TOP カテ一覧 スレ一覧 100〜終まで 2ch元 削除依頼
【DQW】ドラクエウォーク 無課金.微課金スレ part.15【マッタリ】
【馴れ合い】星のドラゴンクエスト マターリスレ
【DQW】こころかくていスレ
【0321】【初心者大歓迎】【ナマポ】星のドラゴンクエスト仲間P集スレ☆39【星ドラ】
【DQR】ドラクエライバルズ対戦募集スレ 3
ドラゴンクエストウォーク109歩目
【総合】ドラクエ3 そして伝説へ… Part222【DQ3/ドラゴンクエスト3】
【完全無課金】FFRK FINAL FANTASY Record Keeper Lv43 修正
【DQR】ドラゴンクエストライバルズ LV1565
【FFBE】FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS Lv2240【毒リセット】

FFDQバトルロワイアル3rd PART19


1 :2015/10/27 〜 最終レス :2020/05/06
━━━━━説明━━━━━
こちらはDQ・FF世界でバトルロワイアルが開催されたら?
というテーマの参加型リレー小説スレッドです。
参加資格は全員、
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上
破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。

sage進行でお願いします。
詳しい説明は>>2-15…ぐらい。

前スレ
FFDQバトルロワイアル3rd PART18
http://wktk.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1377534553/l50

2 :
+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員に、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
 また、ランダムで選ばれた<武器>が1〜3個渡される。
 <ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る。
・生存者が一名になった時点で、主催者が待つ場所への旅の扉が現れる。この旅の扉には時間制限はない。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。

+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
 この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
 または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日没時に発表される『禁止技』を使うと爆発する。
・日の出時に現れる『旅の扉』を二時間以内に通らなかった場合も、爆発する。
・無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても爆発する。
・魔法や爆発に巻き込まれても誘爆はしない。
・首輪を外しても、脱出魔法で会場外に出たり禁止魔法を使用することはできない。

+魔法・技に関して+
・MPを消費する=疲れる。
・全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内にいる敵と判断された人物。
・回復魔法は効力が半減。召喚魔法は魔石やマテリアがないと使用不可。
・初期で禁止されている魔法・特技は「ラナルータ」
・それ以外の魔法威力や効果時間、キャラの習得魔法などは書き手の判断と意図に任せます。

3 :
+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは精神統一と一定の時間が必要。
 X-2のキャラのみ戦闘中でもジョブチェンジ可能。
 ただし、X-2のスペシャルドレスは、対応するスフィアがない限り使用不可。
 その他の使用可能ジョブの範囲は書き手の判断と意図に任せます。

+GF継承に関するルール+
「1つの絶対的なルールを設定してそれ以外は認めない」ってより
「いくつかある条件のどれかに当てはまって、それなりに説得力があればいいんじゃね」
って感じである程度アバウト。
例:
・遺品を回収するとくっついてくるかもしれないね
・ある程度の時間、遺体の傍にいるといつの間にか移ってることもあるかもね
・GF所持者を殺害すると、ゲットできるかもしれないね
・GF所持者が即死でなくて、近親者とか守りたい人が近くにいれば、その人に移ることもあるかもね
・GFの知識があり、かつ魔力的なカンを持つ人物なら、自発的に発見&回収できるかもしれないね
・FF8キャラは無条件で発見&回収できるよ

+戦場となる舞台について+
・このバトルロワイアルの舞台は日毎に変更される。
・毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
・旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
・旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。

現在の舞台は闇の世界(DQ4)
ttp://www43.atwiki.jp/ichinichiittai?cmd=upload&act=open&pageid=16&file=%E9%97%87%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C.PNG

地図CGIはこちら
ttp://r0109.sitemix.jp/ffdqbr3/

━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます。
※主催者側がゲームに直接手を出すような話は極力避けるようにしましょう。

4 :
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。
 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであれば保管庫にうpしてください。
・自信がなかったら先に保管庫にうpしてください。
 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない保管庫の作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。


書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。

5 :
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
 (今までの話を平均すると、回復魔法使用+半日費やして6〜8割といったところです)
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
 雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はイクナイ(・A・)!
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。


+修正に関して+
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NGや修正を申し立てられるのは、
 「明らかな矛盾がある」「設定が違う」「時間の進み方が異常」「明らかに荒らす意図の元に書かれている」
 「雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)」
 以上の要件のうち、一つ以上を満たしている場合のみです。
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。

6 :
+議論の時の心得+
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
 強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』

+読み手の心得+
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、モーグリ(ぬいぐるみも可)をふかふかしてマターリしてください。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。

7 :
参加者名簿(名前の後についている数字は投票数)

FF1 4名:ビッケ、スーパーモンク、ガーランド、白魔道士
FF2 6名:フリオニール(2)、マティウス、レオンハルト、マリア、リチャード、ミンウ
FF3 8名:ナイト、赤魔道士、デッシュ、ドーガ、ハイン(2)、エリア、ウネ、ザンデ
FF4 7名:ゴルベーザ、カイン、ギルバート、リディア、セシル、ローザ、エッジ
FF5 7名:ギルガメッシュ、バッツ、レナ、クルル、リヴァイアサンに瞬殺された奴、ギード、ファリス
FF6 12名:ジークフリート、ゴゴ、レオ、リルム、マッシュ、ティナ、エドガー、セリス、ロック、ケフカ、シャドウ、トンベリ
FF7 10名:クラウド、宝条、ケット・シー、ザックス、エアリス、ティファ、セフィロス(2)、バレット、ユフィ、シド
FF8 6名:ゼル、スコール、アーヴァイン、サイファー、リノア、ラグナ
FF9 8名:クジャ、ジタン、ビビ、ベアトリクス、フライヤ、ガーネット、サラマンダー、エーコ
FF10 3名:ティーダ、キノック老師、アーロン
FF10-2 3名:ユウナ、パイン、リュック
FFT 4名:アルガス、ウィーグラフ、ラムザ、アグリアス

DQ1 3名:勇者、ローラ、竜王
DQ2 3名:ローレシア王子、サマルトリア王子、ムーンブルク王女
DQ3 6名:オルテガ、男勇者、男賢者、女僧侶、男盗賊、カンダタ
DQ4 9名:男勇者、ブライ、ピサロ、アリーナ、シンシア、ミネア、ライアン、トルネコ、ロザリー
DQ5 15名:ヘンリー、ピピン(2)、主人公(2)、パパス、サンチョ、ブオーン、デール、王子、王女、ビアンカ、はぐりん、ピエール、マリア、ゲマ、プサン
DQ6 11名:テリー(2)、ミレーユ、主人公、サリィ、クリムト、デュラン、ハッサン、バーバラ、ターニア(2)、アモス、ランド
DQ7 5名:主人公、マリベル、アイラ、キーファ、メルビン
DQM 5名:わたぼう、ルカ、イル、テリー、わるぼう
DQCH 4名:イクサス、スミス、マチュア、ドルバ

FF 78名 DQ 61名
計 139名

8 :
生存者リスト (名前に※がついているキャラは首輪解除済み)

FF1 0/4名:(全滅)
FF2 0/6名:(全滅)
FF3 0/8名:(全滅)
FF4 0/7名:(全滅)
FF5 2/7名:バッツ、ギード
FF6 4/12名:リルム、マッシュ、ロック、ケフカ
FF7 2/10名:ザックス、セフィロス
FF8 3/6名:※スコール、アーヴァイン、サイファー
FF9 0/8名:(全滅)
FF10 0/3名:(全滅)
FF10-2 2/3名:ユウナ、リュック
FFT 2/4名:※アルガス、ラムザ

DQ1 0/3名:(全滅)
DQ2 0/3名:(全滅)
DQ3 1/6名:セージ
DQ4 2/9名:ソロ、ロザリー
DQ5 2/15名:ヘンリー、プサン
DQ6 0/11名:(全滅)
DQ7 0/5名:(全滅)
DQM 0/5名:(全滅)
DQCH 0/4名:(全滅)

FF 15/78名 DQ 5/61名
うち首輪解除済み 2名
計 18(20)/139名

9 :
■過去スレ
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1099057287/ PART1
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1101461772/ PART2
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1105260916/ PART3
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1113148481/ PART4
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1119462370/ PART5
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1123321744/ PART6
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1128065596/ PART7
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1130874480/ PART8
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1142829053/ PART9
http://game10.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1143513429/ PART10
http://game11.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1157809234/ PART11
http://game13.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1179230308/ PART12
http://game13.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1208077421/ PART13
http://schiphol.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1218211059/ PART14
http://schiphol.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1249315531/ PART15
http://kohada.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1295278544/ PART16
http://kohada.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1348887405/ PART17

FFDQバトルロワイアル裏方雑談スレPart14
http://kohada.2ch.sc/test/read.cgi/ff/1225283405/

※part13以前の裏方雑談スレログはまとめサイトに保管されています

10 :
■現在までの死亡者状況
ゲーム開始前(1人)
「マリア(FF2)」

アリアハン朝〜日没(31人)
「ブライ」「カンダタ」「アモス」「ローラ」「イル」「クルル」「キノック老師」「ビッケ」「ガーネット」「ピピン」
「トルネコ」「ゲマ」「バレット」「ミンウ」「アーロン」「竜王」「宝条」「ローザ」「サンチョ」「ジークフリート」
「ムース」「シャドウ」「リヴァイアサンに瞬殺された奴」「リチャード」「ティナ」「ガーランド」「セシル」「マチュア」「ジオ」「エアリス」
「マリベル」

アリアハン夜〜夜明け(20人)
「アレフ」「ゴルベーザ」「デュラン」「メルビン」「ミレーユ」「ラグナ」「エーコ」「マリア(DQ5)」「ギルバート」「パイン」
「ハイン」「セリス」「クラウド」「レックス」「キーファ」「パウロ」「アルカート」「ケット・シー」「リディア」「ミネア」

アリアハン朝〜終了(6人)
「アイラ」「デッシュ」「ランド」「サリィ」「わるぼう」「ベアトリクス」

浮遊大陸朝〜日没(21人)
「フライヤ」「レオ」「ティファ」「ドルバ」「ビアンカ」「ギルダー」「はぐりん」「クジャ」「イクサス」「リノア」
「アグリアス」「ロラン」「バーバラ」「シンシア」「ローグ」「シド」「ファリス」「エッジ」「フルート」「ドーガ」
「デール」

浮遊大陸夜〜夜明け(19+1人)
「テリー(DQ6)」「トンベリ」「ゼル」「レオンハルト」「ゴゴ」「アリーナ2」「わたぼう」「レナ」「エドガー」「イザ」
「オルテガ」「フリオニール」「ユフィ」「リュカ」「ピエール」「ハッサン」「ビビ」「ブオーン」「ジタン」「ライアン」

浮遊大陸朝〜終了(7人 ※うち脱落者1人)
「アルス」「ギルガメッシュ」「ウネ」「ウィーグラフ」「マティウス」「アリーナ」 ※「ザンデ」(リタイア)

闇の世界朝〜日没 (13人)
「サックス」「タバサ」「テリー(DQM)」「ルカ」「パパス」 「フィン」「ティーダ」「スミス」「カイン」「ピサロ」
「ターニア」「エリア」「サラマンダー」

闇の世界夜〜 (1人)
「クリムト」

11 :
■その他
FFDQバトルロワイアル3rd 編集サイト
http://www.geocities.jp/ffdqbr3log/
FFDQバトルロワイアル3rd 旧まとめサイト
http://www.geocities.jp/ffdqbr3rd/index.html
1stまとめサイト
http://www.parabox.or.jp/~takashin/ffdqbr-top.htm
1st&2ndまとめサイト
http://ffdqbr.hp.infoseek.co.jp/
携帯用まとめサイト
http://web.fileseek.net/cgi-bin/p.cgi?u=http%3A%2F%2Fwww.geocities.jp/ffdqbr3log/
FFDQバトルロワイアル保管庫@モバイル(1st&2ndをまとめてくれています)
http://dq.first-create.com/ffdqbr/
番外編まとめサイト
http://ffdqbr.fc2web.com/
1stまとめ+ログ置き場 兼 3rdまとめ未収録話避難場所
http://www11.atwiki.jp/dqff1st/


保管庫
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/2736/1201201051/
したらば
http://jbbs.livedoor.jp/game/22429/
あなたは しにました(FFDQロワ3rd死者の雑談ネタスレ)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/22429/1134189443/
ロワらじ
http://jbbs.livedoor.jp/game/22796/
お絵かき掲示板
http://www16.oekakibbs.com/bbs/FFDQ3rd/oekakibbs.cgi

