TOP カテ一覧 スレ一覧 100〜終まで 2ch元 削除依頼
【中日】チアドラゴンズ part.8 【チアドラ2013〜】
チアリーディング(仮)@2ch掲示板 自治スレ
超チア雑談 Part.3
【アメフト】関西地方の大学チアについて語ろう【野球】
チア関連イベント情報60
XリーグIBMのチアってホントに
チア関連イベント情報94
チア関連イベント情報
チア関連イベント情報87
チア関連イベント情報87
【中日】チアドラゴンズ Part.46 【チアドラ2018】
- 1 :2018/10/22 〜 最終レス :2018/10/22
- チアドラゴンズを応援するスレ Part.46
※ここは球団オフィシャルではありません※ ファンレターは球団宛に、
2017年にチアドラゴンズは20周年を迎えました。
2016年に中日文化センターは開講50周年を迎えました。
チアドラゴンズ公式ツイッター(2016.3.6開設)
https://twitter.com/Cheer_Dragons_
https://twitter.com/Cheer_Dragons_/status/942052209595842560
https://twitter.com/Cheer_Dragons_/status/975303968791281664
球団ホームページ
http://dragons.jp/
チアドラゴンズの紹介
http://dragons.jp/fan/cheerdra/
http://dragons.jp/news/2017/17121601.html
http://dragons.jp/news/2018/cheerdra-leader.html
中日ドラゴンズ 公式Facebook
http://www.facebook.com/chunichi.dragons.official
ドラゴンズ公式ツイッター
https://twitter.com/DragonsOfficial
ドラゴンズグッズ公式ツイッター
https://twitter.com/dragonsgoods
公式一覧
http://dragons.jp/blog/
(deleted an unsolicited ad)
- 2 :
- 【画像】慶應2018のチアリーダーが歴史上最も可愛いと話題に。【甲子園】【NHK神】
http://beikokukabu-king.com/2018/08/06/post-164/
- 3 :
- 間違えて2回押しちゃった
こちらに行ってください
↓
https://mao.2ch.sc/test/read.cgi/cheerleading/1540162006/
- 4 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 5 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 6 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 7 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 8 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 9 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 10 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 11 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 12 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 13 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 14 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 15 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 16 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 17 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 18 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 19 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 20 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 21 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 22 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 23 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 24 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 25 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 26 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に血めており、「bコひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 27 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 28 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 29 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 30 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 31 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 32 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 33 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 34 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 35 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 36 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 37 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 38 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 39 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 40 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 41 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 42 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 43 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 44 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 45 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 46 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 47 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 48 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 49 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 50 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 51 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 52 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 53 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 54 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 55 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 56 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 57 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 58 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 59 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 60 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 61 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 62 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 63 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 64 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 65 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 66 