞いたのに別府
君は微妙な顔をした。
「うーん…… そう言われるとなあ。楽しくないのに無理して楽しいフリをされるのは
嬉しくないし」
『何なのよ、もう。私が楽しんだ方がいいの? それとも遠慮して楽しまない方がいい
の? どっちにすればいいのよ』
 煮え切らない態度の彼に憤慨すると、別府君は慌てて首を振った。
「い、いやその…… もちろん楽しんでくれた方がいいに決まってるって。ただその、
もし楽しくないんだったら、無理に演技する必要ないよって思っただけで…… ゴメン。
余計なこと言った」
 素直に頭を下げる彼に、私は苛立ちを静めるために一つため息をつく。
『安心して。両生類とか甲殻類とか、そういう変なの見て楽しめないって事ないから』
 そしてそうと決まった以上、これ以上こんな話を続ける気は私にはなかった。また別
府君が何か言わないようにと、私は咄嗟に彼の手首を掴むと先を促す。
『行きましょう。楽しんで欲しいんなら遠慮なくそうするから。ほら、早く』
「え? あ……ああ……」
 別府君の明らかに戸惑った様子に、私は最初その理由が分からなかった。
『どうしたのよ? 楽しもうにも先に行かなきゃ展示も見れないじゃない』
 軽く握った手首を引っ張りもう一度歩くよう促してみる。
「ああ。そうだよな。いや、それは分かってるんだけどさ」
 私は首をひねる。一体別府君は何をそんなに困惑しているんだろう? そう思いつつ
彼の様子を窺うと、その視線がチラリと下に落ちるのに気付いた。そのまま視線の先に
何があるのか見つめて、私は自分が別府君の手首をギュッと握っている事を意識する。
――ああ。これね。
 自分でもそこまで意識していなかったわけじゃないが、あらためて気付くと何だか気
恥ずかしくなる。しかしここで離せばそれはそれで動揺してしまったかのように見られ
ればみっともないし、何より私は本来なら彼をもっと喜ばせないといけない立場なのだ
から、彼が意識してくれているというのなら、それは以ての外というしかない。

89 :
『何? もしかして……手首握られるの、嫌だったかしら?』
 彼の気持ちを確かめる為に敢えて逆の事を聞くと、別府君は慌てて首を振る。
「いいやあ。その、嫌じゃないんだけどさ。つーかむしろその、何ていうか……」
 分かっていた事とはいえ、拒否されなかった事にホッとしつつ、しどろもどろな感じ
の別府君が可愛いなとすら思ってしまう。しかし私はわざと、ちょっと呆れたような態
度を取って見せた。
『何よ。ハッキリしないわね。嫌じゃないのなら別にいいでしょう? 他に何かあるわけ?』
「ああ、いや、うん。大丈夫。ていうか、嫌なわけないし」
 別府君は握られた手首をちょっと見つめて、ややはにかんだ顔をする。彼のその表情
を見て、私はもうちょっと勇気を出してみようと決めた。
『それとも、こっちの方が良かったかしら?』
 私は手首を握った手を離し、すぐにその手を握る。そして指を、彼の指の間に絡ませた。
「えっ?」
 今度は本当に驚いた顔のまま、別府君はそのまま固まった。私はワザとらしく不機嫌
そうな顔を作ってみせる。
『何よ。お礼のデートなんだから、ちょっとはそれっぽい事をしてみようと思っただけ
よ。そんな驚いた顔しないでくれる? こっちが恥ずかしくなるじゃない』
 私の言葉に、呪縛が解けたかのように彼は私の顔を見つめた。それから咄嗟に、ごま
かすような照れ笑いを浮かべる。
「ああ、いや。ゴメン。まさか会長がここまでしてくれるなんて思わなかったからさ。
いや。マジでドキドキしちゃって…… うん」
 そう弁解しつつ、別府君は軽く私の手を握り返してきた。私はちょっとだけ、彼の言
葉を考える。してくれる、と言うからには別府君にとっては私に手を握られるのは特別
な事と思ってくれているのだろうか? だったらいいのだけれど。
『行きましょう。この部屋、まだ見るものはたくさんあるわ』
「ああ」
 私は彼の手を引き、エスコートするように先に立ってゆっくりと歩き出す。やっと別
府君にお返しらしいお返しが出来たと、私は安堵と喜びを覚えていた。この瞬間だけは。
ただ、これは長くは続かなかったが。

