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東北のバカが対米戦争を仕掛けた2


1 :2015/07/11 〜 最終レス :2015/07/21
衝撃の問題作 いよいよ発売

日中戦争は陸上航空兵力配備、それによる予算拡大を目論む海軍が
自作自演の大山事件を捏造し中国空爆を強行するという
山本五十六らの計画的な謀略によって起こされた戦争だった。



● 「海軍の日中戦争」 日米開戦への破滅のシナリオ 笠原十九司著

日中戦争から日米開戦に陸軍を引きずり込んだのが実は海軍であった事実を解明し、
海軍善玉論の通説を実証的に覆す衝撃作。

この本の内容
通説では「海軍は陸軍に引きずられた」とされるが、
これは意図的に流布された海軍善玉論だ。
日中戦争から日米開戦に陸軍を引きずり込んだのが
実は海軍であった「事実」を実証する衝撃作。


http://www.heibonsha.co.jp/book/b198992.html

2 :
■海軍
米内光政(岩手・盛岡藩)総理大臣・連合艦隊司令長官・海軍大臣
及川古志郎(岩手・盛岡藩)海軍大臣・軍令部総長
山本五十六(新潟・長岡藩)連合艦隊司令長官
南雲忠一(山形・米沢藩)
嶋田繁太郎(東京・幕臣)海軍大臣・軍令部総長
井上成美(宮城・仙台藩)

3 :
海軍次官・山本五十六が主導したと考えられる南京無差別爆撃の結果

・米国大統領が歴史上初めて日本を批判(隔離演説)
・国際連盟は海軍による南京無差別爆撃に対し非難決議を採択。
・国共合作が実現。バラバラだった全中国人が抗日で一致団結してしまった。

4 :
【恋愛】検証55歳からの性 セックス健康法 爪と財布には清潔感を モテるにはまず「みだしなみ

中高年になっても女性からモテるには、第一に「みだしなみ」が重要。男女のセックスは、すでにそこから始まっている。
恋愛・セックスのカウンセリングを行っている「セクシャルアカデミー」代表の田辺まりこさんに、女の目の付けどころを聞いた。

女は、初対面の男性を瞬時に「この人とセックスしたい」「してもいいかも」「無理」の3つに分類するという。

「女性から1度『この人は生理的に受けつけない』と思われたら最後、2度と浮上することはできません。
その判断基準は『清潔感』です。年をとればとるほど、生活のすべてが雑に(面倒臭く)なる。
それを徹底的に改めなければ、女性にはモテません」

口臭や加齢臭など、自分では気づきにくいニオイには特に要注意。中高年の50%以上は歯周病にかかっているので、
きちんと治療に通う。歯周病でなくても歯垢(しこう)除去などの定期的な歯科チェックが大切だ。

「女性は男性の手を確認する習性があります。それは、男性の手や指は自分を快楽へ導いてくれる第2のペニスだからです。
爪が伸びていて汚かったら即刻アウト。むしろ、深爪の男性ほどモテるのです」

それから清潔感が如実に表れるのが、髪の毛やヒゲ。1000円カットで軽く整えるのではなく、
定期的に美容院できちんと手入れをしてもらうことが肝心だ。

「重要なのは眉毛です。サイズや形で顔立ちが全然違ってきます。伸びてだらしない眉毛を整えるだけで10歳若返ります」

ダンディーでモテる男になるには、服装や持ち物も清潔さがなければダメ。せめて靴、カバン、時計くらいは
仕事用と分けて、プライベートのときはできるだけいい品を身に付けるマメさが必要だ。

「財布も重要です。領収書やポイントカードがごちゃごちゃ入った汚い財布を開いてお金を払っている姿を見て、
女性がホレるわけがない。財布は、その人の人間性が表れる顔です。古くて汚い、ヨレヨレの財布はアウトです」

努力して清潔感を保ち、オシャレなものを身に付けるのは相当、お金も時間もかかる。女性は常に美しくなるための
努力している分、そこまで努力している男性をすぐにかぎわけるという。

「最初から女性にお金を使うのではなく、まずは自分にお金をかけることが大切なのです」

セクシャルアカデミーのメニューには、モテない男を改善させる「変身コース」もある。相談してみてはどうか。

5 :
【女子アナ】「彼氏に要求された?」生放送で美女アナが突然股間をまさぐり視聴者が歓喜!
 7月3日の早朝に放送されたニュース番組「めざましテレビ アクア」(フジテレビ系)にて、
フリーアナウンサーである牧野結美のある行動に注目が集まっている。

「牧野は元々、静岡朝日テレビのアナウンサーでしたが今年2月に退社。
その後は人気アナが多数在籍するセント・フォースに所属し、春から『めざましテレビ アクア』のメインキャスターを務めるなど、今もっとも人気のあるフリーアナの1人。
そんな彼女が生放送中に突然、両指で股の肉を開き始めたため、視聴者から歓喜の声があがりました」(芸能記者)

 この放送を見ていた視聴者からは「これはヤバすぎる」「彼氏にプレイを要求されているのでは?」との声が殺到。
テレビ誌記者によると、今回の事態が露呈した原因はスタジオの特殊なセットにあるという。

「牧野さんがなぜこのような行動に出たのかは謎ですが、まさか視聴者に見られているとは思っていなかったのでしょう。
なぜならこの番組でアナウンサーたちが座っている机は、ほとんどがモザイク柄のため足元は隠れている。
しかし、なぜか彼女の机の股間部分だけ、丁度奥が見通せる丸いガラス構造となっているのです。
ただその状態は正面から見なければ確認できないため、彼女は丸見えになっているとは気付かずに思わず股間付近をまさぐってしまったのでしょう」

【グラビア】現役女子大生グラドル朝倉すみれ 自慢のお尻を武器に等身大の彼女がギュッ
http://www.zakzak.co.jp/gravure/idol/images/20150709/idl1507091130001-p1.jpg

現役女子大生グラビアアイドル、朝倉すみれ(21)がこのほど、最新DVD「あどけない恋」(グラッソ)を発売した。

身長155センチ、B78・W59・H80のキュートなボディーの持ち主。
「演技力のあるグラドルになること」を目標に日々奮闘中。

今回の作品では表現力豊かな表情を見せ、フレッシュで元気なシーンや色気のある大人っぽいシーンなど、
自慢のお尻を武器に等身大の彼女がギュッと詰まった1本だ。

6 :
【女子アナ】ミタパンのあそこから“ミタ液”が! フジテレビが低視聴率改善に必死 

ミタパンことフジテレビの三田友梨佳アナウンサー(28)がエロい。昼の情報番組『直撃LIVE グッディ!』
(フジテレビ)の視聴率は1%台も記録する超低空飛行だが、ミタパンが“ミタ液”で『グッディ!』の
ミタパンファンを盛り上げている。

同番組は安藤優子キャスター(56)と高橋克実(54)がMCを務め、ミタパンがサポートするという斬新なキャスティングで
4月からスタート。フジテレビの社運を掛けた番組だったが、苦戦どころではない低視聴率が続いている。
さらに、安藤キャスターの夫がフジの情報制作局局長から子会社に出向になり、もう番組の後ろ盾はない状態だ。

「もはやミタパンのパンチラ見たさに、女子アナウォッチャーが見ているぐらいという冗談も出ています。
ミタパンの表情が暗いし、5月末には体調不良で番組を休んだりしているので、パンチラさえも視聴率のために
やらされてる感が漂ったりしてたのが気の毒でした。でも、6月に入ってからは絶好調。
『自分のせいで視聴率が悪いわけじゃない』と吹っ切れたようです」(フジテレビ関係者)

その証拠に、ミタパンのトーク自体も当初はサポート役のものだったが、最近はそんな簡単な制約すらなくなりつつある。
その吹っ切れぶりは、有吉弘行が自らのラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN)で6月21日に
「スタジオをシーンとさせるようなつまんない話で突っ込んでくるな」と話題にしたほどだ。

オチがないのに、突っ込んできては、スタジオをシーンとさせる。これでは番組が盛り上がらないと、有吉は言いたいのだろう。

しかし、ミタパンはトークではなく“ミタ液”で番組を盛り上げている。先日、番組内で「口中をきれいに保つには
唾液をたっぷりと出すこと」という企画があり、唾液がたっぷり出る口のエクササイズにミタパンがトライした。

「小鳥がピヨピヨとさえずるように頬をすぼめ、唇を突き出して、パクパク。その直後に深呼吸して頬を膨らませる
というエクササイズです。頬がグッとへこんだところは、かなりいやらしかったし、突き出した唇もまるで
キスを連想させるモノでした。それで、深呼吸し、頬を膨らませると、ミタパンは『うわっ、(口の中に)唾がすごい出た』と
あわてて口を手で押さえ、笑顔でジュルっと唾をごっくん。スタジオ内からは『わー、ミタ液だ』と喜びの声が上がっていました」(同)

これがきっかけになり、『ミタ液』という言葉が女子アナマニアの間を駆け巡った。

「女子アナは緊張で脇汗をかく人がいる。だけど、ミタパンはこれまで脇汗が確認されたことがない。
そんな完璧女子アナであるミタパンが、よだれをジュルっとするなんて、すごいことです。そのミタ液の回は神回です。
これってセクハラ以上で、録画した人以外、もう二度と見られない。悔しがっている人は多い」(女子アナウォッチャー)

視聴率のためとはいえ、ミタパンだけに体を張らせすぎではないだろうか。

7 :
中川祐子、DVDでセクシーショット連発「今までで一番小さなビキニに挑戦」 

http://www.sanspo.com/geino/images/20150627/geo15062718280028-p1.jpg
DVD「Into the mystic」の発売イベントを行った気象予報士の中川祐子=東京・秋葉原

気象予報士でフリーアナウンサー、中川祐子(43)が27日、DVD「Into the mystic」
(エスデジタル)の発売イベントを東京都内で行った。

今回は2作目のDVDで1メートル58、B80W56H80のボディーでセクシーショットを連発し、

「今回は今までで一番小さなビキニに挑戦しています」

と笑顔でアピール。セーラー服の女子高生スタイルにも挑戦し、

「43歳でまさかという感じ。最初で最後だと思いますし、天気に例えるなら異常気象、ゲリラ豪雨です」

と恐縮していた。

8 :
【女子アナ】竹内由恵 再び流された“初エッチは中学2年”説の犯人 
テレビ朝日の竹内由恵アナ(29)の“初体験”年齢がネットに流されている。元カレの仕業か同僚の妬みか。
実はこれ、今回が初めてでない。

竹内アナは3月末より夕方ニュース『スーパーJチャンネル』を担当。局の顔というべき存在となった。

「夕方、夜のニュースは女子アナの仕事としては頂点でしょうね。事実、フジテレビも看板の生野陽子アナ(31)を
3月末よりニュースで起用している。エース対決ということですから竹内アナもやりがいがあるでしょう」(テレビライター・小林タケ氏)

竹内アナはここ1年ちょっとの間に上司とスパ密会、巨人選手、広告代理店の男性との交際を報じられるなどお騒がせな面もある。

「だいたいこれだけ短期間に複数熱愛が発覚するのも珍しい。生野アナは中村光宏アナと職場結婚し、
しっかり共稼ぎ。それに比べ竹内アナは『よくニュースに就けたな』との局内不評もあります」(小林氏)

それにしても、叩かなくても自然とホコリが出るところは彼女らしい?

「いまは“初体験告白”の画像も流されています。それによると、彼女の初体験は中学2〜3年。初キスだそうです」(テレビ朝日関係者)

これは担当番組だった『さきっちょ☆』で、お笑いタレントに初キスを質問されたシーンなのだが、
まだ続きがある。芸人が「初エッチはいつ?」と問うと、

「笑っているばかりで、顔は2〜3年と言いたげ。どうも初キスが中学2年で、初エッチが3年と推測できます」(制作関係者)

竹内アナは英語堪能だが、

「あるバラエティー番組で、“As soon as he starts to gently stroke my hair, my shell begins to open.”の
英文に対して『優しく髪の毛を触られるやいなや、私の貝が開くのです』と訳した。普通、女子アナが
こんな赤面する和訳なんて言わないでしょ。彼女も真っ赤な顔を隠してはいた。この画像、前にも出回ったのですが、
何度も流出させているようです」(投稿雑誌編集者)

エロ天然なタケウッチ。

9 :
【国内】イケメンゴリラに殺到する「ゴリラ女子」  飼育ケースにへばり張り付き、夢中でシャッターを切る

先日アイドル並みの人気を誇るゴリラが世間を騒がせたが、これをきっかけに「ゴリラ女子」が生まれつつあるという。
動物園を訪れてゴリラの飼育ケースに張り付き、夢中でシャッターを切る。そんなゴリラをこよなく愛する女性のことだそう。

 テレビの情報番組で紹介されると、「どんな奴だ」とネットユーザーの興味を集めた。ついには自分なりに想像したゴリラ女子を画像で表現する人まで現れている。

■上野動物園の「イケメン」ゴリラ

 ゴリラ女子を紹介したのは12日放送の情報番組「モーニングバード」(テレビ朝日系)。彼女たちが今注目しているのは、東京・上野動物園で飼育されているニシローランドゴリラ「ハオコ」だ。
 ハオコは東山動植物園(愛知県名古屋市)の「イケメン」ゴリラとしてネットで話題を集めた「シャバーニ」の兄にあたる。
シャバーニに似て眼光鋭く、彫も深い。見るからに強そうな印象を持たせる。

 1日2回、餌やりの時間帯にならないとなかなか姿を見せない。
女性ばかりがガラス窓にへばりつき、登場の瞬間を今か今かと待ち構えていた。番組は、さながら「アイドルの出待ち」のよう、と伝えている。
檻から姿を見せたシャバーニに対し、「ヤバい!」「めっちゃカッコイイ!」と嬌声が上がる。まさにスターのような扱いだ。

 番組はゴリラ女子が生まれたきっかけをシャバーニのブレイクに求めている。これがきっかけで、ゴリラ目当てに動物園へ足を運ぶ人が相次いで現れたのだという。
 ただ、ゴリラに熱を上げる女性に対し、スタジオの反応は分かれた。
司会の赤江珠緒アナウンサーは「(ハオコは)佇まいがイケメンですよ」と一定の理解を示していたものの、
コメンテーター陣は「(普通のゴリラと)どこが違うの?」と疑問を隠せない様子だった。

 出演者でタレントの長嶋一茂さんは苦笑しながらも、
「草食系と言われて強い男がいない中、よりゴリラにその強さを投影する子が出てきた。男性としてはゴリラがライバルになる可能性もある」と独自の分析を披露していた。

◎「ゴリラに似た顔の女性」という勘違いも

 一方、ツイッターには、番組放送中から「ゴリラ女子ってなんぞや」といった疑問が続々寄せられた。
中にはゴリラに似た挙動をする女性、ゴリラに似た顔の女性、ゴリラに似た体格のいい女性といった勘違いも起こり、「私のことかな」と心配する声も上がっている。
 そうした反応をうけてか、架空の「ゴリラ女子」を画像で表現する動きも出ている。筋骨隆々とした男性の体に若い女性の顔を埋め込んだ写真や、
スカートと化粧を付け足されたゴリラの写真などさまざまな「作品」が投稿され、さながら「大喜利」のような様子を呈している。

 ちなみに、動物の名前を冠した「○○女子」という言葉は現時点でかなりの種類ネット上に確認できる。おとなしく気が弱い「うさぎ系女子」、
物事を冷静に見つめる「ペンギン系女子」、恥ずかしがり屋の「もぐら系女子」、平和主義者でおっとりした性格の「ひつじ系女子」など、
根拠は不明ながらもバリエーション豊かだ。

 ただ、いずれも人間の内面を動物で表現したもので、ゴリラ女子とは中身がかなり違う。

10 :
【女子アナ】噂の美女・劉飛昶の淫相学 新SEX診断 寺門亜衣子(29) 男の保護欲をそそるモテ相
今回は、NHK夕方の報道・情報番組『ニュース シブ5』でメーンキャスターを務める、アナウンサーの寺門亜衣子だ。

頬骨とアゴ先が出ず、耳廓(耳の内側の波打った部分)も出ず、女額の丸額が出っ張っらずで、女性的で温順な顔相だ。
小さな口とはアンバランスに、鼻翼の張った幅広の鼻相で、強情で我の強い一面を持ち、良く言えばマイペース、
悪く言えば独善的で、男は振り回される。

彼女のような、小口・大鼻・小アゴの女相は、総じて男に頼る人生を送りがちだ。中年期には可愛さ(ひ弱さ)を捨て、
実利重視のおばさん化が進行して、周囲を辟易させたりする。臥蚕(下瞼の睫毛が生えている部分)がふっくらとしていて、
年齢相応の豊かな性感の持ち主。自己愛の下唇が厚く、他者愛の上唇が薄めで、ベッドでは受け身一方の甘えん坊だ。
目頭に切れ込みがなく、男に進んで媚を売るようなセックスもしない。眼光がほどよく水気を含んでいて、【淫乱度】としては「3」。

口が小さく、生活力は弱め。反面、門歯が大きく、金甲(小鼻)も張っていて、精力は強い。【絶倫度】は「3」。

彼女の顔相で特徴的なのが、短い人中(鼻の下の縦溝)に、笑った時や口を強く閉じた時など、横スジが入ること。
尻軽相の一つで、その多情多淫ゆえ、自身を苦境に追い込んでしまう、凶意の強い悪相だ。男性目線で言うと、
いわゆる悪女相で、性愛がらみで振り回されたり、すんなり別れてくれなかったりして、人生を狂わされる。
彼女は黒目が大きく、情感豊かで男の気を惹く。口が小さく、アゴ先が尖り、保護欲をそそる相でもあって、男性にはモテる。
短い人中は女性をチャーミングに見せ、こちらもモテ相だ。【尻軽度】はかなり高く、「5」寄りの「4」。

膣道の雛型とされる、耳の穴の手前にある切れ込みが、狭くて細いだけでなく、入り口部分がキュッと締まった
キンチャク名器の相だ。後天的な膣の締まりは口元の締まりと連動し、こちらも申し分ない。惜しむらくは、
上唇側の口元の肉付きが薄いことで、トータルで観て、【名器度】も「5」寄りの「4」。

金甲の張りがあげまん要素ながら、最重要の、下瞼のラインがアーモンド形であげまん相ではない。
臥蚕相もマイナス要素で、【あげまん度】は「2」。

彼女のような、軽眼(目が大きい)で黒目が大きく、小さい口に大きな鼻の女相は、ペットのように可愛がられたい女で、
またそのように可愛がることのできる財力と胆力を持った男と釣り合い、長続きもする。顔相で言えば口大、小目の重厚な顔相

の男。

チャラ男や草食系はお呼びでない、寺門亜衣子なのだ。

11 :
【グラビア】志崎ひなた セクシー生下乳ぱっくんちょ水着姿でPR! “今、私胸が異常に成長してる” 
http://girlsnews.tv/dvd/232021
7月4日、グラビアアイドルの志崎ひなたさんの2ndDVD『夢色片想い』(イーネット・フロンティア)の
発売記念イベントが秋葉原のソフマップアミューズメント館で行われた。

今回の作品は1月に宮古島で撮影が行われ、小さい水着に戸惑いながらも抜群のスタイルを披露している。

DVDの内容について「制服とかの元気なシーンと1stにはなかった大人っぽい変形水着や、
眼帯水着を着た色っぽいシーンもありました。設定はお兄ちゃんと旅行に行く設定です。」と紹介。

お気に入りのシーンについて「お気に入りのシーンはウェディングのシーンで、夕暮れな感じで
撮っていただけたのでキレイなシーンになってます。」とコメント。

おススメのシーンとして「飴舐めをしたんですけど、アイス舐めよりも飴舐めの方がセクシーな感じになっていて、
よだれが実際に垂れ垂れになって水たまりができるような感じになって、他のグラビアアイドルには無い飴舐めが
見れると思うので、是非注目して欲しいです。」とアピール。

大人っぽいシーンについて「ガーター水着で飴を舐めてるシーンは途中着てないように見えるような感じに
なってるところがあるので、妄想してもらえるかなと思います。」と語っていた。

この日は、セクシー生下乳ぱっくんちょ水着姿で登場し「(雑誌のグラビア撮影で)“下乳ぱっくんちょ”
というあだ名を付けていただいてまして、(今回着た水着は)“生下乳ぱっくんちょ”(水着)ということで、
撮影会では着れないので、この機会に見てもらいたいなと思って、お願いして着ました。」とコメント。

今後の目標として「バラエティにも出れるグラビアアイドルになりたいなと思いますし、今、
私胸が異常に成長してるので、胸の成長とともに心や考え方とかいろいろ大人になれたら
いいなと思います。」と意気込みを語っていた。

<プロフィール>志崎ひなた(しざき ひなた)生年月日:1997年1月21日
サイズ:T172 B93 W59 H8 8血液型:O型 出身地:奈良県
趣味:料理、ランニング、筋トレ 特技:一輪車、ピアノ、バレーボール

12 :
噂の美女・木村佳乃(39) ベッドの上では受け身好き!
今回取り上げるのは、女優の木村佳乃。4月スタートの『発見!なるほどレストラン』(フジ系)で

は、バラエティー番組のMCに初挑戦している。
 チャートの評点が平均的で、一見、地味な印象。しかし、顔相そのものはかなり個性的で、

ひと癖もふた癖もある女相だ。

 眉間狭、目間狭、田宅(上瞼)狭で、総じて険相。加えて、山根(鼻の付け根。目間)が高く、鼻

先が尖り、アゴ先が長くて尖っている。
 芸術的、美的センスが高く、行動や思考が(慎重ではなく)直観的、感性的だ。額がとても広

いので、知能・思慮の両面でカバーし、バランスを取っているものの、生来的には「不思議ちゃ

ん」系の顔相だ。

 性ホルモンタンクの下瞼の膨らみはほどほどで、年齢のわりに眼光に艶・媚・水分が少ない

。広い鼻下で性感帯は広く、他者愛の上唇が薄くて自己愛の下唇が厚めで、ベッドの上では

受け身好きだ。
 【淫乱度】としてあまり高くなく、「2」。
 ただ、彼女は目頭に切れ込みがあって、性愛の場面で演技的にふるまえる相。男性の淫心

を自在に高ぶらせられる小悪魔性を持っている。
 鼻筋がやや反っていて気取ったセックスをしないため、男性側の主観として、淫乱度以上に

妖艶・淫蕩に感じられるはずだ。
 また、モミアゲがほとんどないので、恥毛はかなり薄く、正面からの眺めはエロい。

13 :
噂の美女・藤原紀香(42) 極上SEXテクの持ち主!
先頃、外資系TV局シニアプロデューサーとの、結婚を前提にした交際が明らかになった。

'09年に陣内智則と離婚した後、年上男性との交際が取り沙汰されたこともあった彼女。

顔相を観る限りでは、すんなり再婚にゴールインできても、果たして長続きするかどうか…。

彼女の相で最も目をひくのが「へ」の字に吊り上がった眉で、眉尻を長く作っているため、三角

眉に近い。

負けず嫌いの野心家の相で、計算高くもあり、女性には強すぎる。夫を尻に敷くため、夫運・

家庭運ともに下げている。

眉目鼻口が真ん中に寄り、唇が薄くて眉の毛並みも薄くて、せっかちで神経質。鷹揚とは言い

難く、結婚よりも仕事に生きる女相だ。

上唇が薄くて口元が寂しく、肉欲に負けて男性に擦り寄るタイプではない。以前と比べて涙堂

の膨らみが弱く、ラインが崩れ気味なので、性愛のボルテージはやや下がっている。

しかし【淫乱度】が「4」と高いのは、丸目で、落ち窪んだ田宅(上瞼)に重操紋(半月形のシワ)

が入る小鳥目相のため。これは極上のセックステクニックの持ち主で、ひとたびベッドに上が

れば男性を骨抜きにする相。

おまけに、彼女は目頭に切れ込みがあって、下唇には歓待紋(縦皺)が多く、時には欲得づくで

、また時には真心から、濃艶な性戯で男を迎え、感激させる。

アゴ先の尖った豆アゴなので、今後、淫蕩さを増す可能性が大きい。

金甲(小鼻)の張りは悪くないものの、口が小さく、肉付きも良いとは言えない。回数をこなせる

タイプではなく、【絶倫度】は「2」。

目と目の間隔が狭いのは先天的に膣道の狭い相。しかし、風門(耳の穴の手前にある切れ込

み)が広めで、肉付きのない口相がマイナスになり、【名器度】も「2」。

人中(鼻の下の縦溝)が短いのは、ベッドまでの距離が短い相。

一方、その人中がくっきりと深いのは、貞操観念の強い相。鼻がちんまりと小さめで、総じて異

性からの押しには弱い。【尻軽度】は「3」と観る。

上がり気味の目尻やすっきりとした口元が「あげまん度」を上げているものの、強すぎる眉相

が大きく損ね、トータルで【あげまん度】は「2」だ。

彼女は整った富士額で、辛抱強さのある反面、夫に逆らう額相でもある。

吊り上がり眉で上唇が薄く、目鼻口の寄った険相は、良く言えば理知的で理想を追求する努

力家、悪く言えば利己的で狡知に長けた機略家の相だ。

14 :
噂の美女・今回は、フジテレビの早朝の情報番組『めざましテレビ アクア』でメーンMCを務める、元静岡

朝日テレビアナウンサー(現在はフリー)の牧野結美。
 尻軽度・絶倫度が高く、淫乱度と名器度も「4」に近い「3」で、童顔ながらエロ偏差値の高い

女相だ。

 目の周囲の肉付きが良く、臥蚕(下瞼の睫毛の生えている部分)がぷっくりと隆起し、田宅(上

瞼)も広い。性ホルモンの分泌が豊かで、性感・性欲ともに良好。黒目が大きいのは情感が豊

か。丸目なので性愛に対して積極的だ。
 眼光に艶がのり、浮光に近い水気を含んでいて、好色性はかなり高く、加齢とともに淫蕩さ

が増す相。【淫乱度】は現時点で「4」に近い「3」と観る。

 膣道の雛型とされる、耳の穴の手前の切れ込みが(特に右耳が)深くて狭い名器相。口元の

肉付きは薄く、格別締まりの良い口相でもないので、後天的名器度はあまり高くない。
 唇の歓待紋(細かな縦皺)の多い点がプラスとなって、【名器度】も「4」に近い「3」。

 彼女は鼻が短いわりに肉付きは良く、横幅があって、金甲(小鼻)の張りも素晴らしい。平常

時は普通サイズの口が、笑ったときに大きく横に広がるのは覇気強く、好運勢。
 門歯が他の歯に比べてきわだって大きく、素の気質は“がさつ”だ。スタミナ豊富の相でもあ

って、【絶倫度】も「4」と高い。

 もみあげが広くて濃く、眉毛の毛質も濃く、男性ホルモンも豊富な体質。恥毛は黒々とした繁

茂で、情も深い。惚れた男にはとことん尽くすタイプだ。
 人中(鼻の下の縦溝)が広くて浅いのは、男の誘いに簡単に乗ってしまう相。鼻の横幅に比し

て山根(鼻の付け根。目間)が低いところも、ガードのユルさを示している。
 彼女は女子アナには珍しい八重歯持ちで、笑うと片側のみに縦長のエクボができる。どちら

もおだてに弱い相で、【尻軽度】も「4」と高くなった。
 豊かな金甲と穏やかな弓形の眉があげまん要素ながら、豊かすぎる臥蚕がマイナス要素。【

あげまん度】は「2」。
鼻が幅広で、肉付きが良いわりに長さがないのは、実利本位の現実家。また正面から鼻孔が

見えず、良く言えば節約家の良妻相、悪い方が出ればぬかみそ臭い野暮な女房になる。
 彼女は鼻筋が太くて短く、門歯大ときて、外見どおりの可愛いらしさ(幼児性)と同時に、鼻っ

柱の強い、わがままで荒削りなところがある。
 反面、目頭に切れ込みがあり、歓待紋も多くて、ここ一番で媚態嬌態を用いて男を篭絡する

手口も備えている。経済と精神に余裕のある大人の男でないと、彼女のお相手は務まらない

だろう。

15 :
噂の美女・早見あかり(20) おだてに弱く誘惑に乗りやすい! 
今回取り上げるのは、元・ももいろクローバーで女優の早見あかりだ。

目鼻眉の寄った険相で、総じて相が男性的で強く、芸能界向きではあるものの、異性を癒や

すタイプの女相ではない。
眉が極端なほどの男眉で、太くて長くて濃く、直線的だ。モミアゲも濃くて長く、男性ホルモンは

豊富。
一方、女性ホルモンのバロメーターとなる下瞼の肉付きが寂しく、眼光も乾き気味で、女性本

来の性感は
まだ開いていない。彼女はやや出目で、こちらは好色相。30代以降、一気に淫蕩さを増す資

質を持っている。
唇が上下とも厚く、出っ張り気味で、良く言えば情愛豊か、悪く言えば動物的な肉欲も旺盛。【

淫乱度】としては高めの「3」。

鼻が長くて大きく、鼻筋がシャープで、山根(鼻の付け根。目間)が狭くて高い。プライド高く神経

質で、肉体よりも
精神に軸足がかかり、セックスに対しては臆病。男性にとっては、あまりくみし易いタイプでは

なく、目頭に
切れ込みがなく、ベッドに上がってからも、淫らに媚びることの少ない女相だ。金甲(小鼻)に張

りがなく、
口も大きくなく、回数をこなすセックスではない。男性的な眉が弱い精力をカバーして、【絶倫度

は「3」に近い「2」。

彼女は人中(鼻の下の縦溝)が極端に短く、(一時的な感性や直感で肉体関係に及ぶ)尻軽相

の典型。また短い人中ゆえ、
素の表情の際、(上唇が鼻側にめくれて)口が半開きになっていることがしばしばある。これも

異性につけこまれやすい相だ。
彼女は左右とも八重歯で、こちらはおだてに弱く、簡単に誘惑に乗ってしまう相。また、左の奸

門(目尻の上半分のエリア)に
不倫ボクロがあり、恋人や夫を裏切る暗示もある。強い鼻相が抑制的に作用するとはいえ、【

尻軽度】としてはかなり高く、「4」と観た。

狭い眉間・目間は生来的な膣道の狭さを示す。反面、膣道の雛型とされる風門(耳の穴の手

前にある切れ込み)は広大で、
凡器相。唇の肉付きは豊かながら、口元の締まりが弱く、【名器度】は「2」。あげまん相がほと

んどなく乏しい金甲、
強い男眉、出気味で厚い唇など、マイナス要素ばかりが目立つ彼女で、【あげまん度】は「1」。

鼻相が強く、アゴ先が前に突き出て、過剰なほどの男眉ときて、芸能界で生き抜く強さは持っ

ている。一方、短い人中に加え、
下唇からアゴ先の長さも短くて、晩年運・家庭運は悪い。まだ若く、これから相は大きく変わる
に違いなく、
口元を意識的に引き締め、眉を細く、薄く、弓なりに作れば、男運・セックス運は飛躍的に良く
なる。

16 :
噂の美女・井川遥(37):我も強いがセックスも超強い!
Rや騎乗位などで本領を発揮…一晩で二交三交の絶倫

今回俎上に載せるのは、女優の井川遥。今月3日スタートのNHKドラマ『ガラスの家』で主演を務めている。 近親相姦の濡れ場や

激しいセックスシーンが用意されているというエロ度の高い本作で、彼女を主演に据えた「人

選」は、淫相学の観点からは「大正解」だ。 彼女の顔相の特徴は、大きな口と分厚い唇。生

命力・生活力があり、万事にタフ。鼻も大きく、金甲(小鼻)の張りが素晴らしい。我も強いが、

セックスもすこぶる強いという相だ。 一晩で二交、三交は当たり前で、かなりの精力家でなけ

れば彼女の相手はつとまらない。【絶倫度】は最高点の「5」だ。 いわゆる「たらこ唇」で、ただ

厚いだけでなく、もっちりと肉付き良く、他者愛を示す上唇もかなり厚い。情愛濃厚で、Rチ

オや騎乗位など、自分から仕掛ける性戯で本領を発揮する相をしている。 加えて、この唇に

歓待紋(細かな縦ジワ)がとても多いのは、ベッドではサービス満点の「歓待」ぶりで男性を感

激させる相。ことをセックスに限定しても、彼女の夫はかなりの果報者と言っていいだろう。 

眼光に艶を含み、目を細めたときなど、浮光が乗る。浮光というのは濡れて滲んだような眼光

で、好色性のきわめて高い相。性ホルモンタンクの涙堂(下瞼)の膨らみも良く、【淫乱度】も「4

」と高い。 先天的名器度が現れる風門(耳の穴の手前にある切れ込み)が広くて凡器。一方

の後天的名器度では、口元の肉付きが良く、口角(口の両端)がキュッと上向く好相で、こちら

は名器相。トータルで観て【名器度】は「3」。若い頃は吊り上がりだった眉が、加齢とともに徐

々に曲線を描いて穏健相になり、張った金甲も加わって、あげまん度はやや高くはなった。 し

かし、あげまん相の決定的指標である目尻のラインが吊り上がらず、唇相もさげまん相のたら

こ唇で、さらに涙堂も豊かときて、マイナス要素のほうが圧倒的に多い。【あげまん度】は低く、

「1」と観た。 若い時と比べると鼻下がやや短く変化したものの、他にこれといった尻軽相が

ない。ただ、彼女は左奸門(目尻の上部分)に色の悪いホクロがあって、これは凶意の強い不

倫ボクロだ。将来、表沙汰になるかどうかは別にして、波乱含みの相をしている。【尻軽度】と

しては「2」。 彼女は、左右でかすかに目の大きさの違う雌雄眼の持ち主で、首が細くて長い

。神経質で好き嫌いがはっきりしており、芸術的天分に恵まれている。 額が丸額と富士額(ど

ちらも女額)の混合型で、良くも悪くも内実は女性的で家庭的。 男性的な口相と鼻相とのバラ

ンスのとれた、好相の持ち主だ。 

17 :
噂の美女・枡田絵理奈(28) 女盛りで「今がヤリどき」!
彼女が20代前半の時にも詳しく観相したことがあり、その頃と比べると総じて相が良くなって

いる。
唇の歪みがだいぶましになり、やや下三白眼(黒目の左右に加えて下にも白目が見える相)だ

ったのが、今は直っている。

また、ほとんど厚みのなかった臥蚕(下瞼の睫毛が生えている部分)が膨らみ、性感・性欲とも

に増していることがうかがえる。
特に右目の下瞼の目頭部分のラインが上がっていて、これは女盛りになったシグナルで、「今

がヤリどき」ということ。
今回の熱愛報道で、相と実際が一致していたことが、図らずも裏付けられた。

彼女は眼光が柔らかく、鼻相も角張らず穏健で、眉相も眉尻の下がったおとなしい相をしてい

る。切れ長目の下瞼の目尻ラインが
下がり気味(特に右目)で、男性からの押しに弱い。他者愛の上唇が自己愛の下唇に比べて

かなり薄いことからも、性感は
受け身的で、官能のカギは相手男性が握っている。現時点での【淫乱度】は「3」と観た。

鼻に幅がなく、金甲(小鼻)の張りがほとんどない。大きめの口だが、口相に勢いはあまりない

。【絶倫度】は高くなく、「3」
寄りの「2」。鼻孔が小さく、鼻頭が垂れて鼻孔が正面から見えないのは、蓄財のセンスのある

現実家で、しっかり者の奥さんになる。

先天的名器度が現れる風門(耳の穴の手前にある切れ込み)が良形で、目間も狭め。後天的

名器度を観る口元の肉付きも悪くなく、
口角(口の端)に切れ込んだ縦皺も深くて長く、膣肉の締まりは良い。【名器度】は「4」寄りの「3

」。

これといった尻軽相はないものの、右妻妾宮(目尻一帯)に目立たない死にボクロが数個あり、

(男性からの)誘惑に巻き込まれて
凶を生じる暗示がある。山根(目と目の間)が高く、口角もよく締まっているぶんブレーキが利い

ており、【尻軽度】としては
「2」どまりだ。眉があげまん要素ながら、肝心の眼形が下がり気味であげまん相とは言えず、

乏しい金甲もマイナス要素。
【あげまん度】は「1」と低めだ。

どちらかというと老け顔の彼女で、こういう女相は逆に老けにくく、30代でもチャーミングなまま

で、40代で淫蕩さが加わる。
彼女はやや二重アゴで、太る体質を示すと同時に、中年以降、好色性を増す相。現在は「3」

の淫乱度が、加齢とともにどんどん
高くなっていく女相だ。

18 :
噂の美女・中田有紀(41) アラフォー美女はSEXが淡泊
今回取り上げるのは、フリーアナウンサーの中田有紀。早朝番組『Oha!4 NEWS LIVE』(日本テ
レビ系)で
MCを務め、長らく日テレの「朝の顔」として活躍中だ。
クールビューティーの呼び声高い彼女。SEX診断チャートの小さな五角形が示すとおり、人相
を観る限りでは、
セックスははなはだ淡泊。浮いた話をまったく聞かないのも頷ける。性欲・性感のバロメーター
となる臥蚕
(下瞼の睫毛が生えている部分)が、30代の頃はまだ多少膨らんでいた。しかし四十路になっ
て薄く痩せ、
色艶もよいとは言えない。唇が上下とも薄く、情感よりも理知がまさっており、まさにクールな

気性。また、
鼻が長く、耳の位置が低めなところも、理性的・精神的な傾向を示している。【淫乱度】は「1」と

かなり低い。

彼女は眼光が(余計な艶や媚はなくとも)優しく、黒目も大きく、下瞼のラインが目尻でやや下が

っていて、
目の印象は柔らかい。冷淡な相ではなく、「干物女」の相でもない。ただ性愛に対する欲望が

強くなく、
積極的ではないのだ。目間が狭く、人中もくっきりと深い。口元が締まっていて、鼻孔が正面

から覗かず、
鼻筋が通って山根(鼻の付け根。目と目の間)が高く、貞操性の強い相をしている。【尻軽度】も

いたって
低く、「0」寄りの「1」。
口が大きく、首が太めで、生命力・生活力は旺盛。一方、性的なスタミナがストレートに現れる
金甲(小鼻)の
張りが弱く、【絶倫度】としては「2」と観る。
膣道の断面と一致するとされる風門(耳の穴の手前にある切れ込み)が、左は広いが右はや
やキンチャク型で
良形。目間が狭いのも先天的名器相の一つだ。口元の締まりが良く、口角(唇の両端)が上が
っているのは
後天的名器相だ。惜しむらくは、口元の肉付きが薄いことで、トータルで観た【名器度】は「3」
となった。
眉が吊り上がらず弓なりで、太さもほどよく、すっきりとした口元と涙堂(下瞼)は、あげまん要
素。ただ、
眼形が(あげまんの第一条件の)吊り上がりではなく、金甲も乏しくて、【あげまん度】は「2」どま
りだ。
彼女は、田宅(上瞼)が薄く痩せていて、そこに二重瞼のシワとは別の重操紋(半月形のシワ)
が入っている。
これはセックステクニシャンにしばしば観られる相で、今のところは宝の持ち腐れか。今後、き
っかけ次第では
セックス好きになる可能性もないわけではなく、(1)下瞼に張りが出てくる(2)目尻の肌の色艶が
明るい色になる
(3)目尻の肌に厚みが増す−などの相の変化が出てきたら、彼女のエロスが本格発動した証し
だ。

19 :
志田未来(21) 熟女になればエロく変貌!
今回俎上に載せるのは、女優の志田未来。ドラマ『ST赤と白の捜査ファイル』(日本テレビ系)、『信長の
シェフ』(テレビ朝日系)で、重要な役どころを演じている。

顔の各パーツが下部に寄った童顔で、頭の大きさのわりに肩が華奢な幼児体型でもある。彼女のような、
小柄・幼児体型・丸顔・丸目・おちょぼ口・豆アゴ(尖って突き出たアゴ先)と揃った女相は、まちがいなく
淫蕩性が高い。それも(意外に思われるが)どちらかというと男性的で、心情よりも肉欲優位の、ドロドロした
恋愛感情よりもカラリとしたスポーティーな交歓が好みだ。

目の周囲の肉付きが良く、臥蚕(下瞼の睫毛が生えている部分)も田宅(上瞼)も肉厚で、性感・性欲とも
いたって良好。唇が上下ともぽってりと厚く、特に他者愛の上唇が豊かで歓待紋(細かな縦皺)が多い。
口淫など男性への奉仕性戯にも積極的だ。

