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『読みました』報告・海外編Part.8


1 :2013/09/04 〜 最終レス :2016/02/02
『読みました』報告の形式は自由です。
ただし当然ながら犯人、トリック、プロット等々の
メール欄以外でのネタバレは厳禁です。
【前スレ】
『読みました』報告・海外編
http://book.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/984541588/l50
『読みました』報告・海外編Part.2
http://book3.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/1072265453/l50
『読みました』報告・海外編Part.3
http://love6.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/1141910665/l50
『読みました』報告・海外編Part.4
http://love6.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/1222100201/l50
『読みました』報告・海外編Part.5
http://love6.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/1222100201/l50
『読みました』報告・海外編Part.5
http://love6.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/1272900112/l50
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.5
http://love6.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/1275659798/l50
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.6
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/1284256057/
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.7
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/mystery/1353323940/l50

2 :
 || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
 || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。
 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
 ||  ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。
 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを
 ||  与えないで下さい。                  ΛΛ
 || ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて   \ (゚ー゚*) キホン。
 ||  ゴミが溜まったら削除が一番です。       ⊂⊂ |
 ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_      | ̄ ̄ ̄ ̄|
      (  ∧ ∧__ (   ∧ ∧__(   ∧ ∧     ̄ ̄ ̄
    〜(_(  ∧ ∧_ (  ∧ ∧_ (  ∧ ∧  は〜い、先生。
      〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)
        〜(___ノ  〜(___ノ   〜(___ノ

3 :
「ビューティー・キラー3 悪心」チェルシー・ケイン(ヴィレッジブックス)
美貌の殺人鬼グレッチェンが脱走した!
折しも簡易トイレで惨殺体が発見され、施設で療養中だったアーチーはまたもグレッチェンとの対決を強いられることに……。
これ読む前不機嫌でした。だって作者は当初3部作の予定だったのに止めたって言うんですもの。うわこりゃいかんですよと。
いくら魅力的な悪役だろうとズルズル引き摺られて延命されるんじゃ興醒めです。何事も退き際が肝心なんですから。
しかぁし、読み終えて反省しました。これなら認めます。流石キングをして「ハンニバルレクター通りは〜」と云わせただけのことはある作家でした。お薦めです。

4 :
「三本の緑の小壜」D・M・ディヴァイン(東京創元社)
ゴルフ場で少女の全裸死体が見つかった。容疑者とされた医師は崖から落ちて死亡。
しかし殺人は止まなかった。医師の弟の医師は兄の友達だった女性とも協力しつつ事件の謎に挑むのだが……。
いや傑作。ディヴァインは本当に上手いし巧い。ミステリーとしても一級品なのは勿論だが、登場人物たちの描写がまた秀逸!
この意地悪さ、無気力さ、偽善さ。こういうの書かせたら天下一品ラーメン屋だね、マジで。動機に纏わる部分なんて凄くリアルに感じられてしまった。
そして本作は少女がたくさん出てくるが彼女たちの心の動きも実に丁寧にさもありなんに描かれていてため息もの。シーリアとか、秀才の子とか。
更に謎解きに次ぐディヴァインの魅力であるロマンスもバッチリ。ラストに刑事が語りかけるセリフが印象的。だが歯医者(だっけ?)、テメーはダメだ。最後だけ良い役で終わろうとしやがって。
絶対にお薦めの作品。本格嫌いの傲爺にも読ませたい。

5 :
「希望の記憶」ウィリアム・K・クルーガー(講談社)
濡れ衣を着て逃亡中のコークは従姉妹に助けられる。そこで父が殺されその容疑者となっている少女と出会うコーク。
甥っ子と共に彼女を助けようとするのだが……。
このシリーズは完全にシリーズ読者のためのものになったと確信したね。書評家どもがさんざ騒いでいた前作のラストが実際はてんで大したことない稚拙なクリフハンガーだった
ことからも明らかだったが益々その意を強めた。クーガーがなんちゃらとかもあまりピンと来ないし。
本作最大のマイナスポイントは少女の描写。ディヴァインの次だから差が露骨に感じられて無惨だった。思春期でアイデンティティの確立に悩む少女の最大公約数がここにある。子供を馬鹿にしちゃいかん。
あと後半コークたちが彼女を一人で行かせるシーンがあるんだけど、命狙われてんのにアホかと思った。
おまけに解説が雑。よみうり読んでても思ったが、この人は人間は良いんだが書評の才能が不十分。

6 :
「十三時間前の未来」リチャード・ドイッチ(新潮社)
妻が殺される未来を変えるため過去へのタイムスリップを繰り返す男の話。
ま、面白かった。「時の地図」ぽいのかなと思ったがあれにはかなわない。

7 :
「地下室の殺人」アントニイ・バークリー(国書刊行会)
新婚夫婦の新居の地下室から女性の腐乱死体が発見される。
モーズビー警部の捜査とシェリンガム探偵の推理の果てに見えた真相とは――?
バークリー攻略作戦。やはり毒チョコスルーしたのは不味いかなあ。でも短編読んだからなあ。
本作は被害者探しや作中作がヒントになるという趣向の面白さが特徴。ラストの捻りのある展開も○。
しかしシェリンガムにロマンスは無いのかね?

8 :
「生、なお恐るべし」アーバン・ウェイト(新潮社)
麻薬の運び屋ハントはアクシデントから保安官に見つかり逃亡する。仕事に失敗したケジメをつけるため別の仕事を請け負うハントだが依頼した組織は既に彼を始末すべく殺し屋を差し向けていた。
読み甲斐のない小説。暗くて地味な描写と展開が延々続くだけ。これに比べれば「夜を希う」はスカスカでありがちとは言えちゃんとストーリーがあった。
コリータと同じでなまじ書く力はあるから読ませてしまうのがね……。それで何冊か書いちゃうんでしょうが、もう読みたくはないな。

9 :
「ハニートラップ探偵社」ラナ・シフロン(作品社)
探偵社でおとり捜査をしているイシーの息子マックスが庭で指を見つけた。しかし警察に届ける前になくしてしまうイシー。
彼女は公私共にトラブルを抱えながら恋に仕事に奮闘するのだった。
こんなもんを、それも単行本で出すなんて作品社の見識を疑う。読む価値ゼロ。
その理由は2つ。
1、ヒロインがクズ。
タイトル通り妻帯者を陥れて離婚を依頼人たる妻の有利にする所謂「別れさせ屋」をやっている糞ビッチ。そんなんで息子食わせて恥ずかしくねーのかと。
つか息子も想定外だったとか言ってたぽいし。それでいて他人には常識ないとか怒って見せるんだからどうしようもない。
2、ストーリーが古い。
独身女が仕事やら日常生活やらを愚痴りながら分かりやすいイケメンによろめいて……って10年遅れのブリジット・ジョーンズなんか今更誰が読むんだよ。
マーケティングもろくにしてなさそう。
百歩譲って文庫でコージーレーベルで出すべきだった。

10 :
「死の航海 上・下」ポール・ギャリスン(扶桑社)
スポーツトレーナーのジムは、富豪のウィルに雇われ、彼のヨットで大西洋に漕ぎ出した。
直前に足の不自由な恋人シャノンからプロポーズを断られ失意のジムは彼女の進めもあってこの旅を決意したのだった。
滑り出しは順調に見えた。しかし、不審船がヨットの前に現れる。どうやらウィルには心当たりがあるようなのだが……。
面白かったよ。コーンウェル=海のフランシスとは違う味だけど。どこがって? 忘れちゃった(笑)。とりあえずそこは期待しないでってことで。
ジムが前半はウィルと、後半はシャノンと組んで闘うという構造。つまりまず師匠と、次に独り立ちして弟子とというパターンでこの二段構えは読み応えがあっていい。
相思相愛にも関わらず一筋縄ではいかないジムとシャノンとの恋模様も重要なストーリーの構成要素たりえている。本来の格差が障害によって減るのを良しとしないという思い。
海や船の専門的な部分はまだ知らないし興味もないので評価は差し控える。

11 :
>>1乙。次回から下もテンプレに入れましょう。
自分を中傷する書斎魔神(少なくともその支持者と称する人物)に優しい読後感さんは
個人的にはいい人だと思うけど。
NGワード・あぼーんのススメ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■書斎魔神 ◆AhysOwpt/w とは?
かつて発狂コテにも認定された、読みましたスレに住みつく
NGワードの指定対象人物。
ネタバレを含めた持論を主張し続け、また、
議論においても他者の意見を受け入れようとしない傲慢な態度から、
他の住人からは忌み嫌われることに。
前スレでのアホアホ発言を一部抜粋。
『 乱歩賞受賞作「暗黒予知」を読み返していた。 』(そんな作品はない)
誹謗中傷当たり前、間違いを認めない、自作自演当たり前と、
三拍子揃った厄介物。
彼の発言に反応してしまうとスレが荒れる一方だが、
反応さえしなければ独り言を言い続けるだけなので、
余程のことがなければ、NGワードに指定してのスルーが推奨される。
■NGワード・あぼーんについて
2ちゃんねる専用ブラウザのオプションのひとつ。
設定することで、任意のレスを消すことができる。
2ちゃんねる専用ブラウザに関するサイトはこちら。

http://www.monazilla.org/

12 :
書斎魔神(=でつまつマン)にどうしても我慢できない・反論したい場合は、下記スレにて

書斎魔神・アホアホ語録指導部屋 21
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/8993/1374298533/
書斎魔神・アホアホ語録格納庫 その33
http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/tubo/1325054903/
【俺は】書斎魔神ファンクラブ16【化物じゃい】
http://ikura.2ch.sc/test/read.cgi/bobby/1371130456/

13 :
「死神の追跡者 (トム・マーロウの奇妙な事件簿)」クリス・プリーストリー(ポプラ社)
18世紀ロンドンを舞台に奇怪な殺人事件に巻き込まれた少年トムの冒険。
「モンタギューおじさんの怖い話」などとは違い、長編でシリーズ第一作。そしてエドガー賞受賞作。
さすがにシリーズものでバッドエンドには出来ないようで、こちらは子供向けに良い冒険ミステリーに仕上がっています。
大人が読むとホラー的にもミステリー的にも物足りなさを感じますがそれは仕方ないですね。

14 :
>>1
スレ立てサンクス、乙!
>>11-12
すぐR!(w
二階堂黎人・森英俊共編「密室殺人コレクション」を読む。
まあ、今は昔(と言うても21世紀初頭の夏だが)、こんなアンソロジーも
出ていたわけである。
早速だが、
久々に大好評な収録作品全話講評逝ってみようか!!!
・ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ「つなわたりの密室」
本書の半分を占めるボリュームの中編。
あの怪作(と言うてよかろう)「赤い右手」の作者の手になる密室もの、
さて、どうなることかと思いきや、真相は意外にシンプルなものであった。
邦題「つなわたり・・・」の意味をいかに解するかによるんだよね。
とにかく叙述がキーとなる作(例えば「犯人と出くわした可能性のある人物が
一人だけいる」といったもの)なので、巻末の編者対談で二階堂君が
「とにかく読み終わったらもう1度はじめから読んで欲しい作品」と言うて
いるのはわからぬではない。
持って回ったような表現による読みにくい文体が難、
(ゆえに、ウールリッチに似ているという二階堂評には納得なわけだが)
ただし、「赤い・・」も同様な嫌いがあったから、これは原文を忠実に反映したことによるものであろうか。
余談ながら、その昔には、NY市警にタキシード警官なんて制度が
あったんだ・・・