現在の舞台は闇の世界(DQ4)
ttp://www43.atwiki.jp/ichinichiittai?cmd=upload&act=open&pageid=16&file=%E9%97%87%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C.PNG

12 :
以上でテンプレは終了です。
>9と>10を入れ違えてしまいすみませんでした。

13 :
八方を塞ぐのは本棚の壁。
水晶の床から伸びているのは、やはり本棚で出来た柱。
天井は遥かな高みにあるのかそれとも最初から存在していないのか、暗闇に融けている。
しかし周囲が暗いということはなく、読書に困らない程度の光量は確保されている。
光源らしいモノは見当たらないのだが……やはり"夢の中だから"の一言で片付けるべきなのだろう。
ここにバッツがいれば『すっげー!』などと言いながら本を読み散らすのだろうか?
それとも今の俺や隣に居るティーダのように、気圧されて身を固くするのだろうか?
そんな下らない疑問の答えを見つける前に、『夢の主』の声が響き渡った。

「ライブラ」

ワイヤーフレームで出来た箱のような光条が俺に向かって収縮し、回転する。
「あんたも飽きないねえ」と視界の隅でウネが眉をひそめ、「まーたそれッスか」とティーダがぼやく。
分析の魔力は無遠慮に俺の身体を調べていたが、十数秒ほどで霧散する。
「ふむ」
中空に浮かんだ水晶製の椅子に腰かけながら、『夢の主』――ザンデは唇の端を吊り上げた。
その手にはいつの間にか一冊の本が握られている。
しかしザンデはページを手繰ることなく本を放り投げ、ティーダへと視線を向ける。
宙を舞った本は物理法則を無視した予測不可能な軌道を描きながら本棚の空きスペースに収まり、二度目のライブラは予想通りティーダを捉えた。

「やれやれ、あんたもその子の事を疑ってるのかい?
 気持ちはわからなくもないけど、大丈夫だよ」

ウネは肩を竦めながら、ちらりと俺の方を見やる。
俺が彼女を呼び出しティーダを調べさせたのは、この夢に来る前の事。
その時も彼女は「ちょいと小難しく考えすぎだよ」と呆れていた。

「本当に魔女の影響なんてのを受けてたら、この目で見れば一発でわかるってもんさ。
 夢の世界を形作るのは夢見る心とそれを支えてる魂なんだからね」
「わかっている」

14 :
ウネの言葉に耳を傾けているのか聞き流しているのか、厳めしいだけの表情からは判別できない。
そもそもザンデという男、攻略本には『魔王を名乗る魔導士』と書かれていた。
しかし外見だけを言えば本職の格闘家であるマッシュにすら劣らぬ筋骨隆々とした偉丈夫だし、
青黒い肌と上半身の筋肉を誇示する為なのか、服装もプロレスラーを思わせる半裸マント。
そのくせ夢の中は本だらけの図書館で、噂通りのライブラ狂。
良く言えば文武両道を究めた結果なのかもしれないが、正直に言えば変人の類だ。
あるいは天才というものは常人の理解が及ばないが故に変人に映るのかもしれないが――
俺はぼんやりとオダインやラグナの顔を思い浮かべながら、ザンデの手に視線を向けた。
太い指で手繰っているのは、たった今出現したばかりの本のページ。
先ほどの本といい、ライブラで得た情報が具象化したのだろう。
現実では絶対に有り得ないことだが、何せここは彼の夢の中だ。何でも有りに決まっている。

「ウネよ。お前の主義主張はともかく、判断を疑うつもりはない。
 だが、ならばなぜこの小僧は夢の世界に己の心と魂を留め置けた?
 他の落命した有象無象と小僧の違いは何か、気になるのは当然ではないか」

ザンデがじろりとティーダを見やる。
当然の指摘だ。
ウネのような力を持っていなさそうなティーダが、どうして夢世界に存在できているのか。

「俺が元々夢だからじゃないッスか?」

……本人はそれで納得しているようだが、俺には全く分からん。
ティーダの言葉の意味も含めて、だ。

「この子が言っている通り、生まれが原因じゃないかね?
 あたしみたいに後から夢の世界を統べる力をもらったわけじゃなく、最初からそういう存在なんだからね。
 それにこの子の事を強く夢見続ける友達だっているんだ」

ウネが答える。
少しは納得できる説明が出てくるかと思ったが、全くもってそんなことはなかった。
ティーダを夢見続ける友達と言うのはアーヴァインの事なんだろうが……
アイツ一人が夢で見ている、その程度の事で、夢世界に存在できるのか?
そんな事でいいなら、俺は――俺は…………

脳裏に、いつか見た花畑と中央にたたずむ小さな人影が過ぎる。
けれど俺の追想を遮るようにザンデの声が響いた。

15 :
 

16 :
「なるほど。しかし、それはお前の知る夢の世界の理だ。
 魔女に支配されたこの世界で通用する理ではなかろう」
「どういうことだい?」

我に返った俺の横で、ウネが首を傾げる。
それにつられたのか、ティーダが俺にすがるような視線を向ける。
けれども俺だって話の内容なんか理解できないし、できるわけもない。
そんな俺達をぐるりと見やったザンデは、ひどくつまらなそうに息を吐くと、ウネに問いかけた。

「お前も夢の世界を渡り歩いたならば理解しているはずだ。
 夢の世界に、お前とこの小僧以外の『死者』が何人存在していた?
 死んだ者は百人以上いるが、夢として残る事が出来ているのは片手で数えられる程度――
 ……いや。この場に連れてきていない時点で、ゼロということではないのか?」
「それは……」
「憎悪と疑心に満ちた状況では生者に死後の安寧を夢見られる事など難しい、か?
 だが私が出会った人間どもは、ことごとく仲間の死を嘆き悲しみ、冥福を祈る程度の感性を保っていたがな。
 小僧ども、貴様らとてそうだろう?」

だからなんでこっちに聞くんだ。
この中で一番門外漢なのは間違いなく俺だろう。
急に話題を振られたって困る。というかティーダですら困惑しているじゃないか。
返答に窮している俺達を見たザンデは、こちらを見下しながら補足する。

「家族。恋人。仲間。友人。
 死せる者はみな、天国で幸せに暮らしていればいい。
 その程度の事は願わぬか?
 無論、己の眼に映る現実しか信じぬほど達観しているならば話は別だが……
 貴様らの年頃ならば青臭い夢の一つや二つ見ていよう?」

……ああ。そういうことか。
言わんとすることは理解できた。
それはティーダも同様だったらしく、俺よりも先に口を開く。

「それはまあ……安らかに眠ってほしいとか、家族と再会できればいいとか、思ったりはするけど。
 でも生きているのが一番だし、天国でどうこうよりも……とにかく生きててほしかったって気持ちの方が強いッスよ。
 スコールだってそうだろ?」
「ああ」

脳裏に、俺が守れなかった『彼女』の姿が過ぎる。
いつも着ていた青いワンピース、その背に描かれた小さな羽。
魔女の力で白翼など背負わなくても、俺達を振り回す傍らで皆を気に掛ける彼女は誰よりも天使のようだった。
だが、だからと言って――

17 :
「確かに天国が存在して彼女が見守ってくれているというなら、心強いものがある。
 だがそんなことを願うより、俺は……」

――ああ、そうだ。
天国が実在しようがしなかろうが、そんなことはどうでもいい。
俺は彼女に生きてほしかった。
最早過去形で言うしかない言葉が、喉に詰まる。
それでも俺は、彼女に生きていてほしかった。
だが彼女はもういない。
もう会えない。
リノアはもう、どこにも居てなどくれない。
声を聞くことも。顔を見ることも。
あの身体を背負って歩く事すら出来やしない。

過去形だ。何もかも。
俺は彼女に生きていてほしかったし、俺は彼女を守れなかった。
生きていてほしい、でも。
彼女を守りたい、でもなく。

認めたくなどない。
だが、逃げたって現実は変わらない。彼女の事を嘆こうとも何も変わらない。
俺にはまだ、やることがある。
やるべきことも、やらなければいけないことも。
ここまで付き合ってくれた仲間の為に、俺を信じてくれた仲間の為に、俺のせいで死んでいった仲間の為に。
俺がしなければいけないことが。
助けなければいけない人たちが。
倒さなければいけない敵が。
――何もかもが、たくさんありすぎる。
だからまだ足を止めるわけにはいかない。
考える事を辞める事も許されない。

こんな後悔と未練が愛だというなら、俺は確かに彼女の事を愛している。
だが、今は……今は、これ以上を考えるわけにはいかない。
これ以上彼女の事を考えたら、俺は立ち止まってしまう。

考えるな。
彼女の事を考えるな。
思い出は心の奥に仕舞え。
記憶を、感情を塗りつぶせ。
黒く。ただ、黒く。

――黒くなれ。

18 :
 

19 :
「――……スコール?」

やけに沈んだティーダの声が俺を現実に引き戻す。
顔を上げれば罪悪感たっぷりといった様子のティーダに、怪訝な表情を浮かべるウネ。
そして、相変わらず厳めしい面で睨んでいるザンデが視界に映る。

「あの、その、ゴメン。
 聞いちゃいけない事……だったよな」
「どうしてそう思った」
確かに快く答えられるような話などではないが、だからといって腫れ物扱いされるのも少々不愉快だ。
だいいち元々話を振ったのはザンデであってティーダじゃない。
なのに、なんで謝ってくるんだ。

「どうしてって……だって、その。
 ゼルとアービンから、あんた達の事聞いてたしさ」

……そういえば。アイツだけじゃなく、ゼルとも一緒に居たんだったな。
この場にはいない仲間とこの世にいない仲間の顔を思い浮かべ、納得する。
あの二人が揃っていたなら、俺とリノアの関係ぐらい、道すがら知り合っただけの相手にもペラペラと喋るだろう。
実際、俺の趣味まで面白おかしく喋ってたみたいだしな。カードマニアだのバトルジャンキーだの。
もちろんその程度の事で文句を言う気もないし、そもそも片方については最早文句を言う事もできやしない。

「それに……」
「止めろ」

ティーダは目を逸らしたまま何かを言いかけるが、俺が先に制する。
話の内容なんか聞くまでもない。
アーヴァインがリノアを埋葬したという話は本人から聞かされたし、リルムからも裏を取った。
こいつも少し手伝ったらしいから、それで必要以上に気にしているんだろうが……
何度も聞きたい話ではないし、ティーダが謝るべき事じゃないだろう。
どちらかといえば俺の方が、リノアに変わって感謝しなければならないはずだ。
……だが、言いたくない。
『リノアの墓を作ってくれてありがとう』だなど、口が裂けたって言いたくない。
だから俺は代わりにこう告げる。

「少し思考を整理していただけだ。
 あんたが思っているような事を考えていたわけじゃない。
 だいたい、その程度の事で謝られてもこちらが困る」

20 :
「だけど、俺」

なおも食い下がるティーダに、俺は思わず顔を背けながら吐き捨てた。

「謝らなくていいと言っている。
 それともあんたは自分の気持ちを納得させたくて、俺に懺悔を聞いてくれというのか?
 だったら壁にでも話してろ。俺は教師や宗教家になった覚えはない」

「言いすぎだよ、スコール!」
さすがに聞きとがめたのだろう、ウネの叱咤が飛ぶ。
さらにバサバサと激しい羽ばたきが響き渡ったかと思うと、頭に鈍い痛みと衝撃が走った。
とっさに片腕で庇いながら頭上を見上げれば、そこにはウネが連れていた赤いオウムが「ヒドイヒドイ!」と嘴を振り上げている。

「一番悪いのはデリカシーの欠片もないザンデであって、ティーダじゃないだろう?
 心の傷に触れられて苛立つのは仕方がないけれど、当たる先が違うさね!」

……言われなくてもわかっている。
俺のしている事は八つ当たりだ。ティーダが悪いわけじゃない。
だが、ウネの言っている事も間違いだ。
一番悪いのはザンデでも、他の誰でもない。
リノアを守れなかった俺自身なのだから。

「好き勝手に言うものだな」
ザンデが呆れたように呟く。
分析魔のこの男の事だ、俺の青臭い心情などとっくに見抜いているのだろう。
しかしそうは思っていないらしいウネが、オウムと一緒になって騒ぎ立てる。