鼻相が幼く、長さのわりに高さがない。ベッドでは気取ったところがなく、男性にとっては享楽的な性愛の
相手になる。目力があり、まだ若いせいもあって眼光に余計な艶や媚がない。【淫乱度】は現時点では「3」だ。
口が小さく、鼻の肉付きは悪くはないものの、金甲(小鼻)の張りは普通。好色性は高くとも、回数をこなす
タイプではない。【絶倫度】は「2」。

彼女は眉間が狭く、これは先天的名器相の一つ。口元の肉付きももっちりとして素晴らしく、こちらは
後天的名器相だ。

おしむらくは、膣道の雛型とされる風門(耳の穴の手前にある切れ込み)が平凡なこと。【名器度】は「3」寄りの「4」。
下瞼のラインが上がらず、逆に眉が吊り上がりで、唇が分厚く、あげまん要素は少ない。金甲の張りも強くなく、
【あげまん度】は「1」となった。

山根(目と目のあいだ)が低く、鼻相が弱く、そこに丸目、幅広の顔形と、尻軽相が揃っている。それでも
【尻軽度】が「3」にとどまったのは、覆舟口(唇の両端がへの字に下がる)のため。本来、悪相とされる覆舟口だが、
集中力や内省力の点ではプラス要素で、ブレーキの役割を果たしている。また、狭い田宅や眉間も険相には
ちがいないものの、尻軽度を弱めている。

今後の変化ということでは、先に書いた、小柄・おちょぼ口・豆アゴ・丸目などの相は、すべて右肩上がりの
好色性を暗示している。しかも、彼女は首が太く、門歯も大きくて、(身も心も)芯は太くて大胆だ。今はともに
「3」の淫乱度と尻軽度が、加齢とともに確実に上昇する顔相で、熟女の年代になるころには、見た目も中身も
かなりエロい淑女に変貌している。

20 :
大久保佳代子(42) 絶倫&名器−性力ハンパなし!!
今回取り上げるのは、昨年から大ブレイク中の、お笑いコンビ『オアシズ』の大久保佳代子だ。
彼女自身がTVで持ちネタのように口にしている『強い性欲』は、相学的に観てもウソ偽りはなく、太鼓判が押せる。
口が大きいうえ、口元が骨格ごと前に出っ張っているのは、生活力旺盛で野性的なバイタリティーに満ち溢れて
いる証左。金甲(小鼻)も大きく横に張っていて、性力はハンパない。【絶倫度】は、いきなりの満点で「5」だ。
一方、フェロモンタンクの臥蚕や涙堂(ともに下瞼)が寂しく、色気が乏しいため、男運は良くない。
注目するのは唇で、他者愛の上唇が、自己愛の下唇をしのぐほど厚く、しかもその上唇が下唇にかぶさる
形になっている。愛情過多の相で、異性に対してすこぶる積極的で、奉仕的でもある。母性愛が豊かなので、
男から情交をせがまれると断れないタイプだ。
一種の女神体質ではあるものの、下唇の左側にホクロのようなシミを数カ所持っており、性的に放縦すぎて
凶を招く暗示がある。トータルで観て、【淫乱度】は「4」。

鼻相が、広い横幅に比して高さが足りず、山根(目と目の間)も低めで、良く言えばお人好しで気さくな心性。
悪くいえばプライドが低い。
人中(鼻の下の縦溝)が浅くて広く、眉間も開き気味で、尻軽に拍車がかかっている。【尻軽度】も高く、「4」だ。
大きい口、厚い唇、下がり目が強いさげまん相で、金甲・臥蚕のあげまん相を優に凌駕している。
【あげまん度】は「1」と低い。
膣道の雛型とされる風門(耳の穴の手前の切れ込み)が、彼女は素晴らしく狭くて深く、おまけに膣口部分が
キンチャク状に締まっている。さらに口元の肉付きが豊かときて、後天的な膣肉の締まりも良好だ。
口角(口の両端)の下がった覆舟口という点と、歓待紋(唇の縦皺)の少なさが粗器要素。しかし、そのマイナス点を
極狭の風門相が取り戻していて、【名器度】にも「5」の満点をつけざるを得ない。
絶倫にして名器−−。エロスに関して、天は彼女に二物を与えた。
ここに高得点の淫乱・尻軽を加えると、三拍子・四拍子揃った「はぬ〜ん!」なエロ四十路となる。
ただ、門歯が大きく、歓待紋も少なくて、セックス時の情感や雰囲気は大味。また歯列(特に下側)がギザギザで、
気質的に頑固でひねくれた一面があり、男縁は続かない。喉仏のやや上部に色の悪いホクロがあり、これは
凶意の強い後家相で、結婚運も悪い。
金甲の肉が薄くて鼻孔が大きく、金払いはいたって良い。口が大きく頬骨が出ているので、ヒモでも養える
パワフルな女相だ。

21 :
AKB渡辺麻友(20) あえぎ声大きくかなりの名器
今回取り上げるのは、AKB48の渡辺麻友。先頃行われた「AKB48第6回選抜総選挙」では、前回1位の指原莉乃の連覇を、大

逆転のすえ阻止。
6度目の挑戦で、初の女王の座を射止めた。
 彼女は10代の時から臥蚕(下瞼の睫毛の生えている部分)に膨らみがほとんどなく、20歳となった今もあまり変わっていない。
眼光にも余計な艶や媚が見られず、まだ大人の性感は備わっていない。
 唇に歓待紋(細かな縦皺)があまりなく、目頭に切れ込みがないので、恋愛の場面でもセックスでも、
男に媚びて自分に有利にコトを運ぶ−といった器用さはない。
 男の目には、利己的でサービス精神のない女と映りがちで、損をする相でもある。【淫乱度】は低く、「1」。
 口が大きく、頬骨の張りも良くて、生活力、生命力には恵まれている。唇も上下とも厚めで、精力自体は申し分ない。【絶倫度】

は「3」と観る。
彼女の相の中でバツグンに良いのが、風門(耳の穴の手前にある切れ込み)相だ。
 淫相学的に、ココは膣道の断面と一致するとされていて、先天的名器度を観るところ。
 彼女は左右の風門が全体的に小さく、深さもあって狭く絞れており、かなりの名器持ちと観てまちがいない。
 後天的名器度が現れる口元の肉付きと締まりがやや平凡で、ポイントを下げたものの、トータルの【名器度】は「4」と高い。
 弓なりの眉とおとなしい臥蚕相はあげまん要素。しかし目尻ラインが上がらず、金甲(小鼻)の張りも弱いので、【あげまん度】と

しては「2」となった。
 鼻下が短いのは、性愛に関して直感や勢いで行動する傾向を示すもので、尻軽相の一つでもある。
 また、彼女は右臥蚕に目立つホクロがあって、こちらは男出入りの多い相。目頭寄りにあるので、自分から仕掛けていくタイプ

だ。
 下瞼が寂しいわりに田宅(上瞼)が厚いのは、セックスの快感を知り尽くした熟女の年代になって浮名を流す相。
臥蚕のホクロと考え合わせると、将来、(表沙汰になるかどうかは別に)男性問題で波乱を起こす確率が高い。
 【尻軽度】は高めで、「3」と観る。
 ちなみに、彼女のように口が大きくて垂珠(耳たぶ)の大きな女相は絶頂時のあえぎ声が大きい。
名器持ちの彼女なので、相手男性にとってはまさに蜜の味だ。
彼女は鼻に長さがなく、正面から鼻孔が覗かず、歯列が上下ともやや内向きで、深慮で控えめな一面がある。
結婚して家計をあずかると、締まり屋の良い奥さんになれる。
 下停(鼻下からアゴ先まで)が長く、幅広で肉付きもあり、晩年運も良好だ。

22 :
長澤まさみ(25) エロ面でも穏健な癒し系の相
連続ドラマ『高校入試』(フジテレビ系)で主演を務める女優、長澤まさみを取り上げる。
整った顔立ちで、相学的に観て突出した特徴がない、というのが特徴の彼女。エロ面でも穏健な癒し系の相をしている。

性ホルモンタンクの涙堂(下瞼)の膨らみが小さく、眼光も柔らかくて淫らさがない。下瞼の目頭部分のラインは完熟度や性欲昂

進が現れる部分だが、彼女はここも膨らまず、眼形がアーモンド形になっている。
田宅も肉付きは悪くないものの、やや狭くベッドで淫らに乱れるタイプではない。【淫乱度】は「2」どまりだ。
唇は厚めで、他者愛の上唇も薄くないので、セックス自体は(男性側にすれば)愉しめる相手。ただ、山根(目と目の間。鼻の付け

根)が高く、鼻先も尖っているので、プライドが高くて神経質。
汗まみれでくんずほぐれつという動物的な交わりは苦手で、激しいピストンよりも前戯でじっくり性感を高ぶらせて欲しいというタ

イプだ。

鼻下が長い方で、性感帯は全身に広く分布していると思われ、男性のリード次第で性感は一気に高みに達する。人中(鼻下に

ある縦溝)の下端が尖っているのはクリトリスが発達している証で、(尖った鼻先の相と照らして)雌核へのていねいな愛戯が功を

奏する女相だ。
耳の穴の手前にある切れ込みが深々として細く、これは名器相。眉間がやや狭めで、口元の肉付きがいいのも膣肉の締まりの

良さを示している。
さらに、口角(口の両端)が自然に上がり引き締まっているのも良相で、【名器度】は「5」に近い「4」。「5」にならなかったのは高身

長(女相は小柄が名器相、大柄は凡器相)がマイナスに作用したため。
尻軽相がほとんどなく、【尻軽度】は「1」。ただ、彼女は目頭に切れ込みがある。これは男性を媚態で誘惑するのが上手く、反面

、同性からは敵視され、尻軽と取られがち。
厳密には目頭の切れ込みは尻軽相ではなく、「ぶりっ子相」とでも呼ぶべきもので、男運そのものは悪くない。
鼻が長さ、肉付きともあって、金甲(小鼻)も豊か。耳も大きめで、【絶倫度】はやや高めの「3」。
地眉が一文字眉で毛質も硬く黒々としているので、内面は頑固で行動力もある。
以前と比べ眉をやや曲線に作るようになったようで、多少あげまん相にはなったものの、他にあげまん要素がなく、【あげまん度

】は「1」だ。

「肉厚金甲に貧乳なし」で、彼女もご多分に漏れず豊乳の持ち主だ。金甲が肉厚だと自然と鼻孔が小さくなるもので、これはや

りくり上手ないい奥さんになれる相。
一方、垂珠(耳たぶ)が大きいのは、交情の際のあえぎっぷりの良さを示す相で、男の身には、チャートの評点より淫乱度はずっ

と高く感じられるはずだ。

23 :
天海祐希(46) エロスのテンションは低め

今回取り上げるのは、ドラマ『緊急取調室』(朝日系)で主役を演じている女優の天海祐希。昨年6月の心筋梗塞から復帰後、初

のドラマ主演となる。
 まだ枯れる年齢でもないはずだが、エロスのテンションがどうにも低い。

 しっかりした鼻相・唇相とは対照的に、人中(鼻の下の縦溝)が細くて浅く、貧弱だ。女相における人中は、子宮を含めた性器の

機能が現れるところで、生殖性が生来的にやや脆弱な可能性もある。
 唇は厚くて情愛は豊かながら、眼光が媚を含まず乾き気味で、【淫乱度】は「1」と低い。
 尻軽相がほとんどなく、高くて長い鼻に長い眉など、むしろ抑制的に働く相が多く、【尻軽度】も「1」。
 もとより男性的な顔相で、口もやや大きめで、尖っていないアゴ先からエラにかけてのしっかりした骨格にエネルギッシュさがう

かがえる。しかし金甲(小鼻)の張りは弱く、【絶倫度】としては「2」寄りの「3」と観る。

 口角(口の両端)が締まって自然に上がっているのは後天的名器相。
 一方、耳の穴の手前にある切れ込みには先天的名器度が現れ、彼女は右がそこそこ良形で左が凡器。トータルで観て、【名

器度】は「3」寄りの「2」。
 やや上がり気味の目があげまん相ながら、「へ」の字形の強い眉相に乏しい金甲、厚い唇と、さげまん相のほうが多い。【あげ

まん度】は「2」となった。

 彼女は唇相が特徴的で、他者愛・奉仕愛の上唇がとても厚く、自己愛の下唇をしのいでいる。また口元の肉付きも、上唇側が

豊かで下唇側が薄い。
 いかにも甘え下手の相で、恋愛も性愛も相手任せにせず、自身の気持ちに忠実だ。これと決めた相手にはいたって能動的で

、自らアクションを起こす。
 その厚い上唇にホクロまであって、これは積極性が過ぎて相手男性を辟易させる相で、色難相の一つだ。
 今はまるで「女」を封印してしまったかのような涙堂相だが、彼女の場合、今後ここがふっくらと膨らんできたら、熱愛中と判じ

ることができる。

24 :
牧野結美(25) おだてに弱い尻軽アナ!
今回は、フジテレビの早朝の情報番組『めざましテレビ アクア』でメーンMCを務める、元静岡朝日テレビアナウンサー(現在はフ

リー)の牧野結美。
 尻軽度・絶倫度が高く、淫乱度と名器度も「4」に近い「3」で、童顔ながらエロ偏差値の高い女相だ。

 目の周囲の肉付きが良く、臥蚕(下瞼の睫毛の生えている部分)がぷっくりと隆起し、田宅(上瞼)も広い。性ホルモンの分泌が

豊かで、性感・性欲ともに良好。黒目が大きいのは情感が豊か。丸目なので性愛に対して積極的だ。
 眼光に艶がのり、浮光に近い水気を含んでいて、好色性はかなり高く、加齢とともに淫蕩さが増す相。【淫乱度】は現時点で「4

」に近い「3」と観る。

 膣道の雛型とされる、耳の穴の手前の切れ込みが(特に右耳が)深くて狭い名器相。口元の肉付きは薄く、格別締まりの良い

口相でもないので、後天的名器度はあまり高くない。
 唇の歓待紋(細かな縦皺)の多い点がプラスとなって、【名器度】も「4」に近い「3」。

 彼女は鼻が短いわりに肉付きは良く、横幅があって、金甲(小鼻)の張りも素晴らしい。平常時は普通サイズの口が、笑ったと

きに大きく横に広がるのは覇気強く、好運勢。
 門歯が他の歯に比べてきわだって大きく、素の気質は“がさつ”だ。スタミナ豊富の相でもあって、【絶倫度】も「4」と高い。

 もみあげが広くて濃く、眉毛の毛質も濃く、男性ホルモンも豊富な体質。恥毛は黒々とした繁茂で、情も深い。惚れた男にはと

ことん尽くすタイプだ。
 人中(鼻の下の縦溝)が広くて浅いのは、男の誘いに簡単に乗ってしまう相。鼻の横幅に比して山根(鼻の付け根。目間)が低

いところも、ガードのユルさを示している。
 彼女は女子アナには珍しい八重歯持ちで、笑うと片側のみに縦長のエクボができる。どちらもおだてに弱い相で、【尻軽度】も

「4」と高くなった。
 豊かな金甲と穏やかな弓形の眉があげまん要素ながら、豊かすぎる臥蚕がマイナス要素。【あげまん度】は「2」。
鼻が幅広で、肉付きが良いわりに長さがないのは、実利本位の現実家。また正面から鼻孔が見えず、良く言えば節約家の良妻

相、悪い方が出ればぬかみそ臭い野暮な女房になる。
 彼女は鼻筋が太くて短く、門歯大ときて、外見どおりの可愛いらしさ(幼児性)と同時に、鼻っ柱の強い、わがままで荒削りなと

ころがある。
 反面、目頭に切れ込みがあり、歓待紋も多くて、ここ一番で媚態嬌態を用いて男を篭絡する手口も備えている。経済と精神に

余裕のある大人の男でないと、彼女のお相手は務まらないだろう。

25 :
【女子アナ】鈴木奈穂子(33) 積極的に性技で尽くすタイプ! 
噂の美女・ NHKアナウンサーの鈴木奈穂子。
今春、『ニュースおはよう日本』から『ニュースウォッチ9』へ異動、
「朝の顔」から「夜の顔」へと変身した。

ヘアスタイルもストレートのショートになり若返った印象。しかし、顔相は2年前、
本誌のNHK女子アナ淫相学特集で観相した時と比べ、(特に眼光の)男殺し級の濃艶な色香は薄まっている。
結婚3年目、エロ度はさらに上昇するかと期待していたのだが…。

彼女は口元と唇の締まりが素晴らしく良く、そのせいで目立たないが、唇自体は厚い。
特に他者愛の上唇が厚く、目頭にやや切れ込みがあって、性愛の場面では積極的に性技で尽くすタイプだ。
一重瞼ながら、軽眼(大きな目)で丸目でもあり、NHK女子アナの中ではトップクラスの好色相の持ち主だった。
ただ、眼光から艶と媚がやや落ち、現時点の【淫乱度】は「3」どまりと観る。

鼻に幅があり、準頭(鼻の頭)も丸々としていて、かつ鼻の長さがほどよく短めで、ベッドに上がれば気取らず、
交悦に没頭する。エラがやや張り、アゴ先にかけてが広く、丸みも帯びてスタミナは十分。
【絶倫度】も「3」だ。

先天的名器度が現れる、耳の穴の手前にある切れ込みが、(特に右耳が)深くて狭い名器耳だ。
後天的名器度を示す口元の締まりが前述どおり素晴らしく、【名器度】は最上級の「5」。
彼女の夫君は相当の果報者と言わねばなるまい。
ちなみに、彼女のような(縦に長めの)うりざね顔の女性は、プッシーも縦長で、
膣道もやはり長めと、淫相学の観法は教えている。

やや目尻の上がった眼相に、すっきりした下瞼と口元があげまん要素。
一方、一文字の吊り気味の眉が反あげまん要素。
大きすぎる門歯も足をひっぱっていて、(仕事を持つ女性としては良相ではあるものの)
【あげまん度】は「2」どまりだ。

NHK女子アナには、民放女子アナにはあまり見られない、共通した相がある。極端に引き締まった口元がそれで、
研修等で特に訓練しているのかと思えるほど、みな口元を強く引き締めている。堅物でスキのない貞操観念の
強い相で、特に彼女は人中(鼻の下の縦溝)がくっきりと深く、視線が常に真正面を向いていて揺れない。
丸目と、かすかに広い目間を考慮に入れても、【尻軽度】は低く、「1」。

彼女の生来の相としては、異性愛(眼と口の相)も、家族愛や人類愛(エラとアゴの相)もともに濃厚で、
広くて濃いモミアゲから、男性ホルモンが豊かで性欲は強い。
今後、仕事のシフトが夜に変わり、性生活のパターンが変化すれば、また大きく「濃艶」に傾く可能性は大だ!

26 :
★日中戦争を勃発させ、泥沼化させた張本人は
山本五十六が牛耳る海軍と、それを煽ったマスコミ

■米内海相、山本五十六次官の体制の海軍は
陸軍が進めていた日中停戦交渉(船津和平工作)をぶち壊すために
大山大尉事件を捏造し、勝手に中国無差別爆撃を強行。
日中間を、無理やり全面戦争に突入させた。

山本五十六の目論みは陸軍に対抗する海軍の利権拡大、予算の獲得が目的だけ。
山本らが新たに開発した陸上攻撃機の大量の配備。
その宣伝のため、日中間の停戦交渉を妨害する目的で渡洋爆撃(南京無差別爆撃)は強行されたと考えられる。
第二次上海事変を口実に(船津和平工作などから見て停戦は十分可能だった。)
(上海の法人が危険にさらされたなんて話はマスコミの大嘘)
都市無差別爆撃を強行。
それによって全中国国民が抗日で一致団結。
国際社会から非難の嵐となり日本は世界から孤立した。

この海軍次官・山本五十六が主導したと考えられる南京無差別爆撃の結果

・米国大統領が歴史上初めて日本を批判(隔離演説)
・国際連盟は海軍による都市無差別爆撃に対し非難決議を全会一致で採択。日本の不戦条約違反を非難。
・国共合作がついに実現。国共の対立でバラバラだった全中国人が抗日で一致団結する結果を招く。
・蒋介石夫人がアメリカ議会で日本の無差別爆撃、不戦条約違反を非難。 水面下でアメリカの対中支援開始。

以後、海軍省記者クラブ(山本五十六が育てた戦争宣伝組織)を利用して山本五十六は
徹底して国民に新聞で中国討伐を煽りまくり
陸軍参謀本部の日中停戦工作(船津和平工作、トラウトマン工作)をことごとく妨害し潰した。

山本五十六は記者クラブ(黒潮会)を利用し、 新聞社を戦争扇動機関に育てた日本の先駆者である

27 :
大東亜共栄圏の我指導的地位に挑戦 強いて強調"事態切迫"
【上海本社特電三十一日発】ブルーの擬装色に塗りあげられた米国汽船があわただしい風雲

を孕んで近く上海に入港する、国務省の指令をうけて極東在留婦女子を本国に避難せしめん

とする戦時御用船だ、英米両国艦隊の極東共同防備についての秘密会談が上海で行われた

、米国軍需品が援蒋物資にカムフラージュされ太平洋の波を蹴ってマニラに、ラングーンに、

今や東洋の英米植民地には武器が、ガソリンが、飛行機がうず高く積まれた、シンガポール、

香港にも米国軍将校が乗りこんだ等々、挙げれば限りなき奇怪な事実が米国の対日戦備に

多大の疑惑を持たせつつ極東の天地に、あるいはひそかにあるいは公然と展開されつつある

、日独伊三国条約締結後僅か一ヶ月にして米国の極東政策が、あらゆる刺戟的大勢のもとに

極度に悪化したことは国務省の発言をまつまでもなくこれ等事実が歴然と証明しているのであ

る、ハル国務長官の東洋政策が果して何を求めんとするのか、極東においてかつてなき積極

的態度は重慶政権を露骨に支持し日本の東亜共栄圏における指導的地位にあくまで挑戦妨

害せんために外交、政治、経済、軍事などそのことごとくの部門を集約してとられつつあるや

に感ぜられる、対日恐怖心からか独自の優越感が許さぬのか、とも角表現された事実がすべ

ての威嚇の度がすぎて戦争への奔騰の勢いを示している
 極端に見るならば大統領選挙を目睫に控えた米国政府が輿論の刺戟に狂奔し三国条約は

対米攻勢のスタートであり極東における日本の軍事政治行動が対米挑戦であるかの如く幻想

し、米国を挙げて戦争の渦中に引入れんとしているのだというものもある
 その証拠に米国の在支居留民が果して本国政府の引揚げ勧告を現実感をもって受取った

であろうか、上海在住の米国商社が日本の大陸政策に対してそれほど逼迫感をもっているで

あろうか、事実は米国政府の想定を否定するものばかりである、日本が日独伊条約の締結に

論なく支那事変処理と極東における生存権の確保を国策の最大目標としているのが米国の

生存権とどこが抵触するのであるか、日米間には政治的手段によって解決されないものが毫

もないはずである、しかし極東の事態は米国政府の作戦を前提とするかの如き極めて周密な

政策の下に立つ英米共同の対日歩調がより否応なく激化の一路を辿らんととしているのであ


以下極東における米国が現にとりつつある対日作戦準備として否定し得ざる事実を指摘して

誤れる米国の極東政策の動向を厳正に検討しよう

28 :
一、三国同盟成立後米国政府は英国に対してビルマ援蒋路の再開を強要するとともに在支

米人の一部引揚げ勧告を発して極東への積極的関心を対日攻勢に示した、十月中旬政府の

命により米本国およびハワイを出帆したマンハッタン、モントレー、マリポサ、ワシントンの四隻

大型船舶は在支米人引揚げ用として一路上海に急航しつつあり、その第一船は二日上海到

着の予定である、二十万の在米居留民を有する日本政府が何らの具体的対米策を講ぜざる

に先立ち極東在住者一万名に達せざる米国政府がかかる刺戟的手段を敢えてしたことは、引

揚げの直接米国の対日禁輸を強化せんとすることにあるはもちろん、さらに進んで米当局の

対日外交の恫喝政策が今や(戦争にならざる)範囲を逸脱し対日戦争を挑発しつつあるものと

いわねばならぬ、米国政府の極東居留民引揚げ勧告は一時米国居留民に興奮を与えたが実

業家の間には権益保存の立場からこの際むしろ出来得る限り踏み止まるべしとの空気が濃く

なって来た、また英国側においては上海の英国商業会議所会頭コルダー・マーシャル氏の如

き英国経済人は極東における敵国との経済戦を通じて祖国を援助せよとラヂオ放送をしてい


 この趨勢は英米が東亜において有する貿易機構と海運力を最後まで維持しつつ万一の場

合これにものをいわせようとする両国の政策を強く反映せらしめられているものである
現在のところ上海の英米側財界は日米戦の可能性については多分の疑惑をもちもし起るとし

てもまだ近き将来にあらずと見る向きが多く、一部事変のため事業の停頓したものは強硬論

を唱えているが現地全般の空気は決して積極的ではない、しかるに米当局は立ち渋る居留民

を鞭撻するため引揚げの再勧告を行い政府の意をうけた上海米国商業会議所は三週間以上

の長期にわたる商取引をなさざるよう警告を発するなど強いて対日空気の切迫を強調しつつ

ある、かかる空気を反映して上海為替市場をはじめ商取引の上に日米戦の危機が織り込ま

れつつある、法幣の対米相場が遂に六ドルを突破して強調を示しているのは支那側財界に米

ドル不安が昂まりつつある証左であり、感受性の鋭い支那商人は最近とみに対米国商取引

契約に対して警戒を払いこれを漸次短期化する傾向が強く、支那財界における最近の換物運

動の再燃、わが軍票買いなどもこれを物語るものである
二、さらに在支米国駐屯軍の動向も蔑視すべからざるものがある、すなわち在支駐屯軍に対

してはすでに極秘裏に引揚げ準備の指令が発せられたものの如くその実証として去る十三日

には急速に在支駐屯地より引揚げ得るようあらかじめ船会社との連絡をとるべしという命令が

到達したといわれており、すでに輸送船ゴールド・スター号が上海に入港、待機している事実

が挙げられる、また在上海第四マリンの将校中仏租界居住者は同租界を引揚げ、膠州路、西

摩路、ハイフォン路に囲まれた地区に移転すべき指令が発せられた

29 :
 一方においてマリンの戦闘訓練も猛烈に行われ、米アジヤ艦隊主力はマニラに集結を完了

した今や極東米海軍は完全に開戦気構えに入っているのである
三、米国はビルマ路線再開とともに対蒋二千五百万米ドル借款を発表したが、その後続々追

加新借款を供与するとの報が伝えられている、従来米国の対蒋借款の内容は支那土産と軍

需資材のバーターによる商業借款といわれているが、わが徹底的援蒋路の遮断のため早くよ

りこの種バーターは事実上評価不可能に陥っており、またビルマ路再開ぐらいではほとんど問

題にならぬことは明かである、いわんや同路線はわが海鷲の爆撃によって早くも半身不随の

状態に陥っているのである、しかもなお新借款を与えんとする米国の政策は奇怪極まるものと

いうべくその狙うところは援蒋にあらずしてほかにある(続く)=カット写真は上海租界バンド


(下) 米支同盟の締結へ 援蒋政策強化に盲進
【上海本社特電一日発】米国が援蒋借款を与えることによって真に狙っているものは何である

か、伝えられるところによればソ連の対蒋軍需品借款によってもたらされた対重慶貸越しの決

済とソ連の米国機材ならびに石油輸入資金の増大を機とし米ソ支三角的資金関係の設定を

通じて対日牽制を主要目的とするとの見解が行われている、他方対蒋借款資材に名を藉りて

米国からラングーン、マニラあるいは香港に続々陸揚げされている軍需資材は援蒋に擬装せ

る米国自身の極東資材である、しかもこれら武器、ガソリン、飛行機はビルマ路再開の数ヶ月

前から輸送量が加速度的に増大している事実は注目に値する、援蒋物資の堆積地は米国対

日作戦地だ
四、最近宋子文が米国において輸入せりという大型戦闘機百台をはじめ戦車、自動車、装甲

自動車が千百台、高射砲、大砲数百門がラングーンに直送されず、マニラに山積しており、ま

た米国がスウェーデンと契約せる単座追撃機六十機、単座爆撃機五十機はその契約を破毀

してマニラに集結された、さらにマニラ飛行機修理工場を拡大して四工場とし、秘かに工作機

械を持ちこんで組立工場、製作工場をも新設するに至りマニラ飛行隊の独立性が確立された

、これとともに米国飛行将校が大部隊増遣されている模様だ
 すでにミシガン州セルフリッジおよびカリフォルニヤ州ハミルトンにあった陸軍追撃機隊二個

中隊がフィリッピンに移駐し武器弾薬の輸送量も増大した、今やフィリッピンは一億七千万ペソ

に達する厖大予算を編成して完全に戦時態勢に入った観がある、かかる動きに呼応して最近

フィリッピン東海岸のレガスピ港が注目されはじめた、同港は極東における軍事物資の蒐集

の基点たるものの如くシンガポールより南洋一帯から購入された多数の船舶は同港に集り、

30 :
改修擬装の上軍事輸送に使用されている模様で各国から購入された船舶は百五十隻に達し

ている、一方シンガポールにおいても同様軍需品倉庫を増設して米国より機関銃、高射砲な

どを送っているが、殊に注目すべきは濠洲方面よりの動きである、すなわち過般濠洲政府およ

びニュージーランド政庁が軍需品生産増進令を布告して戦時態勢を強化し空軍の一部動員を

してシンガポールに移動せしめた事実があり、近くラングーンにも濠洲の空軍部隊が到着の

予定だといわれており、英米協同作戦の態勢は着々進行しつつありといわざるを得ない
また注目されるのは援蒋物資輸送路と称してシンガポールからケープタウン経由ニューヨーク

航路が開設されたことで、米国の南洋基地が如何に周密な計画の下に本国に連絡されつつ

あるかが窺われる南太平洋航路が遮断されてもシンガポールの存立性をこれによって確保し

ようというのだ、ビルマ路が英国によって再開された
 裏面には英米間に極東防衛に関する緊密な取極めが出来ている、その最も大なるものはシ

ンガポール、香港の軍事的基地を米国に提供していることである
五、米国がその奇怪なる軍事計画とともに外交的に対日包囲計画をとっていることは南洋一

帯における英国およびオランダ植民地に対して自由行動をとり得る事実に見ても明かである

が、最近の日蘭印交渉の如きは如実にこれを物語るものである、同交渉が必ずしも円滑に運

ばざるは蘭印当局に対する英米の使嗾によるもので、蘭印の態度が米国の対日決意の如何

によって左右されているものともいわねばならない
 すなわち実力的に英米が共同防衛に出ることによって東亜共栄圏における蘭印本来の地位

が蹂躪され、その英米依存性が強化されるのである、また経済的には日本の求めんとするガ

ソリンを英国が購入の保証を与えることによって日本の合理的経済交渉を無視することが出

来る、かかる英米の巧妙な外交戦術は一方において南洋一円の空気をあくまで旧秩序圏内

に巻き込まんとしているが地方において重要視されるのは米国がその援蒋政策を米支同盟

の成立にまで強化せんとしていることである、ジョンソン駐支大使が今年夏ワシントンの秘密

命令を受けて帰任以来重慶に止まって蒋介石と折衝しつつあるのは主として米支同盟につい

てであり、日米開戦の直前においてこれが調印を行い重慶をしてあくまで対日抗戦の意図を

強化せしめんというのが米国の狙いである
かかる動きは援蒋物資は名目にすぎず実は対日開戦を目ざしてシンガポール、マニラ、ラング

ーン、香港を連ねる東南アジヤの防衛線を要塞化しアラスカ、サンディエゴ、ハワイ、ミッドウェ

ーより南方に連なる対日封鎖線を強化せんとするにある、しかしてその対日攻撃の空軍前進

基地をマニラにおかんとするもののごとく、マニラに現在米空軍の誇りとする長距離ボーイング

機を百五十機乃至百七十機を備え、またハワイには同型機が百機待機しており、マニラまで

31 :
あるかが窺われる南太平洋航路が遮断されてもシンガポールの存立性をこれによって確保し

ようというのだ、ビルマ路が英国によって再開された
 裏面には英米間に極東防衛に関する緊密な取極めが出来ている、その最も大なるものはシ

ンガポール、香港の軍事的基地を米国に提供していることである
五、米国がその奇怪なる軍事計画とともに外交的に対日包囲計画をとっていることは南洋一

帯における英国およびオランダ植民地に対して自由行動をとり得る事実に見ても明かである

が、最近の日蘭印交渉の如きは如実にこれを物語るものである、同交渉が必ずしも円滑に運

ばざるは蘭印当局に対する英米の使嗾によるもので、蘭印の態度が米国の対日決意の如何

によって左右されているものともいわねばならない
 すなわち実力的に英米が共同防衛に出ることによって東亜共栄圏における蘭印本来の地位

が蹂躪され、その英米依存性が強化されるのである、また経済的には日本の求めんとするガ

ソリンを英国が購入の保証を与えることによって日本の合理的経済交渉を無視することが出

来る、かかる英米の巧妙な外交戦術は一方において南洋一円の空気をあくまで旧秩序圏内

に巻き込まんとしているが地方において重要視されるのは米国がその援蒋政策を米支同盟

の成立にまで強化せんとしていることである、ジョンソン駐支大使が今年夏ワシントンの秘密

命令を受けて帰任以来重慶に止まって蒋介石と折衝しつつあるのは主として米支同盟につい

てであり、日米開戦の直前においてこれが調印を行い重慶をしてあくまで対日抗戦の意図を

強化せしめんというのが米国の狙いである
かかる動きは援蒋物資は名目にすぎず実は対日開戦を目ざしてシンガポール、マニラ、ラング

ーン、香港を連ねる東南アジヤの防衛線を要塞化しアラスカ、サンディエゴ、ハワイ、ミッドウェ

ーより南方に連なる対日封鎖線を強化せんとするにある、しかしてその対日攻撃の空軍前進

基地をマニラにおかんとするもののごとく、マニラに現在米空軍の誇りとする長距離ボーイング

機を百五十機乃至百七十機を備え、またハワイには同型機が百機待機しており、マニラまで

二日間で飛翔することが出来る、また右ボーイング機の性能は極秘とされているがマニラ、東

京間往復は完全に可能なりといわれている、しかして艦隊の動きとしては昨年初期より間断

なく本国サンディエゴ軍港、ハワイ真珠湾附近よりマニラ方面に航空母艦、巡洋艦、潜水艦を

輸送しており、フィリッピンを中心に集結せる艦隊は相当の数にのぼるものと推定され右艦隊

ならびにホノルルに集結中の主力艦隊を合するならば米国連合艦隊の三分の二が対日攻撃

の態勢に入りつつあるものと見るべきであろう、かくして米国政府は対内政策と対日恫喝政策

に没入した結果自ら「予期せざる危険区域」に踏みこまんとしているのである

32 :
(下) 米支同盟の締結へ 援蒋政策強化に盲進
【上海本社特電一日発】米国が援蒋借款を与えることによって真に狙っているものは何である

か、伝えられるところによればソ連の対蒋軍需品借款によってもたらされた対重慶貸越しの決

済とソ連の米国機材ならびに石油輸入資金の増大を機とし米ソ支三角的資金関係の設定を

通じて対日牽制を主要目的とするとの見解が行われている、他方対蒋借款資材に名を藉りて

米国からラングーン、マニラあるいは香港に続々陸揚げされている軍需資材は援蒋に擬装せ

る米国自身の極東資材である、しかもこれら武器、ガソリン、飛行機はビルマ路再開の数ヶ月

前から輸送量が加速度的に増大している事実は注目に値する、援蒋物資の堆積地は米国対

日作戦地だ
四、最近宋子文が米国において輸入せりという大型戦闘機百台をはじめ戦車、自動車、装甲

自動車が千百台、高射砲、大砲数百門がラングーンに直送されず、マニラに山積しており、ま

た米国がスウェーデンと契約せる単座追撃機六十機、単座爆撃機五十機はその契約を破毀

してマニラに集結された、さらにマニラ飛行機修理工場を拡大して四工場とし、秘かに工作機

械を持ちこんで組立工場、製作工場をも新設するに至りマニラ飛行隊の独立性が確立された

、これとともに米国飛行将校が大部隊増遣されている模様だ
 すでにミシガン州セルフリッジおよびカリフォルニヤ州ハミルトンにあった陸軍追撃機隊二個

中隊がフィリッピンに移駐し武器弾薬の輸送量も増大した、今やフィリッピンは一億七千万ペソ

に達する厖大予算を編成して完全に戦時態勢に入った観がある、かかる動きに呼応して最近

フィリッピン東海岸のレガスピ港が注目されはじめた、同港は極東における軍事物資の蒐集

の基点たるものの如くシンガポールより南洋一帯から購入された多数の船舶は同港に集り、

改修擬装の上軍事輸送に使用されている模様で各国から購入された船舶は百五十隻に達し

ている、一方シンガポールにおいても同様軍需品倉庫を増設して米国より機関銃、高射砲な

どを送っているが、殊に注目すべきは濠洲方面よりの動きである、すなわち過般濠洲政府およ

びニュージーランド政庁が軍需品生産増進令を布告して戦時態勢を強化し空軍の一部動員を

してシンガポールに移動せしめた事実があり、近くラングーンにも濠洲の空軍部隊が到着の

予定だといわれており、英米協同作戦の態勢は着々進行しつつありといわざるを得ない
また注目されるのは援蒋物資輸送路と称してシンガポールからケープタウン経由ニューヨーク

航路が開設されたことで、米国の南洋基地が如何に周密な計画の下に本国に連絡されつつ

あるかが窺われる南太平洋航路が遮断されてもシンガポールの存立性をこれによって確保し

ようというのだ、ビルマ路が英国によって再開された

33 :
 この趨勢は英米が東亜において有する貿易機構と海運力を最後まで維持しつつ万一の場

合これにものをいわせようとする両国の政策を強く反映せらしめられているものである
現在のところ上海の英米側財界は日米戦の可能性については多分の疑惑をもちもし起るとし

てもまだ近き将来にあらずと見る向きが多く、一部事変のため事業の停頓したものは強硬論

を唱えているが現地全般の空気は決して積極的ではない、しかるに米当局は立ち渋る居留民

を鞭撻するため引揚げの再勧告を行い政府の意をうけた上海米国商業会議所は三週間以上

の長期にわたる商取引をなさざるよう警告を発するなど強いて対日空気の切迫を強調しつつ

ある、かかる空気を反映して上海為替市場をはじめ商取引の上に日米戦の危機が織り込ま

れつつある、法幣の対米相場が遂に六ドルを突破して強調を示しているのは支那側財界に米

ドル不安が昂まりつつある証左であり、感受性の鋭い支那商人は最近とみに対米国商取引

契約に対して警戒を払いこれを漸次短期化する傾向が強く、支那財界における最近の換物運

動の再燃、わが軍票買いなどもこれを物語るものである
二、さらに在支米国駐屯軍の動向も蔑視すべからざるものがある、すなわち在支駐屯軍に対

してはすでに極秘裏に引揚げ準備の指令が発せられたものの如くその実証として去る十三日

には急速に在支駐屯地より引揚げ得るようあらかじめ船会社との連絡をとるべしという命令が

到達したといわれており、すでに輸送船ゴールド・スター号が上海に入港、待機している事実

が挙げられる、また在上海第四マリンの将校中仏租界居住者は同租界を引揚げ、膠州路、西

摩路、ハイフォン路に囲まれた地区に移転すべき指令が発せられた
 一方においてマリンの戦闘訓練も猛烈に行われ、米アジヤ艦隊主力はマニラに集結を完了

した今や極東米海軍は完全に開戦気構えに入っているのである
三、米国はビルマ路線再開とともに対蒋二千五百万米ドル借款を発表したが、その後続々追

加新借款を供与するとの報が伝えられている、従来米国の対蒋借款の内容は支那土産と軍

需資材のバーターによる商業借款といわれているが、わが徹底的援蒋路の遮断のため早くよ

りこの種バーターは事実上評価不可能に陥っており、またビルマ路再開ぐらいではほとんど問

題にならぬことは明かである、いわんや同路線はわが海鷲の爆撃によって早くも半身不随の

状態に陥っているのである、しかもなお新借款を与えんとする米国の政策は奇怪極まるものと

いうべくその狙うところは援蒋にあらずしてほかにある(続く)=カット写真は上海租界バンド

34 :
(1) 米に二つの悩み 通商条約廃棄の有する意味 日英妥結への阻碍
 時局下の日本人に取って何が一番警戒を要するかと言って、興亜の聖業にいそしむ吾々の前に東亜に於る両アングロサキソ