15 :
・マックス・アフォード「消失の密室」
扉の影に誰かいる、でなくして、正に「扉に隠れる」とか。
密室ネタだけで軽く仕上げた方がベストだったかと思う。
クライムノヴェル風な展開は、設定も無理やりで蛇足という感あり。
・ジョゼフ・カミングス「カスタネット、カナリア、それと殺人」
ジョン作品を想起させるフィルムねた。
だが、まあ、それだけの作とも言い得る。
探偵役が上院議員という社会的なステータス溢れる設定ながら、
いかにも(悪い方の意味で)アメリカン・ミステリな軽薄、饒舌なタッチは
好みではない感あり。
・ロバート・アーサー「ガラスの橋」
本作はある意味でジョンもビクーリなトンデモトリック(正に「飛んでも」な
要素あり)。「そんなん上手くゆくはずないやろ」と突っ込んだ時点で
野暮天なんでしょうな。狭義の密室ネタではなく人間消失ネタ。
・アーサー・ポージズ「インドダイヤの謎」
探偵エルパロディだが、茶化しているわけではなく、名探偵ぶりは健在。
これもおふざけなトンデモ、「あのカバを撃て!」でした(w
・サミュエル・ホプキンズ・アダムズ「飛んできた死」
思い切って「プテラノドン殺人事件」(誤解を招かないためには「プテラノドンの殺人」の方がモアベターかも(w )としてしまった方が、
本作の「売り」部分を端的に表しているかと思う。
フェアなフーダニットという面からは駄目駄目ながら、逆立ちにはマジ笑える。
プロファイルを読む限りでは、
非ミステリ作家(というかジャーナリスト)だし、まあ、こんなものでしょ。

16 :
いつものパクリ論考wは自分専用の隔離スレでやれバカ書斎w
読後感氏、スレ立て乙です。

17 :
>>16
即刻R!(w
ロス・マクドナルド「兇悪の浜」を読む。
リュウ・アーチャー・シリーズ初期作品中(本作は第6作)
ポール・ニューマン主演で映画化された「動く標的」「魔のプール」等と
比較してマイナーな作だが、初期のアクティヴなアーチャーの探偵譚としては、
見劣りするものではない。
しかし、アーチャーの探偵行につき合うのは、なぜか疲れる。
語りにハメットやチャンドラーほどのメリハリが無いせいか。

18 :
逝くのはお前だろバカ書斎w

19 :
読後感の感想の方が読みやすくていいね

20 :
>>13
候補作でした。訂正。
「R風」マーガレット・ミラー(東京創元社)
仲間とのパーティーに向かう途中で消息を絶ったロン。彼の行方を巡り仲間たちに隙間風が生じていく。
仲間の一人ハリーの妻セルマがロンと不倫をしており、妊娠までしてしまったというのだった。
やがてロンが生きているらしいと解りセルマは夫の元を去ろうとするのだが……。
初ミラーですが、いやーこんな小説書くんですね。ミラーててっきりハイスミスみたいな心理サスペンス書いてる人かと思ってスルーしてたけど、我が身の不明を恥じますれば。
こういう作家ならもっと読めますよ。やっぱりロスマクの奥さんは違うね。とこちらも2作しか読んでない奴が言っちゃいました。
あと邦題がセンスあるよね。名付け親誰かな。詩人ぽい。

21 :
「魔性の殺意」ジョン・ソール(扶桑社)
殺人鬼クレイヴンの死刑執行に立ち会った新聞記者アン。クレイヴンの事件は彼女が追い続けたネタだった。彼は死ぬ間際に不気味な言葉を遺す。
同じ頃遠く離れたシアトルではアンの夫グレンが命の危機に見舞われていた。
初ソールかな。まあネタはすぐ判るんだけどそこからジワジワ追い詰められていく過程を楽しむ感じかしら。
このネタと親和性が高いのはエロだと勝手に思うんだけど、そこは今一つだった気も。
あとインディアンの無駄遣い。

22 :
「非情の日」ジャック・ヒギンズ(早川書房)
イギリス情報部に所属していたサイモン・ヴォーンは密輸がバレてギリシャで投獄され、解放を条件にイギリス軍からの依頼を受けることに。
その内容はIRAに奪われた金塊を取り戻すことだった!
マシューの妻はアリス?
まあいつものヒギンズじゃない? 特に印象に残らずすRって。

23 :
「国会議事堂の死体」スタンリー・ハイランド(国書刊行会)
工事中のビッグ・ベンの壁の中から白骨が見つかった!
着衣から100年前の人物と推定され、若手議員ブライの呼びかけで議員たちが白骨のことを調べ始める。やがてその背景が明らかになっていく かに思われたが……。
これ一度200ページくらい読んで挫折したんだよね。つまんなくて。物語がないんだもの。調査レポート読んでるみたいで。
でもバークリーが真の傑作言うたらしいし評判はいいので再チャレンジした訳。
閑話休題。なるほど、こういう筋書きだったのね。これは確かにいい。評価する。プロットとしては見事。コペルニクス的転回と言ってもいい。いかにもバークリー好きそう。
しかしやっぱりストーリーなんだよ。そこがぽっかり抜けている。論理テキストみたいで傑作とは言えないわ。
解説のべた褒めもちょっと無理してない? この叢書の読者って黄金時代周辺の雰囲気も重視してるでそ。

24 :
コーネル・ウールリッチ「ホテル探偵ストライカー」を読む。
集英社文庫世界名探偵コレクションの1冊。
名だたる名探偵と並んで「何でやねん?」の声があがろうが、
まあ、シリーズキャラは無いウールリッチだが、どうしても入れたかったん
であろう。企画趣旨から出る疑問はともかくとして、収録作品はバラエティに
富んだ面白いものがチョイスされているかと思う。
それでは、絶賛好評中、収録作品全話講評逝ってみようか!!!
・「913号室の謎 自殺室」「913号室の謎 殺人室」
別な短編ではなく、第一部、第二部とすべき作。
初読はジュブナイル版だったが、そのスリリングな面白さに魅了された
のも懐かしい。都会派作家ウールリッチ、舞台は十八番といえるNYのホテルだが、
彼の作としては異例な怪奇探偵小説。トリックもジョン張りのトンデモぶり(釣竿、方向錯覚ネタ)である。
おなじみのセンチなウールリッチ節は抑制気味で、
前半は自殺が相次ぐ913号室の謎を強調してスリルを盛り上げ、
後半は一転、その謎解き物語へ。この語りの転換が実に見事や。
その容貌に関する描写は殆どないものの、
ホテルの最上階の部屋にひとり暮らし、小型ラジオ1台とSF&ホラーの
パルプマガジンを人生の唯一のよりどころとする主人公、
ホテル探偵ストライカーのキャラも、アキちゃんじゃないが、
「マジ、かっけー!」のだ。
もっと彼氏を主人公にした作を読んでみたかった気がする。

25 :
・「裏窓」
あのヒッチコック作品の原作である。
ただし、ヒロインは登場せず。
ミステリとしては、遅延反応からの推理、ここから明らかになる
死体処理法が読ませどころであり、面白くはあるのだが、
プロに疑問を抱かせないほどの仕上げってのは果たして可能だろうか?
とかは思うてしまう。
・「ガラスの目玉」
偶然、手に入れたガラスの目玉=義眼をめぐるた少年(刑事の息子)の
冒険物語。
終盤のアクション展開はまずまず読ませるものあり。
判明する真相は個人情報たれ流し時代には有り得たであろう凄惨なものだが、
親孝行物語の印象の方が強く、暗い感はない。
・「シンデレラとギャング」
こちらはギャングの追跡戦に巻き込まれた少女の一夜の冒険物語。
結果は悲惨だが、ラストのシンデレラねた(靴)の粋なオチもあって、
やはり暗い印象はない。

26 :
「救いの死」ミルワード・ケネディ(国書刊行会)
地方に住む裕福な独身貴族エイマーは探偵ごっこに興じて映画俳優の突然の引退の謎に迫るのだがそこには謎の殺人事件が絡んでいて……。
不快な気分を味わいたいならと薦められ確かに不快な気分になりました。
オカされた探偵役と言いますかね……。
その辺の味わいがメインであってミステリーとしては水準作? かな(淳の嫁)。
ただ構成が甘いなと思った。例えば迫られてたなら残って茶しないだろうとかね。
とまれスリープ村もいつか読もう。

27 :
「パーフェクト・ライフ 上・下」マイク・スチュアート(東京創元社)
何者かに追い詰められていく見習い精神科医スコット。殺人の濡れ衣まで着せられ決死の逃亡、そして真実を暴こうともがく!
巻き込まれ型好きなんで期待して読んだんですが、裏切りや濡れ衣も大好きなんで楽しめましたわ。
早々にオナニー好きの巨乳看護婦も出てくるし。

28 :
「サイロの死体」ロナルド・ノックス(国書刊行会)
田舎のお屋敷で深夜に行われた自動車レース。招待客たちが嬉々としてゲームに興じる陰でその一人が死体となって発見される。
見つかった場所はサイロの中。果たして何が起こったのか?
ノックスの長編は4冊目。この人論理遊戯に走りすぎるきらいがあってちょい苦手なイメージがあったんだけど、
本作はさほどでもなく、古典本格として楽しめますた。
深夜の自動車遊びとかいかにもぽいじゃあ〜りませんか。ちょっと聖職者の風刺も入ってんじゃねか。
でもピーを片付けたのならピピーに気付かない訳ない。

29 :
「チベットから来た男」クライド・B・クレイスン(国書刊行会)
チベットの秘伝書を持っていた男が殺された。男は秘伝書を売り渡したばかりだった。犯人と目された人物はかき消すようにいなくなる。
一方秘伝書を追うラマ僧が現れ、それを買い取った富豪メリウェザーの元では奇妙な出来事が多発していた。
そして稲妻が走る夜、施錠された部屋で殺人が!?
この叢書中の異色作らしく期待して読んだが、思ったほどではなかった。「死の相続」レベルのものにはなかなか巡り会えないね。
あとロマンスに失望。
しかし巨乳ジャニスに萌え。

30 :
「扉は今も閉ざされて」シェヴィー・スティーヴンス(早川書房)
不動産業者アニーは客を装った男に拉致され山奥の小屋に監禁され凌辱され続ける日々を送っていた。
ある日やっとの思いで脱出を果たしたかに見えたのだが、悪夢はまだ終わっていなかった……。
「隣の家の少女」(未読。多分ずっと)にエロがあればまだ良かったという意見を聞いたことがあるが、俺が本作に期待したのも正にこれ。
拉致られた当初はおはなし的ギリセーフだが、長期監禁される訳なので時間の問題なのは読者も悟っている。しかし何か描写がイマイチ温めで。寿行を見習わんかい!
監禁生活が前半で、後半新たな展開があるんだけど、ここがどうしても気抜けた感じになっちゃう。親友や恋人、家族との関係などもあまり興味を引かない。
そうやってきて最後に待ち受けるどんでん返しも今更感がして反応に困る。
まあデビュー作としてはまあ合格と言ってもいいけど、次読もうとは思わんね。
追伸
332の謎。
パンティ紐無関係。

