レゾンデートルの墓場
時として憑依する者となり
生ける人間を支配する
誤解だ
記憶が無いという逃げは或いは生きる為に
墓場に埋めてきたものであるが
本来『無』ほど存在を主張して来るものは無い
それでは誤解だ
一度憑依したならその者と共に
其れはつまり精神障害者であることの余命宣告だった
わたくしは長く生きられないのですね
医師は黙った
家に有るものよりもよっぽど古い型のパソコンに向かって
精神分裂病
とキーを叩き紙に印刷して茶色い封筒に入れた
茶封筒というのはいつの時代も事務的で冷ややかだが
医院の事務員から受け取ったその場で
くしゃくしゃと丸めると
魂が丸まった
分裂した魂は憑依を遂げその者を制御する
宿借りなのである
しかしそうそう宿を替えられたのでは困る
エクソシストは尤もらしい儀式でパフォーマンスをするが
宿借りは『無』となっても宿借りで在り続け
一度憑依したその者と共に肉体ごと完全昇華しなければ
魂の細胞分裂は激しくなるばかりで
手遅れになった或る男は
まるでパンデミックを一人で起こしているように
完全昇華を避けるため
-鬼-となった
魂を売ったのだ
いくらで落札されたのかは知らないが
スーパースプレッダーだ
憑代になりやすいと言う者がよくいるが
それは即ち自分は隙だらけであると語るようなものだ
憑代体質の者には磁気が有るのかと思う程
手当たり次第の分裂した魂が寄ってきては憑依する
憑依とは？
感染症ですよ。
エクソシストは言い切ったが医師は頭を抱えて動かなくなった
感染を防ぐには？
共に死にましょう。
共に死にましょう共に死にましょう共に死にましょう
それではあの男は殺してしまわなければ困りますね
檻の中で眠るのは悪くないものだ
心の中で
それは宇宙速度を遙かに超越した非科学的スピードで
宛主に突き刺さる
エネルギー塊ですから
鈍感な者達が気づくことは到底ありません
例え人一倍鈍感でないとしても
人間とは感覚を研ぎ澄ます余裕などなく
ほとんど常に自らの現実的生活で精一杯ですから
脳ばかり動かしている割に意識を蔑ろにし
自己の痛みを無視
さすれば他人の痛みなど表層意識にも昇らず
攻撃をブロックすることもギフトを受け取ることもせずに
感覚感情を無視
有るのは思考ばかりなのです
情を持たぬその者達は
手紙など読まずに無意識のうちに食べてしまいました
わたくしは人間界に生き 人間を嫌悪する
未だに性善説を説く者の主張が理解できないのです
『人の性は悪なり その善なるものは偽なり』（引用）
本能的欲望と人間的理性を闘わせた時に勝つのは何方ですか？
議論などする迄もなく善悪を法で定めている我が国でさえ
破綻すればヒトは本能をむき出しにし
道徳心を棄て羞恥心を棄て平然と法律を違反することが出来る
それなのにまだ生まれながらの悪人はいないと言うのですか
性善説を唱えることが出来るとすればそれは性悪説ありきの話なのです
人は自分の話を聴いて欲しいだけの生き物
しかし聴けば次にはどうすれば良いかなどと
この先歩いてゆく道を示せと要求してくる
仮に要求通りにアドバイスを口にしても
大体の人はその内容ではなく『アドバイスしてくれた』という
表面的な事象に対して満足して
決してアドバイスに従って動くことはない
なぜならアドバイスとは『反論』であるからだ
相談者の行いを否定することになるからだ
自分を否定されてポジティブに受け取る人が多いといえるか
人は人の話を聴きたがる
人は自分の興味を満たしたいだけの生き物
しかし聴いている途中から頼んでもいないのに
話を遮ってすらアドバイスをし始める
仮にアドバイスを口にしなければ
『聴いてくれていない』と責められやしないかと恐れるのだ
内容的な対症療法を行ったことに満足して自己陶酔し