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 67 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 68 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 69 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 70 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 71 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 72 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 73 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 74 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 75 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 76 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 77 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 78 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 79 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 80 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 81 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 82 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 83 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 84 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 85 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 86 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 87 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 88 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 89 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 90 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 91 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 92 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 93 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 94 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 95 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 96 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 97 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 98 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
- 99 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
- 100 :
- 愛知県で生まれ、ごく普通の公立高校である西尾東で野球を続け、愛知大学からNTT東海に進み、中日ドラゴンズに入団する。
王道だとは言わないが、愛知県の野球少年にとって幸せを絵に描いたような経歴である。岩瀬仁紀。
現役最年長選手が、通算1000試合登板という前人未踏の大記録を自らの花道とし、現役引退を決めた。
大学時代は投打二刀流だった。愛知大学リーグの安打記録にあと1本足りない124安打。
岩瀬によると「達成できていたら、その後の野球人生が変わっていたと思う。野手で勝負しよう。そう考えたはずですから。あの1本差で打者への未練が断ち切れたんです」。
4年生の秋にナゴヤ球場のスピードボールコンテストに参加。136キロを計測し、中日ベンチが「あの若者は何者なんだ」とざわついたのは有名な話だ。
バットを置き、投手に専念した社会人時代に才能が一気に開花した。当時は2位まで逆指名枠を使えたドラフト制度。
1位は福留孝介に決めており、「ぜひ1位で」という他球団の誘いを断っての中日入りだった。
★「先発だと飲んでも次の日は試合で投げないからいいけど、リリーフだと次の日も投げるから酒が残っていると困るだろ?」と抜擢のいきさつを話している。
もしあと1安打を打っていれば……。もし酒豪だったなら……。
わずかな「if」をすり抜けて、岩瀬は毎シーズン、当たり前のようにフル回転を続けた。
20年で1000試合。単純に「1年50試合」ペースを積み重ねてきたことになる。
もっとも岩瀬は2015年に左肘の不調などにより登板ゼロ、翌2016年も15試合にとどまっている。
すでに40歳を超えており、ここで一度は引退を申し出たと伝えられるが、最終的に翻意したからこそ米田哲也の最多登板記録を塗り替え、岩瀬の無双伝説は完結した。
20年の現役生活は能力や才能がなければ成り立たないが、強さが伴わなければ1000試合には届かない。
絶対的に故障に強い肉体は、両親から授かったものだが後天的には鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で磨かれた。
プロ入り前に出会った初動負荷理論によるトレーニングは、関節の可動域を広げ、故障を未然に防止した。
「初めて行ったときから体にすごくなじんだんですよ。それに年齢を重ねるにつれて効果を実感することができました」
統計があるわけではないし、そもそも比較は難しいがプロ野球で最も短命なポジションはどこかと問われれば、多くのファンは「リリーフ投手」と答えるのではないだろうか。
それは実際の試合で投げる数よりもはるかに多い準備を、ブルペンで求められるからだろう。だからこそ岩瀬の20年、1000試合という数字は驚きに値する。
今後、トレーニング理論がさらに進化し、選手寿命が延びたとしても岩瀬の足跡をたどるのは相当に難しいはずだ。
「数字には本当に興味がなくって。終わったときに振り返ればいい。ずっとそう考えていました」
数々の金字塔や積み上げてきた数字には無頓着そのものだった。
歩いてきた道、登った山には興味がなく、かといって遥か彼方を見据えているわけでもない。ただ一歩、一歩。
派手なオーバーアクションやガッツポーズひとつするわけでなく、任された試合を勝ったまま終わらせる。
ちょっとした体調不良すら許されぬポジションで、何事もないかのように実績を積んできた男の生き方だった。
「あの状況でマウンドに上がり、3人で抑えて帰ってくる。あんなことができるのは岩瀬だけだ。もっとそのことを評価されてもいいんじゃないのか」
岩瀬をセットアッパーからクローザーに配置転換し、20年の現役生活の中で最も長く「監督と選手」の関係だったのが落合博満氏だ。
2007年11月1日。日本ハムとの日本シリーズ第5戦(ナゴヤドーム)で、球史に残る「完全試合継投」が行われた。
先発の山井大介が8イニングを投げ、落合監督は継投を決断した。1点差、日本一、そして完全試合。
失点どころか安打も四球も出してはいけない究極の救援だった。1000試合にも407セーブにもカウントされない登板こそが、岩瀬を際立たせる。
あれほどまでに過酷な任務はないだろう。それを命じた落合監督と遂行した岩瀬。2人にだけ通じる思いはきっとあるはずだ。
1974年生まれの同学年には松井秀喜や黒田博樹、ロッテの監督になった井口資仁らがいる。
最後まで現役でいるのが中継ぎで奮闘する岩瀬になろうとは、同世代の選手は思いもしなかったかもしれない。
1学年下の松井稼頭央に2学年下の新井貴浩、チームメートの荒木雅博ら現役の名球会会員が続々と今季限りでユニホームを脱ぐ。
2000安打を達成した福浦和也が来季も現役続行を表明したが、球界の若返りが大幅に進むのは間違いない。
会見で引退を表明したとき、どれも清々しい表情に見えたのは、
やりきった思いがあるからだろう。
100〜のスレッドの続きを読む
肖像権について議論するスレ
【北海道】ファイターズガール Part21【日本ハム】
高校野球チア 静岡版
チア関係TV放送情報スレ 11
☆東都大学野球応援団・チア9★
【横浜DeNA】diana その21【ディアーナ】
チアガール・女子高生に萌えるスレ 24
チアイベント撮影4
盗撮盗聴してるヤツミッケタ。
【埋葬禁止】チームヴィーナス【避難所】
--------------------
【Switch 2019/1/11発売】NewスーパーマリオブラザーズUDX 本スレ
■■壁面収納について教えて■■
【ボックス】ハコイリムスメ part12 【ハコムス】
握力総合スレ その26
【はるたん】たなかけいを平和に愛でるスレ【せのちん】part177
【騒音】隣人がうるさい 247
金正恩脳死 [963243619]
【名無し奥も○○奥も】気楽に井戸端会議 1757【みんな来い】
マリー・ローズちゃんが泣きながら「貴方のオナホにしてください…」って抱きついてきたらお前らどうすんの?
【PSO2】酒井智史って結局何したの?
電車内痴漢は余程酷く無い限り見逃せ!
【FF】FF零式がクソゲーだった件5【葬式】
【科学の子】浅草に手塚治虫キャラ専門店「アトム堂本舗」オープン
CD・配信チャ−ト速報/売り上げ議論・予想スレッド 2018/07/07〜【オリコンチャ−ト】
セミリタイア[お金より自由を選択した人]
フェルトケーキ
明日の貴金属相場はどうなるか PART 300
【Xiaomi】Mi Band 【アクティビティートラッカー】Part16
【OBS・OAB】TOS!クロスネットやめろ!大分のTV Z
働かないおっさんが淡々と記録するよ
TOP カテ一覧 スレ一覧 100〜終まで 2ch元 削除依頼