31 :
「マンハッタン特急を探せ」クライブ・カッスラ・(新潮社)
第一次大戦中、列車事故により水中に眠る機密文書。それはかつてイギリスがアメリカにカナダの売り渡しを約したものであった。
そして現代。独立運動が激化しつつあるケベック州の沖合に巨大な油田が見つかる。アメリカは何とか手に入れようと陰謀を巡らせる。
アメリカ、イギリス、ケベック解放戦線などの思惑が絡み合う中、依頼を受け文書を探すNUMAのダーク・ピット。
そんな彼の前に幽霊列車の謎が立ちはだかる。
このシリーズ読むのは2冊目だが、凄いねこの盛り沢山の内容。
海洋冒険ものかと思いきや、各国のスパイやテロリストたちが入り乱れて挙げ句は本格地味た列車消失トリックまで炸裂するんだから。
ヒロイン、ハイジの尻軽ぶりも良いね。ピットと会ってサクッと寝る。イギリスの老スパイとも寝て2ページでイッて情報もバラしちゃうし。良い人材だよ。
でも肝心のピットが何事にも動じない聖人みたいな描写されちゃってるもんだから拍子抜け。折角の寝取られ展開なのにこれじゃ張り合いがないよ。
当分読むことはないと思うが他にもこういう異色作があるなら摘み食いしたいな。ソフバンのも含めて。

32 :
「暁に走れ 死への42.195キロ」ジョン・ストック(小学館)
上級職員であった父が自殺し、停職中のMI6職員ダニエルは恋人レイラに誘われてマラソン大会に参加する。
だがランナーの中に自爆テロを企む者が混じっていることを知り、ダニエルは命懸けで阻止しようとするのだが……。
これは久々の傑作エスピオナージュじゃおまへんやろか。堪能したわあ。こういうの書かせたら巧いのはやっぱりイギリス人なんやなあ。
あらすじは冒頭部分でこの後舞台はあっちこっちに飛びます飛ます。もうね、誰も信用出来ない疑わざるを得ない状況で展開していく。
その中から真実を丹念に佐賀市ながら読み進んでいかなならんとたい。伏線も叙述も丁寧で油断ならない。
話題にならなかったのは出版社のせいだと思う。「ケンブリッジ・シックス」よりこっちの方が緊迫感もプロフェッショナル感もあってのめり込めること請け合いよ。お薦め。
ただし扉右上に陰毛が貼り付いているので注意。

33 :
「虜囚の都 巴里一九四二」J・ロバート・ジェインズ(文藝春秋)
ドイツ占領下のフランス。
国家治安警察のサンシール警部とゲシュタポのコーラー警部のコンビは
パリ郊外の森で発見された男の撲殺死体を捜査することになる。
やがて捜査線上に謎めいた美女が浮かび上がるが、何故かナチ上層部の圧力がかけられ捜査は難航する……。
以前から興味があったシリーズ。ゲシュタポ捜査官が主人公てだけでわくわく。
欧米人ことにアメリカ人にそんなバランス感覚あるのかと訝り半分だったけど、結果面白かった。
ただし最初は読みにくかった。文章が所々飛んでるみたいで状況が掴み辛くて。
それから主人公たちの推理は当てずっぽう臭く、サンシールの尋問が妙に温いのも気になった。
もう勾留してるならともかく外でありゃねーわ。次なかったらどうするよ。
それらを除けば、主人公たちのキャラクターもよく(共に知命のおっさんなのはあれだが)、プロットも練られており、
サイドストーリー(妻不倫他)も読み応えがあった。エロいしw
そうそう特に心に残ったのは次のやりとり。
「ルイ、おれにはもう我慢できない。あの葡萄園にいた連中の半分は兵役の年齢で、そのほとんどは二十代だった」
「なぜフランスが戦争に負けたと思う? フランス人の頭には女の胸か、祈るかしかないんだ。
ここは腐りきった国なんだ、ヘルマン。おまえと同じくらい、おれもこの国が嫌いなんだ」
「ベルリン・レクイエム」に続き占領下の街を舞台にしたミステリーの面白さを堪能させてくれた一冊だった。次も読む。

34 :
「或る豪邸主の死」J・J・コニントン(長崎出版)
田舎の村で嫌われ者の資産家が殺された。被害者はどうやら恐喝に手を染めていたらしい。
治安判事のサンダーステッド大佐は訳あって真相を突き止めようと試みるのだが……。
黄金時代のガチ本格として評判らしいので読んでみた。
これは確かにガチだ。
ドラマ性も鬼面人を驚かすような仕掛けもなく直球を放ってくる感じだ。
飾り気のない邦題も本質をよく掴んでいると思う。
とはいえ、作中には殺人光線だの透明人間だの星幽体(て何?)だのとSFオカルト的な要素も散りばめられている。
とはいえ、作者はこれらをあまりおどろおどろしくは打ち出さず、抑えて書いている印象を受ける。
結局すべては読者との勝負を貫徹するための道具でしかないのだ。潔い。
真相もいい。簡単過ぎず混み入り過ぎずいい塩梅。理想的なフェアプレイ本格かもねむ。
しかし訳者女史、喧々は囂々だぞい。

35 :
「蝋人形館の殺人」ジョン・ディクスン・カー(東京創元社)
セーヌ川に若い女性の死体が上がり、バンコランたちは彼女が最後に目撃されたという蝋人形館へ向かう。
しかし、彼らが不気味な館内で見たものは、サキュロスに抱かれた新たな女性の死体だった……。
読もうと思えば読めたのに完訳まで待つ俺カコヨス。
しかしダサい表紙だなあ、ジョーカーゲームかよ。媚びんなや。前の感じでいいのに。
さて本作は不可能犯罪という訳ではなく、密室も出てこない。もっと言うとトリックらしいトリックもない。
フーダニット一本に絞ったような作品と言える。そのための(本当に)フェアな伏線の張り方は面白い。
ただし動く蝋人形の謎やマスク着用の秘密クラブでの冒険など魅力的な要素はしっかりと盛り込まれており決して無機質な本格ではない。
またロマンス要素も乏しくそっち方面から見当を付けることも不可能。
故に読み応えのある本格になっているとも。
プラス動く蝋人形の謎やマスク着用の秘密クラブでの冒険など魅力的な、
そして特筆すべきはラスト。
最初は「これいるか?だって……」と思いつつページを繰るとギョギョギョ!?
しかしこれ矛盾してねーか?

36 :
「プラハの深い夜」パヴェル・コホウト(早川書房)
第二次世界大戦末期のチェコ、プラハで未亡人を狙った連続殺人事件が発生。
チェコ警察の刑事モラヴァとドイツ人検事プーバックは共同で捜査に当たるのだが……。
占領下のミステリー第三弾だがこれはちょっと失敗だったかも。
作者は純文で大家らしいが本作もミステリーの意匠を借りた戦争文学な希ガス。それで二段熟カレーの450はきついって。
犯人パートもあってサイコティックな雰囲気を醸すも尻切れトンボだし。
プーバックと恋人とのやりとりは感動的だったけど、それ読みたい訳じゃねーしな。

37 :
「荒涼館(全4巻)」チャールズ・ディケンズ(筑摩書房)
親を知らず自分が何者かも判らぬまま生きてきた少女エスタ。
ある日彼女は裕福な紳士ジャーンディス氏の被後見人となる。同じ立場のエイダ、チャールズと親交を深める一方、
出会った人々に分け隔てなく接するエスタの人生は明るく開かれたかに思われたが、やがて彼女の出生に纏わる謎が大きく動き出してゆく。

何年も前からとにかく面白いと聞いていたので全4巻1800ページに少々怯みながらも思い切って読んだですよ。
面白かったですよ!
最初こそ前々世紀の小説のゆっくり具合、あいまい具合に焦れたり、飛躍した展開にギョッとしたりもしましたが、
程なく馴れてくるとそれも込みで楽しめる境地に到達……した気がします。
謎があり伏線があり殺人事件があり名探偵がありフーダニットがあり、単なるエンタメのみならず
ミステリーとしても結構楽しめますですよ。私はやられました。判ってたはずなのに解っていなかったのです。
それから興味深い登場人物がヤマト出てきます。家族そっちのけでボランティアに狂奔するおばちゃん、自称子供のニートおじさん、
裁判に取り憑かれたばあさん、キョドり過ぎる弁護士、神出鬼没で冷酷な警部、可愛いメイド、可愛くないメイド、
薄幸の乞食小僧、イケメン医師などなど。中でも無口な退役軍人とその奥さんとの夫婦が微笑ましくて良い。
ヒロインエスタの慎ましやかで時にストレートな語り口にも引き込まれ、
終章は少し悲しくなるほどでした。彼女とジャーンディス氏の関係が良いんですよねぇ。
あと終盤とある人物の指摘には「やっぱり!」と思わず声に出してしまいました。この辺も流石のディケンズ。巧みです。
セリフ回しが絶妙なんですよ。煙に巻く名人だったのではと勘ぐりたくなるほどです。
長いので気苦にお薦めします。
しかし、そんなことなら彼女は何故彼に頼んだのか……。

38 :
「ストーカーズ」ケネス・J・ハーヴェイ(扶桑社)
ニューヨークで働くバリバリのキャリアウーマンアレクシス。
しかしプライベートはヒモのダリーにATM&便器として利用される日々。
そんなアレクシスの前にミステリアスな男スカイホースが現れた。彼に魅せられるアレクシスだったがその正体は恐るべき殺し屋であった。
つまんねー。くそつまんねー。
何が酷いってあからさまにエロティックミステリーなのにエロが少ないんだよ。
特にヒロインと殺し屋との初夜がバッサリカット! キモだろそこ。何で3回目から再開なんだよ。
じゃあショッカーとしてサプライズがあるかと言うと何もない。無意味にクロスカッティングした挙げ句
ただページが尽きましたって感じで終わる。
短くて読みやすいのだけが取り柄の駄作也。

39 :
「死体をどうぞ」シャルル・エクスブライヤ(早川書房)
大戦下のイタリアにありながら砲火から逃れていた田舎の村で残酷な殺人事件が発生する。
折しも村人たちは敵味方に分かれていがみ合っており、被害者は一方を警察にKしたばかりのファシストであった。
程なくしてやって来た警部たちは殺人があったと聞き被害者宅へ駆けつけるが、死体は跡形もなく消え失せていた。
とはいえ、本書はユーモア・ミステリーである。
読者にとって死体消失は別に謎ではなく、あちこちに現れては消える死体の行方を巡るドタバタと、
二転三転する村人間の対立そしてそれに翻弄される若者の色恋沙汰等を愉しむのが本領。
ただしもちろん犯人は伏せられている。これは解らないかな。本格ではないので演繹的推理も出来ないし。近くまではいけるけども。
あとユーモアの陰に閉鎖的な田舎の持つ同調圧力というか、排除の恐怖みたいなものも感じられた。表紙の不気味さと通底しているのやも。
さて、エクスブラ(イ)ヤの邦訳読み落としはあとイモ1、2冊ほどとなった。早川の文庫化乃至復刊あるいは論創の初訳が待たれる。
追伸
クラシック映画にもこういう舞台のいくつか作品あるよね。コメディタッチの。

40 :
「マザーズ・デイ」パトリシア・マクドナルド(ベネッセコーポレーション)
流産、そして思春期の養女ジェニーとのギクシャクした関係に悩むカレン・ニューホールのもとへ舞い込んだ更なる苦難。
それはジェニーの実母リンダの突然の訪問だった。喜ぶ娘とは対照的に不安を隠せないカレンと夫グレッグ。
そして事件は起こった。リンダが何者かに殺されたのだ。警察の手はニューホール家へ伸び、一家は崩壊の危機に瀕するのだが……。
いや、面白かった。400後半と長いが一気読みの徹夜本だった。
まずこの産みの親の登場と育ての親と子の亀裂というアウトラインの時点でゾクゾクするジャマイカ。
折しも母の日でたまらんイベントの連続で俺なんかMっ気ビンビンよ。ザッヘルザッヘル。
そして多彩なキャラクター。
メイン以外にも、リンダの老母とひねくれた兄、子供を殺して壊れた人妻、モーテルのバッド・ロナルド、野心的な女性記者等々。
彼らのストーリーも確かに書き込まれていて読ませる。
個人的には颯爽としたスケ番美人に萌えた。こういうのが女流作家ならではって感じよね。カメオ出演なのが惜しまれる。
それからミステリーとして、というかサイコサスペンスとしての出来映え。
犯人にはやられた。俺はてっきりあの男か意表を衝いてあの女かとか思っていたのに。しかもそれを明かす場面も凄いよ。
さあ来るぞってんじゃなく普通の文脈の中でサラリとバラすんだから。「あれ、今の?」みたいな。逆に優雅。
ただ、そこからも解るように伏線は不足がち。暴かれた残酷な過去含め無理がある展開もチラホラするが、冒頭の通り面白さを損なうほどではないのでお薦め。

