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短文を書いていき小説を完成させるスレ 2巻
- 1 ：2013/10/27 ～ 最終レス ：2018/10/17
- 前スレ
短文を書いていき小説を完成させるスレ
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/bun/1333907444/l50
- 2 ：
- カッポ、カッポ、カッポ……
食堂に響く蹄の音。
きゅうりを食べていたカッパが驚いて顔を上げた。
- 3 ：
- 珍しい生物だということで捕獲され連れられてきたのが昨日の事だ。
しかし彼は思う。あっちの方が珍しいのではないか、と。
興味が湧いて、残りのきゅうりを支給されたスーツのポケットに荒くしまうと
彼の後を追い始めた。
- 4 ：
- 彡∩∩カッポカッポ
（^o^))カッポ……
υ⌒υ⌒ヾ~ﾞ゜∩∩。
＿υυυυ。（(^o^)。
゜。∩∩~~~ ~ ~~~~゜~
。ﾟ(｡-) )⌒ つﾞ...。。。。~ ~~ ~~。~ ~~ ~~。~ ~~ ~~~ ~ ~。~ ~~ ~~。~~。。キュウリ？ ゜。。
- 5 ：
- 食堂の出口から走り出ようとして横合いから飛び出た何かに行く手を阻まれ、足を止めてしまった。
カッパの天敵、主にきゅうりを食い荒らす害獣のイナがこちらを見つめている。
- 6 ：
- イナはかっぺいであった。
- 7 ：
- イナの目は
「キュウリを食べてるのは河童も同じだ。人型だからと言って、優遇するのは間違っていないか？」
とでも言いたげだ。
- 8 ：
- しかし、世の中は非常。
音も無く現れた学食のおばちゃんがイナの首根っこを摑まえ、
「ごめんなさいね。ちゃんと食材を消費しないと予算とか補助金に響くから」
のんびりとした声を残して厨房へと引きずっていった。
- 9 ：
- 彡∩∩カッポカッポ
（^o^))カッポ……
υ⌒υ⌒ヾ~ﾞ゜∩∩。
＿υυυυ。（(^o^)。
゜。∩∩~~~ ~ ~~~~゜~
。ﾟ(｡-) )⌒ つﾞ...。。。。~ ~~ ~~。~ ~~ ~~。~ ~~ ~ ゜。。 や、やめてくれ！ おばちゃん！ 調理しないでよ、まだ生きたいよ！ 書いてないことが、まだ書かなきゃいけないことがあるんだぁ！ 前>>4想い出が走馬灯のように僕の脳裏に浮かんでは消えていった。
- 10 ：
- ﾟ゜∩∩ ｡゜゜おばちゃ
⊂(-_-))、∩゜｡ﾟんは
￣￣￣`υﾟ∥＼ 僕を ﾟ
＿＿＿＿＿∥ ＼｡寸胴
￣､､､､￣￣∥＼゜＼∩｡
（ ^o^)。 ~~~ ＼ﾟ ∥~゜~ ~ ~~ ~~。~ ~。。゜ﾟ よりもずっと大きな四角い水槽に入れ、表情一つ変えずに着火した。前>>9熱いよ、おばちゃん！ やめてくれよ！
- 11 ：
- おばちゃんは寸胴に蓋をすると、がたがたいう取っ手を
万力のような力で押さえつけた。
そう、まるで毛蟹を煮るように。
- 12 ：
- そして、イナは死んで、二度とスレにも書き込むことは無いのだった。
- 13 ：
- 一介の無名戦士としてはその限りではない……
- 14 ：
- ありったけの力を込めた。
- 15 ：
- ゴゴゴ…ゴゴゴゴ……
鍋から不吉な音が響くのにおばちゃんは気づいた。
- 16 ：
- 火力を最大にして待つこと42時間。
「そろそろかね」
そう言っておばちゃんは、難しい顔をしながら
火力を中火にした。
鍋からは諦めたかのような、骨の崩れ落ちる音がした。
- 17 ：
- 「あら、いけない。ちょっと居眠りしちゃった」
それからしばらくの間に居眠りをしてしまっていたらしい。
それでも慣れた作業のせいか、仕掛けておいたタイマーが丁度鳴り始めたところだった。
おばちゃんは二度両手で頬を叩いて眠気を飛ばしてから大きな蓋に手をかけ、
息を突きながら除けた。
- 18 ：
- もちろん、そこには何もなかった。