決して相手の本質的な解放を祈ってはいない
なぜならアドバイスとは『反論』であるからだ
聴き手の価値観を押し付けるものだからだ
相手を否定して持論展開に酔いしれることが相談なのか
死にたい と泣く人に人はうんざりする
社会的弱者は 消えろ といわんばかりに
そしてそれは間違っていない面がある
弱肉強食の本能を棄てきれずに人は生きているから
死にたい けど Rない と嘆く人を人は揶揄する
シヌシヌサギ
カマッテチャン
イクジナシ
そしてそれも間違っていない
手の中のクリスタル柱を仔細に観察しては
五感に加え第六感をも駆使し悉に記憶していく
目を閉じてわたくしの宇宙ステーションと繋がる
マントルはわたくしを引っ張るようにして
口から吐く息の色は少しずつ透過性を増す
淀んだ部屋の澱で彼等は生産性のない暮らしを続けている
やがて彼の人は祈ることをやめ信心を棄てる
冷たい茶色の床に這い蹲って肉体の限界を迎えようとする
その時恐怖があろうと後悔があろうと弁解があろうと
手の施しようがない生き方をしてきたと憐れみ黙って看取るより他無い
実に美しいヴィジョンだ
神を裏切ったアイデンティティは崩壊し
散り散りとなって魂の残滓となる
還るべき場処を喪う
『人を傷つけることなど何とも思っていない』と
突き動かすのは単純なエゴイズムによる怒りであり
理性を失った集団はエゴイズムな怒りによって傷つけられた
その被害的な部分のみを全面に出し
同じエゴイズムな怒りによって相手を攻撃し思想を主張する
つまり利己的な者同士の他愛ない喧嘩でしかない
抜け落ちた感受性はボロボロと皮膚から剥がれ落ちていったし
現れた本性はまるで抗議の対象と変わらず
そういえば人間らしさとは何だったか
優しさとはどういったものなのか
愛とは何なのか
マインドコントロール下にある者には理解し得ない
言動の伴わないそれは子にとって何の意味もなさない
同じく単なるエゴイズムで勝手に子を想い
的外れの 親心 を押し付けているだけなのだ
そこに子が何を希んでいるかなどという情報は不要であり
親は自己満足に陥って反抗期を迎えた子に右往左往するだけである
または自分なりに努力したと子を憎悪し反抗に反抗する者もいる
こうして得てして 親心 とはエゴイズムから成り立っている
それが更に子を苦しめているなどと想像もせずに
自らの正当化をすることで子から逃避する
子はそんな姿を見て何を感じどう成長するのだろうか
纏められた人間はそれを異常者と呼び群れから追い出す
魂にとって重要な事柄の中に物質的なものは一つもない
もしそれを得られていたら分裂はしなかったであろうし
一度分裂してしまったものを纏めるという考え方は
ピースがバラバラの儘完成した一種の芸術を
補完という名の下に破滅させ芸術家をRことと同等だ
分裂は時にアーティスティックな才能を発揮し
纏められた人間の其れよりも奇抜であるが故嫌悪する
或いはジェラシーとも取れるし狂気的差別思想であることも多い
魂の分裂を美化することもなく蔑むこともなく
欠片達の raison d'etre は一定に保持されるべきであるのに
そんなことに目もくれない人々こそが高評価を得る社会だ
日本国の未来を憂う
わたくしは憂鬱になる
捨てなければ症候群というのもあるのですね
分別収集は大分浸透して来たように思いますが
人生を捨てたい場合何曜日になるのでしょう
もしくは他の分別をしていて別途料金なのでしょうか
強迫性障害はちょっと困ります
依存と似ているからです
捨てることに依存するあまり
彼はベランダから飛び降りたのですが
何曜日に収集されたのかは忘れてしまいました
everyone will disappear.
It's True Lies.
