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仙道総合15

炎の少女チャーリー


1 :2016/04/04 〜 最終レス :2020/05/27
両親の超能力開発薬投与によって、生まれつき両親をはるかに凌ぐ強い超能力を持った少女

2 :
画像おながいします

3 :
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4 :
https://youtube.com/watch?v=LixsNtGM8tc
瞬時に大量の水を沸騰させる少女

5 :
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http://www.btmreview.com/wp-content/uploads/2014/06/firestarter.jpg
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6 :
かわいい

7 :
電極を取り付けられ、超能力実験を受けさせられている少女
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かわいい
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8 :
チャーリーは超能力を使いたくない

9 :
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10 :
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11 :
超能力を上手くコントロール出来ず、母親に火を着けてしまう

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12 :
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13 :
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14 :
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15 :
テレパシー能力
https://youtu.be/Ea1zAEGIOg0

16 :
所長「ついにチャーリーを捕らえたぞ。どれ、良く見せたまえ。見た目は普通の女の子だな。この小さな頭の中がどうなっているのか、早速調べあげるんだ。 」
所員「了解です。まずは体を洗ってガウンに着替えさせます。その後検査に入ります」

17 :
研究員1「それでは服を着替えさせるか。何で綺麗な体なんだ。シミ一つない。」
研究員2「何見とれてるのよ。追加の麻酔を打つからちょっとどいて。」
研究員1「あぁ、すまない。よろしく頼む」
研究員2「すぐ終わるからねー。お嬢さん…、あれ?????」
研究員1「どうしたんだ?」
研究員2「注射跡が消えた!」
研究員1「そんな馬鹿なことがあるかよ。よく見ろよ」
研究員2「本当よ。ここに注射したの。ほら、ここに射したの。何もないでしょ!」

18 :
研究員「初期検査結果をお持ちしました。」

所長「うむ。ご苦労さん。どれ…、ほう、これが脳のスキャン画像か。今の時点で過去のあらゆる被験者より超能力シナプスの発達が進んでいるな。まだ6歳だというのに…。更に興味深いのは脳細胞の死滅が殆ど無いということだ。脳外科の権威に見せたら卒倒するぞ。
超能力実験をさせるのが楽しみだな。まだ麻酔は切れてないのか。目覚めたら会いに行くぞ」

19 :
研究員「それと、お伝えしたい事が。 こちらをご覧ください。被験者42号の体なのですが、傷跡やシミが全くないのですよ。そして驚いた事に、麻酔を打った注射跡が、ほら、みるみるうちに消えていくのです…。傷の痕跡すら残りません。 」

20 :
所長「 よし、42号を医療実験室に運んでおけ。私も立ち会って確認する。 」
研究員「了解しました。」

21 :
研究員1「それでは麻酔を打ちます。。。ご覧なさい、注射針の穴がたちまち消えていきます!」

所長「何てことだ…。」

研究員1「続いてメスで傷つけてみます。」

脳波計オペレーター「42号の脳波に変化あり。」

研究員1「あちっ!!!」
…思わずメスを落とす。

研究員1「メスが熱で変形している!!!あぁっ、メスが溶け始めた!!!!!」

所長「何てことだ…。」

22 :
所長「今のは何だ!? 録画したか? 」

医療スタッフ「すいません。録画しておりません。」

所長「なんてことだ、ビデオを回してなかったのか。今後はチャーリーの24時間全てを録画するように。脳波計も外すな。それでも超能力使用時の脳波が取れたのは幸いだった。
メスで傷をつけた部分は?もう消えているのか。この血が付いている部分だよな?
そしてこいつだ。鉄を溶かしてしまったのか。。。少なくとも1000度以上の熱が発せられたという事だな。。。
今回の件は分析後報告するように。麻酔投与は終了。目覚めさせろ。以上だ!」

23 :
【モニター室】
脳波計を着けたチャーリーがベッドに横たわって寝ている姿が写っている。それを監視しているスタッフ。

監視係1「この少女は何なの?この子が来てから大騒ぎよね」
監視係2「さあね。私も最近配属になったばかりだから何も知らないのよ。」
監視係1「あ、そろそろお目覚めのようね。所長に知らせてくるね。」

24 :
【チャーリーの部屋】
脳波計を着けたチャーリー、麻酔が切れ目覚めたようだ。

チャーリー「んーーー、ここはどこ?あれ?私何をしていたんだっけ?そうだ。悪い人から逃げていたのよ。私捕まっちゃったの?パパはどこ?」

…体じゅうに付けられていた電極を外し、部屋の中を歩き回る。窓や扉には鉄板が溶接されているのを見て、落胆する。

歩き回ったが、何も出来ないことを悟って、ソファーに座る。

チャーリー「何なのよ…。パパに会いたいよう…。」

25 :
所長「 やあ、チャーリー。私がここの所長だ。突然連れてこられて驚いているかもしれないが、安心したまえ。君に来てもらったのは、君の力のためなんだよ」

チャーリー「火を着けること…。」

所長「そう。ここにいる人は、君が何を出来るのか、どうやって力を使うのか、何故超能力を持っているのかを調べる為に集まった。もし君が協力してくれれば、それは国の為にもなることなんだよ。ちょっと火をつけてみてくれないかな?」

チャーリー「嫌よ。私もう火はつけないの。決めたんだから。それよりパパに会わせてちょうだい!」

所長「そうか…。ココアでも飲んで少し休みなさい。何か欲しいものがあったら、あそこの電話で言えばいい。また今度話そうか。それじゃあおやすみ。」

26 :
チャーリー「…。」

ココアの入ったカップを見つめるチャーリー。冷めたココアから湯気が立ち、沸騰を始める。

チャーリー「止まれ!」
チャーリー「止まれ!!」

沸騰し続けるココア。

チャーリー「止まれ!!!駄目、力を抑えるの!!!」

沸騰し続けるココア。

チャーリー「止まれ!!!止まれ!!!」
チャーリー「止まれ!!!!!!!」

沸騰が終わる。カップの中身の半分は蒸発してしまった。

チャーリー「…。こんな力…。何なの…。パパ…。」

27 :
研究員「先頃行われた切傷実験の報告書です。」
所長「ご苦労さん。どれ、見せてもらおうか。
何と、あの時メスを溶かした推定温度は2000度か!
脳波計の動きも興味深いな。このデータは博士の所にも送ったか?
うむ、よろしい。下がっていいぞ。」

所長「2000度とは…。予想を越えた能力だな。これを自由に発せられるなら我々の研究も次のステージに進められるな。」

28 :
【実験室】
体じゅうに電極を取り付けられたチャーリーの前には、ろうそくが置かれている。

所長「これで何回目のお願いになるか判らないが、ろうそくに火を着けてみてくれないか?簡単だろ?」

チャーリー「言ったでしょ。出来ないわ。出来たとしてもやらないわ。もう決めたんだから。
そうだ、マッチをちょうだい。そうしたらつけられるわ。」

所長「チャーリー、君は頭の中で考えるだけでそれが出来る筈だ。君のパパも言っていたよ。おじさんの言う事を聞くようにと。」

チャーリー「嘘よ。パパはそんな事言ってない。パパに変な薬を飲ませているくせに!」

所長「何でそれを…。わかった。今日はこれで終わりにしよう。」

29 :
【博士の研究室】

所長「という訳で、42号は我々が父親にしている事を口走ったんだ。」

博士「念力放火は彼女の能力の1つで、外にも超能力を持っている可能性は非常に高いですからね。母親は念力を持ってきましたから、彼女も持っていると私は考えています。
ところで、なかなか実験に協力してくれませんね。切傷実験のデータを見て考えたのですが、脳のこの辺りを刺激してみたらどうかなと。メスが溶けだした際、動きが活発なんですよ。」

所長「なるほど。次の時は電気で脳にショックを与えてみるか。君が主導してくれるかな。」

30 :
【博士の研究室】

所長「という訳で、42号は我々が父親にしている事を口走ったんだ。」

博士「念力放火は彼女の能力の1つで、外にも超能力を持っている可能性は非常に高いですからね。母親は念力を持ってきましたから、彼女も持っていると私は考えています。
ところで、なかなか実験に協力してくれませんね。切傷実験のデータを見て考えたのですが、脳のこの辺りを刺激してみたらどうかなと。メスが溶けだした際、動きが活発なんですよ。」

所長「なるほど。次の時は電気で脳にショックを与えてみるか。君が主導してくれるかな。」

31 :
【実験室】

今日も体じゅうに電極を取り付けられたチャーリー。しかし頭に取り付けられた電極の一部は脳に電流を流す為のものに変えられている。そしていつものように、テーブルの上にはろうそく。

所長「…。今日も火を着けてくれないのか…。それでは、何もしなくていいから、ろうそくを見ていてくれるかな?」

チャーリー「…。」

所長がコントロールルームに目で合図をする。

チャーリー「何?頭が痛い!」

ろうそくに火がつく。

チャーリー「キャー!」

チャーリーが叫ぶと同時にろうそくが爆発し、テーブルが燃え出す。

チャーリー「どうなってるの?止まって!」

チャーリーが視線をテーブルから壁に向ける。壁が燃え出す。

所長「実験中止だ!止めろ」
スピーカーからの声「もう止めてます!」

チャーリーがスピーカーを見る。瞬時にスピーカーは爆発する。

チャーリー「止まれ!止まれ!」

スプリンクラーが作動。部屋中に冷水のシャワーが。チャーリーが見つめる。冷水の筈が熱湯のシャワーになる。

チャーリー「止まれ!!!!!!」

熱湯がお湯になり、やがて冷水に戻った。

32 :
【会議室】

所長、博士、主要な研究員が集まって、先ほどの実験のビデオを見ている。

所長「凄かったな。あれほどの能力を秘めていたとは。」

研究員「はい。しかし、能力をうまく制御できていないようです。」

所長「ろうそく1本に火を着けてもらう筈が、実験室中が大火災だ。実験中、チャーリーはひたすら『止まれ』と叫んでいた。


博士「ちょっとここを見てくれるかな。スプリンクラーが作動した際ですが…、42号と所長の回りだけ熱湯が来ていない。サーモグラフィから読み取った水温はほぼ100度です。
なのにあなた、火傷しなかったでしょう?そして、温度が下がった、即ち超能力を止めた後は2人の元に冷水のシャワーが降り注いでいる。」