41 :
「死者の指」ジョン・トレンヘイル(二見書房)
セラピストのセルマは厄介な患者に悩まされていた。その少年リコは彼女を性の対象と見ているようなのだ。
しかも母親は怪文書を送りつけてくる始末。
一方、地元では女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生。被害者は両手の親指と腎臓、子宮まで切り取られていた。
担当のFBI分析官ダニエルに思いを寄せるセルマは厄介事を抱えつつ事件の捜査にも首を突っ込んでゆく。
サイコスリラーとしてはあまり評価高くない。
まずヒロインの造形がまずく入り込めない(ちっパイだしw)。パートナーとのストレートならぬ関係も話をもたつかせただけに感じた。
次に並行して進む2つのパートについて。
患者の方は展開が不自然というか珍妙で違和感が拭えず殺人の方はどうも描写不足でメインにしてはおざなりな印象を受けた。
フーダニットもさして優れておらず、後半アクション小説になってしまうし。
それ以前がちゃんとしていればアクションは加点になり得たんだけど。
終盤で驚愕の展開が待ち受けるものの、盛り上げが足らず仕掛けにも無理があると思ってしまった。あと長い。
ま、今度は本貫たるエスピオナージュを読んでみるわ。

42 :
「真夜中に捨てられる靴」デイヴィッド・マレル(ランダムハウス講談社)
短編集。某ババア書評家がべた褒めしていたので読んだのだが、うーん、ぶっちゃけレベルの高い短編集ではない。
光るアイディアがある訳でもなく、オチが決まっている訳でもなく、サプライズがある訳でもない。
ただ筆力はあるもんだから読まされてしまう。
一番は表題作かな?
真夜中の路上に捨てられる靴の謎に取り憑かれた警官が心身ともに傷だらけになりながら犯人を追う話。
作者の体験談を元にしたらしいが、なかなか綺麗な謎解き。
次点は「復活の日」。
SFでは使い古されたテーマだろうけれど、弱いんだよねえ。蓄積や経験に対する敬意や共感は観ていて気持ちが良いということか。

43 :
「報復の海」ハモンド・イネス(パシフィカ)
画家である私ドナルドは死んだはずの兄イアインが生きていると知らされスコットランドのヘブリジーズ諸島へと向かう。
現地ではレールグ島から部隊を引き上げさせる作戦が進行中であり、それを補佐する役割を担うブラドック少佐こそ兄だというのだ。
レールグ島への船に同乗することになるドナルドだったが、海は未曽有の嵐となりかくて惨劇の幕は上がったのであった――。
あのね、これは掴みがダメ。冒険小説としての核みたいなものがないので入り込みにくい。
兄捜しは冒険小説(タイトル&表紙の圧力)のテーマとして弱いと思う。海に出るのも戦争とか特殊任務っていう類のものじゃなく
引き上げという“雑務”だし。結果的にそれが大冒険になったとしてもこなして元々なのでカタルシスも待っていないし。
ちょうど「バーティカル・リミット」観た後みたいな疲労感が。
それでも我慢して読んでいくと中盤は流石に読ませる。海から裁判から島から舞台がそれぞれ盛り上げつつ変わっていき
(かなり安いが)ロマンスも絡み。でも結局座りの悪い過程冒険小説で終わってしまった。ザーメン。

44 :
「クメールからの帰還」ウィルバー・ライト(角川書店)
元パイロットの酔いどれ中年カーターは香港にいる息子の所へ向かう途中飛行機事故に遭う。
何とか生き延びたものの東南アジアの密林に放り出されることに。他の生存者は少年少女とスチュワーデスのみ。
果たしてカーターたちは無事密林から脱出することができるのか?
本書は航空パニックに始まり密林探険、サバイバル、宝探し、飛行機修理、アクション、そしてロマンスと
冒険小説の様々な要素が詰まっていて中々に濃密なストーリーとなっている。
とりわけオアシスを見つけてしまったカーターが腰を落ち着けそうになる場面などは妙にリアルに迫ってくる。
まして美女がいるとくりゃね。
そう、本作の真の正体それはおっさんミーツ完璧美女という中年願望充足小説なのだ!
これは冒頭著者自ら認めている。珍しいカンボジア人ヒロインにして美人でナイスバディで性格も良いという
いっそ清々しいほどの夢の女。彼女の存在だけでも一読の価値はある!かもしれない〜♪(何せ×ェ×で起こしてくれんだから)
最後に真面目な話をすると、実は前半の割と早い段階で中断したことがあったんだ。
理由は読めば判ると思うので言わないが、それ自体というよりも特に葛藤もなく粛々とやっちゃうことに違和感少女。
そこは偶然の奇跡で良かったと思う。アメリカイズムかねえ。

45 :
「ベルリン 二つの貌」ジョン・ガードナー(東京創元社)
東ベルリンからイギリスへ亡命してきたKGB将校は自らが付けられたコードネームを知っていた。
そして彼の上司は先頃首無し死体で発見されている。
尋問を担当した情報部のハービー・クルーガーは驚くべき告白を受けた。
かつて彼がベルリンで作り上げた諜報網の片方の崩壊は裏切り者のせいであり、もう片方も裏切り者のせいで崩壊の危機にあるというのだ。
愕然としたクルーガーは新たなチームと共にベルリンへ向かうが……。
前作はやたら長くて途中で迷子になったのが本作は更に長い! うへえなりと開いたものの、迷子になることなく読み通せた!
こりゃ俺もレベルアップしたか?
でも図に乗って「スクールボーイ閣下」を読むのは今暫く……。
裏切り者が誰かはすぐ見当がつくがそれは作者も承知の上だろう。一応ミスディレクションはいくつかあるが、それでもそう思う。
主人公がいつ気付くかハラハラしながら過程のサスペンスを楽しむのが読みどころであろう。
と、高を括っていると終盤思いもよらぬサプライズの絨毯爆撃を食らって仰け反った。これはヤラれたわ。書いとこ。
しかしこれすぐ続きが読みたい! 長大な前降りなんだ! そうに決まってる!

46 :
「解錠師」スティーヴ・ハミルトン(早川書房)
口は利けないが鍵を開けることに天賦の才を持つ青年マイクルは、その異能ゆえに終わりの見えない柵の中へ巻き取られてゆく。
愛する者を守るため彼がついに下した選択とは。
主人公のキャラクターはいいんだけど、話に面白味がないんだよねぇ。つまらなくはないが読まずに余裕でRるレベル。しかも長い。
あとヒロインが何か評判悪かったんで期待したのに普通だったのも残念。十代であれなら上等だろうて。

47 :
「最後の銃弾」サンドラ・ブラウン(集英社)
追っていた大物が判事のせいで無罪放免となり荒れる刑事ダンカン。
それから数日経った夜、発砲事件が起こり駆けつけた邸宅はその判事の家で撃ったのは彼の妻だった。
彼女は侵入者に撃たれそうになりやむなくやったと主張する。ダンカンは彼女が何か隠していると直感するもその魅力に絡め捕られていく。
ロマサスかと思いきや案外ちゃんとしたサスペンスになっていました。ヒロインの内面描写を抑えることで謎を持続させ最後まで飽きさせない作りにしていることが好印象でした。
ただ、地の文で嘘があったのはいただけません。
ま、でもロマサスでこんだけやれたら御の字じゃないでしょうか。ヒドいのは本当にヒドいですからね。

48 :
「トム・マーロウの奇妙な事件簿U 悪夢の目撃者」クリス・プリーストリー(ポプラ社)
この所トムはハーカー博士に信頼されていないと感じていた。ジャコバイトの処刑を見に行った時に出会った男のことも、
博士の家ですれ違いになった男のことも教えてくれない。盗み聞きした限りではニューゲート監獄の囚人に関することらしいのだが……。
そんな中トムの元へ意外な人物が現れ、彼の日常は大きく変わっていく。
一方、巷では指差しただけで人をRという《白い騎士》の噂が飛び交っていた。
髑髏の顔を持ち金品を奪っていく怪人の正体にトムと博士は迫ることができるのか?
腐した癖にちゃっかり読むんかいと言われそうですが、未練がましいのは本読みにとって美徳と思うとります。児童書ですし。
しかし今回は割と本格ぽかったです。伏線もありまして。トムの最後の決断にもそれが表れていました。
今回の見所は髑髏騎士よりもトムと博士両方の過去に纏わる物語です。2人の悲劇とこれからに注目です。
しかしこのシリーズ、女っ気がないのが残念ですねえ。ミーツしないと。次作で用意されていると良いのですが。

49 :
「ナポレオン・ソロA/最終作戦」H・ホイッティングトン(早川書房)
スラッシュのスパイからの足抜けを願う踊り子ウルスラに会うためホノルルに飛んだソロとイリヤ。
しかし彼女はソロの目の前で非業の死を遂げた。裏で手を下したのはスラッシュの幹部サムで更にその背後には大物ティックスの影があった。
イリヤはサムを追って、ソロはウルスラの元パートナーに会うためアカプルコへ向かう。
ナポソロのノベライズはエロいと聞いていたが本作はちっともそんなことなく学刈。
つか、ソロもイリヤも捕まり過ぎ殴られ暗転し過ぎ。その繰り返しだから安直に感じるしフーダニットも何か活きないし
ラス前まで敵の掌の上みたいで何だかなあ。あと折角敵にエロ美女がいるのにろくに絡みもなく終わっちゃうのもマイナス!
DVD出せよう。

50 :
「殺人よ さらば」ジョン・ラックレス(集英社)
CIAのスーパーコンピューターが弾き出した結論――それは特殊殺人手段考案の天才エディが退職を決意しているということだった。
しかしそれが許されるはずもく、彼の所属する〈植民地分隊〉はエディ抹殺に動き出す。
一方KGBでもスーパーコンピューターがエディと同じ才能を持つワシーリイの退職の決心を突き止めていた。
早速ワシーリイと唯一接触していた〈別荘族〉の刺客が放たれる。
やがて同じ境遇の2人はセックス・フレンドを通じて知り合い共闘することになるのだが……。
面白い! これは掘り出し物だったわ。江湖は広いね。
抜け忍小説であり「なめくじに聞いてみろ」的側面もあるという。
主人公2人が様々な武器を使って敵を殺していく。その一つ一つが奇抜だし、そもそもその前提のアイディアも巧いと思った。
主要なキャラクターも片やプロで片や童貞くさく(笑)、そして2人の間をたゆたう謎めく女と中々良い配置。童貞ムキーみたいな(笑)。
この女が色情狂ですぐオナニー始めたりするんだが、そのキチガイぶりも重要!
ところでこういう敵の数を明確に区切って順繰りに倒していくっていう筋わが国じゃお馴染みだが欧米じゃ珍しいよね。
予定調和ぽくて嫌われるのかしら。しかし本作は予定調和とは行かない。後半wktkな展開が待ち受けているのでお楽しみに。
〆も見事!