ただ見棄てないのと見放さないのとでは違う
神に見放され諦められた人間は瓶の底へと沈んで
泥濘に埋められて這い上がれない
其れを嗤って見ている 神がいる
決して神はどのような人間であっても見棄てる事は無いが
身動きが取れず藻掻き苦しむ人間を
嘲笑って見ている 神がいる
確かに いる
何処かに出生届ごと落としてしまったらしいのです
この儘では名前どころか
この世に存在するという事すらも抹消され
生ける屍となって
泣く泣く辿り着いたのは交番でしたが
誰にも姿は見えていないようで
誰にも声は届いていないようで
仕方が無いので
市役所に行く事にしてみたのですが
出生届を書くに当たって
一箇所も文字で埋めることが出来ないものですから
受理されることはなく
わたくしの存在は受理されることはなく
彷徨い歩いているある夜に
道端で尋ねられた訳です
『おなまえは？』
紫のビロォドに包まれ杖をついた占い師には
わたくしの姿が見えたようなので
恐る恐る答えようとしたのですが
気が付いたのです
わたくしはわたくしの名前を知らない
『わかりません』
振り絞って囁いた時には
占い師は消えていました
そんな訳で わたくしの名前を教えて下さい
raison d'etre に墓場はあるのか
安らぎ 蹲って 安寧な呼吸を繰り返す
深海魚のように歪な姿で
木製の筒の中に居て
地中に筒は埋められて
わたくしはわたくしであると
正気を失うことなく
呼吸を終えるその日まで
過ごせる場処はあるのか
そもそもだ
そんなものを人は墓場と呼ばない
負けた と 思った
raison d'etre に墓場はあるのか
安らぎ 蹲って 安寧な呼吸を繰り返す
深海魚のように歪な姿で
木製の筒の中に居て
地中に筒は埋められて
わたくしはわたくしであると
正気を失うことなく
呼吸を終えるその日まで
過ごせる場処はあるのか
そもそもだ
そんなものを人は墓場と呼ばない
負けた と 思った
朱々と滴る最高の幕開けで
主人公が死んだ時その物語は終わる
脚本家は目深に被った黒のニット帽から
細い目を光らせていて
手にしたペンの先を真赤なインクに着けた
腕に四本の傷が描かれ
血とインクが交じり合った頃には
薄暗がりの岸壁で ケタケタ と笑い出し
二人の座るコンクリィトに朱の液体を零したのを見ると
次の瞬間 声も無く泣きだした
話としてはそんなに悪く無い筈なのだ
巻頭の見開きフルカラーを赤色のみで描くという
これ程無駄で無価値で我儘で斬新なことがあろうか
否あったかも知れない
しかし彼は脚本家の言うそれを受諾し
構図について話し合うべく脚本家の指定した場処である
昼も夜も人気のないこの岸壁に座したのだ
狂ったように笑われても困るが
泣かれても困る
本当に気が狂いそうだと訴え訴えしたのだけれど
これが病院というものだということでして
あんまりわたくしが騒ぐものだから
そんなに白が嫌ならと連れて行かれたのは
床も壁も天井も青く塗られた正方形の部屋でした
本当に気が狂うまでに左程時間は掛かりませんでした
何故ですか？
何故とは
何故 青色 なのですか？
赤色では駄目なのかと言いたいのですね
そうかもしれません
脚本家は着ていた白いシャツでペン先を綺麗に拭うと
インク瓶の蓋を締めわたくしに片手で返した
青色のインクにしましょうか
何故ですか？
何故とは
担当は赤一色で良いと言ったのでしょう？
一色とは言いましたが赤色とは言っていません
なんということだ
脚本家は赤色塗れの左手と綺麗な右手で頭を抱えたので
怒り出すのかと思い見ていると
ニタリ と 右頬だけで笑んだ
あんなに本性を見せておいてから
どんなに情があるアピールされても
信じられる訳はありません
信じられる訳はありません
のですから
内心嘲笑っているのです
どんなに情があるアピールしても
信じられる訳はありません
信じられる訳はありません
のですから
内心嘲笑われているのです
巨大スクリーンで見ると圧巻だ