所長「そういえばそうだな。あの時は興奮して気がつかなかった。これは念力か?」

博士「恐らく。そして42号が念力放火を使うのを嫌がっているのは、力を制御出来ないのを理解しているからかもしれません。念力放火は時間をおいて試すとして、他の能力を調べてみませんか?」

所長「軍部を説得して予算を取るには念力放火が一番効果的なのだが、仕方ない。わかった。今日の件で私は完全に嫌われたかもな。懐柔するには別の人間に説得させるのが良いかもしれないな。」

33 :
【チャーリーの部屋】

所長自らが夕食を運んできた。

所長「さっきはすまなかったね。研究員の一部が勝手に先走ってしまって。」

チャーリー「…。」

所長「もうこんなことはさせないよう、きつく言い聞かせたから、安心してほしい。」

チャーリー「…。」

所長「君が嫌なうちは火を着けなくてもいいから。」

チャーリー「…。」

所長「ところで、君は私を守ってくれたのかな?熱いお湯がかからないように。ありがとう。」

チャーリー「火傷すると、痛いから…。」

所長「君は物を動かすこともできるのかい?」

チャーリー「…。」

所長「もう火は着けなくていいから、ちょっとだけ見せてくれないかな?」

チャーリーが夕食が置かれているトレイを見つめると、ナイフとフォークが浮かび上がった。

所長「おぉ! これを曲げることは出来るかい?」

硬質ステンレス製のナイフとフォークがまるで巨人が握り潰すかのように、ぐにゃっと円い塊になる。そして塊はテーブルの上に静かに置かれた。所長はそれを手にとる。

所長「おぉ! 何て凄いんだ。この力で私を守ってくれたのか、ありがとう!」

チャーリー「…。」

所長「今度は皆の前でやってくれると嬉しいな。どうかな?」

チャーリー「…。」

所長「まあいい。今日は本当にすまなかった。夕食を食べてゆっくり寝たまえ。それじゃあ。」

所長は部屋を出ていく。チャーリーがフォークを見つめると、フォークは真っ直ぐに戻っていく。多少歪みが残っているが、ほぼ真っ直ぐになった。チャーリーがフォークを手に取り、食事を始めようとすると、所長が戻ってきた。

所長「ごめんチャーリー、新しいナイフとフォークを持ってきたよ…。あれ、それは…。」

所長は歪んだフォークを取り上げ、新しいフォークを渡す。そしてテーブルに置かれた、以前はナイフだった鉄の塊も回収する。

所長「それじゃ食べづらいだろ。ごめんな気がつかなくて。」

再び所長は退出し、チャーリーは一人で食事を始めた。

34 :
【博士の研究室】

博士「仲直りできたようですね。」

所長「どうかな。とりあえず嫌われる事は回避できたようだ。」

博士「あなたの言うことを聞いて、念力を見せた。これは良い兆候です。」

所長「そうだな。それで、どう思う? あの子の念力を。」

博士「母親の能力を遥かに凌駕していますね。ここに同じフォークがありますか、あなた、曲げられます?」

所長がフォークを手に取り試すが、びくともしない。

所長「こんなに固かったのか。大人の私でも全く曲がりもしない。」

博士「計算上、フォークをこのように曲げる為には、おおよそ300〜500kgfの力が必要です。6歳女児の平均握力は9kg弱です。比較する意味は全くありませんが。
あなたが命じて、難なくこの力を出しているところを見ると、これは能力のごく一部だけで行っている可能性が高いです。
次は脳波計を取り付けて行いたいですね。」

所長「まあ慌てるな。初めて我々の要求に答えたんだ。まだまだ時間はある。慎重に行こう。」

35 :
【実験室】

前回の実験の後、実験室の改修が行われ、壁紙は全て剥がされ、コンクリート打ちっぱなしの壁が現れている。室内の装備品は可能な限りの耐熱が施された。

チャーリーと若い男がテーブルを挟んで椅子に座っている。テーブルの上にはESPカードが置かれている。

所長「今日は簡単なゲームをしてもらうよ。このお兄さんはこの5種類どれかの絵の書いてあるカードを裏から見せるから、それがどの絵か当てるだけだ。簡単だろ?」

白衣を着た若い研究助手は少し怯えていた。彼は前回の実験に立ち会っており、ろうそくが爆発し、テーブルが燃え上がるのを見ているのだ。

所長「それじゃあ、始めようか。」

男は波形が描かれたカードをチャーリーの前に出す。程なくチャーリーは、自分の前に並べられたカードから、波形のカードを指差す。
25回繰り返され、その全てに正解した。最後に男は 犬のイラストが描かれたカードを出してきた。

チャーリー「ワンちゃん…。」

36 :
【チャーリーの部屋】

所長「今日は一緒にテレビを見ようか。お馬さんは好きかい?」

頷くチャーリー。
所長はテレビのスイッチを入れる。画面には競馬中継が映しだされる。

所長「この後、お馬さん達が駆けっこをするんだけど、どの馬が一番速いと思う?」

チャーリー「このお馬さんかな?」

所長「ほう、じゃあ私はこの馬だ。」

チャーリー「このお馬さんも速いけど、こっちのお馬さんの方が速いと思う…。」





レースは終わった。チャーリーが選んだ馬は1位、所長が選んだ馬は3位、2位はチャーリーが後から指摘した馬だった。

37 :
【博士の部屋】

博士「これまでの実験で、念力放火の他に念力、未来予知、透視能力を持っていることがわかりました。また驚異的な傷再生能力と、自己防衛能力も確認できています。
これまでの被験者とは明らかに違います。
過去の事例では、ごく弱い超能力が1種類のみ発現しただけで、このように強い能力が複数現れた事はありません。」

所長「超能力開発薬で人工的に作られたものではなく、遺伝によるものだからな。」

博士「はい。それの意味するところは、能力が今後も成長するということです。まだ僅か6歳ですから。」

所長「そろそろ上を納得させるだけの成果が欲しいところだな。念力放火を自ら使わせるのはまだ難しそうだが、念力でも見せてお茶を濁しておくか。」

38 :
【チャーリーの部屋】

所長「チャーリー、実はお願いがあるんだ。今度、国の偉い人がここに来る。そこで私はここで行っていることを見せなければいけない。そうしないと、ここで働いている人が仕事を無くしてしまうんだ。
その人に君の力を見せてあげてくれないかな?」

チャーリー「…。」

所長「お願いできないかな。この部屋を掃除してくれる人、君のご飯を作ってくれる人、みんな君のお陰で仕事があるんだ。」

チャーリー「…。わかった…。でも火はつけないわ。」

所長「そうか、ありがとう。そうしたら、物をちょっと動かしてくれるだけでいい。」

チャーリー「いいわ。わかった。」

所長「ところで君はどれくらいの物を動かせるんだい?」

チャーリー「わからない。やった事ないから。」

所長「なら色々な物を用意させておくから、出来るところをやってくれるかな。」

39 :
【実験室】

いつものように体じゅうに電極を付けられているチャーリー。その前にはテーブルにのった1.5Lのペットボトル入りジュースと5kgの鉄アレイ、隣には旧式の大型ブラウン管テレビ、その隣には大型の業務用冷蔵庫が置かれていた。
そしてコントロールルームの中では、陸軍中尉が様子を見守っていた。

所長「それでは始めようか。最初にそのジュースを動かしてくれるかな。」

すーっとペットボトルが浮かび上がり、テーブルの上 約1mの場所でくるくる回っている。

所長「次は隣の鉄アレイ、どうかな。」

ペットボトルの回転が止まり、空中に静止したまま、隣の鉄アレイが浮かぶ。

所長「テレビは出来るかな。」

重さ100kg近くあるテレビが浮かび上がった。

所長「冷蔵庫、ちょっと重いよ。」

チャーリーの体重の10倍以上ある 冷蔵庫が軽々と浮かび上がる。

チャーリー「これで終わり?」

所長「ああ、そうだね。終わりだ。」

冷蔵庫、テレビ、鉄アレイ、ペットボトルが静かに地面、テーブルの上に戻される。

チャーリーは汗ひとつかいていなかった。

所長「簡単すぎたかな?」

チャーリー「そうね。今度はもっと難しくてもいいわ。」

40 :
【会議室】

研究の主要メンバーに加え、先の陸軍中尉が参加している。

中尉「面白いものを見せてもらった。あれがトリックや特撮ではないことを祈っているがね。」

博士「とんでもありません。被験者42号は、先天的に超能力を持って生まれた、過去のどの被験者よりも強い能力を持っています。」

中尉「君達を信じたいが、予算欲しさに私を欺いている可能性も考えなくてはいけないのでね。あの娘は、一連のショーを『簡単だった』と言っていたが、本当か?」

博士「恐らく本当でしょう。もうひとつ、彼女が他の被験者と違っているところは、超能力を使った後の副作用が無い事です。これまでの被験者は全員、力を行使した後には強い頭痛に襲われます。
脳細胞に強い負荷がかかり、一部細胞が死滅する為、自己防衛の為だと考えています。42号にはそれがありません。基本的に超能力を使うことを嫌がっています。そしてまだ自由に力を制御することが出来ません。」

中尉「なぜそれが判る?」

所長「例のビデオをお見せしろ。」

会議室の大型スクリーンには、ろうそくが爆発し、実験室が大炎上した映像が映し出される。

中尉「これは…。使えるな。なぜこれを見せてくれないんだ?」

所長「彼女は火を着ける事を極度に嫌がり、そして恐れています。あのように制御不能になることを知っているからでしょう。これは彼女の意志ではなく、我々が無理矢理に力を使わせました。
そして、まだ彼女は我々を信用していないでしょう。完全な形で実験が行われたのは、今回が初めてです。この関係を築くのに9ヶ月かかりました。」

