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安価・お題で短編小説を書こう!6
- 1 :2019/05/07 〜 最終レス :2019/09/28
- 安価お題で短編を書くスレです。
■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。
■投稿方法
投稿する際は、使用お題と【】でタイトルを明記してください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は3レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
R18は禁止です。他に規制はありません。
■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、権利者以外が2ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【本スレへ投稿する前に】投稿してください。
別サイトへと投稿してリンクを貼るのも可。
リンク先のタグに『お題スレ投稿作品』を入れ、使用お題、タイトル、URLを書き込んでください。
■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1511408862/
安価・お題で短編小説を書こう!3
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1522770910/
安価・お題で短編小説を書こう!4
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1529860332/
安価・お題で短編小説を書こう!5
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1541947897/
- 2 :
- 前スレ754【再掲】です
☆お題→『運び屋』『鬱』『道の駅』『ラヴ』『勇者』から1つ以上選択
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
☆締め切り→5/12の22時まで
【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
- 3 :
- 乙!三代目さん頑張れ!
- 4 :
- >>1おっつ!
- 5 :
- 新スレでもよろしくですー
連休明けで忙しいとは思いますが、皆様の作品をお待ちしております
あと、機会があれば、ここの宣伝・・・紹介もお願いしますw
- 6 :
- 新たな試みもいろいろしていこうぜ
- 7 :
- ですねー、しかし何したら良いんだろうか
特殊ルールで遊んでみたいんですが、実際どうなのか
文字数とかレス数制限、お題制限
投稿だけじゃなくてアイディア出し企画とか
- 8 :
- ジャンル指定+いつものお題とかは?
とんでもないジャンルが来ても困るから、ジャンルは予め用意しておいた中から安価決めるとか
- 9 :
- 前スレ見返してきたんですが、思ったのは、ちょっと難しいくらいの方が燃える人がいる
色々ルールを変える方が盛り上がりそう
文字数制限は推敲で困る人がいる
ジャンル指定も、分からないけど、またやってもいいかもです
んーでも超ショートもやってみたい
- 10 :
- >>2
使用お題:『運び屋』『鬱』『道の駅』『ラブ』『勇者』
【グリーンエイジ】(1/3)
鬱蒼とした森だった。太く捻れた幹と根が無造作に突き出し、歩く事すら困難な木々の間を一匹の異形の獣が飛び回っている。
その背に跨があるのは1人の少年。
運送業……通称『運び屋』を生業とする桐生 光信である。
血と肉の代わりにオイルと金属によって形作られ、手綱の代わりにハンドルで操られる機械の獣。『機獣』が彼の相棒兼、仕事道具だった。
「うげ! また“道”が塞がってる。ま〜た、地図を書き換えなくちゃ……」
彼の眼前に横たわる物もまた、見上げる程の巨大な樹木であった。
だが、つい昨日来た時には無かった物であり、即ちそれは、この短期間でこの場に出現したと言う事である。
「全く、迷惑だよな巨樹獣(きょじゅう)ってのはさ!」
******
西暦と言う時代が忘れ去られてから既に久しい。人がこの星の王者であった時代は終わり、世界は新たな王が君臨していた。
“植物”……物言わぬ隣人であった彼等が牙を剥いたのは、人類が千年の停滞の中にいる時だった。
全ての植物が急成長し、あまつさえ動物の様に動き回ると言う進化をする個体まで現れた“プラントビッグバン”と呼ばれた事件を境に、世界は一変した。
葉緑素を持ち、自ら光合成を行う『エルフ種』や半鉱物人間と呼べる『ドワーフ種』と言った“新人類”が現れたのもこの頃の事である。
この、プラントビッグバンの原因が、新たに開発されたエネルギーであるプラズマ振動炉であった事は、皮肉でしかないだろう。
そう、植物達は、この新エネルギーを自ら取り込む事で進化したのである。
******
光信はどうにかして通れそうな迂回路を探し、巨樹獣の巨体と並走していた。
いくら鬱蒼と木々の生い茂る森であろうと、比較的通りやすい場所はある。
そう言った所を彼等は“道”と呼んでいた。
「しっかし、コイツは何時に無い大物だな」
横たわる巨樹獣を眺めながら、光信は、そんな感想を漏らす。
動き回る樹木である巨樹獣は軒並み巨体を誇るのだが、今、横たわっている個体は、未だかつて光信が見た事の無い大きさだったからだ。
光信が、その異変を感じ取ったのは、その時の事だった。
ズドズドと言う重量感のある何かが走る音と、微かに聞こえる悲鳴。
光信がそちらの方を見た時、真っ先に目に飛び込んできたのは、薄汚れた斑の巨体を震わせ走ってくるトロルと、それに追い掛けられているのだろう……
「エルフ!?」
新緑の髪にアロエを想像させる長い耳がエルフの特徴である。
そんな“彼女”は必死の形相で、蛙から進化したと言われているトロルから逃げていた。
「アイツ等、エルフが大好物だからな……」
トロルにとってエルフは前菜のサラダ感覚らしい。おそらくメインディッシュはジャイアントローカスト辺りだろう。
「って、悠長にしてる場合じゃ無いな!」
光信は機獣のアクセルを吹かすと、愛用のランスを構える。
幾つもの大木の間を跳躍し、トロルの眉間に狙いを定めると、加速してそこを一突きにした。
目の前の獲物に気を取られていたのであろう。トロルは呆気ない位に倒され、そのまま後ろにひっくり返る。
それもそのはず。眉間の間、そこがトロルの唯一と言って良い弱点だったからだ。
- 11 :
- 【グリーンエイジ】(2/3)
自身の命の危機が去ったからだろうか? トロルに追われていたエルフがそのまま気を失う。光信は慌てて彼女の身体を抱きとめた。
「……さて、困ったな。どうしよう」
気を失ったエルフの少女を抱えたまま、光信はそう呟くのだった。
******
エルフの少女、フォン・ラオチュンが気が付いた時、その目に映ったのはコンクリートが剥き出しの建物の天井だった。
「知らない天上だ……」
「マニアックな物知ってるのね」
「!!」
若干の呆れの籠った声に、誰も居ないと思っていたフォンは、慌てて跳び起きた。
「ああ、警戒しないで。貴女、気を失ってた事理解出来る?」
「え? あ!!」
そう、彼女、フォンは、トロルに襲われていた筈なのだ。
それを思い出した瞬間、フォンは自身の身体に異常がないか慌てて調べ、そしてホッと息をついた。
「……あ! そうだ!! ワタシ、タレか、助けられて……」
「そうよ、そして気を失って、ここゴートクジの『駅』に連れて来られたの。光信君が運び屋なのは知ってるけど、流石に貴女を運んできた時はびっくりしちゃったわ」
目の前の女性、駅の管理を任されているメリー・ワトスンは二コリと笑いながらそう言う。
“駅”……“道”と“道”とが交差する場所に建てられた補給所兼休息所である。その特性から『道の駅』とも呼ばれている場所だった。
恐らく彼女の寝かされている場所は、その駅に併設されている宿屋だろう。
自らの危機が去った事を知った彼女は安堵の溜め息を吐くが、しかし、自身の使命を思い出した。
「ごめんネ! ワタシ、行かナイト!!」
「ちょ、ちょっと!!」
自分の身体に何の怪我も無い事を確かめたフォンは、ベッドの横に置かれていた自らの荷物を抱えると、その足で駅に併設された宿屋から飛び出す。
「これ! 宿代とお礼!!」
そう言って親指大の琥珀を指で弾き、メリーに放り渡しながら。
「せっかちなエルフも居たものね」
後に残されたメリーは、溜息交じりにその後姿を見送るしかなかった。
- 12 :
- 【グリーンエイジ】(3/3)
******
「え? 出て行ったの?」
メリーから事の顛末を聞かされた光信は、そう訊ね返した。
「珍しいわよね? 気の長いエルフにしては」
「ですね」
森の中に独自のコミュニティーを作って暮らすエルフは、その生態から寿命が長く、のんびりとした性格をしている者が多い。
その為、彼女の様にアクティブなエルフと言うのもあまり見ないのだった。
「ちょっと! 光信!! 聞いてるの!!」
「あ、御免」
「御免じゃないわよ!! もう! この子、足周りがガタガタじゃない!!」
「うん、御免」
光信の機獣を整備していた少女。周防 彷徨は怒りで目を吊り上げていた。
「また、アンタ! この子で戦闘したでしょ!! 止めてって言ったわよね!!」
「う! 御免」
「アンタが勝手に傷つくのは構わないけど、この子まで巻き込むのは止めてよ!!」
「フフ、愛されてるわね? 光信君」
メリーが微笑ましそうにそう言うと、彷徨は「違う!」と即座に否定する。そしてその意見には光信も大いに同意だった。
「そうですよ、コイツの愛は機械にしか向けられてませんから……な? メカラブ少女」
「メカラブ言うな!!」
そう言いながらも彷徨は機獣を直す。自身の愛が機会に向けられている事に異存は無いからだ。
ただ、そのせいで付けられた二つ名である『メカラブ少女』が気に入らなかっただけである。恥ずかしくて。
プイっとソッポを向いた彷徨に苦笑しながら、光信は口を開いた。
「しかし、あまりコミュニティーから出て来ないエルフが、何でこんな所に居たんでしょうね?」
「さぁ、さすがにそれは、私にも分からないわね。何か、目的があるとか?」
「目的って?」
「それこそ、私に分かる訳ないじゃない」
困り顔で肩を竦めるメリーに、それもそうかと思い苦笑を返す光信。
だが、フォンと光信の運命が、この駅のある道の如く交差する日が近いとは、この時の彼に気が付く事は出来なかった。
******
鬱蒼とした森の中を一人のエルフの少女が行く。その小さな肩に大きな運命を背負い……
「早く、早く探さなくちゃ……“勇者”サマを!」
- 13 :
- ギリギリでアウトでしたorz
- 14 :
- 今回3作目、新スレ1作目
まぁおまけというか、待ってました、無理させてたら申し訳ないですが
これで勝つる!