「あんたが好き勝手やってるから、こっちもそうせざるを得ないんさね!
 ああ、本っ当に昔っから変わりゃしない!
 いつもあんたが派手にやらかして、ドーガとモーグリ達が慌てて頭を下げて、最後にあたしとノアが尻拭い!
 人としての命を貰っても時間を止めて千年過ごしても、肝心な部分がまるで成長しやしないんだから!」

21 :
 

22 :
しえん

23 :
「……人の命など何になる。短命の呪いだ。お前が思っているような成長の糧になどなるものか。
 それに魔道を究める以外に肝心な事など…………そう、あるはずがない」
「ああ、ああ、まだそんなこと言ってるなんて呆れちまうよ!
 ギルダー達の輝きを、魔竜の呪いを打ち破った光の心を見て、何も感じなかったというのかい!
 ノアもギルダー達もサラ姫もシドもデッシュもアルス王もアムルの村のじいさん達も!
 あたし達を上回る事ができたのは、みんな、みんな人間だったじゃないか!」
「たまたま我が目論見を覆すだけの才能を持ち得た人間がいたというだけだ。
 人間であるから才能が宿ったわけではあるまい」
「才能? そんな都合の良い言葉で片付けるなんて、あんたの分析眼も衰えたもんだね!」

ウネとザンデが言い合いを続ける中、ティーダがおろおろと口を開く。

「あ、あのさ……そんな喧嘩してないで、本題に戻ってくれないッスかね?
 そりゃあんたらには時間とか余裕があるだろうけど、俺達には無いっつーか」
「ん? ……ああ、悪いねぇ。
 年甲斐もなく熱くなっちまったよ。全くザンデときたら……」
「あーあーストップストップ! もうダメ、痴話喧嘩は禁止ッス!
 そんなことより、俺がここに居られて他の人たちが居られない理由って何なんだよ?!
 俺、まだ助けなきゃいけない奴らがいるんだ! もし急に消えるようなことになったら……!
 何かわかったんだったら教えてくれよ! なあ!!」

……そう言えば元々はそんな話をしてたんだったな。
正直、それですら俺が望んでいる本題とはかけ離れているのだが。
だが彼の心情を考えれば聞きたがるのも当然だし、俺としても少しは気になる。
ティーダの剣幕に思う所があったのか、ウネは「やれやれ」と肩を竦めながらも引き下がる。
ザンデもザンデで不服そうな表情を浮かべていたが、やがて軽く咳払いしてからティーダに向き直った。

「要らぬ心配をせずとも、貴様はそう簡単には消滅せん。
 結論から言えば、強大な三種の力が貴様という存在を保護している。
 一つはあの白魔道師姿の小僧に由来しているようだが、残り二つは光に属するという事以外判断しきれんな」

白魔導師……アーヴァインのことか?
アイツにそんな力があるとは思えないが。

「あの坊やの事はアルガスの話と夢しか知らないけど、そんな力なんてあるもんかねえ……
 【闇】の影響かね?」
「いや。我々の世界のソレとは似て非なる、特殊な幻獣の力が影響しているようだ。
 スコールといったな。貴様も同種の力を利用しているようだが、何か知らんのか?」

24 :
支援

25 :
しえ/ん

26 :
なるほどな。GFの影響か。
以前使っていたディアボロスにしても今貸しているパンデモニウムにしても、
魔法エネルギーを取り扱ったり使用者の身体にジャンクションしたりする能力は備えているからな。
俺はガーデンの授業を思い出しながら、ざっと説明する。
所詮一学生でしかない俺の知識などたかが知れているはずだが、ザンデにとっては興味深い情報だったらしい。
俺が喋っている間はひたすら「ほうほう」と頷き続け、話を終えると同時に高笑いを始めた。

「ファファファ……素晴らしい!
 実体を捨て精神寄生体として進化を遂げた幻獣が存在するとは!
 しかし考えてみれば、召喚獣として使役される為だけに一度殺され冥界に魂を送られるのが幻獣共の常よな!
 ならば最初から精神のみの魔力体として存在し、繁殖に必要な生命力や移動手段は召喚士から搾取すればいい!
 ああ、実に効率的な回答だ!」
岩のような顔に喜色満面の笑みを浮かべ、やたらと高いテンションで独り言を呟くザンデ。
その言葉に、ティーダが首をかしげる。
「え? 召喚獣って祈り子の夢じゃないんッスか?
 一度殺されるとか、幻獣って……いや、そりゃ祈り子はみんな死んでるみたいなもんだし、俺だって一度死んだけどさ」
「ほう? その話も興味深い。
 聞かせろ」
「え、……あ、ああ」

グローブでもつけているんじゃないかと疑いたくなるぐらい太い指にがっしりと肩を掴まれて、逃げ場がないと悟ったのか。
ティーダはしどろもどろと祈り子や召喚獣について喋り始める。
それはやはりわかりにくい説明であったし、俺の知る常識からかけ離れた話だったが――
祈り子がどのようなもので、何故ティーダが自分を『夢』と称するのかについては、辛うじて理解できた。

「ふむ。冥界に行くべき魂を用いて人工的に力持つ魔物を作り上げ、召喚が容易になるよう呪法で縛り付けているわけか。
 サロニアのオーディンに似ているな。
 しかし幻獣の名前には一部と言えど共通点があるというのに、ここまで原理が異なるとは。
 もしや幻獣が幻獣として存在している世界の方が少ないのか?
 だが、ロック達の世界では幻獣達が種族として存在していたようだし……」
「はいはい、そこまでにおしよ」
自分の世界に没頭するザンデを見かねたのだろう。
ウネがため息をつくと同時に、彼女のオウムがぱたぱたと舞い上がりザンデの頭を小突いた。

27 :
sien

28 :
「ティーダが言ったばかりだろう、この子達には時間がないんだよ。
 この子が魔女の影響下にないことはあんたも十分確かめた。
 あたしだってその点に関してはお墨付きをあげるし、あんたの性格はともかく分析結果を疑う気はないよ。
 だからそろそろいい加減、本題に入るべきさね。違うかい?」
「ああ」
「そ、そうッスね。
 オッサンの居場所とか、脱出に必要なものとかも聞きたいし、スコールだって聞きたい事あるだろうし」

ウネに続いて俺とティーダが答えると、ザンデは「フン」と鼻を鳴らしながらも片手を振った。
すると瞬く間に図書館の光景が崩れ去り、代わりに宇宙のような空間が広がる。
無数に煌く星のような光と点在する水晶の塊、そして果てのない暗闇。
上を向いてもやはり天井はなく、下を見れば床すらない。
しかしどういう仕組みか、落下する事も倒れる事もなく、俺達は全員真っ直ぐに立ち続けている。

「現実の私が存在する空間を投影した。
 小僧。脆弱な人間にすぎぬ貴様には落ち着かんだろうが、慣れろ」

軽く言ってくれるが、少しばかり無茶だ。
宙に浮いている感覚があるわけでもなく、眼を閉じればどこまでも落ちていきそうで、しかし視界は動かない。
何も踏みしめていないのに立っているという矛盾が強烈な違和感となって本能的な不安を呼び起こす。

「なんか……すっげぇ落ち着かないッス、コレ」

ちらりと横を見れば、ティーダが冷や汗を流しながら足を交互に動かしている。
明らかに『あるべき床』を突き抜けて虚空を切っているはずなのに、倒れる様子はない。

「少し過ごしやすいように調整してあげたらどうかね?
 あんたの夢なんだから、何も現実の環境に拘る事はないだろう」

助け舟を出してくれたウネの言葉に、ザンデは少しばかり眉根を潜めながらも指を鳴らした。
星空の光景はそのまま、巨大な水晶で出来た床だけが現れる。
人心地がついたと言わんばかりにティーダは胸を撫で下ろしつつ、呆れ半分同情半分の視線をザンデに向けた。

「はー……オッサン、こんな所に居るのかよ。
 どうやって寝てるんだっつーか」
「生命体の生存を考慮した空間ではないといえ、空気はある。
 生きている以上、睡眠を取ろうと思えばいくらでも取れるわ」
「いやそういう問題じゃなくて……やっぱいいッス。
 もう本題入ろうって、本題」
どう聞いても軸のずれた回答しか帰ってこないと悟ったのだろう。
ティーダはやれやれと肩を竦めながら、俺の方をチラりと見やった。

29 :
「えっと……そもそも、この場所ってどこなんだ?
 それとあんた、魔女に見つかってたりしないのか?」

どうも、彼なりに俺が聞きたい事を考えてくれたようだ。
初対面から今までの印象が悪かったせいで――何せひたすら混乱していて支離滅裂な説明しかせず、しまいには一人泣き喚く有様だ――、
リュック同様かそれ以上に『理屈を放棄して感情で動くタイプ』だとばかり思っていたのだが。
現在の様子を見るに、落ち着きさえすれば多少は場を仕切る能力があるらしい。
合理的な視点はあるが協調性皆無のアルガスと足して割れば、案外丁度いいリーダーになるかもしれないな。
二人の性格上、まともに手を組むなどほぼ不可能だろうが。

「私が死んでいないという点で、魔女は私の居場所を把握していないと判断する他ない。
 そして、この場所が何処かという問いだが……実のところ、私にも正確な回答はできん。
 推測であれば幾つか挙げられるが、断定するには情報が足りぬ」
「じゃあその推測って奴を聞かせてくれよ。
 もしかしたらピンと来ることがあるかもしれないしさ」

そんな簡単にピンと来ないとは思うが……せっかくティーダが聞き出そうとしているのに水を差しても仕方がない。
俺は黙って会話の成り行きを見守る。

「よかろう。だがその前に伝えるべき事がある」

ザンデはおもむろに手をかざし、きらきらと輝く光の一つを招きよせた。
遠目で見ると星のように見えるソレの正体は、発光している結晶体の破片だ。
燃焼しているわけではないらしく、顔を近づけても熱さも冷たさも感じない。
所詮現実ではなく夢だから、とも思ったが、ザンデのような人物が中途半端な再現をするとも思えない。

「なんなんッスか、これ?
 割れたガラスか水晶……そうだ、そこらへんにある水晶の破片みたいだけど」
「ほう? 存外勘が良いな。
 中を覗くように見つめてみるがいい。そちらの小僧もだ」

俺とティーダは目を瞬かせながらも、ザンデの勧めに従い結晶に視線を注ぐ。
すると――

30 :


31 :
___

32 :


33 :
   赤い赤い辺り一面の血の海。
   身動きも息も出来なくなるほどに、胸に満ちる苦痛にも似た絶望感。
   視界に映り込む引き裂かれた女の腕と脚と金色の髪。
   崩れ落ちる膝、響く慟哭、喉に走る本物の痛み、有り得ない方向に歪む視界。
   悲しみ、悔しさ、罪悪感。
   脳裏に過ぎる青髪の青年と金髪の少女、赤髪の騎士と二人の少年。
   戻りたい、戻れない、還らない、帰れない。
   最後に思い出したのは明るく微笑む三つ編みの女性と、勝ち気そうな金髪の姫君。
   残せたのは意味のない足掻き。
      『お、俺には……クハッ、まだ……価値が……』
   それらすべてを塗りつぶすように聞こえた、悪意に満ちた女の嘲笑――

      『な い よ、そ ん な の』
  

「うわぁああああああああああああああああああああああ!!」

響き渡った悲鳴に、俺は反射的に顔を上げた。
周囲を見ればそこは星と水晶が瞬く暗黒空間。血だまりもなければ死体もない。
前を向けば平然と佇むザンデがいて、結晶を覗きこんでいるウネがいて。
横を見れば、尻餅をついてあわあわと叫ぶティーダがいる。

「なんで!? なんであのストーカー女が!?
 アイツもう死んだはずだろ!? 放送で、名前だって!!
 それに、あれ、あの城の!!
 ……あれ? あの城?」

一体何を思い出したというのか、急激に喚き声のトーンが下がった。
腕を組んで唸り始めたティーダに、俺は思わず尋ねる。

「心当たりがあるのか?」
「心当たりっていうか、今のって……今朝、旅の扉見つけた部屋みたいっつーか?
 あんなに生々しくはなかったけど、……うっぷ、……惨状が、その……」

なるほど。前の世界で通過した部屋だったのか。
今の光景が現実で起こった事であるなら、死体も一つではなく二つに増えているだろう。
あんな状況では血が多少乾いたところで臭いなど消えないだろうし、まっとうな人間なら見ただけで足がすくむはずだ。
そんな部屋に旅の扉を用意するなど悪趣味極まりないが、実にあの魔女がやりそうなことでもある。