中尉「無理矢理?」

博士「脳内に電流を流しました。」

中尉「なぜそれをやらないんだ?」

博士「42号は能力を制御出来ません。意に反して無理にやらせるのは危険です。」

中尉「そうか。我々もあまり長くは待てない。それは理解しておきたまえ。」

博士「…。」

所長「中尉殿、お帰りになる前に、彼女の力を感じてみませんか?」

中尉「出来るのか?」

所長「チャーリーは今何してる?」

スクリーンにチャーリーの部屋が映し出される。既にベッドに入り寝ているようだ。

所長「麻酔で眠らせて医療実験室に連れて来い。」

程なくして、2名の研究助手がチャーリーの部屋に現れ、チャーリーの腕に注射をする。ストレッチャーが運びこまれ、チャーリーを乗せて部屋の外へ出ていく。

所長「さあ、参りましょうか。」

41 :
【医療実験室】

中尉達が実験室に到着すると、実験テーブルの上には裸姿のチャーリーが横たわっており、研究助手がチャーリーの体に電極を取り付けていた。

研究助手「もう少しで終わります。」

所長「ああ、いいよ。丁寧にやってくれ。中尉殿、彼女の体を見て気がつく事がありませんか?」

中尉「わからんね。」

所長「綺麗な体でしょう? 傷、シミ一つない。」

中尉「言われてみればそうだな。珍しいな。お前達が隔離しているせいか?」

所長「違いますよ。ちょっと腕を見てください。先ほど麻酔を打った腕です。どこ注射をしたか判りますか?」

中尉「どれどれ…。見当たらないな。反対の腕ではないのか?」

所長「確かにこちらの腕です。」

中尉「…。」

所長「おい、ビタミン剤でいいから注射してくれ。判りやすいように、なるべく太い針で頼む。」

医療助手がチャーリーの腕に注射をする。ごく微量の出血の後、針穴は塞がっていく。

中尉「!?」

所長「これで、この少女が普通ではない事を理解していただけましたかな?」

医療助手「脳波計及び心電図の準備は完了しました。ビデオカメラはあそこです。」

中尉の前に、医療用メスと耐熱手袋が運ばれてきた。

中尉「これは何だね?」

所長「ご自身でトリックではない事を確認してください。」

42 :
所長「麻酔をかけてありますから、傷みは感じないと思いますよ。」

中尉「それはそうだか…、本当にいいのか?」

所長「どうぞ。但し、ちょっと扱いにくいかもしれませんが、手袋をしてください。」

中尉「何故だ?」

所長「安全の為ですよ。」

中尉「そうか、わかった。」

中尉は耐熱手袋をはめ、メスを手に取った。

中尉「それでは、いくぞ。」

チャーリーのお腹にメスを入れる。

研究助手「脳波に変化あり。」

脳波計が激しく動きだす。
耐熱手袋をしている為、メスが熱くなっていることに気がつかない。

中尉「ん、焦げ臭いか? なんだか手が…、あちっ! 何だこれは!!!」

耐熱手袋が燃え出す。メスは手袋の中で真っ赤になっている。やがてメスは溶けはじめ、真っ赤な金属の液体が床に落ちる。

中尉「熱い!熱い!手袋を取ってくれ!!」

研究助手が消火器を中尉の手に向けて消火を試みる。
手袋が外されると、中尉の手は軽い火傷を負っていた。
手袋の一部は溶けだし、溶けたメスと手袋が混じ合っている。

中尉「…。」

所長「どうでしたか。納得いただけましたか? そうそう、お腹をご覧ください。貴方が傷つけたところを見てください。」

先ほど中尉がメスで切った箇所、鮮血があるだけで、傷はおろか切り跡らしきものも全くない。

中尉「わかった、わかった。信用する。俺の右手が証拠だ。」

43 :
【所長室】

博士「いいんですか、陸軍にあそこまで教えて。」

所長「まぁ仕方ないだろ。我々をペテン師だと思っている連中だからな。奴の顔を見たか。青ざめてたぞ。」

博士「中尉が犠牲になってくれたお陰で面白いデータが取れました。脳波の動きは9ヶ月前に比べて小さくなっていますが、発生させた熱量はメスの部分で約5000度、手袋の部分で約3000度、
消火があと数秒遅かったら、中尉は2度とペンを持てなかったでしょう。これの意味するところは、能力が成長しているということです。」

所長「まぁ、成長期だからな。」

博士「過去の被験者は、薬を投与して約1年が能力のMAXで、あとは衰退するだけです。我々にとっても初めての経験なのです。」

所長「そうだな。で、次はどうする?」

博士「全力で念力を使わせてみたいですね。」

所長「今日は半端な実験で終わってしまったからな。その線で準備を進めてくれたまえ。」

44 :
【チャーリーの部屋】

医療実験室での騒動の後、チャーリーは自室に戻された。麻酔が切れ、チャーリーは目覚める。

チャーリー「よく寝たな。頭がすっきりしたわ。昨日はちょっとだけ力を使えたし、夢の中だけど力を解放したせいかな?



あっ、いけない、いけない。我慢。我慢。」


チャーリーは両親の言い付けにより、超能力を使うことに抵抗をもっていたが、所長はじめ施設のスタッフ達と過ごす時間が長くなるに連れ、そのタガが外れてきたようだ。
チャーリーにとって、能力の行使に一切の苦痛は伴わない。むしろ、溜まっていたものを放出する感覚。例えれば、尿意を我慢した後にトイレに駆け込んで放出した感覚、要は気持ちいいのである。

45 :
【チャーリーの部屋】

チャーリーは一人てテレビゲームをしている。シューティングゲームだが、なかなかの腕前だ。とても6歳児のプレイには見えない事は明らかだ。

所長「入るよ。」

チャーリー「どうぞ。」

視線を所長の入ってきたドアに向けるも、モニター内の自機は、敵の弾丸を避けつつ、敵を破壊している。

所長「どうぞ、続けて。」

視線がモニターに戻ると、神業的な攻撃が再開される。

所長「すごいね。私には出来ないな。」

チャーリー「簡単よ。おじさんも一緒にやる?」

所長「それじゃあ、やらせてもらおうかな。」

所長がコントローラを取る。
スタートして数秒で被弾してしまう。

所長「難しいな。」

チャーリー「私が教えるわ。」

チャーリーが敵の出現位置を教えると、所長はチャーリーの誘導に従い、敵をかわし、攻撃できるようになった。3分程したところで、敵の攻撃が激しくなり、チャーリーの誘導も空しく、被弾してしまった。

所長「ああ、やられてしまった。でもだいぶ進むことができた。チャーリーのお陰だ。
このゲームは何回もやったのかい?敵が出てくる所を覚えているよね?」

チャーリー「ううん、今日初めてよ。敵が来そうな所がなんとなくわかるの。」

所長「そうか。なんとなく、か。」

46 :
所長「そうだ、私はゲームをやりに来たのではないんだよ。昨日の実験だが、あまりにも簡単すぎただろう。もう少し難しいものに挑戦してもらいたいのだか、どうかな?」

チャーリー「別にいいわよ。」

所長「ちょっと難しい質問かもしれないが、昨日は何%の力、ちょっととか いっぱいでも構わないのだか、どれくらいの力を使ったのか分かるかな?」

チャーリー「ほんのちょっぴり。ちょっと頭の中で『浮かんで』って考えただけよ。」

所長「ほんのちょっぴりか。それなら、車を持ち上げることも出来そうかな?」

チャーリー「わからないわ。」

所長「決まりだ。今度の実験では車を用意しておくよ。頑張ってくれるかな?」

チャーリー「わかったわ。」

47 :
【The Shop 駐車場】

車を実験室に入れる事は出来ないので、今日の実験は駐車場で行われることになった。屋外ではあるが、急遽プレハブ建のコントロールルームが設けられた。
いつものように、チャーリーの頭、体には電極が取り付けられ、その前には小型乗用車、大型SUV、そして6歳の少女には不釣り合いな10トンダンプカーが置かれていた。

所長「チャーリー、それでは始めてくれ。最初は小さい車だ。」

チャーリーが車を見つめると、小型乗用車はゆっくり浮かび上がった。2メートル程浮かんだところで上昇を止め、車は縦方向にくるくる回りだした。

所長「次は真ん中の車だ。」

所長が命じると、2トン以上もあるSUVが浮かび上がる。そして上空2メートルで同じように回りだす。

所長「最後はトラックだ。出来るかな?」

車体が揺れ、一瞬持ち上がりそうになるが持ち上がらない。

所長「これは重たすぎるか…。」

所長が呟いたその時、トラックの車体が真ん中から2つに折れ曲がり、ロケットの如く10メートル以上まで一気に飛び上がった。

チャーリー「ごめんなさい。力をどれだけ出せばいいのか わからなかったの。ちょっと出しすぎちゃったみたい。」

48 :
【会議室】

実験終了後、いつものメンバーは会議室に集まっていた。

所長「とてつもない念力を持っている事も判った。軍事利用出来るのは念力放火だけかと考えていたが、チャーリーなら念力も充分使えるな。」

博士「42号の能力を軍部に教えるのですか?」

所長「奴らのおもちゃにはさせんよ。無理強いして、一切の能力を使う事を拒否されるのが関の山だろう。」

博士「研究者として、42号に念力放火をさせたいのですが、良い案はありませんか?」

所長「私に考えがある。もう少し時間をくれないか。」

博士「勿論待ちます。宜しくお願いします。」

49 :
【チャーリーの部屋】

今日はチャーリーの7歳の誕生日。部屋には、所長と女性研究者が来ている。テーブルの上にはご馳走が並んでいる。

所長・女性「お誕生日おめでとう!」

チャーリー「ありがとう。」

所長「今ケーキを持って来させるからね。」

ホールケーキが運ばれてくる。ケーキにはろうそくが7本立っている。火はついていない。

所長「チャーリー、無理にとは言わない、嫌ならいいのだが…」

チャーリーがケーキを見つめると、7本のろうそくに火が灯った。その直後、チャーリーはバスルームに向けて駆け出す。チャーリーが到達する前にバスルームの扉が勢いよく開き、バスタブの蛇口(冷水)が回りだす。蛇口から出てくるのは湯気をたてた熱湯である。
バスルームに駆け込んだチャーリーは、バスタブの中を見つめている。バスタブの水は煮えたぎっている。

チャーリー「止まれ…。」

程なく、沸騰は止んだ。
バスルームから戻ってくるチャーリー。

女性研究者「…。」

所長「それでは、改めて。
♪ハッピーバースデー トゥユー」

チャーリーがろうそくを吹き消す。

チャーリー「ありがとう。」

所長「誕生日プレゼントと言っていいのか判らないが、君に伝えたい事がある。お父さんの事だ。」

チャーリー「パパ!?」

所長「私はここの所長だが、ここは国の施設なんだ。私にも言うことを聞かなければならない人がいるんだよ。
その人達に、君とお父さんを会わせる事は禁止されてきたのだが、君が何回か火を着けるところを見せてくれれば、会わせてもいいと言ったんだ。」