- 15 :
- お題→『運び屋』『鬱』『道の駅』『ラヴ』『勇者』締切
【参加作品一覧】
前761【運ぶ者たち】
前765【救世の果てへ】
>>10【グリーンエイジ】
- 16 :
- さて・・・早速なんですが、今回はジャンル指定を試してみます
ジャンルはなろう準拠ではなく、進行が独自に調整したものを使います
(ご意見ご要望は後で受け付けます)
今回はお題4つ、ジャンル指定1つ、つまり実質は固定お題1つと同じです
- 17 :
- ジャンルは次の中から1つ選択→
『恋愛』『ファンタジー』『歴史』『推理』『ホラー』『コメディー』『SF』『童話』
『冒険』『幻想』『日常』『人生』『家族』『戦争』『動物』『スポーツ』
お題安価>>18-21
ジャンル安価>>22
- 18 :
- 虎
- 19 :
- 銃
- 20 :
- >>10
「プラントビッグバン」と呼ばれる事件によって生まれた植物を頂点とする世界を舞台に少年は運び屋として生き抜いていく。
世界観は近未来のSFをベースに機械の獣やドワーフと言ったハイファンタジーも持ち合わせており、その独特な世界観に読者を引き込む。
さらに、お題の「道の駅」という現代的な単語をその世界観に合わせてうまく使っている作者の腕には心から脱帽した。
個性的なキャラクターを登場させつつ、最後は王道的な始まりを予感させるエンド。
いい作品です
- 21 :
- 図書館
- 22 :
- ちくわ
- 23 :
- 『動物』
- 24 :
- 割り込みは許されざる罪よー
ジャンル安価>>24
- 25 :
- ジャンルちくわは草
- 26 :
- うはあああ
『動物』
了解です!
- 27 :
- ジャンルってどこまで広く捉えて良いのですか?
動物でも動物型のロボットとか、動物園の話とか比喩的に動物の話が出るとかでも大丈夫でしょうか。
- 28 :
- ☆お題→ジャンル『動物』+『虎』『銃』『図書館』『ちくわ』から1つ以上選択
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
☆締め切り→5/19の22時まで
【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
- 29 :
- 割り込んでしまった…
恥ずかしい……
今後気をつけますorz
- 30 :
- 前スレ784
これはなかなか難しい質問だと思うので、どなたか答えられるでしょうか
登場人物や世界観は使い回しつつ、お話は都度考える、つまり短編連作の形式にするとか?
>>29
頼んます
でも今回お題が早めに集まって良かった
- 31 :
- >>27
動物の話をしていれば、ジャンル『動物』でおkです
前スレ『麒麟』で麒麟っぽいロボットを書いちゃったので、動物型ロボットの動物園の話でもおkです
動物のお肉の話、毛皮の話、獣人の話とかは、多分ですが微妙
人間も動物だからー、とか、宇宙の意思が動物でー、とか、そういうのは駄目です
- 32 :
- >>30
自分は、お題を見て「あ、この前書いた話が使えるな」と思ったら、続きを書きます
ただ、短編だと言う事は念頭に置いて、初読みでも理解できる様にはしますが
>>20
感想を有り難うございます
本当は『なろう』の連載にしようかと思ったのですが、そちらに投稿してからではアップ出来ない時間だったので諦めましたw
それでも時間オーバーしてますがw
- 33 :
- ともかく、作品、お題、ありがとうございます
このスレはスレ民の皆様によって成り立っております
そして、ご意見ご要望、ご質問も苦情も受け付けております
ジャンルにちくわを足したいとかゴリラを入れたいとかでも大丈夫です
引き続きよろしくお願いいたします
- 34 :
- >>32
なるほど・・・多分キャラが立ってる話なので、続きを書けそうな時に書く、って感じですね
って言うか元の質問は風呂敷の畳み方でしたが、>>30で意図を歪曲しちゃってますね
風呂敷を畳まずに引っ張る話になってるw
- 35 :
- 短編として風呂敷を畳むなら、オチから逆算して話を考える
ここでの個人的なやり方なら、オチに使うお題と話の軸に添えるお題を決めて他のお題を散りばめていく感じ
その過程で今まで書いた設定に繋げられるなら繋げていく感じかな
- 36 :
- 話をねじ曲げてすまんかった
思い付いたまま最初から書くのではなく、ゴールを決めて書くわけですね
それと重ね重ねすまない
前スレが埋まらなかったので、皆様、感想とか雑談とかで、埋めるのを手伝ってくだされ
進行は寝ます
- 37 :
- >>10
書きも書いたり遠路はるばるやってきました新生スレ6におめでとうだぜ、進行氏スレ立てアンドまとめ乙だぜ、10氏も祝砲、全選択、ここから始まる物語ィ!
さあ、『鬱』蒼とした森、『運び屋』稼業の光信さんが相棒の機獣を駆る〜、幻想的なシーンだ〜、植物が氾濫する世界において新人類が生まれいで、
目の前にはトロルに追われるエルフが走る〜! ランス一撃、トロルをしとめ〜、エルフを介抱する光信さんは運び屋の『道の駅』にINした模様、
機獣がガタガタになっていると目を吊り上げるのは、メンテ係の彷徨さん〜、通称メカ『ラブ』少女だw ネーミング考えろw ラスト、映像はエルフの少女を映し出す、
いわく「『勇者』サマを探さなくちゃ!」、大きなうねりを感じさせる物語冒頭、こいつはまさに新スレ開始にふさわしきワクワク感だな、10氏の全選択が新スレに花を飾ってくれたァ!
- 38 :
- >>37
感想をいつも有り難うございます
6スレ続くと言うのも凄いですよねw
逆に言えば、競馬実況さんもそれだけ感想を書き続けてきたと言う事でもあります
いつもいつも、かんしゃしています!