ン国家の提携に優るものはないであろう、これは日本として英米の共同行動を絶対的に怖れるという意味ではないが新東亜建

設の途上においてそれ自体の有つ影響が極めて厄介であり、折角の大業も無用な困難を加える虞があるからに外ならない、然

らば事実は果して何うか…天津問題に端を発する日英の東京円卓会談は、先ずその一般的原則の取極に成功し、有田・クレ

ーギー協定の覚書交換によって会談の基礎的工作は一段落を告げた
 然るに突如、会談の具体的折衝を前にして米国政府から日米通商航海条約の廃棄通告が晴天の□□の如く日本に向けて突

き付けられて来た、東京会談における原則的諒解の成立に意気銷沈していた重慶政府は「米国の正義が英国に代って日本に

制圧を加えるものである」と言って有頂点の歓喜を示し、英仏の新聞は民王々義戦線の具体的結合による日本への一大□棒

であると論じ立てた、之に対する独伊の□論はまた英米馴れ合いの芝居でないかを疑い、米国の行動を以て対日非友誼によ

る米国第三位の顧客を米国自ら失うものであると痛□した、そしてそれと同時に東京会談は治安問題の実際諒解成立に次い

で法幣並びに現銀問題において難関に逢着した、英国の態度は我然硬化したというのである
 以上の形勢は如何にも英米の対日共同戦線の結成が、先ず第一歩を踏み出した感を与えずにおかないが事実は必ずしもそ

うではないこれに就て去る六日米国々務次官ウェルズ氏は明白にその事実無根を声明して打ち消しているが、これはその儘額

面通り受取って誤りはないであろう

35 :
 日本通商関係の現実からいって四億三千万円もの受取勘定にある米国が純経済的見地から之を廃棄したと見る事は何うし

ても考えられない、多分に政治的考慮に影響されている事は勿論である、しかしながらルーズヴェルト大統領の任期満了を来

年に控えてニューディールを中心とする内政上の失敗続出を大衆の感傷的対支同情論にアップレシェートする今回の措置で巧

みに人気転換を図ったものである事は内外衆目の一致する所である、とは謂えそれが又全部でない事も事実である、然らばそ

れは何であるかというと、外にも其の狙いは対英協同とは似ても似つかぬ反対の意図が其処に含まれているのである
 由来、米国の極東外交は、殆ど例外なしにその結果に於て英国のため火中の栗を十うの類に堕していた事は隠れもない所で

ある
 「機会均等」「門戸開放」の名によって知らるる国務□ジョン・ヘイのそれにしても真実は英国の対支商権を拡大せんとする英

人官史ロックヒルの案□を其儘鵜呑みにしたものであり、旧日英同盟の廃棄にしても、欧洲大戦後勃興しつつあった米国への

御機嫌取り旁々、日本という中から米国という馬に乗り替える英国の策動に乗って議府会議の際米国自らその憎まれ役を引受

けたのであった、かかる事実は最近に於て米国朝野の等しく気付く所となって、ハル国務長官の如きも幾度か英国の玄人外交

に捲込まれる危険に就て国内□論に対する馨告を与えていたものである従って極東政策に関する限り米国の態度は簡単に対

英協同に動じ得ない情勢にあるのである
曾て英米の日本に対する共同行動として吾々に想起さるるものは、華府会議に於ける海軍協定に次いで、日本の対英米海軍

比率のバリチー要求に対し同一歩調が取られた以外、最近の関係に於て英米の共同した事実は未だ寡聞にしてこれを聞かな


 元来、英米の日本に対する圧迫協同は純粋の意味に於て共同の競争者の場合以外殆んどあり得ないのである、若し英米の

何れかが他に目的を抱いて日本強圧を勧誘しても、それは常に失敗に了った事は□に満洲事変に於いて米国の誘いに英動か

ず今回の事変に英の誘いを米受けつけぬ事実が其の一切を説明している
従って米国今回の対日条約廃棄が何を意味するかは想像出来よう、即ち東京会談によって支那に対する日英接近を抑制せん

とする所に其の魂胆がある訳である、日英東京会談に対して、少くとも米国として不満とするものに二つの点がある
 一つは法幣問題に就て英国が□歩すれば、支那に於ける金融的支配権が英国の手から日本の手に移って了う、これは現在

の法幣制度確立に際し、英米が其の支配権を握ろうとして争った揚句米国が失敗した経験からして米国は法幣の支配権を英

国の握っている事も不快としている、そうかと云って今度それが日本に移ることは矢張り面白くないのである、そしていま一つは

東京会談そのものが、事変の終結を意味するものではないが少くともそれへの予備的性質を有っているとして、昨年ルーズベ

ルト大統領が英国に対し「事変終結に際しては米国は極めて重要な地位を占める可きである

36 :
」と通告しているが、今回の会談

に於ては少しも其事が問題とされていないからである
以上二つの点からこれを考えるとき、対日条約廃棄の有つ意味合いはあっさりと日英妥協の阻碍にあるということが看取される

のである、即ち以下その理由と事実に就て明日紙上にこれを解説するが、これに対して日本は如何なる策を選ぶべきであろう




(2) 執拗な和平妨害 アメリカに引摺られる英国 日独伊同盟と極東
少しく冷静に、日米通商条約の廃棄に就て考えるならばそれが日英会談に対して何等緊急的処理の効果もなく、又法幣問題に

も何等触れて居らず、結局一種の外交的強硬姿勢を見せているに過ぎない事が判ろう、それは日本に対して発せられたもので

あるが何等日本を脅威しない、驚くべき重慶の好感を博したがさりとて実質的何等の恩恵を与えているでもない、而も英国の問

題解決に何等寄与せず、其処に予想さるるものは、米国のこの強硬態度に刺戟された英国が断然対日の硬化を示すことによ

って会談の阻碍を狙ったとしか考えられない事情にあるのである、そしてこの事は左の事実を見ても明かであろう
 昨年、ヒューゲッセン大使の空爆負傷前後、英国は支那に日本との単独妥協を頻りと進めていたが、米国大統領のシカゴに

おける「侵略国隔難」の強硬論説とブラッセル(九ヶ国条約)会議招集提議によってこれを打ち壊して了った、又同年上半期にお

いて揚子江開放問題に関する英国側の対日交渉持ち掛けも、その進行途上米国極東艦隊司令長官をして突如「米国艦隊は

武力を以て封鎖線を突破せん」と声明せしめ、遂に英国をして手を引かしめるに至った、かくして更に本年の上半期にカー大使

が重慶の疲幣を見て和平斡旋方の動きを示すや、米国は突如上海租界問題に就て強硬意見を発表して其陸戦隊を率先鼓浪

□に揚陸し、以て事態を紛糾させて了ったのである、かくして今回日英会談の通行状況稍やスムースなるを見ると忽ち対日条

約の廃棄を行ったもので、その意味が依然何回も繰返えされた以上行動と何等変るものでない事は聡明な読者の諒解さるる

所であろう
かくて英米の関係は寧ろ極東に関する限りヘゲモニーを□って相対立するものと言う事が出来よう従ってその提携の可能性は

日本の出方一つによって殆ど絶望という事も出来るであろう、しかし流石に英国は米国の其手を利用する事はあっても容易に

乗せられて米国の笛に踊る事は稀である、法幣問題と現銀問題に於て、手続き上国内的困難と米仏の如き関連を有する諸国

との共同利害に於て、俄に日本に対する譲歩を決定し難い事情から、東京会談は米国の対日条約廃棄と時期を一にして停頓

の状態に入ったが、米国の意図を解する英国は必ずしも対日硬化によって会談をデッドウックに押し上げた儘打切るような行動

は執るまい

37 :
 八月四日、夏期休会を前にしてチェンバレン英国首相は、その下院において率直に英国の態度を闡明した「欧洲における情

勢は、吾人をして戦争に訴える覚悟さえ必要とするのである、この際吾人は極東において日本と争うが如きコミットメントを負うこ

とは出来ない…」と
然しながら日本人として更に注意を要することは、同じ英国首相の演説である
 「…そうは言え、自分も亦極東の情勢に対しては憤激している何人にも増して憤激している…」と…しかし現実の情勢から判

断して極東に於ける兵力の優劣を論じ、遺憾乍ら、此際日本と妥協して交渉による問題の解決を期せねばならないと言う事は、

若し国際情勢にして英国に自由手腕を発揮させる事情にありとすれば、何ぞ日本との妥協を要せん、従来の援蒋持続によって

、日本の疲幣を待ち、徐ろに居中調停の機会を□み、再び極東に君臨する夢を描かんとする事を意味するものである事は言う

迄もあるまい
即ち「英国の□会だにあらば…」と云う態度を背後に有つ日本として英米の接近を防止しつつこれに対等する方策を果して何れ

に求めるべきであろうか

東京会談の齎す事変への影響は今更茲に説明するまでもあるまい、同時に英米の対日共同も今日の情勢に於て直に憂慮す

可きものはないが、さりとて□世の大事業たる新東亜建設の工作に伴う日本の国際政治は、これを以て終止符を附す可きもの

でない事も勿論である
ここに於て所謂日本の対独伊関係強化と言う事が必然問題として考慮されなければならない訳である、が然らば具体的に何が

あるかと言う事になるが、それには現に問題となりつつある独伊同盟に対する日本の参加と言うのがある訳である、しかしこれ

に参加するとして如何なる用意が必要であろうか、同盟は戦争を予定するが、必ずしもそれが最終の目的ではない、其処に弾

力的考慮の払わるる余地があろうというものである
一例を挙げれば今日、日本が日独伊三国同盟を締結したとして現在極東における戦争に独伊の参加は不可能である、この事

は場所を変えて欧洲に戦争の起った場合、或程度同様の結果を見るであろう、只だ敵対国の出様如何では一切の困難は克服

される所に弾力的意義がある訳であって、それは締約国独自の見解が基礎をなす事勿論でなければならない
 何れにしても、日本の進取が、今日の盟邦たる独伊との提携に深化の運命を多分に含んでいる事は吾々として特に強く念頭

に置く必要があろう、そしてこの事は、軈て東亜に強国を有つソ連に自重と、印度を穀倉とし、資力の五十三パーセントを東洋に

有つ英国の反省を求める上に於て日本に対する有力な役割を果すこととなろう、これ事変終結に絶大の効果を齎らすものであ

る、もとより其間日本にとってよい事ばかりない事も考慮に置かなければならない、しかし最大の関心は英米の提携を防止する

意味に於て今日迄の経緯を忘れてはならない、凡ゆる方策は常に過去の実践的経緯を基礎とする時に於てのみ権威を持つも

のだからである(完)

38 :
大東亜共栄圏の我指導的地位に挑戦 強いて強調"事態切迫"
【上海本社特電三十一日発】ブルーの擬装色に塗りあげられた米国汽船があわただしい風雲を孕んで近く上海に入港する、国

務省の指令をうけて極東在留婦女子を本国に避難せしめんとする戦時御用船だ、英米両国艦隊の極東共同防備についての秘

密会談が上海で行われた、米国軍需品が援蒋物資にカムフラージュされ太平洋の波を蹴ってマニラに、ラングーンに、今や東

洋の英米植民地には武器が、ガソリンが、飛行機がうず高く積まれた、シンガポール、香港にも米国軍将校が乗りこんだ等々、

挙げれば限りなき奇怪な事実が米国の対日戦備に多大の疑惑を持たせつつ極東の天地に、あるいはひそかにあるいは公然と

展開されつつある、日独伊三国条約締結後僅か一ヶ月にして米国の極東政策が、あらゆる刺戟的大勢のもとに極度に悪化し

たことは国務省の発言をまつまでもなくこれ等事実が歴然と証明しているのである、ハル国務長官の東洋政策が果して何を求

めんとするのか、極東においてかつてなき積極的態度は重慶政権を露骨に支持し日本の東亜共栄圏における指導的地位にあ

くまで挑戦妨害せんために外交、政治、経済、軍事などそのことごとくの部門を集約してとられつつあるやに感ぜられる、対日恐

怖心からか独自の優越感が許さぬのか、とも角表現された事実がすべての威嚇の度がすぎて戦争への奔騰の勢いを示してい


 極端に見るならば大統領選挙を目睫に控えた米国政府が輿論の刺戟に狂奔し三国条約は対米攻勢のスタートであり極東に

おける日本の軍事政治行動が対米挑戦であるかの如く幻想し、米国を挙げて戦争の渦中に引入れんとしているのだというもの

もある
 その証拠に米国の在支居留民が果して本国政府の引揚げ勧告を現実感をもって受取ったであろうか、上海在住の米国商社

が日本の大陸政策に対してそれほど逼迫感をもっているであろうか、事実は米国政府の想定を否定するものばかりである、日

本が日独伊条約の締結に論なく支那事変処理と極東における生存権の確保を国策の最大目標としているのが米国の生存権と

どこが抵触するのであるか、日米間には政治的手段によって解決されないものが毫もないはずである、しかし極東の事態は米

国政府の作戦を前提とするかの如き極めて周密な政策の下に立つ英米共同の対日歩調がより否応なく激化の一路を辿らんと

としているのである
以下極東における米国が現にとりつつある対日作戦準備として否定し得ざる事実を指摘して誤れる米国の極東政策の動向を

厳正に検討しよう

一、三国同盟成立後米国政府は英国に対してビルマ援蒋路の再開を強要するとともに在支米人の一部引揚げ勧告を発して極

東への積極的関心を対日攻勢に示した、十月中旬政府の命により米本国およびハワイを出帆したマンハッタン、モントレー、マ

リポサ、ワシントンの四隻大型船舶は在支米人引揚げ用として一路上海に急航しつつあり、その第一船は二日上海到着の予

定である、二十万の在米居留民を有する日本政府が何らの具体的対米策を講ぜざるに先立ち極東在住者一万名に達せざる米

国政府がかかる刺戟的手段を敢えてしたことは、引揚げの直接米国の対日禁輸を強化せんとすることにあるはもちろん、さらに

進んで米当局の対日外交の恫喝政策が今や(戦争にならざる)範囲を逸脱し対日戦争を挑発しつつあるものといわねばならぬ、

39 :
定である、二十万の在米居留民を有する日本政府が何らの具体的対米策を講ぜざるに先立ち極東在住者一万名に達せざる米

国政府がかかる刺戟的手段を敢えてしたことは、引揚げの直接米国の対日禁輸を強化せんとすることにあるはもちろん、さらに

進んで米当局の対日外交の恫喝政策が今や(戦争にならざる)範囲を逸脱し対日戦争を挑発しつつあるものといわねばならぬ、

米国政府の極東居留民引揚げ勧告は一時米国居留民に興奮を与えたが実業家の間には権益保存の立場からこの際むしろ出

来得る限り踏み止まるべしとの空気が濃くなって来た、また英国側においては上海の英国商業会議所会頭コルダー・マーシャ

ル氏の如き英国経済人は極東における敵国との経済戦を通じて祖国を援助せよとラヂオ放送をしている
 この趨勢は英米が東亜において有する貿易機構と海運力を最後まで維持しつつ万一の場合これにものをいわせようとする両

国の政策を強く反映せらしめられているものである
現在のところ上海の英米側財界は日米戦の可能性については多分の疑惑をもちもし起るとしてもまだ近き将来にあらずと見る

向きが多く、一部事変のため事業の停頓したものは強硬論を唱えているが現地全般の空気は決して積極的ではない、しかるに

米当局は立ち渋る居留民を鞭撻するため引揚げの再勧告を行い政府の意をうけた上海米国商業会議所は三週間以上の長期

にわたる商取引をなさざるよう警告を発するなど強いて対日空気の切迫を強調しつつある、かかる空気を反映して上海為替市

場をはじめ商取引の上に日米戦の危機が織り込まれつつある、法幣の対米相場が遂に六ドルを突破して強調を示しているの

は支那側財界に米ドル不安が昂まりつつある証左であり、感受性の鋭い支那商人は最近とみに対米国商取引契約に対して警

戒を払いこれを漸次短期化する傾向が強く、支那財界における最近の換物運動の再燃、わが軍票買いなどもこれを物語るもの

である
二、さらに在支米国駐屯軍の動向も蔑視すべからざるものがある、すなわち在支駐屯軍に対してはすでに極秘裏に引揚げ準備

の指令が発せられたものの如くその実証として去る十三日には急速に在支駐屯地より引揚げ得るようあらかじめ船会社との連

絡をとるべしという命令が到達したといわれており、すでに輸送船ゴールド・スター号が上海に入港、待機している事実が挙げら

れる、また在上海第四マリンの将校中仏租界居住者は同租界を引揚げ、膠州路、西摩路、ハイフォン路に囲まれた地区に移転

すべき指令が発せられた
 一方においてマリンの戦闘訓練も猛烈に行われ、米アジヤ艦隊主力はマニラに集結を完了した今や極東米海軍は完全に開

戦気構えに入っているのである
三、米国はビルマ路線再開とともに対蒋二千五百万米ドル借款を発表したが、その後続々追加新借款を供与するとの報が伝

えられている、従来米国の対蒋借款の内容は支那土産と軍需資材のバーターによる商業借款といわれているが、わが徹底的

援蒋路の遮断のため早くよりこの種バーターは事実上評価不可能に陥っており、またビルマ路再開ぐらいではほとんど問題に

ならぬことは明かである、いわんや同路線はわが海鷲の爆撃によって早くも半身不随の状態に陥っているのである、しかもなお

新借款を与えんとする米国の政策は奇怪極まるものというべくその狙うところは援蒋にあらずしてほかにある(続く)=カット写真は

上海租界バンド

40 :
米支同盟の締結へ 援蒋政策強化に盲進
【上海本社特電一日発】米国が援蒋借款を与えることによって真に狙っているものは何であるか、伝えられるところによればソ連

の対蒋軍需品借款によってもたらされた対重慶貸越しの決済とソ連の米国機材ならびに石油輸入資金の増大を機とし米ソ支

三角的資金関係の設定を通じて対日牽制を主要目的とするとの見解が行われている、他方対蒋借款資材に名を藉りて米国か

らラングーン、マニラあるいは香港に続々陸揚げされている軍需資材は援蒋に擬装せる米国自身の極東資材である、しかもこ

れら武器、ガソリン、飛行機はビルマ路再開の数ヶ月前から輸送量が加速度的に増大している事実は注目に値する、援蒋物資

の堆積地は米国対日作戦地だ
四、最近宋子文が米国において輸入せりという大型戦闘機百台をはじめ戦車、自動車、装甲自動車が千百台、高射砲、大砲

数百門がラングーンに直送されず、マニラに山積しており、また米国がスウェーデンと契約せる単座追撃機六十機、単座爆撃機

五十機はその契約を破毀してマニラに集結された、さらにマニラ飛行機修理工場を拡大して四工場とし、秘かに工作機械を持ち

こんで組立工場、製作工場をも新設するに至りマニラ飛行隊の独立性が確立された、これとともに米国飛行将校が大部隊増遣

されている模様だ
 すでにミシガン州セルフリッジおよびカリフォルニヤ州ハミルトンにあった陸軍追撃機隊二個中隊がフィリッピンに移駐し武器弾

薬の輸送量も増大した、今やフィリッピンは一億七千万ペソに達する厖大予算を編成して完全に戦時態勢に入った観がある、

かかる動きに呼応して最近フィリッピン東海岸のレガスピ港が注目されはじめた、同港は極東における軍事物資の蒐集の基点

たるものの如くシンガポールより南洋一帯から購入された多数の船舶は同港に集り、改修擬装の上軍事輸送に使用されている
模様で各国から購入された船舶は百五十隻に達している、一方シンガポールにおいても同様軍需品倉庫を増設して米国より機
関銃、高射砲などを送っているが、殊に注目すべきは濠洲方面よりの動きである、すなわち過般濠洲政府およびニュージーラン
ド政庁が軍需品生産増進令を布告して戦時態勢を強化し空軍の一部動員をしてシンガポールに移動せしめた事実があり、近く
ラングーンにも濠洲の空軍部隊が到着の予定だといわれており、英米協同作戦の態勢は着々進行しつつありといわざるを得な

また注目されるのは援蒋物資輸送路と称してシンガポールからケープタウン経由ニューヨーク航路が開設されたことで、米国の
南洋基地が如何に周密な計画の下に本国に連絡されつつあるかが窺われる南太平洋航路が遮断されてもシンガポールの存
立性をこれによって確保しようというのだ、ビルマ路が英国によって再開された
 裏面には英米間に極東防衛に関する緊密な取極めが出来ている、その最も大なるものはシンガポール、香港の軍事的基地
を米国に提供していることである
五、米国がその奇怪なる軍事計画とともに外交的に対日包囲計画をとっていることは南洋一帯における英国およびオランダ植
民地に対して自由行動をとり得る事実に見ても明かであるが、最近の日蘭印交渉の如きは如実にこれを物語るものである、同
交渉が必ずしも円滑に運ばざるは蘭印当局に対する英米の使嗾によるもので、蘭印の態度が米国の対日決意の如何によって
左右されているものともいわねばならない
 すなわち実力的に英米が共同防衛に出ることによって東亜共栄圏における蘭印本来の地位が蹂躪され、その英米依存性が
強化されるのである、また経済的には日本の求めんとするガソリンを英国が購入の保証を与えることによって日本の合理的経
済交渉を無視することが出来る、かかる英米の巧妙な外交戦術は一方において南洋一円の空気をあくまで旧秩序圏内に巻き
込まんとしているが地方において重要視されるのは米国がその援蒋政策を米支同盟の成立にまで強化せんとしていることであ
る、ジョンソン駐支大使が今年夏ワシントンの秘密命令を受けて帰任以来重慶に止まって蒋介石と折衝しつつあるのは主として
米支同盟についてであり、日米開戦の直前においてこれが調印を行い重慶をしてあくまで対日抗戦の意図を強化せしめんとい
うのが米国の狙いである

41 :
ラングーンにも濠洲の空軍部隊が到着の予定だといわれており、英米協同作戦の態勢は着々進行しつつありといわざるを得な


また注目されるのは援蒋物資輸送路と称してシンガポールからケープタウン経由ニューヨーク航路が開設されたことで、米国の

南洋基地が如何に周密な計画の下に本国に連絡されつつあるかが窺われる南太平洋航路が遮断されてもシンガポールの存

立性をこれによって確保しようというのだ、ビルマ路が英国によって再開された
 裏面には英米間に極東防衛に関する緊密な取極めが出来ている、その最も大なるものはシンガポール、香港の軍事的基地

を米国に提供していることである
五、米国がその奇怪なる軍事計画とともに外交的に対日包囲計画をとっていることは南洋一帯における英国およびオランダ植

民地に対して自由行動をとり得る事実に見ても明かであるが、最近の日蘭印交渉の如きは如実にこれを物語るものである、同

交渉が必ずしも円滑に運ばざるは蘭印当局に対する英米の使嗾によるもので、蘭印の態度が米国の対日決意の如何によって

左右されているものともいわねばならない
 すなわち実力的に英米が共同防衛に出ることによって東亜共栄圏における蘭印本来の地位が蹂躪され、その英米依存性が

強化されるのである、また経済的には日本の求めんとするガソリンを英国が購入の保証を与えることによって日本の合理的経

済交渉を無視することが出来る、かかる英米の巧妙な外交戦術は一方において南洋一円の空気をあくまで旧秩序圏内に巻き

込まんとしているが地方において重要視されるのは米国がその援蒋政策を米支同盟の成立にまで強化せんとしていることであ

る、ジョンソン駐支大使が今年夏ワシントンの秘密命令を受けて帰任以来重慶に止まって蒋介石と折衝しつつあるのは主として

米支同盟についてであり、日米開戦の直前においてこれが調印を行い重慶をしてあくまで対日抗戦の意図を強化せしめんとい

うのが米国の狙いである
かかる動きは援蒋物資は名目にすぎず実は対日開戦を目ざしてシンガポール、マニラ、ラングーン、香港を連ねる東南アジヤの

防衛線を要塞化しアラスカ、サンディエゴ、ハワイ、ミッドウェーより南方に連なる対日封鎖線を強化せんとするにある、しかして

その対日攻撃の空軍前進基地をマニラにおかんとするもののごとく、マニラに現在米空軍の誇りとする長距離ボーイング機を百

五十機乃至百七十機を備え、またハワイには同型機が百機待機しており、マニラまで二日間で飛翔することが出来る、また右

ボーイング機の性能は極秘とされているがマニラ、東京間往復は完全に可能なりといわれている、しかして艦隊の動きとしては

昨年初期より間断なく本国サンディエゴ軍港、ハワイ真珠湾附近よりマニラ方面に航空母艦、巡洋艦、潜水艦を輸送しており、フ

ィリッピンを中心に集結せる艦隊は相当の数にのぼるものと推定され右艦隊ならびにホノルルに集結中の主力艦隊を合するな

らば米国連合艦隊の三分の二が対日攻撃の態勢に入りつつあるものと見るべきであろう、かくして米国政府は対内政策と対日

恫喝政策に没入した結果自ら「予期せざる危険区域」に踏みこまんとしているのである

42 :
会津厨が憤死しそう

43 :
長州は共犯なのに、傍観者面して「わははwwww東北のバカがwwww」と嘲笑っているという、最低野郎

44 :
(一)揮う大義の戈 平和の努力遂に空し 政治
悠久二千六百年の聖なる年を送った昭和十六年は、日本にとって果して歴史的な大いなる年であった、日本のみならず、米英

の植民地として屈従に甘んじていた東亜にとっては正に解放の一頁が繰展げられたのだ。いまこの一ケ年を回顧して大東亜の

各所に米英撃滅の勝利に輝く日章旗を仰ぎつつ皇国の偉大なる運命に感激すると同時に、大東亜新秩序の建設という大なる

任務を負うた国民的誇りと責任を痛感するのである。来るべき年は皇国にとって更に偉大なる年となるであろう。

一貫せる平和希求
一ケ年のわが政治を貫き燦然と輝くものは、東亜の平和に対する帝国の熾烈なる希求であった。支那事変を一日も早く解決し

、東亜の戦雲を拭い去ることが日本の絶えざる念願であった。この一年は大東亜安定のため帝国が払った崇高な努力の結晶

だったのである。一月の第七十六議会で近衛首相が
 支那事変は第一次近衛内閣当時に起り今年で第五年を迎えた、事変は未だに解決の曙光を見ていない、これは軍部の責任

でも誰の責任でもなく私の責任である。今日の事変の解決を見ざる上に重大なる時局を迎えた。事変以来の私の責任を顧ると

微力ながら最後の御奉公としてあくまで御奉公を致す考えである
と切々たる答弁を行ったことは、今なお国民の耳底に残っていることであろう。支那事変において皇軍が赫々たる戦果をあげな

がら解決を見なかった根本原因は、米英が蒋政権の背後にあって、東亜の安定勢力たる帝国の地位と真意を無視し蒋を援助

し、事変解決を妨害したことにあり、米英こそ東亜平和、延いては世界平和の攪乱者であった、米英の妨害にもかかわらず帝

国は隠忍自重して東亜平和のためにあらゆる努力を重ねたのである。三月タイ仏印国境の紛争調停をやり、五月仏タイ和平条

約の斡旋を行ったことは東亜全局の平和を如何に帝国が顧念しているかを物語るものであり、また昨年来の懸案である日蘭交

渉、五月成立した日仏印経済協定は、帝国の国是である東亜共栄圏確立が全く平和的なものであることを証している、三月松

岡外相が渡欧して日ソ中立条約を成立せしめたのも北辺の平和を確保せんとする帝国の念慮に外ならなかった

米英、事毎に妨害
しかしながら米英は帝国を屈服せしめるために、わが平和的努力を蹂躙し続けてきた。支那事変も、日蘭会商も、帝国が懸案

としている問題は、すべて背後にあって策動する米英殊に米国が、その解決の鍵を握っているのだ。事態は東亜の背後にある

ものを衝く以外に解決の途があり得なかったのである。事変処理はこにおいて日米問題の決着を求め、必然的に日米交渉に移

行するに至った。
六月に入って日欄会商は蘭印の不誠意により遂に打切りとなり芳沢全権に引揚げが命ぜられ、また帝国がタイ、仏印の紛争調

停に成功すると、米英蘭諸国は急速に軍事的、経済的に日本包囲陣を結成してきた。こうした困難な情勢において日米交渉が

四月から開始され米国は受諾し得ない暴慢な非公式思案を提示し、帝国は五月中旬これを反駁し公正なる対案を出したので

ある。
六月二十二日に独ソ戦争が突発して国際情勢は更に変転、複雑な相貌を呈するに至った。帝国はこの新な事態に対処するた

め七月二日歴史的な御前会議を開き重要国策を決定したのであるが、独ソ戦争による国際環境の激変で、日米交渉も影響を
受け困難さを加えた、独ソ戦の膠着で一時的にも米英は苦境を脱し得た形となり、これが東亜で攻勢をとるに至らしめたのであ
った。

45 :
東条鉄石内閣成立
こうした国際環境にあって第二次近衛内閣の足取りが次第に晦渋になってきた。既に今年に入り四月と六月の二回内閣改造を

行って危機を切抜けた内閣も、七月十六日遂に総辞職を断行した。『国内体制の急速なる整備強化と内閣の構成も一大刷新を

加える必要を痛感したため』であった。大命は近衛公に再降下し、十八日に第三次近衛内閣が成立したが、東条陸相が閣議で

陸海軍共同発言として述べた通り、国際情勢に対処する国策の大綱は既に聖断を仰いで不動であり、内閣の更迭によって微

動だにする筈はなかった。七月二十六日日仏印共同防衛協定が成立し、二十九日皇軍が南仏印に増派されると、米国は英、

蘭を語らって、わが資産凍結を行い、八月には石油製品の輸出を制限するなど、全面的経済封鎖に出て来たのである。
かかる不当な圧迫の中でも、帝国は平和的解決の希望に促されて、八月近衛メッセージがル大統領に手交され、日米問題は

重大な局面に立った。約三ケ月、第三次近衛内閣は太平洋の危機を救うべく必至の努力をしたが、遂に成らず、交渉の成否は

晦冥のまま十月十六日桂冠のやむなきに至った。帝国としては米、英、蘭の包囲陣を突破するため起ち上るほかに途がなかっ

たのだ。東条内閣の成立は端的に日本の決意を表現するものであった。

国内決戦体制成る
帝国の政治的努力は外交打開に集中されつつあったが、内には高度国防国家建設をめざしてたゆみない努力が続けられ、一

年にして決戦体制はほぼその形を整えたのであるし、政戦両略の一致は第二次近衛内閣が最も念慮したところで、一月十三

日従来の大本営連絡会議のほか政府と統帥部との連絡懇談会が初めて開かれ、爾来政戦両略の一致に大きな効果をあげて

来た。
 大政翼賛会は高度国防国家の下新たな国民組織を確立すべく発足したのであるが、第七十六議会で反撃に逢い、結局四月

に改組を行うに至った。発足当時の大きな意図が歪曲せられたのは遺憾であるが、翼賛運動は却って地についたというべく、

中央協力会議も二回開かれて成果をあげており、今後は当初の気魄を戻して国内組織の完成に進むべき方向にある
更に国内機構の戦時編成替えは急速に行われ、総動員法はまた全面的に発動、重要産業団体令、配電統制令等重要な勅令

が実施された。食糧政策を初めとして、戦時緊急政策も確立せられ、国民生活の確保については遺憾がない。しかも国内的に

は種々の対立抗争の存在は否めなかったところであるが、この一年に漸次解消し、大東亜戦争によって一掃せられるに至った

のである。

大東亜建設の曙光
約八ケ月に亘る平和への努力も空しく、事変は遂に大東亜戦争へと発展したが、これは事変の生活からして歴史的必然であっ

た。米英は東亜を植民地的鉄鎖に繋ぎ止めんとし、遂に帝国の大義の戈に一撃を加えられたのである。三国同盟の強化、日タ

イ攻守同盟、日仏印軍協同協定等の外交的攻撃は、緒戦の赫々たる戦果に伴い、米英打倒に大きな効果を収めた。昭和十六

年を回顧して、事変処理と東亜共栄圏確立、内にあっては高度国防国家完成の国是が着実にあらゆる国難を排して達成せら

れてきたことは驚くべき事実であり、昭和十七年は、更に皇国にとって飛躍の年である。大東亜戦争完遂と大東亜新秩序建設

の大いなる希望の下に皇軍は東亜の新たなる歴史を切開いて行くであろう。

46 :
(二)厳・不動の方針堅持 欧米に、南方に頗る多事 外交
満華との協力増進
わが国が満洲国を承認して九年、両国の緊密関係はここにいうまでもないが、国際関係においても同国の向上発展は著しく今
年タイ、デンマーク等の諸国が新たに同国を承認し計十四ケ国の承認を得た、大東亜戦開始に当り満洲国皇帝陛下には同国
民に嚮う所を示させられ、上下一体わが国と絶対協力の決意を固めている、中華民国は昨秋日華基本条約、日満華共同宣言
によつて両国関係は磐石の基礎を据えられたが、初代駐華大使本多熊太郎氏□□両国国交増進に渾身の努力を傾け汪政権
の育成強化に努め、六月中旬汪精衛国民政府主席は林柏生宣伝部長等随員を従え正式にわが国を訪問、近衛首相、汪首席
共同声明の発表等両国関係促進に画期的寄与をなした
 また同二十八日国府強化のため三億円の借款供与が発表され、七月一日には独伊をはじめハンガリー、スペイン等枢軸諸
国が帝国の斡旋によって国民政府を正式に承認、国際的に飛躍的発展を遂げた、しかして十一日一日帝国政府は各省の在支
機関を外務省と興亜院の傘下に統合を断行事変以来の在支行政機構に一大刷新を齎した、また同月二十五日防共協定の延
長拡大に際し中垂民国は防共協定に参加、かくていよいよわが国との提携を緊密化している
タイ、仏印と提携
昨秋タイ国の対仏印失地回復要求により国境紛争を生じ、わが国は一月領国に居中調停を申入れ、両国の快諾によって二月
東京にタイ仏印講和会議を開催、三月十一日に調停成立、日タイ、日仏間に重要公文交換、越えて五月九日仏タイ平和条約
に正式調印、同時に日仏印、日タイ間に保障ならびに政治的諒解に関する議定書に調印、日タイ、日仏印関係をより緊密なら
しめ、帝国の東亜における指導的地位を確立した、かくて八月一日、日タイ間に一千万バーツの借款成立、わが必要物資獲得
に両国の協力成り続いて同十五日両国公使館を大使館に昇格した、今次戦争開始に当って行軍行動開始の八日、タイ国通過
の交渉成立、ピプン首相の英断は伝統的中立政策を一擲、十一日、日タイ攻守同盟締結の意見一致し、二十一日バンコックで
攻守同盟条約に調印、タイ国は名実ともにわが盟邦として聖戦完遂に全面的協力提携することになった
 仏印との間には昨年末バン全権以下来朝して通商交渉が開始され一月二十日には仏印米輸入問題が円満妥結、以来交渉
を重ねて五月六日東京において居住航海条約、関税貿易支払協定から成る日仏印経済協定締結され両国関係は画期的段階
に入った、しかるに米英の東亜攪乱の兇手は重慶、ド・ゴール派等と結託して仏印に伸び事態は放任を許さざるにいたったの
で帝国政府はヴィシーの仏政府と交渉、七月二十八日、日仏印共同防衛議定書は加藤駐仏大使、ダルラン仏外相間に友好裏
に調印を了しここに日、仏印両国は不動の緊密関係を結んだ
然るにわが平和的意図を歪曲して止まぬ米国はこれに対する在米日本資産の凍結をもって不当なる経済圧迫を加え、英国も
同様資産凍結を行うとともに日英、日印日濠各通商条約を廃棄、蘭印またこれに倣った、しかして仏印の帝国との関係におけ
る重要性に鑑みて特派大使として芳沢謙吉氏の出馬を見、十月初旬には横山正幸団長以下仏印資源調査団が派遣された、
かくて十二月八日、日仏印共同防衛協定に基づき日、仏印軍協同の協定が成立したことはまだ記憶に新しい、しかして昨年九
月から続けられていた日欄交渉は英米依存の態度を改めぬ蘭印側の態度によりついに六月六日打切りとなった
米国の己惚を痛撃
満洲事変以来わが東亜新秩序建設の国策の妨害に終始し来った暴戻米国は今年初頭からすでにハル国務長官の日本誹謗
放言をはじめ対日不遜の態度を露骨化するとともにABCD包囲陣結成強化に奸悪なる策謀をめぐらしていたが帝国は太平洋の
平和維持の大乗的見地から去る四月以来対米交渉を開始したがさらに誠意を示さず
 この間第三次近衛内閣は桂冠、新たに立った東条内閣は最も公正なる案を提示するとともに来栖大使をワシントンに急派、
野村大使を扶けて急速に重大局面の打開をはかったが米国は飽くまでその我執的態度を反省せず、わが政府の再三の警告
に耳を籍さず、一億国民の決意を無視して徒らに現実無視の空論をわれに強制せんとし一方ABCD包囲陣の対日軍事的、経
済的圧迫強化に狂奔、かくて堪忍袋の緒を切った帝国の□懲の痛撃を食うにいたったのもその狂的な己惚れと世界制覇の野
望が然らしめたところである

47 :
偉観・枢軸陣営強化
十一月二十五日をもって期限満了となった日独伊防共協定はさらに五ケ年延長せられ、同時に中華民国をはじめ七ケ国が新

加入して同協定は威力を拡大、欧亜にわたって赤色破壊策謀に対する強固なる防壁を築くに至った、かくて大東亜戦開始ささ

れるや三日後の十一日独伊は決然対米参戦し同時に戦争完遂、単独不講和、新秩序建設の日独伊三国協定の締結となり、

日独伊は鉄の結束をもって米英徹底撃滅に最後の勝利まで戦い抜くの誓いを固めたが、真に東郷外相のいわゆる世紀の壮観

と称すべき枢軸陣営の圧倒的強力態勢がここに実現したものである
対そ関係は不変
今年初頭一月二十一日、日ソ漁業交渉は一ケ年の暫定協定が建川大使とモロトフ外相間に調印を了した、松岡外相は三月下

旬独伊訪問を利してスターリン、モロトフ両巨頭と会談、四月十三日日ソ中立条約の成立は青天の霹靂の如く世界を驚倒せし

めた
 六月二十二日独ソ戦の勃発となり枢軸関係に関聯して日本の態度は烈国の関心を集めたが、七月二日御前会議において帝

国の重要国策は決定され、不動方針のもとに情勢に対処した、十一月五日気比丸が日本海でソ聯機雷に触れて爆沈、帝国政

府は直に厳重ソ聯政府に抗議、交渉継続中で現下の日ソ関係は大東亜戦に関聯して注目されているが、帝国が北方の安全

確保に毅然たる態度をもって臨みつつあることに国民は留意すべきであろう
(三)協力態勢全し 自足自給へ総力結集 財政・経済
戦時体制の強化にひたむきの驀進を続けて来たわが経済界は、十二月八日、対米英開戦を契機として一挙に決戦経済の段

階へ突入した、経済各省のこれに即応する各段の施策とこれに呼応する民間業者の協力態勢は左の如く、ここに米英打倒、世

界新秩序建設に対する一億経済力の結集が画期的大成果をあげ、さらに明十七年度においてその歴史的基礎を一段と鞏固

ならしむべき日を迎えることとなったのである
一、財政金融
十六年度財政は戦時財政としての性格をますます強めて来たといえる、まず支那事変ならびに大東亜戦争を遂行するため通