チャーリー「本当なの?」

所長「ああ、本当だ。」

チャーリー「でも…、危ないわ。うまくコントロールできるか わかんない。」

所長「その事だか、上手にコントロールする為には、練習しなければならないよ。」

チャーリー「…。」

所長「無理にとは言わない。よく考えてくれ。さ、ご馳走を食べようか。」






数日後、チャーリーは餌に食い付いてきた。

50 :
【所長室】

博士「念力放火実験を行う事に同意させたのは感謝しますが、父親に会わせる気ですと?」

所長「本当に会わせる訳ないだろ。引っ張れるところまで引っ張って、適当な所で麻酔で眠らせた父親に会わせればいい。意識が戻らないとでも言えばいいだろ。」

博士「判りましたが、気を付けてくださいよ。42号の超能力は全て解明した訳ではありませんから。いつあの子が貴方の企みを見抜くかもしれませんよ。」

所長「判ってるさ。その時は、電子レンジの中の豚肉の気持ちが理解出来るだろうな。」

51 :
チャーリーが念力放火実験へ同意したことを受けて、施設の配置替えが行われた。
新しいチャーリーの部屋は、医療実験棟に置かれ、室内は暗視カメラ、サーモカメラを含め約100台のカメラで死角を無くし、温度、湿度も完全管理。四方の壁は厚み50センチの鋼鉄に耐熱ボードで覆われた。
隣の部屋にはCT、MRI、X線装置等の医療診断機器がおかれ、実験の前後を含め、頻繁に綿密な診断を行うことになった。
子供に大量の被曝をさせる事について議論にもなったが、子供ではなく研究実験対象物であるとの結論に至った。

52 :
更に…、万が一の際に最終処分を行う為のガス配管も施された…。

53 :
【実験室】

電極を取り付けられたチャーリーと所長の前には鋼鉄製のテーブル、その上には15cm角、1メートルの角材が置かれていた。部屋の端には古びたバスタブが置かれ、その中は水で満たされていた。

所長「見てのとおり、壁はコンクリート製で、あのテーブルも燃えにくいものにした。水はあそこだ。」

所長はバスタブを指差す。

チャーリー「これなら大丈夫かな?でも、おじさんも部屋から出ていてね。危ないから。」

所長「わかった。隣の部屋で見ているよ。」

所長は退出し、コントロールルームへ移動する。マジックミラー越しにチャーリーを見る。全ての準備が整ったことを確認すると、所長はマイクに向かって話した。

所長「始めるんだ。」

54 :
実験室に一人取り残されたチャーリー。正面のマジックミラーを見る。自分の姿が写るだけだが、ミラーの向こうから多くの視線を感じる…。
否、ミラーの向こうで自分を興味深く見ている研究者達が見てとれた。やがて所長が入ってくるのが見え、研究者と二言三言話すと、マイクに向かった。

スピーカーからの声「始めるんだ。」

チャーリーは角材を見た。角材に向けて力をほんの少しだけ解放した…、つもりが沸き上がり放出されたい力の勢いに負けて、事前に考えていた以上の力を放出してしまった。

角材は燃え出すと直ぐに爆発して飛び散った。角材が置かれていた金属シャーレの真ん中は溶けて穴が空いている。

チャーリー「うそ、こんなに強くなってるの!?」

予想を越えた力の大きさにチャーリーはパニックになりかけていたが、気を取り直すと、力のかたまりを水の中に押し込もうとした。

チャーリーがバスタブの方を向くと、バスタブの冷水は僅か2秒で煮えたぎる熱湯に変わった。

チャーリー「止まれ!止まれ!!止まれ!!!」

沸騰の勢いが落ちてくる。

チャーリー「止まれ!!!!!」

バスタブの沸騰が終わると、チャーリーは正面に向き直った。
チャーリーが作り出した湯気のせいで、マジックミラーはすっかり曇ってしまった。

55 :
【 チャーリーの部屋】

実験の後、所長と一緒に自室に戻ってきたチャーリー。

所長「早速今の実験の様子を報告書に纏めさせて、上に提出するよ。その前に2、3聞いてもいいかな?」

チャーリー「なに?」

所長「先ずは今日の実験、力を使ってみてどうだった?怖くなかったかい?」

チャーリー「上手くコントロール出来るか、ちょっと怖かったけど…。大丈夫だった。前よりずっと力が強くなってて驚いたけど、私、コントロール出来た。今日はほんのちょっとだけ力を出そうと決めてたの。
そうしたら、ちゃんと小さい力になって出てきた。それを木にぶつけたの。木が燃えちゃった後は力を…、」

所長「自分の中に戻すのかい?」

チャーリー「ううん、水の中に押し込んだのよ。私の中に戻したら、たぶん私が燃えちゃうわ。」

チャーリー「いつパパに会えるのかな?」

所長「なるべく早く会えるようにお願いしてみるよ。」

チャーリー「ありがとう。今度はもっと沢山の水が欲しいわ。」

56 :
【博士の研究室】

所長「どうだね、念力放火実験を成功させた感想は?」

博士「木に火をつけるなんて事は、42号にとっては雑作もないことでしたね。」

所長「無意識なら金属を溶かしたからな。今日はほんの小さな火だそうだ。その小さな火の威力はどうだった?」

博士「あまりにも早く終わってしまい、詳細なデータを取ることが出来なかったのが心残りですが、それは次回にとっておきますよ。
判ったのは、能力を出すより止める事が大変だということです。角材が燃え出すのに10秒とかかりませんでしたが、水の沸騰が止まるには1分35秒を要してます。
あなたの話によると、熱を冷ます為に水へ力をぶつけたのですよね。」

所長「そのように言ってたな。」

博士「何はともあれ、念力放火実験を中心に、他の超能力実験も並行して行いたいと思います。」

所長「宜しくたのむよ。」

57 :
【チャーリーの部屋】

念力放火実験の翌朝、チャーリーは清々しい朝を迎えていた。

チャーリー「とてもよく眠れたわ。」

ベッドから起き上がると、ベッドの縁に腰掛けバスルームの方を見た。バスルームのドアが開き、バスタブの栓が閉じられた。続いて蛇口が動きだし、冷水が注がれ始めた。
5分程経つと、チャーリーは再びバスルームの方を見る。蛇口が先程とは反対に動き水が止まる。
チャーリーはバスルームに向かって歩き出す。
バスタブの横に来ると、深呼吸をする。

チャーリー「ちょっとだけなら、いいよね…。」

そう呟いた後、バスタブ内の水に向けて力を開放する。ゆっくりと、慎重に。
10秒もしないうちに、バスタブの中の水は沸騰を始める。

1分ほど小さな力の放出を楽しんだ後、次から次へ涌き出てくる力を抑えようとする。

チャーリー「止まれ…。」

チャーリーが力をが止めるよう意識すると、バスタブ内の水は沸騰を止めた。

チャーリー「出来た…。」

チャーリー「これは練習よ。だからいいの。」



この超能力ショーは、高精度カメラによって、一部始終記録されていた。

58 :
【チャーリーの部屋】

力の放出を楽しんだ後、朝食を取っていると所長がやって来た。

所長「やあチャーリー、おはよう。」

チャーリー「おはよう、おじさん。」

所長「昨日はありがとう。まだお父さんに会わせてあげることは出来ないけれど、実験に協力してくれたご褒美として、今日は君を外に連れてもいっていい事になった。どこか行きたい所はあるかな?」

The Shopに軟禁されてから、初めての施設外への外出である。

チャーリー「おじさん本当?うれしいわ。遊園地に行きたいな。」

所長「そうか判った。それじゃあ おじさんと行こう。ご飯を食べたら検査を受けて、着替えて待っていてくれるかな?」

チャーリー「わかったわ。おじさんも早く来てね。」

医療実験棟に部屋が移されてからは、毎朝チャーリーの体の診断が行われている。
身長体重血圧に始まり、血液採取、心電図、脳波、CT、MRIによる脳診断、全身のX線撮影、等々。フルコースで行うと3時間以上はかかるのだが…。

59 :
【検査室】

チャーリーは検査室にやってきた。

チャーリー「今日は遊園地に行くの。だから早く終わらせてね。」

検査員「そうか、それはよかったね。なるべく早く終わらせるようにするよ。」

チャーリー「おじさん。」

検査員「なんだい?」

検査員はチャーリーの目を見る。

チャーリーは検査員の頭の中に語りかけた。
『検査は終わった。検査は終わった。』

検査員「はい、お疲れさまでした。これで終わりだよ。遊園地、楽しんできてね。」

チャーリー「うん、ありがとう。ばいばい!」

60 :
チャーリーから、準備が出来たと所長に電話が入る。朝食後1時間も経っていないのを不思議がり、検査室の録画記録を確認する。
チャーリーが精神感応を使って、検査員の記憶を弄ったことを理解する。
新たな超能力を見た興奮を抑えつつ、チャーリーの部屋へ向かう。
勿論、検査をサボった事をしかるつもりはなかった。

【チャーリーの部屋】
所長「早かったね。おじさん、慌ててしまったよ。」

チャーリー「遊園地に行くから急いでね、ってお願いしたの。だから早かったんじゃないかな。」

所長「そうだったのか。それでは行こうか。」

チャーリー「うん!」

61 :
【とある遊園地】

所長とチャーリーは遊園地にやってきた。休日ということもあり、園内は大混雑していた。2人は園内マップを見て、どのアトラクションへ行こうか相談している。

チャーリー「これがいいわ。」
所長「これは人気があるからね。たくさん待つかもしれないよ?」
チャーリー「色々な乗り物に乗りたいけど…、どうしても乗りたいわ。行こう!」
所長「君の好きな所へ行くよ。」