51 :
参考になりました

52 :
読後感氏の疾走ぶり良し(w
いろんな意味で溜まっていたんやろうね。
情報的には、現在はコニントンの邦訳が存在することがわかったのが良かった。
マエストロ鮎の短編に主人公がJ・J・コニントンの翻訳長編
を読むシーンがあるが、解説によれば、執筆当時はこのエピ自体が
作者鮎の願望に近いものだったようだ。
「F・W・クロフツ流の堅実な捜査過程を得意とする作家」
「1920年代から30年代にかけての英米本格推理長編『黄金時代』の一人」等の紹介があり、
「一般読者が彼=コニントンの作品を読むことは不可能に近い」とされている。
ただし、紹介されている作品(これが唯一の邦訳長編らしい)は、
読後感氏の評やネット検索情報によれば、クロフツって感じではないような。
いずれ手に取ってみたく思うが、チャンス到来あるか否か・・・

53 :
本とか普段読まないんですけど
二流小説家って本を読みました
ラストの意味がわかりません><
解説してください><

54 :
ハロルド・ロビンス「冒険者たち」を読む。
2ちゃん草創期のワードで評すれば、正に「マジオモ」(まじで面白い)。
文庫上巻621頁、下巻724頁(本文のみ)というボリューム感溢れる作
だが、会話文も多く、スピード感ある場面転換等の語り上手で、
ビールラッパ飲み状態の如くグイグイ読める。
冒頭、主人公ダックスの埋葬シーン、この後、そこに至るまでの大ビルドゥングス・ロマンが語られてゆく・・・
大衆小説にはありがちなパターンとはいえ、主人公の最終的行く末ネタばれは、
ちょい残念かもなー。
ハードな肉食系ちゅーか、エロとバイオレンスは満載、しかもくどくなり過ぎないような適度な省略良しや。
2次大戦時の国際情勢ネタ、海運を主とした経済ネタ等も、ねらーにはきついかと思われるほどの凝った書き込みぶりで読ませるものあり。
甘口の小説が好まれる昨今、60年代らしい正に濃い口のオトナのエンタメ、
男が読むロマンス本(?)という感あり。
主人公の母国である南米コルテグアイ(架空の国)における残酷な内戦や
ドロドロした権力闘争等は、現代でも世界のどこかでは現在進行形なん
だろうな。
まあ、ミステリファンとしては、終盤、海運王となったマルセル
(コルテグアイ仏領事館の元秘書兼通訳、つまり主人公の使用人であった)
の密室殺人が放置されたままエンディングなのは残念な感はあるが。
各人、心して読め!

55 :
ほんとに読んでいるとしたら、こんなことしか書けないってある意味すごいな

56 :
>>52
>いろんな意味で溜まっていたんやろうね。
ワロタ!
たしかにあんまり溜めると体によくないですね…

57 :
その点書斎は脳細胞になに一つとしてたまっていないものなw

58 :
J・J・コニントン「或る豪邸主の死」
とうとう読むことが出来た。この作者の入手可能な唯一の作かと思う。
豪邸に引っ越して来た素行芳しからざる村の新参者殺し。
冒頭に「読者への挑戦」(あえてこれを挿入するほどの作なのかは疑問)
理科系作家(化学専攻)らしい殺人光線ネタ、
伝説のグリーン・デヴィル(この正体には思わずガクーリだが)や
死者からの電話の怪奇ネタ等々、わりと盛りだくさんな要素がありながら、
これといった探偵役が不在なまま進行、犯人側の自白(?)により
真相判明(事件処理は別)という展開そのものが一番面白い作だ。
ただし、真相そのものはがっかり感大だが。
舞台となるフェーンハースト・パーヴァ村LOVEな
治安判事サンダーステッド大佐(探偵役かと思いきや、
探偵活動では殆ど機能せず。しかし、親切心溢れる愛すべき爺キャラである)、
噂話好きな牧師フリタウイック(牧師という存在は肯定的・好意的に
描かれることが多いので、このしょうもないキャラは珍しい)、
大佐にもため口のバンガローの主ジミー青年等、印象的なキャラは多し、
田園小説の趣もある作ゆえ、もっと情景描写も書き込んであれば、
雰囲気の盛り上げにはいかったと思われなのだが。

59 :
スティーブンキングどうかな?

60 :
「脱獄と誘拐と」トマス・ウォルシュ(東京創元社)
エディーは定職を持たない前科者。折角出来た恋人にも正直になれず、空軍に勤める弟ロバートのアドバイスにも耳を貸さない。
ロバートと喧嘩別れした夜、恋人ケティーの父親に濡れ衣を着せられ投獄される羽目に。落ち込むエディーの下へ
追い討ちをかける知らせが届く。ロバートが東側の某国で捕まり20年の強制労働の刑に処されたのだ!
何としても助けなければ!奮起したエディーが考え出した奇策。それは近く訪米する某国の支配者“太っちょ”を誘拐し
ロバートと交換するというものであった!! しかし何よりもまずエディー自身が脱獄しなければならないが……。
登場人物一覧でソ連て言うてもうてるやん!でもどうです、あらすじでもうおもろいやろ?え、トンデモ?ええがな。
やることたくさんあるのに250ページ足らずだからサクサク進んでいくで。とは言え万事順調やない。
読者は脱獄や誘拐のハウダニットを楽しみつつもアクシデントにハラハラするちゅうわけや。お得や思うで。
ただなあ、やっぱり短いせいか全体的に雑やし、都合の良い印象はあるな。特にクライマックス、
これどう考えても大団円にはならんでしかし。後ヒロインな。こんな(都合の)ええ女おるかいや。妄想も大概にしとき。
ついでにノートの褒め方もかなり無理くりやったわ。厚木さんご苦労さんどす。

61 :
「治療島」セバスチャン・フィツェック(柏書房)
謎の病気に苦しんでいた一人娘のヨーズィが病院から失踪してしまったということが私、精神科医ヴィクトルを蝕んでいた。
それから4年後、孤島の別荘に引きこもっていた私の元へアンナと名乗る女が現れた。カウンセリングを求める彼女の話を聞く内に
私は心を動かされていった。何故ならヨーズィが失踪した前後の状況とあまりに似通っていたからだ。一体娘はどこにいるのか――?
4冊目にして処女作に手をつけた訳だが、「ラジオ・キラー」が有名になったのもむべなるかなといった感じの出来。
もうね、前半は延々朧気な印象の展開が続く。これどう片付けるんだろとページを繰らせる。大まかな不思議のみならず
細かな謎がいくつも付随していてこれらがちゃんと処理されるかが心配でたまらなかった。されなかった。
この真相は雑やわ。こんなんやったら何でもありになっちゃう。村長なんてどうなってんだよと。
それがあるから最後まで読んでも素直に称賛できない。もっとも自分には7度も再読する気はないから
見落としがあるかも知れないが、疑問点全てに関してあるとは到底思えない。
もっと言うと、このからくり自体実行不可能だと思うし、仮に出来たとして時系列順に行動を追ったら矛盾や欠落がある。
更にいうと、設定域狭いねこの人。
ま、2作目以降からで良いんじゃないかな。

62 :
「犬橇」ジョゼ・ジョバンニ(早川書房)
白熊を守るため殺人を犯し服役していたダンはアラスカへと帰ってきた。彼を出迎えたのは人々のあからさまな侮蔑と憎悪。
何もかも失ったダンは男の誇りを取り戻すため過酷な犬橇レースへ挑む。
初ジョバンニは異色の作品らしく。面白かった。とことんディスられた主人公の孤軍奮闘てまるでフランシスみたいで
血湧き肉躍るし、250そこそこと短いのもスピード感があっていい。こういうのはダラダラ長いと白けるからね。
ただフランシスと違うのは主人公がエコテロリストな件。はっきり言って感情移入はできないし、
そのせいでクライマックスの出来事とその後の判断に感動し切れなかったのは残念。ちょっとキタけどね。

63 :
「闇の絆」グロリア・マーフィー(二見書房)
夫を交通事故で亡くして以来女手一つで双子を育てているジェニファーに起きた悪夢。
双子が誘拐され、自身もまた犯人の男の虜となってしまったのだ。その男セスはジェニファーにとって
忘れようにも忘れられない相手であった。そしてジェニファーに惹かれ事件を追う警部補ソーン。果たして母子の運命は――。
ありがちな筋書きにありがちな結末。頼みはエロながらこれもイマイチとあっては救いようがない。
当時はこれで通用したのかねえ。いや、やっぱダメなサイコミステリーの典型であろう。

64 :
「技師は数字を愛しすぎた」ボワロ&ナルスジャック(東京創元社)
原子力関連施設の技師長が射殺され、核燃料チューブが持ち去られた。当時現場は密室状態であり、
犯人はほんの数秒で姿を消したと思われた。
司法警察(PJ)のマルイユ警部は友人の技師ベリアールの協力の下捜査を進めるが、似たような状況の事件が次々と発生してしまう。
初ボワナル。ルパンの贋作はポプラ社の注釈のお陰で回避していたので。密室もの本格と呼んで差し支えないよう。
合わせて4つの密室殺人あるいは人間消失が披露される。真相の内いくつかはすぐ見当がつくと思うが、
全て見破るのは不可能だと思う。つかこんな合わせ技卑怯やで。
しかしこれを機にぼちぼち手を出してみたいとは思う出来であった。

65 :
「ハロウハウス11番地」ジェラルド・A・ブラウン(早川書房)
世界のダイヤモンド流通を一手に引き受ける〈組織〉からダイヤモンドを根こそぎ盗め!
〈組織〉の下請けとして働くチェッサーは大富豪のダイヤを何者かに奪われたことから
恋人マレンと共に前代未聞の大泥棒をやる羽目になるのだが……。
映画版は以前観たが印象に残ってない。ついでに言えば表紙の2人はそのキャストには見えない。
キャサリン・ロスとロバート・レッドフォード?
閑話休題。まとまりがない小説。犯罪より主人公カップルの会話や何かにページを割いていてそれはとても興味深いのだが、
それ以外の部分がどこかおざなりでスリルショックサスペンスが上滑りしてしまい読んでも今一つ伝わってこない。
事件の絡繰りを早々に読者にだけバラしたのも不可解。ちっとも効果的じゃなく逆に終盤主人公が知った時の衝撃が薄れただけ。
主人公カップルが強烈過ぎるのか脇役も悪役もちっともキャラ立ってないし。500ページ近いのにこれでは……。
しかもラストがまた酷い。意外と言えば意外だがただただ唐突なだけ。こういう終わり方をする作者は次読む気しない。
ただ前述したが主人公カップルのシーンはいい。特に恋人マレンの造型は出色で、彼女に関するサプライズは巧く機能している。
例えるならマシなスーザンて感じかな。

66 :
「金融街にもぐら一匹」マイケル・ギルバート(文藝春秋)
会計事務所に勤めるデイヴィッドは不真面目な態度を繰り返し到頭解雇されてしまう。転職先の旅行会社でも
違法行為に手を染めたせいでドツボにはまっていく。
一方恋人のスーザンはそんな彼を尻目にトントン拍子に出世を重ねていき、と同時にデイヴィッドとの溝も深まっていくようで……。
そんな2人の背後に大立者の影が蠢く!?
「スモールボーン氏は不在」が凄く詰まらなかったので不安だった2冊目。でも本格でないせいかスラリと読めた。
しかしまずは裏表紙よ。ここまで書いていいのか?後半5行は読まない方がいいと思う。
で内容だがそこまで濃くはない。しかし前述の通りスラスラ読めてまあまあ面白いので駅や病院の待合室に置いてあったら手に取るといいだろう。