常会議と二回に亘る臨時議会において総額百十七億七千余万円の臨時軍事費予算が成立、事変勃発以来実に二百九十億

九百余万円に達することとなった、かかる臨時軍事費の膨脹を賄うため公債もまた累増したのであるが同時に第七十七議会に

おいて初年度一億七千万円、平年度六億三千万円を目標とする間接税の増税案が成立、十二月一日より実施された、増税案

は十六年度においては間接税のみであったが、十七年度には直接税の増徴も行われることとなり、戦時財政はますますその

基礎を確固たらしめている、増税と同時に煙草の値上げ、鉄道運賃の値上げ等が実施せられることとなったのはさらにこの基

礎を固からしめるものである、対米英戦争の勃発を契機とし、十七年度予算は一層重点主義による予算編成が行われ、一般会

計六十二億一千万円の予算が十二月九日決定された、この間大東亜戦争の重大時局に対処するため一般会計の陸海軍費を

臨時軍事費に纏める方針がとられ、大東亜戦争にふさわしい軍事予算の編成方が決定したのである

48 :
 また金融界は本年に入って画期的変化を遂げたといってよい、すなわちわが国の金融機構は商業金融を建前として発達しそ

の活動はまず私益追求に置かれていたのであるが時局の進展は従来の面目を新たにし同業連帯精神の則る産業金融中心の

挙国一致体制を整えたのである、時局共同融資団の結成、全国金融協議会の改組がこれを物語っている、金融が戦時経済の

上に占める割合が大きいだけに戦時の統制は先ず金融統制にはじまったことは周知の通りだが支那事変勃発とともに臨時資

金調整法が公布され、引続き総動員法第十一条の発動があり、法律上からは今日もこの二本建で来ているが、その運用の実

際はあくまでも自治的調整にあるだけに金融機関の創意による部分が大きい、大東亜戦争勃発に伴う金融非常対策要綱の決

定をはじめ政府支払の促進、預金部その他官庁資金の出動、起債計画の実施など官民抱合による行政上の金融安定措置も

見逃してはならぬが、大体国家が必要とする巨額の戦費と生拡資金が円滑に調達されていることは金融機関自体の努力によ

るものといわねばならない

二、商工
米英ブロックの対日経済圧迫は本年七月二十五日の日本資産凍結によりその頂点に達し、わが国は好むと好まざるとに拘ら

ず米英依存から完全に脱却して、大東亜共栄圏内における自給自足経済を確立して行かねばならなくなった、かくて限りある資

材と労力、資金をもって最高能率を発揮し、国防資材および生活必需品の確保に全力を注がねばならなくなり、いわゆる生産性

の昂揚が強く要求されるに至った、商工省の施策もすべてこの点に集中され、いわゆる経済新体制の第一着手としての統制会

も総動員法に基づく重要産業団体令が九月一日制定公布されその後鉄鋼、石炭、セメント、機械(五部門に分れる)金属鉱業(

鉱山と金属加工業に分れる)貿易等の各部門に続々と統制会が設立されんとしている、かくてこれ等重要産業部門において指

導者原理、公益優先をモットーとして生産力拡充に邁進する体制が確立されたので今後は大東亜戦争の進展に伴うわが占領

地域の拡大に伴いこれ等地域の物資を基礎として一層国防力の充実が行われるだろう、しかしここ当分、軍点主義が一層強

化されることは必至であり、従って相当尨大な遊休未働設備活用の途を考えねばならぬので、このための機関として産業設備

営団が設立され、転用すべきものはこれを他の方面で活用し将来に備えて保有すべきものはこれを保存し、或は屑鉄として使

用するなどの方法をとることとなった、中小商工業者の整理も重工業部門の労働力確保と関聯して急速に促進され、これが具

体的方法としては企業整備令もしくは企業許可令等が総動員法に基づいて制定され、着々と国防国家体制整備に向っての歩

みを進めている
三、農林
農林行政は食糧問題に重点を置き農林省は文字通り食糧省的性格を最高度に発揮した、すなわち米穀応急措置法の改正、

六大都市の米切符制実施、米穀管理制度の強化などをはじめ各種食糧物資に対する配給統制機構の整備により食糧専売の

形態がその緒につき、一方農地開発法、農業生産統制令、農業報国運動などにより全国農民を増産運動に挺身せしめさらに

非常時局に対処し栄養、貯蔵をも包含した緊急食糧対策を閣議決定の上実施した、しかも最後の上塗りとして食糧管理法案が

今議会に提出される運びとなったので今後の食糧政策としては大東亜諸国共栄の立場から圏内食糧政策の再建が残されるの

みとなった

49 :
対重慶作戦の特質
昭和十六年におけるわが対重慶作戦は、徹頭徹尾重慶覆滅の一点に集中された、その第一は軍事的に積極かつ果敢な大作

戦を展開し、再三再四、重慶の戦力破砕に全努力を傾注することであった、その第二は大東亜新秩序建設の理想を同じくする

汪精衛氏の国民政府を育成強化し、その政治力、軍事力、行政力、経済力を飛躍発展せしむべきあらゆる施策を講ずる途であ

った、第一の敵戦力破砕作戦の特質は、第一には敵の戦力そのものを徹底的に叩きのめす、第二には敵戦力の拠ってたつ経

済的基礎を崩壊せしめる、この二点に置かれたのである
 この作戦は蒋介石直系の精鋭を誇る第五戦区湯恩伯麾下の第三十一集団軍に対する与南作戦(一月下旬−二月上旬)北

支治安攪乱の元兇第一戦区衛立煌麾下二十万殲滅の中原作戦(五月上旬−六月中旬)第九戦区薛岳麾下三十万を捕捉撃

滅せる長沙作戦(九月中旬−十月上旬)等を筆頭に、大小無数の作戦、掃蕩戦は北、中、南支の大陸全野に展開され驚異的

な戦果を挙げたのである、彼我の戦力は今や鋏状差をなしている結果、皇軍は非常に余力を生じ、従来の少数をもって大敵に

当る作戦を行う必要は毫もなく、所要の作戦重点に向って大軍を集結し、敵を圧倒□滅することが出来たのである、過去一ケ年

間のわが大作戦の著しい特質がそこに認められる
以上掲げた与南作戦といい、中原作戦といい、また長沙作戦といい何れも十万、二十万、三十万の大敵を細く撃滅したのであ

る、ために蒋軍の打撃は深刻致命的であった、従ってわが占領地下の治安はこの一ケ年、飛躍的に向上し確立された、特に

北支、揚子江三角地帯の如き治安に関する限り問題は解決に近しというも過言ではない、皇軍は点と線の確保から今や面の

確保にまで躍進するに至っている

清郷工作の大意義
治安問題と関聯して七月上旬から二ケ月間行われたかの第一期清郷工作の意義もこの際忘却さるべきではない、これは揚子

江下流崑山、蘇州、無錫、常州地区における治安粛清の徹底を期し皇軍と国民政府との密接な協力の下に諸般の工作が行わ

れ、国府の行政力惨透の前途に光明を点じたのである

蒋の依存路を切断
敵戦力の基礎は対外依存におかれている、敵性国家群は蒋を援けることにより重慶をその走狗とし「米英防衛」の第一戦線を

形成せしめ、事変をいよいよ長期化することによって、わが戦力を消耗せしめんとしたのである、そこで重慶と援蒋国家間との

連絡を遮断し、援蒋物資の奥地流入を阻止する必要が生じて来たのである
 今年行われた上陸封鎖作戦の目的はそこに出発した、昨年九月皇軍の仏印進駐の結果この方面よりする最大の援蒋ルート

を遮断された重慶はビルマ公路、西北公路および中南支沿岸からする輸入路のみ残された、前二者は自然的条件の困難さの

ためその輸送量は貧弱極まるものである、重慶は皇軍の占領地域の間隙を縫い、香港を基地に皮膚呼吸的作用で物資を奥地

に輸送し、抗戦態勢を維持したのである、この輸送路の完封は敵戦力破砕とともに欠くべからざる重要性を持つものである
かくて皇軍は二月以降数回にわたり中南支奇襲上陸作戦を敢行し、これら援蒋輸送路を完膚なきまでに覆滅した、これがため
の重慶は抗戦必需物資は勿論、日常必需品に至るまで大欠乏を来し悪性インフレーションは日に日に深刻となり重慶傘下奥地
の経済生活は絶望的な困窮につき落されたのである

50 :
対米英戦争の聖剣
帝国は事変をどこまでも日支間の東亜の問題としてこれが処理をなさんとして来たのであった、しかしながら米英の援蒋行為は

日とともに激烈となり、その傘下の諸国家を糾合して対日包囲陣を結成し帝国の権威とその存率を脅威するの挙に出たのであ

る、援蒋によって帝国に挑戦し、挙句の果は直接軍事行動によって帝国を圧伏せんとの野望を逞しうるに至ったのである
 かかる事態を緩和せんとして帝国は日米交渉に希望をつなぎ譲歩し得る最高限度まで譲歩して太平洋の危機を回避せんと

努めて、しかし米国は恬然としてわが平和愛好の意図を蹂躙し、東亜の旧秩序を帝国に強要して憚らない、かくては窮通打開

の途なく、われは聖剣を執り敢然として立ち上った、大東亜戦争を完遂することによってのみ支那事変は処理せられる、大東亜

戦争は支那事変の必然の所産であり、この戦争を最後の勝利に導くことによってのみ大東亜の解放が招来され大東亜共栄圏

は確立される
(五)怒涛の太平洋へ 緒戦・既に空前の大戦果 海軍
十二月八日早朝ハワイ真珠湾を長駆急襲せる帝国海軍の対米痛撃は肇国二千六百余年にわたるわが大和民族が空前の大

飛躍を試みんとする歴史的な巨歩であった、支那事変完遂も、東亜新秩序の建設も、東亜共栄圏の確立もこの一打を新しき発

足として進軍するのである、帝国海軍はすでにこの日あるを期し待つあるを恃む確固不動の指導原理のもとに実力の充実錬成

にあらゆる努力をささげ辛苦粉骨し独自なる奮闘精神の跳躍に満を持していたのである
 三十六年前の日露開戦以来大なる沈黙のうちに皇国興廃の重責をこの聖戦にかけ一死国に報ずるの決意をもって万般の備

えと錬磨に精進せる帝国海軍が満々たる自信をもって立上ったのである、この緒戦完勝の戦史を永遠に記録する昭和十六年こ

そは皇国をして八紘一宇の大精神を顕現せしめ帝国海軍をして黄金の沈黙を爆発、その光輝ある科学と精神とを怒涛のごとく

奔出せしめたのであった
支那沿岸対鎖強化
支那事変における帝国海軍の作戦使命は極めて広大にわたり支那全沿岸二千八百海里の封鎖に聊かも手を緩めず、本年初

頭よりはその封鎖線の密度を強化するなど幾多の困難を克服し、よく陸上部隊に協力、ひたすら事変完遂に邁進して来た、し

かも揚子江方面の作戦は延々八百海里にのぼる水路とその主流との安全確保を目指し掃海艇による機雷清掃に寧日なき労

苦を重ね、陸上作戦部隊に安全なる作戦行動と兵站線航行を行わしめていた
 今夏における戦果を見ても江上艦艇が事変来処分せる機雷は揚子江方面ですでに四千八百、珠江方面で一千百余に達し蒋

政権が唯一の恃みとする奇道的抵抗もこれがため一向にその効果を発揮し得ない状態に陥った、また沿岸封鎖の強化は敵抗

戦力に甚大なる影響を与え、海上からの第三国物資輸血路はほとんど不可能となり南洋華僑よりの送金も今春四月ごろには

約一億元程度に低下しわが軍票に対する法幣相場が自後次第に低下したのを見ても明らかである

51 :
海鷲と陸戦隊の活躍
また航空部隊は随所に積極作戦を展開するほか奥地爆撃、ビルマ輸血路の爆砕に全力を挙げそのうち最も顕著なものをあげ

れば八月八日以来六日間にわたる重慶連爆でこの間わが勇猛なる海鷲の爆撃回数実に四十回に上り瞬時のいとまもなく重慶

軍事施設に爆弾の雨を見舞いこれに出動せる延機数一千機を越え真に重慶政府を戦慄せしめた、またわが海軍陸戦隊は沿

岸江岸の各地に果敢な敵前上陸作戦を敢行し三月初旬には陸軍部隊との緊密なる協力のもとに広州沿岸を急襲し四月には

福州攻略作戦あるいは鎮海、寧波への奇襲作戦に成功、続々敵沿岸要衝を占領して赫々たる戦果を挙げ敵輸血路を覆滅せし

めた、また九月には陸の長沙作戦に呼応し決死的水路開進を行う等その奮戦は全く寧日なく、ために戦意を喪失し疲弊困憊せ

る蒋政権は僅かに余喘を保つのみとなりつつあった
 しかして海軍力絶無の蒋政権は洋上でわれに反撃すること全く不可能でわが艦艇はその放胆、猛烈、実戦さながらの訓練で

僅少の損失あったのみで洋上戦闘では一の損傷もなく無疵完璧の装備と不退転の信念を力強く堅持し専ら錬成に邁進するの

余裕をもっていた
遂に対米破邪の剣
また七月締結された日仏印共同防衛協定に基づき帝国軍艦は舳艫相銜みカムラン湾に歴史的進駐を行い、かつての昔ロシヤ

のバルティック艦隊がわが本土攻撃を企図して東航遠攻せる際炭水を補給せる同湾内に軍艦旗を飜した、さらに八月末には援

ソ米船がガソリン、軍用機を搭載しわが北辺を通過せる際は帝国海軍にはこれを処置するだけの実力を有するにも拘らず平穏

に行われつつあった日米交渉の推移にかんがみわが関心を米政府に申入れたのみにとどめどこまでも寛容の大襟度を示した

ことはわれら全国民永遠に忘る能わざるところである、この襟度を誤解しその援ソ行為をもってわれを打診し得たるごとき錯覚を

抱けるルーズヴェルト米大統領とその私兵にも等しき米海軍首脳の活眼なき不明が遂に日米間を決裂に導き帝国海軍をして

堪忍袋の緒を切らしめたのであった
敵主力艦隊を全滅
しかも開戦劈頭の三日間に米太平洋艦隊の主力と英東洋艦隊の主力を壊滅するの快挙をなさしめ要塞化された太平洋上の

諸島は続々わが陸戦隊に占拠され英の東洋侵略の拠点香港は既に陸海協力作戦の前に潰え米国が東洋に深く打込んだ侵

略拠点マニラまた風前の灯である、米海軍が戦前しばしば豪語せる東洋攻略艦隊は今や全く姿を没し進攻の洋上拠点は続々

として失われつつあり、一方帝国海軍は宏大無辺の太平洋をせましとばかり海鷲を駆り艦艇を馳駆せしめ、縦横無尽の雄大な

作戦を展開しているのである(完)

52 :
英国の対日仮面 チャーチル首相放言で暴露
マンション・ハウスにおけるチャーチル英首相の暴言は英米両敵性国の今日まで腹中に蔵していた対日意識をありのままの姿
に暴露したものである、英国はついにその陰性なる仮面をかなぐり捨てたのである、英国は巧に米国を誘い込みルーズヴェルト
米大統領が夢見る世界制覇の企図をまんまと自己の武器に転用し、すでに大西洋上では独米の発砲戦が戦争の形において
開始されるまでに導きさらに今度は太平洋戦争の導火の口火を切ろうとしたのである、英国の抱懐せる極東における政略、戦
略の根底をなすものは一にかかって米国をして対日戦に追い込むことにあった、極東における英国権益を保有するためには独
英戦によって戦力激減せる英国がすがりつく窮策はこのほかになかったのである不落の要塞と自ら豪語し、これある限り極東
権益保全は可能とまで号していたシンガポールを最近には米国海軍の自由使用に提供している、この夏すぎダフ・クーパーを
その戦時内閣の極東探題として特派、さらにポッパム極東司令官とコンビで濠洲、タイ、ビルマ、フィリッピン、蘭印の各地に対
日包囲陣強化に拍車をかけしめるなどその血迷える狂奔振りは極めて明白であった
 最近ではウェーヴェル近東軍総司令官も急遽シンガポールに来り現地における対日作戦の実際を米国側と協議している、か
れらのマニラ会談なるものはいざ対日戦がはじまれば英米蘭支の各国は極東におけるその軍事基地を共同の使用に託そうと
まで決議しているのだ、しかもこの間クロスピー駐タイ英国公使はその在タイ四十年の経歴に物をいわせタイをして自己陣営に
参加せしめんと暗躍を続けている一方わが帝国はこれら英米が描きつつある対日包囲の鉄鎖が次第に短縮され完成に近づき
つつあるを見ながらもあくまで隠忍自重、平和的な外交手段をもって太平洋の癌を剔抉せんと努力し昨今その最後の努力をつく
さんとして来栖大使を新たに米国に特派したのである、しかもこの来栖大使が米国の地に第一歩も印せず平和の天使として未
だ太平洋上を飛びつつあるときチャーチル首相がこの無礼なる暴言を放っているのである、チャーチル首相は「われに強大なる
海軍力あり」と豪語しているがインド洋上における英国海軍は戦艦一隻を主力とする艦艇三十五隻、シンガポールには巡洋艦
三隻を基幹とする艦艇二十隻がほぼ限度で濠洲には巡洋艦四隻その他にて香港在港中のもの僅かに三隻にすぎず極東にお
けるこの海軍全兵力は戦艦一隻を恃みとする艦艇五十一隻に過ぎない「われに艦艇五百あり」といわるる帝国海軍兵力の一割
の力に過ぎないのである、またマレー、ビルマなどにある英国陸兵は濠洲、インドから救援を求めた鳥合の衆である、チャーチル
が豪語する極東海軍力はいうまでもなく米国海軍を指さしているのであって大英帝国首相の言辞がすでに他国依存の醜態をさ
らけ出しチャーチルも蒋介石も米国の忠犬である点においてはいささかの相違もないことがこの演説によつて立証された
米大統領当外れ 独総統演説の妙味
【ベルリン特電十日発】ドイツ権威筋ではヒットラー総統八日の演説で米艦に対しドイツ側から発砲せぬようにとドイツ軍艦に命じ
たことにつき次の如く語った
 このことはルーズヴェルト米大統領にとって最も困ったことに違いない、ル大統領は疑いもなくドイツが米艦船に発砲命令を出
したら米国が攻撃されたと誇張的に大騒ぎして発表し議会内に十分の満足を得るつもりであったのだ、しかしドイツは彼に満足
を与えない、挑発の手に乗るなという古いモットーはいまなおその意義をもっているのだ

53 :
【ベルリン特電十日発】ドイツ権威筋ではヒットラー総統八日の演説で米艦に対しドイツ側から発砲せぬようにとドイツ軍艦に命じ
たことにつき次の如く語った
 このことはルーズヴェルト米大統領にとって最も困ったことに違いない、ル大統領は疑いもなくドイツが米艦船に発砲命令を出
したら米国が攻撃されたと誇張的に大騒ぎして発表し議会内に十分の満足を得るつもりであったのだ、しかしドイツは彼に満足
を与えない、挑発の手に乗るなという古いモットーはいまなおその意義をもっているのだ
英首相、我が国に不遜な暴言 "日米戦わば即時対日宣戦"
【ロンドン特電十日発】チャーチル英国首相は十日マンション・ハウスにおけるロンドン市長主催の座談会で演説し特に日米問題
を論じ恫喝と希望的観測の暴辞を弄し日米戦争開始の場合は一時間以内に英国も対日宣戦を行うと確言した、演説の日米問
題に関する部分要旨は左の通り
 われらは現在米国の太平洋平和維持の努力が成功するかどうかは知らないがもしそれが失敗に終り米国が日本との戦争に
巻込まれるならば英国は一時間以内に対日宣戦を行うであろう、われらは強大な海軍を有しておりもしインド洋及び太平洋にお
いて必要とあらば十分の大型軍艦補助艦を活動させることができるということを余はこの機会にいって置きたいと思う、冷静に
世界の情勢を察するならば、日本が世界の闘争へ不必要に突入し太平洋において人類四分の三の人口を擁する諸国を敵とす
るやも知れざるにいたることは向う見ずな冒険と考えられる、もしも鋼鉄か現代戦の基礎であるとするならば日本のごとく鋼鉄産
額僅少なる国家が、鋼鉄年額九千万トンの米国を相手に応酬の目当もなく闘争を挑発するのは寧ろ危険であろう、しかもこれは
英帝国がなし得べき強力な貢献を度外視してのことである、余は大平洋の平和が日本の最も賢明なる政治家らの希望として知
られる筋道に沿って維持されることを衷心から望むものであるが、東アジヤにおける英国の権益と共通の目的とを防衛する万端
の準備はすでに行われ、かつ行われつつある、余は一九〇二年以来日本との同盟を擁護し常に日本との親善関係促進に最
善の努力を注ぎ感情的にも日本の幸福を望み、日本人の資性を賞讚して来たものであるから、日本と英語諸国との間に戦争
が起るようなことがあれば、それは余の痛恨事とするものだ、重慶政権が抗日に示す意気は称讚に価するものである、重慶政
権の抗戦が支那を侵略と搾取から解放することに成功せぬようなことがあれば、それは世界文明に対する一大災難といわなけ
ればならね
対独和平に応ぜず
【ロンドン特電十日発】チャーチル英首相は十日の演説で和平攻勢の問題を左のごとく講じた
 英国はヒットラー乃至はナチ政権を代表するいかなるものとも断じて交渉はしない、近くベルリンからのいわゆる和平攻勢に接
するであろうということは耳にするが、余はここに英国は単独にも友邦との共同においても自治領との合意においても決してか
かる和平交渉に応ずるものではないことを絶対に明かにする、今やソ連の勇敢なる抗戦はドイツの武力に戦懆的打撃を与えド
イツの遠征軍は多大の損失を蒙ったうえ茫漠たる草原にさまよってロシヤの酷寒に曝されようとしているのである
ているのだ

54 :
南京政府の対日真意 日支外交の展望 (一) 国交調整に対する蒋氏のゼスチュア
 蒋介石は西南派の抗日督促通電に次ぐ軍隊の北上を見て、六月八日中央の記念週で次の如く大見得を切った
 吾等の対外方針は昨年五全大会の「和平は未だ完全に絶望に達せざるをもって絶対に和平を放棄せず、犠牲は未だ最後の
関頭に達せざるをもってまた決して軽々に犠牲を口にせず」との決議によっている、現在の情勢は和平既に絶望となったかどう
か国家既に和平を放棄せねばならなくなったかどうか、この種の重要問題の判定は一個二個の個人の判断によるべきでなく、
少数人の主観によって決定さるべきでない
また昨年八月一日の中国共産党の宣言を入手した蒋介石は側近者より成る特別の集会席上中国共産党は一切の党派、一切
の軍隊と共同戦線を結成せんとしているが、余の軍隊及び余を除外している、故に余は中国共産党及び紅軍と干戈を交えねば
ならぬといったと、共産党の代弁者はいっている。後者の真偽保証の限りでないが、この二つの啖呵が共産党の抗日戦線拡大
運動と西南の抗日宣揚に対する蒋介石の肚の中であるかどうか
 満洲事変後における南京政府の対日政策は
一、欧米の勢力を利用して日本の支那進出を阻止し、更に日本の既得権をも奪い得る
二、支那の自力による日貨排斥により日本の産業的発展に打撃を与え得る
との二つの仮定を根柢としていたしかるに右第一の欧米依存主義は列国の対支干渉は自国の搾取に役立つときのみ可能で
あるが、支那の利益のみのためにはこれが不可能であるとの欧米帝国主義の本質のためと、従来の外交上の鉄則たりし「領
土の現状維持」を根幹とする世界平和の機構が全世界を支配する迫力を失ったためとの二つの理由によって、完全に失敗に終
った。しかして第二の日貨排斥は
一、支那が工場設備その他に高価な外国品外国人を使った結果生産品を過重にした
二、排日貨が主として南洋における華僑を衰退せしめ支那の国際収支を著しく悪化せしめる動因となった
三、これらの事実が支那農村の不況とともに支那経済界に破局的な結果を招来した
等によってこれまた完全に失敗に終った
 ここにおいて南京政府は従来の対日方針を転換した。即ち昨年一月二十一日当時行政院長であった汪精衛はわが須磨南京
総領事と会見して、始めて日支国交調整の意向あることを表明し、同二十二日わが広田外相の議会における不脅威不侵略の
原則表明に勢いづけられて、汪精衛は更に日本側新聞記者団を事変以来始めて招待して日支国交調整の必要を説き、次いで
二十九日の鈴木大使館附武官と蒋介石との会見となり、有吉駐支大使と汪精衛の会見となり、有吉大使と蒋介石の会見とな
って、南京政府の対日関係打開の意向を語り両国関係の改善が放送されて、支那側は日支国交の調整に驀進せんとするかの
概を示した  南京政府はこれらわが出先当局との会見において、対日国交調整のゼスチュアを高調したのみならず、これらの
会見によって得たる日本側の意向、即ち日支国交調整をはかるには、先ず支那側より排日排貨を徹底的に解消することより着
手されねばならないとする主張に応じて、左の如く支那における排日抑圧の処置に出た

55 :
 ここにおいて南京政府は従来の対日方針を転換した。即ち昨年一月二十一日当時行政院長であった汪精衛はわが須磨南京
総領事と会見して、始めて日支国交調整の意向あることを表明し、同二十二日わが広田外相の議会における不脅威不侵略の
原則表明に勢いづけられて、汪精衛は更に日本側新聞記者団を事変以来始めて招待して日支国交調整の必要を説き、次いで
二十九日の鈴木大使館附武官と蒋介石との会見となり、有吉駐支大使と汪精衛の会見となり、有吉大使と蒋介石の会見とな
って、南京政府の対日関係打開の意向を語り両国関係の改善が放送されて、支那側は日支国交の調整に驀進せんとするかの
概を示した  南京政府はこれらわが出先当局との会見において、対日国交調整のゼスチュアを高調したのみならず、これらの
会見によって得たる日本側の意向、即ち日支国交調整をはかるには、先ず支那側より排日排貨を徹底的に解消することより着
手されねばならないとする主張に応じて、左の如く支那における排日抑圧の処置に出た
一、二月二日蒋介石は排日運動を断然抑制すべき旨の談話を発表
二、二月二十日南京政府は排日的言論を禁止すべき旨の布告を発した
三、二月二十八日国民党及中央党部宣伝部長邵元沖を辞職せしめ後任として葉楚●を任命し、従来排日運動の裏面における
指導者たりし中央党部宣伝部を大改造した
四、三月十五日国民政府は当該当局に対して排日的教科書の改訂を命令した
かくして南京政府は、兎に角表面においては、対日国交調整に乗り出す決意あるかの如き態度を示したのであった
 当時わが国の各方面では、南京政府のかくの如き態度に対して二つの観測が行われた。即ち一つは南京政府のこの態度は
わが対支進出を喰い止めんとする苦肉策によるものであって、真に国交調整の意図を有するがためではないとするもの、一つ
は這は南京政府の覚醒を意味するものであり、わが国としてはこの機会に国交調整に応ずべきであるとするものであったしか
し南京政府の真意は何れにあったにしろ、対外的には欧米の力によって日本を牽制せんとしたことが失敗に終り、対内的には
日本との対立を続けることにより支那は崩壊の外なき現実的事情の前に立って、自発的に転換を余儀なくされたものとみること
が出来る。言いかえれば、事変後支那は抗日政策を強行してみたが、結局日本を度外視して支那の存立を図る能わざることを
自覚した結果、この対日調整策に出たものとすることが出来る(つづく)(写真は記念週で演説する蒋氏)[該当写真なし]
外交方針表明
 蒋介石を中心とする南京政権は爾来一年半、その間依然この対日国交調整をはからんとする態度を続けて来たことは、表面
においてはこれを看取することが出来る。即ち昨年十月日支両国間における経済情勢の共同調査並に両国間貿易の促進を図
るために日支両国の財界人をもって「日華貿易協会」の設立を見、昨年十一月の国民党第五次全国代表大会には対日国交調
整の原則を決定し、本年七月の第二次中央全体会議においては更にこれを具体的に決定した。
 蒋介石は昨年十一月十九日の五全大会第四日の席上、外交方針に関する演説をなして
国際間の離合友敵関係を決定するには全般的国家の盛衰及び全般的民族の利益をもって対象とすべく、一時の感情及び局部
的利益をもって対象としてはならない、その間の権衡緩急比較軽重は政策を決するもので這は責任を有する政治家の守るべき
規範である、吾人が自暴自棄となり自立自強することが出来なければ今日の友邦は皆明日の敵となる、吾人が若し自立自強
すれば今日の敵も明日の友とならざるを得ない、吾人はこの国難の際ただ自助自求に努力するのみ
と強調した。しかして蒋氏は一国の改革過程にあっては対内外工作の大半は既存の利害関係と衝突し又はこれに変化を発生
し、これがために阻止と誹謗は必然であるとして、これに処すべき点として

56 :
一、国家の中心基礎工作を完成することを絶対的共同信条とすべきで一時の利害の衝突に拘わっていてはならない
二、国際関係は瞬息万発、全国上下は堅実な共同信仰をもち責任当局は即断的権能を発揮して始めて危を転じて安となすこと
が出来る
との二つをあげた。かくして蒋氏は国内に対しては健全なる改善をなし、友邦に対しては誠実をもって当れば必ず内外諒解の日
が来るといい、全般的国家と民族的利益とを主要対象とすべく一切の枝節問題には最大の忍耐をなすべきであるといい、最後
に例の有名な言葉―和平は未だ完全なる絶望に達せざるをもって決して和平を放棄せず、犠牲は未だ最後の問題に達せざる
を以て決して犠牲を軽言せずと咆哮して言葉を結んだ。
 南京政府は右の決議によって日支関係の調整に当るべく、昨年十二月二十七日丁駐日代理大使をしてわが当局に対し、日
支間打開のために南京において日支両国委員よりなる日支国交調整会議を開きたき旨を協議した。わが方ではすべては排日
抗日の絶滅の後でなければならぬこと及び会議の議題範囲を先ず決定すべきことを求め、一方わが駐支大使の更迭が頻々と
行われたため、これらの交渉は何等進捗を見なかった。ただこの間本年五月二十五日、中央記念週に際して外交部長張群が
外交演説をなし、南京政府の対日方針を右五全大会の決議よりは一歩進めて左の如く説明した
一、日支両国は相提携せねばならぬ
二、日支両国が急速に国交の調整を図らざれば両国にとりて不利なるのみならず東亜の和平は甚大なる影響を受ける
三、余は充分の決心をもって両国の関係を整調せんと努力しており日支間には友好と厭怨とあるが自ら和平の途がありと信ず
るから両国の責任当局は互にその立場を諒解して最大の努力をせねばならぬ
四、両国の福利を増進し東亜の平和を強固ならしむることを目的とするものなら支那は協力を惜しまず互恵平等及び相互の主
権を尊重するものなら国交の調整に一層効果的である
 南京政府はかくて対日国交調整の意向を漸次具体的に表明したが七月十一日から開かれた二中全会において張群の外交
報告及び蒋介石の説明によって更に左の如き諸点を明らかにした
一、最近の外交は昨年の五全大会の決議に基いて遂行された
二、日本の対支政策動向に関し昨年末と現在とを厳密に比較するに外交はなお運用の余地なきにあらずと確信する
三、凡そ中国人は何人も救亡の要は知っているが如何なる手段をもって救亡すべきかが最も重要なことであって明白なる限度
をもって国策決定の標準とせねばならぬ
四、この限度とは領土主権の完成保持であって如何なる国家がわが領土主権を侵擾しようとも我々は絶対に容認せぬ、我々
は領土主権を侵害する協定には絶対に調印せぬ、更に明白にいうなら或る国が我々の欲せぬ国家の承認というが如き領土主
権を侵害する如きことを要求し来るときこそ我々の容認し得ないとき即ち最後犠牲のときである
三原則の応酬
 南京政府の表面に現れた対日国交調整の意図に対して、わが国では種々の観測が行われたが、これまた表面現れたところ
によると、わが対支外交は大体この南京政府のゼスチュアに対して、南京政府の真意を確めること及び日支国交調整の基礎工
作に着手し解決可能の問題から解決を図ることの二つに向って進められた観があった。昨年の一月恰も南京政府の対日調整
を初めて口にせる頃と時を前後して、時の広田外相は対支不脅威不侵略の原則的根本方針を宣明し日支関係の常態化のた
めに外相は強鞏なる決意を有することを表明した。しかして同年九月、広田外相は蒋作賓駐日大使に対して、わが対支方針の

57 :
三原則の応酬
 南京政府の表面に現れた対日国交調整の意図に対して、わが国では種々の観測が行われたが、これまた表面現れたところ
によると、わが対支外交は大体この南京政府のゼスチュアに対して、南京政府の真意を確めること及び日支国交調整の基礎工
作に着手し解決可能の問題から解決を図ることの二つに向って進められた観があった。昨年の一月恰も南京政府の対日調整
を初めて口にせる頃と時を前後して、時の広田外相は対支不脅威不侵略の原則的根本方針を宣明し日支関係の常態化のた
めに外相は強鞏なる決意を有することを表明した。しかして同年九月、広田外相は蒋作賓駐日大使に対して、わが対支方針の
根本原則として大体
一、支那における排日抗日の徹底的根絶
二、日満支三国の政治的経済的提携の実行
三、北支及び辺疆における赤化共同防衛
の三項よりなる所謂対支三原則なるものを提示して、支那側の承認を促した
 この対支三原則に対して、蒋介石は昨年十一月二十日わが有吉大使と会見した際
三原則には同感である、ただ細目的条項についてはなお研究中で即答する訳には行かぬが、平等互恵及主権不可侵の原則
に基く限り余も反対する理由はない
と述べたといわれ、本年第六十八議会の外交演説において、広田外相はこれに言及して
一、この政策は今日まで充分の成果を収めなかった
二、三原則は支那側も充分諒解してこれに賛意を表し、更に進んで最近にいたって右三原則の趣旨に則り日支親善提携の交
渉を開くべきことを提議している
と言明した。然るに南京政府は一月二十二日右広田外相の演説に関して声明を発表し、左の如く支那が三原則に賛意を表し
たことを否認した
一、広田外相は所謂三原則につき同意を求めたが国民政府は第三項は抽象的で討議し得ないから具体的内容の提示を求め
た、日本政府は今日にいたるまでこれを提示していない
一、広田外相は国民政府が三原則に同意したと言明したが事実相違である
しかして南京政府はこれに引続いて一月二十五日再声明をなし、三原則の内容を具体的に説明されんことを要望し、判明せば
権威ある責任者をして交渉に当らしむべく要するに現在では、三原則を全部承認した訳でもなく全然承認しないという訳でもな
いと宣明した
 かくてわが対支三原則は南京政府より具体的説明を求めたまま、支那側の提議せる日支国交調整会議は日本側よりその議
題範囲の説明を求めたままの停頓状態において約半歳を経過し、この停頓状態の中へわが新大使川越茂氏が六月末赴任し
た訳であるが、この客観情勢の下において、同大使が如何なる方法により日支関係調整の折衝を行わんとしているかについて
私の観たところによれば、
一、支那を利し日本を利する問題から先ず着手してみる
一、先ず経済的な問題にこの両国を利するものがあると思うから経済問題から話をして見たい、特に北支那の経済開発には最
も両国を利するものが多いから北支の経済問題から着手してもよい
一、経済提携の目標としては、農作の改良、交通機関の発達助成鉱山資源の開発、その方法としては先ず支那が資源資本を
出して日本がこれに材料技術を提供する等は最もよいと思う

58 :
というところにあり、若しこれをしも南京政府が否定せば、その他如何なる問題においても、日支提携の可能性はないばかりか
、両国関係は打開されないとしているようである
 ここにおいて吾々は日支外交当面の焦点をみることが出来る。即ち南京政府は常に日支国交調整を口にし、今日にしてこれ
を図らざれば日支両国に甚大なる不利を招くのみならず、東亜の和平に大なる危機を招来するとまで強調している、しかして如
何なるものから着手すべきかについては
一、両国の福利を増進し東亜の平和を招来する問題
一、相互平等、主権尊重を原則としこれに牴触せざる問題
をあげている。川越大使の意向と南京政府の意向とを照合すると
一、北支の経済開発は、単純にみたところでは両国の見解が一致し得る、その他の経済提携も或る程度進捗する可能性があ
るかに見える
一、南京政府が満洲事変により将来されたすべての事象をわが国の支那主権侵害なりとしているなら(かく看做していることは
以上の南京政府の意思表示に現われている)これらのすべての問題の解決は出来ない
というところが、両国外交当面の焦点とみることが出来る(つづく)
欧米依存主義
 この日支外交当面の焦点が、今後如何に進展するであろうかを展望する前に、是非考慮を払わねばならぬ三つの事実がある
。一つは南京政権の欧米との依存政策、一つは対日戦備の拡充、他の一つは近来著しく変化しつつある支那各方面の対日感
情の尖鋭化である
 南京政府はさきに英特使の援助によって幣制改革を断行し、現在においては支那の幣制は事実上英貨にリンクされている、
また南京政府はさきに陳光甫をアメリカに特派して支那の幣制維持に関するアメリカよりの経済援助を求め米支間に所謂銀協
定を結んだ。更に蒋介石はイタリーより航空教官をドイツより野戦陣地教官を、アメリカより戦術教官を多数入れ、これらの諸国
から多くの武器を輸入している。殊にドイツとの間には今春以来ベルリンにおいて、駐独支那大使程天放と独国防省当局との
間に軍需借款交渉の結果、これが基本協定成立し、独同省附ライヘノン中将は去る六月二十二日来支、南京政府との間に右
協定の細目交渉を開始したと報ぜられている、またロシアとの間には昨年来露支攻守密約の締結が伝えられ、最近語学教師
の名の下に、ロシアより多くの陸軍教官が陸軍大学始め主要学校に招聘されている。
 独支軍需借款協定成立に関しわが出先当局より南京政府に警告したるに対し、七月二日外交部亜洲司長高宗武がわが雨
宮南京駐在武官を訪問して
一、独支間には約一年前バーター制による一億元借款協定成立せるも未だ実施していない
一、協定の内容は支那から原料品を輸出し、ドイツから主として機械類及び工業品を輸出することになっている
一、ドイツよりの輸出品のうちに兵器は含まれていない
旨を回答したが、基本協定の内容として一般に信ぜられているものは左の如きものである。
一、支那からドイツにウルフラム桐油、落花生その他の原料品を供給す
一、支那が四年乃至六年に亘って供給する右原料品の代金をドイツは一億元を限り前払する
一、右前払の一億元は現金で支払わず精製品殊に軍需品、電気機械をもって支払う
一、右協定の細目は南京にて協定する

59 :
しかして右軍需品のうちには航空機、高射砲、大砲、戦車を含んでいるといわれている
 ロシアとの間にはかねて露支密約の締結が伝えられた、わが川越大使はかくの如きものは存在しないであろうといっているが
、本年五月西南との合作問題について広東を訪問した孫科は、南京政府は五全大会以来抗日を着々行っていること、これを徹
底せしめるためには支那単独であるよりもロシア英米を引込む必要あり、自分と馮玉祥及び于右任も献策によって陳果夫はこ
の使命を帯びて入露したものであることを語ったといわれ露支密約については、協定は本年一月南京において調印されたとい
い、その内容として左の如く言明したと伝えられた
一、外蒙新疆において支那はロシアの特殊権益を認む
一、右代償として露支共同して日本に当ることを約す
露支密約の存在は今日なお最後的に立証はされていないが、昨年十月二十五日南京において、駐支ロシア大使ボゴモロフ及
び孫科を会長とする「中俄文化協会」が組織され、これが上海のロシア大使館総領事館、極東商船隊上海代表店全連邦石油ト
ラスト上海出張所、モスクワ人民銀行上海支店、全露中央購買組合上海支部、ソ連邦国営電報通信社上海支局その他の各機
関とともに、文化的経済的においてのみならず、漸次政治的に活動しつつあり、支那側またこれと協調していることは否定出来
ぬ事実である
 本年七月の国際連盟総会において支那代表郭泰祺は、太平洋集団安全保障に関する提議をなしたが支那のこの提議は、露
支二国を中心としこれに仏及び英米を引入れて結成せんとする対日共同戦線を意味することは、わが国に提議していないこと
及び事前に露支間に右折衝が行われたとみられる点において明らかである、駐支仏新大使は七月五日上海に着任したが、恰
も駐露大使顔恵慶及び同大使館附武官唐文蔚が同時に帰国して上海に在ったということ、上海仏租界では最近共産党の取締
を緩和したということは、共産軍賀蕭部隊に外部から供給された武器は雲南を通過したという事実とともに、仏露支三国間の所
謂太平洋安全保障問題に関する消息の一面を裏書きするものである。
 南京政府をしていわしむれば、かくの如き欧米諸国との関係は、各国との修交上当然のことであって、これのみをもって支那
は欧米に依存して日本を排撃するものであることにはならないというかも知れないが、当然であるというこの事実さえも、南京政
府は日本との間には敢て実現しようとしないわが陸軍教官招聘についても、現在外国教官は満員であるとの理由で実現しない
のであるが、語学教官の名で招聘された多数のロシア陸軍教官は「満員」となった後に入れられたものである(つづく)
着々対日戦備
 蒋介石は昨年十一月の五全大会に前後して一大対日抵抗線の構築を計画し、前述の如く英米独伊各国より招聘した陸軍武
官を使用して直に実現に着手し、爾来約一億円を投じて既にその大半を完成し本年十一月までにすべてを完成することになっ
ている。その内容について見ると
一、満洲、北支からする日本の南進に対抗するために先ず山東省の海州、徐州から河南省の開封鄭州、洛陽、潼関を繋ぐ線を
第一線とし、大体黄河の南岸に沿うて砲塁、トーチカ、砲台、飛行場等を始め、満露国境における露国の陣地にならって強力な
トーチカを無数に構築し、この線に中央軍の精鋭を集中している