34 :


35 :
___
__
_

36 :
「これは……死者の記憶の欠片かね?
 終わりに出てきた女は分身のアリーナのようだけれど」
「死者……?」
一人ごちるように呟いたウネの言葉で、俺は今の幻覚の中に見覚えがある顔があったことを思い出した。
赤髪の騎士サックス――ウルで出会い、俺達を裏切った男。
今のが死者の記憶だというなら、元の世界でのアイツの仲間だったのだろうか。
別にサックスに対して良い感情など抱いていないが、こういう風に見せつけられると少し気が滅入る。

「分……身?」
俺の感傷を知る由もないティーダは、純粋に困惑した様子で首をかしげている。
どうやらアリーナが二人いるという話を知らなかったようだ。
俺だってパパス達やソロのような、信頼に足るとわかる人物に伝えられなければ――
……そう、例えば最初に情報を持ってきたのがラグナやバッツだったら絶対に信じなかっただろう。

「他の連中から聞いた話だが、アリーナという人物は本物と偽物がいたらしい。
 本物は良くも悪くもリュックを単純にしたみたいな性格で、偽物は凶暴かつ残虐凶悪だったとか」
端的に説明すると、ティーダはますます腕組みを深くし「うーんうーん」と唸りはじめる。
「なんスかそれ……
 あ、でも、アービン達がぶっ倒れてる時にちょうどロザリーがアリーナのこと庇ってたんだっけか……」
すっかり『今明かされた衝撃の真実についていけない』といった様子だ。
ぶつぶつと一人ごちるティーダを置いておいて、俺はザンデに尋ねる。

「この空間にある光や結晶すべてが死者の記憶だというのか?」
「うむ。あらかた調べ尽くしたが、間違いない。
 この空間は、死者の記憶や経験を――【精神】を保存しておるのだ」
「精神……?」

ふと、攻略本に載っていたコラムが頭を過ぎった。
【精神と魂】というそのままの題で、幽霊やアンデッド・生物の魔物化といった比較的なじみのあるテーマを扱っていたので、
一字一句とまではいかないがそれなりに正確な内容が頭に残っている。

「精神とは知覚や認識を処理する機能を指すんじゃないのか?
 記憶や経験・感情は、『精神』というよりも『精神が処理する情報』だと思うのだが……」

俺の言葉に、しかしザンデは「フン」とせせら笑う。

37 :
_  __
___  __

38 :
しえしえ

39 :
「ならば小僧、貴様に問うが。
 無垢な赤子を白い部屋に閉じ込め、音も文字も匂いも食物も何の情報も与えず、ただ最低限の生命力だけを与え生かし続けたとして――
 その赤子に精神と呼べるものが育つと思うか?」
「それは……」
極端な仮定を持ち出され、思わず返答に詰まっていると、ザンデは滔々と語り出す。

「精神とは『意識』だ。
 経験によって育まれ、感情によって方向性を得て、記憶によって同一性を保つモノ。
 知覚や認識を処理する機能というのも間違いではないが、それはある程度成長した精神が持つ一側面にすぎん。
 記憶を失えば精神は変容する。感情を失っても精神は変容する。
 そう――それこそ、例の白魔導師の小僧など良い例ではないか」

瞳の無い黄金の目がティーダに向かう。
冷徹な視線が発する気配を察したのか、ティーダははっと面を上げ、「えっ何!? 何スか?!」と慌てふためく。
しかしザンデは彼に声をかけることもなく、すぐに振り向き直して言葉を継いだ。

「もちろん、貴様の解釈が全て間違っておるとは言わぬ。
 少なくとも我が現実の世界に存在するのは、あくまでも『記憶及び感情の結晶』よ。
 ウネやそこの小僧、あるいはG.F.のような『独自に思考しある程度の自立行動を取れる精神体』ではない。
 故に対話などは不可能であったし、奴らが夢を見る事もない。
 先ほどのように一方的に情報を引き出すのがせいぜいだ」

その口調は極めて淡々としていたが、心なしか虚しさや徒労感が滲んでいた。
考えてみればザンデにもウネという知人がいるわけだし、他の協力者だっていたはずだ。
中にはそれなりに馬が合う相手もいたかもしれない。
そういう連中が先に死んでいった挙句、断片的な記憶だけが囚われた空間に自らも閉じ込められた――
……ああ、こうしてみると中々にぞっとしない話だ。
少なくとも俺だったら、リノアやラグナ、ゼル、マリベル、エーコ、アイラ……
皆の死の場面さえも含んだ記憶を見る事しかできない状況に追い込まれたら、一日持たずに発狂する自信がある。

「貴様らに理解できるよう砕けた表現をするならば、『精神の死体置き場』というのが適当よな。 
 本来は肉体が死したとて、精神が同時に死ぬとは限らんものだが……
 あの世界では、【肉体】の死が即座に【精神】の死を引き起こすよう呪法を施してあるようだ。
 最も、集めた者の力量を考えれば当然の処置ではある。
 命を失った程度で諦める輩の方が少数だろうということは、貴様らどころか火を見るよりも明らかだ。
 何も策を講じなければ、今頃は魔女に刃向うアンデッドの群れで溢れ返っておったであろうよ」

40 :
ザンデは能面のような表情のまま手の内の結晶を眺めたかと思うと、一気に握り潰した。
傍らで「それにしたって悪趣味だねえ」とウネが呟いたが、
その言葉はもちろん彼ではなく、アルティミシアに向けられたものだろう。

「でもさ。記憶とか感情とか、そんなモン集めてどうなるんッスか?
 魂とか命とかならまだわかるけど……いや、それでも意味がわかるってだけで理解なんかしたくないけどさ」

結晶の一つをつつきながらティーダがぼやく。
"記憶を集めて何が出来るのか"
俺も同じ疑問を抱いたし、彼も何気なく口にしたのだろうが――何故かザンデは答えず、ギロリと睨み付けた。
そんな反応が返ってくるとは予測していなかったのか、ザンデの表情に気付いたティーダは「えっ!?」と身を竦ませる。
青い瞳が助けを求めるように俺とウネを交互に見やったが、そういう目を向けられても非常に困る。
何を言えばいいのか考えあぐねていると、ウネが堪えきれなくなったようにカラカラと笑いだした。

「ああ、ティーダ。心配しなくていいよ。
 ザンデは見ての通り頑固で、プライドばかり一丁前だからねえ。
 "自分の知識じゃ欠片もわからないことがある"って認めたくないだけなんだよ」
「ウネよ! たまには言葉を弁えろ!
 理解できないなどとは一言も言っておらん!!
 現状では挙げられる可能性が多すぎて結論が出せんだけだ!!」
「へえ、ならその可能性の一つでもあたしに教えておくれよ。
 魔道において重要なはずの魂をそこらに放りだし、死んだ精神だけを集める理由なんて、あたしには一つも思いつかないのさ。
 ましてその放りだされた魂のせいで半分魔に堕ちた子がいて、その子の力で首輪解除が出来ちまったんだからねえ」

ともすれば嫌味にしかならない強烈な煽りだが、ウネの口調と表情はあくまでもこざっぱりとしたものだ。
ザンデもザンデでギリッと歯噛みをするだけであり、激怒するような素振りはない。
喧嘩するほど仲がいい――というよりも、気心が知れた相手との軽いじゃれ合いのようなものなのかもしれない。
俺はいつかのキスティスとサイファーのやりとりを思い出しつつも、横から口を挟んだ。

「あんた達には悪いが、俺としてはアルティミシアの目的などどうでもいい。
 どうせロクな事じゃないに決まっているし、そもそも目的を達成する前に倒す事が理想だからな。
 それよりも聞きたいのは、ザンデ。あんたの居場所についてだ。
 より具体的には、あんたの居場所はアルティミシアの居場所に近いのか否か。それを知りたい」

俺の言葉にザンデは「よかろう」と頷いた。
彼としても話題転換が出来るのは好都合だったのか、あっという間に機嫌を直して語り始める。

41 :
「現状、提示できる仮説は二つある。
 一つは、この空間が今まで我々が通過した世界の跡地であるという仮説。
 即ち死せる肉体は偽りの大地や他の物質体と共に消滅し、【魂】は生存者に依り憑かせて旅の扉を潜らせ、
 虚無の空間に残った死せる【精神】を結晶化させて保存する――
 そのような一連の機構が、全ての前提として組み込まれている場合だ。
 これならば私の居る空間に【精神】しか集められていないことにも納得が行く。
 そもそも【魂】から得られる力に比べれば遥かに劣るというだけで、【精神】からもある程度の魔力や技術は抽出できるからな。
 最も強い【肉体】を選出すると同時に蠱毒の術式で【魂】の質を高め、さらに集めた【精神】のエネルギーを利用してアビリティを強化する。
 単純に強い生命体を作るための大掛かりな儀式魔術であるならば、非常に理に適っていると言えるだろう」

「……」
長い。
こうも一気に説明されると、退屈な教師の授業を聞いている気分になる。

「だが、この説には非常に大きな問題がある。
 明らかに"イレギュラーであろう事態が多すぎる"のだ。
 殺し合いが終了していない、即ち儀式が完遂していないにも関わらず数人の生存者が【魂】に由来する強化を発現する。
 魔法陣やデジョンの影響があったといえ、私やロザリーがこの空間に入り込めた。
 あまつさえ、ウネやそこの小僧が呪法の影響を逃れ、精神体として行動できている。
 ――この殺し合いが完成された儀式魔術であると仮定するなら、いずれも決して起きるはずがない」
 
そこまで語ると、ザンデはパチンと指を鳴らし、夢の光景を書き換えた。
豪奢な広間の中央に鎮座する漆黒の結晶。
アルガスが見た夢に出てきたのと同じ風景だ。

「今一つは、魔女の夢に出てきた黒いクリスタルの内部であるという仮説だ。
 本来【魂】を収集する為の機構を、魔女が無理に改造・流用して【精神】のみを収集しようとした。
 その結果行き場を失った【魂】が偽りの大地に溢れ、魔女の意志や負の思念に染まりながら生存者に寄り憑いた、というわけだ。
 こちらの説の方がイレギュラーについてはある程度説明がつく。
 【魂】を集める器で【精神】を集めるなど、匙で肉を切りナイフでスープを啜るようなものだ。
 ほころびなど幾らでも生まれよう。
 しかしこの説では、完全な会場外かつ侵入されてはならない空間に居るにも関わらず私の首輪が爆破されていないことが不自然だ。
 それにやはり、目的が如何とも判断できん。
 【魂】を捨てて【精神】を集めることに何の意味があるのか……」

42 :
しん

43 :
慈円

44 :
どうにもこうにも気になって仕方がないらしく、ザンデはぶつぶつと呟きながら思索に没頭しはじめる。
「……」
この時俺の頭に過ぎったのは、一体のGF。
かつてアルティミシアが俺の記憶と感情から作成した――"俺の考えた最強の存在"。
それと似たような、しかし遥かに強力なGFを皆の絶望や恐怖から作成するつもりではないだろうか?