アトラクション前に着いた2人。所長の予想に反して、数人の親子連れが待っていてだけだった。

所長「よかった。すぐに乗れそうだ。」

その後もチャーリーは人気アトラクションばかりを選ぶのだが、2人がアトラクションに行くと、いつも待っているのは数人だけで、すぐに乗る事ができた。



所長「そろそろ帰る時間だよ。行こうか。」
チャーリー「楽しかったな。また連れてきてくれる?」
所長「そうだな。また来れるようにお願いしてみるよ。」

2人が出口に向かっていると、お土産屋の前に置かれたガチャポンの前で小さな男の子が泣いている。

男の子「○○が欲しいんだよー。もう1回だけー。えーん。」
お母さん「もう5回もやったでしょう。帰るわよ。」
男の子「やだー。帰らないー。えーん。」

チャーリーが男の子に駆け寄る。

チャーリー「どうしたの?」
男の子「○○が出てこないの。ここに書いてあるのに!」
チャーリー「そっか。お姉ちゃんと最後に1回やって、そしたら帰ろうよ。お母さんが困っているよ。」
男の子「○○が出るまでやだ!」
チャーリー「おじさん、1回だけいい?」
所長「ああ。」

所長はチャーリーにお金を渡す。

チャーリー「それじゃあ、お姉ちゃんと一緒に回そう。○○が欲しいって願いながら回すんだよ。」
男の子「うん!」

2人は一緒にハンドルを回した。カプセルが落ちる。

男の子「○○だ!やったー。お姉ちゃん、もらっていいの?」
チャーリー「よかったね。それはお姉ちゃんからのプレゼント。」
男の子「ありがとう!!!」
チャーリー「よかったね。バイバイ!」
男の子「バイバイ!」

62 :
【実験室】

2回目の念力放火実験が行われることになった。いつものように、体じゅうに電極を取り付けられたチャーリー。チャーリーの前にはいつもの鋼鉄製テーブル、その上には厚さ5センチほどで ドミノピザよりやや大きめの鋼鉄プレートが置かれていた。
プレートには温度計も取り付けられている。
チャーリーの右側には前回より大きなバスタブが置かれ、中には氷水が並々と蓄えられていた。

チャーリー「今日は鉄なのね。楽しみだわ。」

スピーカーからの声「始めなさい。」

チャーリーは鋼鉄プレートに向けて緩やかに 力を放出した。10秒程力を注いでプレートに変化が無いことがわかると、チャーリーは力の放出量を増やした。
室温が上昇する。プレートが赤くなりはじめた。
チャーリーは更に力を加えた。
プレートが中央付近から溶けだした。
やがてプレートが燃え出した。鋼鉄製のテーブルも真っ赤だ。

スピーカーからの声「チャーリー、終了だ!」

チャーリー「あっ。水!」

我にかえるチャーリー。右側に置かれたバスタブのほうを向く。それと同時にバスタブの水は渦を巻き、沸騰を始めた。

チャーリー「止まれ!止まれ!!」

バスタブの水は煮えたぎっている。

チャーリー「止まれ!止まれ!!止まれ!!!」

沸騰の勢いは衰えない。既に半分以上の水は蒸発している。

チャーリー「止まれ!早く!!」

殆んどの水が蒸発してしまい、バスタブまでもが溶けはじめ、火を吹いた。

63 :
【コントロールルーム】

全員がマジックミラー越しにチャーリーを見ている。バスタブの水か枯渇し、バスタブが溶けて燃え出すのが見えた。

所長「まずいな。水が足りない。」

研究員達が騒ぎ出す。

所長がマイクにむかって叫ぶ。

64 :
【実験室】

スピーカーからの声「チャーリー、上だ!」

チャーリーは上を見た。複数の配管のうちの1本に水か通っているのが感じられた。チャーリーはその配管に念力をぶつけた。その瞬間、配管はカッターで切断したかのように真っ二つに割れる。破れ目から吹き出す水。チャーリーは力をぶつけた。吹き出す瞬間に気化する水。

チャーリー「止まれ!早く!」
チャーリー「止めるのよ!止まって!!お願い!!!」

やがて、気化はおさまり、熱湯となり、またしばらくすると冷水が吹き出すだけとなった。

チャーリー「はぁ、はぁ…。」

65 :
【コントロールルーム】

興奮と恐怖が交錯するコントロールルーム内。殆んどの研究員は驚愕し青ざめ、自分達が扱っている研究対象の少女に怯え始めた。

所長「危なかったな…。データを報告しろ。温度班、最高温度は何度だった?」

温度班「室温は摂氏65度、対象物は…、15000度を越えたところで温度計が壊れてしまいました。色温度から推測すると、25000度程度…かと思われます…。」

室内がざわめく。

所長「脳波は?」

脳波係「開始後7秒で変化あり。18秒後に振幅が増え、更に35秒後にもう1段階振幅が増えました。52秒で停止命令。その後も しばらくは同程度の振幅が続き、2分20秒あたりから振幅が減り始めます。
3分15秒、水道管を破壊した際に一瞬強い振幅を確認。その後も振幅は減り続け、4分10秒付近で平常値に戻りました。
最大振幅は…、前回の実験より小さくなっています…。」

所長「博士、どういう事だ?」

博士「能力が強くなっている、という事かと思います。」

所長「心電図、何かあるか?」

心電図係「特に、ありません。通常の7歳女児と変わりません。」

所長「そうか。わかった。
次の実験はこの部屋では出来ないな。」

研究員同士がお互いの顔を見合って、震えているのは自分だけではないことを確認した。

66 :
【チャーリーの部屋】

実験の後、自室に戻ったチャーリーはソファーに座っている。中途半端に力の行使を止められたことにより、力を放出したい衝動に駆られていた。

チャーリー「駄目よ。我慢。」

チャーリー「我慢。我慢。」

チャーリー「そうだ、テレビゲームでもしよう。」

ゲームをしている間も力を使いたい気持ちは高ぶるばかり。

チャーリー「もう駄目。おじさん達が悪いのよ。もっと力を使わせてくれないから。」

チャーリーはバスルームに向かった。自分の手でバスタブに栓をし、そして蛇口をひねった。
逸る気持ちを抑えて、バスタブに水が溜まるのを待つ。満水になると、蛇口を止めた。

チャーリーが水面を見つめると、冷水は瞬く間に熱湯にかわり、沸騰を開始した。
熱湯が蒸発し バスタブ内の水が無くなりかけると、チャーリーは力の放出を止めた。

チャーリー「もっとたくさん水が溜まるといいのにな。」

67 :
所長がチャーリーの部屋にやってきた。

所長「チャーリー、いいかな?」

チャーリー「どうぞ。」

所長「今日は悪かったね。まさか水が足りなくなるとは思わなかったのだよ。」

チャーリー「私もちょっとしか力を出さないから大丈夫かと思ってたのに…。でも、前より力が強くなってて…、止めようと思ってもすぐに止められなかったの。
おじさんがお水の場所を教えてくれたから助かったわ。」

所長「パイプは沢山あったけど、よく水の出るパイプがわかったね。」

チャーリー「なんとなく お水がありそうだったから、壊しちゃった。ごめんなさい。」

所長「君は悪くないよ。私が上を見てと言ったのだしね。
ところで、今日の実験ではどれくらいの力を使ったかわかるかな?」

チャーリー「まだ半分も使ってないよ。もっと出そうかと思ってたら、おじさん止めるんだもん。」

所長「そうだったのか。でもあれ以上続けたら、実験室が火事になってしまうからね。今度はもっと力が出せるようにしておくよ。」

チャーリー「お願いね。…もうひとつお願いしていい?」

所長「何だね?」

チャーリー「私も大きくなったでしょ? あのお風呂じゃ窮屈なの。もう少し大きいお風呂に入りたいな。」

所長「そんな事か。いいよ。今日は無理だけど、数日中に取り替えさせよう。」

チャーリー「ありがと、おじさん。」

所長「狭いお風呂で申し訳ないが、そろそろお風呂に入って寝なさい。」

チャーリー「はーい、おやすみ。おじさん。」

68 :
【チャーリーの部屋】

チャーリーが The Shop に軟禁されて1年が過ぎた。チャーリーが超能力実験に協力的になってきたこともあり、長期の実験計画が組まれるのと同時に、勉学を受けさせることも決定した。
学校に行かせる訳にはいかないので、家庭教師が派遣される事になった。家庭教師にはチャーリーのバックグラウンドは説明されていない。

家庭教師「今日からあなたと一緒に勉強する○○よ。よろしくね。」

チャーリー「よろしくね。先生。」

家庭教師「あなたはどこまで習ったのかしら?」

家庭教師はチャーリーに小学1年生の教科書を見せる。

チャーリー「学校にはちょっとしか行けなかったの。」

家庭教師「それじゃ、最初から勉強しましょう。」


勉強の時間は毎日午後に取られることになった。午前は医療検査を受けているので時間が取れないためだ。

69 :
【所長室】

所長「これを見てくれ。」

博士「陸軍のお偉方ですか。」

所長「そうだ。中将殿がお出ましだ。」

博士「随分期待されていますね。」

所長「あまり期待されて欲しくないのだかね。金だけ出して放置してくれるのが一番有難い。」

博士「お気持ちは判りますが、それは無理です。」

所長「冗談だ。さて、どうやってやり過ごすかな。先方は念力放火実験への立ち会いを希望だ。」

博士「見せますか?」

所長「見せたくないね。あれを見せたら、チャーリーは我々の手から離れて、陸軍が直接研究を始めるだろう。彼らは短気だからね。結果は出せないと思うが。チャーリーは渡さんよ。」

博士「では…?」

所長「チャーリーにひと芝居打って貰おうと考えている。そちらにも研究資料の改ざんをお願いしたい。チャーリーは やっと小さな木片に火を着けることが出来るようになった。これからも能力開発に勤しみます。この筋書きでいくぞ。」

博士「大丈夫ですか?もしバレたら。」

所長「お前さんはチャーリーを取り上げられてもいいのか?」

博士「判りました。」

70 :
【チャーリーの部屋】

所長が陸軍上層部の来訪を説明している。

所長「という訳で、おじさん達と協力して、彼らを騙してほしいんだ。」

チャーリー「構わないわよ。」

所長「よかった。私は君と離れたくないんだ。早速だか 嘘のビデオを作りたい。実験室に来てくれるかな。」

71 :
【実験室】

偽実験ビデオの作成が始まった。あらすじはこうだ。チャーリーはテーブルに置かれた かんなくずに火を着けることを試みる。温度上昇が見られ、煙が上がってくるが発火には至らない。