あゝ 神だ
スクランブル交差点に座り込む男
正気かなどと訊かれても
そんなの神に訊いてくれ
神は どの回線にも どの電波にもいる
テレビはザッピングを始める
電話は傍受され
心電図は乱れる
映画館は暗闇と化し
残像に神が映し出される
神の声が聞こえる
神の声が聞こえる
或いは全人類に届く無数の幻聴である
波の天辺は白く光るので
しわくちゃの黒のシルクが敷いてあるようで
僅かでも目に入るその光は眩しく
我々の背後に 街 と言うものが在る事を
逃避したくて仕方の無い心情など介意わず突き付けるので
泣き出しそうになりながら
顔を上に向けると今度は似た光が灯っていて
真に漆黒の闇と言うのは存在しないのだと
肩を落とし気を落とし丸ペンを落とすと
カラカラと乾いた音で転がり行き
静寂の儘 静寂の中に消えて行った
ギヤアアアアアアアアアアアアア
というような悲痛の笑い声を上げた後
脚本家は一度しゃっくりをした
如何したのですか？
そちらこそ
商売道具でしょう？
安物です
驚きましたか？
特には
そうですか
脚本家は残念そうにもう一度しゃっくりをした
占い師は杖の音を響かせながら去って逝った
多次元世界を渡り歩く人々は皆そうで
眼に見えぬ者をも救うか救わぬかは各々である
わたくしはある程度の予想を付けてから
女に話し掛けようと近付いたが
有らぬスピードで地面から浮揚するので
陽炎の如く錯覚され見失った
やがて雲の切れ間に女は吸い込まれていた
占い師が赦せなかった
その日の日記帳には何も書く気が起きず
混乱した儘電話の受話器を手に取った
金を得た事への対価は社会的落ちこぼれだ
社会的落ちこぼれへの対価はヒトとしての退化だ
だから社会という歯車に巻き込まれてはならない
ならない
ならない
労働基準というものがあり
基準違反というものがあり
身は擦り減り弱る事も気付かぬ儘
社蓄と呼ばれながら否定出来ず
自己を疎かにし
生きる事を疎かにし
個は集団的社会に埋没し
魂すら蝕まれて逝く事も知らぬ儘
ただいきながらえなければならないのか？
夜遅くに帰る姉の為二人分の宿題をやった
両親の居ない代わりに働く少女は
病弱な妹と自身の生活費総てを背負った
病弱な少女は姉の為に家事を一手に引き受け
働く少女は妹の為に稼いだ金銭をつぎ込んだ
病弱な少女は成績が良く進学を推薦された
働く少女は益々増える支出に仕事を増やした
病弱な少女は姉の説得で進学を決めた
働く少女は学校に行けなくなり退学した
病弱な少女は進学試験日に倒れて死んだ
働く少女は妹の死んだ病院から飛び降りた
『そんなのはatomicなnegative spiralで
melancholyなkatharsisをconstructionするのに
anabolismのspecialistがabstractな
symbolic representationをcategorizeして
strangeなelectric waveというconcludeにしたんじゃないかしら』
相変わらず何が言いたいのかもわからなければ
何を意味する言語を並べているのかも解らず
黙って聴いているしか無いのだが
一言だけ『英語？』と訊くと『分からないわ』と答えられるので
ある意味何一つ意味不明な言葉の羅列なものだから
流れるノイズにしか過ぎず無感情の儘受話器を置いた
占い師の事はすっかり忘れていた
みんなそんなもんですよ
初めて入ったBarでカウンタの隣席に座った青年が言った
そんなものでしょうか
残念でなりません
わたくしのか細い声はBarで流れるサウンドに掻き消された
隣席の男しかおらず
サラリーマンは頻りにマスターと話していたが
焼酎の種類の話だったので解らなかった
わたくしは薄桃色のロングカクテルを飲み
隣席の男はウイスキーをロックで飲んでいた
あなたもそうなんですか
仕方なく此方から話し掛けると
隣席の男は黒いビジネスバッグの中から
オラクルカードの束を出した
タロットですか