60 :
二、次いで上海から宜昌にいたる揚子江の線を第二線とし、この間を数十区に分って各区に砲台防御陣地を築いている
三、海岸線にありては日本の上陸作戦想定して海州から福州にいたる山東、江蘇、浙江、福建四省に亘る海岸に抵抗線を敷
き主要地数十個所に近代的砲台を構築している
四、揚子江、銭塘江の河口に備えるために江蘇省の南道、浙江省の温州、●波を中心に掩護要塞を築いている
五、揚子江線にありても特に南京と漢口に重点を置き、南京を中心とする一帯を首都防衛区として獅子山砲台を始め市周囲の
高地を悉く軍事根拠地とし、近代的要塞をもって固めている
 蒋介石のこの日本を目標とする大規模の戦備は、いうまでもなく蒋に日本と一戦を交えることあるべき決意の存することを物
語るものである。常に対日国交調整を高調し、日支関係の調整は支那百年の大計であるという南京政府が、その反面において
対日戦のためにかくまで積極的準備を進めているということは、一見頗る奇異であろうが、近来支那一般の対日観念が、従来
の党部その他の使嗾による観念的抗日から民族的信念に基く具体的抗日に転化しつつある事実と併せ考えると、南京政府の
この対日積極戦備のよって来るものが略想像され得るのである。
 一両年前まで支那一般の対日感情は、大体において、日本との提携に反対するものと日支両国の平和のために日支提携す
ることは最も必要なことであるとするものとに分れていた。反日政客並に共産党の如き作意的反日分子とこれらによって躍らさ
れているもの及び純然たる自由主義者等は前者に属し、所謂親日分子、政略的親日家と、日支両国の関係を真剣に考える極
く一部のものとが後者となっていた。しかし支那一般の対日感情のこの分野は、最近著しく変化した。変化して対日提携を考え
たものの範囲が頗る狭められ、しかも極く少数の曾ての対日好意者であったものまでが、日支提携は希望するところであるが、
現在の事態は、このままの情勢ではこの上に日支提携の何ものも建設されないまでに悪化してしまったとするものが甚だしく多
くなった。
 私はこんどの旅行において、一般支那人の対日真意を知ることにもつとめたのであったが、この努力によってこの一両年来頓
に変りつつある支那の対日感情にふれて驚いたのであった。私は上海、南京において、大体現在支那の堅実なる民衆の意向
を代表し得ると思われる社会の三つの部門に働く三人と会って、互の肚裏を語り合ったのであるが、教養あり見識あって、しか
も日本に対して悪意をもたぬこれらの者が総て、結局日支関係の打開は現状をもって推移したら如何にしても期待出来ないと
信じていることを知った。そしてこれらの者は現在支那一般の対日感情は、一両年前までの観念的雷同的な反感から、具体的
な民族的な抗日意識にまで進展していることを挙げ、日支両国民がこの状態で一日経れば一日苦しみを続けるのみであるとい
って、現在のこの状態を打開するには結局日支両国の戦争によるより外ないとまで極言するのであった。
 現状に耐えられないから戦争に訴えるということは、自暴的な投げやりを思わせるのであるが、国と国との関係はえて個人と
個人との関係におけるよりも一時的な感情により自暴によって重大なる局面を展開するものであり、しかもこれを口にするこれら
の人達には真剣さの外自暴的な何ものも認められないのであった。しかし私は教養あるこれらの者に、対日戦争なるものを支
那として真剣に考慮するということに疑問をもつことを語ったのであるが、これに対して彼等は戦争の結果日支両国がどうなる
かそれはわからない、しかし現在の状態では日支間に日本の希望するような大きな政治的取引は民族的感情において絶対に
出来ない、一日戦争によって両国関係を根本的に清算した後においてならば建て直しが出来るかも知れないというのである。

61 :
北支経済提携
 支那一般のこの対日感情、南京政府が依然強化することにつとめている欧米への依存、しかも南京政府が多額の国費を費し
て進めている対日決戦準備、この三つの上に立って、日支関係は未だ最後のどたん場に来ておらず、なお努力を払うべき余地
があるといっている南京政府の真意を打診すると、大体次の如くこれをみることが出来る
一、日支関係はなお調整絶望の域には達していないと信ずるから打開の可能性あるとみられる部分について最後的折衝を行
ってみる
一、若しこの最後的折衝が不調に終らば最悪の場合を覚悟する、この場合に処する準備として欧米との関係を強化し対日戦備
を整える
しかも南京政府の打開の可能性ある部分とは、さきにあげたように支那における日支経済提携特に北支における経済提携で
ある。
 かくして南京政府は、北支における日支経済提携工作が日支関係の破局を喰い止め得るか否かの最後の希望であるとして
、これが不調の場合の準備を進めており、一方わが川越大使も、この北支工作の成否が日支関係の将来を決定するバロメータ
ーであるとして、これが不調に終らば、その他すべての日支懸案の解決は不可能であるとしている、近く行われる川越大使と南
京当局との外交折衝には、両国とも細心の注意をもって右の点について先ず口火を切るであろうが、果してこの北支工作が日
支両国関係の破局を喰い止める繋りとなり得るかどうか、私はこれに対して少からぬ疑問をもたざるを得ないのである。
 北支経済提携の具体的方法に関し川越大使の抱く見解によれば日支双方利害の一致点に立って棉作の改良、鉄道の敷設
、鉱山資源の開発より着手すべく、支那側が資源資本を提供して日本側が技術材料を提供するというのであるが、表面実現甚
だ容易にみえるこの方法にも二つの困難が免れない、今日の支那が外国の力を借りて資源を開発するには
一、外国の力を利用しただけその事業に外国の政治的勢力の入り込むことを認めるか
二、純経済的方法においてのみ外力を利用すべくこれに伴う政治的勢力を飽くまで拒否するか
の二つのうちの何れかを先ず決定してかからねばならない、いうまでもなく今日の支那は、右第二の純経済的立場乃至方法に
おいてのみこれを行わんとするであろうが日本はそれで満足し得る筈がない支那が純経済的立場を固執し、日本が政治的勢
力のこれに伴うて加わることは已むを得ないとの方針をとるとすれば、最も可能性あり最も容易になし得るものとして選ばれた
北支経済提携においてすら両国の希望するところ既に一致し難いのである。
 つぎに支那が資源と資本とを出して日本が技術と材料とを提供するということは、爾く容易いことであるかどうか、支那に土地
と資源はあるが、これが開発及び開発のための技術材料に充つべき資本は何もない、最近の端節季における支那各銀行の農
村投資総額は僅かに一千五百万元であって、しかもこれら殆ど全部が、農村の建設的資金に投資されたものではなくして、金
融組合その他を通じてなされた農家の喰い繋ぎその他不生産的に消費された資金である、川越大使は日本から時に出資して
もいいといっているが、この現支那の客観情勢下において、満洲に対してすら逡巡している日本の小心にして豊かならざる資本
が、活溌に進出しようとは期待されない、すべての事情からみて満鉄にもわが政府にも多くを期待することは出来ない。
 支那の欧米依存が非難されるが若し蒋介石が「では日本に頼るから助けてくれ」といって、飛行機で東京に乗りつけて坐り込
んだら、直ちに応じ得る具体案を果して日本が有しているかというのだ、何も有ってはいないだろう、蒋介石はそんなことはせん
だろうからよいが…とは、私がこんど支那のある少壮人から聞かされた冗談であるが、私は聞き流すことの出来ないものを感じ
た。
 ここにおいて日支関係打開に最後の希望を捨てずという蒋介石が先ず北支の経済提携のために、以上の青年支那の半植民
地的地位から脱せんとする希望をも押して、兎に角北支では日本の政治的勢力の加わることを已むを得ずとして経済提携の実
現を期するかどうかわが国から必要の資本を持出し得るかどうかとのこの二つが、北支における日支経済提携の岐路をなす訳
であり、延いてこれが日支関係の最悪の場合に赴くを喰い止めに得るかどうかの決定点となる訳である、若しこれが日支関係
の難局を喰い止める繋りとするに足らないとすると、蒋介石がかねて決意し、川越大使も暗に万一の場合として想像しているよ
うに両国関係は最後の最悪の場合、即ち「戦争」に進展しないとは保し難いことになる、しかし何とかならぬものだろうか。

62 :
重大なる岐路
 日支両国が最も可能性あるとして、唯一の望みをかけた北支経済提携に、既に以上の困難があるとすると、これをそのまま
に放置せば、最悪の場合に進展するより外ないであろうが、戦争によらずして、何とか他に打開の方法がないものかどうか、私
は以上に述べたような支那の対日感情、このままでは両国関係に何等の建設もなし得ないような状態に進んでいるという情勢
から見て、しかも北支における経済提携にも既にかくの如き困難が免れないとすれば、現在のこの日支両国の関係に、何等か
の革新的な転換を与えることによって、打開が講ぜられるかどうかについて、最後的な考慮を払って見る
 日支関係最大の目標とされるところは
一、排日運動の廃止のみならず排日感情の廃除へ
二、擬装親日から真の親日へ
三、経済的提携のみならず政治的提携へ
の三つに尽きる、今日支那の反日感情は前述の如く頗る深刻なものがあるが、このわが対支政策の最小限界を理解することに
よって、支那人の対日感情は或る程度緩和され得るものであると思う、私はこれについて一日少壮支那人と語り合った際
満洲事変以来実現された既成事実とこれを繞るわが大陸工作は日本として断じて変改出来ないものである、これは日本全国
民の信念である、満洲の匪賊の中に、一、二の日本人があるとか、一部左翼崩れが支那に同情してわが政策を非難したとて、
これをもって日本国民がわが大陸政策を支持していないというが如きはとんでもない認識不足である、このわが全国民的信念
は、吾々が支那の深刻な対日感情に想いを致すと同様に支那の知識階級もどうしても考慮を払わねばならぬ点である、これを
しもその感情の上から否定して日支外交を論ずるとしたら、大学生の排日論文とかわらないと
話したものである。南京政府当局にもこの点に対する認識が疑われる点がある、支那がこの認識をしっかり把握することが第一
に必要である
 次にわが対支外交の革新的政策を示すことが必要である、これが内容としては
一、日本が支那に求めている最小限度のものは何か
二、日本が支那に与え得る最大限度のものは何か
の二つに分け得べく、私はこれについて、わが対支外交の限界として左の如きものを挙げ得ると思う
一、先ず排日の徹底的廃止、真の親日実現、経済的政治的提携の実現
二、次に支那を繞る列国政治機構の建て直し
三、支那国内建設に対するわが国の積極的指導援助
即ち支那側の自発的徹底的親日転向を前提として、先ず九ヶ国条約の廃棄、支那の更生に障碍となっている列国との条約の
廃棄、治外法権の撤廃、内河航運業の合弁経営への引直し、支那農村更生に対する積極的実施等が、支那側の態度一つで
は、今日のわが国としては為し得ることであると思う

 九ヶ国条約は支那を植民地視せる観点において締結されたものにして、支那の独立と主権はこれによって保持されているか
の如きものであって、支那が植民地的地位から脱却するために、これが先ず取除かるべきものである、治外法権の撤廃もそう
である、今日のわが実力は、活動の自由、公平なる競争、生命財産の保障さえあらば何等の特権なくして対支発展を期し得る
状態にあり、更に進んで各国によって旧く縄張りされた現状を打破して行くことがわが利益たり得るのであるから政治的友好関
係さえ確立せば、支那における治外法権は撤廃し得るものである、支那農村更生に対する工作においても、支那はわが技術
員を入れることによって、欧米の技術員を入れる半額の費用をもって足る筈である、これらのわが最大限界を具体的に提示して、この誠意ある革新的政策に対する支那側の真に偽らざる積極的方策を促すことは、日支関係の愈々行き詰った局面に展開を
与えると思う
 しかしながら、現在のところではわが川越大使は、大使の一人や二人変ったとて何も急に変ったことがやれるものでなく、要
は国民全体の気持、力によってなされるより外ないといい、外交はカレンダーとは違い一枚めくったからどうなるというものでは
ないといって、これら大きな革新的政策に出ることを戒めている一方蒋介石も亦主権侵害を意味する或る種の承認を求めて来
たら吾々の最後の希望を放棄する時であるといって革新的決意なきを思わしめている、ここにおいて私は結論として、日支外交
は今重大な秋にあり、しかもこの気運の中にやがて両国関係を最悪の場合に導かんとする可能性が多分に動いていると見る
のである(完)

63 :
支那全土に漲る猛烈な抗日熱
蒋介石氏と直接会談するも国交調整殆ど絶望
南京【七日】松本本社特派員発
川越大使と蒋介石氏の会見がいよいよ八日中に行われることになったため上海事件以来息詰るような緊張を続けて来たわが
出先当局は最悪の場合が予想された日支関係がやっと外交解決の軌道に乗ることになったとはじめて楽観の色を見せ日支開
戦説おびやかされた在留邦人も安堵の胸を撫でおろしているが広東で蒋介石氏の北上を見送り蒋介石氏に先廻りして南京に
駆けつけ冷静に川越、張群交渉の経過や支那側の動向を探求して来た記者(松本特派員)には歴史的に重大とされているこの
川越、蒋介石の会見も抗日の国の檜舞台で行われる一時ごまかしの猿芝居にほかならないような気がしてならない
 少くとも川越大使、蒋介石氏の会見が一触即発の危機にまで押しつめられている日支悪関係を清算して親善関係を招来する
スタートとなるものとは到底考えられない、それほど支那全土を包んでいる抗日の空気は濃厚であり日本側が相手としている国
民政府全体が抗日意識で凝り固っているのである、記者が久し振りに南京の土を踏んで驚いたことは南京全体が持つ対日感
情が支那随一の排日都市と称せられている広東よりもさらに熾烈な抗日意識であることである
路傍にたむろしている車夫、馬丁らの日本人を見る目を見よ、演習帰りの汗みどろの支那兵隊の顔を見よ、面上に溢れている
のは抗日を通り越した烈々たる対日敵意なのだ、旅の日本人が市内風景をカメラに入れようとすれば、何処からか武装した憲
兵が忽然と現れ眼を怒らせてそれを阻止する、記者が支那要人を訪問せんと役所におもむけば厳重に門を衛る憲兵の訊問態
度はまさに敵国人扱いである市街を歩くと至る所で憲兵につかまり、行方を訊問され、その都度名刺をとられる、日本人を嫌が
らせて行動を束縛しようとするのだ日本を相手に抗日根絶、国交調整を談じている国民政府要人の膝元である南京でさえ抗日
状況はかようである、他の都市は推して知れよう、この南京に不祥事が勃発しないのはちょっと不思議であるがそれは南京が
首都で官憲の取締りが行届いているのと在留邦人が僅少でしかも各人が危険に怯えて出来るだけ外出を差控え、家に閉じ篭
もっているためにほかならないだから南京と離れた上海、漢口、成都、北海等の各都市に日本人殺害の不祥事件がつづけさま
に勃発したのは当然で、寧ろその件数の少きを異とすべきである
 南京までが抗日都市と化してしまったのはここに国民党部と政府とがあり、そこに蟠居している役人が一人残らず抗日の権化
となっているためである、馮玉祥氏、孫科氏など札附の親欧米派要人が抗日の急先鋒で今度の交渉に際し堂々対日戦争を謳
っているとはすでに周知のことであるが抗日意識に燃えているものは決して彼等一味だけではなく、蒋介石氏をはじめ張群、張
公権、呉鼎昌氏などのいわゆる親日派の連中も一皮剥げば抗日の点において欧米派と何等変るところがないのだ、記者は根
拠なしに人を断ずるのではない、張群氏らのいわゆる親日派なる人人も内実は立派な抗日派であることをこんどの日支交渉で
スッカリ暴露されてしまったのだ、こんどの交渉の劈頭、須磨南京総領事が公正な日本側の要求条件を提示した際支那外交部
首脳者達は口を揃えてこれは期限を附していない最後の通牒ではないかと叫び、極度に憤慨した事実や、国民政府部長中最
も日本を理解しているといわれている鉄道部長張公権氏でさえ須磨総領事から七時間にわたって抗日根絶の必要を説かれて
も遂に心底から納得同感しなかったという事実を見ただけでもいわゆる親日派なるものの正体を知ることが出来よう
南京における支那側の情勢すでにかくのごとし、川越大使、蒋介石氏の会見の結果蒋氏が日本側の要求を容認するとしてもそ
れは蒋氏がこの際日本と戦争することを不得策と打算した結果無念の歯を食いしばっての承認であって、戦争を避け事態を一
時緩和するに役立つかも知れないが日本が国を挙げて要望している日支国交調整へのスタートにはおよそ縁遠いものであるこ
とを今から承知して置かねばならない

64 :
横行する抗日映画 根強い華僑と英国の勢力 岐路に立つ泰国を観る
サイゴンにて西島特派員発 バンコック空路
サイゴン、バンコック間は、日航の定期便が毎週一回往復している。その所用時間僅に三時間、サイゴン、ハノイ間の五時間に
比べて大分短い。サイゴン飛行場を正午出発した旅客機は、針路を直ちに西北に取り、やがてドン・ムアン飛行場に着く。サイゴ
ンに比べて猛烈に暑い。飛行場から、仏印内地の自動車道路に勝るとも劣らぬ坦々たる舗装道路を疾駆すること三十分、寺院
の尖塔が見えたかと思うと、もうバンコック市に入っている。
新興泰国の相貌
サイゴンやハノイは、フランス式のこぢんまりした瀟洒な都会であるが、暫くいるとすぐ□をぶっつけてしまう。これに反してバンコ
ックは人口も百万に垂んとする大都会で、その規模も遥に雄大複雑だ。泰国の財政の大半は、この首都の経営に注がれてい
るといわれるだけに、王宮や寺院の輪□の美はいうにおよばず、メナム河に架せられた近代式橋梁、大理石造りの議事堂、我
が馬場先門の凱旋道路にも匹敵するラヂヤダムヌンの大通り、ルムピユ公園やアムポン公園の風致、各国□□□□□映画館
の櫛比している泰国銀座のチヤランクルン街、独得の縄張をはっている繁華な支那人町、外国公使館の軒をならべた瀟洒な住
宅地区のサトーン、さてはメナム河のフローチング・マーケット(□上市場)など仏印の諸都市に比□て変化は無限である。街全
体の感じが明るく広々としている。
中央官庁街を中心に、盛んに鉄筋コンクリートや煉瓦建のビルヂングが建てられている。ラジヤメムノン通りの如きは、一年前
は両側に並木のある風趣に富んだ静かな町だった。ところが一朝泰国政府は、この通りの両側を近代的建築で埋る決意をした
。その青々とした並木は□くひっこ抜かれ、五十間幅の舗装道路に拡張され、両側にコンクリートのビルヂングをどしどし建ては
じめた。一年後の今日では、泰国人が『東洋一』と自慢するだけの堂々たる表玄関と化してしまった。
新生活運動
バンコックは仏印ほどの湿気がない。日中は猛烈な暑さで、目も□くばかり太陽が照りつけるが朝晩はかなり涼しい。
泰国人はカムボヂヤ人と同系統の種族で、安南陣と異って骨格もたくましく、生活力も極めて旺盛であるだけ、一面楽観的で且
つ享楽的だ。夜ともなれば挙って映画に、ダンスに心から打興ずる。南国的な享楽紀聞は、仏印よりも泰の方が強い。
ピブン首相は新興泰国に国粋主義を鼓吹すると同時に、新生活運動を提唱し、ともすれば安逸に流れ易い泰人の生活改善に
力を入れている。仏印では半袖半ズボンの服装が通例で、フランス人は割合に服装を喧しくいわないが泰国ではイギリス人の
勢力が強いせいか、猛暑の中でも、官庁や商社では、背広に長いズボンを着用せねばならない。ネクタイもキチンとつけねばな
らない。記者はバンコック到着早々、移民局に出頭したが、その門前で守衛から上衣のボタンをかけるように注意された。
この新生活運動は中々厳重に励行され、飲食店なども、十二時過に営業していると、巡査が廻って来て咎める。映画館やダン
スホールでは、最後には必ず、満場起立のうちに泰国国家を吹奏し、映画館では泰国幼王の肖像に対して敬礼をせねばならぬ
。この慣習はそれまでの享楽気分を一ぺんに払拭して、気持のよいものだ。
華僑と抗日宣伝
泰国は南洋における華僑の根拠地ともいわれ、在留支那人の総数は五百万に垂んとし、財界における華僑の実力は牢固たる
ものがある。泰国政府は華僑勢力の増大を喰い止める方策の一として、支那移民の入国に高額の移民税を課し、南支方面か
らドシドシ入って来る支那人の入国を□き止めている。しかし現在の経済界を牛耳っている支那人に対しては、容易に手がつけ
られない。

65 :
華僑と抗日宣伝
泰国は南洋における華僑の根拠地ともいわれ、在留支那人の総数は五百万に垂んとし、財界における華僑の実力は牢固たる
ものがある。泰国政府は華僑勢力の増大を喰い止める方策の一として、支那移民の入国に高額の移民税を課し、南支方面か
らドシドシ入って来る支那人の入国を□き止めている。しかし現在の経済界を牛耳っている支那人に対しては、容易に手がつけ
られない。
そしてこれらの華僑が陰に陽に重慶政権を支持していることはいうまでもない。重慶側の宣伝も、特に力を入れている模様で、
記者が滞在中も、支那人町の某映画館で『保□我□的土地』(我等の土地を守れ)という抗日映画が上映され、蒋介石自ら銀幕
にあらわれて民衆に訴える場面の如き、□衆の支那人を興奮せしめていた。
この重慶側の宣伝と並行して、英米側の対日宣伝も極めて露骨である。試みに王室財産で建てたといわれるバンコック随一の
映画館チヤランスルン劇場に入ってみれば、アメリカ□濠洲版というニュース映画をやっている。『対日戦備に没頭している蘭印
』というタイトルで、先ずいきなり我戦艦陸奥、長門などが太平洋を遊□している□容を複写したものがあらわれ、そのつぎに東
亜の地図を示し、北からの『日本の脅威』に対し、蘭印は如何なる戦備を整えているか、と冒頭して、説明者は、蘭印の水田の
上を縦横に走っている戦車の演習、さては飛行機、軍艦と道具立てよろしく『日本よ、何時にても来れ、ABCD陣営に備えあり』
とばかり、あてつけている。黙ってみていると腹が立って来る。シンガポール軍港やジブラルタル要塞の映画も、英国に十分の
備えありとの宣伝以外に何もない。こんな宣伝映画を毎日見せつけられている泰国の一般民衆が、日本に対しどんな感情を抱
いて来るか、想像するに難くないであろう。わが出先当局が、抗日宣伝の横行に憤慨して、泰国政府にねじこんだら『まことに仰
せの通りですが、われわれとしては取締りようがない、その代り貴国の方でもドシドシこれに対抗する映画を持って来ていただき
たい、いつでも上映の御便宜を計らいます』という返事だった。
派閥抗争の内政
一九三二年の立憲革命以来、現在に至るまで、泰国の政体は立憲君主国である。ピブン首相はムッソリーニ首相やヒットラー
総統に比すべき独裁者である、と称せられているが、泰国の政治組織が、民主主義的であり、独裁国家としての態様を整えて
いない以上、独裁的権力を執行することは不可能である。
泰国の現政権を担当しているものは、貴族階級、軍人、官僚等いわゆる知識階級に属するが、その中には、英米流の教育を受
けたものが極めて多い。一九三二年の革命に際して、ピブン現首相をはじめ百五十余人の同志が結束し(事実上連判したのは
六十人といわれる)、遂に維新の事業を成就したが、新政権の基礎が固まった今日これら同志の間に権力争い、派閥抗争が台
頭して来たといっても、決して怪しむに足りない現象であろう。親英派とか、親日派とかいう抗争を抜きにして、あるいはこの抗
争と織りまじって、現政権内部に地位の争いが激しくなって来た。この縄張争いの泥仕合がワニットの怪文書事件となったりし
て、泰国政界に一抹の不安定感を与えている事実は、何としても否定出来ない。
困難な国際的立場
従来泰国は親日的国家であると、日本ではいわれている。これはたしかにそういった傾向のあることは事実だ。東洋における
独立国家として、先進国日本の明治維新以降の躍進振りは、心ある泰国人士をして『日本学ぶべし』との信念を植付けたことで
あろう。遠くはわが国際連盟脱退当時の好意的立場から、近くは満洲国の承認に至るまで、泰国の対日感情は、極めて友好的
であったことは否定出来ない。
しかし一方イギリスが、その植民地ビルマ、マレーの隣国として、過去百年にわたって泰国内部に植付けて来た潜勢力を無視
すると、とんでもない誤解を生ずる惧れがある。プラヂット蔵相は、ピブン首相が親日派の大将であるに対し、親英派の親玉だと
いわれているが事泰国の財政に関する限り、遺憾ながらイギリスの勢力を無視し得ない。
近来泰国政府は、出来るだけかかるイギリスの桎梏から脱出しようと努力しているが、これは泰国の国粋主義的傾向のあらわ
れで、日本こそこの傾向を助長してやらねばならない。それには政治的外変的な圧力の外に、経済的な力の後援を必要とする
。いわんや近来ABCD陣営からの泰国抱込工作が頓に活発になって来たにおいてをや。
由来泰国はイギリスとフランスとに挟まれて、もがき抜いて来た。強大国に挟まれた弱小国の常として、叛服常なき態度を取る
は自国の生存上から、けだしやむを得ないであろう。

66 :
この重慶側の宣伝と並行して、英米側の対日宣伝も極めて露骨である。試みに王室財産で建てたといわれるバンコック随一の
映画館チヤランスルン劇場に入ってみれば、アメリカ□濠洲版というニュース映画をやっている。『対日戦備に没頭している蘭印
』というタイトルで、先ずいきなり我戦艦陸奥、長門などが太平洋を遊□している□容を複写したものがあらわれ、そのつぎに東
亜の地図を示し、北からの『日本の脅威』に対し、蘭印は如何なる戦備を整えているか、と冒頭して、説明者は、蘭印の水田の
上を縦横に走っている戦車の演習、さては飛行機、軍艦と道具立てよろしく『日本よ、何時にても来れ、ABCD陣営に備えあり』
とばかり、あてつけている。黙ってみていると腹が立って来る。シンガポール軍港やジブラルタル要塞の映画も、英国に十分の
備えありとの宣伝以外に何もない。こんな宣伝映画を毎日見せつけられている泰国の一般民衆が、日本に対しどんな感情を抱
いて来るか、想像するに難くないであろう。わが出先当局が、抗日宣伝の横行に憤慨して、泰国政府にねじこんだら『まことに仰
せの通りですが、われわれとしては取締りようがない、その代り貴国の方でもドシドシこれに対抗する映画を持って来ていただき
たい、いつでも上映の御便宜を計らいます』という返事だった。
派閥抗争の内政
一九三二年の立憲革命以来、現在に至るまで、泰国の政体は立憲君主国である。ピブン首相はムッソリーニ首相やヒットラー
総統に比すべき独裁者である、と称せられているが、泰国の政治組織が、民主主義的であり、独裁国家としての態様を整えて
いない以上、独裁的権力を執行することは不可能である。
泰国の現政権を担当しているものは、貴族階級、軍人、官僚等いわゆる知識階級に属するが、その中には、英米流の教育を受
けたものが極めて多い。一九三二年の革命に際して、ピブン現首相をはじめ百五十余人の同志が結束し(事実上連判したのは
六十人といわれる)、遂に維新の事業を成就したが、新政権の基礎が固まった今日これら同志の間に権力争い、派閥抗争が台
頭して来たといっても、決して怪しむに足りない現象であろう。親英派とか、親日派とかいう抗争を抜きにして、あるいはこの抗
争と織りまじって、現政権内部に地位の争いが激しくなって来た。この縄張争いの泥仕合がワニットの怪文書事件となったりし
て、泰国政界に一抹の不安定感を与えている事実は、何としても否定出来ない。
困難な国際的立場
従来泰国は親日的国家であると、日本ではいわれている。これはたしかにそういった傾向のあることは事実だ。東洋における
独立国家として、先進国日本の明治維新以降の躍進振りは、心ある泰国人士をして『日本学ぶべし』との信念を植付けたことで
あろう。遠くはわが国際連盟脱退当時の好意的立場から、近くは満洲国の承認に至るまで、泰国の対日感情は、極めて友好的
であったことは否定出来ない。
しかし一方イギリスが、その植民地ビルマ、マレーの隣国として、過去百年にわたって泰国内部に植付けて来た潜勢力を無視
すると、とんでもない誤解を生ずる惧れがある。プラヂット蔵相は、ピブン首相が親日派の大将であるに対し、親英派の親玉だと
いわれているが事泰国の財政に関する限り、遺憾ながらイギリスの勢力を無視し得ない。
近来泰国政府は、出来るだけかかるイギリスの桎梏から脱出しようと努力しているが、これは泰国の国粋主義的傾向のあらわ
れで、日本こそこの傾向を助長してやらねばならない。それには政治的外変的な圧力の外に、経済的な力の後援を必要とする
。いわんや近来ABCD陣営からの泰国抱込工作が頓に活発になって来たにおいてをや。
由来泰国はイギリスとフランスとに挟まれて、もがき抜いて来た。強大国に挟まれた弱小国の常として、叛服常なき態度を取る
は自国の生存上から、けだしやむを得ないであろう。
泰国は今や、東亜において取残された、唯一の自由競争市場である。日本対ABCD陣営が、政治的にも、経済的にも、この泰
国を戦場として、鎬を削って戦っている。泰国の前途こそ、東亜共栄圏の将来を卜すべきバロメーターであり、従って泰国の去
就如何は、大きく独ソ戦争の結果如何、世界情勢の変化如何に懸っているものといわねばならぬ。東亜百年の大計に鑑み、泰
国指導者が、共栄圏確立に活眼を開くべきことが要望されるとともに、わが国も監視を怠ってはならないゆえんである

67 :
対日英米提携 (1・2)
(1) 米に二つの悩み 通商条約廃棄の有する意味 日英妥結への阻碍
 時局下の日本人に取って何が一番警戒を要するかと言って、興亜の聖業にいそしむ吾々の前に東亜に於る両アングロサキソ
ン国家の提携に優るものはないであろう、これは日本として英米の共同行動を絶対的に怖れるという意味ではないが新東亜建
設の途上においてそれ自体の有つ影響が極めて厄介であり、折角の大業も無用な困難を加える虞があるからに外ならない、然
らば事実は果して何うか…天津問題に端を発する日英の東京円卓会談は、先ずその一般的原則の取極に成功し、有田・クレ
ーギー協定の覚書交換によって会談の基礎的工作は一段落を告げた
 然るに突如、会談の具体的折衝を前にして米国政府から日米通商航海条約の廃棄通告が晴天の□□の如く日本に向けて突
き付けられて来た、東京会談における原則的諒解の成立に意気銷沈していた重慶政府は「米国の正義が英国に代って日本に
制圧を加えるものである」と言って有頂点の歓喜を示し、英仏の新聞は民王々義戦線の具体的結合による日本への一大□棒
であると論じ立てた、之に対する独伊の□論はまた英米馴れ合いの芝居でないかを疑い、米国の行動を以て対日非友誼によ
る米国第三位の顧客を米国自ら失うものであると痛□した、そしてそれと同時に東京会談は治安問題の実際諒解成立に次い
で法幣並びに現銀問題において難関に逢着した、英国の態度は我然硬化したというのである
 以上の形勢は如何にも英米の対日共同戦線の結成が、先ず第一歩を踏み出した感を与えずにおかないが事実は必ずしもそ
うではないこれに就て去る六日米国々務次官ウェルズ氏は明白にその事実無根を声明して打ち消しているが、これはその儘額
面通り受取って誤りはないであろう
 日本通商関係の現実からいって四億三千万円もの受取勘定にある米国が純経済的見地から之を廃棄したと見る事は何うし
ても考えられない、多分に政治的考慮に影響されている事は勿論である、しかしながらルーズヴェルト大統領の任期満了を来
年に控えてニューディールを中心とする内政上の失敗続出を大衆の感傷的対支同情論にアップレシェートする今回の措置で巧
みに人気転換を図ったものである事は内外衆目の一致する所である、とは謂えそれが又全部でない事も事実である、然らばそ
れは何であるかというと、外にも其の狙いは対英協同とは似ても似つかぬ反対の意図が其処に含まれているのである
 由来、米国の極東外交は、殆ど例外なしにその結果に於て英国のため火中の栗を十うの類に堕していた事は隠れもない所で
ある
 「機会均等」「門戸開放」の名によって知らるる国務□ジョン・ヘイのそれにしても真実は英国の対支商権を拡大せんとする英
人官史ロックヒルの案□を其儘鵜呑みにしたものであり、旧日英同盟の廃棄にしても、欧洲大戦後勃興しつつあった米国への
御機嫌取り旁々、日本という中から米国という馬に乗り替える英国の策動に乗って議府会議の際米国自らその憎まれ役を引受
けたのであった、かかる事実は最近に於て米国朝野の等しく気付く所となって、ハル国務長官の如きも幾度か英国の玄人外交
に捲込まれる危険に就て国内□論に対する馨告を与えていたものである従って極東政策に関する限り米国の態度は簡単に対
英協同に動じ得ない情勢にあるのである
曾て英米の日本に対する共同行動として吾々に想起さるるものは、華府会議に於ける海軍協定に次いで、日本の対英米海軍
比率のバリチー要求に対し同一歩調が取られた以外、最近の関係に於て英米の共同した事実は未だ寡聞にしてこれを聞かな

 元来、英米の日本に対する圧迫協同は純粋の意味に於て共同の競争者の場合以外殆んどあり得ないのである、若し英米の
何れかが他に目的を抱いて日本強圧を勧誘しても、それは常に失敗に了った事は□に満洲事変に於いて米国の誘いに英動か
ず今回の事変に英の誘いを米受けつけぬ事実が其の一切を説明している

68 :
従って米国今回の対日条約廃棄が何を意味するかは想像出来よう、即ち東京会談によって支那に対する日英接近を抑制せん
とする所に其の魂胆がある訳である、日英東京会談に対して、少くとも米国として不満とするものに二つの点がある
 一つは法幣問題に就て英国が□歩すれば、支那に於ける金融的支配権が英国の手から日本の手に移って了う、これは現在
の法幣制度確立に際し、英米が其の支配権を握ろうとして争った揚句米国が失敗した経験からして米国は法幣の支配権を英
国の握っている事も不快としている、そうかと云って今度それが日本に移ることは矢張り面白くないのである、そしていま一つは
東京会談そのものが、事変の終結を意味するものではないが少くともそれへの予備的性質を有っているとして、昨年ルーズベ
ルト大統領が英国に対し「事変終結に際しては米国は極めて重要な地位を占める可きである」と通告しているが、今回の会談
に於ては少しも其事が問題とされていないからである
以上二つの点からこれを考えるとき、対日条約廃棄の有つ意味合いはあっさりと日英妥協の阻碍にあるということが看取される
のである、即ち以下その理由と事実に就て明日紙上にこれを解説するが、これに対して日本は如何なる策を選ぶべきであろう

(2) 執拗な和平妨害 アメリカに引摺られる英国 日独伊同盟と極東
少しく冷静に、日米通商条約の廃棄に就て考えるならばそれが日英会談に対して何等緊急的処理の効果もなく、又法幣問題に
も何等触れて居らず、結局一種の外交的強硬姿勢を見せているに過ぎない事が判ろう、それは日本に対して発せられたもので
あるが何等日本を脅威しない、驚くべき重慶の好感を博したがさりとて実質的何等の恩恵を与えているでもない、而も英国の問
題解決に何等寄与せず、其処に予想さるるものは、米国のこの強硬態度に刺戟された英国が断然対日の硬化を示すことによ
って会談の阻碍を狙ったとしか考えられない事情にあるのである、そしてこの事は左の事実を見ても明かであろう
 昨年、ヒューゲッセン大使の空爆負傷前後、英国は支那に日本との単独妥協を頻りと進めていたが、米国大統領のシカゴに
おける「侵略国隔難」の強硬論説とブラッセル(九ヶ国条約)会議招集提議によってこれを打ち壊して了った、又同年上半期にお
いて揚子江開放問題に関する英国側の対日交渉持ち掛けも、その進行途上米国極東艦隊司令長官をして突如「米国艦隊は
武力を以て封鎖線を突破せん」と声明せしめ、遂に英国をして手を引かしめるに至った、かくして更に本年の上半期にカー大使
が重慶の疲幣を見て和平斡旋方の動きを示すや、米国は突如上海租界問題に就て強硬意見を発表して其陸戦隊を率先鼓浪
□に揚陸し、以て事態を紛糾させて了ったのである、かくして今回日英会談の通行状況稍やスムースなるを見ると忽ち対日条
約の廃棄を行ったもので、その意味が依然何回も繰返えされた以上行動と何等変るものでない事は聡明な読者の諒解さるる
所であろう
かくて英米の関係は寧ろ極東に関する限りヘゲモニーを□って相対立するものと言う事が出来よう従ってその提携の可能性は
日本の出方一つによって殆ど絶望という事も出来るであろう、しかし流石に英国は米国の其手を利用する事はあっても容易に
乗せられて米国の笛に踊る事は稀である、法幣問題と現銀問題に於て、手続き上国内的困難と米仏の如き関連を有する諸国
との共同利害に於て、俄に日本に対する譲歩を決定し難い事情から、東京会談は米国の対日条約廃棄と時期を一にして停頓
の状態に入ったが、米国の意図を解する英国は必ずしも対日硬化によって会談をデッドウックに押し上げた儘打切るような行動
は執るまい

69 :
 八月四日、夏期休会を前にしてチェンバレン英国首相は、その下院において率直に英国の態度を闡明した「欧洲における情
勢は、吾人をして戦争に訴える覚悟さえ必要とするのである、この際吾人は極東において日本と争うが如きコミットメントを負うこ
とは出来ない…」と
然しながら日本人として更に注意を要することは、同じ英国首相の演説である
 「…そうは言え、自分も亦極東の情勢に対しては憤激している何人にも増して憤激している…」と…しかし現実の情勢から判
断して極東に於ける兵力の優劣を論じ、遺憾乍ら、此際日本と妥協して交渉による問題の解決を期せねばならないと言う事は、
若し国際情勢にして英国に自由手腕を発揮させる事情にありとすれば、何ぞ日本との妥協を要せん、従来の援蒋持続によって
、日本の疲幣を待ち、徐ろに居中調停の機会を□み、再び極東に君臨する夢を描かんとする事を意味するものである事は言う
迄もあるまい
即ち「英国の□会だにあらば…」と云う態度を背後に有つ日本として英米の接近を防止しつつこれに対等する方策を果して何れ
に求めるべきであろうか
東京会談の齎す事変への影響は今更茲に説明するまでもあるまい、同時に英米の対日共同も今日の情勢に於て直に憂慮す
可きものはないが、さりとて□世の大事業たる新東亜建設の工作に伴う日本の国際政治は、これを以て終止符を附す可きもの
でない事も勿論である
ここに於て所謂日本の対独伊関係強化と言う事が必然問題として考慮されなければならない訳である、が然らば具体的に何が
あるかと言う事になるが、それには現に問題となりつつある独伊同盟に対する日本の参加と言うのがある訳である、しかしこれ
に参加するとして如何なる用意が必要であろうか、同盟は戦争を予定するが、必ずしもそれが最終の目的ではない、其処に弾
力的考慮の払わるる余地があろうというものである
一例を挙げれば今日、日本が日独伊三国同盟を締結したとして現在極東における戦争に独伊の参加は不可能である、この事
は場所を変えて欧洲に戦争の起った場合、或程度同様の結果を見るであろう、只だ敵対国の出様如何では一切の困難は克服