本物の実験と同じように、チャーリーの体には電極が取り付けられた。

所長「それではやってくれるかな。」

チャーリーは本当に小さな、小さな力をかんなくずにぶつけた。…にも関わらず、かんなくずは炎上し、金属シャーレの中央は溶けていた。

10回試したが、いずれもかんなくずは炎上し、シャーレを溶かした。かんなくずを濡らしてみたりもしたが、無駄だった。

シナリオは変更され、火をつける事が出来ないビデオが作成された。



所長「今日は仕方ないな。当日は、金属を溶かさないで欲しいのだが、出来るかな?」

チャーリー「わからない。本当に小さな力しか出していないの。これ以上小さくするのは難しいわ。」

72 :
【実験室】

数日後、陸軍上層部が The Shopにやってきた。所長室での簡単な挨拶と説明の後、実験室隣のコントロールルームに入室した。彼らはマジックミラー越しにチャーリーを観察する。

チャーリーが実験室に入室する。研究助手がチャーリーに電極を取り付け、準備は整った。
チャーリーの前に金属シャーレにのったかんなくずが運ばれてきた。なるべく燃えにくくするため、厚めに削られたものが選ばれ、更に直前まで水に浸してあった。

所長が実験開始を告げる。

所長「始めなさい」

チャーリーは、出来うる限りで最小の力をかんなくずにぶつけた。静かに、ゆっくりと。

所長たちの努力も虚しく、かんなくずは鮮やかに燃え上がった。そして、金属シャーレも溶けていた。

73 :
【コントロールルーム】

陸軍上層部の面々は、初めて目の前で超能力を見て興奮している。

中将「凄かったな。見たか? 木が燃え出したぞ。あの小さな女の子がやったんだよな。信じられない。どこにあんな力が隠されているんだ。」

所長「それを解明するのが我々の仕事です。今日は何とか成果をお見せすることが出来て ほっとしています。」

中将「この少女は兵器化出来そうか?」

所長「まだわかりません。もう少しお時間を頂ければ改良に努めます。」

中将「そうか、君達には期待しているよ。」

74 :
【チャーリーの部屋】

家庭教師を付けて学習を開始したチャーリーだったが、チャーリーは一人で大学のテキストを読んでいる。教科書を1回読んだだけで理解してしまうので、家庭教師から習う必要が無かったのである。2週間で家庭教師は解雇された。
驚異的なスピードで知識を増やすチャーリー。外見は7歳の女の子だが、知識量はハーバード大学で首席を取れる程までになっていた。

1時間ほど学習をした後、チャーリーはお楽しみを開始する。テキストを読みながら、バスタブに水を張ることを考える。
するとバスルームが意思を持っているかのように、バスルームの蛍光灯が点灯し、換気扇のスイッチが入る。バスタブの栓が動きだし、蛇口が開かれた。満水になると蛇口は閉じられ、チャーリーがやってきた。

以前の倍以上ある大きなバスタブを前に、チャーリーは微笑んだ。

チャーリー「さあ、いくわよ♪」

チャーリーはバスタブが燃え出さないよう、ごく小さな力を冷水に向けて注ぎ込んだ。最近は『力加減』というものがわかってきた。バスタブの水が沸騰を開始した。
チャーリーが所長に説明したところによると、力を出すのは水道の蛇口をひねるのに似ていて、小さい力とは蛇口を少しだけひねり、水が細い線で出てくるようなものだそうだ。
水道の蛇口と違うのは、一度開いた蛇口は、常に開ける方向に力がかかっていて、気を抜くと、意識せずもどんどん蛇口が開いてしまうのだ。たがら小さな火だけを出すすのは難しいのである。

所長「チャーリー、入っていいかな?」

急な来訪者に驚いたチャーリーは、力のコントロールを誤った。

チャーリー「きゃっ。いけない!」

バスタブが溶けだした。慌ててチャーリーは水栓を開けた。手を使わずに。

煮えたぎる水に冷水が注がれるか熱湯の温度は下がらない。

チャーリー「止まれ!」

数秒後、バスタブの沸騰が止んだ。念力放火能力を毎日使っていたので、それは能力制御の練習にもなっていた。以前のチャーリーなら、こんなに短時間で涌き出る力の止める事はできなかった。

75 :
所長が部屋に入ってくる。チャーリーがバスルームから出てくる。自分が発生させた湯気で顔中に水滴が付いていた。
その姿を見て、所長はチャーリーが何をしていたか理解した。

所長「チャーリー、ごめん。忙しかったかな?」

チャーリー「大丈夫だけど…、お風呂…、壊しちゃった…。」

所長がバスルームを見に行く。バスルームの中はサウナのように暑かった。中には、上部が溶けて黒焦げたバスタブが鎮座していた。

所長「力を使いたいなら遠慮しなくてもいいのだよ。ここにはプールがあるから、そこを使いなさい。早速行くかい?」

チャーリー「うん、行きたい!」

所長「一応、データを取らせてもらいたいのだけど、いいかな?」

チャーリー「えーっ。毎日やるから、明日じゃ駄目? 早く行きたいわ。」

所長「ははは。それでいいよ。行こうか。」


The Shop内には、職員の福利厚生の為のプールがある。この日からプールはチャーリー専用になり、職員の利用は禁止された。

76 :
【屋外プール】

所長とチャーリーはプールにやってきた。競泳用のプールではないのでサイズは小ぶりだが、それでも150トン程の水が蓄えられている。バスタブとは比べられない大きさである。

所長「さあ、思う存分力を出したまえ。」

チャーリーはプールの水面、中央付近を見る。ここに力を注ぐのだ。
チャーリーは力を解放した。最初何も変化が無いように見えた水面も、チャーリーが力を注いでから1分しないうちに沸騰を開始した。
その様子を横で見ている所長。

所長「…。」

チャーリーは力の強さを徐々に上げていった。
プールの水はどんどん蒸発していく。4分を過ぎた辺りでおおよそ半分の水が蒸発していた。
チャーリーは水量が残り半分近くなったのを確認すると、力を止めはじめた。ここまで まだ2割の力も使っていなかったが、これ以上力を強めると、力を止める前にプールの水が無くなってしまうことがわかっていたからである。

チャーリー「止まれ!止まれ!」

所長「えっ?」

変わらず煮えたぎる水面。水面はどんどん下がっていく。

チャーリー「止まれ!止まれ!もう終わりよ!!!」

まだ沸騰の勢いは衰えない。

チャーリー「止まれ!!!止まれ!!!!止まれ!!!!!」

沸騰の勢いが衰えはじめた気がする。

チャーリー「あと少し、止まれ!!
早く!!!」

目に見えて沸騰の勢いが衰えてきた。

チャーリー「よし!」

チャーリーは力の放出が最低限のレベルまで落とせた事がわかると、そのまま力を出し続け、プールの水がなくなる寸前で力を止めた。

チャーリー「あー終わっちゃった。おじさん、ありがとう。」

所長「ん?あぁ。よかったね。」


この日、限界を知らないチャーリーの超能力を目の当たりにし、所長は初めてチャーリーに恐怖を感じた。

77 :
【実験室】

計画に基づき、念力放火以外の実験も行われた。実験室にはテーブルと椅子がおかれ、所長とチャーリーが腰かけている。チャーリーの体には電極が取り付けられている。テーブルの上にはテレビが置かれており、競馬中継が映しだされている。

所長が話し出す。音声はコントロールルームのスピーカーから再生される。

所長「皆に始める前に言っておく。この実験の悪用は禁止だからな。」

所長「さあはじめようか。このレースの着順は?」

チャーリーがちょっと考える仕草をする。脳波計に僅かな動きがある。普通の人間では休眠している場所だ。

チャーリー「CFAEI@GBHD」

そしてレースが開始された。チャーリーが言ったとおり、C番の馬が1着となり、2着以下も全て的中であった。

その後、4レース全ての着順を1つと間違えず的中させた。

所長「これで最後だ。」

チャーリー「HA@LCDGIEJBKFM」

発走を待つ所長と研究者達。

チャーリー「おじさん?」

所長「何だい?」

チャーリー「あそこの髭の人、スティーブさん? メールを打ってる。」

チャーリーはマジックミラーを指差す。

所長「何だと?何て書いているか判るかな?」

チャーリー「『10レース単勝9連単9-2貯金を全額注ぎ込め信じろ』、送信しちゃったよ?」

所長「おい、スティーブから携帯電話を取り上げるんだ!」

78 :
スティーブはコントロールルームから逃げ出した。

所長「守衛に連絡して、スティーブを捕らえさせろ!」





スティーブは逃げながら妻に電話をした。

スティーブ「俺だ。メールは見たな?すぐに馬券を買え!全財産だ。借金してもいい。ん?あの女の子だよ。今日は予知能力の実験をしてたんだ。これまで百発百中。次のレースの予想がそれだ。
あの子の言う事に間違いはない。お前だってこれまでの超能力を見てるだろ?あれは作り出した神の子供だよ。」

スティーブの妻もThe Shopの職員であり、チャーリーの超能力の事は知っている。今日は非番で家にいたのだ。

スティーブ「これで大金持ちだ。こんな仕事ともおさらばだ。」

79 :
【実験室】

所長「守衛に連絡して、スティーブを捕らえさせろ!」

所長「…。」

チャーリー「おじさん?」

所長「あぁ、すまなかったね。馬券を買うのをとめられなかったかもしれない…。」

チャーリー「それなら私に任せて。」

所長「どうするつもりだい?」

チャーリー「んー、ひみつ。うまくいくかわかんないから。成功したらすぐにわかるよ。」





各馬ゲートインして発走を待つ。

チャーリーは目を瞑り、競馬場をイメージする。そしてゲートインしているH番の馬を見つける。

チャーリー「お馬さん、ごめんね。ちょっとだけ我慢してね。」

チャーリーはH番の馬を抑えつけた。

ゲートが開く。各馬一斉にスタート…。の筈がH番の馬だけ出てこない。
競馬場内がざわめきだした。
騎手がムチを入れるが一向に走り出す様子がない。またムチを入れようとしたので、チャーリーは騎手も拘束した。