タロットもやりますよ
も という事は此れはタロットカードではないのか
黙って見ているとカードを混ぜ出した
トランプのようだがきりかたはトランプとは違う
何か願い事を心の中で質問していて下さい
願い事を質問
日本語の意味が解らなかったが
占いであると考えれば願い事をしろという事なのだろう
願い事 ねえ
考え込むわたくしに介意わずカードは混ぜられていく
天使の絵柄に見入っているうちに
わたくしの目の前に三枚のカードが置かれた
何れも美しい絵柄でポストカードにしか思えない
裏も表も天使なのですね
どちらが裏でどちらが表だと
どちらかが裏でどちらかが表でしょう
其の通りです
隣席の男は満面笑みだった
この腐れた人間集団の中に潜むように
わたくしは労働しなければならない
精神衛生に悪い事は無いだろう
しかしどうも音というのはある一定の波で
時にヒトの波動と一致するようで
バイオリズムによって奪い取られた体調は
日毎に増していく爆発音のループのために
身体だけでなく魂までも蝕まれていくのに抗えず
世に言う健康と健全に嫌気を示したわたくしは
さして興味の無い人間の声を脳内でループする
爆発音は回数を増す
やがてバイオリズムも意味を為さなくなったヒトガタは
精神崩壊へと繋がって逝く路を敢えて選び
狂いそうだと自覚しながら留める事も出来ずに
意識を失う迄の間
自らの生を呪うだろう
例えば 安楽死 についての考察である
プロ志向
志向するだけなら自由である
我々は歩いているのではない
歩かされているのだ
墓地に向かって行進をする
彼岸の隊列が愛惜しい
事の実態を知らずに何故そんな事が言えるのか
幾ら説明を重ねても納得しないのは何故なのか
わたくしには知人ひとり居りません
親戚ひとり居りません
家族は喪いました
そんな事は無いだろうと其人は言うのです
言語としての定義付けをすれば確かにそんな事は有りません
わたくしを知る人は居りますし
血族姻族も散り散りに居ります
戸籍には直系血族者の氏名が記されて居ります
では表面上のわたくしを知る人々
接触のない親戚
機能しない家族
これらを以ってわたくしには知人親戚家族が居りますと言う義務が生じますか
孤独とは一体何者ですか
期末考査に出ると思います
神に 裏切られた とは 日本語文法的に狂っている
斯くして 裏切る とは 凡そ 被害妄想から出来ており
仮に 真に 裏切った者 に 非が有るとしても
その 主張 が 正論として通る事は まず 無い
さして違いを感じない
ところでわたくしの居住する地区にシティホテルは存在しないので
田舎のビジネスホテルと都会のシティホテルの比較となるが
ポイントはルームの広さや快適さじゃない
窓から見える景色でもない
あと朝食無料に興味はない
あと温泉も
つまり何故これだけ広いルームを構築できるのに
バストイレ洗面台に行った途端田舎のビジネスホテル感が出るのかだ
それだけのために旅先でわたくしが選ぶのは大体ラブホテルなのである
ちなみに田舎のラブホテルにもよく泊まる
都会のラブホテルとさして違いを感じないからだ
相談相手は財布だけである
あとチェックイン時間がちょっと遅い
予約は可の所が偶にあるからいい
ウェルカムドリンク最高
無論 前提条件は一人で在る事である
とうとうわたくしは手に入れたのだ
レオパレスという名の孤独を
大体何時も似たようなものだ
孤独は部屋の隅で佇んでいる
孤独を手に入れ
自由を手に入れ
自由という名の不自由に侵され
転げ回っていても
何処からも助けは来ない
孤独はその様子をジッと見ている
嘲笑ってさえいる
稀にテレビジョンを見ながら
国家情勢について議論するが
孤独は最後に必ず『自分には関係ないがね』と言う
なんと快適で有意義な人生だろうか
苦を苦とも思わない愛すべき存在
人間程弱く愚かしいものは無いと思っている
儚い静寂
それは法に守られているのか
法に縛られているのか
議論するようなもので