67 :
「横溝正史翻訳コレクション 鍾乳洞殺人事件/二輪馬車の秘密」ウィップル○ヒューム(扶桑社)
「鍾乳洞殺人事件」はその名の通り鍾乳洞付近で起こる連続殺人のお話。200ちょいで連続殺人を扱い、
更に終盤のスリルの盛り上げ等読み物としての密度は高いがいかんせんキャラクターや筋立てが類型的で古臭すぎる。これ本当に黄金時代か?
おまけに推理も物足りないわ、放置された謎もあるわで、本格としては低評価にならざるを得ない。
大体凶器にしてからが……。
「二輪馬車の秘密」は夜中に二輪馬車に乗った客が死体になっていたという話。300強もあるのにかなり単調なストーリーで
読むのが苦痛だった。こんなもんがベストセラーとか嘘だろ。事件そのものにもサイドストーリーにも見るべきものがない。
最後に、「鍾乳洞殺人事件」だけど、34年刊なのに昭和七年訳載て、これ笙子お姉さんに知らせた方が良いのでは……。

68 :
「フランクを始末するには」アントニー・マン(東京創元社)
奇妙な味の短編集。オチを狙ったものが意外と少ないのが特徴かな。良くも悪くも。
ベストは表題作か。往年の大スターの暗殺を依頼された殺し屋がターゲットの邸宅へ向かうが……
どんでん返ったようでどんでん返ってないような不思議な読後感を残す傑作。
次点は僅差で「エディプス・コンプレックスの変種」。チェスが強くなりたくてたまらない主人公が
コーチから伝授された方法は……この結末は予測不可能。どんでん返しをスルーして着地するみたいな。
この他にも「マイロと俺」のカワユスや「買い物」の推測、「契約」の哀愁などが印象に残った。
あと「契約」や「凶弾に倒れて」を読むとこの人はデイヴィッド・アリグザンダーにも似ているような希ガス。

69 :
「不死鳥を倒せ」アダム・ホール(早川書房)
海千山千のスパイクィラーはベルリンを去る間際、新たな任務を与えられる。
それは、ベルリンで目撃されたナチの大物ツォッセンを捕らえるというものだった。
クィラーはネオ・ナチ組織〈フェニックス〉を抜けたという美女から情報を得て内部へ潜入しようと企む。
シリーズもののスパイものて荒唐無稽なものが多い印象だが、本作はリアル志向で主人公はあれこれと頭で演算しながら
行動する。それ自体はスパイとして当然だろうが、脳内をダダーッと羅列されるパズラーぽさは珍しい点だ。
やり過ぎて脳内迷子になりかけているような気もするのだが、その思索が正しいと仮定すると、とある登場人物の描写は目から鱗だった。
ちなみに石川喬司曰く〈あたまスパイ〉は上手いね。〈いやいやスパイ〉もいつか読みたい。

70 :
「眠りについた骨」デヴィッド・ウィルツ(扶桑社)
獲物を目眩くセックスの快楽に溺れさせた後で仕留める連続殺人鬼「キャプテン・ラブ」。
FBI捜査官ベッカーは親友の警察署長ティーと共に事件を追うが、殺人鬼が次なるターゲットに選んだのは……。
基本順に読みたい派なのに何故5作目から読んだのかと言えばエロそうだったからです!
で、エロに関して言えば濡れ場の描写が数度あるので物量的にはOKですが個人的にメインと捉えていた要素は少なかったですorz。
閑話休題。
サイコものとしては長い割にそれに釣り合う謎が無くてイマイチでした。主人公がパーカーヒーローぽいのも気に食わないです。
ま、サイドストーリーは結構読み応えあったんですがね。どんどん読みたいかと言うとノーですねえ。

71 :
「沈黙の犬たち」ジョン・ガードナー(東京創元社)
大失態のせいで冷や飯を食わされているクルーガーに凶報が届いた。
彼のせいで半世紀以上も前からKGBの中枢部に潜んでいるスパイが危機に陥っているというのだ。
急遽スパイ脱出の指揮を取ることになったクルーガーは作戦の内容に疑問を感じながらも計画を練っていく。
一方ソ連では復讐に燃えるヴァスコフスキー少将がスパイを着実に追い詰めていた。
三部作完結?!
相変わらず読みやすくて面白い。文章は易くプロットは難く。理想のスパイ作家ではあるまいか。007任されたのも解るよ。
ただし本作は前作ほどトリッキーではなく、全体のストーリーや構成に重きを置いている印象。
もぐら探しも中盤には明らかになり、クルーガーとヴァスコフスキーとの読み合いが主眼となる。
やや予定調和かと思うが、ラストの盛り上がりはなかなか。
しかし、作戦における配役の必然性が弱く、同僚で友人だったはずのタビーのクルーガーに対する態度も不可解。
さて……。

72 :
「悪魔なんかこわくない」マンリー・ウェイド・ウェルマン(国書刊行会)
近代化を拒み古色蒼然たる伝統文化が息づくアパラチアの山々。さすらいのバラッド歌手ジョンは各地を渡り歩きながら跳梁する怪異と出逢い、退けていく。
オカルトハンター“銀ギターのジョン”登場!
本読みにとって至上の喜びとは、「期待通りの面白さ」を実感する時ではないかと思う。本書はまさにそれであった。
余談になるが筆者は小学生の頃、ジョンに似たキャラクターを創作したことがある。と言ってもすぐ止めてしまったのだが、
あの時思い描いていたものはこれだったんだなとしみじみ感じた。
閑話休題。ジョンは魔除けのギターを持っているとは言え、超常的な力で化け物退治する訳ではないので、
筆者が理想とするオカルトハンターに近く、のめり込んで読めた。収録短編はバラエティに富みどれも楽しめたが、
怖さでは「ヤンドロー山の頂」、ストーリーでは「ヴァンディー、ヴァンディー」、爽やかさでは「山のごとく歩む」かな。
更に各短編の冒頭に載っている掌編がまた素晴らしい出来!
たった1、2ページで見事に捻りや余韻を効かせていて、本書の最大の魅力は実はこれなんじゃないかと思うくらい。
殊に「青い猿」なんかは星新一の最良の短編群に混じっていても遜色ないと言ったら言い過ぎかな?
「ほかのだれをあてにできるか」の切れ味もGOOD!
アメリカの昔話の世界に浸れる幸せな一時でござった。また読みたい。他作品も訳してくれ。あとカーに似てる。

73 :
『エンジェル家の殺人』ロジャー・スカーレット
江戸川乱歩が絶賛しパクっ…ではなくて翻案小説として『三角館の恐怖』を書いた事で有名な作品。
乱歩の言うとおりサスペンスが地味ではあるがスリリングで面白い。
双子の兄弟の父の残した遺言のせいでエンジェル家に事件が起こる。作中の人物の言うとおり、そりゃ後で問題起こるわ。
しかし、この遺言のせいで複雑でスリリングな状況を生んででちょっと人工的ではあるけど上手いなと思う。
密室ものとしても有名な作品だけど、トリックはあっさり解かれてしまう。もう少し最後まで引っ張った方が良かったと思うのだが…。
犯人はまぁまぁの意外性。それよりもこの作品のキモは動機の意外性だと思う。

74 :
「スコーピオン暗礁」チャールズ・ウィリアムズ(東京創元社)
元作家の潜水夫マニングは美貌の人妻からのちょっとした依頼を受けたことから、大掛かりな犯罪と殺し合いに巻き込まれてゆく。
海洋冒険小説にしては珍しく長くない。プロットも割合単純でスラスラ読める。キャラクターが類型的なのは56年仕方ない。
ラストに捻りがあって少し驚く。そんな印象。

75 :
「サイゴン・カフェの爆風」リチャード・ハイヤー(二見書房)
警備会社を経営するデインは元恋人シェリルから連絡を受けディナーの約束をする。しかし、彼がレストランへ入ろうとした瞬間爆発が!
間一髪助かったものの、シェリルとその婚約者がデインに不利な証言をしたことから爆破犯と疑われる羽目になる。
デインは自ら真犯人を突き止めるべく行動を開始するのだが……。
処女作とは思えない面白さ。この密度は半端じゃない。これぞミステリー。これぞハードボイルドではなかろうか。
様々なキャラクターが一癖も二癖もあり容易に全体像を掴ませずに次から次に局面を変えていく話運びの達者さは完全に玄人はだしで、最後まで気を抜かせない構成も見事。
邦訳はこれきりだがシリーズ化してるなら次も読みたいなあ。

76 :
「ストライク・スリーで殺される」リチャード・ローゼン(早川書房)
ドラフトにかけられ名門チームから新設チームへ移ることになった大リーガーのハーヴェイ。
成績も上向き、キャスターの恋人も出来てさあこれからという時、ピッチャーのルディがクラブハウスのジャグジーで殺される。
彼とルームメイトであり親しかったハーヴェイは何かに突き動かされるかのように事件を調べ始める。
現役の大リーガーが探偵役って初めて読むかも。合間合間に弱小チームの惨憺たる試合状況が展開していき、しかもそれが伏線になっているという趣向は面白い。
真相はそこまで意外ではないが、その動機はなかなかユニーク。
ただ作中でも突っ込まれている通りこれには穴がある……けどそこは処女ゆえのご愛嬌と。

77 :
「瓦礫の都市」ジョン・フラートン(早川書房)
内戦の続くサラエボのアパートで女性の死体が発見される。垂れ込みを受けたロッソ警視は崩壊しかかっている市警をまとめ何とか捜査に着手するのだが、
そこへ民兵のリーダーからの横槍が入る。
砲弾飛び交う荒廃した街でロッソは正義を貫けるのか。
以前占領下の街を舞台にしたミステリーは面白いと書きましたが、本作はそれどころか内戦下の街を舞台にしています。
毎日ばたばた死人が出る中でたった一人の死を追うという構図からして面白そうだと期待して読んだのですが……。
う〜ん、デビュー作だからなのかあまりミステリーを意識してないのか、どうも完成度が疑問符なんですよねえ。
(準)戦場での殺人と家庭内の葛藤+民兵リーダーとの対決とを平行し乃至絡めて描くという大枠は良いんですが、
その内容は味気なくて呆気ないんですよ。プロットを詰めきれてなかったのかしら。ネタは良いのに残念でした。

78 :
「海峡トンネル爆破」ロバート・バーン(集英社)
英仏を結ぶドーバー海峡トンネル建設が動き出し、土木技師フランクは責任者を任された。
胸を踊らせるフランクだがその前に環境保護団体の闘士で女性カメラマンのアンが立ちはだかる。
一方、IRAの異端児クインは仲間を集めてトンネル爆破を目論んでいた……。
トンネル建設、反対派のヒロインとのロマンス、爆破テロと魅力的な要素は揃っているのだがこれも前回同様まとまりが悪い。
特に2番目の要素はかなりおざなりでこれなら要らないくらいなもの。爆破計画も何かグダグダで消化試合じみており手に汗握れない。
クインは裏主人公というポジションで最初の方は興味深いキャラだったのになぁ。
トンネル建設のとこだけは流石に本職だけあって詳細に描いている。あんまり興味湧かなかったけれど(笑)