「イヒヒ。うまくいったねぇ。」
おばちゃんは、何も入ってない鍋から皿に盛り付けを始めた。これでも、食堂の人気商品なのだ。
商品名は【馬鹿には見えないイナの煮付け】
カッポカッポカッポ。
見えない生物の蹄の音が食堂に鳴り響く。
カーッベ。
河童が胡瓜の種を吐き出した。
- 19 ：
- 「もう樹海の中に建ってる家みたいだよ」と薄れゆく意識の中、女の声がした。
~~/∩∩∩∩ /＼
~/((^o`^o^))/「
/ っцυ⌒υ／|
∥￣UUυυ∥ |
∥ □ □ ∥~~~~~~~~~前>>10「二階だ」と僕は言った。「二階に上がれば助かる。尾根伝いに行けば、おばちゃんは追ってこれないだろ」
- 20 ：
- 二階へと急ぎ足で上ると突如として身体が動かなくなってしまった。
足は吸いつけられたように地面から離れないし、驚きを口にする事もできない。
気付けば注連縄に囲まれていて、その向こうには老齢の坊主が佇んでいる。
- 21 ：
- 「あなたは神を信じますか？」
坊主の後ろのBOSEのスピーカーから声が響いた。
- 22 ：
- そして、神との闘いが始まった・・・。
だが、食堂の蹄動物にとっては関係のないことである。少なくとも、今はまだ・・・。
カッポカッポ
「そろそろ俺の出番だな。蹄を鳴らすのにも、もう飽きた。」
カッポカッポ
まず行くべきは・・・。
- 23 ：
- 「芽衣子ッ！」
呼ばれておばちゃんが振り向いた。
坊主の姿をした浩一が、覚醒したのであった。
片手にどんぶりを持ち、蕎麦をかき込む男の姿がそこに。
おばちゃんの背中のファスナーが全開になり、中から、
- 24 ：
- 熊が現れた。
「お前が今日のメインディッシュ！」
見た目から想像できないしなやかさで、前足の爪が坊主の首に吸い込まれて行く。
ザシュッ。
坊主の首が飛んだ。
「あなたは神を信じますか？」
飛んだ坊主の首がつぶやく。
カッポカッポ
「いいえ、私が神です」
謎の蹄が答えた。
- 25 ：
- 浩一は首だけになったまま、運悪く開け放たれた窓から放り出された。
途端、目の前にパン生地らしい顔を持つ奇怪な生物がとんでもない速度で迫ってくる。
衝突を予感しきつく目を瞑ると衝撃に襲われる。
ぶつけた額へと四肢を失ったのを忘れて手を伸ばそうとして――額に手が触れた。
目を開けてみて驚く。パン生地生物の身体に浩一の首がくっ付いているではないか。
- 26 ：
- 「愛と正義だけは友達だと思っていたのに……」
浩一の口は無意識のうちにそんなことを呟いていた。
愛に裏切られ、不義に弄ばれた彼の過去とは。
- 27 ：
- 「どうしたの？ 手が止まっているじゃない」
叱るというよりも案ずるような声音が横合いからかけられた。
昼休みが終わり職場に戻った浩一は、どうやらぼんやりしてしまっていたようだ。
先ほどの出来事については一旦脇に置いたつもりだったのだが、
やはり急に脚が二本減ったことで不安を覚えていたのかもしれない。
- 28 ：
- 「俺の左前脚と左後足はどこへ行ってしまったんだ……」
右の前後肢だけでは歩きにくくてしょうがなかったが、
こんなとき相談できる相手を浩一は知らなかった。
- 29 ：
- 翌日の食堂でスープ皿に盛られた見慣れた蹄に出会う。
しかし食べた。皿が空になるまで一心不乱に。
食欲を誘う香りに胃袋を刺激されて我慢ができなかったのだ。
- 30 ：
- 旨い……。スープのダシは異常プリオンらしい。
体に悪いものほど旨いとはよく言ったものだ。
- 31 ：
- 食べ終わるのと轟音を立てて食堂の天井が吹き飛ぶのは、ほぼ同時だった。
見上げて、遮るものが無くなったその向こうに見える大きな何者かに不吉な予感がよぎる。
- 32 ：
- 「宮子……」浩一は呟いた。
そこに佇む女は、かつて熱海の浜で足蹴にしたあの。
- 33 ：
- 邂逅して感慨よりも残念な気分になった。