される所に弾力的意義がある訳であって、それは締約国独自の見解が基礎をなす事勿論でなければならない
 何れにしても、日本の進取が、今日の盟邦たる独伊との提携に深化の運命を多分に含んでいる事は吾々として特に強く念頭
に置く必要があろう、そしてこの事は、軈て東亜に強国を有つソ連に自重と、印度を穀倉とし、資力の五十三パーセントを東洋に
有つ英国の反省を求める上に於て日本に対する有力な役割を果すこととなろう、これ事変終結に絶大の効果を齎らすものであ
る、もとより其間日本にとってよい事ばかりない事も考慮に置かなければならない、しかし最大の関心は英米の提携を防止する
意味に於て今日迄の経緯を忘れてはならない、凡ゆる方策は常に過去の実践的経緯を基礎とする時に於てのみ権威を持つも
のだからである

70 :
米の極東対日攻勢 (上・下)
(上) 大東亜共栄圏の我指導的地位に挑戦 強いて強調"事態切迫"
【上海本社特電三十一日発】ブルーの擬装色に塗りあげられた米国汽船があわただしい風雲を孕んで近く上海に入港する、国
務省の指令をうけて極東在留婦女子を本国に避難せしめんとする戦時御用船だ、英米両国艦隊の極東共同防備についての秘

密会談が上海で行われた、米国軍需品が援蒋物資にカムフラージュされ太平洋の波を蹴ってマニラに、ラングーンに、今や東

洋の英米植民地には武器が、ガソリンが、飛行機がうず高く積まれた、シンガポール、香港にも米国軍将校が乗りこんだ等々、

挙げれば限りなき奇怪な事実が米国の対日戦備に多大の疑惑を持たせつつ極東の天地に、あるいはひそかにあるいは公然と

展開されつつある、日独伊三国条約締結後僅か一ヶ月にして米国の極東政策が、あらゆる刺戟的大勢のもとに極度に悪化し

たことは国務省の発言をまつまでもなくこれ等事実が歴然と証明しているのである、ハル国務長官の東洋政策が果して何を求

めんとするのか、極東においてかつてなき積極的態度は重慶政権を露骨に支持し日本の東亜共栄圏における指導的地位にあ

くまで挑戦妨害せんために外交、政治、経済、軍事などそのことごとくの部門を集約してとられつつあるやに感ぜられる、対日恐

怖心からか独自の優越感が許さぬのか、とも角表現された事実がすべての威嚇の度がすぎて戦争への奔騰の勢いを示してい


 極端に見るならば大統領選挙を目睫に控えた米国政府が輿論の刺戟に狂奔し三国条約は対米攻勢のスタートであり極東に

おける日本の軍事政治行動が対米挑戦であるかの如く幻想し、米国を挙げて戦争の渦中に引入れんとしているのだというもの

もある
 その証拠に米国の在支居留民が果して本国政府の引揚げ勧告を現実感をもって受取ったであろうか、上海在住の米国商社

が日本の大陸政策に対してそれほど逼迫感をもっているであろうか、事実は米国政府の想定を否定するものばかりである、日

本が日独伊条約の締結に論なく支那事変処理と極東における生存権の確保を国策の最大目標としているのが米国の生存権と

どこが抵触するのであるか、日米間には政治的手段によって解決されないものが毫もないはずである、しかし極東の事態は米

国政府の作戦を前提とするかの如き極めて周密な政策の下に立つ英米共同の対日歩調がより否応なく激化の一路を辿らんと

としているのである
以下極東における米国が現にとりつつある対日作戦準備として否定し得ざる事実を指摘して誤れる米国の極東政策の動向を

厳正に検討しよう
一、三国同盟成立後米国政府は英国に対してビルマ援蒋路の再開を強要するとともに在支米人の一部引揚げ勧告を発して極

東への積極的関心を対日攻勢に示した、十月中旬政府の命により米本国およびハワイを出帆したマンハッタン、モントレー、マ

リポサ、ワシントンの四隻大型船舶は在支米人引揚げ用として一路上海に急航しつつあり、その第一船は二日上海到着の予

定である、二十万の在米居留民を有する日本政府が何らの具体的対米策を講ぜざるに先立ち極東在住者一万名に達せざる米

国政府がかかる刺戟的手段を敢えてしたことは、引揚げの直接米国の対日禁輸を強化せんとすることにあるはもちろん、さらに

進んで米当局の対日外交の恫喝政策が今や(戦争にならざる)範囲を逸脱し対日戦争を挑発しつつあるものといわねばならぬ、

71 :
米国政府の極東居留民引揚げ勧告は一時米国居留民に興奮を与えたが実業家の間には権益保存の立場からこの際むしろ出

来得る限り踏み止まるべしとの空気が濃くなって来た、また英国側においては上海の英国商業会議所会頭コルダー・マーシャ

ル氏の如き英国経済人は極東における敵国との経済戦を通じて祖国を援助せよとラヂオ放送をしている
 この趨勢は英米が東亜において有する貿易機構と海運力を最後まで維持しつつ万一の場合これにものをいわせようとする両

国の政策を強く反映せらしめられているものである
現在のところ上海の英米側財界は日米戦の可能性については多分の疑惑をもちもし起るとしてもまだ近き将来にあらずと見る

向きが多く、一部事変のため事業の停頓したものは強硬論を唱えているが現地全般の空気は決して積極的ではない、しかるに

米当局は立ち渋る居留民を鞭撻するため引揚げの再勧告を行い政府の意をうけた上海米国商業会議所は三週間以上の長期

にわたる商取引をなさざるよう警告を発するなど強いて対日空気の切迫を強調しつつある、かかる空気を反映して上海為替市

場をはじめ商取引の上に日米戦の危機が織り込まれつつある、法幣の対米相場が遂に六ドルを突破して強調を示しているの

は支那側財界に米ドル不安が昂まりつつある証左であり、感受性の鋭い支那商人は最近とみに対米国商取引契約に対して警

戒を払いこれを漸次短期化する傾向が強く、支那財界における最近の換物運動の再燃、わが軍票買いなどもこれを物語るもの

である
二、さらに在支米国駐屯軍の動向も蔑視すべからざるものがある、すなわち在支駐屯軍に対してはすでに極秘裏に引揚げ準備

の指令が発せられたものの如くその実証として去る十三日には急速に在支駐屯地より引揚げ得るようあらかじめ船会社との連

絡をとるべしという命令が到達したといわれており、すでに輸送船ゴールド・スター号が上海に入港、待機している事実が挙げら

れる、また在上海第四マリンの将校中仏租界居住者は同租界を引揚げ、膠州路、西摩路、ハイフォン路に囲まれた地区に移転

すべき指令が発せられた
 一方においてマリンの戦闘訓練も猛烈に行われ、米アジヤ艦隊主力はマニラに集結を完了した今や極東米海軍は完全に開

戦気構えに入っているのである
三、米国はビルマ路線再開とともに対蒋二千五百万米ドル借款を発表したが、その後続々追加新借款を供与するとの報が伝

えられている、従来米国の対蒋借款の内容は支那土産と軍需資材のバーターによる商業借款といわれているが、わが徹底的

援蒋路の遮断のため早くよりこの種バーターは事実上評価不可能に陥っており、またビルマ路再開ぐらいではほとんど問題に

ならぬことは明かである、いわんや同路線はわが海鷲の爆撃によって早くも半身不随の状態に陥っているのである、しかもなお

新借款を与えんとする米国の政策は奇怪極まるものというべくその狙うところは援蒋にあらずしてほかにある
(下) 米支同盟の締結へ 援蒋政策強化に盲進
【上海本社特電一日発】米国が援蒋借款を与えることによって真に狙っているものは何であるか、伝えられるところによればソ連

の対蒋軍需品借款によってもたらされた対重慶貸越しの決済とソ連の米国機材ならびに石油輸入資金の増大を機とし米ソ支

三角的資金関係の設定を通じて対日牽制を主要目的とするとの見解が行われている、他方対蒋借款資材に名を藉りて米国か

らラングーン、マニラあるいは香港に続々陸揚げされている軍需資材は援蒋に擬装せる米国自身の極東資材である、しかもこ

れら武器、ガソリン、飛行機はビルマ路再開の数ヶ月前から輸送量が加速度的に増大している事実は注目に値する、援蒋物資

の堆積地は米国対日作戦地だ

72 :
四、最近宋子文が米国において輸入せりという大型戦闘機百台をはじめ戦車、自動車、装甲自動車が千百台、高射砲、大砲

数百門がラングーンに直送されず、マニラに山積しており、また米国がスウェーデンと契約せる単座追撃機六十機、単座爆撃機

五十機はその契約を破毀してマニラに集結された、さらにマニラ飛行機修理工場を拡大して四工場とし、秘かに工作機械を持ち

こんで組立工場、製作工場をも新設するに至りマニラ飛行隊の独立性が確立された、これとともに米国飛行将校が大部隊増遣

されている模様だ
 すでにミシガン州セルフリッジおよびカリフォルニヤ州ハミルトンにあった陸軍追撃機隊二個中隊がフィリッピンに移駐し武器弾

薬の輸送量も増大した、今やフィリッピンは一億七千万ペソに達する厖大予算を編成して完全に戦時態勢に入った観がある、

かかる動きに呼応して最近フィリッピン東海岸のレガスピ港が注目されはじめた、同港は極東における軍事物資の蒐集の基点

たるものの如くシンガポールより南洋一帯から購入された多数の船舶は同港に集り、改修擬装の上軍事輸送に使用されている

模様で各国から購入された船舶は百五十隻に達している、一方シンガポールにおいても同様軍需品倉庫を増設して米国より機

関銃、高射砲などを送っているが、殊に注目すべきは濠洲方面よりの動きである、すなわち過般濠洲政府およびニュージーラン

ド政庁が軍需品生産増進令を布告して戦時態勢を強化し空軍の一部動員をしてシンガポールに移動せしめた事実があり、近く

ラングーンにも濠洲の空軍部隊が到着の予定だといわれており、英米協同作戦の態勢は着々進行しつつありといわざるを得な


また注目されるのは援蒋物資輸送路と称してシンガポールからケープタウン経由ニューヨーク航路が開設されたことで、米国の

南洋基地が如何に周密な計画の下に本国に連絡されつつあるかが窺われる南太平洋航路が遮断されてもシンガポールの存

立性をこれによって確保しようというのだ、ビルマ路が英国によって再開された
 裏面には英米間に極東防衛に関する緊密な取極めが出来ている、その最も大なるものはシンガポール、香港の軍事的基地

を米国に提供していることである
五、米国がその奇怪なる軍事計画とともに外交的に対日包囲計画をとっていることは南洋一帯における英国およびオランダ植

民地に対して自由行動をとり得る事実に見ても明かであるが、最近の日蘭印交渉の如きは如実にこれを物語るものである、同

交渉が必ずしも円滑に運ばざるは蘭印当局に対する英米の使嗾によるもので、蘭印の態度が米国の対日決意の如何によって

左右されているものともいわねばならない
 すなわち実力的に英米が共同防衛に出ることによって東亜共栄圏における蘭印本来の地位が蹂躪され、その英米依存性が

強化されるのである、また経済的には日本の求めんとするガソリンを英国が購入の保証を与えることによって日本の合理的経

済交渉を無視することが出来る、かかる英米の巧妙な外交戦術は一方において南洋一円の空気をあくまで旧秩序圏内に巻き

込まんとしているが地方において重要視されるのは米国がその援蒋政策を米支同盟の成立にまで強化せんとしていることであ

る、ジョンソン駐支大使が今年夏ワシントンの秘密命令を受けて帰任以来重慶に止まって蒋介石と折衝しつつあるのは主として

米支同盟についてであり、日米開戦の直前においてこれが調印を行い重慶をしてあくまで対日抗戦の意図を強化せしめんとい

うのが米国の狙いである

73 :
かかる動きは援蒋物資は名目にすぎず実は対日開戦を目ざしてシンガポール、マニラ、ラングーン、香港を連ねる東南アジヤの

防衛線を要塞化しアラスカ、サンディエゴ、ハワイ、ミッドウェーより南方に連なる対日封鎖線を強化せんとするにある、しかして

その対日攻撃の空軍前進基地をマニラにおかんとするもののごとく、マニラに現在米空軍の誇りとする長距離ボーイング機を百

五十機乃至百七十機を備え、またハワイには同型機が百機待機しており、マニラまで二日間で飛翔することが出来る、また右

ボーイング機の性能は極秘とされているがマニラ、東京間往復は完全に可能なりといわれている、しかして艦隊の動きとしては

昨年初期より間断なく本国サンディエゴ軍港、ハワイ真珠湾附近よりマニラ方面に航空母艦、巡洋艦、潜水艦を輸送しており、フ

ィリッピンを中心に集結せる艦隊は相当の数にのぼるものと推定され右艦隊ならびにホノルルに集結中の主力艦隊を合するな

らば米国連合艦隊の三分の二が対日攻撃の態勢に入りつつあるものと見るべきであろう、かくして米国政府は対内政策と対日

恫喝政策に没入した結果自ら「予期せざる危険区域」に踏みこまんとしているのである
大東亜戦・総力結集の一年 本年の回顧 東亜維新戦への一年を顧る (一〜五)
(一)揮う大義の戈 平和の努力遂に空し 政治
悠久二千六百年の聖なる年を送った昭和十六年は、日本にとって果して歴史的な大いなる年であった、日本のみならず、米英

の植民地として屈従に甘んじていた東亜にとっては正に解放の一頁が繰展げられたのだ。いまこの一ケ年を回顧して大東亜の

各所に米英撃滅の勝利に輝く日章旗を仰ぎつつ皇国の偉大なる運命に感激すると同時に、大東亜新秩序の建設という大なる

任務を負うた国民的誇りと責任を痛感するのである。来るべき年は皇国にとって更に偉大なる年となるであろう。
一貫せる平和希求
一ケ年のわが政治を貫き燦然と輝くものは、東亜の平和に対する帝国の熾烈なる希求であった。支那事変を一日も早く解決し

、東亜の戦雲を拭い去ることが日本の絶えざる念願であった。この一年は大東亜安定のため帝国が払った崇高な努力の結晶

だったのである。一月の第七十六議会で近衛首相が
 支那事変は第一次近衛内閣当時に起り今年で第五年を迎えた、事変は未だに解決の曙光を見ていない、これは軍部の責任

でも誰の責任でもなく私の責任である。今日の事変の解決を見ざる上に重大なる時局を迎えた。事変以来の私の責任を顧ると

微力ながら最後の御奉公としてあくまで御奉公を致す考えである
と切々たる答弁を行ったことは、今なお国民の耳底に残っていることであろう。支那事変において皇軍が赫々たる戦果をあげな

がら解決を見なかった根本原因は、米英が蒋政権の背後にあって、東亜の安定勢力たる帝国の地位と真意を無視し蒋を援助

し、事変解決を妨害したことにあり、米英こそ東亜平和、延いては世界平和の攪乱者であった、米英の妨害にもかかわらず帝

国は隠忍自重して東亜平和のためにあらゆる努力を重ねたのである。三月タイ仏印国境の紛争調停をやり、五月仏タイ和平条

約の斡旋を行ったことは東亜全局の平和を如何に帝国が顧念しているかを物語るものであり、また昨年来の懸案である日蘭交

渉、五月成立した日仏印経済協定は、帝国の国是である東亜共栄圏確立が全く平和的なものであることを証している、三月松

岡外相が渡欧して日ソ中立条約を成立せしめたのも北辺の平和を確保せんとする帝国の念慮に外ならなかった
米英、事毎に妨害
しかしながら米英は帝国を屈服せしめるために、わが平和的努力を蹂躙し続けてきた。支那事変も、日蘭会商も、帝国が懸案

としている問題は、すべて背後にあって策動する米英殊に米国が、その解決の鍵を握っているのだ。事態は東亜の背後にある

ものを衝く以外に解決の途があり得なかったのである。事変処理はこにおいて日米問題の決着を求め、必然的に日米交渉に移

行するに至った。

74 :
六月に入って日欄会商は蘭印の不誠意により遂に打切りとなり芳沢全権に引揚げが命ぜられ、また帝国がタイ、仏印の紛争調

停に成功すると、米英蘭諸国は急速に軍事的、経済的に日本包囲陣を結成してきた。こうした困難な情勢において日米交渉が

四月から開始され米国は受諾し得ない暴慢な非公式思案を提示し、帝国は五月中旬これを反駁し公正なる対案を出したので

ある。
六月二十二日に独ソ戦争が突発して国際情勢は更に変転、複雑な相貌を呈するに至った。帝国はこの新な事態に対処するた

め七月二日歴史的な御前会議を開き重要国策を決定したのであるが、独ソ戦争による国際環境の激変で、日米交渉も影響を

受け困難さを加えた、独ソ戦の膠着で一時的にも米英は苦境を脱し得た形となり、これが東亜で攻勢をとるに至らしめたのであ

った。
東条鉄石内閣成立
こうした国際環境にあって第二次近衛内閣の足取りが次第に晦渋になってきた。既に今年に入り四月と六月の二回内閣改造を

行って危機を切抜けた内閣も、七月十六日遂に総辞職を断行した。『国内体制の急速なる整備強化と内閣の構成も一大刷新を

加える必要を痛感したため』であった。大命は近衛公に再降下し、十八日に第三次近衛内閣が成立したが、東条陸相が閣議で

陸海軍共同発言として述べた通り、国際情勢に対処する国策の大綱は既に聖断を仰いで不動であり、内閣の更迭によって微

動だにする筈はなかった。七月二十六日日仏印共同防衛協定が成立し、二十九日皇軍が南仏印に増派されると、米国は英、

蘭を語らって、わが資産凍結を行い、八月には石油製品の輸出を制限するなど、全面的経済封鎖に出て来たのである。
かかる不当な圧迫の中でも、帝国は平和的解決の希望に促されて、八月近衛メッセージがル大統領に手交され、日米問題は

重大な局面に立った。約三ケ月、第三次近衛内閣は太平洋の危機を救うべく必至の努力をしたが、遂に成らず、交渉の成否は

晦冥のまま十月十六日桂冠のやむなきに至った。帝国としては米、英、蘭の包囲陣を突破するため起ち上るほかに途がなかっ

たのだ。東条内閣の成立は端的に日本の決意を表現するものであった。
国内決戦体制成る
帝国の政治的努力は外交打開に集中されつつあったが、内には高度国防国家建設をめざしてたゆみない努力が続けられ、一

年にして決戦体制はほぼその形を整えたのであるし、政戦両略の一致は第二次近衛内閣が最も念慮したところで、一月十三

日従来の大本営連絡会議のほか政府と統帥部との連絡懇談会が初めて開かれ、爾来政戦両略の一致に大きな効果をあげて

来た。
 大政翼賛会は高度国防国家の下新たな国民組織を確立すべく発足したのであるが、第七十六議会で反撃に逢い、結局四月

に改組を行うに至った。発足当時の大きな意図が歪曲せられたのは遺憾であるが、翼賛運動は却って地についたというべく、

中央協力会議も二回開かれて成果をあげており、今後は当初の気魄を戻して国内組織の完成に進むべき方向にある
更に国内機構の戦時編成替えは急速に行われ、総動員法はまた全面的に発動、重要産業団体令、配電統制令等重要な勅令

が実施された。食糧政策を初めとして、戦時緊急政策も確立せられ、国民生活の確保については遺憾がない。しかも国内的に

は種々の対立抗争の存在は否めなかったところであるが、この一年に漸次解消し、大東亜戦争によって一掃せられるに至った

のである。

75 :
英国の対日仮面 チャーチル首相放言で暴露
マンション・ハウスにおけるチャーチル英首相の暴言は英米両敵性国の今日まで腹中に蔵していた対日意識をありのままの姿
に暴露したものである、英国はついにその陰性なる仮面をかなぐり捨てたのである、英国は巧に米国を誘い込みルーズヴェルト
米大統領が夢見る世界制覇の企図をまんまと自己の武器に転用し、すでに大西洋上では独米の発砲戦が戦争の形において
開始されるまでに導きさらに今度は太平洋戦争の導火の口火を切ろうとしたのである、英国の抱懐せる極東における政略、戦
略の根底をなすものは一にかかって米国をして対日戦に追い込むことにあった、極東における英国権益を保有するためには独
英戦によって戦力激減せる英国がすがりつく窮策はこのほかになかったのである不落の要塞と自ら豪語し、これある限り極東
権益保全は可能とまで号していたシンガポールを最近には米国海軍の自由使用に提供している、この夏すぎダフ・クーパーを
その戦時内閣の極東探題として特派、さらにポッパム極東司令官とコンビで濠洲、タイ、ビルマ、フィリッピン、蘭印の各地に対
日包囲陣強化に拍車をかけしめるなどその血迷える狂奔振りは極めて明白であった
 最近ではウェーヴェル近東軍総司令官も急遽シンガポールに来り現地における対日作戦の実際を米国側と協議している、か
れらのマニラ会談なるものはいざ対日戦がはじまれば英米蘭支の各国は極東におけるその軍事基地を共同の使用に託そうと
まで決議しているのだ、しかもこの間クロスピー駐タイ英国公使はその在タイ四十年の経歴に物をいわせタイをして自己陣営に
参加せしめんと暗躍を続けている一方わが帝国はこれら英米が描きつつある対日包囲の鉄鎖が次第に短縮され完成に近づき
つつあるを見ながらもあくまで隠忍自重、平和的な外交手段をもって太平洋の癌を剔抉せんと努力し昨今その最後の努力をつく
さんとして来栖大使を新たに米国に特派したのである、しかもこの来栖大使が米国の地に第一歩も印せず平和の天使として未
だ太平洋上を飛びつつあるときチャーチル首相がこの無礼なる暴言を放っているのである、チャーチル首相は「われに強大なる
海軍力あり」と豪語しているがインド洋上における英国海軍は戦艦一隻を主力とする艦艇三十五隻、シンガポールには巡洋艦
三隻を基幹とする艦艇二十隻がほぼ限度で濠洲には巡洋艦四隻その他にて香港在港中のもの僅かに三隻にすぎず極東にお
けるこの海軍全兵力は戦艦一隻を恃みとする艦艇五十一隻に過ぎない「われに艦艇五百あり」といわるる帝国海軍兵力の一割
の力に過ぎないのである、またマレー、ビルマなどにある英国陸兵は濠洲、インドから救援を求めた鳥合の衆である、チャーチル
が豪語する極東海軍力はいうまでもなく米国海軍を指さしているのであって大英帝国首相の言辞がすでに他国依存の醜態をさ
らけ出しチャーチルも蒋介石も米国の忠犬である点においてはいささかの相違もないことがこの演説によつて立証された
米大統領当外れ 独総統演説の妙味
【ベルリン特電十日発】ドイツ権威筋ではヒットラー総統八日の演説で米艦に対しドイツ側から発砲せぬようにとドイツ軍艦に命じ
たことにつき次の如く語った
 このことはルーズヴェルト米大統領にとって最も困ったことに違いない、ル大統領は疑いもなくドイツが米艦船に発砲命令を出
したら米国が攻撃されたと誇張的に大騒ぎして発表し議会内に十分の満足を得るつもりであったのだ、しかしドイツは彼に満足
を与えない、挑発の手に乗るなという古いモットーはいまなおその意義をもっているのだ
英首相、我が国に不遜な暴言 "日米戦わば即時対日宣戦"
【ロンドン特電十日発】チャーチル英国首相は十日マンション・ハウスにおけるロンドン市長主催の座談会で演説し特に日米問題
を論じ恫喝と希望的観測の暴辞を弄し日米戦争開始の場合は一時間以内に英国も対日宣戦を行うと確言した、演説の日米問
題に関する部分要旨は左の通り

76 :
 われらは現在米国の太平洋平和維持の努力が成功するかどうかは知らないがもしそれが失敗に終り米国が日本との戦争に
巻込まれるならば英国は一時間以内に対日宣戦を行うであろう、われらは強大な海軍を有しておりもしインド洋及び太平洋にお
いて必要とあらば十分の大型軍艦補助艦を活動させることができるということを余はこの機会にいって置きたいと思う、冷静に
世界の情勢を察するならば、日本が世界の闘争へ不必要に突入し太平洋において人類四分の三の人口を擁する諸国を敵とす
るやも知れざるにいたることは向う見ずな冒険と考えられる、もしも鋼鉄か現代戦の基礎であるとするならば日本のごとく鋼鉄産
額僅少なる国家が、鋼鉄年額九千万トンの米国を相手に応酬の目当もなく闘争を挑発するのは寧ろ危険であろう、しかもこれは
英帝国がなし得べき強力な貢献を度外視してのことである、余は大平洋の平和が日本の最も賢明なる政治家らの希望として知
られる筋道に沿って維持されることを衷心から望むものであるが、東アジヤにおける英国の権益と共通の目的とを防衛する万端
の準備はすでに行われ、かつ行われつつある、余は一九〇二年以来日本との同盟を擁護し常に日本との親善関係促進に最
善の努力を注ぎ感情的にも日本の幸福を望み、日本人の資性を賞讚して来たものであるから、日本と英語諸国との間に戦争
が起るようなことがあれば、それは余の痛恨事とするものだ、重慶政権が抗日に示す意気は称讚に価するものである、重慶政
権の抗戦が支那を侵略と搾取から解放することに成功せぬようなことがあれば、それは世界文明に対する一大災難といわなけ
ればならね
対独和平に応ぜず
【ロンドン特電十日発】チャーチル英首相は十日の演説で和平攻勢の問題を左のごとく講じた
 英国はヒットラー乃至はナチ政権を代表するいかなるものとも断じて交渉はしない、近くベルリンからのいわゆる和平攻勢に接
するであろうということは耳にするが、余はここに英国は単独にも友邦との共同においても自治領との合意においても決してか
かる和平交渉に応ずるものではないことを絶対に明かにする、今やソ連の勇敢なる抗戦はドイツの武力に戦懆的打撃を与えド
イツの遠征軍は多大の損失を蒙ったうえ茫漠たる草原にさまよってロシヤの酷寒に曝されようとしているのである
南京政府の対日真意 日支外交の展望 (一) 国交調整に対する蒋氏のゼスチュア
 蒋介石は西南派の抗日督促通電に次ぐ軍隊の北上を見て、六月八日中央の記念週で次の如く大見得を切った
 吾等の対外方針は昨年五全大会の「和平は未だ完全に絶望に達せざるをもって絶対に和平を放棄せず、犠牲は未だ最後の
関頭に達せざるをもってまた決して軽々に犠牲を口にせず」との決議によっている、現在の情勢は和平既に絶望となったかどう
か国家既に和平を放棄せねばならなくなったかどうか、この種の重要問題の判定は一個二個の個人の判断によるべきでなく、
少数人の主観によって決定さるべきでない
また昨年八月一日の中国共産党の宣言を入手した蒋介石は側近者より成る特別の集会席上中国共産党は一切の党派、一切
の軍隊と共同戦線を結成せんとしているが、余の軍隊及び余を除外している、故に余は中国共産党及び紅軍と干戈を交えねば
ならぬといったと、共産党の代弁者はいっている。後者の真偽保証の限りでないが、この二つの啖呵が共産党の抗日戦線拡大
運動と西南の抗日宣揚に対する蒋介石の肚の中であるかどうか
 満洲事変後における南京政府の対日政策は
一、欧米の勢力を利用して日本の支那進出を阻止し、更に日本の既得権をも奪い得る
二、支那の自力による日貨排斥により日本の産業的発展に打撃を与え得る
との二つの仮定を根柢としていたしかるに右第一の欧米依存主義は列国の対支干渉は自国の搾取に役立つときのみ可能で
あるが、支那の利益のみのためにはこれが不可能であるとの欧米帝国主義の本質のためと、従来の外交上の鉄則たりし「領
土の現状維持」を根幹とする世界平和の機構が全世界を支配する迫力を失ったためとの二つの理由によって、完全に失敗に終
った。しかして第二の日貨排斥は

77 :
一、支那が工場設備その他に高価な外国品外国人を使った結果生産品を過重にした
二、排日貨が主として南洋における華僑を衰退せしめ支那の国際収支を著しく悪化せしめる動因となった
三、これらの事実が支那農村の不況とともに支那経済界に破局的な結果を招来した
等によってこれまた完全に失敗に終った
 ここにおいて南京政府は従来の対日方針を転換した。即ち昨年一月二十一日当時行政院長であった汪精衛はわが須磨南京
総領事と会見して、始めて日支国交調整の意向あることを表明し、同二十二日わが広田外相の議会における不脅威不侵略の
原則表明に勢いづけられて、汪精衛は更に日本側新聞記者団を事変以来始めて招待して日支国交調整の必要を説き、次いで
二十九日の鈴木大使館附武官と蒋介石との会見となり、有吉駐支大使と汪精衛の会見となり、有吉大使と蒋介石の会見とな
って、南京政府の対日関係打開の意向を語り両国関係の改善が放送されて、支那側は日支国交の調整に驀進せんとするかの
概を示した  南京政府はこれらわが出先当局との会見において、対日国交調整のゼスチュアを高調したのみならず、これらの
会見によって得たる日本側の意向、即ち日支国交調整をはかるには、先ず支那側より排日排貨を徹底的に解消することより着
手されねばならないとする主張に応じて、左の如く支那における排日抑圧の処置に出た
一、二月二日蒋介石は排日運動を断然抑制すべき旨の談話を発表
二、二月二十日南京政府は排日的言論を禁止すべき旨の布告を発した
三、二月二十八日国民党及中央党部宣伝部長邵元沖を辞職せしめ後任として葉楚●を任命し、従来排日運動の裏面における
指導者たりし中央党部宣伝部を大改造した
四、三月十五日国民政府は当該当局に対して排日的教科書の改訂を命令した
かくして南京政府は、兎に角表面においては、対日国交調整に乗り出す決意あるかの如き態度を示したのであった
 当時わが国の各方面では、南京政府のかくの如き態度に対して二つの観測が行われた。即ち一つは南京政府のこの態度は
わが対支進出を喰い止めんとする苦肉策によるものであって、真に国交調整の意図を有するがためではないとするもの、一つ
は這は南京政府の覚醒を意味するものであり、わが国としてはこの機会に国交調整に応ずべきであるとするものであったしか
し南京政府の真意は何れにあったにしろ、対外的には欧米の力によって日本を牽制せんとしたことが失敗に終り、対内的には
日本との対立を続けることにより支那は崩壊の外なき現実的事情の前に立って、自発的に転換を余儀なくされたものとみること
が出来る。言いかえれば、事変後支那は抗日政策を強行してみたが、結局日本を度外視して支那の存立を図る能わざることを
自覚した結果、この対日調整策に出たものとすることが出来る(つづく)(写真は記念週で演説する蒋氏)[該当写真なし]
外交方針表明
 蒋介石を中心とする南京政権は爾来一年半、その間依然この対日国交調整をはからんとする態度を続けて来たことは、表面
においてはこれを看取することが出来る。即ち昨年十月日支両国間における経済情勢の共同調査並に両国間貿易の促進を図
るために日支両国の財界人をもって「日華貿易協会」の設立を見、昨年十一月の国民党第五次全国代表大会には対日国交調
整の原則を決定し、本年七月の第二次中央全体会議においては更にこれを具体的に決定した。
 蒋介石は昨年十一月十九日の五全大会第四日の席上、外交方針に関する演説をなして
国際間の離合友敵関係を決定するには全般的国家の盛衰及び全般的民族の利益をもって対象とすべく、一時の感情及び局部
的利益をもって対象としてはならない、その間の権衡緩急比較軽重は政策を決するもので這は責任を有する政治家の守るべき
規範である、吾人が自暴自棄となり自立自強することが出来なければ今日の友邦は皆明日の敵となる、吾人が若し自立自強
すれば今日の敵も明日の友とならざるを得ない、吾人はこの国難の際ただ自助自求に努力するのみ
と強調した。しかして蒋氏は一国の改革過程にあっては対内外工作の大半は既存の利害関係と衝突し又はこれに変化を発生
し、これがために阻止と誹謗は必然であるとして、これに処すべき点として

78 :
一、国家の中心基礎工作を完成することを絶対的共同信条とすべきで一時の利害の衝突に拘わっていてはならない
二、国際関係は瞬息万発、全国上下は堅実な共同信仰をもち責任当局は即断的権能を発揮して始めて危を転じて安となすこと
が出来る
との二つをあげた。かくして蒋氏は国内に対しては健全なる改善をなし、友邦に対しては誠実をもって当れば必ず内外諒解の日
が来るといい、全般的国家と民族的利益とを主要対象とすべく一切の枝節問題には最大の忍耐をなすべきであるといい、最後
に例の有名な言葉―和平は未だ完全なる絶望に達せざるをもって決して和平を放棄せず、犠牲は未だ最後の問題に達せざる
を以て決して犠牲を軽言せずと咆哮して言葉を結んだ。
 南京政府は右の決議によって日支関係の調整に当るべく、昨年十二月二十七日丁駐日代理大使をしてわが当局に対し、日
支間打開のために南京において日支両国委員よりなる日支国交調整会議を開きたき旨を協議した。わが方ではすべては排日
抗日の絶滅の後でなければならぬこと及び会議の議題範囲を先ず決定すべきことを求め、一方わが駐支大使の更迭が頻々と
行われたため、これらの交渉は何等進捗を見なかった。ただこの間本年五月二十五日、中央記念週に際して外交部長張群が
外交演説をなし、南京政府の対日方針を右五全大会の決議よりは一歩進めて左の如く説明した
一、日支両国は相提携せねばならぬ
二、日支両国が急速に国交の調整を図らざれば両国にとりて不利なるのみならず東亜の和平は甚大なる影響を受ける
三、余は充分の決心をもって両国の関係を整調せんと努力しており日支間には友好と厭怨とあるが自ら和平の途がありと信ず
るから両国の責任当局は互にその立場を諒解して最大の努力をせねばならぬ
四、両国の福利を増進し東亜の平和を強固ならしむることを目的とするものなら支那は協力を惜しまず互恵平等及び相互の主
権を尊重するものなら国交の調整に一層効果的である
 南京政府はかくて対日国交調整の意向を漸次具体的に表明したが七月十一日から開かれた二中全会において張群の外交
報告及び蒋介石の説明によって更に左の如き諸点を明らかにした
一、最近の外交は昨年の五全大会の決議に基いて遂行された
二、日本の対支政策動向に関し昨年末と現在とを厳密に比較するに外交はなお運用の余地なきにあらずと確信する
三、凡そ中国人は何人も救亡の要は知っているが如何なる手段をもって救亡すべきかが最も重要なことであって明白なる限度
をもって国策決定の標準とせねばならぬ
四、この限度とは領土主権の完成保持であって如何なる国家がわが領土主権を侵擾しようとも我々は絶対に容認せぬ、我々
は領土主権を侵害する協定には絶対に調印せぬ、更に明白にいうなら或る国が我々の欲せぬ国家の承認というが如き領土主
権を侵害する如きことを要求し来るときこそ我々の容認し得ないとき即ち最後犠牲のときである
三原則の応酬
 南京政府の表面に現れた対日国交調整の意図に対して、わが国では種々の観測が行われたが、これまた表面現れたところ
によると、わが対支外交は大体この南京政府のゼスチュアに対して、南京政府の真意を確めること及び日支国交調整の基礎工
作に着手し解決可能の問題から解決を図ることの二つに向って進められた観があった。昨年の一月恰も南京政府の対日調整
を初めて口にせる頃と時を前後して、時の広田外相は対支不脅威不侵略の原則的根本方針を宣明し日支関係の常態化のた
めに外相は強鞏なる決意を有することを表明した。しかして同年九月、広田外相は蒋作賓駐日大使に対して、わが対支方針の
根本原則として大体

79 :
一、支那における排日抗日の徹底的根絶
二、日満支三国の政治的経済的提携の実行
三、北支及び辺疆における赤化共同防衛
の三項よりなる所謂対支三原則なるものを提示して、支那側の承認を促した
 この対支三原則に対して、蒋介石は昨年十一月二十日わが有吉大使と会見した際
三原則には同感である、ただ細目的条項についてはなお研究中で即答する訳には行かぬが、平等互恵及主権不可侵の原則
に基く限り余も反対する理由はない
と述べたといわれ、本年第六十八議会の外交演説において、広田外相はこれに言及して
一、この政策は今日まで充分の成果を収めなかった
二、三原則は支那側も充分諒解してこれに賛意を表し、更に進んで最近にいたって右三原則の趣旨に則り日支親善提携の交
渉を開くべきことを提議している
と言明した。然るに南京政府は一月二十二日右広田外相の演説に関して声明を発表し、左の如く支那が三原則に賛意を表し
たことを否認した
一、広田外相は所謂三原則につき同意を求めたが国民政府は第三項は抽象的で討議し得ないから具体的内容の提示を求め
た、日本政府は今日にいたるまでこれを提示していない
一、広田外相は国民政府が三原則に同意したと言明したが事実相違である
しかして南京政府はこれに引続いて一月二十五日再声明をなし、三原則の内容を具体的に説明されんことを要望し、判明せば
権威ある責任者をして交渉に当らしむべく要するに現在では、三原則を全部承認した訳でもなく全然承認しないという訳でもな
いと宣明した
 かくてわが対支三原則は南京政府より具体的説明を求めたまま、支那側の提議せる日支国交調整会議は日本側よりその議
題範囲の説明を求めたままの停頓状態において約半歳を経過し、この停頓状態の中へわが新大使川越茂氏が六月末赴任し
た訳であるが、この客観情勢の下において、同大使が如何なる方法により日支関係調整の折衝を行わんとしているかについて
私の観たところによれば、
一、支那を利し日本を利する問題から先ず着手してみる
一、先ず経済的な問題にこの両国を利するものがあると思うから経済問題から話をして見たい、特に北支那の経済開発には最
も両国を利するものが多いから北支の経済問題から着手してもよい
一、経済提携の目標としては、農作の改良、交通機関の発達助成鉱山資源の開発、その方法としては先ず支那が資源資本を
出して日本がこれに材料技術を提供する等は最もよいと思う
というところにあり、若しこれをしも南京政府が否定せば、その他如何なる問題においても、日支提携の可能性はないばかりか
、両国関係は打開されないとしているようである
 ここにおいて吾々は日支外交当面の焦点をみることが出来る。即ち南京政府は常に日支国交調整を口にし、今日にしてこれ
を図らざれば日支両国に甚大なる不利を招くのみならず、東亜の和平に大なる危機を招来するとまで強調している、しかして如
何なるものから着手すべきかについては
一、両国の福利を増進し東亜の平和を招来する問題
一、相互平等、主権尊重を原則としこれに牴触せざる問題
をあげている。川越大使の意向と南京政府の意向とを照合すると
一、北支の経済開発は、単純にみたところでは両国の見解が一致し得る、その他の経済提携も或る程度進捗する可能性があ
るかに見える
一、南京政府が満洲事変により将来されたすべての事象をわが国の支那主権侵害なりとしているなら(かく看做していることは
以上の南京政府の意思表示に現われている)これらのすべての問題の解決は出来ない
というところが、両国外交当面の焦点とみることが出来る