79 :
「北海の星」ハモンド・イネス(早川書房)
元共産党シンパの船乗りマイクは安定した生活を捨てかつて父がいたスコットランドの北シェットランド諸島に行く。
そこで海底油田掘削装置〈ノース・スター〉を監視する船に仕事を得るが、放火事件を目撃していたためテロリストに付け狙われ遂には濡れ衣を着せられてしまう。
更には〈ノース・スター〉にも魔の手が……。
イネスは3冊目かな?
今まで読んだのは古典的な正調冒険小説って感じだったが、本作は主人公のうらぶれ具合と言い、ドツボ具合と言い、元妻との愛憎と言い時代が下った感じで新鮮な思いで読めた。
ただし、もう少し事件に絡んで行って欲しかったな、冒険小説なら。若干傍観者ちっくなので。
あとロマンスがメインプロットと乖離気味なのは未だ古臭さが抜け切れぬ点か。

80 :
「死の館の謎」ディクスン・カー(東京創元社)
謎めいた指示により10数年ぶりに帰郷することになった作家ジェフ。彼はその途中の船上で旧友デイヴとその妹、更にはかつての恋人と出くわす。
それぞれが何か隠しているらしいことを不審に思いつつも故郷に着いたジェフはデイヴの館に逗留するが、
そこは財宝の言い伝えがあったり怪死事件が遭ったりする奇妙な場所だった。
果たしてその館で再び関係者が謎の死を遂げ……。
印象薄いカー。
それなりに長いし、もったいつけや煽り立てを熱心にやってる割にはそこまで凄いネタではないし、犯人の意外さも想定の範囲内。
ただし、船上のパートの長さは故無き物ではないので要注意。中々死の館に辿り着かないけど、ここはしっかり読むべき。
あとロマンスは掴みが上手くニヤニヤするものの中盤以降は惰性なのがまたいつものカーだった。

81 :
「赤ちゃんはプロフェッショナル!」レニー・エアース(早川書房)
偽造パスポートで生計を立てているハリーは腐れ縁の悪党モーランドにある犯罪計画を持ちかけられた。
それはギャングのボスの赤ん坊を誘拐して大金をせしめようというもの。
逡巡するハリーだがモーランドやその仲間に脅かされ嫌々参加することに。
かくして計画は実行され、ハリーは謎の美女ポーラと夫婦を演じモーランドの奥の手である人物と対面するのだが……。
世の中には読み甲斐のない小説というものがたまにあってですね。もう設定倒れもよかところですわいな。
コン・ゲームもので成功させるには、
@読者を驚かせつつ成功させるかA外的要因によって妨害・破綻させ更なるサスペンスを展開していくかしかないと思うんです。
然るに、本作は勝手に転んでる印象でグダグダです。これじゃ魅力的な設定が可愛そうです。
ロマンス面も同じでツンとデレの配分がおかしくてウザイだけです。ケンリック見習ってくだしあ。

82 :
「お菓子の髑髏――ブラッドベリ初期ミステリ短編集」レイ・ブラッドベリ(筑摩書房)
有名SF作家のミステリ短編集という試みにまず乾杯。みんな売れない頃は色々書き散らしてるんだよね。
そういうの読みたいもんなんだよな。
閑話休題。本格風味のものは殆どなく、奇妙な味かスリラーかクライムノベルぽいの。
ベストは「用心深い男の死」。最初はどってこない印象だったけど妙に頭に残るんだよなあ。
次点は「はるかな家路」か。小市民の男が咄嗟に吐いた嘘が思いも寄らぬ事態に行き着く。
あと、新たな生命に脅える若妻を描いた「幼い刺客」(これはドラマで観た)や、単純だが淡々とした展開が怖い「生ける葬儀」など。
その他の短編もそこそこ面白いのだが、シリーズものなど会話主体のものは正直失敗作ぽい。

83 :
「迷走パズル」パトリック・クェンティン(東京創元社)
妻を亡くしアルコール依存症になり施設療養中の演劇プロデューサーピーターは、ある晩不気味な予言をする自分の声を聞く。
それを看護師に漏らしたピーターは所長のレンツ博士から所内で変事が続いていると伝えられ調査を頼まれてしまう。
しかし殺人予告は止むことがなく、ある朝とうとう現実に!
ピーターは一目惚れした患者アイリスのため、事件解決を目指すのだが……。
素人はすぐがっつくんですよ。「悪女パズル」が出ては飛びつき「悪魔パズル」が出ては食いつき、
大枚を叩いて「俳優パズル」を買ったり国会図書館行ったり抄訳読んだり。
しかし私は違います。慌てず騒がず1作目から完訳で読める日を待ち続けて来ました。だからこそこの日を迎えられたのであります。
閑話休題。
思ってたよりジミー大西でした。これっていうダニットがあるわけでもなく。チートババアも気になりますし推理も大雑把ですし。
視点を転じて夫婦探偵の馴れ初めを観てみると、2人の関係性の歪さに気が付きます。
一目惚れしたピーターはともかくアイリスの心の動きがよく解りません。
そもそも彼女メンヘル気味でまともな関係を築ける状態だと思えないんです。特殊な場所で特殊な事象の下で一夜城よろしく構築した男女関係と感じました。
この突貫工事の危うさが後々響いてくるということなのかも知れません。
次は「俳優パズル」です。もちろん新訳で。

84 :
「悪の変奏曲」トマス・マクスウェル(早川書房)
作家チャーリーは大学の同窓生である弁護士ヴィクターから連絡を受ける。彼ら夫婦はストーカーに悩まされているという。
その相手とはかつてヴィクターの妻キャロの妹を殺した廉で投獄されていたヴァーラーダだった。
助けを乞われヴィクターの家に滞在するチャーリーだが、ヴァーラーダの脅威は増してゆき遂には犠牲者が……。
これ配分がおかしくないかね。表紙、書評他で得た印象と実際読んだ印象が乖離している。
この“売り”で行くには某キャラの存在感が強すぎる。背景があるとしてもここまでチート化させる必要はないだろう。
ただ、単純にサスペンスとしては佳作の部類に入るかな。あとラストははっきりしてるでしょ。つまり判ってたんだよ。
P.S 結局3度目のキスはどうなったの?

85 :
「The 500」(早川書房)
苦学生マイクは講師として大学に来たロビイストデイヴィスに誘われ彼の会社に就職する。
高給を貰い美しい恋人も得て新生活は順調にスタートしたかに見えた。しかし、過酷な任務を経てマイクはデイヴィス・グループに疑問を持ち始める……。
プロットが剥き出しになっている小説だと思った。
プロット自体にオリジナリティは無いので面白さを感じてもそれらが時々通る道の景色であることは否めない。
デビュー作の悲しさかねえ。
ただ、キャラクター作りは巧いのよね。それぞれ良く出来てる。……だから尚更鉄骨ぶりが目立ってしまっている訳だが。
このキャラだったらまだ裏があるだろうとかね。考えちゃう。特にイリンに関しては違和感あった。
あとせめてロビイストの実態をもう少しry。

86 :
「記憶の闇の底から」ジャック・ネヴィン(扶桑社)
成功した児童文学作家マットは美しい妻と子供たちに囲まれ幸せな家庭を築いていた。あの夜までは……。
娘が変わり果てた姿で帰宅し家族を拒絶した。悩んだ末セラピストに任せることなったが、
転地療養中の娘は突然マットを性的虐待で訴えたのだ!
名声は地に落ち家族は崩壊していく中必死にもがくマットの運命は――。
あらすじ読むとニュースでお馴染みのテーマかと思うがこれが中々一筋縄では行かない。
様々な証拠が持ち上がって果たして真実はどこにあるのか悩ませられる。どんでん返しは見当つくけど、
そこに至るが過程読ませる。巻き込まれ型とは言え躍動感は無いから暗さややり切れなさが際立つが結局引っ張られて600の長さも一気読み。
ラストの大団円は好みじゃないしご都合主義に感じたが、法廷劇もあるしまあお薦め。

87 :
「血と影」マイクル・ディブディン(早川書房)
大富豪夫婦が別荘で友人たちと共に惨殺された。犯人は最新式のセキュリティーシステムを如何にして打ち破ったのか?
捜査を担当するゼン警視の前には上層部からの圧力や同僚の妨害更には脅迫者の影が立ちはだかる。
マイルールを破って2作目から読み始めたのは密室ものっぽかったから。しかし読み出すと裏切られたかもと思った。
前半はゼンの身の回りのことばかりでちっとも当該事件の捜査が進まないんだもの。密室がフィーチャーされることもないし。
諸々の脇筋も良いんだけど、半ば事件不在で進行していくと違和感が芽生えちゃうのよねぇ。
と後半に入ってやっと現場に赴くんだけど、ここでも捜査や推理は主眼に据えられずゼンのストーリーは続く。
結局こういうシリーズってことなのかねえ。真相は割と面白かったんで、作者は誤魔化しではなく敢えてそうしているんだろうな。
本格を期待すると透かされるので注意。

88 :
黄色い部屋の謎 ルルー
古典的名作ということで、期待して読みました。
これは、かなり無理がある話ですね。ミステリーなんかは、多少は話に
無理があっても、面白ければ納得できるんですが。
読んでも時間の無駄でした。

89 :
「ココ 上・下」ピーター・ストラウブ(角川書店)
ベトナム帰還兵の集まりに参加した小児科医マイケルは再開した戦友たちからシリアルキラー〈ココ〉の話を聞く。
この殺人鬼の存在がかつてベトナムで彼らが体験したある忌まわしい出来事にあると確信した4人は東南アジアへ旅立つ……。
「ミステリー」から間が空いてしまいましたが、しかし何コレ?
ホラーでないのは確かだし、ミステリーとしても緩〜い。物語としてはアリだと思うけど、この叢書でこの装丁でこのあらすじで読ますのは反則やわ。
合わせて1000ページもあるならもっとマギーのエロシーンを増やして欲しかった。

90 :
「ナーシサス号を奪還せよ」アダム・ハーディ(三崎書房)
18世紀末。立身出世に燃えるイギリス海軍士官フォックスは今日も命懸けの任務に励んでいた。
しかし出自の低さから様々な妨害に遭い、果ては乞食に間違われて違う軍船に乗せられる羽目に。
そのままフランスに奪われた自国の船と戦うことになるのだったが……。
歴史海洋冒険小説は初めてかな? シリーズ第1作。ストーリーは本作のみでまとまっているというよりは戦歴を切り取った感じか。
読み捨て小説といった印象で単独では評価しにくい。もっと陸上の描写もあれば良いのだが。
しかし、強制徴募隊テラコワス。まるっきり気違い沙汰じゃん。こんなのマジでやってたとは……。

91 :
「マエストロ」ジョン・ガードナー(東京創元社)
世界的な大指揮者ルイス・パッサウにスパイ疑惑がかかり、CIAとSISは真相を知るべくパッサウを訊問することになる。
その担当者として選ばれたのは既に引退していたビッグ・ハービー・クルーガーであった。
外界から遮断された隠れ家でパッサウの波乱に満ちた生涯が語られていく。
その果てに現れる驚くべき陰謀の構図。そして運命の女。
クルーガー最後の闘い。
シリーズ最終作。上下合わせて1200ページを超えるという大作。しかし読み終わるのが惜しかった。わざと読まない日を作ったりした。
内容はパッサウの一代記と1991年現在の話が8:2くらいで語られていく。
前者は中々のものでこれだけ切り取ってドン・ウィンズロウが書いたことにすればベストスリーも夢じゃない。
しかし、私が陶酔したのは現在パートのクルーガーたちの遣り取り、その世界観だ。シリーズ通してそうなのだが、改めて痺れた。
このシリーズには依存性があると思う。作品自体の出来はそう求めないからずっと読み続けたいと思わせられる。
しかし敢えて言うがラストは酷い。1200ページ語ってきてこの駆け足ぶりはどうしたことだ。全く不細工ではないか。
流れはこれでいいからせめてこの倍はページを費やして欲しかった。ここまで来たんだからそのくらい出来ただろうに。
これでは消化不良だ。余韻を楽しむ、想像するなんて余裕も無いくらいだ。せめてせめて下巻630ページにはあと一行欲しかった。
追伸
・○○○可哀想
・上巻536ページのセックスと愛は逆では
・××××が死んだなんて誤解は無いはずだが