チャーリー「さあ、走ろう!」

15秒程経過したところで、チャーリーは馬と騎手への拘束を解く。

チャーリー「お詫びとして、今日は痛くないようにしてあげるからね。」

チャーリーは騎手に命じた。

チャーリー『今日はムチを使わない。使わない。』

H番の馬も遅れてスタートした。15秒の差は挽回できず、Hは最下位でゴールした。Aが一着となり以下@Lと続き、Hが最下位になった以外はチャーリーの言ったとおりの順番だった。

チャーリー「これでいい?」

所長「あ、あぁ、そうだな…。」

80 :
【チャーリーの部屋】

所長と若い女性研究員、チャーリーの3人でトランプをしている。
以前のチャーリーは、常に相手のカードが勝手に見えてしまい、ゲームにならなかった。
念力放火を制御できるようになるのと同時に、他の能力も制御できるようになったらしく、今では『見たくない』と考えると透視能力を止めることができるようになった。

その時 部屋の明かりが消え、室内は真っ暗になった。

所長「停電か? まぁ、すぐに点くだろう。非常用電源があるからな。」
女性研究員「そうですよね。」

1分が過ぎたが、電気は復旧しない。

所長「おかしいな。もういい加減点いてもいい筈だが。」
女性研究員「…。」
チャーリー「駄目みたい。非常用電源、壊れてるよ。今修理を始めたわ。」
所長「どれくらいで直るか判るかな?」
チャーリー「30分〜1時間くらいって言ってる。」
所長「仕方無い。待つか。停電では電子ロックを開けることができないからな。」

チャーリーの部屋のドアは電気式鍵でロックされている。IDカードを読み取り装置にかざして解錠するのだが、停電のため動作させられない。そしてここが唯一の出入口である。

1時間が経過した。まだ電気は復旧しない。

女性研究員「まだかしら…。」
チャーリー「まだかかりそうだって。」
女性研究員「今日はデートなのに、困ったわ…。6時にセンタープラザなの。」
チャーリー「そのペンダントの写真の人? もう来ているわ。」
女性研究員「もう来ているの? 早いわね。」
チャーリー「お姉さんも早く行かなくちゃ。今日は大切な日になるわ。」
女性研究員「大切な日? どういう事?」
チャーリー「行けばわかるわ。お姉さん、行きましょう」

チャーリーは女性研究員の手を取って、ドアの前まで歩いていった。

チャーリーは読み取り装置に手を触れた。

チャーリー『お願い、カギを開けてちょうだい。』

♪カチャリ。カギが開いた音がした。

チャーリー「お姉さん、早く!」
女性研究員「チャーリー、ありがとう。」

女性研究員は走っていった。



その日、女性研究員はボーイフレンドからプロポーズを受けた。

81 :
チャーリーがThe Shopに軟禁されて2年が経とうとしていた。超能力実験は計画表通りに進んでいた。チャーリーの強大な念力放火能力に対応すべく、新実験室の建設も進められた。来週、新実験室で久しぶりの念力放火実験が行われる。

そんな中、チャーリーは夢をみた。

父「チャーリー、騙されてはいけない。みんな敵だ。騙されるな。」

チャーリー「パパ!? どういう事?」

父「ここに味方はいない。それだけは忘れるな。」

チャーリー「パパ、わかったわ。いつパパに会えるの?」

父「わからない。でも諦めるな。パパを思い出せ。いつも一緒だ。」

チャーリー「うん。パパ…。」

チャーリー「会いたいよう。会いたいよう。」

ここでチャーリーは目が覚めた。

82 :
【新実験室】

新しい実験室は予算をふんだんに使い建設された。陸軍中将の視察以来、The Shopの予算は大幅に増加した。研究者達の希望通りに計測、実験機器が購入され、製作された。

実験室にチャーリーと所長が入ってきた。
室内には大量の計測機器、スタッフと一際目をひくのは、高さ約10メートルの圧力容器である。そしてその隣にはプールが作られており、約500トンの水が蓄えられている。

所長「この中にはタングステンのプレートが入っている。私には見えないが、チャーリーには見えていると思う。」

チャーリー「中にある あの四角い板ね。」

所長「そうだ。タングステンは非常に燃えにくいのだか、チャーリー、君の力なら簡単に燃やしてしまうだろう。そこで、高圧をかけることによって、融点を上げてやることにした。計算上、100000度までは耐えられる筈だ。」

チャーリー「わかったわ。」

所長「それともう1つ、この容器はタングステンほど高熱に耐えられない。容器とプレートを触れさせないようにしてほしい。」

チャーリー「こういう事?」

チャーリーはプレートを浮かばせた。

スピーカーからの声「タングステンプレートが浮上しました。」

圧力容器の中にはビデオカメラがあり、中の様子がコントロールルームのモニタに映しだされている。

所長「そうだ。そして水はあそこだ。だいたい1000トンある。いつも遊んでいるプールの6倍以上だ。足りるかな?」

チャーリー「大丈夫だと思うわ。」

所長「そうか。よかった。それじゃあ準備を始めてくれ。それにしてもすごい数の計測機器だな。」

4人がかりで、チャーリーに電極をつけ始める。

計測員1「ちょっと、この電極外してくれないかな。これを付けたいんだけど。」

計測員2「だめだね。これは必要なんだよ。 」

計測員3「あー、そこ私が付けようとしていたのに。」

計測員4「所長、電極を付けられる場所が全然足りません。」

計測員2「こりゃ裸にでもしなきゃ無理だな。あ、失礼」

83 :
所長「お前達、いい加減にしろ。少し減らせないのか?」

計測員1「ウチは無理です。」

計測員2.3.4「ウチだって同じです。」

所長「そんな事言ったってだなぁ、小さい女の子なんだ。スペースは有限だ。誰か遠慮しろ!」

計測員1.2.3.4「…。」

チャーリー「おじさん、いいわ。我慢する。だから早く始めましょう。」

そう言うとチャーリーは服を脱ぎ始めた。

所長「チャーリー、ちょっと待ちなさい。本当にいいのかい?」

チャーリー「早く始めたいの。だから構わない。」

裸になったチャーリーに電極が次々と取り付けられていく。

所長「おい、ガウンを持ってこい!」

所長はガウンを受け取り、チャーリーに掛けてあげた。

チャーリー「ありがとう。じゃあ みんな外に出ていてね。」

所長以下スタッフ全員が退出し、実験室にはチャーリーただ一人が残された。

84 :
【コントロールルーム】

所長「お前達なぁ…。電極の数くらい最初に把握しておきなさい。まぁ結果オーライだが。」

所長はモニタ画面を見た。タングステンプレートが浮遊している。モニタの右側には各温度が表示されている。
[容器:-45℃][対象物:-45℃][室温:24.0℃][体温:36.4℃][水温:17.7℃]

所長「準備は整ったか?それでは始めるぞ。」

所長はマイクに向かって言った。

所長「始めなさい。」

下を向いていたチャーリーが、圧力容器を見上げた。

所長「小さいな。こんな小さな女の子なのに、秘めた力は…。」

85 :
【コントロールルーム】

最初に声を上げたのは、脳波班だった。

脳波班「脳波に変化あり。過去見たことのない程の振幅です!」

温度班「プレートの温度上昇開始。0…50…100…300…500……、1000度を越えました!」

開始後僅か数秒でプレート温度は1000度を越えた。

所長「これは本気だな。」

86 :
【新実験室】

スピーカーから声「始めなさい。」

チャーリーは圧力容器内のタングステンプレートを見た。

チャーリー「いっぱい力を使っても大丈夫よね?」

チャーリーはプレートに力をぶつけた。今まで出した事のない程の強烈な力。半分弱のパワーだ。

チャーリー「気持ちいい…。」

87 :
【コントロールルーム】

開始から30秒が過ぎた。
温度班「プレート、10000度を越えました。容器内部も1000度を越えてます。」

脳波班「脳波、落ちついてきました。」

所長「冷却装置は?」

技術班「正常に動作しています!」

温度班「プレート、17000…20000度!」

所長「想定より早いな…。」

温度班「室温が上昇し始めました!26…27…29…33…38」

室温が40度を越えたところで、室内冷却装置が動きだした。20台もの工業用冷却装置である。本来なら氷点下30度にもなる勢いで冷風を送り続けている筈だか、室温はゆるやかだが上昇を続ける。

温度班「プレート温、30000度を越えました!」
温度班「内部温度、2600度、外部温度、43度!」

50秒を過ぎたあたりで、圧力容器の表面塗装が剥がれだしてきた。

88 :
【新実験室】

チャーリーはタングステンプレートに沸き上がる力を送り続けて続けていた。

チャーリー「この前より遥かに力が強くなってる…。パパ、私恐い…。」

チャーリーは能力の出力を上げるのを止めた。それでもタングステンプレートの温度上昇は速度を緩めない。やがてプレートが溶け出してきた。

89 :
【コントロールルーム】

1分が経過した。所長はモニタを見続けている。
[容器:3200℃][対象物:63200℃][室温:52.7℃][体温:37.2℃][水温:19.8℃]