90 :
「会長。まだ次の水槽に行かないのか?」
『もうちょっと待ちなさいよ。せっかちは嫌われるわよ』
 私が陣取っているのは、とあるカエルの一種の前である。ちょうど私たちが見ようと
した時に、係の女性が水槽の中に餌の昆虫を入れたのだ。最初、全く興味なさそうな素
振りをしていたと思ったカエルは、しかし次の瞬間長い舌を伸ばして虫を絡め取り、食
べてしまった。ほんの一瞬の出来事に、最初は私だけでなく別府君も興奮してしまっていた。
「今の見たか? 会長。食うの、めっちゃ早かったぞ。つーか、虫消えたし」
『うるさいわね。ちゃんと見ていたわよ。といっても見えてなかったけど』
 こんな感じで楽しんでいたのだが、カエルの動きや形そのものから楽しんでいる私と、
虫を食べる瞬間だけを楽しみにしていた別府君の間にはやがてズレが生じ、三匹目を食
べ終わった頃には、彼はもう飽きて水槽の前を離れてしまっていた。
「……三匹も食うの見れば、もう十分だと思うけどな。つか、もうカエルも満足しちゃっ
てんじゃねーかと」
 その言葉は辛うじて私の耳に届くくらいで、恐らくは独り言だったのだろう。しかし
聞こえてしまった以上は言い返さずにはいられなかった。
『何か文句でもあるの? 思う存分楽しめって言ったのは貴方でしょう? 飽きたのな
ら、別に先に行ってもいいのよ』
 水槽から目を離さずに背後の別府君にそう問い質すと、彼は慌てて返事をよこした。
「いや。まあいいんだけどさ。あんまり夢中になり過ぎると、閉館時間に間に合わなく
なってこの部屋の生き物全部見れないんじゃないかって思っただけで」
『ここって何時まで?』
 念のため確認すると、別府君はちょっと考えてから答えた。
「えーと…… 確か五時までだったな。うん」
 私は時間を確認する。
『まだ3時半回ったところじゃない。さすがに一時間もこの水槽だけで引っ張らないわ
よ。大体、好きなように楽しめって言ったの貴方じゃない』
「分かった。悪かった。もう言わないからさ」
 降参する別府君を尻目に、私はもうしばらくカエルの食事風景を堪能したのだった。


続く

91 :
一悶着ありそうな空気ですな
乙!

92 :
もうすぐホワイトデーか
ツンデレさんにどんなお返しをしようか悩むぜ

93 :
・やたらと注文がうるさいツンデレ

「美琴さ。ホワイトデーのお返しって、どんなのがいいと思う?」
『……何故、私にそれを聞く。バカなのかお前は』
「なんでって、欲しくもないものを貰っても嬉しくないだろ。だったら、あげる本人に直
接聞いたほうがいいかなって」
『一体、私との付き合いが何年になると思っているんだ。お前が幼稚園の頃に近所に越し
てきてからなんだぞ。不本意ながら幼馴染といっても間違いはないのに、未だに私の好み
一つ分からないのか』
「ある意味、だからだよ。美琴相手にサプライズなんてしても、まあまず喜ばれないから
な。お前にしては考えた方だって言われればまだマシで、大抵ダメ出しが出るじゃん。そ
もそもホワイトデーなんてお返しをあげて当たり前なんだろ? だったら、最初から聞い
ちゃった方が早いと思って」
『つまらない男だな。お前という奴は。確かに貰って迷惑なものを渡されるよりはマシだ
が、もう少し人を喜ばせようという気持ちはないのか』
「だって、美琴ってこれまでの人生で一度も素直に喜んでくれたことないじゃん。誕生日
も、クリスマスでも。それに、俺が聞いたのは大体の方向性だから。食べるものがいいと
か、着るものがいいとか、アクセサリーとか、インテリアグッズとかの」
『方向性と言ってもだな。いくら貰えると分かってはいても、ある程度開ける楽しみがあ
る方が、やはり女性としては嬉しいと思うぞ。まあこれは一般論での話だが』
「一般論じゃ困るんだよ。俺は美琴を相手に考えているんだから。それにもちろん、方向
性さえ分かれば美琴の予想を超えてみせるような努力はするさ」
『それはまあ、無駄な努力だろうな。何故なら私はお前からのプレゼントに何の期待もし
ていないからだ。良くてせいぜい文句が無い程度だろう』
「その場ではね。でも、美琴が本当は喜んでいる時はこっちにも伝わってくるものだよ。
親同士の会話だったり、美琴がさりげなく身につけてたりとかで」
『そんなもの、どうせ親が大げさに話をしているだけだろう。アクセサリーは一応貰った
以上、きまぐれで着けてみようと思うこともあるがそんな程度だ。その程度で私が満足し
ていると思ったのなら、大きな間違いだからな』