92 :
「濡れた魚 上・下」フォルカー・クッチャー(東京創元社)
マスコミからバッシングを受けたせいでケルンからベルリンへ転勤してきたラート警部。
慣れない風紀課での職務が続く中、ラートの下宿を1人のロシア人が訪ねてきた。どうやら前の住人の知り合いらしかった。
程なくしてロシア人が惨たらしい死体で発見されたとき、ラートは真相を探り殺人課へ移る足掛かりを得ようとするのだが……。
戦前のドイツを舞台にした警察小説シリーズ第一作。「深い疵」はまだ読む気が起きないがこっちは期待して読んだ。
簡単に言うと模範的な警察小説。組織の物語、事件の物語、主人公の物語が程良くブレンドされて訳文も読みやすかった。
特に主人公の物語は過去との対決など見せ場を予感させてこれからワクワクである。
ただミステリーとして見た場合、伏線が正直で意外性はあんまりないかな。
ま、背景にある共産党やナチの台頭など宵闇迫るドイツの雰囲気と合わせ技ってとこか。
警部にしては隙があり恋に悩みドツボにはまるラートのキャラクターも良い。
そして色気ムンムンの未亡人大家や頼れる“叔父貴”、腕利きの上司“仏陀”、男に厳しい美脚タイピストなど脇役たちも悪くない。
英米圏と比較するのはもう少し留保して続きを読もうと思う。

93 :
「天使のゲーム 上・下」カルロス・ルイス・サフォン(集英社)
作家を夢見る青年ダビッドは師匠と慕う御曹司ビダルの伝手でデビューし売れっ子になる。
しかし、新居と選んだ“塔の館”で書き上げた渾身の一作は酷評され、更に思いを寄せていたビダルの秘書クリスティーナはビダルと結婚してしまう。
絶望に沈むダビッドの前に謎の編集者コレッリから依頼が舞い込んだ。
依頼を受ける一方で、“塔の館”の謎を探るダビッド。その前には恐ろしい闇が口を開けていた……。
「風の影」からもう6年も経っていたんだね。道理で忘れている訳だ。でも前日譚だから無問題。むしろ物語を新鮮に楽しめた。
さて、内容はミステリーでありロマンスでありファンタジーでありホラーであり……ともかく面白い。
どんどん幻想的に拡散していくかと思えばサスペンス的に収束したりしてダレずに読める。
主人公を巡る虚実2人のヒロインの対置が良く、ラストには若干不満が残る(彼女の処理が唐突なため)が、まあ綺麗ではあるだろう。
そして「忘れられた本の墓場」!ここに行きたい!そして死にたい!
あと名言が多いね。202ページとか。
「風の影」を読み返したくなってきたなあ。多分読み返さないけど(笑)

94 :
マックス・アフォード「百年祭の殺人」を読む。
うーん、同じ作者の国書から刊行された「魔法人形」もイマイチ感があったが、
本作は、本格オタにはご機嫌な密室殺人ものでありながら、
話のテンポが悪過ぎるという感大だ。
全体的に描写が細か過ぎるんである。夜汽車のシーンに始まる序章に
関しては緊迫感を盛り上げる点でOKかと思うが、事件が始まるその後は
ジョンほどのストーリーテリングが無いのであるから、
もっと必要最低限にして簡略に書いていかないと駄目でしょ。
まあ、DNA鑑定が可能な現代から見れば成立しようもないネタだが、
執筆年代を考慮しても、手がかり後出し、偶然性の連発、
序盤から登場する何かありそうな個性的なブサキャラ(実際にモデルでもいたのかと思われるほどビビッド)が、結局、にぎやかしの役割だけで終わって
しまう残念さ(例の人物の実妹かと思うていたが)等々、
読後の不満が多い作ではあった。
それにミステリとしての本筋には影響しないとはいえ、
百年祭殆ど関係無いやん(w
論創社は、いまだに、いわゆるクラシックな未訳ミステリ刊行を続けては
いるものの、そろそろ良いタマも尽きて来たかなという感を強く抱いた。

95 :
「笑うカモには」レン・デイトン(早川書房)
退役軍人サイラスとその愛人リズ、そしてサイラスに拾われたチンピラボブの3人はあてどなく詐欺を繰り返していた。
ある時リズはアフリカの某国の閣僚と知り合う。相手が武器を必要としていることを知ったサイラスは彼から大金を騙し取ろうと企む。
デイトンがコンゲーム書いてたのかと物珍しさで読んでみた。スパイものと違い打って変わって読みやすくて驚く。
ただ内容はコンゲームというよりも主要3人の関係性を主軸に据えており、ミステリーとしての3Sは今一つ盛り上がらない。
そして3人の行く末はまあ想定内であった。特に読まなくて良し。

96 :
「ディフェンスをすり抜けろ」リチャード・ローゼン(早川書房)
メジャーリーグを引退したハーヴェイは恋人ミッキーの転職に従いボストンへ移り私立探偵として食い扶持を稼ぐことになった。
折しも地元のプロバスケットチームのエースが空港から失踪する事件が発生しハーヴェイは調査依頼を受ける。
やがて他チームの選手も同じ空港から姿を消し、ハーヴェイは2つの事件の繋がりを探り出すべく必死に動き回るが……。
1作目は大リーガーが主人公という珍しいミステリーだったのですが、2作目にして本職の探偵になっちゃいました。
恋人は相変わらずTVキャスターなので、格差カップルの誕生です。
余談ながら、ハードボイルドでこの組み合わせ結構あるんですよね。「ボディ・ブロー」然り、「夢なき街の狩人」然り。
で、これが案外上手く行ってるんです。思うにマスコミと私立探偵ってWIN―WINの関係に成り得るからじゃないかなと。
これが警察官となると競合してしまうから話が変わってくるのかなと。
閑話休題。
面白かったです。450余ページと決して短くは無いですが読み飽きたりすることもなく終えられました。
2つの失踪との結び付きを解き明かしていく経路や、過去の事件の動機が暴かれた瞬間などハマって読めましたし。
ラストも見え見えではありますが〆としては悪くないです。
ただ、後半の流れは全体としては平凡な方に行ってしまったかなと思います。
最早お約束と化した「無意味な暴力」もあったりして苦笑しました。
好きなシリーズと言ってもいい感触を得ているのですが、邦訳はあと1作しかないようで残念至極……。

97 :
「俳優パズル」パトリック・クェンティン(東京創元社)
アル中の治療を終えたピーターは演劇界に復帰すべく準備を整えていた。
上質の脚本を手に入れ、当世一流の俳優たちに恋人アイリスを加えたキャストも揃い上々のスタートを切ったかに見えたのだが、突然場所が変更になり、曰く付きのダゴネット劇場でリハーサルを行うことに。
初日から鏡に女の顔が浮かび上がるという怪奇現象が起こり更には老俳優が鏡から女に襲いかかられたと言い残して死んでしまう。
殺人事件となれば上演は危うくなる。ピーターは周囲と協力して自然死に見せかけるが、メンバー間の不和などトラブルは後を絶たない。
不安で酒に手が伸びそうになる気持ちを押し殺しリハーサルに励むピーターだが惨劇の幕はまだ下りてはいなかった……。
半年以内に2冊目の新訳とは創元の癖に仕事が早い。褒めてとらす。
シリーズものに加え幽霊や警視と並んで待望の復活ということで期待して読んだ。うん、面白い。
劇場での死についての本格+開演を目指す過程のサスペンスで二度美味しいという。
前者においては「罠にかかったネズミが残らず逃がされていた謎」や「必死に助けを呼んだ女優がけろりとしていた謎」など興味を引くし、
胡散臭さ抜群のミス・ディレクションもあったりして密度の濃い仕上がりになっている。犯人も意外だった。まあこれはちょっとズルい気もするけど。
ちなみに探偵役はレンツ博士で、ピーターとアイリスは考えてみたりはするけれどまだ引き立て役レベル。
後者に関しては殺人を隠しつつ俳優たちの入り組んだ対立関係の解消に挑むピーターが読みどころかな。
酒のせいでアイリスとの結婚に踏み切れないピーター自身の問題とも繋がってくる。

98 :
そしてもう一つ重要な要素だと思うのはヒロインアイリスの存在。前作では療養中とは言えまるっきりメルヘンなメンヘルといった感じで
現状もろくに把握してないんじゃないかって心配だったけれど、本作は別人の如く頭もスッキリして活動的!
ピーターへの結婚アピールが凄くて、チラリと他の候補者を匂わせたりと強かさも見せる。騒動が起きてからもピーターの牽引役を果たしていて、殊に終盤の活躍は手際が良くて惚れるね。
本作だけだと本当良い伴侶だなと思うんだけれど、他方で酒に関するピーターの取り決めと言い結婚の顛末と言い将来に利用可能な兵器を遺したとも言えるのである……。

99 :
「ディミター」ウィリアム・ピーター・ブラッティ(東京創元社)
圧政が布かれていたアルバニアで捕まった謎の男〈虜囚〉。彼は壮絶な拷問にも耐え抜き周囲を皆殺しにして脱走を果たす。
一年後、エルサレムでは病院で不治の病の患者が完治する奇跡や逆に病態が急変して死ぬ変事が起こり、街でも殺人事件や人間消失等が相次いでいた。
医師メイヨーや警部補メラルはそれぞれが謎を追っていくのだが……。
ツイッターでやたら凄い凄いと煽られてたから読んじゃった。
三部構成になっており、二部で真相の一部が御目見得し三部で全て明らかになるという次第。
最初は読みにくくて小休止を挟みつつ進んだ。つまらなくはないが一気にかき込めない文章で……。
中盤段々真実が明かされていくものの、これではまだ扉の惹句「人知を超え」るほどではなくこんなもんかと思っていた。
しかし少しずつ断片的な謎が現れクライマックスで真実が明かされるに至るやその反転ぶりに結構唸った。ウウッみたいな。
ただ、変装がチート化している点が引っかかるね。凄腕だからで片付けちゃうのはメルヘンが過ぎるかと。
これジレンマなんだよね。さらっとしれっとやると案外気にならないもんなんだけど。
いずれにしても80超えてこんな怪作を書ける底力には脱帽。

100 :
「プレイボーイ・スパイ1」ハドリー・チェイス(東京創元社)
CIAの孫請けスパイ、マーク・ガーランドは依頼を受けてCIAに何かを売りつけようとしている女に会いに行く。
女が持っていたのはかつてアメリカを裏切ったスパイケアリーの居所だった。
謎の富豪ラドニッツの手先に雇い主を殺され、脅されたのと大金欲しさで寝返ったガーランドはダカールへ飛ぶが、現地ではケアリーを狙うロシアの殺し屋たちが待ち構えていた!
初チェイス。007の亜流ですね。映画で観たレプスキーとは別のようです。
ボンドと違う点を挙げればそのスタンスでしょうか。完全にノンポリではないものの、国家や組織への忠誠心は薄いようです。
老スパイを巡る米ソそれから闇商人の三つ巴の殺し合いに巻き込まれた主人公が美女といちゃつきつつ頑張るというストーリーですが、
特に意外性とかはなく映画で観たいタイプのものでした。本邦に入ってきているのでしょうか?
個人的にはもっとエロが欲しかったです。案外少なかったので(笑)。


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