- 39 :
- 面白い作品を作りあげるコツを
- 40 :
- 前スレが落ちない理由が気になり過ぎて><
>>39
それは答えにくい質問かと
その質問に答える=自作の面白さに自信ニキw
持論はあるんですが、、自分自身が面白いと思うものを書いて、そこから広げるのが一番だと思います
ここだと特に競馬さんが面白いところを探してくださいますし
実際どの作品も、どこかしら面白い部分がありますよね
リップサービスではなく
- 41 :
- >>38
こちらこそ楽しませて貰ってありがとw
- 42 :
- >>28
「十代目、未だ休めず」1/3
大日本帝国図書館。
そこは国の財産たる知恵、行く先を示す歴史、民のあり方を紡ぐ文化の全てを納めた知識の宝庫である。
納められている書籍に目を通すことが出来るのは一部の政府関係者のみであり、どれだけ願おうとも一般人では文字どころか生涯、入館さえままならない。
そのような場所、機関なのだから司書として働くことなど夢のまた夢。
最難関の国家試験、その上位成績者という選び抜かれた者達のみが勤めることを許されている。
無論、私もその一人であることには違いない。
違いないのだから、当然納得がいっていない。
納得がいっていないのだから、私は今とある男が住処としている一室、指定不可図書管理人室の前で一人、荒ぶる精神を押さえつけていた。
もう、うんざりだった。
なぜこのような社会不適合者であり、反社会的人物であり、人格破綻者、人間性皆無、犬畜生にも劣る人物の世話役などやらねばならないのか。
今日こそは言ってやるのだ。
この仕事が終わったらお前の世話など金輪際勘弁だと。
今後私の人生に二度と関わるなと。
頼むからその面下げてうちにやってくるなと。
言ってやるのだ。
そう固く、固く決意して私はようやくドアノブを回した。
「うおらぁっ!出て来いや!いっ……」
「Rぇっ!」
数センチ、扉を開けたところで私は動きを止めた。
私の声は、『奴』の明らかな殺意と恐らくガラス瓶と思われる物の破壊音で掻き消されたのだ。
その音の出どころはまこと、私が開け放とうとした扉、それである。
「うぉら駒田ぁっ!テメェ仕事舐めてんのかクソカスがぁっ!ぶっ殺してやるぞ我ゴラァッ!」
誤解してはいけない。
私、駒田真一はクソがつくほどの真面目人間である。
その堅物さのおかげで上司から疎まれ、この生物の世話役を任ぜられたので、間違いない。
また、そんな私が介護とまで言っていいほどに甲斐甲斐しく世話を焼いている彼から殺意を持たれるようなことなどあるはずがない。
前述の通り、私は彼を今すぐにでも殺処分したいが。
『ご、ごめんよぉ。駒さん』
スルリと、それはやってきた。
木製の扉をすり抜けて、勇敢な顔つきと密林の王者たる縦縞を持ち合わせたそれは虎の幽霊、マクラである。
かつては一国の大名を困りに困らせた大悪霊であったが、今となってはすっかり牙を抜かれた飼い猫ならぬ飼い霊である。
「おい、マクラ。なんだ、あれ」
私が来日したばかりの観光客のごとき片言になっているのは恐怖からではない、
断じてない。
『それが、オラにもわかんねぇんだ。駒さんがわざわざ買ってきたちくわを食べようとしたみたいなんだけど』
「竹輪?」
それは、おかしい。
- 43 :
- >>42
「十代目、未だ休めず」2/3
私は、ごぼう天を買ってこいと言われた筈だ。
私は扉の向こうにいる『奴』に向けて怒鳴る。
「お前、ごぼう天っつったろうが!舐めてんのか!ああっ!?」
「俺は竹輪っつったろうがクソ間抜け!てめぇこのごぼう、その詰まりに詰まった耳に突っ込んで掃除してやろうか!?ああっ!?」
再度の破裂音が扉の向こうで響く。
私は、今度から買ってくるのは缶ビールにしようと決めた。
『ああ、ごめんよ駒さん。オラちょうど休んでたからそこら辺よく聞いてなかったんだ。ごめんよぉ』
「気にすんな。お前のせいじゃねぇよ。しかし、仕事が来たんだがこれじゃあな」
シクシクと泣くマクラの頭を撫でていると、勢いよく扉が開かれた。
のぞいてきたギョロリとした真っ赤な目は爛々と輝いている。
というか、酒臭い。
「いやぁ、『僕』の健康を気遣ってわざわざごぼう天買ってくるなんて駒ちゃんは優しいなぁ。それより仕事だって?それならそうと早く言ってよ。ほらほら中へ」
ぶん殴りてぇ。
私は震える拳を納めながら、導かれるまま部屋へと踏み入れた。
飛び散ったビール瓶。
山積みの吸い殻。
酒か吐瀉物かわからない物が床一面にばら撒かれ、それらがとてつもない悪臭を放っている。
私はできる限り息をしないように気をつけながら、というよりも説明もしたくなかったので『奴』机に報告書を投げた。
『奴』は報告書を受け取ると舐めるように隅々まで目を通す。
一通り読み終えると、ふぅむと一つ唸った。
「四国、か。あそこは食い物は美味いし、面白い伝承が山盛りだからな」
報告書の題名は、『指定不可図書、デイダラボッチについて』。
「やるぜ、これ」
快諾を引き出した私はコクコクとうなづくと『奴』の手から報告書をひったくり、新鮮な空気を求めて外へと飛び出した。
- 44 :
- >>43
「十代目、未だ休めず」3/3
ここは、大日本帝国図書館。
国の財産たる知恵、行く先を示す歴史、民のあり方を紡ぐ文化の全てを納めた知識の宝庫である。
しかし、その中には分類指定ができない書籍もある。
魔導書、妖書。
それら読者に害を与える書籍を総じて、私達は指定不可図書と呼ぶ。
その書籍を収集、管理するのが我ら指定不可図書管理人である。
指定不可図書は言わば害獣。
かつてのマクラのように魑魅魍魎または悪魔または魔獣と言った獣は狩らねばならない。
私を猟師、マクラを猟犬と例えるならば『奴』は銃だろう。
『奴』、十代目一休を例えるならばおそらくは、そうなる。
- 45 :
- >>42
早速の作品ありがとうですが、ジャンル指定回でカテエラは困る(失格とはしません
これだとジャンル『伝奇(のプロローグで、コンクルージョンも入れてみた)』ですね
分量から言って、猛獣みたいな人間の話が大半、虎が少し、動物とも言える野良魔導書の話が少し
これでジャンル『動物』とは、ちょっと認められない
他のお題からの内容について
『虎』→一休、なるほど、その手があったか
『銃』→問題なし
『図書館』→魔導書、まったく正当な発想
『ちくわ』の処理は自由でいい感じ
以上よろしくです!
- 46 :
- 作者様の思考を誘導したくなかったので、具体的に言わなかったのですが
進行としては、シートン動物記、イソップ物語、中国朝鮮東南アジアの伝承、ごん狐、現代や異世界の動物園やペットの話、などが念頭にありました
僭越ながら>>42の世界で話を作るなら、マクラを調伏する時の話→銃や刀で脅しても効かず→ちくわで釣ったろw→釣られてやんのww→オラちくわが好きなんだ文句あっか
これなら動物の話してる・・・のではないかと
- 47 :
- >>45
>>42です。
ご判断感謝します。
大変助かりました。
ご迷惑おかけします。
- 48 :
- 動物ガンガン入れ込んでるけどねw
まあ進行氏としては役目上、辛くとも言わなければならないとこだ
どっちともよくやった!
- 49 :
- >>42
今回はジャンル『動物』+選択式のお題戦となった、いつもとテイストが違うけどどう攻略するか〜、と思ってたら42氏が力作で速攻トライ! 十代目アイツの脈々たるバトルシーズン開始!
さあ、舞台は大日本帝国『図書館』である、指定不可図書管理人なる男の部屋前、語り手の駒田さんが苦虫を噛み潰している模様〜、
どうも管理人は一癖ある男のようで、駒田さん配達のごぼう天と『ちくわ』の違いにブチギレているようだw いいだろ、どっちもおいしいんだしw 虎(『動物』)の飼い霊?、ことマクラあらわれ、駒田さんに謝る苦労性〜
さて迷惑かけまくりのナンあり管理人が仕事書類の中身に目を光らせた〜、奴の正体は、指定不可図書、言わば害獣(『動物』)を駆る存在…、マクラを猟犬と例えるならば奴は『銃』! そう、十代目一休を例えるならば…! 一休さん、それで虎かw
すごい面白そうな引きで終わった、なんかワクワク冒頭を作る流れになっているが…w 別個のキャラをぶつけてキャラを立たせた42氏のベテラン手際〜、炸裂した続編期待ENDがお題をぺろっとたいらげてフィニッシュだ!