80 :
欧米依存主義
 この日支外交当面の焦点が、今後如何に進展するであろうかを展望する前に、是非考慮を払わねばならぬ三つの事実がある
。一つは南京政権の欧米との依存政策、一つは対日戦備の拡充、他の一つは近来著しく変化しつつある支那各方面の対日感
情の尖鋭化である
 南京政府はさきに英特使の援助によって幣制改革を断行し、現在においては支那の幣制は事実上英貨にリンクされている、
また南京政府はさきに陳光甫をアメリカに特派して支那の幣制維持に関するアメリカよりの経済援助を求め米支間に所謂銀協
定を結んだ。更に蒋介石はイタリーより航空教官をドイツより野戦陣地教官を、アメリカより戦術教官を多数入れ、これらの諸国
から多くの武器を輸入している。殊にドイツとの間には今春以来ベルリンにおいて、駐独支那大使程天放と独国防省当局との
間に軍需借款交渉の結果、これが基本協定成立し、独同省附ライヘノン中将は去る六月二十二日来支、南京政府との間に右
協定の細目交渉を開始したと報ぜられている、またロシアとの間には昨年来露支攻守密約の締結が伝えられ、最近語学教師
の名の下に、ロシアより多くの陸軍教官が陸軍大学始め主要学校に招聘されている。
 独支軍需借款協定成立に関しわが出先当局より南京政府に警告したるに対し、七月二日外交部亜洲司長高宗武がわが雨
宮南京駐在武官を訪問して
一、独支間には約一年前バーター制による一億元借款協定成立せるも未だ実施していない
一、協定の内容は支那から原料品を輸出し、ドイツから主として機械類及び工業品を輸出することになっている
一、ドイツよりの輸出品のうちに兵器は含まれていない
旨を回答したが、基本協定の内容として一般に信ぜられているものは左の如きものである。
一、支那からドイツにウルフラム桐油、落花生その他の原料品を供給す
一、支那が四年乃至六年に亘って供給する右原料品の代金をドイツは一億元を限り前払する
一、右前払の一億元は現金で支払わず精製品殊に軍需品、電気機械をもって支払う
一、右協定の細目は南京にて協定する
しかして右軍需品のうちには航空機、高射砲、大砲、戦車を含んでいるといわれている
 ロシアとの間にはかねて露支密約の締結が伝えられた、わが川越大使はかくの如きものは存在しないであろうといっているが
、本年五月西南との合作問題について広東を訪問した孫科は、南京政府は五全大会以来抗日を着々行っていること、これを徹
底せしめるためには支那単独であるよりもロシア英米を引込む必要あり、自分と馮玉祥及び于右任も献策によって陳果夫はこ
の使命を帯びて入露したものであることを語ったといわれ露支密約については、協定は本年一月南京において調印されたとい
い、その内容として左の如く言明したと伝えられた
一、外蒙新疆において支那はロシアの特殊権益を認む
一、右代償として露支共同して日本に当ることを約す
露支密約の存在は今日なお最後的に立証はされていないが、昨年十月二十五日南京において、駐支ロシア大使ボゴモロフ及
び孫科を会長とする「中俄文化協会」が組織され、これが上海のロシア大使館総領事館、極東商船隊上海代表店全連邦石油ト
ラスト上海出張所、モスクワ人民銀行上海支店、全露中央購買組合上海支部、ソ連邦国営電報通信社上海支局その他の各機
関とともに、文化的経済的においてのみならず、漸次政治的に活動しつつあり、支那側またこれと協調していることは否定出来
ぬ事実である
 本年七月の国際連盟総会において支那代表郭泰祺は、太平洋集団安全保障に関する提議をなしたが支那のこの提議は、露
支二国を中心としこれに仏及び英米を引入れて結成せんとする対日共同戦線を意味することは、わが国に提議していないこと
及び事前に露支間に右折衝が行われたとみられる点において明らかである、駐支仏新大使は七月五日上海に着任したが、恰
も駐露大使顔恵慶及び同大使館附武官唐文蔚が同時に帰国して上海に在ったということ、上海仏租界では最近共産党の取締
を緩和したということは、共産軍賀蕭部隊に外部から供給された武器は雲南を通過したという事実とともに、仏露支三国間の所
謂太平洋安全保障問題に関する消息の一面を裏書きするものである。

81 :
 南京政府をしていわしむれば、かくの如き欧米諸国との関係は、各国との修交上当然のことであって、これのみをもって支那
は欧米に依存して日本を排撃するものであることにはならないというかも知れないが、当然であるというこの事実さえも、南京政
府は日本との間には敢て実現しようとしないわが陸軍教官招聘についても、現在外国教官は満員であるとの理由で実現しない
のであるが、語学教官の名で招聘された多数のロシア陸軍教官は「満員」となった後に入れられたものである(つづく)
着々対日戦備
 蒋介石は昨年十一月の五全大会に前後して一大対日抵抗線の構築を計画し、前述の如く英米独伊各国より招聘した陸軍武
官を使用して直に実現に着手し、爾来約一億円を投じて既にその大半を完成し本年十一月までにすべてを完成することになっ
ている。その内容について見ると
一、満洲、北支からする日本の南進に対抗するために先ず山東省の海州、徐州から河南省の開封鄭州、洛陽、潼関を繋ぐ線を
第一線とし、大体黄河の南岸に沿うて砲塁、トーチカ、砲台、飛行場等を始め、満露国境における露国の陣地にならって強力な
トーチカを無数に構築し、この線に中央軍の精鋭を集中している
二、次いで上海から宜昌にいたる揚子江の線を第二線とし、この間を数十区に分って各区に砲台防御陣地を築いている
三、海岸線にありては日本の上陸作戦想定して海州から福州にいたる山東、江蘇、浙江、福建四省に亘る海岸に抵抗線を敷
き主要地数十個所に近代的砲台を構築している
四、揚子江、銭塘江の河口に備えるために江蘇省の南道、浙江省の温州、●波を中心に掩護要塞を築いている
五、揚子江線にありても特に南京と漢口に重点を置き、南京を中心とする一帯を首都防衛区として獅子山砲台を始め市周囲の
高地を悉く軍事根拠地とし、近代的要塞をもって固めている
 蒋介石のこの日本を目標とする大規模の戦備は、いうまでもなく蒋に日本と一戦を交えることあるべき決意の存することを物
語るものである。常に対日国交調整を高調し、日支関係の調整は支那百年の大計であるという南京政府が、その反面において
対日戦のためにかくまで積極的準備を進めているということは、一見頗る奇異であろうが、近来支那一般の対日観念が、従来
の党部その他の使嗾による観念的抗日から民族的信念に基く具体的抗日に転化しつつある事実と併せ考えると、南京政府の
この対日積極戦備のよって来るものが略想像され得るのである。
 一両年前まで支那一般の対日感情は、大体において、日本との提携に反対するものと日支両国の平和のために日支提携す
ることは最も必要なことであるとするものとに分れていた。反日政客並に共産党の如き作意的反日分子とこれらによって躍らさ
れているもの及び純然たる自由主義者等は前者に属し、所謂親日分子、政略的親日家と、日支両国の関係を真剣に考える極
く一部のものとが後者となっていた。しかし支那一般の対日感情のこの分野は、最近著しく変化した。変化して対日提携を考え
たものの範囲が頗る狭められ、しかも極く少数の曾ての対日好意者であったものまでが、日支提携は希望するところであるが、
現在の事態は、このままの情勢ではこの上に日支提携の何ものも建設されないまでに悪化してしまったとするものが甚だしく多
くなった。
 私はこんどの旅行において、一般支那人の対日真意を知ることにもつとめたのであったが、この努力によってこの一両年来頓
に変りつつある支那の対日感情にふれて驚いたのであった。私は上海、南京において、大体現在支那の堅実なる民衆の意向
を代表し得ると思われる社会の三つの部門に働く三人と会って、互の肚裏を語り合ったのであるが、教養あり見識あって、しか
も日本に対して悪意をもたぬこれらの者が総て、結局日支関係の打開は現状をもって推移したら如何にしても期待出来ないと
信じていることを知った。そしてこれらの者は現在支那一般の対日感情は、一両年前までの観念的雷同的な反感から、具体的
な民族的な抗日意識にまで進展していることを挙げ、日支両国民がこの状態で一日経れば一日苦しみを続けるのみであるとい
って、現在のこの状態を打開するには結局日支両国の戦争によるより外ないとまで極言するのであった。

82 :
 現状に耐えられないから戦争に訴えるということは、自暴的な投げやりを思わせるのであるが、国と国との関係はえて個人と
個人との関係におけるよりも一時的な感情により自暴によって重大なる局面を展開するものであり、しかもこれを口にするこれら
の人達には真剣さの外自暴的な何ものも認められないのであった。しかし私は教養あるこれらの者に、対日戦争なるものを支
那として真剣に考慮するということに疑問をもつことを語ったのであるが、これに対して彼等は戦争の結果日支両国がどうなる
かそれはわからない、しかし現在の状態では日支間に日本の希望するような大きな政治的取引は民族的感情において絶対に
出来ない、一日戦争によって両国関係を根本的に清算した後においてならば建て直しが出来るかも知れないというのである。(
つづく)
北支経済提携
 支那一般のこの対日感情、南京政府が依然強化することにつとめている欧米への依存、しかも南京政府が多額の国費を費し
て進めている対日決戦準備、この三つの上に立って、日支関係は未だ最後のどたん場に来ておらず、なお努力を払うべき余地
があるといっている南京政府の真意を打診すると、大体次の如くこれをみることが出来る
一、日支関係はなお調整絶望の域には達していないと信ずるから打開の可能性あるとみられる部分について最後的折衝を行
ってみる
一、若しこの最後的折衝が不調に終らば最悪の場合を覚悟する、この場合に処する準備として欧米との関係を強化し対日戦備
を整える
しかも南京政府の打開の可能性ある部分とは、さきにあげたように支那における日支経済提携特に北支における経済提携で
ある。
 かくして南京政府は、北支における日支経済提携工作が日支関係の破局を喰い止め得るか否かの最後の希望であるとして
、これが不調の場合の準備を進めており、一方わが川越大使も、この北支工作の成否が日支関係の将来を決定するバロメータ
ーであるとして、これが不調に終らば、その他すべての日支懸案の解決は不可能であるとしている、近く行われる川越大使と南
京当局との外交折衝には、両国とも細心の注意をもって右の点について先ず口火を切るであろうが、果してこの北支工作が日
支両国関係の破局を喰い止める繋りとなり得るかどうか、私はこれに対して少からぬ疑問をもたざるを得ないのである。
 北支経済提携の具体的方法に関し川越大使の抱く見解によれば日支双方利害の一致点に立って棉作の改良、鉄道の敷設
、鉱山資源の開発より着手すべく、支那側が資源資本を提供して日本側が技術材料を提供するというのであるが、表面実現甚
だ容易にみえるこの方法にも二つの困難が免れない、今日の支那が外国の力を借りて資源を開発するには
一、外国の力を利用しただけその事業に外国の政治的勢力の入り込むことを認めるか
二、純経済的方法においてのみ外力を利用すべくこれに伴う政治的勢力を飽くまで拒否するか
の二つのうちの何れかを先ず決定してかからねばならない、いうまでもなく今日の支那は、右第二の純経済的立場乃至方法に
おいてのみこれを行わんとするであろうが日本はそれで満足し得る筈がない支那が純経済的立場を固執し、日本が政治的勢
力のこれに伴うて加わることは已むを得ないとの方針をとるとすれば、最も可能性あり最も容易になし得るものとして選ばれた
北支経済提携においてすら両国の希望するところ既に一致し難いのである。
 つぎに支那が資源と資本とを出して日本が技術と材料とを提供するということは、爾く容易いことであるかどうか、支那に土地
と資源はあるが、これが開発及び開発のための技術材料に充つべき資本は何もない、最近の端節季における支那各銀行の農
村投資総額は僅かに一千五百万元であって、しかもこれら殆ど全部が、農村の建設的資金に投資されたものではなくして、金
融組合その他を通じてなされた農家の喰い繋ぎその他不生産的に消費された資金である、川越大使は日本から時に出資して
もいいといっているが、この現支那の客観情勢下において、満洲に対してすら逡巡している日本の小心にして豊かならざる資本
が、活溌に進出しようとは期待されない、すべての事情からみて満鉄にもわが政府にも多くを期待することは出来ない。

83 :
 支那の欧米依存が非難されるが若し蒋介石が「では日本に頼るから助けてくれ」といって、飛行機で東京に乗りつけて坐り込
んだら、直ちに応じ得る具体案を果して日本が有しているかというのだ、何も有ってはいないだろう、蒋介石はそんなことはせん
だろうからよいが…とは、私がこんど支那のある少壮人から聞かされた冗談であるが、私は聞き流すことの出来ないものを感じ
た。
 ここにおいて日支関係打開に最後の希望を捨てずという蒋介石が先ず北支の経済提携のために、以上の青年支那の半植民
地的地位から脱せんとする希望をも押して、兎に角北支では日本の政治的勢力の加わることを已むを得ずとして経済提携の実
現を期するかどうかわが国から必要の資本を持出し得るかどうかとのこの二つが、北支における日支経済提携の岐路をなす訳
であり、延いてこれが日支関係の最悪の場合に赴くを喰い止めに得るかどうかの決定点となる訳である、若しこれが日支関係
の難局を喰い止める繋りとするに足らないとすると、蒋介石がかねて決意し、川越大使も暗に万一の場合として想像しているよ
うに両国関係は最後の最悪の場合、即ち「戦争」に進展しないとは保し難いことになる、しかし何とかならぬものだろうか。(つづ
く)
重大なる岐路
 日支両国が最も可能性あるとして、唯一の望みをかけた北支経済提携に、既に以上の困難があるとすると、これをそのまま
に放置せば、最悪の場合に進展するより外ないであろうが、戦争によらずして、何とか他に打開の方法がないものかどうか、私
は以上に述べたような支那の対日感情、このままでは両国関係に何等の建設もなし得ないような状態に進んでいるという情勢
から見て、しかも北支における経済提携にも既にかくの如き困難が免れないとすれば、現在のこの日支両国の関係に、何等か
の革新的な転換を与えることによって、打開が講ぜられるかどうかについて、最後的な考慮を払って見る
 日支関係最大の目標とされるところは
一、排日運動の廃止のみならず排日感情の廃除へ
二、擬装親日から真の親日へ
三、経済的提携のみならず政治的提携へ
の三つに尽きる、今日支那の反日感情は前述の如く頗る深刻なものがあるが、このわが対支政策の最小限界を理解することに
よって、支那人の対日感情は或る程度緩和され得るものであると思う、私はこれについて一日少壮支那人と語り合った際
満洲事変以来実現された既成事実とこれを繞るわが大陸工作は日本として断じて変改出来ないものである、これは日本全国
民の信念である、満洲の匪賊の中に、一、二の日本人があるとか、一部左翼崩れが支那に同情してわが政策を非難したとて、
これをもって日本国民がわが大陸政策を支持していないというが如きはとんでもない認識不足である、このわが全国民的信念
は、吾々が支那の深刻な対日感情に想いを致すと同様に支那の知識階級もどうしても考慮を払わねばならぬ点である、これを
しもその感情の上から否定して日支外交を論ずるとしたら、大学生の排日論文とかわらないと
話したものである。南京政府当局にもこの点に対する認識が疑われる点がある、支那がこの認識をしっかり把握することが第一
に必要である
 次にわが対支外交の革新的政策を示すことが必要である、これが内容としては
一、日本が支那に求めている最小限度のものは何か
二、日本が支那に与え得る最大限度のものは何か
の二つに分け得べく、私はこれについて、わが対支外交の限界として左の如きものを挙げ得ると思う

84 :
の三つに尽きる、今日支那の反日感情は前述の如く頗る深刻なものがあるが、このわが対支政策の最小限界を理解することに
よって、支那人の対日感情は或る程度緩和され得るものであると思う、私はこれについて一日少壮支那人と語り合った際
満洲事変以来実現された既成事実とこれを繞るわが大陸工作は日本として断じて変改出来ないものである、これは日本全国
民の信念である、満洲の匪賊の中に、一、二の日本人があるとか、一部左翼崩れが支那に同情してわが政策を非難したとて、
これをもって日本国民がわが大陸政策を支持していないというが如きはとんでもない認識不足である、このわが全国民的信念
は、吾々が支那の深刻な対日感情に想いを致すと同様に支那の知識階級もどうしても考慮を払わねばならぬ点である、これを
しもその感情の上から否定して日支外交を論ずるとしたら、大学生の排日論文とかわらないと
話したものである。南京政府当局にもこの点に対する認識が疑われる点がある、支那がこの認識をしっかり把握することが第一
に必要である
 次にわが対支外交の革新的政策を示すことが必要である、これが内容としては
一、日本が支那に求めている最小限度のものは何か
二、日本が支那に与え得る最大限度のものは何か
の二つに分け得べく、私はこれについて、わが対支外交の限界として左の如きものを挙げ得ると思う
一、先ず排日の徹底的廃止、真の親日実現、経済的政治的提携の実現
二、次に支那を繞る列国政治機構の建て直し
三、支那国内建設に対するわが国の積極的指導援助
即ち支那側の自発的徹底的親日転向を前提として、先ず九ヶ国条約の廃棄、支那の更生に障碍となっている列国との条約の
廃棄、治外法権の撤廃、内河航運業の合弁経営への引直し、支那農村更生に対する積極的実施等が、支那側の態度一つで
は、今日のわが国としては為し得ることであると思う

 九ヶ国条約は支那を植民地視せる観点において締結されたものにして、支那の独立と主権はこれによって保持されているか
の如きものであって、支那が植民地的地位から脱却するために、これが先ず取除かるべきものである、治外法権の撤廃もそう
である、今日のわが実力は、活動の自由、公平なる競争、生命財産の保障さえあらば何等の特権なくして対支発展を期し得る
状態にあり、更に進んで各国によって旧く縄張りされた現状を打破して行くことがわが利益たり得るのであるから政治的友好関
係さえ確立せば、支那における治外法権は撤廃し得るものである、支那農村更生に対する工作においても、支那はわが技術
員を入れることによって、欧米の技術員を入れる半額の費用をもって足る筈である、これらのわが最大限界を具体的に提示して、この誠意ある革新的政策に対する支那側の真に偽らざる積極的方策を促すことは、日支関係の愈々行き詰った局面に展開を
与えると思う
 しかしながら、現在のところではわが川越大使は、大使の一人や二人変ったとて何も急に変ったことがやれるものでなく、要
は国民全体の気持、力によってなされるより外ないといい、外交はカレンダーとは違い一枚めくったからどうなるというものでは
ないといって、これら大きな革新的政策に出ることを戒めている一方蒋介石も亦主権侵害を意味する或る種の承認を求めて来
たら吾々の最後の希望を放棄する時であるといって革新的決意なきを思わしめている、ここにおいて私は結論として、日支外交
は今重大な秋にあり、しかもこの気運の中にやがて両国関係を最悪の場合に導かんとする可能性が多分に動いていると見る
のである(完)

85 :
支那全土に漲る猛烈な抗日熱
蒋介石氏と直接会談するも国交調整殆ど絶望
南京【七日】松本本社特派員発
川越大使と蒋介石氏の会見がいよいよ八日中に行われることになったため上海事件以来息詰るような緊張を続けて来たわが
出先当局は最悪の場合が予想された日支関係がやっと外交解決の軌道に乗ることになったとはじめて楽観の色を見せ日支開
戦説おびやかされた在留邦人も安堵の胸を撫でおろしているが広東で蒋介石氏の北上を見送り蒋介石氏に先廻りして南京に
駆けつけ冷静に川越、張群交渉の経過や支那側の動向を探求して来た記者(松本特派員)には歴史的に重大とされているこの
川越、蒋介石の会見も抗日の国の檜舞台で行われる一時ごまかしの猿芝居にほかならないような気がしてならない
 少くとも川越大使、蒋介石氏の会見が一触即発の危機にまで押しつめられている日支悪関係を清算して親善関係を招来する
スタートとなるものとは到底考えられない、それほど支那全土を包んでいる抗日の空気は濃厚であり日本側が相手としている国
民政府全体が抗日意識で凝り固っているのである、記者が久し振りに南京の土を踏んで驚いたことは南京全体が持つ対日感
情が支那随一の排日都市と称せられている広東よりもさらに熾烈な抗日意識であることである
路傍にたむろしている車夫、馬丁らの日本人を見る目を見よ、演習帰りの汗みどろの支那兵隊の顔を見よ、面上に溢れている
のは抗日を通り越した烈々たる対日敵意なのだ、旅の日本人が市内風景をカメラに入れようとすれば、何処からか武装した憲
兵が忽然と現れ眼を怒らせてそれを阻止する、記者が支那要人を訪問せんと役所におもむけば厳重に門を衛る憲兵の訊問態
度はまさに敵国人扱いである市街を歩くと至る所で憲兵につかまり、行方を訊問され、その都度名刺をとられる、日本人を嫌が
らせて行動を束縛しようとするのだ日本を相手に抗日根絶、国交調整を談じている国民政府要人の膝元である南京でさえ抗日
状況はかようである、他の都市は推して知れよう、この南京に不祥事が勃発しないのはちょっと不思議であるがそれは南京が
首都で官憲の取締りが行届いているのと在留邦人が僅少でしかも各人が危険に怯えて出来るだけ外出を差控え、家に閉じ篭
もっているためにほかならないだから南京と離れた上海、漢口、成都、北海等の各都市に日本人殺害の不祥事件がつづけさま
に勃発したのは当然で、寧ろその件数の少きを異とすべきである
 南京までが抗日都市と化してしまったのはここに国民党部と政府とがあり、そこに蟠居している役人が一人残らず抗日の権化
となっているためである、馮玉祥氏、孫科氏など札附の親欧米派要人が抗日の急先鋒で今度の交渉に際し堂々対日戦争を謳
っているとはすでに周知のことであるが抗日意識に燃えているものは決して彼等一味だけではなく、蒋介石氏をはじめ張群、張
公権、呉鼎昌氏などのいわゆる親日派の連中も一皮剥げば抗日の点において欧米派と何等変るところがないのだ、記者は根
拠なしに人を断ずるのではない、張群氏らのいわゆる親日派なる人人も内実は立派な抗日派であることをこんどの日支交渉で
スッカリ暴露されてしまったのだ、こんどの交渉の劈頭、須磨南京総領事が公正な日本側の要求条件を提示した際支那外交部
首脳者達は口を揃えてこれは期限を附していない最後の通牒ではないかと叫び、極度に憤慨した事実や、国民政府部長中最
も日本を理解しているといわれている鉄道部長張公権氏でさえ須磨総領事から七時間にわたって抗日根絶の必要を説かれて
も遂に心底から納得同感しなかったという事実を見ただけでもいわゆる親日派なるものの正体を知ることが出来よう
南京における支那側の情勢すでにかくのごとし、川越大使、蒋介石氏の会見の結果蒋氏が日本側の要求を容認するとしてもそ
れは蒋氏がこの際日本と戦争することを不得策と打算した結果無念の歯を食いしばっての承認であって、戦争を避け事態を一
時緩和するに役立つかも知れないが日本が国を挙げて要望している日支国交調整へのスタートにはおよそ縁遠いものであるこ
とを今から承知して置かねばならない

86 :
横行する抗日映画 根強い華僑と英国の勢力 岐路に立つ泰国を観る
サイゴンにて西島特派員発 バンコック空路
サイゴン、バンコック間は、日航の定期便が毎週一回往復している。その所用時間僅に三時間、サイゴン、ハノイ間の五時間に
比べて大分短い。サイゴン飛行場を正午出発した旅客機は、針路を直ちに西北に取り、やがてドン・ムアン飛行場に着く。サイゴ
ンに比べて猛烈に暑い。飛行場から、仏印内地の自動車道路に勝るとも劣らぬ坦々たる舗装道路を疾駆すること三十分、寺院
の尖塔が見えたかと思うと、もうバンコック市に入っている。
新興泰国の相貌
サイゴンやハノイは、フランス式のこぢんまりした瀟洒な都会であるが、暫くいるとすぐ□をぶっつけてしまう。これに反してバンコ
ックは人口も百万に垂んとする大都会で、その規模も遥に雄大複雑だ。泰国の財政の大半は、この首都の経営に注がれてい
るといわれるだけに、王宮や寺院の輪□の美はいうにおよばず、メナム河に架せられた近代式橋梁、大理石造りの議事堂、我
が馬場先門の凱旋道路にも匹敵するラヂヤダムヌンの大通り、ルムピユ公園やアムポン公園の風致、各国□□□□□映画館
の櫛比している泰国銀座のチヤランクルン街、独得の縄張をはっている繁華な支那人町、外国公使館の軒をならべた瀟洒な住
宅地区のサトーン、さてはメナム河のフローチング・マーケット(□上市場)など仏印の諸都市に比□て変化は無限である。街全
体の感じが明るく広々としている。
中央官庁街を中心に、盛んに鉄筋コンクリートや煉瓦建のビルヂングが建てられている。ラジヤメムノン通りの如きは、一年前
は両側に並木のある風趣に富んだ静かな町だった。ところが一朝泰国政府は、この通りの両側を近代的建築で埋る決意をした
。その青々とした並木は□くひっこ抜かれ、五十間幅の舗装道路に拡張され、両側にコンクリートのビルヂングをどしどし建ては
じめた。一年後の今日では、泰国人が『東洋一』と自慢するだけの堂々たる表玄関と化してしまった。
新生活運動
バンコックは仏印ほどの湿気がない。日中は猛烈な暑さで、目も□くばかり太陽が照りつけるが朝晩はかなり涼しい。
泰国人はカムボヂヤ人と同系統の種族で、安南陣と異って骨格もたくましく、生活力も極めて旺盛であるだけ、一面楽観的で且
つ享楽的だ。夜ともなれば挙って映画に、ダンスに心から打興ずる。南国的な享楽紀聞は、仏印よりも泰の方が強い。
ピブン首相は新興泰国に国粋主義を鼓吹すると同時に、新生活運動を提唱し、ともすれば安逸に流れ易い泰人の生活改善に
力を入れている。仏印では半袖半ズボンの服装が通例で、フランス人は割合に服装を喧しくいわないが泰国ではイギリス人の
勢力が強いせいか、猛暑の中でも、官庁や商社では、背広に長いズボンを着用せねばならない。ネクタイもキチンとつけねばな
らない。記者はバンコック到着早々、移民局に出頭したが、その門前で守衛から上衣のボタンをかけるように注意された。
この新生活運動は中々厳重に励行され、飲食店なども、十二時過に営業していると、巡査が廻って来て咎める。映画館やダン
スホールでは、最後には必ず、満場起立のうちに泰国国家を吹奏し、映画館では泰国幼王の肖像に対して敬礼をせねばならぬ
。この慣習はそれまでの享楽気分を一ぺんに払拭して、気持のよいものだ。
華僑と抗日宣伝
泰国は南洋における華僑の根拠地ともいわれ、在留支那人の総数は五百万に垂んとし、財界における華僑の実力は牢固たる
ものがある。泰国政府は華僑勢力の増大を喰い止める方策の一として、支那移民の入国に高額の移民税を課し、南支方面か
らドシドシ入って来る支那人の入国を□き止めている。しかし現在の経済界を牛耳っている支那人に対しては、容易に手がつけ
られない。
そしてこれらの華僑が陰に陽に重慶政権を支持していることはいうまでもない。重慶側の宣伝も、特に力を入れている模様で、
記者が滞在中も、支那人町の某映画館で『保□我□的土地』(我等の土地を守れ)という抗日映画が上映され、蒋介石自ら銀幕
にあらわれて民衆に訴える場面の如き、□衆の支那人を興奮せしめていた。

87 :
この重慶側の宣伝と並行して、英米側の対日宣伝も極めて露骨である。試みに王室財産で建てたといわれるバンコック随一の
映画館チヤランスルン劇場に入ってみれば、アメリカ□濠洲版というニュース映画をやっている。『対日戦備に没頭している蘭印
』というタイトルで、先ずいきなり我戦艦陸奥、長門などが太平洋を遊□している□容を複写したものがあらわれ、そのつぎに東
亜の地図を示し、北からの『日本の脅威』に対し、蘭印は如何なる戦備を整えているか、と冒頭して、説明者は、蘭印の水田の
上を縦横に走っている戦車の演習、さては飛行機、軍艦と道具立てよろしく『日本よ、何時にても来れ、ABCD陣営に備えあり』
とばかり、あてつけている。黙ってみていると腹が立って来る。シンガポール軍港やジブラルタル要塞の映画も、英国に十分の
備えありとの宣伝以外に何もない。こんな宣伝映画を毎日見せつけられている泰国の一般民衆が、日本に対しどんな感情を抱
いて来るか、想像するに難くないであろう。わが出先当局が、抗日宣伝の横行に憤慨して、泰国政府にねじこんだら『まことに仰
せの通りですが、われわれとしては取締りようがない、その代り貴国の方でもドシドシこれに対抗する映画を持って来ていただき
たい、いつでも上映の御便宜を計らいます』という返事だった。
派閥抗争の内政
一九三二年の立憲革命以来、現在に至るまで、泰国の政体は立憲君主国である。ピブン首相はムッソリーニ首相やヒットラー
総統に比すべき独裁者である、と称せられているが、泰国の政治組織が、民主主義的であり、独裁国家としての態様を整えて
いない以上、独裁的権力を執行することは不可能である。
泰国の現政権を担当しているものは、貴族階級、軍人、官僚等いわゆる知識階級に属するが、その中には、英米流の教育を受
けたものが極めて多い。一九三二年の革命に際して、ピブン現首相をはじめ百五十余人の同志が結束し(事実上連判したのは
六十人といわれる)、遂に維新の事業を成就したが、新政権の基礎が固まった今日これら同志の間に権力争い、派閥抗争が台
頭して来たといっても、決して怪しむに足りない現象であろう。親英派とか、親日派とかいう抗争を抜きにして、あるいはこの抗
争と織りまじって、現政権内部に地位の争いが激しくなって来た。この縄張争いの泥仕合がワニットの怪文書事件となったりし
て、泰国政界に一抹の不安定感を与えている事実は、何としても否定出来ない。
困難な国際的立場
従来泰国は親日的国家であると、日本ではいわれている。これはたしかにそういった傾向のあることは事実だ。東洋における
独立国家として、先進国日本の明治維新以降の躍進振りは、心ある泰国人士をして『日本学ぶべし』との信念を植付けたことで
あろう。遠くはわが国際連盟脱退当時の好意的立場から、近くは満洲国の承認に至るまで、泰国の対日感情は、極めて友好的
であったことは否定出来ない。
しかし一方イギリスが、その植民地ビルマ、マレーの隣国として、過去百年にわたって泰国内部に植付けて来た潜勢力を無視
すると、とんでもない誤解を生ずる惧れがある。プラヂット蔵相は、ピブン首相が親日派の大将であるに対し、親英派の親玉だと
いわれているが事泰国の財政に関する限り、遺憾ながらイギリスの勢力を無視し得ない。
近来泰国政府は、出来るだけかかるイギリスの桎梏から脱出しようと努力しているが、これは泰国の国粋主義的傾向のあらわ
れで、日本こそこの傾向を助長してやらねばならない。それには政治的外変的な圧力の外に、経済的な力の後援を必要とする
。いわんや近来ABCD陣営からの泰国抱込工作が頓に活発になって来たにおいてをや。
由来泰国はイギリスとフランスとに挟まれて、もがき抜いて来た。強大国に挟まれた弱小国の常として、叛服常なき態度を取る
は自国の生存上から、けだしやむを得ないであろう。

88 :
泰国は今や、東亜において取残された、唯一の自由競争市場である。日本対ABCD陣営が、政治的にも、経済的にも、この泰
国を戦場として、鎬を削って戦っている。泰国の前途こそ、東亜共栄圏の将来を卜すべきバロメーターであり、従って泰国の去
就如何は、大きく独ソ戦争の結果如何、世界情勢の変化如何に懸っているものといわねばならぬ。東亜百年の大計に鑑み、泰
国指導者が、共栄圏確立に活眼を開くべきことが要望されるとともに、わが国も監視を怠ってはならないゆえんである。(完)
対日英米提携 (1・2)
(1) 米に二つの悩み 通商条約廃棄の有する意味 日英妥結への阻碍
 時局下の日本人に取って何が一番警戒を要するかと言って、興亜の聖業にいそしむ吾々の前に東亜に於る両アングロサキソ
ン国家の提携に優るものはないであろう、これは日本として英米の共同行動を絶対的に怖れるという意味ではないが新東亜建
設の途上においてそれ自体の有つ影響が極めて厄介であり、折角の大業も無用な困難を加える虞があるからに外ならない、然
らば事実は果して何うか…天津問題に端を発する日英の東京円卓会談は、先ずその一般的原則の取極に成功し、有田・クレ
ーギー協定の覚書交換によって会談の基礎的工作は一段落を告げた
 然るに突如、会談の具体的折衝を前にして米国政府から日米通商航海条約の廃棄通告が晴天の□□の如く日本に向けて突
き付けられて来た、東京会談における原則的諒解の成立に意気銷沈していた重慶政府は「米国の正義が英国に代って日本に
制圧を加えるものである」と言って有頂点の歓喜を示し、英仏の新聞は民王々義戦線の具体的結合による日本への一大□棒
であると論じ立てた、之に対する独伊の□論はまた英米馴れ合いの芝居でないかを疑い、米国の行動を以て対日非友誼によ
る米国第三位の顧客を米国自ら失うものであると痛□した、そしてそれと同時に東京会談は治安問題の実際諒解成立に次い
で法幣並びに現銀問題において難関に逢着した、英国の態度は我然硬化したというのである
 以上の形勢は如何にも英米の対日共同戦線の結成が、先ず第一歩を踏み出した感を与えずにおかないが事実は必ずしもそ
うではないこれに就て去る六日米国々務次官ウェルズ氏は明白にその事実無根を声明して打ち消しているが、これはその儘額
面通り受取って誤りはないであろう
 日本通商関係の現実からいって四億三千万円もの受取勘定にある米国が純経済的見地から之を廃棄したと見る事は何うし
ても考えられない、多分に政治的考慮に影響されている事は勿論である、しかしながらルーズヴェルト大統領の任期満了を来
年に控えてニューディールを中心とする内政上の失敗続出を大衆の感傷的対支同情論にアップレシェートする今回の措置で巧
みに人気転換を図ったものである事は内外衆目の一致する所である、とは謂えそれが又全部でない事も事実である、然らばそ
れは何であるかというと、外にも其の狙いは対英協同とは似ても似つかぬ反対の意図が其処に含まれているのである
 由来、米国の極東外交は、殆ど例外なしにその結果に於て英国のため火中の栗を十うの類に堕していた事は隠れもない所で
ある
 「機会均等」「門戸開放」の名によって知らるる国務□ジョン・ヘイのそれにしても真実は英国の対支商権を拡大せんとする英
人官史ロックヒルの案□を其儘鵜呑みにしたものであり、旧日英同盟の廃棄にしても、欧洲大戦後勃興しつつあった米国への
御機嫌取り旁々、日本という中から米国という馬に乗り替える英国の策動に乗って議府会議の際米国自らその憎まれ役を引受
けたのであった、かかる事実は最近に於て米国朝野の等しく気付く所となって、ハル国務長官の如きも幾度か英国の玄人外交
に捲込まれる危険に就て国内□論に対する馨告を与えていたものである従って極東政策に関する限り米国の態度は簡単に対
英協同に動じ得ない情勢にあるのである
曾て英米の日本に対する共同行動として吾々に想起さるるものは、華府会議に於ける海軍協定に次いで、日本の対英米海軍
比率のバリチー要求に対し同一歩調が取られた以外、最近の関係に於て英米の共同した事実は未だ寡聞にしてこれを聞かな


89 :
 元来、英米の日本に対する圧迫協同は純粋の意味に於て共同の競争者の場合以外殆んどあり得ないのである、若し英米の
何れかが他に目的を抱いて日本強圧を勧誘しても、それは常に失敗に了った事は□に満洲事変に於いて米国の誘いに英動か
ず今回の事変に英の誘いを米受けつけぬ事実が其の一切を説明している
従って米国今回の対日条約廃棄が何を意味するかは想像出来よう、即ち東京会談によって支那に対する日英接近を抑制せん
とする所に其の魂胆がある訳である、日英東京会談に対して、少くとも米国として不満とするものに二つの点がある
 一つは法幣問題に就て英国が□歩すれば、支那に於ける金融的支配権が英国の手から日本の手に移って了う、これは現在
の法幣制度確立に際し、英米が其の支配権を握ろうとして争った揚句米国が失敗した経験からして米国は法幣の支配権を英
国の握っている事も不快としている、そうかと云って今度それが日本に移ることは矢張り面白くないのである、そしていま一つは
東京会談そのものが、事変の終結を意味するものではないが少くともそれへの予備的性質を有っているとして、昨年ルーズベ
ルト大統領が英国に対し「事変終結に際しては米国は極めて重要な地位を占める可きである」と通告しているが、今回の会談
に於ては少しも其事が問題とされていないからである
以上二つの点からこれを考えるとき、対日条約廃棄の有つ意味合いはあっさりと日英妥協の阻碍にあるということが看取される
のである、即ち以下その理由と事実に就て明日紙上にこれを解説するが、これに対して日本は如何なる策を選ぶべきであろう

(2) 執拗な和平妨害 アメリカに引摺られる英国 日独伊同盟と極東
少しく冷静に、日米通商条約の廃棄に就て考えるならばそれが日英会談に対して何等緊急的処理の効果もなく、又法幣問題に
も何等触れて居らず、結局一種の外交的強硬姿勢を見せているに過ぎない事が判ろう、それは日本に対して発せられたもので
あるが何等日本を脅威しない、驚くべき重慶の好感を博したがさりとて実質的何等の恩恵を与えているでもない、而も英国の問
題解決に何等寄与せず、其処に予想さるるものは、米国のこの強硬態度に刺戟された英国が断然対日の硬化を示すことによ
って会談の阻碍を狙ったとしか考えられない事情にあるのである、そしてこの事は左の事実を見ても明かであろう
 昨年、ヒューゲッセン大使の空爆負傷前後、英国は支那に日本との単独妥協を頻りと進めていたが、米国大統領のシカゴに
おける「侵略国隔難」の強硬論説とブラッセル(九ヶ国条約)会議招集提議によってこれを打ち壊して了った、又同年上半期にお
いて揚子江開放問題に関する英国側の対日交渉持ち掛けも、その進行途上米国極東艦隊司令長官をして突如「米国艦隊は
武力を以て封鎖線を突破せん」と声明せしめ、遂に英国をして手を引かしめるに至った、かくして更に本年の上半期にカー大使
が重慶の疲幣を見て和平斡旋方の動きを示すや、米国は突如上海租界問題に就て強硬意見を発表して其陸戦隊を率先鼓浪
□に揚陸し、以て事態を紛糾させて了ったのである、かくして今回日英会談の通行状況稍やスムースなるを見ると忽ち対日条
約の廃棄を行ったもので、その意味が依然何回も繰返えされた以上行動と何等変るものでない事は聡明な読者の諒解さるる
所であろう
かくて英米の関係は寧ろ極東に関する限りヘゲモニーを□って相対立するものと言う事が出来よう従ってその提携の可能性は
日本の出方一つによって殆ど絶望という事も出来るであろう、しかし流石に英国は米国の其手を利用する事はあっても容易に
乗せられて米国の笛に踊る事は稀である、法幣問題と現銀問題に於て、手続き上国内的困難と米仏の如き関連を有する諸国
との共同利害に於て、俄に日本に対する譲歩を決定し難い事情から、東京会談は米国の対日条約廃棄と時期を一にして停頓
の状態に入ったが、米国の意図を解する英国は必ずしも対日硬化によって会談をデッドウックに押し上げた儘打切るような行動
は執るまい
 八月四日、夏期休会を前にしてチェンバレン英国首相は、その下院において率直に英国の態度を闡明した「欧洲における情
勢は、吾人をして戦争に訴える覚悟さえ必要とするのである、この際吾人は極東において日本と争うが如きコミットメントを負うこ
とは出来ない…」と