「これで足蹴にはできないでしょう！ イタっ、イタいってば……」
飛行船からぶら下がった彼女がカラスに集られつつかれているのを見てしまうと。
- 34 ：
- 「宮子ってだぁ～れ」
鬼の形相の芽衣子が現れた。
- 35 ：
- 「アンタこそ誰よ！」
宮子の体がカッと光ると金色のモビルスーツとなり芽衣子に襲いかかった。
- 36 ：
- 「認めたくないものだな、若さ故の過ちというモノをッ」
芽衣子は赤く塗られた３倍のモビルスーツに変体し攻撃を交わす。
- 37 ：
- ＿(＿)＿＿＿＿＿∥>◇<
（＿＿）￣∥￣￣∥◇◇
(＿＿＿） ∥ □ ∥>◇/
（(^o^)っﾞ∥。 ∥◇/
（っ┳┛ ∥ ∥>/
◎υ┻◎ﾞ_∥＿＿∥//////////////////////少しでも自分を大きく見せたい――と僕は思った。どうだ、頭にかぶる餅が三段がさねだぞ！――。前>>19「また冬が来るねぇ！」と言って僕は彼女の家の扉の前を自転車で駆け抜けようとした。そのときだ。
- 38 ：
- 真っ赤な何かが降ってきて、その大きな足にイナ二号は踏み潰された。
- 39 ：
- 「3倍は３倍でも速度が３倍なのよ！ エヴァ世代にはわかりはしないわッ」
芽衣子が叫ぶ。
- 40 ：
- 「おっぱいも三倍でお願いしますっ！！」
違いに組み付いて力比べを始めた二機の足元で、興奮した様子の浩一が声を上げる。
- 41 ：
- 「芽衣子と浩一の声は聴こえてましたよ」と言って僕は当時のことを振りかえった。「あの空から降りてきた赤い大きな物体は、サンタさんの靴だったんじゃないかと思うんです」
/_/_/_/∩∩_/_/_/
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/_/|＼／||＼／｜/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_「ヒールが刺さった気がします」と僕はつけ足した。前>>37
- 42 ：
- ぺらっぺらになったイナが駆けつけた警備員に事情説明をするのをよそに、
戦闘は激化していく。
- 43 ：
- その戦闘の様子を盗聴いていた小浜さんの後ろで、
小エビと芝エビを混同した雪田さんがステップを踏んだのを合図に
- 44 ：
- 隣の家の壁がコントのように外側に倒れ、芽衣子とバットマンの
真昼の情事が暴かれた。
- 45 ：
- このままでは放送ができなくなってしまう。
カメラを回していた浩一は二人に洗面器を投げつけた。
「これで隠すんだ」と叫びながら。
- 46 ：
- 芽衣子は洗面器で顔を隠した。
- 47 ：
- 彼女に圧し掛かる格好のバットマンは何故か激怒した。
「ユー！ これフィンガーボールネ。ワタシのジュニア、指くらいしか無い言ってるアルかっ！」
その憤怒の叫びは高い空の向こうに溶けて消えていった。
- 48 ：
- プレデターが現れて、二人の恥部をそっとボカシた。
親切な宇宙人だった。
- 49 ：
- 「アッメェリカではこんなの要りませんアルねっ！」
バットマンが自分のボカシを力任せに手で叩き落とす。
するとボールのように一度弾んで飛んでいき、
- 50 ：
- 浩一の顔に張り付いた。
ウッ！ 苦しい！ ボ、ボカァ、シんでしまう！
渾身のギャグも声にならぬ。
- 51 ：
- このままでは死んでも死にきれない。松屋の割引クーポンをまだ使い切っていないのだ。
- 52 ：
- 苦しむ浩一にバットマンがダブル餃子定食を差し出した。
- 53 ：
- ボカシの向こうでバットマンの下卑た気配が感じられる。明らかに嫌がらせだ。
汚い。さすが真っ黒な衣装の奴は腹黒い。
- 54 ：
- バットマンはバットマンスーツを脱ぎ始めた。
中は肉まんのように真っ白な肌だ。
- 55 ：
- しかし、長い間スーツを着たまま陽光を浴びなかったがために、あまりにも白すぎた。
バットマンは歪な大根と間違えられてトラクターに刈り取られ、畑に鋤きこまれた。