- 50 :
- >>47
とんでもないです、ご理解感謝します!
>>48
フォローありがとうございます><
- 51 :
- すみません。自分の作品は>>42さん以上にカテ違いなんですが他に上げられる場所もないので供養がてら上げても良いでしょうか?
といっても推敲があるのでまだ暫くは掛かりますけど
- 52 :
- >>51
えええ・・・カテ違い困るなぁ・・・
ジャンル指定の意味がない
なんとか動物要素の割合を増やせないでしょうか
ともかく一瞬でも動物の話をしていれば、上げて頂いて大丈夫ですよ
むしろどんどん上げてください
これおかしくね?と思ったら都度言いますので・・・
- 53 :
- >>52
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
なんとか動物要素を増やしてみようと思います。
- 54 :
- >>53
こちらこそ、お手数お掛けします
ただ折角の機会なので、動物要素に挑戦して(そして楽しんで)頂ければと思います
- 55 :
- 小説ばかり書いてるのもいいけど運動もしなさいよ
- 56 :
- ジャンル指定が『スポーツ』だったらばw
- 57 :
- >>42
妖書の管理者達と言う所ですね
アクの強いメンバーが、どの様に対処して行くのか? 気になりますw
- 58 :
- >>28
お題:ジャンル『動物』+『虎』『銃』『図書館』『ちくわ』
【その猫はサバトラ!】(1/3)
例えば人外転生ってジャンルがある。死んで、異世界に人間以外の生き物として転生するってやつだ。
状況から見れば僕の身に起こったのはそう言う事なんだろうけど、厳密に言ってしまうとそれはちょっと違う。
僕の場合は一度、現在世界に転生してから、異世界に来たって事だからだ。
僕は今、猫に生まれ変わって異世界の密林に来ている。
「本当に異世界ですねぇ……」
「だろ? 人間達には来れない世界だ」
僕の目の前には二足歩行するハチワレの猫。触手の生えた小動物なんかの説明しながら僕たを先導する、先輩にして同じ転生仲間であるヨシムネさん。彼は僕よりずいぶん前から猫として生きているらしい。
そんな僕の現在の姿は金と黒のオッドアイのサバトラ。モチロン二足歩行をしている。
実は全ての猫は二足歩行ができる。僕も猫に成って初めて知ったんだけどね。
ただ、二足歩行をしていると、やたらと人間に目を付けられSNS何かにアップされてしまう為、向こうの世界では大人しく四足歩行をする事にしていたんだけど……
******
「うひゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『おい! 待てよ!!』
『こっちだ! こっち!! 捕まえろ!!』
『Y〇u Tubeへアップしようぜ!!』
『本を読む猫だぜ!! 絶対バズるって!!』
「こんチクショウ!! 僕は見世物じゃぁ無いっての!!」
図書館に忍び込み、ライトノベルを立ち読みしている所をうっかり中坊に見つかった僕は、四足歩行に偽装する事も忘れ、二足歩行のまま酷く綺麗なピッチ走法でダッシュしていた。
その事が余計に中坊共の関心を惹いて居たんだけど、その時の僕は、そんな事にも頭を回す余裕はなかったんだ。
「こっちへ来い!!」
「え?」
「良いから!!」
書架の陰から僕を呼ぶハチワレに、絶体絶命だった僕は、それこそ藁にも縋る思いで飛びつく。
そうして飛び込んだ図書館の書架にある本の隙間の先は原初の密林だった。
呆然とする僕に、ハチワレはニャと笑うと「オレの名前はヨシムネだ。よろしくご同輩!」と、声を掛けて来たのである。
- 59 :
- 【その猫はサバトラ!】(2/3)
******
驚いた事に、猫と言う生き物は二つの世界を行き来して生きているのだそうだ。唐突に猫が居なくなったりしているのは、こうして異世界に来ているからだと言う。
特に長く生きた猫は、こうして異世界に住居を移す傾向にあるらしい。
昔から長く生きる猫と言う物は、人間に奇異の目で見られたり、化け猫だと思われたりする為、そうした習慣が有るんだとか。
「で、何処に向かってるんです?」
「縄張りのボスの所だ」
ああ、異世界でもそう言うの有るんだ。世知辛いなぁ。
彼の後を付いて行った先に有ったのは、随分立派なお屋敷だった……ただし猫サイズの。
門番をしているらしい二匹の猫に頭を下げられたヨシムネさんは、やけに慣れた感じに挨拶をし、テトテトと屋敷の中に入って行く。
そして辿り着いたのは円卓と呼ばれる丸い大きなテーブルのある部屋で、正面には、やけに豪奢な椅子が置いてあった。
「まぁ、座りなよ」
そう言って僕に円卓の椅子の一つを勧めると、自分はジャケットを羽織り、豪奢な椅子に座って……
「ようこそ、御同輩。オレがここの縄張りのボスのヨシムネだ」
と、そう言ったのだった。
******
「ま、一本やりなよ」
「あ、どうも」
そう言って差し出されたちくわを僕は咥える。
周囲ではメイド姿の黒猫が甲斐甲斐しく飲み物の準備をしてくれていた。
「お飲み物は何になさいますか?」
「あ、ミルクをストレートで」
「やぁ、ミルクをストレートでか、中々に“通”だね」
そう言うとヨシムネさんもストレートのミルクをぴちゃぴちゃと舐める。
「……それで、何で僕を助けてくれたんですか?」
「そうだね、単刀直入に言おう。オレの仲間に成って欲しい」
何でも近々縄張り争いの抗争があるそうで、その為に戦力を強化したいのだとか。
だけど、言っては何だが、僕は普通のサバトラだ。血統書もないし特別な力も無い。
そんな僕を仲間にした所でそれ程戦力に成らないんじゃないかって気がするんだけど。
「……何故、と聞いても?」
「君が転生者だからだ」
ヨシムネさんは端的にそう言った。そしてパンパンと言うか、ポムポムと言った感じで前足を叩くと、メイド猫がお盆に何かを持って来た。
「これは……銃?」
「その通り」
そこにあったのはガシャポン何かによく入っているBB弾を打ち出すおもちゃの銃だった。
- 60 :
- 【その猫はサバトラ!】(3/3)
「それを君には使って欲しい」
確かに遠距離攻撃の手段の無い猫に銃は有効な攻撃手段だろう。僕はその銃を前足で掴むとマガジンをセットしボルトを引く。
「固いですね」
「強化してあるからね」
今回の抗争の為に、ヨシムネさんは現世でこれをかき集め、バネを二倍にし強化を施したらしいのだが、そこで一つ問題が起こったのだそうだ。
「今の君の様に正しく銃を扱える猫なんて、存在しないんだよ?」
ちくわを齧りながら、まいったねとヨシムネさんは言った。こんな風に道具を自在に扱うと言う事が猫には不向きだったらしい。
よしんば撃てたとしても、普通の猫だと本能に抗えず、BB弾を追いかけ回してしまい、下手をすると銃を撃った本猫がそれに飛びついてしまうのだとか。
でも、だからと言って僕が扱えるとは限らないんだけど……と、そう思っていたら彼が言う。
「君はさっき、小動物を見ても追いかけ回さなかったじゃないか」
「あー、そう言う事ですか」
密林の中に出て来た鼠の様な生き物の話だろう。ヨシムネさんもそうだけど、転生者は総じて理性の方が強い傾向にあるらしい。
それに加えて、僕はラノベを立ち読みできるくらいに腕力……前足力? があり、器用だと言う事も理由だそうだ。
要は、いつも僕が図書館でラノベ漁りをして居た所をばっちり観察されていたらしい。
僕は随分前から彼に目を付けられて居た様だ。
それに……
「助けて貰った恩も有りますしね」
「じゃぁ」
「はい、よろしくお願いします。僕はサバトラ。名前はまだありません」
「ああ! こちらこそ!!」
僕は、後に自分が『ヨシムネの懐刀』なんて呼ばれる様になるなんて、この時は全く想像して居なかったんだ。
- 61 :
- >>58
そこ(異世界)にいたのかお前らー!