法を破った者にしか解らない退屈さでもある
沢山の人に囲まれた時
安堵するか恐怖するかの違いかも知れない
孤独は黙っている
黙って
孤独を祝ってくれているのだ
脚本通りに進んで行くだけだ
そう言えば
孤独さんの先輩で
天蓋孤独さんというのが居はるんですが
知ってます？
そっちとも知り合いなんですよ
良うして貰ってますねん
それはそれは結構なことで
脚本通りですね
宿命と言えば気障が過ぎるが特に意識した覚えは無い
矢張り脚本通りに進んで行くだけだ
さようなら
お祝いのケェキを購つて来なくちやね
ココはリアルワールドとワイアードのさかいめ
ニジゲンとサンジゲンのさかいめ
ヒトとヒデナシのさかいめ
さようなら
ワタクシはドコにもゾクさない
タジゲンセカイにイキル
ヒトガタなのデス
さようなら
ワタシ ノ コドク ヲ ユルシテ クダサイ
さようなら
はずだ
はずだったのだがなかなかどうして死人というのはよく喋るものだから
付き合っていれば眠れない
部屋はだたっぴろく仕切りもない
そこに死人が転がっている
最早白く霧のような見た目と変わり果て
まさかこれが人間共と同じ肉体を所持していたなどとは信じ難いのだが
声は生前と変わらないので信じてしまう
うまいこといきましたね
そうみえますか
にどとひきこもらなくてすむ
すみかえのことをいっているのならまちがいですよ
どこが
いちじてきなこどくにたいしたきたいはもっていない
しかしさわがしくなりますよ
でしょうねえ
うまいこといくでしょうね
それはまたどうでしょう
めんばあがきになるのですね
とうぜんでしょう
にじゅうにんはかたいとおもっているのです
あくむのさいらいというわけだ
そうはいってもかことはこうせいがちがう
いまじなりいにきょうみはありませんよ
とうぜんです
ではふつごうがしょうじることなどあきらかでは
そこをうまくやるんですよ
どうやって
たろっとをやってごらんなさい
いまですか
ひまつぶしとおもって
ばかにしているでしょう
まさか
はやまるのはよくない
そんなんだからちゃんすをのがす
しかたがありません
あきらめますか
あるていどは
あきらめきれますか
みれんがあるとしてなににみれんをもちますか
じぶんがおもうほどじぶんはつよくありません
ひとにこしつするほどよわくもない
そうでしょうか
ゆめもおなじです
またそのはなしですか
またそのはなしです
しかしなかなかみつかりませんね
そうですね
死人は項垂れると其れ切り喋らなかった
結局棄てたのと同じ位の容量の物を
手に入れて仕舞った気がします
どうする愛振る
不機嫌MAX
魂が分裂していると医師は言った
其れはつまり精神障害者であることの余命宣告だった
わたくしは長く生きられないのですね
医師は黙った
まるでパンデミックを一人で起こしているように
分裂した魂は憑依を遂げその者を制御する
憑依とは？
感染症ですよ。
感染を防ぐには？
共に死にましょう。
さすれば他人の痛みなど表層意識にも昇らず
有るのは思考ばかりなのです
12時間震度2の揺れが続いています
この眩暈による津波の心配はありません
大丈夫です
今のまま進みなさい
悪く云えば道化の様な相に
脅かし、寧ろ看取られるのはわたくしの側であれば
皆即ち煩武であるがその在様に痛ましむ事もない…
狡兎死して走狗烹らるという理を
捉えた。消えてまた
新しく補充され また消える
傷病者は決まって天使がやってくると
わたくしの場ではよく耳にする。
だが ひとたびナイアーが現れれば
人間はすぐ 縋り付いた、蔓のように
なぜ密室でパンを食べているのか
実は空腹で生きる事を渇望していたのだ。
黒い服の者はフローリングの床に十字架をめり込ませた
問うたところで答は解っている
神が決めたのです
神の意思なのです
神………
神……
神…
そればかりだ
なう。
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