……だが、それを口に出せばザンデは喜び勇んで食いついてくるだろうし、俺の問いなど後回しにするだろう。
ただでさえ寄り道と脱線が続き、今も冗長な話を聞いている。
どこまでいっても推測しか出来ない事柄で時間を取られるのは、俺にとって極めて不都合だ。
さっさとザンデを現実に引き戻すべく、俺はあえて思いつきを伏せて声をかけた。

「現状、可能性として高いのは後者なのか?」
「ん? ああ……いや、何とも言えぬな。
 二つの仮説が複合している可能性も有るし、認めたくはないが私が気付いておらん全く別の可能性も有り得るだろう」
「複合?」
「黒いクリスタルの内部に偽りの大地と私の居る空間を含んだ亜空間が展開されているのやもしれん、ということだ。
 最も一から亜空間を創造維持するぐらいなら、その魔力で次元の狭間に同じ機能を持つ隔離空間を作った方が早いがな」

なるほどな。
とにかく、どの仮説にしても理屈に合わない部分があると言いたいわけか。
俺としては黒いクリスタルの内部という可能性が一番高く感じるが、説明する時間が惜しい。
だが、これでは俺が思い描いているような計画を実行するのは難しいか……?
……いや。素人考えで判断を下すのも早計だな。
望みが薄かろうと、確認は取っておこう。

「……なら、あんたの仮定のいずれかが正しいとして。
 それぞれの場合において、アルティミシアの居場所に向けて脱出する方法は存在するのか?」

俺の質問に、何故かティーダが目を丸くする。
しかしそれもつかの間のことで、彼はすぐに首を傾げ、肩を竦めた。

「ザンデのオッサンに先に脱出してもらおうってのか?
 そんなのさすがに無理じゃないッスか?
 つか、出来るんだったら最初からそうしてるだろうし」
「うむ。存在しないとは言わんが、いかに私といえども手が足りぬ。
 そもそも私が通れるだけの通路を作成するとなると、我が力を大きく上回る魔力が必要となる」

45 :
と、ザンデはティーダの言葉を首肯しながらウネの方を見やった。
「私が夢の世界かノアの魔力を継いでいたならば、そこにいるウネを召喚して活用してみせたのだがな。
 生憎、師が私に残したものといえば人間としての命のみだ」

あからさまな皮肉に満ちた口調に、ウネはわざとらしく首を横に振る。
元から皺だらけの顔にさらに皺を寄せ、呆れたようにため息をつく表情は、
"まーだそんなこと言っているのかい"というセリフを刻んでいるかのようだ。
けれどもそれを言葉にしようとしないのは、先の口論があったからだろう。
彼女には悪いが、俺としても余計な茶々を入れられて話がこじれるのはゴメンだ。

「例えばあんた以外の、魔法使いでない人間を脱出させるとして、協力者が何人いれば可能なんだ?」
「私以外の人間を、か?
 そうよな――最低を述べるならデジョン及びテレポが使える魔道士一名と、魔力の増強や補助に使える道具だ。
 確実性を高めるならば、旅の扉か特定個人の探査能力を持つ道具が欲しいところだな。
 理想を言えば召喚士の補佐もあると良い」
「一人でいいのか? 三人以上必要だとか、そういう話は?」
「あれはあくまでも旅の扉に干渉し、行先の変更と固定をするために必要な人員だ。
 今回はもっと単純に、空間に穴を穿つことが主眼となる。
 どういう仕組みを用いていようと、魔女の居城と我が居場所が同一空間内に存在しておらんことだけは間違いないからな。
 最初に空間と空間を隔てる壁を破らなければ乗り込みようがない。
 しかし、最初に私とロザリーが入り込んだ時点で大きな歪みが発生しているはずだ。
 貴様らの居る大地へ戻る歪みは私が今も保持しているが、それとは別の歪みも存在する可能性がある。
 それを発見して利用することができれば多少は労力が削減できる。
 無論、そうして穴を開けただけでは魔女の居城に乗り込める可能性は低いが……
 こちらには死人共の【精神】、【記憶の結晶】があるのでな。
 特定領域への転移魔法を習得している者の記憶を利用し、魔女への城への転移を発動すれば良い。
 ただ、これで脱出させることが出来るのは多くても三人が限度であろうな。
 人数が増えると転移魔法の制御精度が落ちるだろうし、空間に開ける穴の大きさや維持時間もネックとなる」

………長い。
だが、なるほど。
ピサロが代案として考えていたという、ルーラを利用する脱出方法と似た理論だ。

46 :
「ちょ、ちょっと待てよ。
 協力者って、どうやって連れてくるんだ?」

思考が追いついていないらしいティーダが声を上げる。
「ああ、それは――」と俺が説明するよりも早く、ザンデが答えた。

「簡単だ。必要な人員を貴様らの夢に呼び込んだあと、ウネの作った鍵を私に貸せば良い。
 首輪さえ外れておれば死ぬこともなかろう」
「あっ―ー!」
やっと気づいたようだ。
まあ、俺だってアルガスの実験や言葉が無ければ思いつかなかっただろうし、
初めから居合わせたわけじゃない彼に気付けというのは酷な話でもあるが。

首輪が無ければ夢世界に生身で入り込める。
夢の存在に限るが、夢世界で鍵の貸し借りが出来る事も確認している。
ならばアルガスが眠って鍵の力を使い、生身の俺達を夢に招き入れ、
その上で夢のザンデに鍵を貸し、ザンデが現実世界に俺達を戻せば……
俺達は、ザンデの元に移動できるのだ。

「旅の扉は1日に1度しか開かない。
 それを利用するならば、儀式途中での殺人者や狂人の乱入を防ぐ必要がある。
 だが、その『邪魔者の排除』を担当する仲間が行動不能になったり、合流不能になっている。
 アルティミシアの性格からして、こちらに余裕が無ければ無いほど手出しをしてこないと踏んでいるが……
 まだ余力があるうちに他の手段での脱出方法を確立しておかないと、魔女の干渉の有無以前に手詰まりになりかねない」

俺は言葉を紡ぎながら、サイファーとアーヴァインの事を思い浮かべた。
色々と理屈を並べたてたところで、結局、俺はあの二人を見殺しにしたくないだけだ。
これ以上知り合いを思い出にしたくないだけなんだ。

「それに、夢の世界を使えばアルティミシアが寝ている時間を突き止められることはアルガスが実証済みだ。
 あの魔女に気付かれないうちに城に潜入し、部下のモンスターを倒して首輪の制御装置を止めることができれば、
 一つ一つの首輪を解除をせずとも生存者全員の命を安全圏に置ける」

もちろんそんなことをすれば魔女とて静観しないだろう――が。
首輪が完全停止すれば生存者同士で殺し合う意味はなく、ほぼ確実に全生存者VS魔女という図式を作り上げることができる。
そうなれば殺人者だろうと異常者だろうと魔女を攻撃するしかない。
理性を失った狂人は流石にどう動くかわからないが、それにしたって大人しく魔女に従うことだけは無いはずだ。
そもそも首輪を外したところで、最後にやることといえば生存者全員で魔女の城に乗り込んで戦いを挑むだけ。
なら、首輪を停止した結果魔女がこちらに乗り込むことになったってさほど変わりもしない。
むしろ脱出に使う魔力が節約できるだけ有利かもしれない。

47 :
マダレムシエン

48 :
「制御装置を止めるって、そんなことが出来るのか?」
「俺の――SeeDの本業は潜入破壊工作だ。
 ガルバディア軍の機材がベースになっているのならいくらでもやりようがある。
 それにアルティミシアの部下の弱点は把握済みだ。
 よほどの魔改造を施されていない限りは、俺一人でもある程度は対処できる」
「え?」

ティーダが目を瞬かせ、ウネも眉を潜める。
聞き間違いだとでも思ったのだろうが、俺の言葉は変わらない。

夢の世界を提供し、仲間の輸送や道具の受け渡しを行うアルガス。
俺が失敗した時に首輪を外してもらうためのバッツとラムザ。
近くにいる仲間で唯一魔法が得意な――つまりザンデの補佐に回せるリルム。
この四人には明確な役割がある以上、危険に巻き込むわけにはいかない。
そしてマッシュは重傷者だ。個人的にも人道的にも彼を死地に連れて行きたくはない。
少しずつではあるが俺の体調も回復してきたし、カーバンクルがあれば戦闘も可能と言う事はアーヴァインとの殴り合いで実証できている。
だから――

「俺一人でアルティミシアの城に潜入し、首輪の制御に使われている機材を破壊する。
 その上で可能であれば旅の扉を解放する。
 旅の扉の解放が不可能であれば部下を撃破して魔女の戦力を奪う。
 以上がこちらの計画だ。どうか協力してほしい」

俺の考えた最善の選択を実行しよう。
これ以上、誰かを過去形で呼ばないために。
俺の携わる最後の計画になったとしても。



【スコール (微度の毒状態、手足に痺れ(ほぼ回復)、首輪解除、睡眠中)
 所持品:ライオンハート エアナイフ、攻略本(落丁有り)、研究メモ、 ドライバーに改造した聖なる矢×2G.F.カーバンクル(召喚○、コマンドアビリティ×、HP2/5)
 吹雪の剣、セイブ・ザ・クイーン(FF8) 、貴族の服、炎のリング、ウネの鍵、スコールのカードデッキ(コンプリート済み)
 第一行動方針:アルティミシア城に潜入し、首輪制御装置を破壊する
 第二行動方針:旅の扉を常時解放させる/アルティミシアの配下を殲滅
 基本行動方針:ゲームを止める】
【現在位置:南東の祠:最深部の部屋】

【ザンデ 所持品:無し
 第一行動方針:スコールに協力する??
 基本行動方針:ウネや他の協力者を探し、ゲームを脱出する】
【現在位置:????】

49 :
以上、投下終了です。
支援ありがとうございました!

50 :
スレ立て&重厚新作がいちどきに...これは奇跡か……・゚・(ノД`)ノ【マヂデゥレシィ・・・】.+゚*。:゚+
書き手さん&支援さん(慈円てw)ありがとう!超絶乙です!

久々に登場のザンデ、相変らず元気にライブラ狂で何より
終始仏頂面ながら「あっという間に機嫌を直して語り始める」のにワロタ
ウネとの痴話喧嘩もなんか微笑ましいな

分析マニア魔王と判断力ピカイチ班長の邂逅で一気に脱出計画が具体的になったね
現実は混沌を極めてるけど脱出組も横槍組も頑張れ〜

51 :
乙です!
ギルダーの最期の思考が二股そのものだったことを今更明かされて、笑っちまったよ。

52 :
投下乙です
すげえ、考察が一気に進んだ!
GFとかの要素からクロスしててめっちゃニヤニヤした
最期はスコールがかっこいい

53 :
     .'´ ⌒ ヽ  |ヽ ̄ン、     
    ' /ノノ`ヾ_/`´__ヽ      
ピュー (((*゚ ヮ゚ノ  |从*´∀`) ̄  <スレ立て&投下乙!
    (y)ヾ-〃  ソノ斤川ヽ 
  =〔~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
  = ◎―――――――◎

このロワは進行こそ凄い遅いが、確実は進んでいる感はあるなw

54 :
投下おつ!
ザンデ君は自重をしましょう(通知簿
そんでは、班長……一人で行くだなんてそんな……
すごくいやな予感がしますな……

55 :
投下乙です

死後(リアルタイムで)10年経って最期の光景をウネやドーガに見られるとはギルダーも思うまい
しかし改めて思うけどこのロワでのザンデは本当にいいキャラだなぁ

56 :
保守

57 :
hosyu

58 :
hosyu

59 :
何かの本で読んだ記憶がある。
『人生において、幸運と不運を足せば最終的にはゼロになる』と。

何かの本で読んだ記憶がある。
『不幸な人間ほど不運に愛され、幸福な人間ほど幸運に愛される』と。

かつて人間として生きていた時は前者の方が正しいと思い込んでいた。
しかし今、私の経験に照らし合わせれば後者の方が正しいと判断するほかない。
あの忌々しい道化師ケフカに貶められて以来、蔑む人間に情けをかけられ、自ら作り上げたコピーには逃げ出され、
再びケフカと相まみえるも取り逃がし、しまいには薄汚れた着ぐるみ女に翻弄される始末。
もちろん幾つかの事象は運の問題というよりも私自身の実力不足や見識の甘さに基づいているのだが、それ故に性質が悪い。

――だから、目の前の小僧がうわごとのように私の名を呼んだ事に対しても。
真っ先に浮かんだ感情は驚きでも殺意でもなく、不快感とそれを上回る自嘲だった。

「君は……
 ……貴方が、セフィロス……なんですか?」

躊躇うような問いかけとは裏腹に、その表情に宿るのは紛うことなき確信の色。
小僧の傍らでくたばった爺いが死に際に伝えたのか。
あるいは出会った生存者に基づく消去法と私の行動から総合的に判断したのか、私の知らぬ力で見破ったとでもいうのか。
そんなことは考えるまでもなくどうでもいい話だ。
どれほど無様で滑稽な醜態を晒していても、私自身が自らをセフィロスであると認めていたい以上、真実は一つしか存在しない。
何を以って判断したにしろ、ソロという小僧は真実に行きついた。
それだけの話。

けれど……
けれども、だ。
私は何と答えれば良い?
刀も持てずにカーカーと泣き喚き、【闇】を自力で手中に収める術も持たず、
人を侮る気狂い共に一矢たりとて報えず、小僧や老いぼれの機転だので命を拾う、そんな存在がセフィロスであると公言しろと?
それとも私自身たる矜持すら捨てて無力で無害なカッパになりきり、こんな小僧如きに媚を売れと?