某迷い黒猫の話とか、某ネズミとイタチの話とか、某奥羽の犬の話とかの系譜に近いような、そうでもないようなw
なろうだと『動物の世界にとりっぷ』シリーズを思い出しました・・・話も世界観も全然違いますが
ジャンル・・・中身が人間でも猫してるので、ジャンル『動物』で問題のあろうはずがない
『虎』、、トラ、、いいのか? 駄目なんて言えないですがw
- 62 :
- >>28
前スレ511の続編です
使用お題→ジャンル『動物』+『虎』『銃』『図書館』『ちくわ』
【いとしの】(1/2)
今日も私は帝国図書館に来ている。ここは魔術系クエストが多い場所で、だから訪れるのもスペルユーザー系の人が多い。
数日前のバランス調整で、そのスペルユーザー系が弱体化された。一人で敵を溶かしていた魔法使いたちは、十人並みの強さになった。
戦えないほどではない。だけど火力が目的の人たちは、このエリアから消えた。残っているのは、本当に魔法使いに愛着のある人だけだ。
「よしよし、いい子にしててね」
私はガンスリンガー、遠距離物理攻撃のクラスだ。だから彼らの弱体化自体は、私には関係がない。
人影もまばらな空間。ここは書架が林立するジャングルだ。獣道を進む、ペットを連れた私。まるで物語の主人公みたい。
閲覧室の奥に、いつものプレイヤー、ネクロマンサーと思われる彼の姿を確認する。
声は掛けない。
遠くから見るだけ。
それから本来の目的、とあるクエストを受けるために移動する。
私が歩けば一緒に歩く。私が止まれば同じく止まる。オレンジと黒のしま模様。
小さな猛獣。私の大事なペット。ベビータイガーのトラタロー。
*
「変な名前ね」
なんて、失礼なことを言うのは委員長。
「同志ハナコ、もっと由緒正しい名前を付けたらいかが」
余計なお世話だ。それに、変なのは委員長の方なのだ。
ファイトマンサー(phytomancer、植物を操って戦うクラス)でエルフの彼女は、リアルでは私のクラスメート。
学校ではほとんど話さない。だけど、こっちでは一緒に遊んでくれる。
革命家のロールプレイが好きな変わり者。エルフによる革命政府がどうのこうの。
しかも、なぜか私が仲間扱いだ。
「ペットもそうですし、あなた自身も、もっとエルフみたいな名前がよろしいのではなくて?」
「もー、これでいいの。簡単な名前がいいんだって」
「それは愛情が足りてないのだわ。高貴なエルフにあるまじきことね」
ちなみに私はエルフじゃない。だからその、長くて変わった名前を付ける、エルフの愛情? ちょっと理解できないなー。
「あっ、いたいた。おーい。やほー! フーちゃん、ハナちゃん、トラタローくん」
退屈そうに伏せていたトラタローが、その呼び掛けに反応する。
ここは通称、豚の広場。初代皇帝の銅像が立つ、待ち合わせスポットだ。
「はーい、おやつだよー、トラタローくーん」
トラタローのAIは現金なもので、おやつをくれる人をちゃんと覚えている。
この人は委員長のフレンドで、よく攻略に付き合ってくれる。
「ココさん、お世話になります。……転職したんですか?」
以前会った時と装備が違う。
「うん。魔法は当分駄目だね。これからは物理の時代だよー」
そっかー。愛情か効率か。悩ましい問題だ。
「そう言うハナちゃんはどうなの? チュートリアルペットに調整入ったよね」
そうなのだ。弱体化されたのはスペルユーザーだけではない。
ペットシステムのチュートリアルで支給される、初期ペット。
ベビータイガーはその中の一つ。
今回の調整で、この子たちのステータスも引き下げられたのだ。
- 63 :
- 【いとしの】(2/2)
初期ペットは四種類。そこから一つを選ぶ。ベビータイガーが一番かわいいと思った。
「はいトラタロー、おやつをどうぞ」
現実のペットと違って、この子たちに食事は必要ない。トイレの世話もない。
成長もしない。レベルアップでステータスは上がるし、AIは学習して賢くなる。だけど見た目は子供のまま。
死ぬこともない。もちろん戦闘で倒れることはあるけれど、後でちゃんと復活する。
現実の、例えば野良猫には自由意志がある。
仲良くしていた猫が、ある日ふっと姿を消して、それっきり。
この子たちにはそれがない。
だからこの子たちは、どちらかと言えば、飼い犬に近いのかも知れない。
*
トラタローに銃口を向け、引き金を引く。
「ああー、駄目だぁ。全然弱い」
ガンスリンガーのビルドには種類がある。私のは支援型で、専用の銃弾で味方を強化して戦う。その中でも特に、ペットを主軸に立ち回るタイプだ。
弱体化の影響は大きい。戦えないほどではない。だけど、初期ペットは元々そんなに強くない。
「大丈夫! 任せてー」
委員長もアタッカータイプではない。そしてアタッカーであるはずのトラタローは、全然活躍できていない。必然、与ダメはココさん頼みとなる。
「あ、出たね。魂のかけら」
ボスドロップの『魂のかけら』。集めて合成すると召喚アイテムになる。使用すると、そのボスと同じタイプのモンスターをペットにできる。
「猫系のボスだし、それ集めてペットにしちゃう?」
ボスタイプのペットは、初期ペットよりはステータスが高い。効率を考えるなら、乗り替えるのが正解だ。
リアルとは違う。ペットは幾らでも増やせる。だけど育てるのには時間がかかる。そこだけは現実と同じ。
「うーん、どうしよう」
「ココさん、ちょっとそれはどうかしら」
煮え切らない私。委員長がココさんを注意する。
「あ、そうだよね。ごめんねー」
ココさんはココさんで『てへぺろ』のエモートを出して謝ってくれる。
もちろん、悪気がなかったことは、最初から分かっている。
「同志ハナコ」
「なあに、委員長」
彼女の言葉。
「自分で決めるのよ」
「……えっ」
「最後は、自分で決めるのよ」
*
今日も私は帝国図書館に来ている。いつものネクロマンサーの人は……いる。けれど、見慣れない女の子の二人組と一緒だ。そして何やら……もめている。
「……それは、困りますね」
「何それ信じらんない! あ、そうだ。じゃあこれ買い取ってよ馬鹿お兄」
ああ……『呪いのチャーハン』ね。破棄不可、トレ不可、敵に使うのも不可のデバフアイテムだ。
ネクロマンサーではない人が手にすると、ひどい目に遭う……。
「そうなんですか。意地悪な先輩」
「ほんとだよ! それは前もって言ってくれなきゃだよ!」
「ふっ、これも試練の一つ……あー、何か?」
自分でも気付かない内に、彼らに近寄っていた。
「いえっ、えっと。そのチャーハン困りますよねー、なんて……」
私は何がしたかったのか。分からないけど、女の子たちには分かったようだ。
「そうなんです。そうなんですよ。ところでその」
「それかわいいですね」
ちょこんと座ったトラタロー。そうでしょう。そうでしょうとも。
「ありがとうございます。そうだっ! このちくわをですね、あげるとですね」
図書館で受けられるクエストの一つに、ジョークアイテムが支給されるものがある。
猫系ペット専用のちくわ。トラタローに使う。すると――――
- 64 :
- そして色々言った本人は、動物(型のAIペット)の話をするという
広い心で、カテエラではないと思いたい
前スレ439とテーマが近いので、せめて結論はぼかしています
- 65 :
- カテ違いながらもせめて完成させようとした矢先に悲しみの残業ですよ。あとちょっとなのに
オクラストックが増えていく…
- 66 :
- あ、念のため、私と前スレ439さんは別人です
- 67 :
- >>65
>>51さんですか?
とりあえず、、供養をお待ちしております・・・><
- 68 :
- >>67
はい。
ありがとうございます。
今日はもうヘトヘトなので出せても明日だと思います。
皆様の作品もゆっくり読ませていただきます。
- 69 :
- >>68
承知しました、お疲れさまです
- 70 :
- お題→ジャンル『動物』+『虎』『銃』『図書館』『ちくわ』締切
【参加作品一覧】
>>42【十代目、未だ休めず】
>>58【その猫はサバトラ!】
>>62【いとしの】
- 71 :
- さて・・・前スレが・・・落ちません!