- 56 ：
- 翌年はゴボウが豊作になった……。
- 57 ：
- その中に数本、バットマンが生えているのを農夫は見逃していた。
バイオハザードの始まりだ。
- 58 ：
- 農夫はヘリコプターで農薬を散布した。
身動きのとれないバットマンたちの肺が
みるみる農薬で満たされる。
- 59 ：
- 農薬とハリウッド生まれの化学反応によってバットマンは新しい性癖に目覚めた。
畑からおもむろに体を引き抜くと、近所の小学校へと疾く駆ける。
- 60 ：
- バットマンが校門を駆け抜ける。それをいち早く察知したのは二宮金次郎像だ。
普段子供たちに無視されがちな彼だが、やるときにはやるのはやはり偉人だ。
像は背の薪から有機ガスを噴射しながらバットマンに体あたりした。
- 61 ：
- 辛うじて金次郎像を回避したバットマンは正面玄関を避け、開いていた窓を見つけて飛び込む。
消毒薬の臭いがかすかに漂う、保健室らしい。保険医の姿がなかったので、部屋を仕切るカーテンを開けて児童がいないか物色を始めた。
- 62 ：
- ベッドのひとつに池乃めだかが寝ていた。
ここはめだかの学校らしい……。
- 63 ：
- 「これで我慢しておくかな」
残りのベッドは空だった。他をあたる事も考えたのだが、発見されるリスクもあるし何よりも辛抱たまらん。
滾る獣欲を抑えきれないバットマンがにじり寄るのにも気付かず、めだかは安らかな寝顔のままだ。
- 64 ：
- バットマンがめだかの布団をめくると、観客席からどよめきが上がった。
- 65 ：
- 観客の反応が想定していたものと違う。
訝しく思って気付かれないよう見回す。上手の舞台袖から大道具の一恵がふらふらと舞台に上がってきていた。
フォローしようとバットマンが動こうとするよりも先に一恵が大きく動いた。突如と、前のめりに倒れたのだ。
一際大きな音が響いてはっとした。彼女を舞台から排除しなければならない。
- 66 ：
- 天井の紐を引くと、大量の水が流れてきて一恵を流し去った。
ついでにバットマンも流し去った。
観客が爆笑した。
- 67 ：
- 翌日のニュースを賑わせる話題となるまで、観客の誰もが演出だと思っていたのだ。
- 68 ：
- 次の日の大阪スポーツの一面は、
「宇宙人 東京五輪に選手団だっちゃ」
だったっちゃ。
- 69 ：
- 夕べの事件については、どこにも掲載されなかった。
吾妻橋の中央辺り。新聞を片手に開いた男が力任せに欄干を叩いた。
その高い音に通行人の多くが一刻、足を止めた。
なのに、等しく返ってくる痛みに男が動じる様子はない。憤りが全てを塗りつぶしていたのだ。
男が昨日、デスクへと上げたあの事件の記事は
- 70 ：
- 八丈島地方版の第3社会面にしか載らなかったのだ。
さらに悪いことに、その記事を読んだのは平将門だけだった。
- 71 ：
- 将門は怒りにまかせて各地に隠していた身体の破片を呼び寄せた。
再起の時のため、手足は列車に、
胴は打ち捨てられた杯ビルにと擬態させていたのだ。
- 72 ：
- 合体した将門ロボに源為朝が搭乗した。
そのロボに八丈島基地の宇喜多秀家が無線で指示を出す。
「ゆけっ……TOKIOをめちゃめちゃにしてやるのよーッ！」
- 73 ：
- 頼朝は赤線地帯へと将門ロボを駆って突入した。
彼の懐具合ではとても遊びに行けないような高級店の立ち並ぶ一角に。
「このロボがあれば、オプションをつけまくっても……踏み倒せるっ！」
頼朝の昂ぶりに呼応するかのように将門ロボがあげた雄叫びが、ＴＯＫＩＯの夜空に吸われて消えた。
- 74 ：
- 将門ロボを倒すために上野から肛門ロボがやってきた。
パイロットとオペレータは中国産の可愛いパンダ、
ルンルンとペンペンだ。
- 75 ：
- 鞭に追われて乗り込んだ鉄の箱の中。二匹が人間の都合で連れ去られるまで住んでいた山奥とは違う、刺々しさに包まれた空間だ。