「カー」

『ふざけるな』。
意識せずとも胸中に渦巻く感情が口からこぼれる。
ソロの表情が強張るが、知った事か。
こんな若造一人が敵に回ろうが、一対一であればいなす自信はある。
懸念するとすればケフカが横槍を挟んでくる場合だが、
そんな意志や魔力があるなら着ぐるみ女がメテオもどきを放った直後に私を狙っているだろう。

60 :
どうでもいい。
目の前の小僧一人の思惑など、本当にどうでもいい。
私は単純に、肯定も否定もしたくないだけなのだ。
百歩譲って人間の言葉や価値感を持たず、不当に見下しも敬いもしないアンジェロのような存在なら知られても構わないが――
これ以上『人間』に侮られることだけは我慢ならない。

「……すみません」

何をどう受け取ったのか、ソロはきまりが悪そうに視線を外し、頭を下げる。
緑色の髪が、天上より照り返す溶岩色の光を浴びながら揺れた。

「貴方が誰であれど、僕の窮地を救い、クリムトさんの手当をしようとしてくれた。
 それに対する感謝も言わず、ただ疑いを向けるなど無礼が過ぎました。
 申し訳ありません。それと……ありがとうございます」

愚直なお人よし。そんな単語が脳裏を過ぎる。
悪気など欠片も見当たらない真摯な態度と常人とは異なる髪色に、いつか殺めた女の影が重なった。

「カー」
――『嫌味か?』

この小僧にその手の意図はないと薄々わかっていながらも、吐き捨てずにはいられなかった。
いっそ敵対心も露わに襲いかかってきていたのなら仕留める気も起きたのだが、現状を鑑みれば口止めや人減らしは悪手。
私自身に直接【闇】を吸収する素質が無い以上、ソロを殺したところで残った【闇】は他者の元に届くだけ。
近くに居る生存者が誰かを考慮すれば、ケフカの手に【闇】が渡ってしまうことも十分考えられる。
それにアンジェロとの約定も破る事になるし、あの犬の協力が期待できなくなればそれもケフカにとって有利に働く。
どう考えても、ソロをR不利益こそあれど利も理もない。
向こうに戦意がなく、話し合いで方を付けられる可能性が高い以上、戦闘回避に動くのが上策ではある。
さすがに今の言葉を聞きとがめられていたら問題があるだろうが、所詮人間、こんな間抜けなカッパ語などわかるまいし――

「そんなつもりはないのですが……いえ、何を言ってもただの言い訳にしかなりませんね。
 本当にすみませんでした」

……。

「……カーカー(こんな鳴き声でこちらの言葉がわかるのか?)」
「何となくですが、わかります。
 クリムトさんが僕に力を残してくれたみたいで、その、姿も……それなりにはっきりと見えます」

61 :
ふざけるな。
マテリアも何も使わず死に際に他人に力を与える? どんな異能だ、それは。
物体に命を吹き込むインスパイアの亜種か?
しかも姿を見破るだけでなく言葉まで聞き分けるなどどういう効果だ。
オートでみやぶるを発動できるようになったということか?
老いぼれめ……手当てなどせずに止めを刺しておくべきだったか……?

「……貴方はまだ、殺し合いに乗るつもりなんですか?」

感情など表情に出したつもりもなかったが、そこは異能の力の賜物か。
ソロは私の内心を見抜いたらしく、拳を握りしめながら問いかけてくる。
ユウナとの戦いで奴が振るっていた装飾過多な剣はすぐそこの床に転がっているし、
そもそも背負ったザックの中にティーダの形見とやらの青い剣が入っているはずなのだが、装備しようとはしない。
一瞬、徒手空拳でも私に勝てるという侮りの表れかと思ったが……
あくまで話し合いに臨む上での礼儀として武器を取らずにいるのだろう。
こいつはそういうタイプの人間だ。
別に嫌う意味はないのだが、いちいち好感を抱きたくもない。

「カー、カーカー
 (乗らない、と言えば信じるのか?)」
「信じます」

吐き捨てるように問いかけてみれば、即答が戻ってくる。
字面以外の歪んだ解釈を許さない、躊躇いも曖昧さもない返答に、さしもの私もやや面食らった。
少なくともアリアハンで私が成したことに関しては、サイファーが口やかましいほどに主張していた事なのだ。
それを踏まえていて一体なぜ――と考えたところで、忌々しいほど丁寧に向こうから説明してくれた。

「あなたが本当に邪悪な心の持ち主であるなら、油断している僕らの隙をついてRことなんていくらでも出来たはずだ。
 そうしないで僕達と同行してくれていたこと、どのような理由であろうと僕達を助けてくれたこと。
 ……R事、それ自体が目的でないのなら、きっと話し合えると思いました。
 それに……何より、アンジェロも貴方に対して心を許していたように見えたんです。
 動物に好かれる人は、根っからの悪人じゃありません」

「……」
馬鹿か、こいつは。

貴様らを仕留めなかったのも、渋々助けてやったのも、アンジェロが私に交渉を持ちかけてきたのも、私がそれを受けたのも。
何もかも全て単なる打算だ。
こいつが考えているような安っぽい善意などありはしない。
わけのわからない先入観に囚われた曇った眼しか持たないくせに、人の理解者を気取るつもりなのか?

――下らない。

62 :
失望と苛立ちが胸に広がる。
ああ、だが、人間とは元来このように愚鈍で無知なくせに全知全能を目指し千識万能を気取る下種な生き物だった。
己がどれほど無力であるかすら知ろうとせず、過去にも未来にも目を向けずに日々星を喰らい潰すだけの愚かな生命体。
そのくせ自分達が賢しく善良な存在だと思い込み、加害者の分際で被害者面をしながら生きているだけの虫けらども。
ザックスも、クラウドも、宝条も、ガストも、こいつも。
誰も彼も、結局は人間という種族の枠を超えられはしないのだ。

ケフカに抱いているモノとは似て非なる、しかし同等の不愉快さが心に湧き上がる。
こんな頭の中が花畑で出来ているような小僧の尺度で推し量られた挙句、勝手に善人認定されかけているのだ。
苛立たないでいられるか。

「カーカー。カーカーカーーーァ。カカカーァカーカカーー。
 (ほう、随分と安い信頼があったものだな?
 この殺し合い、最終的な椅子は一つきり。
 ならば一人二人と追いかけて殺していくよりも多人数をまとめて始末する方が上策だと思わないか?)」

現状、R意味どころか戦う意義さえないことはわかりきっている。
だがつまらん幻想を少しでも砕き、その小憎たらしい偽善者面を剥がしてやりたくなった。
それ故の虚勢。それ故の挑発。
けれどソロは真剣な表情を崩しもせず、凛とした口調で応じる。

「椅子が一つしかないと言っているのは魔女一人。
 僕らの手で隠されている椅子を見つけ出せば、殺し合う必要などありません」
「クァックァックァッ……カーカー。カーカカー?
 (クックック……実に理想的な話だな。
 絵に描いたパンを取り出して食えると本気で信じているのか?)」
「絵のモデルになったパンを探せば食べられます。
 モデルが存在しないというなら、絵に似たパンを作ってしまえばいい」

……存外に口が減らない小僧だ。
だが、思い返してみれば私を警戒していたサイファーに対しても色々と言い包めていたな。

「カカー。カーァカカアーカー。
 (下らん詭弁だ。
 それとも貴様には首輪を外し全員で魔女を倒し各々の世界に帰還する秘策があるとでも?)」
「いいえ。今はまだ、いくつかの手掛かりを掴んでいるだけです。
 ですが殺し合いに乗って一人で生き残ったとして、魔女が生存者を解放するとは思えません。
 現に最初の広間で説明があった時、魔女や魔女の僕は『生き残った人物を元の世界に返す』とは一言も言っていませんでした」
「……カーカーカカー。
 (……魔女を仕留めてその力を奪えばいいだけだ)」
「そう簡単に奪える力があるとも思えないんですが……
 いえ、その点は差し置くとしても、首輪を外せなければどのみち魔女を倒す事は不可能です。
 貴方の目的があくまで生還にあり、殺し合いが手段に過ぎないというのなら」
「……カー、カー?
 (協力しろ、と?)」
「はい。貴方を含めた全員が、帰るべき場所へ帰れるように」

63 :
ソロの革靴が僅かに前へ動き、ざり、とひびわれた床をこすり上げる。
私の半分も生きていないような小僧のくせに――あるいはその若さ故、か。
こちらを恐れる様子もなくずけずけと踏み込んでくる厚顔無恥さ。
こういう奴は以前にも居た。
例えばアンジール、ジェネシス、ザックス。
武器を取ればこちらに追いつき追い抜こうと奮迅し、戦場を離れれば次の休日の予定を聞いて下らない約束をねじ込もうとした連中。
誰も彼も私の理解者足りえなかったが、しかし、一時だけは確かに友と認めていたこともあった。
あるいはクジャ。
傲慢と尊大を形にしたようなあの男を懐かしむ気はないが、他を寄せ付けぬ力と傲慢なまでの自信は本物だった。
奴とアリアハンで出会った時、私の理解者足りうる可能性を感じたのは事実だ。
だからこそ手を組んだ。だからこそ、……信じた。

だが、結局はどうだ。
アンジールもザックスも、クジャさえも。
ジェネシス以外は皆、人間に組する事を選んだ。
母を拒絶し、母を封じ、母を利用し、母を傷つけ続けた、忌々しい人間共の為に生きることを選んだのだ。

この小僧も同じだ。
人間の味方。人間の仲間。
人間だけを守り、それ以外を排除する、人間の為の『英雄』。

「………」

『断る』と口にできたらどれほど心地良いだろう。
私の願いは母の悲願を果たすこと。
私の望みは母がかつてそうしたように、星を巡り星を喰らい永遠に栄えること。
ジェノバとしてではなく、母の血を引く子として、星の命さえも超えた神となること。
人間ともセトラとも決して相容れぬ未来こそが私の夢。
何も理解しようとしないまま、母や私を排除するような種族の手など取りたくもない。
しかし、しかし、しかし……

「協力できるほど僕達を信用できないというのなら、停戦でも構いません。
 僕は命ある限り、魔女を倒して生還する手段を探します。
 そのために、僕と僕の仲間達に時間を与えてほしいのです」
「……、カァーカカー、カーカーカカー? カーカーーカーカー?
 (……、24時間誰も死ななければ首輪が爆発して死ぬ、そんな説明があったはずだが?
  実を結ぶかどうかもわからない努力に期待して貴様らと仲良く爆死するリスクを犯せと?)」
「それでも……今から一日分の時間は保障されているはずです」

緑色の瞳が躊躇いがちに揺れ動きながら老いぼれの死体へと向けられる。
正確な時刻こそ弾き出せずとも、ソレがいつ命を失ったのかは明白極まりなかった。

64 :
【闇】を手にしようと思うなら、今ソロをRべきではない
ケフカを倒すためには、今ソロをRべきではない。
元の姿に戻る方法や首輪を外す方法を未だ見つけていない以上、今ソロをRべきではない。
あらゆる要素がこの小僧の言葉を飲めと強いてくる。
状況が、現状が、感情のままに動くことを許さない――

……ああ、まるで。
まるでこれでは神羅のソルジャー1stのようではないか。
社内の誰よりも強いと認められながら、地位と職務と人間関係に縛られて自由を許されない兵士。
戻れと言うのか。
あの頃に。
この私が。
この私を。
この私に。
今更、ソルジャー1stとして生きる人間セフィロスのように振る舞えというのか。

「……カー(嫌だ)」

私は、私のまま、母の子として存在したいのだ。
母の子として、母の為に人間への復讐を果たしたいのだ。
そうでなければ、私は――私は……!

「……そう、ですか」

ソロの唇が動き、強張った声が零れ落ちる。
しかしさすがに予測の範囲内だったのだろう。
必要以上に狼狽える様子などは見せず、こちらを真っ直ぐ見つめたまま問いかける。

「せめて、理由を聞かせてもらえませんか?」
「カー(断る)」

こればかりは即答するしかなかった。
この胸に渦巻く感情は『私』という人格と存在を構成する核であると同時に、決して曝け出せぬ弱点でもある。
ソロに限らず、例え尋ねたのがアンジェロだったとしても、口になど出したくない。

「どうしても、ですか?」

ソロは歯を食いしばり、念を押すように聞いてくる。
この平和主義者の小僧のことだ。
本当に、純粋に、私と戦いたくないし殺したくもないのだろう。

・・・・・
だからこそ不愉快極まりない。

65 :
私が首を縦に振ったとして、それでこの小僧は何をするか。
わかりきった話だ。
どうせ美辞麗句を並べたてながら私を矢面に立たせ、こちらの意志を顧みる事無く自分達に付き従わせるのだろう?
神羅という企業がそうだったように、私の心情も、理想とやらのために切り捨てられ取り零される存在も見て見ぬふりをし、
大義のための尊い犠牲として勝手に祭り上げながら、その実は単なる道具として使い潰していくのだろう?
そしていざ私が私自身の願いのために戦おうとすれば一方的に『裏切り者』と罵るのだろう?
『信頼していたのに』と嘯きながら剣を向け、被害者面をして襲いかかってくるのだろう?