皆様にご協力頂いたのですが!
とっくに512KB超過してるはずなのに!
そこで今回から、前スレに戻ってお題と作品を募集します
ややこしくて申し訳ありません
- 72 :
- そういうわけで、今回のお題は、こちらにお願いします・・・
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1541947897/828-n
- 73 :
- 今回のお題は、こちらとなりました
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1541947897/834
作品やレスは、次の通りにお願いします
・今回分の作品は、前スレ
・雑談等は、前スレ
・>>2や>>28の供養は、ここスレ6
・感想や感想返しは、当該作品のスレ
- 74 :
- >>58
続くジャンル指定『動物』ファイト、自由お題を全てチョイスの58氏はテーマを猫と見定めてきた〜、ブックエンド・キャットゾーンの秘密!
さあ、主人公は人外転生で二足歩行する猫となった、金と黒のオッドアイ・サバ『トラ』のようだ〜、あえて虎ではなく猫とした点に工夫有りか〜、猫のまま『図書館』でライトノベルを立ち読みしている所、
鶴と亀の昔話っぽい悪ガキ共に見つかり窮地に陥るw そこにご同輩と声をかけてきたのがハチワレ猫のヨシムネさん、語り手をいざなうのは、書架の隙間の原初の密林〜、小サイズの屋敷にて
「ま、一本やりなよ」と『ちくわ』が差し出された、そこでちくわなのかw なにやら縄張り争いのために用意したおもちゃの『銃』の使い手が見つからず、前足力のある語り手に白羽の矢が立ったらしい!
ラスト、物語はサバトラさんが有能なヒットマンになったそうだフィニッシュで、後日談形式END〜、全選択をクリアの58氏、『動物』界のアイドル・猫の世界を寓話風に寄せてきたか! 異世界探訪感のある仕上がりだ!
>>62
トリを飾るは進行氏もとい62氏、ネクロマンサーの作者だったとはw テーマ『動物』ではかわいい系タイガーをチョイス、アンド自由お題を全選択! こちへ這いよれ、ベビータイガー!
さあ、子『虎』をペットにした遠距離物理系ガンスリンガーの語り手が、『図書館』でクエストを求めて来訪している〜、運営による弱体化のあおりを受け、
メイン武器でもあるベビータイガーが弱くなってしまったらしいw 初期ペットは能力値が低く、敵を取り込んで乗り換えるポケモンスタイルのが普通のようだが、語り手には愛着があり代替える気はなさそう〜
しかし戦闘は仲間頼りで…、愛情か効率か、最後は自分で決めろと言葉が頭に宿る! さて件のネクロマンサー達と遭遇、ベビータイガーを囲んでワイワイだ、
おもむろに語り手がジョークアイテム『ちくわ』を取り出し、何かやるのって、え、終わりw んーこれは可愛いエフェクトが出て、やっぱこの子捨てらんない、次でどうにかしなきゃって感じか、62氏、ご想像にお任せしますENDで全選択を突破!
- 75 :
- >>58
ごめん間違った、鶴亀じゃなく浦島太郎でw
- 76 :
- こんなスレがあったんだなあ
- 77 :
- >>74
感想ありがとうございます
前の話は短いものでしたが、今回は長くなってしまいました
最後、ちくわをくわえて踊りますw
>>76
今ちょっと前スレが残ってまして、今週の活動はそちらで行っております
- 78 :
- 供養させていただきます。
- 79 :
- >>28
使用お題:ジャンル『動物』+『虎』『銃』『図書館』『ちくわ』
【獣達の夜】(1/3)
再就職が決まったのは三週間前だった。駅前広場から延びる大通り沿いに古臭い宮殿のような建物がある。そこが新しい職場だ。市立図書館が移されたのは最近だが建物自体の歴史は古く、
図書館の一画はその歴史と所有者だったカリヴォダ家の紹介に割かれている。長らくこの町は一族がここで営む図書館のみだったが経営難により、市が買い取ったのだ。一族の初代当主は稀代の蒐集家だった。
建物の地下には手つかずの遺物が数多く残っている。私の仕事はそれらをリストにまとめ、管理することだ。
館長は図書館らしい物腰柔らかな老人だ。従業員達も皆人畜無害で少々調子が狂う。だがそもそも彼らと話す機会など滅多にない。私の仕事はカビ臭い地下に籠り毎日定時上がり、進捗など誰も気にせず、
ノルマも報告もない。金にならない過去の遺物など皆本心ではどうでもいいと思っているのだ。賃金は酷いが、安月給の障害者雇用である。楽さを考えれば文句は言えまい。
辛いのはバリアフリーなど考えていない急な階段をこの不自由な足で上り下りすることくらいだ。
足を引きずりながら地下室を見て回る。薄明りの中に光る獣の目があった。私は腰を抜かしかけたがすぐに正体がわかった。精巧な狐の剥製だ。今にも自分に襲い掛かりそうな恐怖を感じる。興味を惹かれて近づく。
心なしか狐が不気味に笑った気がした。剥製を調べると腹に切れ込みがあり、中空なことに気づく。恐る恐る手を入れ掴んだものを出す。内臓を引き抜くような嫌な感触だった。
手には輪ゴムで留められた書類が握られていた。劣化した輪ゴムが役割を終えたかのように力なく切れる。書類にはメモが張り付けてあった。
“小人へ
踊り子はクビだ。
トーチに火を灯せ。
ジャグラーより”
メモにはそう書かれていた。暗号だろうか。そう思いCONFIDENTIALと印の押された書類を読み進めると何となく合点がいった。これは恐らく米軍かCIAの資料といったところだ。
よそ者ならここになぜそんなものがあるのか不思議だろうが、この建物の歴史を知っていればすぐにわかる。20年前、スロバキアと大きな紛争があった。戦闘は凄惨を極め、今でも町の各所に爪痕が残っている。
泥沼の戦争は米露合意で実現した米軍の加勢によって終結した。米軍は町を奪還した際にこの建物を占領、そのまま接収して引き上げるまで施設として使っていたのだ。きっとその時忘れていった。
いや、見つかった場所とメモから言って誰かが意図的に隠したものだろう。
これは面白い物が見つかった。机と椅子を用意してじっくりと読み進めていく。書類は全てあるCIA職員に関するものだった。ウィリアム・J・ポー。東側から“猛獣使い”と呼ばれた凄腕のスパイだ。
彼はその地域で“最も危険な男”を手懐ける事に長けていた。紛争中も“ボヘミアの虎”と呼ばれた猛将、クーベリック中佐に取り入り、彼と米国の間に太いコネクションを作った。
また、彼はロック好きで自らが関わった作戦にそれに関する名前を付けることが多かったという。例えば中米の麻薬戦争でのガンズ・アンド・ローゼズ作戦、これは銃が武力面、薔薇が文化・教育面の支援を表し、
その両面から麻薬撲滅を目指したものだった。ポーは紛争後ロシアのスパイとして嫌疑をかけられ、逃走先で恋人と心中し、その生涯を終えた。
なぜ私がこんなにも彼に詳しいのかと言えば特集番組を見て、その気障なロマンチスト気質が印象的だったからだ。だが実は私は彼に直接会ったことがある。戦時中、一度だけ中佐に伝令に行ったことがあり、
中佐と話す童顔で小柄でどこか人懐っこそうなポーの姿を見たのだ。当時は気かけていなかったが、番組中の写真を見て思い出したのだ。
もう一度メモを見る。猛獣使いに小人に踊り子、トーチの火にジャグラーまるでサーカスだ。どうやら諜報員にはロマンチストが多いらしい。きっと夢を見せられなければ他人を動かすことなどできないということだろう。
資料を読み進めていくと、ボヘミアン・ラプソディ作戦と題された頁を見つけた。そこに貼られた新聞の切り抜きに目を奪われた。それは忘れもしない、あの虐殺の日のことが書かれた記事だった。
20年前の夏、駅前広場、朝市で賑わう人々に突如迫撃砲弾が降り注いだ。まだ戦線は遠く、人々は戦争をどこか他人事のように考えていたころだった。60人以上の死者と200人近い負傷者が出た。私の家族もそこにいた。