90 :
かくて英米の関係は寧ろ極東に関する限りヘゲモニーを□って相対立するものと言う事が出来よう従ってその提携の可能性は
日本の出方一つによって殆ど絶望という事も出来るであろう、しかし流石に英国は米国の其手を利用する事はあっても容易に
乗せられて米国の笛に踊る事は稀である、法幣問題と現銀問題に於て、手続き上国内的困難と米仏の如き関連を有する諸国
との共同利害に於て、俄に日本に対する譲歩を決定し難い事情から、東京会談は米国の対日条約廃棄と時期を一にして停頓
の状態に入ったが、米国の意図を解する英国は必ずしも対日硬化によって会談をデッドウックに押し上げた儘打切るような行動
は執るまい
 八月四日、夏期休会を前にしてチェンバレン英国首相は、その下院において率直に英国の態度を闡明した「欧洲における情
勢は、吾人をして戦争に訴える覚悟さえ必要とするのである、この際吾人は極東において日本と争うが如きコミットメントを負うこ
とは出来ない…」と
然しながら日本人として更に注意を要することは、同じ英国首相の演説である
 「…そうは言え、自分も亦極東の情勢に対しては憤激している何人にも増して憤激している…」と…しかし現実の情勢から判
断して極東に於ける兵力の優劣を論じ、遺憾乍ら、此際日本と妥協して交渉による問題の解決を期せねばならないと言う事は、
若し国際情勢にして英国に自由手腕を発揮させる事情にありとすれば、何ぞ日本との妥協を要せん、従来の援蒋持続によって
、日本の疲幣を待ち、徐ろに居中調停の機会を□み、再び極東に君臨する夢を描かんとする事を意味するものである事は言う
迄もあるまい
即ち「英国の□会だにあらば…」と云う態度を背後に有つ日本として英米の接近を防止しつつこれに対等する方策を果して何れ
に求めるべきであろうか
東京会談の齎す事変への影響は今更茲に説明するまでもあるまい、同時に英米の対日共同も今日の情勢に於て直に憂慮す
可きものはないが、さりとて□世の大事業たる新東亜建設の工作に伴う日本の国際政治は、これを以て終止符を附す可きもの
でない事も勿論である
ここに於て所謂日本の対独伊関係強化と言う事が必然問題として考慮されなければならない訳である、が然らば具体的に何が
あるかと言う事になるが、それには現に問題となりつつある独伊同盟に対する日本の参加と言うのがある訳である、しかしこれ
に参加するとして如何なる用意が必要であろうか、同盟は戦争を予定するが、必ずしもそれが最終の目的ではない、其処に弾
力的考慮の払わるる余地があろうというものである
一例を挙げれば今日、日本が日独伊三国同盟を締結したとして現在極東における戦争に独伊の参加は不可能である、この事
は場所を変えて欧洲に戦争の起った場合、或程度同様の結果を見るであろう、只だ敵対国の出様如何では一切の困難は克服される所に弾力的意義がある訳であって、それは締約国独自の見解が基礎をなす事勿論でなければならない
 何れにしても、日本の進取が、今日の盟邦たる独伊との提携に深化の運命を多分に含んでいる事は吾々として特に強く念頭
に置く必要があろう、そしてこの事は、軈て東亜に強国を有つソ連に自重と、印度を穀倉とし、資力の五十三パーセントを東洋に
有つ英国の反省を求める上に於て日本に対する有力な役割を果すこととなろう、これ事変終結に絶大の効果を齎らすものであ
る、もとより其間日本にとってよい事ばかりない事も考慮に置かなければならない、しかし最大の関心は英米の提携を防止する
意味に於て今日迄の経緯を忘れてはならない、凡ゆる方策は常に過去の実践的経緯を基礎とする時に於てのみ権威を持つも
のだからである

91 :
対日英米提携 (1・2)
(1) 米に二つの悩み 通商条約廃棄の有する意味 日英妥結への阻碍
 時局下の日本人に取って何が一番警戒を要するかと言って、興亜の聖業にいそしむ吾々の前に東亜に於る両アングロサキソ
ン国家の提携に優るものはないであろう、これは日本として英米の共同行動を絶対的に怖れるという意味ではないが新東亜建
設の途上においてそれ自体の有つ影響が極めて厄介であり、折角の大業も無用な困難を加える虞があるからに外ならない、然
らば事実は果して何うか…天津問題に端を発する日英の東京円卓会談は、先ずその一般的原則の取極に成功し、有田・クレ
ーギー協定の覚書交換によって会談の基礎的工作は一段落を告げた
 然るに突如、会談の具体的折衝を前にして米国政府から日米通商航海条約の廃棄通告が晴天の□□の如く日本に向けて突
き付けられて来た、東京会談における原則的諒解の成立に意気銷沈していた重慶政府は「米国の正義が英国に代って日本に
制圧を加えるものである」と言って有頂点の歓喜を示し、英仏の新聞は民王々義戦線の具体的結合による日本への一大□棒
であると論じ立てた、之に対する独伊の□論はまた英米馴れ合いの芝居でないかを疑い、米国の行動を以て対日非友誼によ
る米国第三位の顧客を米国自ら失うものであると痛□した、そしてそれと同時に東京会談は治安問題の実際諒解成立に次い
で法幣並びに現銀問題において難関に逢着した、英国の態度は我然硬化したというのである
 以上の形勢は如何にも英米の対日共同戦線の結成が、先ず第一歩を踏み出した感を与えずにおかないが事実は必ずしもそ
うではないこれに就て去る六日米国々務次官ウェルズ氏は明白にその事実無根を声明して打ち消しているが、これはその儘額
面通り受取って誤りはないであろう
 日本通商関係の現実からいって四億三千万円もの受取勘定にある米国が純経済的見地から之を廃棄したと見る事は何うし
ても考えられない、多分に政治的考慮に影響されている事は勿論である、しかしながらルーズヴェルト大統領の任期満了を来
年に控えてニューディールを中心とする内政上の失敗続出を大衆の感傷的対支同情論にアップレシェートする今回の措置で巧
みに人気転換を図ったものである事は内外衆目の一致する所である、とは謂えそれが又全部でない事も事実である、然らばそ
れは何であるかというと、外にも其の狙いは対英協同とは似ても似つかぬ反対の意図が其処に含まれているのである
 由来、米国の極東外交は、殆ど例外なしにその結果に於て英国のため火中の栗を十うの類に堕していた事は隠れもない所で
ある
 「機会均等」「門戸開放」の名によって知らるる国務□ジョン・ヘイのそれにしても真実は英国の対支商権を拡大せんとする英
人官史ロックヒルの案□を其儘鵜呑みにしたものであり、旧日英同盟の廃棄にしても、欧洲大戦後勃興しつつあった米国への
御機嫌取り旁々、日本という中から米国という馬に乗り替える英国の策動に乗って議府会議の際米国自らその憎まれ役を引受
けたのであった、かかる事実は最近に於て米国朝野の等しく気付く所となって、ハル国務長官の如きも幾度か英国の玄人外交
に捲込まれる危険に就て国内□論に対する馨告を与えていたものである従って極東政策に関する限り米国の態度は簡単に対
英協同に動じ得ない情勢にあるのである
曾て英米の日本に対する共同行動として吾々に想起さるるものは、華府会議に於ける海軍協定に次いで、日本の対英米海軍
比率のバリチー要求に対し同一歩調が取られた以外、最近の関係に於て英米の共同した事実は未だ寡聞にしてこれを聞かな


92 :
 元来、英米の日本に対する圧迫協同は純粋の意味に於て共同の競争者の場合以外殆んどあり得ないのである、若し英米の
何れかが他に目的を抱いて日本強圧を勧誘しても、それは常に失敗に了った事は□に満洲事変に於いて米国の誘いに英動か
ず今回の事変に英の誘いを米受けつけぬ事実が其の一切を説明している
従って米国今回の対日条約廃棄が何を意味するかは想像出来よう、即ち東京会談によって支那に対する日英接近を抑制せん
とする所に其の魂胆がある訳である、日英東京会談に対して、少くとも米国として不満とするものに二つの点がある
 一つは法幣問題に就て英国が□歩すれば、支那に於ける金融的支配権が英国の手から日本の手に移って了う、これは現在
の法幣制度確立に際し、英米が其の支配権を握ろうとして争った揚句米国が失敗した経験からして米国は法幣の支配権を英
国の握っている事も不快としている、そうかと云って今度それが日本に移ることは矢張り面白くないのである、そしていま一つは
東京会談そのものが、事変の終結を意味するものではないが少くともそれへの予備的性質を有っているとして、昨年ルーズベ
ルト大統領が英国に対し「事変終結に際しては米国は極めて重要な地位を占める可きである」と通告しているが、今回の会談
に於ては少しも其事が問題とされていないからである
以上二つの点からこれを考えるとき、対日条約廃棄の有つ意味合いはあっさりと日英妥協の阻碍にあるということが看取される
のである、即ち以下その理由と事実に就て明日紙上にこれを解説するが、これに対して日本は如何なる策を選ぶべきであろう

(2) 執拗な和平妨害 アメリカに引摺られる英国 日独伊同盟と極東
少しく冷静に、日米通商条約の廃棄に就て考えるならばそれが日英会談に対して何等緊急的処理の効果もなく、又法幣問題に
も何等触れて居らず、結局一種の外交的強硬姿勢を見せているに過ぎない事が判ろう、それは日本に対して発せられたもので
あるが何等日本を脅威しない、驚くべき重慶の好感を博したがさりとて実質的何等の恩恵を与えているでもない、而も英国の問
題解決に何等寄与せず、其処に予想さるるものは、米国のこの強硬態度に刺戟された英国が断然対日の硬化を示すことによ
って会談の阻碍を狙ったとしか考えられない事情にあるのである、そしてこの事は左の事実を見ても明かであろう
 昨年、ヒューゲッセン大使の空爆負傷前後、英国は支那に日本との単独妥協を頻りと進めていたが、米国大統領のシカゴに
おける「侵略国隔難」の強硬論説とブラッセル(九ヶ国条約)会議招集提議によってこれを打ち壊して了った、又同年上半期にお
いて揚子江開放問題に関する英国側の対日交渉持ち掛けも、その進行途上米国極東艦隊司令長官をして突如「米国艦隊は
武力を以て封鎖線を突破せん」と声明せしめ、遂に英国をして手を引かしめるに至った、かくして更に本年の上半期にカー大使
が重慶の疲幣を見て和平斡旋方の動きを示すや、米国は突如上海租界問題に就て強硬意見を発表して其陸戦隊を率先鼓浪
□に揚陸し、以て事態を紛糾させて了ったのである、かくして今回日英会談の通行状況稍やスムースなるを見ると忽ち対日条
約の廃棄を行ったもので、その意味が依然何回も繰返えされた以上行動と何等変るものでない事は聡明な読者の諒解さるる
所であろう
かくて英米の関係は寧ろ極東に関する限りヘゲモニーを□って相対立するものと言う事が出来よう従ってその提携の可能性は
日本の出方一つによって殆ど絶望という事も出来るであろう、しかし流石に英国は米国の其手を利用する事はあっても容易に
乗せられて米国の笛に踊る事は稀である、法幣問題と現銀問題に於て、手続き上国内的困難と米仏の如き関連を有する諸国
との共同利害に於て、俄に日本に対する譲歩を決定し難い事情から、東京会談は米国の対日条約廃棄と時期を一にして停頓
の状態に入ったが、米国の意図を解する英国は必ずしも対日硬化によって会談をデッドウックに押し上げた儘打切るような行動
は執るまい

93 :
かくて英米の関係は寧ろ極東に関する限りヘゲモニーを□って相対立するものと言う事が出来よう従ってその提携の可能性は
日本の出方一つによって殆ど絶望という事も出来るであろう、しかし流石に英国は米国の其手を利用する事はあっても容易に
乗せられて米国の笛に踊る事は稀である、法幣問題と現銀問題に於て、手続き上国内的困難と米仏の如き関連を有する諸国
との共同利害に於て、俄に日本に対する譲歩を決定し難い事情から、東京会談は米国の対日条約廃棄と時期を一にして停頓
の状態に入ったが、米国の意図を解する英国は必ずしも対日硬化によって会談をデッドウックに押し上げた儘打切るような行動
は執るまい
 八月四日、夏期休会を前にしてチェンバレン英国首相は、その下院において率直に英国の態度を闡明した「欧洲における情
勢は、吾人をして戦争に訴える覚悟さえ必要とするのである、この際吾人は極東において日本と争うが如きコミットメントを負うこ
とは出来ない…」と
然しながら日本人として更に注意を要することは、同じ英国首相の演説である
 「…そうは言え、自分も亦極東の情勢に対しては憤激している何人にも増して憤激している…」と…しかし現実の情勢から判
断して極東に於ける兵力の優劣を論じ、遺憾乍ら、此際日本と妥協して交渉による問題の解決を期せねばならないと言う事は、
若し国際情勢にして英国に自由手腕を発揮させる事情にありとすれば、何ぞ日本との妥協を要せん、従来の援蒋持続によって
、日本の疲幣を待ち、徐ろに居中調停の機会を□み、再び極東に君臨する夢を描かんとする事を意味するものである事は言う
迄もあるまい
即ち「英国の□会だにあらば…」と云う態度を背後に有つ日本として英米の接近を防止しつつこれに対等する方策を果して何れ
に求めるべきであろうか
東京会談の齎す事変への影響は今更茲に説明するまでもあるまい、同時に英米の対日共同も今日の情勢に於て直に憂慮す
可きものはないが、さりとて□世の大事業たる新東亜建設の工作に伴う日本の国際政治は、これを以て終止符を附す可きもの
でない事も勿論である
ここに於て所謂日本の対独伊関係強化と言う事が必然問題として考慮されなければならない訳である、が然らば具体的に何が
あるかと言う事になるが、それには現に問題となりつつある独伊同盟に対する日本の参加と言うのがある訳である、しかしこれ
に参加するとして如何なる用意が必要であろうか、同盟は戦争を予定するが、必ずしもそれが最終の目的ではない、其処に弾
力的考慮の払わるる余地があろうというものである
一例を挙げれば今日、日本が日独伊三国同盟を締結したとして現在極東における戦争に独伊の参加は不可能である、この事
は場所を変えて欧洲に戦争の起った場合、或程度同様の結果を見るであろう、只だ敵対国の出様如何では一切の困難は克服

される所に弾力的意義がある訳であって、それは締約国独自の見解が基礎をなす事勿論でなければならない
 何れにしても、日本の進取が、今日の盟邦たる独伊との提携に深化の運命を多分に含んでいる事は吾々として特に強く念頭
に置く必要があろう、そしてこの事は、軈て東亜に強国を有つソ連に自重と、印度を穀倉とし、資力の五十三パーセントを東洋に
有つ英国の反省を求める上に於て日本に対する有力な役割を果すこととなろう、これ事変終結に絶大の効果を齎らすものであ
る、もとより其間日本にとってよい事ばかりない事も考慮に置かなければならない、しかし最大の関心は英米の提携を防止する
意味に於て今日迄の経緯を忘れてはならない、凡ゆる方策は常に過去の実践的経緯を基礎とする時に於てのみ権威を持つも
のだからである

94 :
米の極東対日攻勢 (上・下)
(上) 大東亜共栄圏の我指導的地位に挑戦 強いて強調"事態切迫"
【上海本社特電三十一日発】ブルーの擬装色に塗りあげられた米国汽船があわただしい風雲を孕んで近く上海に入港する、国
務省の指令をうけて極東在留婦女子を本国に避難せしめんとする戦時御用船だ、英米両国艦隊の極東共同防備についての秘

密会談が上海で行われた、米国軍需品が援蒋物資にカムフラージュされ太平洋の波を蹴ってマニラに、ラングーンに、今や東

洋の英米植民地には武器が、ガソリンが、飛行機がうず高く積まれた、シンガポール、香港にも米国軍将校が乗りこんだ等々、

挙げれば限りなき奇怪な事実が米国の対日戦備に多大の疑惑を持たせつつ極東の天地に、あるいはひそかにあるいは公然と

展開されつつある、日独伊三国条約締結後僅か一ヶ月にして米国の極東政策が、あらゆる刺戟的大勢のもとに極度に悪化し

たことは国務省の発言をまつまでもなくこれ等事実が歴然と証明しているのである、ハル国務長官の東洋政策が果して何を求

めんとするのか、極東においてかつてなき積極的態度は重慶政権を露骨に支持し日本の東亜共栄圏における指導的地位にあ

くまで挑戦妨害せんために外交、政治、経済、軍事などそのことごとくの部門を集約してとられつつあるやに感ぜられる、対日恐

怖心からか独自の優越感が許さぬのか、とも角表現された事実がすべての威嚇の度がすぎて戦争への奔騰の勢いを示してい

る  極端に見るならば大統領選挙を目睫に控えた米国政府が輿論の刺戟に狂奔し三国条約は対米攻勢のスタートであり極東
における日本の軍事政治行動が対米挑戦であるかの如く幻想し、米国を挙げて戦争の渦中に引入れんとしているのだというも
のもある  その証拠に米国の在支居留民が果して本国政府の引揚げ勧告を現実感をもって受取ったであろうか、上海在住の
米国商社が日本の大陸政策に対してそれほど逼迫感をもっているであろうか、事実は米国政府の想定を否定するものばかりで
ある、日本が日独伊条約の締結に論なく支那事変処理と極東における生存権の確保を国策の最大目標としているのが米国の
生存権とどこが抵触するのであるか、日米間には政治的手段によって解決されないものが毫もないはずである、しかし極東の
事態は米国政府の作戦を前提とするかの如き極めて周密な政策の下に立つ英米共同の対日歩調がより否応なく激化の一路を
辿らんととしているのである 以下極東における米国が現にとりつつある対日作戦準備として否定し得ざる事実を指摘して誤れ
る米国の極東政策の動向を厳正に検討しよう
一、三国同盟成立後米国政府は英国に対してビルマ援蒋路の再開を強要するとともに在支米人の一部引揚げ勧告を発して極

東への積極的関心を対日攻勢に示した、十月中旬政府の命により米本国およびハワイを出帆したマンハッタン、モントレー、マ

リポサ、ワシントンの四隻大型船舶は在支米人引揚げ用として一路上海に急航しつつあり、その第一船は二日上海到着の予

定である、二十万の在米居留民を有する日本政府が何らの具体的対米策を講ぜざるに先立ち極東在住者一万名に達せざる米

国政府がかかる刺戟的手段を敢えてしたことは、引揚げの直接米国の対日禁輸を強化せんとすることにあるはもちろん、さらに

進んで米当局の対日外交の恫喝政策が今や(戦争にならざる)範囲を逸脱し対日戦争を挑発しつつあるものといわねばならぬ、

米国政府の極東居留民引揚げ勧告は一時米国居留民に興奮を与えたが実業家の間には権益保存の立場からこの際むしろ出

来得る限り踏み止まるべしとの空気が濃くなって来た、また英国側においては上海の英国商業会議所会頭コルダー・マーシャ

ル氏の如き英国経済人は極東における敵国との経済戦を通じて祖国を援助せよとラヂオ放送をしている
 この趨勢は英米が東亜において有する貿易機構と海運力を最後まで維持しつつ万一の場合これにものをいわせようとする両

国の政策を強く反映せらしめられているものである
現在のところ上海の英米側財界は日米戦の可能性については多分の疑惑をもちもし起るとしてもまだ近き将来にあらずと見る

向きが多く、一部事変のため事業の停頓したものは強硬論を唱えているが現地全般の空気は決して積極的ではない、しかるに

米当局は立ち渋る居留民を鞭撻するため引揚げの再勧告を行い政府の意をうけた上海米国商業会議所は三週間以上の長期

にわたる商取引をなさざるよう警告を発するなど強いて対日空気の切迫を強調しつつある、かかる空気を反映して上海為替市

95 :
場をはじめ商取引の上に日米戦の危機が織り込まれつつある、法幣の対米相場が遂に六ドルを突破して強調を示しているの

は支那側財界に米ドル不安が昂まりつつある証左であり、感受性の鋭い支那商人は最近とみに対米国商取引契約に対して警

戒を払いこれを漸次短期化する傾向が強く、支那財界における最近の換物運動の再燃、わが軍票買いなどもこれを物語るもの

である
二、さらに在支米国駐屯軍の動向も蔑視すべからざるものがある、すなわち在支駐屯軍に対してはすでに極秘裏に引揚げ準備

の指令が発せられたものの如くその実証として去る十三日には急速に在支駐屯地より引揚げ得るようあらかじめ船会社との連

絡をとるべしという命令が到達したといわれており、すでに輸送船ゴールド・スター号が上海に入港、待機している事実が挙げら

れる、また在上海第四マリンの将校中仏租界居住者は同租界を引揚げ、膠州路、西摩路、ハイフォン路に囲まれた地区に移転

すべき指令が発せられた
 一方においてマリンの戦闘訓練も猛烈に行われ、米アジヤ艦隊主力はマニラに集結を完了した今や極東米海軍は完全に開

戦気構えに入っているのである
三、米国はビルマ路線再開とともに対蒋二千五百万米ドル借款を発表したが、その後続々追加新借款を供与するとの報が伝

えられている、従来米国の対蒋借款の内容は支那土産と軍需資材のバーターによる商業借款といわれているが、わが徹底的

援蒋路の遮断のため早くよりこの種バーターは事実上評価不可能に陥っており、またビルマ路再開ぐらいではほとんど問題に

ならぬことは明かである、いわんや同路線はわが海鷲の爆撃によって早くも半身不随の状態に陥っているのである、しかもなお

新借款を与えんとする米国の政策は奇怪極まるものというべくその狙うところは援蒋にあらずしてほかにある
(下) 米支同盟の締結へ 援蒋政策強化に盲進
【上海本社特電一日発】米国が援蒋借款を与えることによって真に狙っているものは何であるか、伝えられるところによればソ連

の対蒋軍需品借款によってもたらされた対重慶貸越しの決済とソ連の米国機材ならびに石油輸入資金の増大を機とし米ソ支

三角的資金関係の設定を通じて対日牽制を主要目的とするとの見解が行われている、他方対蒋借款資材に名を藉りて米国か

らラングーン、マニラあるいは香港に続々陸揚げされている軍需資材は援蒋に擬装せる米国自身の極東資材である、しかもこ

れら武器、ガソリン、飛行機はビルマ路再開の数ヶ月前から輸送量が加速度的に増大している事実は注目に値する、援蒋物資

の堆積地は米国対日作戦地だ
四、最近宋子文が米国において輸入せりという大型戦闘機百台をはじめ戦車、自動車、装甲自動車が千百台、高射砲、大砲

数百門がラングーンに直送されず、マニラに山積しており、また米国がスウェーデンと契約せる単座追撃機六十機、単座爆撃機

五十機はその契約を破毀してマニラに集結された、さらにマニラ飛行機修理工場を拡大して四工場とし、秘かに工作機械を持ち

こんで組立工場、製作工場をも新設するに至りマニラ飛行隊の独立性が確立された、これとともに米国飛行将校が大部隊増遣

されている模様だ
 すでにミシガン州セルフリッジおよびカリフォルニヤ州ハミルトンにあった陸軍追撃機隊二個中隊がフィリッピンに移駐し武器弾

薬の輸送量も増大した、今やフィリッピンは一億七千万ペソに達する厖大予算を編成して完全に戦時態勢に入った観がある、

かかる動きに呼応して最近フィリッピン東海岸のレガスピ港が注目されはじめた、同港は極東における軍事物資の蒐集の基点

たるものの如くシンガポールより南洋一帯から購入された多数の船舶は同港に集り、改修擬装の上軍事輸送に使用されている

模様で各国から購入された船舶は百五十隻に達している、一方シンガポールにおいても同様軍需品倉庫を増設して米国より機

96 :
関銃、高射砲などを送っているが、殊に注目すべきは濠洲方面よりの動きである、すなわち過般濠洲政府およびニュージーラン

ド政庁が軍需品生産増進令を布告して戦時態勢を強化し空軍の一部動員をしてシンガポールに移動せしめた事実があり、近く

ラングーンにも濠洲の空軍部隊が到着の予定だといわれており、英米協同作戦の態勢は着々進行しつつありといわざるを得な


また注目されるのは援蒋物資輸送路と称してシンガポールからケープタウン経由ニューヨーク航路が開設されたことで、米国の

南洋基地が如何に周密な計画の下に本国に連絡されつつあるかが窺われる南太平洋航路が遮断されてもシンガポールの存

立性をこれによって確保しようというのだ、ビルマ路が英国によって再開された
 裏面には英米間に極東防衛に関する緊密な取極めが出来ている、その最も大なるものはシンガポール、香港の軍事的基地

を米国に提供していることである
五、米国がその奇怪なる軍事計画とともに外交的に対日包囲計画をとっていることは南洋一帯における英国およびオランダ植

民地に対して自由行動をとり得る事実に見ても明かであるが、最近の日蘭印交渉の如きは如実にこれを物語るものである、同

交渉が必ずしも円滑に運ばざるは蘭印当局に対する英米の使嗾によるもので、蘭印の態度が米国の対日決意の如何によって

左右されているものともいわねばならない
 すなわち実力的に英米が共同防衛に出ることによって東亜共栄圏における蘭印本来の地位が蹂躪され、その英米依存性が

強化されるのである、また経済的には日本の求めんとするガソリンを英国が購入の保証を与えることによって日本の合理的経

済交渉を無視することが出来る、かかる英米の巧妙な外交戦術は一方において南洋一円の空気をあくまで旧秩序圏内に巻き

込まんとしているが地方において重要視されるのは米国がその援蒋政策を米支同盟の成立にまで強化せんとしていることであ

る、ジョンソン駐支大使が今年夏ワシントンの秘密命令を受けて帰任以来重慶に止まって蒋介石と折衝しつつあるのは主として

米支同盟についてであり、日米開戦の直前においてこれが調印を行い重慶をしてあくまで対日抗戦の意図を強化せしめんとい

うのが米国の狙いである
かかる動きは援蒋物資は名目にすぎず実は対日開戦を目ざしてシンガポール、マニラ、ラングーン、香港を連ねる東南アジヤの

防衛線を要塞化しアラスカ、サンディエゴ、ハワイ、ミッドウェーより南方に連なる対日封鎖線を強化せんとするにある、しかして

その対日攻撃の空軍前進基地をマニラにおかんとするもののごとく、マニラに現在米空軍の誇りとする長距離ボーイング機を百

五十機乃至百七十機を備え、またハワイには同型機が百機待機しており、マニラまで二日間で飛翔することが出来る、また右

ボーイング機の性能は極秘とされているがマニラ、東京間往復は完全に可能なりといわれている、しかして艦隊の動きとしては

昨年初期より間断なく本国サンディエゴ軍港、ハワイ真珠湾附近よりマニラ方面に航空母艦、巡洋艦、潜水艦を輸送しており、フ

ィリッピンを中心に集結せる艦隊は相当の数にのぼるものと推定され右艦隊ならびにホノルルに集結中の主力艦隊を合するな

らば米国連合艦隊の三分の二が対日攻撃の態勢に入りつつあるものと見るべきであろう、かくして米国政府は対内政策と対日

恫喝政策に没入した結果自ら「予期せざる危険区域」に踏みこまんとしているのである

97 :
大東亜戦・総力結集の一年 本年の回顧 東亜維新戦への一年を顧る (一〜五)
(一)揮う大義の戈 平和の努力遂に空し 政治
悠久二千六百年の聖なる年を送った昭和十六年は、日本にとって果して歴史的な大いなる年であった、日本のみならず、米英

の植民地として屈従に甘んじていた東亜にとっては正に解放の一頁が繰展げられたのだ。いまこの一ケ年を回顧して大東亜の

各所に米英撃滅の勝利に輝く日章旗を仰ぎつつ皇国の偉大なる運命に感激すると同時に、大東亜新秩序の建設という大なる

任務を負うた国民的誇りと責任を痛感するのである。来るべき年は皇国にとって更に偉大なる年となるであろう。
一貫せる平和希求
一ケ年のわが政治を貫き燦然と輝くものは、東亜の平和に対する帝国の熾烈なる希求であった。支那事変を一日も早く解決し

、東亜の戦雲を拭い去ることが日本の絶えざる念願であった。この一年は大東亜安定のため帝国が払った崇高な努力の結晶

だったのである。一月の第七十六議会で近衛首相が
 支那事変は第一次近衛内閣当時に起り今年で第五年を迎えた、事変は未だに解決の曙光を見ていない、これは軍部の責任

でも誰の責任でもなく私の責任である。今日の事変の解決を見ざる上に重大なる時局を迎えた。事変以来の私の責任を顧ると

微力ながら最後の御奉公としてあくまで御奉公を致す考えである
と切々たる答弁を行ったことは、今なお国民の耳底に残っていることであろう。支那事変において皇軍が赫々たる戦果をあげな

がら解決を見なかった根本原因は、米英が蒋政権の背後にあって、東亜の安定勢力たる帝国の地位と真意を無視し蒋を援助

し、事変解決を妨害したことにあり、米英こそ東亜平和、延いては世界平和の攪乱者であった、米英の妨害にもかかわらず帝

国は隠忍自重して東亜平和のためにあらゆる努力を重ねたのである。三月タイ仏印国境の紛争調停をやり、五月仏タイ和平条

約の斡旋を行ったことは東亜全局の平和を如何に帝国が顧念しているかを物語るものであり、また昨年来の懸案である日蘭交

渉、五月成立した日仏印経済協定は、帝国の国是である東亜共栄圏確立が全く平和的なものであることを証している、三月松

岡外相が渡欧して日ソ中立条約を成立せしめたのも北辺の平和を確保せんとする帝国の念慮に外ならなかった
米英、事毎に妨害
しかしながら米英は帝国を屈服せしめるために、わが平和的努力を蹂躙し続けてきた。支那事変も、日蘭会商も、帝国が懸案

としている問題は、すべて背後にあって策動する米英殊に米国が、その解決の鍵を握っているのだ。事態は東亜の背後にある

ものを衝く以外に解決の途があり得なかったのである。事変処理はこにおいて日米問題の決着を求め、必然的に日米交渉に移

行するに至った。
六月に入って日欄会商は蘭印の不誠意により遂に打切りとなり芳沢全権に引揚げが命ぜられ、また帝国がタイ、仏印の紛争調

停に成功すると、米英蘭諸国は急速に軍事的、経済的に日本包囲陣を結成してきた。こうした困難な情勢において日米交渉が

四月から開始され米国は受諾し得ない暴慢な非公式思案を提示し、帝国は五月中旬これを反駁し公正なる対案を出したので

ある。

98 :
六月二十二日に独ソ戦争が突発して国際情勢は更に変転、複雑な相貌を呈するに至った。帝国はこの新な事態に対処するた

め七月二日歴史的な御前会議を開き重要国策を決定したのであるが、独ソ戦争による国際環境の激変で、日米交渉も影響を

受け困難さを加えた、独ソ戦の膠着で一時的にも米英は苦境を脱し得た形となり、これが東亜で攻勢をとるに至らしめたのであ

った。
東条鉄石内閣成立
こうした国際環境にあって第二次近衛内閣の足取りが次第に晦渋になってきた。既に今年に入り四月と六月の二回内閣改造を

行って危機を切抜けた内閣も、七月十六日遂に総辞職を断行した。『国内体制の急速なる整備強化と内閣の構成も一大刷新を

加える必要を痛感したため』であった。大命は近衛公に再降下し、十八日に第三次近衛内閣が成立したが、東条陸相が閣議で

陸海軍共同発言として述べた通り、国際情勢に対処する国策の大綱は既に聖断を仰いで不動であり、内閣の更迭によって微

動だにする筈はなかった。七月二十六日日仏印共同防衛協定が成立し、二十九日皇軍が南仏印に増派されると、米国は英、

蘭を語らって、わが資産凍結を行い、八月には石油製品の輸出を制限するなど、全面的経済封鎖に出て来たのである。
かかる不当な圧迫の中でも、帝国は平和的解決の希望に促されて、八月近衛メッセージがル大統領に手交され、日米問題は

重大な局面に立った。約三ケ月、第三次近衛内閣は太平洋の危機を救うべく必至の努力をしたが、遂に成らず、交渉の成否は

晦冥のまま十月十六日桂冠のやむなきに至った。帝国としては米、英、蘭の包囲陣を突破するため起ち上るほかに途がなかっ

たのだ。東条内閣の成立は端的に日本の決意を表現するものであった。
国内決戦体制成る
帝国の政治的努力は外交打開に集中されつつあったが、内には高度国防国家建設をめざしてたゆみない努力が続けられ、一

年にして決戦体制はほぼその形を整えたのであるし、政戦両略の一致は第二次近衛内閣が最も念慮したところで、一月十三

日従来の大本営連絡会議のほか政府と統帥部との連絡懇談会が初めて開かれ、爾来政戦両略の一致に大きな効果をあげて

来た。
 大政翼賛会は高度国防国家の下新たな国民組織を確立すべく発足したのであるが、第七十六議会で反撃に逢い、結局四月

に改組を行うに至った。発足当時の大きな意図が歪曲せられたのは遺憾であるが、翼賛運動は却って地についたというべく、

中央協力会議も二回開かれて成果をあげており、今後は当初の気魄を戻して国内組織の完成に進むべき方向にある
更に国内機構の戦時編成替えは急速に行われ、総動員法はまた全面的に発動、重要産業団体令、配電統制令等重要な勅令

が実施された。食糧政策を初めとして、戦時緊急政策も確立せられ、国民生活の確保については遺憾がない。しかも国内的に

は種々の対立抗争の存在は否めなかったところであるが、この一年に漸次解消し、大東亜戦争によって一掃せられるに至った

のである。
大東亜建設の曙光
約八ケ月に亘る平和への努力も空しく、事変は遂に大東亜戦争へと発展したが、これは事変の生活からして歴史的必然であっ

た。米英は東亜を植民地的鉄鎖に繋ぎ止めんとし、遂に帝国の大義の戈に一撃を加えられたのである。三国同盟の強化、日タ

イ攻守同盟、日仏印軍協同協定等の外交的攻撃は、緒戦の赫々たる戦果に伴い、米英打倒に大きな効果を収めた。昭和十六

年を回顧して、事変処理と東亜共栄圏確立、内にあっては高度国防国家完成の国是が着実にあらゆる国難を排して達成せら

99 :
マンション・ハウスにおけるチャーチル英首相の暴言は英米両敵性国の今日まで腹中に蔵していた対日意識をありのままの姿
に暴露したものである、英国はついにその陰性なる仮面をかなぐり捨てたのである、英国は巧に米国を誘い込みルーズヴェルト
米大統領が夢見る世界制覇の企図をまんまと自己の武器に転用し、すでに大西洋上では独米の発砲戦が戦争の形において
開始されるまでに導きさらに今度は太平洋戦争の導火の口火を切ろうとしたのである、英国の抱懐せる極東における政略、戦
略の根底をなすものは一にかかって米国をして対日戦に追い込むことにあった、極東における英国権益を保有するためには独
英戦によって戦力激減せる英国がすがりつく窮策はこのほかになかったのである不落の要塞と自ら豪語し、これある限り極東
権益保全は可能とまで号していたシンガポールを最近には米国海軍の自由使用に提供している、この夏すぎダフ・クーパーを
その戦時内閣の極東探題として特派、さらにポッパム極東司令官とコンビで濠洲、タイ、ビルマ、フィリッピン、蘭印の各地に対
日包囲陣強化に拍車をかけしめるなどその血迷える狂奔振りは極めて明白であった
 最近ではウェーヴェル近東軍総司令官も急遽シンガポールに来り現地における対日作戦の実際を米国側と協議している、か
れらのマニラ会談なるものはいざ対日戦がはじまれば英米蘭支の各国は極東におけるその軍事基地を共同の使用に託そうと
まで決議しているのだ、しかもこの間クロスピー駐タイ英国公使はその在タイ四十年の経歴に物をいわせタイをして自己陣営に
参加せしめんと暗躍を続けている一方わが帝国はこれら英米が描きつつある対日包囲の鉄鎖が次第に短縮され完成に近づき
つつあるを見ながらもあくまで隠忍自重、平和的な外交手段をもって太平洋の癌を剔抉せんと努力し昨今その最後の努力をつく
さんとして来栖大使を新たに米国に特派したのである、しかもこの来栖大使が米国の地に第一歩も印せず平和の天使として未
だ太平洋上を飛びつつあるときチャーチル首相がこの無礼なる暴言を放っているのである、チャーチル首相は「われに強大なる
海軍力あり」と豪語しているがインド洋上における英国海軍は戦艦一隻を主力とする艦艇三十五隻、シンガポールには巡洋艦
三隻を基幹とする艦艇二十隻がほぼ限度で濠洲には巡洋艦四隻その他にて香港在港中のもの僅かに三隻にすぎず極東にお
けるこの海軍全兵力は戦艦一隻を恃みとする艦艇五十一隻に過ぎない「われに艦艇五百あり」といわるる帝国海軍兵力の一割
の力に過ぎないのである、またマレー、ビルマなどにある英国陸兵は濠洲、インドから救援を求めた鳥合の衆である、チャーチル
が豪語する極東海軍力はいうまでもなく米国海軍を指さしているのであって大英帝国首相の言辞がすでに他国依存の醜態をさ
らけ出しチャーチルも蒋介石も米国の忠犬である点においてはいささかの相違もないことがこの演説によつて立証された
米大統領当外れ 独総統演説の妙味
【ベルリン特電十日発】ドイツ権威筋ではヒットラー総統八日の演説で米艦に対しドイツ側から発砲せぬようにとドイツ軍艦に命じ
たことにつき次の如く語った
 このことはルーズヴェルト米大統領にとって最も困ったことに違いない、ル大統領は疑いもなくドイツが米艦船に発砲命令を出
したら米国が攻撃されたと誇張的に大騒ぎして発表し議会内に十分の満足を得るつもりであったのだ、しかしドイツは彼に満足
を与えない、挑発の手に乗るなという古いモットーはいまなおその意義をもっているのだ

100 :
英首相、我が国に不遜な暴言 "日米戦わば即時対日宣戦"
【ロンドン特電十日発】チャーチル英国首相は十日マンション・ハウスにおけるロンドン市長主催の座談会で演説し特に日米問題
を論じ恫喝と希望的観測の暴辞を弄し日米戦争開始の場合は一時間以内に英国も対日宣戦を行うと確言した、演説の日米問
題に関する部分要旨は左の通り
 われらは現在米国の太平洋平和維持の努力が成功するかどうかは知らないがもしそれが失敗に終り米国が日本との戦争に
巻込まれるならば英国は一時間以内に対日宣戦を行うであろう、われらは強大な海軍を有しておりもしインド洋及び太平洋にお
いて必要とあらば十分の大型軍艦補助艦を活動させることができるということを余はこの機会にいって置きたいと思う、冷静に
世界の情勢を察するならば、日本が世界の闘争へ不必要に突入し太平洋において人類四分の三の人口を擁する諸国を敵とす
るやも知れざるにいたることは向う見ずな冒険と考えられる、もしも鋼鉄か現代戦の基礎であるとするならば日本のごとく鋼鉄産
額僅少なる国家が、鋼鉄年額九千万トンの米国を相手に応酬の目当もなく闘争を挑発するのは寧ろ危険であろう、しかもこれは
英帝国がなし得べき強力な貢献を度外視してのことである、余は大平洋の平和が日本の最も賢明なる政治家らの希望として知
られる筋道に沿って維持されることを衷心から望むものであるが、東アジヤにおける英国の権益と共通の目的とを防衛する万端
の準備はすでに行われ、かつ行われつつある、余は一九〇二年以来日本との同盟を擁護し常に日本との親善関係促進に最
善の努力を注ぎ感情的にも日本の幸福を望み、日本人の資性を賞讚して来たものであるから、日本と英語諸国との間に戦争
が起るようなことがあれば、それは余の痛恨事とするものだ、重慶政権が抗日に示す意気は称讚に価するものである、重慶政
権の抗戦が支那を侵略と搾取から解放することに成功せぬようなことがあれば、それは世界文明に対する一大災難といわなけ
ればならね
対独和平に応ぜず
【ロンドン特電十日発】チャーチル英首相は十日の演説で和平攻勢の問題を左のごとく講じた
 英国はヒットラー乃至はナチ政権を代表するいかなるものとも断じて交渉はしない、近くベルリンからのいわゆる和平攻勢に接
するであろうということは耳にするが、余はここに英国は単独にも友邦との共同においても自治領との合意においても決してか
かる和平交渉に応ずるものではないことを絶対に明かにする、今やソ連の勇敢なる抗戦はドイツの武力に戦懆的打撃を与えド
イツの遠征軍は多大の損失を蒙ったうえ茫漠たる草原にさまよってロシヤの酷寒に曝されようとしているのである
南京政府の対日真意 日支外交の展望 (一) 国交調整に対する蒋氏のゼスチュア
 蒋介石は西南派の抗日督促通電に次ぐ軍隊の北上を見て、六月八日中央の記念週で次の如く大見得を切った
 吾等の対外方針は昨年五全大会の「和平は未だ完全に絶望に達せざるをもって絶対に和平を放棄せず、犠牲は未だ最後の
関頭に達せざるをもってまた決して軽々に犠牲を口にせず」との決議によっている、現在の情勢は和平既に絶望となったかどう
か国家既に和平を放棄せねばならなくなったかどうか、この種の重要問題の判定は一個二個の個人の判断によるべきでなく、
少数人の主観によって決定さるべきでない
また昨年八月一日の中国共産党の宣言を入手した蒋介石は側近者より成る特別の集会席上中国共産党は一切の党派、一切
の軍隊と共同戦線を結成せんとしているが、余の軍隊及び余を除外している、故に余は中国共産党及び紅軍と干戈を交えねば
ならぬといったと、共産党の代弁者はいっている。後者の真偽保証の限りでないが、この二つの啖呵が共産党の抗日戦線拡大
運動と西南の抗日宣揚に対する蒋介石の肚の中であるかどうか


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