今更、誰が利用されるか。
誰が手を組むものか。
私はもうソルジャー1stではない。
私は英雄と呼ばれる操り人形ではない。
私は――私は、最初から人間などではない!
私は私だ!
私は、私が、私こそが――!!


 "さっきからカアカア、カアカア。
  何言ってんのかわかんなぁいんだよ、ブァーーカ!!"


――……。

頭に血が上りきったせいだろうか。
瞬間、脳裏にケフカの姿と言葉が過ぎった。

"ここで小僧の手を払えば、笑うのはあの道化"
そんな当たり前のことを再確認し、急速に思考が平静さを取り戻す。
そもそもソロに限らず、ケフカも魔女も人間である事には変わらない。
三者三様に全くもって気に食わない思考回路をしているが、現状停戦することが可能でその価値があるのはソロのみ。
そもそもあの道化の不愉快な笑い声は一分一秒とて聞いていたくないし、
下らん三文芝居の脚本を書いた挙句人の醜態を眺めているだろう魔女にはケフカ以上に後悔と絶望を送らなければ気が済まない。
紆余曲折の果てに思考はぐるりと一周し、元の結論を指し示す。
即ち――

「……カー。
 (保留させろ)」

「え?」
更なる説得の言葉を探していたらしいソロが顔を上げる。
そのきょとんとした表情が、一瞬、どこぞの『子犬』と重なった。
私は反射的に視線を逸らしながら言葉を続ける。

66 :
「カーカー、カカーカーカー。カーカァーカー。カァーカーァー。
 (貴様は気に入らんが、ケフカのやり口と存在はそれ以上に気に食わん。
 だいたい奴は貴様らにとっても邪魔だろうし、話し合うなどと寝言をのたまう気もないだろう?)」
「……そう、ですね。
 確かにあの道化師にはエビルプリーストと同様の気配を感じました。
 生きるためではなく、【闇】に冒されたわけでもなく、ただ己の欲望のために破滅をまき散らす邪悪さを」

邪悪の基準などどうでもいいが、ケフカについてはきちんと『倒すべき存在』として認識しているようだ。
アレに対しても安っぽいラブアンドピースを謳うようならばさすがにここで始末する他ないし、
それはそれで堂々とうっぷん晴らしが出来る理由に成りえたのだが。
『残念だ』と言うべきか、『命拾いしたな小僧』と言うべきか悩ましいところだ。
まあいい。

「カーーカーカカーーー。カーカーカー。
 (今ここで貴様と潰し合ってもケフカを喜ばせるだけだ。
 奴を仕留めるまでは停戦する。その程度の約束で良ければ承諾してやる)」

出来る事ならばケフカは私一人の力で倒したい。
だが相手が白マテリアを持っていて連続で発動できるとわかった以上、話は別だ。
戦うにあたり、最低でも奴の攻撃を一手に引きつける盾役の存在は必須。
その一点だけで評するならソロの性格はむしろ都合が良い方だろう。
色々と気に入らないがな。

「……わかりました。
 その間に少しでも貴方の考えが変わるよう、努力します」

『とっかかりが出来ただけマシ』とでも考えたのだろうか。
ソロは強張った表情のまま、しかしどこか安堵したように息を吐いた。
取るに足らない若造一人の努力で他人を変えられると思うのも、やはり若者特有の傲慢さか。
鼻につくが、さりとてわざわざ指摘してやるほどの義理もない。

「しかし、あの道化師はどこに行ったのでしょうか?
 まさかこの城を後にして、他の場所に居る人達を殺しに行った……?」
「カー、カァーカーカーカー。カカーァカーカ、カアカーカーァ。
 (いや、城からは離れんだろう。
 根拠は話せないが、恐らく奴はこの城自体に用があるはずだ)」

67 :
そもそもケフカが私をカッパに変えたのは、魔法の解除をエサとして他の参加者を殺させるためだった。
あれからほんの数時間、掌を返すにはあまりにも早すぎる。
私を始末することが私を利用する以上のメリットに繋がる、そんな『何か』を発見したに違いない。

真っ先に思いつくのは【闇】、そして【進化の秘法】。
例えばどこかで先ほど作ったコピー――アーヴァインを見つけ、何らかの手段で情報を聞き出した。
例えばどこかでここの城主だったという男・ピサロと出会っていて、話を聞いていた。
例えば私のように、自力で得た情報とプサン等から得た話を合わせて導き出した。
いずれにしても有り得る話だろう。

「……まさか、進化の秘法?」
私と同じ結論に至ったらしいソロの表情が、あからさまに曇る。
そういえばこの小僧は進化の秘法について多少の知識があるのだったか。
問いただせるものなら問いただしたいが、聞いたところで答えるとは思えないし無駄に警戒させるだけだろう。

「カーカー。カーカカカーカーカー。
 (そのまさかだろうな。
 面倒な事になる前にここで潰す。貴様の話はその後で改めて考えてやろう)」

私はあえてソロの言葉を肯定し希望を持たせてやりながら、あたりをぐるりと見回す。
ケフカの気配は感じられない。
が、どこに隠れていようと逃がす気はない。

奴だけはここでR。
必ずだ、ケフカ――!!

68 :
【セフィロス (カッパ 性格変化:みえっぱり 防御力UP HP:????)
 所持品:村正 ふういんマテリア いかづちの杖 奇跡の剣 いばらの冠 プレデターエッジ 筆記具
     ドラゴンオーブ、スタングレネード、弓、木の矢28本、聖なる矢14本、
     ウィンチェスター(みやぶる+あやつる)、波動の杖、コルトガバメントの弾倉×2、E:ルビーの腕輪
 第一行動方針:ケフカをR
 第二行動方針:カッパを治して首輪を外す
 第三行動方針:進化の秘法を使って力を手に入れる/アーヴァインを利用して【闇】の力を得たジェノバとリユニオンする
 第四行動方針:黒マテリアを探す
 最終行動方針:生き残り、力を得て全ての人間を皆殺しにする(?)】

【ソロ(HP3/5 魔力1/8 マホステ状態、真実の力を継承)
 所持品:ラミアスの剣(天空の剣) 天空の盾 ひそひ草
      ジ・アベンジャー(爪) 水のリング 天空の兜
     フラタニティ 青銅の盾 首輪 ケフカのメモ 着替え用の服(数着) ティーダの私服
 第一行動方針:ケフカを倒す
 第二行動方針:セフィロスを説得する/サイファー・ロック達と合流し、南東の祠へ戻る
 基本行動方針:PKK含むこれ以上の殺人を防ぐ+仲間を探す
※但し、真剣勝負が必要になる局面が来た場合の事は覚悟しつつあり】

69 :
投下乙です
セフィロス、大分鬱憤と屈辱たまってたんだな……。
でもごめん、言ってることはすごい憤り感じたのにカーカーでワロタ
そっからソルジャー時代絡めてきたのはにはうおおってなった
それを今も引きずってるのが逆にすごい人間らしいよ、あんた

70 :
また半年くらいじっと我慢の子かと思ったらまさかの新作降臨とは!書き手さん乙です!

やばいよソロ死にそうだよ

なんか大丈夫かも

やっぱ死にそうかも

殺伐とした世界でも揺るがないソロのまっすぐ勇者っぷりは頼もしいけど
まっすぐすぎるが故になんか危ういな…

カパロスはシリアスになればなるほど笑いを誘ってしまうという悲劇w

71 :
ほしゅ

72 :
おつ!ソロははやくいてつく波動かけてやれよww

73 :
 

74 :
支援

75 :
リノア=アルティミシアという説は成り立ちません。
イデア曰く「アルティミシアは自分の何代も後の魔女」なのにリノアはイデアの次の代。

グリーヴァの召喚:スコールの心にイメージされたグリーヴァをG.F.として実体化
↑ソースはFF20thアルティマニア
http://wikiwiki.jp/ffex/?%A1%DA%CB%E2%BD%F7%B9%CD%BB%A1%A1%DB  
『ファイナルファンタジー 20th アニバーサリー アルティマニア File:2 シナリオ編』において「スコールの心にイメージされたグリーヴァをG.F.として実体化」と説明されています。

グリーヴァ召喚時のアルティミシアの台詞
「おまえの思う、最も強い者を召喚してやろう」
「おまえが強く思えば思うほど、」
「それは、おまえを苦しめるだろう」

76 :
支援

77 :
リノア=アルティミシアという説は成り立ちません。
・イデア曰く「アルティミシアは自分の何代も後の魔女」なのにリノアはイデアの次の代。
・グリーヴァ召喚:スコールの心にイメージされたグリーヴァをG.F.として実体化させた。 ←ソースはFF20thアルティマニア

78 :
支援

79 :
このスレまだあったのかよwww
始まったの10年前じゃね。

80 :
DQ8とFF12が発売される前に立ったスレだからなぁw
DQロワも3rdになってここに追いついてしまったよw

81 :
 

82 :
ほしゅ

83 :
保守

84 :
ほしゅ

85 :


86 :
DQロワに抜かれないように頑張れ

87 :
名ロワと思ってるので完結待ってる
…けど書き手さんも忘れていてもおかしくないほど時間経過してしまったな

88 :
ぶっちゃけこのペースだと完結まであと10年掛かる。冗談抜きで。
東京五輪開催のころに闇の世界編が終わるくらいやろなあ・・・このままだと

89 :
何年かかっても待ち続けるし読み続ける心づもりである。

90 :
保守

91 :
未来は常に現在の先に存在する。
ならば現在起きた出来事全てを把握できれば、未来を見る事は可能であるのか。
数百年前までの、天空の城に座していたマスタードラゴンならばその問いに頷いただろう。
しかし"三人"の勇者に出会い、只人に紛れて数十年間の日々を送った彼は首を横に振る。

未来は常に、生きとし生けるものの意志によって揺れ動く。
不透明にして不確定、不定形にして不明瞭。
だからこそ、ただ一人の努力が千年に一度の奇跡を呼び覚ます。
だからこそ、ただ一人の欲望が万人に不幸を齎す。
そしてだからこそただ一人の希望が絶望へと裏返り、ただ一人の絶望が――

「……ああ、本当に。
 こういうのは幾つになっても堪えますねえ」

ぽつりとこぼれた呟きは、数歩先を行くエルフの耳にさえ届く事はなく。
掻き分け踏み拉かれてゆく葉擦れの音に飲み込まれて消えていく。
もっとも、二人が足を止めていたとしても遠雷のように響く銃声に気を取られて聞き逃すだろうが。

絶望の果てに己を見失ったであろう青年。
嫉妬に狂わされたであろう女性。
彼らの本質が悪ではないことなど、神としての権能を振るわずともわかりきっている。
ただ他人よりも、自分よりも、少しだけ大切な人間がいた。
ただ他の誰よりも自分を気に掛けてほしかった、そんな相手がいた。
本来であれば一時の悲しみで終わるであろう、それだけの話。

エルフの娘は言った。
女性が抱くソレは偽りの愛でしかないと。
その言葉が完全に間違っているとまでは言わない。
愛を捧げる相手すら否定する感情など愚かしいにも程がある。
人間よりも遥かに生命を尊ぶエルフであれば尚更に怒りを感じるはずだ。

ああ、だが、だが。
プサンの胸中で消えぬ疑問が渦を巻く。
確かに先の言葉はエルフの価値観としては正しい。
しかし、だ。
"ロザリーの言葉"としてはあまりに似つかわしくない。
何故なら――……

92 :
「……プサン様?」

思考に沈むプサンの視界で、ふわりと何かが翻った。
面を上げれば、そこには薄汚れたドレスの裾を抑えながら小首をかしげるロザリーの姿。
どうやらプサンの走る速度が遅くなっている事に気づき、労りの声をかけてきたようだ。
肩口の傷と足を交互に見やり不安と心配を湛えるルビーの瞳からは、邪悪さなど欠片も感じられない。