今でもよく覚えている。知らせを聞き駆け付けたのは昼近くだった。現場は重傷者の搬送こそ一段落していたが、軽症者の処置に手いっぱいで、死体がまだあちこちに散乱していた。
- 80 :
- 【獣達の夜】(2/3)
規制線で群衆が警察ともめていた。家族は無事なのか。死んでいても炎天下に野ざらしにしておけない。誰かが瓦礫の山を指さし「あれは夫の手よ!」と叫んだ瞬間、規制線は決壊して人々がなだれ込んだ。
屋台の残骸と散らばった手や足らしき肉片、血だまりと内臓、粉々の果物、大きな破片が刺さった腕を支える負傷者、半分焼け爛れた死体の表情のない顔がこちらを見ていた。
戦争中は地獄のような光景を何度か見たことがあるがこの日に勝るものはなかった。眩暈と吐き気を催しながらも軽症者の中に知人を見つけ、家族のことを尋ねた。「どうなったかは分からないけど、
最後に見たときはあっちに歩いて行ってたよ」彼は爆心地の一つと思わしき方向を力なく指さした。
地獄の中から家族を探した。しばらくして母の靴を見つけ、その近くで肉が削げ骨の露出した片足を見つけた。だがそれが母のものであるとは思えなかった。
しかし、その後に見つけた胴体と朝着ていたワンピースが現実を突きつけてくれた。母の頭は弾けて4分の1ほどが無くなり、脳と目玉が露出していた。妻は左足の膝から下と左腕が肩から無くなっていた。
当時5歳だった息子だけは息があり病院に運ばれていたが夜には息を引き取った。息子はプレゼントの腕時計ごと手首が無くなっていた。その顔は損傷と腫れがひどくもはや誰だか分らなかった。
母が被っていた亡き父の帽子も行方不明のままだ。
この事件を機に私は兵士になった。
記事の下には興奮したような文字でSPLASH!!!と殴り書きがあった。私は怒りを覚えた。だが、あの紛争が文字通り他人事だった米国人にとっては些細な事件。むしろ戦争に消極的だった我々の民族から志願兵が増加し、
国民が一丸となる契機となったのだ。むしろ渡りに船だったと言えるだろう。次の紙も同じ事件に関する資料だ。
ほとんどの行が黒塗りだがマジックで塗りつぶしただけのようだった。私は灯りに透かして内容を読み取ろうとした。何とか読み取れたのは人名だった。
“カレル・カウツキー”紛れもなくこの図書館の館長と同じ名前だった。
なぜ館長の名前がこの資料に?
その瞬間、嫌な考えが頭の中に広がる。ただの想像に過ぎなかったが思いついた瞬間、私は冷静さと衝動の間、野生を取り戻したかのような集中状態に陥っていた。
あの事件で得をしたのは誰か? 手引きをしたのは誰か?
事件はスロバキアの過激派の仕業として、実行犯たちに有罪判決が出ている。だが、証拠不十分で一時無罪になりかけたはずだ。事件はまだ終わっていないかもしれない。
私は必死に内容を読み取ろうとした。そして他の資料も読み漁った。そこには迫撃砲の種類や発射場所など当時まだ犯人しか知らない情報が書かれていたが、それはCIAが独自に事件を調査したためとも考えられた。
また、館長が事件にどう関わったのかもわからなかった。だが、実行犯はクイーンと名付けられた4人組であることだけはわかった。
その日から私は変わった。もう戦争で足と心を病み、腫物のように扱われ、全てに無気力になった哀れな世捨て人ではない。私は古い新聞や電話帳などで館長と同名の人物がいないか、戦時中の記録や館長の経歴を調べた。
同名の人物は2人いたがどちらも無関係だった。また、日中は真面目に働き、同時に新しい資料がないか地下室をくまなく探していく。同僚とも積極的に交流を持ち情報を集めた。
特に館長のカレルとは個人的に親しくなり酒を酌み交わす仲になった。酔わせて少しずつ話を引き出していくのだ。
ある日バーでカレルはBGMにキラー・クイーンを掛けるように頼んだ。「ロックですか」と私が聞くと彼は「意外かもしれないが結構好きなんだよ」と答えた。その日はそれ以上踏み込まなかった。
ロックを勉強し、好きなバンドの話で盛り上がった。ロック好きになったきっかけの話になり私は旧友の影響だと嘘をついた。カレルも同じだと言う。
私が軍時代の友人だというとその瞬間彼の態度が少し硬くなったのがわかった。彼は従軍経験を隠していた。だが名前を変えたわけでもなく、ただはぐらかしているだけだ。
1年経ちカレルの娘夫婦とも打ち解けてくると、彼は自分から国民義勇軍という極右の民兵組織にいたことを話してくれた。彼をおだてて、自分の軍時代の武勇伝を語ると、
彼は胸のつかえが取れたかのようにほっとした表情を浮かべ、それ以降しばしば昔話をしてくれるようになった。
「終戦の時はどの部隊にいたんだっけ?」カレルが聞いてくる。
「第32大隊です。ほら、山猫の旗の」
「じゃあ、ブラチスラバでは隣にいたわけか」
「足をやられたのもその時です。投降するふりをして自爆しやがった奴がいまして」
- 81 :
- 【獣達の夜】(3/3)
彼はポーや戦友のこと、参加した戦闘など様々な事を語ったが事件に関するものはなかった。話の裏はある程度取れており、嘘はついていないようだった。彼が事件に関わった事をどう思っているのかはわからないが、
何とかして関係者の名を吐かせなければならない。
ある夜、私はカレルに告白した。戦時中の私は獣だった。「同胞の仇を討て!」その言葉のもと敵を狩り続けた。捕虜は取らず、病院を砲撃し、人々の家を奪った。裁かれた者は極一部だ。
私の懺悔を受け、彼は神父ではなく親友として自らの罪を語りだした。「私も戦争中は酷いことを沢山してきた」彼は一枚の写真を取り出した。四人の男が腕に入れたお揃いのタトゥーを見せている写真だ。
背景には事件で使われたのと同型の迫撃砲が写っている。写真の彼は今の姿からは想像もつかない、狼のような飢えた獣の目をしていた。彼は皺の増えた腕のタトゥーを見せて全てを語ってくれた。
「自分がしたことを後悔していますか?」カレルは沈黙した。永遠のように長く感じた。そしてゆっくりと口を開き「いいや」と答えた。「当時は戦争中だった。もしやり直せてもきっと同じことをするだろう」
「辛気臭い話はやめにしよう」彼は写真をしまい、ウイスキーを注いだ。
クイーンは4人。カレル・カウツキー、アントニオ・レンナー、ヤン・レンドル、パヴェル・マーラー。アントニオは妻殺しで服役中、ヤンは10年前に事故死、パヴェルはドイツで暮らしている。
私は真実を暴露する気はない。金にならない過去の遺物など皆どうでもいいと思っているし、名誉だ正義だを気にする自分はとっくの昔にどこかへ行った。
アントニオが出所したがいつまでもこの辺りにいるとは限らない。更にパヴェルが親戚を訪ね10年ぶりにチェコに戻る。こんな好機は二度とない。想定外に早いが今しかない。急いで準備を進める。
アントニオは仕事場と酒場と安アパートを行き来しているだけ。カレルも自宅と仕事場にいることがほとんどだ。動きが読めないのはパヴェルだ。地図や資料と睨みあい親戚の家から近くのホテル、
寄りそうな場所まで全て調べる。走り込みと射撃で鈍った体を鍛え直す。少しずつ自分が変化するのを感じる。
時刻は21時。パヴェルは親戚の家に泊まっている。アントニオは0時近くに帰宅するだろう。カレルの家の呼び鈴を押す。ドアが開いた瞬間「動くな!」と低い声がして、私は硬直する。すぐに笑顔のカレルが出てきた。
筒状のものを持っており、「驚いたか?バン!バン!」とご機嫌だ。だいぶ出来上がっているようだ。
「前に話した竹輪だ。銃に似てるだろ。侍は戦の前に験担ぎで食べたらしい」
「同じ日本の酒を買ってきました」私は鞄から瓶を取り出す。いつもの椅子に座り酒を注ぐが、飲むふりでごまかす。ここで酔うわけにはいかない。
竹輪をつまみ「これは何でできているんです?」と聞く。
「魚のミンチだよ。ソーセージみたいなもんだ」
「そうだ、合うかわからんがワインもあるんだ」彼は台所の奥に向かう。私はゆっくりと立ち上がり、鞄から銃を取り出す。静かに彼の背後に立ち照準を合わせる。籠った銃声が二発、自作の消音器は期待通りに働いた。