94 :
「小学校3年の時にあげたうさぎのぬいぐるみは今でも大切にしてるみたいじゃん。あれ
は当たりじゃなかったのか?」
『う…… あ、あれは最初はそんなに嬉しくなかったんだ。だけど私はそもそもそんなに
ぬいぐるみとかは買わないし、妙に人懐っこい顔をしているから離れがたくなっただけだ』
「俺としてはそういうヒットが欲しいんだよな。形には残らないものでも、後々思い出と
して残るようなものだったりとかさ。だけど、サプライズだけじゃどうにも上手く行かな
いようで、だから最初にある程度リサーチしておきたいんだよ」
『そうは言われても困る。そもそも私はお前からのプレゼントに何の期待もしていなかっ
たし、今の自分が何を貰えれば喜ぶかなんて、急に聞かれて答えられるものでもないぞ』
「だったら、逆でいいよ。美琴がこれはない。こういうのは貰っても困るって言うのを挙
げてもらえれば、ある程度は絞り込めるからさ」
『困るものか。なるほど。それなら確かに答えられないこともないが、それでお前の足り
ない想像力が補完出来るかどうかの保証はないぞ』
「それでも構わないって。少しでもダメなものが潰せれば、それだけ美琴が欲しいものに
近づけるから」
『では、私がいらないと思うものを挙げていけばいいのだな? 全く、めんどうくさい奴
だ。そのくらい、私の性格を考えればある程度は分かるだろうに』
「そりゃ、分かることもあるけどさ。誕生日プレゼントならともかく、手の込んだバレン
タインチョコのお返しは失敗したくないから」
『バレンタインチョコが手の込んだ、だと? バカを言うな。あれは単にコストの割りに
大量に作れるからというだけで、別にさして手間を掛けたりなどしていないぞ』
「柿の種チョコってのは、一見大したことなさそうに見えるけどさ。でも、あれだけカラ
フルに詰め合わせるってのは何種類ものチョコを溶かさなきゃいけないわけじゃん。かな
り大変だったろ? 腕も疲れたんじゃないか?」
『鍛えているから別にたいした事じゃない。それに、ある意味お前はついでだ。だからあ
まり気張って高いものを買おうとかしなくてもいいぞ。むしろ恋人でもないのにそれは引くしな』
「あれ? なんか女子にはゴディバとか人気らしいけど、そういうのは美琴の好みじゃな
いのか?」

95 :
『嫌いじゃないが、どうせお前の財力じゃ小さいのしか買えないだろう。それはそれで味
も素っ気もなさすぎる』
「なるほどね。高くて少ししか入ってないお菓子よりは、むしろ食べ応えがある方がいいのかな?」
『必ずしもそういうわけではないがな。ああ。あと和菓子は止めろ。どうも私のイメージ
は和が強いらしく、友達からもそういうのが好みだと思われているらしく、バレンタイン
にもむしろチョコ大福だの抹茶チョコたい焼きだのを貰ったからな。嫌いではないが、正
直お前からもかと思うとうんざりする』
「美琴って、女子からもモテるからな。まあ、剣道部の部長で同時に華道もたしなんでい
るとなればそう思われても仕方ないか」
『どうしてこう人は見た目のイメージで判断しやすいのか…… まさかお前までがそうい
う目で私を見ているわけではないだろうがな』
「正直、お正月の晴れ着とか見るとやっぱり似合ってるなーとは思うけど、別に美琴が実
は朝はパン派だとか、鍛えられてはいるけど実は正座が苦手だとか、そういうことを知っ
ていても、まあ確かに意外とは思わないな。美琴のファンは驚くだろうけど」
『フン。私だって女子高生だ。ケーキやカRテだって大好きだし、普通に可愛いもの
も好きなんだ。何も江戸時代に生まれついたわけじゃない』
「分かってるよ。で、他には?」
『そうだな。貰って困るものといえば花もだな。ただでさえ母様が花好きでベランダや庭
がフラワーガーデンと化しているのにこれ以上増えるのは敵わん。それに世話をするとな
るとやたらうるさく口を出して来るし』
「確かにそうだったな。今出たのは、高級菓子や和菓子、花がNGと」
『そうだな。それと、ディナーなんてのも止めろ。大人が雰囲気のあるレストランで普段
食べたことのないコース料理とか出してくるならともかく、高校生じゃサイゼリヤが関の
山だろう。かといって無理をして高い店に連れて行かれてもお前ではどうせロクなエスコー
トも出来ず自滅するだけだ』
「ディナーもダメ、と。まあ、さすがにこれは美琴の言うとおり俺じゃ無理だな」