大地がもたらす恵みに育まれ山野を駆けるばかりの姉弟が突然に投げ込まれた憎しみのみが渦巻く戦場に、ただ戸惑うばかり。
弟のペンペンは悔しげに将門ロボが映るモニタを見据えた。なまじ人の言葉を解せるのが徒となったのだろう。あのような甘言に惑わされるなんて。
「ＴＤＬに連れていってやる、なんて嘘じゃねぇかぁぁぁぁぁぁ！」
- 76 ：
- 肛門ロボは怒りのアッパーカットを将門ロボにお見舞いした。
将門ロボの外部カメラが千切れ飛び、秀家のモニターは青空と入道雲ばかりになった。
「TOKIO！ スーパーシティが舞い上がったわ！」
秀家が興奮した。為朝の不利とも知らずに。
- 77 ：
- 「明けましておめでとう」
遠い空から声が聞こえる
- 78 ：
- 物陰から年賀状が飛び出し、雲に吸い込まれた。
雲がみるみる真っ赤に染まる。
- 79 ：
- 不吉を予感させる色合いの、雷鳴がときおり響く雲間から一人、女が現れる。
場末のOLを彷彿とさせるくたびれた表情の女だ。
「どうせ地上からは見えないしぃ」と呟くでもない声音を吐くと、気怠そうに寝間着替わりらしいジャージを人目もはばからずに着替えはじめる。
- 80 ：
- 隣りの雲間から部長が見ていることも知らずに。
- 81 ：
- 部長は流行りの零戦に乗って空を舞う。
前期型の白い機体は雲の色に溶けて出没を繰り返し徐々に近付いてくる。
- 82 ：
- 部長ｌこと堀越二郎「エロマシマシケツヤワメで」
- 83 ：
- 『承った！』
無数の黒光りした男達が現れて部長の臀部に群がる。
- 84 ：
- 堀越二郎といえば、勇壮な黒光りで太平洋戦争を主導した
零戦の臀部としてこの空域に知られている。
- 85 ：
- だからこそ、男達が部長に向ける情欲は並外れたものだった。
肉壁の中で翻弄されながら自分へと無数に向けられる眼に身震いをし、なけなしの勇気を振り絞って叫んだ。
「こういうのはマネージャーを通してくれないかな」
- 86 ：
- 「呼んだあ？」
黒いストッキングを履きおえたOLが雲の陰から呼びかけた。
- 87 ：
- 部長は頬を赤らめた。
自分の気持ちを悟られまいと、平静を装い、シャツのポケットから煙草を取り出した。
- 88 ：
- 煙草を取り出す指先が震える。
部長は聞こえなかった振りをした。
- 89 ：
- 所詮おれは、消化器官に肉をまとった存在だ。
性器は自己以外を増やす次策、繁殖のためのもの。
ならば、本能に、真の本能とは、消化器官を充たすことではないのか。
気づいた欲望の衝撃は体を熱くさせた。
- 90 ：
- 消化器官を充たすこと…
そう、今の俺に必要なことは、うまいものを食い、胃を満足させることだ。
キュルルル、と空っぽになった胃が、辺り一面に響き渡る音で鳴った。
部長は胃の音をかき消すよう、何度も咳払いをし、煙草に火をつけた。
- 91 ：
- 田中の名前は太郎だということを何度も言っておきます
- 92 ：
- 気のせいか、風に乗ったかすかな声を部長は聞いた。
- 93 ：
- 私は貴方を嫌っている。深く、深く。憎悪を籠めて。
- 94 ：
- しかしその憎悪ですら、あなたにとっては希望の種にしかならないのだ。
- 95 ：
- 関心を向けられるのなら、憎悪でも構わない。
- 96 ：
- 痛みでもいい。あなたの手で与えられるのなら。
- 97 ：
- 決意の灯火を瞳に宿した部長は地に手をつき、尻を勢いよく高らかにつきあげた
「さぁ、遠慮はいらん。私の尻を打ち据えるがいいっ！」
- 98 ：
- きたねえ尻っぺたをスパンキングだ。
- 99 ：
- 周りの男どももはしゃぎだす。
"moon！moon！moon！"
- 100 ：
- 雲に隠れる月のように陰鬱で妖艶な存在だった。彼女は私の全てだった。
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