所長「プレートが溶け出したぞ。」

研究員「あれ見ろよ…、容器が真っ赤だ!」

所長の指示で、プレートを浮上させているので、熱が直接容器に伝わることは無かったか、あまりにも高温なので、空気を伝って圧力容器の温度を上げてしまっている。

コントロールルーム内がざわめき出してきた。

温度班「プレート、90000度です。このまま続けますか?」

所長「容器はまだいけるのか?」

技術班「100000度以上は保障できません。」

90 :
【新実験室】

チャーリーはプレートに力を放出しつつ、コントロールルームの様子を伺っていた。

チャーリー「なんだ、もう終わりなのか…。もっと楽しみたかったな。」

温度班が10万度と叫んだのを確認すると、力を止める作業に入った。

チャーリーはプールの方に顔を向けた。

チャーリーはプールの水に力を投げ込んだ。1000トンの冷水が2秒で煮えたぎる熱湯となった。

チャーリー「終わりよ。止まれ!止まれ!!」

91 :
【コントロールルーム】

温度班「プレート温100000度!!」

博士「さあ、終了命令を、あれ?」

チャーリーは横を向いた。その刹那、1000トンの水が一斉に沸騰した。

研究員「水は足りるんですよね?」

所長「足りなかったら我々全員蒸し焼きだ。神にでも祈ってろ。」

コントロールルーム内のざわめきが一段と大きくなった。

所長「チャーリー、頼むよ。」

92 :
【新実験室】

チャーリーが己の力と格闘している。

チャーリー「止まれ!!止まれ!!!」

煮えたぎるプール。

チャーリー「止まれ!!、早く力を止めなさい!!!」

煮えたぎるプール。

チャーリー「止めるのよ!!!」

煮えたぎるプール。半分の水が蒸発してしまった。

チャーリー「お願いだから止まって!」

止まらない力、煮えたぎるプール。

チャーリー「だめよ、いい加減にして!!」

放出され続ける力。煮えたぎるプール。

チャーリー「止まりなさい!わからないの?早く!止まって!!」

沸騰のペースが弱まってきた。のこり水量約1割。

チャーリー「そうよ。止めるのよ。止まれ…。」

そして数秒後に沸騰は止んだ。

93 :
【コントロールルーム】

一同が固唾を飲んでチャーリーを見守っている。

スピーカーからの声「止まれ!!、早く力を止めなさい!!!」

研究員「水がどんどん減っていく!」

スピーカーからの声「止めるのよ!!!」

研究員「もう水が半分以上無くなったわ。」

スピーカーからの声「お願いだから止まって!」

研究員「ああ、神よ…。」

スピーカーからの声「だめよ、いい加減にして!!」

数人の研究員、助手がコントロールルームから逃げ出した。

スピーカーからの声「止まりなさい!わからないの?早く!止まって!!」

研究員「見て!勢いが弱まったわ!!」

スピーカーからの声「そうよ。止めるのよ。止まれ…。」

沸騰が止んだのを確認すると、あちこちから安堵の溜め息が聞こえた。

その時チャーリーがコントロールルームの方を向いて叫んだ。

スピーカーからの声「パパに会わせてちょうだい!」

所長「どうしたんだい、チャーリー。もうすぐ会えると思うよ。」

チャーリーは目に涙を溜めながら訴えた。

スピーカーからの声「おじさん、軍の人に伝えて。私はパパに会いたいの。会わなくちゃいけないの。会わせてくれるまで、もう実験はしない。火もつけない。物も動かさない。競馬もしない。何もしないわ。パパに会わせてくれたら、またちょっとはしてあげる。わかった?」

所長「あぁ、わかった。伝えておくよ。」

チャーリーの目から涙が溢れている。

スピーカーからの声「よかった…。もし会わせてくれないのなら、私、自分の力で会いに行くわよ…。」

所長「…。」

94 :
【博士の研究室】

博士はパソコンの前に座って、同じ超能力研究者である友人からのメールを読んでいた。

--------------------
題名:C.マクドナルドの実験P-#3の件
本文:
やあジョージ、君が送ってくれた、マクドナルド嬢の3回目の念力放火実験のビデオを見させてもらったよ。初見の印象は、驚愕、これにつきるね。何個か気付いた点を書かせてもらうよ。

@心拍、心電図だか、彼女は興奮していたようだね。まるで打ち上げ直前のロケット内の宇宙飛行士のようだよ。
A脳波、最初の30秒は超能力発現エリアが活発に動いているか、30秒過ぎたあたりで平常+αで落ちついている。これは最初30秒だけは強く超能力を発していたが、30秒以降は軽く流していたという事だと考えるが、君の見解はどうだい?
Bその他のデータだが、不自然な点は何もない。すべて平均的8歳女児が出す値と何ら変わらない。これは実施開始から終了まで全てだ。10万度もの熱を発生させていたようには全く見えない。
Cそして最も興味をひくのは、消費カロリーメーターの値だ。一連のデモンストレーションの中で彼女は約20カロリーを消費しているが、それは彼女が発生させた熱量と全く釣り合わない。彼女が自分の中に発生した熱を冷ますために使った、
1000トンの水を沸騰させた2秒間の熱量だけで、単純計算で800億カロリーで1.6億キロワットの仕事量だったことが計算できる。これがどういう事かわかるかい?あの小さな女の子1人で原発100基分以上の力を持っているということだ。

最後に、君たちは今後どうするつもりだ?これからも実験を続けるつもりかい?これ以上の実験を続けても得るものはあるのかい?
最近、私は何かとこの少女のことを考えるようになったのだか、彼女は私たち、君たちが扱える範疇を越えた存在ではないかな。彼女は創造という過程で生じた傷、何ならひび割れと言ってもいいのではないかな。
私にもこの子と同じくらいの娘がいるので、こんな事を言うのは心苦しいのだか、我が国の平和と安定の為には、『最終処理』を施すべきだと思うようになったよ。

努力もせずにに10万度もの熱を発することができるあの子が本気になったら どんなことになるか、君は1度でも考えたことはあるかね?

ビリー

95 :
【博士の研究室】

博士のマウスを持つ手は震えていた。友人ビリーに指摘されるまでもなく、博士自身も感じていた事だ。

プロジェクトが開始された10年前、被験者がESPカードを10枚中5枚当てれば微笑み、 テーブルの上で鉛筆を転がしただけで歓喜した。
その後、被験者7号と11号が結婚したと聞き、超能力の遺伝について花を咲かせた。
数年後、子供が産まれ、微小な超能力が現れていることが報告された。
この時、当時プロジェクトの責任者であったワット博士は、子供の処分を強く主張した。この事がきっかけでプロジェクトチームから外され、博士が責任者になった。

一昨年、軍部からプロジェクトの解散が言い渡された。超能力の軍事利用を考えていた軍にとって、鉛筆を転がす能力などに金を出さなくなるのは当然だ。

起死回生を図るべく、チャーリーを連れてきた。最初こそ全く協力を示さなかった少女だか、所長の巧みな話術で実験への協力を引き出した。
ひとたび実験が始まると、博士は少女の能力に舞い上がった。最初のうちは…。

軍部に少女の力の片鱗を見せただけで、プロジェクトへの予算を大幅に増やすことに成功した。潤沢な予算を使い、様々な実験が行われた。

念力を使わせれば、ダンプカーをへし折る。
予知をさせれば、競馬の順位を正確に当てる。
発火能力は原発100基分以上と来た。

そしてこれら能力の行使に際して、彼女は能力のほんの一部しか使っていないと言う事実。 その能力はまだ成長途中であるということ。

博士「…これで良かったのだろうか。ワット博士の警告を聞くべきだったのか…。」

96 :
【所長室】

博士「それで、どうするつもりです?」

所長「ここまで来たら父親に会わせるしかないだろう。」

博士「大丈夫ですか?彼は大人です。42号のようには騙されませんよ。」

所長「会わせると言っても眠った父親だ。意識不明で懸命に治療しているとでも言うさ。」

博士「ですが…。大丈夫ですか?」

所長「チャーリーも言ってただろう。会わせなかったら、無理矢理会いに行くぞ。そっちの方が危険だ。」

博士「わかりました…。所長にお任せします。」

97 :
【父親の部屋】

チャーリーの父「何だ?」

研究員「ちょっとおとなしくしてもらえるかな。」

研究員は麻酔を打った。

研究員「お前のお望み通り、娘に会わせてやるとさ。但し、お前さんには眠ってもらうけどな。」

チャーリーの父「何だと!チャーリー!チャー…、リー…、zzz…。」

研究員はストレッチャーにチャーリーの父を乗せて部屋から連れ出した。

98 :
【チャーリーの部屋】

所長がストレッチャーに乗ったチャーリーの父親を連れてきた。

チャーリーは父親の姿を確認するとストレッチャーに駆け寄る。

チャーリー「パパ!パパ!!パパ!!どうしたの?」

所長「よし、ご苦労。お前は下がっていいぞ。」

ストレッチャーを押してきた研究員は部屋を出ていく。

所長「実はね、チャーリー、数日前から意識を失って目を覚まさないんだ。我々も懸命の治療をしているのだが…。」

チャーリー「パパ!目を覚まして!パパ!!パパ!!」

その時、所長の携帯電話が鳴る。

所長「もしもし、…、何?すぐ行く。」

所長「チャーリー、ちょっと外すからね。」

チャーリーは何も答えず、父親に懸命に声をかけている。

所長が退出すると、先程の研究員が入ってきた。

99 :
【所長室】

所長が呼び出されたのは、突然の陸軍上層部の訪問の為であった。

所長「何ですと?」

少将「何度も言わせるな。かの少女は我々で引き取る。まもなく輸送用ヘリが到着する。準備せよ。」

所長「急に言われましても…。」

(ピッピッ)
スピーカーからの声「所長、至急モニター室に来てください。緊急事態です!」

100 :
【チャーリーの部屋】

チャーリーが泣きじゃくっている。

チャーリー「パパ!パパ!どうしたの?」

チャーリー「パパ、目を覚まして!」

チャーリー「お願い!目を覚ましてよ!」

チャーリー「パパ!パパ!!私、どうすればいいの?パパ…、返事をしてよ…。」

チャーリーは父親の上に覆い被さった。

チャーリー「パパぁ、目を覚ましてよぉ…。」

チャーリーは父親の手を取った。

チャーリー「パパ…。」

チャーリーの父「んん、うぅん…。」

チャーリー「パパ!?」

チャーリーの父「チャーリーか?」

チャーリー「パパ!パパ!私よ!!!大丈夫?」

研究員「そんな馬鹿な!?」

研究員は麻酔を持ってチャーリーの父親に近づいた。チャーリーが研究員の方を見ると、注射器を構えたまま研究員の動きが止まった。チャーリーが念力で拘束したのだ。

チャーリーの父「大丈夫だ。チャーリーのお陰で目が覚めたようだ。」

チャーリー「よかった。私、私…。」

泣きじゃくるチャーリー。

チャーリーの父「もう泣かなくてもいいんだよ。ずっと一緒だ。」

チャーリー「うん。パパ…。また2人で暮らせるの?学校にも行けるの?」

チャーリーの父「ああ、そうだ。」

チャーリー「私、パパに言わなくちゃならない事があるの…。パパとの約束を破っちゃったの。力を沢山使っちゃった…。ごめんなさい。」

チャーリーの父「仕方ないな。2人でここから出る為には、これからチャーリーに力を使ってもらうしかないし、多目に見よう。」

チャーリー「よかった。もしパパに嫌われちゃったらどうしようかと思っていたの。ここから脱出するのね。力を使ってもいいのね。」

チャーリーの父「ああ。今回は許そう。邪魔する奴には容赦しなくてもいい。」


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