「大丈夫ですか?」
「……ええ、大丈夫です」

人間ならば激痛で気絶しているかもしれないが、彼の本性は曲がりなりにも竜の神だ。
「そりゃ本音を言えば今すぐベッドの上に寝転がって休みたいですがね。
 南東の祠に辿り着けば一息つけるでしょうし、そのために歩くのだと思えば歩いていられますよ。
 それに……」

"今の貴方から目を話して何かあったら取り返しがつかない"という言葉を飲み込み、プサンは別の台詞を継ぐ。

「……それに、ザンデさんやピサロ卿、ギードさん達、ザックスさん……
 彼らの意志や心意気を無駄にするわけにはいきませんからね。
 どうにか頑張ってみせますよ」

少しずつだが徐々に遠のいていく銃撃音。
それはザックスとアンジェロがデスキャッスル方面にユウナを誘導しながら戦っている証左だ。
逃げていくプサン達に凶弾が届かぬように、南東の祠の生存者達に累が及ばぬように、彼らは命を賭している。

「そうですか。……そうですね。
 肩をお貸ししますから一緒に頑張りましょう」
どこか陰りのある微笑みは、プサンが数百年前に見たものと同じもの。
恋人の身と共に人間達の命を案じた心優しいエルフの娘と何ら変わらない。
……けれど、けれども、どうしても。
その影に『彼女でない誰か』の姿を覚えずにはいられない。

「ありがとうございます。
 でも、今はお気持ちだけで十分ですよ。
 本当に歩けなくなったらその時にお願いいたしましょう」
「わかりました……ですが、遠慮せずに仰ってくださいね」

ロザリーの申し出を断りながら、プサンはほんの数分前の光景を思い出す。
殺戮を『愛する人の為』と答えたユウナ。
それを『偽りの愛』と真っ向から否定したロザリー。
果たして前行く彼女は――あるいは彼女に憑りついたソレは気付いているのだろうか。
ユウナが抱えた感情は、彼女が抱えてしまった愛は、かつて魔族の王ピサロがロザリーに注いだ愛と『本質的には同じ』だという事に。

93 :
ただ一人のために人間を滅ぼす。ただ一人のために生存者をR。
恋人の心情を思いやる事なく目的のための殺戮を優先し、その結果恋人を死に追いやる。
愛する人の今際の言葉にすら耳を傾けず。己の罪科を自覚する事もなく。
最後には身も心も思い出さえも投げ捨てて、世界さえも巻き込む破滅の道を突き進む――
他人も自身も全てを生贄とし、現実に非ず己が幻想の恋人に捧げる愛。
支配欲を根源とし絶望と悲しみで喉を潤す、闇の化身たる太古の魔王や魔神を祖とする魔族本来の愛の形。
あるいは闇に魅入られ魔に歪められた、哀れで悲しき愛の形。

確かに人間やエルフのような地上の生物には理解しがたいだろう。
過程を見れば愚かしく、結果を見ても死しか残らない。
しかしどれほど空虚であってもそこにあるのはやはり愛なのだ。
この世にある何よりも、この世にある全てよりも、ただ一人を求めたが故の暴走なのだ。

「………」

踵を返して歩き始めたロザリーの後を追いながら、プサンは思う。
もしもロザリーが何者に冒されることがなく、彼女本来の優しさと聡明さのままに言葉を選んでいたならば、
今のユウナにも届く言葉を紡いでいたのではないかと。
ピサロの愛を受け入れると同時に心から彼を愛し、しかしその非道だけは確固たる意志で否定したロザリーならば。
ユウナの想いが偽りなきものであると認めると同時に、彼女の非道のみを正すことができたのではないかと。

無論、確信や確証があるわけではない。
人の身では未来など見通せないし、予言を下すことすらできはしない。
だがティーダが死んだ今、ユウナの理解者足りえる素質があったのはロザリー以外に存在せず。
『進化の秘法を逆行させる』などという神すら成し得ない奇跡を起こしたのも彼女以外に居はしない。
自分を含めた他の生存者ではユウナを正気に戻せる確率など0%だろうが、彼女だけは幾ばくかの可能性を持っている。

……いや、"持っていた"。

過去は過去でしかなく、覆すことなど出来はしない。
結局、ロザリーの口から出た台詞はユウナの感情の完全否定。
それが彼女自身の穢れなき本心から出た偽らざる言葉だからだ――とはプサンにはどうしても思えない。
だいたいあの状況でユウナを否定し挑発する行為がどれほど危険かなど論ずるまでもないし、
それでもあんな台詞を返せるとすればそれは己の死を覚悟した人間か、ユウナの攻撃をいなす自信がある実力者だけだ。
平和主義者かつ臆病で、自身の力量も為すべき事もきちんと弁えているロザリーが選ぶ言葉ではない。

では誰の言葉かと考えれば、思い浮かぶのはただ一人。
死でさえも断てぬ愛をロザリーに注ぐ存在。
命尽きようとも魂だけでロザリーを守るだけの力量を持つ者。
鏡姫に狂愛を注いだ古き魔術師のように、愛する者の為ならば世の理すら否定する男。

魔王ピサロ――彼以外に誰がいるものか。

94 :
支援

95 :
支援

96 :
 

97 :
彼ならば人間であるユウナの愛など、いくら形が似ていようともロザリーを窮地に追いやるという一点だけで認めないだろう。
彼ほどの能力があれば狂人の一撃からロザリーを守り抜けると慢心してもおかしくないだろう。
彼ならば激昂したユウナがロザリー以外の誰を殺めようとも気にかけないだろう。

無論、神の力を封じたプサンには真実を見抜くことなど叶わない。
今の彼が持ちえるのは人の身と、幾千幾万の昼と夜を超え世界を見守り続けた記憶のみ。
言わば憶測や勘、あるいは思いつきの範疇でしかない。
だが証拠がなかろうとも、状況が雄弁に物語っている。
そもそもこの世界はピサロの領域を模したものであり、彼の能力が最大限に発揮される空間なのだ。
さらに言えばアーヴァインを通じて事前に【闇】の存在や性質を知り得ている。
これでどうしてあの魔王が何の手も打たずに死ぬというのか。
例え突然の死に見舞われようと、魔族の王として君臨するに相応しい魔力を以って散りゆく思念を留め、
身体を失おうとも魂のみでロザリーを守る。
カルベローナの民でさえ同じような事ができるというのに、その祖たる大魔女バーバレラに匹敵する才能と知識を持つピサロにできない道理がどこにある。

推察は既に確信へと代わっている。
けれども断言も口外もできはしない。
ロザリー本人に罪はなく、憑いた存在も直接悪を為そうとしているわけではない。
『ピサロが【闇】になって貴方に憑りついている』と指摘したところで、ロザリーがどうにかできるわけもない。
むしろ下手に自覚を持たせればピサロへの依存心が生まれるだけだ。
そうなれば確実に症状は悪化するだろうし、……最悪、他の【闇】までも取り込んで第二のユウナになってしまうかもしれない。
それだけは避けねばならない。
結界術の素質を持ちザンデから情報を受け継いだロザリーは、脱出の鍵を握る存在。
全生存者にとって希望の灯だ。
いかなる理由や事情があろうとも、死人の妄執に消させていい光ではない。

ならばどうすればいい?

考えるまでもない。
ピサロの意志が表出せずとも済むような安全な環境にロザリーを連れて行く。
ロザリーに為すべきことをさせ、責任感と自立心を強く持たせることで【闇】の影響を抑える。
要するに『早急に南東に辿り着いて保護してもらい、脱出計画を推し進めればいい』。
それ以外に出来る事などないし、そうすることは他の生存者の利にも繋がる。
考えるまでもない、選択肢は一つだけ。そのはずなのだ。
だが――どうしても不安が拭えない。

本当に今のロザリーを南東に連れて行って大丈夫なのか?
ロザリーに憑いている【闇】にピサロの意志が残っているならば、かつてのようにその殺意が罪なき人間にも向けられはしないのか?

98 :
さえ

99 :
脳裏に浮かぶ最悪の光景を否定できる要素はどこにもない。
しかし、それが現実になると断言できるだけの要素もこれまた存在しない。
ロザリーの強さを信じるか信じないか、彼女に憑いている【闇】に真っ当な意志と理性が残っているかどうか。
迷いは足取りを重くする。
状況は決断を急がせる。
そんなプサンの思考を打ち破ったのは、彼方から響いた声だった。

「おーーーい!
 そこのあんた、もしかしてロザリーさんか!?」

この生い茂る草むらでどうして先にこちらを見つけたのか。
その疑問は顔を上げた途端に氷解した。
数十メートル先に物理法則を無視して浮かぶボロボロの絨毯があり、その上には見覚えのある青年がいたからだ。

「ヘンリー王子!?」

ぱちぱちと目を瞬かせながら叫んだプサンの声に気付いたらしく、ヘンリーは絨毯からひらりと飛び降りる。
そして浮き続ける絨毯を引っ掴むとそのまま真っ直ぐ駆けてきた。
「マス……じゃない、プサン様も御無事でしたか!
 良かった! 猫耳つけたピンク髪が見えなかったら見過ごすところだったぜ!」
「あっ」
ヘンリーの言葉に、ロザリーは何故か顔を赤く染め猫耳アクセサリーを抑える。
「あの……そんなに目立ってますか?」
「え? ああ、まあ、空からだとわかりやすいな。
 でも空飛べる奴とか道具なんてこの絨毯以外はそうそう無いだろうし、猫耳より髪の色の方が目立ってたし……
 気にしないでいいんじゃないか? 可愛いは正義って言うしさ」

明らかにそんな言葉で片付けていい状況ではない。
が、装飾品は外せば済むが髪色はどうにもならない。
草を編んで被るぐらいしか実践可能な対処方法がなく、そんなことをする時間があるなら急いで祠に向かう方が合理的だ。
あるいはヘンリーもそこまで勘案した上で発言したのかもしれないが――

100 :
私怨


100〜のスレッドの続きを読む
【FFRK】FINAL FANTASY Record Keeper Lv294
【無能運営】【DQMSL】ドラゴンクエストモンスターズスーパーライト非課金スレpart2704【コテ・顔文字・課金・ミネオ禁止】
【DFFOO】DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA part1102【苦痛周回想定通りジレンマ ディシディアオペラオムニア】
(´・ω・`)豚小屋出張所 出荷24匹め(´・ω・`)
【0214】星のドラゴンクエストなかまP集めスレ☆17 part2【星ドラ】
【DQR】ドラゴンクエストライバルズ LV1592
(´・ω・`)豚小屋出張所 出荷8匹め(´・ω・`)
【無課金】FINAL FANTASY Record Keeper Lv2741【FFRK】
【FFBE】FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS Lv2512【バグ運営 緊急集金 限界集落 誤タップ徴収 抱き合わせフェス セレチケ無効 BAD臨界突破】
FF4総合スレ part194
--------------------
負けヒロイン声優の小澤亜李と久野美咲
宇宙的な音楽が聴きたいんだけど
コンビーフご飯
【マツキタツヤ】アクタージュアンチスレPart13【宇佐崎しろ】
参院竹下派"参院自民のドン"吉田博美「石破の会見に頭きてる。反安倍掲げるなら支持しない」
Octaveやmaximaなどの数学系のフリーソフトのスレ
【`・ω・´】ゅースレだぴょん【´・ω・`】
黒人アーティストの歌唱力・歌唱法について語るスレ
【国籍が】旧民主党系等研究第792弾【クラウド】
アホノミクスは金持ちばかりが醜く肥え太った2
日本生まれの在日中国人だけど質問ある?
BCGワクチン(特に日本型)が新型コロナに効果か 各国で臨床試験始まる★2
実況パワフルプロ野球2018 ペナント専用 Part12
本間日陽と言う大人気ない事をして張り切ってる老害はなんなの????
DAZN(ダ・ゾーン)専用スレッド・4
【セガ・サンリオ】 リルリルフェアリル Part1
【糞ダサ】ヱヴァンゲリヲン新劇場版1952【CG】
【PB】HOGYを語るスレ5【納期遅延】
【夜明けまで強がらなくてもいい】乃木坂46★10099【本スレ】
建築系の職人はビルとかでも隠れる所でめっちゃ落書きしてる
TOP カテ一覧 スレ一覧 100〜終まで 2ch元 削除依頼