96 :
「ディナーもダメ、と。まあ、さすがにこれは美琴の言うとおり俺じゃ無理だな」
『そうだろう。分をわきまえないようなプレゼントは、結局恥をかくだけだ。それをいう
なら指輪もだな。アクセサリーなら日常着けられる物のほうがいい。ただし、お前の好み
ではなく、ちゃんと私がどういうものを好むか考えないとダメだ』
「アクセサリーなら指輪のような大仰なものじゃなくて、もっとさりげなく着けられるも
の、と。ただし俺のセンスで選んじゃダメ。だんだんメモ用紙が埋まってきたな」
『お前の字が大きすぎるんだろう。まだそんなには言っていないはずだが。あと、そうだ
な。服は止めておけ。お前の財力じゃあプレゼントになるような服は買えまい。帽子とか
マフラーあたりなら、ちょっと頑張ればそこそこいいブランド物かそうでなくともオシャ
レなものが買えるだろう。とにかくお前は背伸びをするな。どうせ大した男ではないのだ
から、無理して金を掛けてもどうせ底が知れるからな。私の欲しそうなものが浮かばなか
ったら、いっそ物でなくてもいいんだぞ。例えば映画やテーマパークのチケットとかだな。
もちろんただチケットだけ渡してそれで終わりではなく、ちゃんとエスコートもつけて、
だな。対等のデートではないのだから、我を通さず相手の言うことを出来る限り聞いてあ
げれば、お前でも満足させることが出来るかもしれない。あとは、そうだな』
「ああ、いい。大体分かった。ありがとう」
『本当に分かったのか? お前はバカだからな。自分で分かった気になって勘違いして変
なものを渡されたりしたら、困るのは私なんだぞ。処分に困るプレゼントなんて邪魔なだ
けだからな』
「具体的なものはともかく、コンセプト的には理解したよ。つまりは美琴のことを一生懸
命考えた上で、俺の分をわきまえたプレゼントにしろってことだろ? あまり高いものや
似合わないことは逆に引くだけだし、勝手に理想を求められても迷惑なだけだからって」
『それはその通りだが、それで分かったつもりなのか? そもそも私のことが理解出来て
いないから聞いたんじゃないのか?』

97 :
「どちらかといえば、俺の考えてる美琴と現実の美琴にギャップがないか、そのすり合わ
せのためだけどね。幼馴染だからって分かった気になってプレゼントを準備したら、それ
こそ独りよがりなんて結果になりかねないし」
『確かにお前ならあり得ることだからな。ただ、人に聞くだけ聞いておいてズレたプレゼ
ントなんて用意したら、それこそ突き返すからな』
「多分それは大丈夫だと思うよ。いずれにせよ、美琴はホワイトデーを楽しみにしてるみ
たいだし、チョコの努力に報いるためにも頑張らないとな」
『はあ? なっ……何を言ってるのだ。何で私がお前からのプレゼントを楽しみにしてる
などと、一体今の会話でどこをどうしたらそんな妄想を抱けるのだ。散々言ってきたが、
やはりバカなんだなお前は』
「でも、あれはダメ。その方向ならこういうのがいいって、結構夢中になってしゃべって
たじゃん。しかも途中から結構具体的になって来ているし」
『それは単に会話の流れで思い付きを口にしただけだ。私がそれを欲しがっているとか、
そういう話じゃない』
「そうか? 目がキラキラしてたし、なんか興奮してるようにも見えたが」
『そんなことはない。お前が勝手に自分の都合のいいように私を見ていただけだ。別に私
は……そこらへんにあるコンビニで適当に包まれた菓子だって……』
「菓子だって、で、なに?」
『ああ。いや。ダメだダメだ。やはりそんな適当な選び方のお返しなんて許さないからな。
私が欲しいからじゃない。チョコを送った女性への最低限の礼儀として当たり前のことを
言ってるだけだからな。いいな。心して用意しろよ。でないと絶対許さないからな』
「分かったよ。全く、期待してるならしてるって素直に言ってくれた方がこっちも力入る
のに。別に卑しいとか思わないからさ」
『そんな風に思われるのが嫌だからとかじゃない!! お前からのプレゼントで内心心を
浮つかせているなんてそんなことが……って、違う!! そんなことあるはずない!!
楽しみになんてしてないんだからな!! 絶対だぞ!!』
「分かってるよ。でもむしろ少しは楽しみにしててくれよ。頑張るからさ」
『じゃあ、まあ……そこまで言うなら、ちょっとだけは楽しみにしていてやる。その代わ
り、絶対に私が喜ぶものにしろよ。分かったな』

98 :
終わりです

で、ホワイトデーの日。某ネズミの国でご満悦な美琴さんがいたとかいないとか

99 :
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2888.jpg
もう何年目だこのスレ

100 :
懐かしい人だ、壮健で何より


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