だが、準備期間が短くまだカンが戻っていないらしい。引き金を引く瞬間にビビってしまった。いや、興奮しすぎたのかもしれない。急所を外れ、まだ息のある彼に近づく。
仰向けになったカレルは動揺していたが苦しそうに「待ってくれ」と何度も繰り返した。命乞いをする獲物に情けを掛けたことは一度もなかった。
だが、同じサーカスで踊った獣同士、何も知らぬまま狩られるのは少し不憫に思えた。
「22年前の駅前広場、あそこに私の家族もいたんです」カレルは一瞬ハッとして、後悔とも痛みともつかぬ苦悶の表情を浮かべた。
「すまなかった、悪かった…… 」
「許してくれ……」かすれ声がかすかに聞こえた。
「私も兵士です。恨んではいません。あれは仕方ない、この国に必要なことでした。
でも“同胞の仇を討つ”それが私の使命です」
頭に銃口を突きつけ引き金を引いた。
カレルの車に乗り込む。ドアガラスに映る自分は少しいつもと違っていた。
22時。カーステレオをつけるとボヘミアン・ラプソディが流れ出した。あと二人、夜明けまでに終わらせなければ。駅前広場の慰霊碑の前を通る。曲が盛り上がってきた。曲の中で少年が母親に懺悔している。
だが、ガリレオもフィガロも私の中にはいない。
久しぶりの狩りだ。計画を見直す。冷静さと衝動。頭が冴え渡り、体が軽い。少しずつ野生のカンが戻ってくるのを感じる。20年ぶりに生きている実感を得る。
横目に映る男の顔は獣のようだった。
- 82 :
- >>42
一休の虎は実在したのか。この世界の一休はとんちというより結構武闘派みたいですね。
しかし、デイダラボッチって国造りの神なのに狩っていいのか?まぁ本物を狩るわけじゃないのかもしれませんが
このくらいの時代だと怪しい洋書やアジアの本も入って来てそうですし、魔道書の類を利用しようとする人間も多そうでワクワクしますね。
>>58
いいですねぇこういう夢のある現代ファンタジー。私には一生書けないジャンルだ(遠い目)
猫の習性に上手く説明をつけてるのも素晴らしい。
しかし、異世界でならともかく現実世界での縄張り争いだと人の目があり使い所が難しい武器ですね。
私も某迷い黒猫や女子高生が猫の国に行く話を思い出しました。
>>62
【失敗しても】は進行氏の作品だったのか!
続き物は良いですね。知っているキャラが出てくるだけでにやっとできる。
私は結構ドライでゲームなんかでもころころと強い方に乗り換えるタイプです。一緒に戦うだけが愛情じゃないさ。むしろポ○モンは動物虐待との声も(的外れ
主人公は効率と愛情を悩ましい問題という割にはトラタローにベタ惚れで、とても乗り換えられる様には見えないですねwww
- 83 :
- >>79
力作だ、焦らず供養の投下にしたかw 前回お題テーマ『動物』、自由お題全選択! 79氏が銃弾をこめてプレゼンツする、男なら誰しも癒えぬ傷、忘れえぬ遺恨に応答すべき夜があるのだ、ザ・アンサー!
さあ、市立『図書館』で遺物管理にあたる冴えない男が主人公〜、足を引きずり、階段しか懸念のない漠たる日々を送る彼が、狐の剥製の内側から米側の戦時資料を発見し、物語は動き出す〜!
ボヘミアの『虎』と呼ばれた中佐に取りいったスパイのメモから、かつて駅前広場の砲撃事件が明らかになる、そう、それは男が家族を失った、通称ボヘミアン・ラプソディ作戦の内幕のカケラ…
館長カレルに近づいて、『竹輪』をご馳走されながら、謝罪も無用に消音『銃』で撃ち抜いて、残敵掃討に目を血走らせる男の眼光、すでに獣ッ
いかに牙を抜かれようとも、血を注がれれば『動物』的な、野生の戦闘本能が目覚めゆくのが男のサガよ、79氏『動物』を本能とかけあわせ、最終一行を獣でキメたか、重厚さがいいね! 全選択クリアだ!
- 84 :
- なんだか感想が凄いですね
自分はここまで感想を述べられませんね…
- 85 :
- >>82
感想ありがとうございますw
正におっしゃる通りで、選択肢の一つは、ペットを引っ込めて直接攻撃することです
いずれにしても乗り替えは無理そうですねw
>>84
すごい人がいるだけなので、怖がらなくても大丈夫ですw
- 86 :
- >>79
そして・・・供養なので構いませんが、どう見てもジャンル『動物』じゃねえw
動物要素を増やした痕跡があるので、そこは感謝です><
それと、>>42さんも>>79さんも、面白いお話を上げてくださって感謝しています
進行の説明が悪かったのか
>>42も>>79も非常に良く書けていると思うので、自由な発想が良かったとすべきなのか
あと、>>42さんに対してと同様、失礼ながら、NHK、BBC、ナショジオを思わせる作風、野生動物が主人公の三人称で会話文無しの話、レンジャー、テレビクルー、密猟者、警察や特殊部隊、ひょっとしたら税関職員が主人公の話など
発想として有りかなと思いました
- 87 :
- >>42です
ジャンル指定、結果的に私のは対象から外れた物になってしまったのであれなんですが、とにかく楽しかったですよ
私としてはまた挑戦したいです
- 88 :
- そう言って頂けると助かります
何かしらの工夫は必要だと思いますが、またそのうちやります!
- 89 :
- 前の作品とちょっとした繋がりがあったりすると面白いよね
- 90 :
- ですねぇ
そう言われて思ったんですが、なんらかの要素でしりとりする回とか
難しくて無理そうな感じはしますけどw
- 91 :
- 今回のお題はこちらです
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1541947897/868
今回分の作品は、前スレにお願いします
- 92 :
- 遅レスですorz御免なさい
>>42
現代怪奇譚ですね
果たして彼等の戦いは、どの様に繰り広げられるのか?
>>62
バーチャルペットに癒されたいw
仲間にしたモンスターが弱体化したとしても、つれ回したい気持ちは良く判ります
>>79
悲しき復讐者
彼の生きている実感は、戦いの中にしか無いのでしょうか?
>>61
感想有り難うございます
自分の頭にあったのは『ア○ゴオル』とか『ね○め〜わく』でしたw
>>74
感想、いつも有り難うございます
マタタビでは酔ってしまうので、ちくわです
魚肉ソーセージも有りなのでしょうが、お題なのでw
>>82
感想を下さり有り難うございます
夢のあるファンタジーですが、着想はク○ゥルフからだったりしますw
- 93 :
- >>92
義務じゃないので黙ってましたが、感想助かります
ペットシステムはしっかりしてるのに、戦闘バランスはガバガバなんです><
- 94 :
- 今回のお題はこちらです
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1541947897/913
今回分の作品は、前スレにお願いします
- 95 :
- 今回のお題はこちらです
https://mevius.2ch.sc/test/read.cgi/bookall/1541947897/940
今回分の作品は、前スレにお願いします
- 96 :
- いちいち貼る必要はないと思ひ
- 97 :
- ごめん、メモ代わりに貼ってるのです
- 98 :
- 凄い作品がたくさんありますね!
ここにいる皆さんは小説家なのでしょうか?
- 99 :
- ここは小説家になろうの底辺スレから派生したスレです
今の住人がどうなってるかはわからないけど
- 100 :
- ☆お題→『タイムマシン』『手袋』『案山子』『やめたい』『メガテリウム』から1つ以上選択
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
☆締め切り→6/23の22時まで
【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
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